説明

ナノ粒子分散体、これを含有する組成物、及びこれらから作製される物品

少なくとも1つの有機溶媒と、赤外線吸収性、導電性、又は赤外線吸収性及び導電性の両方であるナノ粒子と、少なくとも1つのポリカプロラクトン−ポリアミンコポリマーと、を含む分散体であって、この分散体はナノ粒子の粒塊を含み、大部分の粒塊は、100ナノメートル以下である平均直径を有する、分散体。このような分散体を利用する組成物、フィルム、物品及び光制御物品もまた記述される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、一般に、分散体、そのような分散体を含む組成物、及びそのような分散体を使用して製造される物品に関する。
【0002】
媒体中に均等に分散した微粒子の溶液である分散体は、多くの異なるタイプの物品を製造するために使用される。物品中に必要である分散した物質の最終的な量に依存して、加工時に加えられなければならない分散体の量は、分散体がより少量の分散した物質でのみ安定である場合、重要であり得る。これらの理由のために、分散体を利用するプロセスは、より高配合の分散体から利益を得る可能性があり、これにより、加工時に加えられなければならない分散体の体積を低減し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このようなより高配合の分散体は、多くの場合、より低い安定性しか有さない。このようなプロセスは、室温でより長い安定性も有する、より高配合の分散体で、効率及び対費用効果について有意に改善され得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
分散体の総重量に基づいて、約10重量%〜約95重量%の少なくとも1つの有機溶媒と、分散体の総重量に基づいて約5重量%〜約80重量%の赤外線吸収性、導電性、又は赤外線吸収性及び導電性の両方であるナノ粒子と、分散体の総重量に基づいて約0.5重量%〜約50重量%の少なくとも1つのポリカプロラクトン−ポリアミンコポリマーと、を含む分散体が本明細書で開示され、分散体はナノ粒子の粒塊を含み、大部分の粒塊は、60ナノメートル以下である平均直径を有する。
【0005】
分散体の総重量に基づいて、約10重量%〜約95重量%の少なくとも1つの有機溶媒と、分散体の総重量に基づいて約5重量%〜約80重量%の赤外線吸収性又は導電性であるナノ粒子と、分散体の総重量に基づいて約0.5重量%〜約30重量%の少なくとも1つのポリカプロラクトン−ポリアミンコポリマーと、を含む分散体が本明細書で開示され、分散体はナノ粒子の粒塊を含み、大部分の粒塊は、100ナノメートル以下である平均直径を有する。
【0006】
分散体の総重量に基づいて、約10重量%〜約95重量%の少なくとも1つの有機溶媒と、分散体の総重量に基づいて約5重量%〜約80重量%の赤外線吸収性、導電性、又は赤外線吸収性及び導電性の両方であるナノ粒子と、分散体の総重量に基づいて約0.5重量%〜約50重量%の少なくとも1つのポリカプロラクトン−ポリアミンコポリマーと、を含むナノ粒子の粒塊を含み、大部分の粒塊は、60ナノメートル以下である平均直径を有する分散体を約40重量%〜約50重量%、並びに、少なくとも1つの放射線硬化性モノマーを約10重量%〜約50重量%、組成物の総重量に基づいて含む組成物が本明細書で開示される。
【0007】
分散体の総重量に基づいて、約10重量%〜約95重量%の少なくとも1つの有機溶媒と、分散体の総重量に基づいて約5重量%〜約80重量%の赤外線吸収性、導電性、又は赤外線吸収性及び導電性の両方であるナノ粒子と、分散体の総重量に基づいて約0.5重量%〜約50重量%の少なくとも1つのポリカプロラクトン−ポリアミンコポリマーと、を含むナノ粒子の粒塊を含み、大部分の粒塊は、60ナノメートル以下である平均直径を有する分散体を約40重量%〜約50重量%、少なくとも1つの放射線硬化性モノマーを約10重量%〜約50重量%、並びに、第二有機溶媒を約1重量%〜約50重量%、組成物の総重量に基づいて含む組成物が本明細書で開示される。
【0008】
フィルムの総重量に基づいて、約40重量%〜約70重量%の赤外線吸収性又は導電性であるナノ粒子と、フィルムの総重量に基づいて約20重量%〜約40重量%の放射線硬化性モノマーと、フィルムの総重量に基づいて約5重量%〜約20重量%のポリカプロラクトン−ポリアミンコポリマーと、を含むフィルムが本明細書で開示され、フィルムは少なくとも40%の可視光線透過率及び約3%未満のヘイズ値を有する。
【0009】
第一ポリマータイプと第二ポリマータイプの交互層を有する赤外光反射多層フィルム、及び多層フィルム上に配置された赤外光吸収層を含む物品が本明細書で開示され、赤外光吸収層は、層の総重量に基づいて約40重量%〜約70重量%の赤外線吸収性又は導電性であるナノ粒子と、層の総重量に基づいて約20重量%〜約40重量%の放射線硬化ポリマーと、層の総重量に基づいて約5重量%〜約20重量%のポリカプロラクトン−ポリアミンコポリマーと、を含む。
【0010】
第一ポリマータイプと第二ポリマータイプの交互層を有する赤外光反射多層フィルム、多層フィルム上に配置された層の総重量に基づいて約40重量%〜約70重量%の赤外線吸収性又は導電性であるナノ粒子、層の総重量に基づいて約20重量%〜約40重量%の放射線硬化ポリマー、及び層の総重量に基づいて約5重量%〜約20重量%のポリカプロラクトン−ポリアミンコポリマーを含む赤外光吸収層、並びに赤外光反射多層フィルムに隣接して配置された基材、を含む赤外光源から赤外光を遮蔽するための光制御物品が、本明細書で開示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示は、以下の添付図面と関連させて、次の様々な実施形態の詳細な説明を考慮することによって、より完全に理解され得る。
【図1】多層フィルムの斜視図。
【図2】太陽光制御多層フィルム物品の一実施形態を概略的に示す図。
【図3】太陽光制御多層フィルム物品の別の実施形態を概略的に示す図。
【0012】
本開示は様々な修正及び代替の形態に容易に応じるが、その細部が、一例として図面に示されており、また詳しく説明される。しかしながら、本開示は、説明した特定の実施形態に限定しようとするものではないと解されるべきである。それどころか、本発明は、本開示の趣旨及び範囲内にある全ての修正、同等物、及び代替物を網羅するものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
用語「ポリマー(polymer)」又は「高分子(polymeric)」は、ポリマー、コポリマー(例えば2つ以上の異なるモノマーを使用して形成されるポリマー)、オリゴマー、並びに、これらの組み合わせ、及び、ポリマー、オリゴマー、又はコポリマーと理解される。別段の指定がない限り、ブロック、グラフト及びランダムコポリマーが含まれる。
【0014】
他に指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される形状、量、物理特性を表わす数字は全て、どの場合においても用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。それゆえに、そうでないことが示されない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲で示される数値パラメータは、当業者が本明細書で開示される教示内容を用いて、目標対象とする所望の特性に応じて、変化し得る近似値である。
【0015】
分散体又は組成物に関して使用するとき、特定の成分の「Xと比較しての重量パーセント」又は「Xに基づく重量%」は、Xの量(重量による)に関する分散体又は組成物中の特定の成分の量(重量による)を指す。例えば、「組成物全体と比較してのAの重量パーセント」は、組成物の全ての成分の重量(重量A+重量B+...重量Z)と比較してのAの重量を指し、あるいは、「Bと比較してのAの重量パーセント」は、Bの重量と比較してのAの重量(重量A/重量B)を指す。
【0016】
「隣接」という用語は、1つの素子が別の素子に極めて接近した状態にあることを指し、この用語には、接触し合っている素子が含まれると共に、更に、素子の間に配置されている1つ以上の層で隔てられている素子も含まれる。
【0017】
端点による数の範囲の列挙には、その範囲内に包括される全ての数が含まれ(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4及び5を含む)、またその範囲内の任意の範囲が含まれる。
【0018】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含する。したがって、例えば、「溶媒(a solvent)」を含む組成物への言及は、2つ以上の溶媒を包含する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、用語「又は」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、一般的に「及び/又は」を含む意味で用いられる。
【0019】
本開示は、数多くの利点を提供できる分散体を例示する。本明細書に記載の分散体は、依然として比較的少量の分散剤を利用しながらも、比較的高配合量、室温での長期安定性、及び小さな粒塊寸法、並びに室温での配合を有することができる。
【0020】
本明細書に記載するとき、分散体は、比較的高配合量の粒子を提供することができる。より多量の分散した粒子が分散体に配合されると、より小さな体積の分散体の使用が可能になる。より小さな体積の分散体が加えなければならないプロセスは、一般に、より大きな体積の分散体が加えなければならないものと比較して、単なる体積差、より大きな混合時間、及び大量の副次的成分(例えば、溶媒など)の添加に起因して、より有利である。本明細書に記載するとき、分散体は、分散体の総重量に基づいて、70重量%程度の物質配合を有することができる。本明細書に記載されるような分散体はまた、分散体の総重量に基づいて、60重量%程度の物質配合を有することができる。本明細書に記載されるような分散体はまた、分散体の総重量に基づいて、40重量%程度の物質配合を有することができる。本明細書に記載されるような分散体はまた、分散体の総重量に基づいて、30重量%程度の物質配合を有することができる。
【0021】
本明細書に記載されるような分散体は、依然として比較的少量の分散剤を使用しながらも、高物質配合を有することができる。分散剤は分散体の他の成分と較べて比較的高価であり得るので、分散剤は少量であればあるほど有利であり得る。分散剤は加工の見地から有利であるだけで、分散体を使用して製造される物品の最終特性を一般に向上させないので、追加費用はまた望ましくない。少量の分散剤はまた、多くの場合、使用されることになる最終組成物により決定される。例えば、物品の必要な最終特性が多量の分散した物質を決定し、多量の構造成分を決定する場合には、分散剤に残された「余地」はほとんどない。特定の実施例として、分散剤が赤外線吸収性フィルムを製造するために使用される場合には、分散した物質量は、必要な量の赤外光を吸収するために相対的に多くなるべきであり得(例えば、60重量%)、組成物は、その薄いフィルムに機械的特性を提供するのに十分な高分子物質(例えば、30重量%)を有すべきであり得る。このような構成は、分散剤に対して最大10重量%程度の余地を残すであろう。本明細書に記載されるような分散体は、一般に、最終組成物に基づいて最大10重量%の分散剤を有することができる。本明細書に記載されるような他の分散体は、一般に、最終組成物に基づいて最大20重量%の分散剤を有することができる。
【0022】
本明細書に記載されるような分散体はまた、比較的長期間の安定性を有する。分散体のより長期間にわたる安定性は、有利であり得るが、それは、これにより、分散体が、必要とされるときよりも先行して配合又は入手可能になるからであり、これにより製造プロセスの管理をより容易になり得る。長期安定性はまた、処理装置が手元に分散体を保持するのを可能にし、これにより製造において柔軟性を提供できる。長期室温安定性はまた、分散剤が手元で製造され、次に輸送されて、別の場所で使用されるのを可能にする。本明細書に記載されるとき、分散体は一般に、長期安定性を有する。本明細書に記載されるような分散体は、一般に、室温(約64℃〜約73℃の範囲の温度)で保存されるとき、少なくとも1ヶ月間にわたって安定である。本明細書に記載されるような分散体はまた、室温で保存されるとき、少なくとも2ヶ月間にわたって安定であることができる。
【0023】
本明細書で使用するとき、「安定」である分散体は、コロイド状のナノ粒子又は粒塊が、所与のセットの条件−例えば、室温、大気圧、及び、極度の電磁力がない状況下で例えば、1日又は1ヶ月間といったある期間にわたって放置した後でも更に有意に粒塊形成しない分散体である。分散した物質は、粒塊が大きく成長した結果溶液中で維持できなくなる過剰な粒塊形成を介して、安定ではない分散体から「脱落」し得る。
【0024】
本明細書に記載するような分散体はまた、大きな規模の製造プロセスに容易に拡大される技術により、室温で配合することもできる。このことは、分散体が気候制御なしに調製でき、標準的な技術を使用して達成できるので、利点を提供することができる。これらの特性は、分散体及び分散体を使用する物品の製造について、対費用効果を改善することができ、より非熟練の労働者で事足りるようにすることができる。
