説明

ネットワークシステム、上位装置及び下位装置

【課題】装置間のラウンドトリップタイムを精度よく求める。
【解決手段】複数の下位装置と、前記複数の下位装置に接続される上位装置と、を備えるネットワークシステムであって、前記各下位装置は、前記各下位装置の時刻を表すタイムスタンプと、前記上位装置から通知されたタイムスタンプとの差によって、タイムスタンプドリフト量を計測するドリフト計測部を有し、前記上位装置は、前記下位装置との間の往復伝送時間を計測するRTT計測部を有し、前記各下位装置又は前記上位装置は、前記計測された往復伝送時間及び前記タイムスタンプドリフト量に基づいて、補正した往復伝送時間を算出するRTT補正部を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ラウンドトリップタイムの計測方法に関し、特に、IEEE1588に準拠して時刻同期を行うシステムにおけるラウンドトリップタイムの計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[光アクセスネットワークの普及]
近年、インターネットの普及に伴い、ネットワークへの高速化への要求が高まり、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、そしてB−PON(Broadband PON)、E−PON(Ethernet PON)、G−PON(Gigabit Capable PON)の普及が進んでいる。特に、PON方式は、局に置かれる収容局(OLT:Optical Line Terminal)と各ユーザー宅に置かれるネットワークユニット(ONU:Optical Network Unit)との間を接続する際に、OLTから1本のファイバを出し、光スプリッタを用いて分岐して各ユーザーが接続される。このため、ファイバの敷設コストが安く、かつ光伝送を用いるため高速に通信を行うことが可能であるため、世界各国で普及が進んでいる。
【0003】
[PON方式]
PON方式の中でも、OLTからONUへの下り伝送用とONUからOLTへの上り伝送用で別の波長の光を用い、ONU毎の信号を時分割するTDM−PON方式が広く利用されている。このTDM(Time Division Multiplexing)−PON方式は、B−PON、E−PON、G−PON、10G−EPON、XG−PONにおいて採用されている。
【0004】
[TDM−PONでの伝送方式]
TDM−PONにおける、下り伝送および上り伝送に関して説明する。下り伝送においては、OLTは連続した光信号を送出し、光スプリッタを介して全ONUに光信号が届く。ONUは、受信した光信号のフレームに付与されているリンク識別子に基づいて、そのフレームが自宛かを識別し、自宛のフレームのみを受信する。また、上り伝送においては、各ONUは光信号の衝突を防ぐために、OLTから指示された送信タイミングに基づいて、光信号を送信する。OLTは、送信を許可する期間を指示する制御フレームを各ONUに送信する。ONUは、送信を許可された期間に、上りの制御信号および上りデータを送信する。また、ONUは、接続している端末から受信したフレームのデータ量に基づいて、帯域要求量をOLTに要求する制御フレームをOLTに送信する。一般的には、ONUに送信を許可する期間は、ONUが要求した帯域要求量に基づいて動的に制御する、DBA(Dynamic Bandwidth Allocation)制御が利用されている。
【0005】
[モバイルバックホールへのPON適用]
モバイル端末の普及や高速化に伴い、ネットワークのトラフィックが増大している。そのため、モバイルバックホールにおいて要求される伝送速度も増大している。また、モバイルバックホール構築にかけるコストの低減も要求されており、低コストで高速な伝送速度を実現可能なPONがモバイルバックホールに適用されている。
【0006】
[基地局間の時刻同期の必要性]
モバイル基地局においては、ハンドオーバーを実現するために基地局間で時刻を同期する必要がある。そのため、従来は、各基地局にGPS受信機を設置して、各基地局が正確な時刻を取得し、基地局間で時刻を同期していた。しかし、GPSアンテナおよびGPS受信機の利用にはコストが掛かり、また、屋内に基地局を設置する場合には、GPSによる時刻同期が困難である。そのため、ネットワークを介して時刻同期を実現するプロトコルであるIEEE1588を利用した基地局間の時刻同期が検討されている。
【0007】
[IEEE1588での時刻同期の動作シーケンスの例]
PONを介してIEEE1588により時刻同期を実現する場合の動作シーケンス例を図21、図22に示す。IEEE1588においては、ネットワーク機器に適用するノードとしてBoundary Clock、End−to−End Transparent Clock、Peer−to−Peer Transparent Clockなどが定義されている。図21は、OLT及びONUを有するPON全体をBoundary Clockとみなして動作させる場合の例を示し、図22は、OLT及びONUを有するPON全体をEnd−to−End Transparent Clockとみなして動作させる場合の例を示す。
【0008】
Boundary Clockを適用した場合の動作を説明する。まず、マスタークロック装置とOLTとの間でIEEE1588プロトコルのフレームを転送して、マスタークロック装置とOLTとの間での時刻同期を確立する(SIG201〜SIG203)。次に、OLTとONUとの間での時刻同期を確立する(SIG204〜SIG206)。なお、OLT−ONU間の時刻同期のプロトコルはどのようなプロトコルでも構わない。最後に、ONUと基地局のスレーブクロック装置との間でIEEE1588プロトコルのフレームを転送して、ONUと基地局のスレーブクロック装置との間で時刻同期を確立する。以上のように各装置間で同期を確立することによって、マスタークロック装置と基地局のスレーブクロックとの間における時刻同期を確立することが可能となる。
【0009】
次に、End−to−End Transparent Clockを適用した場合の動作を説明する。まず、OLTとONUとの間でのローカルな時刻で同期を確立する。このローカルな時刻はマスタークロック装置の時刻と同期していなくてもよい。次に、マスタークロック装置と基地局のスレーブクロック装置との間でIEEE1588のフレームを転送して、時刻同期を確立する(SIG301〜SIG309)。OLT及びONUにおいては、IEEE1588のフレームを終端せずに透過させる。Syncフレームを透過させる際には、OLTのNNIにSyncフレームが入力されてからONUのUNIからSyncフレームが出力されるまでの滞留時間D1を計測して、Syncフレーム(SIG303)のフィールドに滞留時間D1の情報を格納し、ONUからSyncフレームを送信する。また、Delay_Reqフレームを透過させる際には、ONUのUNIにDelay_Reqフレームが入力されてからOLTのNNIからDelay_Reqフレームが出力されるまでの滞留時間D2を計測して、Delay_Reqフレーム(SIG305)のフィールドに滞留時間D2の情報を格納し、OLTからDelay_Reqフレームを送信する。
【0010】
[PONでの時刻同期技術]
PONを介してIEEE1588プロトコルによって時刻を同期するためには、OLT−ONU間で時刻を同期する必要がある。OLT−ONU間での同期手順は、例えば、特許文献1、特許文献2及び非特許文献2に記載されている。非特許文献2に記載されたOLT−ONU間での時刻同期手順を、図23を用いて説明する。
【0011】
なお、ここでは、PON全体にBoundary Clockを適用した場合を想定して説明を進める。
【0012】
まず、OLT−ONU間でのラウンドトリップタイムを計測する。ラウンドトリップタイムの計測手順に関しては後述する。
【0013】
次に、OLTは、IEEE1588等によって外部から時刻情報ToDを取得し、正確な時刻と同期させる。
【0014】
次に、OLTはラウンドトリップタイムを用いて、下り方向のPON区間遅延時間を算出し、予め設定しておいたタイムスタンプXと、時刻XでのONU時刻Txを算出し、タイムスタンプXとONU時刻TxをONUに通知する。
【0015】
