説明

ナノ結晶を含む発光ダイオード(LED)デバイス

本発明は、気密封止された発光ナノ結晶の組成物および容器を含む発光ダイオード(LED)デバイスを提供する。本発明はさらに、LEDデバイスを含むディスプレイを提供する。適当には、LEDデバイスは白色光LEDデバイスである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ナノ結晶、適当には白色光LEDを含む発光ダイオード(LED)デバイスの方法に関する。本発明はさらに、LEDデバイスを含むディスプレイシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気および水分にさらされた発光ナノ結晶は酸化的損傷を受け、その結果、しばしばルミネセンス(luminescence)を失う。ダウンコンバージョン層、フィルタリング層などの用途における発光ナノ結晶の使用はしばしば、発光ナノ結晶を、高温、高強度光、環境ガスおよび水分にさらす。これらの因子は、これらの用途における長い発光寿命に対する要求とあいまって、しばしば発光ナノ結晶の使用を限定し、または頻繁な交換を要求する。したがって、発光ナノ結晶を気密封止し、それによって使用寿命を延ばし、発光強度を増大させることを可能にする方法および組成物に対する必要性が存在する。
【0003】
白色光LEDデバイスを含む気密封止されたナノ結晶を用いる発光ダイオード(LED)デバイスに対する必要性も存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、本発明は、発光ダイオード(LED)デバイスを提供する。適当には、LEDデバイスは、青色発光LEDと、複数の発光ナノ結晶を含む気密封止された容器とを含む。容器は、発光ナノ結晶のダウンコンバージョンを容易にするためにLEDに対して位置付けられる。
【0005】
適当な気密封止された容器は、ガラス毛管などのプラスチックまたはガラス管を含む。例示的な実施形態では、気密封止された容器は、LEDから間隔をおいて配置される。適当には、発光ナノ結晶は緑色光および赤色光を放出する。LEDデバイスで使用される例示的な発光ナノ結晶は、CdSeまたはZnSを含み、CdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdS、またはCdTe/ZnSを含むコア/シェル発光ナノ結晶である発光ナノ結晶を含む。例示的な実施形態では、発光ナノ結晶は、ポリマーマトリックス中に分散される。本発明はさらに、LEDデバイスを含むディスプレイシステムを提供する。
【0006】
他の実施形態では、本発明は、LEDと、LEDに光学的に結合される複数の発光ナノ結晶を含む気密封止された容器と、気密封止された容器に光学的に結合される光ガイドとを含む発光ダイオード(LED)デバイスを提供する。適当には、LEDから発光された光の第1の部分が発光ナノ結晶によってダウンコンバートされ、LEDから発光された光の第2の部分と発光ナノ結晶からダウンコンバートされた光が光ガイドから放出される。
【0007】
例示的な実施形態では、LEDは青色光を発光する。適当には、LEDから発光された青色光の第1の部分が発光ナノ結晶によって緑色光および赤色光にダウンコンバートされる。適当には青色光の第2の部分、緑色光、および赤色光が組み合わされて白色光を生じる。
【0008】
例示的な気密封止された容器は、約100μm〜約1mmのうちの少なくとも1つの寸法を有するガラス毛管などのプラスチックまたはガラス容器を含む。適当には、発光ナノ結晶は、CdSeまたはZnSを含み、CdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdSまたはCdTe/ZnSを含むコア/シェルナノ結晶とすることができる。発光ナノ結晶は、ポリマーマトリックス中に分散することができる。適当な実施形態では、気密封止された容器は、LEDから間隔をおいて配置される。実施形態では、本発明のLEDデバイスは白色光LEDデバイスである。
【0009】
本発明はさらに、本明細書で説明されるディスプレイと複数のLEDデバイスとを含むディスプレイシステムを提供する。適当には、ディスプレイは、光ガイドを少なくとも部分的に取り囲む。LEDから放出された光の第1の部分が発光ナノ結晶によってダウンコンバートされ、LEDから放出された光の第2の部分と発光ナノ結晶からダウンコンバートされた光が光ガイドから放出され、ディスプレイ上に表示される。例示的な実施形態では、気密封止された容器が少なくとも2つのLEDに光学的に結合される。
【0010】
他の実施形態では、本発明は、コンポジット材料を提供する。コンポジット材料は、第1の組成を有する第1のポリマー材料を含む。コンポジットはさらに、第2の組成を有する第2のポリマー材料と、第2のポリマー材料中に分散される複数の発光ナノ結晶とを含む。第2のポリマー材料は第1のポリマー材料中に分散される。
【0011】
適当には、第1のポリマー材料がエポキシまたはポリカーボネートを含み、第2のポリマー材料がアミノシリコーンを含む。実施形態では、発光ナノ結晶が緑色光および/または赤色光を放出する。適当には、発光ナノ結晶は、CdSeまたはZnSを含み、あるいは、CdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdSまたはCdTe/ZnSを含むコア/シェル発光ナノ結晶とすることができる。他の実施形態では、コンポジットは、コンポジットを気密封止するSiO2、TiO2またはAlO2の無機層を含む。適当には、コンポジットは、青色LED波長において約0.5〜約0.9の光学密度(例えば約0.8)と約50μm〜約200μm(例えば約100μm)の経路長を有する。
【0012】
本発明はさらに、発光ナノ結晶コンポジット材料を調製する方法を提供する。この方法は、適当には、複数の発光ナノ結晶を第1のポリマー材料中に分散させて発光ナノ結晶と第1のポリマー材料との混合物を形成するステップを含む。混合物が硬化され、硬化された混合物から微粒子が生じる。微粒子が第2のポリマー材料中に分散されてコンポジット材料が生じる。適当には、硬化の前に混合物に架橋剤が添加される。例示的な実施形態では、硬化された混合物をボールミル粉砕することによって微粒子が生じる。コンポジットをフィルムにすることができる。
【0013】
他の実施形態では、本発明は、発光ダイオード(LED)デバイスを提供する。LEDデバイスは、LEDと、LEDに光学的に結合される光ガイドと、光ガイド内の領域に分散される複数の発光ナノ結晶であり、該領域が光ガイドの長さに沿って延びる、複数の発光ナノ結晶とを含む。LEDから放出された光は、ナノ結晶によってダウンコンバートされ、光ガイドの表面を出る。適当には、発光ナノ結晶が青色、緑色および赤色光を放出し、LEDが紫外光を発光する。青色、赤色および緑色光が組み合わされて白色光を生じる。
【0014】
他の実施形態では、LEDから放出された光の第1の部分がナノ結晶によってダウンコンバートされ、LEDから放出された光の第2の部分とダウンコンバートされた光が光ガイドの表面を出る。適当には、LEDが青色光を発光する。LEDから放出された青色光の第1の部分が発光ナノ結晶によって緑色光および赤色光にダウンコンバートされ、適当には青色光の第2の部分、緑色光、および赤色光が組み合わされて白色光を生じる。
【0015】
LEDデバイスで使用される例示的なナノ結晶は、CdSeまたはZnSを含み、CdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdSまたはCdTe/ZnSを含むコア/シェルナノ結晶とすることができる。
【0016】
適当には、光ガイドは1つまたは複数の反射器を含む。光ガイドにおける領域は、適当には発光ナノ結晶の層である。例示的な実施形態では、領域の厚さが、光ガイドの長さに沿って変化し、適当にはLEDから光ガイドの長さに沿って(例えば直線的に)増加する。例示的な実施形態では、LEDデバイスは白色光LEDデバイスである。本発明はさらに、LEDデバイスを含むディスプレイを提供する。
【0017】
本発明の追加の特徴および利点は以下の説明に記載されており、それらの一部は以下の説明から明白であり、または他の部分は本発明の実施によって学ぶことができる。本発明の利点は、この構造によって実現され、達成され、本明細書の説明文および特許請求の範囲、ならびに添付図面に具体的に示される。
【0018】
以上のおおまかな説明および以下の詳細な説明はともに例示的かつ説明的であり、特許請求の範囲に記載された発明の追加の説明を提供することが意図されていることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付図面は本発明を図解するものであり、また、本明細書の説明とともに、本発明の原理を説明し、当業者が本発明を実施および使用することを可能にするのに役立つ。
【0020】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に基づく気密封止された発光ナノ結晶組成物を示す図である。
【図2】図2は、発光ナノ結晶を含む容器を気密封止する本発明の一実施形態に基づく方法を示す図である。
【図3】図3は、個別に封止された組成物を含む、本発明の一実施形態に基づく気密封止された発光ナノ結晶組成物を示す図である。
【図4】図4は、発光ナノ結晶を含む、本発明の一実施形態に基づく気密封止された容器を示す図である。
【図5】図5は、マイクロレンズをさらに含む、本発明の一実施形態に基づく気密封止された組成物を示す図である。
【図6】図6A〜6Cは、光集束装置をさらに含む、本発明の一実施形態に基づく気密封止された組成物を示す図である。
【図7A】図7Aは、本発明の一実施形態に基づくLEDデバイスを示す図である。
【図7B】図7Bは、本発明のLEDデバイスからの光のダウンコンバージョンを示す図である。
【図8】図8A〜8Cは、本発明のLEDデバイスの変形を示す図である。
【図9】図9は、反射器を含む本発明のLEDデバイスを示す図である。
【図10】図10A〜10Bは、本発明の実施形態に基づく気密封止された毛管を示す図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態に基づくディスプレイデバイスを示す図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態に基づく発光ナノ結晶コンポジット材料を示す図である。
【図13】図13は、本発明の実施形態に基づく発光ナノ結晶コンポジット材料を調製する方法の流れ図を示す図である。
【図14】図14は、本発明の実施形態に基づくナノ結晶の領域を有する光ガイドを含むLEDデバイスを示す図である。
【図15】図15A〜15Cは、ナノ結晶の領域を有する光ガイドを含むLEDデバイスの光強度出力を示す図である。
【図16】図16A〜16Cは、厚さが増加するナノ結晶の領域を有する光ガイドを含むLEDデバイスの光強度出力を示す図である。
【0021】
次に、添付図面を参照して本発明を説明する。添付図面では、同様の参照符号が、同一の要素または機能的に類似した要素を指示する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書に示され、記載された特定の実施態様は本発明の例であり、それらの実施態様は、いかなる形であれ本発明の範囲を限定することは意図されていないことが理解されるべきである。事実、簡潔にするため、従来のエレクトロニクス、製造、半導体デバイス、ならびにナノ結晶、ナノワイヤ(NW)、ナノロッド、ナノチューブおよびナノリボン技術、ならびにシステムの他の機能態様(およびシステムの個々のオペレーティング構成要素の構成要素)は、本明細書では詳細に説明されないことがある。
【0023】
本発明は、発光ナノ結晶を含むナノ結晶を含むさまざまな組成物を提供する。吸収特性、放出特性および屈折率特性を含む発光ナノ結晶のさまざまな特性を、さまざまな用途に対して調整および調節することができる。本明細書で使用されているとおり、用語「ナノ結晶」は、実質的に単結晶であるナノ構造物を指す。ナノ結晶は、約500nm未満から約1nm未満程度までの寸法を有する少なくとも1つの領域または特性寸法を有する。本明細書で使用されているとおり、数値に言及するときに「約」は、明示された値の±10%の値を意味する(例えば「約100nm」は90nm以上110nm以下のサイズ範囲を包含する)。用語「ナノ結晶」、「ナノドット」、「ドット」および「量子ドット」が同様の構造物を表すことは当業者によって直ちに理解され、本明細書ではこれらの用語が相互に交換可能に使用される。本発明はさらに、多結晶または非晶質ナノ結晶の使用を包含する。本明細書で使用されているとおり、用語「ナノ結晶」はさらに「発光ナノ結晶」を包含する。本明細書で使用されているとおり、用語「発光ナノ結晶」は、外部エネルギー源(適当には光)によって励起されたときに光を放出するナノ結晶を意味する。ナノ結晶の気密封止を説明するときに本明細書で使用されているとおり、適当な実施形態においては、ナノ結晶が発光ナノ結晶であることが理解されるべきである。
【0024】
一般に、上記の特性寸法の領域は構造物の最も小さな軸に沿う。ナノ結晶の材料特性は実質的に均一であることができ、または、ある種の実施形態では不均一であることができる。ナノ結晶の光学特性は、その粒径、化学または表面組成によって決定されうる。発光ナノ結晶のサイズを、約1nmから約15nmの範囲に調整することができることは、全光スペクトル内の光放出範囲が、演色における大きな融通性(versatility)を提供することを可能にする。粒子カプセル化は、化学およびUV劣化作用因子に対するロバストネスを提供する。
【0025】
発光ナノ結晶を含む、本発明で使用されるナノ結晶は、当業者に知られている任意の方法を使用して製造することができる。適当な方法および例示的なナノ結晶が、2005年1月13日に出願された米国特許出願第11/034,216号、2004年3月10日に出願された米国特許出願第10/796,832号、米国特許第6,949,206号、および2004年6月8日に出願された米国特許仮出願第60/578,236号に記載されている。これらの文献の開示はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。本発明で使用されるナノ結晶は、無機材料、より適当には無機導体または半導体材料を含む、適当な任意の材料から製造することができる。適当な半導体材料は、米国特許出願第10/796,832号に開示された材料を含み、II−VI族、III−V族、IV−VI族およびIV族半導体を含む任意のタイプの半導体を含む。適当な半導体材料は、限定はされないが、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイヤモンドを含む)、P、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si34、Ge34、Al23、(Al,Ga,In)2(S,Se,Te)3、Al2CO、および2種以上の該半導体の適当な組合せを含む。
【0026】
ある種の態様では、半導体ナノ結晶が、p型ドーパントまたはn型ドーパントからなるグループからのドーパントを含むことができる。本発明において有用なナノ結晶はさらにII−VIまたはIII−V半導体を含むことができる。II−VIまたはIII−V半導体ナノ結晶の例は、Zn、Cd、Hgなどの周期表のII族の元素と、S、Se、Te、PoなどのVI族の任意の元素との任意の組合せ、ならびにB、Al、Ga、In、Tlなどの周期表のIII族の元素と、N、P、As、Sb、BiなどのV族の任意の元素との任意の組合せを含む。
【0027】
