説明

ネットワークコンポーネントを動的に設定する方法及びシステム

【課題】ネットワークコンポーネントを動的に設定する方法を提供する。
【解決手段】この方法は、第1のネットワーク接続コンポーネントからコンテンツに対する要求を受け取ること(901)、及び、コンテンツの少なくとも一部に対して必要なメディアサービスのタイプを確定することを含む。さらにこの方法は、コンテンツの少なくとも一部を第2のネットワーク接続コンポーネントから第3のネットワーク接続コンポーネントに転送するようにネットワークデータ中継コンポーネントを設定すること(903)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的にはストリーミングメディア送信に関する。
【背景技術】
【0002】
ストリーミングメディア送信には、データパケットを使用してストリーミングですなわち連続した方法でインターネットにより音声及び画像を送信することが含まれる。
ストリーミングメディアを受信する最も有効な方法には、ケーブルモデム又はデジタル加入者線(DSL)等の何らかの形態のブロードバンド技術が必要である。
通常のストリーミングメディア送信では、一般に従来のクライアント・サーバモデルが関与する。
【0003】
図1は、通常のクライアント・サーバモデルを示し、従来のクライアント・サーバ通信を例示する。
ストリーミングメディアセッションでは、ストリーミングクライアントは、通常、図1に示すように単一サーバと通信しているものと想定する(クライアントからサーバへのデータに対する要求及びデータ配信を示す矢印を参照)。
それにもかかわらず、メディア配信インフラストラクチャは、単一サーバソリューションから、図2に示すものようなオーバーレイネットワークの形態で複数の分散サーバを組み込んだ配信インフラストラクチャを含むように発展してきた。
【0004】
オーバーレイネットワークのサーバ又はノードは、ウェブ(Web)及びストリーミングメディアの配信を強化する機能を提供する。
しかしながら、オーバーレイアーキテクチャを採用する従来のシステムには2つの重要な制限がある。
第1に、それらは、通常、オーバーレイノードのキャッシング能力のみを利用する。
第2に、こうしたキャッシング能力を実現するために明示的なクライアントの関与が必要な場合がある。
オーバーレイキャッシングの一例は、コンテンツ配信ネットワーク(Content Distribution Networks)(CDN)であり、その動作を図2に示す。
CDNでは、コンテンツは複数のオーバーレイノードにおいて事前に複製され、そのためクライアントはオリジナルサーバより近いオーバーレイノードのコンテンツにアクセスすることができる。
【0005】
オーバーレイキャッシングの別の一般的な例は、ウェブキャッシングである。
ウェブキャッシングは、コンテンツがウェブキャッシュに、CDNのように事前に配信されるのではなくオンデマンドに配信されるという点で、CDNとは異なる。
Netscape(商標)及びInternet Explorer(商標)ウェブブラウザの現バージョンは、すべてのウェブトラフィックを指定されたウェブキャッシュに向けることができるようにするプロキシ構成をサポートする。
この機能により、移動中である(in motion)ネットワークトラフィックの総量が低減し、これらのブラウザの応答時間が向上する。
それにもかかわらず、上記プロキシソリューションでは、アプリケーションの側における明示的なプロキシサポートと、ユーザの側におけるプロキシを適当に設定するための知識とが必要である。
その結果、間違って設定されたブラウザ及びプロキシサポートのないブラウザに対し、ウェブトラフィックをウェブキャッシュにリダイレクトするデフォルトメカニズムが依然として必要である。
【0006】
ウェブキャッシングに関してクライアントの関与を排除する既存のソリューションは、複数の既存のルータによってサポートされるウェブキャッシュ通信プロトコル(Web Cache Communication Protocol)(WCCP)を含む。
特に、WCCPを通して、ルータは、ウェブトラフィック又はハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)トラフィックを指定されたウェブキャッシュに選択的に又は完全にリダイレクトことができる。
【0007】
図3は、WCCP対応ルータの動作を示す。
図3を参照すると、ブラウザクライアントBがサーバSに対してコンテンツを要求する場合、BとSとの間の経路に位置するWCCP対応ルータRは、すべてのHTTPトラフィックをウェブキャッシュCにリダイレクトするように設定される。
このように、Bは、要求がSに向けられていても、C(コンテンツが受け取られるべきより効率的な場所)から所望のコンテンツを取得することができる。
クライアントBは、データが実際にはウェブキャッシュCから提供されている時に、サーバSと通信していると考える。
