説明

ネットをポール間に張設する方法及びその方法に使用する吊冶具

【課題】ポールへ止着する時にネットが風に煽られ危険を回避し、作業工程単純化して作業効率を高めるネットをポール間に張設する方法。
【解決手段】ワイヤーロープ4の上下間隔より短い間隔で上下方向に係止部を連設した一対の支持腕を有する吊冶具2に、上から偶数番目のワイヤーロープ4を垂らして、上から奇数番目のワイヤーロープ4の連結部41を順次支持腕の下方の係止部に係止し、ネット3が折り畳まれる様に一対の支持腕にネット3を係止支持する。吊冶具2を吊り上げて、取付部材にワイヤーロープ4の連結部41を取り付け固定する取り付け工程1。ワイヤーロープ4を支持腕の係止部から離脱させる取り付け工程2。ワイヤーロープ4から直下の偶数番目のワイヤーロープ4と同高位置となって対応する取付部材に、連結部41を取り付ける取り付け工程3。ワイヤーロープ4を更に吊り上げ、上記の取り付け工程1乃至3を繰り返して取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポール間にネットを張る方法であって、工場の石灰、コークス等の盛山から粉塵(土、砂、石灰、コークス、鉱石、木材チップ、塗料等)が風に吹かれて飛散するのを防止するためのネットを張る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、各種工場内には、石灰、コークス、鉱石、土、木材粉等が山積みにされて盛山となっている所があり、風が吹くとこれらの粉塵が工場外の敷地である民家等へ飛散してしまうことがある。
これを防止するために、前記盛山と成った周囲に一定間隔でポールを立設して、このポール間に粉塵の通過を阻止する網目としたネットを張って盛山を囲み、ネット外に飛散する粉塵を留めて防止するようにしている。
【0003】
そこで、従来のポール間にネットを張る方法として、所定寸法に離間して立設した一対のポールの各々の高さ方向の略等間隔の複数位置に取付具(シャックル等)を取り付けておき、ポール1のリブ板に連結した取付具(シャックル等)と、ワイヤーロープのループ状端部を係合して止着し、同じ高さ位置の取付具間に定間隔(例えば1メートル)で複数本のワイヤーロープを張設する。
次に、隣接するワイヤーロープ間にネットをかがりロープを使用して縫いながら留め、全ての隣接するワイヤーロープ間に同様の操作でネットを留めて、全体としてネットを張る作業を完了する。
これ等の作業は、高所作業車6を使用して作業員が行なう。
【0004】
また、各ポールの上部に夫々滑車を設け、一方、ネットにはワイヤーロープを予め縫い込ませ、両端にループ端部を形成し、2台のバックホウにより、ネットの両方のループ状端部に係合した引張ワイヤーを滑車を介して引っ張ることにより、該ネットを吊り上げ、上記と同様の方法によりポールに止着する方法もある。
【0005】
更に、各ポールの、上部位置、下部位置及び一つ以上の中間高さ位置に上部ワイヤーガイド、下部ワイヤーガイド、一つ以上の中間高さワイヤーガイドを設け、吊り上げ用ワイヤーロープの両端の第1の係合部を、前記各ポールにおいて、前記下部ワイヤーガイド及び上部ワイヤーガイドを順次介して折り返して、更に前記高さの中間高さワイヤーガイドを介して、前記中間高さワイヤーガイドの高さに相当する前記ネットの高さ位置の両横幅端部の第2の係合部に係合させ、前記吊り上げ用ワイヤーロープの略中央部を持ち上げることにより、前記ネットの第2の係合部を、前記下部ワイヤーガイド、上部ワイヤーガイド、及び中間高さワイヤーガイドを介して移動する該ワイヤーロープを介して、前記中間高さワイヤーガイドの高さまで持ち上げ、前記ネットの前記高さ相当部分を前記一対のポールに止着し、前記吊り上げ用ワイヤーロープの両端の第1の係合部の前記第2の係合部に対する係合を解除して、次の前記中間高さワイヤーガイドの高さに相当する前記ネットの高さ位置の両横幅端部の第2の係合部に係合させ、前記吊り上げ用ワイヤーロープの略中央部を更に持ち上げることにより、前記ネットの第3の係合部を前記高さの次の中間高さワイヤーガイド位置まで持ち上げ、前記ネットの前記高さ相当部分を前記一対のポールに止着し、前記の工程を繰り返して、前記ネットの全所定高さが1対のポール間に張られるようにした方法も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−121221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の各方法によれば、ネットを縫いながら取り付ける時に、ネットが風に煽られやすく縫い作業が行い難いことがあり、またネットの取り付け時に、ネットを広げたときに風に煽られて危険であり、又高所でネットを一枚ずつ取付けていくので、ポールへ止着する時にネットが風にあおられて止着作業が行い難いことがあり、作業工数及び作業時間が多大となる。
