説明

ナノ粒子による電気化学発光の増幅方法および増幅装置

測定装置に接続された電気化学セルを用いて、化学検体を分析するための方法、構成およびキットを提供する。電気化学セルは、一つ以上の導電性またはレドックス活性のNPs(ナノ粒子)、一つ以上の化学検体、および指示薬を有する溶液を含有する。さらに、電気化学セルは、溶液と連通している一つ以上の電極を含有する。一つ以上の触媒的ECL特性は、一つ以上の導電性またはレドックス活性のNPsと液体試料との相互作用により生じ、一つ以上の電極において、または光学的検出システムを用いて測定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連する出願の参照]
本出願は、以下の出願、2008年4月11日出願の米国特許仮出願61/123,780、2008年4月11日出願の米国特許仮出願61/123,943、および2008年4月21日出願の米国特許仮出願61/124,935、の利益を主張し、その全ての内容は完全に本明細書で参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ナノ粒子(「NPs」)の物理的性質、たとえば高い比表面積、高い表面エネルギー、加圧後の高い延性、高い硬度、高い比熱などにより、材料指向の業界や材料科学において用途の拡大がもたらされている。たとえば、種々の金属NPsは、非常に多くの反応の触媒作用をするために使用されてきている。
【0003】
NPsの粒径は1nm未満〜約100nmで、電気エネルギー帯構造に粒径依存特性があり、これはつまり、物理的および化学的特性に影響を与えることができる。NPsとバルク材料との基本的な違いは、表面原子とNPsの表面の曲率半径の比が格子定数と同等であることである。その結果、ナノ構造の触媒はバルク材料系の類似物に比べて、触媒活性度が高いのが一般的である。NPsを生成する多くの方法が当業者に知られており、原子(または、より複雑なラディカルや分子)を結合することによる生成、およびバルク材料の分散により、たとえば熱蒸発、イオンスパッタリング、溶液からの還元、マイクロエマルジョンでの還元、および凝縮による生成が含まれる。
【0004】
センシングアレー(sensing array)に使われているコロイド粒子ついては、すでに報告がなされている。これらは、導電性NP材料の複数の非導電性領域と導電性領域が交互するアレーを介した、液体中の検体を検出するための化学的センサーである。各センサーの化学的感度の多様性は導電性および/または非導電性領域の構成を質的または量的に変化させることにより得られると報告されている。
【0005】
単一の粒子を検出するための電気化学的デバイスを使用した単一の粒子電気化学的センサーについてもすでに報告がなされている。バクテリア、ウィルス、凝集体、免疫複合体、分子またはイオン種のような粒子を検出するために、高い感度が得られるこのようなデバイスを使用する方法もすでに述べられてきた。
【発明の概要】
【0006】
本出願は概してナノ粒子(「NPs」)の分野に関し、かつ特にNPsを用いた触媒反応からの電気化学発光(「ECL」)信号を増幅するための機器、方法および試薬に関するものである。特にnmスケール時の単一のNPの生成、配置および特徴づけの問題およびNPsに対するこのような電極反応により発生する微小電流およびECL強度の測定の問題は、従来から認識されてきている。本出願の技術は、粒子径分布、表面膜の有孔率を決定し、かつ非常に感度の高い電気分析手法として活用できる可能性がある。
【0007】
非特異的に吸着できるように、電極を不動態化することで電極表面上のマトリックス中の他の化学種が吸着することを干渉することができる。典型的には、このような問題はクリーンな電気化学システム(セルおよび電解質)の使用、試料の前処理、および/または支持電極表面の調整により解決される。
【0008】
本出願の方法および装置は、電気化学発光(「ECL」)の反応系を通して、電極と単一のナノ粒子との衝突事象を検出するために使用することが可能である。単一のナノ粒子の衝突事象が、高感度の分析を意味する光のバーストを生じる。典型的には、これは複数の導電性またはレドックス活性のナノ粒子および複数の電気化学発光(「ECL」)部分を含む液体試料を試料容器の中にある一つ以上の電極に接触させることにより発生する。これらの反応を通じて、このような事象と関連するECL強度において、大きな増幅率を得ることができる。たとえば、Ru(bpy)32+の存在下でのトリ−n−プロピルアミン(「TPrA」)の酸化は、白金ナノ粒子表面で急速に発生するが、ある電位窓の中の酸化インジウムスズ(「ITO」)電極表面では非常に遅い速度で発生する。結果として、電極表面における粒子の衝突ごとに、粒径、粒子の滞留時間および電極表面との粒子相互作用の性質に関連する特有のECL−時間プロファイルが生成される。この技術はナノ粒子径の分布を決定するため、電子の移動運動を調べるため、および非常に感度の高い電気分析技術として使用することができる。また、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーおよび臨床分析において、単純な、低価格の、迅速な、および超高感度な分析方法として、生物分子間(DNAハイブリダイゼーション、タンパク質−DNA間、抗体−抗原間、タンパク質−小分子間の相互作用)の単結合事象の探索および検出に応用されるであろう。単一分子の検出レベルも可能になるはずである。
【0009】
本出願は、電極で単一のNPsが衝突する間に発生するECLの観測に用いることができる方法および装置を提供する。その方法および装置は、高感度電気分析方法の基礎であるばかりでなく、単一のNPsでの電気化学的プロセスについての情報を提供することができる。NPsにはエレクトロニクス、光学、触媒反応およびバイオテクノロジーに非常に広い用途があることが示されてきた。
【0010】
一つの実施形態において、本出願は試料容器中の試料を分析する方法とデバイスを提供する。この実施形態において、本出願の方法は、典型的には一つ以上の導電性またはレドックス活性のNPsを試料容器中の液体試料に加え、かつ一つ以上の電極を用いて導電性またはレドックス活性のNPsと液体試料とを相互作用させることで生じる電流および/またはECLの観測を包含することができる。典型的には、観測された電気分析的特性とは、導電性またはレドックス活性のNPsが触媒する電極反応のECL強度の増幅である。しかし、観測された特性は電流に限定されず、ECL発光、他の電気的パラメータまたはそれらの組み合わせのような、他のパラメータをも包含することができる。
【0011】
本出願に開示されているデバイスは通常、電気化学装置および光子検出器を備える測定装置に接続された電気化学セルを包含する。電気化学セル(たとえば、図16に示された例示的なデバイスを参照)は、典型的に試料容器の中に一つ以上の電極とその電極と連通する電気化学装置を有している。一つ以上の導電性またはレドックス活性のNPsを試料容器の中の試料に注入することができる。注入されたNPsは試料と相互作用することができ、光子検出器で観測することができる一つ以上の光子を発生させることができる。場合により、デバイスは溶液の中に指示薬を含有することができる。さらに、電気化学セルはナノメータスケールの寸法にすることができ、また極微小電極(「UMEs」)を備えることができる。
【0012】
本出願は、少なくとも一つのNP、少なくとも一つの化学指示薬、少なくとも一つの電極を有する一つ以上の化学検体を分析するためのキットと、(複数の)NP、(複数の)電極と(複数の)化学検体との相互作用によって生じる一つ以上の電流およびECL特性を読み取る測定装置とを包含する。
