説明

ネットワーク保守システムと方法並びに装置

【課題】故障/警報の発生から回復までの一連の復旧、保守作業の自動化を可能とするシステムの提供。
【解決手段】LTEネットワーク上の通信ノードの故障又は警報の通知を保守卓から受け取る第1のサーバ(203)と、第1のサーバ(203)と接続され、IP電話の構内交換を行う第2のサーバ(211)と、第1のサーバ(203)と接続され、在庫及び発注を管理する第3のサーバ(221)を備え、第1のサーバ(203)は、故障と警報に対して、対応する保守のシナリオをデータとして記憶装置に記憶しており、前記保守卓からの通信ノードの故障又は警報の通知を受けると、故障又は警報に対応した保守のシナリオを決定し、前記第2及び/又は第3のサーバに通知し、第2のサーバ(211)のシステム(210)では、保守に必要な要員の手配を行い、第3のサーバ(221)のシステム(220)では、保守で必要な部品の在庫の問い合わせと取り出し前記部品の発注を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信システムに関し、特に、ネットワークの故障等に対応するシステムと方法並びに装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)は3GPP(Third Generation Partnership Project)により標準化が進められている移動通信システムである。LTEシステムでは、ネットワークを構成する通信ノードの故障は保守卓に集められ、保守員が保守卓を使用して故障/警報を監視する。通信ノードの故障は、ハードウェアに依存する部分が大きい。また、これらの故障情報は、装置の提供メーカー毎に異なる。
【0003】
このため、通信ノードの故障情報は、メーカー別の保守卓に集められる。保守卓の出力画面や保守卓で作成されるログ情報の出力などで保守員に故障を通知する。
【0004】
通知を受けた保守員は、通知された情報から故障の内容を判断する。
【0005】
ハードウェアの個別不良の故障の場合、マニュアル等に従って交換の指示を行う。
【0006】
不良品の交換を行う建設工事部門は、交換した不良品の修理の依頼を、例えば製造元のメーカー等に対して行う。
【0007】
資材部門では、交換用の予備品の補充のための在庫確認を行うとともに、今後、不足しそうな場合には、交換用の予備品の注文等の作業を、例えば資材用業務システムを用いて行う。
【0008】
保守員がハードウェアの個別不良であるか否かわからない場合、または、処置方法が不明である場合、保守員から技術部門に情報が伝えられる。
【0009】
技術部門では、例えば不良の原因となる被疑装置のメーカーに連絡を行った上で、設計不良も考慮しながら、対応方法を決定する。また、サービスへの影響を最小限に抑え、再発防止を行うための解析と対策が行われる。
【0010】
更に、サービスが大幅にダウンする場合には、公共のシステムダウンになるため、総務省の電気通信事業法に従い、解決までに例えば1時間単位の緊急性が求められる。
【0011】
図1は、ネットワーク設備の保守システムの典型的なシステム構成を示す図である。図1を参照すると、LTEシステム100の通信ノード群101−1、101−2をそれぞれ監視する保守卓102−1、102−2を備えている。図1の例では、メーカー毎に通信ノード群101と保守卓102が設けられる。通信ノード群101−1の故障、警報の情報は、保守卓102−1に通知され、通信ノード群101−2の故障、警報の情報は、別系統の保守卓102−2に通知される。保守卓102−1、102−2には、システム保守員に対して故障情報等を通知するためのマンマシンインタフェースを備える。なお、図1において、人手による情報伝達は図示されない。通信ノード群101−1と、101−2は、例えばLTEの基地局(eNodeB(eNB)あるいはHome-eNodeB(HeNB))等を含む。
【0012】
なお、本発明の実施例で用いられるSOAPアーキテクチャについては特許文献1、非特許文献5等の記載が参照される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特表2004−534991号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】標準化団体 Next Generation Mobile Networks、“NGMN Recommendation on SON and O&M Requirements”、2008年12月05日
