説明

ハニカム成形体の乾燥方法及び乾燥装置

湿度を30〜65%に、温度を75〜130℃に保持した状態で、未乾燥ハニカム成形体41に含有された水のうち、最終的にその50〜99質量%が蒸発するように、未乾燥ハニカム成形体41を高周波加熱し、未乾燥ハニカム成形体41のうち、その外部からの水の蒸発量を増大させて、未乾燥ハニカム成形体41の内部及び外部からの水の蒸発量の差異を減少させるとともに、未乾燥ハニカム成形体41の内部及び外部の乾燥程度の差異を減少させることによって、隔壁の変形が抑制された乾燥ハニカム成形体42を得る。ハニカム成形体を乾燥させるときに、ハニカム成形体の隔壁の変形の発生を抑制できるハニカム成形体の乾燥方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム成形体の乾燥方法及び乾燥装置に関し、更に詳しくは、ハニカム成形体を乾燥させるときに、ハニカム成形体に、隔壁のよれ等の変形が生じることを抑制することができるハニカム成形体の乾燥方法及び乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックを主成分とするハニカム構造体を製造する場合に、通常行われている製造方法として、所定のセラミック原料及び水を含有する原料組成物を押出成形等により、隔壁によって区画された流体の流路となる複数のセルを有するハニカム構造の成形体(ハニカム成形体)を成形し、そのハニカム成形体を乾燥し、その後、乾燥したハニカム成形体を焼成してセラミック製のハニカム構造体とする方法がある。
【0003】
上記セラミック製のハニカム構造体の製造工程のなかで、ハニカム成形体を乾燥させる方法としては、熱風により乾燥させたり、電磁波による高周波加熱により乾燥させる方法がある。このなかで、電磁波による乾燥は、水を加熱することができる高周波数領域の電磁波(高周波)をハニカム成形体に照射することにより、水を加熱、蒸発させてハニカム成形体を乾燥させるものである(例えば、特許文献1参照)。このように電磁波を用いてハニカム成形体を乾燥させると、熱風により乾燥させる場合と比較して、ハニカム成形体内部から乾燥させることができる。しかし、外周部が成形体内部に比べ乾きにくいという問題があった。
【0004】
さらにハニカム成形体の隔壁や外壁が薄くなると、電磁波を用いて高周波加熱により乾燥させた場合外周部が成形体内部に比べ乾きにくい乾燥形態のため外周のしわやヘコミ、隔壁のよれ等が発生するという問題があった。特許文献1に記載のハニカム成形体の乾燥方法は、電磁波により乾燥を行うときのハニカム成形体周辺の湿度を高くすることにより、外壁の割れ等を防止しようとするものであった。しかし、この方法も、外周部が乾きにくい乾燥形態をさらに助長することになりハニカム成形体の隔壁や外壁が薄くなり、かつセルの開口率が大きくなることにより、ハニカム成形体の強度が低下すると、外周のしわやヘコミ、隔壁のよれ等の発生を防止することが困難になるという問題があった。
【特許文献1】特開2002−283330号公報
【発明の開示】
【0005】
ハニカム成形体を電磁波(高周波)により乾燥させる場合には、通常、ハニカム成形体が円柱状であるとすると、外周壁付近(外部)よりも成形体内部が速く乾燥される。これは、電磁波により乾燥を行うと、熱風乾燥などの伝熱乾燥とは異なり、ハニカム成形体は急加熱され、蒸発中はほぼ成形体温度は100℃で平衡状態となる。そのため高周波加熱のみ施した場合、通常、乾燥装置内温度は被乾燥体よりも温度が低いため乾燥装置内雰囲気と接している外周壁部に近い部分ほど熱が放出され温度が下がり、水が蒸発し難くなる。そこで、全体を均一に乾燥させるためには、ハニカム成形体を乾燥させるときに乾燥装置内の温度を被乾燥体温度に近づけ且つ湿度をある程度低くすることにより、外周壁部も乾燥し易い状態にすることが必要である。また、さらに、外周壁に熱風を吹き付けることにより、外周壁部を局所的に加熱するとともに、外周壁周辺に滞留する水蒸気を吹き飛ばし、外周壁周辺の局所的な湿度をより低下させることが必要である。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みなされたものであり、ハニカム成形体を乾燥させるときに、ハニカム成形体に隔壁のよれ等の変形が生じることを抑制することができるハニカム成形体の乾燥方法及び乾燥装置を提供することを目的とする。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明によって以下のハニカム成形体の乾燥方法及び乾燥装置が提供される。
【0008】
[1]セラミック原料及び水を含有する原料組成物からなるとともに、隔壁によって複数のセルが区画、形成された未乾燥のハニカム成形体(未乾燥ハニカム成形体)に加湿及び加温雰囲気の乾燥空間内で電磁波を照射して、高周波加熱することにより、前記未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部から水を蒸発させて前記未乾燥ハニカム成形体を乾燥させて、乾燥ハニカム成形体を得るハニカム成形体の乾燥方法であって、前記乾燥空間内の前記加湿及び加温雰囲気を、前記乾燥空間内に水蒸気を流入させる操作及び強制排気する操作により、30〜65%の低湿度に、また、75〜130℃の温度範囲に保持した状態で、さらに、前記未乾燥ハニカム成形体に含有された水のうち、最終的にその50〜99質量%が蒸発するように、電磁波を照射して高周波加熱し、前記未乾燥ハニカム成形体のうち、高周波加熱のみでは水の蒸発量が内部よりも少ない外部からの水の蒸発量を増大させて前記未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部からの水の蒸発量の差異を減少させるとともに、前記未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部の乾燥程度の差異を減少させることによって、内部及び外部の乾燥程度の差異に起因する前記隔壁の変形が抑制された乾燥ハニカム成形体を得るハニカム成形体の乾燥方法(本発明のハニカム成形体の乾燥方法の第1の態様)。
【0009】
[2]前記ハニカム成形体を前記高周波加熱することにより乾燥させた後に、前記ハニカム成形体に熱風を当てることによりさらに乾燥させる[1]に記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【0010】
[3]前記熱風の温度が100〜130℃である[2]に記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【0011】
[4]前記電磁波の周波数が900〜10000MHzである[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【0012】
[5]前記ハニカム成形体の、前記セルの開口率が80%以上であり、かつ前記隔壁の厚さが0.18mm以下である[1]〜[4]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【0013】
[6]セラミック原料及び水を含有する原料組成物からなるとともに、隔壁によって複数のセルが区画、形成された未乾燥のハニカム成形体(未乾燥ハニカム成形体)に加湿及び加温雰囲気の乾燥空間内で電磁波を照射して、高周波加熱することにより、前記未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部から水を蒸発させて前記未乾燥ハニカム成形体を乾燥させて、乾燥ハニカム成形体を得るハニカム成形体の乾燥方法であって、前記乾燥空間内の前記加湿及び加温雰囲気を、30〜65%の低湿度に、また、75〜130℃の温度範囲に保持した状態で、さらに、前記未乾燥ハニカム成形体に含有された水のうち、最終的にその50〜99質量%が蒸発するように、電磁波を照射して高周波加熱するとともに、前記乾燥空間内に熱風を送風し前記未乾燥ハニカム成形体に前記熱風を当てて、前記未乾燥ハニカム成形体のうち、高周波加熱のみでは水の蒸発量が内部よりも少ない外部からの水の蒸発量を増大させて、前記未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部からの水の蒸発量の差異を減少させるとともに、前記未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部の乾燥程度の差異を減少させることによって、内部及び外部の乾燥程度の差異に起因する前記隔壁の変形が抑制された乾燥ハニカム成形体を得るハニカム成形体の乾燥方法(本発明のハニカム成形体の乾燥方法の第2の態様)。
【0014】
[7]前記乾燥空間内に送風する前記熱風の風速が0.5〜10m/秒、風量が3〜60m/秒である[6]に記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【0015】
[8]前記乾燥空間内に送風する前記熱風の温度が、80〜135℃である[6]又は[7]に記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【0016】
[9]前記乾燥空間内に送風する前記熱風の湿度が、20%以下である[6]〜[8]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【0017】
[10]前記未乾燥ハニカム成形体をその中心軸を中心として自転させながら前記乾燥空間内で未乾燥ハニカム成形体を乾燥させる[6]〜[9]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【0018】
[11]前記乾燥空間内に送風する熱風に加えて、さらに前記未乾燥ハニカム成形体の外周壁に、所定の距離から熱風(第2熱風)を吹き付けて、前記未乾燥ハニカム成形体を乾燥させる[6]〜[10]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【0019】
[12]前記未乾燥ハニカム成形体の外周壁に吹き付けられる前記第2熱風の風速が、0.5〜10m/秒である[11]に記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【0020】
[13]前記未乾燥ハニカム成形体の外周壁に吹き付けられる前記第2熱風の温度が、80〜135℃である[11]又は[12]に記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【0021】
[14]前記未乾燥ハニカム成形体の外周壁に吹き付けられる前記第2熱風の湿度が、20%以下である[11]〜[13]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【0022】
[15]前記乾燥空間内の湿度及び温度を、前記乾燥空間内に前記熱風を送風する操作及び前記乾燥空間内を強制排気する操作により制御する[6]〜[14]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【0023】
[16]前記ハニカム成形体を前記高周波加熱することにより乾燥させた後に、前記ハニカム成形体に熱風(後乾燥用熱風)を当てることによりさらに乾燥させる[6]〜[15]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【0024】
[17]前記後乾燥用熱風の温度が100〜130℃である[16]に記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【0025】
[18]前記電磁波の周波数が900〜10000MHzである[6]〜[17]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【0026】
[19]前記ハニカム成形体の、前記セルの開口率が80%以上であり、かつ前記隔壁の厚さが0.18mm以下である[6]〜[18]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【0027】
[20]セラミック原料及び水を含有する原料組成物からなるとともに、隔壁によって複数のセルが区画、形成された未乾燥のハニカム成形体(未乾燥ハニカム成形体)に電磁波を照射して、高周波加熱することにより、前記未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部から水を蒸発させて前記未乾燥ハニカム成形体を乾燥させて乾燥ハニカム成形体を得ることが可能なハニカム成形体の乾燥装置であって、前記未乾燥ハニカム成形体を加湿及び加温雰囲気で収納する乾燥空間を有する乾燥室と、前記未乾燥ハニカム成形体に含有された水のうち、最終的にその50〜99質量%が蒸発するように、前記乾燥室に収納された未乾燥ハニカム成形体に照射する前記電磁波を発生させる電磁波発生器と、前記乾燥空間内の前記加湿及び加温雰囲気を、30〜65%の低湿度に、また、75〜130℃の温度範囲に保持する、水蒸気流入手段及び強制排気手段とを有する雰囲気制御ユニットと、を備え、前記雰囲気制御ユニットによって前記加湿及び加温雰囲気に制御された前記乾燥室に収納された前記未乾燥ハニカム成形体に、前記電磁波発生器から電磁波を照射することによって、前記未乾燥ハニカム成形体のうち、高周波加熱のみでは水の蒸発量が内部よりも少ない外部からの水の蒸発量を増大させて前記未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部からの水の蒸発量の差異を減少させるとともに、前記未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部の乾燥程度の差異を減少させることによって、内部及び外部の乾燥程度の差異に起因する前記隔壁の変形が抑制された乾燥ハニカム成形体を得ることが可能なハニカム成形体の乾燥装置(本発明のハニカム成形体の乾燥装置の第1の態様)。
【0028】
[21]前記乾燥室が、その周囲を覆う断熱材を有する[20]に記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【0029】
[22]前記電磁波の周波数が900〜10000MHzである[20]又は[21]に記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【0030】
[23]前記乾燥室の有する前記乾燥空間で乾燥された前記ハニカム成形体を収納する熱風乾燥空間を有し前記熱風乾燥空間内で前記ハニカム成形体に熱風を当てることによりさらに前記ハニカム成形体を乾燥させる熱風乾燥室と、前記熱風を発生させる熱風発生器とをさらに備える[20]〜[22]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【0031】
[24]前記熱風の温度が100〜130℃である[23]に記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【0032】
[25]前記ハニカム成形体の、前記セルの開口率が80%以上であり、かつ前記隔壁の厚さが0.18mm以下である[20]〜[24]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【0033】
[26]セラミック原料及び水を含有する原料組成物からなるとともに、隔壁によって複数のセルが区画、形成された未乾燥のハニカム成形体(未乾燥ハニカム成形体)に電磁波を照射して、高周波加熱することにより、前記未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部から水を蒸発させて前記未乾燥ハニカム成形体を乾燥させて乾燥ハニカム成形体を得ることが可能なハニカム成形体の乾燥装置であって、前記未乾燥ハニカム成形体を加湿及び加温雰囲気で収納する乾燥空間を有する乾燥室と、前記乾燥室に収納された未乾燥ハニカム成形体に照射する前記電磁波を発生させて前記未乾燥ハニカム成形体を高周波加熱する電磁波発生器と、前記電磁波発生器による前記高周波加熱に加えて、前記未乾燥ハニカム成形体のうち、前記高周波加熱のみでは水の蒸発量が内部よりも少ない外部からの水の蒸発量を増大させ、前記未乾燥ハニカム成形体に含有された水のうち、最終的にその50〜99質量%が蒸発するように、且つ前記乾燥空間内の前記加湿及び加温雰囲気を、30〜65%の低湿度に、また、75〜130℃の温度範囲に保持するように、前記乾燥空間内に熱風を送風する熱風送風ユニットとを備え、前記熱風送風ユニットによって前記加湿及び加温雰囲気に制御された前記乾燥室に収納された前記未乾燥ハニカム成形体に、前記電磁波発生器から電磁波を照射して高周波加熱するとともに、前記熱風送風ユニットにより送風された前記熱風を当てることによって、外部からの水の蒸発量を増大させて、前記未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部からの水の蒸発量の差異を減少させるとともに、前記未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部の乾燥程度の差異を減少させることによって、内部及び外部の乾燥程度の差異に起因する前記隔壁の変形が抑制された乾燥ハニカム成形体を得ることが可能なハニカム成形体の乾燥装置(本発明のハニカム成形体の乾燥装置の第2の態様)。
【0034】
[27]前記熱風送風ユニットが、熱風発生器と、前記熱風発生器で発生した前記熱風を前記乾燥空間内に導入することができる熱風導入部とを有してなる[26]に記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【0035】
[28]前記熱風送風ユニットにより送風された前記熱風の風速が0.5〜10m/秒、風量が3〜60m/秒である[26]又は[27]に記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【0036】
[29]前記熱風送風ユニットにより送風された前記熱風の温度が、80〜135℃である[26]〜[28]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【0037】
[30]前記熱風送風ユニットにより送風された前記熱風の湿度が、20%以下である[26]〜[29]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【0038】
[31]前記乾燥室に収納された前記未乾燥ハニカム成形体の外周壁に所定の距離からさらに熱風(第2熱風)を吹き付けて前記未乾燥ハニカム成形体を加熱する熱風吹き付け器をさらに備えた[26]〜[30]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【0039】
[32]前記熱風吹き付け器が、前記第2熱風を吹き出すための第2熱風吹き付け部を有し、前記第2熱風吹き付け部が、前記未乾燥ハニカム成形体の中心軸に垂直な互いに対向する二つの方向から前記外周壁にそれぞれ前記第2熱風を吹き付けるように形成され、前記未乾燥ハニカム成形体の前記外周壁を挟むように二方向から前記外壁に前記第2熱風が吹き付けられる[31]に記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【0040】