発光ナノ結晶を含む、本発明において有用なナノ結晶はさらに、全体を通じて説明したようにナノ結晶の表面に共役し、配位し、会合し、または堆積したリガンドを含むことができる。適当なリガンドは、米国特許出願第11/034,216号、米国特許出願第10/656,910号および米国特許仮出願第60/578,236号に開示されたものを含む、当業者に知られている任意のリガンド群を含む。これらの文献の開示はそれぞれ、参照によって本明細書に組み込まれる。このようなリガンドの使用によって、ポリマーを含むさまざまな溶媒およびマトリックス中に混和するナノ結晶の能力を強化することができる。さまざまな溶媒およびマトリックス中におけるナノ結晶の混和性(すなわち分離せずに混合される能力)を増大させることは、ナノ結晶が互いに凝集せず、したがって光を散乱させないように、ナノ結晶をポリマー組成物全体に分布させることを可能にする。このようなリガンドは、本明細書では「混和性強化」リガンドと記述される。
【0028】
本明細書で使用されているとおり、用語ナノコンポジットは、その中に分配されまたは埋め込まれたナノ結晶を含むマトリックス材料を指す。適当なマトリックス材料は、ポリマー材料、有機および無機酸化物を含む、当業者に知られている任意の材料でありうる。本発明のナノコンポジットは、本明細書に記載された層、カプセル材料、コーティングまたはフィルムとすることができる。層、ポリマー層、マトリックスまたはナノコンポジットに言及した本発明の実施形態では、これらの用語が相互に交換可能に使用されること、およびこれらの用語に言及して記述された実施形態は、1つのタイプのナノコンポジットには限定されず、本明細書に記載されたまたは当技術分野で知られている任意のマトリックス材料または層を包含することが理解されるべきである。
【0029】
(例えば米国特許出願第11/034,216号に開示されているような)ダウンコンバーティングナノコンポジットは、特定の波長の光を吸収し、次いで第2の波長で発光するように調整された発光ナノ結晶の放出特性を利用し、それによって活性源(例えばLED)の性能および効率を強化する。上で論じたとおり、このようなダウンコンバージョン用途および他のフィルタリングまたはコーティング用途における発光ナノ結晶の使用はしばしば、ナノ結晶を、高温、高強度光(例えばLED源)、外部ガスおよび水分にさらす。これらの条件にさらされることが、ナノ結晶の効率を低下させ、それによって有効製品寿命を短縮することがある。この問題を解決するため、本発明は、発光ナノ結晶を気密封止する方法、ならびに発光ナノ結晶を含む気密封止された容器および組成物を提供する。
【0030】
発光ナノ結晶蛍りん光体
ナノ結晶蛍りん光体を製造するためには、当業者に知られている任意の方法を使用することができるが、適当には、無機ナノ材料蛍りん光体の制御された成長のための溶液相コロイド法が使用される。Alivisatos, A.P.、「Semiconductor clusters, nanocrystals, and quantum dots」、Science、271巻:933頁(1996年)、X. Peng, M. Schlamp、A. Kadavanich、A.P. Alivisatos、「Epitaxial growth of highly luminescent CdSe/CdS Core/Shell nanocrystals with photostability and electronic accessibility」、J. Am. Chem. Soc.、30巻:7019〜7029頁(1997年)、およびC. B. Murray、D.J. Norris、M.G. Bawendi、「Synthesis and characterization of nearly monodisperse CdE (E = sulfur, selenium, tellurium) semiconductor nanocrystallites」、J. Am. Chem. Soc.、115巻:8706頁(1993年)を参照されたい。これらの文献の開示はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。この製造工程技術は、クリーンルームおよび高価な製造機器が必要ない低コスト加工性を後押しする。これらの方法では、高温で熱分解を受ける金属前駆体が、有機界面活性剤分子の熱溶液中に急速に注入される。これらの前駆体は高温で分解し、反応して、ナノ結晶の核を生成する。この最初の核生成段階の後、成長中の結晶に単量体を追加することによって成長段階が始まる。その結果は、有機界面活性剤分子が表面を覆った溶液中の独立した結晶性ナノ粒子である。
【0031】
この方法を利用すると、数秒間にわたって起こる最初の核生成事象、およびそれに続く数分間の高温での結晶成長として、合成が起こる。反応の性質および進行を変化させるため、温度、存在する界面活性剤のタイプ、前駆体材料、界面活性剤と単量体の比などのパラメータを変更することができる。温度は、核生成事象の構造段階、前駆体の分解速度および成長速度を制御する。有機界面活性剤分子は、溶解度とナノ結晶の形状制御の両方に関与する。界面活性剤と単量体の比、界面活性剤相互間の比、単量体相互間の比および個々の単量体の濃度は、成長の速度論に強く影響する。
【0032】
適当な実施形態では、CdSeが、ナノ結晶材料として、一例では可視光ダウンコンバージョン用のナノ結晶材料として使用される。これは、この材料の合成が比較的に成熟しているためである。汎用界面化学の使用によって、カドミウムを含まないナノ結晶を代わりに使用することも可能である。
【0033】
コア/シェル発光ナノ結晶
半導体ナノ結晶では、光誘導放出が、ナノ結晶のバンドエッジ状態から起こる。発光ナノ結晶からのバンドエッジ放出は、表面電子状態から生じる放射性および非放射性の崩壊チャネルと競合する。X. Pengら、J. Am. Chem. Soc.、30巻:7019〜7029(1997年)。その結果、ダングリングボンドなどの表面欠陥の存在が無放射性再結合中心を提供し、放出効率の低下に寄与する。この表面トラップ状態を不活性化し、除去する効率的で永続的な1つの方法が、ナノ結晶の表面に無機シェル(shell)材料をエピタキシャル成長させる方法である。X. Pengら、J. Am. Chem. Soc.、30巻:7019〜7029(1997年)。シェル材料は、電子準位がコア(core)材料に対してI型であるように(例えば電子および正孔をコアに局在化させる潜在的なステップを提供するためより大きなバンドギャップを有するように)選択することができる。その結果、無放射性再結合の確率を低下させることができる。
【0034】
コア−シェル構造物は、シェル材料を含む有機金属前駆体を、コアナノ結晶を含む反応混合物に加えることによって得られる。この場合には、核生成事象に続いて成長が起こるのではなく、コアが核の働きをし、コアの表面からシェルが成長する。コア表面へのシェル材料単量体の付加を促進し、シェル材料のナノ結晶の独立した核生成を防ぐため、反応温度は低く維持される。シェル材料の制御された成長を誘導し、溶解性を保証するため、反応混合物中に界面活性剤が存在する。均一なエピタキシャル成長シェルは、これらの2つの材料間に低い格子不整合が存在するときに得られる。
【0035】
コア−シェル発光ナノ結晶を調製するための例示的な材料は、限定はされないが、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイヤモンドを含む)、P、Co、Au、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si34、Ge34、Al23、(Al,Ga,In)2(S,Se,Te)3、Al2CO、および2種以上の該材料の適当な組合せを含む。本発明の実施に際して使用される例示的なコア−シェル発光ナノ結晶は、限定はされないが、(コア/シェルとして)CdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdS、CdTe/ZnSおよびその他を含む。
【0036】
気密封止された発光ナノ結晶組成物および発光ナノ結晶を含む容器
一実施形態では、本発明は、複数の発光ナノ結晶を含む組成物を気密封止する方法を提供する。適当にはこの方法は、発光ナノ結晶を封止するために組成物上にバリア層を配置することを含む。全体を通じて論じたとおり、用語「気密」、「気密封止」および「気密封止された」は、全体を通じて、容器を通過しまたは組成物内に浸透し、かつ/あるいは発光ナノ結晶と接触するガス(例えば空気)または水分の量が、ナノ結晶の性能(例えばルミネセンス)に実質的に作用しないレベルまで低減されるような態様で、組成物、容器および/または発光ナノ結晶が調製されたことを示すために使用される。したがって、「気密封止された組成物」、例えば発光ナノ結晶を含む気密封止された組成物は、ある量の空気(あるいは他のガス、液体または水分)が組成物内に浸透し、発光ナノ結晶と接触して、その結果、ナノ結晶の性能(例えばルミネセンス)が実質的に作用または影響を受ける(例えば低下する)ことを許さない組成物である。
【0037】
全体を通じて使用されているとおり、複数の発光ナノ結晶は2つ以上のナノ結晶(すなわち2、3、4、5、10、100、1,000、1,000,000などのナノ結晶)を意味する。適当には、組成物が、同じ組成を有する発光ナノ結晶を含むが、他の実施形態では、複数の発光ナノ結晶が異なるさまざまな組成であることができる。例えば、発光ナノ結晶が全て同じ波長で発光することができ、または、他の実施形態では、組成物が、異なる波長で発光する発光ナノ結晶を含むことができる。
【0038】
図1に示されているように、一実施形態では、本発明は、複数の発光ナノ結晶104を含む組成物100を提供する。本発明の組成物においては、全体を通じて説明したナノ結晶、および当技術分野で知られている他のナノ結晶、例えば米国特許出願第11/034,216号に開示されたナノ結晶を含む、任意のナノ結晶を調製することができる。
【0039】
適当な実施形態では、組成物100が、マトリックス102全体に分散した複数の発光ナノ結晶104を含む。全体を通じて使用されているとおり、分散は、ナノ結晶の一様な(すなわち実質的に均一な)分布/配置、および一様でない(すなわち実質的に不均一な)分布/配置を含む。本発明の組成物において使用される適当なマトリックスは、ポリマーならびに有機および無機酸化物を含む。本発明のマトリックスに使用される適当なポリマーは、このような目的に使用することができる当業者に知られた任意のポリマーを含む。適当な実施形態では、ポリマーが実質的に半透明または実質的に透明である。このようなポリマーは、限定はされないが、ポリ(ビニルブチラール);ポリ(酢酸ビニル);エポキシ樹脂;ウレタン;シリコーンならびに限定はされないがポリフェニルメチルシロキサン、ポリフェニルアルキルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリジアルキルシロキサン、フッ化シリコーン、ビニルおよび水素化物置換シリコーンを含むシリコーン誘導体;限定はされないがメタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルおよびメタクリル酸ラウリルを含む単量体から形成されたアクリルポリマーおよびコポリマー;スチレンベースのポリマー;ならびにジビニルベンゼンなどの2官能性単量体で架橋されたポリマーを含む。
【0040】
適当な任意の方法、例えば、ポリマーにナノ結晶を混入し、フィルムを注型する方法、ナノ結晶を単量体と混合し、それらを一緒に重合させる方法、ゾル−ゲルにナノ結晶を混入して酸化物を形成する方法、または当業者に知られている他の任意の方法を使用して、本発明において使用される発光ナノ結晶を、ポリマー(または他の適当な材料、例えばワックス、油)マトリックス中に埋め込むことができる。本明細書で使用されているとおり、用語「埋め込む」は、マトリックスの主成分を構成するポリマーに発光ナノ結晶が取り囲まれている、または包み込まれていることを示すために使用される。適当には、発光ナノ結晶がマトリックス全体に均一に分布するが、他の実施形態では、用途を特定した均一性分布関数(uniformity distribution function)に従って、発光ナノ結晶を分布させることができることに留意すべきである。
【0041】
スピンコーティング、スクリーン印刷などの当技術分野で知られている任意の方法によって、本発明の組成物の厚さを制御することができる。本発明の発光ナノ結晶組成物は、望ましい任意のサイズ、形状、構成および厚さであることができる。例えば、本発明の組成物は、層ならびに他の形状、例えば円板、球、立方体ないしブロック、管形などの形態をとることができる。本発明のさまざまな組成物は必要なまたは所望の任意の厚さであることができるが、適当には、組成物の厚さ(すなわち1次元)が約100mm程度から約1mm未満程度までである。他の実施形態では、本発明のポリマー層の厚さを数十から数百ミクロン程度とすることができる。発光ナノ結晶は、さまざまな組成物/マトリックスに、所望の機能のために適当な任意のローディング比で埋め込むことができる。適当には、発光ナノ結晶が、用途、マトリックスおよび使用されるナノ結晶のタイプに応じて約0.001体積%から約75体積%までの比でロードされる。適当なローディング比は当業者が容易に決定することができ、本明細書では特定の用途に関してさらに説明される。例示的な実施形態では、発光ナノ結晶組成物にロードされるナノ結晶の量が、約10体積%程度から百万分率(ppm)レベルまでである。
【0042】
適当には、本発明で使用される発光ナノ結晶のサイズが約100nm未満から約2nm未満までである。適当な実施形態では、本発明の発光ナノ結晶が可視光を吸収する。本明細書で使用されているとおり、可視光は、人間の眼に見える約380ナノメートルから約780ナノメートルまでの波長を有する電磁放射である。可視光は、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫など、スペクトルのさまざまな色に分離されうる。これらの色のうちの任意の1つまたは複数の色を構成する光を吸収するように、本発明の光子フィルタリングナノコンポジットを構築することができる。例えば、青色光、赤色光または緑色光、このような色の組合せ、あるいはこれらの色の任意の中間色を吸収するように、本発明のナノコンポジットを構築することができる。本明細書で使用されているとおり、青色光は、波長約435nmから約500nmまでの光を含み、緑色光は、約520nmから565nmまでの光を含み、赤色光は、約625nmから約740nmまでの光を含む。当業者は、これらの波長またはこれらの色間の波長の任意の組合せをフィルタリングすることができるナノコンポジットを構築することができ、このようなナノコンポジットは本発明によって具体化される。
【0043】
他の実施形態では、紫外、近赤外および/または赤外スペクトル中にある光子を発光ナノ結晶が吸収するようなサイズおよび組成を、発光ナノ結晶が有する。本明細書で使用されているとおり、紫外スペクトルは約100nmから約400nmまでの光を含み、近赤外スペクトルは波長約750nmから約100μmまでの光を含み、赤外スペクトルは波長約750nmから約300μmまでの光を含む。
【0044】
本発明の実施に際しては、適当な任意の材料の発光ナノ結晶を使用することができるが、ある種の実施形態では、ナノ結晶を、ZnS、InAsまたはCdSeナノ結晶とすることができ、あるいは、本発明の実施に際して使用されるナノ結晶の集団を形成するため、ナノ結晶がさまざまな組合せを含むことができる。上で論じたとおり、他の実施形態では、発光ナノ結晶が、CdSe/ZnS、CdSe/CdS、InP/ZnSなどのコア/シェルナノ結晶である。
【0045】