【0025】
本明細書に記載するような分散体は、粒塊を含む。ファンデルワールス力、化学結合、又はこれらの組み合わせのいずれかを介して分散体の形成時及び/又は形成後に2つ以上の粒子が結合するときに、粒塊は形成される。分散体中の粒塊は、異なる不均一の直径を有することができる。一般に、利用できる分散体は、大部分の粒塊がマイクロメートル未満の平均直径を有する。多くの場合、利用できる分散体は、粒塊の直径の二峰性又は単峰性分布を有する。しかしながら、分布に関わらず、利用される分散体は、より大きな直径を有するものよりも、マイクロメートル未満の直径を有する粒塊を多く有する。一実施形態では、利用できる分散体は、大部分の粒塊が100nm以下である平均直径を有する。一実施形態では、利用できる分散体は、大部分の粒塊が60nm以下である平均直径を有する。別の実施形態では、利用できる分散体は、大部分の粒塊が50nm以下である平均直径を有する。一実施形態では、利用できる分散体は、大部分の粒塊が30nm以下である平均直径を有する。
【0026】
溶液の粒塊寸法は、当業者に周知のように決定することができる。粒塊寸法を決定する1つの例示的な方法には、LA−910 Laser Scattering Particle Size Distribution Analyzer(Horiba Instruments,Inc.(Irvine,CA))などの回折粒径分析器の使用が挙げられる。粒塊寸法を決定する別の例示的な方法には、Zetasizer Nano ZS(Malvern Instruments(Worcestershire,UK))分析器の使用が挙げられる。
【0027】
一実施形態では、分散体は、ナノ粒子を分散体の少なくとも1つの他の成分と最初に混合し、次に高剪断力又は摩擦により混合物を分散させることによって、形成される。当業者であれば、混合及び分散工程が1つの工程で又は複数の工程で行うことができることを理解するであろう。得られる溶液又は分散体は、粒塊寸法が上記のようにマイクロメートル未満の範囲である。
【0028】
最初の混合工程は、混合装置の使用が挙げられるがこれに限定されない当業者に既知の任意の方法を使用して達成することができる。最初の混合工程の機能は、大規模に流動可能である組成物を形成することと、更なるプロセスのために大きな粒塊を低減することである。当業者であれば、この明細書を読めば、最初の混合工程を削除することができ、組成物中で物質を分散する工程が均質な溶液を形成できることも理解するであろう。
【0029】
分散体の少なくとも1つの他の成分とナノ粒子を任意で最初に混合した後、混合物を分散させる。一般に、分散工程の機能は、大部分の粒塊がマイクロメートル未満の直径を有する分散体を形成することである。出発物質からこのような組成物を製造できる任意の方法を本明細書で利用することができる。一般に、50nm未満の直径を有するナノ粒子を含有する溶液は、大部分の粒塊の寸法がマイクロメートル未満よりも大きい溶液を形成するために使用することができる。分散工程は、超音波破砕機(例えば、Farmingdale,NYのMisonix又はVirSonic Ultrasonic(Gardiner,NYのVirTis−an SP Industries Company)、microfluidizer(登録商標)(例えば、Newton,MAのMicrofluidics Corp.)、ホモジナイザー(例えば、Minneapolis,MNのAPV Gaulinより入手可能のGaulin 15MR−8TA homogenizer、メディアミル(例えば、Exton,PAのNetzsch Incorporatedより入手可能のMiniCer)又は高剪断混合(例えば、Wilmington DEのIKA Works,Inc.より入手可能のUlta−Turrax mixer)の使用が挙げられるがこれらに限定されない当業者に既知の任意の方法を使用して達成することができる。
【0030】
本明細書に記載されるように、分散体は、一般に、所望の粒径が得られるまで、混合、分散、又はこれらの組み合わせを行うことができる。本明細書に記載されるいくつかの分散体は、約10分間、約20分間、約30分間、約45分間、約60分間、約90分間、約150分間、約180分間、約210分間、約240分間、又はいくつかの他の時間量にわたって、混合することができる。
【0031】
本明細書に記載されるような分散体は、一般に、少なくとも1つの溶媒、ナノ粒子及び少なくとも1つの分散剤を含む。分散体の一例は、少なくとも1つの溶媒、ナノ粒子及び少なくとも1つの分散剤を含み、分散体はナノ粒子の粒塊を含み、大部分の粒塊は平均直径が100ナノメートル以下である。分散体の別の例は、少なくとも1つの溶媒、ナノ粒子及び少なくとも1つの分散剤を含み、分散体はナノ粒子の粒塊を含み、大部分の粒塊は平均直径が60ナノメートル以下下である。例えば、アクリレートといった重合性モノマーなどの他の任意成分を分散体に加えることができる。
【0032】
本明細書に記載されるような分散体は、少なくとも1つの溶媒を含む。分散体に含まれる少なくとも1つの溶媒は、ナノ粒子が懸濁される媒体として機能する。本明細書に記載されるような分散体の一例は、少なくとも1つの有機溶媒を含む。本明細書に記載されるような分散体の一例は、少なくとも1つの極性有機溶媒を含む。本明細書に記載されるような分散体の一例は、1−メトキシ−2−プロパノール(本明細書では「PM」と称される)、メチルエチルケトン(本明細書では「MEK」と称される)メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢酸ブチル、酢酸メチルプロピル(MPA)、メチルイソアミルケトン(MIAK)、アセトン、EEP/MEK又はこれらの組み合わせを含む。別の例示的な分散体は、エステル及びケトンの混合物を含む。
【0033】
本明細書に記載されるような分散体の一例は、分散体の総重量に基づいて約10重量%〜約90重量%の少なくとも1つの溶媒を含むことができる。本明細書に記載されるような分散体の一例は、分散体の総重量に基づいて約15重量%〜50重量%の少なくとも1つの溶媒を含むことができる。本明細書に記載されるような分散体の一例は、分散体の総重量に基づいて約20重量%〜30重量%の少なくとも1つの溶媒を含むことができる。本明細書に記載されるような分散体の一例は、分散体の総重量に基づいて約25重量%の少なくとも1つの溶媒を含むことができる。
【0034】
本明細書に記載されるような分散体は、ナノ粒子を含む。ナノ粒子は、一般に、赤外線吸収性、導電性、又は赤外線吸収性及び導電性の両方である。一例では、ナノ粒子は、一般に、分散体を使用して製造される物品に赤外線吸収性又は導電特性を提供するために機能する。
【0035】
ナノ粒子が赤外線吸収性粒子である一例では、赤外光吸収分子は、許容可能なレベルのヘイズを有する物品を形成するために選択することができる。一般に、光学層内の粒子は、粒子の寸法が大きくなるにつれて、ヘイズに効果を有し始める。一実施形態では、関連性のある波長(すなわち、可視光線)よりも10倍小さな因子である粒子は、許容不可能な程度まで層のヘイズに影響しない。1つのこのような実施形態では、約5%以下のヘイズ値を有する物品は、一般に、許容可能であると考えられる。別の例では、約3%以下のヘイズ値を有する物品は、一般に、許容可能であると考えられる。
【0036】
一実施形態では、赤外光吸収性粒子には、金属酸化物粒子が挙げられる。赤外線吸収性層を作るために分散体が使用される例では、粒子の他の光学特性が関連するようになる。酸化物ナノ粒子は、典型的には有色であり、電磁スペクトルの異なる部分を吸収する。光学物品が、できるだけ多くの赤外線を拒絶しながら高可視光透過を有することが望ましくあり得る。赤外線は、一般に、780nm〜2500nmの電磁放射線を指す。一実施形態では、金属酸化物ナノ粒子(以下に例示されるものなど)の濃度は、一般に、100%近くの吸光が1800nmよりも高い波長で達成され、別の実施形態では、100%の吸光が1500nmよりも高い波長で達成されるように、選択される。このような濃度では、少なくとも50%の可視光線透過率が所望され、別の実施形態では、少なくとも70%の可視光線透過率が所望される。
【0037】
本明細書で開示されるような分散体中で赤外線吸収性粒子として使用できる例示的な金属酸化物ナノ粒子には、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム及び酸化亜鉛及びドープ酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、金属酸化物ナノ粒子には、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、インジウムドープ酸化スズ、アンチモンドープ酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ(antinomy tin oxide)、アンチモンドープ酸化スズ、及びこれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、金属酸化物ナノ粒子には、酸化スズ又はドープ酸化スズが挙げられ、所望により、更に酸化アンチモン及び/又は酸化インジウムが挙げられる。ナノ粒子は、例えば、約1〜約100ナノメートル、約4〜約50ナノメートル、約10〜約20ナノメートル、又は約15ナノメートルといったような任意の有用な寸法を有することができる。いくつかの実施形態では、金属酸化物ナノ粒子には、高分子材料中に分散された、又は下に位置する粒子上にコーティングされた、酸化アンチモンスズ又はドープ酸化アンチモンスズが挙げられる。
【0038】
一実施形態では、本明細書に開示されるような分散体は、所望される量の赤外線吸収を供給する粒子を提供するために、十分な量の赤外線吸収性粒子を含む。本明細書に開示されるような分散体の一例では、赤外線吸収性粒子は、分散体の総重量に基づいて約5重量%〜約80重量%の範囲で存在する。本明細書に開示されるような分散体の一例では、赤外線吸収性粒子は、分散体の総重量に基づいて約40重量%〜約75重量%の範囲で存在する。本明細書に開示されるような分散体の一例では、赤外線吸収性粒子は、分散体の総重量に基づいて約50重量%〜約70重量%の範囲で存在する。本明細書に開示されるような分散体の一例では、赤外線吸収性粒子は、分散体の総重量に基づいて約60重量%〜約70重量%の範囲で存在する。本明細書に開示されるような分散体の一例では、赤外線吸収性粒子は、分散体の総重量に基づいて約60重量%〜約80重量%の範囲で存在する。
【0039】
導電特性を有する物品を製造するために使用できる例示的な分散体では、ナノ粒子の量は、最終物品が有することを所望される伝導度のレベルに少なくとも部分的に基づいて選択することができる。本明細書に開示されるような分散体の一例では、導電性粒子は、分散体の総重量に基づいて約5重量%〜約80重量%の範囲で存在することができる。本明細書に開示されるような分散体の一例では、導電性粒子は、分散体の総重量に基づいて約40重量%〜約75重量%の範囲で存在することができる。本明細書に開示されるような分散体の一例では、導電性粒子は、分散体の総重量に基づいて約50重量%〜約70重量%の範囲で存在することができる。
【0040】
本明細書に開示されるような分散体は、少なくとも1つの分散剤を含む。分散剤は、一般に、粒子が粒塊形成するのを防止するために、粒子と媒体(溶媒及び/又はモノマー/ポリマー)とを相溶性にできる中間層を形成する。分散剤は、一般に、少なくとも2つの異なる種類の基を含有し、1つは1つの成分と結合し、1つは別の成分と結合する。本明細書で開示されるような分散体内で利用できる分散剤には、ポリカプロラクトン−ポリアミンコポリマー及びポリカプロラクトン−多塩基酸コポリマーが挙げられる。
【0041】
塩基性固定基を有する高分子分散剤を含む分散剤では、塩基当量は、利用できる分散剤をより特定的に記載するのに使用することができる。塩基当量は、分散剤の塩基性基を滴定するのに必要とされる酸の量であり、分散剤中の塩基濃度の指標である。塩基当量(BE)数が高いほど、分散剤上の塩基性基を滴定するのに必要である酸が少なくなることを示し、したがって、分散剤は弱塩基性であり、逆に、BE数が低いほど、分散剤上の塩基性基を滴定するのに必要である酸が多くなることを示し、したがって、分散剤は強塩基性である。
【0042】
分散剤のBEを評価する一方法は、以下の通りである。10滴のブロモフェノールブルー指示薬(0.2%(重量/重量))及び0.1mLのN/10塩酸(0.1M)を100mLのジクロロメタン(ARグレード)及び100mLのイソプロパノール(ARグレード、ブロモフェノール指示薬に対して前もって中和しておく)の溶液に加えることにより、ブランク溶液を調製する。試験される試料の量を正確に測定して250mLのフラスコの中に入れ、100mLのジクロロメタン(ARグレード)を加えることにより、試料溶液を調製する。試料が十分に溶解するまで、(白い攪拌棒を使用して−有色の攪拌棒は終点の決定に影響を及ぼす)電磁攪拌器上で試料を攪拌する(しかし加熱しない)。次に、100mLのイソプロパノール(ARグレード)及び10滴のブロモフェノールブルー指示薬(0.2%(重量/重量)を試料に加える。次に、N/10塩酸(0.1M)で試料を、ブランク溶液により示される色に一致する明黄色の終点まで滴定する。塩基当量(BE)は、下式により与えられる。
【0043】
【数1】

