説明

ハウスにおける吸込み空気の送風装置

【課題】 従来の防虫ネットを張装したハウスでは、妻面にファン・換気扇で、吸込んだ外気を、ハウス内に導入し、妻面内部に設けた防虫ネットで、略水平方向の空気の流れと、広域的な空気の流れを確保し、ハウス内の温湿度の制御と、栽培環境と人に優しい作業環境を確保できるが、この構造は、低所ハウスに送風手段を有効、かつ既設のハウス構造を利用し、設置するには、十分な配慮と、構造が開示されているとは考えられなかった。
【解決手段】 低所ハウスに、吸込み兼排気用の送風手段を設置するには、妻面に外枠を突設し、かつシャツタ枠体を枠体に枢着し、シャツタ枠体を、ハウスの誘引梁と妻面の内面で形成される棟方向空間Hに設け、シャツタ枠体を、ハウスの高さ方向で、ハウスの内張りビニールフィルムと、誘引梁との間にある高さ方向空間H1に設け、ハウスでの栽培・作業環境と、栽培・作業合理化、収穫・品質等の向上が図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウスにおける吸込み空気の送風装置に関し、さらに、詳しくは、ハウス内の所定の空間(小型ハウスの空間)を利用して、送風手段と回転機構を配備できるハウスにおける吸込み空気の送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハウス(ビニールハウス、ガラスハウス等の栽培建屋)において、ハウス内の送風及び/又は換気装置(送風装置)は、作物の生育において、健全な栽培環境と、収穫の拡充及び/又は品質の向上と、作物の効率的かつ簡易な栽培等にとって、最低限必要となる条件である。また、このハウス内の送風は、気候条件、作物の作柄等に対応し、送風又は吹出か、又は送風量、送風時間等を変更することが望まれることから、極めて精緻な機構が望まれること、又は多目的な送風手段(吸込と、吹出しを併用できる送風手段)が望まれる。
【0003】
しかし、従来の小型ハウス(低所構造のハウス)では、ハウス内に色々の付帯設備があること、送風手段の設置の困難性があることと、多目的な送風手段を設置することも、本質的に困難であった。殊に、この多目的な送風手段では、この送風手段の切り換え時における回転におけるスペースが確保できないことが改良点である。
【0004】
このような問題点の改良として、本出願人は、改良発明を提案している。この提案を、文献(1)、(2)として説明する。
【0005】
この文献(1)は、特開2008−118864の「ハウスの送風システム」であり、その概要は、ハウスの両妻面にファン・換気扇を設け、ハウスの両妻面内部の天井面から一枚又は複数枚の防虫ネットの上部を垂架し、ファン・換気扇を防虫ネットで囲繞し、ハウスの高さ方向の略中間部で、この防虫ネットの下部を、妻面に向かって延設し、その端部を妻面に連結することで、この防虫ネット下側に、防虫ネットを張装しない開放部を形成し、この防虫ネットを利用し、ハウスの長手方向に略水平方向の空気の流れと、広域的な空気の流れの確保と、また、開放部を形成し、耕作面積の拡充と作業性の効率の向上を確保する構成であり、略均一な栽培環境・効率的な送風の確保、又は送風領域の拡充し、送風量の軽減化と、ファンの低容量化等による経済的な効果及び/又は省資源化の達成と、ランニングコストの低廉化等を図ることを意図する。
【0006】
また、文献(2)は、特開2008−61544の「ハウスの送風システム」であり、その概要は、ハウスの両妻面にファン・換気扇を設け、ハウスの両妻面内部に一枚又は複数枚の防虫ネットを張装し、ハウス内に外気を、一方の妻面のファン、及び一方側の防虫ネットを介して導入しつつ、ハウスの内気を、他方の妻面の防虫ネット、及び換気扇を介して排気する送風システムで、一方のファン、及び防虫ネットと、他方の防虫ネット、及び換気扇を介して、ハウスの長手方向に略水平方向の空気の流れと、広域的な空気の流れを確保することを特徴とし、前述の文献(1)と同じ効果を達成することを意図する。
【0007】
【特許文献1】特開2008−118864
【特許文献2】特開2008−61544
