説明

ハニカム体への層塗布方法

ハニカム体に層を塗布するための方法が提供される。方法はハニカム体の円筒面にセメント混合物を塗布する工程及びハニカム体の軸線を中心にしてハニカム体とブレードを相対的に回転させる工程を含む。方法はさらに、軸線を中心にするハニカム体とブレードの相対回転の間ブレードを第1の内角に保持する工程を含む。方法は次いでブレードを第1の内角から、第1の内角より大きい、第2の内角に移す工程を含む。方法はさらになお、ブレードが第1の内角から第2の内角に向けて移り始めた後に、軸線を中心にしてハニカム体とブレードを相対的に回転させる工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、2008年8月29日に出願された米国特許出願第12/231140号の優先権の恩典を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は全般的にはハニカム体に層を塗布する方法に関し、さらに詳しくは、ハニカム体の表面にセメント混合物を塗布する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
セラミック材料でハニカム体を作成することは既知である。ハニカム体の外円筒面にセメント混合物を塗布することも既知である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様にしたがえば、対向する端面を貫通する軸線及び軸線を中心にして端面の間に広がる円筒面を有するハニカム体に層を塗布するための方法が提供される。方法は、円筒面にセメント混合物を塗布する工程及び軸線を中心にしてハニカム体とブレードを相対的に回転させる工程を含む。方法はさらに、ハニカム体とブレードを相対的に回転させながらセメント混合物をブレードと接触させる工程を含む。ブレードの刃先は円筒面に近接して配置され、相対回転方向に交わる接触線に沿ってセメント混合物に接触する。ブレードは接触線から上流方向に円筒面に第1の内角をなす。方法はさらに、軸線を中心とするハニカム体とブレードの相対回転の間ブレードを第1の内角に保持する工程を含む。次いで、ブレードは第1の内角から、接触線から上流方向に円筒面になす第2の内角に移される。第2の内角は第1の内角より大きい。方法はさらに、ブレードが第1の内角から第2の内角に向けて移り始めた後に、軸線を中心にしてハニカム体とブレードを相対的に回転させる工程を含む。
【0005】
本発明の上記及びその他の特徴、態様及び利点は、添付図面を参照して以下の本発明の詳細な説明を読めば、さらに良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、端面が装置の対応する支持部材の間に配置されたハニカム体を含む、装置の略図である。
【図2】図2は装置の支持部材がハニカム体の端面を確保している図1の略図であり、装置は、ブレードの刃先をハニカム体の円筒面に近接して配置して、軸線を中心にしてハニカム体を回転させる。
【図3】図3は、ハニカム体が回転している間にブレードがセメント混合物に接触するように装置がさらに回転している、図2の略図である。
【図4】図4は、ブレードがセメント混合物に接触したままで装置が回転している、図3の略図である。
【図5】図5は、接触線から上流方向に円筒面に第1の内角をなしているブレードを示す、図2の線5-5に沿う装置及びハニカム体の断面図である。
【図5A】図5Aは、ブレード構成が別の、図5と同様の部分断面図である。
【図6】図6は、ハニカム体の円筒面上に形成されているセメント混合物層を示す、図3の線6-6に沿う装置及びハニカム体の断面図である。
【図7】図7は図4の線7-7に沿う装置及びハニカム体の断面図である。
【図8】図8は、計量分配ノズルによる円筒面にセメント混合物をさらに供給することなく、ブレードをセメント混合物に接触させたまま装置がさらにまだ回転している、図7と同様の断面図である。
【図9】図9は、セメント混合物層がハニカム体の実質的に円筒面全体を覆って形成されるように装置がさらにまだ回転している、図8と同様の断面図である。
【図9A】図9Aは、上流方向に延びるセメント混合物層のテールを示す、図9の部分拡大図である。
【図10】図10は、上流方向に円筒面に第2の内角をなしているブレードを示す、図9と同様の断面図である。
【図10A】図10Aは図10の部分拡大図である。
【図11】図11は、ブレードが第2の内角をなしている状態でハニカム体をさらに回転させることによるセメント混合物層のテールの除去を示す、図10と同様の断面図である。
【図11A】図11Aは図11の部分拡大図である。
【図12】図12は、ブレードとセメント混合物の接触が終了され、セメント混合物の一部がブレード上に載せられている、図11と同様の断面図である。
【図13】図13は、実質的に直線であり、ハニカム体の軸線に実質的に平行な、ブレードの刃先とセメント混合物の間の接触線を示す、図9の装置及びハニカム体の部分側面図である。
