ネットワーク中継装置、および、ネットワーク中継装置の制御方法
【課題】追加の装置を必要とせず、ネットワーク中継装置の消費電力を制御する技術を提供する。
【解決手段】ネットワーク中継装置は、異なる複数のデータ転送速度での通信を実現可能な通信部と、ネットワーク中継装置が現在消費している電力である第1の消費電力を算出する電力算出部と、ネットワーク中継装置の消費電力の大きさに関する設定情報を取得する設定情報取得部と、異なる複数のデータ転送速度と、当データ転送速度を実現した場合の消費電力との対応関係を記憶する記憶部と、第1の消費電力と、設定情報と、対応関係とを用いて、通信部におけるデータ転送速度を決定し、決定したデータ転送速度での通信を通信部に指示する電力制御部と、を備える。
【解決手段】ネットワーク中継装置は、異なる複数のデータ転送速度での通信を実現可能な通信部と、ネットワーク中継装置が現在消費している電力である第1の消費電力を算出する電力算出部と、ネットワーク中継装置の消費電力の大きさに関する設定情報を取得する設定情報取得部と、異なる複数のデータ転送速度と、当データ転送速度を実現した場合の消費電力との対応関係を記憶する記憶部と、第1の消費電力と、設定情報と、対応関係とを用いて、通信部におけるデータ転送速度を決定し、決定したデータ転送速度での通信を通信部に指示する電力制御部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク中継装置に関し、特に、ネットワーク中継装置において消費する電力を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ICT(Information and Communication Technology)技術の進展に伴い、ネットワーク中継装置(例えば、LANスイッチやルータ)の性能が飛躍的に向上すると共に、その消費電力が急増している。一方、近年では環境保護の観点から、ネットワーク中継装置に対する消費電力削減の要請が高まっている。このような消費電力削減の要請に応えるための一手段として、従来では、ネットワーク内に設けられた給電管理サーバが、ネットワーク中継装置に対して給電の開始/停止/再開を指示するコマンドを出力することによって、ネットワーク中継装置の消費電力を制御する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかし、従来の技術では、ネットワーク中継装置以外の追加の装置(給電管理サーバ)が必要であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−281628号公報
【特許文献2】特開2007−201559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、追加の装置を必要とせず、ネットワーク中継装置の消費電力を制御する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
ネットワーク中継装置であって、
異なる複数のデータ転送速度での通信を実現可能な通信部と、
前記ネットワーク中継装置が現在消費している電力である第1の消費電力を算出する電力算出部と、
前記ネットワーク中継装置の消費電力の大きさに関する設定情報を取得する設定情報取得部と、
前記複数のデータ転送速度と、当該データ転送速度を実現した場合の消費電力との対応関係を記憶する記憶部と、
前記第1の消費電力と、前記設定情報と、前記対応関係とを用いて、前記通信部におけるデータ転送速度を決定し、決定したデータ転送速度での通信を前記通信部に指示する電力制御部と、
を備える、ネットワーク中継装置。
このような構成とすれば、電力制御部は、ネットワーク中継装置が現在消費している電力である第1の消費電力と、ネットワーク中継装置の消費電力の大きさに関する設定情報と、通信部が実現可能な異なる複数のデータ転送速度と、このデータ転送速度を実現した場合の消費電力との対応関係とを用いて、通信部におけるデータ転送速度を決定する。ネットワーク中継装置のデータ転送速度の変更は、ネットワーク中継装置の消費電力に影響を及ぼすため、この結果、追加の装置を必要とせずにネットワーク中継装置の消費電力を制御することが可能となる。
【0008】
[適用例2]
適用例1記載のネットワーク中継装置であって、
前記電力制御部は、
前記設定情報から直接的または間接的に導かれる第2の消費電力と、前記第1の消費電力とを比較し、
前記第2の消費電力が前記第1の消費電力よりも大きい場合は、前記対応関係を用いて前記通信部におけるデータ転送速度を上昇させ、
前記第2の消費電力が前記第1の消費電力よりも小さい場合は、前記対応関係を用いて前記通信部におけるデータ転送速度を低下させる、ネットワーク中継装置。
このような構成とすれば、電力制御部は、設定情報から導かれる第2の消費電力が第1の消費電力よりも大きい場合は、対応関係を用いて通信部におけるデータ転送速度を上昇させるため、ネットワーク中継装置の消費電力を増加させることができる。また、電力制御部は、第2の消費電力が第1の消費電力よりも小さい場合は、対応関係を用いて通信部におけるデータ転送速度を低下させるため、ネットワーク中継装置の消費電力を減少させることができる。この結果、追加の装置を必要とせずにネットワーク中継装置の消費電力を制御することが可能となる。
【0009】
[適用例3]
適用例1記載のネットワーク中継装置であって、
前記通信部は、異なる複数の通信方式について、異なる複数のデータ転送速度での通信を実現可能であり、
前記記憶部には、前記複数の通信方式について、それぞれ、前記対応関係が記憶され、
前記電力制御部は、
前記設定情報から直接的または間接的に導かれる第2の消費電力と、前記第1の消費電力とを比較し、
前記第2の消費電力が前記第1の消費電力よりも大きい場合は、複数の前記対応関係を用い、かつ、予め定められた条件に従って、前記複数の通信方式から選択した特定の通信方式について、前記通信部におけるデータ転送速度を上昇させ、
前記第2の消費電力が前記第1の消費電力よりも小さい場合は、複数の前記対応関係を用い、かつ、予め定められた条件に従って、前記複数の通信方式から選択した特定の通信方式について、前記通信部におけるデータ転送速度を低下させる、ネットワーク中継装置。
このような構成とすれば、ネットワーク中継装置には、ネットワーク中継装置が実現可能な異なる複数の通信方式について、それぞれ複数の対応関係が記憶され、電力制御部は、複数の対応関係を用い、かつ、予め定められた条件に従って、複数の通信方式から選択した特定の通信方式について、通信部におけるデータ転送速度を上昇、または低下させる。この結果、異なる複数の通信方式を実現可能なネットワーク中継装置においても、適用例2と同様の効果を得ることができる。
【0010】
[適用例4]
適用例3記載のネットワーク中継装置であって、
前記予め定められた条件は、前記複数の通信方式間において予め定められた優先順位を用いた条件と、前記複数の通信方式のそれぞれにおいて現在使用されているデータ転送速度の速度差を用いた条件と、のいずれかである、ネットワーク中継装置。
このような構成とすれば、複数の通信方式間において予め定められた優先順位と、複数の通信方式のそれぞれにおいて現在使用されているデータ転送速度の速度差と、のいずれか一方を、データ転送速度を決定するための条件とすることができる。
【0011】
[適用例5]
適用例3記載のネットワーク中継装置であって、
前記対応関係には、前記複数のデータ転送速度に対応付けられて、さらに、当該データ転送速度の使用率を示す指標値が含まれ、
前記ネットワーク中継装置は、さらに、
前記通信部を監視し、前記指標値を更新する学習部を備え、
前記予め定められた条件は、前記指標値を用いた条件である、ネットワーク中継装置。
このような構成とすれば、対応関係には通信部におけるデータ転送速度の使用率を示す指標値が含まれるため、この指標値をデータ転送速度を決定するための条件とすることができる。
【0012】
[適用例6]
適用例1ないし5のいずれか一項記載のネットワーク中継装置であって、
前記設定情報取得部は、前記ネットワーク中継装置の筐体に設けられる切り替えスイッチを含む、ネットワーク中継装置。
このような構成とすれば、設定情報取得部は、ネットワーク中継装置の筐体に設けられる切り替えスイッチを含むため、ネットワーク中継装置の利用者は、簡単な方法で設定情報を入力することができる。
【0013】
[適用例7]
適用例1ないし6のいずれか一項記載のネットワーク中継装置であって、
前記通信部には、無線による通信を実現する無線通信部と、有線による通信を実現する有線通信部と、ユニバーサルシリアルバス(USB)接続における通信を実現するUSBデータ通信部とのうちの、少なくともいずれか1つが含まれる、ネットワーク中継装置。
このような構成とすれば、通信部には、無線通信部と、有線通信部と、USBデータ通信部とのうちの、少なくともいずれか1つが含まれるため、ネットワーク中継装置がサポートする種々の通信方式における、データ転送速度の制御が可能となる。
【0014】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、本発明は、ネットワーク中継装置、ネットワーク中継装置の制御方法、ネットワーク中継装置を用いたネットワークシステム、および、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例としてのネットワーク中継装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】ルータの外観の概略構成を示す説明図である。
【図3】設定テーブルの一例を示す説明図である。
【図4】有線LAN消費電力テーブルの一例を示す説明図である。
【図5】無線LAN消費電力テーブルの一例を示す説明図である。
【図6】USB消費電力テーブルの一例を示す説明図である。
【図7】ルータの電力制御部において実行される電力制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】電力制御部がルータのデータ転送速度を上昇させる方法の一例を説明するための説明図である。
【図9】電力制御部がルータのデータ転送速度を上昇させる方法の他の例を説明するための説明図である。
【図10】第2実施例におけるネットワーク中継装置の概略構成を示す説明図である。
【図11】第2実施例における有線LAN消費電力テーブルの一例を示す説明図である。
【図12】第2実施例において電力制御部がルータのデータ転送速度を上昇させる方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
【0017】
A.第1実施例:
A1.システムの概略構成:
図1は、本発明の一実施例としてのネットワーク中継装置の概略構成を示す説明図である。ネットワーク中継装置10は、IEEE802.3規格と、IEEE802.11規格に準拠したいわゆる無線LANブロードバンドルーターである。なお、以降、ネットワーク中継装置10のことを単に「ルータ10」とも呼ぶ。ルータ10は、有線によりインターネットINETに接続されると共に、無線により図示しないパーソナルコンピュータ等の端末と接続されている。なお、図1では便宜上、説明上必要としない、他のネットワーク中継装置、回線、ルータ10の内部構造については図示を省略している。このことは、後述する図においても同様である。
【0018】
ルータ10は、電源入力部100と、CPU200と、RAM300と、設定情報取得部400と、有線LANインタフェース(I/F)500と、無線LAN制御回路600と、USBインタフェース(I/F)700と、ROM800と、を備え、それぞれがバスにより相互に接続されている。3つの通信部(有線通信部としての有線LANインタフェース500、無線通信部としての無線LAN制御回路600、USBデータ通信部としてのUSBインタフェース700)を備えることによって、ルータ10は3つの通信方式における通信を実現可能である。
【0019】
電源入力部100は、さらに、電源プラグ110と、ACアダプタ120と、電力算出部130とを備えている。電源プラグ110は、図示しない商用電源のコンセントに接続されることで、ルータ10への電源の供給を受け付ける。ACアダプタ120は、供給された交流電力を直流電力に変換するとともに、所定の電圧に降圧する。電源入力部100は、ACアダプタ120から出力される電力をルータ10の各部へ供給する。電力算出部130は、ルータ10の現在の消費電力(以降、「第1の消費電力」とも呼ぶ。)を算出する機能を有する。具体的には、電力算出部130は、ACアダプタ120から出力される電流値を測定し、測定した電流値と、ACアダプタ120で降圧している電圧値とを乗算することによって、第1の消費電力を算出する。