[33]前記熱風吹き付け器から前記未乾燥ハニカム成形体の前記外周壁に吹き付ける前記第2熱風の風速が0.5〜10m/秒である[31]又は[32]に記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【0041】
[34]前記熱風吹き付け器から前記未乾燥ハニカム成形体の前記外周壁に吹き付けられる前記第2熱風の温度が、80〜135℃である[31]〜[33]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【0042】
[35]前記熱風吹き付け器から前記未乾燥ハニカム成形体の前記外周壁に吹き付けられる前記第2熱風の湿度が、20%以下である[31]〜[34]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【0043】
[36]その上面に載置された前記未乾燥ハニカム成形体を、その中心軸を中心に自転することによってほぼ同軸で自転させることができる受け部と、前記受け部を自転自在に支える基部とを有する受け台をさらに有し、前記未乾燥ハニカム成形体を前記乾燥室内で乾燥させるときに前記未乾燥ハニカム成形体を前記受け台の前記受け部に載置させ、前記未乾燥ハニカム成形体を前記受け台とともに前記乾燥室内に搬入し、前記受け部を自転させることにより前記未乾燥ハニカム成形体を自転させながら前記未乾燥ハニカム成形体を乾燥させて前記乾燥ハニカム成形体とし、前記乾燥ハニカム成形体を前記受け台とともに前記乾燥室から搬出する[26]〜[35]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【0044】
[37]前記受け台を構成する受け部が、前記中心軸を中心として回転するピニオン部を有し、前記乾燥室内に、前記受け台に載置した前記未乾燥ハニカム成形体をその上に載せて前記乾燥装置内に搬入し前記未乾燥ハニカム成形体を移動させながら前記未乾燥ハニカム成形体を乾燥させて乾燥ハニカム成形体とした後に前記乾燥ハニカム成形体を前記乾燥室から搬出させるコンベアと、前記コンベアに沿って平行に配設され、前記未乾燥ハニカム成形体を載置した前記受け台を前記コンベア上に載せて移動させるときに前記受け部の有するピニオン部とかみ合うように、前記受け台側を向いた一の面側に前記コンベアに沿って凹凸形状(ラック部凹凸)が形成される棒状のラック部をさらに有し、前記受け台に載置した前記未乾燥ハニカム成形体を前記コンベアに載せて前記乾燥室内を移動させるときに、前記受け部の有する前記ピニオン部が前記ラック部凹凸にかみ合いながら前記受け台が移動することにより、前記受け部がその中心軸を中心に自転し、それにより前記受け台に載置した前記未乾燥ハニカム成形体をほぼ同軸で自転させながら前記乾燥装置内を移動させる[36]に記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【0045】
[38]前記乾燥室が、その周囲を覆う断熱材を有する[26]〜[37]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【0046】
[39]前記電磁波の周波数が900〜10000MHzである[26]〜[38]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【0047】
[40]前記乾燥室の有する前記乾燥空間で乾燥された前記ハニカム成形体を収納する後乾燥空間を有し前記後乾燥空間内で前記ハニカム成形体に熱風(後乾燥用熱風)を当てることによりさらに前記ハニカム成形体を乾燥させる後乾燥室と、前記後乾燥用熱風を発生させる後乾燥用熱風発生器とをさらに備える[26]〜[39]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【0048】
[41]前記後乾燥用熱風発生器で発生する前記後乾燥用熱風の温度が100〜130℃である[40]に記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【0049】
[42]前記ハニカム成形体の、前記セルの開口率が80%以上であり、かつ前記隔壁の厚さが0.18mm以下である[26]〜[41]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【0050】
本発明のハニカム成形体の乾燥方法の第1の態様によれば、セラミック原料及び水を含有する原料組成物からなる未乾燥のハニカム成形体を、水蒸気の流入及び内部雰囲気の強制排気による雰囲気制御により、湿度を30〜65%の低湿度、温度を75〜130℃の範囲とした所定の空間内において、電磁波を照射して高周波加熱することにより、ハニカム成形体に含有される水の量に対して50〜99質量%の水を蒸発させて乾燥させるため、未乾燥ハニカム成形体のうち、高周波加熱のみでは水の蒸発量が内部よりも少ない外部からの水の蒸発量を上記所定の加湿及び加温雰囲気とすることにより増大させて、未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部からの水の蒸発量の差異を減少させるとともに、未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部の乾燥程度の差異を減少させることによって、内部及び外部の乾燥程度の差異に起因する隔壁の変形が抑制される。
【0051】
本発明のハニカム成形体の乾燥方法の第2の態様によれば、セラミック原料及び水を含有する原料組成物からなる未乾燥のハニカム成形体を、湿度を30〜65%の低湿度、温度を75〜130℃の範囲とした所定の空間内において、電磁波を照射して高周波加熱するとともに、上記所定の空間内に熱風を送風することにより、ハニカム成形体に含有される水の量に対して50〜99質量%の水を蒸発させて乾燥させるため、未乾燥ハニカム成形体のうち、高周波加熱のみでは水の蒸発量が内部よりも少ない外部からの水の蒸発量を上記所定の加湿及び加温雰囲気とするとともに熱風を送風することにより増大させて、未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部からの水の蒸発量の差異を減少させるとともに、未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部の乾燥程度の差異を減少させることによって、内部及び外部の乾燥程度の差異に起因する隔壁の変形が抑制される。
【0052】
また、本発明のハニカム成形体の乾燥装置の第1の態様によれば、水蒸気の流入及び内部雰囲気の強制排気を行う雰囲気制御ユニットにより乾燥室の乾燥空間を30〜65%の低湿度及び75〜130℃の温度範囲に保持した状態で、乾燥空間に収納された未乾燥ハニカム成形体に含有された水のうち最終的にその50〜99質量%が蒸発するように、電磁波発生器で発生する電磁波を照射して高周波加熱することによって、未乾燥ハニカム成形体を乾燥させるため、前記未乾燥ハニカム成形体のうち、高周波加熱のみでは水の蒸発量が内部よりも少ない外部からの水の蒸発量を上記所定の加湿及び加温雰囲気とすることにより増大させて、未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部からの水の蒸発量の差異を減少させるとともに、内部及び外部の乾燥程度の差異に起因する隔壁の変形が抑制された乾燥ハニカム成形体を得ることが可能になる。
【0053】
また、本発明のハニカム成形体の乾燥装置の第2の態様によれば、熱風送風ユニットにより乾燥室の乾燥空間を30〜65%の低湿度及び75〜130℃の温度範囲に保持した状態で、乾燥空間に収納された未乾燥ハニカム成形体に含有された水のうち最終的にその50〜99質量%が蒸発するように、電磁波発生器で発生する電磁波を照射して高周波加熱するとともに熱風送風ユニットから発生する熱風を未乾燥ハニカム成形体に当てることによって、未乾燥ハニカム成形体を乾燥させるため、前記未乾燥ハニカム成形体のうち、高周波加熱のみでは水の蒸発量が内部よりも少ない外部からの水の蒸発量を上記所定の加湿及び加温雰囲気とするとともに熱風を当てることにより増大させて、未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部からの水の蒸発量の差異を減少させるとともに、未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部の乾燥程度の差異を減少させることによって、内部及び外部の乾燥程度の差異に起因する隔壁の変形が抑制された乾燥ハニカム成形体を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明のハニカム成形体の乾燥方法の第1の態様の実施の形態に使用するハニカム成形体の乾燥装置を模式的に示す断面図である。
【図2】図1におけるA−A’断面図である。
【図3】本発明のハニカム成形体の乾燥方法の第2の態様の実施の形態に使用するハニカム成形体の乾燥装置を模式的に示す断面図である。
【図4】図3におけるAA−AA’断面図である。
【図5】未乾燥ハニカム成形体を載置した受け台の受け部が、ラック部により回転する様子を模式的に示した平面図である。
【図6】未乾燥ハニカム成形体が自転しながら熱風を吹き付けられている様子を模式的に示す平面図である。
【図7】本発明のハニカム成形体の乾燥装置の第1の態様の実施の形態を模式的に示す断面図である。
【図8】図7におけるB−B’断面図である。
【図9】本発明のハニカム成形体の乾燥装置の第2の態様の実施の形態を模式的に示す断面図である。
【図10】図9におけるBB−BB’断面図である。
【図11】未乾燥ハニカム成形体を載置した受け台の受け部が、ラック部により回転する様子を模式的に示した平面図である。
【図12】未乾燥ハニカム成形体が自転しながら熱風を吹き付けられている様子を模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0055】
1,51,101,151…乾燥室、2,52,102,152…乾燥空間、3,53,103,153…電磁波発生器、4,54…水蒸気流入手段、104,154…熱風発生器、5,55…強制排気手段、105,155…熱風導入部、6,56…雰囲気制御ユニット、106,156…熱風送風ユニット、11,61,111,161…強制排気用ブロワー、12,62,112,162…強制排気用ダクト、113,163…強制排気手段、21,71,121,171…コンベア、23,73,123,173…天井部、24,74,124,174…外枠部、25,75,125,175…屋根部、26,76,126,176…側面部、127,177…ラック部、128,178…熱風吹き付け器、129,179…ラック部凹凸、31,81…熱風乾燥室、131,181…後乾燥室、32,82…熱風発生器、132,182…後乾燥用熱風発生器、33,83,133,183…熱風送風用配管、34,84,134,184…熱風送風用ノズル、35,85,135,185…熱風排気用ダクト、36,86,136,186…予熱用配管、37,87…熱風乾燥空間、137,187…後乾燥空間、41,91,141,191…未乾燥ハニカム成形体、42,92,142,192…乾燥ハニカム成形体、43,93…乾燥中のハニカム成形体、44,94,144,194…外周壁、45,95,145,195…上端部、146,196…基部、147,197…受け部、148,198…受け台、149,199…ピニオン部、100,200,300,400…乾燥装置、D,E,DD,EE…ハニカム成形体の進行方向、H,h…第2熱風、R,S…自転方向。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」ということがある)を図面を参照しながら具体的に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。また、各図面において、同一の符号は同一の構成要素を示す。
【0057】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」ということがある)を図面を参照しながら具体的に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。また、各図面において、同一の符号は同一の構成要素を示す。
【0058】
図1は、本発明のハニカム成形体の乾燥方法の第1の態様の実施の形態に使用するハニカム成形体の乾燥装置を模式的に示す断面図である。
【0059】
本発明のハニカム成形体の乾燥方法の第1の態様の実施の形態は、図1に示すハニカム成形体の乾燥装置100(以下、単に「乾燥装置100」ということがある)を使用して実施することができる。但し、本発明のハニカム成形体の乾燥方法の第1の態様の実施の形態に使用する乾燥装置は図1に示した乾燥装置100に限定されるものではない。
【0060】
図1に示す乾燥装置100は、セラミック原料及び水を含有する原料組成物からなるとともに、隔壁によって複数のセルが区画、形成された未乾燥のハニカム成形体(未乾燥ハニカム成形体)41に電磁波を照射して、高周波加熱することにより、未乾燥ハニカム成形体41の内部及び外部から水を蒸発させて未乾燥ハニカム成形体41を乾燥させて乾燥ハニカム成形体41を得ることが可能なハニカム成形体の乾燥装置100である。ここで、未乾燥ハニカム成形体41の外部とは、例えば、未乾燥ハニカム成形体41が円柱状であるとすると、円柱の外周壁付近をいう。その範囲は、円柱の断面において、円柱の最外周から約20mm範囲である。未乾燥ハニカム成形体41の内部とは、未乾燥ハニカム成形体41から上記外部を除いた部分であり、中心軸を含む内側部分をいう。また、未乾燥ハニカム成形体41が円柱ではなく、他の形状である場合でも、その中心軸付近又は中心付近が内部であり、外周付近又は外表面付近が外部である。そして、その範囲は、外部の場合は、外周(外表面)から、約20mm範囲である。内部の場合は、未乾燥ハニカム成形体41から上記外部を除いた部分である。
【0061】
乾燥装置100は、筒状の外枠部24内に、未乾燥ハニカム成形体41を加湿及び加温雰囲気で収納する乾燥空間2を有する乾燥室1と、未乾燥ハニカム成形体41に含有された水のうち、最終的にその50〜99質量%が蒸発するように、乾燥室1に収納された未乾燥ハニカム成形体41に照射する電磁波を発生させる電磁波発生器3と、乾燥室1の加湿及び加温雰囲気を、30〜65%の低湿度に、また75〜130℃の温度範囲に保持することができる、水蒸気流入手段4及び強制排気手段5とを有する雰囲気制御ユニット6と、を備えるものである。
【0062】
乾燥装置100を構成する外枠部24は、筒状に形成され、筒の中心軸方向をほぼ水平にして配置され、その一方の端部側から未乾燥ハニカム成形体41を搬入し、他方の端部から乾燥ハニカム成形体42を搬出するように形成されている。そして、外枠部24には、その屋根部25との間に空間を形成するように天井部23がほぼ水平に形成され、天井部23により外枠部24が2つの空間に仕切られている。乾燥室1は筒状に形成され、筒の中心軸方向が外枠部24の中心軸方向とほぼ同じ方向を向くようにして、外枠部24に形成された屋根部25の下側(鉛直方向下側)に配設されている。乾燥装置100には、未乾燥ハニカム成形体41を連続的に内部に搬入し、乾燥させた後に、乾燥ハニカム成形体42として連続的に外部に搬出するために、外枠部24の一方の端部(入り口側端部)から乾燥室1の筒の内部を通り外枠部24の他方の端部(出口側端部)まで延設されたコンベア21が配設されている。コンベア21としては特に限定されず、ベルトコンベアやローラーコンベア等を使用することができる。
【0063】
本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法は、このような乾燥装置100を使用することにより、未乾燥ハニカム成形体41に加湿及び加温雰囲気の乾燥空間2内で電磁波を照射して、高周波加熱することにより、未乾燥ハニカム成形体41の内部及び外部から水を蒸発させて未乾燥ハニカム成形体41を乾燥させて、乾燥ハニカム成形体42を得るものである。
【0064】
そして、本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法は、乾燥空間2内の加湿及び加温雰囲気を、雰囲気制御ユニット6によって30〜65%の低湿度に、また、75〜130℃の温度範囲に保持した状態で、さらに、未乾燥ハニカム成形体41に含有された水のうち、最終的にその50〜99質量%が蒸発するように、電磁波発生器3から電磁波を照射して高周波加熱し、未乾燥ハニカム成形体41のうち、高周波加熱のみでは水の蒸発量が内部よりも少ない外部からの水の蒸発量を上記所定の加湿及び加温雰囲気とすることにより増大させて、未乾燥ハニカム成形体41の内部及び外部からの水の蒸発量の差異を減少させるとともに、未乾燥ハニカム成形体41の内部及び外部の乾燥程度の差異を減少させることによって、内部及び外部の乾燥程度の差異に起因する隔壁の変形が抑制された乾燥ハニカム成形体を得ることができる。
【0065】
乾燥程度の差異に起因して隔壁が変形するのは、未乾燥ハニカム成形体41を乾燥するときに隔壁が収縮するため、ハニカム成形体の各部分毎に乾燥程度が異なると、その部分毎に隔壁の収縮の程度も異なることになり、この収縮の程度の異なる部分間で歪みが生じることになるからである。これにより隔壁のよれ等の変形が生じるのである。そして、本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法によれば、このような隔壁の変形を防止することができる。隔壁の変形という場合、隔壁がよれたり、しわが発生したり、最外周に位置する外周壁にしわが発生したり、凹んだりする場合等も含まれる。
【0066】
乾燥空間2内の湿度が30%より低いと、未乾燥ハニカム成形体41の外周壁44(図2参照)が、速く乾燥し過ぎるため、外周壁44にきれが発生するという問題がある。また、湿度が65%より高いと、未乾燥ハニカム成形体41はその初期乾燥時において水の蒸発量が内部より外部のほうが少ないために内部と外部の乾燥程度が異なることにより隔壁のしわ等の変形が生じるが、湿度が高いために、その内部と外部の乾燥程度の相違をより大きくし、隔壁を変形させるという問題がある。ここで、外周壁のきれとは、外周壁の厚さ方向に対し20%以上の深さに亀裂が入ることをいう。また、湿度が高いため、投入した電磁波のエネルギーに対する未乾燥ハニカム成形体の水の蒸発量が少ないという問題もある。乾燥空間2内の湿度は30〜50%がより好ましい。
【0067】
乾燥空間2内の温度が75℃より低いと、未乾燥ハニカム成形体41が乾燥され難く、外周壁にしわが発生するという問題がある。また、温度が130℃より高いと、未乾燥ハニカム成形体41に含まれる水以外の有機バインダ等が蒸発し、未乾燥ハニカム成形体41の隔壁が変形するという問題や、有機バインダ等が燃焼することがあるという問題がある。乾燥空間2内の温度は90〜110℃がより好ましい。温度が75〜90℃の範囲では、品質上問題はないが、ハニカム成形体の内部と外部との水分含有率の差が10質量%未満の範囲ではあるが発生することがあり、また乾燥の効率が低下するため、乾燥時間を長くすることが必要となることがある。