クライアントBはキャッシングメカニズムに気付かないため、この手続きはクライアントに透過的である。
対照的に、クライアントにおいてプロキシを設定することが必要なソリューションは、クライアントがキャッシュと通信するように明示的に命令されるためクライアントに透過的ではない。
【0008】
WCCPのほかに、クライアント要求の適当なサーバへのリダイレクションを達成するために利用される複数の他のメカニズムがある。
一般的な技法は、インターネットドメインネームサービス(Internet Domain Name Service)(DNS)の変更形態に基づき、ルータサポートの存在を想定しない。
【0009】
ウェブページへの単純なアクセスは、通常、図1及び図2に示すように、(1)クライアントの要求、(2)それに続く要求されたデータのサーバによる送信、の2つのステップから成ることが認識されるべきである。
しかしながら、ストリーミングメディアコンテンツへのアクセスは、通常、より多くのステップを含む。
いくつかの産業同盟(industrial alliance)及び作業部会は、メディアデータ自体の配信のための別個のプロトコルとともに採用される、ストリーミングメディアセッション制御のための軽量なプロトコルを使用することを提案した。
【0010】
1つのこうした公式化では、メディアセッション制御及びメディアデータ配信それぞれのために、リアルタイムストリーミングプロトコル(RTSP)及びリアルタイムトランスポートプロトコル(RTP)がともに使用される。
典型的なセッションを図4に示す。
【0011】
図4を参照すると、サーバ能力の問合せを伴うこうしたプロセスの初期ステップは任意である。
しかしながら、ステップ2及びステップ3は、一般に、再生要求が発行されコンテンツストリーミングが開始する前にストリーミングクライアントとサーバとの間で実行される。
【0012】
図4のステップ2において、要求されたコンテンツの記述が要求側クライアントに返される。
その記述は、利用可能なストリームのメニュー、たとえば異なるフォーマットで利用可能な音声ストリーム及びビデオストリームの仕様としての役割を果たす。
各ストリームに関するフォーマット情報に加えて、個々のストリームにアクセスする方法に関するネットワーク情報もまた提供される。
そして、ステップ3において、クライアントは、ステップ4において選択されたストリームの転送を達成する再生要求を発行する前に、利用可能なストリームのメニューから所望のストリームのセットを選択する。
【0013】
上述した技法の各々は、事前に既知であるロケーションに対する、要求の初期リダイレクションのみを扱う。
さらに、説明したシステムはいずれも、ストリーミングメディアコンテンツの異なるメディアストリームのサービスニーズに対応するようにそれ自体を動的に再設定する能力を有していない。
【特許文献1】欧州特許出願公開第1309149号
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/028643号
【非特許文献1】ROY S ET AL: "A system architecture for managing mobile streaming media services" MULTIMEDIA SIGNAL PROCESSING, 2002 IEEE WORKSHOP ON 9-11 DEC. 2002, PISCATAWAY, NJ, USA,IEEE, 19 May 2003 (2003-05-19), pages 408-413, XP010642405 ISBN: 0-7803-7713-3 page 409, right-hand column, line 20 - page 410, right-hand column, paragraph 4
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本明細書に組み込まれ且つその一部を形成する添付図面は、本発明の実施形態を例示し、説明とともに本発明の原理を説明する役割を果たす。
【課題を解決するための手段】
【0015】
ネットワークコンポーネントを動的に設定する方法が開示されている。
一実施の形態では、この方法は第1のネットワーク接続コンポーネントからコンテンツに対する要求を受け取ること、及び、コンテンツの少なくとも一部に対して必要なメディアサービスのタイプを確定することを含む。
さらにこの方法は、コンテンツの少なくとも一部を第2のネットワーク接続コンポーネントから第3のネットワーク接続コンポーネントに転送するようにネットワークデータ中継コンポーネントを設定することを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
ここで、本発明の実施形態について詳細に言及する。
それらの例を、添付図面に示す。