【0013】
光学的および電気的に増大させるような他の増幅技術とは対照的に、本出願のナノ粒子に基づくECL増幅体系は特に有利である。関与する増幅率が大きいことにより、単一の粒子の衝突事象を観測することが可能となる。個々の衝突事象を研究することによって、このような単一事象に含まれる、周波数関連の粒子濃度、増幅関連の粒径、電極表面との粒子結合特性などの複合的なプロセスの探求や分析がさらに可能となる。ナノ粒子の単一層を用いる触媒増幅は、バイオセンサーやバイオテクノロジーにおいてすでに広く実証されている。最初に単一のナノ粒子でのECL増幅が実証された。SEMおよび/またはTEMのような、単一の粒子での単一の電子移動事象を研究するために現在用いられている方式は、高価であり時間のかかる技法である。それにも拘わらず、このような技法が粒径分布の研究に広く使用されてきている。光分散方式もこの用途において使用されている。本出願の技術は、粒径分布の測定および、多くの場合、ナノ粒子の化学的同定をする可能性を有する。蛍光顕微鏡、表面プラズモン共鳴および増強ラマン・振動分光法は、生体分子間の結合を検出し、スクリーニングを行うバイオテクノロジーで非常に有効である。ECL技法は、非常に安価でより単純な装置で単一の分子および単一電子の移動事象レベルでのこのような相互作用を検出することができる。本出願の方法は、光源が用いられていないので、発光性不純物の発光からの分散光および干渉が問題にならないという利点を有している。また電気化学的励起により一時的および空間的な制御が可能となるので、多くの場合、他の化学発光方式に比べより利便性がある。
【0014】
多数の実施形態において、ナノ粒子(「NPs」)は、約200nmより大きくない、より一般的には約100nmより大きくない最小の寸法を有し、さらにいくつかの実施形態において、少なくとも一つの寸法が約50nmより大きくない。たとえば、ナノ構造を有する材料は、その寸法が約100nmを超えない、多くの場合、20nmも超えないナノ粒子(「NP」)であってよい。他のいくつかの例は、典型的には少なくとも二次元、および多くの場合、三次元の寸法が約200nmを超えることなく、そして多くの場合約50nmを超えないようなナノ結晶(「NCs」)を包含する。他の実施形態は、約200nmを超える厚さを有し、長く、直線状のベルト状の形態のナノベルト(「NBs」)を含んでいる。このようなナノベルトは、約200〜1000nmの幅、および約5〜15nmの長さを有し、典型的には約5〜10の幅/厚さ比を有する。
【0015】
本出願の方法および装置の特徴および利点をさらに完全に理解するために、ここで添付の図面に沿って、詳細説明部分を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】PtNPの衝突/ECL発生事象の概略図である。
【図2】マクロPt(2Aおよび2B)またはITO(2Cおよび2D)電極におけるRu(bpy)32+とトリ−n−プロピルアミン(「TPrA」)を含む溶液中でのサイクリックボルタモグラム(2Aおよび2C)および(ECL強度対電位)曲線(2Bおよび2D)を示している。
【図3】マクロPtディスク電極における電流の過渡現象(3A)および(ECL強度対時間)曲線(3B)を示している。
【図4】0nMのPtNPs「黒」、〜1nMのPtNPs「赤」、および〜2nMのPtNPs「青」の異なった濃度のPtNPsを含有する溶液中のITO電極での、サイクリックボルタモグラム(CVs;4A)および(ECL強度(キロカウント/秒、kcps)対電位)曲線(4B)を示している。
【図5】2nMのPtのコロイド溶液を注入する前(5Aおよび5B)および後(5Cおよび5D)のITO電極での個々の電流の過渡現象(5Aおよび5C)および(ECL強度対時間)記録(5Bおよび5D)のグラフである。ITO電位は4秒間でSCEに対して0〜0.91Vに上げられている。図5Bの光子カウント総数は8428である。図5Dの光子カウント総数は9968である。図5Eは、〜4nmの平均径を有する代表的な白金NPsのTEM像を示している。
【図6】〜2nMのPtの溶液を注入する前(6Aおよび6C)および後(6Bおよび6D)のITO電極でのECLの過渡現象(6Aおよび6B)およびECLの過渡現象に対応する確率密度関数(PDFs)(6Cおよび6D)を示している。ITO電位は4秒間でSCEに対して0〜0.91Vに上げられている。図6Aの光子カウント総数は8428である。図6Bの光子カウント総数は9968である。
【図7】(ECL強度対時間)曲線(7A、7Bおよび7C)および対応するPDFs(それぞれ、7D、7Eおよび7F)、ならびに指示薬種と共反応物の濃度はほぼ同じで、三つの異なるコロイドPtNp濃度(0nMのPtNPs(7Aおよび7D)、〜1nMのPtNPs(7Bおよび7E)、および〜2nMのPtNPs(7Cおよび7F))における、ITO電極でのそれらの分解されたガウス分布を示す。ITO電位は4秒間でSCEに対して0〜0.91Vに上げられている。図7Aの光子カウント総数は8428である。図7Bの光子カウント総数は9247である。図7Cの光子カウント総数は9968である。
【図8】指示薬種の濃度(Ru(bpy)32+の濃度:1.2μM(8A)、2μM(8B)、4μM(8C)および6μM(8D))は異なるが、ITO電極におけるPtNPsの濃度(PtNPsの濃度:〜1.6nM(8A、8B、8C)および〜2nM(8D))および共反応物の濃度はほぼ同じである、異なった(ECL強度対時間)記録のグラフを示す。図8A〜8DにおけるEsは0.91Vである。図8Aの光子カウント総数は1913である。図8Bの光子カウント総数は4538である。図8Cの光子カウント総数は9871である。図8Dの光子カウント総数は17166である。
【図9】PDFおよびそれらの分解された多数の正規分布を図示しており、図9A、9B、9Cおよび9Dはそれぞれ図8A、8B、8Cおよび8Dに示されている(ECL強度対時間)曲線に対応している。
【図10】SCEに対して0.71V(10A、10D)、SCEに対して0.81V(10B、10E)およびSCEに対して1.11V(10C、10F)の異なる印加ステップの電位において〜1nMのPtNPsを有するITO電極における電流の過渡現象(10A、10B、10C)および対応する(ECL強度対時間)記録(10D、10E、10F)を示すグラフである。図10D(ECL+暗色部分)のカウント数は2222である。図10E(ECL+暗色部分)のカウント数は5216である。図10F(ECL+暗色部分)のカウント数は5821である。
【図11】図10(図11A=図10D;図11B=図10E;および図11C=図10F)に示されている(ECL強度対時間)曲線、それらに対応するPDFs(それぞれ11D、11E、11F)および分解された複合ガウス分布を示している。図11A(ECL+暗色部分)のカウント数は2222、Es=0.71Vである。図11B(ECL+暗色部分)のカウント数は5216、Es=0.81Vである。図11C(ECL+暗色部分)のカウント数は5821、Es=1.11Vである。
【図12】PtNPsが存在しない状態で、指示薬種Ru(bpy)32+の二つの異なる濃度(3μM(12A)および6μM(12B))から得られたITO電極におけるECLの過渡現象のPDFsである。図12Aにおいて、Es=SCEに対して0.91V;平均、μ=33カウント;および分散、σ=6.5である。図12Bにおいて、Es=SCEに対して0.91V;μ=69カウント;およびσ=7である。