【0008】
また、滑車やワイヤーガイドをポールに取り付けたり、吊り上げ用ワイヤーが必要となって、取付部材や使用部材が多くなることや、ネットを吊り上げるときに、ネットが風にあおられて引張ワイヤーが逆に引っ張られてバックホウが浮き上がって危険なことがあり、さらに、作業工程が複雑になるという問題点があった。
【0009】
そこで、本発明は、ポールへ止着する時にネットが風に煽られ危険を回避し、作業工程を単純化して作業効率を高めるネットをポール間に張設する方法及びその方法に使用する吊冶具を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ネットをポール間に張設する方法に関する本発明の請求項1の発明は、ネットの上下端部及び中間部に等間隔でワイヤーロープが横設され、ワイヤーロープの両端はネットの側端より突設して連結部が形成されたネットを、離間して立設した一対のポールのワイヤーロープの上下間隔に応じて同数設けられた取付部材に、前記ワイヤーロープの連結部を取付けて、ネットをポール間に張設する方法において、ワイヤーロープの上下間隔より短い間隔で上下方向に係止部を連設した一対の支持腕を有する吊冶具に、最上位の係止部にネットの上端部のワイヤーロープの連結部を着脱可能に係止して当該ワイヤーロープを支持し、直下の二番目のワイヤーロープを垂らして、次下の三番目のワイヤーロープの連結部を最上位の次下の係止部に着脱可能に係止して当該三番目のワイヤーロープを支持し、以下、上から偶数番目のワイヤーロープを垂らして、上から奇数番目のワイヤーロープの連結部を順次下方の係止部に係止し、ネットが折り畳まれる様に一対の支持腕にネットを係止支持する準備工程、この吊冶具を、係止部の最下部の位置に係止したワイヤーロープの連結部を、ポールの該当する取付部材の位置に対応するように吊り上げて移動し、該当する取付部材に当該ワイヤーロープの連結部を取り付け固定する取り付け工程1、 ポールの該当する取付部に当該ワイヤーロープの取り付けが完了後、当該ワイヤーロープを支持腕の係止部から離脱させる取り付け工程2、ポールの該当位置に取り付けられた当該ワイヤーロープから垂れ下がった直下の偶数番目のワイヤーロープと同高位置となって対応する取付部材に、その垂れ下がった連結部を取り付ける取り付け工程3、そして、上記の結果、支持腕の最下部の位置に係止したワイヤーロープと成った奇数番目のワイヤーロープの連結部と、垂れ下がった状態の直下の偶数番目のワイヤーロープの連結部を、対応した高さ位置のポールの取付部材に対応させるため、ワイヤーロープの2つ分の間隔を更に吊り上げ、上記の取り付け工程1乃至3を繰り返して取り付けていくことを特徴とするものである。
【0011】
ネットをポール間に張設する方法に関する請求項2の発明は、請求項1の発明において、横設したワイヤーロープの数が奇数の場合は、準備工程において、係止部の最下部の位置に係止したワイヤーロープの取り付けに関して、垂れ下がった直下の偶数番目のワイヤーロープが存在しないため、取り付け工程3が省略されることを特徴とするものである。
【0012】
ネットをポール間に張設する方法に関する請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、取り付け工程2と取り付け工程3の順序を入れ替えて行なうことを特徴とするものである。
【0013】
ネットをポール間に張設する方法に関する請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの発明において、吊冶具は横設した吊支杆の両側部に支持腕が垂下し、支持腕は吊支杆に対して直角方向へ突設した係止板を有し、係止板には先端面から挿脱水平部と係止垂下部が連続した溝孔の係止部が形成してあることを特徴とするものである。
【0014】
ネットをポール間に張設する方法に関する請求項5の発明は、請求項4の発明において、ワイヤーロープの連結部は、ループに形成し先端を環状金具で止着したものであって、吊冶具の係止部の溝孔の幅がワイヤーロープの外径より広く、環状金具の外径よりも狭いことを特徴とするものである。
