説明

ナノ転写に利用される低表面エネルギー材料

【課題】工程安定性が高くて、材料製造が容易で、原料コストが安い、また、使用過程において、微細粒汚染を生成しない等の利点が得られるナノ転写に利用される低表面エネルギー材料を提供する。
【解決手段】同時に、一つや二つ以上のベンゾオキサジン誘導体モノマーを利用して、テンプレート表面に対して熱加硫反応をさせて、離型剤とするポリベンゾオキサジン誘導体薄膜が形成され、該離型剤分子により、表面自由エネルギーが低減されるメカニズムにより、該テンプレートとポリマーレジストとが分離する時の付着力問題を解消でき、また、より良い転写パタンが得られる。また、該ベンゾオキサジン誘導体モノマーが、完全に溶剤に溶けることができるため、微細粒を生成する問題を防止でき、また、該ベンゾオキサジン誘導体が、反応過程において、副産物を生成しないため、有効に、汚染を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ転写に利用される低表面エネルギー材料に関し、特に、ベンゾオキサジン誘導体モノマー(benzoxazine)を、熱加硫を反応させることにより形成されたポリベンゾオキサジン誘導体(polybenzoxazine)を離型剤として利用し、また、該離型剤により、テンプレートの表面エネルギーを低減し、そして、ポリマーレジスト表面に優れた転写パタンが得られるものに関する。
【背景技術】
【0002】
ナノ転写過程において、テンプレートとポリマーレジストとが粘着することにより、転写パタンが毀損される要因は、図13〜15のように、該テンプレートに、離型剤が使用されないため、転写された後、該ポリマーレジスト表面に、明らかに欠陥が残される。上記の該テンプレートと該ポリマーレジストとが分離する時の付着力を低減するため、該離型剤分子を該テンプレート表面に塗布して、該離型剤分子により表面自由エネルギーを低減するメカニズムを利用して、該テンプレートと該ポリマーレジストとが分離する時の付着力問題を解消できる。
【0003】
既存の常用された離型剤は、弗化物を含むシロキサン類化合物であり、このような離型剤が、ナノ転写技術の材料として利用できるが、該弗化物を含むシロキサン類化合物のカップリング剤(silane−coupling agent)は、使用過程において、共重合反応が発生して微細粒が生成され、また、これらの微細粒が、該テンプレートの表面に堆積するため、高さが不均一になり、そのため、その後の転写効果が良くなくなる。
【0004】
また、該弗化物を含むシロキサン類化合物により、該テンプレート表面に自ら薄膜を形成することに、影響要素が多く、例えば、温度や水分含量、溶剤特性及びカップリング剤濃度等があり、これらの要素による変化は、今まで、明白に了解されていない。また、該弗化物を含むシロキサンモノマーの価額が高くて、保存も容易ではないため、一般の従来のものは、ユーザーに満足できなく、実用とは言えない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、ベンゾオキサジン誘導体モノマーを、熱加硫反応させて、形成したポリベンゾオキサジン誘導体を離型剤として、該離型剤をりよして、テンプレートの表面エネルギーを低減することにより、ポリマーレジスト表面に良い転写パタンが得られるナノ転写に利用される低表面エネルギー材料を提供する。
【0006】
本発明の他の目的は、工程安定性が高くて、材料製造が容易で、原料コストが安い、また、使用過程において、微細粒汚染を生成しない等の利点が得られるナノ転写に利用される低表面エネルギー材料を提供する。
【0007】
本発明の更の他の目的は、該ポリベンゾオキサジン誘導体は、同時に両種類以上のベンゾオキサジン誘導体モノマーを使用して架橋結合反応をさせることにより合成されるナノ転写に利用される低表面エネルギー材料を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の目的を達成するため、ベンゾオキサジン誘導体モノマーを利用して、テンプレート表面に熱加硫反応をさせて、離型剤とするポリベンゾオキサジン誘導体薄膜を形成し、該離型剤分子により、表面自由エネルギーを低減するメカニズムにより、該テンプレートとポリマーレジストとが分離する時の付着力問題を解消し、また、良い転写パタンが得られ、そして、該ベンゾオキサジン誘導体モノマーが、完全に溶剤に溶けるため、微細粒を生成する問題を防止でき、また、該ベンゾオキサジン誘導体が、反応過程において、副産物を生成しないため、有効に、汚染を低減するナノ転写に利用される低表面エネルギー材料である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1〜6は、それぞれ、本発明の製造流れの概念図と本発明のシリコンウエハ構造の概念図、本発明のポリマーレジストを塗布する時の構造概念図、本発明のケース型に離型剤を塗布する時の構造概念図、本発明の刻印する時の構造の概念図及び本発明の転写する時の構造の概念図である。図のように、本発明は、少なくとも、次の工程を含有するナノ転写に利用される低表面エネルギー材料である。
