説明

ノネンからのオリゴマーの製造

ポリα−オレフィンを生成するためのα−オレフィンのオリゴマー化において、原料は、ノネン、またはノネンを含むα−オレフィンのフレンドからなる。ノネンを含むα−オレフィン原料および少なくとも1種の触媒が、反応器内でオリゴマー化または重合条件に供される。反応後、混合物は、未反応α−オレフィンおよびα−オレフィンのダイマーを除去するために、蒸留に供されてもよい。また、得られた生成物は、水素化されてもよい。また、最終生成物は、異なる公称粘度のポリ−αオレフィンの少なくとも2種の留分を回収するために、留出されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年12月7日出願の米国仮特許出願第61/267,189号の優先権を主張し、その開示は参照することにより本明細書に完全に組み込まれる。
本発明は、オリゴマーの製造に関する。より具体的には、本発明は、ノネンの単一供給物、またはノネンを含むオレフィンの混合供給物から調製される様々なポリα−オレフィンの製造のためのある特定の方法、およびそれにより生成されるポリα−オレフィンに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリα−オレフィンは、潤滑油市場における重要性を獲得した炭化水素潤滑剤の1つのクラスを含む。典型的には、これらの材料は、典型的には1−オクテンから1−ドデセンまでの範囲のα−オレフィンのオリゴマー化または重合(一貫性のためにこれを変更)により生成され、1−デセンが好ましい材料であるが、エチレンと高級オレフィンとのコポリマーを含め、エチレンおよびプロピレン等の低級オレフィンのポリマーもまた使用可能である。ポリα−オレフィン(PAO)生成物として、100℃で約2cStの極めて移動性の流体から、100℃で100cStを超える粘度を有するより高分子量の粘性材料まで変動する、広範囲の粘度を有するものを得ることができる。PAOは、AlCl3、AlBr3、BF3、またはBF3錯体等の触媒の存在下でのオレフィン供給物のオリゴマー化または重合により生成され得る。オリゴマー化または重合に続いて、潤滑剤範囲の生成物は、残留不飽和を低減するために水素化されてもよい。この反応の間、不飽和の量は、概して90%超低減される。
自動車産業は、エンジンオイルに対してより高い要求、すなわちより長期間より高い温度で動作するとともに燃費を改善することを課しており、好ましくは4cStの低粘度PAOの需要が高まるとともに、低Noack揮発度および低温性能特性が求められている。したがって、低Noack揮発度(ASTM D5800 Standard Test Method for Evaporation Loss of Lubricating Oils by the Noack Method)を示す低粘度PAOが必要とされている。
特定グレードのPAOの特性は、その生成物を作製するために使用されるα−オレフィンに大きく依存する。一般に、α−オレフィンの炭素数が高いほど、生成物のNoack粘度が低く、粘度指数および流動点が高い。逆に、α−オレフィンの炭素数が低いほど、生成物のNoack粘度が高く、粘度指数および流動点が低い。いずれのオレフィンが使用されても、自動車用途において、所望の低Noack揮発度およびより低い流動点は、一般にPAOの相反する目標である。
揮発度および低温特性の最適なバランスがより容易に達成され得るように、より広範な種類のα−オレフィンを使用してポリα−オレフィンを製造することが望ましい。現在、利用可能なベースストックでは、最終PAOにおける所望の特性のバランスを達成するために、オリゴマー化または重合および潜在的な水素化の後、複数の蒸留留出物および異なる留出物の混合が利用される。これは製造時間および労力を増大させ、本発明は、改善されたPAOを提供するための新たなベースストックおよびベースストックブレンドに関する。
【発明の概要】
【0003】
本明細書において、α−オレフィンのオリゴマー化または重合のための方法が開示される。原料は、ノネン、またはノネンを含むα−オレフィンのブレンドを含む。ノネンを含むα−オレフィン原料および少なくとも1種の触媒が、反応器内でオリゴマー化または重合条件に供される。反応後、混合物は、未反応α−オレフィンおよびα−オレフィンのダイマーを除去するために、蒸留に供されてもよい。また、得られた生成物は、水素化されてもよい。また、最終生成物は、異なる公称粘度のポリα−オレフィンの少なくとも2種の留分を回収するために、留出されてもよい。
様々な実施形態において、原料は、以下の態様を有し得る。原料は、少なくとも5wt%のノネンを含有する。原料は、100wt%までのノネンを含有してもよい。ノネンが他のα−オレフィンとブレンドされる実施形態において、原料の残りは、エチレンおよびC6−C24α−オレフィンを含んでもよい。開示される実施形態のいずれかのさらに別の態様において、原料の質量パーセントは、7〜14の範囲の平均炭素数含量をもたらす。
原料がノネンおよび1種の他のα−オレフィンのブレンドである実施形態において、原料は、5〜99wt%のノネンを含有する。原料がノネンおよび少なくとも2種の他のα−オレフィンのブレンドである実施形態において、原料は、10〜80wt%のノネンを含有する。
様々な実施形態および異なる原料において、オリゴマー化または重合に使用される触媒系は、フリーデル−クラフツ触媒、担持還元金属酸化物触媒、酸性イオン液体、架橋置換芳香族遷移金属化合物、および非架橋置換芳香族遷移金属化合物からなる群から選択される触媒を含有する。
【0004】
他の実施形態において、触媒は、ハロゲン化アルミニウム、BF3、式(1)(Cp−A’−Cp*)MX12で表される化合物、および式(2)(CpCp*)MX12で表される化合物からなる群から選択され、式中、Mは、金属中心であり;CpおよびCp*は、それぞれMに結合し、式(1)については0〜4個の置換基で、式(2)については0〜5個の置換基で置換された、同じもしくは異なるシクロペンタジエニル環であり、各置換基は、独立して、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリルカルビルまたはゲルミルカルビルであるラジカル基であり、または、CpおよびCp*は、任意の2個の隣接置換基が連結して置換もしくは非置換の飽和、部分飽和、もしくは芳香族環式もしくは多環式置換基を形成する、同じもしくは異なるシクロペンタジエニル環であり;A’は、架橋基であり;X1およびX2は、独立して、ヒドリド基、ハライド基、ヒドロカルビル基、置換ヒドロカルビル基、ハロカルビル基、置換ハロカルビル基、シリルカルビル基、置換シリルカルビル基、ゲルミルカルビル基、もしくは置換ゲルミルカルビル基であり、または、両方のXが連結して金属原子に結合し、約3〜約20個の炭素原子を含有する金属環式環を形成する。
また、オリゴマー化α−オレフィンを含むポリα−オレフィンが開示され、前記オリゴマー化α−オレフィンは、ノネンを含むオレフィン原料および少なくとも1種のオリゴマー化または重合触媒を接触させることにより調製される。オレフィン原料は、5〜100wt%のノネンを含有してもよい。オリゴマー化または重合生成物は、水素化されてもよい。
ノネンを含む原料から生成されるポリα−オレフィンのいずれも、少なくとも1種の他のAPIグループI〜グループVベースストックとブレンドされてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0005】
ここで、好ましい実施形態、および請求される本発明を理解する目的で本明細書において適用される定義を含め、本発明の様々な具体的実施形態、バージョン、および例を説明する。この説明は、本発明の一般的原理を例示する目的でなされるものであり、限定的な意味で解釈されるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することにより最も良く決定される。
ポリα−オレフィン(PAO)は、触媒の存在下で、および任意選択で少なくとも1種の共触媒の存在下で、直鎖α−オレフィンの原料をオリゴマー化または重合するプロセスにより調製される。次いで、オリゴマー化もしくは重合生成物、またはオリゴマー化もしくは重合生成物の一部は、PAOの飽和レベルを変化させるために水素化されてもよい。所望のPAOを達成するために、オリゴマー化もしくは重合生成物、または水素化生成物のさらなる処理が行われてもよい。