【非特許文献2】標準化団体 Next Generation Mobile Networks、“NGMN Informative List of SON Use Cases”、2007年04月17日
【非特許文献3】3GPP TR 36.902 V9.2.0 (2010−06) Technical Report 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E−UTRAN); Self−configuring and self−optimizing network (SON) use cases and solutions (Release 9)
【非特許文献4】3GPP TS 32.500 V10.1.0 (2010−09)Technical Specification 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Services and System Aspects; Telecommunication Management; Self−Organizing Networks (SON); Concepts and requirements (Release 10)
【非特許文献5】W3C SOAP v1.2 Part0:Primer 2007年04月27日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
以下に関連技術の問題点を説明する。
【0016】
保守作業は、保守作業を行う保守員が起点で開始されるが、故障/警報の発生から復旧させるには、保守員に、技術的に高度で膨大な製品、システムに対する予備知識が必要とされる。また、保守作業に多くの保守員の工数が必要となる場合がある。さらに、保守員の育成に、時間と費用もかかる。システムの復旧作業でヒューマンエラーの発生の可能性もある。障害、警報の発生から、復旧までに、保守員つまり人間系が処理する対応が必要になる。緊急の問題発生時でも、故障/警報の発生から暫定対応の間に、保守員の作業の段取りと、人の操作が必要であり、関係者への連絡等で時間がかかる場合がある。
【0017】
LTEシステムのサービス停止の時間の短縮と、保守時間の低減の観点では、人手の処理の介在を減らしていく必要がある。
【0018】
そこで、本発明の目的は、故障/警報の発生から回復までの一連の復旧、保守作業を自動化するシステムと方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記課題を解決するため、本発明が概略以下の構成とされる。
【0020】
本発明の第1視点(first aspect)によれば、ネットワーク上の通信ノードの故障又は前記ネットワークの警報を保守卓から受け取る第1のサーバ装置と、
前記第1のサーバ装置と接続されIP(Internet Protocol)電話の構内交換を行う第2のサーバ装置と、
前記第1のサーバ装置と接続され在庫及び発注を管理する第3のサーバ装置と、
を備え、
前記第1のサーバ装置は、前記保守卓から通知される故障と警報に対して対応する保守・復旧のシナリオをデータとして予め、記憶装置に記憶しており、
前記保守卓から故障又は警報の通知を受けると、前記故障又は警報に対応したシナリオを決定し、前記シナリオの規定に基づき、前記第2のサーバ装置及び/又は前記第3のサーバ装置に対応を指示し、
前記第2のサーバ装置は、前記第1のサーバ装置からの指示を受けると、前記指示に基づき、電話又はメールにて保守に必要な要員の手配を行う手段を備え、
前記第3のサーバ装置は、前記第1のサーバ装置からの指示を受けると、前記指示に基づき、保守で必要な部品の在庫の問い合わせと取り出し、さらに、前記部品の発注が必要と判断した場合、前記部品の発注を行う手段を備えた保守システムが提供される。
【0021】
本発明の第2視点(second aspect)によれば、ネットワーク上の通信ノードの故障又は前記ネットワークに関する警報の通知を保守卓から受け取る第1のサーバが、前記故障と前記警報に対して、対応する保守・復旧のシナリオをデータとして、記憶装置に記憶しており、前記保守卓からの故障又は警報の通知を受けると、故障又は警報に対応したシナリオを決定し、前記シナリオの規定に基づき、第2のサーバ及び/又は第3のサーバに対応を指示し、
前記第2のサーバでは、前記第1のサーバからの指示からの指示を受けると、前記指示に基づき、保守に必要な要員の手配を自動で行い、
前記第3のサーバは、前記第1のサーバからのからの指示を受けると、前記指示に基づき、保守で必要な部品の在庫の問い合わせと取り出し、さらに前記部品の発注が必要と判断した場合、前記部品の発注を自動で行う保守方法が提供される。
【0022】