【0044】
式中、Fは、0.1MのHClのファクターである。
【0045】
例示的な分散体では、利用できるポリカプロラクトン−ポリアミン分散剤は、約680〜約820のBEを有する。
【0046】
ポリアミン基を含む高分子分散体ではアミンモル比も、分散体で利用できる分散剤をより特定的に表現するために使用することができる。アミンモル比は、塩基としてのポリマーの強度の指標である高分子分散剤中のアミン含有基の相対数を表現する。アミンモル比は、分散剤の核磁気共鳴(NMR)分析に基づいて決定することができる。試料はNMRで試験され、アミン官能性に起因するピークが組み込まれ、これらのピークの領域が、アミンピークと他のピークとの比を得るために、分散剤の他のピークと比較される。例示的な分散体では、利用できるポリカプロラクトン−ポリアミン分散剤は、約20〜約30のアミンモル比を有する。例示的な分散体では、利用できるポリカプロラクトン−ポリアミン分散剤は、約23を超えるアミンモル比を有する。例示的な分散体では、利用できるポリカプロラクトン−ポリアミン分散剤は、約25を超えるアミンモル比を有する。
【0047】
本明細書に記載されるような分散体で利用できる特定のポリカプロラクトン−ポリアミン分散剤には、Lubrizol SOLPLUS(登録商標)D510、Lubrizol SOLSPERSE(登録商標)39000、Lubrizol SOLSPERSE(登録商標)38500、Lubrizol SOLSPERSE(登録商標)32000、Lubrizol SOLSPERSE(登録商標)24000、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書に記載されるような分散体の一例は、分散体中のナノ粒子の重量に基づいて約0.5重量%〜約50重量%の少なくとも1つのポリカプロラクトン−ポリアミン分散剤を含むことができる。本明細書に記載されるような分散体の一例は、分散体中のナノ粒子の重量に基づいて約5重量%〜約25重量%の少なくとも1つのポリカプロラクトン−ポリアミン分散剤を含むことができる。本明細書に記載されるような分散体の一例は、分散体中のナノ粒子の重量に基づいて約10重量%〜約20重量%の少なくとも1つのポリカプロラクトン−ポリアミン分散剤を含むことができる。本明細書に記載されるような分散体の一例は、分散体中のナノ粒子の重量に基づいて約12.5重量%〜約17.5重量%の少なくとも1つのポリカプロラクトン−ポリアミン分散剤を含むことができる。
【0049】
ポリカプロラクトン−多塩基酸コポリマー分散剤を含む分散体では、酸価は、ポリカプロラクトン−多塩基酸コポリマーをより特定的に表現するために、使用することができる。酸価は、分散剤の酸性基を滴定するのに必要とされる塩基の量であり、分散剤中の酸濃度の指標である。酸価(AV)数が高いほど、分散剤上の酸性基を滴定するのに必要である塩基が多くなることを示し、したがって、分散剤は強塩基性であり、逆に、AV数が低いほど、分散剤上の酸性基を滴定するのに必要である塩基が少なくなることを示し、したがって、分散剤は弱塩基性である。
【0050】
分散剤の酸価(AV)を評価する一方法は、以下の通りである。まず、フェノールフタレインを指示薬として使用して、0.1Mの塩酸25.0mLをアルコール性水酸化カリウム溶液(50部(体積による)のトルエン(ARグレード)、25部(体積による)のエタノール64OP(ARグレード)及び25部(体積による)のn−ブタノール(ARグレード))で滴定することにより、アルコール性水酸化カリウム(KOH)溶液のファクターを決定しなければならない。アルコール性KOPHのファクターは以下のように与えられる。
【0051】
【数2】

