ニンニク等の球根植付け装置
【課題】マルチフイルムで被覆された畝にニンニク等の球根を確実に植付け可能で、植付け工程における球根の姿勢変化を無くして、確実に発根底部Bを下にして出芽部Aを上にして向きを一定方向に揃えて連続的に植付ける球根植付け装置を提供する。
【解決手段】球根植付けホルダー4と、これを装填位置Xと植付け位置Yとに移動させる移動機構3と、畝を被覆するマルチフイルムMFの孔あけ装置8と、植付け位置で球根植付けホルダー4に保持された球根を地中に押し込む押し込み装置5とを有するニンニク等の球根植付け装置において、孔あけ装置8は、マルチフイルムMFを破る爪82が植付け予定位置の中心付近を通過して水平方向に移動しつつマルチフイルムMF上面を破ることで孔をあける機構であるニンニク等の球根植付け装置による。
【解決手段】球根植付けホルダー4と、これを装填位置Xと植付け位置Yとに移動させる移動機構3と、畝を被覆するマルチフイルムMFの孔あけ装置8と、植付け位置で球根植付けホルダー4に保持された球根を地中に押し込む押し込み装置5とを有するニンニク等の球根植付け装置において、孔あけ装置8は、マルチフイルムMFを破る爪82が植付け予定位置の中心付近を通過して水平方向に移動しつつマルチフイルムMF上面を破ることで孔をあける機構であるニンニク等の球根植付け装置による。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニンニク等の球根をマルチフイルムで被覆された畑の畝の所定の位置にマルチフイルムに孔をあけながら植付ける球根植付け機に関する。
【背景技術】
【0002】
ニンニク等の球根類は、図9乃至図10に示すように、将来の発芽部分である先の尖った出芽部Aと、発根部分でありやや平面状である発根底部Bとを有し、出芽部Aと発根底部Bは、互いにほぼ反対側に位置している。そしてニンニクの球根については、出芽部Aと発根底部Bとの間の外周部がほとんど一つの曲面部Cと、二つの平面部Dとを有し、二つの平面部D,D間は鋭角な角度である稜線部Eを形成している。
【0003】
そして、ニンニク等の球根類は、発根底部Bを下にし、出芽部Aを上にして植付けるが、植付け後に発芽し、さらに芽が葉Fとして成長すると稜線部Eを中心線としておおよそ左右に分かれ弧状に伸び垂れ下がる。(図11参照。なお図11は説明図であり実際は、葉が成長し始めると元の球根は小さく消滅し、図示していない新たな球根が成長している。)
【0004】
そのため、理想的な植付けとしては、全てのニンニク等の球根を、確実に発根底部Bを下にして出芽部Aを上にして出芽部Aから畝表面までの深さが5〜7cmくらいにして植付けるとともに、稜線部Eを条列の方向に向かせて植付けることが望ましい。このため、予め植付け用の孔のあいたマルチフイルムで被覆された植付け畝に、人手により一つずつ植付け孔に植付けて作業が行われていた。
【0005】
この作業を改善するための公知のニンニク等の球根植付け機としては、特開2007−175009号公報(従来技術1)に「収容位置にて該植付ホルダーに作物が収容され、該循環機構によって搬送される該植付ホルダーが植付位置にある時に該上下動機構によって下降する該押し出し杆に作物が押され、該植付ホルダーの下方端部から押し出されて、地面への植付がなされる」「植付けホルダーの下方端部は、その中央に開口が生ずるように、複数の開閉板がその周縁部に周設されて」「フイルム状の地面被覆資材を押し切るまたは破ることができるように、前記開閉板の先端が刃状に形成されている」が開示されている。
【特許文献1】特開2007−175009号公報(従来技術1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ニンニク等の球根類の植付け作業を全て手作業として行うと、理想的な向きや深さで植付けることは可能であるが、大勢の人手と長時間作業が必要となり作業者の負担が非常に大きくなり、大きい面積の作付けは困難であった。このため前記従来技術1のような植付け機が開示されている。
【0007】
しかし、ニンニク等の球根をマルチフイルムで被覆された植付け用の畝に、確実に発根底部Bを下にして出芽部Aを上にして出芽部Aから畝表面までの深さが5〜7cmくらいにして植付けるとともに、稜線部Eを条列の方向に向かせて植付けるためには、各機構においてニンニク等の球根を確実に固定して保持するとともに、土中に植付けるまで確実に球根の姿勢を規制する必要がある。
【0008】
このため、土中に球根を植付けるときには、球根の姿勢をできるだけ変化させないように保持しながら土中に押し入れる必要がある。従来技術1には、土中に押し入れる際の詳細の開示は無いが、「植付ホルダー2が植付位置(G)にある時に該上下動機構5によって下降する該押出し杆4に作物が押され、該植付ホルダー2の下方端部22から押出されて、地面への植付がなされる。」ことが記載されている。この様に土中に球根を押し入れて植付けるためには、球根を土中に案内するための従来技術1の場合の押出し杆4が必要である。しかし、押出し杆と植付けホルダーが別々に設けてあり、土中に押し入れる際は植付けホルダーの中心に正確に押出し杆を出し入れする必要がある。このため、循環機構である植付けホルダーを保持するワイヤー31の循環精度を向上させることや、植付けホルダーと押出し杆との嵌合部の精度をルーズにする等の必要がある。この場合、製造コストの低減には不向きであり使用上の保守調整に問題があるとともに、植付けホルダーに保持された球根の姿勢を正確に保持して土中の植付け位置まで押し入れる為には不安定である問題がある。
【0009】
また、植付けホルダーの下方端部の複数の開閉板の先端を刃状に形成して、フイルム状の地面被覆資材を押し切るまたは破ることにより、植付け孔を形成するように構成されているが、開閉板が植え付ける球根を上方から押出す押圧によって下方に開くものであり、開く際に開閉板が植付け位置地面を植付けホルダー下方から外周方向に押し退ける抵抗が球根に作用することで球根にダメージがでる場合や植付け姿勢が変化する不都合が発生するとともに、球根が押し込まれて球根植付けホルダーが上昇すると開閉板が閉じようとするが、この時、開閉板にマルチフイルムや土等が挟み込み閉じることができないことで次工程に不都合な問題が起きることやマルチフイルムを引きずる等の問題がある。マルチフイルムに孔をあけずに球根を押し込むと、球根の下にマルチフイルムの切片が当接したまま植え付けられる場合があり、発芽や生育に不都合が生ずるとともに土中にマルチフイルムの切片が堆積する事となり回収ができなくなる問題が発生する。
【0010】
このため本発明の目的は、ニンニク等の植付け装置において、マルチフイルムで被覆された植付け畝に植付け用の孔をあけるとともに、この孔にニンニク等の球根を確実に植付け可能で、植付け工程における球根の姿勢変化を無くして、確実に発根底部Bを下にして出芽部Aを上にして向きを一定方向に揃えて連続的に植付ける球根植付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、ニンニク等の球根を保持する保持部を有する球根植付けホルダーと、該球根植付けホルダーを装填位置と植付け位置とに移動させる移動機構と、植え付け畝を被覆するマルチフイルムに植付け用の孔をあける孔あけ装置と、植付け位置で球根植付けホルダーに保持されたニンニク等の球根を地中に押し込む押し込み装置とを有するニンニク等の球根植付け装置であり、前記孔あけ装置は、マルチフイルムを破る爪を有していて、該爪が植付け予定位置の中心付近を通過して水平方向に移動しつつマルチフイルム上面を破ることで孔をあける機構であるニンニク等の球根植付け装置による。
【0012】
また、孔あけ装置の爪の移動は、球根植付けホルダーが植付け畝面に近づく動作に連動されて作動する前記0011項に記載のニンニク等の球根植付け装置による。
【0013】