【0068】
未乾燥ハニカム成形体に含有された水の蒸発率が50質量%より少ないと、ハニカム成形体の収縮が完了しておらず、その後、さらに水を蒸発させることにより、さらにハニカム成形体が不均一に収縮するため、ハニカム成形体の隔壁が変形するという問題がある。未乾燥ハニカム成形体に含有された水の蒸発率が99質量%より多いと、ハニカム成形体が局所的に過乾燥状態となり、バインダ燃焼による焦げが発生するという問題がある。ここで、未乾燥ハニカム成形体に含有された水の蒸発率とは、蒸発した水の質量を未乾燥ハニカム成形体に含有されていた水の質量で除して100倍した値である。
【0069】
本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法において、未乾燥ハニカム成形体42を乾燥装置100により乾燥させるときには、まず、外枠部24の一方の端部側から未乾燥ハニカム成形体41を搬入してコンベア21に載せ、コンベア21の駆動により未乾燥ハニカム成形体41はハニカム成形体の進行方向Dに移動され、コンベア21により乾燥室1の一方の端部側から乾燥室1内に搬入される。未乾燥ハニカム成形体41は、乾燥室1内を乾燥中のハニカム成形体43としてコンベア21により移動しながら、雰囲気制御ユニット6により所定の湿度及び温度の雰囲気に制御された乾燥空間2内で、電磁波発生器3で発生した電磁波を照射されることにより高周波加熱により乾燥され、乾燥ハニカム成形体42となる。その後、乾燥ハニカム成形体42は、乾燥室1の他方の端部側から搬出され、熱風乾燥室31に搬入される。乾燥ハニカム成形体42は、コンベア21により熱風乾燥室31内を、熱風を吹き付けられてさらに乾燥されながら移動し、熱風乾燥室31の外部に搬出され、乾燥装置100の外部に搬出される。
【0070】
乾燥装置100には、図1に示すように、乾燥室1内の乾燥空間2を所定の湿度及び温度に制御するために、雰囲気制御ユニット6が備えられている。雰囲気制御ユニット6は、水蒸気を乾燥室1内に流入させるための水蒸気流入手段4及び乾燥室1内から排気するための強制排気手段5により構成されている。水蒸気流入手段4は、その先端部分のノズルから水蒸気を放出することができる配管であり、先端部分が、乾燥室1内に挿入されている。水蒸気は、例えば、水蒸気発生装置(図示せず)等で発生させ、配管を通じて移送されたものを使用することができる。また、強制排気手段5は、強制排気用ブロワー11に繋がれた配管が2本に分岐し、その一本の先端部分が乾燥室1の一の端部付近に挿入され、他の一本の先端部分が乾燥室1の他の端部付近に挿入されている。乾燥室1内の気体は、必要に応じて、これら配管を通じて強制排気用ブロワー11により外部に排気される。
【0071】
水蒸気流入手段4から乾燥室1内に流入する水蒸気の温度は100〜120℃が好ましい。また、乾燥室1内に流入する水蒸気量及び強制排気用ブロワー11により乾燥室1から外部に排気される排気量は、乾燥室1の体積や、乾燥室1内に収納されるハニカム成形体の大きさ、数量等により適宜決定されるが、例えば、約7mの乾燥室1の場合、水蒸気量は、90〜120kg/Hrが好ましく、排気量は、20〜50m/minが好ましい。
【0072】
図1に示すように乾燥室1の天井部23には、外枠部24の中心軸に沿ってほぼ均等に10箇所(ゾーン)に電磁波発生器3が配設されている。そして、各ゾーンには、図2に示すように、天井部23に2つ、側面部26に1つずつの合計4つの電磁波発生器3が配設され、乾燥室1内に電磁波発生器3が合計40個配設されている。図2は、図1のA−A’断面図である。これにより、本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法においては、乾燥中のハニカム成形体43の外周壁44側と上端部45側とからそれぞれ電磁波が照射され、電磁波がハニカム成形体の内部により均等に照射されやすくなり、ハニカム成形体全体がより均等に高周波加熱されるようになるため好ましい。電磁波発生器3の配置される場所及び数は、これに限定されるものではなく、各ゾーンにおいて、1つの電磁波発生器3をいずれかの場所に配置してもよいし、5つ以上の電磁波発生器3をいずれかの場所に配置してもよい。また、電磁波発生器3が配設されるゾーン数は、10ゾーンに限定されず、乾燥室1の長さ等により適宜決定することができる。乾燥室1の周囲に断熱材が配設され、乾燥室1がそれにより保温されていることが好ましい。また、外枠部24の周囲にも断熱材が配設されていることが好ましい。
【0073】
本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法においては、乾燥に使用する電磁波の周波数は、900〜10000MHzが好ましく、2000〜10000MHzがさらに好ましい。900MHzより小さいと、水が高周波加熱され難いためハニカム成形体が乾燥され難いことがある。さらに、周波数が2000MHzより大きいと、より効率的に水を高周波加熱することができる。また、電磁波発生器3は、図2に示すように乾燥室1内に配設されてもよいが、乾燥室1の外部に配設し、電磁波発生器3で発生した電磁波を、導波管により誘導して乾燥室1の所定の位置から乾燥室1内に導入し、乾燥中のハニカム成形体43に照射してもよい。
【0074】
また、ハニカム成形体に照射される電磁波のエネルギーは、乾燥室1の体積や、乾燥室1内に収納されるハニカム成形体の大きさ、数量等により適宜決定されるが、例えば、約7mの乾燥室1の場合、合計で、150〜300kWであることが好ましい。150kWより小さいと、ハニカム成形体が所定の乾燥状態まで乾燥されないことがあり、300kWより大きいと、ハニカム成形体からの水の蒸発速度が速くなり、乾燥空間内の加温・加湿を行ってもハニカム成形体の内部と外部との乾燥状態の差異を少なくすることが困難になることがある。
【0075】
本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法では、上述のように、電磁波の照射により未乾燥ハニカム成形体を乾燥して乾燥ハニカム成形体とした後に、乾燥ハニカム成形体に熱風を当てることによりさらに乾燥させることが好ましい。これにより、残存水分量を0.5%以下とすることができる。乾燥ハニカム成形体に熱風を当ててさらに乾燥させる場合には、図1に示すように、乾燥ハニカム成形体42を、外枠部24の出口側端部近傍に形成された熱風乾燥空間37を有する熱風乾燥室31にコンベアにより搬入し、熱風乾燥室31の下部に配設された熱風送風用ノズル34から送られた熱風を乾燥ハニカム成形体42の下端部側から上端部側に向けて当てるようにすることが好ましい。熱風送風用ノズル34から熱風乾燥室31内に送られた熱風は、熱風乾燥室31の上部に(天井部23と屋根部25との間に形成された空間に)配設された熱風排気用ダクト35から外部に排出される。上記熱風の温度は、100〜130℃であることが好ましい。100℃より低いと、乾燥ハニカム成形体が乾燥され難いことがあり、130℃より高いと、未乾燥ハニカム成形体41に含まれる水以外の有機バインダ等が蒸発し、未乾燥ハニカム成形体41の隔壁が変形するという問題や、有機バインダ等が燃焼することがあるという問題がある。
【0076】
また、熱風送風用ノズル34は、熱風発生器32に熱風送風用配管33で繋げられており、熱風発生器32で発生した熱風が熱風送風用配管33内を移動して熱風送風用ノズル34から吹き出すように形成されている。熱風発生器32としては、所定の温度、風量を出すことができれば特に限定されるものではないが、例えば、高温の水蒸気や電熱器等を使用したヒーターと、送風機とからなり、送風機で発生させた風をヒーターで加熱して熱風とするものを使用することができる。熱風発生器32で発生した熱風は、未乾燥ハニカム成形体を電磁波により乾燥させるときの、乾燥開始時の全く加熱されていない乾燥室1を予め加熱する(予熱する)ために使用してもよい。図1においては、熱風発生器32に連結された予熱用配管36を通じて、熱風が乾燥室1内に流入するように形成されている。
【0077】
本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法では、セラミック製で、開口率が80%以上、隔壁の厚さが0.18mm以下となるような、ハニカム成形体を好適に乾燥することができる。ここで、開口率とは、ハニカム成形体を中心軸に垂直な平面で切断したときの断面において、セルの貫通孔に相当する部分の面積の合計の、上記断面の全断面積に対する比率をいう。
【0078】
本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法で使用する乾燥装置は、連続的にハニカム成形体を乾燥させるものであるが、バッチ式であってもよい。バッチ式の乾燥装置とは、例えば、所定数の未乾燥ハニカム成形体をその乾燥装置の内部に収納し、それから電磁波の照射を開始してハニカム成形体を乾燥させた後に電磁波の照射を停止し、乾燥ハニカム成形体を取り出し、新たに、所定数の未乾燥ハニカム成形体を収納して電磁波照射を開始するような方式の乾燥装置である。
【0079】
図3は、本発明のハニカム成形体の乾燥方法の第2の態様の実施の形態に使用するハニカム成形体の乾燥装置を模式的に示す断面図である。
【0080】
本発明のハニカム成形体の乾燥方法の第2の態様の実施の形態は、図3に示すハニカム成形体の乾燥装置200(以下、単に「乾燥装置200」ということがある)を使用して実施することができる。但し、本発明のハニカム成形体の乾燥方法の第2の態様の実施の形態に使用する乾燥装置は図3に示した乾燥装置200に限定されるものではない。
【0081】
図3に示す乾燥装置200は、セラミック原料及び水を含有する原料組成物からなるとともに、隔壁によって複数のセルが区画、形成された未乾燥のハニカム成形体(未乾燥ハニカム成形体)141に電磁波を照射して、高周波加熱することにより、未乾燥ハニカム成形体141の内部及び外部から水を蒸発させて未乾燥ハニカム成形体141を乾燥させて乾燥ハニカム成形体142を得ることが可能なハニカム成形体の乾燥装置200である。ここで、未乾燥ハニカム成形体141の外部とは、例えば、未乾燥ハニカム成形体141が円柱状であるとすると、円柱の外周壁付近をいう。その範囲は、円柱の断面において、円柱の最外周から約20mmの範囲である。未乾燥ハニカム成形体141の内部とは、未乾燥ハニカム成形体141から上記外部を除いた部分であり、中心軸を含む内側部分をいう。また、未乾燥ハニカム成形体141が円柱ではなく、他の形状である場合でも、その中心軸付近又は中心付近が内部であり、外周付近又は外表面付近が外部である。そして、その範囲は、外部の場合は、外周(外表面)から約20mmの範囲である。内部の場合は、未乾燥ハニカム成形体141から上記外部を除いた部分である。
【0082】
乾燥装置200は、筒状の外枠部124内に、未乾燥ハニカム成形体141を加湿及び加温雰囲気で収納する乾燥空間102を有する乾燥室101と、乾燥室101に収納された未乾燥ハニカム成形体141に照射する電磁波を発生させて未乾燥ハニカム成形体141を高周波加熱する電磁波発生器103と、乾燥空間102内の加湿及び加温雰囲気を、30〜65%の低湿度に、また75〜130℃の温度範囲に保持するとともに、電磁波発生器103による高周波加熱に加えて、未乾燥ハニカム成形体141のうち、高周波加熱のみでは水の蒸発が内部よりも少ない外部からの水の蒸発量を増大させ、未乾燥ハニカム成形体141に含有された水のうち、最終的にその50〜99質量%が蒸発するように、乾燥空間内に熱風を送風する熱風送風ユニット106と、乾燥室101に収納された未乾燥ハニカム成形体141の外周壁に熱風を吹き付けて加熱する熱風吹き付け器128と、を備えるものである。
【0083】
乾燥装置200を構成する外枠部124は、筒状に形成され、筒の中心軸方向をほぼ水平にして配置され、その一方の端部側から未乾燥ハニカム成形体141を搬入し、他方の端部から乾燥ハニカム成形体142を搬出するように形成されている。そして、外枠部124には、その屋根部125との間に空間を形成するように天井部123がほぼ水平に形成され、天井部123により外枠部124が2つの空間に仕切られている。乾燥室101は筒状に形成され、筒の中心軸方向が外枠部124の中心軸方向とほぼ同じ方向を向くようにして、外枠部124に形成された屋根部125の下側(鉛直方向下側)に配設されている。
【0084】
乾燥装置200には、未乾燥ハニカム成形体141を連続的に内部に搬入し、乾燥させた後に、乾燥ハニカム成形体142として連続的に外部に搬出するために、外枠部124の一方の端部(入り口側端部)から乾燥室101の筒の内部を通り外枠部124の他方の端部(出口側端部)まで延設されたコンベア121が配設されている。
【0085】
乾燥室101の未乾燥ハニカム成形体141が搬入される側の端部付近には、熱風を発生させる熱風発生器104と、熱風発生器104で発生した熱風を乾燥室101の乾燥空間102内に導入して送風させる熱風導入部105とを有する熱風送風ユニット106が設けられている。そして、熱風送風ユニット106により乾燥空間102内に導入されて送風された熱風は、乾燥空間102内に搬入された未乾燥ハニカム成形体141に当たり、未乾燥ハニカム成形体141を乾燥させる。
【0086】
乾燥室101の未乾燥ハニカム成形体141が搬出される側の端部付近には、強制排気用ブロワー111及び強制排気用ダクト112を有する強制排気手段113が備えられ、この強制排気手段113により乾燥空間102内を排気するように形成されている。
【0087】
乾燥室101の内部には、コンベア121を、未乾燥ハニカム成形体141の進行方向DDに沿って両側から挟むように熱風吹き付け器128が配設されている。熱風吹き付け器128は、熱風(第2熱風)を吹き出すための第2熱風吹き付け部(図示せず)を有し、第2熱風吹き付け部(図示せず)が、未乾燥ハニカム成形体141の中心軸に垂直な互いに対向する二つの方向から外周壁144にそれぞれ第2熱風を吹き付けるように形成され、未乾燥ハニカム成形体141の外周壁144を挟むように二方向から外周壁144に熱風が吹き付けられるようになっている。第2熱風吹き付け部は、管状のノズル(熱風吹き付けノズル)を複数有し、各ノズルから未乾燥ハニカム成形体141の外周壁144に熱風を吹き付けるように構成されることが好ましい。そして、複数の熱風吹き付けノズルが、それぞれ、その軸方向を水平方向に向けながら、その第2熱風を吹き出す先端を外周壁144側に向けた状態で、未乾燥ハニカム成形体141の中心軸に沿って上下方向に重なるように並び、外周壁144の上端部から下端部に渡って同時に第2熱風を吹き付けられるように構成されることがさらに好ましい。このとき、各ノズルの先端を結ぶ線が、未乾燥ハニカム成形体141の中心軸とほぼ平行になるようにすることが好ましい。これにより、未乾燥ハニカム成形体141の進行にともない、外周壁144の全体に渡って第2熱風を吹き付けることができる。そして、その未乾燥ハニカム成形体141の中心軸に沿って並ぶノズルの列が、未乾燥ハニカム成形体141の進行方向DDに沿ってそれぞれのノズルの列が互いにほぼ平行になるように複数列配列され、未乾燥ハニカム成形体141の進行に従い、各ノズルの列より吹き出される第2熱風が順次外周壁144に吹き付けられることが好ましい。但し、熱風吹き付けノズルの並び(列)は、直線状である必要はなく、ジグザグ状であったり、規則的に並んでいなくてもよく、外周壁144の上端部から下端部までに均等に第2熱風を吹き付けることができればよい。また、第2熱風吹き付け部は、必ずしも熱風吹き付けノズルを有する必要はなく、配管に複数の孔を形成し、その孔から熱風が吹き出るように形成してもよい。
【0088】
本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法は、このような乾燥装置200を使用することにより、熱風により加湿及び加温雰囲気に保持された乾燥空間102内で、未乾燥ハニカム成形体141に、送風された熱風を当てるとともに、電磁波を照射して高周波加熱し、未乾燥ハニカム成形体141の内部及び外部から水を蒸発させて未乾燥ハニカム成形体141を乾燥させて、乾燥ハニカム成形体142を得るものである。
【0089】
そして、本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法は、乾燥空間102内の加湿及び加温雰囲気を、熱風送風ユニット106によって30〜65%の低湿度に、また、75〜130℃の温度範囲に保持した状態で、さらに、未乾燥ハニカム成形体141に含有された水のうち、最終的にその50〜99質量%が蒸発するように、電磁波発生器103から電磁波を照射して高周波加熱するとともに、上記熱風送風ユニット106により送風された熱風を未乾燥ハニカム成形体141に当てて、未乾燥ハニカム成形体141のうち、高周波加熱のみでは水の蒸発量が内部よりも少ない外部からの水の蒸発量を上記所定の加湿及び加温雰囲気とすること及び熱風を未乾燥ハニカム成形体141に当てることにより増大させて、未乾燥ハニカム成形体141の内部及び外部からの水の蒸発量の差異を減少させるとともに、未乾燥ハニカム成形体141の内部及び外部の乾燥程度の差異を減少させることによって、内部及び外部の乾燥程度の差異に起因する隔壁の変形が抑制された乾燥ハニカム成形体を得ることができる。そして、熱風送風ユニット106により送風された熱風に加えて、さらに未乾燥ハニカム成形体141の外周壁144に、所定の距離から熱風(第2熱風)を吹き付けることにより、さらに未乾燥ハニカム成形体141の内部及び外部の乾燥程度の差異を減少させ、内部及び外部の乾燥程度の差異に起因する隔壁の変形をさらに抑制することができる。未乾燥ハニカム成形体141の外周壁144に吹き付ける第2熱風は、未乾燥ハニカム成形体141の高周波加熱のみでは乾燥しにくい外部の乾燥をさらに促進させて高周波加熱のみでよく乾燥される内部の乾燥状態に近づけるために、外周壁144のみに吹き付け、未乾燥ハニカム成形体141の上端部や下端部には吹き付けないようにすることが好ましい。上端部や下端部に吹き付けると、未乾燥ハニカム成形体141の内部及び外部からの水の蒸発量の差異を減少させ難くなることがある。
【0090】
乾燥程度の差異に起因して隔壁が変形するのは、未乾燥ハニカム成形体141を乾燥するときに隔壁が収縮するため、ハニカム成形体の各部分毎に乾燥程度が異なると、その部分毎に隔壁の収縮の程度も異なることになり、この収縮の程度の異なる部分間で歪みが生じることになるからである。これにより隔壁のよれ等の変形が生じるのである。そして、本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法によれば、このような隔壁の変形を防止することができる。隔壁の変形という場合、隔壁がよれたり、しわが発生したり、最外周に位置する外周壁にしわが発生したり、凹んだりする場合等も含まれる。
【0091】