【図13】図7(図13A=図7A,図13B=図7C)に示されているように、二つの異なるコロイドPtNP濃度(0nMのPtNPs(13Aおよび13C);〜2nMのPtNPs(13Bおよび13D))から得られるECLの過渡現象(13Aおよび13B)のスペクトル密度関数(SDFs)(13Cおよび13D)の例を示しており、PtNPsにより生ずる周波数ドメインにおけるECL強度の変動を図示している。図13A〜13Dに対して、Es=SCEに対して0.91Vである。図13Dに対して、MCSはdwt=15.6msである。図13Aの光子カウント総数は8428である。図13Bの光子カウント総数は9968である。
【図14】図7に示されるように、三つの異なるコロイドPtNP濃度(下部の関数0nMのPtNPs;中央の関数〜1nMのPtNPs;上部の関数〜2nMのPtNPs)から得られるECLの過渡現象の時間相関関数(TCFs)の例を示している。
【図15】〜2nMのPtNPsを注入する前(黒い曲線)および後(赤い曲線)の溶液でのITO電極における電流の過渡現象(15Aおよび15C)および(ECL強度対時間)記録(15Bおよび15D)の二つの部分を示す。その溶液は0.1MのNaClO4、リン酸緩衝液(pH7.0)、1.3μMのRu(bpy)3(ClO42および5mMのTPrAを含んでいる。ITO電位は、図15Aおよび15Bにおいては4秒間(チャンネル停止時間、τch=15.6ms)、および図15Cおよび15Dにおいては250ms間(τch=975μs)の二つの異なる時間でSCEに対して0〜0.91Vに上げられている。
【図16】本明細書に記載の本出願の方法で使用可能な電気化学セルおよびITO電極と光学システムの配置の実施形態を図示している。例示的なセルは、ITO作用電極、対電極、および参照電極ならびに光増倍管により試料セルと組み合わされた光子増倍器を包含する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本出願の方法および装置の種々の実施形態の作製および使用方法が以下に詳しく記載されているが、本出願は広範囲の特定の状況において具体化することができる多数の適用可能な進歩性のある概念を提供することを認識するものとする。本明細書で記載されている特別な実施形態は本出願の方法および装置の作製および使用のための特定の方法について単に分かりやすくしているもので、本発明の範囲を限定するものではない。
【0018】
本出願は単一の粒子の衝突事象において、化学種の急速な反応に関与する重要なECL強度の増幅率に基づいた方法を提供する。ナノ粒子NPの表面における、溶液中の化学種の反応は、望ましくは同じ電位領域にある作用電極表面ではかなりのECLを生じない。このような状況では、電気化学セルがこのような電位領域で動作させられる場合、かなりのECLは(作用電極自体ではなく)作用電極と電気的に接触するナノ粒子の表面に電気化学的に生じた事象から発生させられるに過ぎない。
【0019】
本出願の方法に使用されるECL部分は、電気的に生じた化学種および光の放出(電気化学発光)をもたらすレドックス反応に関与することができる化合物である。たとえば、電気化学発光とは、一つ以上の反応物が電気化学的に刺激され、一つ以上の化学反応を行い、(ECL部分に由来する)光を放出する化学種を、好ましくは繰り返して生成するプロセスにより発生した発光を含む。言い換えれば、ECL部分は、電気化学的に触発されたレドックス反応を介して一般的には可視スペクトルにおける波長で光を放出する化学種に変換され得る化合物である。ECL部分は金属含有錯体を包含する。このような化合物に含まれ得る適当な金属はルテニウム、オスミウム、レニウム、セリウム、ユーロピウム、テルビウムおよび/またはイッテルビウムである。通常、有機リガンドを有するルテニウム含有化合物が本出願の方法に用いられる。金属含有化合物は、多くの場合、ポリデンテートリガンド、たとえばビピリジル、置換ビピリジル、1,10フェナントロリンおよび/または置換1,10フェナントロリンのような芳香族ポリデンテートリガンドを包含する。好適なECL部分の具体例はビス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム(II)またはトリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム(II)部分を含む化合物である。ECLラベルとして作用することができるこのような化合物の一つのグループは、Ru(bpy)32+塩、たとえばRu(bpy)Cl2である。
【0020】
本明細書で記載されている方法の中で使われるナノ粒子は、当業者に知られている種々の方法で製造することができる。これは原子(またはさらに複雑な錯体ラディカルおよび分子)を結合してNPsを作る方法、およびバルク材料の分散により作る方法、たとえば熱蒸発、イオンスパッタリング、溶液からの還元、マイクロエマルジョンでの還元および凝縮を包含する。たとえば、白金NPsを、水性H2PtCl6溶液と水性クエン酸ナトリウム溶液とを混合し、次いで激しく攪拌しながら、水性NaBH4溶液を滴下することにより調製された溶液から製造することができる。その溶液をさらに30分間攪拌した。当業者であればコロイドナノ粒子を含有する他の溶液、たとえば白金、パラジウムまたはルテニウムのナノ粒子のコロイド溶液が同じように調製できることを認識している。
【0021】
このような方法で調製されたNPsの粒径は、1nm未満〜約100nmであってよい。さらに常識的には、このようなナノ粒子の平均粒径は約1nm〜10nm径であり、約2〜7nm径であってよい。たとえば導電性白金ナノ粒子のような好適なナノ粒子は、平均直径が約4nmで、直径で約2nm〜6nmであってよい。
【0022】
本出願の方法に使用されているコロイドNPsの溶液は、pM〜nMのコロイドNPsの濃度を有しうる。多くの場合、約1〜10nMのNP濃度が用いられる。このような溶液は、たとえば約0.1μM(100nM)コロイドNPsを含有する原液の10〜100μLの分液を、より大きい容量(たとえば、約5mL)の試料溶液に加えることで調製するのに便利でありうる。ある用途に対しては、約100pMのコロイドナノ粒子またはそれより小さいものを含む試料溶液を用いることができる。
【0023】
本出願の方法において、試料溶液は典型的にはかなり高濃度のECLラベル化合物および任意の共反応物を含有する。たとえば、コロイドNPsの濃度がpM〜nMの範囲にある場合、本出願の方法は約1〜20μMのECLラベル化合物、たとえばRu(bpy)32+塩、および約1〜100mMのTPrAのようなECL共反応物を含む試料溶液により適切に実行することができる。
【0024】
図1は単一の白金NPの衝突事象の概略図である。粒子は、衝突し、滞留時間中、ある酸化反応(この概略図では、Ru(bpy)32+およびTPrA)の触媒作用をする電極に対して拡散していく。電極における単一の白金NPsの衝突は、粒子−触媒反応に対する特徴的な(ECL強度対時間)過渡現象により電気化学的に観測された。単一の事象は、溶液に存在する指示薬種および共反応物(たとえば、Ru(bpy)32+およびTPrA)の電気触媒反応により発生させられるECLにより特徴づけられる。電気触媒反応は目的の電位での選択された電極においては起こらず、NPに比べ拡散係数がかなり大きな、高濃度の指示薬種および共反応物を含むことができるので、ECL強度におけるかなりの増幅が発生する。それぞれの衝突は、粒子径、粒子の滞留時間および電極表面とNPの相互作用の性質と関連しうる独自の(ECL強度対時間)プロファイルを生成する。本出願の方法はまた、単一のNPsにおける異種の運動の研究および高感度の電気分析手法の応用を可能とする。
【0025】
