説明

ナノコンタクト・プリント

【課題】デバイスの多くの特徴を1つの方法ステップで転写し、デバイスを大量に複製する方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る方法は、(a)第1の基材に結合し、パターンを形成する第1セットの分子を含むマスターを提供するステップと、(b)引力又は結合形成によって、(i)反応性官能基と(ii)前記第1セットの分子の1つ以上に結合する認識構成要素とを含む第2セットの分子を前記第1セットの分子の上に組織化するステップと、(c)前記第2セットの分子の反応性官能基を第2の基材の表面に接触させ、それによって、前記第2セットの分子と前記第2の基材との間に結合を形成するステップと、(d)前記第1セットの分子と前記第2セットの分子との間の前記引力又は結合を破壊し、それによって、前記マスターに相補的な像を形成するステップと、(e)所望に応じて、前記(b)乃至(d)のステップを1回以上繰り返すステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子(特に有機分子)の可逆的な自己組織化に基づいた分子パターン及び/又はデバイスのスタンピングに関連する。
【背景技術】
【0002】
近年、新しい現象をナノスケールで理解するために多くの取り組みが行われ、新規の様々なナノ構造材料が作成され、それらの特徴が明らかにされた。また、興味深い特性を有する新規のデバイスが設計され始められている。人間の生活を変革し得る新世代の安価及び革新的なデバイスに対する期待は非常に大きい。新規の材料及びその作成方法が予測可能及び想定外の特性を兼ね備えることで、10年前に想像できなかったデバイスを作成することができるようになるであろう。光学及び電気デバイスの設計に対して影響を及ぼす新規の材料/現象の例として、金属ナノ粒子並びに半導体量子ドットにおけるクーロンブロッケイド、半導体ナノ粒子からの蛍光狭バンドの放出、ナノワイヤ及びナノチューブにおける量子化バリスティック伝導(quantized ballistic conduction)がある。ナノデバイス及びその作成技術の例は、「Bashir, Superlattice and Microstructures (2001), 29(1):1-16、「Xia, et al., Chem. Rev. (1999), 99:1823-1848」、及び「Gonsalves, et al., Advanced Materials (2001), 13(1 0):703-714」(参照により、本明細書に含まれるものとする)に記載されている。
【0003】
ナノ科学及びナノ技術の初期の段階は、無機の半導体及び金属系の新規の材料及びデバイスの開発並びにその特徴付けに偏っていた。この理由の1つとして、電子ビーム・リソグラフィー(ナノメートルスケールの構造及びデバイスを構築できる最初の方法の1つである)が無機基材の上の無機物質にパターン形成を施す技術であるからである。近年の大きな進歩により、走査型プローブ顕微鏡(scanning probe microscope:SPM)に基づく多用途の新しいナノリソグラフィーが開発された。様々な種類のSPMを使用することによって、局所的化学修飾又は自己組織化単分子膜(assembled monolayer:SAM)で様々な有機及び無機基材にパターンを形成することができる。例えば、Mirkinらが開発した原子間力顕微鏡(atomic force microscope:AFM)に基づいた技術(Dip Pen Nanolithography:DPN)では、5nm以下の解像度で顕微鏡のチップから基材に分子を調節しながら移動させることによって、SAMを形成することができる(「Lee, et al., Science (2002), 295:1702-1705」、「Demers, et al., Angew. Chem. Int. Ed. (2001), 40(16):3069- 3071」、「Hong, et al., Science (1999), 286:523-525」、「Piner, et al., Science (1999), 283:661- 663」、「Demers, et al., Angew. Chem. Int. Ed. (2001), 40(16).:3071-3073」、「Demers, et al., Science (2002), 296:1836-1838」、及び「米国特許出願第2002/0063212号、第2003/0049381号、,第2003/0068446号、及び2003/0157254号」を参照(参照により、本明細書に含まれるものとする))。現在では無機材料系だけでなく、有機及び生体材料系のデバイスを作成することが可能になったので、これらの技術開発は飛躍的な進歩を表す。有機系のナノ材料により、多くの興味深い特性をナノスケールで効果的に調節できるようになるであろう。これらの新規の作成技術、並びに表面分子化学及び超分子化学における基本概念の解明によって、現在、新規のデバイスが開発されている。
【0004】
現在、様々なナノデバイス(例えば、ナノトランジスタ、ナノセンサー、及びナノ導波管)が有機及び無機系のナノリソグラフィー技術によって作成されている。しかしながら、ナノ技術が優れた効果を発揮するためには、複雑なデバイスを作成するスピードが重要となる。デバイスの作成時間(及び再現性)は、ナノ技術における主要な制限要因となると考えられた。特に、製造量をいかにして増加させるかという問題は未だに解決されていない。
【0005】
ナノ技術にミクロ接触プリンティングに同等するものがあれば望ましい。Whitesidesらが設計したスタンプ技術(米国特許第5,512,131号、第5,900,160号、第6,048,623号、第6,180,239号、第6,322,979号、第6,518,168号(参照により、本明細書に含まれるものとする))は、ミクロデバイスの設計方法を根本的に変え、化学者ではない人がバイオMEMSほどの複雑なデバイスを作成するのが可能となった点で大きなな衝撃をもたらした。残念ながら、ミクロ接触プリンティングには解像度に関して限度があるので、ナノ技術ではその利用は制限される。プリンストン大学のChouらは、この問題の解決に取り組んだ。彼らの方法(米国特許第5,772,905号及び第6,309,580号、並びに米国特許出願第2002/0167117号、第2003/0034329号、第2003/0080471号、及び2003/0080472号(参照により、本明細書に含まれるものとする))は、シリコン・ウエハーを被覆している柔軟な重合体膜にスタンプされる硬質の型(すなわち、無機物で作成された型)に基づいている。プリントされる基材は、通常、金属線又は半導体から構成される(「Chou, et al., Nature (2002), 417:835-837」、及び「Austin, et al., J Vac. Sci. Technol. B (2002), 20(2):665-667」を参照(参照により、本明細書に含まれるものとする))。
【0006】
ナノスケールのデバイスを作成するための従来のナノリソグラフィー技術の欠点の1つは、多くのデバイスの特徴が一連のステップで形成されているという点である。したがって、これらの技術は、比較的単純なデバイスの作成に有用であるが、多くの特徴を有するデバイスを作成するのに多大な時間を要する。この問題を解決するための試みの1つとして、SPMのマルチチップ・アレイ(Zhang, et al., Nanotechnology (2002), 13:212(参照により、本明細書に含まれるものとする))がある。このような方法により、10又は100のナノデバイスを並行的に作成できる可能性はあるが、1つの方法ステップで多くの特徴を形成することで大量生産を容易にするナノスケールのスタンプ技術を開発することが望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の方法は、複雑な機器を必要とする、近年に開発された化学的ナノリソグラフィーを補うものである。例えば、ディップペン・ナノリソグラフィーを使用することでDNAテストアレイを製造できることがすでに示された。これらのデバイスのマスターを一旦作成すると、複雑な器具や材料を必要とすることなく、多くの安価な超高感度感知デバイス(例えば、バイオハザード感知のための)をプリントするために本発明を利用することができる。分子の転写の工程が自己組織化に基づいているので、マスター製造以外の全てのステップを広範囲及び複数の基材に対して並行して行うことができる。
【0008】
ある態様では、本発明は、マスターに相補的な像(complement image)を作成する方法である。前記方法は、第1の基材に結合し、パターンを形成する第1セットの分子を含むマスターを提供するステップを含む。第1セットの分子が核酸を含む場合は、第1セットの分子は、異なる配列を有する複数の核酸を含む。前記方法は、引力又は結合形成で第1セットの分子の上に第2のセットの分子を組織化するステップをさらに含む。第2セットの分子におけるそれぞれの分子は、反応性官能基と第1セットの分子における1つ以上の分子に引き寄せられる又は結合する認識構成要素とを含む。前記方法は、第2セットの分子の反応性官能基を第2の基材に接触させることで第2セットの分子と第2の基材との間に結合を形成するステップと、第1セットの分子と第2セットの分子との間の引力又は結合を破壊することでマスターに相補的な像を形成するステップと、所望に応じて、組織化、接触、及び結合破壊のステップを1回以上繰り返すステップとをさらに含む。
【0009】
第2セットの分子におけるそれぞれの分子は、露出した官能基と、反応性官能基を認識構成要素に結合させる共有結合又は第1のスペーサと、露出した官能基を認識構成要素に連結する共有結合又は第2のスペーサとの1つ以上をさらに含み得る。第2セットの分子は、第2セットの分子を含む溶液にマスターを接触させることによって、第1セットの分子の上に組織化し得る。例えば、第2セットの分子を含む溶液の毛管作用でマスターは第2の基材に接触し得る。また、第1及び第2セットの分子の間の引力又は結合は、水溶液を蒸発させることによって破壊することがある。
【0010】
第2セットの分子は、異なる認識構成要素、異なる露出した官能基、又はその両方を有し得る2つ以上の異なる分子を含み得る。前記2つ以上の異なる分子は、2つ以上の高さを含む輪郭を有するパターンを第2の基材の上に形成し得る。前記2つ以上の異なる分子の少なくとも1つは、第1のスペーサを含み得、他の分子は、第1のスペーサとは異なる高さを有する第2のスペーサを有し得る又はスペーサを欠き得る。他の実施形態では、第1セットの分子と第2セットの分子との間の結合は、熱を加える又は結合を高イオン強度溶液に接触させることで破壊することがある。
【0011】
幾つかの実施形態では、第1セットのそれぞれの分子の構成要素は核酸配列であり得る。また、第2セットの分子の認識構成要素は、第1セットの分子の核酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%相補的であり得る。第1及び第2セットの分子間の結合は、結合を酵素に接触させることで破壊することがある。核酸配列は、DNA、RNA、修飾核酸配列、又はそれらの組み合わせを含み得る。第1セットの分子、第2セットの分子、又はそれら両方は、ペプチド核酸配列を含み得る。
【0012】
本発明に係る方法は、1つ以上の金属、酸化金属、又はそれらの組み合わせのパターンを基材の表面上に形成するステップと、表面を第1セットの分子と接触させるステップとをさらに含み得る。この実施形態では、第1セットの分子のそれぞれの分子は、金属又は酸化金属と第1セットの分子との間に結合を形成する反応性官能基を有する。それにより、基材に結合し、パターンを形成する第1セットの分子を含むマスターが形成される。
【0013】
ある実施形態では、第2の基材表面の少なくとも1部分は、第2セットの分子を欠き得る。本発明に係る方法は、第2のセットの分子に対して化学的に不活性であり、第2の基材の少なくとも表面層を分解するように選択された反応物を第2の基材の表面に接触させ、それにより、第2セットの分子を欠く第2の基材の表面の一部分を分解するステップと、第2の基材の表面の一部分を露出させるために第2セットの分子を除去するステップとをさらに含み得る。例えば、本発明は、第2セットの分子を欠く第2の基材表面の一部分に所定の物質を被着させるステップと、第2の基材表面の一部分を露出させるために第2のセットの分子を除去するステップとを含む。第1セットの分子と第2セットの分子との間の引力は、磁性であり得る。
【0014】
他の態様では、本発明は、マスター又はマスターの一部分の複製物を作成する方法である。前記方法は、第1の基材に結合し、パターンを形成している第1セットの分子を含むマスターを提供するステップと、結合形成で第1セットの分子の上に第2のセットの分子を組織化するステップと、第2セットの分子の反応性の官能基を第2の基材の表面に接触させることで第2セットの分子と第2の基材との間に結合を形成するステップと、第1セットの分子と第2セットの分子の認識構成要素との間の結合を破壊することでマスターに相補的な像を形成するステップと、結合形成で相補的な像の第2セットの分子の上に第3セットの分子を組織化するステップと、第3セットの分子の反応性官能基を第3の基材の表面に接触させることで第3セットの分子と第3の基材との間に結合を形成するステップと、第2セットの分子と第3セットの分子の認識構成要素との間の結合を破壊することでマスター又はマスターの一部分の複製物を形成するステップと、所望に応じて、第3セットの分子を組織化するステップ、第3セットの分子の反応性官能基を第3の基材の表面に接触させるステップ、及び第2セットの分子と第3セットの分子との間の結合を破壊するステップを1回以上繰り返すステップとを含む。
【0015】
他の態様では、本発明は、第1の基材に結合した第1セットの分子の第1パターンと、反応性官能基で第2の基材と結合した第2セットの分子のパターンを有する相補的な像とを含む構成物である。第1セットの分子が核酸配列を含む場合は、第1セットの分子は異なる配列を有する複数の核酸配列を含み、第2セットの分子におけるそれぞれの分子は第1セットの分子における所定の分子の少なくとも一部分に結合する認識構成要素を有する。第1のパターンを有する第1の基材は、再利用可能なマスターであり得る。
【0016】
他の態様では、本発明は、基材の上に分子パターンをプリントするためのキットである。キットは、基材に結合した第1セットの分子パターンを含むマスターと第2セットの分子とを含む。第2セットの分子におけるそれぞれの分子は、反応性官能基と第1セットの分子に結合する認識構成要素とを含む。
【0017】
DNA鎖などの分子に含まれる情報量は大量である場合がある。本発明に係る方法は、この情報を大量に並行して(すなわち、多くのステップではなく、1つ又はわずかなステップで)転写するのを可能にする。したがって、複数のステップの技術で作成されているデバイスを単一のステップで作成することができる。これにより、研究及びデバイス製造においてさらに複雑なデバイスを製造することができるようになる。単純な例として、50の異なる種類のDNA鎖を有する50ナノのマイクロ流体チャンネル(DNAがチャンネルの壁を形成する)を含む1mmの基材のマスターが作成された場合、本発明に係る方法の単一のプリント・ステップを使用することによって1mmの基材の上に一連のナノ及びマイクロ流体チャンネルに相補的な像を作成することができ、その際、それぞれのチャンネルの壁は異なる方法で機能する(すなわち、チップ上の実際の実験室であるかのように)。
本発明特有の特徴の1つは、本発明の方法を並行的に使用することでマスターをコピーし、複製することができるということである。これは、従来の全ての方法を大きく優る。製造ラインでは、多くのマスターが必要である。これに、マスターが消耗するということを合わせると、マスターを絶えず製造する必要があるということになる。本発明に係る方法では、マスターを一旦作成すると、それを使用してマスターの複製物を作成し、これらの新しく作成されたマスターを最終デバイスのプリントに使用する。再現性を改善する必要がある。また、第1のマスターの作成に使用され、一連の方法で特徴を形成する器具は、第1のマスター作成のみに使用しなければならない。
【0018】
本発明に係る方法は、有機SAMのプリントに使用できるという点だけでなく、多くの種類の情報(例えば、化学特性及び形状)を転写し、マスターを並行して複製することを可能にする点で画期的である。
【0019】
≪定義≫
【0020】
本明細書で使用されている「マスター」は、第1セットの分子がランダム又は非ランダムなパターンで表面に結合した基材を意味する。ある実施形態では、第1セットの分子は、非ランダムなパターンでマスターに結合している。第1セットの分子は、1つ以上の異なる分子を含み得る。パターンにコードされている情報は、基材表面上のそれぞれの分子の位置及び/又は分子の化学特性(例えば、第1セットの分子において特定の核酸配列を有する所定の分子は、その相補配列を有する核酸分子に特異的に結合する)に由来し得る。
【0021】
本明細書で使用される「マスターに相補的な像」は、マスター又はマスターの一部分にコードされた空間及び/又は化学情報の鏡像(マスター上のパターンが非対称的であるとき)又はコピー(マスター上のパターンが対称的であるとき)である像を意味する。ある実施形態では、相補的な像は、第2セットの分子が第2の基材に結合することによって形成される。例えば、マスターに結合している第1セットの分子が非中心対称的なパターンを形成する核酸分子である場合は、マスターに相補的な像は、第1セットの分子の核酸配列の少なくとも一部に対して相補的な配列を有する第2セットの分子(核酸配列)で第2の基材の上に形成されたマスターの鏡像となる。幾つかの実施形態では、相補的な像に転写された化学情報は、マスターの情報とは同一ではないが、マスターの少なくとも一部の情報を複製するのに十分な情報である。例えば、第1セット及び第2セットの分子が核酸分子である場合は、第1セットの分子における所定の分子の少なくとも3つ以上の連続塩基は、第2セットの分子における所定の分子の3つ以上の連続塩基に相補的である。例えば、第1及び第2セットの分子の核酸配列の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%は相補的であり得る。マスターに結合している第1セットの分子の一部にだけ結合する第2セットの分子を選択することによって、マスター上のパターンの一部から相補的な像を作成することができる。第2セットの分子が第1セットの分子の一部分にだけ結合する場合は、相補的な像の輪郭の高さは2種類以上あり得る。また、相補的な像は、マスターにエンコードされている空間情報の鏡像のみをエンコードする場合もあれば、マスターにエンコードされている化学及び空間情報の両方をエンコードする場合もある。例えば、マスターに結合している第1セットの分子が非対称的パターンを形成する核酸分子である場合は、マスターに相補的な像は、第1セットの分子の核酸配列の少なくとも一部分に相補的な配列を有する第2セットの分子(核酸配列)で第2の基材の上に形成されたマスターの鏡像となる。この例では、空間及び化学情報の両方は、マスターから相補的な像に転写される。また、化学情報の一部のみが相補的な像に転写されることがある。例えば、マスター上の第1セットの分子が核酸分子である場合は、相補的な像を形成する第2セットの分子は、マスター上の核酸配列の一部のみに相補的である(例えば、全て配列に対して相補的ではない)核酸配列であり得る。
【0022】
本明細書で使用される「マスターの複製物」は、マスターのパターンにエンコードされている空間及び/又は化学情報のコピーを意味する。複製物は、マスターのパターン全体又はパターンの一部のコピーであり得る。また、マスターの複製物は、マスターの空間情報のみをコピーしている場合もあれば、マスターでエンコードされている空間情報及び化学情報情報の両方をコピーしている場合もある。また、マスターの複製物は、化学情報の一部のみを複製している場合がある。
【0023】
「分子にエンコードされる化学情報」は、他の分子に特異的に結合する又は特定の種類の分子に結合する(一般に、特定の構造で)分子の能力を意味する。例えば、特定の核酸配列がその相補的な配列に特異的に結合する場合もあれば、タンパクAが免疫グロブリンに特異的に結合する場合もある。
【0024】
本明細書で使用されている「パターン」という用語は、基材に結合している分子セットにおけるそれぞれの分子の空間的位置、及び分子セットにおけるそれぞれの分子の化学構造を意味する。
【0025】
本明細書で使用される「シラン」という用語は、次の構造式を有する官能基を意味する。

