説明

ネットワーク事業者と開発者とを仲介する装置

複数のネットワーク事業者と1以上の開発者とを仲介する装置が提供される。この装置は、各ネットワーク事業者により要求されるコンピュータ・プログラムに関する要件を取得する取得部と、取得された要件のうち相互に関連する要件を一つの要件に統合する統合部と、統合された要件を実装するコンピュータ・プログラムの開発の必要性に関する情報を生成する生成部と、1以上の開発者に統合された要件と必要性に関する情報とを提示する提示部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のネットワーク事業者と1以上の開発者とを仲介する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの通信事業者及びインターネット・サービス・プロバイダが、ユーザのホーム・ネットワークとのインタフェースのために、自身のネットワークにおいてDSLモデム、O/Eコンバータ、PPPoEターミネータのようなゲートウェイを配置している。ゲートウェイの従来の機能は、ゲートウェイによる仲介なしにはネットワークへアクセスできないデバイスのためのプロトコル変換を管理することである。
【0003】
これらのゲートウェイは今日ではJava(登録商標)についての動的モジュール・システムであるOSGiフレームワークのようなソフトウェア実行環境を含むようになってきている。OSGiフレームワークはJava仮想マシンを再起動することなく動的にソフトウェア・モジュールをその上に追加/削除することを可能にする。このようなソフトウェア・モジュールはOSGiの用語ではバンドルと呼ばれる。リモート管理プロトコルと組み合わせることによって、OSGiフレームワークはリモートから管理され、動的且つオンデマンドに新たなソフトウェア・モジュールを配置することができる。
【0004】
このようなソフトウェア実行環境を利用することによって、パーソナル・ネットワーク内のデバイスを発見してこれらのデバイスのための制御APIを公開するゲートウェイ上のソフトウェアをネットワーク事業者が実行することが可能となり、その結果としてネットワーク事業者はユーザのためにデバイスにアクセスして制御することができる。これは、管理されたゲートウェイを利用することによって、パーソナル・ネットワーク内のデバイスを監視して制御することによって達成される各種のケアテイキング・サービス、例えばWifiアクセスポイント自動構成サービス、ホーム・オートメイション及び家庭エネルギー管理をネットワーク事業者が提供できることを意味する。事業者がこのようなサービスを提供しようとする場合に、幅広いデバイスのためのプログラムを制御して監視する必要がある。なぜなら、パーソナル・ネットワークは様々なプロトコル・セットを用いるかもしれない幅広いデバイスを含み得るからである。一部のデバイスはリモート制御のために用いられ得るUPnPのような標準プロトコルをサポートする。しかしながら、制御及び構成のための独自仕様のプロトコルを用いる必要のある大量のデバイスが存在する。例えば、UPnPをサポートしないがWebGUIだけをサポートするWifiアクセスポイントを遠隔から構成するために、ゲートウェイは、特定のHTTP URLを伴うことに基づくコマンド・セットを実装する必要がある。
【0005】
一つのネットワーク事業者にとって、パーソナル・ネットワーク内のすべてのデバイスに対してこのようなプロトコル固有の通信ソフトウェア又はデバイス固有のプログラムを実装することは現実的ではない。この種のコンピュータ・プログラムはデバイス固有ソフトウェア(DSS)と呼ばれる。一つの解決策はサードパーティにDSSの開発を依頼することであろうが、これは費用がかさむ。複数のネットワーク事業者が連合(フェデレーション)を形成し、一緒にDSSのための使用を策定し、DSSの作成をサードパーティに命じた場合に、各事業者のコストは分担することで軽減されるだろう。連合マーケットプレイスに関するこのようなアイデアに関して、特許文献1は宣伝のための連合マーケットプレイスを導入する。しかしながら、このような連合を作ることは以下のような問題を生じる。複数のネットワーク事業者間で合意と仕様とを策定することは多大なコストと努力とを必要とする。また、各ネットワーク事業者は他のネットワーク事業者へ要件を公開する必要があり、すなわち連合内のネットワーク事業者は他のネットワーク事業者がユーザに何を提供しようとしているかを推測することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開2008/103795号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、各通信事業者がコンピュータ・プログラムの要件を秘密にしつつ、ネットワーク事業者により要求されるコンピュータ・プログラムの必要性及び要件を開発者が判定できる技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの側面によれば、複数のネットワーク事業者と1以上の開発者とを仲介する装置が提供される。この装置は、各ネットワーク事業者により要求されるコンピュータ・プログラムに関する要件を取得する取得部と、前記取得された要件のうち相互に関連する要件を一つの要件に統合する統合部と、前記統合された要件を実装するコンピュータ・プログラムの開発の必要性に関する情報を生成する生成部と、前記1以上の開発者に前記統合された要件と前記必要性に関する情報とを提示する提示部とを備える。
