説明

ハイブリッド重合体及びその製造方法

多原子官能性部分に直接的に連結または結合した重合体から成る高分子である。該多原子官能性部分は重合体の末端に位置することができ、重合体の形成と同時に、或いは形成後直ちに生成させることができる。該高分子は、Si、Ti、Zr、Sn、Al又はFe原子を含む過剰量の化合物の存在下で1つ以上のアルコキシ基がケイ素原子に結合した官能性部分を加水分解及び縮合させることにより(例えば、ゾル−ゲル法により)、官能化された重合体から調製することができる。かかる高分子は、単独或いは他の重合体及び/又は他の粒状充填剤と混合して、加硫物並びにタイヤ部品の製造に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
タイヤトレッド等のゴム製品は、例えば、粒状カーボンブラック及びシリカ等の1種以上の補強材を含むエラストマー組成物から作製されることが多い(例えば、「バンダービルドラバーハンドブック(The Vanderbilt Rubber Handbook)」、第13版、1999年、pp.603-04参照)。
【0002】
タイヤトレッドでは、優れた牽引力及び耐摩耗性が第一の考慮すべき事項であるが、自動車の燃料効率の関係は、タイヤ転動時のヒステリシス及び発熱性の低減と相関する転がり抵抗の最小化について論じられている。これらの考慮すべき事項は、非常に競合し、幾分かは相反しており、優れた路上牽引力を与えるように設計された組成物から作製されたトレッドは、通常、転がり抵抗の増大を示し、逆もまた同様である。
【0003】
典型的には、これらの特性の妥協点やバランスをもたらすよう、1種又は複数種の充填剤、1種又は複数種の重合体及び1種又は複数種の添加剤が選択される。1種又は複数種のエラストマー材中にわたって、1種又は複数種の補強性充填剤が良好に分散するのを確保することは、加工性を向上させるとともに、物理的性質を改善させるよう作用する。充填剤の分散は、1種又は複数種のエラストマーとの相互作用を増大させることにより、改善することができる。この種の試みの例としては、選択的反応性促進剤の存在下での高温混合、配合材の表面酸化、表面グラフト化、及び重合体、典型的にはその末端での化学的修飾が挙げられる。
【0004】
過去10年において、これに関して、ゴム組成物中の充填剤粒子の均質な分散を実現させるために、インサイチュー(in situ、すなわち、ゴム組成物中)での充填剤粒子の生成を対象としたいくつかの試みがなされている。これらのいくつかはテトラエチルオルトシリケートのゾル−ゲル変換を伴い、例えば、米国特許第6,172,138号及び6,359,034号明細書、並びにその中の刊行物を参照されたい。
【0005】
この同じ時期に、種々の官能基及び反応基を付加させることができ、また所望によりさらなる反応に用いることができる基剤としてのポリシルセスキオキサン等の特定の無機構造体の使用も研究されている。付加された部分は有機基を含んでおり、得られる物質は無機/有機ハイブリッドと称される。
【0006】
種々のエラストマー材料は、大抵、例えばタイヤ部品等の加硫物の製造に用いられる。天然ゴムに加えて、最も一般に採用されるものの中には、多くの場合触媒を用いた方法によって作製される高シスポリブタジエンや、多くの場合アニオン性開始剤を用いた方法によって作製される実質的にランダムなスチレン/ブタジエン共重合体が含まれる。高シスポリブタジエンに組み込むことができる官能性は、大抵アニオンで開始したスチレン/ブタジエン共重合体に組み込むことができず、逆もまたしかりである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,172,138号明細書
【特許文献2】米国特許第6,359,034号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「バンダービルドラバーハンドブック(The Vanderbilt Rubber Handbook)」、第13版、1999年、pp.603-04
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の態様は、重合体鎖及びそこに多原子官能基が直接結合している高分子に関するものである。かかる多原子官能基としては、複数のM原子(ここで、MはSi、Ti、Zr、Sn、AlまたはFeである)を含み、少なくとも1つの−Si−O−M−部分を介して重合体鎖に直接結合している。ある態様では、多原子官能基は約100nm以下の平均直径を有していてもよく、及び/又はゾル−ゲル法によってインサイチュー(in situ)で合成することができる。これら及び他の態様では、多原子官能性部分が重合体の末端に位置することができる。
【0010】
他の態様では、有機溶媒中に上記高分子を含む組成物、及び高分子の製造方法を提供する。かかる方法は、1つ以上のアルコキシ基がシリカ原子に結合している官能性部分を含む重合体を形成すること;M原子(ここで、Mは上述のとおり定義される)を含む1種以上の化合物の存在下で1つ以上のアルコキシ基を加水分解すること;及び、少なくとも1つの−Si−O−M−部分を介して重合体に結合する多原子官能性部分をインサイチュー(in situ)で合成することを含む。
【0011】
高分子(すなわち、完全に官能化された重合体)は、例えばカーボンブラック及び特にシリカ等の粒状充填剤と相互作用することができる。粒状充填剤やかかる重合体を含有する、加硫物等の組成物を、かかる組成物の形成方法や使用方法としても提供する。
【0012】
重合体鎖は、直接結合した置換芳香族基を含むことができ、実質的には直鎖であり得、及び/又は重合体鎖中及び/又は重合体鎖からぶら下がった不飽和基を含むことができる。この不飽和基はポリエンの単量体単位の取込みに由来し得るものであり、また重合体鎖の長さに沿って実質的にランダムであるのが好ましい。
【0013】
1つ以上のアルコキシ基がシリカ原子(またアルコキシシラン含有重合体とも称する)と結合した官能性部分を含む重合体は、一般式で表すことができる。
【化1】

(式中、Jは少なくとも次の一般構造式の1つによって定義される部分であり、
【化2】

前述の式で用いられる可変部は、以下の式II〜VIで定義される。)
【0014】
上記多原子官能性部分は、複数のSi−O結合を含有することができ、またかかる多原子官能性部分は重合体の末端に位置することができる。MがSiである上述した高分子は、式(I)に従う重合体を次式のいずれかを有する1種以上の官能性シランと反応させることによって形成することができる。
【化3】