本発明の組成物を気密封止するため、組成物上にバリア層が配置される。例えば、図1に示されているように、発光ナノ結晶104を含むマトリックス102上にバリア層106が配置され、それによって気密封止された組成物を生成する。用語「バリア層」は、全体を通じて、組成物を気密封止するようにマトリックス102上に配置された層、コーティング、封止材または他の材料を示すために使用される。バリア層の例は、組成物上に気密シールを生み出すことができる任意の材料層、コーティングまたは物質を含む。適当なバリア層は無機層、適当にはAl、Ba、Ca、Mg、Ni、Si、Ti、Zrの酸化物などの無機酸化物を含む。例示的な無機酸化物層はSiO2、TiO2、AlO2などを含む。全体を通じて使用されているとおり、用語「配置する」および「配置」は、バリア層を堆積させる適当な任意の方法を含む。例えば、配置は、レイヤリング(layering)、コーティング、吹付け、スパッタリング、プラズマ援用化学蒸着、原子層堆積(atomic layer deposition)、または組成物にバリア層を堆積させる他の適当な方法を含む。適当な実施形態では、組成物上にバリア層を配置するためにスパッタリングが使用される。スパッタリングは、材料元素源を衝撃するために高エネルギーイオンが使用され、材料元素源が原子蒸気を放出し、次いで原子蒸気が基材(substrate)上に薄層として堆積する、物理蒸着工程を含む。例えば米国特許第6,541,790号、6,107,105号および5,667,650号を参照されたい。これらの文献の開示はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0046】
他の実施形態では、バリア層の配置を、原子層堆積を使用して実施することができる。LEDのコーティングなどの用途では、ナノ結晶を含むポリマー層などの発光ナノ結晶組成物がしばしば、複雑な幾何形状およびフィーチャ(feature)を有する。例えば、ボンディングワイヤ、はんだ接続などのLEDの構成要素はしばしばポリマー層と直接に接触し、またはポリマー層の中に含まれることさえある。ナノ結晶組成物を適切に気密封止するためには、事実上欠陥のない(すなわちピンホールのない)バリア層がしばしば必要である。さらに、バリア層の配置が、ポリマーまたはナノ結晶を劣化させてはならない。したがって、適当な実施形態では、バリア層を配置するのに原子層堆積が使用される。
【0047】
原子層堆積(ALD)は、発光ナノ結晶組成物上に酸化物層(例えばTiO2、SiO2、AlO2など)を配置することを含むことができ、または、他の実施形態では、窒化物(例えば窒化シリコン)などの非導電層の堆積を使用することができる。ALDは、反応ガスとパージガスを交互に供給することによって、原子層(すなわち分子わずか数個分の厚さ)を堆積させる。高いアスペクト比、凹所内における均一性、ならびに良好な電気および物理特性を有する薄いコーティングを形成することができる。適当には、ALD法によって堆積させたバリア層が、低い不純物濃度、および1000nm未満、適当には約500nm未満、約200nm未満、約50nm未満、約20nm未満または約5nm未満の厚さを有する。
【0048】
例えば、適当な実施形態では、2種類の反応ガス、AおよびBが使用される。反応ガスAだけが反応室内へ流入すると、発光ナノ結晶組成物上に反応ガスAの原子が化学的に吸着する。次いで、残った反応ガスAがAr、窒素などの不活性ガスでパージされる。次いで、反応ガスBが流入し、発光ナノ結晶組成物の反応ガスAが吸着した表面でだけ、反応ガスAとBとの間の化学反応が起こり、その結果、組成物上に原子バリア層が形成される。
【0049】
窒化物層などの非導電層が配置される実施形態では、窒化シリコン層を配置するため、適当には、SiH2Cl2および遠隔プラズマ援用NH3が使用される。この実施形態は低温で実行することができ、活性酸素種の使用を必要としない。
【0050】
発光ナノ結晶組成物上にバリア層を配置するためのALDの使用は、基材の形態にかかわらず、事実上ピンホールのないバリア層を生成する。これらの堆積ステップを繰り返すことによって、バリア層の厚さを増大させることができ、それによって原子層ユニットの層厚を、繰返し回数に応じて増大させることができる。加えて、バリア層を保護し、またはバリア層をさらに強化するため、バリア層を(例えばスパッタリング、CVDまたはALDによる)追加の層でさらにコーティングすることもできる。
【0051】
適当には、本発明の実施に際して利用されるALD法は、約500℃未満、適当には約400℃未満、約300℃未満または約200℃未満の温度で実行される。
【0052】
例示的なバリア材料は、酸素および水分の透過を明確に低減させるように設計された有機材料を含む。例は、(アルミナ充填材入りエポキシ樹脂などの)充填材入りエポキシ樹脂および液晶ポリマーを含む。
【0053】
全体を通じて論じたとおり、適当にはマトリックス102がポリマー基材を含む。したがって、本発明は、本明細書に開示されたさまざまな方法または当技術分野で知られている他のさまざまな方法のうちの任意の方法を使用して組成物上にバリア層を配置することによって、発光ナノ結晶を含む組成物、適当には発光ナノ結晶を含むポリマー基材を気密封止する方法を含む。
【0054】
ポリマー基材をマトリックス102として使用することができることは、単純に、組成物を所望の形状/配向に成形しまたは他の方法で操作することによって、さまざまな形状および構成の組成物を形成することを可能にする。例えば、発光ナノ結晶の溶液/懸濁液(例えばポリマーマトリックス中の発光ナノ結晶)を調製することができる。この溶液を次いで所望の型に入れて必要な形状を形成し、次いで硬化させて(例えばポリマーのタイプに応じて冷却または加熱して)、固体または半固体の構造物を形成することができる。例えば、LED上またはLEDを覆って配置するために、キャップ形または円板形の型を用意することができる。このことは、例えばダウンコンバーティング層として使用することができる組成物の調製を可能にする。所望の形状の調製に続いて、組成物を気密封止し、それによって発光ナノ結晶が酸化することを防ぐため、組成物上にバリア層が配置される。
【0055】
追加の実施形態では、発光ナノ結晶を含む組成物(例えばポリマー組成物)を、所望の基材または物品(例えばLED)上に直接に配置することができる。次いで、発光ナノ結晶組成物(例えば溶液または懸濁液)を硬化させ、次いで組成物上にバリア層を配置することができ、それによって所望の基材または物品上で直接に組成物を気密封止することができる。このような実施形態はしたがって、別個の組成物の調製を必要とせず、その代わりに、所望の物品/基材(例えば光源または他の最終製品)上に組成物を直接に調製することを可能にする。
【0056】
他の実施形態では、本発明は、複数の発光ナノ結晶を含む容器を気密封止する方法を提供する。適当には、この方法が、容器を用意すること、容器の中へ発光ナノ結晶を導入すること、および次いで容器を封止することを含む。例えば、発光ナノ結晶の容器を気密封止する例示的な方法が、図3および4に関する図2の流れ図200に示されている。図2の場合、ステップ202では、容器が用意され、例えば図3および4の容器302または402が用意される。本明細書で使用されているとおり、「容器」は、ナノ結晶を保持するための適当な任意の物品または入れ物を指す。本明細書で使用されているとおり、発光ナノ結晶を含む「容器」と発光ナノ結晶を含む「組成物」とは、本発明の異なる実施形態を表すことが理解されるべきである。発光ナノ結晶を含む「組成物」は、全体にわたって分散したナノ結晶を含むマトリックス、例えばポリマー基材、溶液または懸濁液を指す。本明細書で使用されているとおり、「容器」は、その中に発光ナノ結晶(しばしば発光ナノ結晶の組成物、例えば発光ナノ結晶を含むポリマーマトリックス)が導入される担体、入れ物または予め形成された物品を指す。容器の例は、限定はされないが、管、成形または形成された器、入れ物などのポリマーまたはガラス構造物を含む。例示的な実施形態では、ポリマーまたはガラス物質を、管(円形、長方形、三角形、楕円形または他の所望の断面)または類似の構造など、所望の形状に押出し成形することによって、容器を形成することができる。全体を通じて説明したポリマーを含む任意のポリマーを使用して、本発明の実施に際して使用される容器を形成することができる。本発明の実施に際して使用される容器を調製するための例示的なポリマーは、限定はされないが、アクリル樹脂、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)およびさまざまなシリコーン誘導体を含む。本発明の実施に際して使用される容器を形成するため、追加の材料を使用することもできる。例えば、金属、各種ガラス、セラミックなどから容器を調製することができる。
【0057】
例えば、図2に示されているように、ステップ202で容器が用意された後、次いでステップ204で、容器の中へ複数の発光ナノ結晶104が導入される。本明細書で使用されているとおり、「導入される」は、容器の中へ発光ナノ結晶を供給する適当な任意の方法を含む。例えば、発光ナノ結晶を容器の中へ注入し、容器の中へ入れ、容器の中へ(例えば吸引または真空機構を使用することによって)吸い込ませ、容器の中へ、例えば電磁場を使用することによって誘導し、または、他の適当な方法で容器の中へ発光ナノ結晶を導入することができる。適当には、発光ナノ結晶が、溶液または懸濁液中、例えばポリマー溶液中に存在し、それによって容器の中へナノ結晶を導入するのを助ける。例示的な実施形態では、発光ナノ結晶104を容器、例えば図3に示されているような管状容器302の中へ吸い込ませることができる。他の実施形態では、図4に示されているように、発光ナノ結晶104をその中へ導入することができる空洞または空隙404を有する容器402を調製することができる。例えば、発光ナノ結晶104の溶液を、容器402の空洞404の中へ導入することができる。
【0058】
容器の中への発光ナノ結晶の導入に続き、図2のステップ206に示されているように、次いで容器が気密封止される。容器を気密封止する方法の例は、限定はされないが、容器をヒートシールする方法、容器を超音波溶接する方法、容器をはんだ付けする方法、または容器を接着する方法を含む。例えば、図3に示されているように、任意の数の位置で容器302を封止して、容器全体にわたるさまざまな数のシール304を形成することができる。例示的な実施形態では、例えば容器を加熱し、次いでさまざまな封止箇所(304)で容器を「挟みつぶす(pinching)」ことによって、容器全体にわたるさまざまな位置で容器302をヒートシールすることができる。
【0059】
適当な実施形態では、図3に示されているように、ポリマーまたはガラス管を容器302として使用することができる。次いで、単純に容器の一端に減圧を加えることによって、発光ナノ結晶104の溶液を容器の中へ吸い込ませることができる。次いで、容器を加熱し、容器の全長にわたるさまざまな封止位置またはシール304で容器を「挟みつぶす」ことによって、あるいは全体を通じて説明した他の封止機構を使用することによって、容器302を封止することができる。このようにして、容器302を、さまざまな個々の部分306に分離することができる。これらの部分は、図3に示されているように、封止された単一の容器308として一体に保持し、または個々の断片に分離することができる。容器302の気密封止は、それぞれの個々のシール304が同じナノ結晶の溶液を分離するように実行することができる。他の実施形態では、容器302の別個の部分がそれぞれ異なるナノ結晶溶液(すなわち異なるナノ結晶組成、サイズまたは密度)を含むように、シール304を形成することができる。
【0060】
他の実施形態では、図4に示されているように、容器402内に形成された空洞/空隙404の中に発光ナノ結晶を入れることができる。容器402は、適当な任意の工程を使用して製造することができる。例えば、容器402を、所望の任意の形状または構成に射出成形することができる。空洞/空隙404は、最初の調製工程中(すなわち成形中)に調製することができ、または形成後に続いて追加することができる。次いで、空洞/空隙404の中へ発光ナノ結晶104が導入される。例えば、容器402の空洞/空隙404の中へ発光ナノ結晶を注入し、または入れることができる。適当には、発光ナノ結晶の溶液が容器全体を満たすが、ナノ結晶で容器を完全に満たす必要はない。しかしながら、容器全体が満たされない場合には、発光ナノ結晶が気密封止されることを保証するため、封止の前に、容器内の実質的に全ての空気を除去する必要がある。図4に示されているように、例示的な実施形態では、容器にカバーまたはふた406を接着または溶接することによって、あるいは他の方法で容器をカバーまたはふた406で封止することによって、容器402を気密封止することができる。適当には、カバー406が容器402と同じ材料から製造される(かつ適当には封止の前に部分的に取り付けることができる)が、カバー406が容器402とは異なる材料を含むこともできる。追加の実施形態では、酸素および水分の透過を明確に低減させるように設計された有機材料などの材料を使用して、容器402にふたをし、または容器402を封止することができる。例は、(アルミナ充填材入りエポキシ樹脂などの)充填材入りエポキシ樹脂および液晶ポリマーを含む。
【0061】
例えば容器を成形し、押出成形し、または他の方法で形成することによって、カスタム設計された容器を製造することができることは、その中へ発光ナノ結晶を導入し、気密封止することができる非常に専門化された部品の調製を可能にする。例えば、(例えば他の光学構成要素内へダウンコンバージョンを送達するのに使用される)LEDまたは他の光源の周囲にぴったり沿う形状を製造することができる。さらに、さまざまなフィルム、円板、層および他の形状を調製することができる。例示的な実施形態では、それぞれが発光ナノ結晶の異なる組成物(すなわちそれぞれの組成物が異なる色の光を放出する)を含むことができるいくつかの異なる容器を調製し、次いでそれらの別個の容器を一緒に利用して、所望の性能特性を生み出すことができる。他の実施形態では、その中へ発光ナノ結晶を導入することができる複数の空洞またはリザーバ(reservoir)を有する容器を調製することができる。
【0062】
発光ナノ結晶104は、まだ溶液の状態にある間に容器302、402の中へ気密封止することができるが、発光ナノ結晶溶液は適当には気密封止の前に硬化させる(例えば図2のステップ210)。本明細書で使用されているとおり、「硬化させる」は、発光ナノ結晶の溶液(例えばポリマー溶液)を硬くする工程を指す。硬化は、単純に溶液を乾燥させ、溶媒を蒸発させることによって達成することができ、あるいは硬化は、溶液を加熱することによって、または光もしくは他の外部エネルギーに溶液を露出することによって、達成することができる。硬化に続いて、全体を通じて説明したさまざまな方法を使用して容器を気密封止することができる。
【0063】
発光ナノ結晶が酸化分解することを防ぐため、例示的な実施形態では追加の気密封止が不要である。例えば、ガラスまたはポリマー容器の中に発光ナノ結晶を封止することは、さらなる変更が不要な、酸素および水分からの十分な保護を提供する。しかしながら、追加の実施形態では、容器上にバリア層を配置することによって、気密封止された容器に、追加の酸化防止レベルを追加することができる。例えば、図2のステップ208に示されているように。全体を通じて説明したとおり、例示的なバリア層は、SiO2、TiO2、AlO2のような無機酸化物などの無機層および有機材料を含む。容器上へバリア層を配置する任意の方法を使用することができるが、適当には、バリア層が、容器上にスパッタリングされ、またはALDによって容器上に配置される。図3に示されているように、封止された複数の部分を有する容器上、または封止し、互いから分離した後の個々の部分上に、バリア層106を配置することができ、それによって気密封止された容器(310、312)を製造することができる。
