説明

ノズルスタンド

【課題】本発明はノズルの高さ位置をスムーズに調整できることを課題とする。
【解決手段】ノズルスタンド15は、固定支柱51と、昇降支柱52と、昇降支柱52を上方に付勢する付勢機構60を有する。付勢機構60は、昇降支柱52が嵌合する軸受70と、昇降支柱52の下端に設けられたブラケット80と、ブラケット80に支持された一対の定荷重ばね90A、90Bと、定荷重ばね90A、90Bのばね部材92A、92Bの端部を軸受70に連結する連結部材100、110とを有する。定荷重ばね90A、90Bは、リールのようにばね部材92A、92Bがドラム部94A、94Bに巻回され、ノズル昇降動作によりばね部材92A、92Bが引き出されると、ばね部材92A、92Bを巻き取る一定のばね力を発生し、給油ノズル14を静止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はノズルスタンドに係り、特にノズルの昇降動作を安定的に行えるよう構成されたノズルスタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
給油所において、顧客が持参してきた空のポリ容器に灯油を給油する場合、給油所の作業員が灯油専用の計量機の給油ノズルをポリ容器の給油口に差し込んで給油を行う(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
灯油専用の計量機は、地上固定式の計量機よりなり、ノズルをポリ容器の給油口に挿入してノズルレバーを開弁操作することで、ポリ容器への給油を開始する。そして、作業員によるポリ容器の給油口へノズルの先端を挿入するためのノズルの高さ方向の位置調整を容易に行えるようにするため、ノズルを支柱の上端に支持し、ポリ容器の給油口の高さに合わせてノズルの高さ位置を調整できるようにノズルを昇降可能に支持するノズルスタンドが計量機の近傍に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−100100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のノズルスタンドは、作業者によるノズルの昇降操作を補助するようにバネ力を付与するコイルバネが設けられているため、ノズルの高さ位置によりコイルバネが発生するバネ力が変化するため、例えば、作業員がノズルの高さ位置を低い位置に調整する際は、コイルバネのバネ力に抗して操作することになり、操作しにくいという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、上記課題を解決したノズルスタンドの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような手段を有する。
(1)本発明は、ノズルを支持するノズル支持部と、前記ノズル支持部に結合された昇降支柱と、前記昇降支柱の昇降動作をガイドする固定支柱と、前記固定支柱の内部に設けられ前記ノズル支持部を上方に付勢する付勢機構と、を備えたノズルスタンドにおいて、
前記付勢機構は、前記昇降支柱を一定のばね力で上方に付勢する定荷重ばねを有してなり、前記定荷重ばねは帯状に形成されたばね部材が巻回されたドラム部を有し、前記ドラム部が前記昇降支柱の軸に設けられ、前記軸を上下方向に支持する軸受部に前記ばね部材の端部が連結されたことを特徴する。
(2)本発明の前記定荷重ばねは複数設けられ、各定荷重ばねのドラム部はそれぞれ高さ方向にずらした位置に配されたことを特徴とする。
(3)本発明の前記複数の定荷重ばねは、前記ノズルの高さ位置を調整する際に前記昇降支柱に対する伸び量が均等になるように、定荷重ばねの端部の取り付け高さを高さ方向にずらした位置に取り付けられてなることを特徴する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、定荷重ばねによる一定のばね力で昇降支柱を上方に付勢するため、ノズルを上昇させる際は、定荷重ばねのばね力を補助力として小さな操作力で持ち上げることがで、ノズルを降下させる際は、ノズル位置に拘わらず定荷重ばねのばね力が一定であるので、スムーズに降下させることができる。
【0009】
また、複数の定荷重ばねのドラム部とばね部材との配置によって各ばね力をバランス良く作用させることができると共に、各定荷重ばねのドラム部が昇降支柱の軸に設けられ、昇降支柱の軸を支持する軸受部に各定荷重ばねのばね部材の端部が連結されることで、軸受け部及び複数の定荷重ばねを昇降支柱とユニット化することができ、各定荷重ばねのメンテナンス作業が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明によるノズルスタンドの一実施例が適用された燃料供給装置を示す側面図である。
