ネットワークプリントシステムのクライアント装置、印刷データ生成サーバ、及び画像形成装置
【課題】ユーザにとって必要な印刷データのみを簡単な操作で印刷できるネットワークプリントシステムを提供する。
【解決手段】クライアント装置は、メディアリーダ/ライタと、印刷データ生成サーバとのデータ通信を行なうネットワークI/Fとを含み、メディアに記憶された電子データを読出し(ステップ218)、印刷データ生成サーバに送信して印刷データの生成を依頼する(ステップ220)。この電子データに応答して、印刷データ生成サーバから送信されてくる識別番号をデータ通信装置を介して受信し(ステップ222)、メディアに記憶させる(ステップ224)。この識別番号を用い、送信された電子データに対応する印刷データにアクセスできる。
【解決手段】クライアント装置は、メディアリーダ/ライタと、印刷データ生成サーバとのデータ通信を行なうネットワークI/Fとを含み、メディアに記憶された電子データを読出し(ステップ218)、印刷データ生成サーバに送信して印刷データの生成を依頼する(ステップ220)。この電子データに応答して、印刷データ生成サーバから送信されてくる識別番号をデータ通信装置を介して受信し(ステップ222)、メディアに記憶させる(ステップ224)。この識別番号を用い、送信された電子データに対応する印刷データにアクセスできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、クライアント装置から電子データをサーバに送信して印刷データの生成をサーバで行ない、ネットワーク接続された画像形成装置でその印刷データの印刷を行なうネットワークプリントシステムに関し、特に、クライアント装置からの電子データの送信処理、及び画像形成装置における印刷処理の際のユーザの手間を少なくするネットワークプリントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット上に設けられたネットワークプリントサーバ(印刷データ生成サーバ)に電子データからの印刷データの生成を依頼し、コンビニエンスストア等に設置された画像形成装置にサーバから印刷データをダウンロードして印刷を行なうネットワークプリントシステムが提供されている。これらシステムでは、ユーザは、印刷したい電子データをネットワークプリントサーバに登録して印刷データの生成を依頼する。プリントサーバは、この電子データに関連付けられたユニークな識別番号を生成し、ユーザに提示する。ユーザはこの番号を控えておき、コンビニエンスストアの画像形成装置においてネットワークプリントサービスを利用する際に、この識別番号を入力することで自分の依頼した電子データの印刷を行なうことができる。
【0003】
しかし、このようなシステムでは、ユーザが識別番号を間違うと、所望の印刷データを得ることができないという問題がある。そのためユーザは、識別番号を間違えないように確実に記録したり記憶したりする必要があるという問題がある。特に、印刷しようとする電子データが複数ある場合、それらに対応する識別番号を全て間違いなく記録しておく必要があり、ユーザにとってはわずらわしいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−129007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうした問題に対し、特許文献1には、プリントサーバを利用する際にはユーザ認証を要するものとし、クライアント装置に対して着脱可能な可搬型メモリを設け、可搬型メモリにユーザ認証に必要な情報を全て収めるシステムが開示されている。プリントサーバを利用するときにはユーザ認証がされるため、プリントサーバはユーザごとに電子データを管理できる。ユーザがコンビニエンスストア等に設置された画像形成装置からプリントサーバにアクセスするときにも、同じ可搬型メモリを用いてユーザ認証を行なう。したがってプリントサーバは、ユーザに関連する印刷データのみの一覧を画像形成装置に表示できる。ユーザは、一般のパーソナルコンピュータを用いた書類の選択と同様の手続で、プリントサーバで生成された印刷データを選択し、印刷させることができる。
【0006】
しかし特許文献1に記載のシステムでは、同じユーザから依頼された印刷データが多数ある場合には、それらの中からユーザが適切なものを選択する操作を行なう必要がある。そうした操作を不要とするためには、プリントサーバに記憶された印刷データをユーザが改めて管理しなければならない。その結果、ユーザにとっては必要な印刷データのみを簡単な操作で印刷することが難しいという問題点があった。
【0007】
それゆえに本発明の目的は、ユーザにとって必要な印刷データのみを簡単な操作で印刷できるネットワークプリントシステムにおけるクライアント装置、印刷データ生成サーバ、及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の局面に係るクライアント装置は、受信した電子データに応答して、当該電子データから印刷用の印刷データを生成して、当該電子データに対応する識別情報を当該電子データの送信元に返信する機能を持つ印刷データ生成サーバを含むネットワークプリントシステム内で利用されるクライアント装置であって、可搬型のデータ記憶媒体と通信する機能を持ち、通信可能となったデータ記憶媒体との間のデータの入出力を行なうデータ入出力手段と、印刷データ生成サーバとのデータ通信をネットワークを通じて行なうデータ通信装置と、データ記憶媒体に記憶された電子データをデータ入出力手段を介して読出し、データ通信装置を介して印刷データ生成サーバに送信する電子データ送信手段と、電子データ送信手段により印刷データ生成サーバに送られた電子データに応答して、印刷データ生成サーバから送信されてくる、電子データに対応する識別情報をデータ通信装置を介して受信し、データ入出力手段を介してデータ記憶媒体に記憶させるための識別情報受信手段とを含む。
【0009】
データ記憶媒体とデータ入出力手段との通信が可能になると、電子データ送信手段が、データ記憶媒体内の電子データを読出し、印刷データ生成サーバに送信する。印刷データ生成サーバは、この電子データに応答して、その電子データに対応する識別情報を返信してくる。この識別情報が識別情報受信手段により受信され、データ記憶媒体に記憶される。データ記憶媒体に電子データの識別情報が記憶されるため、このデータ記憶媒体内のデータを読むことにより、印刷データ生成サーバに送信された電子データとその電子データから生成されるデータ、例えば印刷データを特定できる。ユーザが識別情報を記憶したり記録したりする必要はないため、ユーザの作業負担が軽減される。識別情報の記憶間違い等もなくなるという効果がある。
【0010】
好ましくは、可搬型のデータ記憶媒体とデータ入出力手段とは、機械的及び電気的な接続部を介して着脱可能かつ通信可能となる。
【0011】
より好ましくは、クライアント装置はさらに、データ記憶媒体に記憶された識別情報をデータ入出力手段を介して読出し、データ通信装置を介して印刷データ生成サーバに送信する識別情報送信手段と、識別情報送信手段により送信された識別情報に応答して、印刷データ生成サーバから返信されてくる、当該識別情報に対応する印刷データの有無を示す情報を受信する印刷データ有無情報受信手段と、印刷データ有無情報受信手段が受信した情報に基づいて、対応する印刷データが存在しない識別情報を、データ入出力手段を介してデータ記憶媒体から削除する識別情報削除手段とを含む。
【0012】
識別情報受信手段により何度も識別情報を受信していると、データ記憶媒体内に記憶される識別情報の数が増加する。それらは、例えば対応する印刷データが存在しない状態になれば不要となる。識別情報送信手段がデータ記憶媒体内に記憶されている識別情報を読出し、印刷データ生成サーバに送信すると、その識別情報に対応する印刷データの有無を示す情報(印刷データ有無情報)が送信されてくる。この印刷データ有無情報により、対応する印刷データが存在しない識別情報をデータ記憶媒体から削除する。対応する印刷データが存在しないので、識別情報を削除しても障害は生じない。また、データ記憶媒体の記憶容量を有効利用できる。
【0013】
さらに好ましくは、識別情報送信手段、印刷データ有無情報受信手段、及び識別情報削除手段は、電子データ送信手段の動作前に動作を行なう。
【0014】
クライアント装置には、表示装置が接続可能であってもよい。電子データ送信手段は、データ記憶媒体に記憶された電子データのデータ名をデータ入出力手段を介して読出し、クライアント装置に接続された表示装置上に当該データ名の一覧を表示する一覧表示手段と、一覧表示手段により表示されたデータ名の一覧から、ユーザとの対話型処理により印刷データ生成サーバに送信する電子データのデータ名の指定を受けるデータ名指定手段と、電子データ指定手段により指定されたデータ名に対応する電子データをデータ入出力手段を介してデータ記憶媒体から読出し、電子データ送信手段を介して印刷データ生成サーバに送信する送信手段とを含む。
【0015】
クライアント装置はさらに、識別情報受信手段が受信した識別情報を、予め定められた画像形成装置に送信する識別情報送信手段を含む。
【0016】
本発明の第2の局面に係る印刷データ生成サーバは、ネットワークプリントシステムで使用される印刷データ生成サーバである。この印刷データ生成サーバは、遠隔に設けられたクライアント装置及び画像形成装置と通信可能な通信装置と、通信装置を介してクライアント装置のいずれかから、電子データの送信を受けたことに応答して、当該電子データに対応する識別情報を生成し、当該電子データを送信してきたクライアント装置に返信する識別情報送信手段と、電子データの送信を受けたことに応答して、当該電子データに対応する印刷データを生成する処理を実行する印刷データ生成手段と、印刷データ生成手段により生成された印刷データを、対応する電子データに対して識別情報送信手段により生成された識別情報と関連付けて記憶する記憶手段と、通信装置を介して、識別情報を指定して印刷データを送信するように求める要求を受けたことに応答して、記憶手段内に、当該要求により指定された識別情報と関連付けて記憶されている印刷データを検索し、当該要求を送信してきた装置に対して通信装置を介して送信する印刷データ送信手段とを含む。
【0017】
印刷データ生成サーバはさらに、印刷データ生成手段により印刷データが生成された日時を、各電子データの識別情報と関連付けて記憶手段に記憶させる手段と、記憶手段に記憶された印刷データの、生成からの経過時間を定期的に調べ、予め定められた期間が経過した印刷データを記憶手段から削除する削除手段とを含む。
【0018】
より好ましくは、印刷データ生成サーバはさらに、クライアント装置から印刷データの識別情報のリストを受信したことに応答して、対応する印刷データが記憶手段に存在しない識別情報を当該リストから抽出する識別情報抽出手段と、識別情報抽出手段により抽出された識別情報をリストを送信してきたクライアント装置に返信する返信手段とを含む。
【0019】
本発明の第3の局面に係る画像形成装置は、ネットワークプリントシステムで使用される画像形成装置であって、遠隔に設けられた印刷データ生成サーバと通信可能な通信装置と、可搬型のデータ記憶媒体と通信する機能を持ち、通信可能となったデータ記憶媒体との間のデータの入出力を行なうデータ入出力手段と、データ入出力手段との通信が可能となったデータ記憶媒体内に記憶された識別情報であって、印刷データ生成サーバにより生成された印刷データを特定する識別情報を読出し、当該識別情報を通信装置により印刷データ生成サーバに送信することにより印刷データの送信を要求する印刷データ要求手段と、印刷データ要求手段による要求に応答して印刷データ生成サーバから送信されてくる印刷データを受信し、画像形成手段を制御して記録媒体上に当該印刷データの画像を形成する画像形成手段とを含む。
【0020】
好ましくは、画像形成装置はさらに、通信装置が印刷データの識別情報を他の装置から受信したことに応答して、当該識別情報に対応する印刷データを印刷データ生成サーバから受信し記憶する記憶手段を含む。印刷データ要求手段は、データ入出力手段との通信が可能となったデータ記憶媒体内に記憶された識別情報を読出し、当該識別情報に対応する印刷データが記憶手段内に保存されているか否かを判定する判定手段と、判定手段による判定の成否にしたがって、記憶手段内に記憶されている、データ入出力手段との通信が可能となったデータ記憶媒体内に記憶されていた識別情報に対応する印刷データを読出すことにより獲得し、画像形成手段への入力として与える処理と、データ入出力手段との通信が可能となったデータ記憶媒体内に記憶されていた識別情報に対応する印刷データを印刷データ生成サーバから受信することにより獲得し、画像形成手段への入力として与える処理とを選択的に実行する、印刷データ獲得手段とを含む。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明によれば、クライアント装置から印刷データ生成サーバに対して電子データを送信すると、その電子データに対応する識別情報がクライアント装置に返信され、クライアント装置によって可搬型の記憶媒体に記録される。この記憶媒体を例えば画像形成装置に装着すると、画像形成装置は記憶媒体に記憶された識別情報を用い、印刷データ生成サーバから、その識別情報に対応する電子データから生成された印刷データを受信し、印刷できる。ユーザが識別情報を記憶したり、記録したりする必要はなく、ユーザにとって使い勝手がよいネットワークプリントシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るネットワークプリントシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すクライアント装置のハードウェアブロック図である。
【図3】クライアント装置で実行される、電子データの登録処理を実現するコンピュータプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図4】図3に制御構造を示すプログラムのうち、可搬型の記憶メディアに記憶された識別情報を削除するルーチンの制御構造を示すフローチャートである。
【図5】図4に示すルーチンに対応して、プリントサーバで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図6】図3に示すプログラムによりクライアントから送信されてくる電子データを処理するための、プリントサーバで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図7】プリントサーバで維持される、電子データの状態を管理するためのテーブルの構造を模式的に示す図である。