平板型のマクロ電極、たとえば、共反応物としてリン酸緩衝液(pH〜7.5)、10μM(Ru(bpy)32+)および50mMのトリ−n−プロピルアミン(「TPrA」)を含有する0.1MのNaClO4の溶液中に2nMのPtNPsを分散して浸漬させた酸化インジウムスズ(ITO)電極において、電極表面に対して拡散制御されている粒子の量Jp,sは、粒子が表面に付着した時に、
p,s=Dp1/2Cp/π1/21/2
により得られる。
【0026】
式中、Dpは粒子拡散係数であり、Cpは粒子濃度である。通常、単一のNPまたはナノ電極のファラデーまたは充電プロセスにおいて、一つのみ、または数個の電子(np)がNPおよび電極の間を移動し、バックグラウンド電流のレベルではあまりにも小さくて観測できない電流ip,s=npFAep,s(式中、Aeは電極面積およびFはファラデー定数)を生成する。しかし、半径がr0の極微小電極(UME)上では、衝突のための電流は、〜r0/DRの時間(式中、DRはRの拡散係数である)で、定常状態に達するR酸化のための粒子充填およびファラデー電流の変化を包含する過渡現象である。異なるタイプの衝突が起こるため、各衝突事象の電流−時間(「i−t」)の過渡現象は、粒子の電極における滞留時間,T、すなわち電極が電子を粒子に渡すことができる時間により決定される。粒子が定常状態の電流を得るのに十分な時間に、電極に付着し、かつ濃度がCRの反応物Rが半径aの粒子で酸化されるに過ぎない場合、粒子の相対的定常状態のおよびRにより得られる増幅率は、〜(B/16)(DRRa)/(Dpp0)である。これは、〜B(DRR0)/4(Dppa)(np=nRと仮定し、nRは反応に関与する電子の数)の相対的な定常状態の電流をもたらす。1pMの粒子溶液および10mMの指示薬Rに対して、粒子の拡散係数が約1のオーダーの大きさで異なると仮定した場合、1nm半径の粒子に対する概算の増幅率は9〜10のオーダーの大きさとなりうる。本明細書において、金属NPsを用いた触媒反応から電流を増幅するための方法および試薬を記載し、提供する。
【0027】
図2Dに示されているように、溶液中の比較的に高濃度での、指示薬種および共反応物の反応は0.88Vの負電位のITO電極では感知できるほどのECL強度を発生させないが、同じ溶液の条件でSCEに対して0.75V(図2B参照)の電位でのPtディスク電極においては、かなりのECL強度が簡単に観測できる。対応するサイクリックボルタモグラムが図2Aおよび2Cに示されている。
【0028】
図3は、25mMリン酸緩衝液(pH〜7.5)、飽和Ru(bpy)3(ClO42および50mMTPrAを含む0.1MNaClO4溶液中のマクロディスクPt電極での電流の過渡現象(3A)および(ECL強度対時間)曲線(3B)である。電流およびECLの過渡現象は、ともにノイズレベルが小さい滑らかな曲線である。
【0029】
図4は、PtNPsの注入前(「黒い」曲線)および〜1nMのPtNPs注入後(「赤い」曲線)、および〜2nMのPtNPsの注入後(「青い」曲線)の溶液中のITO電極でのサイクリックボルタモグラム(4A)およびECL強度(キロカウント/秒、「kcps」)対電位曲線(4B)を示している。溶液は、0.1MNaClO4、リン酸緩衝液(pH7.0)、10μMRu(bpy)3(ClO42および50mMのTPrAを含有している。電位走査速度=20mV/(s点から)である。PtNPsが存在しない状態でのITOにおいては、図4Bの「黒い」曲線に示すとおり、電位がSCEに対して0.85Vvs.とわずかに正となるまでは、認識できるECL強度は観測されなかったが、〜0.6V(図4Aの「黒い」曲線を参照)近くの電位ではかなりの電流が流れ始めた。しかし、NPが存在する場合、たとえばITOと接触する上で、PtNPにおける化学種RのOへの酸化(たとえば、Ru(bpy)32+またはTPrAの酸化)のような他の反応の電気触媒作用をすることができる場合は、図4Bの「赤い」曲線で示されているように、ECL強度のかなりの増大を低いバイアス電位(≦0.75V)で観測することができる。注目すべきことは、ECL強度における増大は、図4Bに示されるように、PtNPsの濃度の増加に伴って増加し、ECLの増大はITOとの接触で電気化学反応を引き起こすPtNPsと関連することを示す。
【0030】
本出願の一つの実施形態において、図5は、白金粒子を注入する前後の溶液中のITO電極における電流の過渡現象を示している。図5Aは白金NPsが存在しない状態の、3μMのRu(bpy)32+および5mMのTPrA中のITO電極での電流の過渡現象のグラフであり、図5Cは、〜2nMのPtNPsが存在する状態の、3μMのRu(bpy)32+および5mMのTPrA中のITO電極での電流の過渡現象のグラフである。図5B(光子カウント総数=8428)は図5Aに対応する(ECL強度対時間)曲線である。図5D(光子カウント総数=9968)は、図5Cに対応する(ECL強度対時間)曲線である。図5Eは、平均直径が〜4nmである代表的な白金NPsのTEM像である。ITO電位は4秒間でSCEに対して0〜0.91Vに上げられている。
【0031】
白金コロイド溶液は、クエン酸ナトリウムが存在する状態で、水素化ホウ素ナトリウムを用いてH2PtCl6を還元することにより得られた。粒径は約2〜6nmであり、直径4nmに主に分布していた。ある実施形態では、電気化学セル内に〜1nMのPtNPsを得るために、約40μLのPtコロイド溶液が4mLの緩衝電解質溶液に注入された。その溶液を十分攪拌して、電流の過渡現象および(ECL強度対時間)反応を、所望の増幅のステップ電位を支持電極に印加し、同時に電流およびECL強度の経時変化をモニターすることによって記録した。
【0032】
図6Cは、同じ強度をもつITO電極においてECL事象の発生数を示し、PtNPsが存在しない場合に、図6A(光子カウント総数=8428)に示される(ECL強度対時間)記録に対して確率密度関数(「PDF」)として表現している。注目すべきことは、PDFが〜33カウントにピークをもつ平均ECL強度を含む正規ガウス分布を示していることである。図6Dは、同じ強度を有するITO電極においてECL事象の発生数を示し、〜2nMPtNPsが存在する場合に、図6B(光子カウント総数=9968)に示される(ECL強度対時間)記録に対して確率密度関数(PDF)として表現している。ITO電位は4秒間でSCEに対して0〜0.91Vに上げられている。
【0033】
図7は(ECL強度対時間)曲線(7A(光子カウント総数=8428)、7B(光子カウント総数=9217)および7C(光子カウント総数=9968))ならびに対応するPDFs(それぞれ、7D、7Eおよび7F)および指示薬種および共反応物はほぼ同じ濃度で、三つの異なるコロイドPtNP濃度(0nMのPtNPs(7Aおよび7D)、〜1nMのPtNPs(7Bおよび7E)および〜2nMのPtNPs(7Cおよび7F))でのITO電極における分解されたガウス分布を示している。示されているように、ECL強度全体は添加された〜1nMのPtNPsの増加毎に〜10%ずつ増加した。PtNPsが存在しない場合に観測された〜33カウントでの主なPDFピークの他に、PtNPsの濃度が増加すると、複数のピーク、たとえば、図7Eに示されている曲線に対する20および46カウント近くのピークが出現する。46カウント近くのピークのECL強度全体への相対的な寄与は、NP濃度の増加とともに増加し、このピークは主にNP衝突からの寄与によるものと思われる。注目すべきことは、34カウント近くのECLピークの位置はNP凝縮にわずか左右されるだけである。
【0034】