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した文献(1)と、文献(2)は、妻面にファン・換気扇を設けるとともに、このファン・換気扇で、吸込んだ外気を、ハウス内に導入しつつ、妻面内部に設けた防虫ネットで、ハウスの長手方向に略水平方向の空気の流れと、広域的な空気の流れを確保し、ハウス内の温度(湿度)の制御と、栽培環境と人に優しい作業環境を確保とが達成できる特徴を有する。しかし、この文献(1)と、文献(2)は、低所ハウスに送風手段を有効、かつ既設のハウス構造を利用し、設置するには、十分な配慮と、構造が開示されているとは考えられなかった。
【0009】
そこで、本発明は、低所ハウス(例えば、イチゴハウスの如く、栽培作物が、小さく、かつ人の腰の近辺の棚で栽培するハウスである。尚、本発明では、以下、ハウスとする)において、前述の文献(1)と、文献(2)の効果が達成できるハウスにおける吸込み空気の送風装置を提供する。このハウスにおける吸込み空気(外気とする)の送風装置の提供で、本発明は、下記の各意図を達成する。
【0010】
[イ] ハウスに送風手段を設置し、ハウスの長手方向に略水平方向の外気の流れと、広域的な外気の流れを確保することで、例えば、ハウス内における耕作環境、及び作物への送風領域の拡充を図り、また、効率的な送風を確保し、作物の収穫量の増大と、作業性の効率化の向上を図ること、そして、また、送風量の軽減化・ファン及び/又は換気扇の低容量化等による経済的な効果、及び省資源化の達成を図ること、さらに、ランニングコストの低廉化を達成すること、
[ロ] ハウスにおいて、誘引梁、又は内張りビニールカーテンに邪魔されることなく、送風手段を設置でき、かつ送風手段の回転が図れる構造を提供すること、
[ハ] ハウス内での作業を、従来のような温熱環境的に安全な時間帯である日の出後、日没前の数時間程度に限られずに、昼夜の作業も可能とし、効率的な農作業の達成に役立てること、
[ニ] ハウスの圃場面積を拡充し、かつ作物の収穫量を増加させること、
[ホ] 従来の施設栽培における農作業の作業強度は、RMR(エネルギー代謝率)が1〜2の極軽作業〜軽作業を中心とする。しかし、防虫ネット及び/又は内張りビニールフィルムを装備したハウスでは、高温期において、日射の増加に伴い、作業者の胸から顔の付近では、WBGT(湿球黒球温度)の上昇が激しく、もって、ネット無被覆ハウスよりも高く推移することに鑑み、本発明で、このハウスの温熱環境的に対する問題点の解消を図ること、等を意図する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1・2の発明は、前記[イ]〜[ホ]に示した意図を達成することにある。
【0012】
請求項1は、ハウスの妻面に開設する開口部に設けたシャツタ、及びファン、換気扇等の送風手段と、この送風手段を回転する回転機構と、前記送風手段を駆動するモータと、この送風手段と、前記妻面に突設した外枠の吸込み口から前記ハウス内に導入した空気を取込む部屋と、この部屋の棟方向の吹出側に設けた防虫ネットとで構成し、
この部屋の吸込み空気を、前記部屋のビニールフィルムで誘導し、前記吹出側の防虫ネットに送り、この吸込み空気を、防虫ネットの網目を利用してコントロールし、この防虫ネットの網目から、略均等に前記ハウス内に送風する構成としたハウスにおける吸込み空気(外気)の送風装置である。
【0013】
請求項2は、ハウスの妻面に開設する開口部に設けたシャツタ、及びファン、換気扇等の送風手段と、この送風手段を駆動するモータと、この送風手段と、前記妻面に設けた外枠の吸込み口から前記ハウス内に導入した空気を取込む部屋と、この部屋の棟方向の吹出側に設けた防虫ネットとで構成し、
この部屋の吸込み空気を、前記部屋のビニールフィルムで誘導し、前記吹出側の防虫ネットに送り、この吸込み空気を、防虫ネットの網目を利用してコントロールし、この防虫ネットの網目から、略均等に前記ハウス内に送風する構成としたハウスにおける吸込み空気(外気)の送風装置である。
【0014】
請求項3の発明は、前記[イ]〜[ホ]に示した意図を達成するに最適な、送風手段を提供することにある。
【0015】
請求項3は、請求項1、又は請求項2に記載のハウスにおける吸込み空気の送風装置であって、