本発明を、これらの実施形態に関連して説明するが、本発明がこれらの実施形態に限定されるようには意図されていないということが理解されよう。
むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の精神及び範囲内に含まれ得る代替形態、変更形態及び等価形態を包含することが意図されている。
さらに、本発明の以下の詳細な説明では、本発明が完全に理解されるために多数の特定の詳細を示す。
しかしながら、本発明を、これらの特定の詳細なしに実施してもよい。
他の場合では、本発明の態様を不必要に不明瞭にしないように、既知の方法、手続き、構成要素及び回路については詳細に説明していない。
【0017】
本発明の実施形態によるネットワークコンポーネントの動的設定
図5は、本発明の一実施形態によるメディアサービス配信ネットワーク500を示す。
一実施形態によれば、メディアサービス配信ネットワーク500は、メディアサービスのネットワーク接続クライアントへの配信をサポートする、クライアント・サーバコンポーネントとオーバーレイインフラストラクチャとの両方を含む。
メディアサービス配信ネットワーク500は、適当なネットワークロケーションでサービスされるようにストリームの選択的再ルーティングを達成する、ネットワークスイッチの動的設定に適応する、ということが認識されるべきである。
図5は、クライアント501、リアルタイムストリーミングプロトコル(RTSP)サーバ503、コンテンツサーバ505、メディアサービス507、ネットワーク509及びネットワークデータ中継コンポーネント(たとえば、スイッチ、ルータ、コンピュータ等)511を示す。
【0018】
クライアントデバイス501は、ネットワーク509に接続され、ネットワークチャネルを介して送信される通信を通して他のネットワーク接続デバイスに対しサービスを請求することができる。
本発明の一実施形態によれば、クライアントデバイス501が、要求の送信を通して等、ネットワーク接続コンテンツサーバ(たとえば505)に対し所望のストリーミングコンテンツを請求する場合、その要求を、オーバーレイインフラストラクチャのコンポーネントとして提供されることが可能なRTSPサーバ(たとえば503)にリダイレクトすることができる。
こうした実施形態によれば、クライアントは、RTSPサーバ(たとえば503)から、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)ポート等の異なる識別子を使用してクライアントデバイス501に配信されるように設計されている利用可能なストリーム(たとえば音声、ビデオ)のリストを取得することができる。
【0019】
本明細書で説明するリダイレクトプロセスを、いかなるネットワーク接続クライアントデバイスから送信される要求に対しても適用することができる、ということが認識されるべきである。
また、いかなるネットワーク接続クライアントデバイスも、こうしたリダイレクトプロセスの存在に気がつかない、ということも認識されるべきである。
したがって、本明細書で説明する動的ストリーミングメディアコンテンツリダイレクトシステム及び方法はクライアントに透過的である。
【0020】
RTSPサーバ503は、通常のクライアント・サーバプラットフォームに重ね合されるネットワークオーバーレイインフラストラクチャのコンポーネントとして提供される。
一実施形態によれば、RTSPサーバ503には、それが、最初はネットワークの第1のポイントからネットワークの第2のポイントへ(たとえばコンテンツサーバからクライアントデバイスへ)直接送信されるように予定されるパケットの、ネットワークの第3のポイント(たとえばメディアサービスプロバイダ)へのリダイレクションをもたらすことを可能にする情報が提供される。
クライアントデバイス(たとえば501)からのセッション開始要求を受け取ると、RTSPサーバ503は、ネットワークスイッチを、指定されたパケットを適当なサービスロケーションにリダイレクトするように設定することができる、ということが認識されるべきである。
【0021】
メディアサービス507は、ストリーミングメディアコンテンツに対し指定されたサービスを実行することができるネットワーク接続コンポーネントである。
提供することができるサービスには、限定されないが、表示サイズ、ビットレート、ビデオ用の圧縮規格、サンプリングレート、品質、及び音声用の圧縮規格等のフォーマット変換サービスが含まれてもよい。
【0022】
ネットワークデータ中継コンポーネント(たとえば、スイッチ、ルータ、コンピュータ等)511は、パケットをリダイレクトするようにプログラムすることができるネットワーク接続コンポーネントである。
一実施形態によれば、スイッチの設定を、RTSPサーバ(たとえば503)が実行してもよい。
例示的な実施形態により、ネットワークデータ中継コンポーネント511をインプリメントするために多くのタイプのスイッチ及びルータを使用することができる、ということが認識されるべきである。