【0020】
CPU200は、ROM800に格納されているコンピュータプログラムをRAM300に展開して実行することにより、ルータ10の各部を制御する。また、CPU200は、電力制御部210としても機能する。電力制御部210は、ルータ10のデータ転送速度を決定し、決定したデータ転送速度での通信を通信部に指示することによって、ルータ10の消費電力を制御する電力制御処理(詳細は後述)を実行する機能を有する。
【0021】
記憶部としてのRAM300には、設定テーブル310と、有線LAN消費電力テーブル320と、無線LAN消費電力テーブル330と、USB消費電力テーブル340とが含まれている。これら各テーブルの詳細は後述する。なお、これらの各テーブルは、他の記憶媒体(例えば、フラッシュROM、ハードディスク等)に記憶されてもよい。
【0022】
設定情報取得部400は、ルータ10の消費電力の大きさに関する設定情報を取得する機能を有する。図2は、ルータ10の外観の概略構成を示す説明図である。図1の設定情報取得部400は、さらに、図2に示すような切り替えスイッチ410を備えている。切り替えスイッチ410は、ルータ10の筐体SCに設けられるスライドタイプのスイッチである。切り替えスイッチ410は、利用者が移動させたつまみCDの位置を検出することで、その出力が切り替わる。図1の設定情報取得部400は、切り替えスイッチ410の出力を検出し、ルータ10の消費電力の大きさに関する設定情報を取得する。具体的には、設定情報取得部400は、切り替えスイッチ410が図2の「大」の位置にあることを検出した場合は設定情報を「大」と、「中」の位置にあることを検出した場合は設定情報を「中」と、「小」の位置にあることを検出した場合は設定情報を「小」として、設定情報を取得する。
【0023】
有線通信部としての有線LANインタフェース500は、インターネットINET側の回線と接続されるほか、有線を通じて端末と接続されるためのインタフェースである。有線LANインタフェース500は、有線LAN制御部510と、複数のポート520とを備えている。有線LAN制御部510は、図示しないPHYチップ(物理チップ)やMACチップを含み、ポート520から受信した信号の波形を整えるほか、受信した信号からMACフレームを取り出す機能を有する。また、有線LAN制御部510は、オートネゴシエーション機能を有している。オートネゴシエーション機能とは、イーサネット(登録商標)において、異なるイーサネット規格(例えば、10BASE−Tや、100BASE−TX等)が混在する場合に、通信相手となる装置との間で、使用するイーサネット規格を決定する機能である。
【0024】
無線通信部としての無線LAN制御回路600は、無線LAN制御部610と、アンテナ620とを備えている。無線LAN制御部610は、図示しない送受信回路を含み、アンテナ620を介して受信した電波の復調とデータの生成、および、アンテナ620を介して送信する電波の生成と変調を行う機能を有する。
【0025】
USBデータ通信部としてのUSBインタフェース700は、USB制御部710と、USB1.1機能部721と、USB2.0機能部722と、USB3.0機能部723とを備えている。USB制御部710は、これら3つの機能部のうちアクティブにすべき機能部を切り替える機能を有する。USB1.1機能部721は、USB1.1規格に準拠した通信を可能とするための機能部である。同様に、USB2.0機能部722はUSB2.0規格に準拠した通信を、USB3.0機能部723はUSB3.0規格に準拠した通信を、それぞれ可能とするための機能部である。このように、本実施例における通信部は、それぞれ、異なる複数のデータ転送速度での通信を実現可能なように構成されている。
【0026】
A2.テーブル構成:
図3は、設定テーブル310の一例を示す説明図である。設定テーブル310は、設定情報と、第2の消費電力としての消費電力の上限値とを予め対応付けて記憶するためのテーブルである。設定テーブル310は、設定情報フィールドと、消費電力上限フィールドとを含んでいる。設定情報フィールドには、設定情報取得部400(図1)が取得しうる設定情報の値が格納されている。消費電力上限フィールドには、設定情報フィールドに格納された設定情報に対応したルータ10の消費電力の上限値(W)が格納されている。すなわち、図3の例では、1行目のエントリは、設定情報が「大」である場合はルータ10の消費電力の上限値は8Wとすることを示している。
【0027】
図4は、有線LAN消費電力テーブル320の一例を示す説明図である。有線LAN消費電力テーブル320は、ルータ10が実現可能な通信方式の1つである有線LANにおける、データ転送速度と、消費電力との対応関係を予め記憶するためのテーブルである。有線LAN消費電力テーブル320は、データ転送速度フィールドと、消費電力フィールドとを含んでいる。データ転送速度フィールドには、有線LANインタフェース500(図1)が実現しうるイーサネット規格、すなわち、有線LANにおけるデータ転送速度を間接的に示す情報が格納されている。消費電力フィールドには、ルータ10においてデータ転送速度フィールドに格納されたイーサネット規格を用いて通信を行った場合の、ルータ10の消費電力(W)が格納されている。すなわち、図4の例では、1行目のエントリは、ルータ10において10BASE−Tの伝送能力を用いてパケットの中継を行った場合、ルータ10の消費電力は0.15Wとなることを示している。
【0028】
図5は、無線LAN消費電力テーブル330の一例を示す説明図である。無線LAN消費電力テーブル330は、ルータ10が実現可能な通信方式の1つである無線LANにおける、データ転送速度と、消費電力との対応関係を予め記憶するためのテーブルである。無線LAN消費電力テーブル330は、データ転送速度フィールドと、消費電力フィールドとを含んでいる。データ転送速度フィールドには、無線LAN制御回路600(図1)が実現しうる無線通信速度が格納されている。消費電力フィールドには、ルータ10においてデータ転送速度フィールドに格納された速度の無線通信を実現した場合の、ルータ10の消費電力(W)が格納されている。すなわち、図5の例では、1行目のエントリは、ルータ10において11Mbpsで無線通信によるパケットの中継を行った場合、ルータ10の消費電力は0.2Wとなることを示している。
【0029】
図6は、USB消費電力テーブル340の一例を示す説明図である。USB消費電力テーブル340は、ルータ10が実現可能な通信方式の1つであるUSBデータ通信における、データ転送速度と、消費電力との対応関係を予め記憶するためのテーブルである。USB消費電力テーブル340は、データ転送速度フィールドと、消費電力フィールドとを含んでいる。データ転送速度フィールドには、USBインタフェース700(図1)が実現しうるUSB規格、すなわち、USBデータ通信における通信速度を間接的に示す情報が格納されている。消費電力フィールドには、ルータ10においてデータ転送速度フィールドに格納されたUSB規格を用いてUSBデータ通信を行った場合の、ルータ10の消費電力(W)が格納されている。すなわち、図6の例では、1行目のエントリは、ルータ10においてUSB1.1規格に準拠したUSB1.1機能部721を用いてUSBデータ通信を行った場合、ルータ10の消費電力は0.5Wとなることを示している。
【0030】
A3.電力制御処理:
図7は、ルータ10の電力制御部210において実行される電力制御処理の手順を示すフローチャートである。電力制御部210は、例えば、予め定められた時間間隔で定期的に電力制御処理を実行することができる。
【0031】
まず、電力制御部210は、電力算出部130が算出したルータ10の現在の消費電力(第1の消費電力)を取得する(ステップS100)。次に、電力制御部210は、設定情報取得部400が取得したルータ10の消費電力の大きさに関する設定情報を取得する(ステップS102)。電力制御部210は、ステップS102で取得した設定情報から消費電力の上限値(第2の消費電力)を導く(ステップS104)。具体的には、電力制御部210は、設定テーブル310の設定情報フィールドを、設定情報をキーとして検索し、一致するエントリの消費電力上限フィールドの値を消費電力の上限値(第2の消費電力)として求める。そして、電力制御部210は、ステップS104で求めた消費電力の上限値(A)と、ステップS100で取得したルータ10の現在の消費電力(B)とを比較する(ステップS106)。
【0032】
消費電力の上限値(A)と、現在の消費電力(B)とが同じである場合(ステップS106:A=B)、電力制御部210は処理を終了させる。
【0033】
消費電力の上限値(A)が現在の消費電力(B)よりも大きい場合(ステップS106:A>B)、電力制御部210は、有線LAN消費電力テーブル320と、無線LAN消費電力テーブル330と、USB消費電力テーブル340とを参照する(ステップS108)。そして、電力制御部210は、ステップS108で参照した各テーブルの消費電力フィールドの値をもとに、ルータ10のデータ転送速度を上昇(すなわち、ルータ10を高速化)させる(ステップS110)。
【0034】
ルータ10のデータ転送速度を上昇させる、とは、ルータ10が実現可能な通信方式(有線通信、無線通信、USBデータ通信)のうちの、少なくともいずれか1つにおける通信速度を上昇させることを意味する。電力制御部210は、種々の方法でルータ10のデータ転送速度を上昇させることができ、例えば、予め定められた条件に従ってルータ10のデータ転送速度を上昇させることができる。
【0035】
図8は、電力制御部210がルータ10のデータ転送速度を上昇させる方法の一例を説明するための説明図である。図8(A)は、有線LAN消費電力テーブル320上で、有線LANインタフェース500において現在使用されているイーサネット規格に矢印を付して示している。図8(B)は、無線LAN消費電力テーブル330上で、無線LAN制御回路600における現在の無線通信速度に矢印を付して示している。図8(C)は、USB消費電力テーブル340上で、USBインタフェース700において現在使用されているUSB規格に矢印を付して示している。図8(D)は、データ転送速度を上昇させる条件と、優先順位の一例を示している。図8(D)の例では、データ転送速度を上昇させる条件として、ルータ10が実現可能な複数の通信方式間において定められた優先順位を用いる。なお、データ転送速度を上昇させる条件と、優先順位とは、予め定められ、RAM300内に格納されている。
【0036】
ルータ10が図8に示した状態であって、図6のステップS104で求めた消費電力の上限値が8W、ステップS100で取得したルータ10の現在の消費電力が4.1Wである場合、電力制御部210は、以下のような手順でルータ10のデータ転送速度を上昇させることができる。
【0037】
手順1)電力制御部210は、図8(D)の条件に従い、複数の通信方式間における優先順位をもとに、優先順位が最も高い通信方式を求める。図8の例では、優先順位が最も高い通信方式は有線通信(優先順位1)である。
手順2)電力制御部210は、手順1で求めた通信方式に対応する消費電力テーブルを参照し、現在のデータ転送速度よりも1段階高速なデータ転送速度における消費電力を求める。図8の例では、電力制御部210は、現在使用されているイーサネット規格(100BASE−T)よりも1段階高速なイーサネット規格(1000BASE−T)の消費電力フィールドの値(2.25W)を取得する。
【0038】
手順3)電力制御部210は、現在の消費電力に対して、手順2で求めた消費電力を加算した合計が、消費電力の上限値を超えないかを判定する。図8の例では、現在の消費電力(4.1W)+手順2で取得した消費電力(2.25W)=6.35W、となるため、消費電力の上限値(8W)は超過しない。
手順4)電力制御部210は、消費電力の上限値を超えないと判定した場合は、その通信方式におけるデータ転送速度を1段階高速なものに変更する決定をした後、優先順位が次に高い通信方式を求め、手順2以降を繰り返し実行する。図8の例では、電力制御部210は、有線通信におけるデータ転送速度を1段階高速なもの(すなわち、1000BASE−T)へと変更する。
手順5)一方、電力制御部210は、消費電力の上限値を超えると判定した場合は、優先順位が次に高い通信方式を求め、手順2以降を繰り返し実行する。
【0039】