本発明の第3視点(third aspect)によれば、ネットワーク上の通信ノードの故障又はネットワークに関する警報の通知を保守卓から受け取るサーバ装置であって、
IP電話の構内交換を行うIP−PBXサーバ装置と、在庫及び発注を管理するSCM処理サーバ装置とにそれぞれ通信接続され、
前記故障と警報に対して、対応する保守・復旧のシナリオをデータとして記憶装置に記憶しており、
前記保守卓から故障又は警報の通知を受けると、前記故障又は警報に対応したシナリオを決定し、前記シナリオに基づき、前記IP−PBXサーバ装置及び/又は前記SCM処理サーバ装置に対応を指示し、
前記IP−PBXサーバ装置には、保守に必要な要員の手配を行わせ、
前記SCM処理サーバ装置には、保守で必要な部品の在庫の問い合わせと取り出し、さらに必要に応じて前記部品の発注を行わせるサーバ装置が提供される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、故障/警報の発生から回復までの一連の復旧、保守作業を自動化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】LTEシステムの保守の関連技術を説明する図である。
【図2】本発明の一実施形態のシステム構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態における動作を示すシーケンス図である。
【図4】本発明の一実施形態において故障発生時のシステム間の連携手順を示すシーケンス図である。
【図5】本発明の一実施形態において警報発生時のシステム間の連携手順を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の一実施形態におけるSONサーバ内のキーデータベースの要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態について説明する。本発明に係る保守システムは、LTEシステムで採用される見込みであるSelf Organizing Networks(SON:非特許文献3、4参照)と、LTEシステムを運営する顧客の社内電話システム(IP−PBX(Internet−Protocol Private Branch Exchange)システム:IPネットワーク上に構築されたIP電話網に内線電話や外部公衆網への接続制御を実現するPBX機能を提供する)と、顧客内の在庫管理、資材の注文、納品を行う業務システム(SCM(Supply Chain Management)システム)を情報技術システム(IT)で結合する。
【0026】
ITシステムの実現には、それぞれのシステムの中核となるSON(Self−Organizing Network)のサーバ、IP−PBXシステムのサーバ、SCMシステムのサーバ間を、サーバ間通信の可能とさせる標準的なSOAP(Simple Object Access Protocol)インターフェース(非特許文献5等参照)で結合し、連携動作を実現する。SOAPでは、XML(Extensible Markup Language)文書にエンベロープという付帯情報が付いたメッセージを、通信プロトコルとしてHTTP(HyperText Transport Protocol)等を用いて送受する。
【0027】
SONサーバは、LTEシステムの通信ノードの故障の通知又は警報を保守卓から受け、IP−PBXサーバにSOAPインタフェースで情報と通信し、SCMサーバとSOAPインタフェースで通信する。また、SONサーバは、SCMサーバからの指示に従いLTEシステムの制御、情報の送信が保守卓経由で行う。
【0028】
本実施形態において、SONサーバには、保守卓から通知される通信ノードの異常/警報に対するアクションを事前に登録しておく。SONサーバにおいて、通信ノードの異常/警報の内容が分類されている。通信ノードの異常/警報の発生に対して、SONサーバは、当該異常/警報に対応したアクション(最適な保守対応)を選択する。そして、SONサーバは、選択した該保守対応に従い、IP−PBXシステムのサーバ、SCMシステムと連携し、保守要員の手配、部品交換で必要な部品の調達(在庫からの取り出し、メーカーへの発注)を自動化する。
【0029】
この結果、保守員による解析と復旧のための判断の負荷が低減され、保守にかかる運営コスト(OPEX:operational expenditure)を低減する。
【0030】
通信ノードの異常、警報発生時の必要な操作が、事前に、IP−PBXシステム、SCMシステムを含め登録しておくことで、通信ノードの異常、警報の対処手続きが自動で行われ、通信ノードの異常、警報に対して対応時間を短縮することができる。この結果、LTEシステムのサービス断の時間を低減することができる。