最後に、ONUは、受信したタイムスタンプXとONU時刻Txの情報より、正確な時刻に同期させ、ONUに接続している端末装置に時刻情報を通知する。
【0016】
このような手順にてOLT−ONU間の時刻を同期させるためには、PON区間でのラウンドトリップタイムを計測する必要があることが分かる。
【0017】
[従来のRTT計測シーケンス]
IEEE802.3avにおいては、OLTとONU間の伝送往復時間であるラウンドトリップタイムを計測する手順が規定されている。図24に、IEEE802.3avで規定されたラウンドトリップタイム計測シーケンスを示す。ラウンドトリップタイムを計測するためには、OLTとONUのMPCP時刻を関連付け、その後でラウンドトリップタイムを計測する。
【0018】
まず、OLTはONU毎に定期的にGATEフレームを送信する(SIG501)。GATEフレームがOLTより送出されたMPCP時刻をT0とする。このGATEフレームには送出されたMPCP時刻のタイムスタンプを格納するフィールドがあり、このフィールドにT0が格納される。
【0019】
ONUは、このGATEフレームを受信したMPCP時刻をt0に設定する。ONUは、GATEフレームを受信すると、ONUで管理しているMPCP時刻t0をT0に更新する。このように、OLTのMPCP時刻とONUのMPCP時刻とを関連づけて管理している。クロック周波数の差などに起因して、OLTが管理しているMPCP時刻とONUが管理しているMPCP時刻との進む速度が異なっている場合でも、ONUのMPCP時刻が大きくずれないようにしている。
【0020】
次に、ラウンドトリップタイムの計測手順を説明する。OLTがGATEフレームをOLTのMPCP時刻T1に送出する(SIG502)。このGATEフレームを受信したONUは、ONUのMPCP時刻をt1からT1に更新する。そして、GATEフレームによって送信が許可された時刻になると、REPORTフレームを送出する(SIG503)。なお、REPORTフレームを送出した時刻をt2が、REPORTフレーム内のタイムスタンプフィールドに格納される。OLTは、REPORTフレームを受信すると、OLTのMPCP時刻T3を取得する。OLTはt2およびT3の差よりRTTを計測する。
【0021】
ラウンドトリップタイム(RTT)は、下りの遅延時間と上りの遅延時間の和であるため、以下の式によって算出することができる。
RTT = Tdownstream + Tupstream
= Tresponse - Twait
= (T3 - T1) - (t2 - T1)
= T3 - t2
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2009−47311号公報
【特許文献2】特開2009−65443号公報
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】IEEE802.3av
【非特許文献2】Time of day Distribution over E-PON,HUAWEI TECHNOLOGIES CO., LTD,2009年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
前述した特許文献1及び特許文献2に記載された技術では、RTTが精度よく測定できることを前提としている。そのため、測定したRTTに誤差がある場合には、時刻同期精度が低下する。特に、Ethernetの通信では、装置間で時刻が同期していないため、装置間でクロック周波数が異なる場合があり、多くの仕様では最大のずれとして100ppmまで許容している。
【0025】
例えば、OLTの周波数が正確であるが、ONUの周波数が正確な基準値からずれたクロックを用いてRTTを計測すると、RTTの算出で利用されるt2に誤差が生じる。例えば、Twait=2ms、ONUの周波数のずれを100ppmとすると、t2には 2ms×10-4=200nsの誤差が生じる。従って、片道の遅延時間では200ns/2=100ns程度の誤差が生じる。10G−EPONを介してIEEE1588適用する場合においては、PONでの時刻同期の精度として100ns以下を要求することもあり、要求される時刻同期精度を満たすことができない。
【0026】
従って、OLTとONUとの周波数がずれている場合においても、OLT−ONU間のラウンドトリップタイムを精度よく計測可能な方法が望まれる。
【0027】
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、装置間で周波数がずれている場合においても、装置間のラウンドトリップタイムを補正し、ラウンドトリップタイムを精度よく求めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、複数の下位装置と、前記複数の下位装置に接続される上位装置と、を備えるネットワークシステムであって、前記各下位装置は、前記各下位装置の時刻を表すタイムスタンプと、前記上位装置から通知されたタイムスタンプとの差によって、タイムスタンプドリフト量を計測するドリフト計測部を有し、前記上位装置は、前記下位装置との間の往復伝送時間を計測するRTT計測部を有し、前記各下位装置又は前記上位装置は、前記計測された往復伝送時間及び前記タイムスタンプドリフト量に基づいて、補正した往復伝送時間を算出するRTT補正部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明の代表的な実施形態によれば、ONUのクロック周波数がずれている場合においても、OLT−ONU間のラウンドトリップタイムをより正確に計測することができる。そのため、OLTとONU間の時刻同期の精度を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるONUの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるOLTの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるRTT計測のシーケンス図である。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるONUでのRTT補正処理のフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるOLTでのRTT補正処理のフローチャートである。
【図7】MPCP制御フレームのフォーマットを説明する図である。
【図8】本発明の第1の実施形態におけるドリフト通知フレームフォーマットを説明する図である。
【図9】本発明の第2の実施形態におけるONUの構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施形態におけるOLTの構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第2の実施形態におけるRTT計測のシーケンス図である。
【図12】本発明の第2の実施形態におけるONUでのRTT補正処理のフローチャートである。
【図13】本発明の第2の実施形態におけるOLTでのRTT補正処理のフローチャートである。
【図14】本発明の第2の実施形態におけるドリフト通知フレームフォーマットを説明する図である。
【図15】本発明の第3の実施形態におけるONUの構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第3の実施形態におけるOLTの構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の第2の実施形態におけるRTT計測のシーケンス図である。
【図18】本発明の第3の実施形態におけるONUでのRTT補正処理のフローチャートである。
【図19】本発明の第3の実施形態におけるOLTでのRTT補正動作のフローチャートを示す。
【図20】本発明の第3の実施形態におけるドリフト通知フレームフォーマットを説明する図である。
【図21】IEEE1588 Boundary Clockを適用した場合の時刻同期動作の例のシーケンス図である。
【図22】IEEE1588 Transparent Clockを適用した場合の時刻同期動作の例のシーケンス図である。
【図23】OLT−ONU間の時刻同期手順の例のシーケンス図である。