前記式(I)〜(VI)において、
Rは各々独立して水素原子又はC1〜C20、好ましくはC1〜C6のアルキル基であり;
{p}は重合体を表し;
aは0〜2の整数であり、bは1〜3の整数であり、かつ
c=a+bであり、但し、c≦3であり;
dは0〜約42、好ましくは0〜20、より好ましくは0〜6の整数であり;
eは0〜2の整数であり;
m及びnは各々独立して0〜約200、好ましくは0〜50、ある場合には0〜6の整数であり;
w、x、y及びzは独立して0〜3の整数であって、但し、(y+z)≦3であり;
Qは各々独立して、例えばO、S、N、P等のような多価のヘテロ原子であり;
vはQの特性に応じて適切な1〜3の整数であり、例えばQがO又はSの場合にv=1であり、QがP又はN(例えば、−NH2又は−NH3+)の場合に2≦v≦3等であり;
Q’は多価のヘテロ原子(例えば、O、S等)又は活性水素を含まないヘテロ原子含有の二価の基(例えば、NR’、PR’等であって、R’はC1〜C20、好ましくはC1〜C6のアルキル基)であり;
Q’’はQ’及び他のヘテロ原子含有の二価の基(例えば、NH、PH、NH2+、PH2+、NR2+、PR2+等)であり、カルボニル含有基(例えば、C(O)、C(O)O、NHC(O)O、NHC(O)NH等)を包含し;
Zは−Q’’R4−基であって、ここでQ’’は上述のとおりに定義され、R4は置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アリル基、アラルキル基、アルカリール基若しくはアルキニル基であり、但し、Q’及びR4は各々Si原子に直接結合しており、すなわちSi原子とともに環状構造を形成しており;
Z’は基の各々の末端C原子に結合したN原子及びSi原子とともに、環状構造を形成する置換又は非置換のC2〜C10、好ましくはC2〜C5のアルキレン基であり;
Xはハロゲン原子、好ましくはC1原子であり;
1、R2及びR3は各々独立してR4又は水素原子であり;
5は二価の有機基、好ましくは置換又は非置換のC1〜C10のアルキレン基であり;
6及びR7は各々独立して一価の非ツェレビチノフ(Zerewitinoff)有機基又は加水分解性保護基、すなわち本質的に無水条件下で比較的安定な基であるが、水分にさらしたときに直ちに加水分解する基(例えば、トリメチルシリル基)であり;および
8及びR9は各々独立してX、又は、例えばC1〜C10のアルキル基若しくはアルコキシ基等の一価の有機基である。
【0015】
式(I)のアルコキシシラン基含有重合体は、カルバニオン重合体を次の一般式のいずれかの官能性シランと反応させることによって準備することができる。
【化4】