さらに、ニンニク等の球根を保持する保持部を有する球根植付けホルダーは、球根保持部の中心から放射状に外周に配置され中心方向に付勢されている外周保持部から構成されていて、該球根植付けホルダーを装填位置と植付け位置とに移動させる移動機構は、進行方向と直交する水平方向の回転軸により走行速度と同調して進行方向に周回する無端回動帯と、無端回動帯に複数設けた前記球根植付けホルダーを保持するホルダー保持部を有していて、植付け位置で球根植付けホルダーに保持されたニンニク等の球根を地中に押し込む押し込み装置は、球根植付けホルダーに保持された球根の発芽する上部に当接して土中に押出す押出しシャフトと、無端回動帯の周回内側に位置して押出しシャフトを土中側に押し出す押し出し手段とを有したニンニク等の球根植付け装置であり、無端回動帯に複数設けた前記球根植付けホルダー部には、植え付け畝を被覆するマルチフイルムに植付け用の孔をあける孔あけ装置をそれぞれ有していて、孔あけ装置は、マルチフイルムを破る爪を有していて、該爪が植付け予定位置の中心付近を通過して水平方向に移動しつつマルチフイルム上面を破ることで孔をあける機構であるニンニク等の球根植付け装置による。
【0014】
さらにまた、無端回動帯に複数設けたホルダー保持部には、植付け位置近傍に達した球根植付けホルダーを無端回動帯が周回する方向と略直行する無端回動帯外側方向に移動させるスライド機構が設けられていて、該スライド機構で球根植付けホルダーを移動させることにより、これに連動された孔あけ装置の爪が植付け予定位置の中心付近を通過して水平方向に移動しつつマルチフイルム上面を破り植付け用の孔をあける前記0013項記載のニンニク等の球根植付け装置による。
【発明の効果】
【0015】
この発明のように構成されたニンニク等の球根植付け装置により植付け作業を行うことにより、球根植付けホルダーは、装填された姿勢を変化させずに保持して、球根を土中に押し入れて植付け姿勢を安定させる。また、マルチフイルムの孔あけ装置を有していて、孔あけ装置は、マルチフイルムを破る爪が植付け予定位置の中心付近を通過して水平方向に移動しつつマルチフイルム上面に孔をあける機構であるため、爪による孔あけ部の土の掻き出しが最小限に抑えられ、爪部へのマルチフイルムの咬みこみ等の不具合の発生を回避できるため植付け作業が停滞せず効率よい作業ができるとともに、孔あけ後に球根が押出される為に、マルチフイルムの切片が球根の下に当接したまま植え付けられることが無く、発芽等に不都合な影響を与えず、土中にマルチフイルムの切片が堆積することがない。
【0016】
また、孔あけ装置の爪の移動は、球根植付けホルダーが植付け畝面に近づく動作に連動されて作動することで、植付ける球根への孔あけ動作によるダメージ等が回避されるとともに、簡易な機構で孔あけ装置を構成できる。
【0017】
さらに、植付けホルダーを球根装填位置と植付け位置とに移動させる移動機構の無端回動帯の周回速度と走行速度を同調させることで、植付け時の植付けホルダーが植付け畝上に停止した状態となり、押出しシャフトが確実に垂直方向に移動して押出すため、球根の姿勢変化を最小として確実に植付けることができる。
【0018】
さらにまた、移動機構のホルダー保持部には、球根植付けホルダー全体を無端回動帯が周回する方向と略直行する方向に移動させるスライド機構が設けられているため、植付け位置に到達した球根植付けホルダーは、ガイド部により植付畝面側に移動され球根植付けホルダー先端側が畝上面に他のホルダーより接近または接触または挿入されるため、球根を土中に挿入する際に外周保持部から押出される球根の姿勢の変化を抑えることができるため、植付け姿勢が安定する。また、他の植付けホルダーを畝上面より離すことができるため、植え付け場所以外での植付けホルダーと畝上面との接触によるトラブル等を防止することができる。スライド機構で球根植付けホルダーを移動させることにより、これに連動された孔あけ装置の爪が植付け予定位置の中心付近を通過して水平方向に移動しつつマルチフイルム上面を破り植付け用の孔をあけることで、孔あけ部の土の掻き出しも最小に抑えられ、マルチフイルムの咬み込み等の不具合を解消できるとともに、簡易な機構で孔あけ装置を構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
この発明の実施形態であるニンニク等の球根植付け装置を走行装置に装備した状態の一例に基づいて説明する。図1は要部側面図、植付け部の要部側面図である図2、植付けホルダー保持部のスライド機構部の要部説明側面図である図3、植付け部の要部断面正面図を示す図4、同じく球根を土中に押し込んだ状態の植付け部の要部断面正面図を示す図5、植付け部と孔あけ装置部の正面要部断面図の図6、孔あけ装置の平面図である図7、この発明の球根植付け装置を搭載した植付け機の動力伝達系統を説明するための正面視の説明図である図8により説明する。
【0020】
この発明のニンニク等の球根植付け装置1は、この実施形態では走行輪20で走行する走行装置2に載置されているが、他の実施形態ではクローラ装置で走行する走行装置に載置しても作業は可能である。この走行装置2の左右の走行輪20の幅間隔は、球根植付け畝Мを跨いで走行可能な幅に設けられている。
【0021】
この発明のニンニク等の球根植付け装置1は、ニンニク等の球根Gを保持する保持部を有した球根植付けホルダー4と、該球根植付けホルダー4を装填位置Xと植付け位置Yとを周回移動させる移動機構3と、植付け位置Yで球根植付けホルダー4に保持されたニンニク等の球根Gを地中に押し込む押し込み装置5とから構成されている。
【0022】
球根植付けホルダー4は、球根の発芽する上部を保持可能な凹状の球根保持部40と、球根保持部40の中心から放射状に外周に配置され中心方向に付勢されている外周保持部41と、前記球根保持部40を先端側に設け移動させて、外周保持部41に保持された球根を土中に押出す押出しシャフト42から構成されている。
【0023】
外周保持部41は、この実施形態では中心方向へ付勢される複数本の棒状スプリング材からなり、球根保持部40の外周に固定されて設けられる。球根保持部40は、球根Gの先端側を凹状の内方向へ向けて当接され得る凹状部を有し、外周保持部41の内側で外周保持部41の先端側から基部方向の中側に位置している。球根保持部40へ保持された球根Gは、その外側を外周保持部41によって保持されている。球根保持部40は、押出しシャフト42によって外周保持部41の先端方向へ移動し、更に押出しシャフト42は外周保持部41によって保持されていた球根Gを、外周保持部41の先端から外に押し出し、土中へ押し入れて一定の深さに植付ける。作業者Sによって向きを揃えて球根植付けホルダー4に装填された球根Gは、その向きが保持されたまま移動し、その状態で土中に押し込まれるため、向きを揃えた植付けが可能となる。
【0024】
移動機構3は、進行方向と直交する水平方向の回転軸により走行速度と同調して進行方向に周回する無端回動帯であるローラーチェーン31と、ローラーチェーン31に複数設けた前記球根植付けホルダー4を保持するホルダー保持部32を有している。ローラーチェーン31は、フレーム100に側面視楕円状に配置された複数の案内ローラ33に掛け渡されて球根装填位置Xと植付け位置Yとの間を周回する。ローラーチェーン31には、植え付けピッチに合わせた間隔で球根植付けホルダー4が外周保持部41の開放側を周回する外側に向け複数取り付けられていて、本例においては、ローラーチェーン31の左右方向に2列設けている。これにより、1工程で2条の植付けが行われる。1畝に4条植付ける場合は、往復することで4条の植付けが可能となる。また、左右2列の球根植付けホルダー4を4列設けることにより1工程で4条の植付けが可能となる。
【0025】
押し込み装置5は、移動機構3のローラーチェーン31の側面視周回内側に位置し、球根植付け位置Yに周回してきた球根植付けホルダー4の押出しシャフト42を土中側に押し付けて球根を土中に植付ける。本例においては、フレーム100の植付け位置Yの上方の球根植付けホルダー4の左右2列中間部にシリンダー51のシリンダーチューブ511の一端を取り付け垂下させ、下方端から上下に伸縮するシリンダーロッド512の先端部には、左右2本の押出しシャフト42を同時に押し込む二股状の押し込みフレーム52が取り付けられていて、シリンダー51のシリンダーロッド512の伸縮により球根植付けホルダー4の押出しシャフト42は左右2列同時に上下に移動する。
【0026】
押出しシャフト42は、球根植付けホルダー4の中心部に位置し、先端部には、球根の発芽する上部を保持可能な凹状の球根保持部40が固着されていて、球根の外周保持部41の取付け基部に設けたスライドブッシュ423にガイドされ、外周保持部41内側中心部をスライド移動して球根Gを押出す。また、スライドブッシュ423の上方には圧縮スプリング422が挿入されて押出しシャフト42を周回するローラーチェーン31内側に付勢していて、押し込み装置5に押出された押出しシャフト42を周回するローラーチェーン31内側に引き戻すように構成されている。
