説明

ナメクジ、カタツムリ、及び昆虫用の耐候性顆粒状餌

本発明は、陸生軟体動物、具体的には、ナメクジ及びカタツムリに対して誘因的でありかつそれらが食するように計画されたホウ酸塩含有薬剤を含む物理的及び化学的配合物に関する。かかる配合物は、昆虫に対しても誘因的かつ毒性があってもよい。本発明は、食すると同時また一定の遅延後に、そのような有害生物を殺し、そうすることにより、処理する土地又は環境から有害生物を除去するように計画されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本出願は、すべての国の指定についての出願人である米国企業ニサス・コーポレーション(Nisus Corporation)、そして米国のみの指定についての出願人でありいずれも米国国民であるジェフリー・ダグラス・ロイド及びジャネット・キンツ−アーリーの名のもとに、PCT国際特許出願として2005年8月26日付けで出願されたものであり、2004年8月27日付けで出願された米国実用新案出願第10/928,510に対する優先権を主張する。
【0002】
発明の背景
ナメクジやカタツムリなどの陸生軟体動物は、花、野菜及び一部の樹木や低木をはじめとする植物に広範囲に損害を与え得る草食動物である。陸生軟体動物は損害を与え得るだけでなく、それらを根絶するために設計された現存する餌は、多くの場合、有意な限界がある。例えば、それらの餌は、多くの場合恒常的に湿気が多いか又はしばしば湿気のある軟体動物の自然環境において、必ずしもうまく機能するとは限らない。また、現存する餌は、時として、そのような環境下においてそれらの物質的な完全性を失うか、あるいは、湿気、日光、又はその両方に長時間曝露されるとそれらの効力を失ってしまう。
【0003】
更に、多くのナメクジやカタツムリは、害を与える昆虫も存在する環境中に生存している。これらの昆虫は駆除することが望ましいが、無差別に目標外の昆虫を殺してしまう、又は、施用後にごく短時間しか作用しない接触による殺虫剤を使用することなく、これらの昆虫を根絶することが好ましい場合が多い。ナメクジやカタツムリを駆除する方法は、昆虫個体群を駆除するためにも使用できるものであることが望ましい。
【0004】
更なる難題は、現在使用されている一部のナメクジやカタツムリの餌が、適正な濃度の適切な誘引物質を含まないか、物理的に、軟体動物による消費を促進しかつ特に軟体動物と昆虫の両方による消費を促進しない様式で形成されていないことから、特に軟体動物による消費に向けて適切に配合されていないことである。
【0005】
したがって、陸生軟体動物を駆除するための改良された配合物であって、特に目標の害虫個体群を駆除するためにも使用することができる配合物に対する必要性が存在する。また、すべてのそのような配合物は、有害生物防除用物質としての物質的完全性又は効力を過度に失うことなく、湿気の多い環境における使用に対して充分に適合されていることが望ましい。最終的には、かかる組成物は、陸生動物と昆虫の両方に対して高度に誘引的であるように配合すべきである。
【0006】
発明の要旨
本発明は、陸生軟体動物、特にナメクジ及びカタツムリに対して誘因的でありかつこれらが食するように設計された物理的・化学的配合物に向けられている。また、かかる配合物は、害虫に対して誘因的でありかつこれらにより消費されてもよい。本発明は、食したときに、一定の遅延の後、そのような有害生物を殺すように設計されている。
【0007】
本発明の有害生物防除用組成物の物理的・化学的配合物には、害虫、多くの一般的な節足動物の害虫、及びまたナメクジやカタツムリに対して幅広い領域で作用する餌が含まれる。かかる配合物は、すぐれた耐候能力と繰返し施用した場合に永続する保護とを提供する。本発明の化学的・物理的配合物は、一定の実施において、ナメクジやカタツムリに対して高度に有効であるとともに、紫外線に対する耐性、水に対する耐性、及び酸化や加水分解に対する耐性を示す。
【0008】
