説明

ナノ結晶

【課題】機能的で高い蛍光特性を持つナノ結晶を有する新規組成の化合物を提供する。
【解決手段】イミダゾールを含む化合物でコーティングされた蛍光ナノ結晶を有する機能的蛍光ナノ結晶の組成、イミダゾールを含む化合物でコーティングされ、ホスフィン架橋化合物で架橋を形成した蛍光ナノ結晶を有する機能的蛍光ナノ結晶の組成、分子プローブと有効な結合を持つ機能的蛍光ナノ結晶の組成、機能的蛍光ナノ結晶を作成するプロセス、検出装置で機能的蛍光ナノ結晶を利用するプロセスを示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部分的に米陸軍研究所(United States Army Research Laboratory)との契約DAAD17−01−C−0024のもと、政府の支援によって行われた。政府は本発明に対して一定の権利を持つ。
関連文献の相互参照
この出願書類では、2001年9月17日に出願された米国仮出願第60/322,982号および2002年5月9日に出願された米国仮出願第60/379,208号の利益を請求する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、機能的で高い蛍光特性を持つナノ結晶を有する新規組成に関するものである。より具体的には、本発明は、コーティングナノ結晶、およびコーティングされたナノ結晶に水溶性、機能付与、予期しない蛍光強度の向上などの特性を与える化合物に関するものである。
【0003】
蛍光を基盤とした分析と非アイソトープ検出装置は、これだけに限らないが、フローサイトメトリー、核酸ハイブリダイゼーション、DNA配列決定、核酸増幅、イムノアッセイ、組織化学、生細胞に関する機能アッセイなど、様々なアッセイを用いた生体分子を検出するための強力なツールとなり、科学的研究と臨床診断と共に、多くの産業応用において好まれる方法となった。特に、フルオレセインやフィコエリトリンなどの蛍光有機分子は検出装置に利用されることが多いが、これらの分子を併用することは不利である。例えば、光退色(光源のもとで強度が弱まること)は、これらの分子を用いた定量的測定の精度を妨げる主な問題である。さらに、それぞれの吸収スペクトルが比較的狭いため、各タイプの蛍光分子は、典型的には別のタイプの蛍光分子に必要な波長と比べ、様々な波長の光子による励起が必要となる。(スペクトルの線幅の点で)単一の励起波長とするために単一の光源を用いた場合でも、異なる蛍光分子の発光最適条件の間に不十分なスペクトル間隔があることが多く、実質的にスペクトルの重なりがなく、個別の定量的な検出が可能である。つまり、典型的な蛍光色素はそれぞれかなり広域の発光スペクトルを示し、同時に使用できる蛍光分子の組み合わせが制限されることが多い。さらに、従来の蛍光色素は長期間にわたると蛍光強度が限られる(光退色を受ける)。さらに、現在利用できる非アイソトープ型の検出装置は、検出される標的分子を標識するために用いることができる、非アイソトープ分子の数が有限であるため、典型的には感度が限られている。
【0004】
半導体ナノ結晶は、現在、水性環境中で検出装置に適用できないかが検討されている。そのようなナノ結晶の利点は、スペクトル特性がサイズの関数であるため、狭いサイズ分布で作成でき、励起して狭いバンド幅の分散した蛍光ピークを発することができる点である。つまり、ナノ結晶のスペクトル特性(バンド幅が狭い、発光波長が離れている、単一の波長で様々な発光を示す一連のナノ結晶を励起することができる点)をコントロールできることは、これを使用する上で非常に魅力的な点である。ナノ結晶のもう1つの利点は、強い光源下でも光退色しにくい点である。当技術分野で周知のように、手動のバッチ法を利用し、これまでにも報告されているように(Bawendiら,1993,J.Am.Chem.Soc.115、8706(非特許文献1))、相対的に単分散の半導体ナノ結晶を調整することができる(例えば、調整において量子ドット間でコアの直径が約10%で変化する)。ナノ結晶のコア形成の進行と平均粒度の縮小は、連続した流れプロセスで達成された(米国特許出願第6,179,912号(特許文献1)、その情報開示は本明細書に参考文献として盛り込んでいる)。さらに、様々なサイズの半導体ナノ結晶を単一スペクトル波長の光で励起することができる。
【0005】
半導体ナノ結晶の例は、CdSe、CdS、CdTe(集合的に「CdX」と呼ぶ)から成るグループから選択したコアを持つことが、当技術分野で知られている(例えば、Norrisら,1996,Physical Review B.53、16338−16346(非特許文献2)、Nirmalら,1996,Nature 383、802−804(非特許文献3)を参照。その情報開示は本明細書によって参考文献として盛り込んでいる)。
【0006】
しかし、コアとなる半導体ナノ結晶は励起時の蛍光強度が低く、さらに水溶性ではない。蛍光強度が低い原因は、表面にエネルギー状態があり、コアとなるナノ結晶の蛍光特性を低下させるトラップとして作用することにあった。
【0007】
蛍光強度を改善する試みとしては、コアとなるナノ結晶の外表面を不動態化(つまりキャプ)することで、それに関連する表面エネルギー状態を低下あるいは消失させることなどがある。トリ−n−オクチルホスフィン(TOP)やトリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO)などの有機分子が不動態化に用いられてきた。無機材料も不動態化に用いられ、すなわち、コアとなるナノ結晶が、そこに均一に沈着した無機コーティング(「シェル」)で不動態化された。不動態化されたCdXコアのナノ結晶に典型的に用いられるシェルは、YZを有することが好ましく、YはCdまたはZn、ZはSまたはSe、またはTeでもよい。CdXコアとYZシェルを持つ半導体ナノ結晶は、当技術分野で報告されている(例えば、Danekら,1996,Chem.Mater.8、173−179(非特許文献4)、Dabbousiら,1997,J.Phys.Chem.B 101、9463(非特許文献5)、Rodriguez−Viejoら,1997,Appl.Phys.Lett.70、2132−2134(非特許文献6)、Pengら,1997,J.Am.Chem.Soc.119、7019−7029(非特許文献7)を参照。その情報開示は本明細書に参考文献として盛り込んでいる)。しかし、上記の不動態化された半導体ナノ結晶は、(量子収量に関して)蛍光強度の改善が限られ、有機系の非極性(または弱極性)溶媒にのみ溶解することが報告された。
【0008】
水性環境を利用して生物学的応用や検出装置に蛍光性ナノ結晶を利用できるようにするため、検出装置に用いる蛍光ナノ結晶は水溶性であることが望ましい。本明細書で「水溶性」とは、当業者に周知のように、生物学的あるいは分子的検出装置に用いるものを含め、水あるいは水を基本とした溶液あるいは緩衝溶液など、水性を基本とした溶液に十分溶解するか、懸濁できることを意味するために用いる。半導体ナノ結晶(例えば、CdXコア/YZシェルナノ結晶)に水溶性を与える方法の1つは、TOPあるいはTOPOの保護膜層をやや水溶性を与えるコーティング、つまり「キャッピング化合物」と交換することである。例えば、メルカプトカルボン酸をキャッピング化合物として用い、有機層と交換することができる(例えば、米国特許出願第6,114,038号(特許文献2)を参照(その情報開示は本明細書に参考文献として盛り込んでいる)、また、Chan and Nie,1998,Science 281、2016−2018(非特許文献8)も参照のこと)。モノチオールキャッピング化合物のチオール基は、(ナノ結晶の組成によって)Cd−SあるいはZn−S結合と結合し、溶液中で容易に置換されないコーティングを形成し、懸濁液中ではナノ結晶にやや安定性を与える。新規のアミノ酸コーティング技術によって、水溶性、安定性、蛍光特性のさらなる進歩が達成された。好適な実施例では、ジアミノカルボン酸をキャッピング構造と交換するために用いるか、それとともに有効な接続にキャッピング構造をかぶせるために用いる(例えば、米国特許出願第6,114,038号(特許文献2)を参照)。次に、連続的にアミノ酸層を加えてもよい。
【0009】
CdXコア/YZシェルナノ結晶を水溶性とする別の方法は、ガラスを半導体ナノ結晶に結合させるメルカプトを基本としたリンカーを用い、半導体ナノ結晶の周囲にシリカコーティングを形成させるものである(Bruchez,Jr.ら,1998,Science 281、2013−2015(非特許文献9)、米国特許出願第5,990,479号(特許文献3))。広範に重合させたポリシランシェルは、さらにシリカ表面の化学修飾を可能とするだけではなく、ナノ結晶物質に水溶性を与えることが報告されている。しかし、コーティング化合物の性質によっては、水溶性であることが報告されているコーティングされた半導体ナノ結晶で、特に空気(酸素)や光に当てた時に、水溶液中での安定性が制限されることがある。例えば、酸素と光は、コーティングや結合に用いられているメルカプトを基本としたモノチオールを酸化させることで、ナノ結晶に対するコーティング分子あるいは結合分子の接着を不安定化させる、ジスルフィドを形成する可能性がある。従って、酸化はコーティング分子あるいは結合分子をナノ結晶の外表面から離れるように移動させることで、ナノ結晶の表面が露出し、「不安定化したナノ結晶」となる可能性がある。ナノ結晶が一緒に相互作用する場合、凝集体からナノ結晶が不安定化し、そのような凝集体が生成すると、最終的にナノ結晶が不可逆的に凝結する。さらに、現在の半導体ナノ結晶を不動態化する方法は、むしろまだ、蛍光強度を検出装置に必要なレベルまで上昇させる(つまり、現在利用できる蛍光色素と比べ、蛍光を基盤とした検出装置の感度を有意に上昇させる)には不十分である。
【0010】
従って、上述の制限などを克服したナノ結晶がまだ必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願第6,179,912号
【特許文献2】米国特許出願第6,114,038号
【特許文献3】米国特許出願第5,990,479号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Bawendiら,1993,J.Am.Chem.Soc.115、8706
【非特許文献2】Norrisら,1996,Physical Review B.53、16338−16346
【非特許文献3】Nirmalら,1996,Nature 383、802−804
【非特許文献4】Danekら,1996,Chem.Mater.8、173−179
【非特許文献5】Dabbousiら,1997,J.Phys.Chem.B 101、9463
【非特許文献6】Rodriguez−Viejoら,1997,Appl.Phys.Lett.70、2132−2134
【非特許文献7】Pengら,1997,J.Am.Chem.Soc.119、7019−7029
【非特許文献8】Chan and Nie,1998,Science 281、2016−2018
【非特許文献9】Bruchez,Jr.ら,1998,Science 281、2013−2015