図8は、PtNPsおよび共反応物の濃度をほぼ一定に保つことにより、指示薬種の様々な濃度から得られた様々な(ECL強度対時間)記録を示している。示されているように、この場合では、ECL強度全体は、指示薬種、たとえばRu(bpy)32+の濃度の増加とともに増加する。連続するECLバックグラウンド上のECL強度の変動も指示薬種の濃度の増加とともに増加する。この挙動は、図9に示された対応するPDFsによく反映されており、これは分布だけでなくPDFsの相対的な増幅が指示薬種の濃度に強く左右されることを示している。
【0035】
各電流およびECLプロファイルは、測定する電極上の個々の単一の分子およびNPの衝突に関連する。個々の(ECL強度対時間)プロファイルの特徴は、粒径、粒子の滞留時間、粒子と電極表面との間の相互作用、指示薬種および共反応物の活性中間体の寿命ならびに指示薬種の励起状態の発生における運動に影響される。多くの場合、粒子は、その衝突後に電極を離れ、そのためECL強度は、大きな光子のピークを示すことで非常に急激に増加するが、その後、連続するECLバックグラウンドに戻る。
【0036】
図10は、様々な印加電位時のITO電極における電流の過渡現象および対応する(ECL強度対時間)曲線を示す。運動制御された領域(サイクリックボルタモグラムのピーク電位が充分な負の電位または図4に示された(ECL強度対電位)曲線)において、ECL強度全体およびECL強度の変動はともに、バイアスの増加とともに増大する(たとえば、図10DおよびEを参照)。負に帯電した粒子と正に帯電した表面との引力による相互作用(電気泳動効果)もあり、粒子を電極表面に付着させる。さらに大きい正の値での電位を設定することでこの効果を検討している。さらに多くの衝突(図10Fを参照)を観察したが、質量移動および運動制限が関与している。
【0037】
様々なステップ電位での(ECL強度対時間)曲線および対応するPDFsを図11に示す。ECL強度の変動は、図11D、EおよびFに示されるように多数の正常分布を特徴とする。個々の衝突事象で発生するECLが変動する理由として、電極表面へのNP移動および衝突の任意の性質(たとえば、電子トンネルが可能な距離内で電極表面にどれほど近づくことができるか)、滞留時間およびさらに粒径の効果によるものがある。
【0038】
比較のため、PtNPsが存在しない状態で様々な濃度の指示薬種から得られたECLの過渡現象および対応するPDFsを評価する(図12を参照)。示されたように、PDFsは、指示薬種の濃度にほぼ比例して平均ECL強度を含む主要な単一の正常分布を示す。
【0039】
図13は、コロイドPtNPsを含有または含有しない溶液中のECLの過渡現象のスペクトル密度関数(「SDFs」)を比較する。ECLの過渡現象のSDFsは、周波数領域のECL強度の変動を表す。示されるように、PtNPsを含有または含有しない溶液では、ほぼ定常状態(f=0Hz)の連続バックグラウンドがECL強度全体の大部分に寄与する。溶液中のPtNPsの存在が、種々の低周波の構成要素(f≧3Hz)のECL強度の変動にかなり寄与し、NPsの多分散性が検討されたことを示唆する。
【0040】
PtNPs濃度の関数としての、いくつかの(ECL強度対時間)の記録の時間相関関数(TCFs)(図14を参照)は、ms内でECL強度が減衰し、ほぼ定常状態の値に達することを示す。単一の粒子の衝突事象における化学種(および/またはその共反応物)の急激なEC反応に関与したECLの一時的反応により、拡散制限(数ns)に達することができ、速い運動を検討することが可能となる。
【0041】
図15は、PtNPs注入前後の溶液中のITO電極における電流およびECL強度の過渡現象を示す。図15Aおよび15Cに示すように、マクロITO電極を測定する電極として使用する限り、電流の過渡現象は、PtNPsの存在に拘らず、滑らかな減衰曲線となる。しかし、(ECL強度対時間)曲線は、光子カウントの増幅および頻度において有意な変動を示す(図15Bおよび15Dを参照)。指示薬種および共反応物の濃度がほぼ定常を保持する場合、光子カウントの変動は、溶液中のPtNPs濃度に非常に左右され、このPtNPsが支持電極と衝突する場合に、NPs上での触媒反応と関連していることが示唆される。
【0042】
指示薬としてRu(bpy)32+および共反応物質としてTPrAを使用して、単一のNPの衝突事象について検討しており、つまり当業者は、他の指示薬および/または共反応物を使用することができることがわかっている。バックグラウンド電流を減少させ、かつ相対的ECL効率を向上させるために、電極またはNPsに特定の表面処理を行うことができる。たとえば、金の電極を表面に結合した単層のベンゼンジメタンチオールで被覆することができ、それによって溶液の化学種への電子トンネルとすることができる安定した単層を形成する。他のチオール基は白金粒子に強く結合することができる。マクロ電極またはUMEは、ITO、金、ニッケル、Pt、Ir、Rhおよび/または炭素(たとえば、ガラス状炭素、グラファイトまたはダイヤモンド)を含むことができる。さらに、指示薬種は、Ru(bpy)32+または当業者に公知の他の材料であってよい。
【0043】
図16は、本発明の方法で使用することができる例示的電気化学セル2の概略図を示す。このセルは、ITO作用電極4および光子検出器14を包含する光学システムを包含する。図16に示されるセルにおいて、ITO電極と光子検出器の入力スリットとの間に焦点レンズは配置されず、アバランシェ型の光ダイオードであってよい。この図に示されるセルはまた、対電極6を包含し、これは、白金対電極、参照電極8、たとえばAg/AgCl参照電極およびカバー10であってよい。一つの実施形態において、セルは、光学システムを包含し、これは、光ファイバ10、たとえば約1〜2mm径であり、光子検出器14と電気化学セル2を接続する光ファイバを包含する。適切なアバランシェ型の光ダイオードは、約10e−5〜10e−4cm2の活性領域を有することができる。ITO作用電極の活性領域は、約0.01〜0.5cm2が適切でありうる。
【0044】
本出願は、マクロ電極またはUMEを用いて単一の粒子の衝突事象を観察する新規の方法を提供する。電流またはECLを特徴とする単一の事象は、溶液中に共反応物が存在するか、または、しないかに拘らず、指示薬の粒子触媒反応を介して発生する。指示薬としては、高濃度および高拡散係数を有するものを選択することができるので、かなりの増幅が生じる。各衝突によって、粒径、粒子の滞留時間および粒子と電極表面との相互作用に相関しうる独自の電流またはECLの過渡現象が生じる。粒子濃度、粒径(たとえば、クエン酸白金NPs対シュウ酸白金NPs)、印加済みの基質電位および指示薬の濃度を変更することにより、i−tプロファイルまたは(ECL強度対時間)曲線を使用し、単一の粒子での指示薬の反応について情報を得ることが可能となるはずである。NPsを使用して、光学信号、導電性信号および質量信号を増幅することに比較して、本出願の方法における触媒電流またはECL増幅により、単一の粒子の衝突事象の観察およびi−tまたは(ECL強度対時間)曲線を介した、単一の粒子レベルでの電気化学的運動の研究が可能となる。さらに、粒径分布の決定時および非常に感度の高い電気分析方法として、おそらく単結合の事象レベルに対して有用でありうる。
【0045】
2mMのH2PtCl6水溶液60mLと50mMのクエン酸ナトリウム水溶液3mLとを混合後、激しく撹拌しながら、120mMのNaBH4水溶液7mLを滴下して白金NP溶液を調製した。得られた溶液をさらに30分間撹拌した。当業者は、他のNP溶液、たとえば白金、パラジウムおよびルテニウム溶液を同様に調製することができる。
【0046】