【図24】従来のRTT計測のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には、同一の符号が付与されている。
【0032】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態におけるシステムの構成を示す図である。
【0033】
第1の実施形態のシステムは、OLT1、光スプリッタ3、複数のONU2(2−1〜2−n)、無線基地局5(5−1〜5−n)、ネットワーク6及びマスタークロック装置7を備える。OLT1は、幹線の光ファイバ4−0を介して光スプリッタ3と接続される。ONU2(2−1〜2−n)は、各々、支線の光ファイバ4(4−1〜4−n)を介して光スプリッタ3と接続される。無線基地局5(5−1〜5−n)は、各々、ONU2(2−1〜2−n)と接続される。マスタークロック装置7及びOLT1は、ネットワーク6を介して接続される。
【0034】
[第1の実施形態におけるONUの構成]
図2は、本発明の第1の実施形態におけるONU2の構成を示すブロック図である。
【0035】
ONU2は、ONU光送受信部210、ONU PHY処理部220、ONU MAC処理部230、UNI送受部240、ONU MPCP制御部250、ドリフト通知処理部260、及びONU時刻同期制御部270を有する。
【0036】
ONU光送受信部210は、光ファイバより入力された下り光信号を電流信号に変換し、さらに電流信号を電圧信号に変換し、電圧信号を増幅し、PHY処理部220に入力する。また、ONU光送受信部210は、ONU PHY処理部220より入力された電圧信号を電流信号に変換した後、光信号に変換して、光ファイバより出力する。
【0037】
ONU PHY処理部220は、ONU光送受信部210より入力された電圧信号からクロックを抽出し、抽出されたクロックのタイミングに従って電圧信号をデジタル信号に変換する。さらに、ONU PHY処理部220は、デジタル信号を復号化して、ONU MAC処理部230に出力する。また、ONU PHY処理部220は、ONU MAC処理部230より入力されたデジタル信号を符号化して、電圧信号をONU光送受信部210に出力する。
【0038】
ONU MAC処理部230は、ONU PHY処理部220より入力されたデジタル信号からフレームを抽出し、抽出されたフレームのヘッダを解析し、各フレームがユーザーデータフレーム、MPCP制御フレーム及び時刻同期制御フレームのいずれであるかを識別する。
【0039】
ONU MAC処理部230は、ユーザーデータフレームをUNI送受信部240に、MPCP制御フレームをONU MPCP制御部250に、時刻同期制御フレームをONU時刻同期制御部270に出力する。また、ONU MAC処理部230は、UNI送受信部240より入力されたユーザーデータフレーム、ONU MPCP制御部250より入力されたMPCP制御フレーム、ドリフト通知処理部260より入力されたドリフト通知フレーム、ONU時刻同期制御部270より入力された上り時刻同期制御フレームを多重して、ONU PHY処理部220に出力する。
【0040】
UNI送受信部240は、ONU MAC処理部230より入力されたユーザーデータフレームや下り時刻同期制御フレームを、UNIインタフェースに適する信号に変換して、無線基地局に出力する。また、無線基地局5より入力されたユーザーデータフレーム及び上り時刻同期制御フレームをONU MAC処理部230に出力する。
【0041】
ONU MPCP制御部250は、OLT−ONU間で送受信されるMPCP制御フレームを解析及び生成する。また、ONU MPCP制御部250は、受信したGATEフレームを解析し、上り送信タイミングを決定する。また、ONU MPCP制御部250は、バッファ量を取得し、取得したバッファ量に基づいてREPORTフレームを生成し、ONU MAC処理部230に出力する。また、下りのGATEフレームを受信した時刻と、GATEフレーム内のタイムスタンプの差であるタイムスタンプドリフト量driftとを計測し、ドリフト通知部260に出力する。
【0042】
ドリフト通知処理部260は、ONU MPCP制御部250より入力されたドリフト量driftに基づいて、ドリフト通知フレームを生成する。さらに、ドリフト通知処理部260は、生成したドリフト通知フレームをONU MAC処理部230に出力する。
【0043】
ONU時刻同期制御部270は、OLT−ONU間における時刻同期を実現するための制御フレームを解析し、生成する。また、上り及び下りで送受信されるIEEE1588パケットを処理する。
【0044】
本発明の第1の実施形態によれば、ONUはGATEフレームよりタイムスタンプドリフトを計測し、計測したタイムスタンプドリフト量をOLTに通知することが可能である。
【0045】
[第1の実施形態におけるOLTの構成]
図3は、本発明の第1の実施形態におけるOLT1の構成を示すブロック図である。
【0046】
OLT1は、OLT光送受信部110、OLT PHY処理部120、OLT MAC処理部130、NNI送受部140、OLT MPCP制御部150、ドリフト通知受信処理部160、OLT RTT補正部170及びOLT時刻同期制御部180を有する。
【0047】
OLT光送受信部110は、光ファイバより入力された上り光信号を電流信号に変換し、さらに電流信号を電圧信号に変換し、電圧信号を増幅し、OLT PHY処理部120に入力する。また、OLT光送受信部110は、OLT PHY処理部120より入力された電圧信号を電流信号に変換した後、光信号に変換して、光ファイバより出力する。
【0048】
OLT PHY処理部120は、OLT光送受信部110より入力された電圧信号からクロックを抽出し、抽出されたクロックのタイミングに従って電圧信号をデジタル信号に変換する。さらに、OLT PHY処理部120は、デジタル信号を復号化して、OLT MAC処理部130に出力する。また、OLT PHY処理部120は、OLT MAC処理部130より入力されたデジタル信号を符号化して、電圧信号をOLT光送受信部110に出力する。
【0049】
OLT MAC処理部130は、OLT PHY処理部120より入力されたデジタル信号からフレームを抽出し、抽出されたフレームのヘッダを解析し、各フレームがユーザーデータフレーム、MPCP制御フレーム、ドリフト通知フレーム及び時刻同期制御フレームのいずれであるかを識別する。
【0050】
OLT MAC処理部130は、ユーザーデータフレームをNNI送受信部140に、MPCP制御フレームをOLT MPCP制御部150に、ドリフト通知フレームをドリフト通知受信処理部160に、時刻同期制御フレームをOLT時刻同期制御部180に出力する。また、OLT MAC処理部130は、NNI送受信部140より入力されたユーザーデータフレーム、ONU MPCP制御部250より入力されたMPCP制御フレーム、OLT時刻同期制御部180より入力された下り時刻同期制御フレームを多重して、OLT PHY処理部120に出力する。
【0051】
NNI送受信部140は、OLT MAC処理部130より入力されたユーザーデータフレームや上り時刻同期制御フレームを、NNIインタフェースに適する信号に変換して、NNIを介して接続しているネットワーク装置に出力する。また、ネットワーク装置より入力されたユーザーデータフレーム及び下り時刻同期制御フレームをOLT MAC処理部130に出力する。
【0052】
OLT MPCP制御部150は、OLT−ONU間で送受信されるMPCP制御フレームを解析及び生成する。また、OLT MPCP制御部150は、受信したREPORTフレームを解析し、各ONUに割り当てる帯域(タイムスロット)を決定する。また、OLT MPCP制御部150は、決定された帯域に基づいて、GATEフレームを生成し、OLT MAC処理部130に出力する。また、OLT MPCP制御部150は、受信したREPORTフレームを受信した時刻と、REPORTフレーム内のタイムスタンプの差より、ラウンドトリップタイムRTTを計測する。また、OLT MPCP制御部150は、GATE送出時刻とREPORTフレーム内のタイムスタンプの差よりONUでの待ち時間 Twaitを計測する。さらに、計測したRTT及びTwaitをOLT RTT補正部170に出力する。
【0053】