【0064】
本発明の適当な実施形態では、発光ナノ結晶の気密封止された容器を製造するさまざまなステップが、不活性雰囲気中で実行される。例えば、適当には、ステップ204、206および208(ならびに必要ならば210)が全て不活性雰囲気中、すなわち真空中、および/あるいはN2または他の不活性ガス(1種または数種)だけが存在する雰囲気中で実行される。
【0065】
追加の実施形態では、本発明が、複数の発光ナノ結晶を含む気密封止された組成物および容器を提供する。例示的な実施形態では、発光ナノ結晶が、(全体を通じて説明した)1種または数種の半導体材料を含み、適当には、CdSe/ZnS、CdSe/CdS、InP/ZnSなどのコア/シェル発光ナノ結晶である。一般に、発光ナノ結晶のサイズは約1〜50nm、適当には約1〜30nm、より適当には約1〜10nm、例えば約3〜9nmである。例示的な実施形態では、全体を通じて説明したとおり、本発明の気密封止された組成物および容器が、組成物を覆うバリア層(例えば図1の組成物100を覆うバリア層106)を含み、任意選択で、容器を覆うバリア層(例えば図3の容器302を覆うバリア層106)を含む。バリア層の例示的なタイプは、SiO2、TiO2、AlO2のような無機層など、全体を通じて説明したタイプを含む。
【0066】
発光ナノ結晶を気密封止する容器のさまざまな形状、配向およびサイズを生成することに加え、それらの容器/組成物に追加の変更を加えることもできる。例えば、光源のフィルトレーション(filtration)または他の変更のため、容器/組成物をレンズの形状に調整することができる。追加の実施形態では、例えば反射器または同様の装置を調製し、容器/組成物に取り付けることによって、容器/組成物を変更することができる。
【0067】
さらに、組成物または容器内にマイクロパターンを直接に成形して、平面(または曲面)マイクロレンズを形成することができる。これは、成形工程中にまたは後続のエンボス加工ステップにおいて実行することができる。マイクロパターンは、ディスプレイ内など限られた空間が利用可能なときに平面マイクロレンズを製造するためにしばしば利用される。この技術の例は、20から50ミクロンのプリズムが表面に成形された3M corporation社の明るさ強化フィルムを含む。適当な実施形態では、本発明が、カプセル化ポリマー内(または容器内)に発光ナノ結晶が気密封止され、次いでカプセル化ポリマーに、マイクロレンズが形成されるようにマイクロパターンが形成された、マイクロレンズを提供する。例えば、図5に示されているように、マイクロレンズアセンブリ500は、適当には、基材508によって支持されたLED506の上に置かれ、または他の方法でLED506と接触した発光ナノ結晶104の層504を含む気密封止された組成物502を含む。組成物502の表面は、それによってマイクロレンズを形成するさまざまな形状に、例えば図5に示されているように一連のマイクロプリズム510を含むように、成形することができる。
【0068】
例示的な実施形態では、本発明の気密封止された組成物と組み合わされたマイクロレンズの使用が、捕捉される(したがって組成物から放出される)LED/発光ナノ結晶からの放出光の量の増大を可能にする。例えば、本発明の気密封止された組成物および容器にマイクロプリズムまたは他のマイクロレンズアセンブリを追加することが、適当には、マイクロプリズムまたは他のマイクロレンズアセンブリを含まない組成物と比較して、捕捉される光量を、約10%超(例えば約10〜60%、約10〜50%、約10〜40%、約20〜40%または約30〜40%)増大させる。捕捉される光量のこの増大は、組成物または容器から放出される全光量の増大に直接に相関する。
【0069】
適当な実施形態では、光源の上に配置されるレンズを形成する容器/組成物に、ダイクロイックミラーを取り付け、または他の方法で関連付けることができる。ダイクロイックミラーは、特定の波長の光を透過させ、他の光を反射することができる。光源からの光がレンズ形の容器/組成物に入ると、光子は、容器/組成物に入り、気密封止された内部のさまざまな発光ナノ結晶を励起することができる。発光ナノ結晶が光を放出すると、光子は、容器/組成物を出ることができるが、(それらの光子はダイクロイックミラーによって反射されるので)最初の光源に向かって反射することはできない。実施形態では、次いで、光源(例えばLED)の上にぴったりとはまる適当な容器/組成物を形成することができる。ダイクロイックミラーは、光源から光が入り、内部の発光ナノ結晶を励起することを許すが、放出光は、光源から遠ざかる方向に容器/組成物を出ることしかできず、再び光源の中へ反射することは、ダイクロイックミラーによって阻止される。例えば、LED源からの青色光は、ダイクロイックミラーを通過することが許され、カプセル化された発光ナノ結晶を励起し、励起された発光ナノ結晶は次いで緑色光を放出する。この緑色光はダイクロイックミラーによって反射され、光源の中へ再び反射することはできない。
【0070】
本明細書で論じたとおり、適当な実施形態では、本発明の気密封止された発光ナノ結晶組成物が、LEDまたは他の光源と組み合わせて使用される。これらの封止されたナノ結晶/LEDの用途は当業者によく知られており、以下のものを含む。例えば、このような封止されたナノ結晶/LEDは、マイクロプロジェクタ(例えば米国特許第7,180,566号および6,755,563号参照。これらの文献の開示はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる)の中で使用し、携帯電話;パーソナルディジタルアシスタント(PDA);パーソナルメディアプレーヤ;ゲーム装置;ラップトップコンピュータ;ディジタルバーサタイルディスク(DVD)プレーヤおよび他のビデオ出力装置;パーソナルカラーアイウェア;自動車および航空機用のヘッドアップまたはヘッドダウン(およびその他の)ディスプレイなどの用途で使用することができる。追加の実施形態では、ディジタル光プロセッサ(DLP)プロジェクタなどの用途で、気密封止されたナノ結晶を使用することができる。
【0071】
追加の実施形態では、全体を通じて開示された気密封止された組成物および容器を使用して、エタンデュ(etendue)(すなわち光が広がる領域および角度がどの程度か)として知られている光学系の特性を最小化することができる。特許請求の範囲に記載の発明の組成物または容器を配置し、層状に重ね、あるいは他の方法でLEDまたは他の光源を覆い(部分的に覆い)、発光ナノ結晶組成物または容器の全体領域(例えば厚さ)とLEDの領域(例えば厚さ)の比を制御することによって、エタンデュの量または範囲を最小化し、それによって捕捉され、放出される光量を増大させることができる。適当には、発光ナノ結晶組成物または容器の厚さが、LED層の厚さの約1/5未満である。例えば、発光ナノ結晶組成物または容器は、LED層の厚さの約1/6未満、約1/7未満、約1/8未満、約1/9未満、約1/10未満、約1/15未満または約1/20未満である。
【0072】
他の実施形態では、特許請求の範囲に記載の発明の気密封止された発光ナノ結晶を、例えば図6A〜6Cに示されているような光集束装置(または集束装置)604を含むシステム602において使用することができる。例示的な実施形態では、光集束装置604が調製され、LED506に取り付けられ、または他の方法でLED506に関連付けられる。適当には、光集束装置604が立方体または長方形の箱の形状を有し、箱の底面はLED506上またはLED506の上方に位置し、装置の側面はLEDよりも上に延びる。図6Aは、図6Bの平面1−1で切った装置604の断面図を示し、図6Bは、装置604、LED506および基材508の上面図を示す。例示的な実施形態では、装置604が、LED506を取り囲む4つの側面を含むが、他の実施形態では、任意の数(例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10など)の側面を使用することができ、または、単一の材料片(または連続する1つの材料片を形成するように形成された複数の材料片)だけがLED506を取り囲むように円形の装置を使用することができる。一般に、光集束装置604の上面および底面は開いている(すなわち、装置はLED506の上面に直接に置かれ、LED506を取り囲む)が、他の実施形態では、追加の材料片によって、装置604の上面または底面、あるいはその両方を閉じることができる。
【0073】
適当には、集束装置604が、LEDによって生成された光を反射することができる材料から製造され、または光を反射する材料でコーティングされる。例えば、集束装置は、ポリマー、金属、セラミックなどを含むことができる。他の実施形態では、内面(すなわちLEDに面した面)を、金属(例えばAl)または他の反射コーティングなどの反射材料でコーティングすることができる。この反射コーティングは、吹付け塗り、ALD、塗装、浸し塗り、スピンコーティングなど適当な任意の方法を使用して、集束装置の表面に堆積させることができる。
【0074】
適当には、集束装置604が、本発明の気密封止されたナノ結晶組成物504(または気密封止されたナノ結晶容器)を取り囲み、またはカプセル化し、したがって、この装置は組成物または容器に関連付けられる。適当な実施形態では、集束装置604をLED506とは別に調製し、次いで例えばエポキシ樹脂などの接着剤によってLEDに取り付け、次いで、装置604の中心部分を、気密封止されたナノ結晶組成物504で埋めることができる。他の実施形態では、集束装置604をLED506上に直接に組み付けることができる。他の実施形態では、気密封止された組成物をLED上に配置し、次いで集束装置を予め製造された装置として追加し、または集束装置をLED上で直接に構築することができる。適当な実施形態では、装置604がさらに、ナノ結晶組成物504を封止するためのカバー(例えばガラスまたはポリマーカバー)を含む。このようなカバーは、ナノ結晶組成物を覆う気密シールの働きをすることができ、または、単純に、ナノ結晶組成物および集束装置を支持する追加の構造要素の働きをすることができる。このようなカバーは、ナノ結晶組成物504の上面に直接に配置することができ、または装置604の上面に配置することができ、あるいはその中間の任意の位置に配置することができる。
【0075】
図6Aおよび6Cに示されているように、適当な実施形態では、装置の側面が底面(例えばLEDの近く)では内側に向かって狭まり、上面(LEDから遠い方)では外側に広がるように、集束装置604が調製される。このことは、装置から外に光を誘導するために、光606を集め、集束させてビームにするのを助けるのに役立つ。図6Cに示されているように、適当には、集束装置604がLEDから出た光606を誘導する。次第に狭まる、すなわち傾いた側面を使用することにより、LED/ナノ結晶から放出された光606は、装置の内部で行ったり来たり反射することによって失われたり、または単純に脱出できないために失われたりすることなく、装置604から外へ誘導される。適当には、本発明の発光ナノ結晶組成物および容器と組み合わされた光集束装置の使用を、マイクロプロジェクタおよび集束光ビームが望ましいかまたは必要な他の用途において使用することができる。
【0076】
気密封止されたナノ結晶を有する発光ダイオード(LED)デバイス
追加の実施形態では、本発明は、発光ダイオード(LED)デバイスを含む。例示的なLEDデバイス700が図7Aに示されている。LEDデバイス700は、適当にはLED702を含む。LED702は、例示する目的でのみ基材706上に示されている。本発明の実施に際しては、LEDの適当な任意の構成を利用できることが理解されるべきである。さらに、複数の(すなわち2つ以上の)LEDをLEDデバイス700に利用することができる。LEDデバイス700は、複数の発光ナノ結晶710を含む気密封止された容器708をさらに含む。容器708は、LED702に光学的に結合される。LEDデバイス700はさらに、気密封止された容器708に光学的に結合される光ガイド712を含む。
【0077】
本発明の実施形態では、LEDから放出された光の第1の部分が発光ナノ結晶710によってダウンコンバートされる。LEDから放出された光の第2の部分と発光ナノ結晶からダウンコンバートされた光が光ガイド712から放出される。
【0078】
LEDのさまざまな構成、および全可視スペクトルにわたる光を発光するLED、ならびに紫外光(10nm〜約380nmの波長をもつ光)を発光するLEDを含む適当な任意のLEDを、本発明のLEDデバイスに利用することができる。適当には、LED702は青色光を発光する。本明細書に記載されたとおり、可視スペクトルは、人間の眼に見える約380nmから約780nmまでの波長を有する光を含む。可視光は、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫など、スペクトルのさまざまな色に分離されうる。本明細書で使用されているとおり、青色光は、波長約435nmから約500nmまでの光を含み、緑色光は、約520nmから565nmまで、より適当には約525nmから約530nmまでの光を含み、赤色光は、約625nmから約740nmまで、より適当には約625nmから約640nmまでの光を含む。
【0079】
適当には、図7Bに示されているように、LED702が青色光716を発光する。LEDから放出された青色光の第1の部分718が発光ナノ結晶710によってダウンコンバートされる。ナノ結晶は、青色光のこの部分を吸収する際に、次いで第2の波長722、724(図7B参照)で光を放出する。適当には、ナノ結晶710から放出された光は、主として緑色(例えば約520nmから565nmまで、より適当には約525nmから約530nmまで)および赤色(例えば波長約625nmから約740nmまで、より適当には約625nmから約640nmまで)の範囲の波長を有する光を含む。したがって、適当には、ナノ結晶710は、ナノ結晶の2つの集団を含む。ナノ結晶の1つの集団は、青色光を吸収し且つ赤色光を放出するように設計され、ナノ結晶の第2の集団は、青色光を吸収し且つ緑色光を放出するように設計される。ナノ結晶の集団は、適当には、複数(すなわち2以上、10以上、100以上、1000以上など)のナノ結晶を含む。本明細書に記載されたとおり、ナノ結晶の組成物およびサイズを調整することができることは、特定の吸収特性および放出特性を有するナノ結晶の設計を可能にする。
【0080】
青色光718の「第1の部分」は、LEDから放出され、青色から別の波長(単数または複数)の光にダウンコンバートされる、或る割合の青色光716を指す。第1の部分は、LEDによって与えられる青色光の総量よりも少ない、LED702から放出される本来の青色光716のうちの任意の量(例えばLED702から放出される青色光の約99%〜約1%、適当には約80%〜約30%、約70%〜約40%、約70%〜約50%または約60%)とすることができる。
【0081】
LED702から放出された青色光の第2の部分720は、気密封止された容器708を通過して、青色光として現れる(適当には約20%〜約50%、または約20%〜約40%)。この青色光の第2の部分720と、ナノ結晶から放出されるダウンコンバートされた光722および724(例えば赤色光および緑色光)が、次いで光ガイド712から放出726される。適当には、LEDから放出された青色光720と、ダウンコンバートされた緑色光および赤色光(722および724)とが組み合わされて、光ガイドから最終的に放出されたときに白色光726を生じる。
【0082】
