説明

ナノ粒子及びその製造方法

【課題】凝集がなく、分散安定性に優れたナノ粒子及びその製造方法を提供することである。さらにはナノメーターサイズで高発光を実現したZnS:Mn蛍光体を提供することである。
【解決手段】ナノ粒子を構成する元素イオンを含む2種類の水溶液(1)を連続的に混合した後、0.01〜0.1秒以内に、前記ナノ粒子の表面を被覆する物質を含む水溶液(2)を連続的に混合することを特徴とするナノ粒子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ粒子及びその製造方法に関する。さらには、ナノメーターサイズで高発光を実現したZnS:Mn蛍光体に関する。
【背景技術】
【0002】
微粒子,特にはナノメーターサイズの粒子(ナノ粒子)は、さまざまな特有の優れた性状・特性・機能を示すことから、材料・製品の全てに対して、現状よりも高精度で、より小型化、より軽量化の要求を満たしている技術を実現するものとして期待されている。このようにナノ粒子は、セラミックスのナノ構造改質材、光機能コーティング材、電磁波遮蔽材料、二次電池用材料、蛍光材料、電子部品材料、磁気記録材料、研摩材料等の産業・工業材料、医薬品・化粧品材料等の高機能・高性能・高密度・高度精密化を可能にするものとして、かつ21世紀の材料として注目されている。
【0003】
蛍光材料に関する一例を挙げると、近年、テレビジョン等の分野において、ディスプレイの薄型化が望まれており、軽量なフラットディスプレイであるプラズマディスプレイ(以下、PDPと称する。)やフィールド・エミッション・ディスプレイ(以下、FEDと称する。)、エレクトロ・ルミネッセンス・ディスプレイ(以下、ELDと称する。)が注目されている。
【0004】
ディスプレイには、さまざまな蛍光体が用いられているが、現在、テレビジョン等のディスプレイに用いられている蛍光体は、原料を高温で焼成することにより合成され、その粒径は、数μm程度(3〜10μm)となっている。例えば上記FEDは薄型化されると電子ビームの加速電圧を低下させる必要がある。しかしながら、薄型化されたディスプレイにおいて、上述したような粒径が数μm程度の蛍光体を用いると、電子ビームの電圧が低いために十分に発光しない。すなわち、このような薄型化されたディスプレイでは、従来の蛍光体を十分に励起させることができなかった。
【0005】
一般に、低速電子線励起発光蛍光体は蛍光表示管に使用されている。特にナノサイズの蛍光体はFEDや高精細化された蛍光表示管等に適している。
【0006】
一方、ナノサイズ蛍光体は、低電圧で照射された電子ビームでも前記蛍光体を励起し発光させることができる。このような条件を満たす蛍光体として、上述したようなナノ構造結晶を有するII〜VI族半導体を挙げることができる。
【0007】
最近のナノ粒子に関する基礎研究から、ナノ粒子の量子サイズ効果による超高機能性や新しい物性の発現、新物質の合成等の発見も相次いでいることから産業界からも大きな関心を集めている。しかしながら、ナノ粒子の実用化のためには、それぞれの微細粒子に特有の機能を付加せしめることが必要であり、そのためにはその機能の付加を可能にするため粒子の表面を修飾する技術の確立が求められている。微粒子、特にナノ粒子に安定して使用・利用できる機能を付加するに便利なものとしては、有機修飾をなすことが挙げられる。
【0008】
特許文献1には、ナノサイズの蛍光体の製造方法として、共沈を利用したナノ蛍光体の製造方法が開示され、共沈を利用した液相反応で賦活剤がドープされたナノサイズの蛍光体粒子を形成すると共に、前記液相反応中にアクリル酸、メタクリル酸等の有機酸を添加している。これにより、前記蛍光体粒子の表面に有機酸が被覆され、蛍光体粒子表面の欠陥が減り、発光効率の向上を可能としている。
【0009】
しかしながら、ナノサイズの粒子は表面エネルギーが高く、凝集しやすいため、この方法では蛍光体粒子の形成とほぼ同時に粒子同士の凝集が起こってしまい、蛍光体粒子の表面に有機酸が充分に被覆されているとはいえなかった。そのため、ナノ蛍光体本来の特性を得ることは困難であった。さらには、凝集された状態で存在しているため、分散安定性に課題があった。