但し、上記の構造式のRは、それぞれの場合において、H、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、及びアリールアルキルから成る群から独立に選択される。
【0026】
本明細書で使用されている「クロロシラン」という用語は、次の構造式を有する官能基を意味する。

但し、上記の構造式のRは、それぞれの場合において、Rの少なくとも1つがClであるという条件でCl又はORから独立に選択される。好ましくは、それぞれのRは、Clである。
【0027】
本明細書で使用される「スペーサ」という用語は、分子の2つの構成要素を連結する二価基を意味する。典型的なスペーサとして、アルキレン、ヘテロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アリールアルキレン、及びヘテロアリールアルキレンがある。尚、アルキレン、ヘテロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アリールアルキレン、又はヘテロアリールアルキレンは、置換されていることもあれば、置換されていないこともある。
【0028】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、完全に飽和したC−C20炭化水素の直鎖若しくは分岐鎖、又は環状のC−C20炭化水素を意味する。尚、アルキル基は、置換されていることもあれば、置換されていないこともある。
【0029】
「アルキレン」という用語は、少なくとも2つの部分(moiety)に対して少なくとも2つの連結点を有するアルキル基(例えば、メチレン、エチレン、イソプロピレンなど)を意味する。アルキレン基は、置換されていることもあれば、置換されていないこともある。
【0030】
「アルケニル基」は、1つ以上の2重結合を有する直鎖状若しくは分岐鎖状のC−C20炭化水素、又は環状のC−C20炭化水素である。アルケニレン基は、置換されていることもあれば、置換されていないこともある。
【0031】
「アルケニレン」は、少なくとも2つの部分に対して2つの連結点を有するアルケニル基を意味する。アルケニレン基は、置換されていることもあれば、置換されていないこともある。
【0032】
「アルキニル基」は、1つ以上の3重結合を有する直鎖状若しくは分岐鎖状のC−C20炭化水素、又は環状のC−C20炭化水素である。アルキニル基は、置換されていることもあれば、置換されていないこともある。
【0033】
「アルキニレン」は、少なくとも2つの部分に対して少なくとも2つの連結点を有するアルキニル基を意味する。アルキニレンは、置換されていることもあれば、置換されていないこともある。
【0034】
「ヘテロアルキレン」は、−X−{(アルキレン)}−の構造式を有する基を意味する。但し、Xは−O−、−NR−、又は−S−であり、qは1〜10までの整数である。Rは、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、又はヘテロシクロアルキルである。ヘテロアルキレンは、置換されていることもあれば、置換されていないこともある。
【0035】
本明細書において単独で又は他の部分の一部として(例えば、アリールアルキルなど)使用されている「アリール」という用語は、フェニルなどの炭素環式の芳香族基を意味する。また、アリール基は、炭素環式の芳香環が他の炭素環式の芳香環と融合した融合多環式芳香環系(例えば、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントラシル、2−アントラシルなど)、又は炭素環式の芳香環が1つ以上の炭素環式の非芳香環と融合した融合多環式芳香環系(例えば、テトラヒドロナフチレン、インダンなど)を意味する。炭素環式の非芳香環と融合したアリールの連結点は、芳香環又は非芳香環のいずれかに存在し得る。アリール基は、置換されていることもあれば、置換されていないこともある。
【0036】
「アリーレン」は、少なくとも2つの部分に対して少なくとも2つの連結点を有するアリール基を意味する(例えば、フェニレンなど)。アリーレン基は、置換されていることもあれば、置換されていないこともある。
【0037】
「アリールアルキル」基は、アルキレン・リンカーで他の部分に結合しているアリール基を意味する。アリールアルキル基は、置換されていることもあれば、置換されていないこともある。アリールアルキルが置換されている場合は、置換基は、アリールアルキルの芳香環又はアルキレン部分のいずれかに存在し得る。
【0038】
本明細書で使用される「アリールアルキレン基」は、少なくとも2つの部分に対して少なくとも2つの連結点を有するアリールアルキル基を意味する。第2の連結点は、芳香環又はアルキレンのいずれかに存在し得る。アリールアルキレンは、置換されていることもあれば、置換されていないこともある。アリールアルキレンが置換されている場合は、置換基は、アリールアルキレンの芳香環又はアルキレン部分のいずれかに存在し得る。
【0039】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」という用語は、窒素、硫黄、又は酸素から選択された1つ、2つ、3つ、又は4つのヘテロ原子を有する芳香族複素環を意味する。ヘテロアリールは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールなどの1つ又は2つの環と融合していることがある。ヘテロアリールを他の分子に連結する連結点は、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、又はアリール環に存在し得る。また、ヘテロアリール基は、炭素又はヘテロ原子で連結していることがある。ヘテロアリール基の例として、イミダゾリル、フリル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、インドリジニル、イミダゾピリジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、テトラゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、インドリル、テトラヒドロインドリル、アザインドリル、イミダゾピリジル、キナゾリニル、プリニル、ピロロ[2,3]ピリミジル、ピラゾロ[3,4]ピリミジル、又はベンゾ(b)チエニルがある。尚、ぞれぞれは、所望に応じて置換されていることがある。ヘテロアリール基は、置換されていることもあれば、置換されていないこともある。
【0040】
「ヘテロアリーレン」は、少なくとも2つの部分に対して少なくとも2つの連結点を有するヘテロアリール基を意味する。ヘテロアリーレン基は、置換されていることもあれば、置換されていないこともある。
【0041】
「ヘテロアリールアルキル基」は、アルキレン・リンカーで他の部分に結合しているヘテロアリール基を意味する。ヘテロアリールアルキル基は、置換されていることもあれば、置換されていないこともある。ヘテロアリールアルキルが置換されている場合は、置換基は、ヘテロアリールアルキルの芳香環又はアルキレン部分に存在し得る。
【0042】
「ヘテロアリールアルキレン」は、少なくとも2つの部分に対して少なくとも2つの連結点を有するヘテロアリールアルキル基を意味する。ヘテロアリールアルキレン基は、置換されていることもあれば、置換されていないこともある。
【0043】
「ヘテロシクロアルキル」は、1つ以上(例えば、1つ〜4つ)の酸素、窒素、又は硫黄を含む非芳香環(例えば、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、及びチオモルホリン)である。ヘテロシクロアルキル基は、置換されていることもあれば、置換されていないこともある。
【0044】
「ヘテロシクロアルキレン」は、少なくとも2つの部分に対して少なくとも2つの連結点を有するヘテロシクロアルキルである。ヘテロシクロアルキレン基は、置換されていることもあれば、置換されていないこともある。
【0045】
アルキル、アルキレン、アルケニル、アルケニレン、アルキニル、アルキニレン、ヘテロアルキル、ヘテロアルキレン、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキレン、アリール、アリーレン、アリールアルキル、アリールアルキレン、ヘテロアリール、ヘテロアリーレン、ヘテロアリールアルキル、及びヘテロアリールアルキレン基のための置換基は、本発明の方法で用いられる反応条件下で安定な任意の置換基を含む。置換基の例として、アリール(例えば、フェニル)、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、ニトロ、シアノ、ハロ(例えば、フッ素、塩素、及び臭素)、アルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシルなど)、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、アロキシ(例えば、メトキシ、エトキシなど)、ヒドロキシ、−NR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)Rがある。但し、R及びRはそれぞれの場合において独立に−H、アルキル、アリール、又はアリールアルキルであり、Rはそれぞれの場合において独立にアルキル、アリール、又はアリールアルキルである。
【0046】
また、アルキル、アルキレン、ヘテロシクロアルキレン基、及びアルケニル、アルケニレン、アルキニル、アルキニレン基の任意の飽和部分も=O及び=Sで置換されていることがある。
【0047】
ヘテロアルキレン、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロアリール、又はヘテロアリーレン基が窒素原子を含む場合は、これらの化合物は置換されている場合がある。ヘテロアリール又はヘテロアリーレン基の芳香環の窒素原子が置換基を有する場合は、窒素原子は四級窒素原子であり得る。
【0048】
本明細書で使用される「核酸」又は「オリゴヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチド重合体を意味する。一般的に、核酸は、少なくとも3つのヌクレオチドを含む。この重合体には、天然ヌクレオシド(すなわち、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、デオキシシチジン)又は修飾されたヌクレオシドが含まれ得る。修飾されたヌクレオチドには、塩基が修飾されたヌクレオシド(例えば、アラシチジン、イノシン、イソグアノシン、ネブラリン、プソイドウリジン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、2−チオチミジン、3−デアザ−5−アザシチジン、2´−デオキシウリジン、3−ニトロピロール、4−メチルインドール、4−チオウリジン、4−チオチミジン、2−アミノアデノシン、2−チオウリジン、5−ブロモシチジン、5−ヨードウリジン、イノシン、6−アザウリジン、6−クロロプリン、7−デアザアデノシン、7−デアザグアノシン、8−アザアデノシン、8−アジドアデノシン、ベンズイミダゾール、M1−メチルアデノシン、ピロロ−ピリミジン、2−アミノ−6−クロロプリン、3−メチルアデノシン、5−プロピニルシチジン、5−プロピニルウリジン、5−ブロモウリジン、5−フルオロウリジン、5−メチルシチジン、7−デアザアデノシン、7−デアザグアノシン、8−オキソアデノシン、8−オキソグアノシン、O(6)−メチルグアニン、及び2−チオシチジン)、化学的又は生物学的に修飾された塩基(例えば、メチル化された塩基)、修飾された糖(例えば、2´−フルオロリボース、2´−アミノリボース、2´−アジドリボース、2´−O−メチルリボース、L−エナンチオマー・ヌクレオシド・アラビノース、及びヘキソース)、修飾されたリン酸基(例えば、ホスホロチオエート及び5´−N−ホスホラミダイト・リンケージ)、及びそれらの組み合わせが含まれ得る。核酸の化学合成のための天然及び修飾ヌクレオチド単量体は、市販されている。
【0049】
本明細書で使用されている「ペプチド核酸(peptide nucleic acid:PNA)」は、天然又は非天然核酸塩基がそれぞれのアミノ酸残基に結合しているペプチド骨格を有する重合体を意味する。ペプチド核酸は「Hanvey, et al., Science (1992), 258:1481-1485」(参照により、本明細書に含まれるものとする)に記載されている。PNAは、その配列に対して少なくとも3つの連続塩基(例えば、6つの連続塩基)で相補配列を有する核酸又は他のPNAと特異的に結合できる。ある実施形態では、PNAは、核酸又は第2のPNAに対して、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%相補的である。
【0050】
本明細書で使用される「引力」という用語は、2つ以上の分子を互いに引きつける力である。引力の例として、正味の正電荷を有する分子と正味の負電荷を有する分子との間の引力、双極子間引力、及び磁力がある。
【0051】
「結合」という用語は、共有結合として指定する場合を除き、共有結合と非共有結合(水素結合、イオン結合、静電相互作用、磁気相互作用、及びファン・デル・ワールス力など)とを含む。
【0052】
本明細書で使用されている「認識構成要素」は、他の分子に特異的に結合できる分子の構成要素を意味する。