【図8】画像形成装置において、プリントサーバで生成されていた印刷データを印刷するための処理を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図9】画像形成装置から印刷データの識別情報を受信したときにサーバで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図10】プリントサーバで定期的に実行される、不要な印刷データを削除するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施の形態のシステムにおいて、クライアント装置により実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図12】第2の実施の形態のシステムにおいて画像形成装置で実行される、印刷データを受信するためのプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図13】画像形成装置において印刷データを選択する際に表示される画面の例を模式的に示す図である。
【図14】第2の実施の形態のシステムにおいて画像形成装置で実行される、印刷データの印刷を行なうためのプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明及び図面では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0024】
<第1の実施の形態>
第1の実施の形態では、クライアント装置に装着された可搬型の記憶メディアからプリントサーバに電子データを送信する際に、プリントサーバでその電子データに対してユニークな識別情報を生成する。その識別情報がプリントサーバからクライアント装置に送信される。クライアント装置は装着されているメモリにこの識別情報を記憶させる。画像形成装置で電子データを印刷するときには、この記憶メディアを画像形成装置のメディアリーダ・ライタに装着すると、識別情報が読出されてプリントサーバに送信され、プリントサーバから画像形成装置にこの識別情報に対応する印刷データがダウンロードされ印刷される。
【0025】
図1を参照して、この実施の形態に係るネットワークプリントシステム50は、インターネット106に接続されたLAN(Local Area Network)104と、LAN104に接続された画像形成装置102と、LAN104に接続され、画像形成装置102を用いて電子データの印刷を行なうためにユーザが使用するクライアント装置100と、インターネット106及びLAN104を介してクライアント装置100及び画像形成装置102のいずれとも通信可能で、クライアント装置100等の装置から受信した電子データから印刷データを生成し、画像形成装置102等の印刷装置に送信して印刷させるサービスを提供するサーバ装置108とを含む。本実施の形態では、クライアント装置100及び画像形成装置102は、例えば同じコンビニエンスストア等に置かれた装置であり、不特定多数が利用することが想定されている。
【0026】
図2を参照して、クライアント装置100は実質的にコンピュータであって、バス142と、いずれもバス142に接続された、CPU(中央演算処理装置)120、起動プログラム等を記憶したROM(読出専用メモリ)122、RAM(Random Access Memory)124、ハードディスクドライブ(HDD)126、記憶メディアを装着可能なメディアリーダ/ライタ140、LAN104(図1を参照)への接続を提供するネットワークインターフェイス(以下「インターフェイス」を単に「I/F」と呼ぶ。)128、モニタ132が接続されるディスプレイI/F130、並びにキーボード136及びマウス138をバス142に接続する入力I/F134とを含む。CPU120、ROM122、RAM124及びHDD126は、通常のコンピュータにと同様、後述するように所定のプログラムを実行するために利用される。特にRAM124は一時的な記憶装置として、HDD126は不揮発性の記憶装置として用いられる。
【0027】
再び図1を参照して、画像形成装置102も実質的にはコンピュータであって、クライアント装置100と同様、プログラムを実行して各部を制御する、CPU、ROM及びRAM等を含む印刷制御部164と、印刷制御部164に接続された表示部160と、印刷制御部164に接続され、クライアント装置100のメディアリーダ/ライタ140と同様、各種記憶メディアが装着可能で記憶メディアに対するデータの入出力を行なうメディアリーダ/ライタ162と、印刷制御部164に対しLAN104への接続を提供するネットワーク通信部166と、印刷制御部164に接続され、印刷制御部164の制御の下で所定の媒体上に画像を形成(印刷)する処理を行なう印刷部168と、印刷制御部164に接続され、各種の電子データ、サーバ装置108から受信した印刷データ、及びその他のサービス提供に必要なデータを一時的に記憶するための一時記憶装置170とを含む。
【0028】
サーバ装置108も実質的にはコンピュータであって、そのハードウェア構成は図2に示すものと同様である。機能的には、サーバ装置108は、インターネット106を介して他の装置と通信可能な環境を提供するネットワーク通信部194と、ネットワーク通信部194を介してクライアント装置100等の装置から電子データを受信したことに応答して、当該電子データを示すユニークな識別情報(以下「ID情報」と呼ぶ。)を生成し、その電子データを送信して来たクライアント装置100等に返信する処理を行なうID情報生成部190と、ID情報生成部190が受信した電子データ、及び当該電子データから生成される印刷データ、各電子データに対して生成されたID情報等を記憶する記憶装置196、及び、ID情報生成部190が電子データを受信したことに応答して、当該電子データから印刷データを生成し、その電子データに割当てられたID情報と対応付けて記憶装置196に一時記憶するとともに、画像形成装置102等の画像形成装置からID情報を指定して印刷データの送信要求を受けたことに応答して、ネットワーク通信部194を介して当該画像形成装置に対し、指定されたID情報に対応する印刷データを記憶装置196から読出して返信する処理を行なう印刷データ生成部192とを含む。記憶装置196には、電子データ、印刷データ、及びID情報を関連付けるための印刷データ管理テーブル(図示せず)が記憶されている。印刷データ管理テーブルの構成については、図7を参照して後述する。なお、電子データとその印刷データとは1対1に対応している。したがって電子データのID情報は、その電子データから生成された印刷データのID情報でもある。以後の説明ではある電子データと、その電子データから生成された印刷データとについて、同じID情報で指定できるものとして説明する。
【0029】
本実施の形態では、各装置では以下のようなプログラムが実行される。
【0030】
クライアント装置100で実行されるプログラムは以下のようなものである。
【0031】
・ユーザが電子データの印刷依頼を行なうためのプログラム
サーバ装置108で実行されるプログラムは以下の4つを含む。
【0032】
・電子データの印刷依頼を受けるときに、ユーザの記憶メディア内に不要なID情報があるか否かをチェックするためのプログラム
・電子データの印刷依頼に応答して、受信した電子データを一時記憶し、印刷データを生成するプログラム
・画像形成装置102等からID情報を指定して印刷データの送信要求があったときに、該当する印刷データを送信するプログラム
・不要となった印刷データ及び電子データ等を定期的に削除するプログラム
画像形成装置102では次のプログラムが実行される。
【0033】
・ユーザが記憶メディアを装着したときに、その記憶メディアに記憶されているID情報を読出してサーバ装置108に印刷データの要求と共に送信し、返信されてくる印刷データを印刷するプログラム。
【0034】
図3を参照して、クライアント装置100において、印刷対象となる電子データの印刷をユーザがサーバ装置108に対して依頼するときに実行されるプログラムは、以下のような制御構造を持つ。本実施の形態では、クライアント装置100のモニタ132には、「ネットワークプリントシステムによる印刷の依頼」等の項目を含むメニューが表示されている。この項目をユーザが選択することにより、以下に制御構造を説明するプログラムが起動される。
【0035】
このプログラムは、起動後、ユーザに対してメディアリーダ/ライタ140に記憶メディアを装着するようにうながす表示を行ない、記憶メディアの装着を確認するステップ210と、装着された記憶メディア内に記憶されている、以前にこのネットワークプリントシステムを利用した際に用いられたID情報であって、既に不要となっているものを削除するステップ212と、装着された記憶メディア内に記憶されている、印刷対象となり得るファイル名の一覧を表示するステップ214と、この一覧表示から、印刷を依頼するファイルをユーザに指定させ、その入力を確認するステップ216とを含む。ステップ212の詳細については図4を参照して後述する。
【0036】
このプログラムはさらに、記憶メディアに記録された電子データのうちで、ステップ216において指定された電子データを選択して読出すステップ218と、読出された電子データに対して暗号化及び圧縮等の処理を行なった上でサーバ装置108に対して印刷依頼とともに送信するステップ220と、ステップ220で送信された印刷依頼に応答して、サーバ装置108から返信されてくる、印刷依頼した電子データに対するID情報を受信するまで待機するステップ222と、ステップ222でID情報が受信されたことに応答し、そのID情報をメディアリーダ/ライタ140に装着された記憶メディアに書込んで処理を終了するステップ224とを含む。
【0037】
図4を参照して、図3のステップ212で実行されるプログラムルーチンは、メディアリーダ/ライタ140に装着された記憶メディア内に記憶された、このネットワークプリントシステムで以前に使用したID情報を全て読出すステップ240と、ステップ240でID情報が1つでもあったか否かを判定し、何もなかったときにはこのルーチンの実行を終了するステップ242と、ステップ242でID情報が存在すると判定されたときに、それらID情報を、当該ID情報の要否をチェックするように依頼する情報とともにサーバ装置108に対して送信するステップ244と、ステップ244で送信された依頼に応答して、サーバ装置108から返信されてきた情報に基づき、記憶メディアに記録されているID情報のうち、既にサーバ装置108から削除されているものに対応するものを削除して処理を終了するステップ246とを含む。
【0038】
図5を参照して、ステップ244で送信される情報に応答して、サーバ装置108では以下に制御構造を説明するプログラムが起動され、実行される。このプログラムは、受信した要否チェック依頼に含まれるID情報に対応する印刷データが記憶装置196に記憶されているか否かをチェックし、既に削除されているID情報を抽出するステップ260と、ステップ260で抽出されたID情報を、削除すべきID情報として要否チェック依頼を送信して来たクライアント装置に送信して処理を終了するステップ262とを含む。
【0039】
図6を参照して、クライアント装置100から電子データの印刷依頼を受信したことに応答してサーバ装置108で実行されるサーバ登録処理のためのプログラムは以下の制御構造を有する。このプログラムは、クライアント装置100からその印刷依頼に対応する電子データを受信するステップ280と、印刷データを管理するための管理テーブルに、受信した電子データに対応する新たなエントリを生成しその内容を初期化するステップ282とを含む。
【0040】
この管理テーブルの構成を図7に示す。図7を参照して、管理テーブル300は、印刷データの生成依頼を受けた電子データについて1つずつのエントリを含む。各エントリは、その電子データについて割当てられるユニークなID情報と、受信した電子データ名と、その電子データから生成され記憶装置196に記憶される印刷データのデータ名(印刷データ名)と、印刷データが生成された日時(データ生成日時)と、印刷データの状態とを含む。データ生成日時は、後述するように、不要となった印刷データを削除するために必要とされる。印刷データの状態は、画像形成装置102等から印刷データの要求を受けたときに、印刷可能かどうかを管理するために必要である。状態が「印刷準備完了」であれば印刷データが生成済であり、直ちに画像形成装置102に対して送信できる。「印刷処理中」であれば、印刷データの生成が完了していないことを示す。図6のステップ282では、ステップ280で受信した電子データにたいするエントリを作成した後、電子データ名が挿入され、「状態」カラムが「印刷処理中」に初期化される。
【0041】
このプログラムはさらに、受信した電子データに対応付ける(割当てる)ユニークな識別情報を生成し、該当エントリの「ID情報」のカラムに記憶させるステップ284と、生成されたID情報を相手のクライアント装置に送信するステップ286と、ステップ280で受信した電子データから、印刷データを生成し記憶装置196に記憶させるステップ288と、生成された印刷データ名を管理テーブルの該当エントリの印刷データ名カラムに、印刷データの生成日時をデータ生成日時カラムに、それぞれ代入し、さらに状態カラムを「印刷準備完了」に更新して、印刷データの生成依頼に関する処理を終了するステップ290とを含む。
【0042】
図8を参照して、画像形成装置102において、電子データの印刷がユーザにより指定されたときに実行されるプログラムは、電子データのID情報が記憶された記憶メディアをメディアリーダ/ライタ162に装着するようユーザに促し、装着されたことを確認するステップ320と、その記憶メディアに記録されているID情報を全て読出すステップ322と、ステップ322で読出されたID情報をサーバ装置108に送信するステップ324と、送信したID情報に関連付けられた印刷データをサーバ装置108から受信するステップ326と、受信した印刷データを印刷部168(図1を参照)により印刷して処理を終了するステップ328とを含む。
【0043】
図9を参照して、画像形成装置102から印刷データの送信要求を受けたサーバ装置108は、以下のようなプログラムを実行する。このプログラムは、画像形成装置102から印刷データのID情報を受信するステップ380と、ステップ380で受信されたID情報に対応する印刷データを画像形成装置102に送信して処理を終了するステップ382とを含む。実際には、画像形成装置から印刷データの送信要求をID情報とともに受信するたびに、図9に示すプログラムの実行が開始される。