【特許文献1】特開平10−310770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、凝集がなく、分散安定性に優れたナノ粒子及びその製造方法を提供することである。さらにはナノメーターサイズで高発光を実現したZnS:Mn蛍光体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記課題は、以下の構成により達成された。
【0012】
1.ナノ粒子を構成する元素イオンを含む2種類の水溶液(1)を連続的に混合した後、0.01〜0.1秒以内に、前記ナノ粒子の表面を被覆する物質を含む水溶液(2)を連続的に混合することを特徴とするナノ粒子の製造方法。
【0013】
2.前記水溶液(1)を連続的に混合する際のレイノルズ数が3000以上であることを特徴とする1に記載のナノ粒子の製造方法。
【0014】
3.前記水溶液(1)の混合液と、前記水溶液(2)を連続的に混合する際のレイノルズ数が3000以上であることを特徴とする1または2に記載のナノ粒子の製造方法。
【0015】
4.1〜3のいずれか1項に記載の製造方法により製造されることを特徴とするナノ粒子。
【0016】
5.賦活剤がドープされたII〜VI族半導体であることを特徴とする4に記載のナノ粒子。
【0017】
6.ZnS:Mnであることを特徴とする4または5に記載のナノ粒子。
【0018】
7.前記ナノ粒子の表面を被覆する物質が有機酸であることを特徴とする4〜6のいずれか1項に記載のナノ粒子。
【0019】
8.前記ナノ粒子の表面を被覆する物質がアクリル酸、メタクリル酸から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする4〜6のいずれか1項に記載のナノ粒子。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、凝集がなく、分散安定性に優れたナノ粒子及びその製造方法を提供することができる。さらにはナノメーターサイズで高発光を実現したZnS:Mn蛍光体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明者等は、上記問題点を種々検討した結果、ナノ粒子を構成する元素イオンを含む2種類の水溶液(1)を連続的に混合した後、0.01〜0.1秒以内に、前記ナノ粒子の表面を被覆する物質を含む水溶液(2)を連続的に混合することにより、従来の製造法では成し得なかった、凝集がなく、分散安定性に優れたナノ粒子が得られることを見出した。
【0022】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0023】
《ナノ粒子の製造方法》
本発明のナノ粒子の製造方法について説明する。
【0024】
本発明は、ナノ粒子を構成する元素イオンを含む2種類の水溶液を連続的に混合した後、0.01〜0.1秒以内に、ナノ粒子の表面を被覆する物質を含む水溶液を連続的に混合することが特徴である。0.01秒未満ではナノ粒子の形成時間としては不充分であり、均一な粒子が形成できない。0.1秒を超えるとナノ粒子の凝集が既に起こってしまい、ナノ粒子の表面を被覆する物質がナノ粒子の表面に充分に被覆することができない。
【0025】
本発明においては、ナノ粒子の構成元素を含む原料をあらかじめ水に溶解し、混合しておく。原料は水相において溶解できれば特に制限されるものではなく、例えば、塩化物、硝酸塩、硫酸塩等であればよく、これらは水和物となっていてもよい。さらに、これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。原料の組み合わせや濃度は、水に溶解し、混合した際に反応して沈殿や析出を起こさないものであれば何でもよく、あらかじめ目的組成となるように調製すればよい。
【0026】
例えば、本発明の好ましい実施態様であるZnS:Mnを作製する場合には、酢酸亜鉛水溶液と酢酸マンガン水溶液の混合溶液と、硫化ナトリウム水溶液を用いて混合・反応させることが好ましい。
【0027】
本発明においては、ナノ粒子の表面を被覆する物質をあらかじめ水に溶解し、混合しておく。表面を被覆する物質は水相において溶解できれば特に制限されるものではない。例えば、本発明の好ましい実施態様であるZnS:Mnを作製する場合には、有機酸、特にアクリル酸やメタクリル酸を好ましく適用することができる。
【0028】
本発明においては、上記の一連の工程をレイノルズ数3000以上の領域で行うことが必須である。レイノルズ数3000未満では、攪拌が不充分となり、ナノ粒子が均一に形成できなくなったり、ナノ粒子が凝集しやすくなったりして所望の特性を得ることができない。レイノルズ数の上限は特にないが、製造装置の現状から100000程度である。