こうしたスイッチには、限定されないがHP ProCurve 530xシリーズスイッチが含まれてもよい。
さらに、ネットワークデータ中継コンポーネント511を、本明細書で説明する切替え機能を提供することができる他の任意のタイプのゲートウェイコンポーネントを使用してインプリメントしてもよい。
【0023】
コンテンツサーバ505は、他のネットワーク接続デバイスがアクセスすることができるデータ及びアプリケーションを格納することができるネットワーク接続デバイスである。
コンテンツサーバ505は、他のネットワーク接続デバイスからのサービスの要求の対象として機能することができる、ということが認識されるべきである。
例示的な実施形態によれば、コンテンツサーバ505によって提供されないクライアントデバイスから請求されるサービスを、こうしたサービスを提供することができる他のネットワーク接続デバイスによってこうしたクライアントデバイスに提供することができる。
請求されたサービスを提供するネットワーク接続デバイスの識別と、識別されたデバイスへのストリームのリダイレクトとを、本明細書で説明する指定されたネットワークスイッチの動的設定を使用して、メディアストリームの選択的再ルーティングを通して達成することができる。
【0024】
ネットワーク509は、ネットワークデバイスを接続し、ネットワーク接続デバイス間の通信を容易にする。
ネットワーク509は、メディアストリームの選択的再ルーティングを達成するオーバーレイインフラストラクチャを含む通常のクライアント・サーバ構成を含む。
【0025】
図6は、本発明の一実施形態による、ネットワーク接続デバイスとストリーミングメディアコンポーネントとの間の相互関係を例示する機能ブロック図を示す。
図6は、ネットワークデータ中継コンポーネント(たとえばスイッチ、ルータ等)511、クライアントデバイス501、メディアサービス507、到来(incoming)メディアストリーム601、非リダイレクトメディアストリーム603、リダイレクトメディアストリーム605及びサービスメディアストリーム607を示す。
【0026】
図5に関して論考したように、ネットワークデータ中継コンポーネント511を、メディアストリーム又はそのコンポーネントを再ルーティングするように動的に設定することができる。
たとえば、到来メディアストリーム601が、適当に処理されるためにはメディアサービスへのリダイレクションが必要であるストリームコンポーネント603を含む場合、ネットワークデータ中継コンポーネント511は、サービスされる必要のあるストリームコンポーネントを適当なメディアサービス507にリダイレクトし、他のパケットを直接適当なクライアントデバイス501に転送することができる。
【0027】
ネットワークデータ中継コンポーネント511は、到来メディアストリーム501のパケットを、非リダイレクトメディアストリーム603コンポーネントとリダイレクトメディアストリーム605コンポーネントとに分離するように設定される、ということが認識されるべきである。
分離されたコンポーネントは、適当に転送される。
このプロセスにより、RTSPサーバ(たとえば、図5の構造503参照)によって動的に(要求が受け取られる際に)提供されるネットワークデータ中継コンポーネント511の設定に基づき、到来メディアストリームの指定されたコンポーネント(たとえば605)がネットワークスイッチにより選択的に再ルーティングされることとなるということが認識されるべきである。
【0028】
図7は、本発明の一実施形態による、ネットワークデータ中継コンポーネント(たとえば、スイッチ、ルータ等)511の動的設定をもたらすプロセスにおいて実行される動作を例示する。
図7は、クライアントデバイス501からコンテンツサーバ505に対し、クライアントデバイス501が適応するように装備されていないフォーマット(たとえば音声)でしかコンテンツサーバ505が提供することのできないコンテンツに対する要求がなされた場合に、ネットワークスイッチを、コンテンツをリダイレクトするようにいかに設定することができるかを例示する。
【0029】
こうした場合に、メディアサービス507が請求されたコンテンツを所望のフォーマットに変換することができる場合、RTSPサーバ503によって配信を容易にすることができる。
一実施形態によれば、これを、クライアントデバイス501に対してコンテンツ要求をRTSPサーバ503に通信させることによって達成することができ、これによって、コンテンツの音声部分の音声フォーマット変換を、コンテンツのその部分を所望のフォーマット変換を実行することができるメディアサービスデバイス507に選択的に再ルーティングすることにより容易に行うことができる。
【0030】
音声ストリームとビデオストリームとをともに含むストリーミングセッションの場合、通常のネットワークインフラストラクチャは、単に同じ経路を使用して両ストリームを配信する、ということが認識されるべきである。