【図14】図14は、ブレードの別の例を示し、さらに、実質的に直線であり、ハニカム体の軸線の方向に対して実質的に傾いている、ブレードの刃先とセメント混合物の間の接触線を示す、別の装置の部分側面図である。
【図15】図15はハニカム体に層を塗布する方法の例の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明を、以降で、本発明の実施形態例が示されている添付図面を参照してさらに十分に説明する。しかし、本発明は多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に述べられる実施形態に限定されると解されるべきではない。同様の参照数字は様々な図面を通して同様の要素を指す。
【0008】
図面に示されるように、ハニカム体20に層を塗布する方法の例が開示される。ハニカム体は様々な濾過用途に用いることができる。例えば、ハニカム体は燃焼機関からの排気を処理するための粒子フィルタとして用いることができる。いくつかの例において、酸化窒素化合物またはその他の環境汚染物を低減するための触媒をハニカム体に装荷することができる。ハニカム体を形成するために様々な材料を用いることができる。例えば、ハニカム体は、コージェライト、ムライト、炭化ケイ素、チタン酸アルミニウムまたはその他の材料あるいはこれらの組合せのようなセラミック材料で作成することができる。セラミックハニカム体の作成中、無機材料のような原材料、液体ビヒクル及び結合剤が混合されてバッチにされる。バッチは次いでハニカム未焼成体に押出成形される。未焼成体は次いで乾燥のために加熱され、さらに加熱処理されて、セラミックのような、耐熱材料の焼成ハニカム体になる。
【0009】
ハニカム体は特定の用途に依存する様々な構造形状をとることができる。例えば、図1に示されるように、ハニカム体20は、対向する端面24a,24bを貫通する、図示される対称軸のような、軸線22を有することができる。図示されるように、端面24a,24bのそれぞれは実質的に平面であるが、別の例では異なる形状を有することができる。さらに図示されるように、端面24a,24bは互いに実質的に平行であり得るが、別の例では端面は互いにある角度をなして広がることができる。さらにまた、端面24a,24bの一方またはいずれも、図1に示されるように軸線22に対して実質的に直交することができる。
【0010】
ハニカム体はさらに、様々な形状及び大きさを有することができる。例えば、図1〜5に示されるように、ハニカム体20は外径‘d’にほぼ等しい長さ‘L’を有することができるが、別の例において長さ‘L’は外径‘d’より実質的に大きくとも小さくとも差し支えない。ハニカム体は端面間で軸線を中心にして広がる円筒面を有することもできる。例において、円筒面は端面24a,24bの少なくとも一方の周縁形状と実質的に等しいかまたは幾何学的に同様の断面形状を有することができる。
【0011】
図示されるハニカム体20は端面24a,24b間で軸線22を中心にして広がる円筒面26を有する。図5に示されるように、円筒面26は周縁が実質的に円の断面を有し、外径‘d’は円の直径を含む。図示されるように、実円筒面は不完全なチャネル21の露出部分を含むが、押出ダイ形状に依存し得る別の例では実質的に連続な円筒面を設けることができる。図5〜8には円筒面26の外径‘d’を示す破線27が示されている。図示されていないが、円筒面は長円形またはその他の曲線で囲まれた形状を有することができる。別の例において、円筒面は三角形、矩形またはその他の多角形を有することができる。
【0012】
図5にさらに示されるようにハニカム体は軸線22の方向に沿って延びるチャネル21を有する。別の例において、チャネルは、端面24a,24bの間を通じる、別の方向に沿って延びることができる。図示されるように、チャネル21は隣接する側壁によって定められるチャネルマトリックスとして設けることができる。図示される側壁はそれぞれ実質的に正方形の内部チャネルを設ける。別の例において、チャネルは円形、長円形またはその他の曲線で囲まれた形状を有することができる。また別の例において、チャネルはその他の、3ないしさらに多くの辺をもつ、多角形を有することができる。
【0013】
図はハニカム体に層を塗布するための様々な方法を示す。方法は図示されるハニカム体20を参照して説明されるが、別のハニカム体に層を塗布するためにも用いることができる。方法は円筒面26にセメント混合物30を塗布する工程を含む。例えば、図5に示されるように、円筒面26に適切な量のセメント混合物30を塗布するために計量分配装置140を用いることができる。計量分配装置140の例は実質的にハニカム体20の全長‘L’に沿って延びることができる。別の例において、計量分配装置140はハニカム体の長さより短い長さを有することができる。一例において、計量分配装置140はセメント混合物30を円筒面に直接に塗布できるように円筒面に近接して配置することができる。さらに、計量分配装置140は円筒面の上部に向けて配置して、塗布プロセス中にセメント混合物30を塗り拡げるために重力を役立たせることができる。セメント混合物30は初め、塗布中に実質的に同じとするかまたは一貫させることができる深さ‘T’の、バルクで塗布することができる。セメント混合物30は、ハニカム体20の全長‘L’のような長さ‘L’の少なくとも一部にかけて、円筒面26に塗布することができる。セメント混合物30は様々な材料を含有することができ、ハニカム体20と実質的に同じ材料または、無機材料、結合剤及び/または液体ビヒクルのような、ハニカム体20を形成する材料で、形成することができる。