【図2A】ノズルスタンドとポリ容器との位置関係を示す側面図である。
【図2B】ノズルスタンドを正面からみた図である。
【図3】ノズルスタンドの内部構造を側面からみた縦断面図である。
【図4】ノズルスタンドの内部構造を正面からみた縦断面図である。
【図5】ノズルスタンドの付勢機構を拡大して示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は本発明によるノズルスタンドの一実施例が適用された燃料供給装置を示す側面図である。
【0013】
図1に示されるように、燃料供給装置11は、計量機12と、作業台13の前側に設置されたノズルスタンド15とを有する。給油ノズル14は、ノズルスタンド15により操作しやすい所定高さ位置に調整可能に支持されている。そして、ノズルスタンド15の前側には、灯油(燃料)を給油されるポリ容器(被供給体)16が載置される容器載置台17が設けられている。
【0014】
給油ノズル14に連通された給油ホース18は、給油作業の邪魔にならないように作業台13の下部に挿通され計量機12の側面に設けられた継手19に接続されている。
【0015】
給油を受ける顧客は、ポリ容器16を容器載置台17に載置して作業員にポリ容器16の容量を伝える。そして、作業員は、給油ノズル14のノズルレバー14aを開弁位置に操作して給油を開始し、後述するノズルレバーの閉弁操作によりポリ容器16の容量に応じた供給量をプリセットする。本実施例の給油ノズル14は、ノズルレバー14aを握ることで開弁位置に操作され、ノズルレバー14aから手を離すと、ノズルレバー14aが閉弁位置に戻るように構成されている。
【0016】
給油すべきポリ容器16は、給油口16aが給油しやすい高さ位置となるように容器載置台17の載置部17aに載置される。そして、載置部17aの下方には、万が一ポリ容器16の給油口16aから油液が溢れた場合、油液を回収するためのオイルパン17bが設置されている。
【0017】
さらに、ノズルスタンド15には、給油ノズル14を昇降可能に支持する昇降機構23が設けられている。
【0018】
図2Aはノズルスタンドとポリ容器との位置関係を示す側面図である。図2Bはノズルスタンドを正面からみた図である。図2A、図2Bに示されるように、ノズルスタンド15は、床面に固定される固定支柱51と、固定支柱51内に摺動可能に挿入され昇降可能に支持された昇降支柱52と、昇降支柱52の上端で給油ノズル14を支持するノズル支持部53と、昇降支柱52の上端に固定されたグリップベース54aと、グリップベース54aに両端が固定されたグリップ54とを有する。また、固定支柱51及び昇降支柱52は、昇降機構23を構成する。
【0019】
さらに、グリップベース54aの下面には、昇降支柱52の外側を覆う筒状の保護カバー部材54b(図2A、図2B中、一点鎖線で示す)が取り付けられている。そのため、昇降支柱52は、保護カバー部材54bによって外観上に露出されず、塵埃が付着しにくい構成になっている。また、固定支柱51には、容器載置台17が連結されるためのブラケット57,58が固定されている。
【0020】
図3はノズルスタンドの内部構造を側面からみた縦断面図である。図4はノズルスタンドの内部構造を正面からみた縦断面図である。図3及び図4に示されるように、ノズルスタンド15は、昇降支柱52を上方に付勢する付勢機構60を有する。
【0021】
付勢機構60は、昇降支柱52が貫通する軸受70と、昇降支柱52の下端に設けられたブラケット80と、ブラケット80に支持された一対の定荷重ばね90A、90Bと、定荷重ばね90A、90Bのばね部材92A、92Bの端部が連結された連結部材100、110とを有する。連結部材100、110は、軸受70の下面に締結部材120により固定される。また、昇降支柱52は、軸受70の内周72に挿通されてZ方向に摺動可能に支持されている。
【0022】
尚、締結部材120としては、軸受70の上面側からボルトを挿入し、軸受70の下面側からナットを締付ける構成のものでも良いし、これ以外の構成のものでも良い。
【0023】
定荷重ばね90A、90Bは、帯状のばね鋼からなるばね部材92A、92Bと、ばね部材92A、92Bが巻回されたドラム部94A、94Bとからなる。定荷重ばね90A、90Bは、ばね部材92A、92Bがドラム部94A、94Bに巻回され、Z方向へのノズル昇降動作によりばね部材92A、92Bがドラム部94A、94Bから引き出されると、ばね部材92A、92Bを巻き取る方向のばね力を発生する。また、ばね部材92A、92Bを巻き取る力は、ドラム部94A、94Bの半径に応じた一定のばね力による得られる。