その結果、上述したような場合、音声ストリームとビデオストリームとはともに、メディアサービスデバイス507を通してルーティングされる必要がある。
こうした方法は、メディアサービスが実際には低帯域幅音声ストリームに対してのみ必要とされるため、資源を消耗する。
さらに、高帯域幅ビデオストリームが、不必要に追加の距離をルーティングされなければならない。
【0031】
図7を参照すると、本明細書で説明するリダイレクション技法を使用して、クライアントデバイス501から、コンテンツサーバ505からのストリーミングコンテンツに対する要求がなされる場合、その要求を、オーバーレイインフラストラクチャの一部であるRTSPサーバ503にリダイレクトすることができる(上記RTSPサーバ503の説明を参照)。
RTSPサーバ503を通して、クライアント501は、それぞれ音声ポートN及びビデオポートN(図示せず)でクライアント501に配信されるべき音声ストリームS及びビデオストリームSを含む、利用可能なストリームのリストを取得することができる。
この例では、音声ストリームSに対してメディアサービス507が実行される必要があるものとする。
クライアント501からセッション開始要求を受け取ると、RTSPサーバ503は、コンテンツサーバ505からクライアント501に対するすべてのパケットがメディアサービス507に向けられるように、ネットワークデータ中継コンポーネント511を設定するために十分な情報を有する。
【0032】
図7を参照して説明した動作から2つの結果がもたらされる。
第1に、ポートNにおいてクライアント501に対して配信されることになっている高ビットレートビデオストリームSは、直接501に配信される。
第2に、507に配信される必要のある低ビットレート音声ストリームSのみが再ルーティングされる(後の図8の論考を参照)。
【0033】
図8は、本発明の一実施形態による、動的スイッチ設定プロセスからもたらされるストリームの選択的再ルーティングの一例を示す。
図8は、要求されたストリーミングメディアコンテンツコンポーネントが、コンテンツサーバ505からクライアントデバイス501まで移動する際に進む経路を示す。
【0034】
図8を参照すると、ネットワークデータ中継コンポーネント511がストリーミングコンポーネントをメディアサービスデバイス507にリダイレクトするように設定された後(図7を参照して説明したように)、コンポーネントS(ストリーミングビデオ)及びコンポーネントS(ストリーミング音声)から成る到来ストリームは、コンポーネント部分が別々のストリームに分離されて解析される。
この分離により、ストリームのビデオコンポーネントSを、サービスされるためにメディアサービス507に転送することが容易になる。
サービスされると、メディアストリームコンポーネント(たとえばS)は、使用されるためにエンドユーザ(たとえばクライアントデバイス501)に転送される。
【0035】
図7及び図8を参照して説明した実施形態のパフォーマンスペナルティは最小限であるということが認識されるべきである。
一実施形態によれば、RTSPサーバ507への要求のルーティングを実行するために、ネットワークデータ中継コンポーネント511は、RSTPパケットを再ルーティングするように設定されるだけでよい。
こうした再ルーティングは、リアルタイムトランスポート(RTP)によって搬送されるメディアデータの再ルーティングに比較して非常に低ボリュームのタスクを構成する。
さらに、再ルーティングは、必要な場合にのみ実行される。
RTSPサーバ507は、ユーザ要求が到達するとネットワークデータ中継コンポーネント511を動的に設定し、メディアストリーミングが終了すると設定を取り消す能力を有する、ということに留意されたい。
セッション制御情報に基づくこのタイプのオンデマンド設定は、一般のウェブアクセスでは可能ではない。
それは、それらの場合、利用可能なセッション情報がないためである。
【0036】
[本発明の実施形態による動作例]
図9及び図10は、本発明の実施形態によって実行されるステップのフローチャートを示す。
フローチャートは、本発明のプロセスを含み、それらは、一実施形態では、コンピュータ読取可能且つコンピュータ実行可能命令の制御下で、プロセッサ及び電子コンポーネントによって実行される。
コンピュータ読取可能且つコンピュータ実行可能命令は、たとえば、コンピュータが使用可能な揮発性メモリ及び/又はコンピュータが使用可能な不揮発性メモリ等のデータ格納機能に存在する。
しかしながら、コンピュータ読取可能且つコンピュータ実行可能命令は、いかなるタイプのコンピュータ読取可能媒体に存在してもよい。
フローチャートには特定のステップについて開示するが、こうしたステップは例示的なものである。
すなわち、本発明は、さまざまな他のステップ又は図9及び図10に列挙するステップの変形を実行することに適している。