上記の手順4において有線通信のデータ転送速度を変更する決定を行った場合、電力制御部210は、有線LAN制御部510に対してデータ転送速度を変えるための要求を送信する。要求を受信した有線LAN制御部510は、オートネゴシエーション機能を用いて通信相手となる装置と交渉を行い、使用するイーサネット規格を変更する。なお、有線通信における通信断を抑制するため、イーサネット規格の変更は、トランスポート層を監視して、通信が途切れたと判断された際(例えば、TCPセッションを監視して、通信終了メッセージが送信された後)に行うことが好ましい。
【0040】
無線通信のデータ転送速度を変える場合、電力制御部210は、無線LAN制御部610に対してデータ転送速度を変更するための要求を送信する。要求を受信した無線LAN制御部610は、受信したデータ転送速度に従って送受信回路を制御する。USBデータ通信のデータ転送速度を変える場合、電力制御部210は、USB制御部710に対してデータ転送速度を変更するための要求を送信する。要求を受信したUSB制御部710は、受信したデータ転送速度に従ってアクティブにすべき機能部を切り替える。
【0041】
図9は、電力制御部210がルータ10のデータ転送速度を上昇させる方法の他の例を説明するための説明図である。図9(A)〜(C)は、図8と同様である。図9(D)は、データ転送速度を上昇させる条件の一例を示している。図9(D)の例では、データ転送速度を上昇させる条件として、ルータ10が実現可能な複数の通信方式間の速度差の乖離を抑制すること、すなわち、複数の通信方式のそれぞれにおいて現在使用されているデータ転送速度の速度差を小さくすることが定められている。なお、データ転送速度を上昇させる条件は、図8と同様に、予め定められ、RAM300内に格納されている。
【0042】
ルータ10が図9に示した状態であって、図6のステップS104で求めた消費電力の上限値が8W、ステップS100で取得したルータ10の現在の消費電力が4.1Wである場合、電力制御部210は、図8で説明したデータ転送速度の上昇方法において、手順1に代えて手順1aを、手順4に代えて手順4aを、手順5に代えて手順5aを、それぞれ実行する。
【0043】
手順1a)電力制御部210は、図9(D)の条件に従い、通信方式間の速度差の乖離を抑制可能な通信方式を求める。具体的には、まず、電力制御部210は、ルータ10が実現可能な複数の通信方式のそれぞれにおいて、現在使用されているデータ転送速度を求める。図9の例では、有線LANインタフェース500において現在使用されているイーサネット規格は100BASE−Tであるため、有線通信のデータ転送速度は100Mbpsである。同様に、無線LAN制御回路600における現在の無線通信速度は130Mbpsであるため、無線通信のデータ転送速度は130Mbpsである。USBインタフェース700において現在使用されているUSB規格はUSB2.0であるため、USBデータ通信のデータ転送速度は480Mbpsである。
【0044】
次に、電力制御部210は、複数の通信方式のそれぞれについて、データ転送速度を現在よりも1段階高速にした際の、他の通信方式との速度差を求める。
i)有線通信のデータ転送速度を高速化した場合は、有線通信の高速化後のデータ転送速度は1000Mbps、無線通信の現在のデータ転送速度は130Mbps、USBデータ通信の現在のデータ転送速度は480Mbpsとなるため、最も大きい値(1000Mbps)と、最も小さい値(130Mbps)との速度差の絶対値は870Mbpsとなる。
ii)無線通信のデータ転送速度を高速化した場合は、有線通信の現在のデータ転送速度は100Mbps、無線通信の高速化後のデータ転送速度は150Mbps、USBデータ通信の現在のデータ転送速度は480Mbpsとなるため、最も大きい値と、最も小さい値との速度差の絶対値は380Mbpsとなる。
iii)USBデータ通信のデータ転送速度を高速化した場合は、有線通信の現在のデータ転送速度は100Mbps、無線通信の現在のデータ転送速度は130Mbps、USBデータ通信の高速化後のデータ転送速度は5Gbpsとなるため、最も大きい値と、最も小さい値との速度差の絶対値は4900Mbpsとなる。
【0045】
電力制御部210は、上記i〜iiiで求めた高速化後の速度差が最も小さくなる通信方式を、データ転送速度を上昇させる通信方式として選択する。図9の例では、高速化後の速度差が最も小さくなる通信方式は無線通信である。
【0046】
手順4a)電力制御部210は、消費電力の上限値を超えないと判定した場合は、その通信方式におけるデータ転送速度を1段階高速なものに変更する決定をした後、手順1a以降を繰り返し実行する。
手順5a)一方、電力制御部210は、消費電力の上限値を超えると判定した場合は、高速化後の速度差が2番目に小さくなる通信方式を求め、手順2以降を繰り返し実行する。
【0047】
なお、上記処理において、ルータ10が実現可能な全ての通信方式(すなわち、有線通信、無線通信、USBデータ通信)間の速度差の乖離を抑制するものとしたが、一部(例えば、USBデータ通信)は速度差の乖離抑制対象から除外してもよい。
【0048】
図7のステップS106において、消費電力の上限値(A)が現在の消費電力(B)よりも小さい場合(ステップS106:A<B)、電力制御部210は、有線LAN消費電力テーブル320と、無線LAN消費電力テーブル330と、USB消費電力テーブル340とを参照する(ステップS112)。そして、電力制御部210は、ステップS112で参照した各テーブルの消費電力フィールドの値をもとに、ルータ10のデータ転送速度を低下(すなわち、ルータ10を低速化)させる(ステップS114)。
【0049】
ルータ10のデータ転送速度を低下させる、とは、ルータ10が実現可能な通信方式(有線通信、無線通信、USBデータ通信)のうちの、少なくともいずれか1つにおける通信速度を低下させることを意味する。電力制御部210は、種々の方法でルータ10のデータ転送速度を低下させることができ、例えば、予め定められた条件に従ってルータ10のデータ転送速度を低下させることができる。具体的な方法は上述のデータ転送速度の上昇の場合に倣えばよいため、説明は省略する。なお、データ転送速度の上昇時と、データ転送速度の低下時とは、異なる条件が採用されてもよい。
【0050】
以上のように、第1実施例によれば、電力制御部210は、ルータ10の現在の消費電力(第1の消費電力)と、ルータ10の消費電力の大きさに関する設定情報と、ルータ10が実現可能な異なる複数のデータ転送速度と、このデータ転送速度を実現した場合の消費電力との対応関係(すなわち、有線LAN消費電力テーブル320、無線LAN消費電力テーブル330、USB消費電力テーブル340)とを用いて、データ転送速度を決定し、決定したデータ転送速度での通信を通信部(有線LANインタフェース500、無線LAN制御回路600、USBインタフェース700)に指示する。
【0051】
具体的には、電力制御部210は、設定情報から導かれる消費電力の上限値(第2の消費電力)を取得し、消費電力の上限値(第2の消費電力)が現在の消費電力(第1の消費電力)よりも大きい場合は、上記の対応関係を用いて通信部におけるデータ転送速度を上昇させる。通信部におけるデータ転送速度を上昇させる際、ルータ10が複数の通信方式を実現可能な場合は、予め定められた条件に従って、複数の通信方式から、データ転送速度を上昇させる通信方式が選択される。通信部におけるデータ転送速度の変更は、ルータ10の消費電力に影響を及ぼすため、これにより、電力制御部210は、ルータ10の消費電力を増加させることができる。一方、消費電力の上限値(第2の消費電力)が現在の消費電力(第1の消費電力)よりも小さい場合は、上記の対応関係を用いて通信部におけるデータ転送速度を低下させる。通信部におけるデータ転送速度を低下させる際、ルータ10が複数の通信方式を実現可能な場合は、予め定められた条件に従って、複数の通信方式から、データ転送速度を低下させる通信方式が選択される。これにより、電力制御部210は、ルータ10の消費電力を減少させることができる。この結果、ルータ10において、追加の装置を必要とせず、消費電力を制御することが可能となる。
【0052】
さらに、ルータ10の消費電力の大きさに関する設定情報を取得する設定情報取得部400は、切り替えスイッチ410を含む。切り替えスイッチ410は、ルータ10の筐体に設けられる切り替えスイッチであるため、ルータ10の利用者は、簡単な方法で設定情報の入力をすることができる。
【0053】
B.第2実施例:
本発明の第2実施例では、第1実施例で説明したネットワーク中継装置において、さらに、通信部における各データ転送速度の使用率を学習し、学習した内容を用いてデータ転送速度の決定を行う構成について説明する。以下では、第1実施例と異なる構成および動作を有する部分についてのみ説明する。なお、図中において第1実施例と同様の構成部分については先に説明した第1実施例と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0054】
図10は、第2実施例におけるネットワーク中継装置の概略構成を示す説明図である。図1に示した第1実施例との違いは、ネットワーク中継装置としてのルータ10aが、CPU200に代えてCPU200aを、RAM300に代えてRAM300aを、それぞれ備える点のみであり、他の構成や動作は第1実施例と同じである。
【0055】
CPU200aは、電力制御部210に代えて電力制御部210aを備え、さらに、学習部220を備えている。電力制御部210aの動作については後述する。学習部220は、ルータ10aの通信部における各データ転送速度の使用率を学習する機能を有する。具体的には、学習部220は、ルータ10aの有線LANインタフェース500を監視し、各イーサネット規格(データ転送速度)について、使用率を示す指標値となる「アクティブになった回数」を計数し、有線LAN消費電力テーブル320aを更新する。学習部220は同様に、無線LAN制御回路600と、USBインタフェース700についても監視および対応するテーブルの更新を行う。
【0056】
RAM300aは、有線LAN消費電力テーブル320に代えて有線LAN消費電力テーブル320aを、無線LAN消費電力テーブル330に代えて無線LAN消費電力テーブル330aを、USB消費電力テーブル340に代えてUSB消費電力テーブル340aを、それぞれ備えている。
【0057】
図11は、第2実施例における有線LAN消費電力テーブル320aの一例を示す説明図である。図4に示した第1実施例との違いは、さらに、使用回数フィールドを備える点のみであり、他の構成は第1実施例と同じである。使用回数フィールドには、学習部220によって計数された指標値が格納される。この使用回数フィールドの値は、学習部220によって定期的に、および/または、学習部220が状態変化を検出したタイミングで随時更新される。なお、無線LAN消費電力テーブル330aと、USB消費電力テーブル340aについても、有線LAN消費電力テーブル320aと同様に使用回数フィールドを備えている。詳細は有線LAN消費電力テーブル320aと同様であるため省略する。
【0058】
図12は、第2実施例において、電力制御部210aがルータ10aのデータ転送速度を上昇させる方法を説明するための説明図である。図12(A)〜(C)は、図8に示した第1実施例と同様に、有線LAN消費電力テーブル320aと、無線LAN消費電力テーブル330aと、USB消費電力テーブル340aとについて、現在使用されているイーサネット規格に矢印を付して示している。図12(D)は、第2実施例においてデータ転送速度を上昇させる条件の例を示している。図12(D)の例では、データ転送速度を上昇させる条件として、使用回数(換言すれば、使用率が高いもの)が多いものを優先させることが定められている。なお、データ転送速度を上昇させる条件は、図8と同様に、予め定められ、RAM300内に格納されている。
【0059】
ルータ10aが図12に示した状態であって、図6のステップS104で求めた消費電力の上限値が8W、ステップS100で取得したルータ10aの現在の消費電力が4.1Wである場合、電力制御部210aは、図8で説明したデータ転送速度の上昇方法において、手順1に代えて手順1bを、手順4に代えて手順4bを、手順5に代えて手順5bを、それぞれ実行する。
【0060】
手順1b)電力制御部210aは、図12(D)の条件に従い、複数の通信方式のうち、使用回数が多い通信方式を求める。具体的には、まず、電力制御部210aは、有線LAN消費電力テーブル320aと、無線LAN消費電力テーブル330aと、USB消費電力テーブル340aの3つのテーブルを参照し、現在使用されているデータ転送速度と、各テーブルの使用回数フィールドの値が最も大きなデータ転送速度との隔たりが最も大きな通信方式を求める。図12の例では、現在使用されているデータ転送速度(130Mbps)と、使用回数フィールドの値が最も大きなデータ転送速度(150Mbps)との隔たりが最も大きい通信方式は、無線通信である。