【0044】
印刷データを生成してからある時間が経過した後にもサーバ装置108に印刷データを保管しておくのは効率的ではない。したがって本実施の形態では、サーバ装置108は、生成してから所定時間が経過した印刷データを削除する処理を定期的(たとえば1日1回)に行なう処理が実行される。図10にそのためのプログラムの制御構造をフローチャート形式で示す。図10に示すプログラムは、サーバ装置108内の、指定したプログラムを定期的に起動させる作業を行なう仕組みにより定期的に(例えば毎日定時に、または1時間おきに、1週間おきに、等)実行される。
【0045】
このプログラムは、管理テーブル300内のエントリ行番号を示す変数Nに定数0を代入するステップ400と、変数Nに1を加算するステップ402と、変数Nの値が管理テーブル300の最大行数NMAXよりも大きいか否かを判定するステップ404と、ステップ404の判定が肯定のときに、管理テーブル300内の空白行を全て削除し、管理テーブル300を作り直して処理を終了するステップ414とを含む。
【0046】
このプログラムはさらに、ステップ404の判定が肯定のとき、管理テーブル300のN番目のエントリの生成日時カラムの内容を参照するステップ406と、ステップ406で読出された生成日時と、予め定められた期限(例えば生成日時から1ヶ月)とを比較し、印刷データが期限切れとなっているか否かを判定するステップ408とを含む。ステップ408でまだ印刷データの期限が切れていないと判定されたときには制御はステップ402に戻る。
【0047】
このプログラムはさらに、ステップ408の判定がYESであるときに、そのエントリの印刷データが使用中か否か(すなわち、現在、画像形成装置102等による印刷処理中か)を判定し、使用中であれば何もせず制御をステップ402に戻すステップ410と、ステップ410の判定が否定のときに、そのエントリの印刷データカラムの値に基づいて、印刷データを記憶装置196から削除し、管理テーブル300の対応エントリを空白行に更新して制御をステップ402に戻すステップ412とを含む。
【0048】
〈動作〉
以上に構造を示したネットワークプリントシステム50は、以下のように動作する。最初に、ユーザが、図示しないパーソナルコンピュータ等により印刷対象となる文書の電子データを作成し、可搬型の記憶メディアに記憶させたものとする。さらに、このユーザはプリンタを持たないため、この電子データの印刷をネットワークプリントシステム50により行なおうと考えたものとする。
【0049】
ユーザは、クライアント装置100及び画像形成装置102が据え付けられたコンビニエンスストアを訪れ、画面からネットワークプリンタサービスによる印刷というメニューを選択する。すると、クライアント装置100において図3に制御構造を示すプログラムが起動する。最初にステップ210で、クライアント装置100は、記憶メディアをメディアリーダ/ライタ140に装着するよう促すメッセージをモニタ132に表示させる。ユーザが記憶メディアをメディアリーダ/ライタ140に装着したことが確認されると、ステップ212で、記憶メディア中に記録された不要なID情報を削除する処理が実行される。
【0050】
図4を参照して、クライアント装置100は、メディアリーダ/ライタ140に装着された記憶メディアに記憶された、このネットワークプリントシステム50で使用しているID情報を全て読出し(ステップ240)、ID情報が存在すれば(ステップ242)、ステップ244及び244の処理により、サーバ装置108に対応する印刷データが記憶されていないID情報を記憶メディアから削除する。記憶メディアに何もID情報が記録されていなければ、ステップ244及び246の処理がされるまでもなく、この処理は終了する。
【0051】
例えば、まだ記憶メディア中にID情報が何も記録されていないものとすると、図4のルーチンではステップ240からステップ242の判定がNOとなり、何もせずにステップ212が完了する。なお、ステップ244で送信されたID情報を受信したサーバ装置108では、図5に示すプログラムが実行され、受信したID情報に対応する印刷データのエントリが管理テーブル300内にあるかどうかを判定し、そのようなエントリがないID情報のみをステップ260で抽出し、ステップ262でクライアント装置100に返信する。
【0052】
再び図3を参照して、ステップ212に続きステップ214で、記憶メディア内に記録されている電子データの一覧がモニタ132に表示され、ステップ216でユーザがこれら電子データの中から印刷対象の電子データを指定する。以後、ステップ218及び220により、クライアント装置100は、指定された電子データを記憶メディアから読出し印刷依頼とともにサーバ装置108に送信する。
【0053】
この印刷依頼を受信したサーバ装置108では、図6に示すプログラムが起動する。ステップ280で電子データを受信し、ステップ282で管理テーブル300(図7参照)内に新たに受信した電子データに対応するエントリを生成する。このとき、図7を参照して、ID情報、印刷データ名、データ生成日時には「NULL」が挿入される。電子データ名カラムには、受信した電子データの名称が挿入される。状態カラムには「印刷処理中」が挿入される。
【0054】
続いてステップ284において、新たに受信した電子データにユニークに対応する、新たなID情報を生成し、管理テーブル300のID情報カラムに挿入する。続くステップ286で、生成されたID情報をクライアント装置100に返信する。サーバ装置108はさらに、受信した電子データから、印刷データを生成する処理を実行し(ステップ288)、生成された印刷データを記憶装置196に格納する。さらに、さらにサーバ装置108は、管理テーブル300の印刷データ名カラムに印刷データのファイル名を挿入し、データ生成日時カラムにこの印刷データの生成日時を挿入し、状態カラムを「印刷準備完了」に更新することにより管理テーブル300の該当エントリを更新して処理を終了する。
【0055】
一方、図6のステップ286でサーバ装置108から送信されたID情報は、図3のステップ222においてクライアント装置100により受信される。クライアント装置100は、続くステップ224において、このID情報をメディアリーダ/ライタ140を介して記憶メディアに書込み、処理を終了する。ユーザは、この記憶メディアをクライアント装置100から取り外す。
【0056】
ユーザは、同じ店内にある画像形成装置102で、先ほど送信した電子データの印刷を行なう。通常、サーバ装置108が電子データを受信してから印刷データの生成が完了するまでにはある時間が必要である。したがって、確実に印刷データの生成が完了するように、印刷を開始するまでにはある程度の時間をとった方がよい。
【0057】
画像形成装置102の図示しないモニタには、ネットワークプリントシステムによるデータの印刷、という項目を含むメニューが表示されているものとする。ユーザがこの項目を選択すると、画像形成装置102では図8に示すプログラムの実行が開始される。ここでは、ユーザに対して記憶メディアをメディアリーダ/ライタ162に装着することを求めるメッセージを表示し、ユーザが記憶メディアを装着するまで待機する。記憶メディアがメディアリーダ/ライタ162に装着され、データの入出力が可能になると、ステップ322で記憶メディアに記録されているID情報が全て読出される。このID情報が全て印刷データを要求する情報とともにサーバ装置108に送信され(ステップ324)、サーバ装置108から対応する印刷データが送信されてくるのを待機する。
【0058】
サーバ装置108では、図8のステップ324で送信された印刷データの送信要求に応答して、図9に示すプログラムの実行が開始される。すなわち、ステップ380で、印刷データの送信要求に付随する印刷データのID情報を受信し、管理テーブル300を参照してそのID情報に対応する印刷データを記憶装置196から読出し、画像形成装置102に送信して(ステップ382)処理を終了する。
【0059】
再び図8を参照して、クライアント装置100では、ステップ326で、サーバ装置108からの印刷データを受信し、ステップ328でこの印刷データを印刷部168を用いて印刷し、処理を終了する。
【0060】
一方、サーバ装置108では、定期的に図10に制御構造を示すプログラムが実行される。通常、このプログラムではステップ400、402、404、406、408を経て、検査対象の印刷データが期限切れの場合には、そのファイルが使用中の場合を除き、ステップ412で印刷データが削除され、管理テーブル300の対応エントリが空白に更新される。管理テーブル300の全てについてチェックが終了すると(図10のステップ404の判定が肯定)、ステップ414で、管理テーブル300内の空白行が削除され、新たに管理テーブル300が作り直されて、印刷データの削除処理が終了する。
【0061】
以上のようにこの実施の形態によれば、記憶メディアに電子データを格納させた後、ユーザがクライアント装置100でその電子データに対する印刷データの作成をサーバ装置108に依頼すると、サーバ装置108でその電子データに対応する印刷データが作成される。その印刷データを一意に識別するID情報が同時にサーバ装置108で作成され、クライアント装置100に送信される。クライアント装置100がこのID情報を元の電子データが記憶された記憶メディアに記録する。ユーザがこの記憶メディアを画像形成装置102のメディアリーダ/ライタ162に装着すると、記憶メディア中のID情報が読出され、サーバ装置108に送信される。サーバ装置108は、ID情報に対応する印刷データを画像形成装置102に送信し、画像形成装置102はその印刷データを印刷部168を用いて印刷する。ユーザが印刷データのID情報を一々記憶したり記録したりする必要がなく、簡単に所望の電子データの印刷をネットワークプリントシステムで行なうことができる。
【0062】
サーバ装置108では、印刷データの有効期限を管理しており、有効期限を過ぎた印刷データは自動的に削除される。無駄な印刷データがいつまでも存在する恐れはなく、サーバ装置108の記憶領域を有効に活用できる。さらに、クライアント装置100において、記憶メディアがメディアリーダ/ライタ140に装着されるたびに、その記憶メディアに記憶されているID情報に対応する印刷データがサーバ装置108に存在しているか否かがチェックされ、存在していない場合にはそのID情報が記憶メディアから自動的に削除される。記憶メディアの記憶領域がID情報により際限なく消費されたり、ユーザがID情報を手作業により削除したりする必要がなく、記憶メディアの記憶領域を有効に利用できる。
【0063】
なお、上記実施の形態では、クライアント装置100及び画像形成装置102での関連するプログラムは、ユーザによりメニューから起動されるものとした。しかし本実施の形態はそのような方法に限定されない。例えば記憶メディアがメディアリーダ/ライタ140に装着されるとクライアント装置100において自動的に図3に示すようなプログラムが起動するようにしてもよい。画像形成装置102においても同様である。
【0064】
<第2の実施の形態>
上記した第1の実施の形態では、クライアント装置100と画像形成装置102とが互いに通信可能な状態ではあるものの、相互に直接連携して処理を行なってはいない。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されない。コンビニエンスストア等、同じ店舗に設けられたクライアント装置100と画像形成装置102とであれば、互いに装置を特定することが可能なので、相互に連携して処理を行ない、それによってユーザにとってより利便性の高いサービスを提供できる可能性がある。
【0065】
第1の実施の形態に係るシステムでは、記憶メディアを介してユーザがクライアント装置100から画像形成装置102に対象となっている電子データ(印刷データ)のID情報を通知している。しかし、クライアント装置100と画像形成装置102とが連携可能であれば、ID情報を記憶メディアを介してではなくクライアント装置100から画像形成装置102に直接送信することが可能になる。ユーザが記憶メディアをクライアント装置100から画像形成装置102に装着する前に画像形成装置102では印刷対象のID情報が分かる。したがって、ユーザが画像形成装置102に記憶メディアを装着する以前に、クライアント装置100から送信されたID情報を用いてサーバ装置108からそのID情報に対応する印刷データを受信しておくことが可能になる。もちろん、この場合、サーバ装置108において印刷データの生成がそれまでに完了している必要があるが、完了していれば記憶メディアの装着を待たずに印刷データを画像形成装置102にダウンロードしておくことができるため、ユーザが記憶メディアを画像形成装置102に装着したときには直ちにその記憶メディアに格納されたID情報に対応する印刷データの印刷を開始できる。
【0066】
以下、この第2の実施の形態に係るネットワークプリントシステムの構成について、主としてソフトウェアに関して説明する。なお、ハードウェア的には、このネットワークプリントシステムは、図1及び図2に示す第1の実施の形態のものと同じものを使用できる。したがってここではそれらについての説明は繰返さない。以下の説明からも明らかなように、クライアント装置100と画像形成装置102とを一体化させることもできる。この場合、1つの筐体内にクライアント装置100のハードウェアと画像形成装置102のハードウェアとを共存させ、両者が直接通信可能となるようにしてもよいし、ハードウェアとしてはコンピュータ部分を共通にし、ソフトウェアとしてクライアント装置100の機能を実現するものと画像形成装置102の機能を実現するものとを別々に実装し、同じハードウェア上でソフトウェア同士の通信により以下に説明する処理を実行するようにしてもよい。
【0067】
図11を参照して、この第2の実施の形態において、第1の実施の形態の図3に相当するプログラムは、図3と同様のステップ210〜ステップ224に加え、ステップ224の後に、ステップ222で受信したID情報を画像形成装置102に送信して処理を終了するステップ430を含む。クライアント装置100から画像形成装置102にID情報を送信する際の送信先は、クライアント装置100を店舗に据え付ける際に設定する必要があるが、この送信先は予め定められているため設定は容易である。
【0068】
これに対して第2の実施の形態に係るシステムでは、画像形成装置102は、第1の実施の形態において用いられるプログラムに加えて図12に制御構造を示すプログラムを実行する。このプログラムは、予め画像形成装置102と関連付けられている(画像形成装置102と同じ店舗に据え付けられている)クライアント装置100から電子データのID情報を受信したことに応答して実行される。