【0015】
ネットをポール間に張設するための吊冶具に関する本発明の請求項6は、横設した吊支杆の両側部に支持腕が垂下し、支持腕は吊支杆に対して直角方向へ突設した係止板を有し、係止板には先端面から挿脱水平部と係止垂下部が連続した溝孔の係止部が形成してあることを特徴とするものである。
【0016】
ネットをポール間に張設するための吊冶具に関する請求項6の発明は、請求項5の発明において、ネットに横設して側方に突出したワイヤーロープをループに形成し、先端部を環状金具で止着した連結部において、係止部の溝孔の幅が、当該ワイヤーロープの外径より広く、環状金具の外径よりも狭いことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本願の請求項1の発明は、準備工程で、ワイヤーロープの上下間隔より短い間隔で支持腕の上下方向に係止部が連設され、ネットは折り畳まれる様に一対の支持腕に係止支持されるものであり、ネットの上下長は、2分の1以上から4分の1に近い上下長で支持腕に係止されて吊り上げられるから、ネットが受ける風圧を小さくでき、風に煽られる危険を回避できる効果を発揮するものである。
【0018】
そして、ネットのポールへの取り付けも下端部のネット部から上方のネット部へと移って行くものであるから、最初は吊り上げ高さも極めて低くて済み、風圧も小さいため取付作業が安全で容易となる効果があり、順々に高所の位置及び高さと成っても、下方のネット部がポールにしっかりと取り付けられており、しかも、取り付けのため残って吊冶具に係止されているネット部分の上下長は更に短く成っていくから、風の煽りを受ける危険度も格段に低く、取り付け作業を行なうネット部を安定して支持できる効果を発揮するものである。
【0019】
また、ポールとネットは従来の構成のままでよく、吊冶具を新たに用意するのみであり、吊冶具は次のスパンへの使い回しができるから経済的にも優れ、従来と同様の取り付け作業操作で、作業工程も単純である効果を有する。
【0020】
請求項2の発明は、横設したワイヤーロープの数が奇数の場合は、準備工程において、係止部の最下部の位置に係止したワイヤーロープの取り付けに関して、垂れ下がった直下の偶数番目のワイヤーロープが存在しないため、取り付け工程3が省略されることを明らかにしたものである。
ワイヤーロープの数は、張設するネットの上下幅(高さ)によって設定されるものであり、結果としてその数が奇数になったり偶数になったりするため、数に対応して取り付け工程3の要否が決まるものである。
【0021】
請求項3の発明は、ポールの該当する取付部に当該ワイヤーロープへの取り付けが完了後、当該ワイヤーロープを支持腕の係止部から離脱させる取り付け工程2と、ポールの該当位置に取り付けられた当該ワイヤーロープから垂れ下がった直下の偶数番目のワイヤーロープと同高位置となって対応する取付部材に、その垂れ下がった連結部を取り付ける取り付け工程3に関して、支持腕の係止部に係止されたワイヤーロープは、既にポールに取り付けられて安定した状態となっているため、取り付け工程2と取り付け工程3の何れを優先させて作業をしても、互いの作業や効果に大きな影響を及ぼさずに遂行できるものである。
【0022】
請求項4の発明は、吊冶具は横設した吊支杆の両側部に支持腕が垂下し、支持腕は吊支杆に対して直角方向へ突設した係止板を有し、係止板には先端面から挿脱水平部と係止垂下部が連続した溝孔の係止部が形成してあるから、ワイヤーロープを係止部の溝孔へ挿入・引き抜きを行なうことで簡単・迅速に作業ができる効果を発揮するものである。
【0023】
請求項5の発明は、ワイヤーロープの連結部は、ループに形成し、先端を環状金具で止着したものであって、吊冶具の係止部の溝孔の幅がワイヤ―ロープの外径より広く、環状金具の外径よりも狭くしてあるため、ワイヤーロープを係止部の溝孔への挿入・引き抜きを支障なく行なえると共に、係止後の脱落を防止する効果を有する。
【0024】
請求項6及び7は吊冶具の発明であり、簡単な構成で迅速・容易・確実にネットのワイヤーロープの連結部を、吊冶具の係止部へ着脱できる効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明方法に使用する部材の一実施の形態を示す簡略化して配置した斜視図である。
【図2】本発明方法の一実施の形態を示す準備工程の斜視図である。