他の実施形態では、1つ(またはそれ以上)のLEDからのすべての光がナノ結晶によってダウンコンバートされ、一方、第2(第3など)のLEDからのすべての光が気密封止された容器を通過し、その結果、赤色、緑色および青色波長の光をもたらし、これらが組み合わされて白色光を生じるように、2つ(またはそれ以上)の青色光発光LEDを利用することができる。
【0083】
気密封止された容器708は、適当には、プラスチックまたはガラス容器である。例示的な気密封止された容器が全体を通じて説明される。適当な実施形態では、気密封止された容器はプラスチックまたはガラス(例えばホウケイ酸)毛管である。本明細書で使用されているとおり、「毛管」は、その幅および高さ寸法の両方よりも長い長さ寸法を有する細長い容器を指す。適当には、毛管は、円形、長方形、四角形、三角形、不規則形、または他の断面を有する管または類似の構造物である。適当には、本発明のLEDデバイスで使用される毛管は、該毛管が光学的に結合されるLEDの形状および配向と整合するように構成することができる。例示的な実施形態では、毛管が約100μm〜約1mmのうちの少なくとも1つの寸法を有する。プラスチック毛管が利用される実施形態では、毛管に追加の気密シールを提供するために、SiO2、AlO2またはTiO2、および本明細書で説明される他のものなどのコーティングを追加することができる。
【0084】
適当には、本発明の毛管は、約50μm〜約10mm、約100μm〜約1mm、または約100μm〜約500μmの厚さを有する。厚さは、光ガイドの平面内への毛管の寸法を指す。適当には、本発明の毛管は、約50μm〜約10mm、約100μm〜約1mm、または約100μm〜約500μmの高さ(光ガイドの平面内)を有する。適当には、本発明の毛管は、約1mm〜約50mm、約1mm〜約40mm、約1mm〜約30mm、約1mm〜約20mm、約1mm〜約10mmの長さ(光ガイドの平面内)を有する。
【0085】
他の実施形態では、本明細書に記載される発光ナノ結晶の気密封止された組成物をLEDデバイスに利用することができる。このような実施形態では、気密封止された組成物は、LEDおよび光ガイドに光学的に結合され、したがって、ナノ結晶からダウンコンバートされた光を提供する。
【0086】
本明細書で使用されているとおり、「光ガイド」は、電磁放射(光)を1つの位置から別の位置に誘導するのに適した光学部品を指す。例示的な光ガイドは、光ファイバケーブル、プレート、フィルム、容器、または他の構造物などのポリマーまたはガラス固形物を含む。光ガイドのサイズは、LEDデバイスの最終的な用途および特性に依存することになる。一般に、光ガイドの厚さは、LEDの厚さと適合するであろう。光ガイドの他の寸法は、一般に、LEDの寸法を超えて延びるように設計され、適当には数十ミリメートルから数十ないし数百センチメートル程度である。図面に例示された光ガイドは、ディスプレイシステムなどに使用するのに適した実施形態を表すが、光ファイバケーブルなどを含む他の光ガイドを利用することもできる。
【0087】
本発明の実施に際して使用される例示的なナノ結晶が本明細書に記載される。適当な実施形態では、ナノ結晶はコア/シェルナノ結晶である。適当には、ナノ結晶は、それらの表面に取り付けられる1つまたは複数のリガンドを含み、これは、ポリマー材料中のナノ結晶の溶解性を増加させる。例示的なリガンドは、本明細書に、および米国特許出願第11/034,216号、米国特許出願第10/656,910号、および米国特許仮出願第60/578,236号に記載される。ナノ結晶の例示的なサイズがさらに本明細書で説明される。
【0088】
適当な実施形態では、発光ナノ結晶はCdSeまたはZnSを含む。利用することができる例示的なコア/シェルナノ結晶は、CdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdSおよびCdTe/ZnSナノ結晶を含む。例示的な実施形態では、本明細書に記載されたとおり、ナノ結晶は、ポリマーマトリックス中に分散されまたは埋め込まれる。このマトリックスは、次いで、毛管を封止する前に毛管の中へ吸い込むまたは他の方法で配置することができる。
【0089】
追加の実施形態では、散乱材料(例えば気密封止された容器に入る光を散乱させる材料の粒子)をマトリックスに加えることができる。適当には、散乱媒体は、500nmからミクロン、さらにはミリメートル程度のサイズの金属、ポリマー、半導体、または他の材料の粒子である。他の実施形態では、散乱材料は、LEDと気密封止された容器との間、または容器と光ガイドとの間に入れることができる。
【0090】
気密封止された容器の中のナノ結晶の濃度は、用途、ナノ結晶のサイズ、ナノ結晶の組成、ポリマーマトリックスの組成、および他の因子に依存することになり、当技術分野での通常の方法を使用して最適化することができる。適当には、発光ナノ結晶は、約0.01重量%〜約50重量%、約0.1重量%〜約50重量%、約1重量%〜約50重量%、約1重量%〜約40重量%、約1重量%〜約30重量%、約1重量%〜約20重量%、約1重量%〜約10重量%、約1重量%〜約5重量%、または約1重量%〜約3重量%の濃度で存在する。LEDからの光のうちの、適当には約40%〜約80%、より適当には約50%〜約70%、または約60%がナノ結晶によって吸収され、この場合、残りの光は、適当には、気密封止された容器を通過する。容器に当たる光のうちの、適当には約10%〜約40%、または約20%〜約30%が、ダウンコンバートされることなく容器を通過する。
【0091】
本明細書に記載されたとおり、気密封止された容器708は、LED702ならびに光ガイド712の両方に光学的に結合される。本明細書で使用されているとおり、「光学的に結合される」は、構成要素(例えば気密封止された容器およびLED)が、光が実質的な干渉なしに1つの構成要素から別の構成要素へ通過できるように位置決めされることを意味する。光学的結合は、気密封止された容器708とLED702が物理的に直接接触している実施形態、または図7Aに示されているように、適当には、気密封止された容器708(したがってナノ結晶710)とLED702が距離704だけ離間される実施形態を含む。図7Aには基材706の頂部に接触している気密封止された容器708が示されているが、LEDからの光が気密封止された容器708を通過できる限り、適当な任意の構成を利用することができる。例えば、気密封止された容器は、基材706の頂部とLED702との間の空間内に位置決めすることができる。他の実施形態では、光学的に透明な要素(例えばレンズを含むガラスまたはプラスチックシートまたはストリップ)を、気密封止された容器708とLED704との間に置くことができる。光学的結合は、構成要素間の物理的相互作用を必要としないことに留意すべきである。むしろ、光が構成要素間を通過できる限り、それらは光学的に結合されると考えられる。気密封止された容器708とLED702との間の間隔により、結果としてナノ結晶がLEDから遠くに位置することになる。この遠くの位置は、LEDおよびナノ結晶から生じる光の特性(強度、純度、演色など)を改善する。
【0092】
実施形態では、光ガイド712は、グルー、テープ、機械的位置合わせのみなど、およびその組合せを介して、気密封止された容器708に光学的に結合される。図7Aに示されているように、適当には、光ガイド712は、気密封止された容器708と直接に接触する。2つの要素の間の物理的接触を維持するために、テープ、グルー、または他の締結装置を利用することができる。適当には、締結装置は、気密封止された容器から光ガイドへ光を通すように、光学的に透明であり、または実質的に光学的に透明である。これはさらに、ポリマー光ガイドを利用することによって達成することができ、ポリマー光ガイドは、例えば、該光ガイドに気密封止された容器が接触するように、加熱されたときに溶融し、または変形し、次いで該光ガイドが冷却され、それによって2つの要素の間の物理的接着または接触の形成を容易にする。
【0093】
図8A〜8Cは、図7Aで説明されるLEDデバイスの追加の構成を示す。図8Aでは、光ガイド712は、テーパした縁部802を有する状態で示されている。テーパした縁部802は、LEDおよびナノ結晶から放出された光を光ガイド712の中に誘導するのを容易にするのに役立つことができる。図8Bでは、804で示されるように気密封止された容器708を光ガイド712の中に埋め込むことができる。これは、例えば、気密封止された容器を光ガイド712の中に直接挿入できるように光ガイド712の区域を除去することによって達成することができる。他の実施形態では、上記のように、光ガイド712は、溶融し、または変形し、それによって、気密封止された容器708を光ガイド712の中へ挿入しまたは埋め込むことを可能にするように、加熱することができる。図8Cに例示されるように、他の実施形態では、気密封止された容器708は、806に示されているように形状設定することができる。例示的な実施形態では、気密封止された容器708は、LEDから光ガイドへの光の伝達を改善するために、レンズまたは他の光学装置として作用するように形状設定することができる。
【0094】
図9は、光ガイドから放出される光の量が増加するように、LED、光ガイドおよび気密封止された容器に対して位置決めされた1つまたは複数の反射器902をデバイスがさらに含む、本発明のLEDデバイスの実施形態を示す。図9に示されているように、例示的な実施形態では、光ガイドの中に誘導されない、気密封止された容器の中のナノ結晶から放出されたあらゆる光、またはLEDから跳ね返る光を反射するように、反射器をLEDの後ろに位置決めすることができる。同様に、気密封止された容器の側面はさらに、光を光ガイドの方に反射するように反射器902を含むことができる。追加の実施形態では、その上にLEDが位置決めされる基材はさらに、LEDからの光を気密封止された容器の中に誘導するのに役立つ反射性の傾いた側面を含むことができる。
【0095】
図10A〜10Bは、例示的な気密封止された容器708、例えば毛管の例示を提供する。図10Bに示されているように、実施形態では、気密封止された容器708(毛管)の端部は、キャップ1002で覆うことができる。キャップ1002は、適当には、適用の前に加熱し、次いで気密封止される容器が封止されるように冷却することができる、ポリマー材料から作製される。他の実施形態では、気密封止された容器の端部に充填し、それによって容器を封止するために、液状ポリマー溶液を使用することができる。本明細書に記載されたとおり、または当技術分野で知られている他の方法で気密封止された容器を封止する追加の方法、例えば、クリンプ、挟みつぶす、レーザ封止、熱収縮、または容器の端部を閉鎖する他の方法を使用することもできる。
【0096】
適当には、ポリマーマトリックス中に分散される発光ナノ結晶の溶液は、例えば真空を使用して減圧を生じることによって毛管の中へ吸い込まれる。適当には、ポリマーは、次いで冷却され、硬化される。硬化プロセスは、しばしば、結果として、ポリマーマトリックス中に形成される小さい気泡を生じることがある。これらの調製物中の小さいサイズの気泡は、組成物またはナノ結晶の光学特性に干渉せず、実際には、これらの小さい気泡の存在は、製造中にマトリックスが熱サイクルを経験するまたはLEDと共に使用するときに高まる圧力を低減する一助となる可能性があることが発見されている。
【0097】
適当な実施形態では、本発明は、白色光発光ダイオード(LED)デバイスを提供する。該デバイスは、適当には青色光発光LEDと、LEDに光学的に結合される複数の発光ナノ結晶(適当にはCdSe/ZnS発光ナノ結晶)を含む気密封止された容器とを含む。デバイスはさらに、気密封止された容器に光学的に結合される光ガイドを含む。
【0098】
図7Bに例示されるように、LEDから放出された青色光718の第1の部分が気密封止された容器に入る際に、発光ナノ結晶(例えばCdSe/ZnS発光ナノ結晶)によって光が緑色光および赤色光(722および724)にダウンコンバートされる。LEDから放出された青色光の第2の部分720と緑色光および赤色光が、光ガイドから放出され、組み合わされて白色光726を生じる。
【0099】
本明細書に記載されたとおり、本発明の白色光LEDデバイスは、適当には、LEDから(遠くに)間隔をおいて配置された発光ナノ結晶を含む気密封止された容器を含む。気密封止された容器内のナノ結晶の濃度は、LEDによって放出された青色光の一部がナノ結晶によって吸収されることなく容器を通過できるように提供される。青色光の別の部分は、吸収され、次いでナノ結晶によってダウンコンバートされ、緑色および赤色光として放出される。赤色、青色および緑色光が、次いで光ガイドから放出されるときに組み合わされて白色光を生じる。本発明の手法は、3つの別個の光源(例えば3つのLED)が使用される、またはLEDからのすべての青色光が発光ナノ結晶によって吸収される白色光LEDとは異なる。ナノ結晶の濃度/密度および特性を最適化することによって、高強度、高純度の、正確に色調整された、白色光を生じることができる。
【0100】
他の実施形態では、本発明は、LEDと、LEDに光学的に結合される複数の発光ナノ結晶を含む気密封止された容器と、気密封止された容器に光学的に結合される光ガイドとを含む、発光ダイオード(LED)デバイスを提供する。LEDから放出された光は、ナノ結晶によってダウンコンバートされ、光ガイドの表面を出る。適当には、発光ナノ結晶が青色、緑色および赤色光を放出し、光が組み合わされて白色光を生じる。このような実施形態では、適当には、LEDは紫外光を発光する。
【0101】
他の実施形態では、本発明は、本明細書で説明されるLEDデバイスを含むディスプレイシステムを提供する。適当には、図11に示されているように、ディスプレイシステム1100は、ディスプレイ1102と、複数のLEDデバイス700とを含む。本明細書に記載されたとおり、適当には、LEDデバイス700は、LED702と、LEDに光学的に結合される複数の発光ナノ結晶を含む気密封止された容器708とを含む。デバイスはさらに、気密封止された容器に光学的に結合される光ガイド712を含む。図11に示されているように、適当には、ディスプレイ1102は、光ガイド712を少なくとも部分的に取り囲む。
【0102】
実施形態では、発光ナノ結晶から放出され、ダウンコンバートされた光が、光ガイドから放出され、ディスプレイ上に表示される。本発明のディスプレイシステムは、白色光を含む可視スペクトルの全範囲にわたる光を放出することができる。
【0103】
他の実施形態では、LEDから放出された光の第1の部分が発光ナノ結晶によってダウンコンバートされる。LEDから放出された光の第2の部分と発光ナノ結晶からダウンコンバートされた光が光ガイドから放出され、ディスプレイ上に表示される。本発明のディスプレイシステムは、白色光を含む可視スペクトルの全範囲にわたる光を放出することができる。例示的な実施形態では、利用されるLEDは青色光を発光する。
【0104】
例示的な気密封止された容器(毛管を含む)と発光ナノ結晶が本明細書に記載される。図11に示されているように、適当には、単一の気密封止された容器708’が少なくとも2つのLEDに光学的に結合される。単一の気密封止された容器は、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、10個以上などのLEDに光学的に結合することができる。気密封止された容器708は、個々の各LEDに結合することができるが、本発明のディスプレイシステムの実施形態では、複数のLEDに結合される単一の気密封止された容器の使用によって、ディスプレイシステムのより容易な組み立ておよび製造が可能となる。単一の気密封止された容器が複数のLEDに結合される実施形態では、適当には、各LEDが青色光を発光し、その一部は容器の中のナノ結晶によってダウンコンバートされ、その一部は光ガイドから放出される。図11は、単一の光ガイドおよび単一のディスプレイが利用される実施形態を実証するが、本発明のディスプレイシステムは、互いに光学的に結合されて、その結果としてディスプレイシステムをもたらす、複数の光ガイドおよび複数のディスプレイを含むことができることが理解されるべきである。