【0009】
本発明の更なる特徴は添付の図面を参照する以下の例示的な実施形態の説明から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】FBS100を含む例示的な環境を説明する。
【図2】FBS100の例示的なブロック図を説明する。
【図3】FBS100の例示的な動作を説明する。
【図4】例示的なテンプレートAPIリスト400を説明する。
【図5】例示的なサービス・ディスクリプション500を説明する。
【図6】例示的なサービス・ディスクリプション・リスト600を説明する。
【図7】例示的な要求DSSリスト700を説明する。
【図8】例示的な適応プログラム800を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態が添付の図面を参照しつつ以下に説明される。以下に説明される各実施形態は汎用のものからより具体的なものまで多様な概念の理解に役立つだろう。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって規定され、以下に説明される各実施形態には限定されないことに留意されたい。さらに、実施形態で説明される機能のすべての組み合わせが本発明に常に必要不可欠であるとは限らない。
【0012】
図1は本発明の実施形態に係る連合仲介サーバ(FBS)100を含む例示の環境を説明する。FBS100は事業者ネットワーク101a−101nと開発者102a−102nとに接続される。事業者ネットワーク101aはネットワーク事業者Aによって運営され、事業者ネットワーク101bはネットワーク事業者Bによって運営され、以下同様である。つまり、事業者ネットワーク101a−101nは相異なるネットワーク事業者によって運営される。本実施形態では複数の開発者102a−102nが存在するものの、本発明は一人だけの開発者が存在する場合にも適用される。事業者ネットワーク101a−101nは集合的に事業者ネットワーク(群)101と表され、開発者102a−102nは集合的に開発者(群)102と表される。本実施形態は事業者ネットワーク101aと開発者102aとの観点から説明されるが、この説明は他の事業者ネットワーク101b−101nと開発者102b−102nとにも適用される。
【0013】
事業者ネットワーク101aはパーソナル・ネットワーク103に接続される。パーソナル・ネットワーク103は、パーソナル・ネットワーク103の所有者のまわりのデバイスが論理ネットワークを構成するように互いに相互接続されているネットワークである。デバイスはサードパーティのサービス・プロバイダと他のユーザのパーソナル・ネットワークに広域ネットワークを介して公開されている。パーソナル・ネットワーク103は本発明が適用されるローカル・ネットワークの一例である。ローカル・ネットワークの他の例は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、カー・ネットワークなどである。パーソナル・ネットワーク103内のデバイスは、パーソナル・ネットワーク要素(PNE)106と呼ばれる。パーソナル・ネットワーク103はまたゲートウェイ(G/W)105を備え、ゲートウェイ105を通じてPNE106と事業者ネットワーク101aとが互いに通信する。ゲートウェイ105はPNE106を制御するための制御APIを公開する。
【0014】
事業者ネットワーク101aはパーソナル・ネットワーク・アプリケーション・サーバ(PNAS)104を備える。PNASはPNE106のコンテンツ情報を引き出して広める集約ポイントとして用いられる装置であり、このコンテンツ情報はデバイス・プレゼンスと能力情報とを含む。
【0015】
ネットワーク事業者AはPNE106を監視して制御することによって様々なサービスをパーソナル・ネットワーク103のユーザへ提供する。ネットワーク事業者Aによって提供されるサービスの例は以下である。
‐パーソナル・ネットワークのための自動構成:IPルータやWifiアクセスポイントのようなネットワーク機器を通常の人々が構成することは難しい作業である。トラブルシューティングも人々にとって難しいタスクである。従って、リモートから構成を監視して管理することによってネットワーク事業者Aがこのような作業をサポートする。