【0014】
方法は軸線22を中心にしてハニカム体20とブレード150を相対的に回転させる工程を含むことができる。例えば、図2に示されるように、方法は軸線22を中心にしてハニカム体20をブレード150に対して回転させる工程を含むことができる。図示されるように、ブレード150は装置100の基台に対して実質的に静止したままとすることができ、ハニカム体20が装置の基台に対して回転する。別の例においてはブレード150がハニカム体20を周回することができ、ハニカム体20は基台に対して実質的に静止したままである。また別の例において、ブレード150はハニカム体20を周回することができ、ハニカム体20は基体に対して回転する。
【0015】
ハニカム体20及び/またはブレード150は様々な回転速度で回転することができる。回転速度は一定とすることができ、変化させる(例えば、段階的にまたは連続的に変化させる)ことができ、及び/または一連の増分回転速度を含むことができる。別の例において、軸線22はハニカム体20の対称軸を含むことができる。
【0016】
別の例において、方法は、ハニカム体20及びブレード150が静止したままでいる間に、またはハニカム体20とブレード150の相対回転中に、セメント混合物30を塗布する工程を含むことができる。例えば、図5に示されるように、計量分配装置140はハニカム体20を回転させている間にセメント混合物30を塗布することができる。ハニカム体20が回転するにつれて、セメント混合物30は計量分配装置140から相対回転方向28に運び去られる。塗布されたセメント混合物が運びさられている間、計量分配装置140は適切な量のセメント混合物30を円筒面26に塗布し続けることができる。別の例において、計量分配装置140は、ハニカム体を周回しながら、セメント混合物30を塗布することができる。例えば、ハニカム体20が装置100の基台に対して静止したままでいる間に、計量分配装置140が周回することができる。
【0017】
本発明の方法はさらに、軸線22を中心にしてハニカム体20とブレード150を相対的に回転させながら、セメント混合物30をブレード150に接触させる工程を含むことができる。例えば、初めブレード150をハニカム体20とブレード150の間の相対回転がない状態でセメント混合物30に接触させ、次いで軸線22を中心とするハニカム体20とブレード150の間の相対回転中もセメント混合物30に接触させ続けることができる。別の例において、ブレード150は初め、ハニカム体20とブレード150が軸線22を中心にして相対的に回転している間に、セメント混合物に接触し、次いで、その後の軸線22を中心にしたハニカム体20とブレード150の相対回転の間もセメント混合物30に接触し続ける。
【0018】
図2及び6に示されるように、ブレード150は、円筒面26に近接して配置され、相対回転方向28に交わる接触線154に沿ってセメント混合物30に接触するように構成された、刃先152を有することができる。図13に示されるように、接触線154は実質的に直線とすることができる。別の例において、接触線は1つないしさらに多くの曲線形状(例えば正弦波形状)、折れ線形状またはその他の形状を有することができる。図13にさらに示されるように、接触線154はハニカム体20の軸線22に実質的に平行とすることができる。図14は本発明の態様にしたがって用いることができる別の例のブレード250の略図を示す。図示されるように、ブレード250は円筒面26に近接して配置されるように構成された刃先252を有することができる。図示されるように、接触線254は実質的に直線であるが、別の例では1つないしさらに多くの曲線形状(例えば正弦波形状)、折れ線形状またはその他の形状を有することができる。さらに図示されるように、接触線はハニカム体の軸線の方向に対して実質的に傾けることができる。例えば、図14に示されるように、接触線254は軸線22の方向に対して傾角δをなして延びることができる。
【0019】
ブレードは、セメント混合物との望ましい接触を容易にするため、広範な形状を有することができる。図6に示されるように、ブレード150は刃先152が装着される取付部材151を有することができる。取付部材151は、図示されるフェルールのような、必要に応じる支持部材153で支持することができる。取付部材151は様々な構造をとることができる。図2及び5に示されるように、取付部材は実質的に硬質のプレーナ部材とすることができるが、別の例では別の非プレーナ部材を用いることができる。図5Aの別の実施形態に示されるように、ブレード350は実質的に可撓性の取付部材351を有することができ、取付部材351の刃先352における接線に対して内角(例えば内角α)を定めることができる。図14に示されるように、取付部材251は、剛毛、櫂またはその他のセグメント化部分のような、セグメント化取付部材を有することもできる。