前記送風手段は、前記ハウスの棟方向において、その妻面内側と誘引梁とで形成される棟方向空間に設けるとともに、ハウスの高さ方向において、ハウスの内張りビニールフィルムと、前記誘引梁とで形成される高さ方向空間に設け、この棟方向・高さ方向空間を利用し、この送風手段を設置する構成としたハウスにおける吸込み空気の送風装置である。
【0016】
請求項4の発明は、前記[イ]〜[ホ]に示した意図を達成するに最適な、外枠の周辺を密封した送風手段を提供することにある。
【0017】
請求項4は、請求項1、又は請求項2に記載のハウスにおける吸込み空気の送風装置であって、
前記送風手段の外枠の放射方向の側面を、密封手段で囲繞し、この密封空間内に、前記モータ、羽根車、又はこのモータを支持する支持杆等を収容する構成としたハウスにおける吸込み空気の送風装置である。
【0018】
請求項5の発明は、前記[イ]〜[ホ]に示した意図を達成するに最適な、送風手段の回転機構を提供することにある。
【0019】
請求項5は、請求項1に記載のハウスにおける吸込み空気の送風装置であって、
前記送風手段の回転機構は、前記シャツタ、及びファン、換気扇等を内部に装置できるシャツタ枠体と、このシャツタ枠体が設けられる妻面の枠体と、このシャツタ枠体と、この枠体との間に設けた枢軸と、このシャツタ、及びファン、換気扇等の回転停止を図る前記シャツタ枠体と、前記枠体との間に設けたストッパーとで構成したハウスにおける吸込み空気の送風装置である。
【0020】
請求項6の発明は、前記[イ]〜[ホ]に示した意図を達成するに最適な、送風手段を提供することにある。
【0021】
請求項6は、請求項1に記載のハウスにおける吸込み空気の送風装置であって、
前記送風手段は、前記ハウスの棟方向において、その妻面内側と誘引梁とで形成される棟方向空間に設けるとともに、その高さ方向において、ハウスの内張りビニールフィルムと、前記誘引梁とで形成される高さ方向空間に設け、この棟方向・高さ方向空間を利用し、この送風手段を回転する構成としたハウスにおける吸込み空気の送風装置である。
【0022】
請求項7の発明は、前記[イ]〜[ホ]に示した意図を達成するに最適な、送風手段の回転機構のハウスへの取付け手段を提供することにある。
【0023】
請求項7は、請求項1に記載のハウスにおける吸込み空気の送風装置であって、
前記送風手段の回転機構のシャツタ枠体と、前記ハウスの躯体の枠体との間に枢軸を設け、この枢軸を支軸とし、このシャツタ枠体が、前記妻面の外側に出窓形式に突出する構成としたハウスにおける吸込み空気の送風装置である。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の発明は、ハウスの妻面に開設する開口部に設けたシャツタ、及びファン、換気扇等の送風手段と、送風手段を回転する回転機構と、送風手段を駆動するモータと、この送風手段と、妻面に突設した外枠の吸込み口から前記ハウス内に導入した空気を取込む部屋と、部屋の棟方向の吹出側に設けた防虫ネットとで構成し、
部屋の吸込み空気を、部屋のビニールフィルムで誘導し、吹出側の防虫ネットに送り、吸込み空気を、防虫ネットの網目を利用してコントロールし、防虫ネットの網目から、略均等にハウス内に送風する構成としたハウスにおける吸込み空気の送風装置である。
【0025】
請求項2の発明は、ハウスの妻面に開設する開口部に設けたシャツタ、及びファン、換気扇等の送風手段と、送風手段を駆動するモータと、送風手段と、妻面に設けた外枠の吸込み口からハウス内に導入した空気を取込む部屋と、部屋の棟方向の吹出側に設けた防虫ネットとで構成し、
部屋の吸込み空気を、部屋のビニールフィルムで誘導し、吹出側の防虫ネットに送り、吸込み空気を、防虫ネットの網目を利用してコントロールし、防虫ネットの網目から、略均等にハウス内に送風する構成としたハウスにおける吸込み空気の送風装置吸込み空気の送風装置である。
【0026】
従って、請求項1・2は、下記の特徴がある。
【0027】
[イ] ハウスに送風手段を設置し、ハウスの長手方向に略水平方向の外気の流れと、広域的な外気の流れを確保することで、例えば、ハウス内における耕作環境、及び作物への送風領域の拡充を図り、また、効率的な送風を確保し、作物の収穫量の増大と、作業性の効率化の向上を図ること、そして、また、送風量の軽減化・ファン及び/又は換気扇の低容量化等による経済的な効果、及び省資源化の達成を図ること、さらに、ランニングコストの低廉化を達成できること、
