ナノ結晶性ZSM−5核を用いたZSM−5ゼオライトの製造方法
【課題】ZSM−5ゼオライトの製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明のZSM−5の製造方法は、サイズ70〜300nmのナノ結晶性ZSM−5核を準備する段階と、水ガラスシリカ源、アルミナ源、中和剤及び水を含む母液に前記ナノ結晶性ZSM−5核を添加して反応混合物を製造する段階と、前記反応混合物を150〜200℃で維持させて結晶化させる段階と、を含んでなる。この方法は、結晶のサイズが小さくて均一であり、不純物の含有されていないZSM−5を短い合成時間内に製造することができる。
【解決手段】本発明のZSM−5の製造方法は、サイズ70〜300nmのナノ結晶性ZSM−5核を準備する段階と、水ガラスシリカ源、アルミナ源、中和剤及び水を含む母液に前記ナノ結晶性ZSM−5核を添加して反応混合物を製造する段階と、前記反応混合物を150〜200℃で維持させて結晶化させる段階と、を含んでなる。この方法は、結晶のサイズが小さくて均一であり、不純物の含有されていないZSM−5を短い合成時間内に製造することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイズ70〜300nmのナノ結晶性ZSM−5核を用いてZSM−5ゼオライトを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ゼオライトは、アルミノ−シリケート(aluminosilicate)の特異な三次元的結晶構造を持っており、他のアルミノケイ酸塩の結晶と比較して細孔が大きくイオン交換性に優れるため、触媒、吸着剤、分子篩及びイオン交換剤等として広く用いられる。天然ゼオライトは構造的制約などで用途が制限されているが、合成ゼオライトはその用途が益々拡大している。ゼオライトの用途を多様化するためには、経済的な合成方法だけでなく、ゼオライトの結晶サイズ、粒度の分布及び形態などを任意に調節することが要求される。
【0003】
ZSM−5ゼオライトはいずれも、10−テトラヘドロン環(tetrahedron ring)からなる三次元気孔を形成し、そのサイズはゼオライトA、ゼオライトXとゼオライトYの中間程度となる。さらに、ZSM−5ゼオライトは、独特な吸着及び拡散特性を示す形状選択性触媒としてのペンタシル(pentasil)ゼオライトの1種であって、SiO2/Al2O3の比が高くて一般に熱的安定性がよく、疎水性があり、ルイス酸点が大きい反面、ブレンステッド酸点は小さい。特に、ZSM−5ゼオライトは、メタノールから直接オクタン価の高い揮発油留分をMTG工程によって得ることができ、ガソリン留分に対する選択性にも優れるものと知られている。
1970年代初めにシリカ含量の高いZSM−5がMobil社から最初開発されて以来、この物質が持っている分子篩効果からもたらされる独特な触媒活性及び形状選択性により、この物質に関する研究が盛んに行われてきた。一般なアルミノ−シリケートゼオライトとは異なり、ZSM−5を製造する際には、多様な種類の有機物質が構造形成のための構造誘導物質として使用されてきた。
今までZSM−5の構造形成に有効なものとして知られている有機物質の中でも、テトラプロピルアンモニウム陽イオンが最も優れた構造誘導効果を有するものとして知られてきた。現在市販されているZSM−5の大部分は前記物質を用いて合成されている。ところが、テトラプロピルアンモニウムイオン(tetra propyl ammonium ion)を含む有機構造誘導物質が優れた構造誘導効果を示すにも拘らず、経済的・環境的面で不利であるため使用を排除しようとする研究が試みられてき、幾つかの工程が開発されている(特許文献1)。有機構造誘導物質を排除しようとする理由は、物質の価格が非常に高く、毒性が非常に強くて環境汚染の原因となるためである。有機構造誘導物質を用いてZSM−5を合成する場合、廃水に含有された毒性の未反応有機構造誘導物質の処理に二次費用が発生する。
【0004】
また、製造されたZSM−5の結晶粒子中に含有された前記構造誘導物質は、使用する前に、必ず550℃以上の焼成を経て熱分解除去しなければならないが、焼成による除去過程で熱分解が完全に起こらない場合には気孔の閉塞をもたらして触媒の活性に致命的な欠陥をもたらすおそれがある。さらに、焼成による追加費用の負担、及び有機物質の熱分解の際に発生する排出ガスによる大気汚染を避けることができない。
【0005】
したがって、上述した問題点を克服するために、Flanigen等(特許文献1)は、有機構造誘導物質の排除の下で結晶核を使用する或いは使用していない状態でZSM−5を合成する方法を最初報告した。ところが、前記方法は反応時間が68〜120時間と非常に長い欠点を持っている。また、有機構造誘導物質の排除の下でZSM−5を合成する場合には、反応条件に非常に敏感に影響を受けるため、注意深い管理が必要である。
【0006】
ZSM−5の合成に影響を及ぼす因子としては、シリカ源の類型、Si/Alの比、アルカリ溶液の濃度、反応物の混合順序、結晶化温度、結晶化時間、熟成程度、及び攪拌有無などを挙げることができる。これらの様々な因子の中でも、シリカ源の類型が最も重要な因子として知られている。
シリカ源として水ガラス(water glass)及びシリカゾル(silica sol)などを用いるが、水ガラスは、水を加えて固形シリケート(カレット(cullet))を溶解させた形態であって、シリカ源の中で最も低廉であるが、アルカリ成分を多量含有しており、反応物の組成制御に難しさが伴い、硫酸又は硫酸アルミニウムを添加して水ガラス内のアルカリ濃度を制御する。ところが、この合成方法は、反応条件がやかましくてZSM−5の結晶化が不均一に発生し、塩除去などのための後処理費用が高いという問題点を持っている(特許文献2)。
シリカ源としてのシリカゾルは、反応性がよく、取扱いが容易であるが、他のシリカ源と比較して原材料費が高く、シリカ成分がコロイド状態で多量の水に微分散しており、アルミナ成分と急激にハイドロゲル(hydrogel)が生成されるから、これを防止するために希釈された状態で2種の成分を接触させるしかない。このような場合、ZSM−5合成過程で結晶化された粒子基準の固形分含量が低いうえ、ZSM−5結晶粒子が単位粒子状態で微分散しているため、濾液分離及び水洗工程で多くの負荷が発生するという欠点を持っており、濾液と水洗液中に未反応成分が多量含有された状態で排出されるため、結果的に単位生産性が低くて工業的な生産方法として使用するには問題点がある(特許文献3)。
その他に、主なシリカ源として、珪藻土又はシリカエアロゲルを使用し、混練及び成形のためにシード結晶配向剤、シリカゾル及び珪酸ナトリウムを添加した後、有機アミンと水蒸気で気相−固相結晶化して結晶サイズの小さい統合的ZSM−5に変換させて結晶サイズの小さいZSM−5分子篩触媒を製造する方法が提示されている(特許文献4)。この技術は、微細なZSM−5を得るためにナノサイズのシードと有機アミンを使用することにより、工程上のコストを高めるという欠点を持っている。
Mobil社(特許文献5)では、いずれの有機物も添加しない方法によってメシチレン吸収力の高い小さい結晶サイズのZSM−5を製造する方法を提示している。前記工程は、有機誘導剤がない条件の下でシリカ源としてケイ酸ナトリウム(sodium silicate)を使用し、その他のアルミナ源、酸及びZSM−5シードを含有する反応混合物を用いてZSM−5を合成するものであって、反応混合物の固形含量及びOH−/SiO2のモル比を用いてZSM−5の結晶サイズを調節することを特徴としているが、結晶化度が50〜75%に及ばないという欠点を持っている。
【0007】
