説明

ネットワークシステムおよびネットワークアダプタ

【課題】ネットワークアダプタの副処理部のソフトウェアのバージョンアップに関する情報を容易に確認でき、バージョンアップの必要性を簡便に判断できるネットワークシステムおよびネットワークアダプタを提供する。
【解決手段】ネットワークアダプタ2は、主ソフトウェアを格納したROM2eと、主ソフトウェアを実行する主処理部2aと、副ソフトウェアを格納した副記憶部2gと、副ソフトウェアを実行する副処理部2bとを備え、主処理部2aは、操作端末3から副ソフトウェアのバージョン情報の問合せ要求を受信すると、副処理部2bからバージョン情報を取得してセンターサーバ5へ送信し、センターサーバ5は、バージョン情報を受信すると、副ソフトウェアのバージョンアップが必要か否かを判定し、バージョンアップが必要であると判定した場合には、バージョンアップに関する情報をネットワークに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークアダプタを用いて設備機器の監視・制御を行うネットワークシステム、およびネットワークアダプタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、エアコンや照明器具や種々のセキュリティ機器などの設備機器の監視・制御を行うネットワークシステムが提供されている(設備機器の監視と制御のいずれか一方のみを行うシステムでもよい)。
【0003】
このようなネットワークシステムでは、宅内ネットワークに接続されたネットワークアダプタが、配下の宅内の設備機器と通信を行って監視・制御を行う。さらに、ネットワークアダプタが接続している宅内ネットワークは、ルータを介して外部ネットワークであるインターネットと通信可能に接続しており、ネットワークアダプタは、インターネット上のセンターサーバとも通信を行うことができる。
【0004】
このネットワークアダプタは、CPUを含む処理部を搭載し、さらに当該処理部で実行するソフトウェアをROM等のメモリに格納しており、この処理部がソフトウェアを実行することによって、設備機器の監視・制御処理、およびネットワーク通信処理を行う。
【0005】
このネットワークアダプタのソフトウェアの更新は、処理部がインターネット上のセンターサーバから最新のソフトウェアを取得することで行われていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−259538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようなネットワークアダプタに用いる処理部は、ネットワーク通信を制御する主CPUを含む主処理部と、設備機器との通信を制御して設備機器の監視・制御を行う副CPUを含む副処理部とで構成されている。
【0008】
主処理部は、そのパフォーマンスが高く、メモリのリソースも大きいので、宅内ネットワーク、インターネットのネットワーク通信を高速で行う能力を具備しており、例えばセンターサーバとの通信において大きなデータサイズを扱うことができる。したがって、主処理部が実行するソフトウェア(主ソフトウェア)を更新するバージョンアップ時には、センターサーバからネットワークを介して最新の主ソフトウェアを取得することに問題はなかった。
【0009】
一方、副処理部は、設備機器との間で低速の通信を行う能力があればよいので、そのパフォーマンスが低く、メモリのリソースも小さいものが用いられている。故に、ネットワークアダプタ内ではシリアルインターフェースを介して主処理部に接続しており、主処理部との間で、通信速度の遅いシリアル通信でデータ授受を行っている。また、副処理部が実行するソフトウェア(副ソフトウェア)を更新するバージョンアップ時には、主処理部がセンターサーバからネットワークを介して最新の副ソフトウェアを取得し、さらに主処理部が副処理部へ最新の副ソフトウェアを引き渡す必要がある。
【0010】
しかし、主処理部−副処理部間の通信インターフェースが少量のデータ通信しか想定しておらず、主処理部と副処理部との間は速度の遅いシリアル通信を行うため、大きなデータサイズを扱うことができず、主処理部から副処理部へ副ソフトウェアを引き渡す処理を行うことは困難であった。
【0011】
そこで、従来、ネットワークアダプタに副処理部書込インターフェースを設けて、この副処理部書込インターフェースに直接接続した専用の書き換え端末から、副ソフトウェアを副処理部のメモリに書き込んでバージョンアップを行っていた。したがって、ネットワークアダプタを出荷した後に副ソフトウェアのバージョンアップが必要になった場合には、ネットワークアダプタの設置場所に赴いて、専用の書き換え端末を用いて書き換え作業を行う必要があった。
【0012】
このとき、実際に使用しているネットワークアダプタの副ソフトウェアのバージョンが旧バージョンであれば新バージョンに書き換える必要があり、既に新バージョンであれば書き換える必要はない。しかし、上記のように、ネットワークアダプタの設置場所に赴いて書き換え端末を接続するまでは、現在の副ソフトウェアが旧バージョン、新バージョンのいずれであるか判らないため、バージョンアップの必要がない場合であっても設置場所に赴く必要があり、手間が掛かっていた。
【0013】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、ネットワークアダプタの副処理部のソフトウェアのバージョンアップに関する情報を容易に確認でき、バージョンアップの必要性を簡便に判断できるネットワークシステムおよびネットワークアダプタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明は、設備機器と通信を行うネットワークアダプタと、ネットワークアダプタと通信を行うセンターサーバとがネットワークに接続され、ネットワークアダプタは、ネットワークを介したセンターサーバとの通信処理を行うための主ソフトウェアを格納した主記憶部と、主ソフトウェアを実行することによってネットワークを介した通信を行う主処理部と、バージョン情報を付与されて設備機器との通信処理を行うための副ソフトウェアを格納した副記憶部と、主処理部との間でデータ授受可能であるとともに、副ソフトウェアを実行することによって設備機器と通信を行う副処理部とを備え、主処理部は、副処理部から副ソフトウェアのバージョン情報を取得する手段を具備しており、ネットワークを介して副ソフトウェアのバージョン情報の問合せ要求を受信すると、副ソフトウェアのバージョン情報をセンターサーバへ送信し、センターサーバは、ネットワークアダプタから副ソフトウェアのバージョン情報を受信すると、当該バージョン情報に基づいて、ネットワークアダプタにおいて副ソフトウェアのバージョンアップが必要か否かを判定し、バージョンアップが必要であると判定した場合には、バージョンアップに関する情報をネットワークに送信することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、ネットワークシステムにおいて、ネットワークアダプタの副処理部のソフトウェアのバージョンアップに関する情報を容易に確認でき、バージョンアップの必要性を簡便に判断できる。