本出願は、測定装置に接続された電気化学セルを有する化学検体を分析する方法、構成およびキットについて記載する。電気化学セルは、一般にはNPsのコロイド溶液の形態の一つ以上の導電性またはレドックス活性のNPs、および(指示薬および共反応物として)一つ以上の化学検体を有する溶液を含有する。さらに、電気化学セルは、溶液と連通する一つ以上の電極を含有する。一つ以上の電気触媒特性は、一つ以上の導電性またはレドックス活性のNPsと液体試料との相互作用により発生し、この特性を一つ以上の電極または他の検出デバイス、たとえば、放出した電磁放射を測定する光子検出器を使用して測定することができる。
【0047】
本出願は、電気化学セル内の溶液中で一つ以上の導電性またはレドックス活性のNPsを使用することを包含する方法を提供する。導電性NPsは、全体または部分的に金属であってよい。たとえば一つ以上の導電性NPsは、白金NPs、金NPs、パラジウムNPs、炭素NPs、ITO NPsまたはその混合物およびその組み合わせたものであってよい。NPsはまた、NPの外側の材料に比べ、中心部は異なる材料であってよい。NPsは、約0.5nm〜約100nmの粒径でありうるが、一実施形態の一般的な粒径は、約1nm〜10nm径であり、平均は4nm径である。さらに、NP径の粒径分布は一般に、均一、分散または多様であってよい。NPsは、一般に同一の群内では同径だが、溶液中の他の群に対しては異なる粒径を有する様々な粒子群を有することができる。
【0048】
一つ以上の電気触媒特性は、装置で測定することができる特性でありうるが、最も一般的な特性は、導電性NPsが触媒するレドックス反応由来の電気触媒ECL増幅である。他の好適な特性の例として、電流、抵抗、インピーダンス、キャパシタンス、インダクタンスまたはその組合せが挙げられる。
【0049】
実施形態の説明
一つの実施形態において、試料を分析する方法を提供する。この方法は、一つ以上の導電性またはレドックス活性のNPsを試料室内の液体試料に添加し、電極でのNPsと液体試料との相互作用により発生する一つ以上の電気化学的および/または光学的特性を観察することを包含する。一つ以上の電気化学的および/または光学的特性の測定には、ナノ粒子が触媒するレドックス反応から得られる電気化学発光強度の測定を包含することができる。いくつかの実施形態において、測定には、ナノ粒子が触媒するレドックス反応由来の電流増幅の測定を包含することができる。他の電気触媒特性は、上記の方法の一部として測定することができ、電流、抵抗、インピーダンス、キャパシタンス、インダクタンスまたはその組み合せを包含する。測定する光学特性に、電気化学発光強度の測定を包含する多くの例では、試料はさらにECL共反応物、たとえばトリアルキルアミンなどの第三級アミンを含む。
【0050】
本出願の方法で使用することができる好適な導電性ナノ粒子の例として、白金NPs、金NPs、銀NPs、銅NPs、パラジウムNPs、炭素NPs、ITONPs、導電性酸化物NPs、導電性ポリマーNPsまたはその含み合わせを挙げられる。本出願の方法に使用されるナノ粒子は、多くの場合、最大寸法が約50nmより小さい(たとえば、最大寸法は、約1nm〜25nmである)。たとえば、ナノ粒子は、約1nm〜10nm径であってよい(たとえば、ナノ粒子は、4〜5nm径を平均とする)。
【0051】
本出願の方法で使用される好適な電極材料の例として、ITO、Pt、Au、Ni、Rh、Irおよび炭素(たとえば、ガラス状炭素、グラファイトまたはダイヤモンド)が挙げられる。本出願で例示されるように、白金NPsを、試料セル、たとえば酸化インジウムスズ(「ITO」)または金作用電極を利用する方法で使用することができる。
【0052】
本出願の方法で使用される好適なECL部分は、レドックス活性の、イオン性発光化合物を含むことができる。たとえば、レドックス活性の、イオン性発光化合物には、電気化学発光ポリデンデート金属錯体、たとえば一つ以上のヘテロ芳香族ポリデンデートリガンドと、ルテニウム、オスミウム、レニウム、セリウム、ユーロピウム、テルビウムおよびイッテルビウムから選択される金属を含むポリデンデート金属錯体を包含することができる。ポリデンデート金属錯体は、ルテニウムと、ビピリジル、置換ビピリジル、1,10−フェナントロリンおよび/または置換1,10−フェナントロリンから選択される少なくとも一つのポリデンデートリガンドを含むことができる。
【0053】
別の実施形態は、化学検体を分析するキットに関する。キットは、
一つ以上の導電性またはレドックス活性のNPs、
ECLラベルなどの一つ以上の化学指示薬、および
フローセルなどの試料室内に配置される一つ以上の電極
を包含する。
【0054】
電気化学セルは、測定装置に接続可能である。導電性またはレドックス活性のNPs、化学検体および少なくとも一つの電極を、測定装置で読み取り可能な電気触媒電流および/またはECL特性を発生させるように、溶液と連通した状態にする。
【0055】
別の実施形態は、(a)室内で一つ以上のナノ粒子を液体試料に添加し、(b)電極での一つ以上のナノ粒子と試料との相互作用から得られる一つ以上の電気化学および/または光学特性を測定することを含む、試料を分析する方法を提供する。試料室は、内部に一つ以上の電極を配置し、たとえば作用電極、対電極および参照電極を含むことができる。試料は、電気化学発光(「ECL部分」)が可能な複数の部分を包含し、多くの場合、ECL部分の電気化学発光を増大することができる共反応物も包含する。たとえば、試料が複数のルテニウム系のECL部分を包含する場合、試料の共反応物として、トリプロピルアミン(「TPrA」)などの第三級アルキルアミンを含むことが有利でありうる。ナノ粒子を導電性またはレドックス活性材料から形成する。本実施形態で使用できる好適な導電性ナノ粒子の例として、白金NPs、金NPs、銀NPs、銅NPs、パラジウムNPs、炭素NPsおよび/または導電性酸化物NPsが挙げられる。
【0056】
別の実施形態は、(a)室内で一つ以上の導電性ナノ粒子を液体試料に添加し、(b)電極での一つ以上のナノ粒子と試料との相互作用から得られる一つ以上の電気化学および/または光学特性を測定することを包含する、試料を分析する方法を提供する。導電性ナノ粒子の例として、白金NPs、金NPs、銀NPs、銅NPs、パラジウムNPs、炭素NPs、ITONPs、導電性酸化物NPs、導電性NPsまたはその組合せが挙げられる。本出願で例示されるように、白金NPsを、酸化インジウムスズ作用電極を含有する試料セルを利用するといった方法で使用することができる。本実施形態において、電気化学および/または光学特性の測定には、ナノ粒子が触媒するレドックス反応から得られる電気化学発光強度の測定を含むことができる。いくつかの実施形態において、測定は、ナノ粒子が触媒するレドックス反応由来の電流増幅の測定を包含することができる。
【0057】
他の実施形態では、少なくとも一つのナノ粒子を有する化学検体を分析するデバイスを提供する。デバイスは、好適には測定装置に接続された電気化学セルを包含する。電気化学セルは、一つ以上の導電性またはレドックス活性のNPs、一つ以上の化学検体、指示薬を含む溶液を含有することができ、この溶液に連通する一つ以上の電極を有する。デバイスは、一つ以上の電極での、NPsと液体試料との相互作用により発生する一つ以上の電気化学特性を測定することができる。
【0058】
別の実施形態は、(a)一つ以上の電極を有する室内で一つ以上の導電性またはレドックス活性のNPsと試料を混合させ、(b)この電極の一つでの、NPsと試料との相互作用により発生する一つ以上の電気化学特性を測定することを包含する信号の増幅方法に関する。
【0059】
別の実施形態では、