【0027】
押出しシャフト42の押し込みフレーム52との当接部である球根保持部40と反対側の端部には、ローラーチェーン31の周回方向に回転するベアリング421が設けてあり、フレーム100側に取り付けられ固定された押し込みフレーム52により押し付けられた際に、ベアリング421が回転して周回移動する球根植付けホルダー4の周回抵抗を減らす役割をする。
【0028】
ホルダー保持部32は、断面コ字状のホルダー保持ブラケット321がローラーチェーン31の周回方向と直交する方向の中間部をローラーチェーン31に取り付けられていて、ホルダー保持ブラケット321の左右端にはローラーチェーン31の周回方向に回転するベアリング323が設けてあり、フレーム100に設けたレール322により下方への垂れ下がりを防止するとともにホルダー保持部32の上下位置を安定させる。一つのホルダー保持ブラケット321には、球根植付けホルダー4がローラーチェーン31を挟んで左右方向に2つスライド機構6に保持されて設けられている。
【0029】
スライド機構6は、ホルダー保持ブラケット321にローラーチェーン31の取り付け位置を中心として左右対称位置に設けてあり、ローラーチェーン31の周回する内側から外側に向かう方向のホルダー保持ブラケット321に直交する方向にスライド自在に設けたホルダースライドシャフト61に連結アーム64により球根植付けホルダー4が取り付けられていて、ホルダースライドシャフト61は、ホルダー保持ブラケット321に設けたボス65によりスライド自在に保持されるとともに、ホルダースライドシャフト61のボス65より周回内側へ突設された部分に挿入されたスライドスプリング62により周回内側に付勢されていて、植付け位置Yでは植付け位置Yのフレーム側に設けたガイド部7であるガイドレール71にホルダースライドシャフト61周回内側端に設けたベアリング63が当接しガイドされ、植付け畝側の下方にスライドして、これに取り付けられた植付け位置Yに到達した球根植付けホルダー4を下方に移動させる。また、植付け位置Yを通過すると、ガイドレール71からベアリング63が外れてスライドスプリング62の付勢力により上方にスライドするように構成されている。
【0030】
スライド機構6により、植付け位置Yに到達した球根植付けホルダー4のみを外周保持部41の先端が畝上面のマルチフイルムMFと当接または土中に位置させることが可能となるため、押し出されて姿勢が変化する前に球根の底部が植付け土に当接し、押し出す側の球根保持部40の上方と下方の土とに保持され、球根の姿勢が変化せず希望する植付け土中位置まで挿入され植付けられる。また、植付け位置以外の球根植付けホルダー4は畝上面のマルチフイルムMFから離れている為、接触などによる様々なトラブルを回避できる。
【0031】
移動機構3により周回する球根植付けホルダー4の周回外側には、それぞれ孔あけ装置8が設けられていて、孔あけ装置8は前記ホルダー保持ブラケット321に移動機構3の周回方向と略直交する方向に移動自在に取り付けられていて、移動機構3により周回して植付け畝面側の植付け位置近傍では畝上面のマルチフイルムMFに当接するように構成されている。
【0032】
ホルダー保持ブラケット321に対しホルダー保持部32がスライド機構6により移動することで、この動作に連動された孔あけ装置8が作動する。孔あけ装置8は、ホルダー保持ブラケット321と平行に設けた板状の孔あけベース81に、植付け位置YでマルチフイルムMFに植付け用の孔をあける丸棒状の爪82が設けてあり、爪82をマルチフイルムMF面に貫入させ水平方向に移動させることでマルチフイルムMFを破り孔をあけるように構成されている。
【0033】
孔あけベース81に正面視植付け2条中間部を対称に左右に直立させた爪回動支点軸84に、平面視板状L型に構成された爪回動アーム右83R・爪回動アーム左83LのL型中間部を水平回動自在にそれぞれ保持させ、爪回動アーム右83R・爪回動アーム左83Lのそれぞれの一端には爪82が固着されて設けられ水平方向に延設しているとともに先端部が下方に曲げられ、孔あけベース81に球根植付けホルダー4が通過できるように設けた通過孔814から下方に突設して設けられていて、孔あけ時に爪回動支点軸84を中心に水平方向に爪82とともに回動することでマルチフイルムMF面に貫入した爪82がマルチフイルムMFに孔をあける。爪回動アーム右83Rと爪回動アーム左83Lの爪とは反対側の端部同士は、それぞれ連結リンクプレート85により回動自在に連結されていて、爪回動アーム右83Rと爪回動アーム左83Lは連動する。
【0034】
連結リンクプレート85は、孔あけ時の状態で垂直方向の立ち上がり面を進行方向正面に向け有していて、立ち上がり面には垂直方向の長穴である係合穴851を設けている。また、孔あけベース81には前記立ち上がり面と平行に垂直面が設けてあり、この面には進行方向に向け回動軸87が水平に設けてある。一方正面視L型に板材で形成され一端に前記連結リンクプレート85の立ち上がり面に設けた係合穴851に係合する水平方向の係合ピン862を設け、一方端には回転軸を水平方向に向け設けるとともに、これにローラ861を回転自在に取り付けたL型アーム86が、L型中間部を前記回動軸87に垂直方向回動自在に取り付けられていて、ホルダー保持部32がガイドレール71に当接して下降すると、ローラ861がホルダー保持部32下面に当接してL型アーム86が回動され、連結リンクプレート85の係合穴851に係合している一方端の係合ピン862が回動して、連結リンクプレート85を水平方向に移動させる。これにより、連結リンクプレート85にそれぞれ連結された前記爪回動アーム右83Rと爪回動アーム左83Lは、爪回動支点軸84を中心に水平回動して爪82を水平方向に回動させる。爪82が戻される方向に作用する戻しバネ88が連結リンクプレート85と孔あけベース81間に掛け渡されて設けてあり、ホルダー保持部32が上昇するとL型アーム86も上方に回動して爪82が戻される。
【0035】
孔あけベース81四隅部からそれぞれホルダー保持ブラケット321側に向け立ち上げた丸棒状のガイド棒811を設けてホルダー保持ブラケット321に貫通して設け、孔あけベース81とホルダー保持ブラケット321間のガイド棒811には圧縮スプリング812が挿入されているとともに、ホルダー保持ブラケット321から上方に突設した側に孔あけ装置8の高さを調整するとともに抜け止め用のロックナット813が設けられている。これにより、孔あけ装置8は凹凸のある植付け畝上面に柔軟に当接するとともに、走行機体の畝間の凸凹を走行することによる機体のローリングによる影響を吸収する。
【0036】
次にこの発明の実施形態である走行装置2に備え付けたニンニク等の球根植付け装置1の動力伝達経路を図8を基に説明する。変速機24の変速機入力プーリ241は、エンジン23の出力軸に固着されたエンジン出力プーリ231とVベルトで連結されて動力が伝達され、変速機24から走行装置2への動力と、球根植付け装置1への動力に分配される。走行装置2への動力は、変速機24から左右に延設された車軸28から、左右に設けたチェーンケース21に伝達され、チェーンケース21出力軸に取り付けられた左右の走行輪20を回転させ走行する。
【0037】
球根植付け装置1への動力は、変速機24の変速機出力スプロケット243からフレーム100に進行方向と直交する水平方向に回転自在に設けたアイドラシャフトの一端に固着された植付け装置入力スプロケット25にローラーチェーンにより伝達され、このアイドラシャフトの他端に固着したアイドラスプロケット26を回転させる。アイドラスプロケット26は、球根植付け装置1の移動機構3の駆動スプロケット34と同軸上で固着され回転するアイドラスプロケット27とローラーチェーンで連結されて動力が伝達され、球根植付け装置1の移動機構3のローラーチェーン31が駆動スプロケット34により駆動される。
【0038】
エンジン出力プーリ231は、変速機入力プーリ241を駆動するとともに、これにVベルトで連結された油圧ユニット29も駆動していて、油圧ユニット29は駆動されることで油圧を発生させ、押し込み装置5のシリンダー51を作動させる。シリンダー51は油圧を使用せず電動で作動させても良い。
【0039】
次にこの発明の実施形態である走行装置2に備え付けられたニンニク等の球根植付け装置1の植付け作業時の作動について説明する。