式中、R、R4、Q’、m及びnは上述のとおり定義され、f及びgは独立して0〜2の整数であり、Z’は−Q’R4基であり、ここでQ’及びR4は各々Si原子に直接結合しており、すなわちSi原子とともに環状構造を形成する。式(VII)および(VIII)によって定義される官能性シランはJが式(I-a)によって定義される重合体をもたらすと同時に、式(IX)によって定義される官能性シランはJが式(I-b)によって定義される重合体をもたらす。
【0016】
本発明の他の態様は、当業者にとって続く実施態様の説明から明らかであろう。次の種々の態様の説明を理解する上で役立つよう、特定の定義を直ぐ下に示す。これらは周辺の文章が明確に反対の意味を示さない限り、これらが終始適用されることを意図している。すなわち、
「重合体」は1つ以上の単量体の重合生成物を意味し、単独重合体、二元共重合体、三元共重合体、四元共重合体等を包含する;
「単量体単位」は、単一反応物分子から誘導された重合体の一部分(例えば、エチレンの単量体単位は一般式−CH2CH2−を有する)を意味する;
「二元重合体」は、2つの反応物質、典型的には単量体から誘導される単量体単位を含む重合体を意味し、ランダム、ブロック、セグメント、グラフト等の二元重合体を包含する;
「共重合体」は、少なくとも2つの反応物質、典型的には単量体から誘導される単量体単位を含む重合体を意味し、二元共重合体、三元共重合体、四元共重合体等を包含する;
「高分子」は、その構造中に1つ以上の重合体鎖、及びランダム構造若しくは組織化された構造(例えば、かご状、部分的なかご状、はしご状等)中にヘテロ原子又はヘテロ原子含有基に結合した1つ以上のM原子を含む少なくとも1つの多原子部分を包含する化学物質を意味する;
「カルバニオン」及び「リビング」は相互互換的に用いられる;
「置換」は、対象となる基の所望の目的を阻害しないヘテロ原子又は官能性部分(例えば、ヒドロカルビル基)を包含するものを意味する;
「直接結合」は、原子又は基を介在又は介入せずに共有結合したことを意味する;
「ポリエン」は、分子の最長部分又はその鎖に位置する少なくとも2つの二重結合を有する分子を意味し、特には、ジエン、トリエン等を包含する;
「ラジカル」は、反応の結果としていずれかの原子を得るか失うかに関わらず、別の分子と反応した後に残存する分子の部分を意味する;
「末端」は、重合体鎖の終端を意味する;及び
「末端部分」は、末端に位置する基又は官能性を意味する。
【0017】
本明細書では、パーセンテージで与えられる全ての値は、周辺の文章が明確に反対の意味を示さない限り重量パーセントである。特に引用する特許及び/又は公開特許出願の関連性のある部分は、参照することにより取り込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上述したように、高分子は少なくとも1つの−Si−O−M−部分を介して多原子官能性部分に直接結合している重合体を含み;かかる結合部分は複数のM−O結合、例えばSi−O結合を含み得る。かかる多原子官能性部分は重合体の末端に位置し得る。
【0019】
かかる高分子は、M原子(ここで、MはSi、Ti、Zr、Sn、Al又はFeである)を含む1種以上の化合物の存在下、官能化された重合体の1つ以上のアルコキシ基を加水分解すること、及び少なくとも1つの−Si−O−M−部分を介して重合体に結合する多原子官能性部分をインサイチュー(in situ)で合成することによって形成することができる。1種以上の化合物としては、式(II)〜(VI)のいずれかで定義される少なくとも1種の官能性シランを挙げることができる。
【0020】
かかる重合体はエラストマー状であってもよく、ポリエン、特にはジエン及びトリエン(例えば、ミルセン)から誘導されたもの等の不飽和を含む単量体単位を挙げることができる。具体的なポリエンとしては、C4〜C12のジエン、特には、限定されるものではないが、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、及び1,3−へキサジエン等の共役ジエンが挙げられる。
【0021】
直接結合した置換芳香族基は、ビニル芳香族、特には、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、及びビニルナフタレン等のC8〜C20のビニル芳香族から誘導される単量体単位の取込みを介してもたらすことができる。1種以上のポリエンと併せて用いる場合、置換芳香族基を有する単量体単位は、重合体鎖の約1〜約50%、約10〜約45%、又は約20〜約35%を構成してもよい。このような共重合体のミクロ構造は、ランダムであってもよく、すなわち、各種の構成単量体から誘導される単量体単位が、通常ブロックを形成せず、代わりに非反復性で基本的に同時に起こる方法で取込まれる。ランダムミクロ構造は、例えばタイヤトレッドの製造において使用されるゴム組成物等の特定の最終用途で、特定の利点をもたらし得る。
【0022】
エラストマーの例としては、例えばSBRとしても知られているポリ(スチレン/ブタジエン共重合体)等の1種以上のポリエンとスチレンとの共重合体が挙げられる。
【0023】
ポリエンは複数の様式で重合体鎖に結合することができる。特にタイヤトレッド用途を意図したゴム組成物としては、このポリエン結合の様式を制御することが望ましい。ポリエンの総含有量を基準としたパーセント数で、全体として約10〜約80%、好ましくは約25〜約65%の1,2−ミクロ構造を有する重合体鎖が、特定の最終用途として望ましい可能性がある。ポリエンの総含有量を基準として、全体として約50%以下、好ましくは約45%以下、より好ましくは約40%以下、より一層好ましくは約35%以下、最も好ましくは約30%以下の1,2−ミクロ構造を有する重合体は、「実質的に直鎖状」であると考えられる。
【0024】
重合体の数平均分子量(Mn)は一般に、重合停止した試料が約2〜約150、好ましくは約2.5〜約125、さらに好ましくは約5〜約100、最も好ましくは約10〜約75のゴムムーニー粘度(ML4/100℃)を示すようなものである。一般に、重合体の数平均分子量は、約50,000〜約500,000ダルトンであるが、ある態様における数平均分子量は、約75,000〜約250,000ダルトン、又は約90,000〜約150,000ダルトンであってもよい。
【0025】
これらの種類の重合体は、種々の重合技術によって製造することができる。一般に溶液重合が、ランダム性、ミクロ構造等の特性に関してより高度の制御が可能であるが、例えば乳化重合等の他の技術を利用することもできる。溶液重合は約20世紀中ごろから行われており、その一般的態様は当業者によく知られているが、参照の便宜上、ある態様をここに提供する。
【0026】
溶液重合は一般に、例えば触媒とは対照的な開始剤を必要とする。開始剤の例としては、有機リチウム化合物、特には、アルキルリチウム化合物が挙げられる。有機リチウム開始剤の例としては、N−リチオ−ヘキサメチレンイミン;n−ブチルリチウム;トリブチルスズリチウム;ジメチルアミノリチウム、ジエチルアミノリチウム、ジプロピルアミノリチウム、ジブチルアミノリチウム等のジアルキルアミノリチウム化合物;ジエチルアミノプロピルリチウム等のジアルキルアミノアルキルリチウム化合物;およびC1〜C12、好ましくはC1〜C4のアルキル基を含むこれらのトリアルキルスタニルリチウム化合物が挙げられる。
【0027】
多官能性開始剤、すなわち1つより多くのリビング末端を有する重合体の形成が可能な開始剤も用いることができる。多官能性開始剤の例としては、特には限定されるものではないが、1,4−ジリチオブタン、1,10−ジリチオデカン、1,20−ジリチオエイコサン、1,4−ジリチオベンゼン、1,4−ジリチオナフタレン、1,10−ジリチオアントラセン、1,2−ジリチオ−1,2−ジフェニルエタン、1,3,5−トリリチオペンタン、1,5,15−トリリチオエイコサン、1,3,5−トリリチオシクロヘキサン、1,3,5,8−テトラリチオデカン、1,5,10,20−テトラリチオエイコサン、1,2,4,6−テトラリチオシクロヘキサン、及び4,4’−ジリチオビフェニルが挙げられる。
【0028】