一つ以上の電極を有する室内で一つ以上の導電性またはレドックス活性のNPsと試料を混合させ、一つ以上の電極において一つ以上の導電性またはレドックス活性のNPsと試料との相互作用により発生する一つ以上の電気化学および/または光学特性を測定する工程を含む信号の増幅方法を提供する。一つ以上の電気化学および/または光学特性には、一つ以上のNPsが触媒するレドックス反応由来の電気化学発光を包含することができる。一つ以上の電気化学および/または光学特性には、一つ以上のNPsが触媒するレドックス反応、たとえばECL部分を含むレドックス反応および場合により、トリアルキルアミン(たとえば、トリプロピルアミン)などのECL共反応物由来の電流増幅を含むことができる。
【0060】
本出願は、電極での単一のNPsの衝突中に発生するECLの観察に使用することができる方法および装置を提供する。方法および装置は、単一のNPsにおける、電気化学プロセスの情報および高感度の電気分析方法の基礎を提供することができる。このような方法は、典型的には、試料室内の一つ以上の電極を用いて、導電性またはレドックス活性ナノ粒子のコロイド溶液である液体試料を接触させ、電極でのNPsと液体試料との相互作用により発生する少なくとも一つの電気化学および/または光学特性を観察することを包含する。液体試料は、典型的には、ECL(「ECLラベル化合物」)を可能にする化合物および場合により第三級アルキルアミン、たとえばトリプロピルアミンなどのECL共反応物を包含する。一般に、試料溶液は、より高濃度のECLラベル化合物および任意の共反応物を含有する。たとえば、コロイドNPsの濃度がpM〜nMの範囲にある場合、試料溶液は、約1〜20μMのECLラベル化合物、たとえばRu(bpy)32+塩および約1〜100mMのECL共反応物、たとえばトリプロピルアミンを包含することができる。いくつかの実施形態において、測定には、ナノ粒子が触媒するレドックス反応由来の電流増幅の測定を包含する。特定の実施形態において、測定には、ナノ粒子が触媒するレドックス反応から得られる電気化学発光強度の測定を包含することができる。このような方法の一部として測定することができる他の電気触媒特性には、電流、抵抗、インピーダンス、キャパシタンス、インダクタンスまたはその組み合せが包含される。
【0061】
別の実施形態は、少なくとも一つのNPを含有する試料を分析するナノスケール電気化学セルに関する。前記ナノスケールのセルは
試料室内に収容される試料と連通するよう配置された一つ以上の電極、
試料室内に沈積する一つ以上の伝導性またはレドックス活性のNPs(この場合、一つ以上の伝導性またはレドックス活性のNPsが試料と相互作用し、一つ以上の電気触媒電流またはECL特性を発生させる)、および
一つ以上の電気触媒電流またはECL特性を検出する、一つ以上の電極と連通する検出器
を含む。ナノスケール電気化学セルは、UMEまたはマクロ電極を含むことができる(すなわち、試料コンパートメントがマクロ電極と接触するよう配置する)。NPsは、白金NPs、金NPs、銀NPs、銅NPs、パラジウムNPs、炭素NPs、ITONPs、導電性酸化物NPs、導電性またはレドックスポリマーNPsまたはその組み合せを含むことができる。
【0062】
別の実施形態において、試料を分析する方法には、以下を含む:一つ以上の電極を有する室に一つ以上の導電性またはレドックス活性ナノ粒子と液体試料を導入し、この場合、試料は、複数の電気化学発光(「ECL」)部分を含み;および一つ以上の電極での一つ以上のナノ粒子と試料との電気触媒的相互作用から得られる電気化学および/または光学特性を測定する。試料はさらに、ECL共反応物、たとえばトリプロピルアミンまたはトリエチルアミンなどの脂肪族第三級アミンを含むことができる。ECL部分は、ルテニウム含有有機化合物を含むことができる。一つ以上の導電性またはレドックス活性ナノ粒子は、白金ナノ粒子を含むことができ、たとえば、電極は、酸化インジウムスズ作用電極を包含する。一つ以上の電気化学および/または光学特性の測定は、一つ以上の導電性またはレドックス活性ナノ粒子が触媒するレドックス反応由来の電流増幅の測定を含むことができ、および/または一つ以上の導電性またはレドックス活性ナノ粒子が触媒するレドックス反応から得られる電気化学発光強度の測定を含むことができる。
【0063】
本明細書に記載の実施形態が、本明細書に記載の方法、キット、試薬または構成に関して実施することができること、またはその逆について検討する。さらに、本出願の構成を使用して本明細書に記載の方法を成し遂げることができる。
【0064】
本明細書に記載の特定の実施形態は、図示する方法により示されているが、本発明を限定するものではないことが理解される。本発明の主な特徴を本発明の範囲を逸脱することなく様々な実施形態で使用することができる。当業者であれば、ルーティンに過ぎない実験を使用して、本明細書に記載の具体的手法と同等の多数の手法を理解または確かめることができるだろう。このような手法は、本発明の範囲内であると考えられ、特許請求の範囲により包含される。
【0065】
特許請求の範囲および/または明細書の用語「含む(comprising)」に関連して使用する用語「a」または「an」は、「一つ」を意味しうるが、「一つ以上」、「少なくとも一つ」および「一つまたは二つ以上」の意味とも一致する。例示的に代替物のみを指すために示され、または代替物が相互に除外されない限り、特許請求の範囲で使用する用語「または」は、「および/または」を意味するのに使用されるが、開示では、代替物のみ、および「および/または」を指す定義が支持される。本出願を通し、「約」という用語は、数値がデバイスに特有の誤差変動を含むことを示すために使用し、その方法を、検討対象に存在する数値または変動を決定するために使用する。
【0066】
本明細書および(複数の)請求項において使用されているように、「含む(comprising)」(および「comprise」や「comprises」のいずれかの活用形)、「有する(having)」(および「have」や「has」のいずれかの活用形)、「包含する(including)」(および「includes」や「include」のいずれかの活用形)または「含有する(containing)」(および「contains」や「contain」のいずれかの活用形)のなどの用語は、包括的または広い選択肢を有するものであり、追加の、列挙されない要素または方法のステップを除外するものではない。
【0067】
本明細書において使用される「またはその組み合わせ」という用語は、用語に先行して一覧された項目の全ての並べかえ、および組み合せを指す。たとえば「A、B、Cまたはその組み合わせ」とは、A、B、C、AB、AC、BCまたはABC、および順列が具体的な文脈において重要である場合、さらにBA、CA、CB、BCA、BCA、ACB、BACまたはCABの少なくとも1つを含むことを意図する。続けてこの例で言えば、BB、AAA、MB、BBC、AAABCCCC、BCCAAA、CABABBなどの一つ以上の項目または用語の繰返しを含有する組み合わせが含まれるのは明らかである。当業者であれば、典型的に、他に文脈で明示されない限り、組み合わせの項目または用語の数が限定されないことが理解されるであろう。
【0068】
本明細書において開示され、請求された構成および/または方法全てを、本開示に照らして過度の実験を行うことなく、試行し、実行することができる。本発明の構成および方法が特定の例示的実施形態において記載されている一方で、当業者であれば本発明の概念、精神および範囲を逸脱することなく本明細書に記載される構成および/または方法およびステップまたはステップの順列において変更が適用されることができることは明らかであろう。当業者に対して明らかなこのような類似の代用および変更全ては、本発明の精神、範囲および概念の範囲内であると判断される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上の電極を有する容器内の、複数の電気化学発光(ECL)部分を含む液体試料に(a)一つ以上の導電性またはレドックス活性のナノ粒子を添加し、