【0069】
図12を参照してこのプログラムは、クライアント装置100より電子データのID情報を受信するステップ450と、このID情報に対応する印刷データの生成状況をサーバ装置108に対して問合せるステップ452と、ステップ452の問合せの結果、サーバ装置108から送信されてきた情報に基づいて、ID情報に対応する印刷データの生成が完了したか否かを判定し、完了していない場合には制御をステップ452に戻すステップ454と、ステップ454で印刷データの生成が完了したと判定されたときに実行され、その印刷データをサーバ装置108から受信して一時記憶装置170に一時記憶し、処理を終了するステップ456とを含む。
【0070】
このような処理をクライアント装置100からID情報を受信すると共に起動し実行しておくことにより、ユーザが記憶メディアをクライアント装置100のメディアリーダ/ライタ140から取り外し、画像形成装置102のメディアリーダ/ライタ162に装着する前に、画像形成装置102の一時記憶装置170にその記憶メディアに格納されているID情報に対応する印刷データが格納されている確率が高くなる。ユーザは、時間を無駄にせず、電子データの印刷の依頼が完了するとすぐに記憶メディアをはずして画像形成装置102で印刷を試み、実際に印刷を行なえる確率が高くなるという効果がある。
【0071】
図14は、この実施の形態に係る画像形成装置102において、ユーザが印刷データを印刷する際に起動されるプログラムのフローチャートである。図14を参照して、このプログラムは、メディアリーダ/ライタ162に記憶メディアを装着するようメッセージを表示し、記憶メディアが装着されたことを確認するステップ320と、記憶メディアに記録されているID情報を全て読出し、図13に示す印刷対象指定画面460を表示し、ユーザにどの文書を印刷するかを指定させるステップ490とを含む。
【0072】
図13を参照して、この印刷対象指定画面460は、図7に示す管理テーブル300の内容を反映したものである。画面の上部には画面名「文書プリントサービス」が表示され、「現在印刷受付している文書は以下の通りです。」というメッセージが表示される。
【0073】
画面中央部には、図7の管理テーブル300に格納されている情報から、記憶メディアに記憶されているID情報に対応する情報が抽出されたものからなる選択テーブルが表示される。選択テーブルの各行は、印刷を選択するか否かを指定するための選択チェックボックス470と、文書名472と、その文書の印刷データについて、印刷準備が完了しているか否かを示す状態表示474とを含む。この表には、記憶メディアに記憶されているID情報に対応する情報のみが表示される。管理テーブル300に仮に他のユーザの作成した印刷データに関する情報が記憶されていても、この記憶メディアには他のユーザの作成した印刷データに関するID情報が記憶されていない。そのため、印刷対象指定画面460にはそれらは表示されない。
【0074】
なお、本実施の形態の図12に示す処理では、直前にクライアント装置100から受信したID情報に対応する電子データの印刷準備が完了していればその印刷データを受信できる。しかし、印刷処理中であればその旨を示す情報が送信されてくるだけで、印刷準備完了となるまでは印刷データを受信することができない。したがって、図13の表示では、印刷可能なものについては「印刷準備完了」と表示されるが、まだ印刷処理中のものについては「サーバ処理中」と表示し、選択チェックボックス470による選択はできないようにする。
【0075】
印刷対象指定画面460の下部にはキャンセルボタン476と「選択文書を印刷」ボタン478とが表示される。上記した図8のフローチャートでは説明していないが、キャンセルボタン476を押すと処理は中止される。選択チェックボックス470のいずれかをチェックして「選択文書を印刷」ボタン478ボタンを押すと、選択された文書の印刷が開始される。
【0076】
再び図14を参照して、このプログラムはさらに、ステップ490に続き、ステップ490で指定されたID情報に対応する印刷データが一時記憶装置170に記憶されているか否かを検索するステップ492と、ステップ492の処理の結果、一時記憶装置170内に印刷データが存在したか否かを判定し、判定結果にしたがって制御の流れを分岐させるステップ494と、ステップ494における判定が否定のときに、ステップ490で指定されたID情報をサーバ装置108に送信して対応する印刷データの送信を依頼するステップ498と、ステップ498の送信依頼に応答してサーバ装置108から送信される印刷データを受信するステップ500とを含む。このプログラムはさらに、ステップ494の判定結果が肯定か否定かにしたがって、一時記憶装置170で発見された印刷データを印刷する処理と、ステップ500で受信された印刷データを印刷する処理とを選択的に実行するステップ496を含む。
【0077】
この第2の実施の形態では、クライアント装置100でユーザが電子データの印刷をサーバ装置108に対して依頼すると、その電子データに対応するID情報がサーバからクライアント装置100を経て画像形成装置102に送信される。画像形成装置102はこのID情報に応答して、ユーザによる指示を待たずにサーバ装置108から該当する印刷データを受信しておくことができる。したがって、ユーザが画像形成装置102に記憶メディアを装着したときには直ちに印刷データの印刷を開始させることができる確率が高くなる。
【0078】
さらにこの第2の実施の形態によれば、画像形成装置102の一時記憶装置170に、印刷が指定された印刷データが記憶されていればその印刷データに基づく印刷を実行する。該当印刷データが一時記憶装置170に記憶されていなければ、ユーザにより選択されたID情報をサーバ装置108に送信することにより、サーバ装置108から受信して印刷できる。したがって、第1の実施の形態と比較して、ユーザが電子データの印刷を依頼してから実際に印刷されたものを手にするまでの時間を短縮できる。
【0079】
上記実施の形態では、第1の実施の形態及び第2の実施の形態を通じ、クライアント装置100及び画像形成装置102が別体であるものとして説明した。しかし既に一部説明したように、これらを同じ筐体内に備えるようにすることもできるし、単一のコンピュータによる制御部を備えた画像形成装置において、コンピュータ部分を第1及び第2の実施の形態のクライアント装置100として動作させるようにもできる。
【0080】
また上記実施の形態では、クライアント装置100及び画像形成装置102が利用するサーバ装置108は予め決まっているものとしている。そのほうがユーザにとっては簡便に印刷を行なうことができるためである。しかし本発明はその様な実施の形態に限定されるわけではない。例えば、ユーザにより複数のサーバ装置108のいずれかを選択させ、サーバ装置108を特定する情報を印刷データのID情報とともに画像形成装置102に送信することで、所望のサーバによる電子データの印刷サービスを受けることもできる。サーバ装置108の利用にあたり、ユーザの認証が必要な場合もあり得る。そうした場合には、記憶メディアに予め認証に必要な情報を格納しておくことにより、認証手続を簡略化することも可能である。
【0081】
ID情報を記憶する記憶メディアとしては、スティック型のメモリ、カード型メモリ、ポータブルプレイヤ等を用いることもできる。さらに、物理的に記憶メディアが装着されるメディアリーダ/ライタに代えて、いわゆる近距離無線通信によりID情報の送受信を行なう携帯電話のような装置の記憶装置を用いることもできる。
【0082】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0083】
50 ネットワークプリンタシステム
100 クライアント装置
102 画像形成装置
104 LAN
106 インターネット
108 サーバ装置
140,162 メディアリーダ/ライタ
168 印刷部
170 一時記憶装置
190 ID情報生成部
192 印刷データ生成部
196 記憶装置
【技術分野】
【0001】
この発明は、クライアント装置から電子データをサーバに送信して印刷データの生成をサーバで行ない、ネットワーク接続された画像形成装置でその印刷データの印刷を行なうネットワークプリントシステムに関し、特に、クライアント装置からの電子データの送信処理、及び画像形成装置における印刷処理の際のユーザの手間を少なくするネットワークプリントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット上に設けられたネットワークプリントサーバ(印刷データ生成サーバ)に電子データからの印刷データの生成を依頼し、コンビニエンスストア等に設置された画像形成装置にサーバから印刷データをダウンロードして印刷を行なうネットワークプリントシステムが提供されている。これらシステムでは、ユーザは、印刷したい電子データをネットワークプリントサーバに登録して印刷データの生成を依頼する。プリントサーバは、この電子データに関連付けられたユニークな識別番号を生成し、ユーザに提示する。ユーザはこの番号を控えておき、コンビニエンスストアの画像形成装置においてネットワークプリントサービスを利用する際に、この識別番号を入力することで自分の依頼した電子データの印刷を行なうことができる。
【0003】
しかし、このようなシステムでは、ユーザが識別番号を間違うと、所望の印刷データを得ることができないという問題がある。そのためユーザは、識別番号を間違えないように確実に記録したり記憶したりする必要があるという問題がある。特に、印刷しようとする電子データが複数ある場合、それらに対応する識別番号を全て間違いなく記録しておく必要があり、ユーザにとってはわずらわしいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−129007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうした問題に対し、特許文献1には、プリントサーバを利用する際にはユーザ認証を要するものとし、クライアント装置に対して着脱可能な可搬型メモリを設け、可搬型メモリにユーザ認証に必要な情報を全て収めるシステムが開示されている。プリントサーバを利用するときにはユーザ認証がされるため、プリントサーバはユーザごとに電子データを管理できる。ユーザがコンビニエンスストア等に設置された画像形成装置からプリントサーバにアクセスするときにも、同じ可搬型メモリを用いてユーザ認証を行なう。したがってプリントサーバは、ユーザに関連する印刷データのみの一覧を画像形成装置に表示できる。ユーザは、一般のパーソナルコンピュータを用いた書類の選択と同様の手続で、プリントサーバで生成された印刷データを選択し、印刷させることができる。
【0006】
しかし特許文献1に記載のシステムでは、同じユーザから依頼された印刷データが多数ある場合には、それらの中からユーザが適切なものを選択する操作を行なう必要がある。そうした操作を不要とするためには、プリントサーバに記憶された印刷データをユーザが改めて管理しなければならない。その結果、ユーザにとっては必要な印刷データのみを簡単な操作で印刷することが難しいという問題点があった。
【0007】
それゆえに本発明の目的は、ユーザにとって必要な印刷データのみを簡単な操作で印刷できるネットワークプリントシステムにおけるクライアント装置、印刷データ生成サーバ、及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の局面に係るクライアント装置は、受信した電子データに応答して、当該電子データから印刷用の印刷データを生成して、当該電子データに対応する識別情報を当該電子データの送信元に返信する機能を持つ印刷データ生成サーバを含むネットワークプリントシステム内で利用されるクライアント装置であって、可搬型のデータ記憶媒体と通信する機能を持ち、通信可能となったデータ記憶媒体との間のデータの入出力を行なうデータ入出力手段と、印刷データ生成サーバとのデータ通信をネットワークを通じて行なうデータ通信装置と、データ記憶媒体に記憶された電子データをデータ入出力手段を介して読出し、データ通信装置を介して印刷データ生成サーバに送信する電子データ送信手段と、電子データ送信手段により印刷データ生成サーバに送られた電子データに応答して、印刷データ生成サーバから送信されてくる、電子データに対応する識別情報をデータ通信装置を介して受信し、データ入出力手段を介してデータ記憶媒体に記憶させるための識別情報受信手段とを含む。
【0009】
データ記憶媒体とデータ入出力手段との通信が可能になると、電子データ送信手段が、データ記憶媒体内の電子データを読出し、印刷データ生成サーバに送信する。印刷データ生成サーバは、この電子データに応答して、その電子データに対応する識別情報を返信してくる。この識別情報が識別情報受信手段により受信され、データ記憶媒体に記憶される。データ記憶媒体に電子データの識別情報が記憶されるため、このデータ記憶媒体内のデータを読むことにより、印刷データ生成サーバに送信された電子データとその電子データから生成されるデータ、例えば印刷データを特定できる。ユーザが識別情報を記憶したり記録したりする必要はないため、ユーザの作業負担が軽減される。識別情報の記憶間違い等もなくなるという効果がある。
【0010】
好ましくは、可搬型のデータ記憶媒体とデータ入出力手段とは、機械的及び電気的な接続部を介して着脱可能かつ通信可能となる。
【0011】
より好ましくは、クライアント装置はさらに、データ記憶媒体に記憶された識別情報をデータ入出力手段を介して読出し、データ通信装置を介して印刷データ生成サーバに送信する識別情報送信手段と、識別情報送信手段により送信された識別情報に応答して、印刷データ生成サーバから返信されてくる、当該識別情報に対応する印刷データの有無を示す情報を受信する印刷データ有無情報受信手段と、印刷データ有無情報受信手段が受信した情報に基づいて、対応する印刷データが存在しない識別情報を、データ入出力手段を介してデータ記憶媒体から削除する識別情報削除手段とを含む。
【0012】
識別情報受信手段により何度も識別情報を受信していると、データ記憶媒体内に記憶される識別情報の数が増加する。それらは、例えば対応する印刷データが存在しない状態になれば不要となる。識別情報送信手段がデータ記憶媒体内に記憶されている識別情報を読出し、印刷データ生成サーバに送信すると、その識別情報に対応する印刷データの有無を示す情報(印刷データ有無情報)が送信されてくる。この印刷データ有無情報により、対応する印刷データが存在しない識別情報をデータ記憶媒体から削除する。対応する印刷データが存在しないので、識別情報を削除しても障害は生じない。また、データ記憶媒体の記憶容量を有効利用できる。