【0029】
レイノルズ数とは、流体中を運動する物体の性質を表す値であり、慣性力と摩擦力(粘性による)との比で定義される無次元数で、しばしばReと書かれ、次式で表される。
【0030】
Re=U×L/(μ/ρ)=U×L/ν
式中、Uは流速(m/s)、Lは長さ(m)、ν(ニュー)は(m2/s)、μ(ミュー)は(N・s/m2)、ρ(ロー)は(kg/m3)を表す。
【0031】
従って、レイノルズ数が小さいということは相対的に粘性作用が強い流れということになり、レイノルズ数が大きいということは相対的に慣性作用が強い流れだということになる。
【0032】
以下に、ナノ粒子を作製する方法及びそれに関する製造装置の例について、図を用いて説明する。
【0033】
図1は、製造装置のブロック図である。原料容器1、1′と、原料容器1、1′外に設けられた連続的に原料水溶液を混合する混合器3と、原料容器2と原料容器2外に設けられ、かつ、混合器3〜受容器5間の配管に設けられた混合器4を有している。そして、ポンプ等の輸送手段を用いてナノ粒子を構成する元素イオンを含む2種類の水溶液を原料容器1、1′から連続的に混合器3に送液することにより、ナノ粒子を作製し、その後、0.01〜0.1秒以内に、ナノ粒子の表面を被覆する物質を含む水溶液を原料容器2から連続的に混合器4に送液して、ナノ粒子と混合し、粒子表面を被覆したナノ粒子を作製して受容器5に供給する。
【0034】
この時、混合器3から混合器4までの距離dはナノ粒子分散液の流速に応じて、ナノ粒子の表面を被覆する物質を含む水溶液と混合するまでの時間が0.01〜0.1秒以内になるように適宜決定することができる。
【0035】
図2は、混合器3の構造を示す図である。原料水溶液を取り込むための第1流路31と第2流路32と、後述する第3流路33とを有する。第1流路31及び第2流路32の一端は、交点Cにおいてそれぞれの流路内に連続的に送液される溶液が衝突し、混合するように関係づけられており、また、第3流路33の一端は、衝突後の混合溶液を連続的に受け入れることができるように、交点Cにおいて先の2つの流路の一端と繋がっている。即ち、これら3つの流路の一端が集結して交点Cを形成している。ここで重要なことは、交点Cにおける衝突後の溶液が逆流しないように混合器内で(実際には第3流路33内で)送液(液の移動)しうる構成に配慮することである。そのため、本発明においては、液物性に応じて混合器の角度及び口径、長さ等についてはさまざまなものを使用することができる。
【0036】
この構造は混合器4においても同様である。
【0037】
本発明においては、上記の一連の工程をレイノルズ数3000以上の領域で行うものであれば特に限定なく、流速を変更することができる。3つの流路内に流れる水溶液の流速を一定の速度にしても、または、異なった速度にしても問題なく実施することができる。
また、経時で流速を変更しても差し支えない。
【0038】
本発明においては、反応温度、添加速度、pH等を制御した一定の条件下で連続的にナノ粒子を作製することが好ましい。下記に反応温度、添加速度、pHについて制御方法の例を示す。
(1)反応温度
反応温度の制御は、容器外周あるいは配管中にジャケットに有する方法や、熱交換器を具備する方法等を採用することができる。温度の許容範囲としては設定温度から5℃以内が好ましく、より好ましくは3℃以内であり、1℃以内がさらに好ましい。
(2)添加速度
添加速度の制御は送液ポンプの回転数や、流量計と制御バルブを組み合わせたフィードバック等を利用して制御することができる。添加速度の許容範囲は設定値の3%以内が好ましく、より好ましくは1%以内であり、0.5%以内がさらに好ましい。送液ポンプとしては、プランジャーポンプ、あるいは特開平4−181240号記載のシリンジポンプ等脈動の非常に小さい、あるいは存在しない装置を用いることが最も好ましい。
(3)pH
混合器内での添加液のpHを監視するためには、当業界ではよく知られたpHメーターを用いることができる。設定値と偏差がある場合には添加液の流量を調整する方法や、pH調整剤等を添加する方法等を使用することができる。pHの許容範囲としては好ましくは0.1以内、より好ましくは0.05以内である。
【0039】