【0105】
本明細書に記載された発光ナノ結晶を含む気密封止された容器は、既存のLEDディスプレイシステムに後付けするのに利用することができる。ディスプレイのLEDと光ガイドとの間に気密封止された容器(例えば毛管)を含むことにより、LEDからの光(適当には青色光)の一部を、LED光と組み合わせて白色光を生じることを含めて任意の所望の色に変換することができる。
【0106】
以下の表1は、本発明の発光ナノ結晶からの光出力、ならびにナノ結晶を励起するのに使用される青色LEDからの光を示す。ナノ結晶は、本明細書に記載されたようにLEDから間隔をおいて(LEDから遠くに)配置された。伝統的なイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)蛍りん光体に関するデータも示される。FWHM=半値幅である。
【表1】

【0107】
発光ナノ結晶コンポジット
他の実施形態では、本発明は、発光ナノ結晶コンポジット材料1200である。図12に示されているように、実施形態では、コンポジット材料は、第1の組成を有する第1のポリマー材料1204と、第2の組成を有する第2のポリマー1202材料と、第2のポリマー材料1202中に分散される複数の発光ナノ結晶710とを含む。第2のポリマー材料1202は、第1のポリマー材料1204中に分散される。
【0108】
発光ナノ結晶を第2のポリマー材料1202中に分散させることは、ナノ結晶を封止する方法を提供し、且つ、さまざまな組成およびサイズのナノ結晶を混合するための機構を提供する。適当な第2のポリマー材料1202は、アミノシリコーン、ならびに限定はされないが、ポリ(ビニルブチラール):ポリ(酢酸ビニル);エポキシ樹脂;ウレタン;シリコーンならびに限定はされないがポリフェニルメチルシロキサン、ポリフェニルアルキルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリジアルキルシロキサン、フッ化シリコーン、ビニルおよび水素化物置換シリコーンを含むシリコーン誘導体;限定はされないがメタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルおよびメタクリル酸ラウリルを含む単量体から形成されたアクリルポリマーおよびコポリマー;スチレンベースのポリマー;ならびにジビニルベンゼンなどの2官能性単量体で架橋されたポリマーを含む、本明細書で説明される他のポリマーを含む。
【0109】
第2のポリマー材料1202はナノ結晶を分散させるのに適した環境を提供するが、ナノ結晶の効率的な混合を提供するポリマーは、形状設定するまたは成形するにはしばしば脆弱であり、または難しいことがある。ナノ結晶/ポリマー混合物1202を追加のポリマー材料1204中に分散させることは、発光ナノ結晶の所望の光学的/ダウンコンバージョン特性を維持しながら、要望通りに機械的に作用することができる気密封止された組成物も維持する、コンポジットの生産を可能にする。第1のポリマー材料1204として使用される例示的なポリマー材料は、エポキシ樹脂およびポリカーボネートを含む。例示的なエポキシ樹脂およびポリカーボネートは、当技術分野で良く知られている。
【0110】
適当には、コンポジット材料中に分散される発光ナノ結晶は、光(例えば青色光)を吸収し、且つ緑色光および/または赤色光を放出するが、他の色もナノ結晶から放出されることがある。コンポジット材料で使用される例示的なナノ結晶が本明細書に記載され、これらは、CdSeまたはZnSを含むナノ結晶、ならびにCdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdSまたはCdTe/ZnSを含むコア/シェル発光ナノ結晶を含む。
【0111】
他の実施形態では、コンポジットは、コンポジットを気密封止する無機層1206を含むことができる。SiO2、TiO2またはAlO2を含む無機層の例が本明細書に記載される。
【0112】
適当には、本発明のコンポジット材料は、青色LED波長における約0.5〜約0.9の光学密度と約50μm〜約200μmの経路長を有する。適当には、コンポジットは、青色LED波長における約0.5〜約0.8、約0.7〜約0.8、または約0.8の光学密度を有する。適当には、コンポジット材料の経路長は、約75μm〜約150μm、または約100μmである。本発明のコンポジット材料に利用される発光ナノ結晶の濃度は、適当には、本明細書で説明される気密封止された組成物に利用される濃度とほぼ同じである。したがって、発光ナノ結晶は、適当には、コンポジットに当たる光の約40%〜約80%、より適当には約50%〜約70%、または約60%がナノ結晶によって吸収されるように、約0.01重量%〜約50重量%、約0.1重量%〜約50重量%、約1重量%〜約50重量%、約1重量%〜約40重量%、約1重量%〜約30重量%、約1重量%〜約20重量%、約1重量%〜約10重量%、約1重量%〜約5重量%、または約1重量%〜約3重量%の濃度で存在する。
【0113】
本発明はさらに、発光ナノ結晶コンポジット材料を調製する方法を提供する。図12に関する図13の流れ図1300に示されているように、適当には、このような方法は、複数の発光ナノ結晶710を第1のポリマー材料1202中に分散させて、発光ナノ結晶と第1のポリマー材料との混合物を形成するステップ1302を含む。混合物は、次いで1304で硬化される。1308で、硬化された混合物から微粒子を生じさせる。ステップ1310で、微粒子を第2のポリマー材料1204中に分散させて、コンポジット材料を生じさせる。微粒子は、第2のポリマー材料が液体、またはほとんど液体の状態にあるときに、さまざまな形態の機械的混合を用いて第2のポリマー材料中に分散させることができる。
【0114】
この方法で使用される例示的なポリマー材料が適当な発光ナノ結晶として本明細書に記載される。適当には、発光ナノ結晶は、CdSeまたはZnSを含み、またはCdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdSまたはCdTe/ZnSを含むコアシェルナノ粒子であり、適当にはアミノシリコーン中に分散される。
【0115】
適当には、発光ナノ結晶と第1のポリマー材料との混合物が機械的に処理されて微粒子を形成する。機械的処理の例は、ボールミリング、研削、微粉砕、粉砕または混合物から微粒子を形成する他の方法を含む。微粒子を生じさせるために化学処理または他の処理を利用することもできる。適当には、微粒子は粉末である。適当には、ナノ結晶と第1のポリマー材料との混合物の微粒子は、約10μm〜約200μm、または約10μm〜約100μm、または約20μm〜約70μm、または約50μm程度のサイズを有する。
【0116】
発光ナノ結晶と第1のポリマー材料との混合物の微粒子以外の他の構造物、例えば、フィルム、ロッド、リボン、球などが生じることもある。これらの構造物は、次いで第2のポリマー材料中に分散させることができる。
【0117】
他の実施形態では、第2のポリマー材料は、所望の最終製品の所望の光学特性および物理特性を有するセラミックス、ガラス、または無機材料などの他の材料で置き換えることができる。
【0118】
例示的な実施形態では、1304での硬化の前に、ステップ1306で混合物に架橋剤が加えられる。例示的な架橋剤は、本明細書に記載された架橋剤、または当技術分野で知られている他の架橋剤である。
【0119】
他の実施形態では、図13に示されているように、方法は、コンポジット材料をフィルムにするステップ1312をさらに含むことができる。適当には、コンポジット混合物が、こびり付かない(non−stick)基材、例えばTEFLON(登録商標)のシートのような基材上に注型される。混合物が硬化された後で、硬化されたフィルムをこびり付かない基材から除去することができる。フィルムは、次いで任意の所望のサイズまたは形状にカットしまたは切断することができる。
【0120】
追加の実施形態では、流れ図1300のステップ1314に示されているように、コンポジットに追加の気密シールを提供するために、コンポジット上に無機層を配置することができる。無機層は、コンポジット材料の形成後に、しかしコンポジットをフィルムにする前に配置することができ、または無機層は、フィルムにした後に(所望の形状に切断/カットした後を含む)配置することができる。コーティング、吹き付け、ALD、浸し塗りなどのさまざまな方法を含む、コンポジット上に無機層を配置する方法が本明細書に記載される。
【0121】
コンポジット材料はさらに、押出成形、成形、溶媒キャスト、圧縮成形などをして、コンポジットの所望の形状および構成を形成することができる。これらの技術を実施するための方法およびパラメータは当技術分野で良く知られている。
【0122】
本発明のコンポジット材料は、本明細書に記載されたダウンコンバーティング用途、またはダウンコンバーティング層/フィルム/構造物が望ましい他の用途に利用することができる。したがって、例示的な実施形態では、本明細書に記載されたようにLEDからの光のダウンコンバージョンを提供するために、層、フィルム、管、ストリップまたは他の適当な構造物をコンポジット材料から調製し、LED(および/または光ガイド)に光学的に結合することができる。
【0123】
ナノ結晶を含む光ガイド
他の実施形態では、本発明は、図14A〜14Bに示されているように発光ダイオード(LED)デバイスを提供する。適当には、LEDデバイス1400および1401は、LED702と、LEDに光学的に結合される光ガイド712とを含む。光ガイド内の領域(1404、1404’)に複数の発光ナノ結晶710が分散される。適当には、領域は、光ガイドの長さ1410に沿って延びる。適当には、ナノ結晶が青色光、赤色光および緑色光を放出する。実施形態では、LEDは紫外(UV)光発光LEDである。
【0124】
他の実施形態では、LEDから放出された光の第1の部分がナノ結晶によってダウンコンバートされる。図14Aおよび14Bに示されているように、LEDから放出された光(1412)の第2の部分とダウンコンバートされた光(1414および1416)が光ガイドの表面を出る。
【0125】
全体を通じて説明したように、本発明の発光ナノ結晶は、適当には、特定の波長の光を吸収し、次いで吸収した光をダウンコンバートし、異なる波長で光を放出する。図14A〜14Bに例示された本発明の実施形態では、発光ナノ結晶710は、光ガイドの領域1404および1404’に分散される。LEDから放出される光は、光ガイドの長さ1410を通して移動し、適当には、光ガイドの表面に沿って反射器で反射する。実施形態では、LEDから放出された光の一部が、1412で示されるように光ガイドの表面から放出される。光ガイドから放出された光の他の部分が発光ナノ結晶によって吸収され、ダウンコンバートされる。このダウンコンバートされた光(1414および1416)が、次いで光ガイドから放出される。他の実施形態では、すべてのLEDから放出された光がナノ結晶によってダウンコンバートされる。
【0126】
例示的な実施形態では、LEDは青色光発光LEDである。本明細書で詳細に論じたとおり、例示的な実施形態では、LEDから放出された青色光の一部が発光ナノ結晶によって赤色光および緑色光にダウンコンバートされる。放出された緑色1414および赤色1416の光が、LEDから放出された青色光の一部1412(ダウンコンバートされていない)と組み合わされるときに、光ガイドの表面から白色光が放出される。適当な実施形態では、光ガイド712は、光ガイドの発光面(単数または複数)上の1つまたは複数のフィーチャ1406を含む。フィーチャ1406は、適当には、光ガイド712の表面の中にエッチングされた、または該表面から形成されたパターンであり、光ガイドからの光の透過に役立つ。実施形態では、フィーチャ1406は、LEDから直接発光される光(青色光を含む)の放出を強化するように設計される。
【0127】
他の実施形態では、LEDがUV光発光LEDであり、LEDから放出された光の実質的にすべてが、ナノ結晶によって赤色、緑色および青色光にダウンコンバートされる。光は、次いで光ガイドから放出され、組み合わされて白色光を生じる。
【0128】
光ガイド内の領域で使用される例示的なナノ結晶が本明細書に記載される。適当には、ナノ結晶は、CdSeまたはZnSであり、または適当にはCdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdSまたはCdTe/ZnSを含むコア/シェルナノ結晶である。
【0129】
本明細書で使用されているとおり、「領域」は、その中に発光ナノ結晶が配置されている光ガイドの区域または部分を指す。適当には、図14A〜14Bに示されているように、領域1404および1404’は、光ガイド712の長さ1410に沿って延びる。光ガイドの長さ1410は、LEDと垂直に延びる(または実質的に垂直な)横方向の寸法である。光ガイド712をLED702に対して図14Aおよび14Bに示されているように配向することによって、LED702からの光が、光ガイドを出る前に領域1404および1404’内のナノ結晶710のより多くの部分に当たる。適当には、領域1404/1404’は発光ナノ結晶の層である。領域1404/1404’の寸法は、光ガイドの全体寸法によって決定されるが、一般に、領域の厚さは、LEDのサイズ(すなわち数十ミクロンから数十ミリメートル位の程度)に比例することになり、一方、光ガイドの平面内の寸法(すなわち長さおよび幅)は、適当には光ガイドの全体に及ぶ。他の実施形態では、ナノ結晶を含む領域は、すべての寸法において光ガイドの全体にわたるものである(すなわち光ガイドの全体にわたって分散される)。
【0130】
領域1404/1404’は、ナノ結晶をポリマーマトリックス中に分散させ、次いで、ポリマーを硬化させる前または硬化させた後のいずれかに、ポリマーの周りに光ガイドを形成することによって生じさせることができる。代替的に、領域を形成するために、光ガイドを調製し、次いで、ナノ結晶を噴射し、塗装し、吹き付け、または他の方法で堆積させることができる。領域を形成するために、ポリマーコンポジットの形成に関して本明細書で説明される方法を含む、ポリマーマトリックスを生じさせるための他の方法を利用することもできる。例示的な実施形態では、本明細書で説明される発光ナノ結晶コンポジット材料1200を、光ガイドの領域を調製するのに利用することができる。
【0131】
発光ナノ結晶を光ガイド内の領域に分散させることは、システム全体に多数の恩恵および利点を提供する。例えば、ナノ結晶のより均一な照射を達成し、それによって局所的なホットスポットの存在を低減することができる。ナノ結晶を領域の全体にわたって分散させることは、ナノ結晶からの熱放散の改善を可能にし、したがってナノ結晶全体の温度を下げる。ナノ結晶から光ガイドの上面までの光路長を減少させることによって、緑色および赤色光子の再吸収に起因する効率のあらゆる損失が減少される。さらに、領域で低濃度のナノ結晶を利用することができ、したがって、ナノ結晶とその中にナノ結晶が分散される材料(例えばポリマー)との間の潜在的な光および熱により誘起される相互作用を低下させ、それによってシステム寿命を延ばすことができる。
【0132】