手順4b)電力制御部210aは、消費電力の上限値を超えないと判定した場合は、その通信方式におけるデータ転送速度を1段階高速なものに変更する決定をした後、現在使用されているデータ転送速度と、各テーブルの使用回数フィールドの値が最も大きなデータ転送速度との隔たりが次に大きな通信方式を求め、手順2以降を繰り返し実行する。
手順5b)一方、電力制御部210aは、消費電力の上限値を超えると判定した場合は、現在使用されているデータ転送速度と、各テーブルの使用回数フィールドの値が最も大きなデータ転送速度との隔たりが次に大きな通信方式を求め、手順2以降を繰り返し実行する。
【0061】
なお、上記処理において、各テーブルの使用回数フィールドの値が「0」であるデータ転送側は意図的に除外する処理を追加してもよい。そのようにすれば、例えば、使用されていないデータ転送速度(図12(C)のUSB1.1やUSB3.0等)を意図的に除外することが可能となる。なお、電力制御部210aにおけるデータ転送速度の低下方法については、上述したデータ転送速度の上昇方法に倣えばよいため、説明は省略する。
【0062】
以上のように、第2実施例によれば、記憶部内の各テーブルには、通信部(有線LANインタフェース500、無線LAN制御回路600、USBインタフェース700)ごとに、データ転送速度の使用率を間接的に示す指標値としての使用回数が記憶され、学習部220は、各通信部を監視して、指標値を更新する。また、電力制御部210aは、ルータ10aが複数の通信方式を実現可能な場合に、当該複数の通信方式からデータ転送速度を上昇または下降させる通信方式を選択する際の条件として、この指標値を用いる。この結果、ルータ10aのデータ転送速度を、その使用率に基づいて決定することが可能となるため、ルータ10aの利用実態に合った消費電力の制御が可能となる。
【0063】
C.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができる。例えば、ソフトウェアによって実現した機能は、ハードウェアによって実現するものとしてもよい。そのほか、以下のような変形が可能である。
【0064】
C1.変形例1:
上記実施例では、ネットワーク中継装置の構成について説明した。しかし、上記実施例におけるネットワーク中継装置の構成はあくまで一例であり、任意の態様を採用することができる。例えば、構成要素の一部を省略したり、更なる構成要素を付加したり、構成要素の一部を変更したりする変形が可能である。
【0065】
例えば、上記実施例におけるルータは3つの通信方式(有線通信、無線通信、USBデータ通信)における通信を実現可能であるものとしたが、一部の通信方式を省略しても良い。また、他の方式を備えるものとしても良い。
【0066】
例えば、上記実施例のルータにおいて、電源入力部(図1)はACアダプタに代えて電源入力部の内部にAC−DCコンバータを備えるものとしてもよい。また、電源は特に限定するものではなく、例えば、商用電源に代えて燃料電池や太陽電池などの出力を用いてもよい。
【0067】
例えば、上記実施例におけるルータでは、CPUは電力制御部と、学習部とを備えるものとして説明した。また、各処理部において実行される機能について説明した。しかし、これら各処理部の配置および各処理部が果たす機能の内容についてはあくまで例示であり、ルータの構成に応じて任意に変更することが可能である。
【0068】
C2.変形例2:
上記実施例では、設定情報取得部の一態様について説明した。しかし、設定情報取得部は、種々の態様を採用することが可能である。
【0069】
例えば、設定情報取得部に含まれる切り替えスイッチ(図2)は、スライドタイプのスイッチであるものとして説明した。しかし、切り替えスイッチは種々のタイプのスイッチを採用することができる。例えば、ロータリータイプのスイッチや、押しボタンタイプのスイッチを採用してもよい。また、設定情報「大」、「中」、「小」はあくまで一例であり、利用者から消費電力の上限値となるべき電力の値を直接受け付ける構成としてもよい。この場合、設定テーブルは省略可能である。
【0070】
例えば、上記実施例のルータでは、切り替えスイッチ(図2)への入力を検出することによって設定情報を取得するものとしたが、切り替えスイッチは省略可能である。具体的には、例えば、ルータに接続される端末等を通じて利用者が操作可能なルータの設定画面(例えば、WEBによるルータの設定画面)からの入力を取得することとしてもよい。また、切り替えスイッチと、設定画面からの入力とを併用してもよい。
【0071】
C3.変形例3:
上記実施例では、ルータの電力制御部において実行される電力制御処理の一例について説明した。しかし、電力制御処理に関しては、種々の変形が可能である。
【0072】
例えば、電力制御処理は定期的に実行されるものとした。電力制御処理は、定期的に行うのではなく、ある特定のタイミングで実行されることとしてもよい。例えば、電力制御部は、ルータの起動時に実行される初期化処理の一部として、電力制御処理を実行してもよい。また、電力制御部は、ルータの構成の変化を検知したとき(例えば、有線LANポートに新しいLANケーブルが接続されたことを検出したとき)に、電力制御処理を実行することもできる。さらに、利用者による手動(コマンド入力、メニューからの実行選択等)で実行されるものとしてもよい。
【0073】
上記実施例では、ルータが複数の通信方式を実現可能な場合に、データ転送速度を上昇または低下させるための特定の通信方式を選択する手段として、予め定められた条件を用いることとした。しかし、上記各実施例において例示した条件はあくまで一例であり、種々の変更をすることができる。例えば、データ転送速度を決定する際(具体的には、図7のステップS110、S114)に、データ転送速度を上昇または低下させる対象(通信方式)の選択を利用者等から受け付けても良い。
【0074】
上記実施例では、電力制御処理において用いられるデータ転送速度として、各通信方式(有線通信、無線通信、USBデータ通信)におけるデータ転送速度の理論値を用いることとした。しかし、電力制御処理において用いられるデータ転送速度は理論値に限られない。例えば、データ転送速度として、実効速度の推定値や、実効速度の一般値や、実効速度を実際に計測した実測値を使用してもよい。理論値以外の値を用いる場合、例えば、有線LAN消費電力テーブル320(図4)、無線LAN消費電力テーブル330(図5)、USB消費電力テーブル340(図6)の各テーブルに、推定値、一般値、実測値を格納しておくためのフィールドをさらに設けてもよいし、別のテーブルを設けてもよい。
【0075】
C4.変形例4:
上記実施例では、ネットワーク中継装置が備える各テーブルについて、その構成の一例を示した。しかし、これらのテーブルが備えるフィールドは任意に定めることができる。例えば、上記に例示したフィールド以外のフィールドを備えるものとしても良い。また、各テーブルには、ダイレクトマップ方式を用いることも可能である。
【0076】
例えば、上記実施例において、設定値テーブルの消費電力上限フィールドには、設定情報フィールドに格納された設定情報の値に対応したルータの消費電力の上限値(W)、すなわち、実際の消費電力の値が格納されるものとしたが、他の態様を採用しても良い。例えば、設定情報「中」の場合の消費電力を1とした場合の比率を示す値を格納するものとしてもよい。
【0077】
例えば、上記第2実施例では、有線LAN消費電力テーブルと、無線LAN消費電力テーブルと、USB消費電力テーブルとには、あるデータ転送速度の使用率を示す指標値として、使用回数フィールドを備えるものとした。しかし、データ転送速度の使用率を示す指標値は、他の基準を用いて示されても良い。具体的には、例えば、当該データ転送速度で処理されたパケットの数や、当該データ転送速度を用いて処理が行われた時間等が格納されてもよい。
【符号の説明】
【0078】
10,10a…ルータ
100…電源入力部
110…電源プラグ
130…電力算出部
200,200a…CPU
210,210a…電力制御部
220…学習部
310…設定テーブル
400…設定情報取得部
410…スイッチ
500…有線LANインタフェース
510…有線LAN制御部
520…ポート
600…無線LAN制御回路
610…無線LAN制御部
620…アンテナ
700…USBインタフェース
710…USB制御部
721…USB1.1機能部
722…USB2.0機能部
723…USB3.0機能部
SC…筐体
CD…つまみ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク中継装置に関し、特に、ネットワーク中継装置において消費する電力を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ICT(Information and Communication Technology)技術の進展に伴い、ネットワーク中継装置(例えば、LANスイッチやルータ)の性能が飛躍的に向上すると共に、その消費電力が急増している。一方、近年では環境保護の観点から、ネットワーク中継装置に対する消費電力削減の要請が高まっている。このような消費電力削減の要請に応えるための一手段として、従来では、ネットワーク内に設けられた給電管理サーバが、ネットワーク中継装置に対して給電の開始/停止/再開を指示するコマンドを出力することによって、ネットワーク中継装置の消費電力を制御する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかし、従来の技術では、ネットワーク中継装置以外の追加の装置(給電管理サーバ)が必要であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−281628号公報
【特許文献2】特開2007−201559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、追加の装置を必要とせず、ネットワーク中継装置の消費電力を制御する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
ネットワーク中継装置であって、
異なる複数のデータ転送速度での通信を実現可能な通信部と、
前記ネットワーク中継装置が現在消費している電力である第1の消費電力を算出する電力算出部と、
前記ネットワーク中継装置の消費電力の大きさに関する設定情報を取得する設定情報取得部と、
前記複数のデータ転送速度と、当該データ転送速度を実現した場合の消費電力との対応関係を記憶する記憶部と、
前記第1の消費電力と、前記設定情報と、前記対応関係とを用いて、前記通信部におけるデータ転送速度を決定し、決定したデータ転送速度での通信を前記通信部に指示する電力制御部と、
を備える、ネットワーク中継装置。
このような構成とすれば、電力制御部は、ネットワーク中継装置が現在消費している電力である第1の消費電力と、ネットワーク中継装置の消費電力の大きさに関する設定情報と、通信部が実現可能な異なる複数のデータ転送速度と、このデータ転送速度を実現した場合の消費電力との対応関係とを用いて、通信部におけるデータ転送速度を決定する。ネットワーク中継装置のデータ転送速度の変更は、ネットワーク中継装置の消費電力に影響を及ぼすため、この結果、追加の装置を必要とせずにネットワーク中継装置の消費電力を制御することが可能となる。
【0008】
[適用例2]
適用例1記載のネットワーク中継装置であって、
前記電力制御部は、
前記設定情報から直接的または間接的に導かれる第2の消費電力と、前記第1の消費電力とを比較し、
前記第2の消費電力が前記第1の消費電力よりも大きい場合は、前記対応関係を用いて前記通信部におけるデータ転送速度を上昇させ、
前記第2の消費電力が前記第1の消費電力よりも小さい場合は、前記対応関係を用いて前記通信部におけるデータ転送速度を低下させる、ネットワーク中継装置。
このような構成とすれば、電力制御部は、設定情報から導かれる第2の消費電力が第1の消費電力よりも大きい場合は、対応関係を用いて通信部におけるデータ転送速度を上昇させるため、ネットワーク中継装置の消費電力を増加させることができる。また、電力制御部は、第2の消費電力が第1の消費電力よりも小さい場合は、対応関係を用いて通信部におけるデータ転送速度を低下させるため、ネットワーク中継装置の消費電力を減少させることができる。この結果、追加の装置を必要とせずにネットワーク中継装置の消費電力を制御することが可能となる。