【0031】
<実施形態1>
図2は、本発明の一実施形態の構成を示す図である。図2を参照すると、本実施形態において、LTEシステムを構成する通信ノード群201−1、201−2をそれぞれ監視するための保守卓202−1、202−2を含む標準的なLTEシステムの保守監視構成に、LTEネットワークの運用管理を自律的に行うSONサーバ203が接続されている。保守卓202は非特許文献1の記載が参照される。SONサーバ203は非特許文献2、3、4の記載が参照される。なお、メーカー1の通信ノード群201−1は、保守卓202−1に接続され、メーカー2の通信ノード群201−2は、保守卓202−2に接続され、保守卓202−1、202−2は、SONサーバに接続される。なお、通信ノード群201−1、201−2は、例えばLTEの基地局(eNodeB(eNB)あるいはHome-eNodeB(HeNB))等を含む。
【0032】
SONサーバ203では、メーカー毎の保守卓202−1、202−2からの異常、警報の情報の内容から、問題のある被疑のノード、ノードを構成するカード、部品を特定し、修理のためのアクション(動作)を決定する。
【0033】
SONサーバ203では、部品の個別不良(アクション:部品の交換で修理できる)から、被疑が明らかでない設計不良(アクション:ソフトウェアの修正等、再発防止が必要)等に、故障が、予めクラス分けされており、該故障の分類に対応して、予めアクションが記憶部内に設定されている。SONサーバ203では、異常、警報の情報の内容に対応したアクションが選択される。また、SONサーバ203は、SOAPインタフェース204で外部のサーバとの情報のやり取りが可能である。
【0034】
IP−PBXシステム210は、LTEシステムを運用する顧客の社内電話システムであり、IP−PBXサーバ211はIP電話の構内交換(IP内線電話)を実現する。IP−PBXシステム210に実装される機能は、顧客内のシステムに依存する。この例では、音声として外線との発着信機能を有し、顧客社内の内線のダイアルインによる直通電話の機能を有し、可能であれば、留守番電話機能またはボイスメールによる不在時の留守番機能、音声以外ではメッセンジャー、電子メールなどの情報伝達機能も備えている。IP−PBXのサーバ211は、SOAPインタフェース212で外部のサーバとの情報のやり取りが可能である。
【0035】
SCMシステム220は、LTEシステムを運用する顧客のサプライチェーンマネジメントシステムであり、機能と使用方法は顧客内のシステムに依存する。在庫管理機能を備え、顧客にLTEシステムの資材を納入している製造メーカーへの注文が可能である。SCMシステム220のSCMサーバ221は、SOAPインタフェース222で外部のサーバとの情報のやり取りが可能である。
【0036】
次に、本実施の形態の動作について説明する。通信ノード201−1、2の立ち上げ時に、保守卓202−1、2は、通信ノード201−1、2のハードウェア構成、機構、ソフトウェア構成、構成要素の個数、バージョン等の構成(コンフィギュレーション)情報を取得する。保守卓202−1、2は、これらの構成情報を通信ノード201−1、2毎に保持する。
【0037】
図3は、本実施形態に共通の処理シーケンスを示す図である。通信ノード群201−1又は2の1つ又は複数で故障が発生した場合、保守卓202−1又は2に故障が通知される(301)。
【0038】
保守卓202−1又は2では、故障の初期切りわけが行われ、保守員への故障発生の通知が行われる(302)。
【0039】
保守卓202−1又は2から、SONサーバ203に故障が通知される(303)。
【0040】
保守卓202−1又は2からSONサーバ203に、故障した通信ノードの構成情報が通知される(304)。通信ノードの構成情報は、後に交換のために必要な情報である。
【0041】
また、保守卓202−1又は2で、LTEシステムのトラヒックの予期しない低下を検出する等、警報を検出した場合には、故障、警報の区別の情報が、SONサーバ203に伝えられる(305)。
【0042】
SONサーバ203では、故障と警報に対して、対応する保守のシナリオをデータとして予め記憶部(不図示)に記憶保持している。
【0043】
保守シナリオの一つとして、故障/警報の解析に詳細な情報が必要であると判定した場合には、SONサーバ203は、保守卓202−1又は2に対して、詳細な情報の取得の要求を行う。保守卓202−1又は2からの故障に対応した保守シナリオに、故障情報と、故障した通信ノードの構成情報のほか、さらに追加情報の照会が規定されている場合、SONサーバ203は、保守卓202−1又は2にこの情報の取得を依頼する。