ドリフト通知受信処理部160は、OLT MAC処理部130より入力されたドリフト通知フレームを解析して、ドリフト量を取得する。さらに、取得したドリフト量driftをOLT RTT補正部170に出力する。
【0054】
OLT RTT補正部170は、OLT MPCP制御部150より入力されたラウンドトリップタイム RTT、ONUでの待ち時間 Twait と、ドリフト通知受信処理部160より入力されたドリフト量drift、DBA周期Tdbaに基づいて、RTTを補正した量(RTT_correct)を算出する。なお、RTTを補正するために、以下の計算式を用いることができる。
RTT_correct = RTT + drift/Tdba ×Twait
【0055】
OLT時刻同期制御部180は、OLT−ONU間での時刻同期を実現するための制御フレームを解析し、生成する。また、上り及び下りで送受信されるIEEE1588パケットを処理する。
【0056】
本発明の第1の実施形態によれば、OLT1はONU2より受信したドリフト通知フレームに基づいて、RTTを補正することが可能である。
【0057】
[本発明の第1の実施形態におけるRTT計測のシーケンス]
図4は、本発明の第1の実施形態におけるRTT計測のシーケンス図である。
【0058】
図4では、図24で示した従来のRTT計測シーケンスとの差分を中心に説明する。なお、第1の実施形態においては、OLT1は各ONU2に対してGATEフレームを一定の間隔(=DBA周期)で送出している。
【0059】
まず、OLT1は、ONU2にGATEフレームを送信する(SIG601)。ONU2はGATEフレームを受信すると、ONU2のMPCP時刻t0をGATEフレームのタイムスタンプフィールドの値T0に更新する。
【0060】
OLT1は、DBA周期Tdbaを経過した時刻T1に再度GATEフレームを送信する(SIG602)。ONU2はGATEフレームを受信すると、ONU2のMPCP時刻t1をGATEフレームのタイムスタンプフィールドの値T1に更新する。
【0061】
ONU2は、タイムスタンプのドリフト量drift=t1−T1 を計測する。ONU2は、計測したドリフト量に基づいてドリフト通知フレームを生成し、OLT1にドリフト通知フレームを送信する(SIG603)。さらに、ONU2は、ONU2のMPCP時刻t2にREPORTフレームを送信する(SIG604)。OLT1は、REPORTフレームを受信すると、REPORTフレームを受信したOLT MPCP時刻T3と、REPORTフレームのタイムスタンプフィールドt2に基づいて従来通りRTTを計測する。その後、ドリフト通知フレームより取得したドリフト量drift、DBA周期 Tdba、及び、ONU2での待ち時間Twait=t2−T1 に基づいて、RTTを補正する。
【0062】
以上のシーケンスによって、OLT1はONU2より通知されたドリフト量に基づいて、RTTを補正することができる。
【0063】
[第1の実施形態におけるONUでのRTT補正処理]
図5は、本発明の第1の実施形態におけるONU2でのRTT補正処理のフローチャートである。以下、ステップの順番に従って説明する。
【0064】
まず、ONU2は、タイムスタンプドリフトを計測する(S1001)。具体的には、ONU MPCP制御部250は、受信したGATEフレームよりドリフト量driftを算出し、ドリフト通知処理部260に出力する。
【0065】
その後、ONU2は、ドリフト通知フレームを生成する(S1002)。具体的には、ONU2内のドリフト通知処理部260は、ONU MPCP制御部250よりドリフト量driftを取得して、取得したドリフト量に基づいてドリフト通知フレームを生成し、ONU MAC処理部230に出力する。
【0066】
その後、ドリフト通知処理部260が生成したドリフト通知フレームは、ONU MAC処理部230、ONU PHY処理部220及びONU光送受信部210を経由して送信される(S1003)。
【0067】
以上の処理によって、ONU2は、受信したGATEフレームより、タイムスタンプドリフト量を計測し、計測されたドリフト量をOLTに通知することができる。
【0068】
[第1の実施形態におけるOLTでのRTT補正処理]
図6は、本発明の第1の実施形態におけるOLT1でのRTT補正処理のフローチャートである。以下、ステップの順番に従って説明する。
【0069】
まず、OLT1は、ONU2にGATEフレームを送信する(S901)。
【0070】
その後、OLT1は、GATEフレームを送信する時刻T1を取得する(S902)。
【0071】
その後、OLT1は、ONU2よりドリフト通知フレームを受信する(S903)。
【0072】
その後、OLT1は、ドリフト量driftを取得する(S904)。
【0073】
その後、OLT1は、ONU2より送信されたREPORTフレームを受信する(S905)。
【0074】
その後、OLT1は、受信したREPORTフレームをOLT1が受信したOLT1のMPCP時刻T3を取得する(S906)。
【0075】
その後、OLT1は、受信したREPORTフレーム内のタイムスタンプフィールドよりREPORT送信時刻t2を取得する(S907)。
【0076】
その後、OLT1は、S906で取得したT3、及びS907で取得したt2に基づいて、RTTを算出する(S908)。
【0077】
その後、OLT1は、S902で取得したT1およびS907で取得したt2に基づいて待ち時間Twaitを計算し、S904で取得したdrift、計算したTwait、システムで予め設定されたDBA周期Tdbaに基づいて、RTTを補正する(S909)。
【0078】
以上の処理によって、OLT1はONU2より受信したドリフト通知に基づいて、RTTを補正することができる。
【0079】
[本発明の第1の実施形態におけるドリフト通知フレームフォーマット]
図7は、MPCP制御フレームのフォーマットを説明する図であり、図8は、本発明の第1の実施形態におけるドリフト通知フレームフォーマットを説明する図である。
【0080】
図8に示すドリフト通知フレームフォーマットは、MPCP制御フレームを拡張したフレームフォーマットであり、10G−EPONで使用されるMPCP制御フレームとの違いを中心に説明する。
【0081】
図7に示すように、MPCP制御フレームは、Preamble/SFD(F101)、Destination Address(F102)、SourceAddress(F103)、Length/Type(F104)、Opcode(F105)、Timestamp(F106)、Data/Pad/Reserved(F107)、及びFCS(F108)の各フィールドを含む。
【0082】
Length/Type(F104)には、MPCP制御フレームであることを表す値である0x8808が格納される。また、Opcodeには、MPCP制御フレームの種別を表す値が格納される。例えば、GATEフレームでは0x0002が、REPORTフレームでは0x0003が格納される。
【0083】
IEEE802.3av規格では、0x0007から0xFFFDまでがReservedに定められている。ドリフト通知フレームでは、OpcodeにこのReservedの範囲の値を利用するとよい。
【0084】
ここで、ドリフト通知フレームの説明に戻る。図8に示すように、ドリフト通知フレームにおいては、F101からF105及びF108は、MPCP制御フレームと同一のフォーマットである。なお、ドリフト通知フレーム用のOpcodeは0x0007とした。
【0085】
また、ドリフト量を通知するためのフィールドとして、ONU timestamp driftフィールド(F201)を用意し、該フィールドに4Byteを割り当てる。また、MPCP制御フレームと同様に、残りの領域はPad/Reserved(F202)とした。
【0086】
[第1の実施形態の効果]
本発明の第1の実施形態によれば、ONU MPCP時刻に利用されるクロック周波数がずれている場合において、OLT−ONU間のRTTをより正確に算出することができる。
【0087】
PONを経由して時刻同期を実現するシステムに本発明を適用すれば、RTTの誤差を低減することによって、時刻同期の精度を高めることができる。
【0088】
[変形例1:ドリフト通知の送信頻度]