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の実施例では、非アイソトープ型の検出装置に用いる機能的蛍光ナノ結晶を有する組成、これを作成する方法、これを利用する方法を示す。この実施例の上記機能的蛍光ナノ結晶には、いくつか独特の特徴がある。上記の機能的蛍光ナノ結晶では、不動態化に用いるなどのコーティング剤や結合剤及び/又はキャッピング化合物として、有機溶媒やメルカプトを基本とした化合物を用いることができない。そのような試薬(TOPO、メルカプトを基本とした化合物など)には、多くの生物学的応用分野で問題のあるそのようなコーティングされたナノ結晶を利用する上で、不利な点がいくつかある。例えば、そのような試薬は、スルフヒドリル基を含む試薬に感受性を示す、細胞毒性がある、化学的に不安定となる傾向がある(水溶性が望ましい機能である環境で保存するか用いた場合、酸素や光に曝露した場合など)のうち1つ以上の性質を持つと考えられる。さらに、リンカー(米国特許出願第5,990,479号)あるいはコーティング系(米国特許出願第6,114,038号)として、メルカプトを基本とした化合物を応用することは、蛍光ナノ結晶を生成するプロセスで省略できる余分な段階である。
【0014】
本発明の別の実施例では、他に知られている半導体ナノ結晶製剤と比べ、機能的蛍光ナノ結晶は蛍光強度が予想外に上昇することを示している。蛍光強度を上昇させるメカニズムとしては、不動態化、電荷移動やその組み合わせなどが考えられるが、これだけに限らない。
【0015】
不動態化の概念は本明細書で先に説明した。イミダゾールを含む化合物を有するコーティングは、コアとなるナノ結晶の外表面を不動態化することができる。さらに、ホスフィン架橋化合物と架橋したイミダゾールを含む化合物を有するコーティングも、コアとなるナノ結晶の外表面を安定化し、不動態化することができる。コーティングを組み合わせて生じた安定化効果は、酸性溶液あるいはイオン強度の高い溶液の分解作用から、結晶を保護する作用を有する。上記の不動態化作用は、イミダゾールの錯体化による表面CdあるいはZn原子や同様の原子(つまり、他の金属イオン)のキャッピング、およびホスフィン架橋化合物との錯体化によるカウンター原子(SeまたはSなど)のキャッピングが原因である。
【0016】
電荷移動に関して、例えば、イミダゾールを含む化合物を有するコーティングにある、イミダゾールやアルキルホスフィン部分は、十分な励起光源による励起を受けやすいと考えられる。そのような励起により、イミダゾール及び/又はホスフィン部分から上記のナノ結晶構造に電荷が移動することで、そのような内部の電荷移動がない場合の蛍光強度と比較し、蛍光強度が上昇すると考えられる。
【0017】
エネルギーの凝縮と共鳴については、イミダゾールとホスフィン部分のR電子とコア結晶のより高いエネルギー帯で励起した電子が一体化することで、放射緩和のレベルを高くするエネルギー縮合作用を生み出している。ナノ結晶は、水溶性となり、分子プローブが有効な結合を持つ1つ以上の反応性官能基を含むように機能する。
【0018】
本発明のさらなる利点と利益は、以下の好適な実施例の詳細を読み、理解することで、通常の技術を持つ当業者に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明は、様々な化合物や化合物の配列で、また様々な方法や方法の配列で具体化することができる。図は、好適な実施例を説明するためだけのもので、本発明を制限するものとは解釈されない。
【図1】図1は、他の種類の蛍光ナノ結晶(線B、線C)のピークと比較し、機能的蛍光ナノ結晶(線A)の発光ピークを示したグラフである。
【図2】図2は、もう1種類の蛍光ナノ結晶(線B)の発光ピークと比較し、機能的蛍光ナノ結晶(線A)の発光ピークを示したグラフである。
【図3】図3は、別の実施例の機能的蛍光ナノ結晶の発光ピークと比較し、1つの実施例の機能的蛍光ナノ結晶(線A)の発光ピークを示したグラフである。
【図4】図4は、いくつかの実施例の機能的蛍光ナノ結晶とその生成プロセスの略図である。
【図5】図5は、メルカプトを基本とした方法(「ピークB」)を利用した蛍光ナノ結晶の発光ピークと機能的蛍光ナノ結晶(「ピークA」)の発光ピークとの比較を示したグラフである。
【図6A】図6Aは、励起光源を当てた後、機能的蛍光ナノ結晶と共有結合したアビジンを処理した、ビオチン標識ポリスチレンミクロスフェアを示した画像である。
【図6B】図6Bは、励起光源を当てた後、機能的蛍光ナノ結晶と共有結合したアビジンを処理した、非ビオチン標識ポリスチレンミクロスフェアを示した画像である。
【図7A】図7Aは、蛍光顕微鏡のUV光源に直接当てた際の、機能的蛍光ナノ結晶の光退色に対する抵抗性を経時的に示した画像である。
【図7B】図7Bは、蛍光顕微鏡のUV光源に直接当てた際の、機能的蛍光ナノ結晶の光退色に対する抵抗性を経時的に示したグラフである。
【図8A】図8Aは、一次ビオチン標識抗マウスIgG抗体で処理し、アビジン化した機能的蛍光ナノ結晶を染色した、肝顕微鏡用切片の位相差画像である。
【図8B】図8Bは、図8Aと同じ切片での画像あるが、蛍光顕微鏡を用いている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義
本応用の明細書にわたり、「第1級」、「第2級」、「1つ目の」、「2つ目の」など、様々な用語が用いられている。これらの用語は、異なる元素を区別するために便利な言葉であり、そのような用語は上記の異なる元素が利用される方法について限定することを意図したものではない。
【0021】
「標的分子」という用語は、本明細書と請求項の目的で、有機あるいは無機の性質を持つ分子、その有無及び/又は検討する量を意味し、これは分子プローブが結合特異性を持つ分子成分(リガンド、配列、エピトープ、ドメイン、タンパク質、化学基、反応性官能基、決定基など)を含む。上記分子には、核酸分子、タンパク質、糖タンパク質、真核細胞、原核細胞、リポタンパク質、ペプチド、炭水化物、脂質、リン脂質、アミノグリカン、化学メッセンジャー、生物学的受容体、構造成分、代謝産物、酵素、抗体、薬物、治療薬、毒素、無機化学物質、有機化学物質、基質などが含まれるが、これだけに限らない。標的分子は、in vivo、in vitro、in situ、ex vivoとすることができる。
【0022】
「分子プローブ」という用語は、本明細書と請求項の目的で、標的分子の、または標的分子と関連した分子成分に対する結合特異性と結合活性を持つ分子を意味する。一般に、分子プローブは、その結合機能を保持するレクチンあるいはフラグメント(または誘導体)、モノクローナル抗体(「mAb」、キメラあるいはヒトに投与することが好ましい遺伝子組換えモノクローナル抗体を含む)、ペプチド、アプタマー、核酸分子(一本鎖RNAまたは一本鎖DNA、または一本鎖核酸ハイブリッド、オリゴヌクレオチドアナローグ、中心を修飾したオリゴヌクレオチドアナローグ、モルフォリノを基本としたポリマー)、核酸塩基を含むことが当業者に知られているが、これだけに限らない。「核酸塩基」という用語は、本明細書でヌクレオシド(誘導体、または機能的にそれと等価のもの、合成あるいは修飾ヌクレオシド、特に反応性官能基(遊離アミノ基またはカルボキシル基)を有するヌレオシド)、ヌクレオチド(dNTP、ddNTP、その誘導体あるいは機能的にそれと等価のもの、特に反応性官能基(遊離アミノ基またはカルボキシル基)を有するヌレオチド)、アシクロヌクレオシドトリホスフェート(例えば米国特許出願第5,558,991号を参照)、3’(2’)−アミノ−修飾ヌクレオシド、3’(2’)−アミノ−修飾ヌクレオチド、3’(2’)−チオール−修飾ヌクレオシド、3’(2’)−チオール−修飾ヌクレオチド(例えば米国特許出願第5,679,785号を参照)、アルキニルアミノ−ヌクレオチド(連鎖停止剤としては米国特許出願第5,151,507号を参照)、ヌクレオシドチオトリホスフェート(例えば米国特許出願第5,187,085号を参照)など、これだけに限らないが、核酸部分を指すために用いる。「モノクローナル抗体」という用語も、本明細書と請求項の目的で、フラグメントや誘導体がmAb分子全体の結合機能のすべてあるいは一部を保持する、mAb分子から誘導した免疫反応性フラグメントや誘導体を含むとして用いる。そのような免疫反応性のフラグメントあるいは誘導体には、F(ab’)2、Fab’、Fab、Fv、scFV、Fd’、Fdフラグメントなどが含まれることは、当業者に周知である。mAbから様々なフラグメントあるいは誘導体を生成する方法は、当業者に周知である(例えば、Pluckthum,1992,Immunol.Rev.130、152−188、ペプチンを経由した消化、パパイン消化、ジスルフィド架橋の還元、米国特許出願第4,642,334号に報告された方法を参照)。一本鎖抗体は、米国特許出願第4,946,778号に報告されているとおり生成することができる。キメラ抗体の合成は、現在、上記キメラ抗体をマウスの様々な領域をヒトの一定領域と結合させて作る、簡単な方法である(Adair,1992,Immunological Reviews 130、5−40)。さらに、「ヒト化」抗体は、当業者に周知の技術の1つを用い、マウスモノクロナール抗体の高頻度可変性領域と、ヒト免疫グロブリンの定常領域および可変領域(軽鎖と重鎖)の一部のシークエンスを結合させて生成することができる(Adair,1992,supra、Singerら,1993,J.Immunol.150、2844−2857)。キメラ非ヒト/ヒトmAbを生成する方法は、総体的に米国特許出願第5,736,137号に詳細に報告されている。アプタマーは、米国特許出願第5,789,157号に報告された方法で生成することができる。レクチンとそのフラグメントは市販されている。オリゴヌクレオチドのアナローグ、中心を修飾したオリゴヌクレオチドアナローグ、モルフォリノを基本としたポリマーは、それぞれ米国特許出願第5,969,135号、及び第5,596,086号、米国特許出願第5,602,240号、及び第5,034,506号に報告されている方法を用いて生成することができる。「分子プローブ」は、本明細書で機能的蛍光ナノ結晶と有効な結合を持つ分子プローブの複数分子を指すために用いてもよい。
【0023】
「有効な結合を持つ(operably bind)」「有効な結合を持った(operably bound)」という用語は、本明細書と請求項の目的で、コーティング化合物と蛍光ナノ結晶、コーティングと分子プローブ、異なる分子プローブ、分子プローブと標的分子の間など、これだけには限らないが、異なる分子の組み合わせの間で形成され、本明細書で示したとおり、検出装置に利用する目的および当技術分野で周知の関連した標準的条件で十分に安定な融合、結合、あるいは関連性を指すこととする。当業者に周知のとおり、また以下の実施例でより明らかとなるだろうが、2つ以上の分子に反応性官能基を用いて有効な結合を持たせる、いくつかの方法と組成がある。反応性官能基には、二官能性試薬(ホモ二官能性あるいはヘテロ二官能性など)、ビオチン、アビジン、遊離化学基(チオール、またはカルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、アミン、スルホなど)、反応性化学基(遊離化学基と反応する)などがあるが、これだけに限らない。当業者に周知のとおり、上記の結合は、共有結合、イオン結合、水素結合、ファンデルワールス結合などを有すると考えられるが、これだけに限らない。
【0024】