【0044】
保守卓202−1又は2は、故障の発生している通信ノード201−1又は2から、所定のアップロード処理で、必要な情報をアップロードする(306)。
【0045】
SONサーバ203では、保守卓202−1又は2からの通信ノードの故障/警報の情報の通知より、
・更に必要な情報の収集、
・個別不良、設計不良の判断、
・交換部品の特定、
・復旧方法の特定、
・必要な業務システムSCMと復旧のためのシナリオの選択、
・自動応答の開始
を判断する(307)。
【0046】
SONサーバ203は、業務システムSCMとの連携により、必要な自動動作を行う(308)。SONサーバ203は、予め定められたシナリオに従い、SOAP手順により、SCMサーバ221との連携により、自動で故障/警報に対する対応を進めていく(309)。すなわち、SONサーバ203が中心となり、LTEシステム向けの情報のやり取りを保守卓202−1又は2、IP−PBXシステム210との情報のやり取りをIP−PBXサーバ211、SCMシステムとのやり取りをSCM処理サーバ221が行うことで、故障/警報に対する対応を進めていく。
【0047】
図4は、通信ノード群201の1つノードの構成要素が故障して交換する場合のシナリオの流れを示す図であり、図3のステップ309の処理手順を示すシーケンス図である。
【0048】
保守卓202−1又は2から、通信ノード群201−1又は2の1つのノードの構成要素の故障が通知されたSONサーバ203では、SCMシステム220のSCM処理サーバ221に、交換部品の在庫の問い合わせ(401)と、交換部品の在庫からの取り出しを指定する(402)。交換部品を在庫から取り出すことによって、在庫の残量が所定の閾値より下回る場合には、SCMシステムを220使用して、メーカーに注文を行う(403)。
【0049】
次に、SONサーバ203では、部品交換に必要な工事/調整関係者の手配として、IP−PBXサーバ211を介して、顧客内部の関連部門、及び、顧客とこれらの役務の取引をしている顧客外関係会社に対して、電話、ボイスメール、電子メールなど、シナリオで定められた手段と番号、音声以外の場合には、電文を自動生成して連絡を行い、交換の要員手配を行う(404−1、404−2)。電子メール又は電文の自動生成にあたり、SONサーバ203では、所定の記憶部に予め保持される雛形文(スケルトン)の該当欄に、保守卓から通知された故障通信ノードの情報、交換部品に関する情報を埋め込んで生成する。電話等の音声による連絡も所定の記憶部に予め保持される音声の雛形の該当箇所に、保守卓から通知された故障通信ノードの情報、交換部品に関する情報を音声自動に変換して生成するが、公知の任意の手法が用いられる。
【0050】
SONサーバ203では、交換品の修理が必要な場合には、IP−PBXサーバ211を介して、顧客内部の修理に関係する部門に、電話、ボイスメール、電子メール等のうち、シナリオに定められた手段と番号(電話番号、メールアドレス)、音声以外の場合には、電文を自動で作成した後に、連絡を行い。修理の手配を行う(405)。
【0051】
SONサーバ203において、シナリオに記載された必要な動作が終了したら、保守卓202−1又は2に、交換処置に関する経過情報を送信し(406)、保守員に状況がわかるようにする。保守卓202−1又は2のモニタ画面等の出力装置には、保守員に対して、IP−PBXシステム211、SCMシステム220との連携による保守対応の状況が出力される(407)。
【0052】
図5は、保守卓202−1、2でシステムの警報を検出した場合の流れを示す図であり、図3の306、309の詳細なシーケンスを示す図である。
【0053】
保守卓202−1又は2は、警報を検出する(501)と、SONサーバ203に警報を通知する(502)。
【0054】
保守卓202−1又は2から警報を通知されたSONサーバ203は、警報から問題を特定して対応するために、問題解析を行う必要があると判定した場合、解析のためのさらなる情報の取得を保守卓202−1又は2に依頼する(503)。
【0055】
保守卓202−1又は2は、通信ノード群201−1又は2からのアップロード処理にて、通信ノード群201−1又は2から、解析に必要な追加情報を取得する(504)。
【0056】
LTEを運用している顧客内関係部門とメーカーの関係部門等に、連絡と対策のための召集を、電話、ボイスメール、電子メール等、シナリオで予め定められた手段と番号(音声以外の場合には、電文)を作成し、連絡を行う(505、506)。
【0057】