【0024】
ドラム部94A、94Bは、回転中心に軸96A、96Bを有し、当該軸96A、96Bの両端がブラケット80の一対の支持板81a、81bに回動可能に支持されている。ばね部材92A、92Bは、内周側の端部がドラム部94A、94Bの中心側に固定され、外周側の端部が連結部材100、110に連結されている。また、ばね部材92A、92Bを巻き取る力(ばね力)は、昇降支柱52、ノズル支持部53、グリップベース54a、給油ノズル14、給油ホース18等の各質量の合計値と釣り合うように設定されている。そのため、給油ノズル14のZ方向の高さ位置を調整する際は、作業員がグリップ54を押下するか又は持ち上げることで定荷重ばね90A、90Bのばね力とのバランスがくずれるため、容易に昇降移動させることができる。また、作業員がグリップ54から手を離したとき、定荷重ばね90A、90Bのばね力との釣り合いにより給油ノズル14を任意の高さ位置に静止させることができる。
【0025】
従って、付勢機構60は、従来のようにブレーキ機構がなくても給油ノズル14を任意の高さ位置に静止させることができるので、ノズル高さ調整時のブレーキ解除操作を不要にしてノズル高さ調整の操作性が改善されている。
【0026】
さらに、ポリ容器16への給油中も給油ノズル14が吐出パイプ14bをポリ容器16の給油口16aに挿入する所定高さ位置に保持されているので、給油ノズル14の高さ位置が変動しないように作業員が気を付ける必要がなく、簡単な操作でノズル高さを調整することができる。
【0027】
また、ブラケット80の下端には、昇降動作時にブラケット80の揺動を規制すると共に、固定支柱51の内壁に摺接して昇降動作をガイドするガイド部82が設けられている。これにより、給油ノズル14の高さ調整を行う際に給油ノズル14のぐらつきが防止される。
【0028】
ここで、付勢機構60の構成及び作用について詳細に説明する。
【0029】
図5はノズルスタンドの付勢機構60を拡大して示す縦断面図である。図5に示されるように、定荷重ばね90A、90Bは、ブラケット80により上下方向に重なるように異なる高さ位置に配置されており、上方からみると上側に配された定荷重ばね90Aのみが見えて下側に配された定荷重ばね90Bが隠れてみえない。また、定荷重ばね90A、90Bは、ドラム部94A、94Bの各取付け位置が高さ方向(Z方向)にずらしてあるものの、ドラム部94A、94Bの軸96A、96Bが昇降支柱52の中心線上に配されており、且つドラム部94A、94Bから引き出されるばね部材92A、92Bの引き出し方向が昇降支柱52の前側、後側に分かれている。
【0030】
ばね部材92A、92Bは、連結部材100、110を介して軸受70の下面の2箇所に連結されおり、且つ連結部材100、110が軸受70の下面に対して昇降支柱52の中心線の線対称となる位置に配置されるため、二つのばね力が軸受70の下面に対して釣り合うように作用する。よって、軸受70は、ばね部材92A、92Bのばね力によって傾くことがなく、水平状態に保持されるため、昇降支柱52を垂直方向に摺動するようにガイドすることができる。
【0031】
さらに、定荷重ばね90A、90Bは、ばね部材92A、92Bの引き出し方向がそれぞれ反対側(本実施例では、前後方向)に分かれているため、ばね部材92A、92Bを巻き戻そうとする各ばね力がブラケット80の両側でバランスし、ブラケット80を回動させようとする力(回転モーメント)が相殺されるように設けられている。そのため、給油ノズル14を昇降させる際は、定荷重ばね90A、90Bのばね力が上方のみに作用する構成であるので、給油ノズル14の昇降動作がスムーズに行える。
【0032】
また、定荷重ばね90A、90Bは、ドラム部94A、94Bの取付位置が上下方向に重なるように配されているので、水平方向に並べる場合よりもコンパクトに配置され、小型化及び省スペース化に対応している。
【0033】
定荷重ばね90A、90Bは、軸受70に対するドラム部94A、94Bの取付位置を高さ方向にずらすと共に、ばね部材92A、92Bが互いに干渉しないようにばね部材92A、92Bの引き出し方向を反対側となるように配されているが、ばね部材92A、92Bの端部が連結された連結部材100、110の長さを異ならせることで、ノズルの高さ位置を調整する際に昇降支柱52に対するばね部材92A、92Bの伸び量(引き出し量)が均等になるように設けられている。
【0034】