【0053】
本明細書で使用される「特異的結合」は、ある分子の認識構成要素が他の分子又は錯体と試料の他の構成要素又は混入物質とを区別するのに十分な特異性で1つ以上の前記他の分子又は錯体と結合することを意味する。認識構成要素を有する分子及びその標的は、公知であり、本明細書で詳細に説明しない。このような系を作成及び使用するための技術は、当該技術分野では公知であり、「Tijssen, P., "Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology Practice and Theories of Enzyme Immunoassays" (1988), eds. Burdon and Knippenberg」(参照により、本明細書に含まれるものとする)に例示されている。典型的な認識構成要素及びその標的として、核酸/相補的な核酸、抗原/抗体、抗原/抗体断片、アビジン/ビオチン、ストレプトアビジン/ビオチン、タンパクA/I、レクチン/炭水化物、及びアプタマー/標的がある。
【0054】
本明細書で使用される「アプタマー」は、標的に特異的に結合する非天然型の核酸を意味する。アプタマーを形成する核酸は、天然型のヌクレオシド、修飾されたヌクレオシド、間に炭化水素リンカー(例えば、アルキレン)若しくはポリエーテル・リンカー(例えば、PEGリンカー)が挿入された1つ以上の天然型のヌクレオシド、間に炭化水素若しくはPEGリンカーが挿入された1つ以上の修飾ヌクレオシド、又はその組み合わせを含む。ある実施形態では、核酸の結合親和性及び特異性が置換によって著しく低下しない限り(例えばアプタマーと標的との解離定数は、1×10−6Mを越えてはならない)、
核酸リガンドのヌクレオチド又は修飾ヌクレオチドを炭化水素リンカー又はポリエーテル・リンカーで置換することができる。アプタマーの標的分子は、アプタマーに結合する3次元の化学構造物である。しかしながら、アプタマーは、標的核酸に対する単なる直鎖状の相補配列ではなく、相補的なワトソン・クリック塩基対合で結合し、且つヘアピン・ループなどの他の構造を形成する部分をも含み得る。アプタマーの標的として、ペプチド、ポリペプチド、炭水化物、及び核酸分子がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
本発明に係る方法は、分子(特に有機分子)の可逆的な自己組織化に基づいた分子パターン及び/又はデバイスのスタンピングを含む。この方法は、ナノ製造されたほぼ全てのデバイス(無機及び/又は有機)のスタンピングに適しており、ある基材から他の基材へ大量の情報を転写するのに使用される。この技術の仕組みの原理は、従来の全てのナノ製造技術のものとは異なる。
【0056】
本発明のある実施形態では、少なくとも1つの表面に結合し、パターンを形成している第1セットの分子を有する基材を含むマスターは、超高分子の可逆的化学反応(例えば、水素結合、イオン結合、共有結合、静電相互作用、ファン・デル・ワールス相互作用、磁気相互作用、又はそれらの組み合わせ)を利用して第2セットの分子の組織化を誘導するのに使用される。実質的に不可逆的な界面化学反応で第2セットの分子を基材の表面に結合させ、その次に、第1セットの分子と第2セットの分子との間の可逆的な結合を破壊する。本明細書に使用される「実質的に不可逆的な」という用語は、第1セットの分子と第2セットの分子との間の結合を破壊する条件下では第2セットの分子と基材の表面との間の結合が安定していることを意味する。超高分子結合は、形状を転写する機構として生かされ得る。これによって、マスターとスタンプされる基材との間の機械的な接触が回避される。したがって、この方法は、Chouらによって開発されたナノインプリンティングに対して大きな進歩である。この方法により、有機パターンを確実に転写することができる。有機分子を使用することで、多くの種類のパターンを作成することができ、大量の表面特徴を同時に転写することができる。
【0057】
図1を参照すると、ある実施形態では、マスターに相補的な像を作成する方法は、第1の基材14に結合し、パターンを形成している第1セットの分子12を含むマスター10を提供するステップを含む。第1セットの分子12は、スペーサ11と認識構成部位13とを含み得る。第2セットの分子16は、結合形成によって第1セットの分子の上に組織化する。第2セットの分子は、反応性官能基18と第1セットの分子12の認識構成部位13に結合する認識構成部位20とを含む(図2を参照。この図では、第1セットの分子に結合している第2セットの分子が拡大して示されている)。次に、第2セットの分子16の反応性官能基18を第2の基材22の表面に接触させる。反応性官能基は、第2の基材の表面と反応し、第2セットの分子と第2の基材との間に結合を形成する。ある実施形態では、第2の基材の依然露出した状態の表面を被覆するために、この表面と結合できる反応性官能基(チオール残基を有するアルカン(例えば、メルカプトヘキサノール)など)を有する他の分子群24にこの表面を接触させる。次に、第1セットの分子と第2セットの分子との間の結合を破壊する。第2の基材に結合している第2セットの分子は、マスター10に相補的な像26を形成する。第1セットの分子と第2のセットの分子との間の結合を破壊することでこのマスターを相補的な像から分離したとき、さらなる相補的な像を作成するためにマスターを1回以上再使用することができる。ある実施形態では、相補的な像の少なくとも1つの特徴(feature)の横方向の寸法は、200nm以下、例えば、100nm以下、50nm以下、20nm以下である。
【0058】
また、ある実施形態では、第2セットの分子は、下記の構成要素の1つ以上を含み得る。露出した官能基28、反応性官能基を認識構成要素に結合する共有結合又は第1のスペーサ30、及び露出した官能基を認識構成要素に結合する共有結合又は第2のスペーサ。
【0059】
第2セットの分子は、2つ以上の異なる分子を含み得る。例えば、第2セットの分子における2つ以上の分子は異なる認識構成要素(異なる核酸配列など)を有し得る、又は、第2セットの分子における2つ以上の分子は異なる認識構成要素と異なる露出した官能基とを有し得る。幾つかの実施形態では、第1セットの分子における1つ以上の分子は、第2セット分子におけるそれぞれの分子が結合する場所を決定する。
【0060】
ある実施形態では、第2セットの分子における2つ以上の異なる分子は、2種類以上の高さを含む輪郭を有するパターンを第2の基材の上に形成する。例えば、第2セットの分子は、異なる2つ以上の長さのスペーサ30を含み得る。スペーサの長さの相違によって、第2の基材に転写された分子像が異なる高さを有するようになる。
【0061】
ある実施形態では、第2セットの分子を含む溶液にマスターを接触させることによって、第1セットの分子の上に第2セットの分子が組織化し得る。マスター上のパターンを第2の基材に転写するある方法では、第2セットの分子を含む溶液の毛管作用によって、マスターは第2の基材に接触し得る。また、2つの基材を互いに固定させるために、機械力(例えば、10−3Pa〜1GPa)を加えることがある。この機械力は、例えば、約10−3Pa、1Pa、1KPa、1MPa、又は1GPaであり得る。その後に第2の分子を含む溶液がゆっくり蒸発することによって、マスター及び第2の基材が互いにさらに近接するようになり、それよって、第2セットの分子が第2の基材に容易に結合するようになる。
【0062】
第1セットの分子と第2セットの分子との間の結合は、水素結合、イオン結合、共有結合、静電相互作用、ファン・デル・ワールス相互作用、磁気相互作用、Π結合相互作用、又はそれらの組み合わせであり得る。ある実施形態では、第1セットの分子と第2セットの分子との間の結合は、熱を加えることによって破壊する。或いは、第1セットの分子と第2セットの分子との間の結合を高イオン強度又は高極性を有する溶媒に接触させることによって、この結合を破壊する。さらに他の実施形態では、第1セットの分子と第2セットの分子との間の結合を高イオン強度溶媒に接触させ、熱を加えることによって、この結合を破壊する。或いは、第1セットの分子と第2セットの分子との間の結合を破壊する酵素を含む溶液にこの結合を接触させることによって、この結合を破壊する。一般的には、第2セットの分子と第2の基材との間の結合のほとんどを破壊することなく、第1セットの分子と第2セットの分子との間の結合を破壊することができる。
【0063】
第2セットの分子の反応性官能基は、第2の基材の表面に結合できる基であり得る。例えば、第2セットの分子の反応性官能基がチオール基又は保護されたチオール基である場合は、第2の基材の表面は金、銀、銅、カドミウム、亜鉛、パラジウム、プラチナ、水銀、鉛、鉄、クロム、マンガン、タングステン、又はこれらの混合物若しくは合金であり得る。本明細書で使用される「反応性官能基」という用語は、反応することで基材表面と結合することができる基を意味する。チオール基の保護及び脱保護の方法は、「Greene and Wuts, "Protective Groups in Organic Synthesis", John Wiley & Sons (1991)」(参照により、本明細書に含まれるものとする)に記載されている。保護されたチオール基は、基材表面と反応させる前に脱保護される。他の例では、第2セットの分子の反応性官能基はシラン又はクロロシランであり、第2の基材の表面は、ドープ又は非ドープ・シリコン、ガラス、石英ガラス、又は表面が酸化した任意の基材(例えば、シリカ、アルミナ、リン酸カルシウム・セラミック、及び水酸化重合体)であり得る。非水酸化表面は、シランと反応することができる酸化された基を形成するためにプラズマエッチングされ得る。他の例では、第2セットの分子の反応性官能基はカルボン酸であり、第2の基材の表面は、シリカ、アルミナ、石英、又はガラスなどの酸化物、又は酸化重合体表面である。他の例では、第2セットの分子の反応性官能基はニトリル又はイソニトリルであり、第2の基材の表面はプラチナ、パラジウム、又はそれらの任意の合金である。他の例では、第2セットの分子の反応性官能基はヒドロキサム酸であり、第2の基材の表面は銅又はアルミニウムである。また、第2セットの分子をアルミニウムの基材に結合させるために、ホスホン酸を使用することがある。
【0064】
ある実施形態では、第1セットの分子における少なくとも一部の分子は、第2セットの分子における1つ以上の分子と結合する認識構成要素を有する。例えば、第1セットの分子におけるそれぞれの分子は、核酸配列である認識構成部位を有し得る。ある実施形態では、第1セットのそれぞれの分子は核酸配列(例えば、DNA、RNA、修飾核酸配列、又はそれらの組み合わせ)を有し、第2セットの分子の認識構成要素は核酸配列である。ある実施形態では、第2セットのそれぞれの分子の核酸認識構成要素は、第1セットの分子における少なくとも1つの分子の核酸配列の少なくとも一部に相補的であり得る。例えば、第2セットの分子における所定の分子の3つ以上の連続核酸塩基(例えば、6つ以上の核酸塩基)は、第1セットの分子における所定の分子の3つ以上の連続核酸塩基(例えば、6つ以上の核酸塩基)に相補的である。他の例では、第1セットの分子のヌクレオチドの少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%は、結合する第2セットの分子のヌクレオチドに相補的である。第1セットの分子の上に第2セットの分子が組織化するとき、第2セットの分子は、第2セットの分子の核酸認識構成要素に対して相補的な配列又はその一部を有する第1セットの分子とハイブリダイズする。この実施形態では、ハイブリダイゼーションを促進する条件下で、マスターに結合している第1セットの分子を第2セットの分子の溶液に接触させる。ハイブリダイゼーションを促進する条件は、当業者に公知である。ハイブリダイゼーションの概要は、「Ausebel, F. M., et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Assoc. and Wiley- Interscience, 1989」に論じられている(参照により本明細書に組み込まれるものとする)。配列の長さ、塩基組成、ハイブリダイズする配列間のミスマッチ率、温度、及びイオン強度などの要因は、核酸ハイブリッドの安定性に影響する。
【0065】
ある実施形態では、第1セットの分子は、異なる核酸配列である認識構成要素を有する2つ以上の異なる分子を含む。この実施形態では、第2セットの分子は、第1セットの分子の少なくとも1つの分子に相補的である核酸配列又はその一部を有する分子を含む。ある実施形態では、第1セットの分子と第2セットの分子とのハイブリッド分子の間の水素結合は、所定の酵素に接触することによって破壊する。例えば、ハイブリダイズしている核酸分子間の水素結合を破壊するために、ヘリカーゼ・ファミリーの酵素を使用することがある。二重鎖のオリゴヌクレオチドを脱ハイブリダイズする様々なヘリカーゼが報告されている。それらのヘリカーゼの例として、大腸菌Rep、大腸菌DnaB、大腸菌UvrD(別名ヘリカーゼII)、大腸菌RecBCD、大腸菌RecQ、バクテリオファージT7DNAヘリカーゼ、ヒトRECQLシリーズ(WRN (RECQ2)、BLM (RECQL3)、RECQL4、RECQL5、シゾサッカロミセス・ポンベrqhl、線虫(C. elegance)TO4A1 1.6(一般的に、ヘリカーゼの名称は、そのヘリカーゼが得られる生物から由来する)がある。ヘリカーゼは、(1)3´方向に向かって核酸鎖を進むヘリカーゼ及び(2)5´方向に向かって核酸鎖を進むヘリカーゼの2種類に分けられる。一般的には、ハイブリッド核酸の間の水素結合を破壊するのに使用される特定の種類のヘリカーゼは、特定のハイブリッド核酸の構造障害に応じて選択される。一本鎖DNA結合タンパク(single stranded DNA binding protein:SSB)などの一本鎖DNAを安定化する補因子を加える場合もある。