【0052】
式中、Fは、0.1Mの塩酸のファクターである。
【0053】
4.0〜5.0gの試料を正確に測定して乾燥した250mLの三角フラスコに入れ、フェノールフタレインに対して0.1Mのアルコール性KOHで前もって中和しておいた100mLの混合溶媒(50部(体積による)のトルエン(ARグレード)、25部(体積による)のエタノール64OP(ARグレード)及び25部(体積による)のn−ブタノール(ARグレード))中に溶解させることにより、試料溶液を調製する。次に、指示薬としてフェノールフタレインを使用して、溶液を0.1Mのアルコール性KOHで滴定する。次に、試料の酸価を下式により計算する。
【0054】
【数3】

【0055】
例示的な分散体では、利用できるポリカプロラクトン−多塩基酸分散剤は、約200〜約240の酸価を有する。
【0056】
本明細書で記載されるような分散体中で利用できる特定のポリカプロラクトン−多塩基酸分散剤には、Lubrizol SOLPLUS(登録商標)D520、SOLSPERSE 36000及びSOLSPERSE 41000が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
本明細書に記載されるような分散体の一例は、分散体の重量に基づいて約0.5重量%〜約50重量%の少なくとも1つのポリカプロラクトン−多塩基酸分散剤を含むことができる。本明細書に記載されるような分散体の一例は、分散体中のナノ粒子の重量に基づいて約5重量%〜約25重量%の少なくとも1つのポリカプロラクトン−多塩基酸分散剤を含むことができる。本明細書に記載されるような分散体の一例は、分散体中のナノ粒子の重量に基づいて約10重量%〜約20重量%の少なくとも1つのポリカプロラクトン−多塩基酸分散剤を含むことができる。本明細書に記載されるような分散体の一例は、分散体中のナノ粒子の重量に基づいて約12.5重量%〜約17.5重量%の少なくとも1つのポリカプロラクトン−多塩基酸分散剤を含むことができる。
【0058】
本明細書で記載されるような分散体は、所望により、アミン変性アクリレートを含むことができる。分散体がアクリレートと組み合わされるようになっている実施形態では、アミン変性アクリレートの添加は、ナノ粒子の表面に同時に吸着し、そのアクリレート鎖を分散体中に懸濁し、これにより、分散体及びその成分は、組み合わされることになるアクリレートと化学反応することが可能になり得る。一般に、任意のアミン変性アクリレート(AMA)を分散体と組み合わせてもよい。一般に、AMAの鎖長は、容易に粒子表面を去る長すぎる鎖長のAMAと、媒体からの粒子の適切な遮蔽を提供しない短すぎる鎖長と、の間の妥協点である。AMAの特定の選択に影響し得る他の留意事項には、使用されるAMAの量、AMAがどんな種類のアミンなのか(例えば、第二級又は第三級)、高分子鎖内のアミンの位置、AMA内でのアミンの濃度、及びAMAの総分子量が挙げられるが、これらに限定されない。AMAは、一般に分散剤として機能するが、「反応性分散剤」である。「正規の」分散剤ほど効率的ではない可能性があるが、使用されなければならない「正規の」分散剤の量を最小化することができる。
【0059】
例示的な分散体において、AMAには、Cytec EBECRYL(登録商標)3703、Cytec EBECRYL(登録商標)7100、Sartomer CN2100,及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。Lubrizol SOLPLUS(登録商標)D510を含む例示的な分散体では、Cytec EBECRYL(登録商標)3703、Cytec EBECRYL(登録商標)7100、Sartomer CN2100又はこれらのいくつかの組み合わせのいずれかもまた、所望により、含むことができる。
【0060】
所望により1つ以上のAMAを含む例示的な分散体では、分散体は、一般に、分散体中のナノ粒子の重量に基づいて約0.5重量%〜10重量%の1つ以上のポリカプロラクトン−ポリアミン分散剤と、分散体中のナノ粒子の重量に基づいて0.5重量%〜約20重量%の少なくとも1つのAMAと、を含むことができる。別の例示的な分散体は、分散体中のナノ粒子の重量に基づいて5重量%以下のSOLPLUS(登録商標)D510と、分散体中のナノ粒子の重量に基づいて約20重量%未満のCytec EBECRYL(登録商標)3703と、を含む。別の例示的な分散体は、分散体中のナノ粒子の重量に基づいて8重量%以下のLubrizol SOLPLUS(登録商標)D510と、分散体中のナノ粒子の重量に基づいて約20重量%未満のCytec EBECRYL(登録商標)7100と、を含む。別の例示的な分散体は、分散体中のナノ粒子の重量に基づいて6重量%以下のSOLPLUS(登録商標)D510と、分散体中のナノ粒子の重量に基づいて約20重量%未満のSartomer CN2100と、を含む。
【0061】
本明細書に記載されるような分散体はまた、様々な用途に利用できる組成物を製造するために、他の成分と組み合わせることができる。一例として、本明細書に記載されるような分散体は、少なくとも1つの放射線硬化性モノマーと組み合わせることができる。
【0062】
好適な放射線硬化性モノマーには、アクリレート及び/又はメタクリレートモノマーの生成物が挙げられる。好適な硬化性モノマーには、米国特許第6,355,754号に記載されているような、臭素化、アルキル置換フェニルアクリレート又はメタクリレート(例えば、4,6−ジブロモ−2−sec−ブチルフェニルアクリレート)、メチルスチレンモノマー、臭素化エポキシジアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、及びヘキサ−官能性芳香族ウレタンアクリレートオリゴマーが挙げられる。ほとんどのタイプのエネルギー重合性テレケリックモノマー及びオリゴマーが放射線硬化性モノマーとして有用である一方、アクリレートは、その高反応性のために、数多くの用途で使用される。放射線硬化性モノマー含有組成物は、気泡が組成物中に捕捉されない程度に低い流動可能である粘度を有するべきである。反応性希釈剤は、単又は二官能性モノマー、例えば、Exton,PaのSartomer Co.から入手可能のSR−339、SR−256、SR−379、SR−395、SR−440、SR−506、CD−611、SR−212、SR−230、SR−238、及びSR−247などとすることができる。典型的な有用なオリゴマー及びオリゴマーブレンドには、Exton,Pa.のSartomer Co.から入手可能のCN−120、CN−104、CN−115、CN−116、CN−117、CN−118、CN−119、CN−970A60、CN−972、CN−973A80、CN−975、及びSmyrna,Ga.のSurface Specialtiesから入手可能のEbecryl1608、3200、3201、3302、3605、3700、3701、608、RDX−51027、220、9220、4827、4849、6602、6700−20Tが挙げられるが、これらに限定されない。付加的に、多官能性架橋剤は、耐久性のある高架橋密度の複合材料マトリックスを実現するのに役立つことができる。多官能性モノマーの例には、Exton,Pa.のSartomer Co.から入手可能のSR−295、SR−444、SR−351、SR−399、SR−355及びSR−368並びにSmyrna,Ga.のSurface Specialtiesから入手可能のPETA−K、PETIA及びTMPTA−Nが挙げられるが、これらに限定されない。多官能性モノマーは、組成物を硬化することによってもたらされる生成物のガラス転移温度を上昇させるための架橋剤として使用することができる。
【0063】
組成物中に含むことができる1つ以上の放射線硬化モノマーの量は、少なくとも部分的に組成物の最終用途と、使用されることになる特定の放射線硬化性モノマーと、に依存し得る。本明細書に記載されるような分散体を利用する例示的な組成物では、組成物の総重量に基づいて約10重量%〜約50重量%の少なくとも1つの放射線硬化性モノマーを組成物中に含むことができる。本明細書に記載されるような分散体を利用する別の例示的な組成物では、組成物の総重量に基づいて少なくとも約20重量%の少なくとも1つの放射線硬化性モノマーを組成物中に含むことができる。本明細書に記載されるような分散体を利用する別の例示的な組成物では、組成物の総重量に基づいて少なくとも約25重量%の少なくとも1つの放射線硬化性モノマーを組成物中に含むことができる。本明細書に記載されるような分散体を利用する別の例示的な組成物では、組成物の総重量に基づいて少なくとも約30重量%の少なくとも1つの放射線硬化性モノマーを組成物中に含むことができる。
【0064】
本明細書に記載するような分散体を含む組成物及び少なくとも1つの放射線硬化性モノマーはまた、所望により第二溶媒を含むことができる。任意の第二溶媒は、分散体中に含まれるものとは異なる溶媒である必要はないが、そのような場合には、ただ、分散体が既に形成された後に時間的に後から加えられるので、第二溶媒と呼ばれることに留意すべきである。第二溶媒は、分散体と少なくとも1つの放射線硬化性モノマーとの混合の助けとなるように、分散体と少なくとも1つの放射線硬化性モノマーとの相溶性の助けとなるように、又はこれらの組み合わせて、機能することができる。第二溶媒は一般に有機溶媒であり、分散体中に含有される溶媒と同一の又は異なるものであることができる。溶媒が分散体中の溶媒と異なる場合、分散体を少なくとも1つの放射線硬化性モノマーと混合するときに2つの異なる相が形成されないように、第二溶媒は一般に分散体中の溶媒と相溶性であることができる。
【0065】
第二溶媒として利用できる例示的な有機溶媒には、メタノール、エタノール、カルビトール及びイソプロパノールなどのアルコール、酢酸エチルなどのエステル、トルエンなどの芳香族溶媒、ジエチルエーテル、THF及びt−ブチルメチルエーテルなどのエーテル及びアセトン及びメチルイソブチルケトンなどのケトンなどの極性溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホンなどの他の溶媒系もまた使用することができる。