一方、最近では、水熱合成時間を短縮するための方法の一環としてマイクロ波合成法が導入された。マイクロ波合成法は、外部の熱源から熱伝導を介して試料にエネルギーを供給するのではなく、試料に直接マイクロ波エネルギーを供給することにより、均一な核形成と結晶化時間を短縮させることができる。すなわち、マイクロ波によりイオンの速い振動及び水双極子の速い回転を誘発させて溶液中の分子間摩擦で急速な昇温が起こり、これにより速い結晶化が可能である。
米国のMobil社は、マイクロ波エネルギーを適用して多孔性分子篩物質を製造する方法を最初紹介した(特許文献6)。前記のゼオライト合成に適用されたマイクロ波エネルギーは915〜2450MHzの周波数範囲にあり、密封した容器(ガラス、セラミック、PTF)内に結晶核(seed)を用いてZSM−5ゼオライトを合成した。最近では、Nan RenとYi Tang等によって核生成反応及び結晶化反応の2段階に区分してマイクロ波を適用することにより、ナノサイズの均一な粒径を有するシリカライト−1、ZSM−5、LTL、LTAなどを合成することが可能な方法が報告された(非特許文献1)。
【0008】
前述したように、今まで報告されたZSM−5の合成方法によれば、価格が低廉な水ガラスをシリカ源として用いて、有機構造誘導物質が排除された方法によってZSM−5を合成する場合、合成が可能な反応物の組成領域が狭く、合成時間が長いという欠点を持っている。また、粒径の分布が広く、合成されたゼオライトの結晶化度が低下するなどを問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,257,885号明細書
【特許文献2】東ドイツ特許第207185号明細書
【特許文献3】東ドイツ特許第207186号明細書
【特許文献4】韓国公開特許第10−2007−0020354号明細書
【特許文献5】韓国登録特許第1996−0002621号明細書
【特許文献6】米国特許第4,778,666号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Microporous and Mesoporous Materials, 3, 306(2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明者らは、かかる問題点を解決するために広範囲な研究を重ねた結果、構造誘導物質の排除の下で水ガラスシリカ源を用いたZSM−5の合成においてナノメートルサイズの結晶性ZSM−5核を導入する場合、結晶のサイズが小さくて均一であり、不純物の含有されていない100%以上の相対的結晶化度を有するZSM−5を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の目的は、有機構造誘導物質がない組成物に70〜300ナノサイズの結晶性ZSM−5核を添加することにより、相対的結晶化度100%以上の微細且つ均一なZSM−5を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のある観点によれば、サイズ70〜300nmのナノ結晶性ZSM−5核を準備する段階と、水ガラスシリカ源、アルミナ源、中和剤及び水を含む母液に前記ナノ結晶性ZSM−5核を添加して反応混合物を製造する段階と、前記反応混合物を150〜200℃で維持させて結晶化させる段階とを含んでなる、ZSM−5の製造方法を提供する。
【0013】
本発明の他の観点によれば、前記母液は、[Na2O]X[Al2O3]Y[SiO2]100[H2O]Zの組成を有し、前記Xは10〜26であり、前記Yは0.2〜5であり、前記Zは2500〜4000である。
本発明の別の観点によれば、前記母液に添加したナノ結晶性ZSM−5核の含量は前記反応混合物の0.1〜6重量%である。
本発明の別の観点によれば、前記アルミナ源は、アルミン酸ナトリウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド、及びアルミニウムアセチルアセトナートの中から選ばれた少なくとも1種である。
本発明の別の観点によれば、前記中和剤は塩酸、硝酸、リン酸、硫酸又は硫酸アルミニウムである。
本発明の別の観点によれば、前記結晶化反応段階の反応時間は12時間〜72時間である。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、ナノサイズの結晶性ZSM−5を核に導入することにより結晶のサイズが小さくて均一であり、不純物の含有されていないZSM−5を短時間に製造することができる。また、ナノサイズの結晶性ZSM−5の結晶サイズを核のサイズ調節によって調節することができる。本発明は、有機構造誘導物質を使用しないため環境にやさしいZSM−5を製造することができ、水ガラスからも広い組成の領域で良質のZSM−5をより容易に合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のナノサイズの結晶性ZSM−5核を合成する順を示す順序図である。
【図2】本発明のZSM−5を合成する順を示す順序図である。
【図3】それぞれ製造例1及び2によって合成されたZSM−5核のX線回折分析及びSEM分析写真を示す図である。
【図4A】それぞれ比較例1〜3によって合成されたZSM−5核のX線回折分析を示す図である。
【図4B】それぞれ比較例1〜3によって合成されたZSM−5核のSEM分析写真を示す図である。
【図5A】それぞれ比較例4〜7によって合成されたZSM−5核のX線回折分析を示す図である。
【図5B】それぞれ比較例4〜7によって合成されたZSM−5核のSEM分析写真を示す図である。
【図6A】それぞれ実施例1〜4によって合成されたZSM−5核のX線回折分析を示す図である。
【図6B】それぞれ実施例1〜4によって合成されたZSM−5核のSEM分析写真を示す図である。
【図7A】それぞれ実施例3、5及び6によって合成されたZSM−5核のX線回折分析を示す図である。
【図7B】それぞれ実施例3、5及び6によって合成されたZSM−5核のSEM分析写真を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明をさらに具体的に説明する。
前述したように、本発明は、70〜300nmサイズのナノ結晶性ZSM−5核を準備する段階と、水ガラスシリカ源、アルミナ源、中和剤及び水を含む母液に前記ナノ結晶性ZSM−5核を添加して反応混合物を製造する段階と、前記反応混合物を150〜200℃で維持させて結晶化する段階とを含んでなる、ZSM−5の製造方法を提供する。
【0017】
本発明は、まず、ナノサイズの結晶性ZSM−5核を準備する段階から始まる。ナノ結晶性ZSM−5核は、結晶化速度を増加させる役目をし、好ましくは70〜300nm、より好ましくは70〜150nmのサイズを有する。また、ナノサイズの結晶性ZSM−5核は、不純物を含まない100%以上の相対的結晶化度を有することが好ましい。
ここで、本明細書で使用する用語「相対的結晶化度」は、次のように定義できる(商業用ZSM−5の例として、本明細書の場合、Albemarle社のACZeo−ZN030(SiO2/Al2O3のモル比=30)を使用した):
【0018】
【数1】
【0019】
一方、前記ナノ結晶性ZSM−5核は、一定のナノサイズを有すると共に不純物を含有しなければ、公知の方法(例えば、Nan Ren及びYi Tangの方法(Microporous and Mesoporous Materials, 3, 306(2009))のいずれかを用いて結晶性ZSM−5核を合成することができる。よって、ナノ結晶性ZSM−5核を製造する過程で有機構造誘導物質の使用有無、シリカ源又はアルミナ源の種類、及び結晶化方法の種類(例えば、水熱合成法又はマイクロ波合成法)は、本発明の結晶性ZSM−5核の範囲を制限する要素として作用しない。