前述した第1の実施形態において、GATEフレームを受信する度にドリフト通知を送信しているが、ONUのクロック周波数の時間的な変動が小さい場合には、ドリフト通知の頻度を下げてもよい。例えば、GATEフレームをN回受信する毎にドリフト通知を送信してもよい。
【0089】
[変形例2:計測するドリフト量の平均化]
前述した第1の実施形態において、通知するドリフト量は直接計測した値を用いた。ドリフトが変動する場合には、補正したラウンドトリップタイムも変動し、同期した時刻が不連続に変動する可能性がある。これを避けるために、過去M回のドリフト量を平均した値を用いてもよい。
【0090】
[変形例3:待ち時間の別の算出方法]
以上の説明においては、OLTがGATEを送信する時刻T1と、受信したREPORT内のタイムスタンプt2の差より、待ち時間を求めた。待ち時間の別の算出方法として、各ONUに割り当てる上り送信許可期間(送信許可開始時刻starttimeと送信許可期間の長さLength)に基づいて算出してもよい。
【0091】
ONUが割り当てられた上り送信許可期間でREPORTフレームを常に最初に送信するように優先制御されている場合には、REPORTフレームは時刻starttimeに送出される。そのため、T1とstarttimeとの差によって、待ち時間を算出することができる。
【0092】
また、ONUが割り当てられた上り送信許可期間でREPORTフレームを常に最後に送信するように優先制御されている場合には、REPORTフレームは、時刻starttime+Lengthに送出されると推定し、T1と(starttime+Length)の差によって待ち時間を算出してもよい。
【0093】
また、ONUが割り当てられた上り送信許可期間でREPORTフレームの送信タイミングが不明である場合には、REPORTフレームは時刻starttime+Length/2に送出されると推定し、T1と(starttime+Length/2)の差によって待ち時間を算出してもよい。
【0094】
<第2の実施形態>
前述した第1の実施形態においては、ONU2にてタイムスタンプドリフトを計測し、ONU2がOLT1にタイムスタンプドリフトを通知し、OLT1でRTTを計測、補正を実施していた。RTTを補正は必ずしもOLT1で実施する必要はなく、ONUで実施してもよい。第2の実施形態においては、ONU2にてタイムスタンプドリフトを計測し、OLT1がRTTを計測し、OLT1がONU2にRTTを通知し、ONU2でRTTを補正する。
【0095】
以下、第2の実施形態の説明においては、第1の実施形態との差分を中心に説明し、同一の構成及び処理には同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0096】
[第2の実施形態におけるONUの構成]
図9は、本発明の第2の実施形態におけるONU2の構成を示すブロック図である。
【0097】
ONU2は、ONU光送受信部210、ONU PHY処理部220、ONU MAC処理部231、UNI送受部240、ONU MPCP制御部251、ONU RTT補正部261、ONU時刻同期制御部271及びRTT通知受信処理部281を有する。
【0098】
ONU RTT補正部261及びRTT通知受信処理部281が追加されており、また、ONU MAC処理部231、ONU MPCP制御部251及びONU時刻同期制御部271は、第1の実施形態のものと一部の機能・動作が異なる。
【0099】
ONU MAC処理部231は、ONU PHY処理部220より入力されたデジタル信号からフレームを抽出し、抽出されたフレームのヘッダを解析し、各フレームがユーザーデータフレーム、MPCP制御フレーム及び時刻同期制御フレームのいずれであるかを識別する。
【0100】
ONU MAC処理部231は、ユーザーデータフレームをUNI送受信部240に、MPCP制御フレームをONU MPCP制御部251に、時刻同期制御フレームをONU時刻同期制御部271に出力する。また、ONU MAC処理部231は、UNI送受信部240より入力されたユーザーデータフレーム、ONU MPCP制御部251より入力されたMPCP制御フレーム、ONU時刻同期制御部271より入力された上り時刻同期制御フレームを多重して、ONU PHY処理部220に出力する。
【0101】
ONU MPCP制御部251は、OLT−ONU間で送受信されるMPCP制御フレームを解析及び生成する。また、ONU MPCP制御部251は、受信したGATEフレームを解析し、上り送信タイミングを決定する。また、ONU MPCP制御部251は、バッファ量を取得し、取得したバッファ量に基づいてREPORTフレームを生成し、ONU MAC処理部230に出力する。また、下りのGATEフレームを受信した時刻と、GATEフレーム内のタイムスタンプの差であるタイムスタンプドリフト量 drift とを計測し、ONU RTT補正部261に出力する。また、ONU MPCP制御部251は、下りGATEフレーム受信時刻と上りREPORTフレーム送信時刻との差であるONU待ち時間TwaitをONU RTT補正部261に出力する。
【0102】
RTT通知受信処理部281は、ONU MAC処理部231より入力されたRTT通知フレームを解析し、OLT1から通知されたラウンドトリップタイムRTTを取得し、ONU RTT補正部261に出力する。
【0103】
ONU RTT補正部261は、ONU MPCP制御部251より取得したdrift、Twaitに基づいて、RTTを補正し、補正したラウンドトリップタイムRTT_correct をONU時刻同期制御部271に出力する。
【0104】
本発明の第2の実施形態によれば、GATEフレームよりタイムスタンプドリフトを計測し、OLTより通知されたラウンドトリップタイムに基づいて、補正したラウンドトリップタイムを算出することができる。
【0105】
[第2の実施形態におけるOLTの構成]
図10は、本発明の第2の実施形態におけるOLT1の構成を示すブロック図である。
OLT1は、OLT光送受信部110、OLT PHY処理部120、OLT MAC処理部131、NNI送受部140、OLT MPCP制御部151、OLT時刻同期制御部181及びRTT通知処理部191を有する。
【0106】
第2の実施形態においては、RTT通知処理部191が追加されており、また、OLT MAC処理部131、OLT MPCP制御部151及びOLT時刻同期制御部181は、第1の実施形態のものと一部の機能・動作が異なる。
【0107】
OLT MAC処理部131は、OLT PHY処理部120より入力されたデジタル信号からフレームを抽出し、抽出されたフレームのヘッダを解析し、各フレームがユーザーデータフレーム、MPCP制御フレーム及び時刻同期制御フレームのいずれであるかを識別する。
【0108】
OLT MAC処理部131は、ユーザーデータフレームをNNI送受信部140に、MPCP制御フレームをOLT MPCP制御部151に、時刻同期制御フレームをOLT時刻同期制御部181に出力する。また、OLT MAC処理部131は、NNI送受信部140より入力されたユーザーデータフレーム、OLT MPCP制御部151より入力されたMPCP制御フレーム、OLT時刻同期制御部181より入力された下り時刻同期制御フレームを多重して、OLT PHY処理部120に出力する。
【0109】
OLT MPCP制御部151は、OLT−ONU間で送受信されるMPCP制御フレームを解析及び生成する。また、OLT MPCP制御部151は、受信したREPORTフレームを解析し、各ONUに割り当てる帯域(タイムスロット)を決定する。また、OLT MPCP制御部151は、決定された帯域に基づいて、GATEフレームを生成し、OLT MAC処理部131に出力する。また、OLT MPCP制御部151は、受信したREPORTフレームを受信した時刻と、REPORTフレーム内のタイムスタンプの差より、ラウンドトリップタイムRTTを計測する。また、OLT MPCP制御部151は、計測したRTTをOLT時刻同期制御部181及びRTT通知処理部191に出力する。
【0110】
OLT時刻同期制御部181は、OLT−ONU間での時刻同期を実現するための制御フレームを解析し、生成する。また、上り及び下りで送受信されるIEEE1588パケットを処理する。
【0111】
RTT通知処理部191は、OLT MPCP制御部151より入力されたラウンドトリップタイム RTT に基づいて、RTT通知フレームを生成し、OLT MAC処理部131に出力する。