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1において、前記センターサーバが送信するバージョンアップに関する情報は、バージョンアップの必要を報知する報知信号であり、報知信号を受信したときにバージョンアップの必要を報知する報知手段と、当該報知手段による報知動作があった後に、副ソフトウェアのバージョンアップ開始要求をセンターサーバへ送信する開始要求送信手段とをネットワーク上に備え、バージョンアップ開始要求を受信したセンターサーバは、ネットワークアダプタから受信したバージョン情報より新しいバージョン情報を付与された副ソフトウェアにバージョンアップするためのバージョンアップ情報をネットワークアダプタへ送信し、ネットワークアダプタは、主処理部がバージョンアップ情報を受信して副処理部へ出力し、副処理部は、バージョンアップ情報に基づいて、副記憶部に格納している副ソフトウェアを書き換えることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、ネットワークアダプタの副ソフトウェアのバージョンを容易に確認でき、バージョンアップの必要性を簡便に判断できるとともに、副ソフトウェアのバージョンアップの必要性があることを通知された場合、センターサーバから副ソフトウェアのバージョンアップ情報をダウンロードして、最新バージョンに容易に書き換えることができる。
【0018】
請求項3の発明は、請求項1において、前記センターサーバが送信するバージョンアップに関する情報は、ネットワークアダプタから受信したバージョン情報より新しいバージョン情報を付与された副ソフトウェアにバージョンアップするためのバージョンアップ情報であり、ネットワークアダプタは、前記主処理部がバージョンアップ情報を受信して副処理部へ出力し、副処理部は、バージョンアップ情報に基づいて、副記憶部に格納している副ソフトウェアを書き換えることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、副ソフトウェアのバージョンアップの必要性がある場合には、センターサーバから副ソフトウェアのバージョンアップ情報をダウンロードして、最新バージョンに容易に書き換えることができる。
【0020】
請求項4の発明は、請求項2または3において、前記ネットワークアダプタは、前記主処理部がバージョンアップ情報を前記副処理部へ出力する間、副処理部は前記設備機器との通信を停止して、バージョンアップ情報を受信することを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、副処理部は、副ソフトウェアのバージョンアップ情報のダウンロード時に、通信速度の速いバージョンアップモードで動作しているので、主処理部からバージョンアップ情報を受け取るための通信時間は短縮され、ダウンロード時間が短縮される。
【0022】
請求項5の発明は、請求項2乃至4いずれかにおいて、前記センターサーバは、前記ネットワークアダプタから受信したバージョン情報を付与された副ソフトウェアと、当該副ソフトウェアより新しいバージョン情報を付与された副ソフトウェアとの差異を抽出する差異抽出手段を備えて、当該差異部分のみを書き換えるためのバージョンアップ情報をネットワークアダプタへ送信し、ネットワークアダプタの副処理部は、バージョンアップ情報に基づいて、副記憶部に格納している副ソフトウェアのうち前記差異部分のみを書き換えることを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、主処理部から副処理部へ出力されるバージョンアップ情報は、旧:副ソフトウェアと新:副ソフトウェアとの変更エリア(差異)だけであり、新:副ソフトウェアの全コードを含むバージョンアップ情報をダウンロードする場合と比べて、ダウンロード時間の短縮、および副処理部の負荷低減が可能となる。
【0024】
請求項6の発明は、請求項5において、前記センターサーバは、前記差異部分を複数モジュールに分割したバージョンアップ情報を前記ネットワークアダプタへ送信し、ネットワークアダプタの主処理部は、複数モジュールからなるバージョンアップ情報を記憶して、バージョンアップ情報をモジュール毎に副処理部へ順次出力し、副処理部は、モジュール毎のバージョンアップ情報に基づいて、副記憶部に格納している副ソフトウェアをモジュール毎に書き換えることを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、センターサーバから送信された複数モジュールのバージョンアップ情報を、主処理部が一旦保存するので、センターサーバは、主処理部から副処理部への通信速度が遅いことによる送信待ちを行う必要はなく、センターサーバの負荷を低減することができ、センターサーバが他の端末装置と通信可能な時間が増える。
【0026】
請求項7の発明は、請求項6において、前記ネットワークアダプタの主処理部は、副処理部へバージョンアップ情報のモジュール数を通知し、前記ネットワークアダプタの副処理部は、主処理部から通知されたバージョンアップ情報のモジュール数に基づいて、書き換えていない残モジュール数を管理するカウンタ手段を備え、再起動時に、カウンタ手段を参照して書き換えていない残モジュールがある場合には、書き換えていない残モジュールに関する情報とともにバージョンアップ再開要求を主処理部から前記センターサーバへ送信し、センターサーバは、複数モジュールに分割した前記差異部分のうち、書き換えていない残モジュールを前記ネットワークアダプタへ送信することを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、停電等による電源断、ユーザによるリセット操作、主ソフトウェアのバグ等で、バージョンアップ情報のダウンロードが中断された場合でも、再起動後に、書き換え未完了部分よりダウンロードを再開するため、バージョンアップ処理の復旧を効率よく行うことができる。