[ロ] ハウスにおいて、誘引梁、又は内張りビニールカーテンに邪魔されることなく、送風手段を設置でき、かつ送風手段の回転が図れる構造を提供できること、
[ハ] ハウス内での作業を、従来のような温熱環境的に安全な時間帯である日の出後、日没前の数時間程度に限られずに、昼夜の作業も可能とし、効率的な農作業の達成に役立つこと、
[ニ] ハウスの圃場面積を拡充し、かつ作物の収穫量を増加できること、
[ホ] 従来の施設栽培における農作業の作業強度は、RMR(エネルギー代謝率)が1〜2の極軽作業〜軽作業を中心とする。しかし、防虫ネット及び/又は内張りビニールフィルムを装備したハウスでは、高温期において、日射の増加に伴い、作業者の胸から顔の付近では、WBGT(湿球黒球温度)の上昇が激しく、もって、ネット無被覆ハウスよりも高く推移することに鑑み、本発明で、このハウスの温熱環境的に対する問題点の解消を図れること、
請求項3の発明は、請求項1、又は請求項2に記載のハウスにおける吸込み空気の送風装置であって、
送風手段は、ハウスの棟方向において、その妻面内側と誘引梁とで形成される棟方向空間に設けるとともに、ハウスの高さ方向において、ハウスの内張りビニールフィルムと、誘引梁とで形成される高さ方向空間に設け、棟方向・高さ方向空間を利用し、送風手段を設置する構成としたハウスにおける吸込み空気の送風装置
従って、請求項3は、前記[イ]〜[ホ]に示した意図を達成するに最適な、送風手段を提供できる特徴がある。
【0028】
請求項4の発明は、請求項1、又は請求項2に記載のハウスにおける吸込み空気の送風装置であって、
送風手段の外枠の放射方向の側面を、密封手段で囲繞し、密封空間内に、モータ、羽根車、又はモータを支持する支持杆等を収容する構成としたハウスにおける吸込み空気の送風装置である。
【0029】
従って、請求項4は、前記[イ]〜[ホ]に示した意図を達成するに最適な、外枠の周辺を密封した送風手段を提供できる特徴がある。
【0030】
請求項5の発明は、請求項1に記載のハウスにおける吸込み空気の送風装置であって、
送風手段の回転機構は、シャツタ、及びファン、換気扇等を内部に装置できるシャツタ枠体と、シャツタ枠体が設けられる妻面の枠体と、シャツタ枠体と、枠体との間に設けた枢軸と、シャツタ、及びファン、換気扇等の回転停止を図るシャツタ枠体と、枠体との間に設けたストッパーとで構成したハウスにおける吸込み空気の送風装置である。
【0031】
従って、請求項5は、前記[イ]〜[ホ]に示した意図を達成するに最適な、送風手段の回転機構を提供できる特徴がある。
【0032】
請求項6の発明は、請求項1に記載のハウスにおける吸込み空気の送風装置であって、
送風手段は、ハウスの棟方向において、その妻面内側と誘引梁とで形成される棟方向空間に設けるとともに、その高さ方向において、ハウスの内張りビニールフィルムと、誘引梁とで形成される高さ方向空間に設け、棟方向・高さ方向空間を利用し、送風手段を回転する構成としたハウスにおける吸込み空気の送風装置である。
【0033】
従って、請求項6は、前記[イ]〜[ホ]に示した意図を達成するに最適な、送風手段の回転機構の密封手段を提供できる特徴がある。
【0034】
請求項7の発明は、請求項1に記載のハウスにおける吸込み空気の送風装置であって、
送風手段の回転機構のシャツタ枠体と、ハウスの躯体の枠体との間に枢軸を設け、枢軸を支軸とし、シャツタ枠体が、妻面の外側に出窓形式に突出する構成としたハウスにおける吸込み空気の送風装置である。
【0035】
従って、請求項7は、前記[イ]〜[ホ]に示した意図を達成するに最適な、送風手段の回転機構のハウスへの取付け手段を提供できる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1はイチゴ栽培と、通常は別に栽培するトマト栽培を一例として示したハウス(低所ハウスである)に送風手段を設けた正面模式図
【図2】図2は図1に示したイチゴ栽培等のハウスの一部省略の側面模式図
【図3−1】図3−1は回転機構を備えた送風手段の一例を示した拡大正面図
【図3−2】図3−2は図3−1の裏面図
