説明

ハガキ用インクジェット記録材料

【課題】本発明の目的は、インク吸収性、印字濃度、プリンター搬送性、表裏面の塗層強度、光沢に優れたハガキ用インクジェット記録材料を提供することにある。
【解決手段】樹脂被覆紙支持体の一方の面(A面)に、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有する下層のインク受容層と、コロイダルシリカもしくはγアルミナを主体に含有する最上層のインク受容層を有し、他方の面(B面)に、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有しかつ平均粒子径が1μm以上の固体微粒子を含有する下層のインク受容層と、コロイダルシリカもしくはγアルミナを主体に含有する最上層のインク受容層を有することを特徴とするハガキ用インクジェット記録材料により達成された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク吸収性、印字濃度、プリンター搬送性、表裏面の塗層強度、光沢に優れたハガキ用インクジェット記録材料を提供することにある。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンター搬送性と耐傷性を両立する手段としては、インク受容層の上にコロイダルシリカ層を設けることが知られている。例えば、片面の気相法シリカ層の上にコロイダルシリカ層を設け、反対面に気相法シリカ層を設けることが、特開2004−174729号公報(特許文献1)に記載されている。
【0003】
また、片面の気相法シリカ層の上にコロイダルシリカ層を設け、反対面に平均粒子径が100nm以上の粒子を用いてインク受容層を設けることが、特開2003−25711号公報(特許文献2)に記載されている。また、片面に気相法シリカ層を設け、反対面に平均粒子径100nmより大きい有機粒子と無機粒子を含有するインク受容層を設けることが特開2002−264481号公報(特許文献3)に記載されている。
【0004】
しかしながら、上述したような従来の記録材料では、本発明が目的とする、インク吸収性、印字濃度、プリンター搬送性、表裏面の塗層強度、光沢を同時に満足することはできなかった。
【0005】
一方、耐水性支持体の両面にインク受容層を設け、両面印字可能な記録材料が知られている。これらの記録材料は、ハガキ用途として知られている。耐水性支持体に設けられたインク受容層に十分なインク吸収性を確保するためには、気相法シリカやアルミナ水和物のような粒子サイズの小さい無機微粒子を含有することが好ましいが、両面にこのようなインク受容層を設けた場合、記録材料の多数枚をセットできるプリンターでは、搬送性の問題(重送:2枚が一度に搬送する)が起こりやすかった。
【特許文献1】特開2004−174729号公報
【特許文献2】特開2003−25711号公報
【特許文献3】特開2002−264481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、インク吸収性、印字濃度、プリンター搬送性、表裏面の塗層強度、光沢に優れたハガキ用インクジェット記録材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、以下発明によって達成された。
1)樹脂被覆紙支持体の一方の面(A面)に、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有する下層のインク受容層と、コロイダルシリカもしくはγアルミナを主体に含有する最上層のインク受容層を有し、他方の面(B面)に、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有しかつ平均粒子径が1μm以上の固体微粒子を含有する下層のインク受容層と、コロイダルシリカもしくはγアルミナを主体に含有する最上層のインク受容層を有することを特徴とするハガキ用インクジェット記録材料。
【0008】
2)前記無機微粒子が、合成シリカおよびアルミナ水和物のうちの少なくとも1種である1)に記載のハガキ用インクジェット記録材料。
【0009】
3)前記合成シリカが気相法シリカもしくは、500nm以下に微粉砕した湿式法シリカである2)に記載のハガキ用インクジェット記録材料。
【0010】
4)一方の面(A面)と他方の面(B面)の静摩擦係数が0.8以下である1)、2)または3)に記載のハガキ用インクジェット記録材料。
【発明の効果】
【0011】
本発明を実施することにより、インク吸収性、印字濃度、プリンター搬送性、表裏面の塗層強度、光沢に優れたハガキ用インクジェット記録材料を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明のハガキ用インクジェット記録材料を詳細に説明する。
本発明に用いられる樹脂被覆紙について詳細に説明する。樹脂被覆紙支持体を構成する基紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。原紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この原紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。さらに、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
【0013】
基紙として用いられる原紙は、抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどした表面平滑性の良い物が好ましく、その坪量は100〜250g/m2が好ましい。
【0014】