‐自動ライト制御:例えばユーザがリビングルームにいて映画が始まる場合に明かりを暗くするというように、PNAS104はPNE106を介してユーザの位置と活動とを監視してユーザの周りのライトを制御する。
【0016】
ネットワーク事業者Aは各サービスに対してサービス・ディスクリプションを有する。サービス・ディスクリプションは対応するサービスを実行するための動作を記載している。サービス・ディスクリプションの例は後述される。ネットワーク事業者Aは、PNE106に対する動作を実行するために必要となるコンピュータ・プログラム(DSS)の作成を依頼するために、FBS100へサービス・ディスクリプションを提供する。本発明によれば、サービス・ディスクリプション内の要件はAPIの形式で記載される。しかしながら、要件を参照して開発者102がコンピュータ・プログラムを開発できさえすれば、本発明はどのような形式で記載された要件にも適用できる。
【0017】
FBS100はネットワーク事業者と開発者102とを仲介する。FBS100はネットワーク事業者からサービス・ディスクリプションを取得する。各デバイスは固有の機能集合のみを有するため、同一カテゴリ内のデバイスはデバイスに対する同一又は類似のAPIをネットワーク事業者が要求し、従って、ネットワーク事業者からの要求APIのリストは重複しがちであると想定することは合理的である。相異なるネットワーク事業者が、入出力値の単位、パス名のような各APIに対するわずかに異なる要件を有することは容易に生じる。後述されるように、FBS100はテンプレートAPIをネットワーク事業者へ提供することによる問題を解決する。
【0018】
開発者102aはFBS100により提示されたコンピュータ・プログラムを開発する。開発者102aはサードパーティの開発者であってもよいし、オープンソースの開発者であってもよいし、フリー・プログラマであってもよい。
【0019】
図2は本実施形態に係るFBS100の例示的なブロック図を説明する。FBS100は、CPU201、メモリ202、事業者I/F203、記憶装置204、統合部205、生成部206、開発者I/F207、検証部208、取得部209、提示部210、及び収集部211を備える。CPU201はFBS100の全体的な動作を制御する。図2において、CPU201から各部への線は省略されている。メモリ202はFBS100の動作のために用いられるコンピュータ・プログラムとデータとを記憶する。事業者I/F203はネットワーク事業者とFBS100との間のインタフェースである。開発者I/F207は開発者とFBS100との間のインタフェースである。記憶装置204は統計データ、テンプレートAPIリスト400、サービス・ディスクリプション・リスト600、要求DSSリスト700、及びDSSレポジトリを備え、これらの詳細は後述される。記憶装置は例えばHDDで実装される。他のユニットはFBS100の動作を通じて後で説明される。
【0020】
図3は本発明の実施形態に係るFBS100の例示的な動作を説明する。CPU201はこれらのステップを実行するために、メモリ202に記憶されたコンピュータ・プログラムを実行する。
【0021】
ステップS301で、収集部211は事業者ネットワーク101内のPNAS104からPNE106に関する統計を収集する。収集部211は記憶装置204内の統計データベースに収集された統計を登録する。統計は各デバイス・タイプについて、各事業者ネットワークに接続されたパーソナル・ネットワーク103に含まれるデバイス数を含んでもよい。
【0022】
ステップS302で、取得部209はネットワーク事業者Aからサービス・ディスクリプションを取得する。上述のように、サービス・ディスクリプションはDSSに対する要件をAPIの形式で含む。ネットワーク事業者AはステップS302に先立って、FBS100の所有者と合意された形式でサービス・ディスクリプションを準備する。提示部は、ネットワーク事業者Aによるサービス・ディスクリプションの生成を支援するために、ネットワーク事業者AにテンプレートAPIを提示してもよい。図4は例示的なテンプレートAPIリスト400を記載する。リスト400の各エントリはデバイスに対する所定の動作を実行するためのテンプレートAPIを規定する。列「デバイス・カテゴリ」401はデバイスのカテゴリを記載する。WiFIアクセスポイントのような同一のカテゴリに含まれるデバイスはSSIDの取得のような同一又は類似の動作を有する傾向にある。これにより、デバイスの固有のデバイス・タイプが異なっていたとしても、同一のカテゴリ内のデバイスに対する動作を同一の方法で実行できるという利点を生む。