乾燥空間102内の湿度が30%より低いと、未乾燥ハニカム成形体141の外周壁144が、速く乾燥し過ぎるため、外周壁144にきれが発生するという問題がある。また、湿度が65%より高いと、未乾燥ハニカム成形体141はその初期乾燥時において水の蒸発量が内部より外部のほうが少ないために内部と外部の乾燥程度が異なることにより隔壁のしわ等の変形が生じるが、湿度が高いために、その内部と外部の乾燥程度の相違をより大きくし、隔壁を変形させるという問題がある。ここで、外周壁のきれとは、外周壁の厚さ方向に対し20%以上の深さに亀裂が入ることをいう。また、湿度が高いため、投入した電磁波のエネルギーに対する未乾燥ハニカム成形体の水の蒸発量が少ないという問題もある。乾燥空間2内の湿度は30〜50%がより好ましい。
【0092】
乾燥空間102内の温度が75℃より低いと、未乾燥ハニカム成形体141が乾燥され難く、外周壁にしわが発生するという問題がある。また、温度が130℃より高いと、未乾燥ハニカム成形体141に含まれる水以外の有機バインダ等が蒸発し、未乾燥ハニカム成形体141の隔壁が変形するという問題や、有機バインダ等が燃焼することがあるという問題がある。乾燥空間102内の温度は90〜110℃がより好ましい。温度が75〜90℃の範囲では、品質上問題はないが、ハニカム成形体の内部と外部との水分含有率の差が10質量%未満の範囲ではあるが発生することがあり、また全体の乾燥が若干不十分となることがある。
【0093】
未乾燥ハニカム成形体に含有された水の蒸発率が50質量%より少ないと、ハニカム成形体の収縮が完了しておらず、その後(乾燥装置200における乾燥が終了した後)、さらに水を蒸発させることにより、さらにハニカム成形体が不均一に収縮するため、ハニカム成形体の隔壁が変形するという問題がある。未乾燥ハニカム成形体に含有された水の蒸発率が99質量%より多いと、ハニカム成形体が局所的に過乾燥状態となり、バインダ燃焼による焦げが発生するという問題がある。水の蒸発量は70〜95%であることがさらに好ましい。ここで、未乾燥ハニカム成形体に含有された水の蒸発率とは、蒸発した水の質量を未乾燥ハニカム成形体に含有されていた水の質量で除して100倍した値である。
【0094】
熱風送風ユニット106により乾燥空間102内に送風される熱風の風速は、0.5〜10m/秒が好ましく、2〜10m/秒がさらに好ましい。また、風量は3〜60m/秒であることが好ましく、12〜60m/秒であることがさらに好ましい。風速が0.5m/秒より遅いと、熱風による未乾燥ハニカム成形体141の外部の加熱が不十分になることがある。風速が10m/秒より速いと、未乾燥ハニカム成形体141を動かしたり、外周壁144を変形させることがある。風量が3m/秒より少ないと、熱風による未乾燥ハニカム成形体141の外部の加熱が不十分になることがある。風量が60m/秒より多いと、未乾燥ハニカム成形体141を動かしたり、外周壁144を変形させることがある。
【0095】
熱風送風ユニット106により乾燥空間102内に送風される熱風の温度は、80〜135℃であることが好ましく、95〜110℃であることがさらに好ましい。80℃より低いと、未乾燥ハニカム成形体141の外部からの水の蒸発を促進させる効果が低下することがある。135℃より高いと、未乾燥ハニカム成形体141に含まれる水以外の有機バインダ等が蒸発し、未乾燥ハニカム成形体141の隔壁が変形するという問題や、有機バインダ等が燃焼することがあるという問題がある。
【0096】
熱風送風ユニット106により乾燥空間2内に送風される熱風の湿度は、20%以下であることが好ましく、15%以下であることがさらに好ましい。20%より高いと、未乾燥ハニカム成形体141の外部からの水の蒸発を促進させる効果が低下することがある。
【0097】
また、本実施の形態においては、上述のように、熱風送風ユニット106により送風される熱風に加えて、さらに未乾燥ハニカム成形体141の外周壁144に、所定の距離から第2熱風を吹き付けることが好ましい。このとき、第2熱風の風速は0.5〜10m/秒が好ましく、2〜10m/秒がさらに好ましい。風速が0.5m/秒より遅いと、第2熱風による未乾燥ハニカム成形体141の外部の加熱が不十分になることがあり、また、第2熱風により未乾燥ハニカム成形体141の外周壁144周辺に滞留する水蒸気を吹き飛ばして外周壁144周辺の湿度を低下させることにより未乾燥ハニカム成形体141の外周壁144からの水の蒸発を促進する効果が低下することがある。風速が10m/秒より速いと、未乾燥ハニカム成形体141を動かしたり、外周壁144を変形させることがある。また、第2熱風を未乾燥ハニカム成形体141の外周壁144に吹き付けるときには、外周壁144の全体に渡って吹き付けることが好ましい。これにより、外周壁144の全体に渡って第2熱風が上記所定の風速で吹き付けられるため、効果的に未乾燥ハニカム成形体141の外周壁144からの水の蒸発を促進させることができる。
【0098】
熱風吹き付け器128から外周壁144に吹き付けられる第2熱風の温度は、80〜135℃であることが好ましく、95〜110℃であることがさらに好ましい。80℃より低いと、未乾燥ハニカム成形体141の外部からの水の蒸発を促進させる効果が低下することがある。135℃より高いと、未乾燥ハニカム成形体141に含まれる水以外の有機バインダ等が蒸発し、未乾燥ハニカム成形体141の隔壁が変形するという問題や、有機バインダ等が燃焼することがあるという問題がある。
【0099】
熱風吹き付け器128から外周壁144に吹き付けられる第2熱風の湿度は、20%以下であることが好ましい。20%より高いと、未乾燥ハニカム成形体141の外部からの水の蒸発を促進させる効果が低下することがある。
【0100】
熱風吹き付け器128の第2熱風吹き付け部の第2熱風を吹き出す部分から、未乾燥ハニカム成形体141の外周壁144までの距離(外周壁144に第2熱風を吹き付けるときの熱風送風ユニット106からの所定の距離)が、0.1〜1.0mであることが好ましい。0.1mより近いと熱風が外周壁144の一部に局所的に吹き付けられることがあり、1.0mを超えると外周壁144に吹き付けられずに他方へ逃げてしまう第2熱風が増加し、第2熱風を吹き付ける効率が低下することがある。
【0101】
本実施の形態においては、熱風送風ユニット106は、上述のように、熱風を発生させる熱風発生器104と、熱風発生器104で発生した熱風を乾燥室101の乾燥空間102内に導入して送風させる熱風導入部105とを有してなるが、熱風発生器104としては、所定の温度、風量を出すことができれば特に限定されるものではないが、例えば、高温の水蒸気や電熱器等を使用したヒーターと、送風機とからなり、送風機で発生させた風をヒーターで加熱して熱風とするものを使用することができる。熱風の温度は、主として上記ヒーターにより制御することができ、熱風の湿度は、除湿器などにより制御することができる。
【0102】
熱風導入部105は、図3に示すように管状のノズルを乾燥室101に挿入するように配設してもよいが、乾燥室101の壁に孔が形成され、熱風発生器104で発生した熱風を配管を通じてその孔まで導き、その孔から乾燥室101内に熱風が導入されるように形成してもよい。また、ノズルを乾燥室101に挿入するときには、ノズルの向きを所望の方向に向けるようにすることが好ましい。
【0103】
本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法において、未乾燥ハニカム成形体142を乾燥装置200により乾燥させるときには、まず、外枠部124の一方の端部側から未乾燥ハニカム成形体141を受け台148に載置した状態で搬入してコンベア121に載せ、コンベア121の駆動により未乾燥ハニカム成形体141はハニカム成形体の進行方向DDに移動され、コンベア121により乾燥室101の一方の端部側から乾燥室101内に搬入される。未乾燥ハニカム成形体141は、乾燥室101内をコンベア121により移動しながら、所定の湿度及び温度の雰囲気の乾燥空間102内で、電磁波発生器103で発生した電磁波を照射されることにより高周波加熱により乾燥されるとともに、熱風送風ユニット106により送風された熱風が当てられ、さらに熱風吹き付け器128により第2熱風が外周壁144に吹き付けられてその外部の乾燥が促進されることにより、全体がほぼ均一に乾燥された乾燥ハニカム成形体142となる。その後、乾燥ハニカム成形体142は、乾燥室101の他方の端部側から搬出され、後乾燥室131に搬入される。乾燥ハニカム成形体142は、コンベア121により後乾燥室131内を、後乾燥用熱風を吹き付けられてさらに乾燥されながら移動し、後乾燥室131の外部に搬出され、乾燥装置200の外部に搬出される。
【0104】
本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法においては、未乾燥ハニカム成形体141をその中心軸を中心として自転させながら乾燥空間102内で未乾燥ハニカム成形体141の外周壁144に熱風を当てることが好ましい。未乾燥ハニカム成形体141が自転しながら熱風を当てられることにより、外周壁141全体に均等に熱風が当てられることになるため好ましい。未乾燥ハニカム成形体141を自転させながら第2熱風を吹き付けることも、同様の理由により好ましい。
【0105】
未乾燥ハニカム成形体141を自転させる方法としては、図4に示すように、まず、受け台148を、その上面に載置された未乾燥ハニカム成形体141を、その中心軸を中心に自転することによってほぼ同軸で自転させることができる受け部147と、受け部147を自転自在に支える基部146とを有するように構成し、さらに、受け台148を構成する受け部147が、中心軸を中心として回転するピニオン部149を有するように構成する。そして、未乾燥ハニカム成形体141を載置した受け台148をコンベア121上に載せて移動させるときに受け部147の有するピニオン部149とかみ合うように、受け台148側を向いた一の面側にコンベア121に沿って凹凸形状(ラック部凹凸)129が形成される棒状のラック部127をコンベア121に沿って平行に配設し、受け台148に載置した未乾燥ハニカム成形体141をコンベア121に載せて乾燥室101内を移動させるときに、受け部147の有するピニオン部149がラック部凹凸129にかみ合いながら受け台148が移動することにより、受け部147がその中心軸を中心に自転し、それにより受け台148に載置した未乾燥ハニカム成形体141をほぼ同軸で自転させながら乾燥装置200内を移動させる方法が好ましい。この方法によると、未乾燥ハニカム成形体141を回転させるための駆動源として、未乾燥ハニカム成形体141を進行させるエネルギーの一部を使用できるため、回転のための駆動源を新たに追加する必要がないため好ましい。ここで、図4は、図3のAA−AA’断面図である。
【0106】
図5は、未乾燥ハニカム成形体141を載置した受け台の受け部147が、ラック部127により回転する様子を模式的に示した平面図である。上述したように、未乾燥ハニカム成形体141を自転させる機構としては、図5に示すように、受け部147の有するピニオン部149が、乾燥室に固定されたラック部127のラック部凹凸129にかみ合いながら受け台が進行方向DDに移動することにより、受け部147がその中心軸を中心に自転方向Rに自転し、それにより受け台に載置した未乾燥ハニカム成形体141をほぼ同軸で自転方向Rに自転させるようにしている。
【0107】
また、図6に示すように、未乾燥ハニカム成形体141は、受け台の基部146に支えられて自転方向Rに自転しながら進行方向DDに移動し、さらに進行方向DDに平行に未乾燥ハニカム成形体141を挟むように配設された熱風吹き付け器128から、未乾燥ハニカム成形体141を挟むように2方向から第2熱風Hが吹き付けられることが好ましい。ここで、図6は、未乾燥ハニカム成形体141が自転しながら第2熱風を吹き付けられている様子を模式的に示す平面図である。
【0108】
未乾燥ハニカム成形体を自転させる機構としては、上述のピニオン部とラック部との組み合わせによる方法以外にも、未乾燥ハニカム成形体を載置させる部分(受け部)をモータ等の回転駆動系により直接回転させる方法や、未乾燥ハニカム成形体を載置させる部分(受け部)に磁石等を埋設し、電磁回路により非接触の状態で回転させる方法等を使用することができる。
【0109】
乾燥装置200には、図3に示すように、熱風送風ユニット106とともに、乾燥室101内から排気するための強制排気手段113が配設されている。本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法では、これら熱風送風ユニット106及び強制排気手段113を使用することにより、乾燥室101内の乾燥空間102を所定の湿度及び温度に制御することができる。乾燥空間102内の雰囲気の制御は、熱風送風ユニット106により送風される熱風の温度、湿度、風量、風速を制御することにより行うことができるが、このように、熱風送風ユニット106と強制排気手段113とを組み合わせると、より精密な雰囲気の制御を行うことができるため好ましい。また、さらに、水蒸気流入手段(図示せず)を設け、水蒸気を乾燥空間102内に流入させることによりさらに精密な雰囲気の制御を行うことができる。強制排気手段5は、強制排気用ブロワー111と強制排気用ブロワー111に繋がれた強制排気用ダクト112を有し、強制排気用ダクト112が乾燥室101に繋がれている。乾燥室101内の雰囲気は、必要に応じて、強制排気用ダクト112を通じて強制排気用ブロワー111により外部に排気される。
【0110】
水蒸気流入手段を設け、乾燥室101内に水蒸気を流入させる場合には、水蒸気の温度は100〜120℃が好ましい。また、乾燥室101内に流入する水蒸気量及び強制排気用ブロワー111により乾燥室101から外部に排気される排気量は、乾燥室101の体積や、乾燥室101内に収納されるハニカム成形体の大きさ、数量等により適宜決定されるが、例えば、約7mの乾燥室101の場合、水蒸気量は、90〜120kg/Hrが好ましく、排気量は、20〜50m/minが好ましい。
【0111】
図3に示すように乾燥室101の天井部123には、外枠部124の中心軸に沿ってほぼ均等に10箇所(ゾーン)に電磁波発生器103が配設されている。そして、各ゾーンには、図4に示すように、天井部123に2つ、側面部126に1つずつの合計4つの電磁波発生器103が配設され、乾燥室101内に電磁波発生器103が合計40個配設されている。これにより、本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法においては、未乾燥ハニカム成形体141の外周壁144側と上端部145側とからそれぞれ電磁波が照射され、電磁波がハニカム成形体の内部により均等に照射されやすくなり、ハニカム成形体全体がより均等に高周波加熱されるようになるため好ましい。電磁波発生器103の配置される場所及び数は、これに限定されるものではなく、各ゾーンにおいて、1つの電磁波発生器103をいずれかの場所に配置してもよいし、5つ以上の電磁波発生器103をいずれかの場所に配置してもよい。また、電磁波発生器103が配設されるゾーン数は、10ゾーンに限定されず、乾燥室101の長さ等により適宜決定することができる。乾燥室101の周囲に断熱材が配設され、乾燥室101がそれにより保温されていることが好ましい。また、外枠部124の周囲にも断熱材が配設されていることが好ましい。
【0112】
本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法においては、乾燥に使用する電磁波の周波数は、900〜10000MHzが好ましく、2000〜10000MHzがさらに好ましい。900MHzより小さいと、水が高周波加熱され難いためハニカム成形体が乾燥され難いことがある。さらに、周波数が2000MHzより大きいと、より効率的に水を高周波加熱することができる。また、電磁波発生器103は、図4に示すように乾燥室101内に配設されてもよいが、乾燥室101の外部に配設し、電磁波発生器103で発生した電磁波を、導波管により誘導して乾燥室101の所定の位置から乾燥室101内に導入し、未乾燥ハニカム成形体141に照射してもよい。
【0113】
また、ハニカム成形体に照射される電磁波のエネルギーは、乾燥室101の体積や、乾燥室101内に収納されるハニカム成形体の大きさ、数量等により適宜決定されるが、例えば、約7mの乾燥室1の場合、合計で、150〜300kWであることが好ましい。150kWより小さいと、ハニカム成形体が所定の乾燥状態まで乾燥されないことがあり、300kWより大きいと、ハニカム成形体からの水の蒸発速度が速くなり、乾燥空間内の加温・加湿を行ってもハニカム成形体の内部と外部との乾燥状態の差異を少なくすることが困難になることがある。
【0114】
本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法では、上述のように、電磁波の照射及び熱風により未乾燥ハニカム成形体を乾燥して乾燥ハニカム成形体とした後に、乾燥ハニカム成形体に熱風(後乾燥用熱風)を当てることによりさらに乾燥させることが好ましい。これにより、残存水分量を0.5%以下とすることができる。乾燥ハニカム成形体に後乾燥用熱風を当ててさらに乾燥させる場合には、図3に示すように、乾燥ハニカム成形体142を、外枠部124の出口側端部近傍に形成された後乾燥空間137を有する後乾燥室131にコンベア121により搬入し、後乾燥室131の下部に配設された熱風送風用ノズル134から送られた後乾燥用熱風を乾燥ハニカム成形体142の下側から上端部側に向けて当てるようにすることが好ましい。熱風送風用ノズル134から後乾燥室131内に送られた後乾燥用熱風は、後乾燥室131の上部に(天井部123と屋根部125との間に形成された空間に)配設された熱風排気用ダクト135から外部に排出される。上記後乾燥用熱風の温度は、100〜130℃であることが好ましい。100℃より低いと、乾燥ハニカム成形体142が乾燥され難いことがあり、130℃より高いと、乾燥ハニカム成形体142に含まれる水以外の有機バインダ等が蒸発し、乾燥ハニカム成形体142の隔壁が変形するという問題や、有機バインダ等が燃焼することがあるという問題がある。
【0115】
また、熱風送風用ノズル134は、後乾燥用熱風発生器132に熱風送風用配管133で繋げられており、後乾燥用熱風発生器132で発生した後乾燥用熱風が熱風送風用配管133内を移動して熱風送風用ノズル134から吹き出すように形成されている。後乾燥用熱風発生器132としては、所定の温度、風量を出すことができれば特に限定されるものではないが、例えば、高温の水蒸気や電熱器等を使用したヒーターと、送風機とからなり、送風機で発生させた風をヒーターで加熱して熱風とするものを使用することができる。後乾燥用熱風発生器132で発生した後乾燥用熱風は、未乾燥ハニカム成形体を電磁波により乾燥させるときの、乾燥開始時の全く加熱されていない乾燥室101を予め加熱する(予熱する)ために使用してもよい。図3においては、後乾燥用熱風発生器132に連結された予熱用配管136を通じて、熱風が乾燥室101内に流入するように形成されている。
【0116】