有機リチウム開始剤に加え、重合体鎖に取込まれて、かかる鎖の開始末端に官能基をもたらす、いわゆる官能化開始剤も有用である。かかる物質の例としては、リチウム化アリールチオアセタール(米国特許第7,153,919号明細書参照)、及び有機リチウム化合物と、例えば、ジイソプロペニルベンゼンのような化合物と任意に予備反応させた置換アルジミン、ケチミン、第二級アミン等のN−含有有機化合物との反応生成物が挙げられる(米国特許第5,153,159号及び5,567,815号明細書参照)。
【0029】
有用なアニオン重合溶媒としては、各種C5〜C12の環状および非環状アルカン、並びに、これらのアルキル化誘導体、ある種の液状芳香族化合物、およびこれらの混合物が挙げられる。当業者は他の有用な溶媒の選択及び組合せを認識している。
【0030】
溶液重合において、ランダム性およびビニル含量(すなわち、1,2−ミクロ構造)の双方とも、重合原料中の調整剤、通常は極性化合物の封入によって増大させることができる。開始剤1当量あたり最高90若しくはそれ以上の当量の調整剤を、例えば所望のビニル含量、採用した非ポリエン単量体のレベル、反応温度、および採用した特定の調整剤の性質に応じた量で用いることができる。調整剤として有用な化合物としては、非結合電子対を有するヘテロ原子(例えば、OまたはN)を含む有機化合物が挙げられる。例としては、モノ−アルキレングリコールおよびオリゴ−アルキレングリコールのジアルキルエーテル;クラウンエーテル;テトラメチルエチレンジアミン等の第三級アミン;THF;THFオリゴマー;2,2’−ジ(テトラヒドロフリル)プロパン、ジ−ピペリジルエタン、ヘキサメチルホスホラミド、N,N’−ジメチルピペラジン、ジアザビシクロオクタン、ジエチルエーテル、トリブチルアミン等の直鎖状および環状オリゴマー状オキソラニルアルカン(米国特許第4,429,091号明細書参照)が挙げられる。
【0031】
当業者は溶液重合で採用される一般的な条件を認識しているが、代表的な説明を読者の便宜のために提供する。以下はバッチプロセスに基づいているが、この説明を、例えばセミ−バッチプロセスや連続的プロセスへ拡張することは当業者の能力の範囲内である。
【0032】
溶液重合は、通常単量体のブレンドと溶媒とを適当な反応容器に入れることによって開始し、続いて多くの場合、溶液または混合物の一部として添加される調整剤(用いる場合)および開始剤を添加し;あるいは、単量体および調整剤を開始剤に添加してもよい。通常かかる手順を、主としてそれとともに作製されるほとんどの開始剤やリビングポリマーの湿度や大気への感受性のため、無水の嫌気性条件下で実施する。反応物を約150℃まで加熱し、撹拌することができる。所望の転化率に達した後、熱源(用いていた場合)を除いてもよく、反応容器を単に重合のために用意する場合、反応混合物を官能化および/または重合停止反応のために重合後用の容器に移してもよい。ここで、該反応混合物は比較的高濃度の重合体であるために、通常「ポリマーセメント」と称される。
【0033】
重合体は、まだカルバニオン種の間、付加反応を受ける前に分離または分別する必要のない(かかる手順を排除するものではないが)アルコキシシラン−官能性重合体をもたらすように、上記式(VII)〜(IX)で定義される1種以上のシランと直ちに反応することができ;ある態様では、この官能性重合体は上記式(I)で定義することができる。かかる官能性重合体をもらすのに用いることのできるシランの例としては、限定されるものではないが、テトラエチルオルトシリケート(テトラエトキシシランとしても知られる)、メチルトリエトキシシラン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)−エタン、ビス(メチルジメトキシシリルプロピル)−N−メチルアミン、2,2−ジメトキシ−1−チア−2−シラシクロペンタン等が挙げられる。この反応は、適温(例えば、約25〜約50℃)で数分から約1時間までの間に完結させることができる。かかるシランは溶媒で希釈することができ、大抵これらの同じ種類のものを重合の実施に用いる。この反応は、付加反応を受ける前に分離または分別する必要のないアルコキシシラン−官能性重合体をもたらすが、かかる手順は排除しない。
【0034】
官能性重合体の1つ以上のアルコキシ基を加水分解することができる。この加水分解は水の存在下、強酸、塩基、及び求核試薬によって触媒される;例えば、R.J.P.Corriu他著、「ゾル−ゲル法に関する分子化学の近年の発達(recent development of molecular chemistry for Sol-Gel process)」、Angrew. Chem. Int. Ed. Engl.、1996年、第35巻、p1420‐36を参照のこと。
【0035】
M原子を含む化合物の不存在下で加水分解を実施した場合、結果物は末端官能性重合体とシロキサン結合した2本または3本腕の重合体との混合物である。各々の相対的な量は、ある程度、一般に双方とも2本または3本以上の腕の重合体をもたらすより少ない量のシラン反応物及び塩基触媒を用い、触媒を選択することによって、また、存在するカルバニオン重合体の量に対して添加されるシランの量(当量)を変更することによって制御することができる。
【0036】
前記加水分解は、1つのM原子を含む1種以上の化合物の存在下で実施することができる。これは、水(水溶性アルコール等の有機溶媒を有する溶液の一部分として添加することができ、または種々の修飾方式のいずれかによって直接的に添加或いは分散させることができる)と、例えばスズのカルボン酸塩やチタニウムアルコキシド等の金属原子含有化合物との組合せのような縮合促進剤の存在によって促進することが可能な縮合反応をもたらすことができる。特に、それらの金属原子含有成分の例を含むかかる促進剤に関連するさらなる情報について、興味のある読者は、例えば、米国特許出願公開第2005/0159554号明細書を参照のこと。
【0037】
潜在的に有用な、加水分解中に縮合し得るM原子含有化合物の例としては、特に限定されるものではないが、種々のアルコキシド、ジケトナート、アセテート、アクリレート、及びハライド、例えば、
Fe含有化合物:例えば鉄(III)エトキシド等のアルコキシド、例えば鉄(III)メタクリレート等のアルコキシド、及び例えば鉄(III)2,4−ペンタンジオナート等のジケトナート;
Al含有化合物:アルマトラン、例えばアルミニウムt−ブトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、及びアルミニウムフェノキシド等のアルコキシド、並びに例えばアルミニウムメタクリレート等のアルコキシド;
Sn含有化合物:テトラ−t−ブトキシスズ、テトラアセトキシスズ、ビス(2−エチル−ヘキサノエート)スズ、(トリイソプロポキシチタノキシ)トリ−n−ブチルスズ;
Zr含有化合物:例えばジルコニウムエトキシド、ジルコニウムn−プロポキシド、及びジルコニウムイソプロポキシド等のアルコキシド、並びにジルコニウム2−エチルヘキサノエート、ジルコニウム2,4−ペンタンジオネート等のジケトナート;
Ti含有化合物:例えばチタニウム(IV)n−ブトキシド、チタニウムt−ブトキシド、チタニウムイソプロポキシド、チタニウムエトキシド、及びチタニウムジ−n−ブトキシドビス(2−エチルヘキサノエート)等のアルコキシド;及び