【0040】
作業者Sは、機体後方に設けた作業者座席22に座り、操縦するとともに移動機構3の装填位置Xと植付け位置Yとを周回するローラーチェーン31に設けられた球根植付けホルダー4の球根を保持する外周保持部41内に出芽部Aを球根保持部40に当接させ球根を装填する。
【0041】
装填された球根Gは、球根植付けホルダー4とともに装填位置Xから作業者Sの前方側に周回して植付け位置Yに移動する。球根植付けホルダー4が取り付けられたローラーチェーン31が周回することで球根植付けホルダー4の向きは、装填位置Xで球根装填方向が作業者の方向を向き、植付け位置Yで球根の押出し方向である下方を自動的に向く。
【0042】
球根植付けホルダー4が周回して植付け位置Yに到達すると、植付け位置Yのフレームに設けたガイド部7であるガイドレール71にスライド機構6のホルダースライドシャフト61の端部ベアリング63が当接しガイドされホルダースライドシャフト61が植付け畝M側にスライドし、これに取り付けられた球根植付けホルダー4が同じくスライドする。これにより、球根植付けホルダー4の外周保持部41の開放側端部が畝上面に当接する。このときにホルダー保持部32の下降にともなって孔あけ装置8の爪回動アーム右83Rと爪回動アーム左83Lが回動され、これに固着した爪82がマルチフイルムMF面を水平方向に回動してマルチフイルムMFに穴があけられる。
【0043】
続いて、押し込み位置に到達した球根植付けホルダー4をセンサー(図示せず)が感知し、押し込み装置5のシリンダー51のシリンダーロッド512が伸長して押し込みフレーム52を下降させ、球根植付けホルダー4の押出しシャフト42を畝M側に押出す。これにより、押出しシャフト42の先端に設けた球根保持部40により球根Gは外周保持部41から畝Mの地中に押出され植付けられる。このとき、球根植付けホルダー4の外周保持部41の開放側端部が畝上面に当接しているため、球根Gが押し出されると姿勢が変化する前に球根Gの底部Bが植付け畝上面のマルチフイルムMFに当接し、押し出す側の球根保持部40の上方と下方の土とに保持され、姿勢変化せずに希望する植付け土中位置まで押出される。
【0044】
規程の深さの植付け位置に達すると、シリンダー51のシリンダーロッド512が縮み、押し込みフレーム52が上昇する。これにより、球根植付けホルダー4の押出しシャフト42が圧縮スプリング422の付勢力により上昇する。
【0045】
周回に伴い、スライド機構6のホルダースライドシャフト61のベアリング63がガイドレール71から外れ、ホルダースライドシャフト61がスライドスプリング62の付勢力により上方にスライドして球根植付けホルダー4を畝上面のマルチフイルムMFから離した位置に上昇させる。上昇した状態で球根植付けホルダー4は再び装填位置Xに周回し、作業者Sにより球根が装填される。このサイクルを移動機構3のローラーチェーン31に取り付けられた複数の球根植付けホルダー4がそれぞれ繰り返すことで球根の植付け作業が連続して行われる。また、移動機構3のローラーチェーン31の周回速度は走行装置2の走行速度と同一となるように変速機24で変速されて同調しているため、畝上面のマルチフイルムMFに当接した球根植付けホルダー4は畝上面のマルチフイルムMFに対して停止した状態となり、球根Gを畝の土中に押出す場合も垂直方向に確実に押出すため、球根Gの植付け姿勢が変化しにくくなり植付け姿勢が安定する。
【産業上の利用可能性】
【0046】
この発明は、ニンニク等の球根類の植付け作業を行う植付け装置として利用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植付け装置を走行装置に装備した状態の要部側面図。
【図2】植付け部の要部側面図。
【図3】植付けホルダー保持部のスライド機構部の要部側面図。
【図4】植付け部の要部断面正面図。
【図5】球根を土中に押し込んだ状態の植付け部の要部断面正面図。
【図6】植付け部と孔あけ装置部の正面要部断面図
【図7】孔あけ装置の平面図
【図8】この発明の球根植付け装置を搭載した植付け機の動力伝達系統を説明するための正面視の説明図。
【図9】ニンニク等の球根の正面図
【図10】ニンニク等の球根の側面図
【図11】ニンニク等の球根の正面から見た成長後の説明図
【符号の説明】
【0048】
1 ニンニク等の球根植付け装置
100 フレーム
2 走行装置
20 走行輪
21 チェーンケース
22 作業者座席
23 エンジン
231 エンジン出力プーリ
24 変速機
241 変速機入力プーリ
242 変速機出力スプロケット
25 植付け装置入力スプロケット
26,27 アイドラスプロケット
28 車軸
29 油圧ユニット
3 移動機構
31 ローラーチェーン(無端回動帯)
32 ホルダー保持部
321 ホルダー保持ブラケット
322 レール
323 ベアリング
33 案内ローラ
34 駆動スプロケット
4 球根植付けホルダー
40 球根保持部
41 外周保持部
42 押出しシャフト
421 ベアリング
422 圧縮スプリング
423 スライドブッシュ
5 押し込み装置
51 シリンダー
511 シリンダーチューブ
512 シリンダーロッド
52 押し込みフレーム
6 スライド機構
61 ホルダースライドシャフト
62 スライドスプリング
63 ベアリング
64 連結アーム
65 ボス
7 ガイド部
71 ガイドレール
8 孔あけ装置
81 孔あけベース
811 ガイド棒
812 圧縮スプリング
813 ロックナット
814 通過孔
82 爪
83R 爪回動アーム右
83L 爪回動アーム左
84 爪回動支点軸
85 連結リンクプレート
851 係合穴
86 L型アーム
861 ローラ
862 係合ピン
87 回動軸
88 戻しバネ
A ニンニク等の球根の出芽部
B ニンニク等の球根の発芽底部
C ニンニク等の球根の曲面部
D ニンニク等の球根の平面部
E ニンニク等の球根の稜線部
F ニンニク等の球根の葉
G ニンニク等の球根
M ニンニク等の球根を植える畝
MF マルチフイルム
S 作業者
X 装填位置
Y 植付け位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニンニク等の球根をマルチフイルムで被覆された畑の畝の所定の位置にマルチフイルムに孔をあけながら植付ける球根植付け機に関する。
【背景技術】
【0002】
ニンニク等の球根類は、図9乃至図10に示すように、将来の発芽部分である先の尖った出芽部Aと、発根部分でありやや平面状である発根底部Bとを有し、出芽部Aと発根底部Bは、互いにほぼ反対側に位置している。そしてニンニクの球根については、出芽部Aと発根底部Bとの間の外周部がほとんど一つの曲面部Cと、二つの平面部Dとを有し、二つの平面部D,D間は鋭角な角度である稜線部Eを形成している。
【0003】
そして、ニンニク等の球根類は、発根底部Bを下にし、出芽部Aを上にして植付けるが、植付け後に発芽し、さらに芽が葉Fとして成長すると稜線部Eを中心線としておおよそ左右に分かれ弧状に伸び垂れ下がる。(図11参照。なお図11は説明図であり実際は、葉が成長し始めると元の球根は小さく消滅し、図示していない新たな球根が成長している。)
【0004】
そのため、理想的な植付けとしては、全てのニンニク等の球根を、確実に発根底部Bを下にして出芽部Aを上にして出芽部Aから畝表面までの深さが5〜7cmくらいにして植付けるとともに、稜線部Eを条列の方向に向かせて植付けることが望ましい。このため、予め植付け用の孔のあいたマルチフイルムで被覆された植付け畝に、人手により一つずつ植付け孔に植付けて作業が行われていた。
【0005】
この作業を改善するための公知のニンニク等の球根植付け機としては、特開2007−175009号公報(従来技術1)に「収容位置にて該植付ホルダーに作物が収容され、該循環機構によって搬送される該植付ホルダーが植付位置にある時に該上下動機構によって下降する該押し出し杆に作物が押され、該植付ホルダーの下方端部から押し出されて、地面への植付がなされる」「植付けホルダーの下方端部は、その中央に開口が生ずるように、複数の開閉板がその周縁部に周設されて」「フイルム状の地面被覆資材を押し切るまたは破ることができるように、前記開閉板の先端が刃状に形成されている」が開示されている。