【0020】
図5〜9に示されるように、本発明の方法は、接触線154から上流方向158にブレード150が円筒面26に第1の内角αをなす第1の位置にブレード150をつけることができる。ブレード150は、セメント混合物30のブレード150との接触の前後で、第1の位置につけることができる。さらに、ブレード150は、軸線22を中心にするハニカム体20のブレード150に対する相対回転の前、間及び/または後に、第1の位置に付けることができる。一例において、第1の内角αは鋭角である。例えば、第1の内角αは、約45°〜約75°のように、約20°〜約80°とすることができる。例えば、第1の内角αは約55°〜約65°とすることができる。本発明の例は、セメント混合物層32の表面品質を高めるように第1の内角αを選択することができる。
【0021】
本発明の方法はさらに、軸線22を中心とするハニカム体20とブレード150の相対回転の間、ブレードを第1の位置に保持することができる。一例において、360°に満たない回転で所望の層を設けるために協働するように、直径方向に対向して配置された計量分配装置及びブレードのような、複数の計量分配装置及びブレードを構成することができる。図5〜9に示されるように、ブレード150は、軸線22を中心とするブレード150に対するハニカム体20の少なくとも360°の回転の間、第1の位置に保持することができる。
【0022】
図示されるように、計量分配装置140はセメント混合物層32の十分な形成を容易にするために接触線から上流方向158に配置することができる。さらにまた、計量分配装置とブレードは別個の部材として図示されているが、単一の装置でブレード及び計量分配装置のいずれも備えることができると考えられる。そのような構成では部品数を低減でき、ブレード150が第1の位置に保持されているときの軸線22を中心とするハニカム体20の回転も減じることができる。実際、セメント混合物30はブレード上で計量分配装置を出ることができ、またはセメント混合物が円筒面26に塗布されると直ちにブレードに接触することができるであろう。
【0023】
図9に示されるように、ブレード150とセメント混合物30の接触の結果、ハニカム体20の円筒面26の少なくとも一部、実質的には全体、を覆うセメント混合物層32が得られる。
【0024】
図10〜11に示されるように、本発明の方法はさらに、ブレード150を第1の位置から、接触線154から上流方向158にブレード150が円筒面26に第2の内角βをなす、第2の位置に移すことができる。図示されるように、第2の内角βは第1の内角αより大きい。一例において、第2の内角βは鋭角である。例えば、第2の内角βは、約65°〜約90°のように、約40°〜約90°とすることができる。例えば、第2の内角βは約75°〜約85°とすることができる。本発明の例では、上流方向158に延びるセメント混合物層32のテール部分34の除去を容易にするように第2の内角βを選ぶことができる。
【0025】
必要に応じて、ハニカム体20とブレード150が軸線22を中心として相対的に回転している間にブレード150を第1の位置から第2の位置に移すことができる。例えば、本発明の方法では、ブレード150が第1の位置から第2の位置に向けて移動している間、軸線22を中心とするハニカム体20とブレード150の間の相対回転をほとんどまたは全く関与させないでおくことができる。例えば、ブレード150が第1の位置から第2の位置に移動している間、軸線22を中心とするハニカム体20とブレード150の間の相対回転を全く行わせないでおくことができる。別の例において、ブレードが第1の位置から第2の位置に向けて移動している間、軸線22を中心とするハニカム体20とブレード150の間のかなりの相対回転を行わせることができる。例えば、ブレード150が第1の位置から第2の位置に移動している間、軸線22を中心とするハニカム体20とブレード150の間の相対回転を続けることができる。ブレードが遷移間で迅速に移動すれば、第1の位置から第2の位置までにおこる軸線22を中心とする相対回転は比較的小さくなる。しかし、ブレードが遷移間で緩やかに移動すれば、第1の位置から第2の位置までにおこる軸線22を中心とする相対回転は比較的大きくなり得る。
【0026】