【0006】
α−オレフィン原料
直鎖α−オレフィンの原料は、ノネンを含む。ノネンの量は、少なくとも5wt%〜100wt%で変動し得る。原料が100wt%ノネン未満である場合、原料の残りは、エチレンおよびC6−C24α−オレフィンから選択される。
一実施形態において、ノネンは、別のC6−C24α−オレフィンと、最も好ましくはデセンまたはドデセンとブレンドされる。1種の他のα−オレフィンとブレンドされる場合、ノネンの量は、5〜99wt%、好ましくは5〜80wt%の範囲であり、原料の残りは他のα−オレフィンである。例えば、原料の2つの成分は、20wt%のノネンおよび80wt%のデセンであってもよい。あるいは、原料の2つの成分は、40wt%のノネンおよび60wt%のドデセンであってもよい。5〜99wt%の範囲のノネンの任意の質量パーセントが、2成分α−オレフィン原料により企図される。
別の実施形態において、原料は、ノネンおよび2種の他のC6−C24α−オレフィンからなる3種のα−オレフィンのブレンドである。例示的な3成分オレフィン原料は、ノネンと、a)オクテンおよびデセン、b)オクテンおよびドデセン、またはc)デセンおよびドデセンとの組合せを含む。2種の他のα−オレフィンとブレンドされる場合、ノネンの量は、10〜80wt%の範囲であり、原料の残りは他の2種のα−オレフィンである。本実施形態の範囲内である限定されない例として、原料は、a)20wt%のノネン、60wt%のデセン、および20wt%のドデセン、b)40wt%のノネン、40wt%のデセン、および20wt%のドデセン、またはc)30wt%のノネン、20wt%のオクテン、および50wt%のデセンであってもよい。
【0007】
好ましい実施形態において、エチレンは、供給物中に10wt%以下、好ましくは5wt%以下、最も好ましくは5wt%未満で存在する。
供給物の平均炭素数は少なくとも7であることが好ましく、原料が100%ノネンである場合、平均炭素数は約9であることが理解される(市販のノネンの原料は、不純物または他の微量の他のα−オレフィンを全く含まないわけではないことが推定される)。平均炭素数とは、本明細書で使用される場合、供給物中のC624α−オレフィンの平均炭素数を指す。別の好ましい実施形態は、約7個の炭素原子から14個の炭素原子まで、より好ましくは、8個を超える炭素原子から12個未満の炭素原子まで、より好ましくは8.5個を超える炭素原子から11個未満の炭素原子までの平均炭素数を有するノネンを含有する、混合供給物を選択することである。炭素数の平均値(「平均炭素数」)は、各α−オレフィンのモル分率とα−オレフィン中の炭素数の積の総和(Cav=Σ(モル分率)i×(炭素数)i)として定義される。このLAO供給物の好ましい平均炭素数を達成するための多くの可能な組合せが存在する。
【0008】
触媒
PAO流体は、例えばAlCl3、AlBr3、BF3を含むフリーデル−クラフツ触媒等のオリゴマー化もしくは重合触媒、または、オリゴマー化もしくは重合触媒と少なくとも1種の共触媒との組合せにより生成される、オリゴマー化もしくは重合触媒の錯体の存在下での、原料α−オレフィンのオリゴマー化または重合により作製され得る。単一の共触媒のみを使用する場合、共触媒は、水、アルコール、カルボン酸、またはアルキルアセテートである。好適なアルコールは、C1−C10アルコール、好ましくはC1−C6アルコールを含み、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、およびn−ヘキサノールを含む。好適なアセテートは、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル等を含むC1−C10アルキルアセテート、好ましくはC1−C6アルキルアセテートを含む。共触媒の組合せはまた、所望の物理的特性および生成物分布を有するオリゴマーを生成するように特定されている。共触媒の組合せは、1種のアルコールおよび少なくとも1種のアルキルアセテートを含む。共触媒は、主触媒と錯化して、触媒活性である配位化合物を形成する。共触媒は、α−オレフィン供給物の質量を基準として、約0.01〜約10質量パーセント、最も好ましくは約0.1〜6質量パーセントの量で使用される。
【0009】
あるいは、PAOの生成において使用される触媒は、特に高粘度指数(HVI)PAOの生成が目標である場合、シリカ上のCr化合物、または他の担持されたIUPAC周期表第VIB族化合物等の担持還元金属酸化物触媒であってもよい。触媒は、最も好ましくは、不活性担体上のより低原子価の第VIB族金属酸化物である。好ましい担体は、シリカ、アルミナ、チタニア、シリカアルミナ、マグネシア等を含む。担体材料は、金属酸化物触媒を拘束する。少なくとも40オングストロームの細孔径を有する多孔質基材が好ましい。
【0010】
担体材料は、通常、高表面積を有し、平均細孔サイズが40〜約350オングストロームの大きな細孔容積を有する。高表面積は、高分散性の活性クロム金属中心を大量に担持し、金属使用量の最大効率を提供し、非常に高活性の触媒をもたらすために有益である。担体は、少なくとも40オングストロームの大きな平均細孔径を有するべきであり、60〜300オングストロームの平均細孔径が好ましい。この大きな細孔径は、活性触媒金属中心への、および活性触媒金属中心からの反応物質および生成物の拡散にいかなる制限も与えず、したがって、触媒生産性をさらに最適化する。また、この触媒が固定床またはスラリー反応器内で使用され、何度もリサイクルおよび再生されるためには、取扱いまたは反応の間の触媒粒子の摩耗または崩壊を防止するために良好な物理的強度を有するシリカ担体が好ましい。
【0011】
担持金属酸化物触媒は、好ましくは、水または有機溶媒中の金属塩を担体に含浸させることにより調製される。当技術分野において知られた任意の好適な有機溶媒、例えば、エタノール、メタノール、または酢酸が使用され得る。次いで、固体触媒前駆体を乾燥させ、空気または他の酸素含有ガスにより、200〜900℃で焼成する。その後、触媒をいくつかの様々な周知の還元剤、例えばCO、H2、NH3、H2S、CS2、金属アルキル含有化合物、例えばR3Al、R3B、R2Mg、RLi、R2Zn(式中、Rは、アルキル、アルコキシ、アリール等である)等のいずれかにより還元する。COまたはH2または金属アルキル含有化合物が好ましい。
あるいは、CrII化合物等の第VIB族金属が、還元された形態で基材に適用されてもよい。得られる触媒は、室温未満〜約250℃の温度範囲、および0.1気圧〜5000psiの圧力でのオレフィンのオリゴマー化または重合に非常に活性である。オレフィンおよび触媒の両方の接触時間は、1秒〜24時間で変動し得る。触媒は、バッチ型反応器内または固定床連続流反応器内で使用され得る。
【0012】
一般に、担体材料は、金属化合物、例えばアセテートまたはニトレート等の溶液に添加されてもよく、次いで混合物を室温で混合および乾燥させる。乾燥固体ゲルを、約16〜20時間の期間、約600℃までの連続的により高い温度でパージする。その後、触媒を不活性雰囲気下で約250〜450℃の温度に冷却し、それに純粋な還元剤のストリームを接触させるが、その間、明るい橙色から薄青色への明確な色の変化により示されるように、十分なCOが通過して触媒を還元する。典型的には、触媒をより低い原子価のCrII状態に還元するために、2倍の化学量論的過剰量に等しい量のCOで触媒を処理する。最後に、触媒を室温に冷却し、使用準備が整う。
あるいは、ノネン含有原料のオリゴマー化または重合反応はまた、酸性イオン液体を含む触媒の存在下で行うことができる。イオン液体のほとんどは、100℃未満の融点を有する塩(100%イオン)であり、それらは、典型的には熱分解未満で測定可能な蒸気圧を示さない。イオン液体の特性は、それらの液体中に存在し得る広範なカチオンおよびアニオンの複合特性からもたらされる。イオン液体の多くは、広い温度範囲(300℃を超えることが多い)にわたり液体である。イオン液体は、低い融点を有し(−96℃という低い温度が報告されている)、これは、低い格子エネルギーを有する大きな非対称カチオンに起因し得る。材料のクラスとして、イオン液体は、有機および無機材料の両方と極めて溶媒和する。存在するイオンに依存して、イオン液体は、中性、塩基性または酸性の特性を有し得る。酸性液体は、それ自体オリゴマー化または重合の触媒として機能し、したがって直接使用され得る。中性イオン液体は、本方法において、必要な酸性度をもたらすために追加のルイス酸成分が存在する場合、触媒的に機能する。