本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法では、セラミック製で、開口率が80%以上、隔壁の厚さが0.18mm以下となるような、ハニカム成形体を好適に乾燥することができる。ここで、開口率とは、ハニカム成形体を中心軸に垂直な平面で切断したときの断面において、セルの貫通孔に相当する部分の面積の合計の、上記断面の全断面積に対する比率をいう。
【0117】
本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法で使用する乾燥装置は、連続的にハニカム成形体を乾燥させるものであるが、バッチ式であってもよい。バッチ式の乾燥装置とは、例えば、所定数の未乾燥ハニカム成形体をその乾燥装置の内部に収納し、それから電磁波の照射及び熱風の送風を開始してハニカム成形体を乾燥させた後に電磁波の照射及び熱風の送風を停止し、乾燥ハニカム成形体を取り出し、新たに、所定数の未乾燥ハニカム成形体を収納して電磁波の照射及び熱風の送風を開始するような方式の乾燥装置である。
【0118】
次に、本発明のハニカム成形体の乾燥装置の第1の態様の実施の形態について説明する。図7は、本発明のハニカム成形体の乾燥装置の実施の形態を模式的に示す断面図である。
【0119】
図7に示す本実施の形態のハニカム成形体の乾燥装置300(以下、単に「乾燥装置300」ということがある)は、セラミック原料及び水を含有する原料組成物からなるとともに、隔壁によって複数のセルが区画、形成された未乾燥のハニカム成形体(未乾燥ハニカム成形体)91に電磁波を照射して、高周波加熱することにより、未乾燥ハニカム成形体91の内部及び外部から水を蒸発させて未乾燥ハニカム成形体91を乾燥させて乾燥ハニカム成形体92を得ることが可能な乾燥装置である。ここで、未乾燥ハニカム成形体91の内部及び外部とは、上述した本発明のハニカム成形体の乾燥方法で乾燥させる図1に示す未乾燥ハニカム成形体41の内部及び外部と同様の部分をいう。
【0120】
本実施の形態の乾燥装置300は、筒状の外枠部74内に、未乾燥ハニカム成形体91を加湿及び加温雰囲気で収納する乾燥空間52を有する乾燥室51と、未乾燥ハニカム成形体91に含有された水のうち、最終的にその50〜99質量%が蒸発するように、乾燥室51に収納された未乾燥ハニカム成形体91に照射する電磁波を発生させる電磁波発生器53と、乾燥空間52の加湿及び加温雰囲気を、30〜65%の低湿度に、また、75〜130℃の温度範囲に保持する、水蒸気流入手段54及び強制排気手段55とを有する雰囲気制御ユニット56とを備えるものである。
【0121】
乾燥装置300を構成する外枠部74は、筒状に形成され、筒の中心軸方向をほぼ水平にして配置され、その一方の端部側から未乾燥ハニカム成形体91を搬入し、他方の端部側から乾燥ハニカム成形体92を搬出するように形成されている。そして、外枠部74には、その屋根部75との間に空間を形成するように天井部73がほぼ水平に形成され、天井部73により外枠部74が2つの空間に仕切られている。乾燥室51は筒状に形成され、筒の中心軸方向が外枠部74の中心軸方向とほぼ同じ方向を向くようにして、外枠部74に形成された屋根部75の下側(鉛直方向下側)に配設されている。乾燥装置300には、未乾燥ハニカム成形体91を連続的に内部に搬入し、乾燥させた後に、乾燥ハニカム成形体92として連続的に外部に搬出するために、外枠部74の一方の端部(入り口側端部)から乾燥室51の筒の内部を通り外枠部74の他方の端部(出口側端部)まで延設されたコンベア71が配設されている。コンベア71としては特に限定されず、ベルトコンベアやローラーコンベア等を使用することができる。
【0122】
本実施の形態の乾燥装置300は、このように構成され、乾燥空間52内の加湿及び加温雰囲気を、雰囲気制御ユニット56により、30〜65%の低湿度に、また、75〜130℃の温度範囲に保持した状態で、さらに、未乾燥ハニカム成形体91に含有された水のうち、最終的にその50〜99質量%が蒸発するようにするため、高周波加熱のみでは水の蒸発量が内部よりも少ない外部からの水の蒸発量を(前記乾燥空間内の前記加湿及び加温雰囲気で)増大させて未乾燥ハニカム成形体91の内部及び外部からの水の蒸発量の差異を減少させるとともに、未乾燥ハニカム成形体91の内部及び外部の乾燥程度の差異を減少させることによって、内部及び外部の乾燥程度の差異に起因する隔壁の変形が抑制された乾燥ハニカム成形体92を得ることが可能となる。また、乾燥ハニカム成形体92の内部と外部との水分含有率(未乾燥ハニカム成形体が有する水分量から蒸発した水分量を差し引いた値を、未乾燥ハニカム成形体が有する水分量で除して100倍した値)の差は、10質量%以下であることが好ましい。これにより、内部及び外部の乾燥程度の差異に起因する隔壁の変形を抑制することができる。
【0123】
乾燥程度の差異に起因して隔壁が変形するのは、上述のように、未乾燥ハニカム成形体91を乾燥するときに隔壁が収縮するため、ハニカム成形体の各部分毎に乾燥程度が異なると、その部分毎に隔壁の収縮の程度も異なることになり、この収縮の程度の異なる部分間で歪みが生じることになるからである。これにより隔壁のよれ等の変形が生じるのである。そして、本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法によれば、このような隔壁の変形を防止することができる。隔壁の変形という場合、隔壁がよれたり、しわが発生したり、最外周に位置する外周壁にしわが発生したり、凹んだりする場合等も含まれる。
【0124】
乾燥空間52内の湿度が30%より低いと、未乾燥ハニカム成形体91の外周壁94(図4参照)が、速く乾燥し過ぎるため、外周壁94にきれが発生するという問題がある。また、湿度が65%より高いと、未乾燥ハニカム成形体91はその初期乾燥時において水の蒸発量が内部より外部のほうが少ないために内部と外部の乾燥程度が異なることにより隔壁のしわ等の変形が生じるが、湿度が高いために、その内部と外部の乾燥程度の相違をより大きくし、隔壁を変形させるという問題がある。また、湿度が高いため、投入した電磁波のエネルギーに対する未乾燥ハニカム成形体の水の蒸発量が少ないという問題もある。乾燥空間52内の湿度は30〜50%がより好ましい。
【0125】
乾燥空間52内の温度が75℃より低いと、未乾燥ハニカム成形体91が乾燥され難く、隔壁のしわ等が発生するという問題がある。また、温度が130℃より高いと、未乾燥ハニカム成形体91に含まれる水以外の有機バインダ等が蒸発し、未乾燥ハニカム成形体91の隔壁が変形したり、有機バインダ等が燃焼するという問題がある。乾燥空間52内の温度は90〜110℃がより好ましい。温度が75〜90℃の範囲では、品質上問題はないが、ハニカム成形体の内部と外部との水分含有率の差が、10質量%未満の範囲ではあるが発生することがあり、また乾燥の効率が低下するため、乾燥時間を長くすることが必要となることがある。
【0126】
未乾燥ハニカム成形体に含有された水の蒸発率が50質量%より少ないと、ハニカム成形体の収縮が完了しておらず、その後、さらに水を蒸発させることにより、さらにハニカム成形体が不均一に収縮するため、ハニカム成形体の隔壁が変形するという問題がある。未乾燥ハニカム成形体に含有された水の蒸発率が99質量%より多いと、ハニカム成形体が局所的に過乾燥状態となり、バインダ燃焼による焦げが発生するという問題がある。ここで、未乾燥ハニカム成形体に含有された水の蒸発率とは、蒸発した水の質量を未乾燥ハニカム成形体に含有されていた水の質量で除して100倍した値である。
【0127】
本実施の形態の乾燥装置300を使用して、未乾燥ハニカム成形体92を乾燥させるときには、まず、外枠部74の一方の端部側から未乾燥ハニカム成形体91を搬入してコンベア71に載せ、コンベア71の駆動により未乾燥ハニカム成形体91はハニカム成形体の進行方向Eに移動され、コンベア71により乾燥室51の一方の端部側から乾燥室51内に搬入される。未乾燥ハニカム成形体91は、乾燥室51内を乾燥中のハニカム成形体93としてコンベア71により移動しながら、雰囲気制御ユニットにより所定の湿度及び温度の雰囲気に制御された乾燥空間52内で、電磁波発生器53で発生した電磁波を照射されることにより高周波加熱により乾燥され、乾燥ハニカム成形体92となる。その後、乾燥ハニカム成形体92は、乾燥室51の他方の端部側から搬出され、熱風乾燥室81に搬入される。乾燥ハニカム成形体92は、コンベア71により熱風乾燥室81内を、熱風を吹き付けられてさらに乾燥されながら移動し、熱風乾燥室81の外部に搬出され、乾燥装置200の外部に搬出される。
【0128】
乾燥装置300には、図7に示すように、乾燥室51内の乾燥空間52を所定の湿度及び温度に制御するために、雰囲気制御ユニット56が備えられている。雰囲気制御ユニット56は、水蒸気を乾燥室51内に流入させるための水蒸気流入手段54及び乾燥室51内から排気するための強制排気手段55により構成されている。水蒸気流入手段54は、その先端部分のノズルから水蒸気を放出することができる配管であり、先端部分が、乾燥室51内に挿入されている。水蒸気は、例えば、水蒸気発生装置(図示せず)等で発生させ、配管を通じて移送されたものを使用することができる。また、強制排気手段55は、強制排気用ブロワー61に繋がれた配管が2本に分岐し、その一本の先端部分が乾燥室61の一の端部付近に挿入され、他の一本の先端部分が乾燥室51の他の端部付近に挿入されている。乾燥室51内の気体は、乾燥空間52内の雰囲気の制御のために、これら配管を通じて強制排気用ブロワー61により外部に排気される。
【0129】
水蒸気流入手段54から乾燥室51内に流入する水蒸気の温度は100〜120℃が好ましい。また、乾燥室51内に流入する水蒸気量及び強制排気用ブロワー61により乾燥室51から外部に排気される排気量は、乾燥室51の体積や、乾燥室51内に収納されるハニカム成形体の大きさ、数量等により適宜決定されるが、例えば、約7mの乾燥室51の場合、水蒸気量は、90〜120kg/Hrが好ましく、排気量は、20〜50m/minが好ましい。
【0130】
図7に示すように乾燥室51の天井部73には、外枠部74の中心軸に沿ってほぼ均等に10箇所(ゾーン)に電磁波発生器53が配設されている。そして、各ゾーンには、図8に示すように、天井部73に2つ、側面部76に1つずつの合計4つの電磁波発生器53が配設され、乾燥室51内に電磁波発生器53が合計40個配設されている。ここで、図8は、図7のB−B’断面図である。これにより、本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法においては、乾燥中のハニカム成形体93の外周壁94側と上端部95側とからそれぞれ電磁波が照射され、電磁波がハニカム成形体の内部により均等に照射されやすくなり、ハニカム成形体全体がより均等に高周波加熱されるようになるため好ましい。電磁波発生器53の配置される場所及び数は、これに限定されるものではなく、各ゾーンにおいて、1つの電磁波発生器53をいずれかの場所に配置してもよいし、5つ以上の電磁波発生器53をいずれかの場所に配置してもよい。また、電磁波発生器53が配設されるゾーン数は、10ゾーンに限定されず、乾燥室51の長さ等により適宜決定することができる。電磁波発生器53が配置される場所は、電磁波が乾燥中のハニカム成形体93にできるだけ均等に照射されるような場所が好ましい。乾燥室51の周囲に断熱材が配設され、乾燥室51がそれにより保温されていることが好ましい。また、外枠部74の周囲にも断熱材が配設されていることが好ましい。
【0131】
本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法においては、乾燥に使用する電磁波の周波数は、900〜10000MHzが好ましく、2000〜10000MHzがさらに好ましい。900MHzより小さいと、水が高周波加熱され難いためハニカム成形体が乾燥され難いことがある。さらに、周波数が2000MHzより大きいと、より効率的に水を高周波加熱することができる。また、電磁波発生器53は、図4に示すように乾燥室51内に配設されてもよいが、乾燥室51の外部に配設し、電磁波発生器53で発生した電磁波を、導波管により誘導して乾燥室51の所定の位置から乾燥室51内に導入し、乾燥中のハニカム成形体93に照射してもよい。
【0132】
また、ハニカム成形体に照射される電磁波のエネルギーは、乾燥室51の体積や、乾燥室51内に収納されるハニカム成形体の大きさ、数量等により適宜決定されるが、例えば、約7mの乾燥室51の場合、合計で、150〜300kWであることが好ましい。150kWより小さいと、ハニカム成形体が所定の乾燥状態まで乾燥されないことがあり、300kWより大きいと、ハニカム成形体からの水の蒸発速度が速くなり、ハニカム成形体の内部と外部との乾燥状態の差異を少なくすることが困難になることがある。
【0133】
本実施の形態の乾燥装置300は、図7に示すように、外枠部74の出口側端部付近に熱風乾燥室81を有している。熱風乾燥室81は、外枠部74の出口側端部付近に位置し、天井部73及びコンベア71との間の空間(熱風乾燥空間87)を有するものである。熱風乾燥室81では、上述のように、熱風を当てることにより、乾燥ハニカム成形体92をさらに乾燥させることができる。熱風乾燥室81でさらに乾燥を行う場合には、乾燥ハニカム成形体92を、熱風乾燥室81にコンベア71により搬入し、熱風乾燥室81の下部に配設された熱風送風用ノズル84から送られた熱風を乾燥ハニカム成形体92の下端部側から上端部側に向けて当てるようにすることが好ましい。熱風送風用ノズル84から熱風乾燥室81内に送られた熱風は、熱風乾燥室81の上部に(天井部73と屋根部75との間に形成された空間に)配設された熱風排気用ダクト85から外部に排出される。上記熱風の温度は、100〜130℃であることが好ましい。100℃より低いと、乾燥ハニカム成形体が乾燥され難いことがあり、130℃より高いと、未乾燥ハニカム成形体91に含まれる水以外の有機バインダ等が蒸発し、未乾燥ハニカム成形体91の隔壁が変形するという問題や、有機バインダ等が燃焼することがあるという問題がある。
【0134】
また、熱風送風用ノズル84は、熱風発生器82と配管で繋げられており、熱風発生器82で発生した熱風が配管内を移動して熱風送風用ノズル84から吹き出すように形成されている。熱風発生器82としては、所定の温度、風量を出すことができれば特に限定されるものではないが、例えば、高温の水蒸気や電熱器等を使用したヒーターと、送風機とからなり、送風機で発生させた風をヒーターで加熱して熱風とするものを使用することができる。熱風発生器82で発生した熱風は、未乾燥ハニカム成形体を電磁波により乾燥させるときの、乾燥開始時の全く加熱されていない乾燥室51を予め加熱する(予熱する)ために使用してもよい。図7においては、熱風発生器82に連結された予熱用配管86を通じて、熱風が乾燥室51内に流入するように形成されている。
【0135】
本実施の形態の乾燥装置で乾燥させるハニカム成形体としては、セラミック製で、開口率が80%以上、隔壁の厚さが0.18mm以下となるような、ハニカム成形体を好適に乾燥することができる。ここで、開口率とは、ハニカム成形体を中心軸に垂直な平面で切断したときの断面において、セルの貫通孔に相当する部分の面積の合計の、上記断面の全断面積に対する比率をいう。
【0136】
本実施の形態の乾燥装置は、連続的にハニカム成形体を乾燥させるものであるが、バッチ式であってもよい。バッチ式の乾燥装置とは、例えば、所定数の未乾燥ハニカム成形体をその乾燥装置の内部に収納し、それから電磁波の照射を開始してハニカム成形体を乾燥させた後に電磁波の照射を停止し、乾燥ハニカム成形体を取り出し、新たに、所定数の未乾燥ハニカム成形体を収納して電磁波照射を開始するような方式の乾燥装置である。
【0137】
次に、本発明のハニカム成形体の乾燥装置の第2の態様の実施の形態について説明する。図9は、本発明のハニカム成形体の乾燥装置の第2の態様の実施の形態を模式的に示す断面図である。
【0138】
図9に示す本実施の形態のハニカム成形体の乾燥装置400(以下、単に「乾燥装置400」ということがある)は、セラミック原料及び水を含有する原料組成物からなるとともに、隔壁によって複数のセルが区画、形成された未乾燥のハニカム成形体(未乾燥ハニカム成形体)191に電磁波を照射して、高周波加熱することにより、未乾燥ハニカム成形体191の内部及び外部から水を蒸発させて未乾燥ハニカム成形体191を乾燥させて乾燥ハニカム成形体192を得ることが可能な乾燥装置である。ここで、未乾燥ハニカム成形体191の内部及び外部とは、上述した本発明のハニカム成形体の乾燥方法で乾燥させる図3に示す未乾燥ハニカム成形体141の内部及び外部と同様の部分をいう。
【0139】
本実施の形態の乾燥装置400は、筒状の外枠部174内に、未乾燥ハニカム成形体191を加湿及び加温雰囲気で収納する乾燥空間152を有する乾燥室151と、乾燥室151に収納された未乾燥ハニカム成形体191に照射する電磁波を発生させて未乾燥ハニカム成形体191を高周波加熱する電磁波発生器153と、電磁波発生器153による高周波加熱に加えて、未乾燥ハニカム成形体191のうち、高周波加熱のみでは水の蒸発量が内部よりも少ない外部からの水の蒸発量を増大させ、未乾燥ハニカム成形体191に含有された水のうち、最終的にその50〜99質量%が蒸発するように、且つ、乾燥空間152の加湿及び加温雰囲気を、30〜65%の低湿度に、また、75〜130℃の温度範囲に保持するように、乾燥空間152内に熱風を送風する熱風送風ユニット156とを備えるものである。そして、本実施の形態の乾燥装置400は、さらに乾燥室151に収納された未乾燥ハニカム成形体191の外周壁に熱風を吹き付けて加熱する熱風吹き付け器178と、乾燥空間152の雰囲気を強制排気するための強制排気手段163とをさらに備えている。
【0140】
乾燥装置400を構成する外枠部174は、筒状に形成され、筒の中心軸方向をほぼ水平にして配置され、その一方の端部側から未乾燥ハニカム成形体191を搬入し、他方の端部側から乾燥ハニカム成形体192を搬出するように形成されている。そして、外枠部174には、その屋根部175との間に空間を形成するように天井部173がほぼ水平に形成され、天井部173により外枠部174が2つの空間に仕切られている。乾燥室151は筒状に形成され、筒の中心軸方向が外枠部174の中心軸方向とほぼ同じ方向を向くようにして、外枠部174に形成された屋根部175の下側(鉛直方向下側)に配設されている。乾燥装置400には、未乾燥ハニカム成形体191を連続的に内部に搬入し、乾燥させた後に、乾燥ハニカム成形体192として連続的に外部に搬出するために、外枠部174の一方の端部(入り口側端部)から乾燥室151の筒の内部を通り外枠部174の他方の端部(出口側端部)まで延設されたコンベア171が配設されている。
【0141】
乾燥室151の未乾燥ハニカム成形体191が搬入される側の端部付近には、熱風を発生させる熱風発生器154と、熱風発生器154で発生した熱風を乾燥室151の乾燥空間152内に導入して送風させる熱風導入部155とを有する熱風送風ユニット156が設けられている。そして、熱風送風ユニット156により乾燥空間152内に導入されて送風された熱風は、乾燥空間152内に搬入された未乾燥ハニカム成形体191に当たり、未乾燥ハニカム成形体191を乾燥させる。