【0112】
本発明の第2の実施形態によれば、OLTは計測した(補正前の)ラウンドトリップタイムをONUに通知することができる。
【0113】
[第2の実施形態におけるRTT計測のシーケンス]
図11は、本発明の第2の実施形態におけるRTT計測のシーケンス図である。
【0114】
まず、OLT1は、ONU2にGATEフレームを送信する(SIG1101)。ONU2はGATEフレームを受信すると、ONU2のMPCP時刻t0をGATEフレームのタイムスタンプフィールドの値T0に更新する。
【0115】
OLT1は、DBA周期Tdbaを経過した時刻T1に再度GATEフレームを送信する(SIG1102)。ONUはGATEフレームを受信すると、ONU2のMPCP時刻t1をGATEフレームのタイムスタンプフィールドの値T1に更新する。
【0116】
ONU2は、タイムスタンプのドリフト量drift=t1−T1を計測し、ONU2のMPCP時刻t2にREPORTフレームを送信する(SIG1103)。OLT1は、REPORTフレームを受信すると、REPORTフレームを受信したOLT MPCP時刻T3と、REPORTフレームのタイムスタンプフィールドt2に基づいて従来通りRTTを計測する。その後、計測したRTTに基づいてRTT通知フレームを生成し、ONU2に送信する(SIG1104)。
【0117】
ONU2はRTT通知フレームより取得したRTT、ドリフト量drift、DBA周期Tdba、及び、ONU2での待ち時間Twait=t2−T1に基づいて、RTTを補正する。
【0118】
以上のシーケンスによって、ONU2はONU2で検出したドリフト量に基づいて、RTTを補正することができる。
【0119】
なお、第2の実施形態においては、補正したラウンドトリップタイムをONU2は知っているがOLT1は知らない。そのため、必要があれば、補正したRTTをOLT1に通知してもよい。RTTの通知には、下りのRTT通知フレームと同様のフォーマットのフレームを利用してもよい。あるいは、OLT1とONU2との間で時刻同期をとる際に、ONU2にて補正したRTTによる下り遅延時間を補正してもよい。
【0120】
[第2の実施形態におけるONUでのRTT補正処理]
図12は、本発明の第2の実施形態におけるONU2でのRTT補正処理のフローチャートである。以下、ステップの順番に従って説明する。
【0121】
まず、ONU2は、GATEフレームを受信する(S1501)。
【0122】
その後、ONU2は、タイムスタンプドリフトを計測する。具体的には、ONU MPCP制御部251は受信したGATEフレームよりドリフト量driftを算出し、ONU RTT補正部261に出力する(S1502)。
【0123】
その後、ONU2は、REPORTフレームを送信する(S1503)。
【0124】
その後、ONU2は、GATEフレームを受信してからREPORTを送出するまでの待ち時間Twaitを計測する(S1504)。
【0125】
その後、ONU2は、RTT通知フレームを受信する(S1505)。
【0126】
その後、ONU2は、RTT通知フレームを解析して、通知されたラウンドトリップタイムRTTを取得する(S1506)。
【0127】
その後、ONU2は、S1502で取得したドリフト量drift、S1504で取得したONU待ち時間Twait、及びDBA周期Tdbaに基づいて、補正したらラウンドトリップタイムRTT_correctを算出する(S1507)。
【0128】
以上の処理によって、ONU2は受信したGATEフレームより、タイムスタンプドリフト量を計測し、OLT1より通知されたRTT及び計測したドリフト量に基づいて、補正したランドトリップタイムを求めることができる。
【0129】
[第2の実施形態におけるOLTでのRTT補正処理]
図13は、本発明の第2の実施形態におけるOLT1でのRTT補正処理のフローチャートである。以下、ステップの順番に従って説明する。
【0130】
まず、OLT1は、ONU2にGATEフレームを送信する(S1401)。
【0131】
その後、OLT1は、ONUより送信されたREPORTフレームを受信する(S1402)。
【0132】
その後、OLT1は、REPORTフレームを受信したときのOLT MPCP時刻T3を取得する(S1403)。
【0133】
その後、OLT1は、受信したREPORTフレーム内のタイムスタンプフィールドよりREPORT送信時刻t2を取得する(S1404)。
【0134】
その後、OLT1は、S1403で取得したT3、及びS1404で取得したt2に基づいて、ラウンドトリップタイムRTTを算出する(S1405)。
【0135】
その後、OLT1は、算出したRTTを通知するための、RTT通知フレームを生成する(S1406)。
【0136】
その後、OLT1は、S1406で生成したRTT通知フレームをONUに送信する(S1407)。
【0137】
以上のフローにより、OLT1はONU2より受信したREPORTよりラウンドトリップタイムを求めて、算出したラウンドトリップタイムをONU2に通知することができる。
【0138】
図14は、本発明の第2の実施形態におけるRTT通知フレームフォーマットを説明する図である。ここでは、本発明の第1の実施形態におけるドリフト通知フレームフォーマットとの差分を中心に説明する。
【0139】
第2の実施形態におけるRTT通知フレームは、ラウンドトリップタイムを表すRTTフィールド(F301)を含み、4Byteを割り当てる。また、MPCP制御フレームと同様に残りの領域はPad/Reserved(F302)とする。
【0140】
Length/Typeには、MPCP制御フレームであることを表す値である0x8808が格納され、Opcodeには、第2の実施形態における、RTTの値を含むドリフト通知フレームを表す値である0x0008が格納される。
【0141】
[第2の実施形態の効果]
本発明の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、ONU MPCP時刻に利用されるクロック周波数がずれている場合でも、OLT−ONU間のRTTをより正確に算出することができる。
【0142】
PONを経由して時刻同期を実現するシステムに本発明を適用すれば、RTTの誤差を低減することによって、時刻同期の精度を高めることができる。
【0143】
<第3の実施形態>
前述した第1の実施形態においては、GATE送信間隔(=DBA周期)が一定であるとして、ラウンドトリップタイムを補正した。第3の実施形態においては、GATE送信間隔が時々刻々変化するような場合にも適用可能であり、ONUはドリフト量driftに加え、前回のGATEフレームを受信してから、次のGATEフレームを受信するまでのドリフト継続時間Tdriftを合わせて通知する。
【0144】
以下、第3の実施形態の説明においては、第1の実施形態との差分を中心に説明し、同一の構成及び処理には同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0145】
[第3の実施形態におけるONUの構成]
図15は、本発明の第3の実施形態におけるONU2の構成を示すブロック図である。
【0146】
ONU2は、ONU光送受信部210、ONU PHY処理部220、ONU MAC処理部230、UNI送受信部240、ONU MPCP制御部252、ドリフト通知処理部262及びONU時刻同期制御部270を有する。
【0147】
ONU MPCP制御部252及びドリフト通知処理部262は、第1の実施形態のものと一部の機能・動作が異なる。
【0148】
ONU MPCP制御部252は、OLT−ONU間で送受信されるMPCP制御フレームを解析及び生成する。また、ONU MPCP制御部252は、受信したGATEフレームを解析し、上り送信タイミングを決定する。また、ONU MPCP制御部252は、バッファ量を取得し、取得したバッファ量に基づいてREPORTフレームを生成し、ONU MAC処理部230に出力する。また、下りのGATEフレームを受信した時刻と、GATEフレーム内のタイムスタンプの差であるタイムスタンプドリフト量driftとを計測し、ドリフト通知部260に出力する。また、ONU MPCP制御部252は、下りGATEフレーム受信時刻と、前の下りGATEフレームの受信時刻との差より、ドリフト継続時間Tdriftを計測し、計測したTdriftをドリフト通知処理部262に出力する。