【0013】
酸性イオン液体オリゴマー化または重合触媒系は、多くの場合、少なくとも2つの成分を含み、そのうち1つはイオン液体であり、他は所望の酸性特性を提供するが、イオン液体自体が酸性である場合は、単独でオリゴマー化または重合触媒として使用され得る。しかしながら、多くの場合、触媒系は2成分系であり、第1の成分は酸性成分、すなわちハロゲン化アルミニウムまたはハロゲン化アルキルアルミニウム等のルイス酸である。例えば、触媒系の典型的な第1のルイス酸成分は、三塩化アルミニウムであってもよい。第2のイオン液体成分は、有利には、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、または第3級スルホニウム化合物、例えば、ヒドロカルビル置換ハロゲン化アンモニウム、ヒドロカルビル置換ハロゲン化イミダゾリウム、ヒドロカルビル置換ハロゲン化ピリジニウム、ヒドロカルビル置換ハロゲン化ホスホニウムのうちの1種または複数種から選択される液体塩等である。例えば、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムクロリドが、第2の成分として使用され得る。
イオン液体は、主に、上述のように室温未満で溶融する塩または塩の混合物である。イオン液体は、一般式Q+-(式中、Q+は、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウムまたは第3級スルホニウムであり、A-は、Cl-、Br-、OCl4-、NO3-、BF4-、BCl4-、PF6-、SbF6-、AlCl4-、CuCl2-、FeCl3-等の負電荷イオンである)で特徴付けられ得る。
【0014】
2成分触媒系が使用される場合、触媒系の2つの成分のモル比は、通常、1:1〜5:1の第1の(ルイス酸)成分対第2の(イオン液体)成分比の範囲内にあり、より有利には、モル比は、1:1〜2:1の範囲である。
イオン液体触媒系の一実施形態において、イオン液体オリゴマー化または重合触媒系は、ルイス酸成分およびイオン液体成分を含む。別の実施形態において、イオン液体オリゴマー化または重合触媒は、ヒドロカルビル置換ハロゲン化アンモニウム、ヒドロカルビル置換ハロゲン化イミダゾリウム、ヒドロカルビル置換ハロゲン化ピリジニウムおよびヒドロカルビル置換ハロゲン化ホスホニウムのうちの1種または複数種から選択される液体塩を含む。
液体である触媒系はまた、追加の溶媒または希釈剤が必要とされないように、反応の溶媒または希釈剤として機能し得るが、所望により、例えば反応混合物の粘度を制御するために、または凝縮蒸気の還流を用いた蒸発により反応の熱を取り去るために、選択された触媒系に対し非反応性である追加の液体が存在してもよい。したがって、原料は、溶媒または希釈剤を追加することなく、触媒系の存在下で直接オリゴマー化または重合され得る。多くのイオン液体は、長鎖炭化水素置換基の存在の結果として炭化水素に可溶であるため、反応は、通常、単一相の反応混合物で進行する。
所望のPAO流体はまた、1種または複数種の活性剤(アルモキサンまたは非配位アニオン等)と共にメタロセン触媒を使用してオリゴマー化または重合することができる。メタロセン触媒は、架橋または非架橋の置換または非置換芳香族遷移金属化合物であってもよい。
【0015】
メタロセン触媒の一実施形態において、触媒は、高い触媒生産性を提供する架橋された高置換度のメタロセンであってもよい。別の実施形態において、触媒は、架橋置換シクロペンタジエンを含み得る。別の実施形態において、触媒は、架橋置換インデンまたはフルオレンを含み得る。本明細書において有用なメタロセン化合物(プレ触媒)は、好ましくは、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムのシクロペンタジエニル誘導体である。一般に、有用なチタノセン、ジルコノセンおよびハフノセンは、以下の式で表現され得る。
(Cp−A’−Cp*)MX12 (1)
式中、Mは、金属中心であり、第4族金属、好ましくはチタン、ジルコニウムまたはハフニウム、好ましくはジルコニウムまたはハフニウムであり;CpおよびCp*は、それぞれMに結合し、0〜4個の置換基S’’で置換された、同じもしくは異なるシクロペンタジエニル環であり、各置換基S’’は、独立して、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリルカルビルまたはゲルミルカルビルであるラジカル基であり、または、CpおよびCp*は、任意の2個の隣接S’’基が任意選択で連結して置換もしくは非置換の飽和、部分飽和もしくは芳香族環式もしくは多環式置換基を形成する、同じもしくは異なるシクロペンタジエニル環であり;A’は、架橋基であり;X1およびX2は、独立して、ヒドリド基、ヒドロカルビル基、置換ヒドロカルビル基、ハロカルビル基、置換ハロカルビル基、シリルカルビル基、置換シリルカルビル基、ゲルミルカルビル基、もしくは置換ゲルミルカルビル基であり;または、両方のXが連結して金属原子に結合し、約3〜約20個の炭素原子を含有する金属環式環を形成し;あるいは、両方が共にオレフィン、ジオレフィン、もしくはアライン配位子であってもよく;あるいは、上記のようなX配位子を遷移金属成分に供与することができる、メチルアルモキサン等のルイス酸活性剤が使用される場合、両方のXは、独立して、ハロゲン、アルコキシド、アリールオキシド、アミド、リン化物もしくは他の一価アニオン配位子であり、または、両方のXが連結して、アニオン性キレート配位子を形成してもよい。好ましい実施形態において、メタロセンは、ラセミ体であり、化合物は、金属中心Mを含有する対称面を有さず、金属中心を通るC2対称軸または擬似C2対称軸を有する。
あるいは、原料は、1種または複数種の非配位アニオン活性剤またはアルモキサン活性剤を含む、非架橋置換芳香族遷移金属化合物を用いてオリゴマー化され得る。そのような触媒の実施形態は、非架橋置換シクロペンタジエン、非架橋置換または非置換インデン、および非架橋置換または非置換フルオレンを含む。
【0016】
非架橋遷移金属化合物の別の実施形態において、非架橋置換芳香族遷移金属化合物は、1)各環上に少なくとも1つの非イソオレフィン置換を有し、または、2)少なくとも1つの環上に少なくとも2つの置換を有し、好ましくは各環上に少なくとも2つの置換を有する。非架橋遷移金属化合物は、以下の式を有する。
(CpCp*)MX12 (2)
式中、Cp、Cp*、M、X1、およびX2は、式(1)を参照して上述したのと同じ構造を有するが、ただしCpおよびCp*は、0〜5個の置換基S’’で置換されていてもよい。
【0017】
好ましい実施形態において、低粘度PAOを得るためにメタロセン触媒を使用する場合、遷移金属は、以下の構造を有する。
【0018】
【化1】

式中、Mは、第4族金属、好ましくはチタン、ジルコニウムもしくはハフニウム、好ましくはジルコニウムもしくはハフニウムであり、各Xは、水素、ハロゲン、ヒドリド基、ヒドロカルビル基、置換ヒドロカルビル基、ハロカルビル基、置換ハロカルビル基、シリルカルビル基、置換シリルカルビル基、ゲルミルカルビル基、もしくは置換ゲルミルカルビル基であり;または、両方のXが連結して金属原子に結合し、約3〜約20個の炭素原子を含有する金属環式環を形成し;または、両方が共にオレフィン、ジオレフィンもしくはアライン配位子であってもよく;R1〜R10は、独立して、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリルカルビルもしくはゲルミルカルビル(好ましくは水素、もしくはC1−C20ヒドロカルビル、置換C1−C20ヒドロカルビル、もしくはヘテロ原子)であるラジカル基であるが、ただし、1)R1〜R5の少なくとも1個は、水素もしくはイソオレフィンではなく、R6〜R10の少なくとも1個は、水素もしくはイソオレフィンではなく、または、2)R1〜R5の少なくとも2個は、水素ではなく(好ましくはR6〜R10の少なくとも2個は、水素ではなく)、任意の2個の隣接するR1〜R5基は、C4−C20環式もしくは多環式部分(例えば置換もしくは非置換インデンまたは置換もしくは非置換フルオレン)を形成してもよく、任意の2個の隣接するR6〜R10基は、C4−C20環式もしくは多環式部分(例えば、置換もしくは非置換インデンまたは置換もしくは非置換フルオレン)を形成してもよい。