基紙を被覆する樹脂層に用いられる樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの2つ以上からなる共重合体及びこれらの混合物が挙げられ、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。
【0015】
樹脂層中には、更に、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、イルガノックス1010、イルガノックス1076などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えることができる。
【0016】
樹脂被覆紙の一般的な製造方法は、走行する原紙上に加熱溶融したポリオレフィン樹脂を流延する、いわゆる押出コーティング法により製造され、その原紙の両面が樹脂により被覆される。樹脂を原紙に被覆する前に、原紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。樹脂層の厚みとしては、5〜50μmの範囲が適当であり、10〜40μmの範囲が好ましい。
【0017】
樹脂被覆紙は、前述したように加熱溶融した樹脂を原紙とクーリングロールとの間にフィルム状に押出し、圧着、冷却して製造される。この際、クーリングロールは樹脂層の表面形状の形成に使用され、樹脂層の表面の中心線平均粗さは、用いるクーリングロールの表面形状を調整することによって得られる。
【0018】
上記した樹脂被覆紙には、帯電防止性、搬送性、カール防止などのために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。また、インク受容層を塗布する面には、予め、ゼラチン等の親水性バインダーからなる下引き層を設けるのが好ましい。
【0019】
本発明のインクジェット記録材料は、前述した樹脂被覆紙支持体に、一方の面(以後、A面とする)では平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有するインク受容層を有し、該インク受容層の上にコロイダルシリカもしくはγ−アルミナを含有する最上層を有し、また、反対面(以後、B面とする)では平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有し、平均粒子径1μm以上の固体微粒子を同時に含有するインク受容層を有し、該インク受容層の上にコロイダルシリカもしくはγ−アルミナを主体に含有する最上層を有する。
【0020】
本発明のハガキ用インクジェット記録材料において、A面は通信面に適用され、B面は宛名面に適用される。A面の構成を採ることによって、光沢、インク吸収性、及び塗層強度に優れる。B面(宛名面)に要求される性能は、オフセット印刷適性(郵便番号枠等の印刷)、塗層強度、筆記性、プリンター搬送性である。B面の最上層にコロイダルシリカもしくはγ−アルミナを主体に含有する層を設けることによって、オフセット印刷適性、塗層強度が向上するが、一方筆記性が低下し、また宛名面としては光沢が高くなりすぎるという不都合が生じる。これらの不都合は、下層のインク受容層に平均粒子径1μm以上の固体微粒子を含有させることによって解決し、更にプリンター搬送性も向上する。
【0021】
本発明に用いられるA面の下層のインク受容層について詳細に説明する。本発明においては、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有するインク受容層を設けることが、高いインク吸収性を得るために好ましい。ここで無機微粒子を主体に含有するとは、インク受容層の全固形分に対して無機微粒子を50質量%以上含有するということであり、好ましくは60質量%以上含有することであり、さらに好ましくは65質量%以上含有することである。上限は、95質量%程度である。
【0022】
前記無機微粒子としては、気相法シリカ、微粉砕した湿式法シリカ、アルミナ水和物が好ましく用いられる。特に、インク吸収性の観点から気相法シリカが好ましい。平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を用いることによって、高発色性でかつ高精細な印字画像が得られる。また、高いインク吸収性を得るために、インク受容層における無機微粒子の塗布量は、10g/m2以上必要であり、好ましくは15g/m2以上であり、より好ましくは17g/m2以上である。上限は、40g/m2程度である。
【0023】
気相法シリカは、乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって製造される。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されており入手することができる。
【0024】
湿式法シリカは、製造方法によって更に沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは、珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造される。製造過程で粒子成長したシリカ粒子は、凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。この方法で製造されたシリカの二次粒子は緩やかな凝集粒子となり、比較的粉砕し易い粒子が得られる。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシール、ファインシールとして市販されている。
【0025】
ゲル法シリカは、珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造される。この場合、熟成中に小さなシリカ粒子が溶解し、大きな粒子の一次粒子間に一次粒子どうしを結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、水澤化学工業(株)からミズカシルとして、グレースジャパン(株)からサイロジェットとして市販さている。