光ガイドの領域中の発光ナノ結晶の濃度は、用途、ナノ結晶のサイズ、ナノ結晶の組成、ポリマーマトリックスの組成、および他の因子に依存することになり、当技術分野での通常の方法を使用して最適化することができる。適当には、発光ナノ結晶は、気密封止された容器を利用する本明細書で説明されるLEDデバイスの実施形態に利用される濃度よりも低い濃度で存在し、適当には約0.01重量%〜約50重量%、約0.1重量%〜約50重量%、約1重量%〜約50重量%、より適当には約1重量%〜約40重量%、約1重量%〜約30重量%、約1重量%〜約20重量%、約1重量%〜約10重量%、約1重量%〜約5重量%、または約1重量%〜約3重量%である。一般に、発光ナノ結晶の濃度は、光ガイドのサイズに基づいて比例的に増減する。したがって、ほぼ100mmの厚さを有する気密封止された容器に利用される発光ナノ結晶の濃度は、例えば長さ約10cmの光ガイドに対して2桁の大きさだけ減少されるであろう。
【0133】
例示的な実施形態では、領域1404’の厚さが、光ガイドの長さ1410に沿って変化する。図14Bに示されているように、適当には、領域1404’の厚さは、光ガイドの長さ1410に沿って、LEDでの最小1406から、LEDから遠ざかる光ガイド1408の遠端での最大まで増加する。例示的な実施形態では、厚さは、光ガイドの長さに沿ってほぼ直線的に増加する。他の実施形態では、厚さは、直線的でない状態で増加することができ、および/または光ガイドの遠端1408に到達する前に最大厚さを達成することができる。領域の頂部および底部の両方に沿って直線的に増加する領域1404’の厚さを示す図14Bに示された略図は、例示する目的だけのためであり、領域1404’の任意の適切な形状/配向を利用できることに留意すべきである。領域の厚さを変化させることは、光ガイドからのより均一な光照射を提供する。
【0134】
図15A〜15Cは、図14Aに示された光ガイドから放出された光の強度を示す。強度は、光ガイドに沿って、LEDに隣接(1406)するゼロ(0)で始まって、LEDから遠ざかる光ガイドの遠端(1408)の1(1)までの相対距離の関数として示されている。図15Aは、LEDから放出された(前進する)青色光と、放出される前に光ガイド内で反射される青色光との両方の強度を示す。図15Bは、LEDからの直接吸収される青色光(前進する)と反射される青色光との両方から結果として生じる、ナノ結晶から放出された緑色および赤色光の強度を示す。最後に、図15Cは、光ガイドから放出されたすべての青色光の組み合わされた総和(青色の総和)、ならびにすべての緑色および赤色光の組み合わされた総和(緑色/赤色の総和)を示す強度のプロットを例示する。図15Cで実証されるように、青色光と緑色/赤色光との両方の強度は、光ガイドの長さに沿って消失する。青色光は、光ガイドの長さの全体にわたる吸収の結果として消失する。光ガイドの領域中のナノ結晶の量は(領域の均一な厚さに起因して)一定であるので、赤色および緑色光の強度はさらに、光ガイドの長さに沿って低下する。
【0135】
図16A〜16Cは、図14Bに例示された光ガイド構成(厚さが変化するナノ結晶を有する領域1404’)を別にすれば、図15A〜15Cにおけるプロットと類似した強度プロットを示す。前進する青色光と反射される青色光との両方の放出された青色光の量は、厚さ一定の領域と類似している。しかしながら、図16B〜16Cと図15B〜15Cの緑色/赤色光の強度を比較すると、厚さ(1404’)が変化する領域を有する光ガイドから、より良好な均一性の緑色/赤色光が放出されることが分かる。これは多分、LEDから遠ざかる光ガイドの端での領域1404’の増加した厚さの結果である。光ガイドの遠端により多くのナノ結晶が存在するので(光ガイドの全体にわたって濃度が一貫している場合があるにもかかわらず)、より多くの青色光を吸収し、緑色および赤色光にダウンコンバートすることができる。
【0136】
本発明はさらに、ディスプレイと、複数のLEDと、LEDに光学的に結合される光ガイドとを含み、ディスプレイが光ガイドを少なくとも部分的に取り囲む、ディスプレイシステムを提供する。本明細書に記載されたとおり、複数の発光ナノ結晶が光ガイド内の領域に分散され、該領域は光ガイドの長さに沿って延びる。LEDからの光がナノ結晶によってダウンコンバートされ、光ガイドを出て、ディスプレイ上に表示される。実施形態では、LEDがUV光発光LEDであり、ナノ結晶が赤色、緑色および青色光を放出する。
【0137】
他の実施形態では、LEDから放出された光の第1の部分が発光ナノ結晶によってダウンコンバートされ、LEDから放出された光の第2の部分と発光ナノ結晶からダウンコンバートされた光が光ガイドから放出され、ディスプレイ上に表示される。本明細書に記載されたとおり、例示的な実施形態では、LEDが青色光を発光し、LEDから放出された青色光の第1の部分が発光ナノ結晶によって緑色光および赤色光にダウンコンバートされる。適当には、青色光の第2の部分、緑色光、および赤色光が組み合わされて白色光を生じる。
【0138】
コアシェルナノ結晶を含む例示的なナノ結晶が本明細書に記載される。例示的な実施形態では、光ガイドは1つまたは複数の反射器を含む。
【0139】
適当には、発光ナノ結晶を含む領域はナノ結晶の層である。例示的な実施形態では、領域の厚さは、光ガイドの長さに沿って変化し、適当には、LEDから光ガイドの長さに沿って、例えば本明細書に記載されたように、直線的に増加する。
【0140】
(実施例)
以下の実施例は、本発明の方法および組成物を例示するものであり、本発明の方法および組成物を限定するものではない。ナノ結晶の合成において通常遭遇する、当業者には明らかであると思われるさまざまな条件およびパラメータの他の適当な変更および適合は、本発明の趣旨および範囲に含まれる。
【0141】
実施例1
気密封止された容器の調製
PMMAの押出成形によって、2mm×0.5mmの空洞を有する寸法約3mm×0.5mmの長方形の管が調製される。次いで、管の全長に、蛍光発光ナノ結晶を含む溶液が充填される。次いで、この発光ナノ結晶溶液を硬化させる。次いで、管の中にナノ結晶を閉じ込めるため、管の複数の部分がヒートシールされる。適当には、この充填および封止が不活性雰囲気中で実行される。次いで、管の外面に、バリア層(例えばSiO2、TiO2またはAlO2)を配置することができる。
【0142】
引抜きによって製造されたガラス毛管を使用して、ナノ結晶を含む気密封止された容器を調製することもできる。溶融封止によって、あるいははんだもしくは接着剤または同様の構造物で栓をすることによって、毛管の端が封止される。この毛管には、毛管の容積全体に同じナノ結晶溶液が充填されるように発光ナノ結晶の溶液を充填することができ、または、毛管の全長に沿って異なるナノ結晶が分離されるように、数段階に分けて発光ナノ結晶の溶液を毛管に充填することができる。例えば、第1の発光ナノ結晶溶液を毛管の中へ導入し、次いでこの溶液に隣接して、(例えば毛管を溶融封止し、または毛管に栓をする以外で)シールを配置することができる。次いで、第2の発光ナノ結晶溶液を毛管に加え、次いで再び、その溶液に隣接してシールを配置することができる。気密封止された所望の数の個々のナノ結晶部分が生成されるまで、この工程を必要な回数繰り返すことができる。このようにして、同じ容器の中で発光ナノ結晶の異なる組成物を互いから分離することができ、それによって、発光ナノ結晶の複数の組成物(例えば色)を含む容器を製造することができる。類似の実施形態では、発光ナノ結晶の異なる組成物(例えば異なる色の光を放出する組成物)を導入することができ、したがってそれらを互いに分離された状態で保持することができ、外部の空気および水分から依然として気密封止することができる、多(複数)管腔(multi−lumen)毛管を使用することができる。
【0143】
実施例2
ナノ結晶コンポジット材料の調製
赤色(630nm)および緑色(530nm)光を放出する発光ナノ結晶(例えばCdSe/ZnS)を3重量%濃度でアミノシリコーンポリマー中に混入する。アミノシリコーンポリマーは、350センチポアズの粘度を有し、5%のアミノ基と95%のジメチルシロキサンとを含む。結果として得られる組成物は、約0.8の光学密度と100μmの経路長を有する。
【0144】
エポキシド架橋剤を加え、材料を硬化させてゴムを形成する。硬化された量子ドット組成物を、次いでボールミルの中に入れ、50μmの粉末にする。
【0145】
粉末を、次いで2部エポキシの中に約30%ローディングで混入し、ポリマーを脱気する。ナノ結晶およびエポキシの屈折率は、光の散乱および結果としてのナノ結晶による吸収が最小になるように適当に整合される。
【0146】
エポキシ/ナノ結晶混合物をTEFLON(登録商標)シート上に厚さ約300μmで注型する。硬化させた後で、フィルムを除去する。最終コンポジット材料の光学密度は約0.8ODである。
【0147】
本発明の例示的な実施形態が提示された。本発明はこれらの例に限定されない。これらの例は、例示のために本明細書に提示されたのであって、限定のために本明細書に提示されたのではない。当業者には、本明細書に含まれる教示に基づく(本明細書に記載された実施形態の等価、拡張、変形、偏向形態などを含む)代替実施形態が明白であろう。このような代替実施形態は本発明の範囲および趣旨に含まれる。
【0148】
本明細書に記載された全ての発表論文、特許および特許出願は、それぞれの個々の発表論文、特許または特許出願は参照によって組み込まれていると個別に明示されたのと同じ程度に、参照によって本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオード(LED)デバイスであって、
(a)青色光発光LEDと、
(b)複数の発光ナノ結晶を含む気密封止された容器と、
を含み、前記容器が、前記発光ナノ結晶のダウンコンバージョンを容易にするために前記LEDに対して位置付けられる、LEDデバイス。
【請求項2】
前記気密封止された容器がプラスチックまたはガラス管である、請求項1に記載のLEDデバイス。
【請求項3】
前記気密封止された容器がガラス毛管である、請求項1に記載のLEDデバイス。
【請求項4】
前記気密封止された容器が前記LEDから間隔をおいて配置される、請求項1に記載のLEDデバイス。
【請求項5】
前記発光ナノ結晶が緑色光および赤色光を放出する、請求項1に記載のLEDデバイス。
【請求項6】
前記発光ナノ結晶がCdSeまたはZnSを含む、請求項1に記載のLEDデバイス。
【請求項7】
前記発光ナノ結晶がCdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdSまたはCdTe/ZnSを含むコア/シェル発光ナノ結晶である、請求項1に記載のLEDデバイス。
【請求項8】
前記発光ナノ結晶がポリマーマトリックス中に分散される、請求項1に記載のLEDデバイス。
【請求項9】
ディスプレイシステムであって、
(a)ディスプレイと、
(b)複数の発光ダイオード(LED)デバイスであり、
(i)青色光発光LEDと、
(ii)複数の発光ナノ結晶を含む気密封止された容器と、
を含むLEDデバイスと、
を含み、前記容器が、前記発光ナノ結晶のダウンコンバージョンを容易にするために前記LEDに対して位置付けられる、ディスプレイシステム。
【請求項10】
前記気密封止された容器がプラスチックまたはガラス管である、請求項9に記載のディスプレイシステム。
【請求項11】
前記気密封止された容器がガラス毛管である、請求項9に記載のディスプレイシステム。
【請求項12】
前記気密封止された容器が前記LEDから間隔をおいて配置される、請求項9に記載のディスプレイシステム。
【請求項13】
前記発光ナノ結晶が緑色光および赤色光を放出する、請求項9に記載のディスプレイシステム。
【請求項14】
前記発光ナノ結晶がCdSeまたはZnSを含む、請求項9に記載のディスプレイシステム。
【請求項15】
前記発光ナノ結晶がCdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdSまたはCdTe/ZnSを含むコア/シェル発光ナノ結晶である、請求項9に記載のディスプレイシステム。
【請求項16】
前記発光ナノ結晶がポリマーマトリックス中に分散される、請求項9に記載のディスプレイシステム。
【請求項17】
発光ダイオード(LED)デバイスであって、
(a)LEDと、
(b)前記LEDに光学的に結合される複数の発光ナノ結晶を含む気密封止された容器と、
(c)前記気密封止された容器に光学的に結合される光ガイドと、
を含み、前記LEDから放出された光の第1の部分が前記発光ナノ結晶によってダウンコンバートされ、前記LEDから放出された光の第2の部分と前記発光ナノ結晶からダウンコンバートされた光が前記光ガイドから放出される、
LEDデバイス。
【請求項18】
前記LEDが青色光を発光する、請求項17に記載のLEDデバイス。
【請求項19】
前記LEDから放出された青色光の第1の部分が前記発光ナノ結晶によって緑色光および赤色光にダウンコンバートされる、請求項18に記載のLEDデバイス。
【請求項20】
前記青色光の第2の部分、前記緑色光、および前記赤色光が組み合わされて白色光を生じる、請求項19に記載のLEDデバイス。
【請求項21】
前記気密封止された容器がプラスチックまたはガラス容器である、請求項17に記載のLEDデバイス。
【請求項22】
前記気密封止された容器がガラス毛管である、請求項21に記載のLEDデバイス。
【請求項23】
前記ガラス毛管が約100μm〜約1mmのうちの少なくとも1つの寸法を有する、請求項22に記載のLEDデバイス。
【請求項24】
前記発光ナノ結晶がCdSeまたはZnSを含む、請求項17に記載のLEDデバイス。
【請求項25】
前記発光ナノ結晶がCdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdSまたはCdTe/ZnSを含むコア/シェルナノ結晶である、請求項17に記載のLEDデバイス。
【請求項26】
前記光ガイドがグルーまたはテープを介して前記気密封止された容器に光学的に結合される、請求項17に記載のLEDデバイス。
【請求項27】
前記気密封止された容器が前記LEDから間隔をおいて配置される、請求項17に記載のLEDデバイス。
【請求項28】
前記発光ナノ結晶がポリマーマトリックス中に分散される、請求項17に記載のLEDデバイス。
【請求項29】
白色光発光ダイオード(LED)デバイスであって、
(a)青色光発光LEDと、
(b)前記LEDに光学的に結合される複数のCdSe/ZnS発光ナノ結晶を含む気密封止された容器と、
(c)前記気密封止された容器に光学的に結合される光ガイドと、
を備え、前記LEDから放出された青色光の第1の部分が前記CdSe/ZnS発光ナノ結晶によって緑色光および赤色光にダウンコンバートされ、前記LEDから放出された青色光の第2の部分と前記緑色光および前記赤色光が前記光ガイドから放出され、組み合わされて白色光を生じる、
白色光LEDデバイス。
【請求項30】
前記気密封止された容器がプラスチックまたはガラス容器である、請求項29に記載の白色光LEDデバイス。
【請求項31】
前記気密封止された容器がガラス毛管である、請求項30に記載の白色光LEDデバイス。
【請求項32】
前記ガラス毛管が約100μm〜約1mmのうちの少なくとも1つの寸法を有する、請求項31に記載の白色光LEDデバイス。
【請求項33】
前記光ガイドがグルーまたはテープを介して前記気密封止された容器に光学的に結合される、請求項29に記載の白色光LEDデバイス。
【請求項34】
前記気密封止された容器が前記LEDから間隔をおいて配置される、請求項29に記載の白色光LEDデバイス。
【請求項35】
前記CdSe/ZnS発光ナノ結晶がポリマーマトリックス中に分散される、請求項29に記載の白色光LEDデバイス。
【請求項36】
ディスプレイシステムであって、
(a)ディスプレイと、
(b)複数の発光ダイオード(LED)デバイスであり、
(i)LEDと、