また、SONサーバ203では、保守卓202−1又は2からの警報に対応するシナリオに従った暫定のアクションを実行する(507)。この結果、LTEシステムのサービス停止を極力短くする。
【0058】
図6は、SONサーバ203で保持しているデータベースの内容の一例を示す図である。LTEシステムから発生する故障/警報に関する情報が、故障/警報単位に定義されている。それぞれのデータレコード(601)には、図4、図5で示した復旧処理が自動で行うための必要な情報が定義されている。
・故障/警報の情報の区別、
・故障した装置の構成情報パターン、
・取得する追加情報、
・該当構成情報が有する交換可能な部品/ユニット/カード/ソフトウエア、
・本故障/警報の情報のサービス・インパクト/修理のアクションパターン、
・交換部品の単価、常時保持する在庫閾値、
・故障/警報の情報の関連連絡先情報(外線番号、内線番号、メールアドレス、自動応答番号)、
・連絡するコミュニケーション選択方法(音声/電子メール/ボイスメール)、
・非音声時の電文内容デフォルト、
・SCMに対する在庫問い合わせ情報の入力情報デフォルト、
・SCMに対する注文情報の入力情報デフォルト、
・IP−PBX、SCMの業務システムの特定の為の統一資源識別子(URI)、IPアドレス。
・ポート番号等のSOAP通信に必要な情報。
【0059】
データレコード601は、顧客、顧客のLTEシステムを提供するメーカーによって内容を変更する必要がある。このため、SONサーバ203のデータベースは、データレコード601の変更等を容易化するために、業界標準のSQL(Structured Query Language)等、インタフェース、コマンド系を備えた構成としてもよい。また、顧客の電話番号等の情報が含まれることから、データベースには、例えばファイアウォール、不正侵入検知システム等公知のセキュリティ対策が施され、インターネット又はイントラネットからの不正アクセス等を防ぐ構成としてもよい。
【0060】
SOAPのインタフェースを用いてSONサーバ203から指示ができれば、IP−PBXシステム210、SCMシステム220だけでなく、他の業務オペレーションの自動化も可能であり、OPEXの更なる低減が実現できる。またSOAPインタフェースを具備しているサーバシステムであれば、IP−PBXシステム210、SCMシステム220だけでなく、SONと連動したOPEX低減のための自動化を考えることが可能である。
【0061】
また、本発明は、LTEに制限されず、3G無線アクセスネットワーク、あるいは、LTE、3G無線アクセスネットワーク、WLAN(Wireless LAN)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)を含むEPC(Evolved Packet Core)ネットワークにも適用可能であることは勿論である。3G無線アクセスネットワークの場合、通信ノード群は、例えば基地局/制御局(NodeB/RNC(Radio Network Controller))となる。
【0062】
なお、上記の特許文献、非特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
100 LTEシステム
101−1、101−2 通信ノード群
102−1、102−2 保守卓
200 LTEシステム
201−1、201−2 通信ノード群
202−1、202−2 保守卓
203 LTEシステムのSONサーバ
204 SOAPインタフェース
210 IP−PBXシステム
211 IP−PBXサーバ
212 IP−PBXとのSOAPインタフェース
220 SCMシステム
221 SCM処理サーバ
222 SCMサーバとのSOAPインタフェース
601 データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上の通信ノードの故障又は前記ネットワークの警報を保守卓から受け取る第1のサーバ装置と、
前記第1のサーバ装置と接続され、IP(Internet Protocol)電話の構内交換を行う第2のサーバ装置と、
前記第1のサーバ装置と接続され、在庫及び発注を管理する第3のサーバ装置と、
を備え、
前記第1のサーバ装置は、前記保守卓から通知される故障と警報に対して対応する保守・復旧のシナリオをデータとして予め、記憶装置に記憶しており、
前記保守卓から故障又は警報の通知を受けると、前記故障又は警報に対応したシナリオを決定し、前記シナリオの規定に基づき、前記第2のサーバ装置及び/又は前記第3のサーバ装置に対応を指示し、
前記第2のサーバ装置は、前記第1のサーバ装置からの指示を受けると、前記指示に基づき、電話又はメールにて保守に必要な要員の手配を行う手段を備え、