【0028】
請求項8の発明は、請求項1乃至7いずれかにおいて、前記ネットワークアダプタの主処理部は、バージョンアップ情報を副処理部へ出力する前に、副記憶部に格納している副ソフトウェアを副処理部から取得して保存し、バージョンアップ情報を副処理部へ出力した後に復帰要求が発生した場合、保存している副ソフトウェアを副処理部へ出力し、副処理部は当該副ソフトウェアを副記憶部に書き込むことを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、ネットワークが不通状態となっても、副ソフトウェアを元のバージョンに戻してバージョンアップによる不具合を解消することができる。
【0030】
請求項9の発明は、ネットワークを介してセンターサーバに接続されるとともに設備機器と通信を行うネットワークアダプタであって、ネットワークを介したセンターサーバとの通信処理を行うための主ソフトウェアを格納した主記憶部と、主ソフトウェアを実行することによってネットワークを介した通信を行う主処理部と、バージョン情報を付与されて設備機器との通信処理を行うための副ソフトウェアを格納した副記憶部と、主処理部との間でデータ授受可能であるとともに、副ソフトウェアを実行することによって設備機器と通信を行う副処理部とを備え、主処理部は、副処理部から副ソフトウェアのバージョン情報を取得する手段を具備しており、ネットワークを介して副ソフトウェアのバージョン情報の問合せ要求を受信すると、副ソフトウェアのバージョン情報に基づいて副ソフトウェアのバージョンアップが必要か否かを判定してバージョンアップが必要であると判定した場合にはバージョンアップに関する情報をネットワークに送信するセンターサーバへ、副ソフトウェアのバージョン情報を送信することを特徴とする。
【0031】
この発明によれば、ネットワークアダプタの副処理部のソフトウェアのバージョンアップに関する情報を容易に確認でき、バージョンアップの必要性を簡便に判断できる。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように、本発明では、ネットワークアダプタの副処理部のソフトウェアのバージョンアップに関する情報を容易に確認でき、バージョンアップの必要性を簡便に判断できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施形態1のネットワークシステムのブロック構成を示す図である。
【図2】同上の操作端末のブロック構成を示す図である。
【図3】同上のバージョン情報の確認シーケンスを示す図である。
【図4】同上のバージョンアップ処理のシーケンスを示す図である。
【図5】実施形態2のバージョンアップ処理のシーケンスを示す図である。
【図6】実施形態3のバージョンアップ処理のシーケンスを示す図である。
【図7】実施形態4のバージョンアップ処理のシーケンスを示す図である。
【図8】実施形態5のバージョンアップ処理のシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0035】
(実施形態1)
図1は、本実施形態のネットワークシステムの構成を示し、ネットワークアダプタ2、操作端末3等の端末装置が戸建住宅や集合住宅等の宅内に配置されて、宅内ネットワークNT1を介して互いに通信可能に接続しており、さらにネットワークアダプタ2には複数の設備機器1が通信線W1を介して接続されている。さらに、宅内にはルータ4が配置されており、宅内ネットワークNT1はルータ4を介してインターネットNT2に通信可能に接続し、インターネットNT2上にはセンターサーバ5や、携帯電話等の携帯端末6が設けられている。
【0036】
設備機器1は、照明器具や空調機器あるいは種々のセキュリティ機器などの機能を有して、通信線W1を介してネットワークアダプタ2と通信可能に構成されており、ユニークなID情報(例えば、MACアドレス)を割り付けられて、ネットワークアダプタ2によって各機能を監視・制御されている。
【0037】
ネットアダプタ2は、図1に示すように、ネットワーク通信を制御する主CPUを含む主処理部2aと、設備機器1との通信を制御して設備機器1の監視・制御を行う副CPUを含む副処理部2bと、宅内ネットワークNT1が接続されて主処理部2aと宅内ネットワークNT1とのインターフェースを行うLAN用の通信手段たる通信部2cと、設備機器1と副処理部2bとのインターフェースを行う機器インターフェース部(機器I/F部)2dと、主処理部2aで実行する主ソフトウェアを格納するROM2e(主記憶部)と、主処理部2aの動作に用いる各種データを一時格納するRAM2fと、副処理部2gで実行する副ソフトウェアを格納するROM2g(副記憶部)と、設備機器1の動作状態などの制御情報及び監視情報を格納するRAM2hとを備えている。
【0038】
主処理部2aは、そのパフォーマンスが高く、メモリ(ROM2e、RAM2f)のリソースも大きいので、宅内ネットワークNT1、インターネットNT2のネットワーク通信を高速で行う能力を具備しており、センターサーバ5との通信において大きなデータサイズを扱うことができる。そして、ROM2eには、センターサーバ5との間で宅内ネットワークNT1、インターネットNT2を介した通信処理を行うための主ソフトウェアを格納しており、主処理部2aは、主ソフトウェアを実行することによって、通信部2cを介したネットワーク通信を行う。主ソフトウェアには、バージョン情報が付与されており、主処理部2aによって管理されている。
【0039】
副処理部2bは、設備機器1との間で低速の通信を行う能力があればよいので、そのパフォーマンスが低く、メモリ(ROM2g、RAM2h)のリソースも小さいものが用いられている。そして、ROM2gには、設備機器1との間で通信を行い、設備機器1の監視・制御のためのポート制御処理を行う副ソフトウェアを格納しており、副処理部2bは、副ソフトウェアを実行することによって、機器I/F部2dを介した機器監視・制御を行う。副ソフトウェアには、バージョン情報が付与されており、副処理部2bによって管理されている。
【0040】
そして、主処理部2a−副処理部2b間の通信インターフェースは少量のデータ通信しか想定しておらず、主処理部2aと副処理部2bとの間は速度の遅いシリアル通信を行うため、大きなデータサイズを扱うことができない。