Si含有化合物:各種官能性シランのいずれかとしては式(II)〜(VI)で定義されるものが挙げられ、それらの特定の例としては、限定されるものではないが、(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン及びメタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリレート官能性シラン;3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、(3(2−アミノ−エチルアミノ)プロピル)−トリメトキシシラン、3(2(2−アミノエチルアミノ)エチル−アミノ)プロピルトリメトキシシラン、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−エチレンジアミン、トリメトキシ[3−(メチルアミノ)プロピル]シラン、N−トリメチルシリル−アザ−2−クロロ−2−メチルシラシクロペンタン及びその開環類似体、N,N−ビス−トリメチルシリルアミノプロピルメチルジエトキシシラン等のアミノ官能性シラン;ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン及びN−(3−トリエトキシシリルプロピル)−グルコンアミド等のヒドロキシ官能性シラン;3−メルカプトプロピル−トリエトキシシラン、2,2−ジメトキシ−1−チア−2−シラシクロペンタン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、ビス(m−(2−トリエトキシシリルエチル)トリル)−ポリスルフィド、及びビス(3−(トリエトキシシリル)−プロピル)チオウレア等の硫黄官能性シラン;2−(ジフェニルホスフィノ)エチルトリエトキシシラン及びジエチルホスフェイト−エチルトリエトキシシラン等のホスフィン官能性シラン及びホスフェイト官能性シラン;SiCl4(加水分解して所望の−Si−O−Si−官能性部分をもたらすことができる);並びに1,3−[ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−ポリエチレンオキシ]−2−メチレンプロパン(C5010420Si2)及びトリメトキシシリルプロピル変性ポリ(エチレンイミン)(1500≦Mw≦1800)等のポリマー状シラン等が挙げられる。ある態様では、式(II)のyが1、zが0、R2がアルキル基、及びmが1〜6の整数である官能性シランが好ましい。これらの態様及び他の態様では、QはNであってもよく、またQはP若しくはSであってもよい。
【0038】
ある態様では、M原子含有化合物の混合物は好適な高分子をもたらし得る。例えば、過剰量(以下の標準量についての付加的情報を参照)のM原子含有化合物(例えば、テトラエチルオルトシリケート及び/又はチタニウム(IV)n−ブトキシドのような比較的高価な物質)の1種と、(直ぐ下に述べるような)付加的官能性部分を含むより少ない量(それでもやはり、通常はカルバニオン重合体鎖数に対して過剰量)の他のM原子含有化合物を用いてもよい。これは、複数のM原子のほかに1つ以上の他の種の官能性部分を有する比較的大きな多原子官能性部分を含む高分子をもたらすことができる。
【0039】
結果物は、多原子官能性部分が複数のM−A結合(ここで、AはO、S、N、P等のヘテロ原子、またはヘテロ原子等を含む官能性部分)、及び、少なくともある状況では、例えばQ、Q’、Q’’、R1〜R4,R5〜R9等からの付加的官能性部分を含む官能性重合体のいずれか1種又はいくつかの変異体であり得る。(少なくともある程度は、Q、Q’又はQ’’部分の個性は、高分子を用いる化合物や系において採用する添加充填剤の種類に基づいて選択または変化させてもよい。例えば、添加粒状充填剤としてシリカを含む加硫組成物では、例えばアミン、アンモニウム、メルカプト、ホスフィノ、ホスフェイト等の基の多原子官能性部分のM−A部分から得ることができる以上の相互作用をもたらすために、Q、Q’又はQ’’を選択するのが望ましく;或いは、添加充填剤としてシリカとカーボンブラックの双方を含む加硫組成物では、複数のM−A部分が重合体とシリカ等の無機充填剤との相互作用を向上させつつ、カーボンブラックとの相互作用をもたらすように(例えばアミン)Q、Q’又はQ’’を選択してもよい。)
【0040】
多原子官能性部分の大きさは、カルバニオン重合体に対して用いた1種又は複数種のM含有化合物の量に大いに左右され得る。1種又は複数種のM含有化合物の量は幅広く変化し得るが、該1種又は複数種のM原子含有化合物は、リビング重合体の各当量当たり、一般に3〜約500当量、大抵約200当量まで、及びある態様では約100当量までである。1種又は複数種のM原子含有化合物を少なくとも3倍過剰量用いる場合、結果物の末端官能性部分は、かご状、部分的なかご状、はしご状、ランダム等の配列において、大抵約3〜約100個のM原子を有することができる。特定の構造にかかわらず、複数のM−A結合を含む各種官能性部分は、−Si−O−M−部分、任意にtが2又は3である−Si−(O−M)t−部分を介して直接重合体鎖に付加している。
【0041】
MがSiの場合(例えば、官能性シランをM含有化合物として用いる場合)、多原子官能性部分の特定の大きさは、カルバニオン重合体に対して用いる官能性シランの量のほか、用いる官能性シランの種類と量とにも大いに左右され、該官能性シランの量は、一般に用いるカルバニオン重合体当量当たりの官能性シランの約5〜約100当量である。適度な過剰量(例えば、≦15倍)の官能性シラン化合物を用いた場合、結果物の末端官能性部分は、複数の重合体鎖が付加した環状シラン及び非環状シランの混合物であり得る。しかし、より多くの過剰量の官能性シラン化合物を用いた場合(例えば、約20倍)、結果物である末端官能性部分は、大抵、多面体オリゴマー状シルセスキオキサン等のポリシルセスキオキサンであり得;この種の官能性部分は、かご状、部分的なかご状、はしご状、ランダム等を含む各種構造のいずれかをとり得、これは当業者に周知であり、またこれらの例は、例えば米国特許第6,972,312号明細書を含む各種参照により明らかとなり、ホモレプティック及びヘテロレプティックPOSS構造であり得る。
【0042】
溶媒はドラム乾燥、押し出し乾燥、真空乾燥等のような従来技術により、ポリマーセメントから除去することができ、水、アルコール又は蒸気との凝固、熱的脱溶媒化と組み合わせてもよい。凝固を行う場合は、オーブン乾燥が望ましい。
【0043】
得られる重合体はトレッド原料配合物において利用することができ、または、天然ゴムおよび/または、ポリエン由来の単量体単位(例えば、ポリ(ブタジエン)、ポリ(イソプレン)及びブタジエン、イソプレン等を包含する共重合体)、SBR、ブチルゴム、ネオプレン、エチレン/プロピレンゴム、エチレン/プロピレン/ジエンゴム、アクリロニトリル/ブタジエンゴム、シリコーンゴム、フルオロエラストマー、エチレン/アクリルゴム、エチレン/ビニルアセテート共重合体、エピクロロヒドリンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、水素化ニトリルゴム、テトラフルオロエチレン/プロピレンゴム等を含む1つ以上の単独重合体、共重合体等の非官能性合成ゴムを含む、従来採用されていたトレッド原料ゴムと混合することができる。1種又は複数種の官能化重合体を従来の1種又は複数種のゴムと混合した場合、その量は、従来の1種又は複数種のゴムでゴム全量の調整を図るとともに、ゴム全量の約5%〜約99%まで変えることができる。最小量は、所望のヒステリシス低減の度合いにかなりの範囲で左右される。
【0044】
エラストマー組成物は、大抵約25%の体積分率まで充填され、これはエラストマー原料の総体積から分離して添加される充填剤の総体積であり;一般的な(混合された)補強性充填剤の量は約30〜約100phrであり、かかる範囲の上限は、主として、処理装置がかかる充填剤を用いた場合に付与される増大した粘性をいかに有効に操作し得るかによって定義される。
【0045】
有用な充填剤としては、各種のカーボンブラックが挙げられ、特に制限されないがファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラックが挙げられる。より具体的には、カーボンブラックの例としては、超耐摩性ファーネスブラック、高耐摩性ファーネスブラック、高速押出性ファーネスブラック、微粒子ファーネスブラック、準超耐摩性ファーネスブラック、半補強性ファーネスブラック、中級作業性チャンネルブラック、強作用性チャンネルブラック、導電性チャンネルブラック、およびアセチレンブラックが挙げられ、これらの2種以上の混合物を用いることができる。少なくとも20m2/g、好ましくは少なくとも約35m2/gの表面積(EMSA)を有するカーボンブラックが好適であり;表面積の値は、セチルトリメチル−アンモニウムブロミド(CTAB)技術を用いたASTM D−1765によって測定することができる。カーボンブラックはペレット状の形状または非ペレット状の綿状塊であってもよいが、あるミキサーにおける使用では非ペレット状カーボンブラックが好適である可能性がある。
【0046】
カーボンブラックの量は、約50phr以下、通常は約5〜約40phrである。
【0047】