【0066】
2つのハイブリッド核酸の間の結合を破壊する別の方法として、制限エンドヌクレアーゼの使用がある。制限エンドヌクレアーゼは、特定の塩基配列を認識し、核酸配列の特定の位置で両方の鎖を切断する。制限エンドヌクレアーゼの例として、BamHI、 EcoRI、及びBstXIがある。酵素を使用して核酸を脱ハイブリダイズする他の方法は、「Lubert Stryer, Biochemistry, 4th Edition」、「Benjamin Lewin, Gene VII」、「Kristen Moore Picha and Smita S. Patel, "Bacteriophage T7 DNA Helicase Binds dTTP, Forms Hexamers, and Binds DNA in the Absence of Mg2+," J Biol. Chem. (1998), Vol. 273, Issue 42, 27315- 27319」、「Sheng Cui, Raffaella Klima, Alex Ochem, Daniele Arosio, Arturo Falaschi, and Alessandro Vindigni, "Characterization of the DNA-unwinding Activity of Human RECQ1, a Helicase Specifically Stimulated by Human Replication Protein A," J. Biol. Chem. (2003), Vol. 278, Issue 3, 1424-1432」、「Umezu, K., and Nakayama, H. (1993), J. Mol. Biol,. 230:1145-1150」、「Nakayama, K., Irino, N., and Nakayama, H., Mol. Gen. Genet. (1985), 200:266-271」、「Kusano, K., Berres, M. E., and Engels, W. R., Genetics (1999), 15:1027-1039」、「Ozsoy, A. Z., Sekelsky, J. J., and Matson, S. W., Nucleic Acids Res. (2001), 29:2986- 299」(参照により、本明細書に含まれるものとする)に記載されている。
【0067】
他の実施形態では、第1セットにおけるそれぞれの分子の構成要素はペプチド核酸(peptide nucleic acid:PNA)であり、第2セットの分子の認識構成要素はPNA配列である。或いは、第1セットにおける分子のそれぞれの分子の構成要素はペプチド核酸(peptide nucleic acid:PNA)であり、第2セットの分子の認識構成要素は核酸配列である、又はその逆である。核酸が他の核酸にハイブリダイズするのと同様に、PNA分子は他のPNA分子及び核酸配列にハイブリダイズする。ある実施形態では、第2セットの分子の少なくとも1つ以上の分子は、第1セットの分子における所定の分子の少なくとも3つの連続塩基(例えば、6つの塩基)に相補的な少なくとも3つの連続塩基(例えば、6つの塩基)を有する必要がある。他の例では、第1セットの分子のヌクレオチドの少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%は、結合する第2セットの分子のヌクレオチドに相補的である。
【0068】
第1セットの分子と第2セットの分子との間の結合は、熱を加えること、高イオン強度又は高極性を有する溶液に結合を接触させること、磁場又は電場を加えること、又はそれらの組み合わせによって破壊する。
【0069】
分子セットが基材表面に結合するとき、分子の一部が基材表面に露出するように、分子は折り曲がる又は互いに重なることがある。露出した官能基は、疎水性、親水性、又は両親媒性の官能基であり得る。また、露出した官能基は、タンパク質、抗体、抗原、並びに糖及び他の炭水化物などの生物学又は化学種に選択的に結合する官能基であり得る。露出した官能基は、任意の特異的又は非特異的結合対を含む。前記結合対の例としてこれらに限定されるものではないが、例えば、抗体/抗原、抗体/ハプテン、酵素/基質、酵素/阻害剤、酵素/補因子、結合タンパク/基質、担体タンパク/基質、レクチン/炭水化物、受容体/ホルモン、受容体/エフェクター、核酸の相補鎖、又はリプレッサー/誘導因子などがある。露出した官能基の他の例としてこれらに限定されるものではないが、例えば、−OH、−CONH、−CONHCO、−NH、−NH、−COOH、−COOR、−CSNH、−NO、−SO、−SH、−RCOR、−RCSR、−RSR、−ROR、−PO−3、−OSO−2、−SO、−COO、−SOO、−RSOR、CONR、−(OCHCHOH(但し、n=1〜20、好ましくは1〜8)、−CH,−PO、−2−イミダゾール、−N(CH、−NR、−PO、−CN、−(CFCF(但し、n=1〜20、好ましくは1〜8)、及びオレフィンがある。但し、Rは、水素、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、タンパク、酵素、炭水化物、レクチン、ホルモン、受容体、抗原、抗体、又はハプテンである。
【0070】
露出した官能基は、保護基を含み得る。保護基は、相補的な像をさらに修飾する、又はマスターを複製するために除去され得る。例えば、光分解性保護基が使用され得る。様々な正の光応答性保護基(例えば、o−ニトロベンジル誘導体又はベンジルスルホニルなどの芳香族ニトロ化合物)が当該技術分野で公知である。光分解性保護基は、例えば米国特許第5,143,854号(参照により、本明細書に含まれるものとする)、並びに「Patchornik, JACS, 92:6333 (1970)」及び「Amit et al, JOC, 39:192, (1974)」に記載されている(両方とも参照により、本明細書に含まれるものとする)。
【0071】
ある実施形態では、第2セットの分子の少なくとも1つの分子の露出した官能基を金属又は金属イオンに結合させることによって、相補的な像をさらに修飾することがある。例えば、露出した官能基は、末端にアミン、アミド、ニトロシル、シアノ、カルボニル、チオール、チオカルボニル、セレノカルボニル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、又はシクロペタジエン基を含み得る。又は、1つ以上の二重結合若しくはΠ電子共役系を有する線形有機基若しくは環状有機基を含み得る。これらの基は、鉄、コバルト、ニッケル、金、銀、亜鉛、カリウム、リン、セレニウム、ナトリウム、プラチナ、パラジウム、チタン、バナジウム、モリブデン、マグネシウム、レニウム、ルテニウム、及びオスミウムなどの金属の原子又はイオンと配位していることがある。
【0072】
キレート基が大きすぎる又は被着の際に第2セットの分子におけるその存在が適切ではない場合は、適切なキレート基を第2セットの分子の少なくとも一部に結合させるために、第2セットの分子を修飾することがある。例えば、第2セットの分子の認識構成要素をスペーサに結合させるための後術するカップリング化学反応を用いることによって、ポリフィリン環又はコリン環を第2セットの分子の少なくとも一部に結合させることがある。
【0073】
或いは、又はさらに、第2セットの分子は、金属原子若しくはイオンに結合する機能があるペプチド配列、又は酵素若しくは他のタンパク質の一部分を有し得る。幾つかの実施形態では、1つの金属原子若しくはイオンは、第2セットの分子の2つ、3つ、又はそれ以上の分子の官能基と配位し得る。
【0074】
第1及び第2セットの分子の第1及び第2のスペーサは、アルキレンと、ヘテロアルキレンと、ヘテロシクロアルキレンと、アルケニレンと、アルキニレンと、アリーレンと、ヘテロアリーレンと、アリールアルキレンと、ヘテロアリールアルキレンとから成る群から独立に選択される。アルキレン、ヘテロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アリールアルキレン、及びヘテロアリールアルキレンのスペーサは、置換されていることもあれば、置換されていないこともある。ある実施形態では、第1若しくは第2のスペーサ、又は第1及び第2の両方のスペーサは、1つ以上のハロゲン基及び/又はヒドロキシル基で置換されている。
【0075】
他の実施形態では、被着されている基材は、スペーサがシラン又は他の反応性官能基によって基材に固定化された状態で作成される。スペーサの末端は、エポキシ基又はカルボキシレート基などの反応基を含む。この実施形態では、第2セットの分子の認識構成要素20は、スペーサの反応基と反応する反応基を有する。それにより、スペーサと認識構成要素との間に共有結合が形成される。例えば、認識構成要素は、アミン末端を有する分子(例えば、アミン末端を有するDNA)であり得る。また、カルボキシル末端を有する分子も、エポキシ基と反応し、無水物を形成する。スペーサに第2セットの分子を結合させるのに利用され得る他の化学反応として、無水物とヒドロキシル基との反応、カルボジイミド結合、カルボキシレートとアミン、ヒドロキシル、及び他の基との反応、並びに当業者に公知のカップリング反応がある。反応条件は、認識構成要素を安定させるように選択される。例えば、熱又は特定の溶媒に対して安定しない認識構成部位もあるが、これらの認識構成部位をこのような条件に短時間(数時間)に晒す場合は安定性を維持し得る。幾つかの実施形態では、被着される第2セットの分子が基材に連結する代わりにスペーサ又は分子が互いに結合するのを防止するために、第2セットの分子及びスペーサの末端の反応性官能基は、それら自身と反応しない。
【0076】
マスターは、当業者に公知の任意の方法(Xia, et al., Chem. Rev. (1999), 99:1823- 1848、参照により本明細書に含まれるものとする)で作成され得る。例えば、マスターを形成する方法は、ナノパターン形成方法であり得る。ある実施形態では、電子ビーム・リソグラフィーを使用して1つ以上の金属、酸化金属、又はそれらの組み合わせのパターンを基材表面上に形成することによってマスターを作成する。次に、基材の表面を第1セットの分子と接触させる。この実施形態では、第1セットの分子が基材に結合し、パターンを形成するマスターを形成するために、第1セットのそれぞれの分子は、金属又は酸化金属と第1セットの分子との間に結合を形成する反応性官能基を有する。マスターを形成するための反応性官能基及び基材の材料は、第2セットの分子のパターン形成に使用されるものと同じである場合もあれば、異なる場合もある。
【0077】
或いは、ディップペン・ナノリソグラフィーを使用することで、マスターを作成することができる。ディップペン・ナノリソグラフィーを使用して分子パターンを有する基材を作成する方法は、「Schwartz, Langmuir (2002), 18:4041- 4046」及び「Piner, et al., Science (1999), 283:661-663」(両方とも参照により、本明細書に組み込まれるものとする)に記載されている。
【0078】
或いは、交換リソグラフィー(replacement lithography)、ナノシェイディング(nanoshading)、又はナノグラフティング(nanografting)を使用することによってマスターを作成することができる。これらの方法は、「Sun, et al., JACS (2002), 124(11):2414-2415」、「Amro, et al., Langmuir (2000) , 16:3006- 3009」、「Liu, et al., Nano Letters (2002), 2(8):863-867」、「Liu, et al., Acc. Chem. Res. (2000), 33:457-466」(参照により、本明細書に組み込まれるものとする)に記載されている。
【0079】
他の実施形態のリソグラフィー法では、第2の基材の少なくとも一部分は第2セットの分子を有さない。この実施形態では、第2セットの分子(抵抗剤として働く)に対して化学的に不活性であり、且つ第2の基材の少なくとも表面層を分解するように選択される反応物質に第2の基材の露出した表面を接触させる。したがって、第2の分子を欠く第2の基材表面の一部は分解される。例えば、この反応物質は、反応性イオン・エッチング化合物である。次に、第2セットの分子を除去し、第2の基材表面の一部を露出させる。
【0080】
他の実施形態では、第2の基材表面の少なくとも一部分は第2セットの分子を欠き、第2セットの分子を欠く第2基材表面の一部分に所定の物質を被着させる。被着させる物質の例として、半導体、誘電体、金属、酸化金属、窒化金属、金属炭化物、及びそれらの組み合わせがある。次に、第2の基材表面の一部分を露出させるために、第2セットの分子を除去する。
【0081】