【特許文献1】特開2007−175009号公報(従来技術1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ニンニク等の球根類の植付け作業を全て手作業として行うと、理想的な向きや深さで植付けることは可能であるが、大勢の人手と長時間作業が必要となり作業者の負担が非常に大きくなり、大きい面積の作付けは困難であった。このため前記従来技術1のような植付け機が開示されている。
【0007】
しかし、ニンニク等の球根をマルチフイルムで被覆された植付け用の畝に、確実に発根底部Bを下にして出芽部Aを上にして出芽部Aから畝表面までの深さが5〜7cmくらいにして植付けるとともに、稜線部Eを条列の方向に向かせて植付けるためには、各機構においてニンニク等の球根を確実に固定して保持するとともに、土中に植付けるまで確実に球根の姿勢を規制する必要がある。
【0008】
このため、土中に球根を植付けるときには、球根の姿勢をできるだけ変化させないように保持しながら土中に押し入れる必要がある。従来技術1には、土中に押し入れる際の詳細の開示は無いが、「植付ホルダー2が植付位置(G)にある時に該上下動機構5によって下降する該押出し杆4に作物が押され、該植付ホルダー2の下方端部22から押出されて、地面への植付がなされる。」ことが記載されている。この様に土中に球根を押し入れて植付けるためには、球根を土中に案内するための従来技術1の場合の押出し杆4が必要である。しかし、押出し杆と植付けホルダーが別々に設けてあり、土中に押し入れる際は植付けホルダーの中心に正確に押出し杆を出し入れする必要がある。このため、循環機構である植付けホルダーを保持するワイヤー31の循環精度を向上させることや、植付けホルダーと押出し杆との嵌合部の精度をルーズにする等の必要がある。この場合、製造コストの低減には不向きであり使用上の保守調整に問題があるとともに、植付けホルダーに保持された球根の姿勢を正確に保持して土中の植付け位置まで押し入れる為には不安定である問題がある。
【0009】
また、植付けホルダーの下方端部の複数の開閉板の先端を刃状に形成して、フイルム状の地面被覆資材を押し切るまたは破ることにより、植付け孔を形成するように構成されているが、開閉板が植え付ける球根を上方から押出す押圧によって下方に開くものであり、開く際に開閉板が植付け位置地面を植付けホルダー下方から外周方向に押し退ける抵抗が球根に作用することで球根にダメージがでる場合や植付け姿勢が変化する不都合が発生するとともに、球根が押し込まれて球根植付けホルダーが上昇すると開閉板が閉じようとするが、この時、開閉板にマルチフイルムや土等が挟み込み閉じることができないことで次工程に不都合な問題が起きることやマルチフイルムを引きずる等の問題がある。マルチフイルムに孔をあけずに球根を押し込むと、球根の下にマルチフイルムの切片が当接したまま植え付けられる場合があり、発芽や生育に不都合が生ずるとともに土中にマルチフイルムの切片が堆積する事となり回収ができなくなる問題が発生する。
【0010】
このため本発明の目的は、ニンニク等の植付け装置において、マルチフイルムで被覆された植付け畝に植付け用の孔をあけるとともに、この孔にニンニク等の球根を確実に植付け可能で、植付け工程における球根の姿勢変化を無くして、確実に発根底部Bを下にして出芽部Aを上にして向きを一定方向に揃えて連続的に植付ける球根植付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、ニンニク等の球根を保持する保持部を有する球根植付けホルダーと、該球根植付けホルダーを装填位置と植付け位置とに移動させる移動機構と、植え付け畝を被覆するマルチフイルムに植付け用の孔をあける孔あけ装置と、植付け位置で球根植付けホルダーに保持されたニンニク等の球根を地中に押し込む押し込み装置とを有するニンニク等の球根植付け装置であり、前記孔あけ装置は、マルチフイルムを破る爪を有していて、該爪が植付け予定位置の中心付近を通過して水平方向に移動しつつマルチフイルム上面を破ることで孔をあける機構であるニンニク等の球根植付け装置による。
【0012】
また、孔あけ装置の爪の移動は、球根植付けホルダーが植付け畝面に近づく動作に連動されて作動する前記0011項に記載のニンニク等の球根植付け装置による。
【0013】
さらに、ニンニク等の球根を保持する保持部を有する球根植付けホルダーは、球根保持部の中心から放射状に外周に配置され中心方向に付勢されている外周保持部から構成されていて、該球根植付けホルダーを装填位置と植付け位置とに移動させる移動機構は、進行方向と直交する水平方向の回転軸により走行速度と同調して進行方向に周回する無端回動帯と、無端回動帯に複数設けた前記球根植付けホルダーを保持するホルダー保持部を有していて、植付け位置で球根植付けホルダーに保持されたニンニク等の球根を地中に押し込む押し込み装置は、球根植付けホルダーに保持された球根の発芽する上部に当接して土中に押出す押出しシャフトと、無端回動帯の周回内側に位置して押出しシャフトを土中側に押し出す押し出し手段とを有したニンニク等の球根植付け装置であり、無端回動帯に複数設けた前記球根植付けホルダー部には、植え付け畝を被覆するマルチフイルムに植付け用の孔をあける孔あけ装置をそれぞれ有していて、孔あけ装置は、マルチフイルムを破る爪を有していて、該爪が植付け予定位置の中心付近を通過して水平方向に移動しつつマルチフイルム上面を破ることで孔をあける機構であるニンニク等の球根植付け装置による。
【0014】
さらにまた、無端回動帯に複数設けたホルダー保持部には、植付け位置近傍に達した球根植付けホルダーを無端回動帯が周回する方向と略直行する無端回動帯外側方向に移動させるスライド機構が設けられていて、該スライド機構で球根植付けホルダーを移動させることにより、これに連動された孔あけ装置の爪が植付け予定位置の中心付近を通過して水平方向に移動しつつマルチフイルム上面を破り植付け用の孔をあける前記0013項記載のニンニク等の球根植付け装置による。
【発明の効果】
【0015】
この発明のように構成されたニンニク等の球根植付け装置により植付け作業を行うことにより、球根植付けホルダーは、装填された姿勢を変化させずに保持して、球根を土中に押し入れて植付け姿勢を安定させる。また、マルチフイルムの孔あけ装置を有していて、孔あけ装置は、マルチフイルムを破る爪が植付け予定位置の中心付近を通過して水平方向に移動しつつマルチフイルム上面に孔をあける機構であるため、爪による孔あけ部の土の掻き出しが最小限に抑えられ、爪部へのマルチフイルムの咬みこみ等の不具合の発生を回避できるため植付け作業が停滞せず効率よい作業ができるとともに、孔あけ後に球根が押出される為に、マルチフイルムの切片が球根の下に当接したまま植え付けられることが無く、発芽等に不都合な影響を与えず、土中にマルチフイルムの切片が堆積することがない。
【0016】
また、孔あけ装置の爪の移動は、球根植付けホルダーが植付け畝面に近づく動作に連動されて作動することで、植付ける球根への孔あけ動作によるダメージ等が回避されるとともに、簡易な機構で孔あけ装置を構成できる。
【0017】
さらに、植付けホルダーを球根装填位置と植付け位置とに移動させる移動機構の無端回動帯の周回速度と走行速度を同調させることで、植付け時の植付けホルダーが植付け畝上に停止した状態となり、押出しシャフトが確実に垂直方向に移動して押出すため、球根の姿勢変化を最小として確実に植付けることができる。
【0018】
さらにまた、移動機構のホルダー保持部には、球根植付けホルダー全体を無端回動帯が周回する方向と略直行する方向に移動させるスライド機構が設けられているため、植付け位置に到達した球根植付けホルダーは、ガイド部により植付畝面側に移動され球根植付けホルダー先端側が畝上面に他のホルダーより接近または接触または挿入されるため、球根を土中に挿入する際に外周保持部から押出される球根の姿勢の変化を抑えることができるため、植付け姿勢が安定する。また、他の植付けホルダーを畝上面より離すことができるため、植え付け場所以外での植付けホルダーと畝上面との接触によるトラブル等を防止することができる。スライド機構で球根植付けホルダーを移動させることにより、これに連動された孔あけ装置の爪が植付け予定位置の中心付近を通過して水平方向に移動しつつマルチフイルム上面を破り植付け用の孔をあけることで、孔あけ部の土の掻き出しも最小に抑えられ、マルチフイルムの咬み込み等の不具合を解消できるとともに、簡易な機構で孔あけ装置を構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