好適な具現例によれば、ナノ結晶性ZSM−5核の製造に使用される母液の組成は、[TPA+]25[SiO2]100[Al2O3]x[H2O]1600(ここで、xは0.5〜10である)の範囲をもつ。
【0020】
前記組成を有するために使用できるシリカ源としては、TEOS(tetraethyl orthosilicate)、珪藻土、ケイ酸ナトリウム(sodium silicate)、コロイド性シリカ(colloidal silica)、又は固体粉末シリカ(fumed silica)であり、好ましくはTEOSである。また、前記アルミナ源としては、アルミニウムイソプロポキシド(sodium isopropoxide)、アルミン酸ナトリウム(sodium aluminate)、又は酸化ナトリウム(aluminum oxide)を使用することができるが、好ましくはアルミニウムイソプロポキシドを使用する。また、前記具現例のように有機構造誘導物質を使用する場合、様々な種類のアミン類、例えばプロピルアミン(propyl amine)、ジプロピルアミン (dipropylamine)、トリプロピルアミン(tripropylamine)、エチレンジアミン(ethylendiamine)、ジアミノプロパン(diaminopropane)、ジアミノブタン(diaminobutane)、ジアミノペンタン(diaminopenthane)、ジアミノヘプタン(diaminohepthane)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH、tetrapropylammonium hydroxide)又はテトラプロピルアンモニウムブロマイド(TPABr、tetrapropylammonium bromide)などを使用することができるが、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH、tetrapropyl ammonium hydroxide)又はテトラプロピルアンモニウムブロマイド(TPABr、tetrapropyl ammonium bromide)を使用することが好ましい。
前記組成物は常温で攪拌しながら熟成させ、熟成された混合物は制限されない公知の方法、例えば、水熱合成法又はマイクロ合成法で結晶化させることができる。マイクロ合成法で結晶化させる場合、第1段階として60〜100℃の範囲で60〜120分間照射した後、第2段階として110〜170℃の範囲で30〜240分間照射する。
【0021】
このような処理を経て得られたナノ結晶性ZSM−5結晶核は、X線回折分析法によって評価した相対的結晶化度が100%以上でありながら、70〜300nmの粒度サイズを有する。
前記合成されたナノ結晶性ZSM−5核は、本発明のZSM−5を製造するにあたり、結晶化速度及び結晶化度を増加させ且つ結晶サイズを調整することに使用できる。また、使用されるナノ結晶性ZSM−5核の含量は所望の最終ZSM−5の結晶サイズに応じて適切に調整できる。一般に、ナノ結晶性核の含量が高い場合、ZSM−5の結晶サイズは小さくなり、これにより、微細で均質なZSM−5を得るためには好ましくは反応混合物の0.1〜6重量%のナノ結晶性ZSM−5を添加し、より好ましくは0.1〜4重量%添加する。
【0022】
本発明に係るZSM−5を製造するためには、前記合成された結晶性ZSM−5核、シリカ源、アルミナ源、中和剤及び水を使用し、有機構造誘導物質の使用は排除される。シリカ供給源としてはシリカゾル、水ガラス又はケイ酸ナトリウムを使用することができるが、本発明では水ガラスを使用することが好ましい。
有機構造誘導物質が排除される場合、アルミナは、ZSM−5を生成するにあたり非常に重要な物質である。前記アルミナ源は、アルミン酸ナトリウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、及びこれらの混合物から選ばれ、好ましくはアルミン酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物から選ばれる。
【0023】
本発明の反応混合物に使用される水は、既に知られているように水熱合成に必須的な物質であり、好ましくは蒸留水である。このような反応混合物中の水の含量は、結晶化反応に大きい影響を及ぼすが、本発明の場合にはH2O/SiO2のモル比が25〜40、好ましくは25〜30に調節される。反応混合物中の水の含量があまり高ければ、結晶化速度が低下して結晶化反応時間が過多に増加するうえ、収率が低下するので適切な調節が求められる。
また、本発明で使用する中和剤は、シリカ源及びアルミナ源がアルカリ成分を多く含有しており、反応物の組成制御の難しさを解消するために入れる物質として硝酸、リン酸、硫酸又は硫酸アルミニウムを、好ましくは硫酸を添加する。
【0024】
本発明の好適な具現例によれば、水ガラスシリカ源、アルミナ源、中和剤及び水を混合した母液は、[Na2O]X[Al2O3]Y[SiO2]100[H2O]Zの組成を有し、前記Xは10〜26であり、前記Yは0.2〜5であり、前記Zは2500〜4000である。前記母液製造時の温度条件は、特に限定されないが、典型的には常温である。
前記母液は、一つの段階又は複数の段階を経て製造できる。もし一つの段階で製造する場合、原料成分の混合順序は特に限定されない。よって、水ガラスシリカ源、水、中和剤、アルミナ源の順に混合してもよく、アルミナ源、水、中和剤、水ガラスシリカ源の順に混合してもよい。
ところが、母液において、水ガラスシリカ源又はアルミナ源が均一な状態のゲル水溶液として存在するか否かは均一で微細なZSM−5を合成することに大きく影響を及ぼすので、一つの段階よりは複数の段階を経て製造することが好ましい。
したがって、シリカ源及び水を混合した後、20分〜40分間攪拌して第1水溶液を作る。一方、アルミナ源、中和剤及び水を混合した後、15〜30分間攪拌し、しかる後に、前記合成したナノサイズの結晶性ZSM−5核を添加して第2水溶液を作る。その後、第1水溶液に第2水溶液を添加して反応混合物を製造するが、もし反応混合物内のH2O/SiO2のモル比が25未満であれば、選択的にバランス成分として水をさらに添加することができる。
【0025】
本発明の好適な具現例によれば、前記反応混合物を水熱反応によって結晶化させる反応温度は150〜200℃であり、その反応時間は12時間〜48時間、好ましくは18〜30時間である。よって、本発明は、水熱反応によってZSM−5を合成する従来の技術に比べて、合成時間を非常に減らすことができる。
ZSM−5を製造するにあたり、本発明のようにナノ結晶性ZSM−5核を添加せずにZSM−5製造用反応混合物のみをもって水熱合成する場合、ZSM−5だけでなく、モルデナイト(Mordenite)が同時に得られる。
ところが、本発明のナノサイズの結晶性ZSM−5核をZSM−5製造用反応混合物に添加して水熱合成する場合、均一なサイズの純粋なZSM−5のみが得られる。また、結晶性核の添加により高い結晶化度を有するZSM−5を得ることが可能な合成領域が、硫酸の未添加範囲まで拡大し、また、得られた結晶のサイズは微細で均一な形態を有する。
【0026】
本発明のZSM−5製造方法によって不純物の含まれないZSM−5を得た後の過程は、図2に示すとおりである。すなわち、結晶化されたZSM−5を濾過及び洗浄した後、100〜120℃の温度で約10時間〜15時間乾燥させる。その後、NH4NO3でイオン交換をさせた後、その生成物を5〜8時間500〜600℃で焼成させて最終産物を得ることができる。
本発明によって合成されたZSM−5は、非常に狭い粒度分布を有し、平均結晶サイズ0.2〜2.0μmの範囲で自由に調節されながら製造できる。