本発明のある態様では、マスターに相補的な像を作成する方法は、引力で第1セットの分子の上に第2セットの分子を組織化するステップを含む。引力の例として、正味の正電荷を有する分子と正味の負電荷を有する分子との間の引力、双極子間引力、及び磁力がある。ある実施形態では、引力は磁力である。ある実施形態では、引力が磁力である場合は、第1セットの分子及び第2セットの分子における1つ以上の分子は金属又は酸化金属を有する。この実施形態では、磁場を加えることによって、第1セットの分子と第2セットの分子との間の引力を破壊することができる。
【0082】
本発明の他の態様では、本発明に係る方法は、マスター又はその一部の複製物を作成するステップを含む。本発明に係る方法のこの実施形態で使用されるマスターは、第1基材に結合し、且つパターンを形成している第1セットの分子を含む。結合形成によって、第1セットの分子の上に第2セットの分子を組織化する。第2セットの分子は、反応性官能基と、第1セットの分子に結合する認識構成要素を含む。次に、第2セットの分子の反応性官能基を第2の基材の表面に接触させる。反応性官能基は、第2の基材の表面と反応し、第2セットの分子と第2の基材との間に結合を形成する。次に、第1セットの分子と第2セットの分子との間の結合を破壊する。第2の基材に結合している第2セットの分子は、マスターに対して相補的な像を形成する。次に、結合形成によって、相補的な像の第2セットの分子の上に第3セットの分子を組織化する。第3セットの分子のそれぞれの分子は、反応性官能基と、第2セットの分子と結合する認識構成要素とを含む。次に、第3セットの分子の反応性官能基を第3の基材の表面に接触させる。第3の基材の表面は、第3セットの分子の反応性官能基と反応し、第3セットの分子と第3の基材との間に結合を形成する。次に、第2セットの分子と第3セットの分子との間の結合を破壊する。第3の基材に結合している第3セットの分子は、マスターのパターン又はその一部の複製物を形成する。複製物の作成で相補的な像を使用し終えたとき、さらに他の複製物を作成するためにの相補的な像を一回以上再使用することができる。ある実施形態では、複製物の少なくとも1つの特徴の横方向の寸法は、200nm以下、例えば、100nm以下、50nm以下、20nm以下である。
【0083】
パターンを第3の基材に転写するためにマスターに相補的な像が鋳型(又は「マスター」)として使用される点以外は、複製物の作成方法は、相補的な像を作成するのに使用される方法と同じである。したがって、第2のセットの分子及び第2の基材に関して上記に開示されている実施形態及び例は、第3セットの分子及び第3の基材にも適用される。また、第1セットの分子上での第2セットの分子の組織化及び第1セットの分子と第2セットの分子との間の結合の破壊のための条件例も、第2セットの分子上での第3セットの分子の組織化及び第2セットの分子と第3セットの分子との間の結合の破壊に同様に適用できる。
【0084】
他の実施形態では、本発明は、第1の基材に結合している第1セットの分子を有するマスターに対して相補的な像を作成する分子プリンターに関連する。分子プリンターは、第2セットの分子の溶液をマスターの表面に送達するためのデバイスと、第2セットの分子を第2の基材に接触させるためのデバイスとを含む。この実施形態では、第2セットの分子は、反応性官能基と、第1セットの分子に結合する認識構成要素とを含む。
【0085】
装置は、第2セットの分子を含む1つ以上の容器と、第2セットの分子の溶液を送達する位置にマスターを固定する1つ以上の容器又は構成部品とを含む。また、装置は、第2セットの分子の溶液を容器からマスター表面に送達するコンピュータ制御の機器を有し得る。また、マスターを第2の基材に固定するクランプも装置に含まれ得る。また、第2セットの分子溶液及びマスターを含む容器の温度は調節される場合がある。装置は、第1セットの分子と第2セットの分子との間の結合を破壊する溶液(高イオン強度を有する溶液又は結合を破壊する酵素を含む溶液など)を含む容器と、この溶液を送達するデバイスをも有し得る。また、第2の基材が第2セットの分子に結合した後、第1セットの分子と第2セットの分子との間の結合を破壊するために、これらの分子と接触している溶液を加熱する発熱体を使用することがある。溶液の送達及び温度調整のためのコンピュータ制御のデバイスは、一般的な用途に使用される様々な研究室ロボットの任意のもの(「Harrison et al., Biotechniques, 14: 88-97 (1993)」、「Fujita et al., Biotechniques, 9: 584-591 (1990)」、「Wada et al., Rev. Sci. Instrum., 54: 1569-1572 (1983)」で開示されているものなど(参照により、本明細書に含まれるものとする))であり得る。また、適切な研究室ロボットは市販されている(例えば、Applied Biosystems model 800 Catalyst (Foster City, Calif))。ある実施形態では、装置は、第1セット分子と第2セットの分子との間の結合が破壊された後にマスターから第2の基材を引き離すデバイスをも含む。
【0086】
本発明のこれら及び他の特徴は、下記の実施例によって理解されるであろう。下記の実施例は、本発明の特定の実施形態をさらに説明するためのものであって、請求項の範囲によって規定される本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0087】
実施例1:所定のDNA単分子層に相補的な像の作成
【0088】
≪A.DNA溶液の作成≫
【0089】
全てのガラス製品を、使用前に75%のHSO及び25%のHで洗浄した。使用した水は、超純水であった(18MΩ/cm)。
【0090】
第1のDNA、5´−/5−チオールMC6−D/ACG CAA CTT CGG GCT CTT−3´は、Integrated DNA Technologies(IDT)社(Coraville, IA)から調達した。全てのDNA鎖は、製造者から調達された直後に使用した。第1のDNAを、濃度が1μg/mLになるように水に溶解し、50μlのアリコートに分割し、−20℃で保存した。この溶液の一部を使用する際には、40mMのジチオスレイトール(dithiothreitol:DTT)を含む緩衝液(0.17Mのリン酸ナトリウム、pH8)でDNAアリコートを希薄し、16時間静置した。製造者の説明に従ってサイズ排除クロマトグラフィー(Pharmacia Biotech社のNAP10カラム)を使用することで、DTT反応の副産物からオリゴヌクレオチドを単離した。カラムを平衡化し、オリゴヌクレオチドを溶出するために、10mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)を使用した。得られたDNA溶液の濃度は、溶液の260nmにおける吸光度を測定することによって計算した。第1のDNA(すなわち、マスター作成に使用されるDNA)の場合、DNA溶液のイオン強度を増大させるために、溶液に1Mのリン酸カリウムを緩衝液(pH3.8)を加えた。DNAの最終濃度は、4〜5μMであった。
【0091】
第2のDNA(すなわち、相補的な像の作成に使用されるDNA)の場合、溶液のイオン強度を増大させるために、1MのNaClを含むTE緩衝液(10mMのトリス緩衝液(pH7.2)及び1mMのEDTA)を加えた。使用した第2のDNAは、Integrated DNA Technologies(IDT)社(Coraville, IA)から調達し、その構造は、5´−/5チオールMC6−D/AAG AGC CCG AAG TTG CGT−3´であった。
【0092】
≪B.DNA単分子層を有するマスターの作成≫
【0093】
原子的に平坦な純金を有するマイカを基材として使用した。基材表面にDNAを結合させるために、基材を上記で作成したDNA溶液に5日間浸漬した。基材を1Mのリン酸カリウム緩衝液で2回、水で5回洗浄した。一本鎖DNAの非特異的な吸着を最小限にするために、1mMのスペーサー・チオール、6−メルカプト−1−ヘキサノール水溶液に基材を2時間晒し、その後、水で5回洗浄した。
【0094】
≪C.相補的な像の作成≫
【0095】
ステップBで作成したマスターを第2のDNA溶液に2時間浸漬し、マスターに結合しているDNAに相補的なDNAをハイブリダイズさせた。基材を、1MのNaClを含むTE緩衝液で2回、水で5回洗浄した。
【0096】
マイカ上に純金を有する第2の基材がマスターに直面し、それらの間に少量の水が存在するように、この第2の基材をマスターに接触させた。2つの基材に小さな機械力を加え、互いに向けて押した。水が蒸発するにしたがって、毛管引力の増大によって2つの表面の間の空間が減少した。その結果、第2のDNAのチオール基は、第2の基材に接近し、それに結合した。約5時間後、1MのNaClを含むTE緩衝液(70℃)に2つの基材を20分間浸漬した。2つの基材(すなわち、マスター及び相補的な像)は、自然発生的に分離した。2つの基材を、1MのNaClを含むTE緩衝液で2回、水で5回洗浄し、空気乾燥させた。AFMタッピングモードを使用して、マスター(図の3A及び3B)及び相補的な像(図の3C及び3D)の両方を撮像した。
【0097】
≪D.結果≫
【0098】
DNAは、第1の基材の表面を完全に被覆していた。この完全な被覆によって単分子層とチップとの相互作用が強かったので、AFM撮像は困難であった。第2の基材に転写された層もまた、基材表面を完全に被覆していた。
【0099】
実施例2:金グリッドのパターン転写
【0100】
パターンを有するマスターを得るために、AFMの目盛りの金グリッドを4μMの第1のDNA分子溶液(実施例1に記載)に5日間浸漬した。一本鎖のDNAの非特異的な吸着を最小限にするために、マスターを1mMの6−メルカプト−1−ヘキサノール水溶液に2時間晒し、水で5回洗浄し、空気乾燥させた。次に、マスターを6μMの第2のDNA溶液(実施例1に記載)に2時間晒し、ハイブリダイゼーションを発生させた。マイカ上に金を有する第2の基材をマスターに設置した(2つの金表面が互いに直面し、且つそれらの間に少量の水が存在する状態で)。2つの基材に小さな機械力を加え、互いに向けて押した。約5時間後、1MのNaClを含むTE緩衝液(70℃)に2つの基材を20分間浸漬した。2つの基材(すなわち、マスター及び相補的な像)は、自然発生的に分離した。2つの基材を、1MのNaClを含むTE緩衝液で2回、水で5回洗浄し、空気乾燥させた。AFMタッピングモードを使用して、マスター及び相補的な像(それぞれ図の4A及び4B)の両方を撮像した。
【0101】
実施例3:DNAチップの作成
【0102】
「Demer, et al., Angew. Chem, Int. Ed. (2001), 40: 3071-3073」(参照により、本明細書に含まれるものとする)に記載されているように、ディップペン・ナノリソグラフィーを使用してマスターを作成する。マスターを作成するために、マイカ上に金を有する基材の表面を1mMの1−オクタデカンチオール(octadecanethiol:ODT)を含むエタノール溶液に5分間晒し、露出した金表面をODT分子で被覆する。次に、基材を1mMの1,16−メルカプトヘキサデカン酸(mercaptohexadecanoic acid:MHA)溶液に浸漬し、原子間力顕微鏡のチップを表面に0.5nNの力で接触させることでその表面に結合しているODT分子を除去し、100nmのドットを作成する。溶液のMHAは、ドットの露出している金表面に結合する。10mg/mLの塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(1-ethyl-3-(3-dimethylaminoproppyl)carbodiimide hydrochloride:EDAC)を含む0.1Mのモルホリン/エタンスルホン酸(pH4.5)でMHAのカルボン酸基を活性化させ、その後、0.1Mのホウ酸ナトリウム/ホウ酸緩衝液(pH9.5)で洗浄する。1−n−ヘキシルアミン基で修飾されたDNAを25μM含むホウ酸緩衝液を基材の表面上に加える。DNAのアミン基は、活性化したMHA分子と結合し、100nmの直径を有するDNAドットを形成する。約100nmのDNAドットのアレイを有するマスターを作成するために、異なるアミン修飾DNA分子を用いてMHAドットの形成及びそれへのDNAの結合の工程を多く繰り返す。
【0103】
DNA配列アレイに相補的な像を第2の基材にプリントするために、このマスターを使用する。第2の基材のそれぞれのDNA配列は、マスター上のDNA分子における1つの分子の配列に対して相補的である。また、第2の基材にあるそれぞれのDNAは、マスター上の相補的な配列を有するDNAの位置に対して鏡像的な位置に配置している。相補的な像のアレイは、マスター上のDNA分子に対して相補的なDNA分子を含むDNA分子セットをヘキシル・チオール・リンカーで修飾することによって、作成する。チオールで修飾されたDNA分子は、1MのNaClを含む緩衝液(pH6.8)に溶解する。チオールで修飾されたDNA分子を含む溶液にマスターを2時間浸漬し、その後、溶液からマスターを除去し、1MのNaClを含むTE緩衝液で1回、水で5回洗浄する。
【0104】
マイカ上に純金を有する第2の基材をマスターに接触する状態で設置する(2つの金表面が互いに直面し、その間に少量の水が存在するように)。小さな機械力を加え、2つの基材を互いに向けて押す。水が蒸発するにしたがって、毛管引力の増大によって2つの基材の間の空間が減少する。その結果、チオール修飾DNA分子のチオール基が第2の基材に接近し、それに結合する。約5時間後、1MのNaClを含むTE緩衝液(70℃)に2つの基材を20分間浸漬した。2つの基材は、自然発生的に分離する。基材を、1MのNaClを含むTE緩衝液で2回、水で5回洗浄し、空気乾燥させる。相補的な像をさらに1つ以上作成するために、マスターを使用することができる。
