説明

ハイドロキシアパタイトの製造方法及びハイドロキシアパタイト−蛋白質複合体の製造方法

【課題】レーザー技術(低エネルギーレーザー光の照射)を利用して材料上に、アパタイト前駆体のパターンを効率良く形成させる技術を提供する。そして、照射条件の最適化と非接触なマスクの利用により、アパタイトパターンを直接ポリマーなどのソフトな材料上に簡便に作製できる技術を提供する。
【解決手段】カルシウムイオンとリン酸イオンが存在する液相中に配置した基体表面に、1W/mm未満のエネルギーのレーザー光を照射し、前記基体上にハイドロキシアパタイト生成核を析出させることを特徴とするハイドロキシアパタイトの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイドロキシアパタイトパターン(HAP:以下必要に応じて簡略的に「HAP」を使用する。)の製造方法及びハイドロキシアパタイト−蛋白質複合体のパターン製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、優れた生体親和性を有するハイドロキシアパタイトのパターン形成法がいくつか提案されている。しかしながら、従来のパターン形成法を、そのままハイドロキシアパタイト(以下、アパタイト)に適応することにはいくつかの問題点がある。
【0003】
第1の理由は、アパタイトが水酸基やリン酸イオンを構造の中に持っているため通常の物理的手法の適用が難しいことが挙げられる。これは、多くのパターン作製法が物理的手法をベースにしているため、アパタイトパターンの作製を目指しても、別の生成物になってしまう可能性が高いことである。
【0004】
第2の理由は、ポリマーなどの非導電性物質や低融点物質にも適用可能で、かつマスク除去などに他の強力な化学薬品を使用しない方法が望まれることである。
【0005】
これまでに報告されているアパタイトパターン作製例では、フォトリソグラフィーを使って作製したパターンを利用する方法がある。このパターンにまず、カルシア・シリカ系ガラスに接触させながら疑似体液(SBF)に浸漬して結晶核を生成させ、その後、レジスト除去と高濃度SBFを使った結晶成長をこの順番あるいは逆の順番に行うことでアパタイトパターンを形成させる方法がある(非特許文献1参照)。
【0006】
浸漬させる液体としては、塩化カルシウム水溶液とリン酸水素二ナトリウム水溶液に交互に浸せきさせる方法も検討されている(非特許文献2参照)。
また、基板上に金属のパターンを蒸着とマスクあるいはレジストパターンを利用して作製し、これを陰極として液中に分散させたアパタイト粒子を泳動電着させることで、アパタイトのパターンを作製することも試みられている(非特許文献3及び非特許文献4参照)が、基板の導電性が要求される。
【0007】
一方、マスクを使ってカルシウムとリンのイオンビームを基板に照射した後、これをSBF中に1日間浸せきすることにより、アパタイトのパターンを形成する方法が報告されている(非特許文献5参照)。しかし、この場合、基板は金属やセラミックスのような材料しか使えず、ポリマーなどのソフトマテリアルの使用は困難である。
【0008】
以上のデータは、いずれもレジストを使ってパターンをあらかじめ作製しておくこと、あるいは基板に接触させた金属マスクがパターン形成に必要である。したがって、化学薬品を使ったマスク除去や取り外しの過程を必要とする。
【0009】
また、接触型のパターンを使ってレーザーを使ったアパタイトパターン作製を検討した例が報告されている。強いエネルギー(10W/mmのオーダー)の集光されたレーザービームを使い、SBF中でアパタイトが生成したとしているが、これを証明するX線回折データやパターン形成例を実証した証拠は提示されていない。また、生成物の走査型電子顕微鏡写真として示されているデータもアパタイトに特徴的な針状結晶ではないことから、このような強い条件下でのプロセスでは異なる物質が生成していると断定せざるを得ない(非特許文献6参照)。
【0010】
その他、特許文献ではさまざまな方法により作製したアパタイト薄膜に関しての特許出願はあるが、パターン作製を請求しているものは数少なく、手法については、化学振動反応を利用したものなど数例に過ぎない(特許文献8−特許文献10参照)。
また、レーザーを使ったアパタイト生成に関しても、薄膜作製に関しての特許出願はあるが(特許文献11及び特許文献12参照)、パターン生成についての出願例は見当たらない。
【0011】
【非特許文献1】Ozawa N, J., Biomed. Mater. Res., 62(4), 579-586 (2002).
【非特許文献2】Tsutsumi H et al., Polymer, 44(2003) 6297-6301.