本実施形態内で、フローチャートのステップを、ソフトウェアによって、ハードウェアによって、又はソフトウェア及びハードウェアの任意の組合せによって実行してもよい、ということが認識されるべきである。
【0037】
図9は、一実施形態による、スイッチを動的に設定するプロセスにおいて実行されるステップのフローチャート900である。
こうしたプロセスでは、メディアサービス配信ネットワーク(たとえば500)は、適当なネットワークロケーションにおいてサービスされるためにストリームの選択的再ルーティングを達成するように、ネットワークスイッチの動的設定に適応する、ということが認識されるべきである。
【0038】
ステップ901において、第1のネットワーク接続コンポーネント(たとえばクライアントデバイス501)からのストリーミングメディアコンテンツに対する要求が、ネットワーク接続サーバ(たとえば503)によって受け取られる。
そして、ステップ903において、ネットワーク接続コンポーネント(たとえばネットワークデータ中継コンポーネント511)が、(ネットワーク接続サーバにより)、要求されたコンテンツの一部を、要求されたコンテンツを格納する第2のネットワーク接続コンポーネント(たとえばサーバ505)からサービスされるべき第3のネットワーク接続コンポーネント(たとえばメディアサービス507)に転送するように設定される。
【0039】
図10は、本発明の一実施形態による、ストリーミングメディアコンポーネントの選択的切替えのプロセスにおいて実行されるステップのフローチャート1000である。
メディアストリームコンポーネントを選択的に切り替えることができる能力により、メディアストリームの選択されたコンポーネントを分離すること、及びサービスされるためにメディアサービス(たとえば507)に転送することが可能になる。
サービスされると、このメディアストリームコンポーネントを、エンドユーザ(たとえばクライアントデバイス501)に転送し、使用されるために他のメディアストリームコンポーネントと統合することができる。
【0040】
ステップ1001において、ネットワークデータ中継コンポーネントにより設定が受け取られる。
一実施形態によれば、この設定は、ネットワーク接続サーバによって実行される。
さらに、ステップ1003において、ネットワークデータ中継コンポーネントによってストリーミングメディアコンテンツが受け取られる。
一実施形態によれば、メディアコンテンツは、RSTPサーバによってスイッチに供給され、ステップ1005において、ストリーミングメディアコンテンツが分離される。
【0041】
ステップ1007において、上記ストリーミングメディアコンテンツの第1の部分が第1のネットワークロケーション(たとえばクライアントデバイス501)に転送される。
そして、ステップ1009において、上記ストリーミングメディアの第2の部分が第2のネットワークロケーション(たとえばメディアサービス507)に転送される。
サービスされると、上述したように、このメディアストリームコンポーネントをエンドユーザ(たとえばクライアントデバイス501)に転送し、使用されるために他のメディアストリームコンポーネントと統合することができる。
【0042】
本発明の例示的な実施形態に関して上述したように、本発明は、ストリーミングメディアサービスをクライアントに透過的に挿入する方法を提供する。
本方法は、第1のネットワーク接続コンポーネントからコンテンツに対する要求を受け取ること、及び上記コンテンツの一部又は全体に対して必要なメディアサービスのタイプを確定することを含む。
さらに、本方法は、上記コンテンツの一部又は全体を第2のネットワーク接続コンポーネントから第3のネットワーク接続コンポーネントに転送するようにネットワークスイッチを設定することを含む。
【0043】
本発明の特定の実施形態の上述した説明を、例示及び説明の目的で提示した。
それらは、網羅的であるようにも、本発明を開示した厳密な形態に限定するようにも意図されておらず、明らかに、上記教示に鑑みて多くの変更及び変形が可能である。
本発明の原理とその実際的な適用を最もよく例示することにより、当業者が、企図された特定の使用に適するよう、本発明及びさまざまな変更態様を含むさまざまな実施形態を最もよく利用することができるように、実施形態を選択し説明した。
本発明の範囲は、本明細書に添付される特許請求の範囲とそれらの等価物とによって規定される、ということが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】通常のクライアント・サーバモデルを示し、従来のクライアント・サーバ通信を例示する図である。
【図2】オーバーレイネットワークの形態で複数の分散サーバを組み込んだネットワークを示す図である。
【図3】従来のウェブキャッシュ通信プロトコル(WCCP)対応ルータの動作を例示する図である。