【0026】
ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、ケイ酸ソーダの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られる。例えば日産化学工業(株)からスノーテックスとして市販されている。本発明においては、このコロイダルシリカは、インク受容層の無機微粒子として用いられず、インク受容層の上に最上層として塗設される層に用いられる。
【0027】
気相法シリカは、平均一次粒子径が50nm以下のものが好ましい。より高い光沢を得るためには、5〜20nmでかつBET法による比表面積が90〜400m2/gの気相法シリカが好ましい。本発明で云うBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
【0028】
気相法シリカは、数nm〜数十nmの一次粒子が網目構造あるいは鎖状につながりあって二次的に凝集した状態で存在する。この凝集粒子の平均二次粒子径が500nm以下になるまで分散されるのが好ましく、より好ましくは300nm以下になるまで分散される。下限の粒子径は30nm程度である。ここで、凝集粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡による写真撮影で求めることができる。
【0029】
本発明において、好ましく用いられる湿式法シリカは、沈降法シリカ及びゲル法シリカであり、より好ましくは、沈降法シリカである。これらの湿式法シリカの平均二次粒子径は、通常1μm以上である。本発明は、これらの湿式法シリカを、平均二次粒子径が500nm以下になるまで粉砕する。好ましくは、平均粒子径が300nm以下になるまで粉砕する。下限の粒子径は30nm程度である。この粉砕工程は、カチオン性化合物の存在下で行うのが好ましい。
【0030】
湿式法シリカの粉砕工程は、分散媒にシリカ微粒子を添加し混合(予備分散)する一次分散工程と、該一次分散工程で得られた粗分散液中のシリカを粉砕する二次分散工程からなる。一次分散工程における予備分散は、通常のプロペラ撹拌、歯状ブレード型分散機、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌、超音波撹拌等で行うことができる。湿式法シリカの粉砕方法としては、分散媒中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。湿式分散機としては、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜施回型分散機等を使用することができるが、本発明では特にビーズミル等のメディアミルが好ましく用いられる。
【0031】
本発明に用いられる湿式法シリカは、粉砕前の平均二次粒子径が5μm以上のものが好ましい。より好ましくは、粉砕前の平均二次粒子径が10μm以上のものが好ましい。上限は40μm程度である。比較的大きな粒子径のシリカを粉砕することによって、より高濃度での分散が可能となる。
【0032】
本発明のインク受容層に用いられる湿式法シリカとしては、沈降法シリカが好ましい。前述したように、沈降法シリカは、その二次粒子が緩やかな凝集粒子であるので、粉砕するのに好適である。
【0033】
本発明において、気相法シリカの分散工程及び湿式法シリカの粉砕工程に用いられるカチオン性化合物としては、カチオン性ポリマー、水溶性多価金属化合物、あるいはシランカップリング剤が用いられる。これらのカチオン性化合物の中でも特にカチオン性ポリマー及び水溶性多価金属化合物が好ましく、特にカチオン性ポリマーが好ましい。
【0034】
本発明に用いられるカチオン性ポリマーとしては、4級アンモニウム基、ホスホニウム基、あるいは1〜3級アミンの酸付加物を有する水溶性カチオン性ポリマーが挙げられる。例えば、ポリエチレンイミン、ポリジアルキルジアリルアミン、ポリアリルアミン、アリキルアミンエピクロルヒドリン重縮合物、特開昭59−20696号、特開昭59−33176号、特開昭59−33177号、特開昭59−155088号、特開昭60−11389号、特開昭60−49990号、特開昭60−83882号、特開昭60−109894号、特開昭62−198493号、特開昭63−49478号、特開昭63−115780号、特開昭63−280681号、特開平1−40371号、特開平6−234268号、特開平7−125411号、特開平10−193776号、WO99/64248号公報等に記載されたカチオン性ポリマーが挙げられる。本発明に用いられるカチオン性ポリマーの重量平均分子量は10万以下が好ましく、より好ましくは5万以下であり、特に好ましくは2千〜3万程度である。
【0035】
本発明において、カチオン性ポリマーの使用量は合成シリカに対して1〜10質重%の範囲が好ましい。
【0036】
本発明に用いられる水溶性多価金属化合物としては、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、チタン、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンが挙げられ、これらの金属の水溶性塩として用いることができる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム八水和物、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、塩化チタン、硫酸チタン、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。これらの中でも特に、アルミニウムあるいは周期表IVa族元素(ジルコニウム、チタン)の水溶性塩が好ましい。本発明において、水溶性とは常温常圧下で水に1質量%以上溶解することを意味する。