【0019】
触媒前駆体は、メチルアルモキサン等の一般に知られている活性剤により活性化されると、オレフィンの重合またはオリゴマー化の活性触媒を形成する。使用可能な活性剤は、メチルアルモキサン、改質メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、イソ−ブチルアルモキサン等のアルモキサンを含み、ルイス酸活性剤は、トリフェニルホウ素、トリス−パーフルオロフェニルホウ素、トリス−パーフルオロフェニルアルミニウム等を含み、イオン性活性剤は、ジメチルアニリニウムテトラキスパーフルオロフェニルボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキスパーフルオロフェニルボレート、ジメチルアニリニウムテトラキスパーフルオロフェニルアルミネート等を含む。
【0020】
共活性剤は、活性剤と組み合わせて使用された場合に活性触媒が形成されるように、遷移金属錯体をアルキル化することができる化合物である。共活性剤は、メチルアルモキサン等のアルモキサン、改質メチルアルモキサン等の改質アルモキサン、およびトリメチルアルミニウム、トリ−イソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、およびトリ−イソプロピルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウムまたはトリ−n−ドデシルアルミニウム等のアルミニウムアルキルを含む。共活性剤は、典型的には、プレ触媒がジヒドロカルビルまたはジヒドリド錯体ではない場合、ルイス酸活性剤およびイオン性活性剤と組み合わせて使用される。共活性剤はまた、供給物または反応器内の不純物を不活性化するためのスカベンジャーとして使用されることもある。
特に好ましい共活性剤は、アルキルアルミニウム化合物を含み、式R3Al(式中、各Rは、独立して、C118アルキル基であり、好ましくは、各Rは、独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、イソ−ブチル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソ−ヘキシル、n−ヘプチル、イソ−ヘプチル、n−オクチル、イソ−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、およびそれらのイソ−類似体からなる群から選択される)で表される。
【0021】
典型的に活性剤として有用なアルモキサン成分は、好ましくは、環式化合物である一般式(Rx−Al−O)nで表されるオリゴマーアルミニウム化合物、または直鎖化合物であるRx(Rx−Al−O)nAlRx2で表されるオリゴマーアルミニウム化合物である。最も一般的なアルモキサンは、環式および直鎖化合物の混合物であると考えられる。アルモキサンの一般式において、Rxは、独立して、C1−C20アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、それらの異性体等であり、「n」は、1〜50の整数である。最も好ましくは、Rxは、メチルであり、「n」は、少なくとも4である。メチルアルモキサンおよび改質メチルアルモキサンが最も好ましい。
アルモキサンまたは改質アルモキサンが使用される場合、触媒前駆体対活性剤のモル比は、約1:3000〜10:1、または1:2000〜10:1、または1:1000〜10:1、または1:500〜1:1、または1:300〜1:1、または1:250〜1:1、または1:200〜1:1、または1:100〜1:1、または1:50〜1:1、または1:10〜1:1である。活性剤がアルモキサン(改質または非改質)である場合、いくつかの実施形態では、触媒前駆体に対し5000倍モル過剰(金属触媒部位当たり)の活性剤の最大量が選択される。好ましい最小の活性剤対共触媒前駆体比は、1:1モル比である。
【0022】
イオン性活性剤(共活性剤と組み合わせて使用される場合もある)が本発明の実践において使用されてもよい。好ましくは、[Me2PhNH][B(C654]、[Ph3C][B(C654]、[Me2PhNH][B((C63−3,5−(CF32))4]、[Ph3C][B((C63−3,5−(CF32))4]、[NH4][B(C654]等の別個のイオン性活性剤、またはB(C653もしくはB(C653等のルイス酸活性剤を使用することができ、式中、Phは、フェニルであり、Meは、メチルである。使用される場合、好ましい共活性剤は、メチルアルモキサン等のアルモキサン、改質メチルアルモキサン等の改質アルモキサン、ならびにトリ−イソブチルアルミニウム、およびトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、およびトリ−イソプロピルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウムまたはトリ−n−ドデシルアルミニウム等のアルミニウムアルキルである。
担持触媒および/または担持触媒系がPAOの調製に使用されてもよい。有用な担持触媒系は、他の配位触媒系を担持するのに効果的な任意の方法により調製され得るが、ここで効果的とは、そのようにして調製された触媒が、不均一プロセスにおいてオレフィンをオリゴマー化または重合するために使用され得ることを意味する。触媒前駆体、活性剤、共活性剤(必要な場合)、好適な溶媒、および担体は、任意の順番で、または同時に添加され得る。さらに、2種以上の異なる触媒前駆体が、同じ担体上に配置されてもよい。同様に、2種以上の活性剤、または活性剤および共活性剤が、同じ担体上に配置されてもよい。
【0023】
好適な固体粒子担体は、典型的には、ポリマー材料または耐火性酸化物材料を含み、それぞれ好ましくは多孔質である。10μmを超える平均粒径を有する任意の担体材料が、本発明における使用に好適である。様々な実施形態では、多孔質担体材料、例えばタルク、無機酸化物、塩化マグネシウム等の無機塩化物等、および樹脂性担体材料、例えばポリスチレンポリオレフィンもしくはポリマー化合物、または任意の他の有機担体材料等が選択される。いくつかの実施形態では、担体材料として、第2族、第3族、第4族、第5族、第13族または第14族金属または半金属酸化物を含む無機酸化物材料が選択される。いくつかの実施形態では、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、およびそれらの混合物を含む触媒担体材料が選択される。他の無機酸化物も、単体で、またはシリカ、アルミナ、もしくはシリカ−アルミナと組み合わせて機能し得る。これらは、マグネシア、チタニア、ジルコニア等である。モンモリロナイトおよび同様の粘土等のルイス酸材料もまた、担体として機能し得る。この場合、担体は、任意選択で活性剤成分も兼ねることができる。しかしながら、追加の活性剤が使用されてもよい。いくつかの場合において、固体結晶性担体もまた使用され得る。結晶性担体は、第2の成分で改質された場合、調節可能な細孔サイズおよび調節可能な酸性度で調製され得るが、MCM−41がそのような結晶性担体の一例である。このクラスの材料およびその改質の詳細な説明は、米国特許第5,264,203号に見出すことができる。メタロセン触媒用のポリマー担体もまた、ノネン含有原料のオリゴマー化または重合における使用に好適である。
【0024】