非晶質シリカ(SiO2)を充填剤として利用することもできる。シリカは、水中で化学反応により製造され、超微細な球状粒子として形成されることから、一般に湿式の水和シリカとして分類される。これら一次粒子は、強く会合して凝集体となっており、該凝集体は、次に、弱く組み合わさって集合体となっている。「高分散性シリカ」は、いずれも非常に充分な非凝集性とエラストマーマトリックスでの分散性を有するシリカであり、これは薄片顕微鏡により観察することができる。
【0048】
表面積は、種々のシリカの補強特性を確実に測定することができ;ブルナウアー(Brunauer)、エメット(Emmet)およびテラー(Teller)(「BET」)法は表面積を測定するための既知の方法(J. Am. Chem. Soc., 第60巻, p.309以下参照)である。シリカのBET表面積は、一般に450m2/g未満であり、通常は約32〜約400m2/g、又は約100〜約250m2/g、又は約150〜約220m2/gである。
【0049】
シリカ充填剤(用いた場合)のpHは、一般に約5〜約7もしくは若干超え、好ましくは約5.5〜約6.8である。
【0050】
使用可能な市販シリカとしては、各種のHi−SilTM粉体及び粒状シリカ(PPG工業社、ピッツバーグ、ペンシルベニア)が挙げられる。他の供給者としては、グレース・デービソン(バルチモア、マリーランド)、デグサ社(パルシパニー、ニュージャージー)、ロードス・シリカ・システムズ(クランベリー、ニュージャージー)、およびJ.M.ヒューバー社(エジソン、ニュージャージー)が挙げられる。
【0051】
シリカは、重合体100部当たり(phr)約1〜約100重量部(pbw)の量で使用することができ、好ましくは約5〜約80phrである。カーボンブラックとともに用いる場合、シリカの量は約1phrまで減じることができ;シリカの量を減じるにつれて、加工助剤、もしくはシランの量を低減することができる。
【0052】
シリカを採用する場合、シランのようなカップリング剤を、大抵、エラストマー中での良好な混合及びエラストマーとの相互作用を確保するために添加する。概して、添加するシランの量は、エラストマー組成物中に存在するシリカ充填剤の重量に基づいて、約4〜20%の範囲である。
【0053】
カップリング剤はG−T−Eの一般式を有していてもよく、ここで、Gは、物理的および/または化学的にシリカ充填剤の表面上の基(例えば、表面シラノール基)と結合できる官能基を示し;Tは炭化水素基結合を示し;Eは、エラストマーと(例えば、硫黄含有結合を介して)結合可能な官能基を示す。かかるカップリング剤としては、オルガノシラン、特にポリ硫化アルコキシシラン(例えば、米国特許第3,873,489号、第3,978,103号、第3,997,581号、第4,002,594号、第5,580,919号、第5,583,245号、第5,663,396号、第5,684,171号、第5,684,172号、第5,696,197号明細書等参照)、または上述したE及びG官能性を有するポリオルガノシロキサンが挙げられる。典型的なカップリング剤の1つは、ビス[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]テトラスルフィドである。
【0054】
加工助剤の添加は、採用するシランの量を減じるのに用いることができる。加工助剤として糖の脂肪酸エステルを用いた説明、例えば米国特許第6,525,118号明細書を参照のこと。加工助剤として有用な添加充填剤としては、特に制限されないが、クレー(アルミニウムシリケート水和物)、タルク(マグネシウムシリケート水和物)、およびマイカ等の鉱物系充填剤のほか、尿素およびNa2SO4等の非鉱物系充填剤が挙げられる。好適なマイカは、主にアルミナ、シリカおよび炭酸カリウムを含有するが、他の種類も有用である。添加充填剤は約40phr以下、通常は約20phr以下の量で用いることができる。
【0055】
他の従来のゴム添加剤も加えることができる。これらとしては、例えば、プロセスオイル、可塑剤、酸化防止剤やオゾン化防止剤のような抗分解剤、および硬化剤等が挙げられる。
【0056】
すべての成分を、例えばバンバリーまたはブレンダーミキサー等の標準的な装置を用いて混合することができる。一般に、混合は2段階以上で行われる。第一段階(マスターバッチ段階としても知られる)の間、混合は一般に約120℃から約130℃までの温度で開始し、通常約165℃に到達する、いわゆる落下温度まで昇温する。
【0057】
ここでシリカを含む配合の場合、シラン成分を別に添加するために、大抵別のリミル段階を採用する。この段階は、大抵マスターバッチ段階で採用した温度と同様の、しかしながら多くの場合わずかに低い温度で行われ、すなわち約90℃から約150℃の落下温度まで傾斜させる。
【0058】
架橋ゴム配合物は、従来のように、例えば硫黄やペルオキシド系硬化システム等の既知の加硫剤の1種以上の約0.2〜約5phrで硬化させる。好適な加硫剤の一般的な開示に関して、興味のある読者は、Kirk-Othmer著「化学技術百科事典」第3版(ウィリー インターサイエンス、ニューヨーク、1982年)、第20巻、pp.365‐468で提示されるような要旨を概観すべきである。加硫剤、促進剤等は最終混合段階で添加する。望ましくないスコーチおよび/または早期加硫の開始を回避するために、この段階の混合は、多くの場合より低い温度、例えば約60℃から約65℃までに開始して約105℃から約110℃よりも高くまで到達しない温度で行われる。
【0059】
その後、混ぜ合わせた混合物を、種々の構成部材に成形して次に加硫する前に、シートに加工(例えば、圧延する)し、該加工は、一般に混合段階中に採用した最高温度よりも約5℃から約15℃高い温度、最も一般には約170℃で行う。
【0060】
次の非限定的な説明用の実施例は、読者に本発明の実施における詳細な条件と有用であり得る物質とを提供する。パーセンテージは、特に相反する意図が示されていない限り重量による。
【実施例】
【0061】
実施例においては、窒素雰囲気下で、抽出隔壁ライナー及び穴あきクラウンカップで予めシールされ、乾燥させたガラス容器をすべての調製で用いた。ブタジエン(ヘキサン溶液、実施例1〜6では22.4%、実施例7〜12では19.2%、及び実施例13〜18では21.9%)、スチレン(33%のヘキサン溶液)、ヘキサン、n−ブチルリチウム(1.60Mのヘキサン溶液)、2,2−ビス(2’−テトラヒドロフリル)プロパン溶液(1.6Mヘキサン溶液、CaH2上で保管)、およびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)のヘキサン溶液を用いた。
【0062】
市販の試薬および開始物質としては次のもの(括弧内に付した購入時純度を有する)が挙げられ、すべてシグマ−アルドリッチ社(セントルイス、ミズーリ)から入手し、他の記載がない限りさらに精製することなく用いた:NaOHペレット(純度97%)、トリエチルアミン(純度99.5%)、テトラエチルオルトシリケート(純度99%)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(純度99%)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(純度97%)、N−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−エチレンジアミン(純度97%)、トリエトキシメチルシラン(純度99%)、及びトリメトキシ[3−(メチルアミノ)プロピル]シラン(純度97%)。チタニウム(IV)n−ブトキシド(純度99%)はアクロスオルガニクス(ヘール、ベルギー)から入手した。
【0063】
実施例におけるデータの検証は、表1a(唯一の充填剤種としてカーボンブラック)、1b(カーボンブラックとシリカ)、及び1c(唯一の充填剤種としてシリカ)に示した処方に従って作製した充填組成物に対して行った。これらの表では、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミンが酸化防止剤として作用し、ベンゾチアジル−2−シクロヘキシルスルフェンアミド及びN,N’−ジフェニルグアニジンは促進剤として作用し、並びにN−(シクロヘキシルチオ)フタルイミドは早期加硫に対する抑制剤として作用する。
【0064】
【表1a】