この発明の実施形態であるニンニク等の球根植付け装置を走行装置に装備した状態の一例に基づいて説明する。図1は要部側面図、植付け部の要部側面図である図2、植付けホルダー保持部のスライド機構部の要部説明側面図である図3、植付け部の要部断面正面図を示す図4、同じく球根を土中に押し込んだ状態の植付け部の要部断面正面図を示す図5、植付け部と孔あけ装置部の正面要部断面図の図6、孔あけ装置の平面図である図7、この発明の球根植付け装置を搭載した植付け機の動力伝達系統を説明するための正面視の説明図である図8により説明する。
【0020】
この発明のニンニク等の球根植付け装置1は、この実施形態では走行輪20で走行する走行装置2に載置されているが、他の実施形態ではクローラ装置で走行する走行装置に載置しても作業は可能である。この走行装置2の左右の走行輪20の幅間隔は、球根植付け畝Мを跨いで走行可能な幅に設けられている。
【0021】
この発明のニンニク等の球根植付け装置1は、ニンニク等の球根Gを保持する保持部を有した球根植付けホルダー4と、該球根植付けホルダー4を装填位置Xと植付け位置Yとを周回移動させる移動機構3と、植付け位置Yで球根植付けホルダー4に保持されたニンニク等の球根Gを地中に押し込む押し込み装置5とから構成されている。
【0022】
球根植付けホルダー4は、球根の発芽する上部を保持可能な凹状の球根保持部40と、球根保持部40の中心から放射状に外周に配置され中心方向に付勢されている外周保持部41と、前記球根保持部40を先端側に設け移動させて、外周保持部41に保持された球根を土中に押出す押出しシャフト42から構成されている。
【0023】
外周保持部41は、この実施形態では中心方向へ付勢される複数本の棒状スプリング材からなり、球根保持部40の外周に固定されて設けられる。球根保持部40は、球根Gの先端側を凹状の内方向へ向けて当接され得る凹状部を有し、外周保持部41の内側で外周保持部41の先端側から基部方向の中側に位置している。球根保持部40へ保持された球根Gは、その外側を外周保持部41によって保持されている。球根保持部40は、押出しシャフト42によって外周保持部41の先端方向へ移動し、更に押出しシャフト42は外周保持部41によって保持されていた球根Gを、外周保持部41の先端から外に押し出し、土中へ押し入れて一定の深さに植付ける。作業者Sによって向きを揃えて球根植付けホルダー4に装填された球根Gは、その向きが保持されたまま移動し、その状態で土中に押し込まれるため、向きを揃えた植付けが可能となる。
【0024】
移動機構3は、進行方向と直交する水平方向の回転軸により走行速度と同調して進行方向に周回する無端回動帯であるローラーチェーン31と、ローラーチェーン31に複数設けた前記球根植付けホルダー4を保持するホルダー保持部32を有している。ローラーチェーン31は、フレーム100に側面視楕円状に配置された複数の案内ローラ33に掛け渡されて球根装填位置Xと植付け位置Yとの間を周回する。ローラーチェーン31には、植え付けピッチに合わせた間隔で球根植付けホルダー4が外周保持部41の開放側を周回する外側に向け複数取り付けられていて、本例においては、ローラーチェーン31の左右方向に2列設けている。これにより、1工程で2条の植付けが行われる。1畝に4条植付ける場合は、往復することで4条の植付けが可能となる。また、左右2列の球根植付けホルダー4を4列設けることにより1工程で4条の植付けが可能となる。
【0025】
押し込み装置5は、移動機構3のローラーチェーン31の側面視周回内側に位置し、球根植付け位置Yに周回してきた球根植付けホルダー4の押出しシャフト42を土中側に押し付けて球根を土中に植付ける。本例においては、フレーム100の植付け位置Yの上方の球根植付けホルダー4の左右2列中間部にシリンダー51のシリンダーチューブ511の一端を取り付け垂下させ、下方端から上下に伸縮するシリンダーロッド512の先端部には、左右2本の押出しシャフト42を同時に押し込む二股状の押し込みフレーム52が取り付けられていて、シリンダー51のシリンダーロッド512の伸縮により球根植付けホルダー4の押出しシャフト42は左右2列同時に上下に移動する。
【0026】
押出しシャフト42は、球根植付けホルダー4の中心部に位置し、先端部には、球根の発芽する上部を保持可能な凹状の球根保持部40が固着されていて、球根の外周保持部41の取付け基部に設けたスライドブッシュ423にガイドされ、外周保持部41内側中心部をスライド移動して球根Gを押出す。また、スライドブッシュ423の上方には圧縮スプリング422が挿入されて押出しシャフト42を周回するローラーチェーン31内側に付勢していて、押し込み装置5に押出された押出しシャフト42を周回するローラーチェーン31内側に引き戻すように構成されている。
【0027】
押出しシャフト42の押し込みフレーム52との当接部である球根保持部40と反対側の端部には、ローラーチェーン31の周回方向に回転するベアリング421が設けてあり、フレーム100側に取り付けられ固定された押し込みフレーム52により押し付けられた際に、ベアリング421が回転して周回移動する球根植付けホルダー4の周回抵抗を減らす役割をする。
【0028】
ホルダー保持部32は、断面コ字状のホルダー保持ブラケット321がローラーチェーン31の周回方向と直交する方向の中間部をローラーチェーン31に取り付けられていて、ホルダー保持ブラケット321の左右端にはローラーチェーン31の周回方向に回転するベアリング323が設けてあり、フレーム100に設けたレール322により下方への垂れ下がりを防止するとともにホルダー保持部32の上下位置を安定させる。一つのホルダー保持ブラケット321には、球根植付けホルダー4がローラーチェーン31を挟んで左右方向に2つスライド機構6に保持されて設けられている。
【0029】
スライド機構6は、ホルダー保持ブラケット321にローラーチェーン31の取り付け位置を中心として左右対称位置に設けてあり、ローラーチェーン31の周回する内側から外側に向かう方向のホルダー保持ブラケット321に直交する方向にスライド自在に設けたホルダースライドシャフト61に連結アーム64により球根植付けホルダー4が取り付けられていて、ホルダースライドシャフト61は、ホルダー保持ブラケット321に設けたボス65によりスライド自在に保持されるとともに、ホルダースライドシャフト61のボス65より周回内側へ突設された部分に挿入されたスライドスプリング62により周回内側に付勢されていて、植付け位置Yでは植付け位置Yのフレーム側に設けたガイド部7であるガイドレール71にホルダースライドシャフト61周回内側端に設けたベアリング63が当接しガイドされ、植付け畝側の下方にスライドして、これに取り付けられた植付け位置Yに到達した球根植付けホルダー4を下方に移動させる。また、植付け位置Yを通過すると、ガイドレール71からベアリング63が外れてスライドスプリング62の付勢力により上方にスライドするように構成されている。
【0030】
スライド機構6により、植付け位置Yに到達した球根植付けホルダー4のみを外周保持部41の先端が畝上面のマルチフイルムMFと当接または土中に位置させることが可能となるため、押し出されて姿勢が変化する前に球根の底部が植付け土に当接し、押し出す側の球根保持部40の上方と下方の土とに保持され、球根の姿勢が変化せず希望する植付け土中位置まで挿入され植付けられる。また、植付け位置以外の球根植付けホルダー4は畝上面のマルチフイルムMFから離れている為、接触などによる様々なトラブルを回避できる。
【0031】
移動機構3により周回する球根植付けホルダー4の周回外側には、それぞれ孔あけ装置8が設けられていて、孔あけ装置8は前記ホルダー保持ブラケット321に移動機構3の周回方向と略直交する方向に移動自在に取り付けられていて、移動機構3により周回して植付け畝面側の植付け位置近傍では畝上面のマルチフイルムMFに当接するように構成されている。
【0032】
ホルダー保持ブラケット321に対しホルダー保持部32がスライド機構6により移動することで、この動作に連動された孔あけ装置8が作動する。孔あけ装置8は、ホルダー保持ブラケット321と平行に設けた板状の孔あけベース81に、植付け位置YでマルチフイルムMFに植付け用の孔をあける丸棒状の爪82が設けてあり、爪82をマルチフイルムMF面に貫入させ水平方向に移動させることでマルチフイルムMFを破り孔をあけるように構成されている。