【図3】本発明方法の一実施の形態を示す取り付け工程において、吊冶具を吊り上げた状態の斜視図である。
【図4】本発明方法の一実施の形態を示す取り付け工程において、最下部のワイヤーロープの取り付け時の斜視図である。
【図5】本発明方法の一実施の形態を示す取り付け工程において、最上部のワイヤーロープの取り付け時の斜視図である。
【図6】本発明方法の取り付け工程のイメージを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明方法に使用する部材の一実施の形態を示し、表示を簡略化した斜視図であり、一対のポール1、1と吊冶具2及びネット3を配置して表示してある。
【0027】
一対のポール1、1は離間して立設し、各ポール1の同一の高さに取付部材11、11・・・が、ネット3に横設してあるワイヤーロープ4、4・・・の上下間隔に応じて同数設けられている。
取付部材11は、ポール1に突設した取付板12、シャックル14及び、重合する前記取付孔13とシャックル14の孔を貫通するボルト15と、固定ナット16より成り、取付板12には取付孔13を有し、シャックル14、ボルト15及びナット16は作業性を考慮してワイヤーロープ4の連結部41に仮留めして置いても良い。
【0028】
ネット3は、離間して設置するポール1、1の間隔幅より僅かに狭い横幅を有する。
図面では、適当な上下幅(高さ)を有する区分ネット7枚が、上下端部と隣設する区分ネット間に介在するワイヤーロープ4、4・・・をかがりロープ(図示せず)で縫い留めて接続し、1枚のネット3を構成している。
また、各ワイヤーロープ4の両先端部はネット3の両側から突出し、ループ42を形成して先端を環状金具43で止着し、ポール1の取り付け部材11への連結部41が形成されている。
ネット3の構成は、結果としてネット3の上下端部及び中間部に等間隔でワイヤーロープ4が横設され、ワイヤーロープ4の両端はネット3の側端より突設して連結部41が形成されたものであればよく、図面の構成に限られるものではない。
【0029】
吊冶具2は、横設した吊支杆21の両側部に支持腕22が垂下した構成部材より成る。
吊支杆21には、上方へ突設した吊用金具23が複数設けてあり、水平状態を維持し吊り揚げ装置(クレーン等)5の吊ロープ51を結着して任意場所及び高さに吊り上げ移動できる。
支持腕22は筋交い26で補強され、吊支杆21に対して直角方向へ突設した係止板24を有し、係止板24には先端面から挿脱水平部と係止垂下部が連続した鍵状の溝孔の係止部25が形成してある。
係止部25は、隣接する上下のワイヤーロープ4の間隔より短い間隔で上下方向に連設されている。
【0030】
係止部25の溝孔の幅は、ワイヤ―ロープ4の外径より広く、連結部4の環状金具43の外径よりも狭くしてあり、ネット3の側方へ突出したワイヤーロープ4を係止部25の溝孔への挿入・引き抜きを支障なく行なえると共に、係止後の脱落を防止するものとなる。
また、係止部25の溝孔は、係止板24の先端面から直線的又は湾曲して下方へ傾斜した形状等のように、挿入・引き抜きが容易確実に行なえる形状であればよい。
【0031】
次に、ポール1、1間に吊冶具2を用いてネット3を張設する方法を、図2乃至図6に基づいて具体的に説明する。
【0032】
準備工程として、吊冶具2の支持腕22にネット3を係止支持するまでを説明する。
支持腕22の最上位の係止部25Aの溝孔に、ネット3の上端部のワイヤーロープ4Aの連結部41Aの基部を挿入して係止し、当該ワイヤーロープ4Aを支持する。
溝孔は係止板24には先端面から挿脱水平部と係止垂下部が連続しているから、連結部41Aの基部を先端面の挿脱水平部の開口から係止垂下部へ挿入すればよく、挿入後のワイヤーロープ4Aは支持腕22間に緊張し、環状金具43が係止部25Aに引っ掛かって抜け出ることがない。
【0033】
次に、直下の二番目のワイヤーロープ4Bを垂らしたままとして、次下の三番目のワイヤーロープ4Cの連結部41Cを、最上位の次下の係止部25Bの溝孔へ上記と同様にして挿入して係止し、当該三番目のワイヤーロープ4Cを支持する。
以下、上から偶数番目のワイヤーロープ4D、4F、4Hを垂らしたままとし、上から奇数番目のワイヤーロープ4E、4Gの連結部を順次下方の係止部25C、25Dの各溝孔に挿入して係止することで、ネット3が折り畳まれた様に一対の支持腕22、22に係止支持される(図2及び図3)。
【0034】