【0142】
乾燥室151の未乾燥ハニカム成形体191が搬出される側の端部付近には、強制排気用ブロワー161及び強制排気用ダクト162を有する強制排気手段163が備えられ、この強制排気手段163により乾燥空間152内を排気するように形成されている。
【0143】
乾燥室151の内部には、コンベア171を、未乾燥ハニカム成形体191の進行方向EEに沿って両側から挟むように熱風吹き付け器178が配設されている。熱風吹き付け器178は、熱風(第2熱風)を吹き出すための第2熱風吹き付け部(図示せず)を有し、第2熱風吹き付け部(図示せず)が、未乾燥ハニカム成形体191の中心軸に垂直な互いに対向する二つの方向から外周壁194にそれぞれ第2熱風を吹き付けるように形成され、未乾燥ハニカム成形体191の外周壁194を挟むように二方向から外周壁194に熱風が吹き付けられるようになっている。
【0144】
第2熱風吹き付け部の第2熱風を吹き出す部分(先端)とハニカム成形体の外周壁との距離は、0.1〜1.0mであることが好ましい。0.1mより近いと熱風が外周壁の一部に局所的に吹き付けられることがあり、1.0mを超えると外周壁に吹き付けられずに他方へ逃げてしまう第2熱風が増加し、第2熱風を吹き付ける効率が低下することがある。
【0145】
熱風吹き付け器178の第2熱風吹き付け部は、管状のノズル(熱風吹き付けノズル)を複数有し、各ノズルから未乾燥ハニカム成形体191の外周壁194に熱風を吹き付けるように構成されることが好ましい。そして、複数の熱風吹き付けノズルが、それぞれ、その軸方向を水平方向に向けながら、その第2熱風を吹き出す先端を外周壁194側に向けた状態で、未乾燥ハニカム成形体191の中心軸に沿って上下方向に重なるように並び、外周壁194の上端部から下端部に渡って同時に第2熱風を吹き付けられるように構成されることがさらに好ましい。このとき、各ノズルの先端を結ぶ線が、未乾燥ハニカム成形体191の中心軸とほぼ平行になるようにすることが好ましい。これにより、未乾燥ハニカム成形体191の進行にともない、外周壁194の全体に渡って第2熱風を吹き付けることができる。そして、その未乾燥ハニカム成形体191の中心軸に沿って並ぶノズルの列が、未乾燥ハニカム成形体191の進行方向EEに沿ってそれぞれのノズルの列が互いにほぼ平行になるように複数列配列され、未乾燥ハニカム成形体191の進行に従い、各ノズルの列より吹き出される第2熱風が順次外周壁194に吹き付けられることが好ましい。但し、熱風吹き付けノズルの並び(列)は、直線状である必要はなく、ジグザグ状であったり、規則的に並んでいなくてもよく、外周壁194の上端部から下端部までに均等に第2熱風を吹き付けることができればよい。
【0146】
また、第2熱風吹き付け部は、必ずしも熱風吹き付けノズルを有する必要はなく、配管に複数の孔を形成し、その孔から熱風が吹き出るように形成してもよい。上記熱風吹き付けノズルや配管の孔の数や位置は、未乾燥ハニカム成形体191の外周壁194の全体に効率的に熱風を吹き付けることができれば特に限定されるものではない。また、未乾燥ハニカム成形体191の大きさによって、熱風吹き付けノズルや配管の孔の数や位置を変更できるように構成されていることが好ましい。
【0147】
本実施の形態の乾燥装置400は、このように構成され、乾燥空間152内の加湿及び加温雰囲気を、熱風により30〜65%の低湿度に、また、75〜130℃の温度範囲に保持した状態で、さらに、未乾燥ハニカム成形体141に含有された水のうち、最終的にその50〜99質量%が蒸発するようにするため、未乾燥ハニカム成形体191を高周波加熱するとともに、未乾燥ハニカム成形体191に熱風を当てることにより、未乾燥ハニカム成形体191のうち、高周波加熱のみでは水の蒸発量が内部よりも少ない外部からの水の蒸発量を(前記乾燥空間内の前記加湿及び加温雰囲気及び外周壁194に吹き付ける熱風により)増大させて未乾燥ハニカム成形体191の内部及び外部からの水の蒸発量の差異を減少させるとともに、未乾燥ハニカム成形体191の内部及び外部の乾燥程度の差異を減少させることによって、内部及び外部の乾燥程度の差異に起因する隔壁の変形が抑制された乾燥ハニカム成形体192を得ることが可能となる。また、乾燥ハニカム成形体192の内部と外部との水分含有率(未乾燥ハニカム成形体が有する水分量から蒸発した水分量を差し引いた値を、未乾燥ハニカム成形体が有する水分量で除して100倍した値)の差は、10質量%以下であることが好ましい。これにより、内部及び外部の乾燥程度の差異に起因する隔壁の変形を抑制することができる。
【0148】
そして、熱風送風ユニット156により送風された熱風に加えて、さらに未乾燥ハニカム成形体191の外周壁194に、所定の距離から熱風(第2熱風)を吹き付けることにより、さらに未乾燥ハニカム成形体191の内部及び外部の乾燥程度の差異を減少させ、内部及び外部の乾燥程度の差異に起因する隔壁の変形を抑制することができる。未乾燥ハニカム成形体191の外周壁194に吹き付ける第2熱風は、未乾燥ハニカム成形体191の高周波加熱のみでは乾燥しにくい外部の乾燥をさらに促進させて高周波加熱のみでよく乾燥される内部の乾燥状態に近づけるために、外周壁194のみに吹き付け、未乾燥ハニカム成形体191の上端部や下端部には吹き付けないようにすることが好ましい。上端部や下端部に吹き付けると、未乾燥ハニカム成形体191の内部及び外部からの水の蒸発量の差異を減少させ難くなることがある。
【0149】
乾燥程度の差異に起因して隔壁が変形するのは、上述のように、未乾燥ハニカム成形体191を乾燥するときに隔壁が収縮するため、ハニカム成形体の各部分毎に乾燥程度が異なると、その部分毎に隔壁の収縮の程度も異なることになり、この収縮の程度の異なる部分間で歪みが生じることになるからである。これにより隔壁のよれ等の変形が生じるのである。そして、本実施の形態のハニカム成形体の乾燥装置によれば、このような隔壁の変形を防止することができる。隔壁の変形という場合、隔壁がよれたり、しわが発生したり、最外周に位置する外周壁にしわが発生したり、凹んだりする場合等も含まれる。
【0150】
乾燥空間152内の湿度が30%より低いと、未乾燥ハニカム成形体191の外周壁194が、速く乾燥し過ぎるため、外周壁194にきれが発生するという問題がある。また、湿度が65%より高いと、未乾燥ハニカム成形体191はその初期乾燥時において水の蒸発量が内部より外部のほうが少ないために内部と外部の乾燥程度が異なることにより隔壁のしわ等の変形が生じるが、湿度が高いために、その内部と外部の乾燥程度の相違をより大きくし、隔壁を変形させるという問題がある。また、湿度が高いため、投入した電磁波のエネルギーに対する未乾燥ハニカム成形体の水の蒸発量が少ないという問題もある。乾燥空間52内の湿度は30〜50%がより好ましい。
【0151】
乾燥空間152内の温度が75℃より低いと、未乾燥ハニカム成形体191が乾燥され難く、隔壁のしわ等が発生するという問題がある。また、温度が130℃より高いと、未乾燥ハニカム成形体191に含まれる水以外の有機バインダ等が蒸発し、未乾燥ハニカム成形体191の隔壁が変形したり、有機バインダ等が燃焼するという問題がある。乾燥空間152内の温度は90〜110℃がより好ましい。温度が75〜90℃の範囲では、品質上問題はないが、ハニカム成形体の内部と外部との水分含有率の差が、10質量%未満の範囲ではあるが発生することがあり、また全体の乾燥が若干不十分となることがある。
【0152】
未乾燥ハニカム成形体に含有された水の蒸発率が50質量%より少ないと、ハニカム成形体の収縮が完了しておらず、その後、さらに水を蒸発させることにより、さらにハニカム成形体が不均一に収縮するため、ハニカム成形体の隔壁が変形するという問題がある。未乾燥ハニカム成形体に含有された水の蒸発率が99質量%より多いと、ハニカム成形体が局所的に過乾燥状態となり、バインダ燃焼による焦げが発生するという問題がある。ここで、未乾燥ハニカム成形体に含有された水の蒸発率とは、蒸発した水の質量を未乾燥ハニカム成形体に含有されていた水の質量で除して100倍した値である。
【0153】
熱風送風ユニット156により乾燥空間52内に送風される熱風の風速は、0.5〜10m/秒が好ましく、2〜10m/秒がさらに好ましい。また、風量は3〜60m/秒であることが好ましく、12〜60m/秒であることがさらに好ましい。風速が0.5m/秒より遅いと、熱風による未乾燥ハニカム成形体191の外部の加熱が不十分になることがある。風速が10m/秒より速いと、未乾燥ハニカム成形体191を動かしたり、外周壁194を変形させることがある。風量が3m/秒より少ないと、熱風による未乾燥ハニカム成形体191の外部の加熱が不十分になることがある。風量が60m/秒より多いと、未乾燥ハニカム成形体191を動かしたり、外周壁194を変形させることがある。
【0154】
熱風送風ユニット156により乾燥空間152内に送風される熱風の温度は、80〜135℃であることが好ましく、95〜110℃であることがさらに好ましい。80℃より低いと、未乾燥ハニカム成形体191の外部からの水の蒸発を促進させる効果が低下することがある。135℃より高いと、未乾燥ハニカム成形体191に含まれる水以外の有機バインダ等が蒸発し、未乾燥ハニカム成形体191の隔壁が変形するという問題や、有機バインダ等が燃焼することがあるという問題がある。
【0155】
熱風送風ユニット156により乾燥空間152内に送風される熱風の湿度は、20%以下であることが好ましく、15%以下であることがさらに好ましい。20%より高いと、未乾燥ハニカム成形体191の外部からの水の蒸発を促進させる効果が低下することがある。
【0156】
また、本実施の形態においては、上述のように、熱風送風ユニット156により送風される熱風に加えて、さらに未乾燥ハニカム成形体191の外周壁194に、所定の距離から第2熱風を吹き付けることが好ましい。このとき、第2熱風の風速は0.5〜10m/秒が好ましく、2〜10m/秒がさらに好ましい。風速が0.5m/秒より遅いと、第2熱風による未乾燥ハニカム成形体191の外部の加熱が不十分になることがあり、また、第2熱風により未乾燥ハニカム成形体191の外周壁194周辺に滞留する水蒸気を吹き飛ばして外周壁194周辺の湿度を低下させることにより未乾燥ハニカム成形体191の外周壁194からの水の蒸発を促進する効果が低下することがある。風速が10m/秒より速いと、未乾燥ハニカム成形体191を動かしたり、外周壁194を変形させることがある。また、第2熱風を未乾燥ハニカム成形体191の外周壁194に吹き付けるときには、外周壁194の全体に渡って吹き付けることが好ましい。これにより、外周壁194の全体に渡って第2熱風が上記所定の風速で吹き付けられるため、効果的に未乾燥ハニカム成形体191の外周壁194からの水の蒸発を促進させることができる。
【0157】
熱風吹き付け器178から外周壁194に吹き付けられる第2熱風の温度は、80〜135℃であることが好ましく、95〜110℃であることがさらに好ましい。80℃より低いと、未乾燥ハニカム成形体191の外部からの水の蒸発を促進させる効果が低下することがある。135℃より高いと、未乾燥ハニカム成形体191に含まれる水以外の有機バインダ等が蒸発し、未乾燥ハニカム成形体191の隔壁が変形するという問題や、有機バインダ等が燃焼することがあるという問題がある。
【0158】
熱風吹き付け器178から外周壁194に吹き付けられる第2熱風の湿度は、20%以下であることが好ましい。20%より高いと、未乾燥ハニカム成形体191の外部からの水の蒸発を促進させる効果が低下することがある。
【0159】
本実施の形態においては、熱風送風ユニット156は、上述のように、熱風を発生させる熱風発生器154と、熱風発生器154で発生した熱風を乾燥室151の乾燥空間152内に導入して送風させる熱風導入部155とを有してなるが、熱風発生器154としては、所定の温度、風量を出すことができれば特に限定されるものではなく、例えば、高温の水蒸気や電熱器等を使用したヒーターと、送風機とからなり、送風機で発生させた風をヒーターで加熱して熱風とするものを使用することができる。熱風の温度は、主として上記ヒーターにより制御することができ、熱風の湿度は、除湿器等により制御することができる。
【0160】
熱風導入部155は、図9に示すように管状のノズルを乾燥室151に挿入するように配設してもよいが、乾燥室151の壁に孔が形成され、熱風発生器154で発生した熱風を配管を通じてその孔まで導き、その孔から乾燥室151内に熱風が導入されるように形成してもよい。また、ノズルを乾燥室151に挿入するときには、ノズルの向きを所望の方向に向けるようにすることが好ましい。
【0161】
未乾燥ハニカム成形体を乾燥装置内で乾燥させるときに、その乾燥初期において、未乾燥ハニカム成形体に熱風吹き付け器により第2熱風を吹き付けると、未乾燥ハニカム成形体の外周壁(外部)のほうが、その内部よりも急速に乾燥されることがあるため、高周波加熱により未乾燥ハニカム成形体が充分加熱されたことを赤外線センサ等で検知しながら第2熱風を吹き付けることが好ましい。また、乾燥初期は、高周波加熱による乾燥のみをおこない、未乾燥ハニカム成形体が乾燥室の所定の位置に達したところ(高周波加熱により充分加熱されたところ)で、第2熱風を吹き付けるようにしてもよい。
【0162】
本実施の形態の乾燥装置400を使用して、未乾燥ハニカム成形体192を乾燥させるときには、まず、外枠部174の一方の端部側から未乾燥ハニカム成形体191を搬入してコンベア171に載せ、コンベア171の駆動により未乾燥ハニカム成形体191はハニカム成形体の進行方向Eに移動され、コンベア171により乾燥室151の一方の端部側から乾燥室151内に搬入される。未乾燥ハニカム成形体191は、乾燥室151内をコンベア171により移動しながら、所定の湿度及び温度の雰囲気の乾燥空間152内で、電磁波発生器153で発生した電磁波を照射されることにより高周波加熱により乾燥されるとともに、熱風送風ユニット156により送風された熱風が当てられ、さらに熱風吹き付け器178により熱風が外周壁194に吹き付けられてその外部の乾燥が促進されることにより、全体がほぼ均一に乾燥された乾燥ハニカム成形体192となる。その後、乾燥ハニカム成形体192は、乾燥室151の他方の端部側から搬出され、後乾燥室181に搬入される。乾燥ハニカム成形体192は、コンベア171により後乾燥室181内を、後乾燥用熱風を吹き付けられてさらに乾燥されながら移動し、後乾燥室181の外部に搬出され、乾燥装置400の外部に搬出される。
【0163】
本実施の形態の乾燥装置は、図10に示すように、その上面に載置された未乾燥ハニカム成形体191を、その中心軸を中心に自転することによってほぼ同軸で自転させることができる受け部197と、受け部197を自転自在に支える基部196とを有する受け台198を有し、未乾燥ハニカム成形体191を乾燥室151内で乾燥させるときに未乾燥ハニカム成形体191を受け台198の受け部197に載置させ、未乾燥ハニカム成形体191を受け台198とともに乾燥室151内に搬入し、受け部197を自転方向Sに自転させることにより未乾燥ハニカム成形体191を自転方向Sに自転させながら未乾燥ハニカム成形体191を乾燥させて乾燥ハニカム成形体とし、乾燥ハニカム成形体を受け台198とともに乾燥室151から搬出するように構成されることが好ましい。未乾燥ハニカム成形体191が自転しながら熱風を当てられることにより、外周壁194全体に均等に熱風が当てられることになるため好ましい。未乾燥ハニカム成形体191を自転させながら第2熱風を吹き付けることも、同様の理由により好ましい。
【0164】
未乾燥ハニカム成形体191を乾燥室151内で自転させるための構成としては、受け台198を構成する受け部197が、中心軸を中心として回転するピニオン部199を有し、乾燥装置400が、乾燥室151内にコンベア171に沿って平行に配設され、未乾燥ハニカム成形体191を載置した受け台198をコンベア171上に載せて移動させるときに受け部197の有するピニオン部199とかみ合うように、受け台198側を向いた一の面側にコンベア171に沿って凹凸形状(ラック部凹凸)179が形成される棒状のラック部177をさらに有することが好ましい。これにより、受け台198に載置した未乾燥ハニカム成形体191をコンベア171に載せて乾燥室151内を移動させるときに、受け部197の有するピニオン部199がラック部凹凸179にかみ合いながら受け台198が移動することにより、受け部197がその中心軸を中心に自転し、それにより受け台198に載置した未乾燥ハニカム成形体191をほぼ同軸で自転させながら乾燥装置400内を移動させることができる。本実施の形態の乾燥装置400をこのように構成することにより、未乾燥ハニカム成形体191を回転させるための駆動源として、未乾燥ハニカム成形体191を進行させるエネルギーの一部を使用できるため、回転のための駆動源を新たに追加する必要がないため好ましい。ここで、図10は、図9のBB−BB’断面図である。
【0165】
図11は、未乾燥ハニカム成形体191を載置した受け台の受け部197が、ラック部177により回転する様子を模式的に示した平面図である。上述したように、未乾燥ハニカム成形体191を自転させる機構としては、図11に示すように、受け部197の有するピニオン部199が、乾燥室に固定されたラック部177のラック部凹凸179にかみ合いながら受け台が進行方向EEに移動することにより、受け部197がその中心軸を中心に自転方向Sに自転し、それにより受け台に載置した未乾燥ハニカム成形体191をほぼ同軸で自転方向Sに自転させるようにしている。
【0166】
また、図12に示すように、未乾燥ハニカム成形体191は、受け台の基部196に支えられて自転方向Sに自転しながら進行方向EEに移動し、さらに進行方向EEに平行に未乾燥ハニカム成形体191を挟むように配設された熱風吹き付け器178から、未乾燥ハニカム成形体191を挟むように2方向から第2熱風hが吹き付けられることが好ましい。ここで、図12は、未乾燥ハニカム成形体191が自転しながら第2熱風hを吹き付けられている様子を模式的に示す平面図である。
【0167】
未乾燥ハニカム成形体を自転させる機器としては、上述のピニオン部とラック部との組み合わせを利用した機器以外にも、未乾燥ハニカム成形体を載置させる部分(受け部)をモータ等の回転駆動系により直接回転させる機器や、未乾燥ハニカム成形体を載置させる部分(受け部)に磁石等を埋設し、電磁回路により非接触の状態で回転させる機器等を使用することができる。
【0168】
乾燥装置400には、図9に示すように、熱風送風ユニット156とともに、乾燥室151内から排気するための強制排気手段163が配設されている。これら熱風送風ユニット156及び強制排気手段163を使用することにより、乾燥室151内の乾燥空間152を所定の湿度及び温度に制御することができる。乾燥空間152内の雰囲気の制御は、熱風送風ユニット156により送風される熱風の温度、湿度、風量、風速を制御することにより行うことができるが、このように、熱風送風ユニット156と強制排気手段163とを組み合わせると、より精密な雰囲気の制御を行うことができるため好ましい。また、さらに、水蒸気流入手段(図示せず)を設け、水蒸気を乾燥空間152内に流入させることによりさらに精密な雰囲気の制御を行うことができる。強制排気手段163は、強制排気用ブロワー161と強制排気用ブロワー161に繋がれた強制排気用ダクト162を有し、強制排気用ダクト162が乾燥室151に繋がれている。乾燥室151内の気体は、乾燥空間152内の雰囲気の制御のために、強制排気用ダクト112を通じて強制排気用ブロワー161により外部に排気される。