ブレード150が第1の位置から第2の位置に向けて移動し始めると、本発明の方法は軸線22を中心にするハニカム体20とブレード150の間の相対回転をさらに提供することができる。そのような相対運動はブレード150の第2の位置への到達時点の完全に前に、または完全に後に、行うことができる。別の例において、相対回転はブレード150の第2の位置への到達時点より少なくともある程度前に、または少なくともある程度後に、行うことができる。図示される例では、ブレード150が第2の位置についた後に相対回転のかなりの部分を行うことができる。例えば、図9及び9Aに示されるように、セメント混合物層32が完全に形成される。図10及び10Aに示されるように、ブレード150が第1の位置から第2の位置に移動する間、軸線22を中心にするハニカム体20とブレード150の間の相対回転がないこともあり得る。あるいは、ブレード150が第1の位置から第2の位置に迅速に移動している間に、ハニカム体20とブレード150は軸線22を中心にして相対的に回転することができる。第2の位置についてしまうと、方法の例は軸線22を中心としてさらに角θの相対回転をハニカム体とブレード150に与えることができる。いくつかの実施形態はテール部分34を除去するに十分な相対回転をさらに含む。そのような例において、角θは約5°未満とすることができる。しかし、別の実施形態において、角θは5°より大きくすることができる。
【0027】
ポイント‘P’に達すると、ブレード150とセメント混合物30の間の接触を終了させることができる。ハニカム体20及びブレード150は、ブレード150とセメント混合物30の間の接触が終了させられる前に角θの相対回転を行うことができる。すなわち、ブレード150とセメント混合物30の間の接触は、ブレード150が第2の位置についた後も維持することができる。別の例において、ブレード150とセメント混合物30の間の接触は、ブレード150が第2の位置についてしまうと、軸線22を中心にするハニカム体20とブレード150の間で有意な相対回転をさらにおこなうことなく、終了させることができる。ブレード150とセメント混合物の間の接触は、ブレード150が第2の位置につく前にも、及びついた後にも、軸線22を中心にするハニカム体20とブレード150の相対回転中は維持することができる。
【0028】
図12に示されるように、ブレード150とセメント混合物30の間の接触はセメント混合物30の一部36をブレード150上に載せたままの状態で終了させることができ、セメント混合物30の一部36はハニカム体20の円筒面26に移さずにおくことができる。すなわち、上流方向158に延びるセメント混合物層32のテール部分34を除去することができる。
【0029】
ハニカム体20の円筒面26へのセメント混合物の塗布を補助するために様々な装置を用いることができる。例えば、図1〜4に示されるように、装置100は、計量分配装置140,ブレード150,第1の支持部材110及び第2の支持部材112を備えることができる。第1及び第2の支持部材110,112は対応するハニカム体20の端面24a,24bの形状と幾何学的に同様な形状を有することができる。装置100は、第2の支持部材を駆動してハニカム体20の軸線22に沿って延びることができる回転軸を中心にして回転させるように構成されたモーター102を備えることができる。別の例において、駆動シャフト113を用いて第1の支持部材110を回転させるために別のモーターを備えることができる。図示されてはいないが、ハニカム体20の軸線22を第1及び第2の支持部材110,112の回転軸と合わせるために、位置合せ装置を備えることができる。別の例において、第1の支持部材110は第2の支持部材112とは独立に位置合せすることができる。例えば、第1の支持部材110はハニカム体の第1の端面24aに対して位置合せすることができ、第2の支持部材112は独立にハニカム体20の第2の端面24bと位置合せすることができる。一例において、2008年2月29日に出願された米国特許出願第PCT/US2008/002813号の明細書に論じられている装置及び/または位置合せ装置を本発明の態様にしたがって用いることができる。この明細書の開示はその全体が本明細書に参照として含まれる。
【0030】
装置100はさらに、必要に応じて、装置の動作を制御するように構成されたコンピュータ120を備えることができる。コンピュータは、図2に示されるように、端面24a,24bがそれぞれ支持部材110,112に確保されるように、駆動シャフト113を作動させて下方に移動させることができる。図2にさらに示されるように、装置100のブレード150を支持するために支持アーム130を備えることができる。図2は、支持部材110,112に対してブレード150の位置を定めるように構成された第1のアクチュエータ132及び、支持アームの別の位置に対して、ブレード150の位置及び角度をさらに定めるように構成された第2のアクチュエータ134を有する支持アーム130の略図を示す。第1のアクチュエータ132及び/または第2のアクチュエータ134はコンピュータ120で制御することができる。
【0031】