第一の側面において、本発明は、節足動物(昆虫を含む)及び陸生軟体動物に対して活性のある有害生物防除用組成物に向けられている。かかる組成物は、昆虫及び軟体動物の両方に対して毒性があるが、昆虫及び軟体動物の両方に対して実質的に非忌避的であるホウ酸塩含有薬剤を含む。また、典型的には、かかる組成物には、担体母材が含まれる。担体母材は、ホウ酸塩含有薬剤と、誘引物質として使用される炭水化物(糖類を含む)、タンパク質、又は脂肪(あるいはこれらの成分を含有する自然食品材料−例えば、穀物、乾燥した野菜又は果実又は木の実)などの、本組成物中に含まれる他の物質とを互いに結合する役割を果たす。ホウ酸塩活性試薬は、例えば、ホウ酸を含む。ホウ酸は、組成物の全乾燥重量に基づいて、有害生物防除用組成物の0.1〜10パーセントであってもよい。ホウ酸の量は、有害生物防除用組成物の全乾燥重量に基づいて、一部の態様においては20パーセント未満、更に、一定の態様においては10パーセント未満であることができる。一般に、ホウ酸などのホウ酸塩活性試薬は、有害生物防除用組成物の全乾燥重量に基づいて、有害生物防除用組成物の少なくとも1パーセントである。
【0009】
有害生物防除用配合物の活性試薬は、典型的には、とうもろこしの穂軸や木の実の殻や野菜由来の粗挽き粉などの有機材料を含有する担体母材とブレンドされる。一部の態様においては、担体母材は、陸生軟体動物に対して栄養価を有する有機材料を含む。陸生軟体動物に対して栄養価を有する適する有機材料としては、油、糖類、果実抽出物、野菜抽出物、タンパク質、及びこれらの組み合わせが挙げられる。また、これらの成分を含有する自然食品材料−例えば、穀物、乾燥した野菜又は果実又は木の実−も誘引物質として使用することができる。
【0010】
許容可能な例としての具体的な配合物は、少なくとも約50パーセントの有機担体(より望ましくは少なくとも約60〜90パーセントの有機担体)と;少なくとも約5パーセントの油(より望ましくは約10〜20パーセントの油)と;少なくとも約5パーセントの糖などの炭水化物(多くの場合は約5〜20パーセントの糖)と;少なくとも約2パーセントであるが望ましくは約15パーセント未満のホウ酸塩含有組成物を含有する。ホウ酸塩含有組成物は、好ましくは、ホウ酸又はホウ砂である。
【0011】
本発明の範囲内において使用することができる配合物の具体的な例は、およそ70パーセントのとうもろこし穂軸材と;およそ10パーセントの糖と;およそ5パーセントのホウ酸を含有する。ここで、すべてのパーセントは、有害生物防除用組成物の乾燥重量に基づいている。
【0012】
本発明にしたがって調製された独特な配合物は、湿気の多い環境をはじめとする、陸生軟体動物が繁殖する環境条件下で、一般的には、耐久性を有する。したがって、有害生物防除用組成物は、望ましくは、1週間又はそれより長い期間天候(降雨、紫外線、熱、空気による酸化や加水分解、及び浸出)に曝露された後でその物質的完全性を保持する。同様に、有害生物防除用組成物は、多くの環境下で長期間、例えば1ヶ月間、天候(降雨、紫外線、熱、空気による酸化や加水分解、及び浸出)に曝露された後で、その効力を実質的に保持する。典型的には、有害生物防除用組成物は、温帯気候における標準的な外部天候条件下において、1ヶ月又はそれより長い期間有効である。そのような気候としては、例えば、その期間の蓄積降雨量がおよそ4インチ(10.2cm)であり、温度が華氏約40〜100°(摂氏約4.4〜37.8°)であるような気候が挙げられる。
【0013】
図面
本発明を以下の図面にしたがって更に説明する:
図1は、陸生軟体動物を根絶するために本発明にしたがって調製した組成物の効力を示す図である。
【0014】
図2は、陸生軟体動物を根絶するために本発明にしたがって調製した組成物の効力を示す第2の図である。
図3は、陸生軟体動物を根絶するために本発明にしたがって調製した組成物の効力を示す第3の図である。
【0015】
図4は、陸生軟体動物を根絶するために本発明にしたがって調製した組成物の耐候性を示す図である。
図5は、陸生軟体動物を根絶するために本発明にしたがって調製した組成物の耐候性を示す第2の図である。