【0041】
また、主処理部2aは、ネットワークアダプタ2の配下にある設備機器1の名称並びに動作状態を文字や記号で表示するための多数のウェブページ群を保持しており、操作端末3等の端末装置からのアクセスに応じてウェブページ群の中から対応するウェブページのデータを通信部2cより端末装置に提供(配信)するウェブサーバ機能を有している。
【0042】
操作端末3は、図2に示すように、マイコンからなる制御部3aと、宅内ネットワークNT1が接続されて制御部3aと宅内ネットワークNT1とのインターフェースを行うLAN用の通信手段たる通信部3bと、液晶ディスプレイやドライブ回路からなる表示手段たる表示部3cと、押釦スイッチや表示部3cの画面上に配設されるタッチパネルを有し、ユーザの操作入力の情報を取り込む操作部3dと、スピーカとスピーカの駆動回路を有するスピーカ部3eとを備えている。
【0043】
制御部3aには、ウェブブラウザが実装され、さらには予め記憶しているウェブページをウェブブラウザに提供(配信)するウェブサーバ機能を有している。そして、ネットワークアダプタ2等から提供されるコンテンツを搭載したウェブページ並びに予め記憶している内蔵ウェブページをウェブブラウザで再生して表示部3cに表示するとともに、操作部3dのタッチパネルが操作された位置と表示部3cに表示されているアイコン等との位置関係に応じた操作入力情報を取り込む。
【0044】
また、制御部3aには予め警報音や音声メッセージの音データが圧縮して格納されており、制御部3aが必要に応じて読み出した音データを伸長してスピーカ部3eに出力すれば、前記警報音や音声メッセージがスピーカから鳴動される。
【0045】
ルータ4は、従来周知であるから詳細な構成についての図示並びに説明は省略する。
【0046】
センターサーバ5は、バージョン毎の主ソフトウェアおよび副ソフトウェア、および各ソフトウェアに関する情報を格納しており、端末装置からインターネットNT2を介した要求を受け取ることによって、主ソフトウェアおよび副ソフトウェアの各バージョンアップ情報を端末装置へ提供する。さらに、操作端末3等の端末装置に提供する多数のウェブページ群を保持しており、端末装置からのアクセスに応じてウェブページ群の中から対応するウェブページのデータを通信部3bより端末装置に提供(配信)するウェブサーバ機能を有している。
【0047】
ここで、主ソフトウェアおよび副ソフトウェアのバージョン情報は、各ソフトウェアコードの変更が発生した場合に、リリース毎に割り付けられる管理用情報であり、「1.00a」等の文字情報である。
【0048】
そして、ネットワークアダプタ2が主ソフトウェアを更新するバージョンアップ時には、高パフォーマンスの主処理部2aが、宅内ネットワークNT1、インターネットNT2を介してセンターサーバ5から最新バージョンの主ソフトウェアを取得して、ROM2e内の主ソフトウェアを最新のバージョンに書き換える。
【0049】
次に、ネットワークアダプタ2が副ソフトウェアを更新するバージョンアップ時の動作について説明する。
【0050】
まず、図3に示すように、操作端末3において、操作部3dの操作によって副ソフトウェアのバージョン確認ボタンが押下されると、制御部3aはバージョンアップ確認要求をセンターサーバ5へ送信し(S1)、センターサーバ5は、副処理部バージョンプロパティ要求をネットワークアダプタ2へ送信する(S2)。
【0051】
ネットワークアダプタ2では、主処理部2aが副処理部バージョンプロパティ要求を受信し、副処理部2bへバージョン取得要求を出力する(S3)。副処理部2bは、バージョン取得要求に対する応答として、ROM2gに格納している副ソフトウェアのバージョン情報を含むバージョン応答を主処理部2aへ送信する(S4)。主処理部2aは、副処理部バージョンプロパティ要求に対する応答として、副ソフトウェアのバージョン情報を含む副処理部バージョンプロパティ応答をセンターサーバ5へ送信する(S5)。
【0052】
センターサーバ5では、ネットワークアダプタ2から取得した副ソフトウェアのバージョン情報が、最新のバージョン情報であるか否かを判定する(S6)。ネットワークアダプタ2から取得した副ソフトウェアのバージョン情報が、最新のバージョンでなければ、バージョンアップ確認要求に対する応答として、副ソフトウェアのバージョンアップの必要性を報知するためのウェブページを含むバージョンアップ確認応答を操作端末3へ送信し、最新のバージョンであれば、バージョンアップ確認要求に対する応答として、副ソフトウェアのバージョンアップは必要ないことを報知するためのウェブページを含むバージョンアップ確認応答を操作端末3へ送信する(S7)。
【0053】
操作端末3では、制御部3aが、バージョンアップ確認応答に含まれているウェブページを表示部3cに表示するとともに、スピーカ部3eからブザー音または人の音声を出力することによって、副ソフトウェアのバージョンアップの必要があること、または副ソフトウェアのバージョンアップの必要がないことをユーザに報知する。
【0054】
したがって、ユーザは、宅内の操作端末3を操作するのみで、ネットワークアダプタ2の副ソフトウェアのバージョンアップの必要性の有無を確認できる。すなわち、ネットワークアダプタ2の副処理部2bのソフトウェアのバージョンを容易に確認でき、バージョンアップの必要性を簡便に判断できるネットワークシステムとなる。
【0055】
また、本実施形態では、主処理部2aが、センターサーバ5から副処理部バージョンプロパティ要求を受信したときに副処理部2bからバージョン情報を取得している。しかし、主処理部2aは、起動時や一定時間毎にバージョン取得要求を副処理部2bへ出力して、副処理部2bから副ソフトウェアのバージョン情報を予め取得、保持しておき、センターサーバ5から副処理部バージョンプロパティ要求を受信した場合には、この予め保持している副ソフトウェアのバージョン情報を含む副処理部バージョンプロパティ応答をセンターサーバ5へ送信してもよい。
【0056】
さらに、バージョンアップの必要性の有無を報知する報知手段は、ネットワークアダプタ2にも設けてもよく、センターサーバ5から送信されるバージョンアップ確認応答によって、ネットワークアダプタ2で報知動作を行ってもよい。あるいは、センターサーバ5からインターネットNT2経由で携帯端末6へバージョンアップ確認応答を送信し、携帯端末6でバージョンアップの必要性の有無を報知してもよい。
【0057】