「イミダゾールを含む化合物」という用語は、本明細書と請求項の目的で、亜鉛あるいは他の金属カチオン、またはそのようなカチオンを含む基質と結合することができるイミダゾール基(例えばイミダゾール環)を少なくとも1つ持つ分子を指すこととする。その点について、少なくとも1つのイミダゾール部分が分子構造の末端部分にある。一般に、イミダゾール環の窒素は、亜鉛あるいはカドミウムなどの金属イオンと有効な結合を持つ配位リガンドとして機能することが多い。1つの実施例では、イミダゾールを含む化合物がアミノ酸、または一緒に結合した2つ以上のアミノ酸(当技術分野では「ペプチジル」または「オリゴペプチド」として知られる)を有し、これにはヒスチジン、カルノシン、アンセリン、バレイン、ホモカルノシン、1−メチルヒスチジン、3−メチルヒスチジン、イミダゾリシン(imidazolysine)、イミダゾールを含むオルニチン(5−メチルイミダゾロンなど)、イミダゾールを含むアラニン((β)−(2−イミダゾリル)−L(α)アラニン)、カルシニン、ヒスタミンなどを有する。イミダゾールを含むアミノ酸は、当技術分野で周知の方法を用いて合成することができる(例えば、Stankovaら,1999,J.Peptide Sci.5、392−398を参照、その情報開示は本明細書に参考文献として盛り込んでいる)。
【0025】
「アミノ酸」という用語は、当技術分野で周知のように、本明細書と請求項の目的で、少なくとも1つのアミノ基と少なくとも1つのカルボキシル基を含む化合物を指すこととする。当技術分野で周知のように、アミノ基はカルボキシル基に隣接した位置にあるか、アミノ酸分子のどの位置にあってもよい。少なくとも1つのイミダゾール部分に加え、上記アミノ酸はさらに1つ以上の反応性官能基(アミノ、チオール、カルボキシル、カルボキサミドなど)を有していてもよい。上記アミノ酸は、D体(右旋性)あるいはL体(左旋性)の天然アミノ酸、合成アミノ酸、修飾アミノ酸、アミノ酸誘導体、アミノ酸前駆体をとりうる。誘導体の例としては、これだけに限らないが、当技術分野で周知のように、N−メチル誘導体、アミド、あるいはエステルなどがあり、本明細書に説明するコーティング剤としてのアミノ酸の機能と一致する(例えば、水溶性を与える、約pH6〜約pH10のpH範囲で十分に緩衝作用を示す、蛍光強度を上昇させることが可能なコーティングとして機能する、分子プローブと有効な結合を持つ1つ以上の反応性官能基があるなど)。上述のアミノ酸の1つを好適な実施例で用い、好ましいアミノ酸を本発明の組成に別々に用いることができるが、上記の好ましいアミノ酸以外のアミノ酸を除外する。ヒスチジンは、本発明の機能的蛍光ナノ結晶のコーティングに、特に好ましいイミダゾールを含む化合物である。
【0026】
「ホスフィン架橋化合物」は、本明細書と請求項の目的で、Zn、Cdなどの金属や、Se、Sなどの非金属、そのような原子を含む基質を結合あるいはキレートすることができる、少なくとも1つのホスフィン基(例えば、ホスフィン、ホスフィンオキシド、ホスホニウムの形)を持ち、少なくとも1つの反応性官能基(ヒドロキシ、アミノ、チオール、カルボキシ、カルボキサミドなど)を持ち、近隣分子と反応することができる分子を指す。当業者に知られているホスフィン架橋化合物は、ジホスフィン、トリホスフィン、アルキルホスフィン(アルキルホスフィンを含む化合物を含む)、シクロアルキルホスフィン、アリールホスフィン、二座ホスフィン、ホスフィンのシリコン誘導体、シロキサン、あるいはホスフィン、オレフィンホスフィン(olefinic phosphine)などのポリシラン誘導体などがあるが、それだけに限らない。本発明の1つの実施例において好ましいホスフィン架橋化合物は、アルキルホスフィンである。アルキルホスフィンは、少なくとも1つのホスフィン部分が分子構造の末端部分にある。通常、ホスフィン部分は、Zn、Cdなどの金属及び/又はSe、Sなどの非金属イオンと有効な結合を持つ配位リガンドとして機能することが多い。好適な実施例では、ホスフィン架橋化合物が、ホスフィン基、一緒に結合した2つ以上のホスフィン基(例えば重合体)を有し、これにはヒドロキシメチルホスフィン化合物などが含まれるが、これだけに限らない。ホスフィン架橋化合物は、当技術分野で知られている方法を用いて合成することができる(例えば、Tsiavaliarisら,2001,Synlett.3、391−393,Hoffmanら,2001,Bioconjug Chem 12、354−363、米国特許出願第5,948,386号を参照)。当技術分野で周知のように、アルキルホスフィンを含む化合物はさらに1つ以上の反応性官能基(ヒドロキシ、アミノ、チオール、カルボキシル、カルボキサミドなど)を有していてもよい。誘導体の例としては、当技術分野で周知のように、ヒドロキシメチルホスフィン誘導体、アミド、あるいはエステルなどがあり、これだけに限らないが、本明細書に説明するコーティングとしてアルキルホスフィンの機能と一致する(例えば、水溶性を与える、約pH6〜約pH10のpH範囲で十分に緩衝作用を示す、安定性と蛍光強度を上昇させることが可能なコーティングおよび架橋剤として機能する、分子プローブと有効な結合を持つ1つ以上の反応性官能基があるなど)。上述の誘導体のアルキルホスフィンは、好適な実施例で用いることができる。好ましいホスフィン架橋化合物を用いることができるが、前記の好ましいホスフィン架橋化合物以外のホスフィン架橋化合物を除く。トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィンとβ−[トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィノ]プロピオン酸は、本発明のコーティング、安定化、機能的蛍光ナノ結晶に特に好ましいアルキルホスフィン−コーティング化合物である。好適な実施例では、アルキルホスフィンを含む化合物を有する架橋化合物は、さらに亜鉛、カドミウムなどの金属イオンと有効な結合を持つことができる。
【0027】
「蛍光ナノ結晶」という用語は、本明細書と請求項の目的で、イミダゾールとホスホニウムを含む化合物と有効な結合を持つことができる、半導体ナノ結晶あるいはドープ金属酸化物ナノ結晶を有するナノ結晶を指す。「半導体ナノ結晶」は、本明細書と請求項の目的で、グループII−VIの半導体素材(そのZnSとCdSeは説明に役立つ実例である)またはグループIII−Vの半導体素材(そのGaAsは説明に役立つ実例である)、あるいはグループIVの半導体素材の少なくとも1つ、またはその組み合わせを有するコアを有する量子ドット(微結晶半導体としても知られる)を指す。半導体ナノ結晶は、さらに本明細書に詳細を示したように、シェルを有する半導体素材を有することができる。当業者に周知のとおり、半導体ナノ結晶のコアサイズは、スペクトルの発光範囲と関連している。表1はCdSeの説明に役立つ実例である。
【0028】
【表1】

【0029】
好適な実施例では、連続した流れプロセスとシステムにより、上記半導体ナノ結晶が生産され(米国特許出願第6,179,912号)、平均粒度が+/−4%未満で変化する粒度を持つ。好適な実施例では、半導体ナノ結晶が、(直径を基準として)約1ナノメートル(nm)から約20nmの範囲の平均流度を持つ、単分散の母集団を有する。
【0030】
「ドープ金属酸化物ナノ結晶」という用語は、本明細書と請求項の目的で、金属酸化物と1つ以上の希土類元素を有するドーパントを有するナノ結晶を指す。例えば、金属酸化物には酸化イットリウム(Y)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuOまたはCuO)、酸化ガドリウム(Gd)、酸化プラセオジム(Pr)、酸化ランタン(La)、その合金などがあるが、これだけに限らない。希土類元素はランタニド系列から選択した元素を有し、ユーロピウム(Eu)、セリウム、(Ce)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、ガドリウム(Gd)、ホルミウム(Ho)、ツリウム(Tm)、その酸化物やその組み合わせを含むが、これだけに限らない。当業者に周知のとおり、ドーパントによっては、励起されたドープ金属酸化物ナノ結晶が特定の色の光を発光することができる。従って、1つあるいは複数の希土類の性質は、結果として、本発明に沿ってミクロスフェアを標識するために用いるドープ金属酸化物ナノ結晶が与える(発光する)と考えられる色に選択される。特定の希土類元素とその組み合わせにより特定の色が生じ、それによってドープ金属酸化物ナノ結晶が生じることができ、そのそれぞれがドーパントの性質、ドーパントの濃度、その組み合わせを調節することで、全範囲の色で(狭い発光ピークにて)発光することができる。例えば、Y203、Euを有するドープ金属酸化物ナノ結晶の発光色と明るさ(強度など)はEuの濃度に依存すると考えられ、例えば、発光の色はEuの濃度を増加させると黄色から赤色にシフトしうる。説明の目的のみで、生じる代表的な色を表2に挙げた。
【0031】
【表2】

【0032】
ドープ金属酸化物ナノ結晶を作成する方法には、ゾル・ゲル法(例えば米国特許出願第5,637,258号を参照)や有機金属反応などが知られているが、これだけに限らない。当業者に明白なように、上記ドーパント(1つ以上の希土類元素など)を適当な量でドープ金属酸化物ナノ結晶に組み入れると、本明細書に詳細を示すとおり、ドープ金属酸化物ナノ結晶が蛍光検出で実際的に使用できるようになる。不適当な量とは、ドーパントが少なすぎて十分検出可能な蛍光を発することができないか、ドーパントが多すぎて濃度消光のため蛍光が減少することを有する。好適な実施例では、ドープ金属酸化物ナノ結晶中のドーパント量をドープ金属酸化物ナノ結晶のモル量で約0.1%〜約25%の範囲で選択する。ドープ金属酸化物ナノ結晶は、単一の励起光源で励起し、検出可能な蛍光発光を高量子収率で生じ(例えば、常用対数であるか、従来の蛍光色素分子よりも大きな蛍光強度をもつ単一のナノ結晶)、蛍光ピークが分散する。典型的には、200オングストローム未満の実質的に均一なサイズで、約1nmから約5nm、または1nm未満の範囲で実質的に均一なサイズであることが好ましい。好適な実施例では、ドープ金属酸化物ナノ結晶が1つ以上の希土類元素をドープした金属酸化物を有し、希土類元素を有するドーパントは(例えば紫外光などで)励起し、狭い範囲の蛍光を発光することができる。別の好適な実施例では、上記のドープ金属酸化物が(励起光源で励起したときに)蛍光特性と磁気特性をともに示すため、複数の蛍光ナノ結晶が組み込まれたか、複数の蛍光ナノ結晶で標識された(実質的に非磁性の)高分子ミクロスフェア(磁性物質のドープ金属酸化物ナノ結晶を有する)は、磁性の蛍光ミクロスフェアを形成することができる。
【0033】
「機能的蛍光ナノ結晶」という用語は、本明細書と請求項の目的で、イミダゾールを含む化合物のみ、あるいはイミダゾールを含む化合物とホスフィン架橋化合物を有するコーティング剤でコーティングされた蛍光ナノ結晶を指すこととする。本発明の機能的蛍光ナノ結晶は、水溶性、1つ以上の反応性官能基により分子プローブと有効な結合を持つ能力、(c)適当に励起光源で励起させた際の蛍光強度の上昇(例えば、本明細書の例1、2、3、図5〜8を参照)など、(これだけに限らないが)望ましい性質を示し、さらにpH約6.0〜pH約10.5の範囲で化学的安定性を示す可能性がある。好ましい機能的蛍光ナノ結晶を生成し、本発明に沿った方法とシステムにおいて利用することができるが、好ましい機能的蛍光ナノ結晶以外の機能的蛍光ナノ結晶を除く。本発明の機能的蛍光ナノ結晶を形成する好適な実施例において、コアとなるナノ結晶は、イミダゾールを含む化合物のみと有効な結合を持つ、金属カチオンを有する化合物(例えば、好ましくはバンドギャップエネルギーの高い状態で半導体物質を形成するもの、当技術分野では「シェル」として知られる)、またはイミダゾールを含む化合物とホスフィン架橋化合物の共沈でコーティングすることができ、上記コーティングはナノ結晶のコアの外表面で均一に沈着する。これは、コアが成長しているナノ結晶の核形成中心として、亜鉛−ヒスチジンを用いる場合とは機能的にも本質的にも異なっている(Khoら,2000,Biochem.Biophys.Res.Commun.272、29−35を参照)。この好適な実施例として、グループII−VIの半導体コアをグループII−VIの半導体シェル(例えば、ZnSあるいはCdSeコアを、YZを有するシェルでコーティングすることができ、YはCdあるいはZn、ZはSあるいはSe)、およびイミダゾールを含む化合物あるいはアルキルホスフィンを含む化合物と架橋させたイミダゾールを含む化合物でコーティングすることができる。好ましくは、半導体物質(シェル)とイミダゾールを含む化合物、またアルキルホスフィンを含む化合物を有するコーティングが、コアとなるナノ結晶の外表面を不動態化し、その上に沈着する。