【0009】
[適用例3]
適用例1記載のネットワーク中継装置であって、
前記通信部は、異なる複数の通信方式について、異なる複数のデータ転送速度での通信を実現可能であり、
前記記憶部には、前記複数の通信方式について、それぞれ、前記対応関係が記憶され、
前記電力制御部は、
前記設定情報から直接的または間接的に導かれる第2の消費電力と、前記第1の消費電力とを比較し、
前記第2の消費電力が前記第1の消費電力よりも大きい場合は、複数の前記対応関係を用い、かつ、予め定められた条件に従って、前記複数の通信方式から選択した特定の通信方式について、前記通信部におけるデータ転送速度を上昇させ、
前記第2の消費電力が前記第1の消費電力よりも小さい場合は、複数の前記対応関係を用い、かつ、予め定められた条件に従って、前記複数の通信方式から選択した特定の通信方式について、前記通信部におけるデータ転送速度を低下させる、ネットワーク中継装置。
このような構成とすれば、ネットワーク中継装置には、ネットワーク中継装置が実現可能な異なる複数の通信方式について、それぞれ複数の対応関係が記憶され、電力制御部は、複数の対応関係を用い、かつ、予め定められた条件に従って、複数の通信方式から選択した特定の通信方式について、通信部におけるデータ転送速度を上昇、または低下させる。この結果、異なる複数の通信方式を実現可能なネットワーク中継装置においても、適用例2と同様の効果を得ることができる。
【0010】
[適用例4]
適用例3記載のネットワーク中継装置であって、
前記予め定められた条件は、前記複数の通信方式間において予め定められた優先順位を用いた条件と、前記複数の通信方式のそれぞれにおいて現在使用されているデータ転送速度の速度差を用いた条件と、のいずれかである、ネットワーク中継装置。
このような構成とすれば、複数の通信方式間において予め定められた優先順位と、複数の通信方式のそれぞれにおいて現在使用されているデータ転送速度の速度差と、のいずれか一方を、データ転送速度を決定するための条件とすることができる。
【0011】
[適用例5]
適用例3記載のネットワーク中継装置であって、
前記対応関係には、前記複数のデータ転送速度に対応付けられて、さらに、当該データ転送速度の使用率を示す指標値が含まれ、
前記ネットワーク中継装置は、さらに、
前記通信部を監視し、前記指標値を更新する学習部を備え、
前記予め定められた条件は、前記指標値を用いた条件である、ネットワーク中継装置。
このような構成とすれば、対応関係には通信部におけるデータ転送速度の使用率を示す指標値が含まれるため、この指標値をデータ転送速度を決定するための条件とすることができる。
【0012】
[適用例6]
適用例1ないし5のいずれか一項記載のネットワーク中継装置であって、
前記設定情報取得部は、前記ネットワーク中継装置の筐体に設けられる切り替えスイッチを含む、ネットワーク中継装置。
このような構成とすれば、設定情報取得部は、ネットワーク中継装置の筐体に設けられる切り替えスイッチを含むため、ネットワーク中継装置の利用者は、簡単な方法で設定情報を入力することができる。
【0013】
[適用例7]
適用例1ないし6のいずれか一項記載のネットワーク中継装置であって、
前記通信部には、無線による通信を実現する無線通信部と、有線による通信を実現する有線通信部と、ユニバーサルシリアルバス(USB)接続における通信を実現するUSBデータ通信部とのうちの、少なくともいずれか1つが含まれる、ネットワーク中継装置。
このような構成とすれば、通信部には、無線通信部と、有線通信部と、USBデータ通信部とのうちの、少なくともいずれか1つが含まれるため、ネットワーク中継装置がサポートする種々の通信方式における、データ転送速度の制御が可能となる。
【0014】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、本発明は、ネットワーク中継装置、ネットワーク中継装置の制御方法、ネットワーク中継装置を用いたネットワークシステム、および、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例としてのネットワーク中継装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】ルータの外観の概略構成を示す説明図である。
【図3】設定テーブルの一例を示す説明図である。
【図4】有線LAN消費電力テーブルの一例を示す説明図である。
【図5】無線LAN消費電力テーブルの一例を示す説明図である。
【図6】USB消費電力テーブルの一例を示す説明図である。
【図7】ルータの電力制御部において実行される電力制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】電力制御部がルータのデータ転送速度を上昇させる方法の一例を説明するための説明図である。
【図9】電力制御部がルータのデータ転送速度を上昇させる方法の他の例を説明するための説明図である。
【図10】第2実施例におけるネットワーク中継装置の概略構成を示す説明図である。
【図11】第2実施例における有線LAN消費電力テーブルの一例を示す説明図である。
【図12】第2実施例において電力制御部がルータのデータ転送速度を上昇させる方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
【0017】
A.第1実施例:
A1.システムの概略構成:
図1は、本発明の一実施例としてのネットワーク中継装置の概略構成を示す説明図である。ネットワーク中継装置10は、IEEE802.3規格と、IEEE802.11規格に準拠したいわゆる無線LANブロードバンドルーターである。なお、以降、ネットワーク中継装置10のことを単に「ルータ10」とも呼ぶ。ルータ10は、有線によりインターネットINETに接続されると共に、無線により図示しないパーソナルコンピュータ等の端末と接続されている。なお、図1では便宜上、説明上必要としない、他のネットワーク中継装置、回線、ルータ10の内部構造については図示を省略している。このことは、後述する図においても同様である。
【0018】
ルータ10は、電源入力部100と、CPU200と、RAM300と、設定情報取得部400と、有線LANインタフェース(I/F)500と、無線LAN制御回路600と、USBインタフェース(I/F)700と、ROM800と、を備え、それぞれがバスにより相互に接続されている。3つの通信部(有線通信部としての有線LANインタフェース500、無線通信部としての無線LAN制御回路600、USBデータ通信部としてのUSBインタフェース700)を備えることによって、ルータ10は3つの通信方式における通信を実現可能である。
【0019】
電源入力部100は、さらに、電源プラグ110と、ACアダプタ120と、電力算出部130とを備えている。電源プラグ110は、図示しない商用電源のコンセントに接続されることで、ルータ10への電源の供給を受け付ける。ACアダプタ120は、供給された交流電力を直流電力に変換するとともに、所定の電圧に降圧する。電源入力部100は、ACアダプタ120から出力される電力をルータ10の各部へ供給する。電力算出部130は、ルータ10の現在の消費電力(以降、「第1の消費電力」とも呼ぶ。)を算出する機能を有する。具体的には、電力算出部130は、ACアダプタ120から出力される電流値を測定し、測定した電流値と、ACアダプタ120で降圧している電圧値とを乗算することによって、第1の消費電力を算出する。
【0020】
CPU200は、ROM800に格納されているコンピュータプログラムをRAM300に展開して実行することにより、ルータ10の各部を制御する。また、CPU200は、電力制御部210としても機能する。電力制御部210は、ルータ10のデータ転送速度を決定し、決定したデータ転送速度での通信を通信部に指示することによって、ルータ10の消費電力を制御する電力制御処理(詳細は後述)を実行する機能を有する。
【0021】
記憶部としてのRAM300には、設定テーブル310と、有線LAN消費電力テーブル320と、無線LAN消費電力テーブル330と、USB消費電力テーブル340とが含まれている。これら各テーブルの詳細は後述する。なお、これらの各テーブルは、他の記憶媒体(例えば、フラッシュROM、ハードディスク等)に記憶されてもよい。
【0022】
設定情報取得部400は、ルータ10の消費電力の大きさに関する設定情報を取得する機能を有する。図2は、ルータ10の外観の概略構成を示す説明図である。図1の設定情報取得部400は、さらに、図2に示すような切り替えスイッチ410を備えている。切り替えスイッチ410は、ルータ10の筐体SCに設けられるスライドタイプのスイッチである。切り替えスイッチ410は、利用者が移動させたつまみCDの位置を検出することで、その出力が切り替わる。図1の設定情報取得部400は、切り替えスイッチ410の出力を検出し、ルータ10の消費電力の大きさに関する設定情報を取得する。具体的には、設定情報取得部400は、切り替えスイッチ410が図2の「大」の位置にあることを検出した場合は設定情報を「大」と、「中」の位置にあることを検出した場合は設定情報を「中」と、「小」の位置にあることを検出した場合は設定情報を「小」として、設定情報を取得する。
【0023】
有線通信部としての有線LANインタフェース500は、インターネットINET側の回線と接続されるほか、有線を通じて端末と接続されるためのインタフェースである。有線LANインタフェース500は、有線LAN制御部510と、複数のポート520とを備えている。有線LAN制御部510は、図示しないPHYチップ(物理チップ)やMACチップを含み、ポート520から受信した信号の波形を整えるほか、受信した信号からMACフレームを取り出す機能を有する。また、有線LAN制御部510は、オートネゴシエーション機能を有している。オートネゴシエーション機能とは、イーサネット(登録商標)において、異なるイーサネット規格(例えば、10BASE−Tや、100BASE−TX等)が混在する場合に、通信相手となる装置との間で、使用するイーサネット規格を決定する機能である。
【0024】
無線通信部としての無線LAN制御回路600は、無線LAN制御部610と、アンテナ620とを備えている。無線LAN制御部610は、図示しない送受信回路を含み、アンテナ620を介して受信した電波の復調とデータの生成、および、アンテナ620を介して送信する電波の生成と変調を行う機能を有する。
【0025】
USBデータ通信部としてのUSBインタフェース700は、USB制御部710と、USB1.1機能部721と、USB2.0機能部722と、USB3.0機能部723とを備えている。USB制御部710は、これら3つの機能部のうちアクティブにすべき機能部を切り替える機能を有する。USB1.1機能部721は、USB1.1規格に準拠した通信を可能とするための機能部である。同様に、USB2.0機能部722はUSB2.0規格に準拠した通信を、USB3.0機能部723はUSB3.0規格に準拠した通信を、それぞれ可能とするための機能部である。このように、本実施例における通信部は、それぞれ、異なる複数のデータ転送速度での通信を実現可能なように構成されている。
【0026】
A2.テーブル構成:
図3は、設定テーブル310の一例を示す説明図である。設定テーブル310は、設定情報と、第2の消費電力としての消費電力の上限値とを予め対応付けて記憶するためのテーブルである。設定テーブル310は、設定情報フィールドと、消費電力上限フィールドとを含んでいる。設定情報フィールドには、設定情報取得部400(図1)が取得しうる設定情報の値が格納されている。消費電力上限フィールドには、設定情報フィールドに格納された設定情報に対応したルータ10の消費電力の上限値(W)が格納されている。すなわち、図3の例では、1行目のエントリは、設定情報が「大」である場合はルータ10の消費電力の上限値は8Wとすることを示している。
【0027】
図4は、有線LAN消費電力テーブル320の一例を示す説明図である。有線LAN消費電力テーブル320は、ルータ10が実現可能な通信方式の1つである有線LANにおける、データ転送速度と、消費電力との対応関係を予め記憶するためのテーブルである。有線LAN消費電力テーブル320は、データ転送速度フィールドと、消費電力フィールドとを含んでいる。データ転送速度フィールドには、有線LANインタフェース500(図1)が実現しうるイーサネット規格、すなわち、有線LANにおけるデータ転送速度を間接的に示す情報が格納されている。消費電力フィールドには、ルータ10においてデータ転送速度フィールドに格納されたイーサネット規格を用いて通信を行った場合の、ルータ10の消費電力(W)が格納されている。すなわち、図4の例では、1行目のエントリは、ルータ10において10BASE−Tの伝送能力を用いてパケットの中継を行った場合、ルータ10の消費電力は0.15Wとなることを示している。