【図4】リアルタイムストリーミングプロトコル(RTSP)及びリアルタイムトランスポート(RTP)プロトコルを使用する従来のセッションを例示する図である。
【図5】本発明の一実施形態によるメディアサービス配信ネットワークを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態によるネットワーク接続デバイスとストリーミングメディアコンポーネントとの間の相互関係を示す機能ブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態によるネットワークスイッチの動的設定をもたらすプロセスにおいて実行される動作を例示する図である。
【図8】本発明の一実施形態による動的スイッチ設定プロセスからもたらされるストリームの選択的再ルーティングの一例を例示する図である。
【図9】一実施形態によるスイッチを動的に設定するプロセスにおいて実行されるステップのフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態によるストリーミングメディアコンポーネントの選択的切替えのプロセスにおいて実行されるステップのフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
501・・・クライアント,
503・・・RTSPサーバ,
505・・・コンテンツサーバ,
507・・・メディアサービス,
509・・・ネットワーク,
511・・・ネットワークスイッチ,
601・・・メディアストリーム,
603・・・非リダイレクトメディアストリームコンポーネント,
605・・・リダイレクトメディアストリームコンポーネント,

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークコンポーネントを動的に設定する方法であって、
第1のネットワーク接続コンポーネントからコンテンツに対する要求を受け取ること(901)と、
前記コンテンツの少なくとも一部に対して必要なメディアサービスのタイプを確定することと、
前記コンテンツの前記少なくとも一部を第2のネットワーク接続コンポーネントから第3のネットワーク接続コンポーネントに転送するようにデータ中継コンポーネントを設定すること(903)し、前記タイプのメディアサービスを受けることと
を含む方法。
【請求項2】
前記コンテンツに対する要求を受け取る前記ステップは、ネットワーク接続サーバによって実行される
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記要求は、ストリーミングメディアコンテンツに対する要求である
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のネットワーク接続コンポーネントは、クライアントデバイスである
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のネットワーク接続コンポーネントは、コンテンツサーバである
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第3のネットワーク接続コンポーネントは、前記コンテンツを受け取り、メディアサービスを実行し、前記コンテンツをクライアントデバイスに送信するメディアサービスコンポーネントである
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記設定することは、リアルタイムストリーミングプロトコル(RTSP)サーバによって実行される
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記コンテンツは、前記第1のネットワーク接続コンポーネントに向かう途中で前記第3のネットワーク接続コンポーネントにリダイレクトされる
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記要求は、インターネットドメインネームサービス(DNS)ベースのリダイレクション技法を使用してリダイレクトされる
請求項1に記載のネットワークコンポーネントを動的に設定する方法。
【請求項10】
前記コンテンツ又は前記要求は、ウェブキャッシュ通信プロトコル(WCCP)ルーティングメカニズムを使用してリダイレクトされる
請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−510226(P2007−510226A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538145(P2006−538145)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/035270
【国際公開番号】WO2005/046176
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】