ハニカム体20に層を塗布する方法の一例をここで説明する。初めに、ハニカム体20を第2の支持部材112上において、ハニカム体20の軸線22が第1及び第2の支持部材110,112の回転軸と合わせられるように、第2の支持部材112と中心を合わせることができる。次に、コンピュータ120は第1の支持部材110を作動させ、駆動シャフト113を用いて下方に移動させることができる。図2に示されるように、適切に位置決めされていれば、ハニカム体20の端面24a,24bはそれぞれ支持部材110,112に確保される。図2及び5に示されるように、支持部材110,112のそれぞれの周縁110a,112aはそれぞれ、円筒面26の外径‘d’より大きい外径‘D’を有する。図2及び5にさらに示されるように、刃先152が支持部材110,112のそれぞれの周縁110a,112aに同時に接して、刃先152と円筒面26の間に深さが‘t’の空間156をつくる。ブレード150は周縁110a,112aに沿って滑動するか、または周縁110a,112aに載って動くことができる。すなわち、図示されるように、周縁110a,112aは、ハニカム体20の円筒面26への刃先152の接触を防止するために、刃先152を隔てておくための誘導部材としてはたらくことができる。
【0032】
図2及び5にさらに示されるように、コンピュータ120は、支持部材110,112をハニカム体20とともに、ハニカム体20の軸線22を中心にして装置の基台に対する回転を始めさせるようにモーター102にコマンドを送ることができる。図示されていないが、ブレード150がハニカム体20を周回している間、支持部材110,112はハニカム体20とともに静止したままでいることができる。さらにまた、ハニカム体20は基台に対して回転するように構成することができ、ブレード150はハニカム体20を周回するように構成することができる。コンピュータ120はハニカム体20の円筒面26へのセメント混合物30の塗布を行わせることもできる。図3及び6に示されるように、刃先152と円筒面26の間の空間156は、例えばハニカム体20が基台に対して回転している間に、セメント混合物層30で埋めることができる。図示されるように、基台に対するハニカム体20の回転によって、空間156の深さ‘t’に相当する厚さを有するセメント混合物層32をハニカム体20の円筒面26上に形成することができる。セメント混合物30の余分な部分33は、セメント混合物層32の外表面に不連続部分がない、一貫したセメント混合物層32を与えるように集めることができる。
【0033】
図3,4,6及び7は、ハニカム体20が軸線22を中心として基台に対して回転し続けながら、円筒面26のセメント混合物層32被覆領域を増大させていく、一例を示す。図8に示されるように、あらかじめ定められた角度の回転後、コンピュータ120は、ハニカム体20の基台に対する回転は続けながら、計量分配装置140からのセメント混合物の流れを停止させることができる。図9に示されるように、継続回転により、ハニカム体20の円筒面26の全体を実質的に覆うようにセメント混合物30の余分な部分33が残りの空間にかけて押し広げられる。図9Aに示されるように、テール部分34が内角の上流方向158に延びる。
【0034】
図10〜12に示されるように、テール部分34はブレード150を第1の位置から、ブレードが第1の内角αより大きい第2の内角βをなす第2の位置につけることによって除去することができる。図10Aに示されるように、刃先152が接する接触線154はテール部分34によって定められるシームの場所である。テール部分34及び対応するシームは、テール分34がブレード150の取付部材151に乗り上がるように、ブレード150に対してハニカム体20をさらに回転させることによって除去することができる。図12に示されるように、完了すると、ブレード150の取付部材151上にセメント混合物の一部36を載せたまま、ブレード150を取り外すことができる。
【0035】
したがって、本発明の例が軸線22を中心にしてハニカム体20とブレード150を相対的に回転させる工程を含み得ることが理解されるであろう。例えば、図面に示されるように、ブレード150は装置100の基台に対して実質的に静止させたままで、軸線22を中心にしてハニカム体20を基台に対して回転させることができる。別の例において、ブレード150がハニカム体を周回している間、ハニカム体20は装置100の基台に対して静止したままでいることができる。また別の例において、ブレード150がハニカム体20を周回している間、軸線22を中心にしてハニカム体20が基台に対して回転することができる。また別の例において、ブレード150が基台に対して静止したままでいる動作の内の少なくとも1つの間、軸線22を中心にしてハニカム体20が基台に対して回転することができる。別の動作においては、ハニカム体20が基台に対して静止したままでいる間にブレード150がハニカム体を周回することができる。例えば、ブレードを基台に対して静止させ、セメント混合物層32の表面品質を高めるために第1の位置につけて、軸線22を中心にしてハニカム体20を基台に対して回転させる手順を進めることができる。以降の手順の間、テール部分34を除去するためにブレード150が第2の位置についた状態でハニカム体20をブレード150が周回している間、ハニカム体20は装置100の基台に対して静止したままでいることができる。
【0036】