【0028】
図5は、無線LAN消費電力テーブル330の一例を示す説明図である。無線LAN消費電力テーブル330は、ルータ10が実現可能な通信方式の1つである無線LANにおける、データ転送速度と、消費電力との対応関係を予め記憶するためのテーブルである。無線LAN消費電力テーブル330は、データ転送速度フィールドと、消費電力フィールドとを含んでいる。データ転送速度フィールドには、無線LAN制御回路600(図1)が実現しうる無線通信速度が格納されている。消費電力フィールドには、ルータ10においてデータ転送速度フィールドに格納された速度の無線通信を実現した場合の、ルータ10の消費電力(W)が格納されている。すなわち、図5の例では、1行目のエントリは、ルータ10において11Mbpsで無線通信によるパケットの中継を行った場合、ルータ10の消費電力は0.2Wとなることを示している。
【0029】
図6は、USB消費電力テーブル340の一例を示す説明図である。USB消費電力テーブル340は、ルータ10が実現可能な通信方式の1つであるUSBデータ通信における、データ転送速度と、消費電力との対応関係を予め記憶するためのテーブルである。USB消費電力テーブル340は、データ転送速度フィールドと、消費電力フィールドとを含んでいる。データ転送速度フィールドには、USBインタフェース700(図1)が実現しうるUSB規格、すなわち、USBデータ通信における通信速度を間接的に示す情報が格納されている。消費電力フィールドには、ルータ10においてデータ転送速度フィールドに格納されたUSB規格を用いてUSBデータ通信を行った場合の、ルータ10の消費電力(W)が格納されている。すなわち、図6の例では、1行目のエントリは、ルータ10においてUSB1.1規格に準拠したUSB1.1機能部721を用いてUSBデータ通信を行った場合、ルータ10の消費電力は0.5Wとなることを示している。
【0030】
A3.電力制御処理:
図7は、ルータ10の電力制御部210において実行される電力制御処理の手順を示すフローチャートである。電力制御部210は、例えば、予め定められた時間間隔で定期的に電力制御処理を実行することができる。
【0031】
まず、電力制御部210は、電力算出部130が算出したルータ10の現在の消費電力(第1の消費電力)を取得する(ステップS100)。次に、電力制御部210は、設定情報取得部400が取得したルータ10の消費電力の大きさに関する設定情報を取得する(ステップS102)。電力制御部210は、ステップS102で取得した設定情報から消費電力の上限値(第2の消費電力)を導く(ステップS104)。具体的には、電力制御部210は、設定テーブル310の設定情報フィールドを、設定情報をキーとして検索し、一致するエントリの消費電力上限フィールドの値を消費電力の上限値(第2の消費電力)として求める。そして、電力制御部210は、ステップS104で求めた消費電力の上限値(A)と、ステップS100で取得したルータ10の現在の消費電力(B)とを比較する(ステップS106)。
【0032】
消費電力の上限値(A)と、現在の消費電力(B)とが同じである場合(ステップS106:A=B)、電力制御部210は処理を終了させる。
【0033】
消費電力の上限値(A)が現在の消費電力(B)よりも大きい場合(ステップS106:A>B)、電力制御部210は、有線LAN消費電力テーブル320と、無線LAN消費電力テーブル330と、USB消費電力テーブル340とを参照する(ステップS108)。そして、電力制御部210は、ステップS108で参照した各テーブルの消費電力フィールドの値をもとに、ルータ10のデータ転送速度を上昇(すなわち、ルータ10を高速化)させる(ステップS110)。
【0034】
ルータ10のデータ転送速度を上昇させる、とは、ルータ10が実現可能な通信方式(有線通信、無線通信、USBデータ通信)のうちの、少なくともいずれか1つにおける通信速度を上昇させることを意味する。電力制御部210は、種々の方法でルータ10のデータ転送速度を上昇させることができ、例えば、予め定められた条件に従ってルータ10のデータ転送速度を上昇させることができる。
【0035】
図8は、電力制御部210がルータ10のデータ転送速度を上昇させる方法の一例を説明するための説明図である。図8(A)は、有線LAN消費電力テーブル320上で、有線LANインタフェース500において現在使用されているイーサネット規格に矢印を付して示している。図8(B)は、無線LAN消費電力テーブル330上で、無線LAN制御回路600における現在の無線通信速度に矢印を付して示している。図8(C)は、USB消費電力テーブル340上で、USBインタフェース700において現在使用されているUSB規格に矢印を付して示している。図8(D)は、データ転送速度を上昇させる条件と、優先順位の一例を示している。図8(D)の例では、データ転送速度を上昇させる条件として、ルータ10が実現可能な複数の通信方式間において定められた優先順位を用いる。なお、データ転送速度を上昇させる条件と、優先順位とは、予め定められ、RAM300内に格納されている。
【0036】
ルータ10が図8に示した状態であって、図6のステップS104で求めた消費電力の上限値が8W、ステップS100で取得したルータ10の現在の消費電力が4.1Wである場合、電力制御部210は、以下のような手順でルータ10のデータ転送速度を上昇させることができる。
【0037】
手順1)電力制御部210は、図8(D)の条件に従い、複数の通信方式間における優先順位をもとに、優先順位が最も高い通信方式を求める。図8の例では、優先順位が最も高い通信方式は有線通信(優先順位1)である。
手順2)電力制御部210は、手順1で求めた通信方式に対応する消費電力テーブルを参照し、現在のデータ転送速度よりも1段階高速なデータ転送速度における消費電力を求める。図8の例では、電力制御部210は、現在使用されているイーサネット規格(100BASE−T)よりも1段階高速なイーサネット規格(1000BASE−T)の消費電力フィールドの値(2.25W)を取得する。
【0038】
手順3)電力制御部210は、現在の消費電力に対して、手順2で求めた消費電力を加算した合計が、消費電力の上限値を超えないかを判定する。図8の例では、現在の消費電力(4.1W)+手順2で取得した消費電力(2.25W)=6.35W、となるため、消費電力の上限値(8W)は超過しない。
手順4)電力制御部210は、消費電力の上限値を超えないと判定した場合は、その通信方式におけるデータ転送速度を1段階高速なものに変更する決定をした後、優先順位が次に高い通信方式を求め、手順2以降を繰り返し実行する。図8の例では、電力制御部210は、有線通信におけるデータ転送速度を1段階高速なもの(すなわち、1000BASE−T)へと変更する。
手順5)一方、電力制御部210は、消費電力の上限値を超えると判定した場合は、優先順位が次に高い通信方式を求め、手順2以降を繰り返し実行する。
【0039】
上記の手順4において有線通信のデータ転送速度を変更する決定を行った場合、電力制御部210は、有線LAN制御部510に対してデータ転送速度を変えるための要求を送信する。要求を受信した有線LAN制御部510は、オートネゴシエーション機能を用いて通信相手となる装置と交渉を行い、使用するイーサネット規格を変更する。なお、有線通信における通信断を抑制するため、イーサネット規格の変更は、トランスポート層を監視して、通信が途切れたと判断された際(例えば、TCPセッションを監視して、通信終了メッセージが送信された後)に行うことが好ましい。
【0040】
無線通信のデータ転送速度を変える場合、電力制御部210は、無線LAN制御部610に対してデータ転送速度を変更するための要求を送信する。要求を受信した無線LAN制御部610は、受信したデータ転送速度に従って送受信回路を制御する。USBデータ通信のデータ転送速度を変える場合、電力制御部210は、USB制御部710に対してデータ転送速度を変更するための要求を送信する。要求を受信したUSB制御部710は、受信したデータ転送速度に従ってアクティブにすべき機能部を切り替える。
【0041】
図9は、電力制御部210がルータ10のデータ転送速度を上昇させる方法の他の例を説明するための説明図である。図9(A)〜(C)は、図8と同様である。図9(D)は、データ転送速度を上昇させる条件の一例を示している。図9(D)の例では、データ転送速度を上昇させる条件として、ルータ10が実現可能な複数の通信方式間の速度差の乖離を抑制すること、すなわち、複数の通信方式のそれぞれにおいて現在使用されているデータ転送速度の速度差を小さくすることが定められている。なお、データ転送速度を上昇させる条件は、図8と同様に、予め定められ、RAM300内に格納されている。
【0042】
ルータ10が図9に示した状態であって、図6のステップS104で求めた消費電力の上限値が8W、ステップS100で取得したルータ10の現在の消費電力が4.1Wである場合、電力制御部210は、図8で説明したデータ転送速度の上昇方法において、手順1に代えて手順1aを、手順4に代えて手順4aを、手順5に代えて手順5aを、それぞれ実行する。
【0043】
手順1a)電力制御部210は、図9(D)の条件に従い、通信方式間の速度差の乖離を抑制可能な通信方式を求める。具体的には、まず、電力制御部210は、ルータ10が実現可能な複数の通信方式のそれぞれにおいて、現在使用されているデータ転送速度を求める。図9の例では、有線LANインタフェース500において現在使用されているイーサネット規格は100BASE−Tであるため、有線通信のデータ転送速度は100Mbpsである。同様に、無線LAN制御回路600における現在の無線通信速度は130Mbpsであるため、無線通信のデータ転送速度は130Mbpsである。USBインタフェース700において現在使用されているUSB規格はUSB2.0であるため、USBデータ通信のデータ転送速度は480Mbpsである。
【0044】
次に、電力制御部210は、複数の通信方式のそれぞれについて、データ転送速度を現在よりも1段階高速にした際の、他の通信方式との速度差を求める。
i)有線通信のデータ転送速度を高速化した場合は、有線通信の高速化後のデータ転送速度は1000Mbps、無線通信の現在のデータ転送速度は130Mbps、USBデータ通信の現在のデータ転送速度は480Mbpsとなるため、最も大きい値(1000Mbps)と、最も小さい値(130Mbps)との速度差の絶対値は870Mbpsとなる。
ii)無線通信のデータ転送速度を高速化した場合は、有線通信の現在のデータ転送速度は100Mbps、無線通信の高速化後のデータ転送速度は150Mbps、USBデータ通信の現在のデータ転送速度は480Mbpsとなるため、最も大きい値と、最も小さい値との速度差の絶対値は380Mbpsとなる。
iii)USBデータ通信のデータ転送速度を高速化した場合は、有線通信の現在のデータ転送速度は100Mbps、無線通信の現在のデータ転送速度は130Mbps、USBデータ通信の高速化後のデータ転送速度は5Gbpsとなるため、最も大きい値と、最も小さい値との速度差の絶対値は4900Mbpsとなる。
【0045】
電力制御部210は、上記i〜iiiで求めた高速化後の速度差が最も小さくなる通信方式を、データ転送速度を上昇させる通信方式として選択する。図9の例では、高速化後の速度差が最も小さくなる通信方式は無線通信である。
【0046】
手順4a)電力制御部210は、消費電力の上限値を超えないと判定した場合は、その通信方式におけるデータ転送速度を1段階高速なものに変更する決定をした後、手順1a以降を繰り返し実行する。
手順5a)一方、電力制御部210は、消費電力の上限値を超えると判定した場合は、高速化後の速度差が2番目に小さくなる通信方式を求め、手順2以降を繰り返し実行する。
【0047】
なお、上記処理において、ルータ10が実現可能な全ての通信方式(すなわち、有線通信、無線通信、USBデータ通信)間の速度差の乖離を抑制するものとしたが、一部(例えば、USBデータ通信)は速度差の乖離抑制対象から除外してもよい。
【0048】
図7のステップS106において、消費電力の上限値(A)が現在の消費電力(B)よりも小さい場合(ステップS106:A<B)、電力制御部210は、有線LAN消費電力テーブル320と、無線LAN消費電力テーブル330と、USB消費電力テーブル340とを参照する(ステップS112)。そして、電力制御部210は、ステップS112で参照した各テーブルの消費電力フィールドの値をもとに、ルータ10のデータ転送速度を低下(すなわち、ルータ10を低速化)させる(ステップS114)。