一方、上述した方法によって得られた生成物の相(phase)及び相対的結晶化度の計算は、X線回折分析装置(例えば、Rigaku Model D/Max III)を用いて、ZSM−5の特性ピークに該当する2θ7〜9°及び22〜25°データを収集することにより行われ得る。
生成物の形態を走査電子顕微鏡(SEM:例えばAkasi Alpha 25A)によって確認することができ、結晶種のPSD(例えば、ELS−Z2、Otsuka)分析によって結晶サイズの分布度を測定することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。但し、これらの実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0027】
製造例1及び2:ナノ粒径の結晶性ZSM−5核の合成
有機構造誘導物質としてのTPAOH13.6g(製造例1)、36.1g(製造例2)にアルミナ源としてのアルミニウムイソプロポキシド0.1g(製造例1)、0.4g(製造例2)を添加し、30分間攪拌して均一な液にした後、TEOS13.6g(製造例1)、36.0g(製造例2)及び蒸留水72.7g(製造例1)、27.5g(製造例2)を添加して2時間攪拌することにより製造した。
ビーカー1の反応混合物をマイクロ波合成反応器(CEM社)に入れた後、マイクロ波を、第1段階では80℃で90分間、第2段階では130℃で180分間照射することにより、ナノ結晶性ZSM−5核を合成した。合成が完了した後、得られた母液から遠心分離によって得られた試料に対して、X線回折分析及びSEM分析を行った。その結果を表1及び図3に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
比較例1〜3:結晶性ZSM−5核を使用しないことによるZSM−5の合成
シリカ源としての水ガラス26.1gに蒸留水33.4gを添加した後、30分間攪拌して容器1を準備した。また、アルミニウム塩3.1g、硫酸4.0g(比較例1)、3.2g(比較例2)又は2.2g(比較例3)、及び蒸留水33.3gを混合し、30分間攪拌して溶液2を準備した。その後、溶液1に溶液2を添加して攪拌し、テフロン(登録商標)容器に入れて170℃で24時間水熱合成した後、室温で冷却した。得られた合成母液を120℃で12時間乾燥させた後、X線回折分析及びSEM分析を行った。その結果を表2、図4A及び図4Bに示す。
【0030】
比較例4〜7:製造例1の結晶性ZSM−5核を使用したZSM−5の合成
シリカ源としての水ガラス25.8gに蒸留水33.2gを添加した後、30分間攪拌して溶液1を準備した。また、硫酸アルミニウム3.1g、硫酸4.0g(比較例4)、3.0g(比較例5)、2.0g(比較例6)又は1.1g(比較例7)、及び蒸留水33.2gを混合し、20分間攪拌した後、前記製造例1で合成されたナノ結晶性ZSM−5核母液を0.7g添加し、20分間攪拌して溶液2を準備した。その後、溶液1に溶液2を添加して攪拌し、テフロン(登録商標)容器に入れて170℃で24時間水熱合成した後、室温で冷却した。得られた合成母液は、120℃で12時間乾燥させた後、X線回折分析及びSEM分析を行った。その結果を表2、図5A及び図5Bに示す。
【0031】
実施例1〜4:製造例2の結晶性ZSM−5核の使用によるZSM−5の合成
シリカ源としての水ガラス25.8gに蒸留水33.2gを添加した後、30分間攪拌して溶液1を準備した。また、硫酸アルミニウム3.1g、硫酸4.0g(実施例1)、3.0g(実施例2)、2.0g(実施例3)又は1.1g(実施例4)、及び蒸留水33.2gを混合し、20分間攪拌した後、前記製造例2で合成されたナノ結晶性ZSM−5核母液を0.7g添加し、20分間攪拌して溶液2を準備した。
その後、溶液1に溶液2を添加して攪拌し、テフロン(登録商標)容器に入れて170℃で24時間水熱合成した後、室温で冷却した。得られた合成母液は、120℃で12時間乾燥させた後、X線回折分析及びSEM分析を行った。その結果を表2、図6A及び図6Bに示す。
【0032】
実施例5及び6:結晶性ZSM−5核添加量の差異によるZSM−5の合成
シリカ源としての水ガラス25.6gに蒸留水33.9gを添加した後、30分間攪拌して溶液1を準備した。また、アルミニウム塩3.2g(実施例5)又は3.1(実施例6)、硫酸1.9g、及び蒸留水33.9gを混合し、20分間攪拌した後、製造例で合成された結晶種母液1.4g(実施例5)又は2.9g(実施例6)を添加して20分間攪拌することにより、溶液2を準備した。
その後、溶液1に溶液2を添加して攪拌し、テフロン(登録商標)容器に入れて170℃で24時間水熱合成した後、室温で冷却した。得られた合成母液は、120℃で12時間乾燥させた後、X線回折分析及びSEM分析を行った。その結果を表2、図7A及び図7Bに示す。
【0033】
【表2】
【0034】
表2より、ZSM−5合成の際に本発明に係るナノサイズの結晶性ZSM−5核を使用することにより、所望のZSM−5の相安定性を増加させたうえ、均一なサイズのZSM−5を得た。結晶性ZSM−5核の添加による効果を確認したところ、サイズ20〜60nmの結晶性ZSM−5核を使用した場合は、多少広くなった領域でZMS−5が得られたことを確認することができたが、低い結晶化度と広い粒子分布度を有した。
ところが、サイズ70〜150nmの結晶性ZSM−5核を使用した場合は、サイズ20〜60nmの結晶性ZSM−5核で合成した場合に比べて、さらに広くなった範囲における高い結晶化度を有するZSM−5の合成が可能であったうえ、微細で均一な結晶を有する良質のZSM−5を得ることができる。また、前記実施例3、5及び6の結果から分かるように、同じ組成の反応混合物でも、結晶核の添加量が増加するにつれてさらに微細なZSM−5を得ることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイズ70〜300nmのナノ結晶性ZSM−5核を用いてZSM−5ゼオライトを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ゼオライトは、アルミノ−シリケート(aluminosilicate)の特異な三次元的結晶構造を持っており、他のアルミノケイ酸塩の結晶と比較して細孔が大きくイオン交換性に優れるため、触媒、吸着剤、分子篩及びイオン交換剤等として広く用いられる。天然ゼオライトは構造的制約などで用途が制限されているが、合成ゼオライトはその用途が益々拡大している。ゼオライトの用途を多様化するためには、経済的な合成方法だけでなく、ゼオライトの結晶サイズ、粒度の分布及び形態などを任意に調節することが要求される。
【0003】
ZSM−5ゼオライトはいずれも、10−テトラヘドロン環(tetrahedron ring)からなる三次元気孔を形成し、そのサイズはゼオライトA、ゼオライトXとゼオライトYの中間程度となる。さらに、ZSM−5ゼオライトは、独特な吸着及び拡散特性を示す形状選択性触媒としてのペンタシル(pentasil)ゼオライトの1種であって、SiO2/Al2O3の比が高くて一般に熱的安定性がよく、疎水性があり、ルイス酸点が大きい反面、ブレンステッド酸点は小さい。特に、ZSM−5ゼオライトは、メタノールから直接オクタン価の高い揮発油留分をMTG工程によって得ることができ、ガソリン留分に対する選択性にも優れるものと知られている。
1970年代初めにシリカ含量の高いZSM−5がMobil社から最初開発されて以来、この物質が持っている分子篩効果からもたらされる独特な触媒活性及び形状選択性により、この物質に関する研究が盛んに行われてきた。一般なアルミノ−シリケートゼオライトとは異なり、ZSM−5を製造する際には、多様な種類の有機物質が構造形成のための構造誘導物質として使用されてきた。