前記一つ以上の電極での、前記一つ以上のナノ粒子と前記試料との相互作用から得られる一つ以上の電気化学的および/または光学的特性を検出する試料分析方法。
【請求項2】
前記一つ以上の電気化学的および/または光学的特性が、共反応物を用いてまたは用いずに、前記一つ以上のNPsが触媒する前記ECL部分のレドックス反応から得られる特性を含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記一つ以上の電気化学的および/または光学的特性が、共反応物を用いてまたは用いずに、前記一つ以上のNPsが触媒する前記ECL部分のレドックス反応から得られる電気化学発光を含む請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記一つ以上の電気化学的および/または光学的特性が、共反応物を用いてまたは用いずに、前記一つ以上のNPsが触媒する前記ECL部分のレドックス反応から得られる電流増幅を含む請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
一つ以上の電極がITO、Pt、Ir、Rh、Au、炭素および/またはNiを含む請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記一つ以上の導電性またはレドックス活性のNPsが白金NPs、金NPs、銀NPs、銅NPs、パラジウムNPs、炭素NPsまたはそれらの組み合わせを含む請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記一つ以上のNPsが、約50nmより大きくない最大寸法を有する請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記一つ以上のNPsが、平均して約1nm〜25nmの最大寸法を有する請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記一つ以上の導電性またはレドックス活性のNPsが白金NPsを含み、また前記一つ以上の電極がPt、Au、Ir、Rhおよび/または炭素を含む請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記ECL部分がレドックス活性のイオン性発光化合物を含む請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記レドックス活性のイオン性発光化合物が電気化学発光性のポリデンデート金属錯体を含む請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記ポリデンデート金属錯体がヘテロ芳香族ポリデンテートリガンドおよびルテニウム、オスミウム、レニウム、セリウム、ユーロピウム、テルビウムおよびイッテルビウムから選択される金属を含む請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記ポリデンデート金属錯体がレニウムおよびビピリジル、置換ビピリジル、1,10−フェナントロリンおよび/または置換1,10−フェナントロリンから選択される少なくとも一つのポリデンテートリガンドを含む請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記試料が、さらにECL共反応物を含む請求項1記載の方法。
【請求項15】
一つ以上の電極を有する容器内で、一つ以上の導電性またはレドックス活性のNPsと試料を混合させ、
前記一つ以上の電極での、前記一つ以上の導電性またはレドックス活性のNPsと前記試料との相互作用により発生した一つ以上の電気化学的および/または光学的特性を測定する工程を含む信号の増幅方法。
【請求項16】
前記一つ以上の電気化学的および/または光学的特性が、前記一つ以上のNPsが触媒するレドックス反応由来の電気化学発光を含む請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記一つ以上の電気化学的および/または光学的特性が、前記一つ以上のNPsが触媒するレドックス反応由来の電流増幅を含む請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記一つ以上の電気化学的および/または光学的特性が電気化学発光、電流、抵抗、インピーダンス、キャパシタンス、インダクタンス、電流増幅またはそれらの組み合わせを含む請求項15記載の方法。
【請求項19】
試料容器内に収容され、試料と相互作用することができる一つ以上の導電性またはレドックス活性のNPsと一つ以上の電気触媒電流またはECL特性を発生させるための一つ以上の電極とを含む液体試料と連痛するように配置された一つ以上の電極と
前記一つ以上の電気触媒電流またはECL特性を検出することができる一つ以上の検出器を含む試料を分析するためのナノスケールの電気化学デバイス。
【請求項20】
測定装置に接続され、一つ以上の導電性またはレドックス活性のナノ粒子(NPs)、一つ以上の化学分析用検体、一つ以上のECL部分および前記液体試料と連通している一つ以上の電極からなる液体試料を含有する電気化学セルを含み、
一つ以上の電気化学的および/または光学的特性が、一つ以上の電極において、前記一つ以上の導電性またはレドックス活性のNPsと前記一つ以上のECL部分との電気触媒的相互作用により発生する電気化学セルを含む化学分析用検体の分析装置。
【請求項21】
一つ以上の導電性またはレドックス活性のナノ粒子および複数の電気化学発光(ECL)部分を含む液体試料を一つ以上の電極を有する容器のなかに入れ、
前記一つ以上の電極において、前記一つ以上のナノ粒子と前記試料との電気触媒的相互作用から得られる一つ以上の電気化学的および/または光学的特性を測定することを含む試料の分析方法。
【請求項22】
ナノ粒子(NPs)のコロイド溶液である液体試料を試料容器内の一つ以上の電極と接触させ、
電極において、前記NPsと前記液体試料との電気触媒的相互作用により生じた少なくとも一つの電気化学的および/または光学的特性を観察することを含む電極表面と一つ以上のナノ粒子の衝突の検出方法。
【請求項23】
前記液体試料が複数の電気化学発光(ECL)部分からなり、前記少なくとも一つの電気化学的および/または光学的特性が、共反応物を用いてまたは用いずに、前記NPsが触媒する前記ECL部分のレドックス反応により生じている請求項22記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公表番号】特表2011−518321(P2011−518321A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503979(P2011−503979)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/002160
【国際公開番号】WO2009/126249
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(506140479)ボード・オブ・リージェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・テキサス・システム (5)
【Fターム(参考)】