【0013】
さらに好ましくは、識別情報送信手段、印刷データ有無情報受信手段、及び識別情報削除手段は、電子データ送信手段の動作前に動作を行なう。
【0014】
クライアント装置には、表示装置が接続可能であってもよい。電子データ送信手段は、データ記憶媒体に記憶された電子データのデータ名をデータ入出力手段を介して読出し、クライアント装置に接続された表示装置上に当該データ名の一覧を表示する一覧表示手段と、一覧表示手段により表示されたデータ名の一覧から、ユーザとの対話型処理により印刷データ生成サーバに送信する電子データのデータ名の指定を受けるデータ名指定手段と、電子データ指定手段により指定されたデータ名に対応する電子データをデータ入出力手段を介してデータ記憶媒体から読出し、電子データ送信手段を介して印刷データ生成サーバに送信する送信手段とを含む。
【0015】
クライアント装置はさらに、識別情報受信手段が受信した識別情報を、予め定められた画像形成装置に送信する識別情報送信手段を含む。
【0016】
本発明の第2の局面に係る印刷データ生成サーバは、ネットワークプリントシステムで使用される印刷データ生成サーバである。この印刷データ生成サーバは、遠隔に設けられたクライアント装置及び画像形成装置と通信可能な通信装置と、通信装置を介してクライアント装置のいずれかから、電子データの送信を受けたことに応答して、当該電子データに対応する識別情報を生成し、当該電子データを送信してきたクライアント装置に返信する識別情報送信手段と、電子データの送信を受けたことに応答して、当該電子データに対応する印刷データを生成する処理を実行する印刷データ生成手段と、印刷データ生成手段により生成された印刷データを、対応する電子データに対して識別情報送信手段により生成された識別情報と関連付けて記憶する記憶手段と、通信装置を介して、識別情報を指定して印刷データを送信するように求める要求を受けたことに応答して、記憶手段内に、当該要求により指定された識別情報と関連付けて記憶されている印刷データを検索し、当該要求を送信してきた装置に対して通信装置を介して送信する印刷データ送信手段とを含む。
【0017】
印刷データ生成サーバはさらに、印刷データ生成手段により印刷データが生成された日時を、各電子データの識別情報と関連付けて記憶手段に記憶させる手段と、記憶手段に記憶された印刷データの、生成からの経過時間を定期的に調べ、予め定められた期間が経過した印刷データを記憶手段から削除する削除手段とを含む。
【0018】
より好ましくは、印刷データ生成サーバはさらに、クライアント装置から印刷データの識別情報のリストを受信したことに応答して、対応する印刷データが記憶手段に存在しない識別情報を当該リストから抽出する識別情報抽出手段と、識別情報抽出手段により抽出された識別情報をリストを送信してきたクライアント装置に返信する返信手段とを含む。
【0019】
本発明の第3の局面に係る画像形成装置は、ネットワークプリントシステムで使用される画像形成装置であって、遠隔に設けられた印刷データ生成サーバと通信可能な通信装置と、可搬型のデータ記憶媒体と通信する機能を持ち、通信可能となったデータ記憶媒体との間のデータの入出力を行なうデータ入出力手段と、データ入出力手段との通信が可能となったデータ記憶媒体内に記憶された識別情報であって、印刷データ生成サーバにより生成された印刷データを特定する識別情報を読出し、当該識別情報を通信装置により印刷データ生成サーバに送信することにより印刷データの送信を要求する印刷データ要求手段と、印刷データ要求手段による要求に応答して印刷データ生成サーバから送信されてくる印刷データを受信し、画像形成手段を制御して記録媒体上に当該印刷データの画像を形成する画像形成手段とを含む。
【0020】
好ましくは、画像形成装置はさらに、通信装置が印刷データの識別情報を他の装置から受信したことに応答して、当該識別情報に対応する印刷データを印刷データ生成サーバから受信し記憶する記憶手段を含む。印刷データ要求手段は、データ入出力手段との通信が可能となったデータ記憶媒体内に記憶された識別情報を読出し、当該識別情報に対応する印刷データが記憶手段内に保存されているか否かを判定する判定手段と、判定手段による判定の成否にしたがって、記憶手段内に記憶されている、データ入出力手段との通信が可能となったデータ記憶媒体内に記憶されていた識別情報に対応する印刷データを読出すことにより獲得し、画像形成手段への入力として与える処理と、データ入出力手段との通信が可能となったデータ記憶媒体内に記憶されていた識別情報に対応する印刷データを印刷データ生成サーバから受信することにより獲得し、画像形成手段への入力として与える処理とを選択的に実行する、印刷データ獲得手段とを含む。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明によれば、クライアント装置から印刷データ生成サーバに対して電子データを送信すると、その電子データに対応する識別情報がクライアント装置に返信され、クライアント装置によって可搬型の記憶媒体に記録される。この記憶媒体を例えば画像形成装置に装着すると、画像形成装置は記憶媒体に記憶された識別情報を用い、印刷データ生成サーバから、その識別情報に対応する電子データから生成された印刷データを受信し、印刷できる。ユーザが識別情報を記憶したり、記録したりする必要はなく、ユーザにとって使い勝手がよいネットワークプリントシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るネットワークプリントシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すクライアント装置のハードウェアブロック図である。
【図3】クライアント装置で実行される、電子データの登録処理を実現するコンピュータプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図4】図3に制御構造を示すプログラムのうち、可搬型の記憶メディアに記憶された識別情報を削除するルーチンの制御構造を示すフローチャートである。
【図5】図4に示すルーチンに対応して、プリントサーバで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図6】図3に示すプログラムによりクライアントから送信されてくる電子データを処理するための、プリントサーバで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図7】プリントサーバで維持される、電子データの状態を管理するためのテーブルの構造を模式的に示す図である。
【図8】画像形成装置において、プリントサーバで生成されていた印刷データを印刷するための処理を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図9】画像形成装置から印刷データの識別情報を受信したときにサーバで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図10】プリントサーバで定期的に実行される、不要な印刷データを削除するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施の形態のシステムにおいて、クライアント装置により実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図12】第2の実施の形態のシステムにおいて画像形成装置で実行される、印刷データを受信するためのプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図13】画像形成装置において印刷データを選択する際に表示される画面の例を模式的に示す図である。
【図14】第2の実施の形態のシステムにおいて画像形成装置で実行される、印刷データの印刷を行なうためのプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明及び図面では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0024】
<第1の実施の形態>
第1の実施の形態では、クライアント装置に装着された可搬型の記憶メディアからプリントサーバに電子データを送信する際に、プリントサーバでその電子データに対してユニークな識別情報を生成する。その識別情報がプリントサーバからクライアント装置に送信される。クライアント装置は装着されているメモリにこの識別情報を記憶させる。画像形成装置で電子データを印刷するときには、この記憶メディアを画像形成装置のメディアリーダ・ライタに装着すると、識別情報が読出されてプリントサーバに送信され、プリントサーバから画像形成装置にこの識別情報に対応する印刷データがダウンロードされ印刷される。
【0025】
図1を参照して、この実施の形態に係るネットワークプリントシステム50は、インターネット106に接続されたLAN(Local Area Network)104と、LAN104に接続された画像形成装置102と、LAN104に接続され、画像形成装置102を用いて電子データの印刷を行なうためにユーザが使用するクライアント装置100と、インターネット106及びLAN104を介してクライアント装置100及び画像形成装置102のいずれとも通信可能で、クライアント装置100等の装置から受信した電子データから印刷データを生成し、画像形成装置102等の印刷装置に送信して印刷させるサービスを提供するサーバ装置108とを含む。本実施の形態では、クライアント装置100及び画像形成装置102は、例えば同じコンビニエンスストア等に置かれた装置であり、不特定多数が利用することが想定されている。
【0026】
図2を参照して、クライアント装置100は実質的にコンピュータであって、バス142と、いずれもバス142に接続された、CPU(中央演算処理装置)120、起動プログラム等を記憶したROM(読出専用メモリ)122、RAM(Random Access Memory)124、ハードディスクドライブ(HDD)126、記憶メディアを装着可能なメディアリーダ/ライタ140、LAN104(図1を参照)への接続を提供するネットワークインターフェイス(以下「インターフェイス」を単に「I/F」と呼ぶ。)128、モニタ132が接続されるディスプレイI/F130、並びにキーボード136及びマウス138をバス142に接続する入力I/F134とを含む。CPU120、ROM122、RAM124及びHDD126は、通常のコンピュータにと同様、後述するように所定のプログラムを実行するために利用される。特にRAM124は一時的な記憶装置として、HDD126は不揮発性の記憶装置として用いられる。
【0027】
再び図1を参照して、画像形成装置102も実質的にはコンピュータであって、クライアント装置100と同様、プログラムを実行して各部を制御する、CPU、ROM及びRAM等を含む印刷制御部164と、印刷制御部164に接続された表示部160と、印刷制御部164に接続され、クライアント装置100のメディアリーダ/ライタ140と同様、各種記憶メディアが装着可能で記憶メディアに対するデータの入出力を行なうメディアリーダ/ライタ162と、印刷制御部164に対しLAN104への接続を提供するネットワーク通信部166と、印刷制御部164に接続され、印刷制御部164の制御の下で所定の媒体上に画像を形成(印刷)する処理を行なう印刷部168と、印刷制御部164に接続され、各種の電子データ、サーバ装置108から受信した印刷データ、及びその他のサービス提供に必要なデータを一時的に記憶するための一時記憶装置170とを含む。
【0028】
サーバ装置108も実質的にはコンピュータであって、そのハードウェア構成は図2に示すものと同様である。機能的には、サーバ装置108は、インターネット106を介して他の装置と通信可能な環境を提供するネットワーク通信部194と、ネットワーク通信部194を介してクライアント装置100等の装置から電子データを受信したことに応答して、当該電子データを示すユニークな識別情報(以下「ID情報」と呼ぶ。)を生成し、その電子データを送信して来たクライアント装置100等に返信する処理を行なうID情報生成部190と、ID情報生成部190が受信した電子データ、及び当該電子データから生成される印刷データ、各電子データに対して生成されたID情報等を記憶する記憶装置196、及び、ID情報生成部190が電子データを受信したことに応答して、当該電子データから印刷データを生成し、その電子データに割当てられたID情報と対応付けて記憶装置196に一時記憶するとともに、画像形成装置102等の画像形成装置からID情報を指定して印刷データの送信要求を受けたことに応答して、ネットワーク通信部194を介して当該画像形成装置に対し、指定されたID情報に対応する印刷データを記憶装置196から読出して返信する処理を行なう印刷データ生成部192とを含む。記憶装置196には、電子データ、印刷データ、及びID情報を関連付けるための印刷データ管理テーブル(図示せず)が記憶されている。印刷データ管理テーブルの構成については、図7を参照して後述する。なお、電子データとその印刷データとは1対1に対応している。したがって電子データのID情報は、その電子データから生成された印刷データのID情報でもある。以後の説明ではある電子データと、その電子データから生成された印刷データとについて、同じID情報で指定できるものとして説明する。
【0029】
本実施の形態では、各装置では以下のようなプログラムが実行される。
【0030】
クライアント装置100で実行されるプログラムは以下のようなものである。
【0031】
・ユーザが電子データの印刷依頼を行なうためのプログラム
サーバ装置108で実行されるプログラムは以下の4つを含む。
【0032】
・電子データの印刷依頼を受けるときに、ユーザの記憶メディア内に不要なID情報があるか否かをチェックするためのプログラム
・電子データの印刷依頼に応答して、受信した電子データを一時記憶し、印刷データを生成するプログラム
・画像形成装置102等からID情報を指定して印刷データの送信要求があったときに、該当する印刷データを送信するプログラム
・不要となった印刷データ及び電子データ等を定期的に削除するプログラム
画像形成装置102では次のプログラムが実行される。
【0033】
・ユーザが記憶メディアを装着したときに、その記憶メディアに記憶されているID情報を読出してサーバ装置108に印刷データの要求と共に送信し、返信されてくる印刷データを印刷するプログラム。
【0034】