【0065】
【表1b】

【0066】
【表1c】

【0067】
「50℃圧縮tanδ」に対応するデータは、次の条件を用いたダイナスタットTM機械的分光計(ダイナスタティック社;アルバニー、ニューヨーク)で実施した試験から入手した;1Hz、静止質量2kgおよび動荷重1.25kg、シリンダー状(直径9.5mm×高さ16mm)の加硫ゴム試料、および50℃。
【0068】
「分散指数」に対応するデータは、方程式
DI=100−exp[A×log10(F2H)+B]
[式中、Fは粗さピークの数/cmであり、Hは平均粗さピーク高さであり、A及びBはASTM−D 2663−89のB法からの定数である]を用いて算出した。F及びHの曲線データは、SurfanalyzerTM表面形状測定装置(マールフェデラル社、プロビデンス、ロードアイランド州)を用い、C法(ASTM−D 2663−89)に記載の手順によって、切断試料(約3.5×2×0.2cm)を分析することにより得た。
【0069】
「バウンドラバー」に対応するデータは、「ゴム化学および技術(Rubber Chem. and Tech.)」J.J.Brennan他著、第40巻、p817(1967年)により記載された手順を用いて測定した。
【0070】
実施例1〜6
撹拌器を備えた窒素置換された反応器に、ヘキサン1.64kg、スチレン溶液0.41kg、およびブタジエン溶液2.43kgを加えた。該反応器にn−ブチルリチウムを3.64mL投入し、続いて2,2−ビス(2’−テトラヒドロフリル)プロパン溶液を1.05mL投入した。該反応器のジャケットを50℃まで加熱し、約28分後、バッチ温度が約65℃に達した。
【0071】
さらに約25分後、ポリマーセメントの一部を反応器から乾燥させたガラス容器に移し(試料1)、イソプロパノールで重合停止させた。
【0072】
ヘキサン30mLにテトラエチルオルトシリケート2.1mLを加えた溶液をポリマーセメントの残部に添加し、この混合物を50℃で約30分間攪拌した。該セメントを乾燥させたガラスビン5本に採取した。これらのうち1つ(試料2)をさらに反応させることなくイソプロパノールで重合停止させた。
【0073】
残った各4つの試料を、用いたn−BuLi開始剤の量に応じた比に従った各試料の使用量でトリエトキシメチルシランと反応させた。
試料3: 5:1
試料4: 10:1
試料5〜6: 20:1
これらの各々に、1%(v/v)NaOH水溶液(試料3〜5では1.5N、及び試料6では2.5N)を加え、約2時間攪拌した。
【0074】
各試料を、BHTを含むイソプロパノール中で凝固させ、ドラム乾燥した。
【0075】
上記表1bの処方を用いた、補強性充填剤を含む加硫性エラストマー配合物を試料1〜6から調製した。これらの配合物における物理試験の結果を下記の表2に示す。
【0076】
【表2】

【0077】
表2のデータから、複数のSi−O結合を含む直接結合部分を有するスチレン/ブタジエン共重合体は、50℃歪み分散tanδ(低減したヒステリシスの指標)、モジュラス、引張強さ、ΔG’等の優れた物理的性質の組合せをもたらすことができることが分かる。かかる官能化された共重合体(試料3〜6)は、対照共重合体(試料1)と比較して、50℃tanδ値を約40〜45%、及びトリアルコキシシラン官能性重合体(試料2)と比較しても約10〜15%に著しく低減することが示されており;ヒステリシスにおけるこれらの低減は、配合物中のムーニー粘度(ML1+4)を著しく増大させることなく得られる。さらに、これら同じ加硫物は、より良好なトラクション性能(0℃でのtanδ)及び減じられたペイン効果(ΔG’)を示すと予測される。
【0078】
さらに、試料3(開始剤に対するシランの過剰量5:1)を試料5〜6(過剰量20:1)と比較して、より過剰量のシランで作製された官能化された重合体は、低減されたMn,PDI(Mw対Mnの比)、及び50℃でのtanδ値を有することがわかる。これらの各々は、ある最終用途において望ましい特性である。
【0079】
実施例7〜12
撹拌器を備えた窒素置換された反応器に、ヘキサン1.24kg、スチレン溶液0.41kg、およびブタジエン溶液2.83kgを加えた。該反応器にn−ブチルリチウムを3.20mL投入し、続いて2,2−ビス(2’−テトラヒドロフリル)プロパン溶液を1.05mL投入した。該反応器のジャケットを50℃まで加熱し、約28分後、バッチ温度が約70℃に達した。
【0080】
さらに約25分後、ポリマーセメントの一部を反応器から乾燥させたガラス容器に移し(試料7)、イソプロパノールで重合停止させた。
【0081】
ヘキサン30mLにテトラエチルオルトシリケート2.1mLを加えた溶液をポリマーセメントの残部に添加し、この混合物を50℃で約30分間攪拌した。該セメントを乾燥させたガラスビン5本に採取した。これらのうち1つ(試料8)に約4mLの水を添加し、室温で約4時間攪拌した。
【0082】
残った各4つの試料を、次の過剰量(用いたn−BuLi開始剤の量に対して20:1)のトリアルコキシシランと反応させた。
試料9: 3−アミノプロピルトリエトキシシラン
試料10: 3−アミノプロピルトリメトキシシラン
試料11: N−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−エチレンジアミン
試料12: トリメトキシ[3−(メチルアミノ)プロピル]シラン
これらの各々に、500mLのポリマーセメント当たり4mLのNaOH水溶液(1.5N)を加え、室温で約4時間攪拌した。
【0083】
各試料を、BHTを含むイソプロパノール中で凝固させ、ドラム乾燥した。
【0084】
上記表1a及び1bの処方を用いた、補強性充填剤を含む加硫性エラストマー配合物を試料7〜12から調製した。これらの配合物における物理試験の結果を下記表3に示す。2つのデータを含むこれらの横列では、上側が表1aでの処方、及び下側が表1bでの処方である。
【0085】
【表3】

【0086】
表2について分かるように、表3のデータは同じ傾向を示し、複数のSi−O結合を含む直接結合を有するスチレン/ブタジエン共重合体は、優れた物理的性質の組合せをもたらすことができる。かかる官能化された共重合体(試料9〜12)は、対照共重合体(試料7)と比較して、50℃tanδ値で約40〜45%mpの顕著な低減(すなわち、向上したヒステリシスロス)を示すことができ、混合した充填剤処方におけるトリアルコキシシラン官能性重合体(試料8)と比較した場合にも約20〜25%、カーボンブラックのみの処方においても約35〜45%の低減を示すことができる。ヒステリシスにおけるこれらの低減は、配合物中のムーニー粘度(ML1+4)を著しく増大させることなく得られる。さらに、これら同じ加硫物は、より良好なトラクション性能(0℃でのtanδ)及び減じられたペイン効果(ΔG’)を示すと予測される。
【0087】
実施例13〜18
撹拌器を備えた窒素置換された反応器に、ヘキサン1.59kg、スチレン溶液0.41kg、およびブタジエン溶液2.49kgを加えた。該反応器にn−ブチルリチウム溶液を3.60mL投入し、続いて2,2−ビス(2’−テトラヒドロフリル)プロパン溶液を1.05mL投入した。該反応器のジャケットを50℃まで加熱し、約28分後、バッチ温度が約62℃に達した。
【0088】
さらに約25分後、ポリマーセメントの一部を反応器から乾燥させたガラス容器に移した(試料13)。
【0089】
ヘキサン30mLにテトラエチルオルトシリケート2.1mLを加えた溶液(該溶液は、開始剤に対するテトラエチルオルトシリケートの比3:2をもたらすよう設計されている)をポリマーセメントの残部に添加し、この混合物を50℃で約30分間攪拌した。該セメントを乾燥させたガラスビン5本に採取した。これらのうち1つ(試料14)を取り出し、それ以上反応させなかった。
【0090】
残りの4つの試料の各々に、用いたn−BuLi開始剤の量に応じた各試料の量で、M原子含有化合物を添加した。混合した後、約4mLのNaOH水溶液を添加した。これらの官能基化の詳細を下記表4に説明する。
【0091】
【表4】