【0016】
本発明の具体的な説明
本発明は、陸生軟体動物、具体的には、ナメクジやカタツムリに対して誘因的でありかつこれらが食するように設計された物理的・化学的配合物に向けられている。また、かかる配合物は、昆虫に対しても誘因的でありかつ毒性があってもよい。本発明は、食すると同時また一定の遅延後に、そのような有害生物を殺し、そうすることにより、処理する土地又は環境から有害生物を除去するように計画されている。本発明の有害生物防除用配合物には、典型的に、カタツムリやナメクジならびに一般的な害虫に対して幅広い領域で作用する顆粒状の餌が含まれる。また、かかる配合物はすぐれた耐候性を提供し、その耐候性により本配合物は、湿気の多い環境やそうした環境に曝露される場所において使用するために充分に適応している。カタツムリやナメクジが最もよくみられる棲息環境は比較的湿気があり、高い湿度を有することから、かかる耐候性の特性は、必須ではないが、非常に望ましい。
【0017】
第一の側面において、本発明は、昆虫及び軟体動物の両方に対して毒性があるが、昆虫及び軟体動物の両方に対して実質的に非忌避的でない、ホウ酸塩含有薬剤を含む有害生物防除用組成物に向けられている。また、かかる組成物には、担体母材が含まれる。担体母材は、ホウ酸塩含有薬剤と、誘引物質として使用される炭水化物、タンパク質、又は脂肪などの、本組成物中に含まれる他の物質とを互いに結合する役割を果たす。
【0018】
本発明にしたがって調製された独特な配合物は、湿気の多い環境をはじめとする、陸生軟体動物が繁殖する環境条件下で、一般的には、耐久性を有する。したがって、有害生物防除用組成物は、望ましくは、少なくとも1週間天候(降雨、紫外線、熱、空気による酸化や加水分解、及び浸出)に曝露された後でその物質的完全性を保持する。同様に、有害生物防除用組成物は、多くの環境下で1ヶ月間天候(降雨、紫外線、熱、空気による酸化や加水分解、及び浸出)に曝露された後で、その効力を実質的に保持する。かかる組成物は種々の形態で施されるが、様々な粒径の顆粒状の形態で有害生物に対して施して、一定の大きさ及び種類のナメクジ・カタツムリ・昆虫が容易に摂取できるようにすることが有利である。
【0019】
ここで本発明の付加的な側面を以下により詳細に説明する:
活性試薬
本発明の有害生物防除用組成物には、典型的には、ホウ酸塩含有活性試薬が含まれる。このホウ酸塩含有活性試薬は、例えば、ホウ酸及び/又はホウ砂を含む。一般的に、ホウ酸などのホウ酸塩活性試薬は、有害生物防除用組成物の全乾燥重量に基づいて、有害生物防除用組成物の少なくとも1パーセントである。一部の実施において、ホウ酸は、有害生物防除用組成物の全乾燥重量に基づいて、有害生物防除用組成物の0.1〜10パーセントであってもよい。ホウ酸の量は、有害生物防除用組成物の全乾燥重量に基づいて、一部の態様においては20パーセント未満であることができ、一定の態様においては10パーセント未満であることができる。
【0020】
母材材料
有害生物防除用配合物のホウ酸塩含有活性試薬は、典型的には、とうもろこしの穂軸、又は、殻(shells)、外皮(hulls)、さや(husks)若しくは粗挽き粉などの植物由来の材料、などの有機材料を含有する担体母材とブレンドする。穀物、米、乾燥した果実又は野菜又は木の実又は抽出物などの、不活性で栄養価のある他の有機物を使用することができる。一部の態様においては、担体母材は、陸生軟体動物に対して栄養価を有する有機材料を含む。陸生軟体動物に対して栄養価を有する適する有機材料としては、油、糖類、果実抽出物、野菜抽出物、タンパク質、及びこれらの組み合わせ(又はこれらの成分を含有する自然食品材料−例えば、穀物、乾燥した野菜又は果実又は木の実、あるいは加工された廃棄食品材料)が挙げられる。
【0021】
配合物の例