有用な触媒担体は、10〜700m2/gの表面積、および/または0.1〜4.0cc/gの細孔容積、および/または10〜500μmの平均粒径を有し得る。いくつかの実施形態では、50〜500m2/gの表面積、および/または0.5〜3.5cc/gの細孔容積、および/または20〜200μmの平均粒径が選択される。他の実施形態では、100〜400m2/gの表面積、および/または0.8〜3.0cc/gの細孔容積、および/または30〜100μmの平均粒径が選択される。本発明の担体は、典型的には、10〜1000オングストローム、または50〜500オングストローム、または75〜350オングストロームの細孔サイズを有する。メタロセンおよび/またはメタロセン/活性剤の組合せは、一般に、固体担体のグラム当たり触媒前駆体10〜100マイクロモル、または固体担体のグラム当たり触媒前駆体20〜80マイクロモル、または担体のグラム当たり触媒前駆体40〜60マイクロモルの投入レベルで担体上に堆積される。しかしながら、固体触媒前駆体の総量が担体の細孔容積を超えない限り、より大きいまたはより小さい値が使用されてもよい。
【0025】
別の実施形態において、反応器に進入する前に、メタロセン、活性剤(担体を含む、もしくは含まない)、または供給ストリームは、触媒効率を改善するために、触媒毒スカベンジャー(poison scavenger)と組み合わされる。スカベンジャーは、式R3Al(式中、各Rは、独立して、C1−C20アルキル基であり、好ましくは、R基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、n−ブチル、ペンチル、イソペンチル、n−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、n−ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、n−オクチル、ノニル、イソノニル、n−ノニル、デシル、イソデシル、n−デシル、ウンデシル、イソウンデシル、n−ウンデシル、ドデシル、イソドデシル、およびn−ドデシル、好ましくはイソブチル、n−オクチル、n−ヘキシル、およびn−ドデシルからなる群から独立して選択される)で表されるアルキルアルミニウム化合物である。好ましくは、アルキルアルミニウム化合物は、トリ−イソブチルアルミニウム、トリn−オクチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、およびトリ−n−ドデシルアルミニウムから選択される。活性剤に対する遷移金属化合物のモル比は、10:1〜0.1:1であり、スカベンジャー化合物が存在する場合、遷移金属化合物に対するスカベンジャー化合物のモル比は、1:4〜4000:1である。
好適なメタロセン触媒および触媒の活性剤のさらなる例は、米国特許出願公開第2007/0043248号および米国特許出願公開第2009/005279号に見出すことができ、その両方が参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0026】
製造プロセス
ポリα−オレフィンの製造の以下の説明において、オリゴマー化および重合という用語、ならびにその両方の単語からの派生語が使用されるが、開示される本発明の目的において、オリゴマー化および重合は同義であり、化学反応により個々のポリマーが互いに結合する反応を示す。ノネン、またはノネンおよびα−オレフィンの混合物は、少なくとも1個の連続撹拌反応器内で、選択された触媒を用いて連続的に重合される。モノマー、ダイマー、および触媒は、反応混合物から除去され、回収および再利用され得る。実施形態において、例えばダイマーが所望の生成物である場合において、生成物は、好ましくは、ダイマーの蒸留の前にまず水素化される。ダイマーが最初に除去される場合は、生成物は、次いでオリゴマーを飽和させるために水素化される。次いで、最終生成物がさらに蒸留され、いくつかの実施形態において、異なるグレードのPAOが生成され得る。
反応は、単一または複数段階反応器において、バッチ式、半バッチ式、または連続的であってもよい。反応ゾーンは、原料のオリゴマーの生成を提供するように維持および制御された好適な条件下で反応を提供する、当技術分野において知られた任意の反応手段であってもよい。反応器のそれぞれが、供給物および触媒を混合して密な接触を提供するための混合または撹拌手段を備えることが好ましい。より好ましい実施形態において、連続撹拌タンク式反応器(CSTR)が直列で使用される。CSTRは、それ自体当技術分野において知られている。
【0027】
原料、触媒、および任意の共触媒は、別個に、または一緒に第1の反応ゾーン内に導入され得る。一実施形態において、触媒は、任意の共触媒およびオレフィン原料と同時に反応器内に導入される。触媒は、触媒を反応ゾーンに導入する他の既知の方法と同様に、反応混合物中に散布され得る。別の実施形態において、直列接続された2つ以上の連続撹拌反応器の場合、触媒、共触媒およびオレフィン供給物は、好ましくは同時に、第1の反応器にのみ導入される。別の実施形態において、触媒およびオレフィン原料の混合物が、第1のオリゴマー化反応器内に供給されて部分的に反応し、次いで第2のオリゴマー化反応器内に供給されて反応が完了するまで継続され得るか、または反応がさらに進行され得、次いで触媒、直鎖α−オレフィンおよびオリゴマーの混合物が第3のオリゴマー化反応器内に供給されて反応が完了される。追加のオリゴマー化反応器が直列で使用されてもよい。
【0028】
反応条件は、モノマーから所望の生成物への効果的な変換をもたらすような条件である。そのような条件はまた、必要以上の実験を行うことなく、本開示を把握している当業者により決定され得る。一般に、反応器を低圧で、好ましくは約大気圧〜約50psiaで運転することが最も経済的である。一実施形態において、反応ゾーンは、過剰の触媒を含有し、これは圧力および触媒の分圧により統御される。これに関して、触媒は、反応ゾーン内で、約2〜約500psig、好ましくは約2〜50psig(1psi=703kg/m2)の圧力に維持されるのが好ましい。
反応のための好適な温度もまた従来通りであり、約−20℃〜約90℃で変動し得るが、約15℃〜70℃の範囲が好ましい。各反応器内の適切な滞留時間、および処理に関する他のさらなる詳細は、本開示を把握している当業者の技術の範囲内である。
【0029】
一実施形態において、溶媒は使用されない。別の実施形態において、不活性希釈剤が使用されてもよく、好ましくは、C5−C19パラフィン系炭化水素、好ましくはC6−C13パラフィン系流体、例えばNorpar(商標)12流体、主として12個の炭素の脂肪族化合物を有する脂肪族(パラフィン系)溶媒等の流体から選択される。
メタロセンまたは担持還元金属酸化物触媒が使用される場合、反応器への原料の導入前に、原料は、過酸化物、酸素、硫黄、窒素含有有機化合物、および/またはアセチレン化合物等の触媒毒を除去するために処理されてもよい。この処理は、触媒生産性を、典型的には5倍超、好ましくは10倍超増加させると考えられる。
PAOの生成にメタロセン触媒を使用する場合、本発明において、溶液、スラリー、およびバルク重合またはオリゴマー化プロセス等、メタロセン触媒重合またはオリゴマー化に使用される多くの重合/オリゴマー化プロセスおよび反応器タイプが使用され得る。いくつかの実施形態において、固体または担持触媒が使用される場合、スラリーまたは連続固定床または栓流プロセスが好適である。好ましい実施形態において、溶液相、バルク相、またはスラリー相内で、好ましくは連続撹拌タンク反応器、連続管状反応器、またはバッチ反応器内で、モノマーをメタロセン化合物および活性剤と接触させる。
【0030】
メタロセン触媒生成に使用される任意の反応器内の温度は、−10℃〜250℃、好ましくは30℃〜220℃、好ましくは50℃〜180℃、好ましくは60℃〜170℃である。本明細書において使用される任意の反応器内の圧力は、0.1〜100気圧、好ましくは0.5〜75気圧、好ましくは1〜50気圧である。別の実施形態において、本明細書において使用される任意の反応器内の圧力は、1〜50,000気圧、好ましくは1〜25,000気圧である。別の実施形態において、モノマー、メタロセンおよび活性剤は、1秒〜100時間、好ましくは30秒〜50時間、好ましくは2分〜6時間、好ましくは1分〜4時間接触される。別の実施形態において、溶媒または希釈剤が反応器内に存在し、好ましくは、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、およびn−ブチルベンゼンからなる群から選択され、好ましくは、トルエンおよび/またはキシレンおよび/またはエチルベンゼン、ノルマルパラフィン、またはイソパラフィン溶媒(例えば、ExxonMobil Chemical Company(ヒューストン、テキサス)から入手可能なIsopar溶媒)である。これらの溶媒または希釈剤は、通常、供給オレフィンと同じ様式で前処理される。