【0037】
上記した水溶性多価金属塩化合物の添加量は、合成シリカに対して0.1〜10質量%の範囲が好ましい。
【0038】
本発明に用いられる無機微粒子として、上記気相法シリカ、湿式法シリカ以外にアルミナ水和物を用いることができる。アルミナ水和物は、Al23・nH2O(n=1〜3)の構成式で表される。nが1の場合がベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1より大きく3未満の場合が擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表す。アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。
【0039】
上記アルミナ水和物の平均一次粒子径は、5〜50nmが好ましく、特に5〜30nmでかつ平均アスペクト比(平均厚さに対する平均粒子径の比)が2以上の平板状の粒子を用いるのが好ましい。
【0040】
本発明のA面の下層のインク受容層には、皮膜としての特性を維持するために親水性バインダーが用いられ、特に、透明性が高くインクのより高い浸透性が得られる水溶性バインダーが用いられる。親水性バインダーの使用に当たっては、親水性バインダーがインクの初期の浸透時に膨潤して空隙を塞いでしまわないことが重要であり、この観点から比較的室温付近で膨潤性の低い親水性バインダーが好ましく用いられる。ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、澱粉、デキストリン、カルボキシメチルセルロース等やそれらの誘導体が使用されるが、好ましい親水性バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールである。特に好ましくはケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したポリビニルアルコールであり、平均重合度200〜5000のものが好ましい。
【0041】
A面の下層のインク受容層における親水性バインダーの比率は、用いられる無機微粒子の種類によって好ましい範囲が適宜選択される。インク受容層に気相法シリカを用いる場合は、親水性バインダーの比率は、気相法シリカに対して15〜30質量%が好ましく、16〜27質量%の範囲がより好ましく、特に17〜25質量%の範囲が好ましい。インク受容層に湿式法シリカを用いる場合は、親水性バインダーの比率は、湿式法シリカに対して10〜20質量%の範囲が好ましく、特に12〜19質量%の範囲が好ましい。インク受容層にアルミナ水和物を用いる場合は、親水性バインダーの比率は、アルミナ水和物に対して10〜20質量%の範囲が好ましく、特に12〜19質量%の範囲が好ましい。
【0042】
インク受容層には、更に硬膜剤、着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0043】
本発明において、インク受容層の塗布方法は任意の方法が用いられ、例えばスライドリップ方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。本発明ではインク受容層塗布組成物の塗液を高濃度で塗布しても良好な面質が得られるのはカーテン方式である。カーテン塗布により支持体の表面形状によらない均一なインク受容層が得られ、インク受容層の乾燥効率が高くなり、乾燥工程での表面の風紋等の発生が少ないので均一な表面と優れたインク吸収性のインクジェット記録材料が得られる。
【0044】
本発明に用いられるA面の最上層のインク受容層について詳細に説明する。本発明のA面のインク受容層の最上層には、無機微粒子としてコロイダルシリカもしくはγ−アルミナを主体に含有するインク受容層を設ける。これにより、インク吸収性、印字濃度、プリンター搬送性、表裏面の塗層強度、光沢を同時に満足することができる。また、高いインク吸収性及び膜面強度を保つために、最上層のインク受容層における無機微粒子の塗布量は、0.25g/m2〜5g/m2が好ましく、より好ましくは0.5g/m2〜3g/m2である。
【0045】
本発明の最上層に用いられるコロイダルシリカについて詳細に説明する。コロイダルシリカの一般的な一次粒子の平均粒子径は5〜100nm程度であり、平均粒子径が10〜500nm程度の二次粒子を形成している方がインク吸収性からは好ましい。市販の球状のものとして日産化学工業(株)製、スノーテックス20等、触媒化成工業(株)製、カタロイドUSB等が挙げられ、鎖状のものとして日産化学工業(株)製、スノーテックスUP等が挙げられ、パールネックレス状のものとして日産化学工業(株)製、スノーテックスPS−M等が使用出来る。また、コロイダルシリカの表面がカチオン性に修飾されたコロイダルシリカも好ましく使用でき、なかでもアルミニウム化合物により表面をカチオン性に修飾されていることが好ましい。アルミナ修飾コロイダルシリカとしては日産化学工業(株)製、スノーテックスAK−L、スノーテックスAK−UP、スノーテックスPS−M−AK等が挙げられる。
【0046】
また、本発明の最上層に用いられるγ−アルミナは、酸化アルミニウムのγ型結晶であるものが好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で50〜300nm程度まで粉砕したものが好ましく使用できる。
【0047】
本発明のA面の最上層に用いられる親水性バインダーについて説明する。本発明の最上層のインク受容層には、前述した親水性バインダーが用いられる。好ましい親水性バインダーとして、完全または部分ケン化のポリビニルアルコールがあげられる。特に好ましくはケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したポリビニルアルコールであり、平均重合度200〜5000のものが好ましい。