【0034】
別の好適な実施例では、当技術分野で標準的な方法を用いて作成したコア/シェルナノ結晶(例えばCdXコア/YZシェル)は、イミダゾールを含む化合物のみあるいはアルキルホスフィンを含む化合物と架橋したイミダゾールを含む化合物と有効な結合を持つ金属カチオン(好ましくは、半導体物質を形成することができ、好ましくはバンドギャップエネルギーの高いもの)でコーティングし、上記コーティングはコア/シェルナノ結晶の外表面で均一に沈着する。
【0035】
さらに別の実施例では、蛍光ナノ結晶がイミダゾールを含む化合物のみ、あるいはホスフィン架橋化合物と架橋したイミダゾールを含む化合物でコーティングし、本発明に沿って機能的蛍光ナノ結晶を形成することができる。
【0036】
別の実施例では、コア/シェルナノ結晶の外表面に、イミダゾールを含む化合物のみ、あるいはイミダゾールを含む化合物とアルキルホスフィンを含む化合物を有するコーティングを沈着させる。
【0037】
別の実施例では、本発明の機能的蛍光ナノ結晶が、さらにイミダゾールを含む化合物、また代わりにイミダゾールを含む化合物とアルキルホスフィンを含む化合物を有するコーティングとの化学的あるいは物理的架橋を有し、機能的蛍光ナノ結晶のコーティングの安定性をさらに高める。化学的架橋は、当技術分野で知られている方法と試薬を用いて達成することができ、これにはホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、アクロレイン、1,6−ヘキサン−ビス−ビニルスルホンなどを含むことができるが、これだけに限らない。物理的架橋と硬化も、紫外線照射、マイクロ波処理、熱処理など、これだけに限らないが、当技術分野で知られている方法で達成することができる。
【0038】
本発明では、様々なタイプの蛍光を基本とした検出装置で用いることができる、機能的蛍光ナノ結晶を有する組成を示し、上記検出装置は検出シグナルを発し、大きく増幅させるように機能する3次元デンドリマーを構築するために用いる(そのため、非アイソトープ型の検出装置の感度を大きく改善させるが、例えば米国特許出願第6,261,779号を参照、その情報開示は本明細書に参考文献として盛り込んでいる)、核酸鎖合成あるいは核酸配列の決定用に蛍光標識核酸塩基を作成するため、核酸塩基の標識に用いる(例えば米国特許出願第6,221,602号を参照、その情報開示は本明細書に参考文献として盛り込んでいる)、ミクロスフェアを機能的蛍光ナノ結晶と組み込むこと及び/又は実施可能に結合することによって、蛍光ミクロスフェア(例えばビーズ)を作成するために用いる、基質にプリントするのに適した蛍光インク組成に用いる、同定可能なコードパターンを確立するような方法で、基質に機能的蛍光ナノ結晶を塗布することで、基質に同定可能なコードパターンを与えるために用いる(例えば、同定、確認、安全、装飾のため)などがあるが、これだけに限らない。
【0039】
当業者に明白なように、本発明の機能的蛍光ナノ結晶は、1つ以上の親和性アッセイ(例えばELISAなどのイムノアッセイ)、蛍光染色(例えば、スライドガラス上の免疫蛍光染色、蛍光in situハイブリッド形成法など)、フローサイトメトリー、細胞画像に基づく検出アッセイ(例えば細胞によるELISAつまり「cELISA」、画像サイトメトリー、標準的な高密度マイクロアレイで成長した細胞)、マイクロアレイを基本とした検出アッセイ(例えば、オリゴヌクレオチド走査配列、コンビナトリアルDNA配列、核酸分子あるいはタンパク分子の配列を含むマイクロチップ、マルチチャンネルマイクロチップ電気泳動など)、マイクロフルイディクスを基本とした検出装置(例えば、当技術分野で周知の「ラボ・オン・チップ(lab−on−a−chip)」システムなど)、蛍光を基本としたバイオセンサー(例えばTrends in Biotech.16、135−140,1998、in vivoで標的分子を測定する移植可能なセンサーを含むことができる)、核酸配列決定、核酸ハイブリダイゼーション、核酸合成あるいは増幅、身元確認(IDカードあるいはバンクカード)、蛍光ビーズを基本とした検出アッセイ、分子ソーティング(フローサイトメトリーによる細胞ソーティング)などを含む検出装置に用いることができるが、これだけに限らない。
【0040】
そのような機能的蛍光ナノ結晶は、標的分子の有無を検出するために用いることができる。また、サンプル中の標的分子の有無を検出する方法も示す。そのような標的分子を検出するプロセスには、サンプルと分子プローブに有効な結合を持つ機能的蛍光ナノ結晶を有する組成と接触させ、上記サンプルを励起光源に曝露させ、機能的蛍光ナノ結晶から発光された蛍光を検出することなどがある。検出される蛍光量は、上記サンプル中の標的分子の量と関連付けることができる。
【0041】
例1
この例では、本発明の機能的蛍光ナノ結晶を作成するプロセスの実施例を説明する。本例とこれに続く例では、コアとなるナノ結晶を有する半導体ナノ結晶を、米国特許出願第6,179,912号に報告された連続した流れプロセスにより作成した。セレン化カドミウム(CdSe)のナノ結晶生成に用いたパラメータは、10gのTOPO、18.9ulのMeCd(ジメチルカドミウム、2.63×10−4モルのCdなど)、198.9μlのTOPSe(Seの1M TOP溶液、1.989×10−4モルのSeなど)、4.5mlのTOP、核形成温度(T)300℃、成長温度(T)280℃、流速0.1ml/minであった。得られたCdSeナノ結晶は波長578nmで蛍光を示し、励起波長410nm、幅の狭い高さ1/2のバンド幅が約29nmであった。
【0042】
1つの実施例では、機能的蛍光ナノ結晶を作成するプロセスに、金属カチオンと有効な結合を持ち、イミダゾールを含む化合物を有する錯体を含む混合物を作成する際、イミダゾールを含む化合物と金属カチオンを有する溶液を接触させ、機能的蛍光ナノ結晶の作成で蛍光ナノ結晶をコーティングするために蛍光ナノ結晶と上記の混合物を接触させる段階が含まれる。
【0043】
別の実施例では、機能的蛍光ナノ結晶を作成するプロセスに、イミダゾールを含む化合物を有する溶液と金属カチオンを有する蛍光ナノ結晶を接触させる段階が含まれ、機能的蛍光ナノ結晶を形成する上で蛍光ナノ結晶をコーティングするため、イミダゾールを含む化合物と金属カチオンに有効な結合を作る。
【0044】
詳細をすでに本明細書で示したとおり、上記のプロセスでコーティングされた蛍光ナノ結晶は、コアとなる半導体ナノ結晶、コア/シェル半導体ナノ結晶、ドープ金属酸化物ナノ結晶、あるいはその組み合わせを有することができる。金属カチオンについては、イミダゾールを含む化合物が金属イオンと有効な結合を持つことが報告され、これにはZn2+、Cu2+、Fe2+、Ni2+、Cd2+、Co2+などの1つ以上を含むことができるが、これだけに限らない。
【0045】
例えば、コアとなるナノ結晶をコーティングし、本発明の機能的蛍光ナノ結晶を生成した。1つの実施例では、上記のコアとなるナノ結晶を、イミダゾールを含む化合物と有効な結合を持つ、金属カチオンを有する、複合体を有する混合物でコーティングした。好ましくは、上記金属カチオンが硫黄を含む化合物(例えば、硫酸塩、硫化物など)と有効な結合を持つZnを有する。より好ましくは、上記金属カチオンが半導体物質(好ましくは、当技術分野で知られている、バンドギャップエネルギーの高い「シェル」)を有する。一般的なガイドラインとして、上記のコーティングプロセスでは、ミリグラム単位での蛍光ナノ結晶、約0mmole〜約0.5mmoleの量の金属カチオン(ZnSOなど)、約0.25mmole〜約2.5mmoleの量のイミダゾールを含む化合物、0〜1mmoleの量のNaSを有する成分を含める段階を有すると考えられる。当業者に明らかなように、個々の成分の量は、使用する特定のイミダゾールを含む化合物、コーティングする蛍光ナノ結晶の性質(化学的組成など)、上記のイミダゾールを含む化合物と有効な結合を持つ金属カチオンの性質、コーティングプロセスにおける他の成分比、コーティングプロセスで用いる緩衝系のpHによって変化すると考えられる。
【0046】
例えば、1M Tris緩衝液中0.25Mのヒスチジン(イミダゾールを含む化合物)溶液を調整した(pH10.6)。Tris緩衝液(炭酸ナトリウム緩衝液、TAPS緩衝液(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3アミノプロパンスルホン酸)、CAPSO緩衝液(3−(シクロ−ヘキシルアミノ)2−ヒドロキシ−1プロパンスルホン酸)など)の代わりに、当技術分野で知られている、pH約8.0〜約11の範囲で緩衝作用を示す他の適切な緩衝液を用いてもよい。10mlのヒスチジン溶液に、1.2mlの1M硫酸亜鉛溶液(HC1中)を加え、混合液が透明になるまで混合した。上記混合液に、最小量(約60μl〜約80μl)の有機溶媒(クロロホルムやピリジンなど)に懸濁した、2〜3mgのCdSeナノ結晶(コアとなるナノ結晶)を加えた。混合した後、1.2mlの1M NaZSも加えた。生じた溶液を数時間(約4〜16時間など)、室温でゆっくりとかき混ぜた。得られた機能的ナノ結晶を有する溶液のpHは、約9.6であった。上記の機能的蛍光ナノ結晶は、次にサイズ排除クロマトグラフィー、透析、アルコール(エタノールなど)による沈殿、遠心分離、その組み合わせを有するグループから選択したプロセスで精製した。例えば、上記の機能的蛍光ナノ結晶を有する溶液を、Tris緩衝液で平衡化したゲルろ過カラム(脱塩したデキストランなど)に載せた。クロマトグラフィーのプロセスから採取した機能的蛍光ナノ結晶を、次に低速遠心ろ過システムで濃縮した(カットオフ値10,000ダルトン)。この機能的蛍光ナノ結晶を作成するプロセスを繰り返し、各成分の相対量を変化させた。これらの製剤研究から、(水性環境中で)最適な蛍光特性と安定性を示した好ましい成分比は、コアとなるナノ結晶(CdSeなど)1mg、ヒスチジン1.25mmole、ZnSo 0.25mmole、NaS 0.5mmoleを有する。上記で得られた機能的蛍光ナノ結晶の特徴は、約7〜10の一般的なpHの水溶液中で安定であり、約pH8〜pH10の範囲で最も安定である、上記機能的蛍光ナノ結晶の表面で反応性の官能基が利用でき(この場合、アミノ基とカルボキシル基の両方)、これに分子プローブが有効な結合を作ることができる、メルカプト酢酸でキャップしたCsSe/ZnSナノ結晶の蛍光強度と比較し、約10倍〜100倍に蛍光強度が上昇することであった。本発明のプロセスによりコーティングしたコアとなるナノ結晶と同一の連続した流れプロセスでの実験、同一の励起光源での励起(410nmなど)、同一の検出装置を用いた検出から、コアとなるナノ結晶を用いて作成した蛍光ナノ結晶と同量で、蛍光強度を比較した。用いた検出装置は標準的な分光蛍光光度計であり、上記装置のソフトウェアが当技術分野で標準となっているとおり、蛍光強度の測定値として、得られた発光ピーク下面積を計算した。安定性の測定については、安定性が最適ではないことは、水溶液中で機能的蛍光ナノ結晶が経時的に凝集する、あるいは機能的蛍光ナノ結晶に伴う蛍光強度が消失する(観察された上昇が失われるか、検出可能な発光が全くなくなることなど)という1つ以上の傾向で特徴付けられる。