列「動作カテゴリ」402は、デバイス内のパラメータの設定又は取得に用いられる「パラメータ処理」、デバイスへのコマンドの実行に用いられる「コマンド実行」、デバイスの特定のイベントの検出に用いられる「イベント検出」のような、所定の動作のカテゴリを記載する。列「API名」403は所定の動作に対する名称を記載する。列「テンプレートAPI」404は所定の動作を実現するために要求されるテンプレートAPIの詳細を記載する。例えば、リスト400の1番目のエントリは、カテゴリがWifiアクセスポイントであるデバイスのSSIDを取得するためのテンプレートAPIを規定する。テンプレートAPIは変更可能な属性を含んでもよい。例えば、リスト400内の1番目のエントリでは、「パス」が変更可能である。この変更可能な属性は、相異なるネットワーク事業者の間の相異なる要件を調整するために有用である。その結果として、テンプレートAPIリスト400は相異なるネットワーク事業者からの幅広いユースケースをカバーできる。APIに対するDSSが開発された後にFBS100が属性を変更可能な場合にFBS100は属性を変更可能として設定する。本実施形態によれば、開発されたDSS内の属性をネットワーク事業者Aからの要件に従って調整する補足的なコンピュータ・プログラムをFBS100が作成可能な場合に、FBS100は属性を変更可能に設定する。これにより、一つのDSSがわずかに異なる要件をカバーでき、それによってDSSの価値が向上するという利点を生む。
【0023】
ネットワーク事業者AはテンプレートAPIのリスト400を用いてサービス・ディスクリプションを記述してもよい。図5は例示的なサービス・ディスクリプション500を説明する。サービス・ディスクリプション500の各エントリは所定のサービスを実行するための要件を規定する。列「サービス名」501はネットワーク事業者Aが実行するサービスの名称を記載する。列502、503は図4の列401、403と同じである。列「優先度」504は動作のための優先度を記載する。例えば、要求APIがサービスに必須である場合に優先度は「高」に設定されてもよく、一方で、要求APIがサービスにオプションである場合に優先度は「低」に設定されてもよい。列「要求API」は動作を実行するために要求されたAPIの詳細を記載する。ネットワーク事業者Aはネットワーク事業者Aの要件を満たすテンプレートAPIを選択し、要求APIにテンプレートAPIを調整するように変更可能な属性を変更する。例えば、ネットワーク事業者Aは図5の「パス」属性を設定する。
【0024】
ステップS302で、取得部209は取得されたサービス・ディスクリプションを記憶装置204に記憶する。ネットワーク事業者から取得されたサービス・ディスクリプションはサービス・ディスクリプション・リストとして保持される。図6は例示的なサービス・ディスクリプション・リスト600を説明する。リスト600の各エントリは各ネットワーク事業者から取得された要求APIを記載する。列「事業者名」601は要求APIが取得されたネットワーク事業者の名称を記載する。列602−604、606は図5の対応する列と同じである。列「API ID」はリスト600のエントリを識別するIDである。「API ID」605は要求APIと統合APIとの間の関係性を追跡するために用いられる。ステップS303で、取得部209はサービス・ディスクリプション・リスト600が更新されたことを統合部205に通知する。
【0025】
ステップS304で、統合部205は相互に関連する要求APIを一つのAPIに統合する。本実施形態によれば、APIを統合するために、統合部205は要求APIとテンプレートAPIとを比較する。サービス・ディスクリプション・リスト600内の二つ以上の要求APIが同一のテンプレートAPIに対応する場合に、統合部205はこれらの要求APIが相互に関連すると判定し、これらの要求APIを一つの統合APIに統合する。例えば、サービス・ディスクリプション・リスト600内の1番目のエントリと5番目のエントリとはテンプレートAIPリスト400内の1番目のエントリに対応し、従って統合部205はこれらの要求APIを統合する。
【0026】
統合部205は統合APIを要求DSSリストに登録する。図7は例示的な要求DSSリスト700を説明する。要求DSSリスト700の各エントリは開発されるべき要求DSSを記載する。列701、702は図6の列602、603と同じである。列「統合API」703は統合APIの詳細を記載する。列704、705は後述する。サービス・ディスクリプション・リスト600内の1番目のエントリと5番目のエントリとは要求DSSリスト700の1番目のエントリに統合される。統合部205は1番目のエントリ内の「パス」属性をデフォルト値に置き換えることに留意されたい。このように、統合部205は統合API内の変更可能な属性をデフォルト値に置き換え、次いで統合APIを要求DSSリスト700に登録する。ステップS305で、統合部205は要求DSSリスト700が更新されたことを生成部206に通知する。