この準備工程の作業において、作業を容易化するために、吊冶具2の上方へ突設した吊用金具22に吊ロープ51を結着して、吊り上げ装置5により作業に都合のよい適宜高さとして行なってもよい。
【0035】
次にポール1、1への取り付け工程について説明する。
吊冶具2は、水平状態を維持し、吊用金具22に吊り揚げ装置5の吊ロープ51を結着し、吊り揚げ装置5を操作して吊冶具2を任意場所及び高さに、吊り上げ移動が可能と成っている。
そして、各ワイヤーロープ4の上下間隔より短い間隔で支持腕22の上下方向に係止部25が連設され、ネット3は折り畳まれる様に一対の支持腕22に係止支持されるものであり、ネット3は上下長さの2分の1以上から4分の1に近い上下長で支持腕22に係止されて吊り上げられるから、ネット3が受ける風圧を小さくでき、風に煽られ危険を回避できる。
【0036】
取り付け工程1は、最下部の位置の係止部25Dに係止したワイヤーロープ4Gの連結部41Gを、ポール1の該当する下から2番目の位置に在る取付板12Gと、高さ及び位置が対応するように吊り上げて移動し、取付板12Gにワイヤーロープ4Gの連結部41Gを取り付け固定する。
この取り付けは、予め連結部41Gに仮留めしてあるシャックル14Gの孔と、取付板12Gの取付孔13を重合してボルト15を貫通し、固定ナット16によって固定するものである。
【0037】
取り付け工程2は、ポール1の該当する取付板12Gにワイヤーロープ4Gの取り付けが完了後、当該ワイヤーロープ4Gを支持腕22の係止部25Dから離脱させる。
ワイヤーロープ4Gの連結部41Gの基部を、係止部25Dの溝孔から引き抜くには、手動でも充分可能であるけれど、容易でない場合はハンマー等で叩打して押し出してもよい。
【0038】
取り付け工程3は、ポール1の該当位置に取り付けられた当該ワイヤーロープ4Gから垂れ下がった状態となっている直下のワイヤーロープ4Hと、同じ高さ位置となって対応する最下部に位置する取付板12Hに、その垂れ下がった連結部41Hを、上記と同様にシャックル14Hで取り付けるものである。
【0039】
そして、ワイヤーロープ4G、4Hはポール1の取付板12G、12Hに取り付けられて吊冶具2から離脱した結果、支持腕22の最下部の位置に係止されていることに成ったワイヤーロープ4Eの連結部41Eと、垂れ下がった状態の直下のワイヤーロープ4Fの連結部41Fを、対応した高さ位置のポール1、1の取付板12E、12Fに対応させるため、吊り揚げ装置5を操作して、ワイヤーロープ4の2つ分の間隔を更に吊り上げて対応させ、上記の取り付け工程1乃至3を繰り返して取り付けて行く。
【0040】
同様の工程を経て、ワイヤーロープ4C、4Dを、ポール1、1の取付板12C、12Dに取り付け、最後にワイヤーロープ4A、4Bを、ポール1、1の取付板12A、12Bに取り付けることで、下方のネット部から上方のネット部のワイヤーロープ4をポール1に取り付けて行くことができる。
各工程の作業位置の高さによっては、高所作業車6に乗った作業員が行なうことは従前どおりである。
【0041】
ワイヤーロープ4を支持腕22の係止部25から離脱させる取り付け工程2と、垂れ下がった直下のワイヤーロープ4の連結部41を取り付ける取り付け工程3に関して、支持腕22の係止部25に係止されたワイヤーロープ4はポール1に取り付けられて安定した状態となっているため、取り付け工程2と取り付け工程3の何れを優先させて作業をしても、互いの作業や効果に大きな影響を及ぼさずに遂行できる。
【0042】
また、横設したワイヤーロープ4の数が奇数の場合は、準備工程において、係止部25の最下部の位置に係止したワイヤーロープ4の取り付けに関して、垂れ下がった直下の偶数番目のワイヤーロープ4が存在しないため、取り付け工程3は省略される。
【0043】
以上、本発明を実施の形態を図面に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の思想を逸脱することない範囲の他の実施の形態にも適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 ポール
11 取付部材
12(12A〜12H) 取付板
13 取付孔
14(14A〜14H) シャックル
15 ボルト
16 ナット
2 吊冶具
21 支杆
22 支腕杆
23 吊用金具
24 係止板
25(25A〜25D) 係止部
3 ネット
4(4A〜4H) ワイヤーロープ
41(41A〜41H) 連結部