【0010】
(A)テンプレート(template)11を選択する工程であり、図2のように、テンプレート21を選択して、該テンプレート21に、電子ビームリソグラフィー方法により、異なる線幅と形状を有するナノ構造パタンを形成し、また、該テンプレートが、ガラス(SiO)やウエハ(wafer)である。
【0011】
(B)離型剤12をスピンコーティングする工程であり、図3のように、スピンコーティングにより、ベンゾオキサジン誘導体モノマー(benzoxazine)を、均一に該テンプレート21表面に塗布した後、200°Cに加熱されたディジタル加熱板bに、1時間に放置することにより架橋結合反応をさせ、これにより、該テンプレートに、離型剤22とする低表面エネルギーポリベンゾオキサジン誘導体(polybenzoxazine)薄膜が形成され、また、該ポリベンゾオキサジン誘導体の薄膜が、10ナノ(nm)以下である。
【0012】
(C)更に、基材を用意して、ポリマーレジスト(Polymer resist)13をスピンコーティングするこていであり、図4のように、更に、基板23として、シリコンウエハ(Silicon wafer)を用意し、また、該基板23に、ポリマーレジスト24をスピンコーティングする。
【0013】
(D)刻印14する工程であり、図5のように、該テンプレート21を、該ポリマーレジスト24を有する基板23に刻印し、また、該基板に刻印した後、さらに、反応性イオンエッチング(reactive ionic etching、 RIE)により、余剰のポリマーレジストを除去する。
【0014】
(E)良い転写パタン15が得られる工程であり、図6のように、該ポリマーレジスト24表面に、良い転写パタンが得られる。
【0015】
本発明は、利用する時、該ポリベンゾオキサジン誘導体を、該テンプレート21の離型剤22とし、該ポリベンゾオキサジン誘導体が、ヒートセットの架橋結合高分子であり、液滴接触角法により、該テンプレート21の表面エネルギーを測定することにより、本発明に係わる離型剤22は、テフロン(登録商標)より低い表面エネルギーと良い接着性が得られるため、パッケージ材料とすることができ、その低い表面エネルギー特性を利用して、転写過程がスムーズに行われる。
【0016】
また、該テンプレート21と該ポリマーレジスト24とが分離する時の付着力を低減するため、本発明は、該ベンゾオキサジン誘導体モノマーを利用し、該テンプレート21表面において、架橋結合を反応させて、離型剤22とするポリベンゾオキサジン誘導体薄膜を形成する。該ポリベンゾオキサジン誘導体と該テンプレート21の接触面との間に強い付着力があり、また、該ポリベンゾオキサジン誘導体の空気に接触した表面に、架橋結合過程において、分子構造が改めて配列されるため、強大の分子内作用力により、表面エネルギーが大幅に低減され、そのため、該テンプレート21と該ポリマーレジスト24とが分離する時の付着力問題を解消でき、これにより、良い離型特性が得られ、ナノ転写技術において、テンプレートとポリマーレジストとが粘着する問題を解消する。
【0017】
また、該ベンゾオキサジン誘導体モノマーが、完全に溶剤に溶けるため、微細粒を生成する問題を防止でき、また、反応過程において、該ベンゾオキサジン誘導体が、副産物を生成しないため、汚染を低減でき、そのため、本発明は、工程安定性が高く、材料製造が容易で、原料コストが安い利点が得られる。
【0018】
図10〜12は、それぞれ、本発明の147ナノ転写の概念図と本発明の648ナノ転写の概念図及び本発明の140ナノ転写の概念図である。図のように、表面処理済みのテンプレートに対して、ナノ転写工程を行うと、転写結果から分かるように、離型剤を使用した実施例は、該離型剤を使用しないナノ転写工程(図13〜15を参照しながら)と比較すると、より良い転写結果が得られる。
【0019】