【0048】
A面の最上層のインク受容層における親水性バインダーの比率は、無機微粒子に対して3〜25質量%が好ましく、4〜18質量%の範囲がより好ましい。さらに好ましくは、無機微粒子に対して5〜15質量%の範囲である。
【0049】
本発明に用いられるB面の下層のインク受容層について詳細に説明する。本発明においては、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有するインク受容層を設けることが、高いインク吸収性を得るために好ましい。ここで無機微粒子を主体に含有するとは、インク受容層の全固形分に対して無機微粒子を50質量%以上含有するということであり、好ましくは60質量%以上含有することであり、さらに好ましくは65質量%以上含有することである。上限は、95質量%程度である。
【0050】
前記無機微粒子としては、気相法シリカ、微粉砕した湿式法シリカ、アルミナ水和物が好ましく用いられる。特に、インク吸収性の観点から気相法シリカが好ましい。また、インク受容層における無機微粒子の塗布量は、5g/m2以上必要であり、好ましくは8g/m2以上であり、より好ましくは10g/m2以上である。上限は、40g/m2程度である。
【0051】
B面の下層のインク受容層には、前述した親水性バインダーが用いられる。好ましい親水性バインダーとして、完全または部分ケン化のポリビニルアルコール、またはゼラチンがあげられる。特に好ましくはケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したポリビニルアルコールであり、平均重合度200〜5000のものが好ましい。
【0052】
B面の下層のインク受容層における親水性バインダーの比率は、用いられる無機微粒子の種類によって好ましい範囲が適宜選択される。インク受容層に気相法シリカを用いる場合は、親水性バインダーの比率は、気相法シリカに対して15〜30質量%が好ましく、16〜27質量%の範囲がより好ましく、特に17〜25質量%の範囲が好ましい。インク受容層に湿式法シリカを用いる場合は、親水性バインダーの比率は、湿式法シリカに対して10〜20質量%の範囲が好ましく、特に12〜19質量%の範囲が好ましい。インク受容層にアルミナ水和物を用いる場合は、親水性バインダーの比率は、アルミナ水和物に対して10〜20質量%の範囲が好ましく、特に12〜19質量%の範囲が好ましい。
【0053】
本発明に用いられるB面の下層のインク受容層に含有される固体微粒子について詳細に説明する。本発明に用いられる固体微粒子の平均粒子径は1μm以上である。好ましくは、平均粒子径2〜4μmの固体微粒子を用いることで、光沢、筆記性に特に優れたハガキ用インクジェット記録材料を得られる。また、平均粒子径1μm未満の固体微粒子を添加することでは、光沢、筆記性が所望の物を得られない。また、固体微粒子の添加量は、500nm以下の無機微粒子の質量に対して通常0.1〜10質量%使用される。
【0054】
本発明で使用される平均粒子径1μm以上の固体微粒子として、無機または有機顔料が使用できる。例えば、ケイソウ土、クレー、焼成クレー、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、二酸化チタン被覆雲母、硫酸バリウム、モリブデンホワイト、亜鉛華、リトポン、硫化亜鉛、石膏、鉛白、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、ゼオライト、水酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカ、ガラス粉、硫酸バリウム等の無機顔料、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート共重合樹脂等の有機顔料など、公知のものが挙げられる。面感等の観点から、無機顔料を用いることが特に好ましい。
【0055】
本発明に使用される固体微粒子における平均粒子径とは、例えば有機顔料のように一次粒子の状態で用いられるものは平均一次粒子径を指し、また、無機顔料のように二次粒子の状態で用いられるものは平均二次粒子径を指す。
【0056】
B面の最上層のインク受容層について詳細に説明する。本発明のインク受容層の最上層には、上記コロイダルシリカもしくはγ−アルミナを主体に含有するインク受容層を設ける。これにより、インク吸収性、印字濃度、プリンター搬送性、表裏面の塗層強度、光沢を同時に満足することができる。また、高いインク吸収性、膜面強度を保つために、最上層のインク受容層における無機微粒子の塗布量は、0.25g/m2〜5g/m2が好ましく、より好ましくは0.5g/m2〜3g/m2である。
【0057】
本発明のB面の最上層に用いられる親水性バインダーについて説明する。本発明の最上層のインク受容層には、前述した親水性バインダーが用いられる。好ましい親水性バインダーとして、完全または部分ケン化のポリビニルアルコールがあげられる。特に好ましくはケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したポリビニルアルコールであり、平均重合度200〜5000のものが好ましい。
【0058】
B面の最上層のインク受容層における親水性バインダーの比率は、無機微粒子に対して3〜25質量%が好ましく、4〜18質量%の範囲がより好ましい。さらに好ましくは、無機微粒子に対して5〜15質量%の範囲である。
【0059】
本発明では、インクジェット用記録材料の表面のインク受容層と裏面のインク受容層間の静摩擦係数は0.8以下、好ましくは0.7以下とすることで、重ねた印字シートが揃えやすくなり、輸送時の傷が発生しにくく、A面のインク受容層に印字した後、B面のインク受容層に印字する時の搬送性が良好となる。本発明の静摩擦係数は、ASTM D−1894−63準拠の摩擦係数測定装置(テスター産業(株)製、AB−401)により23℃、55%RHの条件で測定される。