42 ループ
43 環状金具
5 吊り揚げ装置
51 吊ロープ
6 高所作業車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットの上下端部及び中間部に等間隔でワイヤーロープが横設され、ワイヤーロープの両端はネットの側端より突設して連結部が形成されたネットを、離間して立設した一対のポールのワイヤーロープの上下間隔に応じて同数設けられた取付部材に、前記ワイヤーロープの連結部を取付けて、ネットをポール間に張設する方法において、
ワイヤーロープの上下間隔より短い間隔で上下方向に係止部を連設した一対の支持腕を有する吊冶具に、最上位の係止部にネットの上端部のワイヤーロープの連結部を着脱可能に係止して当該ワイヤーロープを支持し、直下の二番目のワイヤーロープを垂らして、次下の三番目のワイヤーロープの連結部を最上位の次下の係止部に着脱可能に係止して当該三番目のワイヤーロープを支持し、以下、上から偶数番目のワイヤーロープを垂らして、上から奇数番目のワイヤーロープの連結部を順次下方の係止部に係止し、ネットが折り畳まれる様に一対の支持腕にネットを係止支持する準備工程、
この吊冶具を、係止部の最下部の位置に係止したワイヤーロープの連結部を、ポールの該当する取付部材の位置に対応するように吊り上げて移動し、該当する取付部材に当該ワイヤーロープの連結部を取り付け固定する取り付け工程1、
ポールの該当する取付部に当該ワイヤーロープの取り付けが完了後、当該ワイヤーロープを支持腕の係止部から離脱させる取り付け工程2、
ポールの該当位置に取り付けられた当該ワイヤーロープから垂れ下がった直下の偶数番目のワイヤーロープと同高位置となって対応する取付部材に、その垂れ下がった連結部を取り付ける取り付け工程3、
そして、上記の結果、支持腕の最下部の位置に係止したワイヤーロープと成った奇数番目のワイヤーロープの連結部と、垂れ下がった状態の直下の偶数番目のワイヤーロープの連結部を、対応した高さ位置のポールの取付部材に対応させるため、ワイヤーロープの2つ分の間隔を更に吊り上げ、上記の取り付け工程1乃至3を繰り返して取り付けていくことを特徴とするネットをポール間に張設する方法。
【請求項2】
横設したワイヤーロープの数が奇数の場合は、準備工程において、係止部の最下部の位置に係止したワイヤーロープの取り付けに関して、垂れ下がった直下の偶数番目のワイヤーロープが存在しないため、取り付け工程3が省略されることを特徴とする請求項1記載のネットをポール間に張設する方法。
【請求項3】
取り付け工程2と取り付け工程3の順序を入れ替えて行なうことを特徴とする請求項1又は2記載のネットをポール間に張設する方法。
【請求項4】
吊冶具は横設した吊支杆の両側部に支持腕が垂下し、支持腕は吊支杆に対して直角方向へ突設した係止板を有し、係止板には先端面から挿脱水平部と係止垂下部が連続した溝孔の係止部が形成してあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のネットをポール間に張設する方法。
【請求項5】
ワイヤーロープの連結部は、ループに形成し先端を環状金具で止着したものであって、吊冶具の係止部の溝孔の幅がワイヤ―ロープの外径より広く、環状金具の外径よりも狭いことを特徴とする請求項4記載のネットをポール間に張設する方法。
【請求項6】
横設した吊支杆の両側部に支持腕が垂下し、支持腕は吊支杆に対して直角方向へ突設した係止板を有し、係止板には先端面から挿脱水平部と係止垂下部が連続した溝孔の係止部が形成してあることを特徴とするネットをポール間に張設するための吊冶具。
【請求項7】
ネットに横設して側方に突出したワイヤ―ロープをループに形成し、先端部を環状金具で止着した連結部において、係止部の溝孔の幅が、当該ワイヤ―ロープの外径より広く、環状金具の外径よりも狭いことを特徴とする請求項6記載のネットをポール間に張設するための吊冶具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−251316(P2012−251316A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123009(P2011−123009)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000152963)株式会社日本パーツセンター (14)
【Fターム(参考)】