次に、操作端末3によって副ソフトウェアのバージョンアップの必要があることを報知された場合には、図4に示すバージョンアップ処理を行う。
【0058】
まず、操作端末3において、操作部3dの操作によって副ソフトウェアのバージョンアップ開始ボタンが押下されると、制御部3aはバージョンアップ開始要求をセンターサーバ5へ送信し(開始要求送信手段)(S11)、センターサーバ5は、操作端末3へバージョンアップ開始応答を返信した後に(S12)、副処理部バージョンメソッド要求をネットワークアダプタ2へ送信する(S13)。
【0059】
ネットワークアダプタ2では、主処理部2aが副処理部バージョンメソッド要求を受信し、センターサーバ5へ副処理部バージョンアップメソッド応答を返信した後に(S14)、副処理部2bへバージョンアップモード移行要求を出力する(S15)。
【0060】
この時点までの副処理部2bは、主処理部2aとの間で行われるシリアル通信の速度を9600bpsに設定しており、主処理部2aとの通信速度を抑えて、設備機器1の監視・制御を実行する通常処理を行っている(通常モード)。しかし、バージョンアップモード移行要求を受信すると、バージョンアップモード移行応答を主処理部2aへ返信するとともに(S16)、設備機器1との通信を停止し(すなわち、設備機器1の監視・制御処理を停止し)、主処理部2aとの間で行われるシリアル通信の速度を19200bpsに上げて、主処理部2aとの通信速度を速くする。すなわち副処理部2bは、主処理部2aとの間のシリアル通信に最大限のパフォーマンスおよびリソースを使用して、主処理部2aとの通信速度を最大限まで上げたバージョンアップモードに移行する(S17)。
【0061】
そして、主処理部2aは、センターサーバ5へバージョンアップモード移行応答を転送し、センターサーバ5は、最新バージョンの副ソフトウェアにバージョンアップするためのバージョンアップ情報をネットワークアダプタ2へ送信する。ネットワークアダプタ2では、主処理部2aがバージョンアップ情報を副処理部2bへ出力する。このとき、副処理部2bは、通信速度の速いバージョンアップモードで動作しているので、主処理部2aからバージョンアップ情報を受け取るための通信時間は短縮され、ダウンロード時間が短縮される。そして、副処理部2bは、受信したバージョンアップ情報に基づいて、ROM2gに格納している副ソフトウェアを最新バージョンに書き換え、副ソフトウェアのバージョンアップ情報を更新する(S18)。
【0062】
副処理部2bは、副ソフトウェアのバージョンアップ処理を完了すると、バージョンアップモードから通常モードに戻って、主処理部2aとの間で行われるシリアル通信の速度を19200bpsから9600bpsに切り替えて、設備機器1の監視・制御処理を再開する(S19)。
【0063】
このように、バージョンアップの必要性があることを通知された場合、ユーザは操作端末3を操作するのみで、センターサーバ5から副ソフトウェアのバージョンアップ情報をダウンロードして、最新バージョンに容易に書き換えることができる。さらに、ネットワークアダプタ2の副処理部2bは、バージョンアップ情報のダウンロード時には、主処理部との間の通信速度を最大限まで上げたバージョンアップモードに移行するので、ダウンロード時間を短縮できる。
【0064】
(実施形態2)
本実施形態では、実施形態1における図3のシーケンスを行った後、操作端末3によって副ソフトウェアのバージョンアップの必要があることを報知された場合には、図5に示すバージョンアップ処理を行う。なお、本実施形態のネットワークシステムの構成は実施形態1と同様であり、説明は省略する。
【0065】
まず、図5に示すように、操作端末3において、操作部3dの操作によって副ソフトウェアのバージョンアップ開始ボタンが押下されると、制御部3aはバージョンアップ開始要求をセンターサーバ5へ送信し(S21)、センターサーバ5は、副処理部バージョンプロパティ要求をネットワークアダプタ2へ送信する(S22)。
【0066】
ネットワークアダプタ2では、主処理部2aが副処理部バージョンプロパティ要求を受信し、副処理部2bへバージョン取得要求を出力する(S23)。副処理部2bは、バージョン取得要求に対する応答として、ROM2gに格納している副ソフトウェアのバージョン情報を含むバージョン応答を主処理部2aへ送信する(S24)。主処理部2aは、副処理部バージョンプロパティ要求に対する応答として、副ソフトウェアのバージョン情報を含む副処理部バージョンプロパティ応答をセンターサーバ5へ送信する(S25)。
【0067】
センターサーバ5では、ネットワークアダプタから取得したバージョン情報を設定された副ソフトウェア(以降、旧:副ソフトウェアと称す)と、最新バージョンの副ソフトウェア(以降、新:副ソフトウェアと称す)とを比較して、旧:副ソフトウェアと新:副ソフトウェアとの差異を変更エリアとして抽出する(差異抽出手段)(S26)。すなわち、変更エリアは、旧:副ソフトウェアのソフトウェアコードの中でバージョンアップのために変更すべき部分である。そして、センターサーバ5は、この変更エリアのソフトウェアコードや、書き込み先頭アドレスおよびデータ長等の書き込み情報を含むバージョンアップ情報を生成し(S27)、当該バージョンアップ情報を含む書き込み要求をネットワークアダプタ2へ送信する(S28)。
【0068】
ネットワークアダプタ2では、主処理部2aがバージョンアップ情報を含む書き込み要求を副処理部2bへ出力する(S29)。そして、副処理部2bは、受信したバージョンアップ情報に基づいて、ROM2gに格納している旧:副ソフトウェアのうち、変更エリアのみを最新バージョンに書き換え、副ソフトウェアのバージョンアップ情報を更新する(S30)。
【0069】
したがって、主処理部2aから副処理部2bへ出力されるバージョンアップ情報は、旧:副ソフトウェアと新:副ソフトウェアとの変更エリア(差異)だけであり、新:副ソフトウェアの全コードを含むバージョンアップ情報をダウンロードする場合と比べて、ダウンロード時間の短縮、および副処理部2bの負荷低減が可能となる。
【0070】
(実施形態3)
本実施形態では、実施形態1における図3のシーケンスを行った後に、操作端末3によって副ソフトウェアのバージョンアップの必要があることを報知された場合には、図6に示すバージョンアップ処理を行う。なお、本実施形態のネットワークシステムの構成は実施形態1と同様であり、説明は省略する。
【0071】