【0169】
水蒸気流入手段を設け、乾燥室151内に水蒸気を流入させる場合には、水蒸気の温度は100〜120℃が好ましい。また、乾燥室151内に流入する水蒸気量及び強制排気用ブロワー161により乾燥室151から外部に排気される排気量は、乾燥室151の体積や、乾燥室151内に収納されるハニカム成形体の大きさ、数量等により適宜決定されるが、例えば、約7mの乾燥室151の場合、水蒸気量は、90〜120kg/Hrが好ましく、排気量は、20〜50m/minが好ましい。
【0170】
図9に示すように乾燥室151の天井部173には、外枠部174の中心軸に沿ってほぼ均等に10箇所(ゾーン)に電磁波発生器153が配設されている。そして、各ゾーンには、図10に示すように、天井部173に2つ、側面部176に1つずつの合計4つの電磁波発生器153が配設され、乾燥室151内に電磁波発生器153が合計40個配設されている。これにより、本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法においては、未乾燥ハニカム成形体191の外周壁194側と上端部195側とからそれぞれ電磁波が照射され、電磁波がハニカム成形体の内部により均等に照射されやすくなり、ハニカム成形体全体がより均等に高周波加熱されるようになるため好ましい。電磁波発生器153の配置される場所及び数は、これに限定されるものではなく、各ゾーンにおいて、1つの電磁波発生器153をいずれかの場所に配置してもよいし、5つ以上の電磁波発生器153をいずれかの場所に配置してもよい。また、電磁波発生器153が配設されるゾーン数は、10ゾーンに限定されず、乾燥室151の長さ等により適宜決定することができる。電磁波発生器153が配置される場所は、電磁波が未乾燥ハニカム成形体191にできるだけ均等に照射されるような場所が好ましい。乾燥室151の周囲に断熱材が配設され、乾燥室151がそれにより保温されていることが好ましい。また、外枠部174の周囲にも断熱材が配設されていることが好ましい。
【0171】
本実施の形態のハニカム成形体の乾燥方法においては、乾燥に使用する電磁波の周波数は、900〜10000MHzが好ましく、2000〜10000MHzがさらに好ましい。900MHzより小さいと、水が高周波加熱され難いためハニカム成形体が乾燥され難いことがある。さらに、周波数が2000MHzより大きいと、より効率的に水を高周波加熱することができる。また、電磁波発生器153は、図10に示すように乾燥室151内に配設されてもよいが、乾燥室151の外部に配設し、電磁波発生器153で発生した電磁波を、導波管により誘導して乾燥室151の所定の位置から乾燥室151内に導入し、未乾燥ハニカム成形体191に照射してもよい。
【0172】
また、ハニカム成形体に照射される電磁波のエネルギーは、乾燥室151の体積や、乾燥室151内に収納されるハニカム成形体の大きさ、数量等により適宜決定されるが、例えば、約7mの乾燥室151の場合、合計で、150〜300kWであることが好ましい。150kWより小さいと、ハニカム成形体が所定の乾燥状態まで乾燥されないことがあり、300kWより大きいと、ハニカム成形体からの水の蒸発速度が速くなり、ハニカム成形体の内部と外部との乾燥状態の差異を少なくすることが困難になることがある。
【0173】
本実施の形態の乾燥装置400は、図9に示すように、外枠部174の乾燥ハニカム成形体192が排出される側の端部付近に後乾燥室181を有している。後乾燥室181は、外枠部174の出口側端部付近に位置し、天井部173及びコンベア171との間の空間(後乾燥空間187)を有するものである。後乾燥室181では、上述のように、熱風(後乾燥用熱風)を当てることにより、乾燥ハニカム成形体192をさらに乾燥させることができる。後乾燥室181でさらに乾燥を行う場合には、乾燥ハニカム成形体192を、後乾燥室181にコンベアにより搬入し、後乾燥室181の下部に配設された熱風送風用ノズル184から送られた後乾燥用熱風を乾燥ハニカム成形体192の下端部側から上端部側に向けて当てるようにすることが好ましい。熱風送風用ノズル184から後乾燥室181内に送られた後乾燥用熱風は、後乾燥室181の上部に(天井部173と屋根部175との間に形成された空間(の配設された熱風排気用ダクト185から外部に排出される。上記後乾燥用熱風の温度は、100〜130℃であることが好ましい。100℃より低いと、乾燥ハニカム成形体がさらに乾燥され難いことがあり、130℃より高いと、乾燥ハニカム成形体192に含まれる水以外の有機バインダ等が蒸発し、乾燥ハニカム成形体92の隔壁が変形するという問題や、有機バインダ等が燃焼することがあるという問題がある。
【0174】
また、熱風送風用ノズル184は、後乾燥用熱風発生器182と配管で繋げられており、後乾燥用熱風発生器182で発生した熱風が配管内を移動して熱風送風用ノズル184から吹き出すように形成されている。後乾燥用熱風発生器182としては、所定の温度、風量を出すことができれば特に限定されるものではないが、例えば、高温の水蒸気や電熱器等を使用したヒーターと、送風機とからなり、送風機で発生させた風をヒーターで加熱して熱風とするものを使用することができる。後乾燥用熱風発生器182で発生した熱風は、未乾燥ハニカム成形体を電磁波により乾燥させるときの、乾燥開始時の全く加熱されていない乾燥室151を予め加熱する(予熱する)ために使用してもよい。図9においては、後乾燥用熱風発生器182に連結された予熱用配管186を通じて、熱風が乾燥室151内に流入するように形成されている。
【0175】
本実施の形態の乾燥装置で乾燥させるハニカム成形体としては、セラミック製で、開口率が80%以上、隔壁の厚さが0.18mm以下となるような、ハニカム成形体を好適に乾燥することができる。ここで、開口率とは、ハニカム成形体を中心軸に垂直な平面で切断したときの断面において、セルの貫通孔に相当する部分の面積の合計の、上記断面の全断面積に対する比率をいう。
【0176】
本実施の形態の乾燥装置は、連続的にハニカム成形体を乾燥させるものであるが、バッチ式であってもよい。バッチ式の乾燥装置とは、例えば、所定数の未乾燥ハニカム成形体をその乾燥装置の内部に収納し、それから電磁波の照射及び熱風の送風を開始してハニカム成形体を乾燥させた後に電磁波の照射及び熱風の送風を停止し、乾燥ハニカム成形体を取り出し、新たに、所定数の未乾燥ハニカム成形体を収納して電磁波の照射及び熱風の送風を開始するような方式の乾燥装置である。
【実施例】
【0177】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0178】
(実施例1)
図7に示す本発明の乾燥装置300(第1の態様)を使用し、本発明のハニカム成形体の乾燥方法の第1の態様で、ハニカム成形体の乾燥を行った。
【0179】
乾燥条件としては、電磁波の周波数を2.45GHzとし、5kWの出力の電磁波発生器53を、図7に示すように、ほぼ等間隔に10箇所(ゾーン)に設置し、各設置箇所(設置ゾーン)では、図8に示すように天井部73に2箇所、2つの側面部76に1箇所ずつの合計4箇所に設置した。つまり、電磁波発生器53を各設置ゾーンに4箇所ずつ合計40箇所に設置し、合計出力を200kWとした。電磁波発生器53としては、マグネトロンを使用した。
【0180】
乾燥空間52内の湿度を50%とし、水蒸気流入手段54より120℃の水蒸気を120kg/Hrで流入させた。また、強制排気手段55により、60m/minで排気を行った。乾燥空間52内の温度をほぼ105℃とした。
【0181】
乾燥に使用したハニカム成形体は、材質をコージェライトとし、セルの隔壁の厚さを0.15mm、開口率を80%とし、質量を約6kgとした。
【0182】
乾燥装置300を、乾燥室51内に10個のハニカム成形体が入る状態で、1個のハニカム成形体の乾燥空間52内の滞留時間が約3分となるように連続運転させて、ハニカム成形体の乾燥を行った。
【0183】
(比較例1)
乾燥条件としては、乾燥空間内の湿度を70%とし、水蒸気流入手段より110℃の水蒸気を30kg/Hrで流入させた。また、強制排気手段により、60m/minで排気を行った。乾燥空間内の温度をほぼ90℃とした。これ以外の条件は、実施例1と同様とした。
【0184】
(目視確認)
実施例1及び比較例1のハニカム成形体の乾燥方法で乾燥したハニカム成形体を目視で観察すると、実施例1で得られたハニカム成形体は、外周壁のしわ・きれ、ハニカム成形体の外部のセルの隔壁の変形等が発生しなかった。これに対し、比較例1で得られたハニカム成形体は、外周壁にしわが発生し、ハニカム成形体の外部のセルの隔壁の変形が発生した。比較例1で得られたハニカム成形体の隔壁の変形は、外周壁から内側に向かって20mmの範囲であった。
【0185】
(ハニカム成形体の水分分布)
実施例1及び比較例1のハニカム成形体の乾燥方法で乾燥されたハニカム成形体の水分分布(水分含有率(質量%))を測定した。測定は、ハニカム成形体の「中心軸」、「外周壁」及び中心軸と外周壁との「中間点」の3つの領域において、ハニカム成形体の中心軸方向の上端部から下端部までを等間隔に7箇所(上端部及び下端部を含み、上端部を1段目、下端部を7段目とし、その間を上端部側から2〜6段目とした)サンプリングして、合計21箇所で行った。測定方法としては、各サンプリング箇所を10mm角ほどに切出し、切出し直後と絶乾後の質量を測定することで切出し直後の含有水分を算出した結果を表1に示す。
【0186】
【表1】

【0187】
表1より、実施例1で得られたハニカム成形体は、中心軸、中間点及び外周壁の3箇所ともほぼ同等の水分含有率であったのに対し、比較例1で得られたハニカム成形体は、中心軸及び中間点と比較して外周壁の水分含有率が15〜20質量%程度高かった。この結果と上記目視確認の結果より、実施例1は、高温、低湿度雰囲気で乾燥することで、外周壁の水分含有率を下げることができ、それにより外周壁のしわ・きれ、隔壁の変形等が発生しなかったことがわかる。また、比較例1は、高湿度雰囲気で乾燥することで、外周壁の水分含有率が高くなり、それにより外周壁のしわ、セルの隔壁の変形が発生したことがわかる。また、実施例1で得られたハニカム成形体の平均水分量(担体平均)は、比較例1で得られたハニカム成形体の平均水分量(担体平均)より約4質量%小さくなっており、実施例1の乾燥の効率が湿度を下げることにより向上していることが分かる。ここで、「担体平均」とは、一つのハニカム成形体全体について、水分含有率を測定したときの値である。
【0188】
(実施例2〜10)
乾燥空間2内の湿度及び温度を表2のように変化させた以外は実施例1と同様にして、ハニカム成形体の乾燥を行った。乾燥させたハニカム成形体の数は、各実施例においてそれぞれ300個ずつとした。
【0189】
(比較例2〜22)
乾燥空間内の湿度及び温度を表2のように変化させた以外は比較例1と同様にし、ハニカム成形体の乾燥を行った。乾燥させたハニカム成形体の数は、各比較例においてそれぞれ300個ずつとした。
【0190】
(目視確認)
実施例2〜10及び比較例2〜22のハニカム成形体の乾燥方法で乾燥したそれぞれ300個ずつのハニカム成形体を目視で観察した結果を表2に示す。表2において、「外壁しわ」とは、各実施例、比較例において、乾燥させたハニカム成形体の合計数量に対する外周壁にしわが発生したハニカム成形体の数量の比率(%)のことであり、「外壁きれ」とは、各実施例、比較例において、乾燥させたハニカム成形体の合計数量に対する外周壁にきれが発生したハニカム成形体の数量の比率(%)のことである。表2に示すように、乾燥空間内の温度範囲75〜130℃において、湿度を30〜65%とすることにより、外周壁の「しわ」や「きれ」が発生することを防止できることがわかる。
【0191】
【表2】

【0192】
(実施例11)
図9に示す本発明の乾燥装置400(第2の態様)を使用し、本発明のハニカム成形体の乾燥方法の第2の態様で、ハニカム成形体の乾燥を行った。
【0193】
乾燥条件としては、電磁波の周波数を2.45GHzとし、5kWの出力の電磁波発生器153を、図9に示すように、ほぼ等間隔に10箇所(ゾーン)に設置し、各設置個所(設置ゾーン)では、図10に示すように天井部173に2箇所、2つの側面部176に1箇所ずつの合計4箇所に設置した。つまり、電磁波発生器153を各設置ゾーンに4箇所ずつ合計40箇所に設置し、合計出力を200kWとした。電磁波発生器153としては、マグネトロンを使用した。
【0194】
熱風送風ユニット156の熱風発生器154としては、電熱ヒーターにより加熱した空気を送風機により送風するように構成されたものを使用した。そして、熱風発生器154で発生した熱風は、熱風導入部155を通じて乾燥空間152内に導入されるようにした。乾燥空間152内に導入されて送風される熱風の風量を12m/秒、風速を2m/秒、そして温度を105℃とした。
【0195】
熱風吹き付け器178は、ハニカム成形体の外周壁に筒先を向けたノズルが、ハニカム成形体の中心軸方向に4本並ぶように(水平方向を向いたノズルが上下方向に4段並ぶように)配設し、この4段のノズルを一列とし、ハニカム成形体の進行方向に沿って10列平行に並ぶように形成した。そして、上下方向に並ぶ4段のノズルから吹き付けられる第2熱風の風量の合計を0.002m/秒となるようにした。また、各ノズルから吹き付けられる第2熱風の風速を、3m/秒、温度を105℃とした。
【0196】
また、強制排気手段63により、60m/minで排気を行った。
【0197】
このようにして、乾燥空間152内の湿度を50%とし、温度をほぼ105℃とした。
【0198】
乾燥に使用したハニカム成形体は、材質をコージェライトとし、セルの隔壁の厚さを0.13mm、開口率を83%とし、質量を約6kgとした。
【0199】
乾燥装置400を、乾燥室151内に10個のハニカム成形体が入る状態で、1個のハニカム成形体の乾燥空間152内の滞留時間が約3minとなるように連続運転させて、ハニカム成形体の乾燥を行った。
【0200】
(比較例23)
乾燥条件としては、乾燥空間内の湿度を70%とし、水蒸気流入手段より110℃の水蒸気を30kg/Hrで流入させた。また、強制排気手段により、60m/minで排気を行った。乾燥空間内の温度をほぼ90℃とした。また、熱風送風ユニットからは熱風を送風させず、熱風吹き付け器からは、第2熱風を発生させなかった。これ以外の条件は、実施例11と同様とした。
【0201】
(目視確認)
実施例11及び比較例23のハニカム成形体の乾燥方法で乾燥したハニカム成形体を目視で観察すると、実施例11で得られたハニカム成形体は、外周壁のしわ・きれ、ハニカム成形体の外部のセルの隔壁の変形等が発生しなかった。これに対し、比較例23で得られたハニカム成形体は、外周壁にしわが発生し、ハニカム成形体の外部のセルの隔壁の変形が発生した。比較例23で得られたハニカム成形体の隔壁の変形は、外周壁から内側に向かって20mmの範囲であった。
【0202】
(ハニカム成形体の水分分布)
実施例11及び比較例23のハニカム成形体の乾燥方法で乾燥されたハニカム成形体の水分分布(水分含有率(質量%))を測定した。測定は、ハニカム成形体の「中心軸」、「外周壁」及び中心軸と外周壁との「中間点」の3つの領域において、ハニカム成形体の中心軸方向の上端部から下端部までを等間隔に7箇所(上端部及び下端部を含み、上端部を1段目、下端部を7段目とし、その間を上端部側から2〜6段目とした)サンプリングして、合計21箇所で行った。測定方法としては、各サンプリング箇所を10mm角ほどに切出し、切出し直後と絶乾後の重量を測定することで切出し直後の含有水分を算出した結果を表1に示す。絶乾の条件としては、熱風雰囲気下、120℃、24時間とした。
【0203】
【表3】

【0204】
表3より、実施例11で得られたハニカム成形体は、中心軸、中間点及び外周壁の3箇所ともほぼ同等の水分含有率であったのに対し、比較例23で得られたハニカム成形体は、中心軸及び中間点と比較して外周壁の水分含有率が15〜20質量%程度高かった。この結果と上記目視確認の結果より、実施例11は、高温、低湿度雰囲気で乾燥することで、外周壁の水分含有率を下げることができ、それにより外周壁のしわ・きれ、隔壁の変形等が発生しなかったことがわかる。また、比較例23は、高湿度雰囲気で乾燥することで、外周壁の水分含有率が高くなり、それにより外周壁のしわ、セルの隔壁の変形が発生したことがわかる。また、実施例11で得られたハニカム成形体の平均水分量(担体平均)は、比較例23で得られたハニカム成形体の平均水分量(担体平均)より約6.2質量%小さくなっており、実施例11の乾燥の効率が湿度を下げることにより向上していることが分かる。ここで、「担体平均」とは、一つのハニカム成形体全体について、水分含有率を測定したときの値であり、ハニカム成形体全体の質量(A)から、そのハニカム成形体を絶乾した後の質量(B)を差し引いた値(B−A)を、絶乾前の上記ハニカム成形体全体の質量(A)で除して100倍した値である。
【0205】
(実施例12〜20)
乾燥空間152内の湿度及び温度を表4のように変化させた以外は実施例11と同様にして、ハニカム成形体の乾燥を行った。乾燥させたハニカム成形体の数は、各実施例においてそれぞれ300個ずつとした。
【0206】
(比較例24〜44)
乾燥空間内の湿度及び温度を表4のように変化させた以外は比較例23と同様にして、ハニカム成形体の乾燥を行った。乾燥させたハニカム成形体の数は、各比較例においてそれぞれ300個ずつとした。
【0207】
(目視確認)
実施例12〜20及び比較例24〜44のハニカム成形体の乾燥方法で乾燥したそれぞれ300個ずつのハニカム成形体を目視で観察した結果を表4に示す。表4において、「外壁しわ」とは、各実施例、比較例において、乾燥させたハニカム成形体の合計数量に対する外周壁にしわが発生したハニカム成形体の数量の比率(%)のことであり、「外壁きれ」とは、各実施例、比較例において、乾燥させたハニカム成形体の合計数量に対する外周壁にきれが発生したハニカム成形体の数量の比率(%)のことである。表4に示すように、乾燥空間内の温度範囲75〜130℃において、湿度を30〜65%とすることにより、外周壁の「しわ」や「きれ」が発生することを防止できることがわかる。
【0208】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0209】