今までZSM−5の構造形成に有効なものとして知られている有機物質の中でも、テトラプロピルアンモニウム陽イオンが最も優れた構造誘導効果を有するものとして知られてきた。現在市販されているZSM−5の大部分は前記物質を用いて合成されている。ところが、テトラプロピルアンモニウムイオン(tetra propyl ammonium ion)を含む有機構造誘導物質が優れた構造誘導効果を示すにも拘らず、経済的・環境的面で不利であるため使用を排除しようとする研究が試みられてき、幾つかの工程が開発されている(特許文献1)。有機構造誘導物質を排除しようとする理由は、物質の価格が非常に高く、毒性が非常に強くて環境汚染の原因となるためである。有機構造誘導物質を用いてZSM−5を合成する場合、廃水に含有された毒性の未反応有機構造誘導物質の処理に二次費用が発生する。
【0004】
また、製造されたZSM−5の結晶粒子中に含有された前記構造誘導物質は、使用する前に、必ず550℃以上の焼成を経て熱分解除去しなければならないが、焼成による除去過程で熱分解が完全に起こらない場合には気孔の閉塞をもたらして触媒の活性に致命的な欠陥をもたらすおそれがある。さらに、焼成による追加費用の負担、及び有機物質の熱分解の際に発生する排出ガスによる大気汚染を避けることができない。
【0005】
したがって、上述した問題点を克服するために、Flanigen等(特許文献1)は、有機構造誘導物質の排除の下で結晶核を使用する或いは使用していない状態でZSM−5を合成する方法を最初報告した。ところが、前記方法は反応時間が68〜120時間と非常に長い欠点を持っている。また、有機構造誘導物質の排除の下でZSM−5を合成する場合には、反応条件に非常に敏感に影響を受けるため、注意深い管理が必要である。
【0006】
ZSM−5の合成に影響を及ぼす因子としては、シリカ源の類型、Si/Alの比、アルカリ溶液の濃度、反応物の混合順序、結晶化温度、結晶化時間、熟成程度、及び攪拌有無などを挙げることができる。これらの様々な因子の中でも、シリカ源の類型が最も重要な因子として知られている。
シリカ源として水ガラス(water glass)及びシリカゾル(silica sol)などを用いるが、水ガラスは、水を加えて固形シリケート(カレット(cullet))を溶解させた形態であって、シリカ源の中で最も低廉であるが、アルカリ成分を多量含有しており、反応物の組成制御に難しさが伴い、硫酸又は硫酸アルミニウムを添加して水ガラス内のアルカリ濃度を制御する。ところが、この合成方法は、反応条件がやかましくてZSM−5の結晶化が不均一に発生し、塩除去などのための後処理費用が高いという問題点を持っている(特許文献2)。
シリカ源としてのシリカゾルは、反応性がよく、取扱いが容易であるが、他のシリカ源と比較して原材料費が高く、シリカ成分がコロイド状態で多量の水に微分散しており、アルミナ成分と急激にハイドロゲル(hydrogel)が生成されるから、これを防止するために希釈された状態で2種の成分を接触させるしかない。このような場合、ZSM−5合成過程で結晶化された粒子基準の固形分含量が低いうえ、ZSM−5結晶粒子が単位粒子状態で微分散しているため、濾液分離及び水洗工程で多くの負荷が発生するという欠点を持っており、濾液と水洗液中に未反応成分が多量含有された状態で排出されるため、結果的に単位生産性が低くて工業的な生産方法として使用するには問題点がある(特許文献3)。
その他に、主なシリカ源として、珪藻土又はシリカエアロゲルを使用し、混練及び成形のためにシード結晶配向剤、シリカゾル及び珪酸ナトリウムを添加した後、有機アミンと水蒸気で気相−固相結晶化して結晶サイズの小さい統合的ZSM−5に変換させて結晶サイズの小さいZSM−5分子篩触媒を製造する方法が提示されている(特許文献4)。この技術は、微細なZSM−5を得るためにナノサイズのシードと有機アミンを使用することにより、工程上のコストを高めるという欠点を持っている。
Mobil社(特許文献5)では、いずれの有機物も添加しない方法によってメシチレン吸収力の高い小さい結晶サイズのZSM−5を製造する方法を提示している。前記工程は、有機誘導剤がない条件の下でシリカ源としてケイ酸ナトリウム(sodium silicate)を使用し、その他のアルミナ源、酸及びZSM−5シードを含有する反応混合物を用いてZSM−5を合成するものであって、反応混合物の固形含量及びOH−/SiO2のモル比を用いてZSM−5の結晶サイズを調節することを特徴としているが、結晶化度が50〜75%に及ばないという欠点を持っている。
【0007】
一方、最近では、水熱合成時間を短縮するための方法の一環としてマイクロ波合成法が導入された。マイクロ波合成法は、外部の熱源から熱伝導を介して試料にエネルギーを供給するのではなく、試料に直接マイクロ波エネルギーを供給することにより、均一な核形成と結晶化時間を短縮させることができる。すなわち、マイクロ波によりイオンの速い振動及び水双極子の速い回転を誘発させて溶液中の分子間摩擦で急速な昇温が起こり、これにより速い結晶化が可能である。
米国のMobil社は、マイクロ波エネルギーを適用して多孔性分子篩物質を製造する方法を最初紹介した(特許文献6)。前記のゼオライト合成に適用されたマイクロ波エネルギーは915〜2450MHzの周波数範囲にあり、密封した容器(ガラス、セラミック、PTF)内に結晶核(seed)を用いてZSM−5ゼオライトを合成した。最近では、Nan RenとYi Tang等によって核生成反応及び結晶化反応の2段階に区分してマイクロ波を適用することにより、ナノサイズの均一な粒径を有するシリカライト−1、ZSM−5、LTL、LTAなどを合成することが可能な方法が報告された(非特許文献1)。
【0008】
前述したように、今まで報告されたZSM−5の合成方法によれば、価格が低廉な水ガラスをシリカ源として用いて、有機構造誘導物質が排除された方法によってZSM−5を合成する場合、合成が可能な反応物の組成領域が狭く、合成時間が長いという欠点を持っている。また、粒径の分布が広く、合成されたゼオライトの結晶化度が低下するなどを問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,257,885号明細書
【特許文献2】東ドイツ特許第207185号明細書
【特許文献3】東ドイツ特許第207186号明細書
【特許文献4】韓国公開特許第10−2007−0020354号明細書
【特許文献5】韓国登録特許第1996−0002621号明細書
【特許文献6】米国特許第4,778,666号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Microporous and Mesoporous Materials, 3, 306(2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明者らは、かかる問題点を解決するために広範囲な研究を重ねた結果、構造誘導物質の排除の下で水ガラスシリカ源を用いたZSM−5の合成においてナノメートルサイズの結晶性ZSM−5核を導入する場合、結晶のサイズが小さくて均一であり、不純物の含有されていない100%以上の相対的結晶化度を有するZSM−5を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の目的は、有機構造誘導物質がない組成物に70〜300ナノサイズの結晶性ZSM−5核を添加することにより、相対的結晶化度100%以上の微細且つ均一なZSM−5を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のある観点によれば、サイズ70〜300nmのナノ結晶性ZSM−5核を準備する段階と、水ガラスシリカ源、アルミナ源、中和剤及び水を含む母液に前記ナノ結晶性ZSM−5核を添加して反応混合物を製造する段階と、前記反応混合物を150〜200℃で維持させて結晶化させる段階とを含んでなる、ZSM−5の製造方法を提供する。