【0066】
硬化を促進するために、本明細書に記載されるような組成物はまた、少なくとも1つの反応開始剤を含むことができる。有用な反応開始剤には、フリーラジカル熱反応開始剤及び/又は光開始剤を挙げることができる。反応開始剤及び/又は光開始剤は、典型的には組成物の10重量%未満、一実施形態では5重量%未満、別の実施形態では2重量%未満で存在する。フリーラジカル硬化技術は当該分野で周知であり、例えば熱による硬化法並びに電子ビーム又は紫外放射線などの放射線による硬化法が挙げられる。フリーラジカル熱及び光重合技術に関する更なる詳細は、例えば、米国特許第4,654,233号(Grantら)、同第4,855,184号(Klunら)、及び同第6,224,949号(Wrightら)に見出すことができる。
【0067】
有用なフリーラジカル熱開始剤には、例えば、アゾ、ペルオキシド、ペルスルフェート及びレドックス開始剤並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0068】
有用なフリーラジカル光開始剤としては、例えば、アクリレートポリマー類の紫外線硬化に有用であることが公知であるものが挙げられる。このような反応開始剤には、ベンゾフェノン及びその誘導体、ベンゾイン、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン、α−アリルベンゾイン、α−ベンジルベンゾイン、(Tarrytown,New YorkのCiba Specialty Chemicals Corporationから商標表記「IRGACURE 651」で市販されている)ベンジルジメチルケタールなどのベンゾインエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、(Ciba Specialty Chemicals Corporationから商標表記「DAROCUR 1173」で市販されている)2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノンなど及び(更にCiba Specialty Chemicals Corporationから商標表記「IRGACURE 184」で市販されている)1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのアセトフェノン及びその誘導体、(更にCiba Specialty Chemicals Corporationから商標表記「IRGACURE 907」で市販されている)2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン、(Ciba Specialty Chemicals Corporationから商標表記「IRGACURE 369」で市販されている)2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、ベンゾフェノンとその誘導体及びアントラキノンとその誘導体などの芳香族ケトン、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩などのオニウム塩、例えば、更にCiba Specialty Chemicals Corporationから商標表記「CGI 784 DC」で市販されているものなどのチタン錯体、ハロメチルニトロベンゼン、並びに、Ciba Specialty Chemicals Corporationから商標表記「IRGACURE 1700」、「IRGACURE1800」、「IRGACURE 1850」、「IRGACURE 819」、「IRGACURE 2005」、「IRGACURE 2010」、「IRGACURE 2020」及び「DAROCUR 4265」で市販されているものなどのモノ−及びビス−アシルホスフィンが挙げられるが、これらに限定されない。2つ以上の光開始剤の組み合わせもまた使用されてもよい。更に、Pascagoula,MSのFirst Chemical Corporationから市販されている2−イソプロピルチオキサントンなどの増感剤を「IRGACURE 369」などの光開始剤と組み合わせて使用してもよい。
【0069】
光学物品で使用されるとき、組成物はまた、異なる用途のための要件に見合う良好なコーティング及び改善された性能(例えば、接着促進剤)などの所望されるような他の物質を含んでもよい。一実施形態では、3M Co.に譲渡された米国特許第6,613,819号「Light Stable Articles」に記載の1つ以上のヒンダードアミン光安定剤(HALS)及び/又は1つ以上のホスホネート安定剤化合物が重合可能なコーティング組成物中に加えられてもよい。
【0070】
光学物品を形成するために利用できる組成物はまた、層に付随する静電気を低減するために所望により組み込むことができる他の無機粒子を含むことができる。一般に、このような特性を提供するために、金属酸化物を利用することができる。金属酸化物はまた、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどの物質で表面処理することができる。これらの粒子は、帯電防止特性及び他の望ましい特性を有する構成体を提供することができる。これは、フィルムの操作時及び洗浄時に、静電帯電並びにその結果の埃及び他の不必要なくずの付着による汚染を防止するために望ましいものであり得る。1つのこのような実施形態では、このような金属酸化物粒子は、2層の物品の上(薄)層の中に組み込まれる。適切な帯電防止特性を付与するためにこのような粒子がコーティング中に必要とされ得る濃度(典型的には25重量%以上)で、これらの濃い色の粒子は、所望されない色を構成体に付与し得る。しかしながら、2層のフッ素化構成体の薄い上層では、フィルムの光学及び透過特性へのそれらの影響は、最小化することができる。本実施形態で有用な導電性金属酸化物ナノ粒子の例には、Nissan Chemicalから商品名Celnax CXZ−210IP及びCXZ−210IP−F2で入手可能なアンチモン複酸化物が挙げられる。これらの粒子がコーティングに好適な濃度で含まれるとき、得られるコーティングは、約0.5秒未満の静電荷減衰を呈し得る。この試験では、試料を2つの電気接点の間に配置し、±5kVに帯電させる。次に、試料を接地させ、電荷がその初期値の10%にまで減衰するのに必要な時間を測定し、静電減衰時間として記録する。対照的に、導電性ナノ粒子を含有しないフィルム構成体は、>30秒の静電減衰時間を呈する。
【0071】
本明細書に記載されるような例示的な組成物は、フィルムの中にコーティングし、溶媒、第二溶媒又は両方を除去するために乾燥させることができる。このような乾燥後、様々な成分の量(乾燥したフィルムの総重量に基づく)は変化し得る。一実施形態では、本明細書に記載されるような分散体を利用するフィルムは、一般に、約40重量%〜約70重量%のナノ粒子と、約20重量%〜約40重量%の少なくとも1つの放射線硬化性モノマーと、約5重量%〜約20重量%の分散剤と、を含むことができる(全て重量%は、乾燥したフィルムの総重量に基づく)。
【0072】
本明細書で議論されるような分散体、組成物及びフィルムは、光学物品中で利用することができる。本明細書に開示されている分散体を利用し得る例示的な光学物品には、赤外光源から赤外光を遮蔽するための光制御物品が挙げられる。
【0073】
図1は、多層光学フィルム20を示す。フィルムは、個々の層22、24を含む。それらの層が異なった屈折率特性を有すると、一部の光は隣接する層間の境界面において反射される。この層は、フィルムに所望の反射又は透過特性をもたらす目的で、複数の境界面で反射した光に建設的又は相殺的干渉をもたらすほど十分に薄い。紫外線、可視線、又は、近赤外線の波長の光を反射するように設計されている光学フィルムでは、各層の光学的厚み(すなわち、物理的厚みに屈折指数を乗じた数値)は一般に、約1マイクロメートル未満である。ただし、フィルム外面にある表面薄層、又は、層の束を分離する、フィルム内に配置される保護境界層のような、これよりも厚い層を含むこともできる。
【0074】
多層光学フィルム20の反射及び透過特性は、それぞれの層(すなわち、微小層)の屈折率の関数である。各層は、フィルムの少なくとも局所位置においては、面内屈折率n、n、及びフィルムの厚み方向軸と関連のある屈折率nによって特徴づけることができる。これらの屈折率は、それぞれ、互いに直交するx軸、y軸、及びz軸に沿って偏光された光についての対象材料の屈折率を表す(図1参照)。実際には、屈折率は、賢明な材料選択及び加工条件によって制御する。フィルム20は、2つの交互のポリマーA、Bの、通常は数十又は数百の層を共押出しし、その後、所望により、多層押出物を1つ以上の増倍のダイに通過させ、次に、押出物を伸張させる又は他の方法で配向させて、最終フィルムを形成することによって、製造することができる。結果として生じるフィルムは、通常は数10又は数100の個々の層からなり、この層の厚さ及び屈折率は、例えば可視、近赤外、及び/又は赤外スペクトルの所望の領域において1つ以上の反射バンドをもたらすように調整される。適度な数の層で高い反射率を実現させるために、隣接し合う層では、x軸に沿って偏光した光の屈折率の差(Δn)が少なくとも0.05を呈することができる。いくつかの実施形態では、2つの直交する偏光で高い反射率が望ましい場合、隣接し合う層では、y軸に沿って偏光した光の屈折率の差(Δn)も少なくとも0.05である。別の実施形態では、ある1つの偏光状態の法線入射光を反射させると共に、直交偏光状態の法線入射光を透過する層スタックを作製させるために、屈折率の差Δnは0.05未満又は0にできる。
【0075】