ハニカム成形体の製造、特にセラミック製ハニカム成形体の製造において、その製造工程の中でハニカム成形体を乾燥させるときに、ハニカム成形体に隔壁のよれ等の変形が生じることを抑制することができる、ハニカム成形体の乾燥方法及び乾燥装置を提供することにより、変形のない高品質のハニカム成形体を製造することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック原料及び水を含有する原料組成物からなるとともに、隔壁によって複数のセルが区画、形成された未乾燥のハニカム成形体(未乾燥ハニカム成形体)に加湿及び加温雰囲気の乾燥空間内で電磁波を照射して、高周波加熱することにより、前記未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部から水を蒸発させて前記未乾燥ハニカム成形体を乾燥させて、乾燥ハニカム成形体を得るハニカム成形体の乾燥方法であって、
前記乾燥空間内の前記加湿及び加温雰囲気を、前記乾燥空間内に水蒸気を流入させる操作及び強制排気する操作により、30〜65%の低湿度に、また、75〜130℃の温度範囲に保持した状態で、さらに、前記未乾燥ハニカム成形体に含有された水のうち、最終的にその50〜99質量%が蒸発するように、電磁波を照射して高周波加熱し、
前記未乾燥ハニカム成形体のうち、高周波加熱のみでは水の蒸発量が内部よりも少ない外部からの水の蒸発量を増大させて前記未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部からの水の蒸発量の差異を減少させるとともに、前記未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部の乾燥程度の差異を減少させることによって、内部及び外部の乾燥程度の差異に起因する前記隔壁の変形が抑制された乾燥ハニカム成形体を得るハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項2】
前記ハニカム成形体を前記高周波加熱することにより乾燥させた後に、前記ハニカム成形体に熱風を当てることによりさらに乾燥させる請求項1に記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項3】
前記熱風の温度が100〜130℃である請求項2に記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項4】
前記電磁波の周波数が900〜10000MHzである請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項5】
前記ハニカム成形体の、前記セルの開口率が80%以上であり、かつ前記隔壁の厚さが0.18mm以下である請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項6】
セラミック原料及び水を含有する原料組成物からなるとともに、隔壁によって複数のセルが区画、形成された未乾燥のハニカム成形体(未乾燥ハニカム成形体)に加湿及び加温雰囲気の乾燥空間内で電磁波を照射して、高周波加熱することにより、前記未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部から水を蒸発させて前記未乾燥ハニカム成形体を乾燥させて、乾燥ハニカム成形体を得るハニカム成形体の乾燥方法であって、
前記乾燥空間内の前記加湿及び加温雰囲気を、30〜65%の低湿度に、また、75〜130℃の温度範囲に保持した状態で、さらに、前記未乾燥ハニカム成形体に含有された水のうち、最終的にその50〜99質量%が蒸発するように、電磁波を照射して高周波加熱するとともに、前記乾燥空間内に熱風を送風し前記未乾燥ハニカム成形体に前記熱風を当てて、前記未乾燥ハニカム成形体のうち、高周波加熱のみでは水の蒸発量が内部よりも少ない外部からの水の蒸発量を増大させて、
前記未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部からの水の蒸発量の差異を減少させるとともに、前記未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部の乾燥程度の差異を減少させることによって、内部及び外部の乾燥程度の差異に起因する前記隔壁の変形が抑制された乾燥ハニカム成形体を得るハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項7】
前記乾燥空間内に送風する前記熱風の風速が0.5〜10m/秒、風量が3〜60m/秒である請求項6に記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項8】
前記乾燥空間内に送風する前記熱風の温度が、80〜135℃である請求項6又は7に記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項9】
前記乾燥空間内に送風する前記熱風の湿度が、20%以下である請求項6〜8のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項10】
前記未乾燥ハニカム成形体をその中心軸を中心として自転させながら前記乾燥空間内で未乾燥ハニカム成形体を乾燥させる請求項6〜9のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項11】
前記乾燥空間内に送風する熱風に加えて、さらに前記未乾燥ハニカム成形体の外周壁に、所定の距離から熱風(第2熱風)を吹き付けて、前記未乾燥ハニカム成形体を乾燥させる請求項6〜10のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項12】
前記未乾燥ハニカム成形体の外周壁に吹き付けられる前記第2熱風の風速が、0.5〜10m/秒である請求項11に記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項13】
前記未乾燥ハニカム成形体の外周壁に吹き付けられる前記第2熱風の温度が、80〜135℃である請求項11又は12に記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項14】
前記未乾燥ハニカム成形体の外周壁に吹き付けられる前記第2熱風の湿度が、20%以下である請求項11〜13のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項15】
前記乾燥空間内の湿度及び温度を、前記乾燥空間内に前記熱風を送風する操作及び前記乾燥空間内を強制排気する操作により制御する請求項6〜14のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項16】
前記ハニカム成形体を前記高周波加熱することにより乾燥させた後に、前記ハニカム成形体に熱風(後乾燥用熱風)を当てることによりさらに乾燥させる請求項6〜15のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項17】
前記後乾燥用熱風の温度が100〜130℃である請求項16に記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項18】
前記電磁波の周波数が900〜10000MHzである請求項6〜17のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項19】
前記ハニカム成形体の、前記セルの開口率が80%以上であり、かつ前記隔壁の厚さが0.18mm以下である請求項6〜18のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項20】
セラミック原料及び水を含有する原料組成物からなるとともに、隔壁によって複数のセルが区画、形成された未乾燥のハニカム成形体(未乾燥ハニカム成形体)に電磁波を照射して、高周波加熱することにより、前記未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部から水を蒸発させて前記未乾燥ハニカム成形体を乾燥させて乾燥ハニカム成形体を得ることが可能なハニカム成形体の乾燥装置であって、
前記未乾燥ハニカム成形体を加湿及び加温雰囲気で収納する乾燥空間を有する乾燥室と、
前記未乾燥ハニカム成形体に含有された水のうち、最終的にその50〜99質量%が蒸発するように、前記乾燥室に収納された未乾燥ハニカム成形体に照射する前記電磁波を発生させる電磁波発生器と、
前記乾燥空間内の前記加湿及び加温雰囲気を、30〜65%の低湿度に、また、75〜130℃の温度範囲に保持する、水蒸気流入手段及び強制排気手段とを有する雰囲気制御ユニットと、を備え、
前記雰囲気制御ユニットによって前記加湿及び加温雰囲気に制御された前記乾燥室に収納された前記未乾燥ハニカム成形体に、前記電磁波発生器から電磁波を照射することによって、前記未乾燥ハニカム成形体のうち、高周波加熱のみでは水の蒸発量が内部よりも少ない外部からの水の蒸発量を増大させて前記未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部からの水の蒸発量の差異を減少させるとともに、前記未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部の乾燥程度の差異を減少させることによって、内部及び外部の乾燥程度の差異に起因する前記隔壁の変形が抑制された乾燥ハニカム成形体を得ることが可能なハニカム成形体の乾燥装置。
【請求項21】
前記乾燥室が、その周囲を覆う断熱材を有する請求項20に記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【請求項22】
前記電磁波の周波数が900〜10000MHzである請求項20又は21に記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【請求項23】
前記乾燥室の有する前記乾燥空間で乾燥された前記ハニカム成形体を収納する熱風乾燥空間を有し前記熱風乾燥空間内で前記ハニカム成形体に熱風を当てることによりさらに前記ハニカム成形体を乾燥させる熱風乾燥室と、前記熱風を発生させる熱風発生器とをさらに備える請求項20〜22のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【請求項24】
前記熱風の温度が100〜130℃である請求項23に記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【請求項25】
前記ハニカム成形体の、前記セルの開口率が80%以上であり、かつ前記隔壁の厚さが0.18mm以下である請求項20〜24のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【請求項26】
セラミック原料及び水を含有する原料組成物からなるとともに、隔壁によって複数のセルが区画、形成された未乾燥のハニカム成形体(未乾燥ハニカム成形体)に電磁波を照射して、高周波加熱することにより、前記未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部から水を蒸発させて前記未乾燥ハニカム成形体を乾燥させて乾燥ハニカム成形体を得ることが可能なハニカム成形体の乾燥装置であって、
前記未乾燥ハニカム成形体を加湿及び加温雰囲気で収納する乾燥空間を有する乾燥室と、
前記乾燥室に収納された未乾燥ハニカム成形体に照射する前記電磁波を発生させて前記未乾燥ハニカム成形体を高周波加熱する電磁波発生器と、
前記電磁波発生器による前記高周波加熱に加えて、前記未乾燥ハニカム成形体のうち、前記高周波加熱のみでは水の蒸発量が内部よりも少ない外部からの水の蒸発量を増大させ、
前記未乾燥ハニカム成形体に含有された水のうち、最終的にその50〜99質量%が蒸発するように、且つ前記乾燥空間内の前記加湿及び加温雰囲気を、30〜65%の低湿度に、また、75〜130℃の温度範囲に保持するように、前記乾燥空間内に熱風を送風する熱風送風ユニットとを備え、
前記熱風送風ユニットによって前記加湿及び加温雰囲気に制御された前記乾燥室に収納された前記未乾燥ハニカム成形体に、前記電磁波発生器から電磁波を照射して高周波加熱するとともに、前記熱風送風ユニットにより送風された前記熱風を当てることによって、外部からの水の蒸発量を増大させて、前記未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部からの水の蒸発量の差異を減少させるとともに、前記未乾燥ハニカム成形体の内部及び外部の乾燥程度の差異を減少させることによって、内部及び外部の乾燥程度の差異に起因する前記隔壁の変形が抑制された乾燥ハニカム成形体を得ることが可能なハニカム成形体の乾燥装置。
【請求項27】
前記熱風送風ユニットが、熱風発生器と、前記熱風発生器で発生した前記熱風を前記乾燥空間内に導入することができる熱風導入部とを有してなる請求項26に記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【請求項28】
前記熱風送風ユニットにより送風された前記熱風の風速が0.5〜10m/秒、風量が3〜60m/秒である請求項26又は27に記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【請求項29】
前記熱風送風ユニットにより送風された前記熱風の温度が、80〜135℃である請求項26〜28のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【請求項30】
前記熱風送風ユニットにより送風された前記熱風の湿度が、20%以下である請求項26〜29のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【請求項31】
前記乾燥室に収納された前記未乾燥ハニカム成形体の外周壁に所定の距離からさらに熱風(第2熱風)を吹き付けて前記未乾燥ハニカム成形体を加熱する熱風吹き付け器をさらに備えた請求項26〜30のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【請求項32】
前記熱風吹き付け器が、前記第2熱風を吹き出すための第2熱風吹き付け部を有し、前記第2熱風吹き付け部が、前記未乾燥ハニカム成形体の中心軸に垂直な互いに対向する二つの方向から前記外周壁にそれぞれ前記第2熱風を吹き付けるように形成され、前記未乾燥ハニカム成形体の前記外周壁を挟むように二方向から前記外壁に前記第2熱風が吹き付けられる請求項31に記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【請求項33】
前記熱風吹き付け器から前記未乾燥ハニカム成形体の前記外周壁に吹き付ける前記第2熱風の風速が0.5〜10m/秒である請求項31又は32に記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【請求項34】
前記熱風吹き付け器から前記未乾燥ハニカム成形体の前記外周壁に吹き付けられる前記第2熱風の温度が、80〜135℃である請求項31〜33のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【請求項35】
前記熱風吹き付け器から前記未乾燥ハニカム成形体の前記外周壁に吹き付けられる前記第2熱風の湿度が、20%以下である請求項31〜34のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【請求項36】
その上面に載置された前記未乾燥ハニカム成形体を、その中心軸を中心に自転することによってほぼ同軸で自転させることができる受け部と、前記受け部を自転自在に支える基部とを有する受け台をさらに有し、
前記未乾燥ハニカム成形体を前記乾燥室内で乾燥させるときに前記未乾燥ハニカム成形体を前記受け台の前記受け部に載置させ、前記未乾燥ハニカム成形体を前記受け台とともに前記乾燥室内に搬入し、前記受け部を自転させることにより前記未乾燥ハニカム成形体を自転させながら前記未乾燥ハニカム成形体を乾燥させて前記乾燥ハニカム成形体とし、前記乾燥ハニカム成形体を前記受け台とともに前記乾燥室から搬出する請求項26〜35のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【請求項37】
前記受け台を構成する受け部が、前記中心軸を中心として回転するピニオン部を有し、
前記乾燥室内に、前記受け台に載置した前記未乾燥ハニカム成形体をその上に載せて前記乾燥装置内に搬入し前記未乾燥ハニカム成形体を移動させながら前記未乾燥ハニカム成形体を乾燥させて乾燥ハニカム成形体とした後に前記乾燥ハニカム成形体を前記乾燥室から搬出させるコンベアと、前記コンベアに沿って平行に配設され、前記未乾燥ハニカム成形体を載置した前記受け台を前記コンベア上に載せて移動させるときに前記受け部の有するピニオン部とかみ合うように、前記受け台側を向いた一の面側に前記コンベアに沿って凹凸形状(ラック部凹凸)が形成される棒状のラック部をさらに有し、
前記受け台に載置した前記未乾燥ハニカム成形体を前記コンベアに載せて前記乾燥室内を移動させるときに、前記受け部の有する前記ピニオン部が前記ラック部凹凸にかみ合いながら前記受け台が移動することにより、前記受け部がその中心軸を中心に自転し、それにより前記受け台に載置した前記未乾燥ハニカム成形体をほぼ同軸で自転させながら前記乾燥装置内を移動させる請求項36に記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【請求項38】
前記乾燥室が、その周囲を覆う断熱材を有する請求項26〜37のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【請求項39】
前記電磁波の周波数が900〜10000MHzである請求項26〜38のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【請求項40】
前記乾燥室の有する前記乾燥空間で乾燥された前記ハニカム成形体を収納する後乾燥空間を有し前記後乾燥空間内で前記ハニカム成形体に熱風(後乾燥用熱風)を当てることによりさらに前記ハニカム成形体を乾燥させる後乾燥室と、前記後乾燥用熱風を発生させる後乾燥用熱風発生器とをさらに備える請求項26〜39のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【請求項41】
前記後乾燥用熱風発生器で発生する前記後乾燥用熱風の温度が100〜130℃である請求項40に記載のハニカム成形体の乾燥装置。
【請求項42】
前記ハニカム成形体の、前記セルの開口率が80%以上であり、かつ前記隔壁の厚さが0.18mm以下である請求項26〜41のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【国際公開番号】WO2005/023503
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【発行日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513663(P2005−513663)
【国際出願番号】PCT/JP2004/012737
【国際出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】