本発明にしたがって種々の配合物を調製することができる。許容され得る具体的な配合物は、少なくとも約50パーセントの有機担体、より具体的には、少なくとも約60〜90パーセントの担体;少なくとも約5パーセントの油、より望ましくは、約10〜20パーセントの油;少なくとも約5パーセントの糖類などの炭水化物、多くの場合は、約5〜20パーセントの糖;及び少なくとも約2パーセントであるが、望ましくは約15パーセント未満のホウ酸塩含有組成物を含有する。ホウ酸塩含有組成物は、好ましくは、ホウ酸又はホウ砂である。
【0022】
本発明のために使用することができる材料の具体的な例は、およそ70パーセントのとうもろこし穂軸材と;およそ15パーセントのとうもろこし油と;およそ10パーセントの糖と;およそ5パーセントのホウ酸を含有する。ここで、すべてのパーセントは、有害生物防除用組成物の乾燥重量に基づいている。
【0023】
諸成分は、生成の間に、本質的に乾燥したプロセスにおいて一緒にブレンドし、それにより、これら成分を完全に組み合せて、外界の状況において長期間また降雨の間に機能することができる特定の大きさの顆粒を生成する。本発明の具体的な実施においては、粉糖をホウ酸及び粉にしたとうもろこしの穂軸と混合する。次いで、とうもろこし油を添加し、およそ20〜25分間混合を続けて、ナメクジやカタツムリの防除のために充分に適合させた顆粒状の組成物を生成する。別の態様では、バインダー(例えば、水を伴なった寒天、ゼラチン、小麦粉、コーンミール等)とともに湿潤プロセスを使用して、成型された固体形態を生成することができる。この固体形態は、顆粒へと砕かれる。
【0024】
一部の態様においては、種々の標的有害生物に対するより広範囲の魅力を餌に与えるために、2種の誘引物質又は食物源を餌とともに使用する。2種の誘引物質(とうもろこし油及び精製糖など)を使用することにより、相乗効果的な性能が与えられる。別々に試験したこれらの成分は、すべての標的有害生物に対して良好な誘引物質であるとは限らないことが知られている。本発明においてこれら2種の誘引物質に加えて、タンパク質源(例えば、酵母エキス、大豆、アルブミンなど)や付加的な炭水化物源(例えば、小麦、とうもろこし、エンバク、米若しくはジャガイモの粉、又は麦芽エキス、乾燥した果実、木の実若しくは野菜など)を更に添加することは、本発明から除外されない。
【0025】
好ましい顆粒の大きさは、#14メッシュ〜#100メッシュの範囲内である。この範囲に分布している粒径は、ゴキブリ、シミ、コオロギ、カタツムリ、ナメクジ、ならびに、ヒアリ(fire ant)、アルゼンチンアリ、オドラス・ハウス・アント(odorous house ant)、オオアリ(carpenter ant)及びペイヴメント・アント(pavement ant)をはじめとする非常に多くのアリ種などの、多くの異なる有害生物種と大きさの範囲について、充分な採餌の機会を提供することが分かっている。軟体動物駆除剤成分(殺虫剤成分ではなく)の配合物を使用する場合は、効果の持続を改良するために、顆粒よりも大きいペレットが好ましい(例えば、1−5mm×3−10mm)。
【0026】
そのうえ、殺虫剤としてホウ酸塩を使用する主要な利点(対象範囲が広い、相対的コストが低い、哺乳類に対する急性の毒性が低い、そして環境への影響が小さい)が保持される。したがって、このことは、一般的な昆虫、節足動物、及び陸生軟体動物の有害生物の防除において、現存する技術に対して重大な利点を示す。この発見により、ホウ酸塩軟体動物駆除剤及び殺虫剤の利益を組込んだ、長期間有効で、スペクトルが広く、融通の利く防除ストラテジを必要としている住宅所有者達及び有害生物処理の専門家達に対して、直接の利益を提供することができる。
【0027】
効力
以下の試験を行い、カタツムリ及びナメクジを根絶させることに関して、本発明にしたがって調製した配合物の効力を確認した。カタツムリ及びナメクジは、テネシー州ノックス・カントリーの野外から集めた。検討の初めに、カタツムリ、ナメクジ、及び水を浸したコットン・パッドを、使い捨てのプラスチック製容器に入れた。カタツムリ0〜1匹とナメクジ2〜3匹からなる全部で3又は4匹のカタツムリ及びナメクジを9つの739ml使い捨てプラスチック製容器のそれぞれに入れた。また、濡れたコットンと1.6gmの顆粒状の餌処理剤を保持する8cmの使い捨てペトリ皿もそれぞれの容器に入れた。顆粒状の餌処理剤は、担体材料及び誘引物質でホウ酸塩活性薬剤を含まないもの、担体材料及び誘引物質でホウ酸活性試薬を含むもの、それに加えて、担体材料、誘引物質、及びリン酸鉄(業界標準の軟体動物駆除剤)を加えたホウ酸活性薬剤、からなるものであった。組成物をリン酸鉄とともに、又は、まったく殺虫剤なしで配合すると、不活性試薬の割合はそれに応じて高くなった。