【0013】
本発明の他の観点によれば、前記母液は、[Na2O]X[Al2O3]Y[SiO2]100[H2O]Zの組成を有し、前記Xは10〜26であり、前記Yは0.2〜5であり、前記Zは2500〜4000である。
本発明の別の観点によれば、前記母液に添加したナノ結晶性ZSM−5核の含量は前記反応混合物の0.1〜6重量%である。
本発明の別の観点によれば、前記アルミナ源は、アルミン酸ナトリウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド、及びアルミニウムアセチルアセトナートの中から選ばれた少なくとも1種である。
本発明の別の観点によれば、前記中和剤は塩酸、硝酸、リン酸、硫酸又は硫酸アルミニウムである。
本発明の別の観点によれば、前記結晶化反応段階の反応時間は12時間〜72時間である。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、ナノサイズの結晶性ZSM−5を核に導入することにより結晶のサイズが小さくて均一であり、不純物の含有されていないZSM−5を短時間に製造することができる。また、ナノサイズの結晶性ZSM−5の結晶サイズを核のサイズ調節によって調節することができる。本発明は、有機構造誘導物質を使用しないため環境にやさしいZSM−5を製造することができ、水ガラスからも広い組成の領域で良質のZSM−5をより容易に合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のナノサイズの結晶性ZSM−5核を合成する順を示す順序図である。
【図2】本発明のZSM−5を合成する順を示す順序図である。
【図3】それぞれ製造例1及び2によって合成されたZSM−5核のX線回折分析及びSEM分析写真を示す図である。
【図4A】それぞれ比較例1〜3によって合成されたZSM−5核のX線回折分析を示す図である。
【図4B】それぞれ比較例1〜3によって合成されたZSM−5核のSEM分析写真を示す図である。
【図5A】それぞれ比較例4〜7によって合成されたZSM−5核のX線回折分析を示す図である。
【図5B】それぞれ比較例4〜7によって合成されたZSM−5核のSEM分析写真を示す図である。
【図6A】それぞれ実施例1〜4によって合成されたZSM−5核のX線回折分析を示す図である。
【図6B】それぞれ実施例1〜4によって合成されたZSM−5核のSEM分析写真を示す図である。
【図7A】それぞれ実施例3、5及び6によって合成されたZSM−5核のX線回折分析を示す図である。
【図7B】それぞれ実施例3、5及び6によって合成されたZSM−5核のSEM分析写真を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明をさらに具体的に説明する。
前述したように、本発明は、70〜300nmサイズのナノ結晶性ZSM−5核を準備する段階と、水ガラスシリカ源、アルミナ源、中和剤及び水を含む母液に前記ナノ結晶性ZSM−5核を添加して反応混合物を製造する段階と、前記反応混合物を150〜200℃で維持させて結晶化する段階とを含んでなる、ZSM−5の製造方法を提供する。
【0017】
本発明は、まず、ナノサイズの結晶性ZSM−5核を準備する段階から始まる。ナノ結晶性ZSM−5核は、結晶化速度を増加させる役目をし、好ましくは70〜300nm、より好ましくは70〜150nmのサイズを有する。また、ナノサイズの結晶性ZSM−5核は、不純物を含まない100%以上の相対的結晶化度を有することが好ましい。
ここで、本明細書で使用する用語「相対的結晶化度」は、次のように定義できる(商業用ZSM−5の例として、本明細書の場合、Albemarle社のACZeo−ZN030(SiO2/Al2O3のモル比=30)を使用した):
【0018】
【数1】
【0019】
一方、前記ナノ結晶性ZSM−5核は、一定のナノサイズを有すると共に不純物を含有しなければ、公知の方法(例えば、Nan Ren及びYi Tangの方法(Microporous and Mesoporous Materials, 3, 306(2009))のいずれかを用いて結晶性ZSM−5核を合成することができる。よって、ナノ結晶性ZSM−5核を製造する過程で有機構造誘導物質の使用有無、シリカ源又はアルミナ源の種類、及び結晶化方法の種類(例えば、水熱合成法又はマイクロ波合成法)は、本発明の結晶性ZSM−5核の範囲を制限する要素として作用しない。
好適な具現例によれば、ナノ結晶性ZSM−5核の製造に使用される母液の組成は、[TPA+]25[SiO2]100[Al2O3]x[H2O]1600(ここで、xは0.5〜10である)の範囲をもつ。
【0020】
前記組成を有するために使用できるシリカ源としては、TEOS(tetraethyl orthosilicate)、珪藻土、ケイ酸ナトリウム(sodium silicate)、コロイド性シリカ(colloidal silica)、又は固体粉末シリカ(fumed silica)であり、好ましくはTEOSである。また、前記アルミナ源としては、アルミニウムイソプロポキシド(sodium isopropoxide)、アルミン酸ナトリウム(sodium aluminate)、又は酸化ナトリウム(aluminum oxide)を使用することができるが、好ましくはアルミニウムイソプロポキシドを使用する。また、前記具現例のように有機構造誘導物質を使用する場合、様々な種類のアミン類、例えばプロピルアミン(propyl amine)、ジプロピルアミン (dipropylamine)、トリプロピルアミン(tripropylamine)、エチレンジアミン(ethylendiamine)、ジアミノプロパン(diaminopropane)、ジアミノブタン(diaminobutane)、ジアミノペンタン(diaminopenthane)、ジアミノヘプタン(diaminohepthane)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH、tetrapropylammonium hydroxide)又はテトラプロピルアンモニウムブロマイド(TPABr、tetrapropylammonium bromide)などを使用することができるが、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH、tetrapropyl ammonium hydroxide)又はテトラプロピルアンモニウムブロマイド(TPABr、tetrapropyl ammonium bromide)を使用することが好ましい。
前記組成物は常温で攪拌しながら熟成させ、熟成された混合物は制限されない公知の方法、例えば、水熱合成法又はマイクロ合成法で結晶化させることができる。マイクロ合成法で結晶化させる場合、第1段階として60〜100℃の範囲で60〜120分間照射した後、第2段階として110〜170℃の範囲で30〜240分間照射する。
【0021】
このような処理を経て得られたナノ結晶性ZSM−5結晶核は、X線回折分析法によって評価した相対的結晶化度が100%以上でありながら、70〜300nmの粒度サイズを有する。
前記合成されたナノ結晶性ZSM−5核は、本発明のZSM−5を製造するにあたり、結晶化速度及び結晶化度を増加させ且つ結晶サイズを調整することに使用できる。また、使用されるナノ結晶性ZSM−5核の含量は所望の最終ZSM−5の結晶サイズに応じて適切に調整できる。一般に、ナノ結晶性核の含量が高い場合、ZSM−5の結晶サイズは小さくなり、これにより、微細で均質なZSM−5を得るためには好ましくは反応混合物の0.1〜6重量%のナノ結晶性ZSM−5を添加し、より好ましくは0.1〜4重量%添加する。