(ii)前記LEDに光学的に結合される複数の発光ナノ結晶を含む気密封止された容器と、
を含むLEDデバイスと、
(c)前記気密封止された容器に光学的に結合される光ガイドと、
を含み、前記ディスプレイが前記光ガイドを少なくとも部分的に取り囲み、前記LEDから放出された光の第1の部分が前記発光ナノ結晶によってダウンコンバートされ、前記LEDから放出された光の第2の部分と前記発光ナノ結晶からダウンコンバートされた前記光が、前記光ガイドから放出され、前記ディスプレイ上に表示される、
ディスプレイシステム。
【請求項37】
前記LEDが青色光を発光する、請求項36に記載のディスプレイシステム。
【請求項38】
前記LEDから放出された青色光の第1の部分が前記発光ナノ結晶によって緑色光および赤色光にダウンコンバートされる、請求項37に記載のディスプレイシステム。
【請求項39】
前記青色光の第2の部分、前記緑色光、および前記赤色光が組み合わされて白色光を生じる、請求項38に記載のディスプレイシステム。
【請求項40】
前記気密封止された容器がプラスチックまたはガラス容器である、請求項36に記載のディスプレイシステム。
【請求項41】
前記気密封止された容器がガラス毛管である、請求項40に記載のディスプレイシステム。
【請求項42】
前記ガラス毛管が約100μm〜約1mmのうちの少なくとも1つの寸法を有する、請求項41に記載のディスプレイシステム。
【請求項43】
前記発光ナノ結晶がCdSeまたはZnSを含む、請求項36に記載のディスプレイシステム。
【請求項44】
前記発光ナノ結晶がCdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdSまたはCdTe/ZnSを含むコア/シェル発光ナノ結晶である、請求項36に記載のディスプレイシステム。
【請求項45】
前記光ガイドがグルーまたはテープを介して前記気密封止された容器に光学的に結合される、請求項36に記載のディスプレイシステム。
【請求項46】
前記気密封止された容器が少なくとも2つのLEDに光学的に結合される、請求項36に記載のディスプレイシステム。
【請求項47】
前記発光ナノ結晶がポリマーマトリックス中に分散される、請求項36に記載のディスプレイシステム。
【請求項48】
コンポジット材料であって、
(a)第1の組成を有する第1のポリマー材料と、
(b)第2の組成を有する第2のポリマー材料と、
(c)前記第2のポリマー材料中に分散される複数の発光ナノ結晶と、
を含み、前記第2のポリマー材料が前記第1のポリマー材料中に分散される、
コンポジット材料。
【請求項49】
前記第1のポリマー材料がエポキシまたはポリカーボネートを含む、請求項48に記載のコンポジット材料。
【請求項50】
前記第2のポリマー材料がアミノシリコーンを含む、請求項48に記載のコンポジット材料。
【請求項51】
前記発光ナノ結晶が緑色光および/または赤色光を放出する、請求項48に記載のコンポジット材料。
【請求項52】
前記発光ナノ結晶がCdSeまたはZnSを含む、請求項48に記載のコンポジット材料。
【請求項53】
前記発光ナノ結晶がCdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdSまたはCdTe/ZnSを含むコア/シェル発光ナノ結晶である、請求項48に記載のコンポジット材料。
【請求項54】
前記コンポジットを気密封止するSiO2、TiO2またはAlO2の無機層をさらに含む、請求項48に記載のコンポジット材料。
【請求項55】
前記コンポジットが約0.5〜約0.9の光学密度と約50μm〜約200μmの経路長を有する、請求項48に記載のコンポジット材料。
【請求項56】
前記コンポジットが約0.8の光学密度と約100μmの経路長を有する、請求項55に記載のコンポジット材料。
【請求項57】
発光ナノ結晶コンポジット材料を調製する方法であって、
(a)複数の発光ナノ結晶を第1のポリマー材料中に分散させて前記発光ナノ結晶と前記第1のポリマー材料との混合物を形成するステップと、
(b)前記混合物を硬化させるステップと、
(c)前記硬化された混合物から微粒子を生じさせるステップと、
(d)前記微粒子を前記第2のポリマー材料中に分散させてコンポジット材料を生じさせるステップと、
を含む方法。
【請求項58】
前記分散させるステップ(a)が前記発光ナノ結晶をアミノシリコーン中に分散させることを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記分散させるステップ(a)がCdSeまたはZnSを含む発光ナノ結晶を分散させることを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記分散させるステップ(a)がCdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdSまたはCdTe/ZnSを含む発光ナノ結晶を分散させることを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
前記ステップ(b)での硬化の前に前記混合物に架橋剤を加えることを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項62】
前記微粒子を生じさせるステップが前記硬化された混合物をボールミル粉砕することを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項63】
前記コンポジット材料をフィルムにすることをさらに含む、請求項57に記載の方法。
【請求項64】
発光ダイオード(LED)デバイスであって、
(a)LEDと、
(b)前記LEDに光学的に結合される複数の発光ナノ結晶を含む気密封止された容器と、
(c)前記気密封止された容器に光学的に結合される光ガイドと、
を含み、前記LEDから放出された光が、前記ナノ結晶によってダウンコンバートされ、前記光ガイドの表面を出る、
LEDデバイス。
【請求項65】
前記発光ナノ結晶が青色、緑色および赤色光を放出し、前記光が組み合わされて白色光を生じる、請求項64に記載のLEDデバイス。
【請求項66】
前記LEDが紫外光を発光する、請求項64に記載のLEDデバイス。
【請求項67】
前記気密封止された容器がプラスチックまたはガラス容器である、請求項64に記載のLEDデバイス。
【請求項68】
前記気密封止された容器がガラス毛管である、請求項67に記載のLEDデバイス。
【請求項69】
前記ガラス毛管が約100μm〜約1mmのうちの少なくとも1つの寸法を有する、請求項68に記載のLEDデバイス。
【請求項70】
前記発光ナノ結晶がCdSeまたはZnSを含む、請求項64に記載のLEDデバイス。
【請求項71】
前記発光ナノ結晶がCdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdSまたはCdTe/ZnSを含むコア/シェルナノ結晶である、請求項64に記載のLEDデバイス。
【請求項72】
前記光ガイドがグルーまたはテープを介して前記気密封止された容器に光学的に結合される、請求項64に記載のLEDデバイス。
【請求項73】
前記気密封止された容器が前記LEDから間隔をおいて配置される、請求項64に記載のLEDデバイス。
【請求項74】
前記発光ナノ結晶がポリマーマトリックス中に分散される、請求項64に記載のLEDデバイス。
【請求項75】
発光ダイオード(LED)デバイスであって、
(a)LEDと、
(b)前記LEDに光学的に結合される光ガイドと、
(c)前記光ガイド内の領域に分散される複数の発光ナノ結晶であり、前記領域が前記光ガイドの長さに沿って延びる、複数の発光ナノ結晶と、
を含み、前記LEDから放出された光が、前記ナノ結晶によってダウンコンバートされ、前記光ガイドの表面を出る、
LEDデバイス。
【請求項76】
前記発光ナノ結晶が青色、緑色および赤色光を放出し、前記光が組み合わされて白色光を生じる、請求項75に記載のLEDデバイス。
【請求項77】
前記LEDが紫外光を発光する、請求項76に記載のLEDデバイス。
【請求項78】
前記LEDから放出された光の第1の部分が前記ナノ結晶によってダウンコンバートされ、前記LEDから放出された光の第2の部分とダウンコンバートされた前記光が前記光ガイドの表面を出る、請求項75に記載のLEDデバイス。
【請求項79】
前記LEDが青色光を発光する、請求項78に記載のLEDデバイス。
【請求項80】
前記LEDから放出された青色光の第1の部分が前記発光ナノ結晶によって緑色光および赤色光にダウンコンバートされる、請求項79に記載のLEDデバイス。
【請求項81】
前記青色光の第2の部分、前記緑色光、および前記赤色光が組み合わされて白色光を生じる、請求項80に記載のLEDデバイス。
【請求項82】
前記ナノ結晶がCdSeまたはZnSを含む、請求項75に記載のLEDデバイス。
【請求項83】
前記ナノ結晶がCdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdSまたはCdTe/ZnSを含むコア/シェルナノ結晶である、請求項75に記載のLEDデバイス。
【請求項84】
前記光ガイドが1つまたは複数の反射器を含む、請求項75に記載のLEDデバイス。
【請求項85】
前記領域が発光ナノ結晶の層である、請求項75に記載のLEDデバイス。
【請求項86】
前記領域の厚さが前記光ガイドの長さに沿って変化する、請求項75に記載のLEDデバイス。
【請求項87】
前記厚さが前記LEDから前記光ガイドの長さに沿って増加する、請求項86に記載のLEDデバイス。
【請求項88】
前記厚さが前記光ガイドの長さに沿ってほぼ直線的に増加する、請求項87に記載のLEDデバイス。
【請求項89】
白色光発光ダイオード(LED)デバイスであって、
(a)青色光発光LEDと、
(b)前記LEDに光学的に結合される光ガイドと、
(c)前記光ガイド内の領域に分散される複数のCdSe/ZnS発光ナノ結晶であり、前記領域が前記光ガイドの長さに沿って延びる、複数のCdSe/ZnS発光ナノ結晶と、
を含み、前記LEDから放出された青色光の第1の部分が前記CdSe/ZnS発光ナノ結晶によって緑色光および赤色光にダウンコンバートされ、前記青色光の第2の部分、前記緑色光および前記赤色光が、前記光ガイドから放出され、組み合わされて白色光を生じる、白色光LEDデバイス。
【請求項90】
前記光ガイドが1つまたは複数の反射器を含む、請求項89に記載の白色光LEDデバイス。
【請求項91】
前記領域がCdSe/ZnS発光ナノ結晶の層である、請求項89に記載の白色光LEDデバイス。
【請求項92】
前記領域の厚さが前記光ガイドの長さに沿って変化する、請求項89に記載の白色光LEDデバイス。
【請求項93】
前記厚さが前記LEDから前記光ガイドの長さに沿って増加する、請求項89に記載の白色光LEDデバイス。
【請求項94】
前記厚さが前記光ガイドの長さに沿ってほぼ直線的に増加する、請求項90に記載の白色光LEDデバイス。
【請求項95】
白色光発光ダイオード(LED)デバイスであって、
(a)紫外光発光LEDと、
(b)前記LEDに光学的に結合される光ガイドと、
(c)前記光ガイド内の領域に分散される複数のCdSe/ZnS発光ナノ結晶であり、前記領域が前記光ガイドの長さに沿って延びる、複数のCdSe/ZnS発光ナノ結晶と、
を含み、前記LEDから放出された光が前記CdSe/ZnS発光ナノ結晶によって緑色光、赤色光および青色光にダウンコンバートされ、前記緑色光、前記赤色光および前記青色光が前記光ガイドから放出され、組み合わされて白色光を生じる、
白色光LEDデバイス。
【請求項96】
前記光ガイドが1つまたは複数の反射器を含む、請求項95に記載の白色光LEDデバイス。
【請求項97】
前記領域がCdSe/ZnS発光ナノ結晶の層である、請求項95に記載の白色光LEDデバイス。
【請求項98】
前記領域の厚さが前記光ガイドの長さに沿って変化する、請求項95に記載の白色光LEDデバイス。
【請求項99】
前記厚さが前記LEDから前記光ガイドの長さに沿って増加する、請求項98に記載の白色光LEDデバイス。
【請求項100】
前記厚さが前記光ガイドの長さに沿ってほぼ直線的に増加する、請求項99に記載の白色光LEDデバイス。
【請求項101】
ディスプレイシステムであって、
(a)ディスプレイと、
(b)複数の発光ダイオード(LED)と、
(c)前記LEDに光学的に結合される光ガイドであり、前記ディスプレイが少なくとも部分的に取り囲む、光ガイドと、
(d)前記光ガイド内の領域に分散される複数の発光ナノ結晶であり、前記領域が前記光ガイドの長さに沿って延びる、複数の発光ナノ結晶と、
を含み、前記LEDから放出された光が、前記ナノ結晶によってダウンコンバートされ、前記光ガイドの表面を出て、前記ディスプレイ上に表示される、
ディスプレイシステム。
【請求項102】
前記発光ナノ結晶が青色、緑色および赤色光を放出する、請求項101に記載のディスプレイシステム。
【請求項103】
前記LEDが紫外光を発光する、請求項102に記載のディスプレイシステム。
【請求項104】
前記LEDから放出された光の第1の部分が前記ナノ結晶によってダウンコンバートされ、前記LEDから放出された光の第2の部分とダウンコンバートされた前記光が前記光ガイドの表面を出る、請求項101に記載のディスプレイシステム。
【請求項105】
前記LEDが青色光を発光する、請求項104に記載のディスプレイシステム。
【請求項106】
前記LEDから放出された青色光の第1の部分が前記発光ナノ結晶によって緑色光および赤色光にダウンコンバートされる、請求項105に記載のディスプレイシステム。
【請求項107】
前記青色光の第2の部分、前記緑色光、および前記赤色光が組み合わされて白色光を生じる、請求項106に記載のディスプレイシステム。
【請求項108】
前記発光ナノ結晶がCdSeまたはZnSを含む、請求項101に記載のディスプレイシステム。
【請求項109】
前記発光ナノ結晶がCdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdSまたはCdTe/ZnSを含むコア/シェル発光ナノ結晶である、請求項101に記載のディスプレイシステム。
【請求項110】
前記光ガイドが1つまたは複数の反射器を含む、請求項101に記載のディスプレイシステム。
【請求項111】
前記領域が発光ナノ結晶の層である、請求項101に記載のディスプレイシステム。
【請求項112】
前記領域の厚さが前記光ガイドの長さに沿って変化する、請求項101に記載のディスプレイシステム。
【請求項113】
前記領域の前記厚さが前記LEDから前記光ガイドの長さに沿って増加する、請求項112に記載のディスプレイシステム。
【請求項114】
前記厚さが前記光ガイドの長さに沿ってほぼ直線的に増加する、請求項113に記載のディスプレイシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A−6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A−14B】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2013−509714(P2013−509714A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536994(P2012−536994)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/054259
【国際公開番号】WO2011/053635
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(505082822)ナノシス・インク. (32)
【Fターム(参考)】