【0047】
機能的蛍光ナノ結晶を作成するプロセスとその機能的蛍光ナノ結晶自体は、さらにコーティングに架橋を有する。上記コーティングの架橋(例えば、その反応性官能基)は、架橋のない機能的蛍光ナノ結晶と比べ、水溶性など全体的な安定性の向上、分子プローブと有効な結合を持つ能力の向上、様々な物理化学的プロセス(遠心、透析、温度変化など)に対する耐性の改善の1つ以上をもたらす可能性がある。当業者に明白なとおり、当技術分野では数多くの架橋試薬があり、架橋剤の選択は、コーティング剤にある反応性官能基(従って、コーティングに用いるイミダゾールを含む化合物の種類)による。架橋を形成する好ましい反応性官能基は、アミノ基、カルボキシル基、その組み合わせなどである。実例として、機能的蛍光ナノ結晶を1つ以上のアミノ反応性架橋剤(グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アクロレイン、1,6−ヘキサン−ビスビニルスルホン)と処理する。例えば、500μlの機能的蛍光ナノ結晶(10mgの固体物質)を70%エタノールで沈殿させ、遠心分離し、得られたペレットを500plの0.5M Hepes緩衝液(pH8.0)に再溶解した。この溶液をすぐに等量のグルタルアルデヒド溶液(0.5M Hepes緩衝液中0.02%、pH8.0)と混合した。室温で短時間インキュベーションした後(約2〜5分など)、上記反応液を20mMのTrisあるいはヒドロキシアミンを加えてクエンチした。Trisベースの試薬を用いるよりもペニシラミンのクエンチ効果と浄化効果が優れていたため、代わりに、反応液をペニシラミン(約100mMなど)でクエンチした。過剰の試薬(架橋剤やクエンチ剤)を除去するため、エタノールで沈殿させ、最終的なペレットを500μlの0.5M Hepes緩衝液(pH7.5〜8.0)に再溶解した。有効な結合を持つ分子プローブとターゲット分子の検出アッセイにおいて、さらに外側のコーティングに架橋を有する機能的蛍光ナノ結晶を用いることにも成功した。
【0048】
例2
別の実施例では、コア/シェルナノ結晶を有する蛍光ナノ結晶を、イミダゾールを有する化合物と有効な結合を持つ、金属カチオンを有するコーティング剤でコーティングする。好ましくは、上記金属カチオンが硫黄を含む化合物(例えば、硫酸塩、硫化物など)と有効な結合を持つZnを有する。一般的なガイドラインとして、上記のコーティングプロセスでは、2ミリグラムのコア/シェルナノ結晶、約0mmole〜約0.5mmoleの量の金属カチオン(好ましくは、半導体物質を有し、例えばYZ、より好ましくはZnSOなど)、約0.25mmole〜約2.5mmoleの量のイミダゾールを含む化合物、0〜1mmoleの量のNaSを有する成分を含める段階を有すると考えられる。当業者に明らかなように、個々の成分の量は、使用する特定のイミダゾールを含む化合物、コーティングする蛍光ナノ結晶の性質(化学的組成など)、上記のイミダゾールを含む化合物と有効な結合を持つ金属カチオンの性質、上記コーティングプロセスにおける他の成分比、上記コーティングプロセスで用いる緩衝系のpHによって変化すると考えられる。例えば、亜鉛を金属カチオンとして、ヒスチジンをイミダゾールを含む化合物として用いた場合、各亜鉛イオンが2つ以上のヒスチジン分子と有効な結合を持つため、上記コーティングプロセスにおいては、ヒスチジン分子の数を少なくとも亜鉛イオン数の2倍以上とすることが望ましい。別の実施例では、コーティングプロセスで用いるイミダゾールを含む化合物量の範囲に関して、イミダゾールを含む化合物の量が多いほど、水溶液の溶解性と安定性が高くなると考えられるが、蛍光強度の予期しない上昇も抑制されると考えられる。
【0049】
この実施例の例証として、1M Tris緩衝液中0.25Mのヒスチジン(イミダゾールを含む化合物)を調整した(pH10.6)。本明細書ですでに説明したとおり、当技術分野で他にも適当な緩衝液が知られている。10mlのヒスチジン溶液に、1.2mlの1M硫酸亜鉛溶液(HC1中)を加え、混合液が透明になるまで混合した。上記混合液に、最小量(約60μl〜約80μl)の有機溶媒(クロロホルムやピリジンなど)に懸濁した、3〜4mgのCdSe(コア)/ZnS(シェル)蛍光ナノ結晶を加えた。混合した後、1.2mlの1M NaSも加えた。得られた溶液を室温で数時間、ゆっくりと混合した。得られた機能的蛍光ナノ結晶を有する溶液のpHは、約9.6であった。本明細書ですでに説明したとおり、次に機能的蛍光ナノ結晶を精製した。この上記機能的蛍光ナノ結晶を作成するプロセスを繰り返し、各成分の相対量を変化させた。これらの製剤研究から、(水性環境で)最適な蛍光特性と安定性を示した好ましい成分比は、コア/シェル蛍光ナノ結晶2mg(CdSe/ZnSなど)、ヒスチジン1.25mmole、ZnSO 0.25mmole、NaS 0.5mmoleを有する。上記で得られた機能的蛍光ナノ結晶の特徴は、約7〜10の一般的なpHの水溶液中で安定であり、約pH8〜pH10の範囲で最も安定である、1ミクロン以下の粒度が約20.6nm(標準偏差が約3.8nm)、上記機能的蛍光ナノ結晶の表面で反応性官能基が利用でき(この場合、アミノ基とカルボキシル基の両方)、これに分子プローブが有効な結合を作ることができる、当技術分野で知られているメルカプトを基本とした化合物でキャップしたCdSe/ZnS蛍光ナノ結晶(図1および2、線B)あるいはCdSe/ZnS蛍光ナノ結晶(図1、線C)の蛍光強度と比較し、少なくとも約30倍から約300倍にまで蛍光強度が予期せず上昇することであった(例えば図1および2、線Aを参照)。
【0050】
本発明のプロセスでコーティングする出発原料、同一励起光源で励起(410nmなど)、同一検出装置での検出として用い、蛍光強度を(コーティングしていないか、メルカプトを基本とした化合物でキャップした)CdSe/ZnS蛍光ナノ結晶の相当量と比較した。従って、本発明に沿って、コーティングのプロセスにより当技術分野で知られている同等の蛍光ナノ結晶(例えば、CdX/YZ蛍光ナノ結晶やメルカプトを基本とした化合物でキャップしたCdX/YZ蛍光ナノ結晶)よりも、少なくとも約30倍蛍光強度が増加したコーティングが生じ、得られた機能的蛍光ナノ結晶はそのようなコーティングを有する(例えば図1を参照)。そのような増加は、蛍光強度の増加度の点で予期しなかった結果である。本発明のより好適な実施例では、上記コーティングプロセスにより、当技術分野で知られている同等の蛍光ナノ結晶(例えば、CdX/YZ蛍光ナノ結晶またはメルカプトを基本とした化合物でキャップしたCdX/YZ蛍光ナノ結晶)よりも、少なくとも約300倍蛍光強度が増加したコーティングが生じ、得られた機能的蛍光ナノ結晶はそのようなコーティングを有する(例えば図2を参照)。そのような増加は、蛍光強度の増加度の点で予期しなかった結果である。別の実施例では、本明細書の例1ですでに説明した方法を用い、さらにこれらの機能的蛍光ナノ結晶に架橋剤を処理した。
【0051】
例3
この例では、イミダゾールを含む化合物と有効な結合を持つ金属カチオンを有するコーティング剤によって、蛍光ナノ結晶をコーティングすることで、機能的蛍光ナノ結晶を作成するプロセスに関する別の実施例を示す。この例では、金属カチオンが硫黄を含む化合物(例えば、硫酸塩、硫化物など)と有効な結合を持つZnを有し、イミダゾールを含む化合物がカルノシンを有する。カルノシンは、(α)−アラニル−ヒスチジンを有するジペプチドである。一般的なガイドラインとして、上記コーティングプロセスでは、2ミリグラム単位でのコア/シェルナノ結晶、約0mmole〜約0.5mmoleの量の金属カチオン(好ましくはZnSO)、約0.25mmole〜約0.5mmoleの量のイミダゾールを含む化合物、0〜1mmoleの量のNaSを有する成分を含める段階を有すると考えられる。当業者に明らかなように、個々の成分の量は、使用する特定のイミダゾールを含む化合物、コーティングする蛍光ナノ結晶の性質(化学的組成など)、上記のイミダゾールを含む化合物と有効な結合を持つ金属カチオンの性質、コーティングプロセスにおける他の成分比、コーティングプロセスで用いる緩衝系のpHによって変化すると考えられる。
【0052】
例えば、1M Tris緩衝液中0.5Mのカルノシン(イミダゾールを含む化合物)溶液を調整した(pH10.6)。本明細書ですでに説明したとおり、当技術分野で他にも適当な緩衝液が知られている。10mlのカルノシン溶液に、1.2mlの1M硫酸亜鉛溶液(HC1中)を加え、混合液が透明になるまで混合した。上記混合液に、最小量(約60μl〜約80μl)の有機溶媒(クロロホルムやピリジンなど)に懸濁した、3〜4mgのCdSe(コア)/ZnS(シェル)蛍光ナノ結晶を加えた。混合した後、1.2mlの1M NaSも加えた。得られた溶液を室温で数時間、ゆっくりと混合した。得られた機能的ナノ結晶を有する溶液のpHは、約9.6であった。本明細書ですでに説明したとおり、次に機能的蛍光ナノ結晶を精製した。上記の機能的蛍光ナノ結晶を作成するプロセスを繰り返し、各成分の相対量を変化させた。これらの製剤研究から、(水性環境で)最適な蛍光特性と安定性を示した好ましい成分比は、コア/シェル蛍光ナノ結晶2mg(CdSe/ZnSなど)、カルノシン2.5mmole、ZnSo 0.25mmole、NaS 0.5mmoleを有する。
【0053】
上記で得られた機能的蛍光ナノ結晶の特徴は、約7〜約10の一般的なpHの水溶液中で安定であり、pH約8〜pH約10の範囲で最も安定である、上記機能的蛍光ナノ結晶の表面で反応性官能基が利用でき(この場合、アミノ基とカルボキシル基の両方)、これに分子プローブが有効な結合を作ることができる、予想外に蛍光強度が上昇することであった。図3を参照すると、ヒスチジンを有し、イミダゾールを含む化合物でコーティングされた機能的蛍光ナノ結晶から発光された蛍光強度(図3、線1、例えば、例2で説明したプロセスで作成)と、カルノシンを有し、イミダゾールを含む化合物でコーティングされた機能的蛍光ナノ結晶から発光された蛍光強度(図3、線2)を410nmで励起させて比較している。イミダゾールを含む化合物としてヒスチジンを用いた比較に基づき、コーティングプロセスでイミダゾールを含む化合物としてカルノシンを用いることで、当技術分野で知られているメルカプトを基本とした化合物(メルカプト酢酸など)でキャップしたCdSe/ZnS蛍光ナノ結晶あるいはCdSe/ZnS蛍光ナノ結晶(本明細書ですでに説明したものと同等の量、励起状態、検出装置を用いた場合など)の蛍光強度と比較した場合、少なくとも約30倍から約200倍以上まで蛍光強度が増加する。別の実施例では、本明細書例1ですでに説明した方法を用い、さらにこれらの機能的蛍光ナノ結晶に架橋剤を処理した。
【0054】
例4