図15は、ハニカム体20に層を塗布する方法の略図を示す。図示されるように、工程400においてハニカム体20を提供することができる。工程400においてハニカム体20は、例えば押出プロセス中に形成された、セラニック材料の未焼成体を含むことができる。プロセス経路404で表されるように、一例において、生地ハニカム体20を乾燥させて加熱チャンバ402内に入れることができる。加熱チャンバ402内に配置すると、焼成工程410の間焼成シーケンスを進めることができる。プロセス経路412で表されるように、工程420中に、焼成されたハニカム体にセメント混合物層32を塗布することができる。セメント混合物層32は次いで、例えばセメント材料を加熱して乾燥または焼成することによって、硬化させることができる。例えば、プロセス経路414で表されるように、加熱チャンバ402内にセメント混合物層32をおいて、セメント混合物層32を乾燥させることができる。乾燥は140°F(60℃)で達成することができるが、別の例においては別の乾燥温度を用いることができる。あるいは、セメント混合物層32は、加熱チャンバ402の中または外において、大気温度で乾燥させることができる。完了すると、プロセス経路416で示されるように、硬化ハニカム体20を加熱チャンバ402から取り出すことができる。
【0037】
別の例において、プロセス経路406で表されるように、生地ハニカム体20に初めに工程420の間にセメント混合物層32を付加することができる。プロセス経路414で表されるように、生地ハニカム体20及びセメント混合物層32を乾燥させて加熱チャンバ402内に入れることができる。次いで、焼成工程410中に焼成工程を進めて、ハニカム体の円筒面上に外装硬化スキン層をもつ焼成ハニカム体20を形成することができる。完了すると、プロセス経路416で示されるように、焼成ハニカム体20を加熱チャンバ402から取り出すことができる。
【0038】
一態様において、対向する端面を貫通する軸線及び軸線を中心として端面間に広がる円筒面を有するハニカム体に層を塗布する方法が本明細書に開示され、方法は、
円筒面にセメント混合物を塗布する工程、
軸線を中心にしてハニカム体とブレードを相対的に回転させる工程、
ハニカム体とブレードが相対的に回転している間にセメント混合物をブレードと接触させる工程、ここで、ブレードの刃先が円筒面に近接して配置されて相対回転方向に交わる接触線に沿ってセメント混合物と接触し、ブレードが接触線から上流方向に円筒面と第1の内角をなす、
軸線を中心とするハニカム体とブレードの相対回転の間、ブレードを第1の内角に保持する工程、次いで、
ブレードを第1の内角から、接触線から上流方向に円筒面となす、第2の内角に移す工程、ここで第2の内角は第1の内角より大きい、及び、さらに
ブレードが第1の内角から第2の内角に向かって移動し始めた後に、軸線を中心にしてハニカム体とブレードを相対的に回転させる工程、
を含む。
【0039】
ハニカム体とブレードを相対的に回転させる工程は軸線を中心にしてハニカム体を回転方向に回転させる工程を含むことができる。ブレードは軸線を中心にするハニカム体の回転中は実質的に静止したままでいることが好ましい。
【0040】
第1の内角は鋭角であることが好ましい。いくつかの実施形態において、第1の内角は約20°〜約80°である。別の実施形態において、第1の内角は約45°〜約75°である。別の実施形態において、第1の内角は約55°〜約65°である。
【0041】
いくつかの実施形態において、第2の内角は鋭角である。いくつかの実施形態において、第2の内角は約40°〜約90°である。いくつかの実施形態において、第2の内角は約65°〜約90°である。別の実施形態において、第2の内角は約75°〜約85°である。
【0042】
いくつかの実施形態において、刃先はハニカム体の円筒面に接触しない。いくつかの実施形態において、ブレードとセメント混合物の接触はブレードが第2の内角についたときに終了する。いくつかの実施形態において、ブレードとセメント混合物の接触はブレードが第2の内角についた後も維持される。
【0043】
いくつかの実施形態において、接触線は実質的に直線である。いくつかの実施形態において、接触線はハニカム体の軸線に実質的に平行である。
【0044】
いくつかの実施形態において、セメント混合物はハニカム体とブレードが相対的に回転している間に塗布される。
【0045】
いくつかの実施形態において、セメント混合物は、ハニカム体とブレードが相対的に回転し、ブレードがセメント混合物の少なくとも一部と接触している間に、塗布される。
【0046】
いくつかの実施形態において、ブレードとセメント混合物の接触の結果、ハニカム体の円筒面を覆うセメント混合物層が得られる。
【0047】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、ハニカム体の円筒面上に外装スキン層を形成するためにセメント混合物層を硬化させる工程を含む。
【0048】
いくつかの実施形態において、ブレードとセメント混合物の間の接触はセメント混合物の一部をブレード上に載せた状態で終了され、よってセメント混合物の一部はハニカム体の円筒面上に被着されずに除去される。