【0105】
実施例4:DNAアレイの相補的な像の作成
【0106】
DNAチップを調達し、第1のマスターとして使用する。DNAチップは12×12正方アレイを有し、各正方は300nm×300nmである。このDNAチップでは、計144の異なるDNA配列が基材に結合している。300nm×300nmの正方は、互いからx軸及びy軸に沿って100nm離れている。
【0107】
12×12の相補的な像のDNA配列アレイを第2の基材にプリントするために、このマスターを使用する。第2の基材では、それぞれのDNA配列は、マスター上のDNA分子の1つに対して相補的であり、マスター上の相補的な配列に対して鏡像的な位置に配置している。マスター上のDNA分子に対して相補的なDNA分子の全て(すなわち、144の異なる相補的なDNA配列)を含むDNA分子のセットをヘキシルチオール・リンカーで修飾する。チオール修飾DNA分子を含む溶液にマスターを2時間浸漬する。その後、溶液からマスターを取り出し、1MのNaClを含むTE緩衝液で1回、水で5回洗浄する。
【0108】
マイカ上に純金を有する新たな基材の金表面がマスターの12×2DNA分子配列に直面するように、この基材をマスターに接触する状態で設置する。2つの表面の間に少量の水が存在する。小さな機械力を加え、2つの基材を互いに向けて押す。水が蒸発するにしたがって、毛管引力の増大によって2つの基材の間の空間が減少する。その結果、チオール修飾DNA分子のチオール基が第2の基材に接近し、それに結合する。約5時間後、1MのNaClを含むTE緩衝液(70℃)に2つの基材を20分間浸漬する。2つの基材は、自然発生的に分離する。基材を、1MのNaClを含むTE緩衝液で2回、水で5回洗浄し、空気乾燥させた。相補的な像は、マスター上のDNA分子に対して相補的なDNA分子の12×12アレイを有する。相補的な像をさらに1つ以上作成するために、同じ工程にしたがってマスターを使用することができる。
【0109】
また、上記の工程にしたがって、第1のマスターを1回以上複製するこができる。但し、異なる点は、マスターの代わりに相補的な像を使用すること、及び第1のマスターのDNA分子と同じ配列を有し、且つヘキシルチオール・リンカーで修飾されている第3セットの144のDNA分子が相補的な像の上に組織化されることである。第1のマスター及び第2の基材について上記に記載した方法にしたがって、マイカ上に金を有する第3の基材を相補的な像に接触するようにで設置する。第3の基材に結合し、相補的な像から分離した第3セットのDNAは、第1のマスターのレプリカである。
【0110】
本明細書を検討することから、又は本明細書に開示されている本発明を実施することから、当業者には他の実施形態が明らかになるであろう。本明細書、並びに本明細書中の実施形態及び実施例は例示的なものとしてのみ考慮され、本発明は特許請求の範囲によって規定されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0111】
図に示されている特定の実施形態に関して本発明を説明した。図における実施形態は、例示的なのものであって、本発明を制限するものではない。
【図1】A〜Dは、相補的な像を作成するための本発明の方法の1つの実施形態を示す略図である。
【図2】第2セットの分子に結合している第1セットの分子の略図である。
【図3】A:基材の表面に結合している核酸分子の単分子層を有するマスターのAFM像である。B:基材の表面に結合している核酸分子の単分子層を有するマスターのAFM像である。C:図3Aに示されているマスターに対して相補的な像のAFM像である。D:図3Bに示されているマスターに対して相補的な像のAFM像である。
【図4】A:核酸がグリッドパターンで基材に結合したマスターのAFM像である。B:図4Aに示されているマスターに対して相補的な像のAFM像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスターに相補的な像を形成する方法であって、
(a)第1の基材に結合し、パターンを形成する第1セットの分子を含むマスターを提供するステップと、
(b)引力又は結合形成によって、(i)反応性官能基と(ii)前記第1セットの分子の1つ以上に結合する認識構成要素とを含む第2セットの分子を前記第1セットの分子の上に組織化するステップと、
(c)前記第2セットの分子の反応性官能基を第2の基材の表面に接触させ、それによって、前記第2セットの分子と前記第2の基材との間に結合を形成するステップと、
(d)前記第1セットの分子と前記第2セットの分子との間の前記引力又は結合を破壊し、それによって、前記マスターに相補的な像を形成するステップと、
(e)所望に応じて、前記(b)乃至(d)のステップを1回以上繰り返すステップとを含み、
前記第1セットの分子が核酸を含む場合、前記第1セットの分子は、異なる配列を有する複数の核酸を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第2セットの分子におけるそれぞれの分子は、
(a)露出した官能基と、
(b)前記認識構成要素に前記反応性官能基を連結する共有結合又は第1のスペーサと、
(c)前記認識構成要素に前記露出した官能基を連結する共有結合又は第2のスペーサとの1つ以上をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記第2セットの分子を含む水溶液に前記マスターを接触させることによって、前記第1セットの分子の上に前記第2セットの分子を組織化すること特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記第2セットの分子を含む水溶液の毛管作用によって、前記マスターは前記第2の基材に接触することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記引力又は結合を破壊するステップは、前記水溶液を蒸発させるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項3に記載の方法であって、
前記第2セットの分子は、2つ以上の異なる分子を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記第2セットの分子における2つ以上の異なる分子は、異なる認識構成要素を有することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、
前記第2セットの分子における2つ以上の異なる分子は、異なる認識要素と異なる露出した官能基とを有することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法であって、
前記第2セットの分子における2つ以上の分子は、2つ以上の高さを含む輪郭を有するパターンを前記第2の基材の上に形成することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記2つ以上の異なる分子の少なくとも1つは、第1のスペーサを含み、
前記2つ以上の異なる分子の他の分子は、スペーサを含まない、又は前記第1のスペーサと異なる高さを有する第2のスペーサを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項2に記載の方法であって、
前記相補的な像の少なくとも1つの特徴の横方向の大きさは、200nm以下、100nm以下、50nm以下、又は20nm以下であることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項2に記載の方法であって、
前記第1セットの分子と前記第2セットの分子との間に形成される前記結合は、水素結合、イオン結合、磁気相互作用、静電気相互作用、Π結合相互作用、共有結合、ファン・デル・ワールス結合、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記第1セットの分子と前記第2セットの分子との間の前記結合は、熱を加えることによって破壊することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、
前記第1セットの分子と前記第2セットの分子との間の前記結合は、高イオン強度を有する水溶液に前記結合を接触させることによって破壊することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項2に記載の方法であって、
前記第2セットの分子の反応性官能基は、チオール基、保護されたチオール基、シラン、クロロシラン、カルボン酸、ニトリル、イソニトリル、ヒドロキサム酸、又はリン酸であることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項2に記載の方法であって、
前記第2の基材の表面は、ドープシリコン若しくは非ドープシリコン、ガラス、石英ガラス、シリカ、アルミナ、リン酸カルシウム・セラミック、ヒドロキシル化重合体、酸化重合体表面、酸化物、プラチナ、パラジウム、アルミニウム、金、銀、銅、カドミウム、亜鉛、水銀、鉛、鉄、クロム、マンガン、タングステン、上記の金属の少なくとも1つを含む合金、又は上記の金属の少なくとも1つを含む混合物であることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項2に記載の方法であって、
前記第1セットの分子におけるそれぞれの分子の構成要素は、核酸配列であり、
前記第2セットの分子の認識構成要素は、前記第1セットの分子の核酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%相補的な核酸配列であることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、
前記第1セットの分子と前記第2セットの分子との間の前記結合は、所定の酵素に前記結合を接触させることによって破壊することを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、
前記第1セットの分子の核酸配列及び前記第2セットの分子の核酸配列は、DNAとRNAと修飾核酸配列とそれらの組み合わせとからなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項2に記載の方法であって、
前記第1セットの分子の構成要素は、ペプチド核酸(PNA)配列であり、
前記第2セットの分子の認識構成要素は、PNA配列であることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項2に記載の方法であって、
前記第2セットの分子におけるそれぞれの分子の露出した官能基は、存在しない又は−OH、−CONH、−CONHCO、−NH、−NH、−COOH、−COOR、−CSNH−、−NO、−SO、−SH、−RCOR−、−RCSR−、−RSR、−ROR−、−PO−3、−OSO−2、−SO、−COO、−SOO、−RSOR−、CONR、−(OCHCHOH(但し、n=1〜20、好ましくは1〜8)、−CH,−PO、−2−イミダゾール、−N(CH、−NR、−PO、−CN、−(CFCF(但し、n=1〜20、好ましくは1〜8)、ポルフィリン、コリン環、ペプチド配列、及びオレフィンから成る群から独立に選択され、
Rは、水素、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、タンパク、酵素、炭水化物、レクチン、ホルモン、受容体、抗原、抗体、又はハプテンであることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、
前記第2セットの分子の少なくとも1つの分子の露出した官能基を金属又は金属イオンに結合させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項2に記載の方法であって、
前記第2セットの分子は、第1のスペーサ、第2のスペーサ、又は第1及び第2のスペーサを有し、
前記スペーサは、アルキレン、ヘテロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アリールアルキレン、及びヘテロアリールアルキレンから成る群から独立に選択され、
前記アルキレン、ヘテロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アリールアルキレン、又はヘテロアリールアルキレンは、置換されている又は置換されていないことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、
前記アルキレン、ヘテロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アリールアルキレン、及びヘテロアリールアルキレンのための置換基は、ハロゲン基及びヒドロキシル基から成る群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項2に記載の方法であって、
(a)1つ以上の金属、酸化金属、又はそれらの組み合わせのパターンを基材の表面に形成するステップと、
(b)前記第1セット分子に前記表面を接触させるステップとをさらに含み、