【非特許文献3】Wang, R et al, J. Biomed. Mater. Res. A, 67A(1) 270-275 (2003)
【非特許文献4】Yamaguchi S et al., Key Eng. Mater., 309-311, 659-662 (2006)
【非特許文献5】Pramatarova L et al., Vacuum 76 (2004) 335-358
【非特許文献6】Pramatarova L et al., Euro. Cell Mater., 9 (2005) 9-12
【特許文献1】特開2006−256900
【特許文献2】特開昭63−196281
【特許文献3】USP2003/0203002A1
【特許文献4】特願2003−341646
【特許文献5】WO 1997/046727
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
アパタイトは優れた生体活性をもつことから、骨代替材料などとして既に実用化されている。また、その生体活性を応用することにより、さまざまなバイオマテリアル、バイオデバイスなどへの展開が期待されている。しかし、そのためにはパターン形成が重要であるが、従来知られているパターン形成法は、特定の基板に限定され、かつ複雑な物理的なプロセスからなっている。
【0013】
本発明は、レーザー技術(低エネルギーレーザー光の照射)を利用して生体材料上に、アパタイト前駆体のパターンを効率良く形成させる技術を提供するものである。そして、照射条件の最適化と非接触なマスクの利用により、アパタイトパターンを直接ポリマーなどのソフトな材料上に簡便に作製できる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以上から、本発明は、
1)カルシウムイオンとリン酸イオンが存在する液相中に配置した基体表面に、1W/mm未満のエネルギーのレーザー光を照射し、前記基体上にハイドロキシアパタイト前駆体を析出させることを特徴とするハイドロキシアパタイトの製造方法
2)基体に非接触のマスクを通して、レーザー光を基体に照射し、基体上にハイドロキシアパタイト生成核のパターンを形成することを特徴とする上記1記載のハイドロキシアパタイトの製造方法
3)カルシウムイオンとリン酸イオンが過飽和に存在する液相中で、基体上にハイドロキシアパタイト生成核を析出させることを特徴とする上記1又は2記載のハイドロキシアパタイトの製造方法
4)カルシウムイオンとリン酸イオンが存在する液相中に配置した基体表面にレーザー光を照射し、前記基体上にハイドロキシアパタイト前駆体を析出させた後、該基体をカルシウムイオンとリン酸イオンが過飽和に存在する液相中に浸漬し、該基体表面にハイドロキシアパタイトを形成させることを特徴とする上記1〜3のいずれか一項に記載のハイドロキシアパタイトの製造方法
6)針状ハイドロキシアパタイトのポーラス構造からなる上記1〜5のいずれか一項に記載のハイドロキシアパタイトの製造方法、を提供する。
【0015】
また、本発明は、
7)カルシウムイオンとリン酸イオンが存在する液相中に配置した基体表面にレーザー光を照射し、前記基体上にハイドロキシアパタイト前駆体を析出させた後、該基体を過飽和に存在するカルシウムイオンとリン酸イオン、及び蛋白質が存在する液相中に浸漬し、該基体表面に蛋白質−ハイドロキシアパタイト複合層を形成することを特徴とする上記1〜6のいずれか一項に記載の蛋白質−ハイドロキシアパタイト複合体の製造方法
8)針状ハイドロキシアパタイトのポーラス構造を備え、針状ハイドロキシアパタイトに、蛋白質が埋め込まれた構造有する上記7記載のハイドロキシアパタイト−蛋白質複合体のパターン製造方法、を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本願発明により、アパタイトのパターンを簡便に生成することが可能となる。本技術の医療材料への応用では、アパタイトの有無によって、例えば、細胞との親和性などの生体適合性を場所によって調節することができ、また過飽和溶液中に生理活性タンパクや遺伝子を添加することにより、これらのタンパクや遺伝子を含むアパタイトパターンを作製することができる。これによって、例えば、細胞の接着性や分化などを場所によって調節することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本願発明のハイドロキシアパタイトの製造方法は、カルシウムイオンとリン酸イオンが存在する液相中に配置した基体表面に、1W/mm未満のエネルギーのレーザー光を照射する。これによって、前記基体上にハイドロキシアパタイト生成核を析出させる。