【図4−1】図4−1は図3−1に示した送風手段を吸気(吸込み)状態で使用する一例を示した側面模式図
【図4−2】図4−2は図3−1に示した送風手段を排気(吐出)状態で使用する一例を示した側面模式図
【図5−1】図5−1は固定方式の送風手段の一例を示した拡大正面図
【図5−2】図5−2は図5−1の裏面図
【図6−1】図6−1は図5−1に示した送風手段の一例であって、吸気か、又は排気状態で使用する一例を示した拡大側面図
【発明を実施するための形態】
【0037】
1はハウスで、このハウス1は、躯体100と、ビニールハウス101で構成されており、低所方式であって、次のように構成される。そして、このハウス1には、誘引梁2と、内張りビニールフィルム3が設けられている。この誘引梁2と妻面1aの内側とでなる棟方向空間H(棟方向の空間)に設けられている。また、この内張りビニールフィルム3と誘引梁2とでなる棟方向空間H1(高さ方向の空間)に設けられている。尚、前記妻面1aを構成する躯体100の一部には、方形状の躯体部材100a、100bを方形状に組付けた枠体5を形成する。この枠体5([躯体100])で形成される開口部500には、後述する送風手段を取付ける。そして、この開口部500に、送風手段を設ける構造である。この送風手段の構造により、区々となり、例えば、図3−1〜図4−2の実施例では、妻面1aの躯体1には、その外方に突出する出窓形式の方形状の外枠6を突設する。そして、この一例では、この枠体5の少なくとも、隅角より前記外方に突出する四本の外枠部材600a、600bで形成する。また、図5−1〜図6−2の実施例では、妻面1aの躯体1と面一形式であって、前記枠体5を利用する簡便な構造である。
【0038】
この送風手段は、図3−1〜図4−2の実施例では、回転機構を備えた構造であり、枠体5に僅かの隙間をもって収容される枠部材1000a、1000bを枠組み構成したシャツタ枠体10と、このシャツタ枠体10の枠部材1000a、1000bと、枠体5の躯体部材100a、100b(躯体部材100a等とする)間で、その上下方向(妻面1aの天地方向)か、又は左右方向(地面に並行する方向)において対峙して設けた対の枢軸11と、このシャツタ枠体10に支持杆12で支持した羽根車13と、モータ14等の駆動部と、図示しない回転装置(ワイヤの操作、モータと歯車機構、又はモータとリンク機構等の装置)と、図示しないストッパーで構成する。この送風手段のシャツタ枠体10を、前記ハウス1の誘引梁2と妻面1aの内面とで形成される棟方向空間Hで、かつ誘引梁2の妻面1a側に設けた防虫ネット20の妻面1a側に設けることで、このシャツタ枠体10の枠部材1000a、1000bの略1/2の長さに相当するスペースを確保できる。このシャツタ枠体10を前記スペースに設置し、かつシャツタ枠体10の枠部材1000a、1000bを、枠体5の、例えば、躯体部材100a、100bに枢着することで、このシャツタ枠体10の回転を可能とする。また、外枠6の外枠部材600a、600bの長さは、このシャツタ枠体10の枠部材1000a、1000bの略1/2の長さより長く構成し、前記回転を担持する。また、この防虫ネット20と、外枠6の放射方向の周辺(外枠部材600a、600bの長手方向の周辺)を密封する遮蔽部材21、及びこの外枠6の吸込み側6aと吹出側6bを開放する構成にすることで、例えば、外気の吸込みと、ハウス1内(ハウス1全体)への長手方向1−1に略水平方向の外気の流れと、広域的な外気の流れとが確保できる。またシャツタ枠体10は、このハウス1の高さ方向では、ハウス1の内張りビニールフィルム3と、誘引梁2との間にある高さ方向空間H1で設けられる。これにより、前述の回転と、外気の吸込みと、それぞれの流れと、が確保できる。尚、誘引梁2の妻面1a側に設けた防虫ネット20の底部20aは、遮蔽部材とする。また、この防虫ネット20は、吹出側6bのみの場合もあり得るし、この場合においても、前述の外気の吸込みと、それぞれの流れが確保できる。前述の如く、実施例を採用することで、図1に示した、棚泡を利用したイチゴ栽培Aと、吊下げ栽培するトマト栽培Bによる低所ハウス1においても有効である。また、外枠6には、送風手段を構成する自動、又は風圧等で開閉するシャツタ17を設ける(シャツタ17は、必要により設ける)。このシャツタ17の閉塞で、外枠6及び/又はハウス1の遮蔽と、雨水の浸入防止、又はハウス1内の密封等を図り、また、その開放で、外気をハウス1内に導入する。