【0027】
ステップS306で、生成部206は統合APIを実装するDSSの開発の必要性に関する情報を生成する。本実施形態によれば、生成部206は統計データベースに記憶されている各デバイス・タイプについて必要性を判定する。生成部206は図7に示されるように、各統合APIについてすべてのデバイス・タイプを登録する。この例では、統計データベースはデバイスIDが「AA0010」、「BB0020」である「Wifiアクセスポイント」カテゴリ内の二つのデバイス・タイプを含む。列「デバイスID」704はDSSが開発されることが要求されるデバイスのデバイスIDを記載する。次いで、生成部206は各デバイスIDについて必要性を判定する。生成部206は例えば統計データベースに記憶された統計と要求APIの重要度との少なくとも一方に基づいて必要性を判定する。生成部206は統合APIが高い優先度を有する場合に必要性に対してより大きな値を設定する。なぜなら、ネットワーク事業者はDSSのためにより高い金額を払うだろうからである。これに加えて又はこれに代えて、生成部206は所定のデバイスIDについてのデバイス数が多い場合に必要性に対してより大きな値を設定する。例えば、IDが「AA0010」であるデバイスの数が、IDが「BB0020」であるデバイスの数の2倍である場合に、生成部206は「AA0010」のための値が「BB0020」のための値の2倍になるように必要性を設定する。必要性の値はDSSの開発に対する推定支払額に対応してもよい。生成部206はDSSにすでに記憶されているDSSの必要性をゼロに設定してもよい。ステップS307で、生成部206は要求DSSリスト700が更新されたことを提示部210に通知する。
【0028】
ステップS308で、提示部210は開発者102へ要求DSSリスト700を開発者I/F207を介して提示する。要求DSSリスト700が個々のネットワーク事業者に関する情報を一切示していないことに留意されたい。すなわち、各ネットワーク事業者は、ネットワーク事業者がサービスを提供する自身のサービス・ディスクリプションとデバイス数とを他のネットワーク事業者及び開発者102から秘密にすることができる。
【0029】
ステップS309で、開発者102aは要求DSSリスト700を参照してDSSを開発する。開発者102aはより高い必要性を有するDSSを開発するだろう。ステップS310で、取得部209は開発されたDSSを開発者102aから開発者I/F207を介して取得する。ステップS311で、取得部209は取得されたDSSを検証部208へ転送する。
【0030】
ステップS312で、検証部208は取得されたDSSを検証する。例えば、検証部208はDSSが悪意のあるコードを含むかをJavaのサンドボックス技術を用いて調べる。DSSを調べた後に、検証部208はDSSレポジトリにDSSを登録する。検証部208は個別のデバイスに対してDSSを調べなくてもかまわない。なぜなら、DSSを広範に配布する前にDSSをどのようにテストするかはネットワーク事業者しだいだからである。ステップS313で、検証部208はDSSレポジトリが更新されたことを提示部210へ通知する。
【0031】
ステップS314で、提示部210は更新されたDSSレポジトリを事業者I/F203を介してネットワーク事業者へ提示する。ステップS315で、ネットワーク事業者AはDSSレポジトリ内のDSSを、例えばゲートウェイ105へDSSを配信するために又は自身のアプリケーションストアに置くために要求する。FBS100はDSSについてネットワーク事業者に課金してもよい。
【0032】
ステップS316で、事業者I/F203はどのDSSがネットワーク事業者Aから要求されたかを統合部205へ通知する。
【0033】
ステップS317で、統合部205は適合プログラムを生成する。上述のように、サービス・ディスクリプション500におけるAPIと要求DSSリスト600におけるAPIとは異なる。すなわち、開発されたDSSは適合プログラムなしには動作しない。例えば、ネットワーク事業者Aが名称が「Get SSID」であるAPIについてのSDDを要求した場合に、統合部205はサービス・ディスクリプション・リスト600を参照して、ネットワーク事業者Aから取得された要求APIを見つける。次いで、統合部205は図8に記載されたような適合プログラム800を作成する。統合部205は最終配信プログラムとして提供するようにこれらのプログラムを結合してもよい。
【0034】
ステップS318で、統合部205は適合プログラムが作成されたことを提示部210へ通知する。
【0035】
ステップS319で、提示部210は要求されたDSSとこれに対応する適合プログラムとを事業者I/F203を介してネットワーク事業者Aへ提供する。
【0036】