【0028】
この検討の結果を図1、2及び3に示す。図1は、1.6グラムの顆粒状餌処理剤に11日間曝露した後で観察された生存しているカタツムリの平均数を示している。第一の組成物は、食物誘引物質のみを含む対照を含有し、第二の組成物は、1パーセントのFePO、第三の組成物は、5パーセントのHBOを含有していた。図2は、1.6グラムの顆粒状餌処理剤に7日間曝露した後で観察された生存しているナメクジの平均数を示している。第一の組成物は、食物誘引物質のみを含む対照を含有し、第二の組成物は、1パーセントのFePO、第三の組成物は、5パーセントのHBOを含有していた。図3は、1.6グラムの顆粒状餌処理剤に7日間曝露した後で観察された生存しているカタツムリ及びナメクジの平均数を示している。第一の組成物は、食物誘引物質のみを含む対照を含有し、第二の組成物は、1パーセントのFePO、第三の組成物は、5パーセントのHBOを含有していた。
【0029】
これらの結果は、ホウ酸がリン酸鉄や対照よりも、カタツムリやナメクジを殺すことに関して有効であったことを示している。11日目には、生存しているナメクジ及びカタツムリの平均数はそれぞれ0及び0.3であった。7日目までに、対照の餌とリン酸鉄の餌はかびだらけになったが、ホウ酸の餌はそうならなかった。また、発行された研究も、カタツムリ及びナメクジの餌は短時間でかびだらけになることを示している。Hata, T. Y., A. H. Hara, and B. K. S. Hu. 1997, Molluscicides and mechanical barriers against slugs, Vaginula plebeian Fischer and Veronicella cubensis (Pfeiffer) (Stylommatophora: Veronicellidae). Crop-prot.16(6): 501-506. また、ホウ酸塩により、この検討の継続時間にわたり餌にかびが生えるのが防止されたことが発見され、このことは本発明の付加的な利益と考えられる。この評価により、ホウ酸は軟体動物駆除剤の特性を有していること、そして、提案された組成物はカタツムリ及びナメクジに対して有効な誘引物質であることが分かった。また、ホウ酸を含有するカタツムリ及びナメクジの餌は、その殺菌特性のために、利用可能な他のカタツムリ及びナメクジの餌よりも、有効でありより長く持続するであろう。
【0030】
耐候試験研究
本発明にしたがって調製し、耐候性をもたせた顆粒状の餌を、曝露された外界の状況において1月の期間試験して、カタツムリ及びナメクジの環境に典型的な天候条件に耐えるための能力を測定した。餌中の活性試薬濃度を測定して、曝露した期間にわたって記録した降雨量ならびに曝露経過時間に対してプロットした。
【0031】
この耐候性試験において使用した顆粒状餌は、活性試薬として約5%のホウ酸と、脂質及び炭水化物の両方の誘引物質の組み合せを含有していた。この検討の目的は、外界への曝露による活性試薬の損失割合を測定することにより、この方法の有効性と、生成物の性能の持続性を決定することであった。各々100グラムの顆粒状の餌生成物を含有する3つの開放ステーションと、穴のあいた基部を、屋外の3つの異なる開放的な位置に置いた。規則的な間隔で各ステーションから試料を採取し、レインゲージを用いて全降雨量を記録した。これを約1月、全体で6インチより多い降水が顆粒状の餌を通過するまで、継続した。
【0032】