本発明の機能的蛍光ナノ結晶を用いる方法に関する1つの実施例では、機能的蛍光ナノ結晶が1つ以上の分子プローブの分子と有効な結合を持つことが望ましいと考えられる。本発明では、分子プローブと有効な結合を持つ機能的蛍光ナノ結晶を有する組成についても示す。次に、そのような組成は、分子プローブが特異的に結合する標的分子の有無を検出するアッセイに用いることができる。当業者に明らかなように、分子プローブの有効な結合に利用できる、機能的蛍光ナノ結晶の反応性官能基は、機能的蛍光ナノ結晶のコーティングを有し、イミダゾールを含む化合物の化学的性質(あるいは種)によって決まる。例えば、コーティング剤の成分としてヒスチジンや他のイミダゾールを含むアミノ酸(ヒスチジン以外)を用いると、1つ以上の反応性官能基(1つ以上のアミノ酸側鎖などで、遊離アミノ基、遊離カルボキシル基、その組み合わせなどを含むが、これだけに限らない)を用いて、分子プローブの1つ以上の反応性官能基と有効な結合を作ることができる。説明に役立つ実例として、遊離カルボキシル反応基(アミノ基など)を持つ分子プローブの分子は、当技術分野で知られた方法(詳細を以下に示すとおり、EDCと処理した後、スルホ−NHSと処理するなど)により、機能的蛍光ナノ結晶を有し、イミダゾールを含む化合物分子の遊離カルボキシル基と有効な結合を作ることができる。別の例では、遊離アミノ反応基(カルボキシル基など)を持つ分子プローブの分子が、当技術分野で知られた方法により、機能的蛍光ナノ結晶のコーティングを有し、イミダゾールを含む化合物分子の遊離アミノ基と、有効な結合を作ることができる。望ましい場合は、機能的蛍光ナノ結晶と分子プローブに有効な結合を作る際、本質的に同一の方法を用い、イミダゾールを含む化合物と分子プローブの間にスペーサーを有する分子を置くことができる。そのようなスペーサーは、当技術分野で周知であり、市販されている(例えば、Pierce Co.の製品カタログを参照)。
【0055】
この実施例を説明するため、本明細書にまとめた方法により、分子プローブと機能的蛍光ナノ結晶に有効な結合を作った。1つの説明に役立つ実例では、機能的蛍光ナノ結晶とストレプトアビジンに有効な結合を作った。機能的蛍光ナノ結晶とストレプトアビジンに有効な結合を作る、以下の例と同様の方法を用い、機能的蛍光ナノ結晶も、これだけに限らないが、Con A、IgGから成るグループから選択した分子プローブを含む分子プローブと有効な結合を作った。別の反応では、(本明細書例2に説明した方法で生成した)ヒスチジンを有するコーティングを有する機能的蛍光ナノ結晶、およびカルノシンを有するコーティングを有する機能的蛍光ナノ結晶と、ストレプトアビジンに有効な結合を作った。これらの反応では、ストレプトアビジン分子のカルボキシル基と機能的蛍光ナノ結晶のアミノ基に有効な結合を作った。ストレプトアビジン(例えば0.2mg)をEDC(1−エチル−3(3−ジメチル−アミノプロピル)カルボジイミド)(例えば0.08mg)でエステル化し、スルホNHS(スルホ−N−ヒドロキシスクシニミド)(例えば0.22mg)と反応させた。得られた溶液を室温で30分間撹拌した。メルカプトエタノールを加え、20mMの濃度で未反応のEDCを中和した後、15分間撹拌した。上記溶液全体を上記機能的蛍光ナノ結晶(例えば約1mg)を含む緩衝溶液(1mlの100mM HEPES、150mMのNaCl、pH7.5)に、撹拌しながら1滴ずつ加え、上記混合液を室温で2時間撹拌した。ペニシラミン(例えば、100mM)を加えて、上記反応液をクエンチし、上記混合液を室温で30分間撹拌するか、4℃で一晩放置した。上記の得られた溶液を直接用いるか、(例えばゲルろ過カラムにより)精製してもよい。
【0056】
別の説明に役立つ実例では、機能的蛍光ナノ結晶とストレプトアビジンに有効な結合を作った。この反応では、1mg/mlのスルホ−HSAB(N−ヒドロキシスルホスクシニミジルl−4−アジドベンゾエート)を含む80μlのHEPES緩衝液溶液を300μlのストレプトアビジン溶液(6.6mg/ml)と混合し、室温で1時間反応させた。未反応のスルホ−HSABを3回遠心濃縮して除去し、その最終量を緩衝液で500μlに調整した。この最終量のうち100μlを(約10mg固体/mlで)100μlの機能的蛍光ナノ結晶と混合した。上記の反応混合液を37℃で15分間インキュベートし、室温で15分間、265nmのUV光に当てて光活性化した。
【0057】
次に、ビオチン標識ポリスチレンミクロスフェア(市販されているビーズ)を有する標的分子に対する結合活性について、ストレプトアビジンと有効な結合を持つ機能的蛍光ナノ結晶を有する組成を検出装置で検討した。このアッセイでは、上記ビオチン標識ポリスチレンミクロスフェアを標的分子とした。このアッセイでは、ストレプトアビジンと有効な結合を持つ機能的蛍光ナノ結晶を有する組成50μl(例えば、約1mg)を、(ゆっくりと混合し、室温で1時間インキュベートすることで)ビオチン標識ポリスチレンミクロスフェア溶液50μl(例えば、約2.5%の溶液)と接触させた。上記ミクロスフェアを次に3回緩衝液で洗浄し、遠心分離を繰り返してミクロスフェアをペレット状とした。最終量を緩衝液で200μlに調整し、スライドガラスに1滴落として載せた。ビオチン標識ポリスチレンミクロスフェアのみ、およびストレプトアビジンと有効な結合を持つ機能的蛍光ナノ結晶と反応させたビオチン標識ポリスチレンミクロスフェアの調整検討は、検出装置としてCCDカメラと有効なリンクを持たせた100倍対物レンズを用い、蛍光顕微鏡下、300nmで励起させて行った。ビオチン標識ポリスチレンミクロスフェアを有する標的分子は、それに結合した機能的蛍光ナノ結晶のために蛍光であり、ビオチン標識ミクロスフェアが、ストレプトアビジンと有効な結合を持つ機能的蛍光ナノ結晶を有する組成と、有効な結合を作ることに成功したことを示している。
【0058】
本明細書の説明から当業者に明らかなように、本発明の機能的蛍光ナノ結晶を用いる場合、(アッセイによって分子プローブを用いる場合と用いない場合があるが)上記機能的蛍光ナノ結晶を励起波長で励起させ、適当な検出法あるいは検出装置(例えば、光検出器、フィルター、電荷結合素子カメラ(CCDカメラ)、蛍光顕微鏡、分光蛍光計、内視鏡画像システム、内視鏡蛍光画像顕微鏡、光ファイバー蛍光画像顕微鏡、蛍光キューブ、蛍光画像をデジタル化するコンピュータなどの1つ以上)で検出する。好適な実施例では、適切な検出方法により約400nm〜約800nmのスペクトル範囲で蛍光ピークを検出することができ、多色蛍光を上記検出装置で検出したい場合は、この範囲内で別々の蛍光ピークを区別する。検出装置に存在する機能的蛍光ナノ結晶量の定量化は、発光される蛍光ピークの強度と直接関連している(例えば、ビデオカメラが接続し、収集したデータを操作、保存するコンピュータソフトウェアプログラムがある蛍光顕微鏡を用い、蛍光イベントの数と蛍光強度で測定)。ナノ結晶を扱う当業者に明らかなように、上記の吸収ピークと蛍光ピークの発光は、ナノ結晶の性質によって決まり、その性質には蛍光ナノ結晶の化学的性質、(もしあれば)蛍光ナノ結晶のドーピング剤、蛍光ナノ結晶のコアサイズ、本明細書で説明した、イミダゾールを含む化合物を有するコーティングの性質などであるが、これだけに限らない。
【0059】
例5
この例では、本発明の機能的蛍光ナノ結晶を作成する方法の実施例を説明する。本例とこれに続く例では、コアとなるナノ結晶を有する半導体ナノ結晶を、米国特許出願第6,179,912号に報告された連続した流れプロセスにより作成した。セレン化カドミウム(CdSe)ナノ結晶の生成に用いたパラメータは、10gのTOPO、18.9μlのMeCd(ジメチルカドミウム、2.63×10−4モルのCdなど)、198.9μlのTOPSe(Seの1M TOP溶液、1.989×10−4モルのSeなど)、4.5mlのTOP、核形成温度(T)300℃、成長温度(T)280℃、流速0.1ml/minであった。得られたCdSeナノ結晶は波長578nmで蛍光を示し、励起波長410nm、幅の狭い高さ1/2のバンド幅が約29nmであった。
【0060】
図4には、本発明の機能的蛍光ナノ結晶を作成する一般的なスキームを示している。1つの実施例では、機能的蛍光ナノ結晶を作成するプロセスが、複合半導体(例えばCdSe、ZnSなど)を有する蛍光ナノ結晶をイミダゾールを含む化合物を(1つ以上)有する溶液、そしてホスフィン架橋化合物を(1つ以上)有する溶液と接触させる段階を有し、イミダゾールを含む化合物が金属カチオン(例えばCd++、Zn++など)と有効な結合を作り、ホスフィン架橋化合物(例えば、アルキルホスフィン化合物)が対応する非金属元素(例えばS、Seなど)と有効な結合を作り、蛍光ナノ結晶をコーティングして機能的蛍光ナノ結晶を形作る。
【0061】
詳細をすでに本明細書で示したとおり、上記のプロセスでコーティングされた蛍光ナノ結晶は、コアとなる半導体ナノ結晶、コア/シェル半導体ナノ結晶、ドープ金属酸化物ナノ結晶、あるいはその組み合わせを有することができる。金属カチオンについては、イミダゾールを含む化合物が金属イオンと有効な結合を作ることが報告され、これにはZn2+、Cu2+、Fe2+、Ni2+、Cd2+、Co2+などの1つ以上を含むことができるが、これだけに限らない。非金属の対応するアニオンについては、ホスフィン架橋化合物が非金属要素と有効な結合を作ることができ、これにはO、S、Se、Te、POなどの1つ以上を含むことができるがこれだけに限らず、選択したホスフィン架橋化合物によっては(例えばホスフィンオキシドあるいはホスホニウム)、さらにZn、Cdなどの金属イオンと結合することができる。
【0062】
例えば、コアとなるナノ結晶をコーティングし、本発明の機能的蛍光ナノ結晶を生成した。1つの実施例では、コアとなるナノ結晶を、イミダゾールを含む化合物とアルキルホスフィンを含む架橋剤を有する混合物でコーティングした。一般的なガイドラインとして、上記のコーティングプロセスでは、0.5ミリグラム単位のコアとなる蛍光ナノ結晶、約0.25mmole〜約2.5mmoleの量のイミダゾールを含む化合物、約0.25mmole〜約2.5mmolの量のアルキルホスフィンを含む架橋剤、約0mmole〜約2.5mmoleの量のポリアミンを有する成分を含める段階を有すると考えられる。当業者に明らかなように、個々の成分の量は、使用する特定のイミダゾールを含む化合物、使用するアルキルホスフィンを含む化合物、機能的とする蛍光ナノ結晶の性質(化学的組成など)、コーティングする蛍光ナノ結晶表面の性質、コーティングプロセスにおける他の成分比、コーティングプロセスで用いる緩衝系のpHによって変化すると考えられる。例えば、30mMのカルノシン(イミダゾールを含む化合物)溶液を1MのCAPSO緩衝液(3−(シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸、ナトリウム塩、pH9.6)に溶解して調整した。CAPSO緩衝液(例えば、炭酸ナトリウム緩衝液、TAPS緩衝液(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−アミノプロパンスルホン酸)など)の代わりに、当技術分野で知られている、pH約8.0〜pH約11の範囲で緩衝作用を示す他の適切な緩衝液を用いてもよい。カルノシン溶液10mlに、最小量(約60μl〜約200μl)の有機溶媒(クロロホルムやピリジンなど)に懸濁した、0.5〜3mgのCdSeナノ結晶(コアとなる結晶)を加えた。混合、室温で約1時間インキュベートした後、1.2mlの60mM THPP(β−[トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィノ]プロパン酸、アルキルホスフィンを含む架橋剤)も加えた。1時間ゆっくりと混合した後、100μlの1Mプトレッシン(ポリアミン)を加え、さらに1時間混合した。THPPとプトレッシンを加えるサイクルを3〜4回繰り返した。ホルムアルデヒドを用い、上記の最終溶液を100mmの最終濃度で約1時間処理した。