また、連結部材100、110は、L字状に形成され、上端102、112が軸受70の下面に締結され、下端104、114がばね部材92A、92Bの端部に連結される。また、連結部材100は、下方向に延在する下端104の長さが、上側に配された定荷重ばね90Aの高さ位置に合わせて短く形成されている。また、連結部材110は、下方向に延在する下端114の長さが、下側に配された定荷重ばね90Bの高さ位置に合わせて長く形成されている。このように、定荷重ばね90A、90Bと軸受70との距離に応じて連結部材100、110の上下方向(Z方向)の長さを異ならせることで、昇降支柱52の昇降動作に伴う定荷重ばね90A、90Bのドラム部94A、94Bから引き出されるばね部材92A、92Bの長さが同一になるように設定されている。
【0035】
そのため、昇降支柱52の昇降動作のストロークとドラム部94A、94Bから引き出されるばね部材92A、92Bの長さとが一致し、昇降支柱52の昇降動作の最大ストロークになるタイミングとばね部材92A、92Bの最大引き出し長さになるタイミングが一致する。そのため、昇降支柱52の昇降動作ストロークに対する定荷重ばね90A、90Bのばね部材92A、92Bが不足することがなく、ノズル高さ調整作業を安定的に行える。
【0036】
また、軸受70は、固定支柱51の上端開口に嵌合され、且つ側方から締結部材130の螺入により固定される。そして、軸受70の下方にはブラケット80に支持された定荷重ばね90A、90B、ばね部材92A、92Bの端部が連結部材100、110の下端に104、114に連結されてユニット化されているので、締結部材130を外して軸受70を上方に引き上げると、上記付勢機構60は、昇降支柱52及び軸受70と共に固定支柱51から容易に取出せる。そのため、付勢機構60の各部のメンテナンス作業を比較的容易に行うことができる。特に付勢機構60の定荷重ばね90A、90Bを一括して固支柱51から取り出せるので、定荷重ばね90A、90Bの点検、調整等を容易に行える。
【産業上の利用可能性】
【0037】
上記実施例では、給油ノズル14からポリ容器16に灯油を給油する場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば、灯油以外の燃料(例えば、ガソリンや軽油)などの燃料を他の容器に給油する場合にも本発明を適用することができるのは勿論である。
【0038】
また、上記実施例では、一対の定荷重ばね90A、90Bを設けた構成について説明したが、これに限らず、2つ以上、例えば、4つの定荷重ばねを設ける構成としても良い。
【符号の説明】
【0039】
11 燃料供給装置
12 計量機
14 給油ノズル
15 ノズルスタンド
16 ポリ容器
17 容器載置台
18 給油ホース
19 継手
23 昇降機構
51 固定支柱
52 昇降支柱
53 ノズル支持部
54 グリップ
60 付勢機構
70 軸受
80 ブラケット
82 ガイド部
90A、90B 定荷重ばね
92A、92B ばね部材
94A、94B ドラム部
100、110 連結部材
120、130 締結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルを支持するノズル支持部と、前記ノズル支持部に結合された昇降支柱と、前記昇降支柱の昇降動作をガイドする固定支柱と、前記固定支柱の内部に設けられ前記ノズル支持部を上方に付勢する付勢機構と、を備えたノズルスタンドにおいて、
前記付勢機構は、前記昇降支柱を一定のばね力で上方に付勢する定荷重ばねを有してなり、前記定荷重ばねは帯状に形成されたばね部材が巻回されたドラム部を有し、前記ドラム部が前記昇降支柱の軸に設けられ、前記軸を上下方向に支持する軸受部に前記ばね部材の端部が連結されたことを特徴するノズルスタンド。
【請求項2】
前記定荷重ばねは複数設けられ、各定荷重ばねのドラム部はそれぞれ高さ方向にずらした位置に配されたことを特徴とする請求項1に記載のノズルスタンド。
【請求項3】
前記複数の定荷重ばねは、前記ノズルの高さ位置を調整する際に前記昇降支柱に対する伸び量が均等になるように、定荷重ばねの端部の取り付け高さを高さ方向にずらした位置に取り付けられてなることを特徴する請求項1又は2に記載のノズルスタンド。
【請求項4】
前記複数の定荷重ばねは、帯状に形成されたばね部材が巻回されたドラム部を有し、前記ドラム部が前記昇降支柱の軸に設けられ、前記軸を上下方向に支持する軸受部に前記ばね部材の端部が連結されたことを特徴する請求項1乃至3の何れかに記載のノズルスタンド。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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