所望される場合には、隣接し合う層の間における、z軸に沿って偏光した光の屈折率の差(Δn)も、斜入射光のp偏光成分で所望の反射特性を得られるように調整することができる。説明を容易にするために、x軸は、多層光学フィルム上のいずれかの対象ポイントで、Δnの大きさが最大になるようにフィルムの平面内で向けられると考えられる。したがって、Δnの大きさは、Δnの大きさと等しい(しかしそれを超えない)か又はそれより小さくてもよい更に、差Δn、Δn、Δnの計算を始める材料層の選択は、Δnが負にならないように決定される。換言すると、境界をなす2つの層の屈折率の差は、Δn=n1j−n2jであり、ここで、j=x、y又はzであり、層の名称1,2は、n1x≧n2x(即ち、Δn≧0)になるように選択される。
【0076】
斜めの入射角でのp偏光の高い反射率を維持するために、Δn≦0.5×Δnとなるように、層間のz屈折率の不整合Δnを制御して、最大面内屈折率の差Δnより実質的に小さくすることができる。一実施形態では、Δn≦0.25×Δn。z屈折率の不一致の大きさがゼロ又はほぼゼロである場合、p偏光に対する反射率が入射角の関数として一定又はほぼ一定である界面が層の間に生じる。更に、z屈折率の不一致Δnは、面内屈折率の差Δnと比較して反対の極性を有するように、すなわち、Δn<0であるように、制御することができる。この条件は、s偏光の場合と同様に、p偏光に対する反射率が、入射角の増加と共に増加する境界面をもたらす。
【0077】
多層光学フィルムは、例えば、米国特許第3,610,724号(Rogers)、同第3,711,176号(Alfrey,Jr.ら)「Highly Reflective Thermoplastic Optical Bodies For Infrared, Visible or Ultraviolet Light」、同第4,446,305号(Rogersら)、同第4,540,623号(Imら)、同第5,448,404号(Schrenkら)、同第5,882,774号(Jonzaら)「Optical Film」、同第6,045,894号(Jonzaら)「Clear to Colored Security Film」、同第6,531,230号(Weberら)「Color Shifting Film」、国際公開WO 99/39224号(Ouderkirkら)「Infrared Interference Filter」、及び米国特許出願公開第2001/0022982(A1)号(Neavinら)「Apparatus For Making Multilayer Optical Films」に記載されている。このような高分子多層光学フィルムでは、個々の層の構成に主として又は独占的に高分子物質が使用される。このようなフィルムは、大量製造プロセスに対応することができ、大型のシート及びロール商品の形で作製してもよい。
【0078】
多層フィルムは、交互性ポリマータイプ層のいずれか有用な組み合わせによって形成させることができる。多くの実施形態において、交互のポリマー層の少なくとも1つは複屈折かつ配向されている。一部の実施形態では、交互のポリマー層の1つは複屈折かつ配向されており、他の交互のポリマー層は等方性である。ある1つの実施形態では、多層光学フィルムは、第一のポリマータイプ、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンテレフタレートのコポリマー(coPET)と、第二のポリマータイプ、例えばポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)又はポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)のコポリマー(coPMMA)との層を交互にすることによって形成する。別の実施形態では、多層光学フィルムは、第一のポリマータイプ、例えばポリエチレンテレフタレートと、第二のポリマータイプ、例えばポリ(メチルメタクリレート及びエチルアクリレート)のコポリマーの層を交互にすることによって形成させる。別の実施形態では、多層光学フィルムは、第一のポリマータイプ、例えばグリコール化ポリエチレンテレフタレート(PETG−コポリマーエチレンテレフタレート及び第二のグリコール部分、例えばシクロヘキサンジメタノール)又はグリコール化ポリエチレンテレフタレートのコポリマー(coPETG)と、第二のポリマータイプ、例えばポリエチレンナフタレート(PEN)又はポリエチレンナフタレートのコポリマー(coPEN)の層を交互にすることによって形成させる。別の実施形態では、多層光学フィルムは、第一のポリマータイプ、例えばポリエチレンナフタレート又はポリエチレンナフタレートのコポリマーと、第二のポリマータイプ、例えばポリ(メチルメタクリレート)又はポリ(メチルメタクリレート)のコポリマーの層を交互にすることによって形成させる。交互に重ねたポリマータイプ層の有用な組み合わせは、米国特許第6,352,761号及び同第6,797,396号に開示されている。
【0079】
図2は、太陽光制御多層フィルム物品100の一実施形態を概略的に示す。フィルム100は、前述のように、第一のポリマータイプと第二のポリマータイプとの交互の層を有する赤外光反射多層フィルム110を含む。赤外光吸収層120は、多層フィルム110に隣接して配置される。本明細書に記載されるような分散体は、赤外光吸収層120を製造するために利用することができる。接着層130は、多層フィルム110上に配置することができる。剥離層又は基材140は、接着層130上に配置することができる。任意の第二のハードコート層150は、多層フィルム110に隣接して配置することができる。
【0080】
多くの実施形態では、フィルム100は、前述のように、第一のポリマータイプと第二のポリマータイプとの交互の層を有する赤外光反射多層フィルム110を含んでおり、赤外光吸収層120が、多層フィルム110に隣接して配置される。一部の実施形態では、この赤外光吸収層120の厚さは、1〜20マイクロメートル、又は1〜10マイクロメートル、又は1〜5マイクロメートルの範囲である。接着層130は、多層フィルム110上に配置することができる。剥離層又は任意の基材140は、接着層130上に配置することができる。
【0081】
図3は、太陽光制御多層フィルム物品200の別の実施形態を概略的に示す。フィルム200は、前述のように、第一のポリマータイプと第二のポリマータイプとの交互の層を有する赤外光反射多層フィルム210を含む。赤外光吸収層220は、多層フィルム210に隣接して配置される。任意の中間接着層270は、赤外光吸収層220と多層フィルム210との間に配置することができる。接着層230は、多層フィルム210上に配置される。剥離層又は光学基材240は、感圧性接着層230上に配置することができる。任意のハードコート層250は、多層フィルム210に隣接して配置することができる。任意の中間高分子層260は、ハードコート層250と中間接着層270との間に配置される。
【0082】
上記の多層フィルム物品は、改良型の太陽光制御フィルム物品を提供する。いくつかの実施形態では、多層フィルム物品は、平均可視光線透過率(400〜780nm)が少なくとも45%であり、780nm〜2500nmについての平均赤外光透過率が10%未満又は15%未満である。いくつかの実施形態では、多層フィルム物品は、平均可視光線透過率が少なくとも60%であり、950nm〜2500nmの実質的に全ての波長についての赤外光透過率が20%以下である。いくつかの実施形態では、多層フィルム物品の780nm〜1200nmにおける平均光反射率は50%以上であり、1400〜2500nmにおける平均光透過率は50%以下である。更なる実施形態では、多層フィルム物品の780nm〜1200nmにおける平均光反射率は80%以上であり、1400〜2500nmにおける平均光透過率は20%以下である。更なる実施形態では、多層フィルム物品の780nm〜1200nmにおける平均光反射率は90%以上であり、1400〜2500nmにおける平均光透過率は5%以下である。
【0083】
上記接着層130は、太陽光制御多層フィルムを基材に固定できる任意のタイプの接着剤を含むことができる。太陽光制御フィルムをガラスに取り付けるために、太陽光制御フィルムの1つの表面を接着剤でコーティングし、フィルムを基材に貼り付ける前に接着層から剥離シートを取り外す。紫外線吸収添加剤を接着層の中に組み込むことができる。
【0084】
一実施形態では、接着層130の接着剤は、感圧性接着剤(PSA)である。別の実施形態では、粘着剤は、湿気硬化性接着剤である。PSAを利用する実施形態では、PSAは、光学的に透明なPSAフィルム(例えばポリアクリレート感圧性接着剤)である。The Pressure−Sensitive Tape Councilは、感圧性接着剤を、以下の特性、(1)活動的かつ永続的な粘着力、(2)指圧を超えない圧力による接着性、(3)被接着体上に保持する十分な能力、(4)十分な貼着力、及び(5)エネルギー源による活性化を必要としない、を備える材料として定義している。PSAは通常、典型的には室温以上(すなわち、約20℃〜約30℃以上)であるアセンブリ温度で粘着性を示す。PSAとして十分に機能することがわかっている材料は、必須の粘弾性特性を示すように設計及び処方されており、その結果として、アセンブリ温度で接着性と剥離接着性と剪断保持力との望ましいバランスをもたらすポリマーである。PSAを調製する際に最も一般的に用いられているポリマーは、天然ゴム−、合成ゴム−(例えば、スチレン/ブタジエンコポリマー(SBR)及びスチレン/イソプレン/スチレン(SIS)ブロックコポリマー)、シリコーンエラストマー−、ポリα−オレフィン−、及び種々の(メタ)アクリレート−(例えば、アクリレート及びメタクリレート)系ポリマーである。これらのうち、(メタ)アクリレート系ポリマーPSAは、その光学的透明性、特性の長期間にわたる永続性(経時的安定性)、及び汎用な接着程度(これらはPSAの利点のほんの一部である)により、利用できるPSAの1つの部類として発展してきている。
【0085】
上記剥離ライナーは、例えばポリマー又は紙のような任意の有用な材料で形成することができ、剥離コートを含んでもよい。剥離コートで用いるのに好適な材料としては、接着剤から剥離ライナーを容易に剥離させるように設計されているフルオロポリマー、アクリル及びシリコーンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