【0022】
本発明に係るZSM−5を製造するためには、前記合成された結晶性ZSM−5核、シリカ源、アルミナ源、中和剤及び水を使用し、有機構造誘導物質の使用は排除される。シリカ供給源としてはシリカゾル、水ガラス又はケイ酸ナトリウムを使用することができるが、本発明では水ガラスを使用することが好ましい。
有機構造誘導物質が排除される場合、アルミナは、ZSM−5を生成するにあたり非常に重要な物質である。前記アルミナ源は、アルミン酸ナトリウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、及びこれらの混合物から選ばれ、好ましくはアルミン酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物から選ばれる。
【0023】
本発明の反応混合物に使用される水は、既に知られているように水熱合成に必須的な物質であり、好ましくは蒸留水である。このような反応混合物中の水の含量は、結晶化反応に大きい影響を及ぼすが、本発明の場合にはH2O/SiO2のモル比が25〜40、好ましくは25〜30に調節される。反応混合物中の水の含量があまり高ければ、結晶化速度が低下して結晶化反応時間が過多に増加するうえ、収率が低下するので適切な調節が求められる。
また、本発明で使用する中和剤は、シリカ源及びアルミナ源がアルカリ成分を多く含有しており、反応物の組成制御の難しさを解消するために入れる物質として硝酸、リン酸、硫酸又は硫酸アルミニウムを、好ましくは硫酸を添加する。
【0024】
本発明の好適な具現例によれば、水ガラスシリカ源、アルミナ源、中和剤及び水を混合した母液は、[Na2O]X[Al2O3]Y[SiO2]100[H2O]Zの組成を有し、前記Xは10〜26であり、前記Yは0.2〜5であり、前記Zは2500〜4000である。前記母液製造時の温度条件は、特に限定されないが、典型的には常温である。
前記母液は、一つの段階又は複数の段階を経て製造できる。もし一つの段階で製造する場合、原料成分の混合順序は特に限定されない。よって、水ガラスシリカ源、水、中和剤、アルミナ源の順に混合してもよく、アルミナ源、水、中和剤、水ガラスシリカ源の順に混合してもよい。
ところが、母液において、水ガラスシリカ源又はアルミナ源が均一な状態のゲル水溶液として存在するか否かは均一で微細なZSM−5を合成することに大きく影響を及ぼすので、一つの段階よりは複数の段階を経て製造することが好ましい。
したがって、シリカ源及び水を混合した後、20分〜40分間攪拌して第1水溶液を作る。一方、アルミナ源、中和剤及び水を混合した後、15〜30分間攪拌し、しかる後に、前記合成したナノサイズの結晶性ZSM−5核を添加して第2水溶液を作る。その後、第1水溶液に第2水溶液を添加して反応混合物を製造するが、もし反応混合物内のH2O/SiO2のモル比が25未満であれば、選択的にバランス成分として水をさらに添加することができる。
【0025】
本発明の好適な具現例によれば、前記反応混合物を水熱反応によって結晶化させる反応温度は150〜200℃であり、その反応時間は12時間〜48時間、好ましくは18〜30時間である。よって、本発明は、水熱反応によってZSM−5を合成する従来の技術に比べて、合成時間を非常に減らすことができる。
ZSM−5を製造するにあたり、本発明のようにナノ結晶性ZSM−5核を添加せずにZSM−5製造用反応混合物のみをもって水熱合成する場合、ZSM−5だけでなく、モルデナイト(Mordenite)が同時に得られる。
ところが、本発明のナノサイズの結晶性ZSM−5核をZSM−5製造用反応混合物に添加して水熱合成する場合、均一なサイズの純粋なZSM−5のみが得られる。また、結晶性核の添加により高い結晶化度を有するZSM−5を得ることが可能な合成領域が、硫酸の未添加範囲まで拡大し、また、得られた結晶のサイズは微細で均一な形態を有する。
【0026】
本発明のZSM−5製造方法によって不純物の含まれないZSM−5を得た後の過程は、図2に示すとおりである。すなわち、結晶化されたZSM−5を濾過及び洗浄した後、100〜120℃の温度で約10時間〜15時間乾燥させる。その後、NH4NO3でイオン交換をさせた後、その生成物を5〜8時間500〜600℃で焼成させて最終産物を得ることができる。
本発明によって合成されたZSM−5は、非常に狭い粒度分布を有し、平均結晶サイズ0.2〜2.0μmの範囲で自由に調節されながら製造できる。
一方、上述した方法によって得られた生成物の相(phase)及び相対的結晶化度の計算は、X線回折分析装置(例えば、Rigaku Model D/Max III)を用いて、ZSM−5の特性ピークに該当する2θ7〜9°及び22〜25°データを収集することにより行われ得る。
生成物の形態を走査電子顕微鏡(SEM:例えばAkasi Alpha 25A)によって確認することができ、結晶種のPSD(例えば、ELS−Z2、Otsuka)分析によって結晶サイズの分布度を測定することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。但し、これらの実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0027】
製造例1及び2:ナノ粒径の結晶性ZSM−5核の合成
有機構造誘導物質としてのTPAOH13.6g(製造例1)、36.1g(製造例2)にアルミナ源としてのアルミニウムイソプロポキシド0.1g(製造例1)、0.4g(製造例2)を添加し、30分間攪拌して均一な液にした後、TEOS13.6g(製造例1)、36.0g(製造例2)及び蒸留水72.7g(製造例1)、27.5g(製造例2)を添加して2時間攪拌することにより製造した。
ビーカー1の反応混合物をマイクロ波合成反応器(CEM社)に入れた後、マイクロ波を、第1段階では80℃で90分間、第2段階では130℃で180分間照射することにより、ナノ結晶性ZSM−5核を合成した。合成が完了した後、得られた母液から遠心分離によって得られた試料に対して、X線回折分析及びSEM分析を行った。その結果を表1及び図3に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
比較例1〜3:結晶性ZSM−5核を使用しないことによるZSM−5の合成
シリカ源としての水ガラス26.1gに蒸留水33.4gを添加した後、30分間攪拌して容器1を準備した。また、アルミニウム塩3.1g、硫酸4.0g(比較例1)、3.2g(比較例2)又は2.2g(比較例3)、及び蒸留水33.3gを混合し、30分間攪拌して溶液2を準備した。その後、溶液1に溶液2を添加して攪拌し、テフロン(登録商標)容器に入れて170℃で24時間水熱合成した後、室温で冷却した。得られた合成母液を120℃で12時間乾燥させた後、X線回折分析及びSEM分析を行った。その結果を表2、図4A及び図4Bに示す。
【0030】
比較例4〜7:製造例1の結晶性ZSM−5核を使用したZSM−5の合成
シリカ源としての水ガラス25.8gに蒸留水33.2gを添加した後、30分間攪拌して溶液1を準備した。また、硫酸アルミニウム3.1g、硫酸4.0g(比較例4)、3.0g(比較例5)、2.0g(比較例6)又は1.1g(比較例7)、及び蒸留水33.2gを混合し、20分間攪拌した後、前記製造例1で合成されたナノ結晶性ZSM−5核母液を0.7g添加し、20分間攪拌して溶液2を準備した。その後、溶液1に溶液2を添加して攪拌し、テフロン(登録商標)容器に入れて170℃で24時間水熱合成した後、室温で冷却した。得られた合成母液は、120℃で12時間乾燥させた後、X線回折分析及びSEM分析を行った。その結果を表2、図5A及び図5Bに示す。