レーザー光のエネルギーの下限値は、ハイドロキシアパタイト生成核が析出できるエネルギーを有すれば良いので、特に制限はない。好ましい条件としては0.5mW/mm以上である。これにより、効率的にハイドロキシアパタイト生成核を析出させることができるからである。したがって、レーザー光のエネルギーの照射は、0.5mW/mm以上、1W/mm未満の範囲で行うことが、より望ましいと言える。しかし、上記の通り、下限値に、特に制限を設ける必要がないのは、理解されるべきことである。
以上によって効率良く、安定したハイドロキシアパタイト生成核を生じさせることができる。特に、レーザー光の照射により、ハイドロキシアパタイト生成をパターン化することができるという点も、本願発明の大きな特徴の一つである。
【0018】
一般に、レーザー光は高いエネルギーをさまざまな環境下の物質に投入することができることが大きな特徴である。真空中、ガス雰囲気中、液体中、超臨界液体中などの環境下に置かれた固体や粉体のターゲットで局所的にエネルギーを投入することで、ナノ粒子の調製法として検討がされてきている。この場合に投入されるエネルギーは、その物質を溶融・蒸発・気化できるほど高いものである。
【0019】
しかし、本願発明ではこのような高いエネルギーではなく、原料物質を含む室温・大気圧条件下の液相中で、弱いエネルギー投入により固体表面上に原料物質の核のパターン形成を促すことに特徴がある。
すなわち、本願発明のレーザー光のエネルギーは、1W/mm未満、さらには100mW/mm以下においても、基体上にハイドロキシアパタイト生成核を効率良く析出させることができる。
【0020】
このように、本願発明において適用されるレーザー光のエネルギーが極めて小さいので、高分子などの低融点材料も基体として用いることができる。また、ハイドロキシアパタイトを変質させることなく、目的とする正常なハイドロキシアパタイトを製造することができ、かつそれをパターン化することができる。
集光した強いエネルギーの照射ではリン酸基や水酸基をもつアパタイトの生成には不適であり、本願発明とは全く異なるものであることは、理解されるべきことである。
【0021】
通常、ハイドロキシアパタイト(HAP; Ca10(PO)(OH), P63/m)のようなバイオアクティブセラミックスは、基体上に被覆することにより形成するものである。このようなHAPが人間の骨の無機主成分であり、天然の骨や歯の無機物と類似した結晶構造を持つ。
【0022】
本発明のハイドロキシアパタイトの製造に際しては、基体に非接触のマスクを通して、レーザー光を基体に照射し、当該基体上にハイドロキシアパタイト生成核のパターンを形成することができる。
マスクは、基体に直接接触していないので、基体からマスクを強制的に除去することを必要としない。すなわち、従来のように、基体を強力で有毒な化学薬品を使用する必要がない。したがって、耐薬品性の低い材料も基体として用いることができる。また、安全性が求められる生体材料などへの応用も可能である。
【0023】
また、基体とマスクの適合性を考慮し、かつマスクを選択するということも必要ない。基体とハイドロキシアパタイトの適合性があれば、それらの全ての基体を選択し、適用が可能となる。このように、マスクは極めて簡単に除去することができる。このように基体との無接触というマスクの形態は、極めて弱いレーザー光のエネルギーであるが故に達成できるとも言える。これらは、本願発明の大きな特徴の一つである。
【0024】
本願発明のハイドロキシアパタイトの製造に際しては、カルシウムイオンとリン酸イオンが過飽和に存在する液相中で、レーザー光によるエネルギー照射を行うことが望ましい。これによって、ハイドロキシアパタイト生成核をより効率的に、析出させることができる。
【0025】
本願発明のハイドロキシアパタイトの製造に際しては、レーザー光によるハイドロキシアパタイト生成核の形成後、該基体をカルシウムイオンとリン酸イオンが過飽和に存在する溶液(リン酸カルシウム過飽和溶液)中に浸漬することにより、ハイドロキシアパタイト層を形成させることができる。
このリン酸カルシウム過飽和溶液は、溶液調製完了後、7日以内に自発核形成によるリン酸カルシウムの析出を誘起するような不安定な溶液(例えば、擬似体液の5倍のイオン濃度を有する水溶液)であってもいいし、8日以上リン酸カルシウムの析出を誘起しない安定な溶液(例えば、Hank’s溶液、擬似体液)であってもいい。これらのリン酸カルシウム過飽和溶液は、種々の公知の方法で調整することができる。
【0026】
上記レーザー光によるハイドロキシアパタイトの核が生成した後は、該基体をリン酸カルシウム過飽和溶液に浸漬するだけで、アパタイト層の成長が促進される。このハイドロキシアパタイト層の成長の時間は任意であるが、必要とする層の厚さになるまで、続けることができる。通常、1〜数十時間行う。