図7〜9は、それぞれ、本発明の単官能基である重合ポリベンゾオキサジン誘導体の構造概念図と本発明の二官能基である重合ポリベンゾオキサジン誘導体の構造概念図及び本発明のベンゾオキサジン誘導体モノマーを合成する時の構造概念図である。図のように、本発明のポリベンゾオキサジン誘導体が、少なくとも、1種類のベンゾオキサジン誘導体モノマーを開環重合させることにより形成され、また、該ベンゾオキサジン誘導体のモノマーが、化学構造が化1である単官能基であり、
【化1】

或いは、その化学構造が化2である二官能基である。
【化2】

また、本発明の重合ポリベンゾオキサジン誘導体は、同時に、2種類以上のベンゾオキサジン誘導体モノマーを利用して架橋結合反応をさせることにより形成されても良い。
【0020】
上記の単官能基であるモノマーは、複数種類のモノフェノール化合物とホルムアルデヒド及び第一級アミンが反応することにより合成され、また、該二官能基であるモノマーは、複数種類のビスフェノール化合物とホルムアルデヒド及び第一級アミンが反応することにより合成されるか、双第一級アミン化合物とモノフェノール化合物及びホルムアルデヒドが反応することにより合成される。
【0021】
上記のように、本発明は、ナノ転写に利用される低表面エネルギー材料であり、有効的に従来の諸欠点を改善でき、ベンゾオキサジン誘導体モノマーを熱加硫反応させて形成したポリベンゾオキサジン誘導体を離型剤とし、該離型剤分子が表面自由エネルギーを低減するメカニズムにより、テンプレートとポリマーレジストとが分離する時の付着力問題が解消され、また、良い転写パタンが得られる
【0022】
本考案は、より進歩的かつより実用的で、法に従って実用新案登録請求を出願する。
【0023】
以上は、ただ、本考案のより良い実施例であり、本考案は、それによって制限されることが無く、本考案に係わる実用新案登録請求の範囲や明細書の内容に基づいて行った等価の変更や修正は、全てが、本考案の実用新案登録請求の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の製造流れの概念図
【図2】本発明のシリコンウエハの構造概念図
【図3】本発明のポリマーレジストを塗布する時の構造概念図
【図4】本発明のケース型に離型剤を塗布する時の構造概念図
【図5】本発明の刻印する時の構造概念図
【図6】本発明の転写する時の構造概念図
【図7】本発明の単官能基である重合ポリベンゾオキサジン誘導体の構造概念図
【図8】本発明の二官能基である重合ポリベンゾオキサジン誘導体の構造概念図
【図9】本発明のベンゾオキサジン誘導体モノマーを合成する時のの構造概念図
【図10】本発明の147ナノ転写の概念図
【図11】本発明の648ナノ転写の概念図
【図12】本発明の140ナノ転写の概念図
【図13】従来の147ナノ転写の概念図
【図14】従来の648ナノ転写の概念図
【図15】従来の140ナノ転写の概念図
【符号の説明】
【0025】
11、12、13、14、15 工程
21 テンプレート
22 離型剤
23 基板
24 ポリマーレジスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、次の
(A)テンプレート(template)を選択し、
(B)スピンコーティングにより、離型剤を均一に該テンプレートの表面に塗布し
(C)更に基板を用意し、該基板に、スピンコーティングにより、ポリマーレジスト(Polymer resist)を塗布し、
(D)該テンプレートを、該ポリマーレジストを有する基板に、刻印し、
(E)該ポリマーレジストの表面に、優れた転写パタンが得られる、
のような工程が含有される、
ことを特徴とするナノ転写に利用される低表面エネルギー材料。
【請求項2】
該離型剤は、低表面エネルギーのポリベンゾオキサジン誘導体(polybenzoxazine)であることを特徴とする請求項1に記載のナノ転写に利用される低表面エネルギー材料。
【請求項3】
該ポリベンゾオキサジン誘導体は、ベンゾオキサジン誘導体(benzoxazine)モノマーを、200°Cまで、1時間に加熱して、熱加硫を反応させることにより形成されることを特徴とする請求項2に記載のナノ転写に利用される低表面エネルギー材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−247928(P2008−247928A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87031(P2007−87031)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(507102322)財団法人國家實驗研究院 (2)
【Fターム(参考)】