【0060】
本発明でインクジェット用記録材料のA面のインク受容層とB面のインク受容層間の静摩擦係数を0.8以下とする方法は、インクジェット用記録材料のB面のJIS−B−0601で規定されるカットオフ値0.8mmでの中心線平均粗さRaを0.8μm以上、好ましくは1.3μm以上とし、A面のインク受容層に平均粒子径や種類の異なる無機微粒子を用いる方法、A面、およびB面のインク受容層にワックス等の滑剤を添加する方法、A面およびB面のインク受容層の親水性バインダーの固形分比率を少なくする方法等やそれらの組み合わせによる。
【実施例1】
【0061】
以下に、本発明の実施例をあげて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。又、実施例において示す「部」及び「%」は、特に明示しない限り実質固形分の質量部及び質量%を示す。
【0062】
<ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aの作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量160g/m2になるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙とした。抄造した原紙に、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100%の樹脂に対して、10%のアナターゼ型酸化チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、厚さ25μmになるように原紙の両面に押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆して樹脂被覆紙層を設けた。
【0063】
上記ポリオレフィン樹脂被覆紙の両面にそれぞれ高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成の下引き層をゼラチンが50mg/m2となるように塗布乾燥してポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aを作製した。
【0064】
<下引き層>
石灰処理ゼラチン 100部
スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 10部
【0065】
上述したポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aに、A面インク受容層として下記の組成のインク受容層A配合を支持体に近い下層として塗布量が固形分で22g/m2に、インク受容層B配合を最上層として塗布量が固形分で1g/m2になるように塗布、乾燥した。続いて、B面インク受容層として下記の組成のインク受容層C配合を支持体に近い下層として塗布量が固形分で15g/m2に、インク受容層D配合を最上層として塗布量が固形分で1g/m2になるように塗布、乾燥してインク受容層を設け、実施例1のインクジェット記録材料を作製した。
【0066】
<インク受容層A配合>
気相法シリカ分散液(気相法シリカの固形分として) 100部
ほう酸 3部
ポリビニルアルコール 20部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤 0.3部
【0067】
<インク受容層B配合>
コロイダルシリカ 100部
(日産化学工業(株)製、スノーテックスAK−L)
ポリビニルアルコール 7部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤 1部
【0068】
<インク受容層C配合>
気相法シリカ分散液(気相法シリカの固形分として) 100部
ほう酸 3部
ポリビニルアルコール 20部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
固体微粒子 2部
(湿式シリカP78A、平均二次粒子径3μm、水澤化学工業(株)製)
界面活性剤 0.3部
【0069】
<インク受容層D配合>
コロイダルシリカ 100部
(日産化学工業(株)製、スノーテックスAK−L)
ポリビニルアルコール 7部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤 1部
【0070】
上記の気相法シリカ分散液は、以下の通り作製した。水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)4部と気相法シリカ(平均一次粒子径7nm、BET法による比表面積300m2/g)100部を添加し、混練装置(特殊機化工業社製、ハイビスミックス)により60分間混練して気相法シリカ粗分散液を得た。この気相法シリカ粗分散物を高圧ホモジナイザーにより分散して気相法シリカ分散物を得た。この際の平均二次粒子径は、130nmであった。
【実施例2】
【0071】
実施例1のインクジェット記録材料において、B面に用いている固体微粒子として、P78Aの代わりに有機顔料(SBX−17、平均粒子径17μm、積水化成品工業社製ポリスチレン)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2のインクジェット記録材料を作製した。
【実施例3】
【0072】
実施例1のインクジェット記録材料において、インク受容層A配合の代わりに、下記インク受容層E配合を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例3のインクジェット記録材料を作製した。
【0073】
<インク受容層E配合>
湿式粉砕シリカ分散液(湿式粉砕シリカの固形分として) 100部
ほう酸 3部