【0027】
リン酸カルシウム過飽和溶液中で形成されるアパタイト層の構造、組成、生理活性は、公知の方法によって変化させることができる。例えば、蛋白質を添加したリン酸カルシウム過飽和溶液中に浸漬することにより、ハイドロキシアパタイトに蛋白質が埋め込まれた構造のハイドロキシアパタイト−蛋白質複合体を製造することができる。
【0028】
針状ハイドロキシアパタイトの成長の時間も任意であるが、必要とする結晶成長の大きさになるまで、続けることができる。通常、1〜数十時間行う。
このハイドロキシアパタイト−蛋白質複合体は、細胞培養に著しい効果を有する。これは、本願発明の大きな特徴である。蛋白質の選択は任意であるが、上皮細胞と器官の接合に大きく関係するラミニン蛋白質を用いることができる。
【0029】
次に、本発明の特徴を、図等を用いて具体的に説明する。なお、以下の説明は、本願発明の理解を容易にするためのものであり、これに制限されるものではない。すなわち、本願発明の技術思想に基づく変形、実施態様、他の例は、本願発明に含まれるものである。
【実施例】
【0030】
本発明では、レーザー技術を利用して基体上にアパタイト前駆体のパターンを形成させる技術を提供する。
このようなレーザー技術を使ったパターニング技術により、例えば、細胞との親和性などの生体適合性を場所によって調節することができる。
【0031】
ここでは、エチレン−ビニルアルコールコポリマー(EVOH:以下、この記号EVOHを用いて説明する)を基体として用い、これをリン酸カルシウム過飽和水溶液(CP水溶液:以下、この記号CPを用いて説明する)中に設置し、レーザーを照射して、アパタイト前駆体を形成させた。CP溶液は、NaCl:142 mM、KHPO・3HO:1.5mM、CaCl:3.75mMを超純水に順に溶解し、トリスヒドロキシメチルアミノメタンと1M−HClを用いてpHを25.0℃で7.40に合わせることにより調整した。
【0032】
レーザー光はCP水溶液(10 ml)中に設置されたEVOHポリマー上に3時間照射した。レーザー光の波長は355nm、エネルギーは50mJ/pulseを用いた(10mW/mm)のオーダーとした。これは、上記非特許文献6に記載する例の10分の1程度の大きさである。
レーザー光は集光せず、金属製のマスク(φ=5 mm)をレーザー光の光路上に置くことによりパターニングを行った。レーザー照射により、EVOH 基板上にナノスケールのアパタイト前駆体が、レーザーマスクパターン形状を投影した領域内に形成された(図1参照)。
【0033】
その後、アパタイト前駆体が付着したEVOHポリマー基板を更に、CP溶液(3ml)及びLCP 溶液(ラミニンとCP水溶液との混合溶液:3ml)中に、24時間浸せきした。(なお、ラミニンとCP水溶液との混合溶液については、以下「LCP水溶液」と記載する。)
【0034】
レーザー光照射領域で得られた表面は、高倍率で観測すると、CP溶液中ではアパタイト層が、LCP溶液中ではラミニン−アパタイト複合層が形成された(図2参照)。
また、レーザー光非照射領域では、どちらの溶液中でも、核生成やアパタイト層の成長は起こらず、EVOH表面に認められる機械研磨の跡が多数認められた。
【0035】
透過型電子顕微鏡観察によると、アパタイト層ではポーラスなアパタイト結晶が、ラミニン−アパタイト複合層ではポアはラミニンによって満たされた構造を取っていた(図3参照)。
【0036】
XPS測定の結果、レーザー照射前はEVOHの炭素と酸素が検出された。得られたアパタイト層からは、アパタイト形成を示すO、C、Ca、Pのピークが観測され、ラミニン−アパタイト複合層からはO、C、Ca、Pのピークに加えてラミニンに起因するNのピークも観測された(図4参照)。
【0037】
次に、得られたアパタイト層及びラミニン−アパタイト複合層のパターンの有無による細胞接着性の違いを検討した。CHO−K1(図5参照)と、BHK−21(図6参照)細胞を基板上で24時間培養し、パターン形成部とそれ以外の部分での細胞密度を光学顕微鏡写真により測定した。
アパタイト層表面でもラミニン−アパタイト複合層表面でも黒い点で示される接着細胞の数がEVOHのみの部分と比べ大きくなり、しかもラミニン−アパタイト複合層表面の方がアパタイト表面よりも多数の細胞が接着していることがわかる。
【0038】
これらの付着細胞数データを統計的に処理した結果をまとめたものが、図7である。このデータからも上記の結論が正しいことが示される。