【0031】
この実施形態のプロセスにおいて、1種または複数種の遷移金属化合物、任意選択で1種または複数種の活性剤、および1種または複数種のモノマーを接触させてポリマーまたはオリゴマーを生成する。これらの触媒は、担持されてもよく、したがって、単一、直列または並列反応器内で行われる既知のスラリー、溶液またはバルク運転モードにおいて特に有用である。触媒、活性剤または共活性剤が可溶性の化合物である場合、反応は、溶液モードで実行することができる。成分の1つが反応媒体または供給溶液に完全に可溶でない場合であっても、反応の開始時または反応の間もしくは後の段階において、溶液またはスラリー型の運転をまだ適用することができる。いずれの場合においても、トルエンもしくは他の好都合に利用可能な芳香族溶媒等の溶媒中、または脂肪族溶媒中、または供給α−オレフィンストリーム中に溶解または懸濁した触媒成分を、不活性雰囲気(通常窒素またはアルゴンブランケット雰囲気)下で反応器内に供給し、重合またはオリゴマー化を生じさせる。重合またはオリゴマー化は、バッチモードで実行することができ、全ての成分を反応器内に加え、予め設定された変換度まで、部分変換または完全変換まで反応させる。続いて、空気もしくは水への暴露等の任意の可能な手段により、または不活性化剤を含有するアルコールもしくは溶媒の添加により、触媒を不活性化させる。重合またはオリゴマー化はまた、半連続運転で実行することができ、供給オレフィンに対する触媒系成分の一定の比率を維持するように、供給物および触媒系成分は、連続的および同時に反応器に加えられる。全ての供給物および触媒成分を加えたら、所定の段階まで反応を進行させる。次いで、バッチ運転に関して説明された様式と同じ様式で、触媒不活性化により反応を中断する。重合またはオリゴマー化はまた、連続運転で実行することができ、触媒系および供給オレフィンの一定の比率を維持するように、供給物および触媒系成分は、連続的および同時に反応器に加えられる。反応生成物は、典型的な連続撹拌タンク反応器(CSTR)運転の場合のように、反応器から連続的に引き出される。反応物質の滞留時間により、変換度が制御される。引き出された生成物は、次いで、典型的には、他の運転と同様の様式で、別個の反応器内でクエンチされる。好ましい実施形態において、本明細書に記載のPAOを調製するためのプロセスのいずれも、連続プロセスである。好ましくは、連続プロセスは、a)少なくとも10モル%の原料α−オレフィンを含む供給ストリームを、反応器内に連続的に導入するステップと、b)メタロセン化合物および活性剤を、反応器内に連続的に導入するステップと、c)反応器からポリα−オレフィンを連続的に引き出すステップと含む。別の実施形態において、連続プロセスは、反応器の全圧を基準として、反応器内の水素の分圧を200psi(1379kPa)以下、好ましくは150psi(1034kPa)以下、好ましくは100psi(690kPa)以下、好ましくは50psi(345kPa)以下、好ましくは25psi(173kPa)以下、好ましくは10psi(69kPa)以下に維持するステップを含む。あるいは、存在する場合、水素は、反応器内に、1000質量ppm以下、好ましくは750ppm以下、好ましくは500ppm以下、好ましくは250ppm以下、好ましくは100ppm以下、好ましくは50ppm以下、好ましくは25ppm以下、好ましくは10ppm以下、好ましくは5ppm以下で存在する。あるいは、存在する場合、水素は、供給物中に、1000質量ppm以下、好ましくは750ppm以下、好ましくは500ppm以下、好ましくは250ppm以下、好ましくは100ppm以下、好ましくは50ppm以下、好ましくは25ppm以下、好ましくは10ppm以下、好ましくは5ppm以下で存在する。
【0032】
非メタロセン触媒の場合と同様に、メタロセン触媒を使用してPAOを製造する場合、直列もしくは並列の1つもしくは複数の反応器が使用されてもよく、または、単一の反応器が使用されてもよい。
反応時間または反応器滞留時間は、通常、使用される触媒の種類、使用される触媒の量、および所望の変換レベルに依存する。
【0033】
PAO
本発明に従い生成されるPAOは、典型的には、ノネン単体の、または1種もしくは複数種のC6−C24オレフィンモノマー、好ましくは1種もしくは複数種のC6−C24α−オレフィンモノマー、好ましくは1種もしくは複数種のC6−C24直鎖α−オレフィンモノマーと組み合わせた、ダイマー、トライマー、テトラマー、またはより高次のオリゴマーもしくはポリマーである。あるいは、オレフィン二重結合から少なくとも2個の炭素分離れたアルキル置換基を有するα−オレフィンもまた使用され得る。典型的には、本明細書において生成されるPAOは、通常、多くの異なるオリゴマーの混合物である。これらのα−オレフィンからの最小オリゴマーは、C10−C18またはC20の範囲の炭素数を有し、一般に原料オレフィンのダイマーである。これらの小オリゴマーは、通常、ほとんどの高性能流体用途には軽すぎる。小オリゴマーは、高性能流体としてより好ましい、C18またはC20を超える、例えばC24以上の炭素数を有するより高次のオリゴマーから分離される。これらの分離されたC10−C20オリゴマーオレフィンまたは水素化後の対応するパラフィンは、優れた生体分解性、毒性、粘度等を有する掘削流体、溶媒、塗料用シンナー等の特殊用途に使用され得る。C20、またはC30以上の留分における高性能流体留分は、典型的には、より低い粘度を有し、そのため、より良い燃費、より良い生体分解性、より良い低温流動特性、またはより低い揮発性等、いくつかの用途において有益となっている。より高粘度の生成物は、通常、はるかに高い平均重合度を有しており、C20またはC30成分の量が非常に低い。これらの高粘度流体は、粘度を改善するための潤滑用途の優れたブレンド原料である。高粘度流体は、通常狭い分子量分布を有するために、優れたせん断安定性を有する。高粘度流体は、独特の化学組成を有するために、優れた粘性特性および予想外の低静止摩擦特性を有する。これらのより高粘度のPAOは、優れたブレンド原料として使用され得る。より高粘度のPAOは、Gr I、II、III、III+、GTLおよびGr V流体のいずれかとのブレンド原料となり、最適な粘性、溶解性、高温および低温潤滑性等を提供し得る。それらはまた、酸化防止剤、耐摩擦添加剤、摩擦調整剤、分散剤、洗浄剤、腐食阻害剤、消泡剤、極圧添加剤、シール膨張添加剤(seal swell additive)、および任意選択で粘度調整剤等を含む、適切な添加剤とさらにブレンドされ得る。一実施形態において、PAOは、20wt%以下のダイマーを有する。別の実施形態において、PAOは、少なくとも50wt%の原料オレフィンのトライマーおよびテトラマーを有する。
【0034】
開示されるノネンを含む原料により生成されるPAOは、上述の触媒およびプロセスのいずれかとの任意の組合せにおいて、100℃で測定して1.5cSt〜2,000cStの範囲の動粘度を有する。PAOが40cSt未満の100℃粘度を有する場合、PAOは、一般に、低粘度PAOと呼ばれる。PAOが40cSt以上の100℃粘度を有する場合、PAOは、一般に、高粘度PAOと呼ばれる。
開示される供給物を使用して生成され得る他の可能なPAOは、高粘度指数(HVI)PAOと呼ばれるものを含む。そのようなHVI PAOは、100℃で少なくとも100cStの粘度を有する。HVI PAOの粘度指数は、200を超える。
【0035】
例示的PAO
以下の例は、本発明の実施形態を例示することを意図し、本開示を把握している当業者には、多くの修正および変形が可能であることが認識される。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲内で、本明細書において具体的に説明されたものとは異なるように実践され得ることを理解されたい。