図3を参照して、クライアント装置100において、印刷対象となる電子データの印刷をユーザがサーバ装置108に対して依頼するときに実行されるプログラムは、以下のような制御構造を持つ。本実施の形態では、クライアント装置100のモニタ132には、「ネットワークプリントシステムによる印刷の依頼」等の項目を含むメニューが表示されている。この項目をユーザが選択することにより、以下に制御構造を説明するプログラムが起動される。
【0035】
このプログラムは、起動後、ユーザに対してメディアリーダ/ライタ140に記憶メディアを装着するようにうながす表示を行ない、記憶メディアの装着を確認するステップ210と、装着された記憶メディア内に記憶されている、以前にこのネットワークプリントシステムを利用した際に用いられたID情報であって、既に不要となっているものを削除するステップ212と、装着された記憶メディア内に記憶されている、印刷対象となり得るファイル名の一覧を表示するステップ214と、この一覧表示から、印刷を依頼するファイルをユーザに指定させ、その入力を確認するステップ216とを含む。ステップ212の詳細については図4を参照して後述する。
【0036】
このプログラムはさらに、記憶メディアに記録された電子データのうちで、ステップ216において指定された電子データを選択して読出すステップ218と、読出された電子データに対して暗号化及び圧縮等の処理を行なった上でサーバ装置108に対して印刷依頼とともに送信するステップ220と、ステップ220で送信された印刷依頼に応答して、サーバ装置108から返信されてくる、印刷依頼した電子データに対するID情報を受信するまで待機するステップ222と、ステップ222でID情報が受信されたことに応答し、そのID情報をメディアリーダ/ライタ140に装着された記憶メディアに書込んで処理を終了するステップ224とを含む。
【0037】
図4を参照して、図3のステップ212で実行されるプログラムルーチンは、メディアリーダ/ライタ140に装着された記憶メディア内に記憶された、このネットワークプリントシステムで以前に使用したID情報を全て読出すステップ240と、ステップ240でID情報が1つでもあったか否かを判定し、何もなかったときにはこのルーチンの実行を終了するステップ242と、ステップ242でID情報が存在すると判定されたときに、それらID情報を、当該ID情報の要否をチェックするように依頼する情報とともにサーバ装置108に対して送信するステップ244と、ステップ244で送信された依頼に応答して、サーバ装置108から返信されてきた情報に基づき、記憶メディアに記録されているID情報のうち、既にサーバ装置108から削除されているものに対応するものを削除して処理を終了するステップ246とを含む。
【0038】
図5を参照して、ステップ244で送信される情報に応答して、サーバ装置108では以下に制御構造を説明するプログラムが起動され、実行される。このプログラムは、受信した要否チェック依頼に含まれるID情報に対応する印刷データが記憶装置196に記憶されているか否かをチェックし、既に削除されているID情報を抽出するステップ260と、ステップ260で抽出されたID情報を、削除すべきID情報として要否チェック依頼を送信して来たクライアント装置に送信して処理を終了するステップ262とを含む。
【0039】
図6を参照して、クライアント装置100から電子データの印刷依頼を受信したことに応答してサーバ装置108で実行されるサーバ登録処理のためのプログラムは以下の制御構造を有する。このプログラムは、クライアント装置100からその印刷依頼に対応する電子データを受信するステップ280と、印刷データを管理するための管理テーブルに、受信した電子データに対応する新たなエントリを生成しその内容を初期化するステップ282とを含む。
【0040】
この管理テーブルの構成を図7に示す。図7を参照して、管理テーブル300は、印刷データの生成依頼を受けた電子データについて1つずつのエントリを含む。各エントリは、その電子データについて割当てられるユニークなID情報と、受信した電子データ名と、その電子データから生成され記憶装置196に記憶される印刷データのデータ名(印刷データ名)と、印刷データが生成された日時(データ生成日時)と、印刷データの状態とを含む。データ生成日時は、後述するように、不要となった印刷データを削除するために必要とされる。印刷データの状態は、画像形成装置102等から印刷データの要求を受けたときに、印刷可能かどうかを管理するために必要である。状態が「印刷準備完了」であれば印刷データが生成済であり、直ちに画像形成装置102に対して送信できる。「印刷処理中」であれば、印刷データの生成が完了していないことを示す。図6のステップ282では、ステップ280で受信した電子データにたいするエントリを作成した後、電子データ名が挿入され、「状態」カラムが「印刷処理中」に初期化される。
【0041】
このプログラムはさらに、受信した電子データに対応付ける(割当てる)ユニークな識別情報を生成し、該当エントリの「ID情報」のカラムに記憶させるステップ284と、生成されたID情報を相手のクライアント装置に送信するステップ286と、ステップ280で受信した電子データから、印刷データを生成し記憶装置196に記憶させるステップ288と、生成された印刷データ名を管理テーブルの該当エントリの印刷データ名カラムに、印刷データの生成日時をデータ生成日時カラムに、それぞれ代入し、さらに状態カラムを「印刷準備完了」に更新して、印刷データの生成依頼に関する処理を終了するステップ290とを含む。
【0042】
図8を参照して、画像形成装置102において、電子データの印刷がユーザにより指定されたときに実行されるプログラムは、電子データのID情報が記憶された記憶メディアをメディアリーダ/ライタ162に装着するようユーザに促し、装着されたことを確認するステップ320と、その記憶メディアに記録されているID情報を全て読出すステップ322と、ステップ322で読出されたID情報をサーバ装置108に送信するステップ324と、送信したID情報に関連付けられた印刷データをサーバ装置108から受信するステップ326と、受信した印刷データを印刷部168(図1を参照)により印刷して処理を終了するステップ328とを含む。
【0043】
図9を参照して、画像形成装置102から印刷データの送信要求を受けたサーバ装置108は、以下のようなプログラムを実行する。このプログラムは、画像形成装置102から印刷データのID情報を受信するステップ380と、ステップ380で受信されたID情報に対応する印刷データを画像形成装置102に送信して処理を終了するステップ382とを含む。実際には、画像形成装置から印刷データの送信要求をID情報とともに受信するたびに、図9に示すプログラムの実行が開始される。
【0044】
印刷データを生成してからある時間が経過した後にもサーバ装置108に印刷データを保管しておくのは効率的ではない。したがって本実施の形態では、サーバ装置108は、生成してから所定時間が経過した印刷データを削除する処理を定期的(たとえば1日1回)に行なう処理が実行される。図10にそのためのプログラムの制御構造をフローチャート形式で示す。図10に示すプログラムは、サーバ装置108内の、指定したプログラムを定期的に起動させる作業を行なう仕組みにより定期的に(例えば毎日定時に、または1時間おきに、1週間おきに、等)実行される。
【0045】
このプログラムは、管理テーブル300内のエントリ行番号を示す変数Nに定数0を代入するステップ400と、変数Nに1を加算するステップ402と、変数Nの値が管理テーブル300の最大行数NMAXよりも大きいか否かを判定するステップ404と、ステップ404の判定が肯定のときに、管理テーブル300内の空白行を全て削除し、管理テーブル300を作り直して処理を終了するステップ414とを含む。
【0046】
このプログラムはさらに、ステップ404の判定が肯定のとき、管理テーブル300のN番目のエントリの生成日時カラムの内容を参照するステップ406と、ステップ406で読出された生成日時と、予め定められた期限(例えば生成日時から1ヶ月)とを比較し、印刷データが期限切れとなっているか否かを判定するステップ408とを含む。ステップ408でまだ印刷データの期限が切れていないと判定されたときには制御はステップ402に戻る。
【0047】
このプログラムはさらに、ステップ408の判定がYESであるときに、そのエントリの印刷データが使用中か否か(すなわち、現在、画像形成装置102等による印刷処理中か)を判定し、使用中であれば何もせず制御をステップ402に戻すステップ410と、ステップ410の判定が否定のときに、そのエントリの印刷データカラムの値に基づいて、印刷データを記憶装置196から削除し、管理テーブル300の対応エントリを空白行に更新して制御をステップ402に戻すステップ412とを含む。
【0048】
〈動作〉
以上に構造を示したネットワークプリントシステム50は、以下のように動作する。最初に、ユーザが、図示しないパーソナルコンピュータ等により印刷対象となる文書の電子データを作成し、可搬型の記憶メディアに記憶させたものとする。さらに、このユーザはプリンタを持たないため、この電子データの印刷をネットワークプリントシステム50により行なおうと考えたものとする。
【0049】
ユーザは、クライアント装置100及び画像形成装置102が据え付けられたコンビニエンスストアを訪れ、画面からネットワークプリンタサービスによる印刷というメニューを選択する。すると、クライアント装置100において図3に制御構造を示すプログラムが起動する。最初にステップ210で、クライアント装置100は、記憶メディアをメディアリーダ/ライタ140に装着するよう促すメッセージをモニタ132に表示させる。ユーザが記憶メディアをメディアリーダ/ライタ140に装着したことが確認されると、ステップ212で、記憶メディア中に記録された不要なID情報を削除する処理が実行される。
【0050】
図4を参照して、クライアント装置100は、メディアリーダ/ライタ140に装着された記憶メディアに記憶された、このネットワークプリントシステム50で使用しているID情報を全て読出し(ステップ240)、ID情報が存在すれば(ステップ242)、ステップ244及び244の処理により、サーバ装置108に対応する印刷データが記憶されていないID情報を記憶メディアから削除する。記憶メディアに何もID情報が記録されていなければ、ステップ244及び246の処理がされるまでもなく、この処理は終了する。
【0051】
例えば、まだ記憶メディア中にID情報が何も記録されていないものとすると、図4のルーチンではステップ240からステップ242の判定がNOとなり、何もせずにステップ212が完了する。なお、ステップ244で送信されたID情報を受信したサーバ装置108では、図5に示すプログラムが実行され、受信したID情報に対応する印刷データのエントリが管理テーブル300内にあるかどうかを判定し、そのようなエントリがないID情報のみをステップ260で抽出し、ステップ262でクライアント装置100に返信する。
【0052】
再び図3を参照して、ステップ212に続きステップ214で、記憶メディア内に記録されている電子データの一覧がモニタ132に表示され、ステップ216でユーザがこれら電子データの中から印刷対象の電子データを指定する。以後、ステップ218及び220により、クライアント装置100は、指定された電子データを記憶メディアから読出し印刷依頼とともにサーバ装置108に送信する。
【0053】
この印刷依頼を受信したサーバ装置108では、図6に示すプログラムが起動する。ステップ280で電子データを受信し、ステップ282で管理テーブル300(図7参照)内に新たに受信した電子データに対応するエントリを生成する。このとき、図7を参照して、ID情報、印刷データ名、データ生成日時には「NULL」が挿入される。電子データ名カラムには、受信した電子データの名称が挿入される。状態カラムには「印刷処理中」が挿入される。
【0054】
続いてステップ284において、新たに受信した電子データにユニークに対応する、新たなID情報を生成し、管理テーブル300のID情報カラムに挿入する。続くステップ286で、生成されたID情報をクライアント装置100に返信する。サーバ装置108はさらに、受信した電子データから、印刷データを生成する処理を実行し(ステップ288)、生成された印刷データを記憶装置196に格納する。さらに、さらにサーバ装置108は、管理テーブル300の印刷データ名カラムに印刷データのファイル名を挿入し、データ生成日時カラムにこの印刷データの生成日時を挿入し、状態カラムを「印刷準備完了」に更新することにより管理テーブル300の該当エントリを更新して処理を終了する。
【0055】
一方、図6のステップ286でサーバ装置108から送信されたID情報は、図3のステップ222においてクライアント装置100により受信される。クライアント装置100は、続くステップ224において、このID情報をメディアリーダ/ライタ140を介して記憶メディアに書込み、処理を終了する。ユーザは、この記憶メディアをクライアント装置100から取り外す。
【0056】
ユーザは、同じ店内にある画像形成装置102で、先ほど送信した電子データの印刷を行なう。通常、サーバ装置108が電子データを受信してから印刷データの生成が完了するまでにはある時間が必要である。したがって、確実に印刷データの生成が完了するように、印刷を開始するまでにはある程度の時間をとった方がよい。
【0057】
画像形成装置102の図示しないモニタには、ネットワークプリントシステムによるデータの印刷、という項目を含むメニューが表示されているものとする。ユーザがこの項目を選択すると、画像形成装置102では図8に示すプログラムの実行が開始される。ここでは、ユーザに対して記憶メディアをメディアリーダ/ライタ162に装着することを求めるメッセージを表示し、ユーザが記憶メディアを装着するまで待機する。記憶メディアがメディアリーダ/ライタ162に装着され、データの入出力が可能になると、ステップ322で記憶メディアに記録されているID情報が全て読出される。このID情報が全て印刷データを要求する情報とともにサーバ装置108に送信され(ステップ324)、サーバ装置108から対応する印刷データが送信されてくるのを待機する。
【0058】
サーバ装置108では、図8のステップ324で送信された印刷データの送信要求に応答して、図9に示すプログラムの実行が開始される。すなわち、ステップ380で、印刷データの送信要求に付随する印刷データのID情報を受信し、管理テーブル300を参照してそのID情報に対応する印刷データを記憶装置196から読出し、画像形成装置102に送信して(ステップ382)処理を終了する。
【0059】