以上の実施の形態は、あくまでも一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0040】
《ナノ粒子》
本発明のナノ粒子について説明する。
【0041】
本発明において、ナノ粒子とは、一般的にはその平均粒子径が200nm以下のサイズのものを指しているが,好ましくは200nm以下のサイズのものが挙げられる。ある場合には、ナノ粒子は、その平均粒子径が100nm以下のサイズのもの、また別の場合にはその平均粒子径が50nm以下のサイズのものであってもよい。また好適な場合には、ナノ粒子は、その平均粒子径が20nm以下のサイズのもの、また別の場合にはその平均粒子径が10nm以下のサイズのもの、あるいは5nm以下のサイズのものであってよい。
【0042】
粒子径の測定は当該分野で知られた方法により行うことができ,例えば、TEM、吸着法、光散乱法、SAXS等により測定できる。TEMでは、粒子径分布が広い場合には、視野内に入った粒子が全粒子を代表しているか否かに注意を払う必要がある。吸着法は、N2吸着等によりBET表面積を評価するものである。
【0043】
本発明におけるナノ粒子に特に限定はなく、原料が水で溶解するものであればどんなものでも適用することができるが、特に、賦活剤がドープされたII〜VI族半導体であることが好ましい。さらには、ZnS:Mnであることが最も好ましい。
【0044】
本発明におけるナノ粒子は、粒子表面が物質で被覆されていることが必須である。ナノ粒子の表面を被覆する物質に特に限定はないが、有機酸であることが好ましい。さらには、アクリル酸、メタクリル酸から選ばれる少なくとも1種であることが最も好ましい。
【実施例】
【0045】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0046】
実施例
《ナノ粒子1の作製》
下記組成の混合水溶液A、B及びCを調製した。
【0047】
(混合水溶液A)
酢酸亜鉛(Zn(CH3COO)2・2H2O) 262.9g
酢酸マンガン(Mn(CH3COO)2・4H2O) 2.9g
純水 10234g
(混合水溶液B)
硫化ナトリウム(Na2S・9H2O) 345.9g
純水 10154g
(混合水溶液C)
アクリル酸(CH2:CHCOOH) 2940g
純水 18060g
図1の製造装置を用いて、原料容器1に混合水溶液Aを、原料容器1′に混合水溶液Bを添加した後、それぞれ一定流量で混合器3に送液して、ZnS:Mnを作製した。
その後、ZnS:Mnを含む分散液は、予め混合器3と混合器4の距離dが0.3秒になるように設定された配管を通して、混合器4に送液した。同時に、反対側の流路からZnS:Mnを含む分散液と同じ流量で混合水溶液Cを混合器4に送液して、アクリル酸が表面に被覆されたZnS:Mn粒子を作製した。この時、混合器3から混合器4までのレイノルズ数及び、混合器4から受容器5までのレイノルズ数は共に2500だった。
【0048】
次に、得られた分散液を一部分取して遠心分離を行い、得られた沈殿物を30℃で72時間送風乾燥してナノ粒子1を作製した。
【0049】
《ナノ粒子2の作製》
ナノ粒子1の作製において、予め混合器3と混合器4の距離dが0.075秒になるように設定された配管長さに変更し、かつ、混合器3から混合器4までのレイノルズ数及び混合器4から受容器5までのレイノルズ数が2500になるように流速、配管長さを変更してナノ粒子2を作製した。
【0050】
《ナノ粒子3の作製》
ナノ粒子1の作製において、予め混合器3と混合器4の距離dが0.019秒になるように設定された配管長さに変更し、かつ、混合器3から混合器4までのレイノルズ数及び混合器4から受容器5までのレイノルズ数が2500になるように流速、配管長さを変更してナノ粒子3を作製した。
【0051】
《ナノ粒子4の作製》
ナノ粒子1の作製において、予め混合器3と混合器4の距離dが0.008秒になるように設定された配管長さに変更し、かつ、混合器3から混合器4までのレイノルズ数及び混合器4から受容器5までのレイノルズ数が2500になるように流速、配管長さを変更してナノ粒子4を作製した。
【0052】
《ナノ粒子5の作製》
ナノ粒子1の作製において、予め混合器3と混合器4の距離dが0.019秒になるように設定された配管長さに変更し、かつ、混合器3から混合器4までのレイノルズ数が2500に、混合器4から受容器5までのレイノルズ数が3500になるように流速、配管長さを変更してナノ粒子5を作製した。