本実施形態によれば、各ネットワーク事業者がコンピュータ・プログラムへの要件を秘密にしつつ、開発者がネットワーク事業者により要求されたコンピュータ・プログラムへの必要性を判定できる。各ネットワーク事業者はコンピュータ・プログラムを取得するためのコストを低減できる。各ネットワーク事業者は互いに要件を共有する必要がなく、また特定のDSSに対する仕様を共同で開発する必要もない。
【0037】
本発明は例示的な実施形態を参照して説明されてきたが、本発明は開示した例示の実施形態に限定されないと理解されるべきである。以下の特許請求の範囲はこのような修正及び均等な構造及び機能をすべて包含するような最も広い解釈に一致する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のネットワーク事業者(101)と1以上の開発者(102)とを仲介する装置(100)であって、
各ネットワーク事業者(101)により要求されるコンピュータ・プログラムに関する要件を取得する取得部(209)と、
前記取得された要件のうち相互に関連する要件を一つの要件に統合する統合部(205)と、
前記統合された要件を実装するコンピュータ・プログラムの開発の必要性に関する情報を生成する生産部(206)と、
前記1以上の開発者(102)に前記統合された要件と前記必要性に関する情報とを提示する提示部(210)と
を備えることを特徴とする装置(100)。
【請求項2】
前記必要性に関する情報は、前記コンピュータ・プログラムの開発についての推定支払額を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
各ネットワーク事業者(101)はローカル・ネットワーク(103)に接続されており、
前記ネットワーク事業者(101)により要求された前記コンピュータ・プログラムは前記ローカル・ネットワーク(103)内のデバイス(106)のために用いられるコンピュータ・プログラムである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置(100)。
【請求項4】
前記ローカル・ネットワーク(103)内のデバイス(106)の統計を収集する収集部(211)をさらに備え、
前記必要性に関する情報が前記統計に基づいて生成される
ことを特徴とする請求項3に記載の装置(100)。
【請求項5】
前記統計は開発されるべき前記コンピュータ・プログラムが用いられる対象のデバイス(106)の数を含むことを特徴とする請求項4に記載の装置(100)。
【請求項6】
前記相互に関連する要件は同一のカテゴリ内のデバイス(106)についての同一の動作に対する要件であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項7】
前記デバイス(106)についての前記動作はパラメータ処理とコマンド実行とイベント検出とのうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項6に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記提示部(210)は、前記複数のネットワーク事業者(101)へ、要件を記述するために前記ネットワーク事業者(101)によって用いられる要件のパターンをさらに提示し、
前記統合部(205)は、前記同一のパターンを用いて記載された要件を一つの要件に統合する
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項9】
前記取得部(209)は、前記1以上の開発者により開発されたコンピュータ・プログラムをさらに取得し、
前記提示部(210)は、前記複数のネットワーク事業者(101)へ前記開発されたコンピュータ・プログラムをさらに提示する
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項10】
前記統合部(205)は、前記開発されたコンピュータ・プログラムを前記ネットワーク事業者(101)により要求されたコンピュータ・プログラムに適合するための補助的なコンピュータ・プログラムをさらに生成することを特徴とする請求項9に記載の装置(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−520713(P2013−520713A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528176(P2012−528176)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【国際出願番号】PCT/JP2010/053013
【国際公開番号】WO2011/102000
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】