上記基材は、任意の有用な材料から形成することができ、多くの実施形態では、光学基材である。いくつかの実施形態では、基材は、ポリマー材料、例えば、セルローストリアセテート、ポリカルボネート、ポリアクリレート、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートで形成されている。別の実施形態では、基材は、例えば、石英、ガラス、サファイア、YAG又は雲母などの無機材料で形成されている。基材には、任意の有用な厚みを持たせることができる。一実施形態では、基材は自動車用ガラス又は建築用ガラスである。グレージングシステムとして透明ガラス基材を含むいくつかの実施形態では、グレージングシステムは、70%以上のTVISにおいて、0.68以下、又は0.6以下、又は0.55以下、又は0.50以下の遮蔽係数を有する。
【0087】
前述したように、本明細書で開示されるような物品は、所望により、中間接着層270を含むことができる。中間接着層270は、任意の有用な材料で形成することができる。いくつかの実施形態では、中間接着層270は、前述のように感圧性接着材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、中間接着層270は、例えば熱又はUV又は湿気硬化性接着剤などの硬化性接着剤を含むことができる。中間接着剤層270は、例えば、1〜100マイクロメートル、又は5〜50マイクロメートル、又は10〜50マイクロメートル、又は10〜30マイクロメートルなど、いずれか有用な厚さを有することができる。
【0088】
任意の中間高分子層260は、任意の有用な材料で形成することができる。いくつかの実施形態では、中間高分子層260は、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、フルオロポリマー及びこれらに類するものを含むことができる。一実施形態では、中間高分子層260は、ポリエチレンテレフタレートを含むことができる。中間高分子層260は、例えば、5〜500マイクロメートル、又は10〜100マイクロメートル、又は25〜75マイクロメートル、又は25〜50マイクロメートルなど、いかなる有用な厚さも有することができる。
【0089】
本明細書に開示されるような物品はまた、耐引裂き性フィルム(図示せず)を含むことができる。多くの実施形態では、耐引裂き性フィルムは、剛性ポリマーと延性ポリマーとの交互の層を含む。いくつかの実施形態では、耐引裂き性フィルム160には、剛性ポリエステル又はコポリエステルと、延性のセバシン酸系コポリエステルとの交互の層が含まれる。多くの実施形態では、剛性ポリエステル若しくはコポリエステル層は、少なくとも1つの方向に配向している、及び/又は2軸配向している。これらの耐引裂き性フィルムの例は、米国特許第6,040,061号、同第5,427,842号及び同第5,604,019号に記載されている。
【0090】
他の実施形態では、耐引裂き性フィルムは、所望のレベルの耐引裂き性をもたらす単一のモノリシック高分子フィルムである。そのようなフィルムは、当該技術分野では「強靭な(tough)」高分子フィルムとして知られている。強靭性は、ポリマーが破断前に吸収できるエネルギーの指標として記述することができ、強靭なポリマーの例には、ABS(ポリ(アクリロニトリルブタジエンスチレン))、LDPE(線状低密度ポリエチレン)、HIPS(高衝撃ポリスチレン)、ポリウレタン及びこれらに類するものが挙げられる。更に、モノリシック高分子フィルムの厚さを増大させると、PET及びナイロンなどの一部のポリマーの使用を耐引裂き性フィルムとして利用できるようになることがある。
【0091】
「耐引裂き性」により、本開示による多層フィルムが、多層フィルムの剛性ポリマーだけを含む単層フィルムの同一方向でのグレーブス面積(Graves area)を超える、フィルムの一方向でのグレーブス面積を示すことが広く意味されており、この単層フィルムは、多層フィルムと同一の方式で、多層フィルムとほぼ同一の厚さに加工される。多くの実施形態では、耐引裂き性太陽光制御フィルムは、少なくとも約40+0.4(x)kpsi%に等しい、フィルムの一方向でのグレーブス面積を示しており、式中、xは、フィルムの公称厚さ(マイクロメートル)である。より具体的には、グレーブス面積は、グレーブス面積試験のために特に成形されたフィルム試料が引裂き応力を小さな面積に集中させるために一定速度で離される対向ジョー間にクランプ固定される試験の間に、フィルムが受けるひずみ(グレーブス伸び(%)によって測定される、以下でより詳細に定義する)に対する、フィルムが経験する応力(kpsiで測定される)のグラフプロットの、曲線の下の面積を数学的に積分することによって得られる。それゆえに、グレーブス面積は、フィルムの引張係数(すなわち、フィルムの剛性及び寸法安定性)と、フィルムが引裂きの進行に耐える能力との、複合指標である。したがって、グレーブス面積は、フィルムを破損させるのに必要な総エネルギー、すなわち、フィルムがエネルギーを吸収する能力の指標と見なすことができる。多くの実施形態では、耐引裂き性太陽光制御フィルムは、望ましくは、グレーブス面積試験の間に、少なくとも20%、又は少なくとも40%のグレーブス破断時伸びを示す。耐引裂き性太陽光制御フィルムは、ASTM試験方法D 1004(グレーブス引裂き試験としても知られる)によって測定することができる。
【0092】
加えて、本開示による多くの多層又はモノリシック耐引裂き性フィルムは、フィルムの少なくとも一方向に少なくとも175kpsi(1,208MPa)、又は少なくとも240kpsi(1,656MPa)、又は少なくとも450kpsi(3,105MPa)の引張係数(従来の引張試験で測定したとき)を示す。
【0093】
耐引裂き性多層フィルムの厚さと、耐引裂き性多層フィルムを構成する個々の層の厚さとは、広い限界にわたって多様なものとすることができる。これらのフィルムは、約7〜500マイクロメートル、又は約15〜185マイクロメートルの公称厚さを有することができる。剛性ポリエステル又はコポリエステルの個々の層は、少なくとも約0.5マイクロメートル、又は0.5超過〜75マイクロメートル、又は約1〜25マイクロメートルの平均公称厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、延性のセバシン酸系コポリエステル層は、剛性ポリエステル/コポリエステル層よりも薄い。延性材料層は、約0.01マイクロメートル超過から約5マイクロメートル未満まで、又は約0.2〜3マイクロメートルの平均公称厚さにわたることができる。同様に、個々の層の正確な順序は、重要ではない。層の総数は、また、かなり多様なものとすることができる。多くの実施形態では、耐引裂き性多層フィルムは、少なくとも3層、又は5〜35層、又は10〜15層を含む。
【0094】
実験
材料
酸化アンチモンスズ(ATO、Sb/SnO)ナノ粉末をInframat(Farmington,CT)から入手し、製品番号50N−510−2、99.5%であった。Sb:SnOの重量比は10:90であり、平均粒径は10〜20ナノメートル(BET)であり、BET表面積は40〜50m/gであった。
【0095】
1−メトキシ−2−プロパノール(PM)をAlfa Aesar,a Johnson Mattehey Co.(Ward Hill,MA)から入手した。
【0096】
SOLPLUS(登録商標)及びSOLSPERSE(登録商標)シリーズの超分散剤をLubrizol Corporation(Wickliffe,OH)から入手した。
【0097】
アミン変性アクリレート、EBECRYL(登録商標)83、EBECRYL(登録商標)3600、EBECRYL(登録商標)3703、EBECRYL(登録商標)7100、VIAFLEX(登録商標)100、VIAJET(登録商標)400及びVIASCREEN(登録商標)515をCytec Industries,Inc.(West Paterson,NJ)から入手した。
【0098】
アミン変性アクリレートCN551(アミン変性ポリエーテルアクリレートオリゴマー)及びCN2100(アミン変性エポキシアクリレート)をSartomer Company Inc.(Exton,PA)から入手した。
【実施例】
【0099】
(実施例I):様々なポリカプロラクトン−ポリアミン分散剤の評価
この実験は、様々な分散剤を評価するために設計された。各分散剤に対して同一のプロセス条件を使用し、分散体中の粒径を異なるミリング時間及び分散体濃度で測定した。各分散体中の開始時の物質(表1の「初期重量」に列挙されているもの)を10分間にわたってDispermat High Speed Laboratory Dissolver(BYK−Gardner USA,Columbia,MD)を使用してプレミックスした。これらの成分をプレミックスした後、これらを、0.2mmイットリウム安定化ジルコニアYTZ(登録商標)ミリングメディアを予め装填したNetzsch MiniCer Mill(Netzsch,Inc.Exton PA)に加え、250mL/分の流速で処理した。ミルを4300rpmで操作した。
【0100】
様々な組成物を最初、60重量%固体(WATO/(WATO + W溶媒)に標的設定した、一部の分散剤は、溶媒/ATO混合物に直接流入するのに十分な低さの粘度を有したが、一部の分散剤の粘度は、前もって溶媒でこれらを希釈することを必要とし、そのため、ATOとブレンドしている溶媒の重量はより少ないが、溶媒の全体の量は同一であった。加えた分散剤の量(下表)は、組成物中のATOの重量に基づく。実験は、分散剤の量を2.5%ずつ増加させ、次に以下に特定された時間にわたって分散体をミリングすることにより、達成された。ミリング時に分散体が増粘した場合には、特定の量の分散剤について時間はより短く、分散剤を追加した。
【0101】
【表1】