図8は、実際に作ったアパタイトパターンの走査型顕微鏡写真である。パターン生成が接触マスクを使わずにも可能であることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本願発明により、アパタイトのパターンを簡便に、有害な薬品を用いることなく作製することが可能となる。アパタイトの有無によって、またアパタイト中に様々な生理活性分子を担持させることによって、細胞との親和性などの生体適合性を場所によって調節することができる。これによって、高度なバイオ・医療技術への利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】EVOH基体をCP溶液中でレーザー照射(50 mJ/pulse、30分間)した試料の走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】レーザー照射によるパターン形成後、24時間CP溶液及びLCP溶液中で結晶成長させた時の、アパタイト((a)、(b))、ラミニン−アパタイト複合体((c)、(d)及び、それぞれの未照射部分の形態を示す図である。
【図3】アパタイト(a)及びラミニン−アパタイト複合体(b)の透過型電子顕微鏡像。スケールは200nmに対応。アパタイト(c)及びラミニン−アパタイト複合体(d)の電子線回折像を示す図である。
【図4】得られた試料のXPSスペクトルを示す図である。下から順にEVOH、アパタイト、ラミニン−アパタイト複合体を示す。
【図5】CHO−K1細胞を培養した後の試料の光学顕微鏡写真を示す図である。(a)アパタイト部分。(c)ラミニン−アパタイト複合体部分を、(b)と(d)は、それぞれ対応するEVOH部分(スケール:200μm)を示す。
【図6】BHK−21細胞を培養した後の試料の光学顕微鏡写真である。(a)アパタイト部分。(c)ラミニン−アパタイト複合体部分。(b)と(d)は、それぞれ対応するEVOH部分(スケール:200μm)を示す。
【図7】細胞培養実験後の付着細胞数密度を示す図である。領域Aはレーザー照射領域、領域Bはレーザー非照射領域、CHO−K1とBHK−21は細胞の種類、Hはアパタイト、L/Hはラミニン−アパタイト複合体のパターン形成をした試料である。
【図8】アパタイトパターンの走査型電子顕微鏡写真の一例を示す図である。白く見える部分がアパタイトである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウムイオンとリン酸イオンが存在する液相中に配置した基体表面に、1W/mm未満のエネルギーのレーザー光を照射し、前記基体上にハイドロキシアパタイト前駆体を析出させることを特徴とするハイドロキシアパタイトの製造方法。
【請求項2】
基体に非接触のマスクを通して、レーザー光を基体に照射し、基体上にハイドロキシアパタイト生成核のパターンを形成することを特徴とする請求項1記載のハイドロキシアパタイトの製造方法。
【請求項3】
カルシウムイオンとリン酸イオンが過飽和に存在する液相中で、基体上にハイドロキシアパタイト生成核を析出させることを特徴とする請求項1又は2記載のハイドロキシアパタイトの製造方法。
【請求項4】
カルシウムイオンとリン酸イオンが存在する液相中に配置した基体表面にレーザー光を照射し、前記基体上にハイドロキシアパタイト前駆体を析出させた後、該基体をカルシウムイオンとリン酸イオンが過飽和に存在する液相中に浸漬し、該基体表面にハイドロキシアパタイトを形成させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のハイドロキシアパタイトの製造方法。
【請求項5】
針状ハイドロキシアパタイトのポーラス構造からなる請求項1〜5のいずれか一項に記載のハイドロキシアパタイトの製造方法。
【請求項6】
カルシウムイオンとリン酸イオンが存在する液相中に配置した基体表面にレーザー光を照射し、前記基体上にハイドロキシアパタイト前駆体を析出させた後、該基体を過飽和に存在するカルシウムイオンとリン酸イオン、及び蛋白質が存在する液相中に浸漬し、該基体表面に蛋白質−ハイドロキシアパタイト複合層を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の蛋白質−ハイドロキシアパタイト複合体の製造方法。
【請求項7】
針状ハイドロキシアパタイトのポーラス構造を備え、針状ハイドロキシアパタイトに、蛋白質が埋め込まれた構造有する請求項7記載のハイドロキシアパタイト−蛋白質複合体のパターン製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−57234(P2009−57234A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225387(P2007−225387)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)