【0039】
そして、この吸込み兼排気用の送風手段を、この種のハウス1(既成のハウス「図示しない」も含む)に設置するには、前述した如く、ハウス1において、妻面1aに外枠6を突設し、かつシャツタ枠体10を枠体5に枢着し、しかもシャツタ枠体10を、ハウス1の誘引梁2と妻面1aの内面とで形成される棟方向空間Hに設けるとともに、このシャツタ枠体10を、ハウス1の高さ方向では、ハウス1の内張りビニールフィルム3と、誘引梁2との間にある高さ方向空間H1に設けることで、達成される。
【0040】
また、この送風手段は、図5−1〜図6−2の実施例では、枠体5、又はシャツタ枠体15に設けた支持杆12を介して、羽根車13と、モータ14等の駆動部を設ける。この実施例では、吸込側として使用し、吸気とするか、又は吹出側として利用し、排気とするかの択一使用をする。そして、この実施例では、ハウス1内の内圧でシャツタ17を開閉し、給排気用として利用する。
【0041】
以下、外気の導入と、ハウス1内の外気(室内空気)の動きを説明する。図4−1に示した吸込み(吸気)の状態では、羽根車13は、妻面1aの外側にあり、かつシャツタ17は、図示しない自動開放手段で、開放状態である。その後、モータ14を駆動することで、羽根車13が回転し、外枠6の吸込み側6a(吸込み口)より外気を吸込む(外枠6の周辺は遮蔽部材21で閉塞されている)。この外気は、吹出側6b(吹出口)より、ハウス1内において防虫ネット20の張装と、防虫ネット20の下側(必要により図示しない遮蔽膜)と、この下側と地面で形成される空間H3、及び/又はハウス1の内面で区画された外気整流室102に導入される。この外気整流室102内の外気は、網目2000で抑制されながら、整流、かつ風圧(送風力)が緩和されるとともに、このハウス1の棟方向端面(短手方向1−2)に拡散されことから、例えば、前述の如く、ハウス1内への長手方向1−1に略水平方向の外気の流れと、広域的な外気の流れとが確保できる。従って、作物への略均等な風の流れと、温湿度分布の略均一化が図れる特徴があり、前述した如く、例えば、栽培・作業環境と、栽培・作業合理化、及び/又は、収穫・品質等の向上が図れる。
【0042】
また、図4−2に示した排気の状態では、羽根車13は、妻面1aの内側にあり、かつシャツタ17は、図示しない自動開放手段で、開放状態である。その後、モータ14を駆動することで、羽根車13が回転し、内気を、吸込み側6bより吸込み、外枠6の排気側6cより排気する。この内気は、張装された防虫ネット20と網目2000による抑制とを介して、その短手方向1−2の略全体から、略均等、かつ緩やかに吸気されるとともに、このハウス1内の長手方向1−1から、広域的、かつスムーズに吸気される。従って、作物への略均等な風の流れと、温湿度分布の矯正化が図れる特徴があり、前述した如く、例えば、栽培・作業環境と、栽培・作業合理化、及び/又は、収穫・品質等の向上が図れる。
【0043】
尚、図6−1と、図6−2の吸込みと排気は、前述の図4−1と、図4−2の各例に順ずる。また、各例とも、一方の妻面1aが、吸込みの場合は、原則として、他方の妻面1aaは、排気となる。そして、各例を、両妻面1aと、妻面1aaにそれぞれ設ける構造が原則であるが、この図3−1〜図4−2を、一方の妻面1aに、図5−1〜図6−2を、他方の妻面1aに、設ける他の構造も可能である。
【0044】
図中1bは、ハウス1の天井を示す。
【符号の説明】
【0045】
1 ハウス
100 躯体
100a 躯体部材
100b 躯体部材
101 ビニールフィルム
102 外気整流室
1a 妻面
1aa 妻面
1b 天井
1−1 長手方向
1−2 棟方向
2 誘引梁
3 内張りビニールフィルム
5 枠体
500 開口部
6 外枠
600a 外枠部材
60b 外枠部材
6a 吸込み側
6b 吹出側
6c 排気側
10 シャツタ枠体
1000a 枠部材
1000b 枠部材
11 枢軸
12 支持杆
13 羽根車
14 モータ
17 シャッタ
20 防虫ネット