曝露に続いて、試料を摂氏35°にて一晩オーブン乾燥した。次いで、各試料5グラムを採取し、丸底フラスコ中で245グラムの水中に入れた。これにより、希釈因子50が与えられる。このフラスコを凝縮器に接続し、30分間還流して、すべての利用可能なホウ酸塩を可溶化した。次いで、熱源を取り除き、凝縮器の頂部で小さいビーカーを逆さにした状態でフラスコを冷やした。冷やしたら、フラスコの内容物をワットマン541ペーパーを用いて濾過し、濾液について、標準的なマンニトール滴定を用いて、ホウ酸含量を分析した。抽出液の適当なアリコートを採取し、秤量した(W)。希塩酸を添加して、pHを3又は4まで下げ、次いで、pHが5.8に到達するまで0.05M水酸化ナトリウムを添加し、ビュレットの示数を記録した。次いで、過剰なマンニトール(15グラム)をフラスコに添加し、0.05M水酸化ナトリウムを用いてこれを逆滴定し、再びビュレットの示数を記録した。次いで、%ホウ酸当量(BAE)としてのホウ酸塩の濃度を以下の計算を用いて決定した。
【0033】
(%BAE=滴定量/W×N×6.1823)×50(希釈因子)
式中、滴定量(使用したNaOHの全容量)=R1−R2
分析結果を降雨量に対して表1及び図4に、時間に対して表2及び図5に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
これらの結果から、顆粒状の餌中のホウ酸は降雨量の増加に伴ないゆっくりと失われることが観察できる。様々な昆虫に関する効力についての種々の検討の参照から、ホウ酸は0.5%未満の保持が有効であることが知られている。試料を完全に通過して浸透しない少量の降雨は、餌のホウ酸含量に有意に影響を与えないようであるが、これはおそらく、試料が単に濡れて、次いで再び乾燥させた場合と同じであろう。しかし、少なくとも2インチ(5.08cm)の激しい豪雨は、有意にホウ酸含量を低減させる。これはおそらく、自由な流水が餌を通過するときに起こり、ホウ酸を可溶化させ、また除去するのであろう。
【0037】
降雨量ではなく時間に対してプロットした同じ保持データのグラフ(図5)から、空気や日光に対する単純な曝露はホウ酸塩の損失とは相関がないことが分かる。
この検討により、活性試薬は降雨量の増加に伴ないゆっくり損失したこと、また、殆どの損失は、短時間での激しい豪雨により起こったことが分かった。得られた結果から、本発明の顆粒状の餌は、4インチ(10.2cm)の降雨量までに匹敵する期間、効力と性能を保持すると結論した。しかし、任意の期間で連続的な2インチ(5.08cm)の降雨後、4インチ(10.2cm)の全降雨量後、3ヶ月後には、これらのどれが初めに発生したとても、顆粒状の餌の再施用を実施することが推奨される。
【0038】
この研究から、顆粒状の餌の性能は、降雨がなければ長期間、また、4インチ(10.2cm)の蓄積降雨量まで、維持されるであろうと結論することができる。したがって、任意の期間で連続的な2インチ(5.08cm)の降雨後、4インチ(10.2cm)の全降雨量後、3ヶ月後には、これらのどれが初めに発生したとても、顆粒状の餌の再施用を実施することが推奨される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、陸生軟体動物を根絶するために本発明にしたがって調製した組成物の効力を示す図である。
【図2】図2は、陸生軟体動物を根絶するために本発明にしたがって調製した組成物の効力を示す第2の図である。
【図3】図3は、陸生軟体動物を根絶するために本発明にしたがって調製した組成物の効力を示す第3の図である。
【図4】図4は、陸生軟体動物を根絶するために本発明にしたがって調製した組成物の耐候性を示す図である。
【図5】図5は、陸生軟体動物を根絶するために本発明にしたがって調製した組成物の耐候性を示す第2の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
摂取したときに軟体動物に対して毒性があるホウ酸塩含有薬剤を含む、陸生軟体動物を駆除するための有害生物防除用組成物。
【請求項2】