まず、図6において、操作端末3の制御部3aからセンターサーバ5へバージョンアップ開始要求を送信する処理(S21)から、センターサーバ5が旧:副ソフトウェアと新:副ソフトウェアとの差異を変更エリアとして抽出する処理(S26)までは実施形態2と同様であり、説明は省略する。
【0072】
そして、変更エリアがソフトウェアコードの複数領域に存在する場合、センターサーバ5は、変更エリアを領域毎の複数モジュールに分割し、複数モジュール(ここでは、モジュールM1,M2,M3の3つ)からなるバージョンアップ情報を生成する(S41)。次に、このモジュール数[3モジュール]を含む副処理部バージョンアップ要求をネットワークアダプタ2へ送信する(S42)。次に、センターサーバ5は、3つのモジュールM1,M2,M3から構成されたバージョンアップ情報を含む書き込み要求をネットワークアダプタ2へ送信する(S43)。
【0073】
ネットワークアダプタ2では、主処理部2aが、バージョンアップ情報をRAM2fに格納した後に(S44)、モジュール数[3モジュール]を通知するためのモジュール数通知を副処理部2bへ送信し(S45)、副処理部2bは、受信予定のモジュールが3つあることを認識する。
【0074】
そして、主処理部2aは、モジュールM1を含む書き込み要求を副処理部2bへ出力する(S46)。そして、副処理部2bは、受信したモジュールM1のバージョンアップ情報に基づいて、ROM2gに格納している旧:副ソフトウェアのうち、モジュールM1の変更エリアのみを最新バージョンに書き換える(S47)。
【0075】
次に、主処理部2aは、モジュールM2を含む書き込み要求を副処理部2bへ出力する(S48)。そして、副処理部2bは、受信したモジュールM2のバージョンアップ情報に基づいて、ROM2gに格納している旧:副ソフトウェアのうち、モジュールM2の変更エリアのみを最新バージョンに書き換える(S49)。
【0076】
次に、主処理部2aは、モジュールM3を含む書き込み要求を副処理部2bへ出力する(S50)。そして、副処理部2bは、受信したモジュールM3のバージョンアップ情報に基づいて、ROM2gに格納している旧:副ソフトウェアのうち、モジュールM3の変更エリアのみを最新バージョンに書き換える(S51)。
【0077】
そして、副処理部2bは、モジュールによる副ソフトウェアの書き換え残回数をカウントするカウンタ手段を構成した手段更新カウンタ2i(図1中の破線参照)を内部に具備しており、S45のモジュール数通知を受信した時点でカウント値「3」をセットする。そして、各モジュールによる副ソフトウェアの書き換えを完了する度にカウント値をデクリメントし、カウント値が「0」になった時点で、副ソフトウェアのバージョンアップ情報を更新して本処理を終了する。
【0078】
このように、センターサーバ5から送信された複数モジュールのバージョンアップ情報を、主処理部2aのRAM2fに一旦保存するので、センターサーバ5は、主処理部2aから副処理部2bへの通信速度が遅いことによる送信待ちを行う必要はなく、センターサーバ5の負荷を低減することができ、センターサーバ5が他の端末装置と通信可能な時間が増える。
【0079】
(実施形態4)
本実施形態では、実施形態3において、ネットワークアダプタ2の主処理部2aが、バージョンアップ情報をRAM2fに格納し(S44)、モジュール数[3モジュール]を通知するためのモジュール数通知を副処理部2bへ送信した後(S45)の処理について、図7を用いて説明する。
【0080】
まず、副処理部2bは、モジュールによる副ソフトウェアの書き換え残回数をカウントし、カウント値を不揮発性メモリによって保持する更新カウンタ2i(図1中の破線参照)を内部に具備しており、モジュール数通知[3モジュール]を受信すると、更新カウンタ2iの値を「3」にセットする(S61)。すなわち、副ソフトウェアを書き換えるべきモジュールの残数が「3」ということを示している。
【0081】
そして、主処理部2aは、モジュールM1を含む書き込み要求を副処理部2bへ出力する(S62)。そして、副処理部2bは、受信したモジュールM1のバージョンアップ情報に基づいて、ROM2gに格納している旧:副ソフトウェアのうち、モジュールM1の変更エリアのみを最新バージョンに書き換えるとともに(S63)、更新カウンタ2iの値をデクリメントして「2」にセットする(S64)。
【0082】
しかしこの時点で、停電等による電源断、ユーザによるリセット操作、主ソフトウェアのバグ等が発生すると、主処理部2aがRAM2fに格納しているバージョンアップ情報が消えてしまう(S65)。しかし、更新カウンタ2iの値は不揮発性メモリによって保持されているので、再起動時(S66)にもカウント値「2」を保持している。
【0083】
そこで副処理部2bは、再起動時にカウント値を読み出して、1以上の値がセットされていれば、まだ書き換えを行っていないバージョンアップ情報のモジュールがあると判断して(S67)、バージョンアップ再開要求を主処理部2aへ送信する(S68)。バージョンアップ再開要求には、書き換え残回数である更新カウンタ2iの値「2」と、ROM2gに格納している旧:副ソフトウェアのバージョン情報(モジュールM1の書き換えは完了しているが、モジュールM2,M3の書き換えは完了していないので、バージョン情報は更新されていない)とが含まれる。主処理部2aは、バージョンアップ再開要求をセンターサーバ5へ転送する(S69)。
【0084】
そして、センターサーバ5は、旧:副ソフトウェアと新:副ソフトウェアとの差異を変更エリアとして抽出する処理(S70)を行い、変更エリアがソフトウェアコードの複数領域に存在する場合、センターサーバ5は、変更エリアを領域毎の複数モジュールに分割する。この場合、モジュールM1,M2,M3に分割されるのであるが、バージョンアップ再開要求に含まれる書き換え残回数「2」を参照して、モジュールM1は書き換え済であると判断して、2つのモジュールM2,M3からなるバージョンアップ情報を生成する(S71)。次に、このモジュール数[2モジュール]を含む副処理部バージョンアップ要求をネットワークアダプタ2へ送信する(S72)。次に、センターサーバ5は、2つのモジュールM2,M3から構成されたバージョンアップ情報を含む書き込み要求をネットワークアダプタ2へ送信する(S73)。
【0085】
ネットワークアダプタ2では、主処理部2aが、バージョンアップ情報をRAM2fに格納した後に(S74)、モジュール数[2モジュール]を通知するためのモジュール数通知を副処理部2bへ送信し(S75)、副処理部2bは、更新カウンタ2iの値を「2」にセットする(S76)。