以下に報告される例のそれぞれにおいて、100℃、40℃および−40℃動粘度は、それぞれの温度でASTM D−445を参照して測定し、流動点は、ASTM D−97を参照して決定し、粘度指数(VI)は、ASTM D−2270を参照して決定し、Noack揮発度は、ASTM D−5800 Procedure Bを参照して決定した。以下の略語を使用した:BuOH=1−ブタノール、BuAc=酢酸ブチル、PrOH=1−プロパノール、PeOH=1−ペンタノール。
【0036】
例A〜E
単一撹拌タンク反応器内での半バッチモードにより、または一連の撹拌タンク反応器内での連続モードにより、BF3、ならびにノルマルアルコールおよびアセテートの混合物で促進されたBF3を使用して、LAOの混合物をオリゴマー化する。半バッチモードにおいて、反応混合物を、0.5wt%NaOH水溶液でクエンチし、蒸留水で洗浄する。分離した生成物を蒸留し、未反応モノマーおよびダイマーを除去する。連続モードにおいて、反応混合物を過剰のアルコールと合わせ、蒸留して促進剤ならびに未反応モノマーおよびダイマーを除去する。得られた生成物を水素化して、オリゴマーを飽和させる。反応条件および生成物の特性を表1に示す。
【0037】
【表1】

--特性決定されていない
*C27-C30留分に対して特性決定された
**2種の異なる試料に対して特性決定された
【0038】
例F〜I
例F〜Iにおいては、モータ駆動撹拌器および邪魔板を装備した12リットルのジャケット付き四口丸底ガラスフラスコ(反応器)内で、オリゴマー化反応を行った。ポンプが温度浴からジャケットを通して水を循環させ、反応温度を制御した。LAO供給混合物を、供給槽内に投入した。いくつかの場合において、オリゴマー化中の混合および熱伝達を改善するためにn−パラフィン(Sasol Solvents社から入手)をオレフィン混合物に添加し(オレフィンの28wt%)、LAOのオリゴマー化を改善するためにm−キシレン(オレフィンの0.5wt%)を添加した。オリゴマー化の開始前に乾燥窒素を使用して反応器をパージし、水分を除去した。続いて、反応中に少量の窒素を添加した。所望量、典型的には供給物の0.8〜3.5wt%のAlCl3触媒(Gulbrandsen Chemicals社から入手)を事前に秤量し、密閉ガラスバイアル瓶内に窒素下で保存した。オリゴマー化の開始時に、撹拌器を725〜750rpmに設定した激しい撹拌下で、供給オレフィン混合物をフラスコ内にポンプで導入した。プロトンドナーとして使用される一定量のDI(脱イオン)水を、AlCl3の1モル当たり水0.45〜0.5モルの設定で、反応フラスコ内にポンプで導入した。3時間にわたって、LAO、AlCl3、および水を反応フラスコに添加した。3時間後、LAO供給物、水または触媒なしで、反応器をさらに1時間保持した。その後、反応内容物に、同体積の苛性溶液(10wt%水酸化ナトリウム水溶液)を65℃で添加することにより、反応物をクエンチした。続いて、クエンチした物質を65℃の湯で2回洗浄した。分離した生成物を蒸留して未反応モノマーおよびダイマーを除去し、次いで水素化してオリゴマーを飽和させた。反応条件および生成物の特性を表2に要約する。
【0039】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0040】
したがって、本発明は、以下の実施形態を提供する。
A.α−オレフィンのオリゴマー化または重合のための方法であって、
a)反応器内で、α−オレフィンの原料および少なくとも1種のオリゴマー化または重合触媒系を、オリゴマー化または重合条件下で接触させてα−オレフィンをオリゴマー化または重合するステップであって、α−オレフィンの原料は少なくとも5wt%のノネンを含む、ステップと、
b)未反応α−オレフィンを除去して残油を得るステップと、
c)任意選択で残油を水素化して水素化生成物を得るステップとを含む方法。
B.原料が、10wt%を超えるノネンを含む、実施形態Aの方法。
C.原料が、100wt%のノネンから本質的になる、実施形態AまたはBの方法。
D.原料が、ノネンと、エチレン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、およびテトラデセンからなる群から選択される1種のα−オレフィンとからなる、実施形態AまたはBの方法。
E.原料が、5〜80wt%のノネンを含む、実施形態AまたはDの方法。
F.原料が、ノネンと、エチレン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、およびテトラデセンからなる群から選択される少なくとも2種のα−オレフィンからなる、実施形態AまたはBの方法。
G.原料が、10〜80wt%のノネンを含む、実施形態A、B、DまたはFの方法。
H.原料の質量パーセントが、7.0〜14.0の範囲の平均炭素数含量をもたらす、実施形態AからGのいずれか1つの方法。
I.水素化生成物を分離して、異なる公称粘度のポリα−オレフィンの少なくとも2種の留分を得るさらなるステップを含む、実施形態AからHのいずれか1つの方法。
J.触媒系が、触媒を含み、触媒は、フリーデル−クラフツ触媒、担持還元金属酸化物触媒、酸性イオン液体、架橋置換芳香族遷移金属化合物、および非架橋置換芳香族遷移金属化合物からなる群から選択される、実施形態AからIのいずれか1つの方法。
K.触媒系が、触媒を含み、触媒は、AlCl3、AlBr3、BF3、式(1)(Cp−A’−Cp*)MX12で表される化合物、および式(2)(CpCp*)MX12で表される化合物からなる群から選択され、式中、Mは、金属中心であり;CpおよびCp*は、それぞれMに結合し、式(1)については0〜4個の置換基で、式(2)については0〜5個の置換基で置換された、同じもしくは異なるシクロペンタジエニル環であり、各置換基は、独立して、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリルカルビルまたはゲルミルカルビルであるラジカル基であり、または、CpおよびCp*は、任意の2個の隣接置換基が連結して置換もしくは非置換の飽和、部分飽和、もしくは芳香族環式もしくは多環式置換基を形成する、同じもしくは異なるシクロペンタジエニル環であり;A’は、架橋基であり;X1およびX2は、独立して、ヒドリド基、ハライド基、ヒドロカルビル基、置換ヒドロカルビル基、ハロカルビル基、置換ハロカルビル基、シリルカルビル基、置換シリルカルビル基、ゲルミルカルビル基、もしくは置換ゲルミルカルビル基であり、または、両方のXが連結して金属原子に結合し、約3〜約20個の炭素原子を含有する金属環式環を形成する、実施形態AからIのいずれか1つの方法。
L.残油が、100℃で1.5〜2000cStの範囲の動粘度を有するポリα−オレフィンである、実施形態AからKのいずれか1つの方法。
M.残油が、20wt%以下のC18−C20の範囲の炭素数を有するオリゴマーを含むポリα−オレフィンである、実施形態AからLのいずれか1つの方法。
N.残油が、少なくとも50wt%のC27−C40の範囲の炭素数を有するオリゴマーを含むポリα−オレフィンである、実施形態AからMのいずれか1つの方法。
O.オリゴマー化α−オレフィンを含むポリα−オレフィンであって、前記オリゴマー化α−オレフィンは、a)ノネンを含むオレフィン原料および少なくとも1種のオリゴマー化または重合触媒を接触させてオレフィントライマーを含む中間生成物を得、b)中間生成物を分離して残油を得ることにより調製される、ポリα−オレフィン。
P.原料が、少なくとも5wt%のノネンを含む、実施形態Oのポリα−オレフィン。
Q.原料が、100wt%のノネンから本質的になる、実施形態Oのポリα−オレフィン。
R.オリゴマー化α−オレフィンを含むポリα−オレフィンであって、前記オリゴマー化α−オレフィンは、a)少なくとも5wt%のノネンを含むオレフィン原料および少なくとも1種のオリゴマー化または重合触媒を接触させ、オレフィントライマーを含む中間生成物を得、b)中間生成物を分離して残油を得ることにより調製される、ポリα−オレフィン。