【0102】
上記のように調製した粒塊の粒径も測定した。粒径測定は、Malvern Instruments Zetasizer Nano ZS(Malvern Instruments Ltd Worcestershire,UK)上で行った。既知の技術により未修正の装置を使用して、粒径を測定した。4mWのHe−Ne 633nmレーザーを全測定で使用した。以下に提供されている測定値は、Z−平均寸法である。
【0103】
【表2−1】

【0104】
【表2−2】

【0105】
実施例II:ポリカプロラクトン−多塩基酸分散剤の評価
ポリカプロラクトン−多塩基酸コポリマーを分散体中で評価した。上記実施例Iに説明しているように、分散体を調製し、評価した。評価した2つのポリカプロラクトン−多塩基酸コポリマーは、Lubrizol SOLPLUS(登録商標)D520及びLubrizol SOLSPERSE(登録商標)36000であった。以下の表3の分散体を作製した。
【0106】
【表3】

【0107】
次に、上記実施例Iに与えた詳細に従って、分散体の平均粒径を測定した。結果を以下に示す。
【0108】
【表4】

【0109】
実施例III:ポリ(プロピレンオキシド)−ポリアミン分散剤とのポリカプロラクトン−ポリアミン分散剤の比較
ポリ(プロピレンオキシド)−ポリアミン分散剤を評価した。上記実施例Iに説明しているように、分散体を調製し、評価した。評価したポリ(プロピレンオキシド)−ポリアミンは、SOLSPERSE(登録商標)71000であった。以下の表5の分散体を作製した。
【0110】
【表5】

【0111】
次に、上記実施例Iに与えた詳細に従って、分散体の平均粒径を測定した。この結果を以下の表6に示す。
【0112】
【表6】

【0113】
実施例IV:多固定(Multi-anchoring)対単一固定(Single-anchoring)分散剤の比較
ポリエステル−ポリアミン単一固定分散剤を評価した。上記実施例Iに説明しているように、分散体を調製し、評価した。評価したポリエステル−ポリアミン単一固定分散剤は、SOLSPERSE(登録商標)19000であった。以下の表7の分散体を作製した。
【0114】
【表7】

【0115】
次に、上記実施例Iに与えた詳細に従って、分散体の平均粒径を測定した。この結果を以下の表8に示す。
【0116】
【表8】

【0117】
実施例V:共分散剤の評価
上記に評価した単一固定ポリエステル−ポリアミン分散剤をSOLPLUS(登録商標)D510と組み合わせて、組み合わせが分散体中で機能する能力を評価した。上記実施例1に従って、分散体を作製した。両方の実験は、510グラムのATO及び340グラムのPMで開始した。第一の実験では、25グラムのSOLSPERSE(登録商標)19000(ATOに対して5重量%)及び25グラムのSOLPLUS(登録商標)D510(ATOに対して5重量%)を開始時に加え、45分間にわたってミリングした。更に5%のD510を加え、1時間にわたって処理し、次に、更なる2.5%のD510(合計12.5%)を加え、更に1時間にわたって処理した。第二の実験では、5.1グラムのSOLSPERSE(登録商標)19000(ATOに対して1重量%)及び63.8グラムのSOLPLUS(登録商標)D510(ATOに対して12.5重量%)を開始時に加え、2時間にわたってミリングした。更に1%のSolsperse(登録商標)19000を加え、2時間にわたって処理し、次に、更なる1%のSolsperse(登録商標)19000(合計3%)を加え、更に4時間にわたって処理した。
【0118】
次に、上記実施例Iに与えた詳細に従って、分散体の平均粒径を測定した。この結果を以下の表9に示す。
【0119】
【表9】

【0120】
実施例VI:分散体とアミン変性アクリレートとを含有するコーティング組成物の評価
実施例Iと同様のやり方で分散体を調製した。ほとんどの試料の開始時の分散体は、500gのATO、333gの1−メトキシ−2−プロパノール、並びに、様々な量のアミン変性アクリレート(AMA)及びSOLPLUS(登録商標)D510を含有した。実験が続行されるにつれて、粘度を増加させながら、更にアミン変性アクリレート(ATOの最大5重量%)を加えた。その時点で粘度が依然として高かった場合には、更にSOLPLUS(登録商標)D510を順次加えた。分散体中の成分、それらの量及び粒径を以下の表10に示す。
【0121】
【表10−1】

【0122】
【表10−2】

【0123】
本開示は、上記の特定の実施例に限定されると考えるべきではなく、むしろ添付の特許請求の範囲において明確に示すように、全ての態様に及ぶと理解されるべきである。本開示に関連する当業者には、本明細書を検討することにより、様々な修正、同等の方法、並びに、本開示を適用可能と思われる多くの構造は容易に明らかになるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散体であって、前記分散体の総重量に基づいて約10重量%〜約95重量%の少なくとも1つの有機溶媒と、
前記分散体の総重量に基づいて約5重量%〜約80重量%の赤外線吸収性、導電性又は赤外線吸収性及び導電性の両方であるナノ粒子と、
前記分散体の総重量に基づいて約0.5重量%〜約50重量%の少なくとも1つのポリカプロラクトン−ポリアミンコポリマーと、を含む分散体であって、
前記分散体は前記ナノ粒子の粒塊を含み、大部分の前記粒塊は、100ナノメートル以下である平均直径を有する、分散体。
【請求項2】
大部分の前記粒塊が、60ナノメートル以下である平均直径を有する、請求項1に記載の分散体。
【請求項3】
大部分の前記粒塊が、50ナノメートル以下である平均直径を有する、請求項1に記載の分散体。
【請求項4】
前記分散体の総重量に基づいて約25重量%の少なくとも1つの有機溶媒を含む、請求項1に記載の分散体。
【請求項5】
前記少なくとも1つの有機溶媒が、メチルエチルケトン、1−メトキシ−2−プロパノール又はこれらの組み合わせである、請求項1に記載の分散体。
【請求項6】
前記分散体の総重量に基づいて約60重量%〜約70重量%のナノ粒子を含む、請求項1に記載の分散体。
【請求項7】
前記ナノ粒子が金属酸化物粒子を含む、請求項1に記載の分散体。
【請求項8】
前記金属酸化物粒子が、酸化アンチモンスズ、酸化インジウムスズ又はこれらの組み合わせを含む、請求項7に記載の分散体。
【請求項9】
前記金属酸化物粒子が、約10ナノメートル〜約20ナノメートルの平均直径を有する、請求項7に記載の分散体。
【請求項10】
前記ナノ粒子が、酸化アンチモンスズ、酸化インジウムスズ又はこれらの組み合わせでコーティングされた粒子である、請求項1に記載の分散体。
【請求項11】
前記分散体の総重量に基づいて約5重量%〜約25重量%の少なくとも1つのポリカプロラクトン−ポリアミンコポリマーを含む、請求項1に記載の分散体。
【請求項12】
前記分散体の総重量に基づいて約12.5重量%〜約17.5重量%の少なくとも1つのポリカプロラクトン−ポリアミンコポリマーを含む、請求項1に記載の分散体。
【請求項13】
前記分散体が、約60℃で少なくとも1ヶ月間にわたって安定である、請求項1に記載の分散体。
【請求項14】
前記分散体が前記ナノ粒子の重量に基づいて約0.5重量%〜約10重量%の前記少なくとも1つのポリカプロラクトン−ポリアミンコポリマーを含み、前記ナノ粒子の重量に基づいて約0.5重量%〜約20重量%の少なくとも1つのアミン変性アクリレートを更に含む、請求項1に記載の分散体。
【請求項15】
前記分散体が、前記ナノ粒子の重量に基づいて5重量%以下のポリカプロラクトン−ポリアミンコポリマーを含む、請求項11に記載の分散体。
【請求項16】
前記分散体が、前記ナノ粒子の重量に基づいて6重量%以下のポリカプロラクトン−ポリアミンコポリマーを含む、請求項11に記載の分散体。
【請求項17】
前記分散体が、前記ナノ粒子の重量に基づいて8重量%以下のポリカプロラクトン−ポリアミンコポリマーを含む、請求項11に記載の分散体。
【請求項18】
組成物であって、前記組成物の総重量に基づいて、
約40重量%〜約50重量%の分散体であって、前記分散体は、
前記分散体の総重量に基づいて約10重量%〜約95重量%の少なくとも1つの有機溶媒と、
前記分散体の総重量に基づいて約5重量%〜約80重量%の赤外線吸収性、導電性又は赤外線吸収性及び導電性の両方であるナノ粒子と、
前記分散体の総重量に基づいて約0.5重量%〜約50重量%の少なくとも1つのポリカプロラクトン−ポリアミンコポリマーと、を含み、
前記分散体は前記ナノ粒子の粒塊を含み、大部分の前記粒塊は、100ナノメートル以下である平均直径を有する、分散体、並びに
約10重量%〜約50重量%の少なくとも1つの放射線硬化性モノマーを含む、組成物。
【請求項19】
前記組成物の総重量に基づいて約1重量%〜約50重量%の第二有機溶媒を更に含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が、前記組成物の総重量に基づいて約13重量%〜約17重量%の少なくとも1つの放射線硬化性モノマーを含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
約30重量%〜約40重量%の前記第二溶媒を含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項22】
フィルムであって、
前記フィルムの総重量に基づいて約40重量%〜約70重量%の赤外線吸収性又は導電性であるナノ粒子と、
前記フィルムの総重量に基づいて約20重量%〜約40重量%の放射線硬化性モノマーと、
前記フィルムの総重量に基づいて約5重量%〜約20重量%のポリカプロラクトン−ポリアミンコポリマーと、を含むフィルムであって、
前記フィルムは少なくとも40%の可視光線透過率及び約3%以下のヘイズ値を有する、フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−509337(P2011−509337A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542298(P2010−542298)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/030075
【国際公開番号】WO2009/089133
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】