【0149】
ドリフト通知処理部262は、ONU MPCP制御部252より入力されたドリフト量drift及びドリフト継続時間Tdriftに基づいて、ドリフト通知フレームを生成し、ONU MAC処理部230に出力する。
【0150】
本発明の第3の実施形態によれば、GATEフレームよりタイムスタンプドリフト及びドリフト継続時間を計測し、計測したタイムスタンプドリフト及びドリフト継続時間をOLTに通知することができる。
【0151】
[第3の実施形態におけるOLTの構成]
図16は、本発明の第3の実施形態におけるOLT1の構成を示すブロック図である。
【0152】
OLT1は、OLT光送受信部110、OLT PHY処理部120、OLT MAC処理部130、NNI送受部140、OLT MPCP制御部150、ドリフト通知受信処理部162、OLT RTT補正部172及びOLT時刻同期制御部180を有する。
【0153】
第3の実施形態においては、ドリフト通知受信処理部162及びOLT RTT補正部172は、第1の実施形態のものと一部の機能・動作が異なる。
【0154】
ドリフト通知受信処理部162は、OLT MAC処理部より入力されたドリフト通知フレームを解析して、ドリフト量drift及びドリフト継続時間Tdriftを取得する。さらに、取得したドリフト量drift、ドリフト継続時間TdriftをOLT RTT補正部172に出力する。
【0155】
OLT RTT補正部172は、OLT MPCP制御部150より入力されたラウンドトリップタイム RTT、ONUでの待ち時間 Twaitと、ドリフト通知受信処理部162より入力されたドリフト量drift、ドリフト継続時間Tdriftに基づいて、RTTを補正した量RTT_correctを算出する。なお、RTTを補正するための計算式は、第1の実施形態で利用する計算式において、Tdba を Tdrift で置き換えた式にする。すなわち、下式を利用して補正する。
RTT_correct = RTT + drift/Tdrift ×Twait
【0156】
本発明の第3の実施形態によれば、OLT1はONU2より受信したドリフト量およびドリフト継続時間に基づいて、ラウンドトリップタイムを補正することが可能である。なお、補正には、ONU2から通知されたドリフト継続時間を用いるため、OLT1が送信するGATEフレームの間隔が一定でない場合においても、ラウンドトリップタイムを補正することができる。
【0157】
[第3の実施形態におけるRTT計測のシーケンス]
図17は、本発明の第2の実施形態におけるRTT計測のシーケンス図である。
【0158】
まず、OLT1は、ONU2にGATEフレームを送信する(SIG1601)。ONU2はGATEフレームを受信すると、ONU2のMPCP時刻t0をGATEフレームのタイムスタンプフィールドの値T0に更新する。
【0159】
OLT1は、ドリフト継続時間Tdriftを経過した時刻T1に再度GATEフレームを送信する(SIG1602)。ONU2はGATEフレームを受信すると、ONU2のMPCP時刻t1をGATEフレームのタイムスタンプフィールドの値T1に更新する。
【0160】
ONU2は、タイムスタンプのドリフト量drift=t1−T1に加えて、ドリフト継続時間Tdrift=T1−T0を計測する。計測したドリフト量及びドリフト継続時間に基づいてドリフト通知フレームを生成し、OLT1にドリフト通知フレームを送信する(SIG1603)。さらに、ONU2は、ONU2のMPCP時刻t2にREPORTフレームを送信する(SIG1604)。
【0161】
OLT1は、REPORTフレームを受信すると、REPORTフレームを受信したOLT MPCP時刻T3と、REPORTフレームのタイムスタンプフィールドt2に基づいて従来通りRTTを計測する。その後、ドリフト通知フレームより取得したドリフト量drift、ドリフト継続時間Tdrift、及び、ONUでの待ち時間Twait=t2−T1に基づいて、RTTを補正する。
【0162】
以上のシーケンスによって、OLTが送信するGATEフレームの送信間隔が一定でない場合でも、OLTはONUより通知されたドリフト量に基づいて、RTTを補正することができる。
【0163】
[第3の実施形態におけるONUでのRTT補正処理]
図18に、本発明の第3の実施形態におけるONU2でのRTT補正処理のフローチャートである。以下、ステップの順番に従って説明する。
【0164】
まず、タイムスタンプドリフト量を計測する。ONU MPCP制御部は受信したGATEフレームよりドリフト量driftを算出し、ドリフト通知処理部に出力する(S1901)。
【0165】
その後、ONU2は、タイムスタンプドリフト継続時間を計測する。ONU MPCP制御部は受信したGATEフレームを受信した間隔より、ドリフト継続時間Tdriftを算出し、ドリフト通知処理部262に出力する(S1902)。
【0166】
その後、ONU2は、ドリフト通知フレームを生成する。ONU内のドリフト通知処理部は、ONU MPCP制御部よりドリフト量drift及びドリフト継続時間Tdriftを取得して、取得したドリフト量、ドリフト継続時間に基づいてドリフト通知フレームを生成し、ONU MAC処理部に出力する(S1903)。
【0167】
ONU2は、ドリフト通知処理部が生成したドリフト通知フレームがONU MAC処理部、ONU PHY処理部及びONU光送受信部を経由して送信される(S1904)。
【0168】
以上の処理によって、ONU2は受信したGATEフレームより、タイムスタンプドリフト量及びドリフト継続時間を計測し、計測したドリフト量及びドリフト継続時間をOLT1に通知することができる。
【0169】
[第3の実施形態におけるOLTでのRTT補正処理]
図19に、本発明の第3の実施形態におけるOLT1でのRTT補正動作のフローチャートを示す。ステップの順番に従って説明する。
【0170】
まず、OLT1は、ONU2にGATEフレームを送信する(S2001)。
【0171】
その後、OLT1は、GATEフレームを送信する時刻T1を取得する(S2002)。
【0172】
その後、OLT1は、ONUよりドリフト通知フレームを受信する(S2003)。
【0173】
その後、OLT1は、ドリフト通知フレームを解析し、ドリフト量drift及びドリフト継続時間Tdriftを取得する(S2004)。
【0174】
その後、OLT1は、ONUより送信されたREPORTフレームを受信する(S2005)。
【0175】
その後、OLT1は、受信したREPORTフレームをOLT1が受信したOLT1のMPCP時刻T3を取得する(S2006)。
【0176】
その後、OLT1は、受信したREPORTフレーム内のタイムスタンプフィールドよりREPORT送信時刻t2を取得する(S2007)。
【0177】
その後、OLT1は、S2006で取得したT3、及びS2007で取得したt2に基づいて、RTTを算出する(S2008)。
【0178】
その後、S2004で取得したドリフト量drift及びドリフト継続時間Tdriftに基づいてRTTを補正する(S2009)。
【0179】
以上の処理によって、OLT1はONU2より受信したドリフト通知に基づいて、RTTを補正することが可能である。
【0180】
[第3の実施形態におけるドリフト通知フレームフォーマット]
図20は、本発明の第3の実施形態におけるドリフト通知フレームフォーマットを説明する図である。ここでは、本発明の第1の実施形態におけるドリフト通知フレームフォーマットとの差分を中心に説明する。
【0181】
第3の実施形態におけるドリフト通知フレームは、ONUのタイムスタンプドリフト量を表すONU timestamp driftフィールド(F401)、及び、タイムスタンプドリフト継続時間を表すDrift Duration timeフィールド(F402)を含み、各々に4Byteを割り当てる。また、MPCP制御フレームと同様に残りの領域はPad/Reserved(F403)とする。
【0182】
Length/Typeには、MPCP制御フレームであることを表す値である0x8808が格納され、Opcodeには、第3の実施形態における、タイムスタンプドリフト継続時間を含むドリフト通知フレームを表す値である0x0009が格納される。