ポリビニルアルコール 15部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤 0.3部
【0074】
上記の湿式粉砕シリカ分散液は、以下の通り作製した。水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)4部と沈降法シリカ(ニップシールVN3、平均二次粒子径23μm)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を作製した。次に得られた予備分散物をビーズミルに、直径0.3mmのジルコニアビーズ、充填率80容量%、円盤周速10m/秒の条件で1回通過させて、固形分濃度30質量%、平均二次粒子径200nmの湿式粉砕シリカ分散液を得た。
【実施例4】
【0075】
実施例1のインクジェット記録材料において、インク受容層A配合の代わりに、下記インク受容層F配合を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例4のインクジェット記録材料を作製した。
【0076】
<インク受容層F配合>
アルミナ水和物分散液(アルミナ水和物の固形分として) 100部
ほう酸 0.5部
ポリビニルアルコール 12部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤 0.3部
【0077】
上記のアルミナ水和物分散液は、以下の通り作製した。水に硝酸(2.5部)とアルミナ水和物(平均一次粒子径15nm)を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機を用いて、アルミナ水和物粗分散液を作製した。このアルミナ水和物粗分散液をビーズミル(直径0.3mmのジルコニアビーズ、充填率60容量%)を用いて分散し、アルミナ水和物分散液を得た。この際の平均二次粒子径は160nmであった。
【実施例5】
【0078】
実施例1のインクジェット記録材料において、インク受容層B配合の代わりに、下記インク受容層G配合を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例5のインクジェット記録材料を作製した。
【0079】
<インク受容層G配合>
γ−アルミナ 100部
ポリビニルアルコール 7部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤 1部
【実施例6】
【0080】
実施例1のインクジェット記録材料において、インク受容層C配合を下記のインク受容層H配合に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例6のインクジェット記録材料を作製した。
【0081】
<インク受容層H配合>
湿式粉砕シリカ分散液(湿式粉砕シリカの固形分として) 100部
ほう酸 3部
ポリビニルアルコール 15部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
固体微粒子 2部
(湿式シリカP78A、平均二次粒子径3μm、水澤化学工業(株)製)
界面活性剤 0.3部
【実施例7】
【0082】
実施例1のインクジェット記録材料において、インク受容層C配合を下記のインク受容層I配合に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例7のインクジェット記録材料を作製した。
【0083】
<インク受容層I配合>
アルミナ水和物分散液(アルミナ水和物の固形分として) 100部
ほう酸 0.5部
ポリビニルアルコール 12部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
固体微粒子 2部
(湿式シリカP78A、平均二次粒子径3μm、水澤化学工業(株)製)
界面活性剤 0.3部
【実施例8】
【0084】
実施例1のインクジェット記録材料において、インク受容層D配合を下記のインク受容層J配合に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例8のインクジェット記録材料を作製した。
【0085】
<インク受容層J配合>
γ−アルミナ 100部
ポリビニルアルコール 7部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤 1部
【0086】
(比較例1)
実施例1のインクジェット記録材料において、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体Aの代わりに下記の紙支持体Bを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1のインクジェット記録材料を作製した。
【0087】
<紙支持体Bの作製>
また、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2になるように抄造し、乾燥調湿して紙支持体Bとした。
【0088】
(比較例2)
実施例1のインクジェット記録材料において、A面の最上層のインク受容層を無くした以外は実施例1と同様にして、比較例2のインクジェット記録材料を作製した。
【0089】
(比較例3)
実施例1のインクジェット記録材料において、B面の最上層のインク受容層を無くした以外は実施例1と同様にして、比較例2のインクジェット記録材料を作製した。
【0090】
(比較例4)
実施例1のインクジェット記録材料において、インク受容層A配合をインク受容層K配合に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例4のインクジェット記録材料を作製した。
【0091】
<インク受容層K配合>
湿式法シリカ分散液(湿式法シリカの固形分として) 100部
ほう酸 8部