【0049】
ルータ10のデータ転送速度を低下させる、とは、ルータ10が実現可能な通信方式(有線通信、無線通信、USBデータ通信)のうちの、少なくともいずれか1つにおける通信速度を低下させることを意味する。電力制御部210は、種々の方法でルータ10のデータ転送速度を低下させることができ、例えば、予め定められた条件に従ってルータ10のデータ転送速度を低下させることができる。具体的な方法は上述のデータ転送速度の上昇の場合に倣えばよいため、説明は省略する。なお、データ転送速度の上昇時と、データ転送速度の低下時とは、異なる条件が採用されてもよい。
【0050】
以上のように、第1実施例によれば、電力制御部210は、ルータ10の現在の消費電力(第1の消費電力)と、ルータ10の消費電力の大きさに関する設定情報と、ルータ10が実現可能な異なる複数のデータ転送速度と、このデータ転送速度を実現した場合の消費電力との対応関係(すなわち、有線LAN消費電力テーブル320、無線LAN消費電力テーブル330、USB消費電力テーブル340)とを用いて、データ転送速度を決定し、決定したデータ転送速度での通信を通信部(有線LANインタフェース500、無線LAN制御回路600、USBインタフェース700)に指示する。
【0051】
具体的には、電力制御部210は、設定情報から導かれる消費電力の上限値(第2の消費電力)を取得し、消費電力の上限値(第2の消費電力)が現在の消費電力(第1の消費電力)よりも大きい場合は、上記の対応関係を用いて通信部におけるデータ転送速度を上昇させる。通信部におけるデータ転送速度を上昇させる際、ルータ10が複数の通信方式を実現可能な場合は、予め定められた条件に従って、複数の通信方式から、データ転送速度を上昇させる通信方式が選択される。通信部におけるデータ転送速度の変更は、ルータ10の消費電力に影響を及ぼすため、これにより、電力制御部210は、ルータ10の消費電力を増加させることができる。一方、消費電力の上限値(第2の消費電力)が現在の消費電力(第1の消費電力)よりも小さい場合は、上記の対応関係を用いて通信部におけるデータ転送速度を低下させる。通信部におけるデータ転送速度を低下させる際、ルータ10が複数の通信方式を実現可能な場合は、予め定められた条件に従って、複数の通信方式から、データ転送速度を低下させる通信方式が選択される。これにより、電力制御部210は、ルータ10の消費電力を減少させることができる。この結果、ルータ10において、追加の装置を必要とせず、消費電力を制御することが可能となる。
【0052】
さらに、ルータ10の消費電力の大きさに関する設定情報を取得する設定情報取得部400は、切り替えスイッチ410を含む。切り替えスイッチ410は、ルータ10の筐体に設けられる切り替えスイッチであるため、ルータ10の利用者は、簡単な方法で設定情報の入力をすることができる。
【0053】
B.第2実施例:
本発明の第2実施例では、第1実施例で説明したネットワーク中継装置において、さらに、通信部における各データ転送速度の使用率を学習し、学習した内容を用いてデータ転送速度の決定を行う構成について説明する。以下では、第1実施例と異なる構成および動作を有する部分についてのみ説明する。なお、図中において第1実施例と同様の構成部分については先に説明した第1実施例と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0054】
図10は、第2実施例におけるネットワーク中継装置の概略構成を示す説明図である。図1に示した第1実施例との違いは、ネットワーク中継装置としてのルータ10aが、CPU200に代えてCPU200aを、RAM300に代えてRAM300aを、それぞれ備える点のみであり、他の構成や動作は第1実施例と同じである。
【0055】
CPU200aは、電力制御部210に代えて電力制御部210aを備え、さらに、学習部220を備えている。電力制御部210aの動作については後述する。学習部220は、ルータ10aの通信部における各データ転送速度の使用率を学習する機能を有する。具体的には、学習部220は、ルータ10aの有線LANインタフェース500を監視し、各イーサネット規格(データ転送速度)について、使用率を示す指標値となる「アクティブになった回数」を計数し、有線LAN消費電力テーブル320aを更新する。学習部220は同様に、無線LAN制御回路600と、USBインタフェース700についても監視および対応するテーブルの更新を行う。
【0056】
RAM300aは、有線LAN消費電力テーブル320に代えて有線LAN消費電力テーブル320aを、無線LAN消費電力テーブル330に代えて無線LAN消費電力テーブル330aを、USB消費電力テーブル340に代えてUSB消費電力テーブル340aを、それぞれ備えている。
【0057】
図11は、第2実施例における有線LAN消費電力テーブル320aの一例を示す説明図である。図4に示した第1実施例との違いは、さらに、使用回数フィールドを備える点のみであり、他の構成は第1実施例と同じである。使用回数フィールドには、学習部220によって計数された指標値が格納される。この使用回数フィールドの値は、学習部220によって定期的に、および/または、学習部220が状態変化を検出したタイミングで随時更新される。なお、無線LAN消費電力テーブル330aと、USB消費電力テーブル340aについても、有線LAN消費電力テーブル320aと同様に使用回数フィールドを備えている。詳細は有線LAN消費電力テーブル320aと同様であるため省略する。
【0058】
図12は、第2実施例において、電力制御部210aがルータ10aのデータ転送速度を上昇させる方法を説明するための説明図である。図12(A)〜(C)は、図8に示した第1実施例と同様に、有線LAN消費電力テーブル320aと、無線LAN消費電力テーブル330aと、USB消費電力テーブル340aとについて、現在使用されているイーサネット規格に矢印を付して示している。図12(D)は、第2実施例においてデータ転送速度を上昇させる条件の例を示している。図12(D)の例では、データ転送速度を上昇させる条件として、使用回数(換言すれば、使用率が高いもの)が多いものを優先させることが定められている。なお、データ転送速度を上昇させる条件は、図8と同様に、予め定められ、RAM300内に格納されている。
【0059】
ルータ10aが図12に示した状態であって、図6のステップS104で求めた消費電力の上限値が8W、ステップS100で取得したルータ10aの現在の消費電力が4.1Wである場合、電力制御部210aは、図8で説明したデータ転送速度の上昇方法において、手順1に代えて手順1bを、手順4に代えて手順4bを、手順5に代えて手順5bを、それぞれ実行する。
【0060】
手順1b)電力制御部210aは、図12(D)の条件に従い、複数の通信方式のうち、使用回数が多い通信方式を求める。具体的には、まず、電力制御部210aは、有線LAN消費電力テーブル320aと、無線LAN消費電力テーブル330aと、USB消費電力テーブル340aの3つのテーブルを参照し、現在使用されているデータ転送速度と、各テーブルの使用回数フィールドの値が最も大きなデータ転送速度との隔たりが最も大きな通信方式を求める。図12の例では、現在使用されているデータ転送速度(130Mbps)と、使用回数フィールドの値が最も大きなデータ転送速度(150Mbps)との隔たりが最も大きい通信方式は、無線通信である。
手順4b)電力制御部210aは、消費電力の上限値を超えないと判定した場合は、その通信方式におけるデータ転送速度を1段階高速なものに変更する決定をした後、現在使用されているデータ転送速度と、各テーブルの使用回数フィールドの値が最も大きなデータ転送速度との隔たりが次に大きな通信方式を求め、手順2以降を繰り返し実行する。
手順5b)一方、電力制御部210aは、消費電力の上限値を超えると判定した場合は、現在使用されているデータ転送速度と、各テーブルの使用回数フィールドの値が最も大きなデータ転送速度との隔たりが次に大きな通信方式を求め、手順2以降を繰り返し実行する。
【0061】
なお、上記処理において、各テーブルの使用回数フィールドの値が「0」であるデータ転送側は意図的に除外する処理を追加してもよい。そのようにすれば、例えば、使用されていないデータ転送速度(図12(C)のUSB1.1やUSB3.0等)を意図的に除外することが可能となる。なお、電力制御部210aにおけるデータ転送速度の低下方法については、上述したデータ転送速度の上昇方法に倣えばよいため、説明は省略する。
【0062】
以上のように、第2実施例によれば、記憶部内の各テーブルには、通信部(有線LANインタフェース500、無線LAN制御回路600、USBインタフェース700)ごとに、データ転送速度の使用率を間接的に示す指標値としての使用回数が記憶され、学習部220は、各通信部を監視して、指標値を更新する。また、電力制御部210aは、ルータ10aが複数の通信方式を実現可能な場合に、当該複数の通信方式からデータ転送速度を上昇または下降させる通信方式を選択する際の条件として、この指標値を用いる。この結果、ルータ10aのデータ転送速度を、その使用率に基づいて決定することが可能となるため、ルータ10aの利用実態に合った消費電力の制御が可能となる。
【0063】
C.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができる。例えば、ソフトウェアによって実現した機能は、ハードウェアによって実現するものとしてもよい。そのほか、以下のような変形が可能である。
【0064】
C1.変形例1:
上記実施例では、ネットワーク中継装置の構成について説明した。しかし、上記実施例におけるネットワーク中継装置の構成はあくまで一例であり、任意の態様を採用することができる。例えば、構成要素の一部を省略したり、更なる構成要素を付加したり、構成要素の一部を変更したりする変形が可能である。
【0065】
例えば、上記実施例におけるルータは3つの通信方式(有線通信、無線通信、USBデータ通信)における通信を実現可能であるものとしたが、一部の通信方式を省略しても良い。また、他の方式を備えるものとしても良い。
【0066】
例えば、上記実施例のルータにおいて、電源入力部(図1)はACアダプタに代えて電源入力部の内部にAC−DCコンバータを備えるものとしてもよい。また、電源は特に限定するものではなく、例えば、商用電源に代えて燃料電池や太陽電池などの出力を用いてもよい。
【0067】
例えば、上記実施例におけるルータでは、CPUは電力制御部と、学習部とを備えるものとして説明した。また、各処理部において実行される機能について説明した。しかし、これら各処理部の配置および各処理部が果たす機能の内容についてはあくまで例示であり、ルータの構成に応じて任意に変更することが可能である。
【0068】
C2.変形例2:
上記実施例では、設定情報取得部の一態様について説明した。しかし、設定情報取得部は、種々の態様を採用することが可能である。
【0069】
例えば、設定情報取得部に含まれる切り替えスイッチ(図2)は、スライドタイプのスイッチであるものとして説明した。しかし、切り替えスイッチは種々のタイプのスイッチを採用することができる。例えば、ロータリータイプのスイッチや、押しボタンタイプのスイッチを採用してもよい。また、設定情報「大」、「中」、「小」はあくまで一例であり、利用者から消費電力の上限値となるべき電力の値を直接受け付ける構成としてもよい。この場合、設定テーブルは省略可能である。
【0070】
例えば、上記実施例のルータでは、切り替えスイッチ(図2)への入力を検出することによって設定情報を取得するものとしたが、切り替えスイッチは省略可能である。具体的には、例えば、ルータに接続される端末等を通じて利用者が操作可能なルータの設定画面(例えば、WEBによるルータの設定画面)からの入力を取得することとしてもよい。また、切り替えスイッチと、設定画面からの入力とを併用してもよい。
【0071】
C3.変形例3:
上記実施例では、ルータの電力制御部において実行される電力制御処理の一例について説明した。しかし、電力制御処理に関しては、種々の変形が可能である。
【0072】
例えば、電力制御処理は定期的に実行されるものとした。電力制御処理は、定期的に行うのではなく、ある特定のタイミングで実行されることとしてもよい。例えば、電力制御部は、ルータの起動時に実行される初期化処理の一部として、電力制御処理を実行してもよい。また、電力制御部は、ルータの構成の変化を検知したとき(例えば、有線LANポートに新しいLANケーブルが接続されたことを検出したとき)に、電力制御処理を実行することもできる。さらに、利用者による手動(コマンド入力、メニューからの実行選択等)で実行されるものとしてもよい。