前記第1セットの分子におけるそれぞれの分子は、前記金属又は酸化金属と前記第1セットの分子との間に結合を形成する反応性官能基を有し、それによって、基材に結合し、パターンを形成する第1セットの分子を含むマスターが形成されることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項2に記載の方法であって、
前記マスターを提供するステップは、ディップペン・ナノリソグラフィーを使用してマスターを作成するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項2に記載の方法であって、
前記第2の基材の表面の少なくとも一部分は、前記第2セットの分子を有さないことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、
(a)前記第2セットの分子に対して化学的に不活性であり、且つ前記第2の基材の少なくとも表面層を分解するように選択された反応物質に前記第2の基材の表面を接触させ、それによって、前記第2セットの分子を有さない前記第2の基材の表面の前記一部分を分解するステップと、
(b)前記第2の基材の表面の一部分を露出させるために、前記第2セットの分子を除去するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって、
前記反応物質は、反応性イオンエッチング化合物であることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項27に記載の方法であって、
(a)前記第2セットの分子を有さない前記第2の基材の表面の前記一部分に所定の物質を被着させるステップと、
(b)前記第2の基材の表面の一部分を露出させるために、前記第2セットの分子を除去するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、
被着される前記所定の物質は、半導体、誘電体、金属、酸化金属、窒化金属、炭化金属、及びそれらの組み合わせから成る群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項2に記載の方法であって、
前記第2セットの分子は、磁力である引力によって前記第1セットの分子の上に組織化されることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法であって、
前記第1セットの分子と前記第2セットの分子との間の前記引力は、磁場を加えることによって破壊することを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項32に記載の方法であって、
前記第2セットの分子における2つ以上の分子の前記認識構成要素は、金属又は酸化金属であることを特徴とする方法。
【請求項35】
マスター又は前記マスターの一部分の複製物を作成する方法であって、
(a)第1の基材に結合し、パターンを形成する第1セットの分子を含むマスターを提供するステップと、
(b)結合形成によって、(i)反応性官能基と(ii)前記第1セットの分子に結合する認識構成要素とを含む第2セットの分子を前記第1セットの分子の上に組織化するステップと、
(c)前記第2セットの分子の反応性官能基を第2の基材の表面に接触させ、それによって、前記第2セットの分子と前記第2の基材との間に結合を形成するステップと、
(d)前記第1セットの分子と前記第2セットの分子との間の前記結合を破壊し、それによって、前記マスターに相補的な像を形成するステップと、
(e)結合形成によって、(i)反応性官能基と(ii)前記第2セットの分子に結合する認識構成要素とを含む第3セットの分子を前記相補的な像の前記第2セットの分子の上に組織化するステップと、
(f)前記第3セットの分子の反応性官能基を第3の基材の表面に接触させ、それによって、前記第3セットの分子と前記第3の基材との間に結合を形成するステップと、
(g)前記第2セットの分子と前記第3セットの分子との間の前記結合を破壊し、それによって、前記マスター又は前記マスターの一部分の複製物を形成するステップと、
(h)所望に応じて、前記(e)乃至(g)を1回以上繰り返すステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法であって、
前記第2セットの分子におけるそれぞれの分子は、所望に応じて、前記認識構成要素に前記反応性官能基を連結するスペーサをさらに含み、
前記第3セットの分子におけるそれぞれの分子は、
(a)露出した官能基と、
(b)前記認識構成要素に前記反応性官能基を連結する共有結合又は第1のスペーサと、
(c)前記認識構成要素に前記露出した官能基を連結する共有結合又は第2のスペーサとの1つ以上をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法であって、
前記第3セットの分子を含む水溶液に前記相補的な像を接触させることによって、前記第2セットの分子の上に前記第3セットの分子を組織化すること特徴とする方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法であって、
前記第3セットの分子を含む水溶液の毛管作用によって、前記相補的な像は前記第3の基材に接触することを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項38に記載の方法であって、
前記水溶液は、蒸発させられることを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項36に記載の方法であって、
前記第3セットの分子は、2つ以上の異なる分子を含むことを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法であって、
前記第3セットの分子における2つ以上の異なる分子は、異なる認識構成要素を含むことを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項40に記載の方法であって、
前記第3セットの分子における2つ以上の異なる分子は、異なる認識要素と異なる露出した官能基とを有することを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項40に記載の方法であって、
前記第3セットの分子における2つ以上の分子は、2つ以上の高さを含む輪郭を有するパターンを前記第3の基材の上に形成することを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項36に記載の方法であって、
前記複製物の少なくとも1つの特徴の横方向の大きさは、200nm以下、100nm以下、50nm以下、又は20nm以下であることを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項36に記載の方法であって、
前記第2セットの分子と前記第3セットの分子との間に形成される前記結合は、水素結合、イオン結合、磁気相互作用、静電気相互作用、共有結合、Π結合相互作用、ファン・デル・ワールス結合、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項45に記載の方法であって、
前記第2セットの分子と前記第3セットの分子との間の前記結合は、熱を加えることによって破壊することを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項45に記載の方法であって、
前記第2セットの分子と前記第3セットの分子との間の前記結合は、高イオン強度を有する水溶液に前記結合を接触させることによって破壊することを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項36に記載の方法であって、
前記第2セットの分子におけるそれぞれの分子の構成要素は、核酸配列であり、
前記第3セットの分子の認識構成要素は、前記第2セットの分子の核酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%相補的な核酸配列であることを特徴とする方法。
【請求項49】
請求項48に記載の方法であって、
前記第2セットの分子は、異なる核酸配列を有する2つ以上の分子を含むことを特徴とする方法。
【請求項50】
請求項48に記載の方法であって、
前記第3セットの分子の2つ以上の分子は、異なる核酸配列を有することを特徴とする方法。
【請求項51】
請求項48に記載の方法であって、
前記第2セットの分子と前記第3セットの分子との間の前記結合は、所定の酵素に前記結合を接触させることによって破壊することを特徴とする方法。
【請求項52】
請求項48に記載の方法であって、
前記第1セットの分子における1つ以上の分子の構成要素は、核酸配列であることを特徴とする方法。
【請求項53】
請求項52に記載の方法であって、
前記第1、第2、及び第3セットの分子の核酸配列は、DNAとRNAと修飾核酸配列とそれらの組み合わせとから成る群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項54】
請求項36に記載の方法であって、
前記第1セットの分子におけるそれぞれの分子の構成要素は、ペプチド核酸(PNA)配列であり、
前記第1及び第2セットの分子の認識構成要素は、PNA配列であることを特徴とする方法。
【請求項55】
請求項36に記載の方法であって、
前記第3セットの分子におけるそれぞれの分子の露出した官能基は、存在しない又は−OH、−CONH−、−CONHCO−、−NH、−NH−、−COOH、−COOR、−CSNH−、−NO、−SO、−SH、−RCOR−、−RCSR−、−RSR、−ROR−、−PO−3、−OSO−2、−SO、−COO、−SOO、−RSOR−、CONR、−(OCHCHOH(但し、n=1〜20、好ましくは1〜8)、−CH,−PO、−2−イミダゾール、−N(CH、−NR、−PO、−CN、−(CFCF(但し、n=1〜20、好ましくは1〜8)、ポルフィリン、コリン環、及びオレフィンから成る群から独立に選択され、
Rは、水素、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、タンパク、酵素、炭水化物、レクチン、ホルモン、受容体、抗原、抗体、又はハプテンであることを特徴とする方法。
【請求項56】
請求項55に記載の方法であって、
前記第3セットの分子の少なくとも1つの分子の露出した官能基を金属又は金属イオンに結合させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項57】
請求項36に記載の方法であって、
前記第2セットの分子は、スペーサを有し、
前記第3セットの分子は、第1及び第2のスペーサを有し、
前記スペーサは、アルキレン、ヘテロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アリールアルキレン、及びヘテロアリールアルキレンから成る群から独立に選択され、
前記アルキレン、ヘテロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アリールアルキレン、又はヘテロアリールアルキレンは、置換されている又は置換されていないことを特徴とする方法。
【請求項58】
請求項57に記載の方法であって、
前記アルキレン、ヘテロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アリールアルキレン、及びヘテロアリールアルキレンのための置換基は、ハロゲン基及びヒドロキシル基から成る群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項59】
請求項36に記載の方法であって、
(a)電子ビーム・リソグラフィーを使用して、1つ以上の金属、酸化金属、又はそれらの組み合わせのパターンを基材の表面に形成するステップと、
(b)前記第1セット分子に前記表面を接触させるステップとをさらに含み、
前記第1セットの分子におけるそれぞれの分子は、前記金属又は酸化金属と前記第1セットの分子との間に結合を形成する反応性官能基を有し、それによって、基材に結合し、パターンを形成する第1セットの分子を含むマスターが形成されることを特徴とする方法。
【請求項60】
請求項36に記載の方法であって、
前記第3の基材の表面の少なくとも一部分は、前記第3セットの分子を有さないことを特徴とする方法。
【請求項61】
請求項60に記載の方法であって、
(a)前記第3セットの分子に対して化学的に不活性であり、且つ前記第3の基材の少なくとも表面層を分解するように選択された反応物質に前記第3の基材の表面を接触させ、それによって、前記第3セットの分子を有さない前記第3の基材の表面の前記一部分を分解するステップと、
(b)前記第3の基材の表面の一部分を露出させるために、前記第3セットの分子を除去するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項62】
請求項61に記載の方法であって、
前記反応物質は、反応性イオンエッチング化合物であることを特徴とする方法。
【請求項63】
請求項60に記載の方法であって、
(a)前記第3セットの分子を有さない前記第3の基材の表面の前記一部分に所定の物質を被着させるステップと、
(b)前記第3の基材の表面の一部分を露出させるために、前記第3セットの分子を除去するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項64】