再び図8を参照して、クライアント装置100では、ステップ326で、サーバ装置108からの印刷データを受信し、ステップ328でこの印刷データを印刷部168を用いて印刷し、処理を終了する。
【0060】
一方、サーバ装置108では、定期的に図10に制御構造を示すプログラムが実行される。通常、このプログラムではステップ400、402、404、406、408を経て、検査対象の印刷データが期限切れの場合には、そのファイルが使用中の場合を除き、ステップ412で印刷データが削除され、管理テーブル300の対応エントリが空白に更新される。管理テーブル300の全てについてチェックが終了すると(図10のステップ404の判定が肯定)、ステップ414で、管理テーブル300内の空白行が削除され、新たに管理テーブル300が作り直されて、印刷データの削除処理が終了する。
【0061】
以上のようにこの実施の形態によれば、記憶メディアに電子データを格納させた後、ユーザがクライアント装置100でその電子データに対する印刷データの作成をサーバ装置108に依頼すると、サーバ装置108でその電子データに対応する印刷データが作成される。その印刷データを一意に識別するID情報が同時にサーバ装置108で作成され、クライアント装置100に送信される。クライアント装置100がこのID情報を元の電子データが記憶された記憶メディアに記録する。ユーザがこの記憶メディアを画像形成装置102のメディアリーダ/ライタ162に装着すると、記憶メディア中のID情報が読出され、サーバ装置108に送信される。サーバ装置108は、ID情報に対応する印刷データを画像形成装置102に送信し、画像形成装置102はその印刷データを印刷部168を用いて印刷する。ユーザが印刷データのID情報を一々記憶したり記録したりする必要がなく、簡単に所望の電子データの印刷をネットワークプリントシステムで行なうことができる。
【0062】
サーバ装置108では、印刷データの有効期限を管理しており、有効期限を過ぎた印刷データは自動的に削除される。無駄な印刷データがいつまでも存在する恐れはなく、サーバ装置108の記憶領域を有効に活用できる。さらに、クライアント装置100において、記憶メディアがメディアリーダ/ライタ140に装着されるたびに、その記憶メディアに記憶されているID情報に対応する印刷データがサーバ装置108に存在しているか否かがチェックされ、存在していない場合にはそのID情報が記憶メディアから自動的に削除される。記憶メディアの記憶領域がID情報により際限なく消費されたり、ユーザがID情報を手作業により削除したりする必要がなく、記憶メディアの記憶領域を有効に利用できる。
【0063】
なお、上記実施の形態では、クライアント装置100及び画像形成装置102での関連するプログラムは、ユーザによりメニューから起動されるものとした。しかし本実施の形態はそのような方法に限定されない。例えば記憶メディアがメディアリーダ/ライタ140に装着されるとクライアント装置100において自動的に図3に示すようなプログラムが起動するようにしてもよい。画像形成装置102においても同様である。
【0064】
<第2の実施の形態>
上記した第1の実施の形態では、クライアント装置100と画像形成装置102とが互いに通信可能な状態ではあるものの、相互に直接連携して処理を行なってはいない。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されない。コンビニエンスストア等、同じ店舗に設けられたクライアント装置100と画像形成装置102とであれば、互いに装置を特定することが可能なので、相互に連携して処理を行ない、それによってユーザにとってより利便性の高いサービスを提供できる可能性がある。
【0065】
第1の実施の形態に係るシステムでは、記憶メディアを介してユーザがクライアント装置100から画像形成装置102に対象となっている電子データ(印刷データ)のID情報を通知している。しかし、クライアント装置100と画像形成装置102とが連携可能であれば、ID情報を記憶メディアを介してではなくクライアント装置100から画像形成装置102に直接送信することが可能になる。ユーザが記憶メディアをクライアント装置100から画像形成装置102に装着する前に画像形成装置102では印刷対象のID情報が分かる。したがって、ユーザが画像形成装置102に記憶メディアを装着する以前に、クライアント装置100から送信されたID情報を用いてサーバ装置108からそのID情報に対応する印刷データを受信しておくことが可能になる。もちろん、この場合、サーバ装置108において印刷データの生成がそれまでに完了している必要があるが、完了していれば記憶メディアの装着を待たずに印刷データを画像形成装置102にダウンロードしておくことができるため、ユーザが記憶メディアを画像形成装置102に装着したときには直ちにその記憶メディアに格納されたID情報に対応する印刷データの印刷を開始できる。
【0066】
以下、この第2の実施の形態に係るネットワークプリントシステムの構成について、主としてソフトウェアに関して説明する。なお、ハードウェア的には、このネットワークプリントシステムは、図1及び図2に示す第1の実施の形態のものと同じものを使用できる。したがってここではそれらについての説明は繰返さない。以下の説明からも明らかなように、クライアント装置100と画像形成装置102とを一体化させることもできる。この場合、1つの筐体内にクライアント装置100のハードウェアと画像形成装置102のハードウェアとを共存させ、両者が直接通信可能となるようにしてもよいし、ハードウェアとしてはコンピュータ部分を共通にし、ソフトウェアとしてクライアント装置100の機能を実現するものと画像形成装置102の機能を実現するものとを別々に実装し、同じハードウェア上でソフトウェア同士の通信により以下に説明する処理を実行するようにしてもよい。
【0067】
図11を参照して、この第2の実施の形態において、第1の実施の形態の図3に相当するプログラムは、図3と同様のステップ210〜ステップ224に加え、ステップ224の後に、ステップ222で受信したID情報を画像形成装置102に送信して処理を終了するステップ430を含む。クライアント装置100から画像形成装置102にID情報を送信する際の送信先は、クライアント装置100を店舗に据え付ける際に設定する必要があるが、この送信先は予め定められているため設定は容易である。
【0068】
これに対して第2の実施の形態に係るシステムでは、画像形成装置102は、第1の実施の形態において用いられるプログラムに加えて図12に制御構造を示すプログラムを実行する。このプログラムは、予め画像形成装置102と関連付けられている(画像形成装置102と同じ店舗に据え付けられている)クライアント装置100から電子データのID情報を受信したことに応答して実行される。
【0069】
図12を参照してこのプログラムは、クライアント装置100より電子データのID情報を受信するステップ450と、このID情報に対応する印刷データの生成状況をサーバ装置108に対して問合せるステップ452と、ステップ452の問合せの結果、サーバ装置108から送信されてきた情報に基づいて、ID情報に対応する印刷データの生成が完了したか否かを判定し、完了していない場合には制御をステップ452に戻すステップ454と、ステップ454で印刷データの生成が完了したと判定されたときに実行され、その印刷データをサーバ装置108から受信して一時記憶装置170に一時記憶し、処理を終了するステップ456とを含む。
【0070】
このような処理をクライアント装置100からID情報を受信すると共に起動し実行しておくことにより、ユーザが記憶メディアをクライアント装置100のメディアリーダ/ライタ140から取り外し、画像形成装置102のメディアリーダ/ライタ162に装着する前に、画像形成装置102の一時記憶装置170にその記憶メディアに格納されているID情報に対応する印刷データが格納されている確率が高くなる。ユーザは、時間を無駄にせず、電子データの印刷の依頼が完了するとすぐに記憶メディアをはずして画像形成装置102で印刷を試み、実際に印刷を行なえる確率が高くなるという効果がある。
【0071】
図14は、この実施の形態に係る画像形成装置102において、ユーザが印刷データを印刷する際に起動されるプログラムのフローチャートである。図14を参照して、このプログラムは、メディアリーダ/ライタ162に記憶メディアを装着するようメッセージを表示し、記憶メディアが装着されたことを確認するステップ320と、記憶メディアに記録されているID情報を全て読出し、図13に示す印刷対象指定画面460を表示し、ユーザにどの文書を印刷するかを指定させるステップ490とを含む。
【0072】
図13を参照して、この印刷対象指定画面460は、図7に示す管理テーブル300の内容を反映したものである。画面の上部には画面名「文書プリントサービス」が表示され、「現在印刷受付している文書は以下の通りです。」というメッセージが表示される。
【0073】
画面中央部には、図7の管理テーブル300に格納されている情報から、記憶メディアに記憶されているID情報に対応する情報が抽出されたものからなる選択テーブルが表示される。選択テーブルの各行は、印刷を選択するか否かを指定するための選択チェックボックス470と、文書名472と、その文書の印刷データについて、印刷準備が完了しているか否かを示す状態表示474とを含む。この表には、記憶メディアに記憶されているID情報に対応する情報のみが表示される。管理テーブル300に仮に他のユーザの作成した印刷データに関する情報が記憶されていても、この記憶メディアには他のユーザの作成した印刷データに関するID情報が記憶されていない。そのため、印刷対象指定画面460にはそれらは表示されない。
【0074】
なお、本実施の形態の図12に示す処理では、直前にクライアント装置100から受信したID情報に対応する電子データの印刷準備が完了していればその印刷データを受信できる。しかし、印刷処理中であればその旨を示す情報が送信されてくるだけで、印刷準備完了となるまでは印刷データを受信することができない。したがって、図13の表示では、印刷可能なものについては「印刷準備完了」と表示されるが、まだ印刷処理中のものについては「サーバ処理中」と表示し、選択チェックボックス470による選択はできないようにする。
【0075】
印刷対象指定画面460の下部にはキャンセルボタン476と「選択文書を印刷」ボタン478とが表示される。上記した図8のフローチャートでは説明していないが、キャンセルボタン476を押すと処理は中止される。選択チェックボックス470のいずれかをチェックして「選択文書を印刷」ボタン478ボタンを押すと、選択された文書の印刷が開始される。
【0076】
再び図14を参照して、このプログラムはさらに、ステップ490に続き、ステップ490で指定されたID情報に対応する印刷データが一時記憶装置170に記憶されているか否かを検索するステップ492と、ステップ492の処理の結果、一時記憶装置170内に印刷データが存在したか否かを判定し、判定結果にしたがって制御の流れを分岐させるステップ494と、ステップ494における判定が否定のときに、ステップ490で指定されたID情報をサーバ装置108に送信して対応する印刷データの送信を依頼するステップ498と、ステップ498の送信依頼に応答してサーバ装置108から送信される印刷データを受信するステップ500とを含む。このプログラムはさらに、ステップ494の判定結果が肯定か否定かにしたがって、一時記憶装置170で発見された印刷データを印刷する処理と、ステップ500で受信された印刷データを印刷する処理とを選択的に実行するステップ496を含む。
【0077】
この第2の実施の形態では、クライアント装置100でユーザが電子データの印刷をサーバ装置108に対して依頼すると、その電子データに対応するID情報がサーバからクライアント装置100を経て画像形成装置102に送信される。画像形成装置102はこのID情報に応答して、ユーザによる指示を待たずにサーバ装置108から該当する印刷データを受信しておくことができる。したがって、ユーザが画像形成装置102に記憶メディアを装着したときには直ちに印刷データの印刷を開始させることができる確率が高くなる。
【0078】
さらにこの第2の実施の形態によれば、画像形成装置102の一時記憶装置170に、印刷が指定された印刷データが記憶されていればその印刷データに基づく印刷を実行する。該当印刷データが一時記憶装置170に記憶されていなければ、ユーザにより選択されたID情報をサーバ装置108に送信することにより、サーバ装置108から受信して印刷できる。したがって、第1の実施の形態と比較して、ユーザが電子データの印刷を依頼してから実際に印刷されたものを手にするまでの時間を短縮できる。
【0079】
上記実施の形態では、第1の実施の形態及び第2の実施の形態を通じ、クライアント装置100及び画像形成装置102が別体であるものとして説明した。しかし既に一部説明したように、これらを同じ筐体内に備えるようにすることもできるし、単一のコンピュータによる制御部を備えた画像形成装置において、コンピュータ部分を第1及び第2の実施の形態のクライアント装置100として動作させるようにもできる。
【0080】
また上記実施の形態では、クライアント装置100及び画像形成装置102が利用するサーバ装置108は予め決まっているものとしている。そのほうがユーザにとっては簡便に印刷を行なうことができるためである。しかし本発明はその様な実施の形態に限定されるわけではない。例えば、ユーザにより複数のサーバ装置108のいずれかを選択させ、サーバ装置108を特定する情報を印刷データのID情報とともに画像形成装置102に送信することで、所望のサーバによる電子データの印刷サービスを受けることもできる。サーバ装置108の利用にあたり、ユーザの認証が必要な場合もあり得る。そうした場合には、記憶メディアに予め認証に必要な情報を格納しておくことにより、認証手続を簡略化することも可能である。
【0081】
ID情報を記憶する記憶メディアとしては、スティック型のメモリ、カード型メモリ、ポータブルプレイヤ等を用いることもできる。さらに、物理的に記憶メディアが装着されるメディアリーダ/ライタに代えて、いわゆる近距離無線通信によりID情報の送受信を行なう携帯電話のような装置の記憶装置を用いることもできる。
【0082】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0083】
50 ネットワークプリンタシステム
100 クライアント装置
102 画像形成装置
104 LAN
106 インターネット
108 サーバ装置
140,162 メディアリーダ/ライタ
168 印刷部
170 一時記憶装置
190 ID情報生成部
192 印刷データ生成部