ポリビニルアルコール 50部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤 0.3部
【0092】
上記の湿式法シリカ分散液は、以下の通り作製した。水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)4部と湿式法シリカ(湿式シリカP78A、平均二次粒子径3μm、水澤化学工業(株)製)100部を添加し、混練装置(特殊機化工業(株)製、ハイビスミックス)により60分間混練して湿式法シリカ粗分散液を得た。この湿式法シリカ粗分散物を高圧ホモジナイザーにより分散して湿式法シリカ分散物を得た。
【0093】
(比較例5)
実施例1のインクジェット記録材料において、インク受容層C配合をインク受容層L配合に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例5のインクジェット記録材料を作製した。
【0094】
<インク受容層L配合>
湿式法シリカ分散液(湿式法シリカの固形分として) 100部
ほう酸 8部
ポリビニルアルコール 50部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤 0.3部
【0095】
(比較例6)
実施例1のインクジェット記録材料において、インク受容層C配合をインク受容層M配合に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例6のインクジェット記録材料を作製した。
【0096】
<インク受容層M配合>
気相法シリカ分散液(気相法シリカの固形分として) 100部
ほう酸 3部
ポリビニルアルコール 20部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤 0.3部
【0097】
実施例1〜8、比較例1〜6のインクジェット記録材料の評価は、以下に示す方法により行い、結果を表1に示す。
【0098】
<インク吸収性評価>
得られたインクジェット記録材料のA面、B面に、20℃、65%RHの条件でインクジェットプリンター(PM970C:セイコーエプソン(株)製)で、ブラックのベタ画像を印字し、30秒後に印字面にPPC用紙を重ねて軽く圧着し、剥がしてPPC用紙へのインクの裏写りを評価した。全く裏写りのない物を○、やや裏写りのある物を△、明らかに裏写りのある物を×とした。
【0099】
<印字濃度評価>
得られたインクジェット記録材料のA面に、20℃、65%RHの条件でインクジェットプリンター(PM970C:セイコーエプソン(株)製)で、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー各色のベタ画像を印字し、目視にて評価した。カラー写真並の鮮やかさがある物を○、若干くすみがある物を△、非常にくすみのある物を×とした。
【0100】
<プリンター搬送性評価>
得られたインクジェット記録材料を、20℃、65%RHの条件でインクジェットプリンター(PM970C:セイコーエプソン(株)製)にて連続搬送を行うことで評価した。問題なく搬送できる物を○、若干ノンフィードエラーやダブルフィードエラーが起こる物を△、ノンフィードエラーやダブルフィードエラーがひどく、搬送が困難である物を×とした。
【0101】
<膜面強度評価>
得られたインクジェット記録材料のA面、B面を、引っ掻き試験機(ガードナー硬度計、(株)東洋精機製)を用いて引っ掻くことで評価した。傷がつかない物を○、やや表面傷がつく物を△、傷がひどくつく物を×とした。
【0102】
<光沢評価>
得られたインクジェット記録材料を、A面が光沢調になっているか、また、B面が普通インクジェットハガキライクになっているかを目視にて評価した。優れている物を○、若干劣っている物を△、劣っている物を×とした。
【0103】
【表1】

【0104】
表1から、本発明のハガキ用インクジェット記録材料は、インク吸収性、印字濃度、プリンター搬送性、表裏面の塗層強度、光沢に優れたハガキ用インクジェット記録材料であることが分かる。それに対し比較例1〜6のインクジェット記録材料では、インク吸収性、印字濃度、プリンター搬送性、表裏面の塗層強度、光沢に劣り、不適であることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂被覆紙支持体の一方の面(A面)に、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有する下層のインク受容層と、コロイダルシリカもしくはγアルミナを主体に含有する最上層のインク受容層を有し、他方の面(B面)に、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有しかつ平均粒子径が1μm以上の固体微粒子を含有する下層のインク受容層と、コロイダルシリカもしくはγアルミナを主体に含有する最上層のインク受容層を有することを特徴とするハガキ用インクジェット記録材料。
【請求項2】
前記無機微粒子が、合成シリカおよびアルミナ水和物のうちの少なくとも1種である請求項1に記載のハガキ用インクジェット記録材料。
【請求項3】
前記合成シリカが気相法シリカもしくは、500nm以下に微粉砕した湿式法シリカである請求項2に記載のハガキ用インクジェット記録材料。
【請求項4】
一方の面(A面)と他方の面(B面)の静摩擦係数が0.8以下である請求項1、2または3に記載のハガキ用インクジェット記録材料。

【公開番号】特開2006−247980(P2006−247980A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−66443(P2005−66443)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】