【0033】
孔あけベース81に正面視植付け2条中間部を対称に左右に直立させた爪回動支点軸84に、平面視板状L型に構成された爪回動アーム右83R・爪回動アーム左83LのL型中間部を水平回動自在にそれぞれ保持させ、爪回動アーム右83R・爪回動アーム左83Lのそれぞれの一端には爪82が固着されて設けられ水平方向に延設しているとともに先端部が下方に曲げられ、孔あけベース81に球根植付けホルダー4が通過できるように設けた通過孔814から下方に突設して設けられていて、孔あけ時に爪回動支点軸84を中心に水平方向に爪82とともに回動することでマルチフイルムMF面に貫入した爪82がマルチフイルムMFに孔をあける。爪回動アーム右83Rと爪回動アーム左83Lの爪とは反対側の端部同士は、それぞれ連結リンクプレート85により回動自在に連結されていて、爪回動アーム右83Rと爪回動アーム左83Lは連動する。
【0034】
連結リンクプレート85は、孔あけ時の状態で垂直方向の立ち上がり面を進行方向正面に向け有していて、立ち上がり面には垂直方向の長穴である係合穴851を設けている。また、孔あけベース81には前記立ち上がり面と平行に垂直面が設けてあり、この面には進行方向に向け回動軸87が水平に設けてある。一方正面視L型に板材で形成され一端に前記連結リンクプレート85の立ち上がり面に設けた係合穴851に係合する水平方向の係合ピン862を設け、一方端には回転軸を水平方向に向け設けるとともに、これにローラ861を回転自在に取り付けたL型アーム86が、L型中間部を前記回動軸87に垂直方向回動自在に取り付けられていて、ホルダー保持部32がガイドレール71に当接して下降すると、ローラ861がホルダー保持部32下面に当接してL型アーム86が回動され、連結リンクプレート85の係合穴851に係合している一方端の係合ピン862が回動して、連結リンクプレート85を水平方向に移動させる。これにより、連結リンクプレート85にそれぞれ連結された前記爪回動アーム右83Rと爪回動アーム左83Lは、爪回動支点軸84を中心に水平回動して爪82を水平方向に回動させる。爪82が戻される方向に作用する戻しバネ88が連結リンクプレート85と孔あけベース81間に掛け渡されて設けてあり、ホルダー保持部32が上昇するとL型アーム86も上方に回動して爪82が戻される。
【0035】
孔あけベース81四隅部からそれぞれホルダー保持ブラケット321側に向け立ち上げた丸棒状のガイド棒811を設けてホルダー保持ブラケット321に貫通して設け、孔あけベース81とホルダー保持ブラケット321間のガイド棒811には圧縮スプリング812が挿入されているとともに、ホルダー保持ブラケット321から上方に突設した側に孔あけ装置8の高さを調整するとともに抜け止め用のロックナット813が設けられている。これにより、孔あけ装置8は凹凸のある植付け畝上面に柔軟に当接するとともに、走行機体の畝間の凸凹を走行することによる機体のローリングによる影響を吸収する。
【0036】
次にこの発明の実施形態である走行装置2に備え付けたニンニク等の球根植付け装置1の動力伝達経路を図8を基に説明する。変速機24の変速機入力プーリ241は、エンジン23の出力軸に固着されたエンジン出力プーリ231とVベルトで連結されて動力が伝達され、変速機24から走行装置2への動力と、球根植付け装置1への動力に分配される。走行装置2への動力は、変速機24から左右に延設された車軸28から、左右に設けたチェーンケース21に伝達され、チェーンケース21出力軸に取り付けられた左右の走行輪20を回転させ走行する。
【0037】
球根植付け装置1への動力は、変速機24の変速機出力スプロケット243からフレーム100に進行方向と直交する水平方向に回転自在に設けたアイドラシャフトの一端に固着された植付け装置入力スプロケット25にローラーチェーンにより伝達され、このアイドラシャフトの他端に固着したアイドラスプロケット26を回転させる。アイドラスプロケット26は、球根植付け装置1の移動機構3の駆動スプロケット34と同軸上で固着され回転するアイドラスプロケット27とローラーチェーンで連結されて動力が伝達され、球根植付け装置1の移動機構3のローラーチェーン31が駆動スプロケット34により駆動される。
【0038】
エンジン出力プーリ231は、変速機入力プーリ241を駆動するとともに、これにVベルトで連結された油圧ユニット29も駆動していて、油圧ユニット29は駆動されることで油圧を発生させ、押し込み装置5のシリンダー51を作動させる。シリンダー51は油圧を使用せず電動で作動させても良い。
【0039】
次にこの発明の実施形態である走行装置2に備え付けられたニンニク等の球根植付け装置1の植付け作業時の作動について説明する。
【0040】
作業者Sは、機体後方に設けた作業者座席22に座り、操縦するとともに移動機構3の装填位置Xと植付け位置Yとを周回するローラーチェーン31に設けられた球根植付けホルダー4の球根を保持する外周保持部41内に出芽部Aを球根保持部40に当接させ球根を装填する。
【0041】
装填された球根Gは、球根植付けホルダー4とともに装填位置Xから作業者Sの前方側に周回して植付け位置Yに移動する。球根植付けホルダー4が取り付けられたローラーチェーン31が周回することで球根植付けホルダー4の向きは、装填位置Xで球根装填方向が作業者の方向を向き、植付け位置Yで球根の押出し方向である下方を自動的に向く。
【0042】
球根植付けホルダー4が周回して植付け位置Yに到達すると、植付け位置Yのフレームに設けたガイド部7であるガイドレール71にスライド機構6のホルダースライドシャフト61の端部ベアリング63が当接しガイドされホルダースライドシャフト61が植付け畝M側にスライドし、これに取り付けられた球根植付けホルダー4が同じくスライドする。これにより、球根植付けホルダー4の外周保持部41の開放側端部が畝上面に当接する。このときにホルダー保持部32の下降にともなって孔あけ装置8の爪回動アーム右83Rと爪回動アーム左83Lが回動され、これに固着した爪82がマルチフイルムMF面を水平方向に回動してマルチフイルムMFに穴があけられる。
【0043】
続いて、押し込み位置に到達した球根植付けホルダー4をセンサー(図示せず)が感知し、押し込み装置5のシリンダー51のシリンダーロッド512が伸長して押し込みフレーム52を下降させ、球根植付けホルダー4の押出しシャフト42を畝M側に押出す。これにより、押出しシャフト42の先端に設けた球根保持部40により球根Gは外周保持部41から畝Mの地中に押出され植付けられる。このとき、球根植付けホルダー4の外周保持部41の開放側端部が畝上面に当接しているため、球根Gが押し出されると姿勢が変化する前に球根Gの底部Bが植付け畝上面のマルチフイルムMFに当接し、押し出す側の球根保持部40の上方と下方の土とに保持され、姿勢変化せずに希望する植付け土中位置まで押出される。
【0044】
規程の深さの植付け位置に達すると、シリンダー51のシリンダーロッド512が縮み、押し込みフレーム52が上昇する。これにより、球根植付けホルダー4の押出しシャフト42が圧縮スプリング422の付勢力により上昇する。
【0045】
周回に伴い、スライド機構6のホルダースライドシャフト61のベアリング63がガイドレール71から外れ、ホルダースライドシャフト61がスライドスプリング62の付勢力により上方にスライドして球根植付けホルダー4を畝上面のマルチフイルムMFから離した位置に上昇させる。上昇した状態で球根植付けホルダー4は再び装填位置Xに周回し、作業者Sにより球根が装填される。このサイクルを移動機構3のローラーチェーン31に取り付けられた複数の球根植付けホルダー4がそれぞれ繰り返すことで球根の植付け作業が連続して行われる。また、移動機構3のローラーチェーン31の周回速度は走行装置2の走行速度と同一となるように変速機24で変速されて同調しているため、畝上面のマルチフイルムMFに当接した球根植付けホルダー4は畝上面のマルチフイルムMFに対して停止した状態となり、球根Gを畝の土中に押出す場合も垂直方向に確実に押出すため、球根Gの植付け姿勢が変化しにくくなり植付け姿勢が安定する。
【産業上の利用可能性】
【0046】
この発明は、ニンニク等の球根類の植付け作業を行う植付け装置として利用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植付け装置を走行装置に装備した状態の要部側面図。