【請求項65】
組成物であって、
(a)第1の基材に結合している第1セットの分子の第1のパターンと、
(b)反応性官能基を有し、前記反応性官能基で第2の基材に結合している第2セットの分子のパターンを有する相補的な像とを含み、
前記第1セットの分子が核酸を含む場合、前記第1セットの分子は、異なる配列を有する複数の核酸を含み、
前記第2セットの分子におけるそれぞれの分子は、前記第1セットの分子における所定の分子の少なくとも一部分に結合する認識構成要素を含むことを特徴とする組成物。
【請求項66】

【請求項67】

【請求項68】

【請求項69】

【請求項70】

【請求項71】

【請求項72】

【請求項73】

【請求項74】

【請求項75】

【請求項76】

【請求項77】

【請求項78】

【請求項79】

【請求項80】

【請求項81】

【請求項82】

【請求項83】
請求項66に記載の組成物であって、
前記第2の基材の表面の少なくとも一部分は、前記第2セットの分子を有さないことを特徴とする組成物。
【請求項84】
請求項65に記載の組成物であって、
前記第1のパターンを有する前記マスターは、再使用可能なマスターであることを特徴とする組成物。
【請求項85】
基材の上に分子パターンをプリントするキットであって、
(a)基材に結合している第1セットの分子のパターンを含むマスターと、
(b)第2セットの分子とを含み、
前記第2セットの分子は、(i)反応性官能基と(ii)前記第1セットの分子に結合する認識構成要素とを含むことを特徴とするキット。
【請求項86】

【請求項87】

【請求項88】

【請求項89】

【請求項90】

【請求項91】

【請求項92】

【請求項93】
請求項92に記載のキットであって、
前記第1セットの分子と前記第2セットの分子との間の結合を破壊することができる高イオン強度を有する水溶液をさらに含むことを特徴とするキット。
【請求項94】
請求項86に記載のキットであって、
前記第2セットの分子の反応性官能基に結合する第2の基材をさらに含むことを特徴とするキット。
【請求項95】

【請求項96】

【請求項97】

【請求項98】
請求項97に記載のキットであって、
前記第2セットの分子は、2つ以上の異なる分子を含むことを特徴とするキット。
【請求項99】
請求項98に記載のキットであって、
前記第1セットの分子は、異なる核酸配列を有する2つ以上の分子を含むことを特徴とするキット。
【請求項100】
請求項98に記載のキットであって、
前記第2セットの分子の2つ以上の分子は、異なる核酸配列を有することを特徴とするキット。
【請求項101】
請求項97に記載のキットであって、
前記第1セットの分子と前記第2セットの分子との間の結合を破壊する酵素を有する溶液を含むことを特徴とするキット。
【請求項102】

【請求項103】

【請求項104】

【請求項105】

【請求項106】

【請求項107】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−538410(P2008−538410A)
【公表日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506422(P2008−506422)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/012399
【国際公開番号】WO2006/112815
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(504350142)マサチューセッツ インスティチュート オブ テクノロジー (8)
【Fターム(参考)】