2000 網目
21 遮蔽部材
H 棟方向空間
H1 高さ方向空間
H3 空間
A イチゴ栽培
B トマト栽培

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウスの妻面に開設する開口部に設けたシャツタ、及びファン、換気扇等の送風手段と、この送風手段を回転する回転機構と、前記送風手段を駆動するモータと、この送風手段と、前記妻面に突設した外枠の吸込み口から前記ハウス内に導入した空気を取込む部屋と、この部屋の棟方向の吹出側に設けた防虫ネットとで構成し、
この部屋の吸込み空気を、前記部屋のビニールフィルムで誘導し、前記吹出側の防虫ネットに送り、この吸込み空気を、防虫ネットの網目を利用してコントロールし、この防虫ネットの網目から、略均等に前記ハウス内に送風する構成としたハウスにおける吸込み空気の送風装置。
【請求項2】
ハウスの妻面に開設する開口部に設けたシャツタ、及びファン、換気扇等の送風手段と、この送風手段を駆動するモータと、この送風手段と、前記妻面に設けた外枠の吸込み口から前記ハウス内に導入した空気を取込む部屋と、この部屋の棟方向の吹出側に設けた防虫ネットとで構成し、
この部屋の吸込み空気を、前記部屋のビニールフィルムで誘導し、前記吹出側の防虫ネットに送り、この吸込み空気を、防虫ネットの網目を利用してコントロールし、この防虫ネットの網目から、略均等に前記ハウス内に送風する構成としたハウスにおける吸込み空気の送風装置。
【請求項3】
請求項1、又は請求項2に記載のハウスにおける吸込み空気の送風装置であって、
前記送風手段は、前記ハウスの棟方向において、その妻面内側と誘引梁とで形成される棟方向空間に設けるとともに、ハウスの高さ方向において、ハウスの内張りビニールフィルムと、前記誘引梁とで形成される高さ方向空間に設け、この棟方向・高さ方向空間を利用し、この送風手段を設置する構成としたハウスにおける吸込み空気の送風装置。
【請求項4】
請求項1、又は請求項2に記載のハウスにおける吸込み空気の送風装置であって、
前記送風手段の外枠の放射方向の側面を、密封手段で囲繞し、この密封空間内に、前記モータ、羽根車、又はこのモータを支持する支持杆等を収容する構成としたハウスにおける吸込み空気の送風装置。
【請求項5】
請求項1に記載のハウスにおける吸込み空気の送風装置であって、
前記送風手段の回転機構は、前記妻面に突設した吸込み口を備えた外枠と、前記シャツタ、及びファン、換気扇等を内部に装置できるシャツタ枠体と、このシャツタ枠体が設けられる妻面の枠体と、このシャツタ枠体と、この枠体との間に設けた枢軸と、このシャツタ、及びファン、換気扇等の回転停止を図る前記シャツタ枠体と、前記枠体との間に設けたストッパーとで構成したハウスにおける吸込み空気の送風装置。
【請求項6】
請求項1に記載のハウスにおける吸込み空気の送風装置であって、
前記送風手段は、前記ハウスの棟方向において、その妻面内側と誘引梁とで形成される棟方向空間に設けるとともに、その高さ方向において、ハウスの内張りビニールフィルムと、前記誘引梁とで形成される高さ方向空間に設け、この棟方向・高さ方向空間を利用し、この送風手段を回転する構成としたハウスにおける吸込み空気の送風装置。
【請求項7】
請求項1に記載のハウスにおける吸込み空気の送風装置であって、
前記送風手段の回転機構のシャツタ枠体と、前記ハウスの躯体の枠体との間に枢軸を設け、この枢軸を支軸とし、このシャツタ枠体が、前記妻面の外側に出窓形式に突出する構成としたハウスにおける吸込み空気の送風装置。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6−1】
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【公開番号】特開2010−263799(P2010−263799A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115760(P2009−115760)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(391008294)フルタ電機株式会社 (176)
【Fターム(参考)】