【図2】植付け部の要部側面図。
【図3】植付けホルダー保持部のスライド機構部の要部側面図。
【図4】植付け部の要部断面正面図。
【図5】球根を土中に押し込んだ状態の植付け部の要部断面正面図。
【図6】植付け部と孔あけ装置部の正面要部断面図
【図7】孔あけ装置の平面図
【図8】この発明の球根植付け装置を搭載した植付け機の動力伝達系統を説明するための正面視の説明図。
【図9】ニンニク等の球根の正面図
【図10】ニンニク等の球根の側面図
【図11】ニンニク等の球根の正面から見た成長後の説明図
【符号の説明】
【0048】
1 ニンニク等の球根植付け装置
100 フレーム
2 走行装置
20 走行輪
21 チェーンケース
22 作業者座席
23 エンジン
231 エンジン出力プーリ
24 変速機
241 変速機入力プーリ
242 変速機出力スプロケット
25 植付け装置入力スプロケット
26,27 アイドラスプロケット
28 車軸
29 油圧ユニット
3 移動機構
31 ローラーチェーン(無端回動帯)
32 ホルダー保持部
321 ホルダー保持ブラケット
322 レール
323 ベアリング
33 案内ローラ
34 駆動スプロケット
4 球根植付けホルダー
40 球根保持部
41 外周保持部
42 押出しシャフト
421 ベアリング
422 圧縮スプリング
423 スライドブッシュ
5 押し込み装置
51 シリンダー
511 シリンダーチューブ
512 シリンダーロッド
52 押し込みフレーム
6 スライド機構
61 ホルダースライドシャフト
62 スライドスプリング
63 ベアリング
64 連結アーム
65 ボス
7 ガイド部
71 ガイドレール
8 孔あけ装置
81 孔あけベース
811 ガイド棒
812 圧縮スプリング
813 ロックナット
814 通過孔
82 爪
83R 爪回動アーム右
83L 爪回動アーム左
84 爪回動支点軸
85 連結リンクプレート
851 係合穴
86 L型アーム
861 ローラ
862 係合ピン
87 回動軸
88 戻しバネ
A ニンニク等の球根の出芽部
B ニンニク等の球根の発芽底部
C ニンニク等の球根の曲面部
D ニンニク等の球根の平面部
E ニンニク等の球根の稜線部
F ニンニク等の球根の葉
G ニンニク等の球根
M ニンニク等の球根を植える畝
MF マルチフイルム
S 作業者
X 装填位置
Y 植付け位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニンニク等の球根を保持する保持部を有する球根植付けホルダーと、該球根植付けホルダーを装填位置と植付け位置とに移動させる移動機構と、植え付け畝を被覆するマルチフイルムに植付け用の孔をあける孔あけ装置と、植付け位置で球根植付けホルダーに保持されたニンニク等の球根を地中に押し込む押し込み装置とを有するニンニク等の球根植付け装置であり、
前記孔あけ装置は、マルチフイルムを破る爪を有していて、該爪が植付け予定位置の中心付近を通過して水平方向に移動しつつマルチフイルム上面を破ることで孔をあける機構であることを特徴としたニンニク等の球根植付け装置。
【請求項2】
孔あけ装置の爪の移動は、球根植付けホルダーが植付け畝面に近づく動作に連動されて作動することを特徴とした請求項1記載のニンニク等の球根植付け装置。
【請求項3】
ニンニク等の球根を保持する保持部を有する球根植付けホルダーは、球根保持部の中心から放射状に外周に配置され中心方向に付勢されている外周保持部から構成されていて、
該球根植付けホルダーを装填位置と植付け位置とに移動させる移動機構は、進行方向と直交する水平方向の回転軸により走行速度と同調して進行方向に周回する無端回動帯と、無端回動帯に複数設けた前記球根植付けホルダーを保持するホルダー保持部を有していて、
植付け位置で球根植付けホルダーに保持されたニンニク等の球根を地中に押し込む押し込み装置は、球根植付けホルダーに保持された球根の発芽する上部に当接して土中に押出す押出しシャフトと、無端回動帯の周回内側に位置して押出しシャフトを土中側に押し出す押し出し手段とを有したニンニク等の球根植付け装置であり、
無端回動帯に複数設けた前記球根植付けホルダー部には、植え付け畝を被覆するマルチフイルムに植付け用の孔をあける孔あけ装置をそれぞれ有していて、孔あけ装置は、マルチフイルムを破る爪を有していて、該爪が植付け予定位置の中心付近を通過して水平方向に移動しつつマルチフイルム上面を破ることで孔をあける機構であることを特徴としたニンニク等の球根植付け装置。
【請求項4】
無端回動帯に複数設けたホルダー保持部には、植付け位置近傍に達した球根植付けホルダーを無端回動帯が周回する方向と略直行する無端回動帯外側方向に移動させるスライド機構が設けられていて、該スライド機構で球根植付けホルダーを移動させることにより、これに連動された孔あけ装置の爪が植付け予定位置の中心付近を通過して水平方向に移動しつつマルチフイルム上面を破り植付け用の孔をあけることを特長とした請求項3記載のニンニク等の球根植付け装置。
【請求項1】
ニンニク等の球根を保持する保持部を有する球根植付けホルダーと、該球根植付けホルダーを装填位置と植付け位置とに移動させる移動機構と、植え付け畝を被覆するマルチフイルムに植付け用の孔をあける孔あけ装置と、植付け位置で球根植付けホルダーに保持されたニンニク等の球根を地中に押し込む押し込み装置とを有するニンニク等の球根植付け装置であり、
前記孔あけ装置は、マルチフイルムを破る爪を有していて、該爪が植付け予定位置の中心付近を通過して水平方向に移動しつつマルチフイルム上面を破ることで孔をあける機構であることを特徴としたニンニク等の球根植付け装置。
【請求項2】
孔あけ装置の爪の移動は、球根植付けホルダーが植付け畝面に近づく動作に連動されて作動することを特徴とした請求項1記載のニンニク等の球根植付け装置。
【請求項3】
ニンニク等の球根を保持する保持部を有する球根植付けホルダーは、球根保持部の中心から放射状に外周に配置され中心方向に付勢されている外周保持部から構成されていて、
該球根植付けホルダーを装填位置と植付け位置とに移動させる移動機構は、進行方向と直交する水平方向の回転軸により走行速度と同調して進行方向に周回する無端回動帯と、無端回動帯に複数設けた前記球根植付けホルダーを保持するホルダー保持部を有していて、
植付け位置で球根植付けホルダーに保持されたニンニク等の球根を地中に押し込む押し込み装置は、球根植付けホルダーに保持された球根の発芽する上部に当接して土中に押出す押出しシャフトと、無端回動帯の周回内側に位置して押出しシャフトを土中側に押し出す押し出し手段とを有したニンニク等の球根植付け装置であり、
無端回動帯に複数設けた前記球根植付けホルダー部には、植え付け畝を被覆するマルチフイルムに植付け用の孔をあける孔あけ装置をそれぞれ有していて、孔あけ装置は、マルチフイルムを破る爪を有していて、該爪が植付け予定位置の中心付近を通過して水平方向に移動しつつマルチフイルム上面を破ることで孔をあける機構であることを特徴としたニンニク等の球根植付け装置。
【請求項4】
無端回動帯に複数設けたホルダー保持部には、植付け位置近傍に達した球根植付けホルダーを無端回動帯が周回する方向と略直行する無端回動帯外側方向に移動させるスライド機構が設けられていて、該スライド機構で球根植付けホルダーを移動させることにより、これに連動された孔あけ装置の爪が植付け予定位置の中心付近を通過して水平方向に移動しつつマルチフイルム上面を破り植付け用の孔をあけることを特長とした請求項3記載のニンニク等の球根植付け装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−124698(P2010−124698A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299251(P2008−299251)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000171746)株式会社ササキコーポレーション (192)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000171746)株式会社ササキコーポレーション (192)
【Fターム(参考)】
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