【0031】
実施例1〜4:製造例2の結晶性ZSM−5核の使用によるZSM−5の合成
シリカ源としての水ガラス25.8gに蒸留水33.2gを添加した後、30分間攪拌して溶液1を準備した。また、硫酸アルミニウム3.1g、硫酸4.0g(実施例1)、3.0g(実施例2)、2.0g(実施例3)又は1.1g(実施例4)、及び蒸留水33.2gを混合し、20分間攪拌した後、前記製造例2で合成されたナノ結晶性ZSM−5核母液を0.7g添加し、20分間攪拌して溶液2を準備した。
その後、溶液1に溶液2を添加して攪拌し、テフロン(登録商標)容器に入れて170℃で24時間水熱合成した後、室温で冷却した。得られた合成母液は、120℃で12時間乾燥させた後、X線回折分析及びSEM分析を行った。その結果を表2、図6A及び図6Bに示す。
【0032】
実施例5及び6:結晶性ZSM−5核添加量の差異によるZSM−5の合成
シリカ源としての水ガラス25.6gに蒸留水33.9gを添加した後、30分間攪拌して溶液1を準備した。また、アルミニウム塩3.2g(実施例5)又は3.1(実施例6)、硫酸1.9g、及び蒸留水33.9gを混合し、20分間攪拌した後、製造例で合成された結晶種母液1.4g(実施例5)又は2.9g(実施例6)を添加して20分間攪拌することにより、溶液2を準備した。
その後、溶液1に溶液2を添加して攪拌し、テフロン(登録商標)容器に入れて170℃で24時間水熱合成した後、室温で冷却した。得られた合成母液は、120℃で12時間乾燥させた後、X線回折分析及びSEM分析を行った。その結果を表2、図7A及び図7Bに示す。
【0033】
【表2】
【0034】
表2より、ZSM−5合成の際に本発明に係るナノサイズの結晶性ZSM−5核を使用することにより、所望のZSM−5の相安定性を増加させたうえ、均一なサイズのZSM−5を得た。結晶性ZSM−5核の添加による効果を確認したところ、サイズ20〜60nmの結晶性ZSM−5核を使用した場合は、多少広くなった領域でZMS−5が得られたことを確認することができたが、低い結晶化度と広い粒子分布度を有した。
ところが、サイズ70〜150nmの結晶性ZSM−5核を使用した場合は、サイズ20〜60nmの結晶性ZSM−5核で合成した場合に比べて、さらに広くなった範囲における高い結晶化度を有するZSM−5の合成が可能であったうえ、微細で均一な結晶を有する良質のZSM−5を得ることができる。また、前記実施例3、5及び6の結果から分かるように、同じ組成の反応混合物でも、結晶核の添加量が増加するにつれてさらに微細なZSM−5を得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイズ70〜300nmのナノ結晶性ZSM−5核を準備する段階と、
水ガラスシリカ源、アルミナ源、中和剤及び水を含む母液に前記ナノ結晶性ZSM−5核を添加して反応混合物を製造する段階と、
前記反応混合物を150〜200℃で維持させて結晶化させる段階と、を含んでなることを特徴とする、ZSM−5の製造方法。
【請求項2】
前記母液は、[Na2O]X[Al2O2]Y[SiO2]100[H2O]Zの組成を有し、前記Xは10〜26であり、前記Yは0.2〜5であり、前記Zは2500〜4000であることを特徴とする、請求項1に記載のZSM−5の製造方法。
【請求項3】
前記ナノ結晶性ZSM−5核の含量が前記反応混合物の0.1〜6重量%であることを特徴とする、請求項1に記載のZSM−5の製造方法。
【請求項4】
前記アルミナ源はアルミン酸ナトリウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド、及びアルミニウムアセチルアセトナートの中から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載のZSM/5の製造方法。
【請求項5】
前記中和剤が塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、又は硫酸アルミニウムであることを特徴とする、請求項1に記載のZSM−5の製造方法。
【請求項6】
前記結晶化反応段階の反応時間が12時間〜72時間であることを特徴とする、請求項1に記載のZSM−5の製造方法。
【請求項1】
サイズ70〜300nmのナノ結晶性ZSM−5核を準備する段階と、
水ガラスシリカ源、アルミナ源、中和剤及び水を含む母液に前記ナノ結晶性ZSM−5核を添加して反応混合物を製造する段階と、
前記反応混合物を150〜200℃で維持させて結晶化させる段階と、を含んでなることを特徴とする、ZSM−5の製造方法。
【請求項2】
前記母液は、[Na2O]X[Al2O2]Y[SiO2]100[H2O]Zの組成を有し、前記Xは10〜26であり、前記Yは0.2〜5であり、前記Zは2500〜4000であることを特徴とする、請求項1に記載のZSM−5の製造方法。
【請求項3】
前記ナノ結晶性ZSM−5核の含量が前記反応混合物の0.1〜6重量%であることを特徴とする、請求項1に記載のZSM−5の製造方法。
【請求項4】
前記アルミナ源はアルミン酸ナトリウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド、及びアルミニウムアセチルアセトナートの中から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載のZSM/5の製造方法。
【請求項5】
前記中和剤が塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、又は硫酸アルミニウムであることを特徴とする、請求項1に記載のZSM−5の製造方法。
【請求項6】
前記結晶化反応段階の反応時間が12時間〜72時間であることを特徴とする、請求項1に記載のZSM−5の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【公表番号】特表2013−508253(P2013−508253A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535116(P2012−535116)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【国際出願番号】PCT/KR2010/007116
【国際公開番号】WO2011/049333
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(507268341)エスケー イノベーション カンパニー リミテッド (57)
【出願人】(512103206)韓国化学研究院 (1)
【氏名又は名称原語表記】KOREA RESEARCH INSTITUTE OF CHEMICAL TECHNOLOGY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【国際出願番号】PCT/KR2010/007116
【国際公開番号】WO2011/049333
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(507268341)エスケー イノベーション カンパニー リミテッド (57)
【出願人】(512103206)韓国化学研究院 (1)
【氏名又は名称原語表記】KOREA RESEARCH INSTITUTE OF CHEMICAL TECHNOLOGY
【Fターム(参考)】
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