各試料を約6時間攪拌した。
【0092】
各試料を、BHTを含むイソプロパノール中で凝固させ、ドラム乾燥した。
【0093】
上記表1cの処方を用いた、補強性充填剤を含む加硫性エラストマー配合物を試料1〜6から調製した。これらの配合物における物理試験の結果を下記表5に示す。
【0094】
【表5】

【0095】
表5のデータから、多数のM原子を含む直接結合した多原子官能性部分を有するスチレン/ブタジエン共重合体は、50℃歪み分散tanδ(低減したヒステリシスの指標)、モジュラス、引張強さ、ΔG’等の優れた物理的性質の組合せをもたらすことができることが分かる。かかる官能化された共重合体(試料15〜18)は、対照共重合体(試料13)と比較して、50℃tanδ値を約40〜53%、トリアルコキシシラン官能性重合体(試料14)と比較しても約19〜36%に著しく低減することが示されており;ヒステリシスにおけるこれらの低減は、バウンドラバー値における増大によって釣り合いの取れた配合物中のムーニー粘度(ML1+4)のわずかな増大を伴って得られる。さらに、これら同じ加硫物は、より良好なトラクション性能(より高い0℃でのtanδ値)及び減じられたペイン効果(ΔG’)を示すと予測される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの−Si−O−M−部分を介して複数のM原子を有する多原子官能性部分に結合している重合体を含む高分子の製造方法であって、ここでMはSi、Ti、Zr、Sn、Al又はFeで表され、
a)少なくとも1つのアルコキシ基がシリカ原子に結合している官能性部分を含む重合体を形成する工程、
b)M原子を含む1種以上の化合物の存在下、前記アルコキシ基の1つ以上を加水分解する工程、及び
c)前記多原子官能性部分をインサイチュー(in situ)で合成する工程を含み、
これによって前記高分子、任意に前記重合体の末端に位置する前記多原子官能性部分を形成することを特徴とする製造方法。
【請求項2】
1つ以上のアルコキシ基がシリカ原子に結合している官能性部分を含む前記重合体が、下記一般式で表されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法;
【化1】

(式中、Jは各々独立して次の一般構造の1つによって定義される部分である
【化2】

(式中、{p}は重合体鎖を表し;
Rは各々独立して水素原子又はC1〜C20のアルキル基であり;
1は各々独立して水素原子、或いは置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アリル基、アラルキル基、アルカリール基若しくはアルキニル基であり;
aは0〜2の整数であり、bは1〜3の整数であり、かつ
c=a+bであり、但し、c≦3であり;
dは0〜約42の整数であり;
eは0〜2の整数であり;かつ
m及びnは独立して0〜約200の整数である。)。)。
【請求項3】
前記重合体が、カルバニオン重合体を下記一般式のいずれかで表される1種以上の官能性シランと反応させることによって形成されることを特徴とする請求項2に記載の製造方法;
【化3】

(式中、Q’は二価のヘテロ原子、又は活性水素原子を含まないヘテロ原子含有の二価の結合基であり;
f及びgは独立して0〜2の整数であり;
m及びnは独立して0〜約200の整数であり;
4は各々独立して置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アリル基、アラルキル基、アルカリール基若しくはアルキニル基であり;
Rは各々独立して水素原子又はC1〜C20のアルキル基であり;かつ
Z’は−Q’R4−基であって、Q’及びR4は各々Si原子に直接結合している。)。
【請求項4】
MがSiであり、かつM原子を含む前記1種以上の化合物の少なくとも1つが、次の一般式のいずれかで表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法;
【化4】

(式中、Qは各々独立して多価のヘテロ原子であり、vは結合したQ原子の価数に応じて1〜3の整数であり、
Q’’は二価のヘテロ原子又はヘテロ原子含有の二価の結合基であり;
m及びnは各々独立して0〜約42の整数であり;
w、x、y及びzは独立して0〜3の整数であって、但し、
(y+z)≦3であり;
Zは−Q’’R4−基であって、R4は置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アリル基、アラルキル基、アルカリール基若しくはアルキニル基であり、かつQ’’及びR4は各々Si原子に直接結合しており;
Z’は基の各々の末端C原子に結合したN原子及びSi原子とともに環状構造を形成する置換又は非置換のC2〜C10のアルキレン基であり;
Xはハロゲン原子であり;
2及びR3は各々独立して水素原子、或いは置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アリル基、アラルキル基、アルカリール基若しくはアルキニル基であり;
5は二価の有機基であり;
6及びR7は各々独立して一価の非ツェレビチノフ(Zerewitinoff)有機基又は加水分解性保護基であり;かつ
8及びR9は各々独立してX又は一価の有機基である。)。
【請求項5】
M原子を含む前記1種以上の化合物の少なくとも1つが、一般式{HvQ−(CH2m}y−SiR3z(OR24-y-zで表され、ここでyは1であり、zは0であり、R2はアルキル基であり、mは1〜6の整数であることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
M原子を含む前記1種以上の化合物の少なくとも1つが、さらにアミン、メルカプト、ホスフィノ、及びホスフェイト基の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項7】
M原子を含む前記1種以上の化合物の各々が、化学量論的過剰量で添加されることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項8】
少なくとも1つのアルコキシ基がシリカ原子に結合した官能性部分を含む重合体の各当量に対し、M原子を含む前記1種以上の化合物を5〜100当量使用することを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
MがTiであり、M原子を含む前記1種以上の化合物の少なくとも1つがチタニウム(IV)アルコキシドであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
前記インサイチュー(in situ)での合成が、ゾル−ゲル技術を用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
前記多原子官能性部分が、約100nm以下の平均直径を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
重合体の各当量に対し、M原子を含む前記1種以上の化合物を5〜約500当量使用することを特徴とする請求項1〜10に記載の製造方法。
【請求項13】
さらに、前記組成物から加硫物を形成するために前記高分子を1種以上の粒状充填剤を含む成分と混合する工程、及び任意選択的に前記加硫物を硬化させる工程を含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
重合体鎖、及び少なくとも1つの−Si−O−M−部分を介して該重合体鎖に結合している複数のM原子を有する多原子官能性部分を含み、ここでMはSi、Ti、Zr、Sn、AlまたはFeであることを特徴とする高分子。
【請求項15】
MがSi及びTiの少なくとも1種であることを特徴とする請求項14に記載の高分子。
【請求項16】
次の事項の少なくとも1つが当てはまることを特徴とする請求項14または15に記載の高分子;
(i)前記多原子官能性部分が約100nm以下の平均直径を有し、および
(ii)前記多原子官能性部分が少なくとも3つのM原子を含む。
【請求項17】
前記重合体鎖がエチレン性不飽和を含むことを特徴とする請求項14〜16のいずれかに記載の高分子。
【請求項18】
有機溶媒中で形成された請求項17に記載の高分子。
【請求項19】
粒状充填剤と請求項14〜17のいずれかに記載の高分子とを含む組成物。
【請求項20】
さらに加硫剤を含む請求項19に記載の組成物。

【公表番号】特表2010−513597(P2010−513597A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541419(P2009−541419)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/025736
【国際公開番号】WO2008/076409
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】