【0086】
そして、主処理部2aは、モジュールM2を含む書き込み要求を副処理部2bへ出力する(S77)。そして、副処理部2bは、受信したモジュールM2のバージョンアップ情報に基づいて、ROM2gに格納している旧:副ソフトウェアのうち、モジュールM2の変更エリアのみを最新バージョンに書き換えるとともに(S78)、更新カウンタ2iの値をデクリメントして「1」にセットする(S79)。
【0087】
次に、主処理部2aは、モジュールM3を含む書き込み要求を副処理部2bへ出力する(S80)。そして、副処理部2bは、受信したモジュールM3のバージョンアップ情報に基づいて、ROM2gに格納している旧:副ソフトウェアのうち、モジュールM3の変更エリアのみを最新バージョンに書き換えるとともに(S81)、更新カウンタ2iの値をデクリメントして「0」にセットする(S82)。そして、副処理部2bは、更新カウンタの値が「0」になった時点でバージョンアップ完了と判断し、副ソフトウェアのバージョンアップ情報を更新して本処理を終了する。
【0088】
このように、停電等による電源断、ユーザによるリセット操作、主ソフトウェアのバグ等で、バージョンアップ情報のダウンロードが中断された場合でも、再起動後に、書き換え未完了部分よりダウンロードを再開するため、バージョンアップ処理の復旧を効率よく行うことができる。
【0089】
なお、上述のネットワークアダプタ2では、主処理部2aが、センターサーバ5からのバージョンアップ情報を揮発性のRAM2fに格納しているが、RAM2fを不揮発性のメモリで構成してもよい。この場合、再起動後に副処理部2bからバージョンアップ再開要求を受信した主処理部2aは、バージョンアップ再開要求に含まれる書き換え残回数「2」を参照して、モジュールM1は書き換え済であると判断する。そして、不揮発性のRAM2fの保持内容を参照してモジュールM2,M3を含む書き込み要求を副処理部2bへ順次出力する。すなわち、RAM2fを不揮発性のメモリで構成することによって再起動時にセンターサーバ5との通信が不要となり、通信処理を簡略化できる。
【0090】
(実施形態5)
本実施形態では、実施形態2において、センターサーバ5が、バージョンアップ情報を含む書き込み要求をネットワークアダプタ2へ送信した後(S28)の処理について、図8を用いて説明する。
【0091】
まずセンターサーバ5では、ネットワークアダプタ2から取得したバージョン情報を設定された旧:副ソフトウェアと、最新バージョンの新:副ソフトウェアとを比較して、旧:副ソフトウェアと新:副ソフトウェアとの差異を変更エリアとして抽出する(差異抽出手段)。そして、センターサーバ5は、この変更エリアのソフトウェアコードや、書き込み先頭アドレスおよびデータ長等の書き込み情報を含むバージョンアップ情報を生成し、当該バージョンアップ情報を含む書き込み要求をネットワークアダプタ2へ送信する(S28)。
【0092】
ネットワークアダプタ2では、主処理部2aが、受信した書き込み要求に含まれるバージョンアップ情報に基づいてソフトウェアコード中の変更エリアを特定し、当該変更エリアのコード要求を副処理部2bへ送信する(S91)。副処理部2bは、ROM2gに格納している旧:副ソフトウェアのコードにおける当該変更エリアを抽出して、旧コード情報として主処理部2aへ送信する(S92)。主処理部2aは、旧コード情報を不揮発性のフラッシュメモリ2j(図1中の破線参照)に格納した後に(S93)、バージョンアップ情報を含む書き込み要求を副処理部2bへ出力する(S94)。そして、副処理部2bは、受信したバージョンアップ情報に基づいて、ROM2gに格納している旧:副ソフトウェアのうち、変更エリアのみを最新バージョンに書き換え、副ソフトウェアのバージョンアップ情報を更新する(S95)。
【0093】
しかし、副ソフトウェアをバージョンアップしたことによって不具合が発生した場合、ネットワークアダプタ2に設けた図示しない復帰スイッチをユーザが操作することによって、主処理部2aに復帰要求トリガが発生し(S96)、主処理部2aは、旧コード情報をフラッシュメモリ2jから読み出して、旧コード情報を含む書き込み要求を副処理部2bへ出力する(S97)。そして、副処理部2bは、受信した旧コード情報に基づいて、ROM2gに格納している新:副ソフトウェアのうち、変更エリアを旧コード情報に書き換え、副ソフトウェアのバージョンを前のバージョンに戻す(S98)。
【0094】
したがって、宅内ネットワークNT1やインターネットNT2が不通状態となっても、副ソフトウェアを元のバージョンに戻してバージョンアップによる不具合を解消することができる。
【0095】
勿論、操作端末3の操作部3dの操作によって、ネットワーク経由で復帰要求トリガをネットワークアダプタ2へ送信してもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、センターサーバ5が、ネットワークアダプタ2の副ソフトウェアをバージョンアップする必要有りと判断した場合、操作端末3等の端末装置へバージョンアップの必要性を報知した後に、センターサーバ5からネットワークアダプタ2へ副ソフトウェアのバージョンアップ情報をダウンロードして、最新バージョンに書き換えている。しかし、センターサーバ5が、ネットワークアダプタ2の副ソフトウェアをバージョンアップする必要有りと判断した場合、操作端末3等の端末装置へバージョンアップの必要性を報知するのみの構成や、ネットワークアダプタ2の副ソフトウェアをバージョンアップする必要有りと判断した場合、ユーザに報知することなく、センターサーバ5からネットワークアダプタ2へ副ソフトウェアのバージョンアップ情報をダウンロードして、最新バージョンに書き換える構成でもよい。
【0097】
また、実施形態1に記載したバージョンアップモードと通常モードとを切替可能にした構成を他の実施形態に適用してもよく、この場合も実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0098】
1 設備機器
2 ネットワークアダプタ
2a 主処理部
2b 副処理部
2e,2g ROM
2f,2h RAM
3 操作端末
5 センターサーバ
NT1 宅内ネットワーク
NT2 インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備機器と通信を行うネットワークアダプタと、ネットワークアダプタと通信を行うセンターサーバとがネットワークに接続され、