196 記憶装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した電子データに応答して、当該電子データから印刷用の印刷データを生成して、当該電子データに対応する識別情報を当該電子データの送信元に返信する機能を持つ印刷データ生成サーバを含むネットワークプリントシステム内で利用されるクライアント装置であって、
可搬型のデータ記憶媒体と通信する機能を持ち、通信可能となったデータ記憶媒体との間のデータの入出力を行なうデータ入出力手段と、
前記印刷データ生成サーバとのデータ通信をネットワークを通じて行なうデータ通信装置と、
前記データ記憶媒体に記憶された電子データを前記データ入出力手段を介して読出し、前記データ通信装置を介して前記印刷データ生成サーバに送信する電子データ送信手段と、
前記電子データ送信手段により前記印刷データ生成サーバに送られた電子データに応答して、前記印刷データ生成サーバから送信されてくる、前記電子データに対応する識別情報を前記データ通信装置を介して受信し、前記データ入出力手段を介して前記データ記憶媒体に記憶させるための識別情報受信手段とを含む、ネットワークプリントシステム内で利用されるクライアント装置。
【請求項2】
可搬型のデータ記憶媒体とデータ入出力手段とは、機械的及び電気的な接続部を介して着脱可能かつ通信可能となる、請求項1に記載のクライアント装置。
【請求項3】
前記データ記憶媒体に記憶された識別情報を前記データ入出力手段を介して読出し、前記データ通信装置を介して前記印刷データ生成サーバに送信する識別情報送信手段と、
前記識別情報送信手段により送信された前記識別情報に応答して、前記印刷データ生成サーバから返信されてくる、当該識別情報に対応する印刷データの有無を示す情報を受信する印刷データ有無情報受信手段と、
前記印刷データ有無情報受信手段が受信した情報に基づいて、対応する印刷データが存在しない識別情報を、前記データ入出力手段を介して前記データ記憶媒体から削除する識別情報削除手段とをさらに含む、請求項1又は請求項2に記載のクライアント装置。
【請求項4】
前記識別情報送信手段、前記印刷データ有無情報受信手段、及び前記識別情報削除手段は、前記電子データ送信手段の動作前に動作を行なう、請求項3に記載のクライアント装置。
【請求項5】
前記クライアント装置には、表示装置が接続可能であり、
前記電子データ送信手段は、
前記データ記憶媒体に記憶された電子データのデータ名を前記データ入出力手段を介して読出し、前記クライアント装置に接続された表示装置上に当該データ名の一覧を表示する一覧表示手段と、
前記一覧表示手段により表示されたデータ名の一覧から、ユーザとの対話型処理により前記印刷データ生成サーバに送信する電子データのデータ名の指定を受けるデータ名指定手段と、
前記電子データ指定手段により指定されたデータ名に対応する電子データを前記データ入出力手段を介して前記データ記憶媒体から読出し、前記電子データ送信手段を介して前記印刷データ生成サーバに送信する送信手段とを含む、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のクライアント装置。
【請求項6】
さらに、前記識別情報受信手段が受信した前記識別情報を、予め定められた画像形成装置に送信する識別情報送信手段を含む、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のクライアント装置。
【請求項7】
遠隔に設けられたクライアント装置及び画像形成装置と通信可能な通信装置と、
前記通信装置を介してクライアント装置のいずれかから、電子データの送信を受けたことに応答して、当該電子データに対応する識別情報を生成し、当該電子データを送信してきたクライアント装置に返信する識別情報送信手段と、
前記電子データの送信を受けたことに応答して、当該電子データに対応する印刷データを生成する処理を実行する印刷データ生成手段と、
前記印刷データ生成手段により生成された印刷データを、対応する電子データに対して前記識別情報送信手段により生成された識別情報と関連付けて記憶する記憶手段と、
前記通信装置を介して、識別情報を指定して印刷データを送信するように求める要求を受けたことに応答して、前記記憶手段内に、当該要求により指定された識別情報と関連付けて記憶されている印刷データを検索し、当該要求を送信してきた装置に対して前記通信装置を介して送信する印刷データ送信手段とを含む、印刷データ生成サーバであって、
さらに、前記印刷データ生成手段により印刷データが生成された日時を、各電子データの識別情報と関連付けて前記記憶手段に記憶させる手段と、
前記記憶手段に記憶された印刷データの、生成からの経過時間を定期的に調べ、予め定められた期間が経過した印刷データを前記記憶手段から削除する削除手段とを含む、印刷データ生成サーバ。
【請求項8】
さらに、クライアント装置から印刷データの識別情報のリストを受信したことに応答して、対応する印刷データが前記記憶手段に存在しない識別情報を当該リストから抽出する識別情報抽出手段と、
前記識別情報抽出手段により抽出された識別情報を前記リストを送信してきたクライアント装置に返信する返信手段とを含む、請求項7に記載の印刷データ生成サーバ。
【請求項9】
遠隔に設けられた印刷データ生成サーバと通信可能な通信装置と、
可搬型のデータ記憶媒体と通信する機能を持ち、通信可能となったデータ記憶媒体との間のデータの入出力を行なうデータ入出力手段と、
前記データ入出力手段との通信が可能となったデータ記憶媒体内に記憶された識別情報であって、前記印刷データ生成サーバにより生成された印刷データを特定する識別情報を読出し、当該識別情報を前記通信装置により前記印刷データ生成サーバに送信することにより印刷データの送信を要求する印刷データ要求手段と、
前記印刷データ要求手段による要求に応答して前記印刷データ生成サーバから送信されてくる印刷データを受信し、前記画像形成手段を制御して記録媒体上に当該印刷データの画像を形成する画像形成手段とを含む、画像形成装置。
【請求項10】
前記通信装置が印刷データの識別情報を他の装置から受信したことに応答して、当該識別情報に対応する印刷データを前記印刷データ生成サーバから受信し記憶する記憶手段をさらに含み、
前記印刷データ要求手段は、
前記データ入出力手段との通信が可能となったデータ記憶媒体内に記憶された識別情報を読出し、当該識別情報に対応する印刷データが前記記憶手段内に保存されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定の成否にしたがって、前記記憶手段内に記憶されている、前記データ入出力手段との通信が可能となったデータ記憶媒体内に記憶されていた識別情報に対応する印刷データを読出すことにより獲得し、前記画像形成手段への入力として与える処理と、前記データ入出力手段との通信が可能となったデータ記憶媒体内に記憶されていた識別情報に対応する印刷データを前記印刷データ生成サーバから受信することにより獲得し、前記画像形成手段への入力として与える処理とを選択的に実行する、印刷データ獲得手段とを含む、請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項1】
受信した電子データに応答して、当該電子データから印刷用の印刷データを生成して、当該電子データに対応する識別情報を当該電子データの送信元に返信する機能を持つ印刷データ生成サーバを含むネットワークプリントシステム内で利用されるクライアント装置であって、
可搬型のデータ記憶媒体と通信する機能を持ち、通信可能となったデータ記憶媒体との間のデータの入出力を行なうデータ入出力手段と、
前記印刷データ生成サーバとのデータ通信をネットワークを通じて行なうデータ通信装置と、
前記データ記憶媒体に記憶された電子データを前記データ入出力手段を介して読出し、前記データ通信装置を介して前記印刷データ生成サーバに送信する電子データ送信手段と、
前記電子データ送信手段により前記印刷データ生成サーバに送られた電子データに応答して、前記印刷データ生成サーバから送信されてくる、前記電子データに対応する識別情報を前記データ通信装置を介して受信し、前記データ入出力手段を介して前記データ記憶媒体に記憶させるための識別情報受信手段とを含む、ネットワークプリントシステム内で利用されるクライアント装置。
【請求項2】
可搬型のデータ記憶媒体とデータ入出力手段とは、機械的及び電気的な接続部を介して着脱可能かつ通信可能となる、請求項1に記載のクライアント装置。
【請求項3】
前記データ記憶媒体に記憶された識別情報を前記データ入出力手段を介して読出し、前記データ通信装置を介して前記印刷データ生成サーバに送信する識別情報送信手段と、
前記識別情報送信手段により送信された前記識別情報に応答して、前記印刷データ生成サーバから返信されてくる、当該識別情報に対応する印刷データの有無を示す情報を受信する印刷データ有無情報受信手段と、
前記印刷データ有無情報受信手段が受信した情報に基づいて、対応する印刷データが存在しない識別情報を、前記データ入出力手段を介して前記データ記憶媒体から削除する識別情報削除手段とをさらに含む、請求項1又は請求項2に記載のクライアント装置。
【請求項4】
前記識別情報送信手段、前記印刷データ有無情報受信手段、及び前記識別情報削除手段は、前記電子データ送信手段の動作前に動作を行なう、請求項3に記載のクライアント装置。
【請求項5】
前記クライアント装置には、表示装置が接続可能であり、
前記電子データ送信手段は、
前記データ記憶媒体に記憶された電子データのデータ名を前記データ入出力手段を介して読出し、前記クライアント装置に接続された表示装置上に当該データ名の一覧を表示する一覧表示手段と、
前記一覧表示手段により表示されたデータ名の一覧から、ユーザとの対話型処理により前記印刷データ生成サーバに送信する電子データのデータ名の指定を受けるデータ名指定手段と、
前記電子データ指定手段により指定されたデータ名に対応する電子データを前記データ入出力手段を介して前記データ記憶媒体から読出し、前記電子データ送信手段を介して前記印刷データ生成サーバに送信する送信手段とを含む、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のクライアント装置。
【請求項6】
さらに、前記識別情報受信手段が受信した前記識別情報を、予め定められた画像形成装置に送信する識別情報送信手段を含む、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のクライアント装置。
【請求項7】
遠隔に設けられたクライアント装置及び画像形成装置と通信可能な通信装置と、
前記通信装置を介してクライアント装置のいずれかから、電子データの送信を受けたことに応答して、当該電子データに対応する識別情報を生成し、当該電子データを送信してきたクライアント装置に返信する識別情報送信手段と、
前記電子データの送信を受けたことに応答して、当該電子データに対応する印刷データを生成する処理を実行する印刷データ生成手段と、
前記印刷データ生成手段により生成された印刷データを、対応する電子データに対して前記識別情報送信手段により生成された識別情報と関連付けて記憶する記憶手段と、
前記通信装置を介して、識別情報を指定して印刷データを送信するように求める要求を受けたことに応答して、前記記憶手段内に、当該要求により指定された識別情報と関連付けて記憶されている印刷データを検索し、当該要求を送信してきた装置に対して前記通信装置を介して送信する印刷データ送信手段とを含む、印刷データ生成サーバであって、
さらに、前記印刷データ生成手段により印刷データが生成された日時を、各電子データの識別情報と関連付けて前記記憶手段に記憶させる手段と、
前記記憶手段に記憶された印刷データの、生成からの経過時間を定期的に調べ、予め定められた期間が経過した印刷データを前記記憶手段から削除する削除手段とを含む、印刷データ生成サーバ。
【請求項8】
さらに、クライアント装置から印刷データの識別情報のリストを受信したことに応答して、対応する印刷データが前記記憶手段に存在しない識別情報を当該リストから抽出する識別情報抽出手段と、
前記識別情報抽出手段により抽出された識別情報を前記リストを送信してきたクライアント装置に返信する返信手段とを含む、請求項7に記載の印刷データ生成サーバ。
【請求項9】
遠隔に設けられた印刷データ生成サーバと通信可能な通信装置と、
可搬型のデータ記憶媒体と通信する機能を持ち、通信可能となったデータ記憶媒体との間のデータの入出力を行なうデータ入出力手段と、
前記データ入出力手段との通信が可能となったデータ記憶媒体内に記憶された識別情報であって、前記印刷データ生成サーバにより生成された印刷データを特定する識別情報を読出し、当該識別情報を前記通信装置により前記印刷データ生成サーバに送信することにより印刷データの送信を要求する印刷データ要求手段と、
前記印刷データ要求手段による要求に応答して前記印刷データ生成サーバから送信されてくる印刷データを受信し、前記画像形成手段を制御して記録媒体上に当該印刷データの画像を形成する画像形成手段とを含む、画像形成装置。
【請求項10】
前記通信装置が印刷データの識別情報を他の装置から受信したことに応答して、当該識別情報に対応する印刷データを前記印刷データ生成サーバから受信し記憶する記憶手段をさらに含み、
前記印刷データ要求手段は、
前記データ入出力手段との通信が可能となったデータ記憶媒体内に記憶された識別情報を読出し、当該識別情報に対応する印刷データが前記記憶手段内に保存されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定の成否にしたがって、前記記憶手段内に記憶されている、前記データ入出力手段との通信が可能となったデータ記憶媒体内に記憶されていた識別情報に対応する印刷データを読出すことにより獲得し、前記画像形成手段への入力として与える処理と、前記データ入出力手段との通信が可能となったデータ記憶媒体内に記憶されていた識別情報に対応する印刷データを前記印刷データ生成サーバから受信することにより獲得し、前記画像形成手段への入力として与える処理とを選択的に実行する、印刷データ獲得手段とを含む、請求項9に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−238208(P2012−238208A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107220(P2011−107220)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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