上記の機能的蛍光ナノ結晶は、次にサイズ排除クロマトグラフィー、透析、遠心分離、その組み合わせを有するグループから選択したプロセスで精製した。例えば、3000ダルトン(D)の分画分子量(MCO)の透析膜を用い、機能的蛍光ナノ結晶を有する溶液をPBS(リン酸緩衝食塩水)などの適切な緩衝液で透析した。この機能的蛍光ナノ結晶を作成するプロセスを繰り返し、各成分の相対量を変化させた。これらの製剤研究から、(水性環境中、広範なpHで)最適な蛍光特性と安定性を示した成分の好ましい比は、コアとなるナノ結晶(例えばCdSe)0.5〜1mg、カルノシン0.3mmole、THPP0.15mmole、プトレッシン0.15mmole、ホルムアルデヒド1mmoleを有する。上記で得られた機能的蛍光ナノ結晶の特徴は、約6〜約10の一般的なpHの水溶液中で安定であり、pH約7〜pH約9の範囲で最も安定である、上記機能的蛍光ナノ結晶の表面で反応性官能基が利用でき(この場合、カルボキシル基)、これに分子プローブが有効な結合を作ることができる、有機溶媒中の蛍光ナノ結晶の蛍光強度と比較し、約10倍〜100倍に蛍光強度が上昇することであった。本発明のプロセスによりコーティングしたコアとなるナノ結晶と同一の連続した流れプロセス、同一の励起光源での励起(410nmなど)、同一の検出装置を用いた検出の実験から、コアとなるナノ結晶を用いて作成した蛍光ナノ結晶と同量で、蛍光強度を比較した。用いた検出装置は標準的な分光蛍光光度計であり、上記装置のソフトウェアが当技術分野で標準となっているとおり、蛍光強度の測定値として、得られた発光ピーク下面積を計算した。安定性の測定については、安定性が最適ではないことは、水溶液中で機能的蛍光ナノ結晶が経時的に凝集する、あるいは機能的蛍光ナノ結晶に伴う蛍光強度が消失する(観察された上昇が失われるか、検出可能な発光が全くなくなることなど)という1つ以上の傾向で特徴付けられる。
【0063】
例6
別の実施例では、コア/シェルナノ結晶を有する蛍光ナノ結晶を、イミダゾールを含む化合物を有するコーティング溶液でコーティングし、次にアルキルホスフィンを含む化合物を有する溶液を用い、ここでイミダゾールを含む化合物が金属カチオン(例えばCd++、Zn++など)と有効な結合を持ち、アルキルホスフィンを含む化合物が対応する非金属元素(例えばS、Seなど)と有効な結合を作り、蛍光ナノ結晶をコーティングして機能的蛍光ナノ結晶を形作る。一般的なガイドラインとして、上記のコア/シェルナノ結晶のコーティングプロセスでは、ミリグラム単位の蛍光ナノ結晶、約0.25mmole〜約2.5mmoleの量のイミダゾールを含む化合物、約0.25mmole〜約2.5mmolの量のアルキルホスフィンを含む架橋剤、0mmole〜約2.5mmoleの量のポリアミンを有する成分を含める段階を有すると考えられる。当業者に明らかなように、個々の成分の量は、使用する特定のイミダゾールを含む化合物、使用するアルキルホスフィンを含む化合物、機能的とする蛍光ナノ結晶の性質(化学的組成など)、コーティングする蛍光ナノ結晶表面の性質、コーティングプロセスにおける他の成分比、コーティングプロセスで用いる緩衝系のpHによって変化すると考えられる。例えば、30mMのカルノシン(イミダゾールを含む化合物)溶液を1MのCAPSO緩衝液(3−(シクロヘキシルアミノ)−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸、ナトリウム塩、pH9.6)に溶解して調整した。CAPSO緩衝液(例えば、炭酸ナトリウム緩衝液、TAPS緩衝液(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−アミノプロパンスルホン酸)など)の代わりに、当技術分野で知られている、pH約8.0〜約11の範囲で緩衝作用を示す他の適切な緩衝液を用いてもよい。カルノシン溶液10mlに、最小量(約60μl〜約200μl)の有機溶媒(クロロホルムやピリジンなど)に懸濁した、0.5〜3mgのCdSeナノ結晶(コアとなる結晶)を加えた。混合、室温で約1時間インキュベートした後、1.2mlの60mM THPP(β−[トリス(ヒドロキシメチル)−21−ホスフィノ]プロパン酸、アルキルホスフィンを含む架橋剤)も加えた。1時間ゆっくりと混合した後、100μlの1Mプトレッシン(ポリアミン)を加え、さらに1時間混合した。THPPとプトレッシンを加えるサイクルを3〜4回繰り返した。ホルムアルデヒドを用い、最終溶液を100mMの最終濃度で約1時間処理した。上記の機能的蛍光ナノ結晶は、次にサイズ排除クロマトグラフィー、透析、遠心分離、その組み合わせを有するグループから選択したプロセスで精製した。例えば、3000DのMCOの透析膜を用い、機能的蛍光ナノ結晶を有する溶液をPBS(リン酸緩衝食塩水)などの適切な緩衝液で透析した。この機能的蛍光ナノ結晶を作成するプロセスを繰り返し、各成分の相対量を変化させた。これらの製剤研究から、(水性環境中、広範なpHで)最適な蛍光特性と安定性を示した成分の好ましい比は、コア/シェルナノ結晶(例えばCdSe/ZnS)1〜2mg、カルノシン0.3mmole、THPP0.15mmole、プトレッシン0.15mmole、ホルムアルデヒド1mmoleを有する。上記で得られた機能的蛍光ナノ結晶の特徴は、約6〜約10の一般的なpHの水溶液中で安定であり、pH約7〜pH約9の範囲で最も安定である、上記機能的蛍光ナノ結晶の表面で反応性の官能基が利用でき(この場合、カルボキシル基)、これに分子プローブが有効な結合を作ることができる、当技術分野で知られている機能的蛍光ナノ結晶の蛍光強度(例えば、有機溶媒中のCdX/YZ蛍光ナノ結晶やメルカプトを基本とした化合物でキャップされたCdX/YZ蛍光ナノ結晶)と比較し、予想外に約50倍〜1100倍以上に蛍光強度が上昇すること(例えば図5および図5の差込図を参照)であった(例えば図5を参照)。蛍光強度は、同様に調整したコア/シェルナノ結晶、同一の励起光源(例えば410nm)で励起、同一の検出装置で検出して作成した、同量の蛍光ナノ結晶と比較した。従って、本発明に沿って、コーティングのプロセスにより、当技術分野で知られている同等の蛍光ナノ結晶(例えば、有機溶媒中のCdX/YZ蛍光ナノ結晶やメルカプトを基本とした化合物でキャップしたCdX/YZ蛍光ナノ結晶)よりも、少なくとも約50倍蛍光強度が増加したコーティングが生じ、得られた機能的蛍光ナノ結晶はそのようなコーティングを有する(例えば図5を参照)。そのような増加は、蛍光強度の増加度の点で予期しなかった結果である。本発明のより好適な実施例では、コーティングのプロセスにより、当技術分野で知られている同等の蛍光ナノ結晶(例えば、有機溶媒中のCdX/YZ蛍光ナノ結晶やメルカプトを基本とした化合物でキャップしたCdX/YZ蛍光ナノ結晶)よりも、少なくとも約1100倍蛍光強度が増加したコーティングが生じ、得られた機能的蛍光ナノ結晶はそのようなコーティングを有する。そのような増加は、蛍光強度の増加度の点で予期しなかった結果である。
【0064】
例7
この例では、イミダゾールを含む化合物としてヒスチジンを有するコーティング剤によって、蛍光ナノ結晶をコーティングすることで、機能的蛍光ナノ結晶を作成するプロセスに関する別の実施例を示す。一般的なガイドラインとして、上記のコア/シェルナノ結晶のコーティングプロセスでは、ミリグラム単位の蛍光ナノ結晶、約0.25mmole〜約2.5mmoleの量のイミダゾールを含む化合物、約0.25mmole〜約2.5mmolの量のアルキルホスフィンを含む架橋剤、0mmole〜約2.5mmoleの量のポリアミンを有する成分を含める段階を有すると考えられる。当業者に明らかなように、個々の成分の量は、使用する特定のイミダゾールを含む化合物、使用するアルキルホスフィンを含む化合物、機能的とする蛍光ナノ結晶の性質(化学的組成など)、コーティングする蛍光ナノ結晶表面の性質、コーティングプロセスにおける他の成分比、コーティングプロセスで用いる緩衝系のpHによって変化すると考えられる。
【0065】
例えば、30mMのカルノシン(イミダゾールを含む化合物)溶液を1MのCAPSO緩衝液(3−(シクロヘキシルアミノ)−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸、ナトリウム塩、pH9.6)に溶解して調整した。当技術分野で知られている他の適当な緩衝液はすでに本明細書で説明している。カルノシン溶液10mlに、最小量(約60μl〜約200μl)の有機溶媒(クロロホルムやピリジンなど)に懸濁した、0.5〜3mgのCdSeナノ結晶(コアとなる結晶)を加えた。混合、室温で約1時間インキュベートした後、1.2mlの60mM THPP(β−[トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィノ]プロパン酸、アルキルホスフィンを含む架橋剤)も加えた。1時間ゆっくりと混合した後、100μlの1Mプトレッシン(ポリアミン)を加え、さらに1時間混合した。THPPとプトレッシンを加えるサイクルを3〜4回繰り返した。ホルムアルデヒドを用い、最終溶液を100mMの最終濃度で約1時間処理した。すでに本明細書で説明したとおり、次に機能的蛍光ナノ結晶を精製した。この機能的蛍光ナノ結晶を作成するプロセスを繰り返し、各成分の相対量を変化させた。これらの製剤研究から、(水性環境中、広範なpHで)最適な蛍光特性と安定性を示した成分の好ましい比は、コア/シェルナノ結晶(例えばCdSe/ZnS)1〜2mg、カルノシン0.3mmole、THPP0.15mmole、プトレッシン0.15mmole、ホルムアルデヒド1mmoleを有する。
【0066】
上記で得られた機能的蛍光ナノ結晶の特徴は、約6〜約10の一般的なpHの水溶液中で安定であり、pH約7〜pH約9の範囲で最も安定である、上記機能的蛍光ナノ結晶の表面で反応性官能基が利用でき(この場合、カルボキシル基)、これに分子プローブが有効な結合を作ることができる、当技術分野で知られている機能的蛍光ナノ結晶の蛍光強度(例えば、有機溶媒中のCdX/YZ蛍光ナノ結晶やメルカプトを基本とした化合物でキャップされたCdX/YZ蛍光ナノ結晶)と比較し、予想外に約50倍〜1100倍以上に蛍光強度が上昇することであった。蛍光強度の比較は、すでに本明細書で説明した。
【0067】
例8
本発明の機能的蛍光ナノ結晶を用いる方法に関する1つの実施例では、機能的蛍光ナノ結晶が分子プローブの1つ以上の分子と有効な結合を持つことが望ましいと考えられる。また、本発明では、分子プローブと有効な結合を持つ機能的蛍光ナノ結晶を有する組成を示す。次に、そのような組成は、分子プローブが特異的に結合する標的分子の有無を検出するアッセイに用いることができる。当業者に明らかなように、分子プローブの有効な結合に利用できる、機能的蛍光ナノ結晶の反応性官能基は、1つ以上のイミダゾールを含む化合物と、機能的蛍光ナノ結晶のコーティングを有する1つ以上のホスフィン架橋化合物の化学的性質(あるいは種)によって決まる。例えば、カルノシンあるいは他のイミダゾールを含む化合物(カルノシン以外)とTHPPあるいは他のホスフィン架橋化合物をコーティング剤の成分として用いる場合、1つ以上の反応性官能基(例えば、遊離カルボキシル基、アミノ基、その組み合わせ)を用い、分子プローブの1つ以上の反応性官能基と有効な結合を作ることができる。説明に役立つ実例として、アルキルホスフィンあるいはイミダゾールを含む化合物分子の遊離カルボキシル反応基を持つ分子プローブの分子は、当技術分野で知られた方法(詳細を以下に示すとおり、EDCと処理した後、スルホ−NHSと処理する)により、機能的蛍光ナノ結晶のコーティングを有する。別の例では、遊離アミノ反応基(カルボキシル基など)を持つ分子プローブの分子が、当技術分野で知られた方法により、機能的蛍光ナノ結晶のコーティングを有する、イミダゾールを含む化合物分子あるいはホスフィン架橋化合物の遊離アミノ基と、有効な結合を作ることができる。望ましい場合は、本質的に同一の方法を用い、機能的蛍光ナノ結晶と分子プローブに有効な結合を作る際、一端のイミダゾールを含む化合物およびホスフィン架橋化合物と分子プローブの間にスペーサーを有する分子を置くことができる。そのようなスペーサーは、当技術分野で周知であり、市販されている(例えば、Pierce Co.の製品カタログを参照)。