前記第3のサーバ装置は、前記第1のサーバ装置からの指示を受けると、前記指示に基づき、保守で必要な部品の在庫の問い合わせと取り出し、さらに、前記部品の発注が必要と判断した場合、前記部品の発注を行う手段を備えた、ことを特徴とする保守システム。
【請求項2】
前記第1のサーバ装置において、故障又は警報の解析のために、前記通信ノードからさらに詳細な情報が必要であると判断した場合には、前記第1のサーバ装置は、前記保守卓に対して追加情報の取得の要求を行い、
前記第1のサーバ装置からの前記追加情報の要求を受けた前記保守卓では、前記通信ノードから情報を取得し、前記前記第1のサーバ装置に送信する請求項1記載の保守システム。
【請求項3】
前記第1のサーバ装置において、前記故障による交換部品の修理が必要と判断した場合には、前記第2のサーバ装置を介して、修理部門に修理の手配を行う請求項1記載の保守システム。
【請求項4】
前記第1のサーバ装置は、前記シナリオに規定された一連の動作が終了すると、前記保守卓に、前記動作の経過情報を送信する請求項1記載の保守システム。
【請求項5】
前記ネットワークがLTE(Long Term Evolution)ネットワークであり、
前記第1のサーバ装置がSON(Self−Organizing Network)サーバであり、
前記第2のサーバ装置がIP−PBX(Internet−Protocol Private Branch Exchange)サーバであり、
前記第3のサーバ装置がSCM(Supply Chain Management)処理サーバである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の保守システム。
【請求項6】
ネットワーク上の通信ノードの故障又は前記ネットワークに関する警報の通知を保守卓から受け取る第1のサーバが、前記故障と前記警報に対して、対応する保守・復旧のシナリオをデータとして、記憶装置に記憶しており、
前記保守卓からの故障又は警報の通知を受けると、故障又は警報に対応したシナリオを決定し、前記シナリオの規定に基づき、第2のサーバ及び/又は第3のサーバに対応を指示し、
前記第2のサーバでは、前記第1のサーバからの指示からの指示を受けると、前記指示に基づき、保守に必要な要員の手配を自動で行い、
前記第3のサーバは、前記第1のサーバからのからの指示を受けると、前記指示に基づき、保守で必要な部品の在庫の問い合わせと取り出し、さらに前記部品の発注が必要と判断した場合、前記部品の発注を自動で行う、ことを特徴とする保守方法。
【請求項7】
前記第1のサーバにおいて、故障又は警報の解析のために、前記通信ノードからさらに詳細な情報が必要であると判断した場合には、前記第1のサーバは、前記保守卓に対して追加情報の取得の要求を行い、
前記第1のサーバ装置からの前記追加情報の要求を受けた前記保守卓では、前記通信ノードから情報を取得し、前記前記第1のサーバ装置に送信する請求項6記載の保守方法。
【請求項8】
前記第1のサーバにおいて、前記故障による交換部品の修理が必要と判断した場合には、前記第2のサーバを介して修理部門に修理の手配を行う請求項6記載の保守方法。
【請求項9】
前記第1のサーバは、前記シナリオに規定された一連の動作が終了すると、前記保守卓に経過情報を送信する請求項6記載の保守方法。
【請求項10】
ネットワーク上の通信ノードの故障又はネットワークに関する警報の通知を保守卓から受け取るサーバ装置であって、
IP電話の構内交換を行うIP−PBXサーバ装置と、在庫及び発注を管理するSCM処理サーバ装置とにそれぞれ通信接続され、
前記故障と警報に対して、対応する保守・復旧のシナリオをデータとして記憶装置に記憶しており、
前記保守卓から故障又は警報の通知を受けると、前記故障又は警報に対応したシナリオを決定し、前記シナリオに基づき、前記IP−PBXサーバ装置及び/又は前記SCM処理サーバ装置に対応を指示し、
前記IP−PBXサーバ装置には、保守に必要な要員の手配を行わせ、
前記SCM処理サーバ装置には、保守で必要な部品の在庫の問い合わせと取り出し、さらに必要に応じて前記部品の発注を行わせる、ことを特徴とするサーバ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−129674(P2012−129674A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277685(P2010−277685)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】