S.原料が、10wt%を超えるノネンを含む、実施形態Rのポリα−オレフィン。
T.原料が、100wt%のノネンから本質的になる、実施形態Rのポリα−オレフィン。
U.水素化されている、実施形態RからTのいずれか1つのポリα−オレフィン。
V.残油が、100℃で1.5〜2000cStの範囲の動粘度を有するポリα−オレフィンである、実施形態RからUのいずれか1つのポリα−オレフィン。
W.残油が、C18−C20の範囲の炭素数を有する20wt%以下のオリゴマーを含むポリα−オレフィンである、実施形態RからVのいずれか1つのポリα−オレフィン。
X.残油が、C27−C40の範囲の炭素数を有する少なくとも50wt%のオリゴマーを含むポリα−オレフィンである、実施形態RからWのいずれか1つのポリα−オレフィン。
Y.少なくとも1種の追加のAPIグループI〜グループVベースストックとさらにブレンドされる、実施形態RからXのいずれか1つのポリα−オレフィン。
【0041】
本明細書において教示されるように生成されるPAOは、本明細書において、単独で潤滑剤または機能性流体として有用であり、または、それらは、様々な従来の添加剤と混合されてもよい。また、それらのPAOは、米国石油協会(API)グループI〜IIIおよびV等の他のベースストック、または他の従来のPAO(APIグループIV)だけでなく、他の炭化水素流体、例えばイソパラフィン、ノルマルパラフィン等と共にブレンドされてもよい。潤滑剤をPAOと配合する場合、PAO、他のベースストック、および他の炭化水素流体は、全体的な潤滑剤組成物の大部分または微少部分を形成してもよく、その選択および量、ならびに任意の追加的添加剤は、最終用途の基準に適合するように調整され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α−オレフィンのオリゴマー化のための方法であって、
a)反応器内で、α−オレフィンの原料および少なくとも1種のオリゴマー化または重合触媒系を、オリゴマー化または重合条件下で接触させてα−オレフィンをオリゴマー化または重合するステップであって、α−オレフィンの原料は少なくとも5wt%のノネンを含む、ステップと、
b)未反応α−オレフィンを除去して残油を得るステップと
を含み、
c)残油を水素化して水素化生成物を得るステップ
を含んでもよい方法。
【請求項2】
原料が、10wt%を超えるノネンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
原料が、100wt%のノネンから本質的になる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
原料が、ノネンと、エチレン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、およびテトラデセンからなる群から選択される1種のα−オレフィンとからなる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
原料が、5〜80wt%のノネンを含む、請求項1または4に記載の方法。
【請求項6】
原料が、ノネンと、エチレン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、およびテトラデセンからなる群から選択される少なくとも2種のα−オレフィンとからなる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
原料が、10〜80wt%のノネンを含む、請求項1、2、4、または6に記載の方法。
【請求項8】
原料の質量パーセントが、7〜14の範囲の平均炭素数含量をもたらす、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
水素化生成物を分離して、異なる公称粘度のポリα−オレフィンの少なくとも2種の留分を得るさらなるステップを含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
触媒系が、触媒を含み、触媒は、フリーデル−クラフツ触媒、担持還元金属酸化物触媒、酸性イオン液体、架橋置換芳香族遷移金属化合物、および非架橋置換芳香族遷移金属化合物からなる群から選択される、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
触媒系が、触媒を含み、触媒は、AlCl3、AlBr3、BF3、式(1)(Cp−A’−Cp*)MX12で表される化合物、および式(2)(CpCp*)MX12で表される化合物からなる群から選択され、式中、Mは、金属中心であり;CpおよびCp*は、それぞれMに結合し、式(1)については0〜4個の置換基で、式(2)については0〜5個の置換基で置換された、同じもしくは異なるシクロペンタジエニル環であり、各置換基は、独立して、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリルカルビルまたはゲルミルカルビルであるラジカル基であり、または、CpおよびCp*は、任意の2個の隣接置換基が連結して置換もしくは非置換の飽和、部分飽和、もしくは芳香族環式もしくは多環式置換基を形成する、同じもしくは異なるシクロペンタジエニル環であり;A’は、架橋基であり;X1およびX2は、独立して、ヒドリド基、ハライド基、ヒドロカルビル基、置換ヒドロカルビル基、ハロカルビル基、置換ハロカルビル基、シリルカルビル基、置換シリルカルビル基、ゲルミルカルビル基、もしくは置換ゲルミルカルビル基であり;または、両方のXが連結して金属原子に結合し、約3〜約20個の炭素原子を含有する金属環式環を形成する、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
残油が、100℃で1.5〜2000cStの範囲の動粘度を有するポリα−オレフィンである、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
残油が、20wt%以下のC18−C20の範囲の炭素数を有するオリゴマーを含むポリα−オレフィンである、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
残油が、少なくとも50wt%のC27−C40の範囲の炭素数を有するオリゴマーを含むポリα−オレフィンである、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
オリゴマー化α−オレフィンを含むポリα−オレフィンであって、前記オリゴマー化α−オレフィンは、a)少なくとも5wt%のノネンを含むオレフィン原料および少なくとも1種のオリゴマー化触媒を接触させてオレフィントライマーを含む中間生成物を得、b)中間生成物を分離してポリα−オレフィンを得ることにより調製される、ポリα−オレフィン。
【請求項16】
原料が、10wt%を超えるノネンを含む、請求項15に記載のポリα−オレフィン。
【請求項17】
原料が、100wt%のノネンから本質的になる、請求項15に記載のポリα−オレフィン。
【請求項18】
100℃で1.5〜2000cStの範囲の動粘度を有する、請求項15から17のいずれか1項に記載のポリα−オレフィン。
【請求項19】
20wt%以下のC18−C20の範囲の炭素数を有するオリゴマーを含む、または少なくとも50wt%のC27−C40の範囲の炭素数を有するオリゴマーを含む、請求項15から18のいずれか1項に記載のポリα−オレフィン。
【請求項20】
少なくとも1種の追加のAPIグループI〜グループVベースストックとさらにブレンドされている、請求項15から19のいずれか1項に記載のポリα−オレフィン。

【公表番号】特表2013−512328(P2013−512328A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542030(P2012−542030)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/055834
【国際公開番号】WO2011/071631
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】