【0068】
この実施例を説明するため、本明細書にまとめた方法により、分子プローブと機能的蛍光ナノ結晶に有効な結合を作った。説明に役立つ1つの実例では、機能的蛍光ナノ結晶とストレプトアビジンに有効な結合を作った。機能的蛍光ナノ結晶とアビジンに有効な結合を作る以下の例と同様の方法を用い、機能的蛍光ナノ結晶とも、これだけに限らないが、ConA、レクチン、IgGで構成されるグループから選択した分子プローブを含む分子プローブと有効な結合を作った。別の反応では、THPPと(本明細書中例6で説明した方法で作成した)カルノシンを有するコーティングを有する機能的蛍光ナノ結晶に、アビジンと有効な結合を作った。これらの反応では、アビジンのアミノ基と機能的蛍光ナノ結晶のカルボキシル基に有効な結合を作った。100ug/mlの機能的蛍光ナノ結晶2mlをMES緩衝液(MES 50mM、NaCl 250mM、pH6.5)に溶解し、5mMのEDC(l−エチル−3−[3−ジメチル−アミノプロピル]カルボジイミド)と10mMのスルホ−NHS(スルホ−N−ヒドロキシスクシニミド)を処理してエステル化した。得られた溶液を室温で15分間混合した後、3000DのMWCOを用いた透析膜で、90分間(上述の)MES緩衝液により透析した。次に、得られた溶液に100μgのアビジン(100μlのPBSに溶解)を加え、全体の溶液を室温で30分間混合した。次に、上記の反応を25mMのグリシンを加え、さらに30分間混合して停止した。上記溶液は、過剰のナノ結晶と試薬から50KDのMWCOを用いた限外ろ過遠心膜で精製した。
【0069】
アビジンと有効な結合を持つ機能的蛍光ナノ結晶を有する組成を様々なアッセイで評価した、
A.ビオチン標識ポリスチレンミクロスフェア(市販のビーズ)を有する標的分子の結
合能力。
【0070】
本アッセイにおいて。ビオチン標識ポリスチレンミクロスフェアを標的分子とした。本アッセイでは、(上述の)アビジンと有効な結合を持つ、機能的蛍光ナノ結晶を有する組成100μlを、ビオチン標識ポリスチレンミクロスフェアを有する1%懸濁液50μlと15分間接触させた。上記ミクロスフェアを緩衝液で3回洗浄し、遠心分離を繰り返した。最終量をPBSで100μlに調整し、スライドガラスに1滴落として載せた。ビオチン標識ポリスチレンミクロスフェアと非ビオチン標識ポリスチレンミクロスフェア(対照)の調整検討は、検出装置としてCCDカメラとリンクさせた200倍の対物レンズを用いた蛍光顕微鏡のもとで、〜300nmで励起させて行った。図6Aおよび6Bに示しているとおり、ビオチン標識ポリスチレンミクロスフェアを有する標的分子のみが、アビジンと有効な結合を持つ機能的蛍光ナノ結晶を有する組成と有効な結合を作ることに成功した。
【0071】
B.光退色耐性アッセイ
上述のとおり、アビジンと有効な結合を持つ機能的蛍光ナノ結晶で染色したビオチン標識ミクロスフェアを、0〜65分間、直接UV光(励起〜300nm)に当てた。図7Aおよび7Bに示すとおり、アビジンと有効な結合を持つ機能的蛍光ナノ結晶によるビオチン標識ミクロスフェアの染色は安定で、上記の時間UV光を当てても光退色しなかった。
【0072】
C.標的分子の検出
パラフィンに包んだ肝臓の顕微鏡用切片を当技術分野で知られている方法により、抗IgG一次ビオチン標識抗体で処理し、次に本発明の方法に沿って機能化したアビジン標識蛍光ナノ結晶溶液で約90分染色した(PBS中ナノ結晶と結合させた5μg/mlのアビジン)。PBSで簡単に洗った後、上記のスライドは、検出装置としてCCDカメラとリンクさせた200倍の対物レンズを用いた蛍光顕微鏡のもとで、〜300nmで励起させて検討した。図8Aおよび8Bに示しているとおり、ビオチン標識抗マウスIgG抗体を有する標的分子は、アビジンと有効な結合を持つ機能的蛍光ナノ結晶を有する組成と、有効な結合を作ることに成功した。
【0073】
本明細書の説明から当業者に明らかなように、適切な検出装置は当技術分野で周知であり、例えば、約400nm〜約800nmの一般的なスペクトルで蛍光ピークを検出でき、好ましくは、さらに多色の蛍光が関与する分析において、この範囲内で蛍光ピークを区別できる検出装置である。検出装置で検出された機能的蛍光ナノ結晶の定量は、発光された蛍光の強度と直接関連している(例えば、蛍光のイベント数を蛍光強度に対して測定するなど)。当業者に明らかなように、本発明の機能的蛍光ナノ結晶の吸光度ピークと蛍光ピークの発光は、コアとなるナノ結晶の組成、使用したコーティング剤の組成などによって変わる。
【0074】
本発明の特定の実施例に関する上述の記述は、説明のため詳細に述べた。記述と説明の点から、他の当業者は現在の知識を当てはめることで、基本的な概念から離れずに、様々な応用に対して本発明を容易に修正および/又は改造することができるため、そのような修正および/又は改造も本発明の意味と範囲内とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出装置であって、
蛍光ナノ結晶と、
上記蛍光ナノ結晶に施されたコーティングとを有し、
上記コーティングは、金属カチオンと有効な結合を持つ、イミダゾールを含む化合物を有するものである。
【請求項2】
請求項1記載の検出装置において、上記金属カチオンは硫黄を含む化合物と有効な結合を持つものである。
【請求項3】
請求項1記載の検出装置において、上記金属カチオンは半導体物質を有するものである。
【請求項4】
請求項1記載の検出装置において、さらに分子プローブを有し、その1又はそれ以上の分子は上記コーティングされた蛍光ナノ結晶と有効な結合を持つものである。
【請求項5】
請求項1記載の検出装置において、上記蛍光ナノ結晶は、コアとなる半導体ナノ結晶、コア/シェル半導体ナノ結晶、ドープ金属酸化物ナノ結晶、その組み合わせのグループから選択されるものである。
【請求項6】
請求項1記載の検出装置において、上記コーティングされた蛍光ナノ結晶から蛍光を引き出すのに適した励起源をさらに有する。
【請求項7】
請求項1記載の検出装置において、さらに架橋剤を有する。
【請求項8】
請求項7記載の検出装置であって、上記架橋剤は、アミノ反応試薬、カルボキシ反応試薬、アミノ反応試薬とカルボキシ反応試薬などの組み合わせから成るグループから選択されるものである。
【請求項9】
請求項7記載の検出装置において、上記架橋剤はホスフィン架橋化合物を有するものである。
【請求項10】
ナノ結晶であって、
蛍光ナノ結晶と、
上記蛍光ナノ結晶に施されたコーティングとを有し、
上記コーティングはイミダゾールを含む化合物と架橋剤を有するものである。
【請求項11】
請求項10記載のナノ結晶において、上記イミダゾールを含む化合物と架橋剤は金属カチオンと有効な結合を作るものである。
【請求項12】
請求項10記載のナノ結晶において、上記架橋剤は、アミノ反応試薬、カルボキシ反応試薬、アミノ反応試薬とカルボキシ反応試薬などの組み合わせから成るグループから選択されるものである。
【請求項13】
請求項10記載のナノ結晶であって、上記架橋剤はホスフィン架橋化合物を有するものである。
【請求項14】
請求項11記載のナノ結晶であって、上記金属カチオンは硫黄を含む化合物と有効な結合を持つものである。
【請求項15】
請求項11記載のナノ結晶であって、上記金属カチオンは半導体物質を有するものである。
【請求項16】
請求項11記載のナノ結晶であって、さらに上記のコーティングされた蛍光ナノ結晶と有効な結合を持つ分子プローブを有する。
【請求項17】
請求項10記載のナノ結晶であって、上記蛍光ナノ結晶はコアとなる半導体ナノ結晶、コア/シェル半導体ナノ結晶、ドープ金属酸化物ナノ結晶、その組み合わせのグループから選択されるものである。
【請求項18】
請求項10記載のナノ結晶であって、さらに上記のコーティングされた蛍光ナノ結晶から蛍光強度を引き出すのに適した励起源を有する。
【請求項19】
コーティングされたナノ結晶を作成する方法であって、
イミダゾールを含む化合物を有する溶液と金属カチオンを有する物質を接触させ、金属カチオンと有効な結合を持ちイミダゾールを含む化合物を有する錯体を有する混合物を生成する工程と、
上記混合物と蛍光ナノ結晶を接触させ、上記蛍光ナノ結晶上にコーティングを形成する工程とを有する。
【請求項20】
請求項19の方法であって、上記金属カチオンは硫黄を含む化合物と有効な結合を持つものである。
【請求項21】
請求項19記載の方法であって、上記金属カチオンは半導体物質を有する。
【請求項22】
請求項19記載の方法であって、上記コーティングされた蛍光ナノ結晶と分子プローブに有効な結合を作る工程をさらに有する。
【請求項23】
請求項19記載の方法であって、上記蛍光ナノ結晶は、コアとなる半導体ナノ結晶、コア/シェル半導体ナノ結晶、ドープ金属酸化物ナノ結晶、その組み合わせのグループから選択される。
【請求項24】
コーティングされたナノ結晶を作る方法であって、
イミダゾールを含む化合物と架橋剤を有する溶液と金属カチオンを有する物質を接触させる工程と、
上記混合物を蛍光ナノ結晶と接触させて、上記蛍光ナノ結晶上にコーティングを形成する工程とを有する。
【請求項25】
請求項24記載の方法であって、イミダゾールと架橋剤をカチオンと接触させる工程は、金属カチオンと有効な結合を持ちイミダゾールを含む化合物を有する錯体を有する混合物を生成するものである。
【請求項26】
請求項24記載の方法であって、上記架橋剤は、ホスフィン架橋化合物を有する。
【請求項27】
請求項24記載の方法であって、上記架橋剤は、アミノ反応試薬、カルボキシ反応試薬、アミノ反応試薬とカルボキシ反応試薬の組み合わせから成るグループから選択する。
【請求項28】
請求項24のプロセスであって、上記金属カチオンは硫黄を含む化合物と有効な結合を持つ。
【請求項29】
請求項24の検出装置であって、上記金属カチオンは半導体物質を有する。
【請求項30】
請求項24のプロセスであって、さらにコーティングされた蛍光ナノ結晶と、分子プローブの1つ以上の分子に有効な結合を作るプロセスを有する。
【請求項31】
請求項24のプロセスであって、上記蛍光ナノ結晶はコアとなる半導体ナノ結晶、半導体ナノ結晶、ドープ金属酸化物ナノ結晶、その組み合わせのグループから選択する。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【公開番号】特開2010−48812(P2010−48812A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−239956(P2009−239956)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【分割の表示】特願2003−555171(P2003−555171)の分割
【原出願日】平成14年9月17日(2002.9.17)
【出願人】(502221282)ライフ テクノロジーズ コーポレーション (113)
【Fターム(参考)】