ネットワークアダプタは、ネットワークを介したセンターサーバとの通信処理を行うための主ソフトウェアを格納した主記憶部と、主ソフトウェアを実行することによってネットワークを介した通信を行う主処理部と、バージョン情報を付与されて設備機器との通信処理を行うための副ソフトウェアを格納した副記憶部と、主処理部との間でデータ授受可能であるとともに、副ソフトウェアを実行することによって設備機器と通信を行う副処理部とを備え、主処理部は、副処理部から副ソフトウェアのバージョン情報を取得する手段を具備しており、ネットワークを介して副ソフトウェアのバージョン情報の問合せ要求を受信すると、副ソフトウェアのバージョン情報をセンターサーバへ送信し、
センターサーバは、ネットワークアダプタから副ソフトウェアのバージョン情報を受信すると、当該バージョン情報に基づいて、ネットワークアダプタにおいて副ソフトウェアのバージョンアップが必要か否かを判定し、バージョンアップが必要であると判定した場合には、バージョンアップに関する情報をネットワークに送信する
ことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項2】
前記センターサーバが送信するバージョンアップに関する情報は、バージョンアップの必要を報知する報知信号であり、報知信号を受信したときにバージョンアップの必要を報知する報知手段と、当該報知手段による報知動作があった後に、副ソフトウェアのバージョンアップ開始要求をセンターサーバへ送信する開始要求送信手段とをネットワーク上に備え、
バージョンアップ開始要求を受信したセンターサーバは、ネットワークアダプタから受信したバージョン情報より新しいバージョン情報を付与された副ソフトウェアにバージョンアップするためのバージョンアップ情報をネットワークアダプタへ送信し、
ネットワークアダプタは、主処理部がバージョンアップ情報を受信して副処理部へ出力し、副処理部は、バージョンアップ情報に基づいて、副記憶部に格納している副ソフトウェアを書き換えることを特徴とする請求項1記載のネットワークシステム。
【請求項3】
前記センターサーバが送信するバージョンアップに関する情報は、ネットワークアダプタから受信したバージョン情報より新しいバージョン情報を付与された副ソフトウェアにバージョンアップするためのバージョンアップ情報であり、ネットワークアダプタは、前記主処理部がバージョンアップ情報を受信して副処理部へ出力し、副処理部は、バージョンアップ情報に基づいて、副記憶部に格納している副ソフトウェアを書き換えることを特徴とする請求項1記載のネットワークシステム。
【請求項4】
前記ネットワークアダプタは、前記主処理部がバージョンアップ情報を前記副処理部へ出力する間、副処理部は前記設備機器との通信を停止して、バージョンアップ情報を受信することを特徴とする請求項2または3記載のネットワークシステム。
【請求項5】
前記センターサーバは、前記ネットワークアダプタから受信したバージョン情報を付与された副ソフトウェアと、当該副ソフトウェアより新しいバージョン情報を付与された副ソフトウェアとの差異を抽出する差異抽出手段を備えて、当該差異部分のみを書き換えるためのバージョンアップ情報をネットワークアダプタへ送信し、
ネットワークアダプタの副処理部は、バージョンアップ情報に基づいて、副記憶部に格納している副ソフトウェアのうち前記差異部分のみを書き換える
ことを特徴とする請求項2乃至4いずれか記載のネットワークシステム。
【請求項6】
前記センターサーバは、前記差異部分を複数モジュールに分割したバージョンアップ情報を前記ネットワークアダプタへ送信し、
ネットワークアダプタの主処理部は、複数モジュールからなるバージョンアップ情報を記憶して、バージョンアップ情報をモジュール毎に副処理部へ順次出力し、副処理部は、モジュール毎のバージョンアップ情報に基づいて、副記憶部に格納している副ソフトウェアをモジュール毎に書き換える
ことを特徴とする請求項5記載のネットワークシステム。
【請求項7】
前記ネットワークアダプタの主処理部は、副処理部へバージョンアップ情報のモジュール数を通知し、前記ネットワークアダプタの副処理部は、主処理部から通知されたバージョンアップ情報のモジュール数に基づいて、書き換えていない残モジュール数を管理するカウンタ手段を備え、再起動時に、カウンタ手段を参照して書き換えていない残モジュールがある場合には、書き換えていない残モジュールに関する情報とともにバージョンアップ再開要求を主処理部から前記センターサーバへ送信し、センターサーバは、複数モジュールに分割した前記差異部分のうち、書き換えていない残モジュールを前記ネットワークアダプタへ送信することを特徴とする請求項6記載のネットワークシステム。
【請求項8】
前記ネットワークアダプタの主処理部は、バージョンアップ情報を副処理部へ出力する前に、副記憶部に格納している副ソフトウェアを副処理部から取得して保存し、バージョンアップ情報を副処理部へ出力した後に復帰要求が発生した場合、保存している副ソフトウェアを副処理部へ出力し、副処理部は当該副ソフトウェアを副記憶部に書き込むことを特徴とする請求項1乃至7いずれか記載のネットワークシステム。
【請求項9】
ネットワークを介してセンターサーバに接続されるとともに設備機器と通信を行うネットワークアダプタであって、
ネットワークを介したセンターサーバとの通信処理を行うための主ソフトウェアを格納した主記憶部と、主ソフトウェアを実行することによってネットワークを介した通信を行う主処理部と、バージョン情報を付与されて設備機器との通信処理を行うための副ソフトウェアを格納した副記憶部と、主処理部との間でデータ授受可能であるとともに、副ソフトウェアを実行することによって設備機器と通信を行う副処理部とを備え、主処理部は、副処理部から副ソフトウェアのバージョン情報を取得する手段を具備しており、ネットワークを介して副ソフトウェアのバージョン情報の問合せ要求を受信すると、副ソフトウェアのバージョン情報に基づいて副ソフトウェアのバージョンアップが必要か否かを判定してバージョンアップが必要であると判定した場合にはバージョンアップに関する情報をネットワークに送信するセンターサーバへ、副ソフトウェアのバージョン情報を送信する
ことを特徴とするネットワークアダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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