【0049】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、それぞれの支持部材で端面を確保する工程を含み、それぞれの支持部材は外径が円筒面の径より大きい周縁を有しており、刃先がそれぞれの支持部材の周縁に同時に接して刃先と円筒面の間にある深さの空間を形成し、刃先と円筒面の間の空間はハニカム体とブレードが相対的に回転している間にセメント混合物で埋められて空間の深さに相当する厚さを有するセメント混合物層がハニカム体の円筒面上に形成される。
【0050】
いくつかの実施形態において、ハニカム体は焼成セラミック材料を含む。別の実施形態において、ハニカム体はセラミック材料の未焼成体を含む。
【0051】
本発明の精神または範囲を逸脱することなく本発明に様々な改変及び変形がなされ得ることが当業者には明らかであろう。したがって、本発明の改変及び変形が添付される特許請求の範囲内に入れば、本発明はそのような改変及び変形を包含するとされる。
【符号の説明】
【0052】
20 ハニカム体
21 ハニカム体チャネル
22 ハニカム体軸線
24a,24b ハニカム体端面
26 ハニカム体円筒面
30 セメント混合物
32 セメント混合物層
34 セメント混合物層テール部分
100 セメント混合物塗布装置
102 モーター
110,112 支持部材
110a,112a 支持部材周縁
113 駆動シャフト
120 コンピュータ
130 支持アーム
132,134 アクチュエータ
140 計量分配装置
150,250,350 ブレード
151,251,351 取付部材
152,252,352 ブレード刃先
154,254 接触線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する端面を貫通する軸線及び前記軸線を中心にして前記端面間に広がる円筒面を有するハニカム体に層を塗布する方法において、前記方法が、
前記円筒面にセメント混合物を塗布する工程、
前記軸線を中心にして前記ハニカム体とブレードを相対的に回転させる工程、
前記ハニカム体と前記ブレードが相対的に回転している間に前記セメント混合物を前記ブレードと接触させる工程であって、前記ブレードの刃先が前記円筒面に近接して配置されて、相対回転方向に交わる接触線に沿って前記セメント混合物と接触し、前記ブレードは前記接触線から上流方向に前記円筒面と第1の内角をなすものである工程、
前記軸線を中心とする前記ハニカム体と前記ブレードの相対回転の間、前記ブレードを前記第1の内角に保持する工程、次いで
前記ブレードを前記第1の内角から、前記接触線から前記上流方向に円筒面となす第2の内角に移す工程であって、前記第2の内角は前記第1の内角より大きいものである工程、及び、
前記ブレードが前記第1の内角から前記第2の内角に向けて移り始めた後に、前記軸線を中心にして前記ハニカム体と前記ブレードを相対的に回転させる工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の内角が鋭角であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の内角が鋭角であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記セメント混合物が、前記ハニカム体と前記ブレードが相対的に回転している間に、塗布されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ブレードと前記セメント混合物の間の前記接触が前記セメント混合物の一部を前記ブレード上に載せた状態で終了され、よって前記セメント混合物の前記部分は前記ハニカム体の前記円筒面上に被着されずに除去されることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図5A】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図9A】
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【図10】
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【図10A】
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【図11】
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【図11A】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2012−501258(P2012−501258A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525008(P2011−525008)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/004920
【国際公開番号】WO2010/024934
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】