ホウ酸塩含有活性試薬が、ホウ酸、アルカリ金属ホウ酸塩、アルカリ土類金属ホウ酸塩、アルカリ金属/アルカリ土類金属混合ホウ酸塩、金属ホウ酸塩、非金属ホウ酸塩、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1記載の有害生物防除用組成物。
【請求項3】
アルカリ金属ホウ酸塩が、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項2記載の有害生物防除用組成物。
【請求項4】
アルカリ金属ホウ酸塩が、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸バリウム、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項2記載の有害生物防除用組成物。
【請求項5】
アルカリ金属/アルカリ土類金属混合ホウ酸塩が、ホウ酸ナトリウムマグネシウムを含む、請求項2記載の有害生物防除用組成物。
【請求項6】
金属ホウ酸塩が、ホウ酸亜鉛、ホウ酸銅、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項2記載の有害生物防除用組成物。
【請求項7】
非金属ホウ酸塩が、ホウケイ酸塩を含む、請求項2記載の有害生物防除用組成物。
【請求項8】
ホウ酸ナトリウムが、ホウ砂、五ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項3記載の有害生物防除用組成物。
【請求項9】
ホウ酸カルシウムが、コルマナイト、ウレキサイト、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項4記載の有害生物防除用組成物。
【請求項10】
ホウ酸が、有害生物防除用組成物の全乾燥重量に基づいて、該有害生物防除用組成物の0.1〜10パーセントである、請求項2記載の有害生物防除用組成物。
【請求項11】
ホウ酸が、有害生物防除用組成物の全乾燥重量に基づいて、該有害生物防除用組成物の10パーセント未満である、請求項2記載の有害生物防除用組成物。
【請求項12】
ホウ酸が、有害生物防除用組成物の全乾燥重量に基づいて、該有害生物防除用組成物の20パーセント未満である、請求項2記載の有害生物防除用組成物。
【請求項13】
ホウ酸が、有害生物防除用組成物の全乾燥重量に基づいて、該有害生物防除用組成物の少なくとも0.1パーセントである、請求項2記載の有害生物防除用組成物。
【請求項14】
担体母材が、有機材料を含む、請求項1記載の有害生物防除用組成物。
【請求項15】
担体母材が、とうもろこし粉末を含む、請求項1記載の有害生物防除用組成物。
【請求項16】
担体母材が、陸生軟体動物に対して栄養価を有する有機材料を含む、請求項1記載の有害生物防除用組成物。
【請求項17】
陸生軟体動物に対して栄養価を有する有機材料が、油、炭水化物、植物性抽出物、タンパク質、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項16記載の有害生物防除用組成物。
【請求項18】
陸生軟体動物を駆除するための有害生物防除用組成物であって:
少なくとも50パーセントの有機担体;
少なくとも5パーセントの油;
少なくとも5パーセントの炭水化物;
少なくとも2パーセントのホウ酸塩含有組成物
を含む前記有害生物防除用組成物。
【請求項19】
ホウ酸塩含有組成物が、ホウ酸又はホウ砂を含む、請求項18記載の有害生物防除用組成物。
【請求項20】
有害生物防除用組成物が、60〜90パーセントの有機担体を含む、請求項18記載の有害生物防除用組成物。
【請求項21】
有害生物防除用組成物が、10〜20パーセントの油を含む、請求項18記載の有害生物防除用組成物。
【請求項22】
有害生物防除用組成物が、5〜20パーセントの糖を含む、請求項18記載の有害生物防除用組成物。
【請求項23】
有害生物防除用組成物が、15パーセントまでのホウ酸塩含有組成物を含む、請求項18記載の有害生物防除用組成物。
【請求項24】
有害生物防除用組成物が:
約70パーセントのとうもろこし穂軸材;
約15パーセントのとうもろこし油;
約10パーセントの糖;及び
約5パーセントのホウ酸
を含み、ここで、すべてのパーセントが該有害生物防除用組成物の乾燥重量に基づいている、請求項18記載の有害生物防除用組成物。
【請求項25】
有害生物防除用組成物が、1週間天候に曝露された後でその完全性を実質的に保持する、請求項18記載の有害生物防除用組成物。
【請求項26】
有害生物防除用組成物が、1ヶ月間天候に曝露された後でその効力を実質的に保持する、請求項18記載の有害生物防除用組成物。
【請求項27】
組成物が、顆粒状の形態で有害生物に与えられる、請求項18記載の有害生物防除用組成物。
【請求項28】
組成物が、ペーストの形態で有害生物に与えられる、請求項18記載の有害生物防除用組成物。
【請求項29】
組成物が、ペレットの形態で有害生物に与えられる、請求項18記載の有害生物防除用組成物。
【請求項30】
組成物が、固体ブロックの形態で有害生物に与えられる、請求項18記載の有害生物防除用組成物。
【請求項31】
陸生軟体動物を駆除する方法であって、
少なくとも約50パーセントの有機担体;
少なくとも約5パーセントの油;
少なくとも約5パーセントの炭水化物;及び
少なくとも約2パーセントのホウ酸塩含有組成物
を含む有害生物防除用組成物を、陸生軟体動物に摂取させることを含み、ここで、すべての重量パーセントが該有害生物防除用組成物の乾燥重量に基づいている、前記方法。
【請求項32】
ホウ酸塩含有組成物が、ホウ酸を含む、請求項31記載の陸生軟体動物を駆除する方法。
【請求項33】
有害生物防除用組成物が、該有害生物防除用組成物の全重量に基づいて、3〜8パーセントのホウ酸塩含有組成物を含む、請求項31記載の陸生軟体動物を駆除する方法。
【請求項34】
有害生物防除用組成物が、1週間天候に曝露された後でその完全性を実質的に保持する、請求項31記載の陸生軟体動物を駆除する方法。
【請求項35】
有害生物防除用組成物が、1ヶ月間天候に曝露された後でその効力を実質的に保持する、請求項31記載の陸生軟体動物を駆除する方法。
【請求項36】
重量基準で少なくとも3パーセントの、昆虫及び軟体動物の両方に対して毒性があるが、昆虫及び軟体動物の両方に対して実質的に非忌避的であるホウ酸塩含有薬剤;及び
重量基準で少なくとも50パーセントの担体母材
を含む、陸生軟体動物防除用耐候性生成物であって、1週間天候に曝露された後でその完全性を実質的に保持する、前記陸生軟体動物防除用耐候性生成物。
【請求項37】
1週間外部環境に曝露された後でその完全性を実質的に保持する、請求項36記載の陸生軟体動物防除用耐候性生成物。
【請求項38】
4週間の期間にわたって2インチまでの降雨に曝露された後でその効力を実質的に保持する、請求項36記載の陸生軟体動物防除用耐候性生成物。
【請求項39】
昆虫及び軟体動物の両方に対して毒性があるが、昆虫及び軟体動物の両方に対して実質的に非忌避的であるホウ酸塩含有薬剤を、重量基準で3〜10パーセント含む、請求項36記載の陸生軟体動物防除用耐候性生成物。
【請求項40】
ホウ酸塩含有毒性薬剤が、ホウ酸を含む、請求項36記載の陸生軟体動物防除用耐候性生成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2008−511667(P2008−511667A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530347(P2007−530347)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【国際出願番号】PCT/US2005/031089
【国際公開番号】WO2006/026698
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(506244973)ニサス・コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】