【0183】
[第3の実施形態の効果]
本発明の第3の実施形態によれば、OLT1が送信するGATEフレームの送信間隔が一定でない場合において、OLT−ONU間のRTTをより正確に算出することができる。
【0184】
PONを経由して時刻同期を実現するシステムに本発明を適用すれば、RTTの誤差を低減することによって、時刻同期の精度を高めることができる。
【0185】
[変形例4]
以上、本発明の実施形態について、10G−EPONで規定されているフレームフォーマット及びプロトコルに基づいて説明したが、他のフレームフォーマットやプロトコルにおいても同様に、本発明を適用することができる。
【0186】
また、以上の説明においては、OLTとONUとの間のラウンドトリップタイムに関して説明したが、必ずしも、本発明の適用はPONシステムに限定されない。
【0187】
また、本発明の適用例としてモバイルバックホールを採用したが、時刻同期が必要とされるシステムであれば、ファクトリーオートメーション及びスマートグリッド等のシステムに適用が可能である。
【符号の説明】
【0188】
1 光回線装置(OLT)
2−1〜2−n 光ネットワーク装置(ONU)
3 光スプリッタ
4−0〜4−n 光ファイバ
5−1〜5−n 無線基地局
6 ネットワーク
7 マスタークロック装置
110 OLT光送受信部
120 OLT PHY処理部
130、131 OLT MAC処理部
140 NNI送受信部
150、151 OLT MPCP制御部
160、162 ドリフト通知受信処理部
170、172 OLT RTT補正部
180、181 OLT時刻同期制御部
210 ONU光送受信部
220 ONU PHY処理部
230、231 ONU MAC処理部
240 UNI送受信部
250、251、252 ONU MPCP制御部
260、261、262 ドリフト通知処理部
270、271 ONU時刻同期制御部
281 RTT通知受信処理部
291 RTT通知処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の下位装置と、前記複数の下位装置に接続される上位装置と、を備えるネットワークシステムであって、
前記各下位装置は、前記各下位装置の時刻を表すタイムスタンプと、前記上位装置から通知されたタイムスタンプとの差によって、タイムスタンプドリフト量を計測するドリフト計測部を有し、
前記上位装置は、前記下位装置との間の往復伝送時間を計測するRTT計測部を有し、
前記各下位装置又は前記上位装置は、前記計測された往復伝送時間及び前記タイムスタンプドリフト量に基づいて、補正した往復伝送時間を算出するRTT補正部を有することを特徴とするネットワークシステム。
【請求項2】
前記各下位装置は、前記計測されたタイムスタンプドリフト量を前記上位装置に送信する送信部を有し、
前記上位装置は、
前記各下位装置からの前記タイムスタンプドリフト量の通知を受信する受信部と、
前記RTT補正部と、を有し、
前記RTT補正部は、前記計測された往復伝送時間及び前記タイムスタンプドリフト量に基づいて、補正した往復伝送時間を算出することを特徴とする請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項3】
前記ドリフト計測部は、前記上位装置から通知されたタイムスタンプの間隔に基づいて、タイムスタンプが更新されてからドリフトが継続していたドリフト継続時間を計測し、
前記上位装置の受信部は、ドリフト継続時間を通知するドリフト通知を前記各下位装置から受信し、
前記上位装置のRTT補正部は、前記計測された往復伝送時間、前記受信部が受信したタイムスタンプドリフト量、及び、前記受信部が受信したドリフト継続時間に基づいて、補正した往復伝送時間を算出することを特徴とする請求項2に記載のネットワークシステム。
【請求項4】
前記上位装置は、前記RTT計測部が計測した往復伝送時間を前記各下位装置に通知する送信部を有し、
前記各下位装置は、前記RTT補正部を有し、
前記RTT補正部は、前記上位装置のRTT計測部が計測した往復伝送時間及び前記タイムスタンプドリフト量に基づいて、補正した往復伝送時間を算出することを特徴とする請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項5】
ネットワークシステムにおいて、複数の下位装置に接続される上位装置であって、
前記各下位装置との間の往復伝送時間を計測するRTT計測部と、
前記各下位装置からのタイムスタンプドリフト量の通知を受信する受信部と、
前記RTT計測部が計測した往復伝送時間及び前記受信部が受信したタイムスタンプドリフト量に基づいて、補正した往復伝送時間を算出するRTT補正部と、を備えることを特徴とする上位装置。
【請求項6】
前記上位装置は、前記各下位装置との間の往復伝送時間を計測する際の待ち時間を算出する待ち時間算出部を備え、
前記RTT補正部は、前記RTT計測部が計測した往復伝送時間、前記受信部が受信したタイムスタンプドリフト量、及び、前記待ち時間算出部が算出した待ち時間に基づいて、補正した往復伝送時間を算出することを特徴とする請求項5に記載の上位装置。
【請求項7】
前記上位装置は、前記各下位装置への帯域割当を決定する帯域割当制御部を備え、
前記RTT補正部は、前記RTT計測部が計測した往復伝送時間、前記受信部が受信したタイムスタンプドリフト量、及び、前記帯域割当制御部が決定した帯域割当に基づいて、補正した往復伝送時間を算出することを特徴とする請求項5に記載の上位装置。
【請求項8】
前記上位装置は、所定の周期に従って上位装置の時刻を表すタイムスタンプを含んだGATEフレームを送信する送信部を備え、
前記RTT補正部は、前記RTT計測部が計測した往復伝送時間、前記受信部が受信したタイムスタンプドリフト量、及び、前記GATEフレームの送信周期に基づいて、補正した往復伝送時間を算出することを特徴とする請求項5に記載の上位装置。
【請求項9】
前記上位装置は、前記タイムスタンプドリフト量及びドリフト継続時間を前記各下位装置から受信し、
前記RTT補正部は、前記RTT計測部が計測した往復伝送時間、前記受信部が受信したタイムスタンプドリフト量、及び、前記受信部が受信したドリフト継続時間に基づいて、補正した往復伝送時間を算出することを特徴とする請求項5に記載の上位装置。
【請求項10】
ネットワークシステムにおいて、上位装置に接続される下位装置であって、
前記下位装置の時刻を表すタイムスタンプと、前記上位装置から通知されたタイムスタンプとの差によって、タイムスタンプドリフト量を計測するドリフト計測部を備えることを特徴とする下位装置。
【請求項11】
前記下位装置は、前記ドリフト計測部が計測したタイムスタンプドリフト量を前記上位装置に送信する送信部を備えることを特徴とする請求項10に記載の下位装置。
【請求項12】
前記下位装置は、
前記上位装置のRTT計測部が計測した往復伝送時間を含む通知を前記上位装置より受信する受信部と、
前記上位装置のRTT計測部が計測した往復伝送時間及び前記ドリフト計測部が計測したタイムスタンプドリフト量に基づいて、補正した往復伝送時間を算出するRTT補正部を備えることを特徴とする請求項10に記載の下位装置。
【請求項13】
前記下位装置は、
前記ドリフト計測部が計測したタイムスタンプドリフト量の所定回数の計測値を保持し、
前記所定回数の計測値の平均値をタイムスタンプドリフト量とすることを特徴とする請求項10に記載の下位装置。
【請求項14】
前記ドリフト計測部は、前記上位装置から通知されたタイムスタンプの間隔に基づいて、タイムスタンプが更新されてからドリフトが継続していたドリフト継続時間を計測し、
前記送信部は、前記ドリフト計測部が計測したタイムスタンプドリフト量及びドリフト継続時間を前記上位装置に通知することを特徴とする請求項10に記載の下位装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−106212(P2013−106212A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249146(P2011−249146)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】