【0073】
上記実施例では、ルータが複数の通信方式を実現可能な場合に、データ転送速度を上昇または低下させるための特定の通信方式を選択する手段として、予め定められた条件を用いることとした。しかし、上記各実施例において例示した条件はあくまで一例であり、種々の変更をすることができる。例えば、データ転送速度を決定する際(具体的には、図7のステップS110、S114)に、データ転送速度を上昇または低下させる対象(通信方式)の選択を利用者等から受け付けても良い。
【0074】
上記実施例では、電力制御処理において用いられるデータ転送速度として、各通信方式(有線通信、無線通信、USBデータ通信)におけるデータ転送速度の理論値を用いることとした。しかし、電力制御処理において用いられるデータ転送速度は理論値に限られない。例えば、データ転送速度として、実効速度の推定値や、実効速度の一般値や、実効速度を実際に計測した実測値を使用してもよい。理論値以外の値を用いる場合、例えば、有線LAN消費電力テーブル320(図4)、無線LAN消費電力テーブル330(図5)、USB消費電力テーブル340(図6)の各テーブルに、推定値、一般値、実測値を格納しておくためのフィールドをさらに設けてもよいし、別のテーブルを設けてもよい。
【0075】
C4.変形例4:
上記実施例では、ネットワーク中継装置が備える各テーブルについて、その構成の一例を示した。しかし、これらのテーブルが備えるフィールドは任意に定めることができる。例えば、上記に例示したフィールド以外のフィールドを備えるものとしても良い。また、各テーブルには、ダイレクトマップ方式を用いることも可能である。
【0076】
例えば、上記実施例において、設定値テーブルの消費電力上限フィールドには、設定情報フィールドに格納された設定情報の値に対応したルータの消費電力の上限値(W)、すなわち、実際の消費電力の値が格納されるものとしたが、他の態様を採用しても良い。例えば、設定情報「中」の場合の消費電力を1とした場合の比率を示す値を格納するものとしてもよい。
【0077】
例えば、上記第2実施例では、有線LAN消費電力テーブルと、無線LAN消費電力テーブルと、USB消費電力テーブルとには、あるデータ転送速度の使用率を示す指標値として、使用回数フィールドを備えるものとした。しかし、データ転送速度の使用率を示す指標値は、他の基準を用いて示されても良い。具体的には、例えば、当該データ転送速度で処理されたパケットの数や、当該データ転送速度を用いて処理が行われた時間等が格納されてもよい。
【符号の説明】
【0078】
10,10a…ルータ
100…電源入力部
110…電源プラグ
130…電力算出部
200,200a…CPU
210,210a…電力制御部
220…学習部
310…設定テーブル
400…設定情報取得部
410…スイッチ
500…有線LANインタフェース
510…有線LAN制御部
520…ポート
600…無線LAN制御回路
610…無線LAN制御部
620…アンテナ
700…USBインタフェース
710…USB制御部
721…USB1.1機能部
722…USB2.0機能部
723…USB3.0機能部
SC…筐体
CD…つまみ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク中継装置であって、
異なる複数のデータ転送速度での通信を実現可能な通信部と、
前記ネットワーク中継装置が現在消費している電力である第1の消費電力を算出する電力算出部と、
前記ネットワーク中継装置の消費電力の大きさに関する設定情報を取得する設定情報取得部と、
前記複数のデータ転送速度と、当該データ転送速度を実現した場合の消費電力との対応関係を記憶する記憶部と、
前記第1の消費電力と、前記設定情報と、前記対応関係とを用いて、前記通信部におけるデータ転送速度を決定し、決定したデータ転送速度での通信を前記通信部に指示する電力制御部と、
を備える、ネットワーク中継装置。
【請求項2】
請求項1記載のネットワーク中継装置であって、
前記電力制御部は、
前記設定情報から直接的または間接的に導かれる第2の消費電力と、前記第1の消費電力とを比較し、
前記第2の消費電力が前記第1の消費電力よりも大きい場合は、前記対応関係を用いて前記通信部におけるデータ転送速度を上昇させ、
前記第2の消費電力が前記第1の消費電力よりも小さい場合は、前記対応関係を用いて前記通信部におけるデータ転送速度を低下させる、ネットワーク中継装置。
【請求項3】
請求項1記載のネットワーク中継装置であって、
前記通信部は、異なる複数の通信方式について、異なる複数のデータ転送速度での通信を実現可能であり、
前記記憶部には、前記複数の通信方式について、それぞれ、前記対応関係が記憶され、
前記電力制御部は、
前記設定情報から直接的または間接的に導かれる第2の消費電力と、前記第1の消費電力とを比較し、
前記第2の消費電力が前記第1の消費電力よりも大きい場合は、複数の前記対応関係を用い、かつ、予め定められた条件に従って、前記複数の通信方式から選択した特定の通信方式について、前記通信部におけるデータ転送速度を上昇させ、
前記第2の消費電力が前記第1の消費電力よりも小さい場合は、複数の前記対応関係を用い、かつ、予め定められた条件に従って、前記複数の通信方式から選択した特定の通信方式について、前記通信部におけるデータ転送速度を低下させる、ネットワーク中継装置。
【請求項4】
請求項3記載のネットワーク中継装置であって、
前記予め定められた条件は、前記複数の通信方式間において予め定められた優先順位を用いた条件と、前記複数の通信方式のそれぞれにおいて現在使用されているデータ転送速度の速度差を用いた条件と、のいずれかである、ネットワーク中継装置。
【請求項5】
請求項3記載のネットワーク中継装置であって、
前記対応関係には、前記複数のデータ転送速度に対応付けられて、さらに、当該データ転送速度の使用率を示す指標値が含まれ、
前記ネットワーク中継装置は、さらに、
前記通信部を監視し、前記指標値を更新する学習部を備え、
前記予め定められた条件は、前記指標値を用いた条件である、ネットワーク中継装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項記載のネットワーク中継装置であって、
前記設定情報取得部は、前記ネットワーク中継装置の筐体に設けられる切り替えスイッチを含む、ネットワーク中継装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項記載のネットワーク中継装置であって、
前記通信部には、無線による通信を実現する無線通信部と、有線による通信を実現する有線通信部と、ユニバーサルシリアルバス(USB)接続における通信を実現するUSBデータ通信部とのうちの、少なくともいずれか1つが含まれる、ネットワーク中継装置。
【請求項8】
ネットワーク中継装置の制御方法であって、
(a)ネットワーク中継装置が現在消費している電力である第1の消費電力を算出する工程と、
(b)前記ネットワーク中継装置の消費電力の大きさに関する設定情報を取得する工程と、
(c)前記ネットワーク中継装置が備える通信部における異なる複数のデータ転送速度と、当該データ転送速度を実現した場合の消費電力との対応関係を記憶する工程と、
(d)前記第1の消費電力と、前記設定情報と、前記対応関係とを用いて、前記通信部におけるデータ転送速度を決定し、決定したデータ転送速度での通信を前記通信部に指示する工程と、
を備える、ネットワーク中継装置の制御方法。
【請求項1】
ネットワーク中継装置であって、
異なる複数のデータ転送速度での通信を実現可能な通信部と、
前記ネットワーク中継装置が現在消費している電力である第1の消費電力を算出する電力算出部と、
前記ネットワーク中継装置の消費電力の大きさに関する設定情報を取得する設定情報取得部と、
前記複数のデータ転送速度と、当該データ転送速度を実現した場合の消費電力との対応関係を記憶する記憶部と、
前記第1の消費電力と、前記設定情報と、前記対応関係とを用いて、前記通信部におけるデータ転送速度を決定し、決定したデータ転送速度での通信を前記通信部に指示する電力制御部と、
を備える、ネットワーク中継装置。
【請求項2】
請求項1記載のネットワーク中継装置であって、
前記電力制御部は、
前記設定情報から直接的または間接的に導かれる第2の消費電力と、前記第1の消費電力とを比較し、
前記第2の消費電力が前記第1の消費電力よりも大きい場合は、前記対応関係を用いて前記通信部におけるデータ転送速度を上昇させ、
前記第2の消費電力が前記第1の消費電力よりも小さい場合は、前記対応関係を用いて前記通信部におけるデータ転送速度を低下させる、ネットワーク中継装置。
【請求項3】
請求項1記載のネットワーク中継装置であって、
前記通信部は、異なる複数の通信方式について、異なる複数のデータ転送速度での通信を実現可能であり、
前記記憶部には、前記複数の通信方式について、それぞれ、前記対応関係が記憶され、
前記電力制御部は、
前記設定情報から直接的または間接的に導かれる第2の消費電力と、前記第1の消費電力とを比較し、
前記第2の消費電力が前記第1の消費電力よりも大きい場合は、複数の前記対応関係を用い、かつ、予め定められた条件に従って、前記複数の通信方式から選択した特定の通信方式について、前記通信部におけるデータ転送速度を上昇させ、
前記第2の消費電力が前記第1の消費電力よりも小さい場合は、複数の前記対応関係を用い、かつ、予め定められた条件に従って、前記複数の通信方式から選択した特定の通信方式について、前記通信部におけるデータ転送速度を低下させる、ネットワーク中継装置。
【請求項4】
請求項3記載のネットワーク中継装置であって、
前記予め定められた条件は、前記複数の通信方式間において予め定められた優先順位を用いた条件と、前記複数の通信方式のそれぞれにおいて現在使用されているデータ転送速度の速度差を用いた条件と、のいずれかである、ネットワーク中継装置。
【請求項5】
請求項3記載のネットワーク中継装置であって、
前記対応関係には、前記複数のデータ転送速度に対応付けられて、さらに、当該データ転送速度の使用率を示す指標値が含まれ、
前記ネットワーク中継装置は、さらに、
前記通信部を監視し、前記指標値を更新する学習部を備え、
前記予め定められた条件は、前記指標値を用いた条件である、ネットワーク中継装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項記載のネットワーク中継装置であって、
前記設定情報取得部は、前記ネットワーク中継装置の筐体に設けられる切り替えスイッチを含む、ネットワーク中継装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項記載のネットワーク中継装置であって、
前記通信部には、無線による通信を実現する無線通信部と、有線による通信を実現する有線通信部と、ユニバーサルシリアルバス(USB)接続における通信を実現するUSBデータ通信部とのうちの、少なくともいずれか1つが含まれる、ネットワーク中継装置。
【請求項8】
ネットワーク中継装置の制御方法であって、
(a)ネットワーク中継装置が現在消費している電力である第1の消費電力を算出する工程と、
(b)前記ネットワーク中継装置の消費電力の大きさに関する設定情報を取得する工程と、
(c)前記ネットワーク中継装置が備える通信部における異なる複数のデータ転送速度と、当該データ転送速度を実現した場合の消費電力との対応関係を記憶する工程と、
(d)前記第1の消費電力と、前記設定情報と、前記対応関係とを用いて、前記通信部におけるデータ転送速度を決定し、決定したデータ転送速度での通信を前記通信部に指示する工程と、
を備える、ネットワーク中継装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−169761(P2012−169761A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27380(P2011−27380)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(390040187)株式会社バッファロー (378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(390040187)株式会社バッファロー (378)
【Fターム(参考)】
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