【0053】
《ナノ粒子6の作製》
ナノ粒子1の作製において、予め混合器3と混合器4の距離dが0.019秒になるように設定された配管長さに変更し、かつ、混合器3から混合器4までのレイノルズ数が3500に、混合器4から受容器5までのレイノルズ数が3500になるように流速、配管長さを変更してナノ粒子6を作製した。
【0054】
《ナノ粒子7の作製》
ナノ粒子1の作製において、予め混合器3と混合器4の距離dが0.019秒になるように設定された配管長さに変更し、かつ、混合器3から混合器4までのレイノルズ数及び混合器4から受容器5までのレイノルズ数が4500になるように流速、配管長さを変更してナノ粒子7を作製した。
【0055】
《ナノ粒子の評価》
得られたナノ粒子について下記方法で評価した。
【0056】
(粒径)
ナノ粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)により観測した。そこから無作為に100個の粒子を選んで平均粒子径(nm)を求めた。
【0057】
(発光強度)
ナノ粒子を分光光度計(日立製 U−2000)を用いて、365nm励起光を照射した時の580nmの発光強度を測定した。ナノ粒子1を100とした相対値で示す。
【0058】
(分散安定性)
ナノ粒子を水中に再分散して、放置した際の沈降速度を測定した。ナノ粒子1を100とした相対値で示す。
【0059】
得られた結果を表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
表1から、比較例に比べて、本発明の試料は、凝集がなく、分散安定性に優れており、さらにはナノメーターサイズで高発光を実現したZnS:Mn蛍光体であることが明らかである。本発明により、従来の製造法では成し得なかった、高純度で単分散性に優れ、かつ、発光特性の改善された蛍光体が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】製造装置のブロック図である。
【図2】混合器の構造を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1、1′、2 原料容器
3 混合器
31 第1流路
32 第2流路
33 第3流路
4 混合器
5 受容器
C 交点
d 混合器3から混合器4までの距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ粒子を構成する元素イオンを含む2種類の水溶液(1)を連続的に混合した後、0.01〜0.1秒以内に、前記ナノ粒子の表面を被覆する物質を含む水溶液(2)を連続的に混合することを特徴とするナノ粒子の製造方法。
【請求項2】
前記水溶液(1)を連続的に混合する際のレイノルズ数が3000以上であることを特徴とする請求項1に記載のナノ粒子の製造方法。
【請求項3】
前記水溶液(1)の混合液と、前記水溶液(2)を連続的に混合する際のレイノルズ数が3000以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のナノ粒子の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法により製造されることを特徴とするナノ粒子。
【請求項5】
賦活剤がドープされたII〜VI族半導体であることを特徴とする請求項4に記載のナノ粒子。
【請求項6】
ZnS:Mnであることを特徴とする請求項4または5に記載のナノ粒子。
【請求項7】
前記ナノ粒子の表面を被覆する物質が有機酸であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のナノ粒子。
【請求項8】
前記ナノ粒子の表面を被覆する物質がアクリル酸、メタクリル酸から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のナノ粒子。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−119566(P2007−119566A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312482(P2005−312482)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】