説明

ハプティックス伝送システム

ハプティック伝送システムにおけるネットワーク待ち時間から生じる問題を克服するために、ローカルPC(23、24)は、パケット化された位置データがネットワーク5を介して受信されると、ローカルハプティック装置(21、22)のモータを制御する信号がまだ受信されていない予測位置を反映するために調整されるように、リモートハプティック装置(22、21)の力/位置モデルを構築しようとする。リモート環境のローカルデータモデルを使用することにより、予測は局所的にシミュレーションされるオブジェクト/テクスチャからの反力を考慮に入れてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハプティックス伝送システムに関し、さらに詳細には、改善された待ち時間補正を組み込んだシステムと、待ち時間補正を改善する方法に関する。
【0002】
本発明はハプティック通信に関し、さらに詳細には、電気通信網によって結合されるハプティック装置の応答を改善することに関する。
【背景技術】
【0003】
コンピュータからの触覚出力は、ゲームプレイを改善し、振動等の「感覚」を提供し、このようにしてゲームに付加的な知覚を追加するために使用されてきた。このような出力は、視覚障害者が文書を読んだり、図を感じたりできるようにするためにも使用されてきた。ハプティック出力装置の基本的な動作は、触覚の個人差を補正するためにハプティックインタフェース出力特性を適応させる方法を開示する、本発明者らの同時係属国際特許出願公開W003/007136号に説明されている。追加の国際特許出願公開W003/02885号では、ハプティック出力装置を使用することによるムーンアルファベットの読み取りを可能にする方法が開示される。コンピュータ又はデータ記憶装置からハプティック出力装置への文字セットの伝送では、出力信号に依存するスピードが重視される活動はありそうにない。しかしながら、ゲームプレイが関係する場合、特にプレーヤが互いに競い合っているか、機械と競争している場合には、順方向力パラメータ又は逆方向力パラメータの伝送遅延は、感知された経験に大きな影響を及ぼす可能性がある。
【発明の開示】
【0004】
ゲームプレイは、ポイントツーポイント通信リンクによってよりむしろ、インターネットやワールドワイドウェブ等のコネクションレスネットワークで実施される可能性が高いので、入力と比較して感知される出力の動きで矛盾を生じさせる可能性のある信号の待ち時間が生じることがある。
【0005】
さらに、感知される動きとユーザの行動に対する反応の感覚が現実的である場合、知覚装置は両方の信号方向で頻繁な更新を必要とする。ハプティック出力装置が生成側のプロセッサに近接し、直接的に接続していることは問題ではないが、現実性を維持するために必要とされる更新の回数は非常に短い時間内に通信ネットワークの過負荷を生じさせる、及び/又は帯域幅の極端な割り当てを必要とする可能性がある。
【0006】
本発明の一態様によると、各パケットが現在のロケーションへの伝送のために1つのロケーションで測定される位置を定める、多数のデータパケットを定める一連の信号を受信することと、パケットデータから、ハプティック出力装置が移動を予想される位置を定める情報を決定することと、ハプティック出力装置が移動した多数の位置のそれぞれを定める履歴位置データを記憶することと、方向性の力が前記1つのロケーションで適用されている空間のデータモデルを引き出して、前記モデルを定めるデータを記憶することと、履歴位置データ及びモデルを定めるデータから予想位置を引き出すことと、前記予想位置に向かって前記ハプティック出力装置を移動するために力と方向を定める出力信号を生成して以後の位置データの受信時に予想位置と伝送位置の間の差異を補正することと備える、方向性の力を定める信号に反応する種類のハプティック出力装置をアクティブ化する方法が提供される。
【0007】
好ましくは、該方法は各方向でのシグナリングを含み、それにより現在の定義された位置に向かってかけられる力に反応して、1の装置でかけられるハプティック力は、一連の戻りデータパケットにおける現在位置信号の形態で対応する装置に反映される。
【0008】
該方法は、空間のデータモデルから、妨げるオブジェクトの存在を決定することを含み、それにより予想位置及び/又は力の修正が発生してよい。
【0009】
本発明の特徴は、対話型ハプティック出力端末を双方向伝送装置と組み合わせて提供することであり、該端末は少なくとも1のハプティック出力装置と制御手段を備え、前記制御手段は、前記装置の現在位置を決定し、前記伝送装置から受信される信号から、前記ハプティック出力装置の好ましい現在位置を決定するために、前記ハプティック出力装置から信号を受信し、前記制御手段は、現在位置から好ましい位置へ前記ハプティック出力装置を移動するのに必要とされる出力と方向を決定し、前記ハプティック出力装置が移動した多数の位置のそれぞれを定める履歴位置データを記憶し、方向性力が適用されている空間のモデルを引き出し、該モデルを定めるデータを記憶し、履歴位置データ及びモデルを定めるデータから予想位置を引き出し、ハプティック出力装置を前記予想位置に向かって移動するために力と方向を定める出力信号を生成し、予想位置と以後の位置データの受信時の送信済みの位置の差異を補正する。
【0010】
制御手段は、特定のときに前記装置の位置を定めるデータを含む信号をハプティック出力装置から受信し、前記データを予め決められた間隔で前記双方向伝送装置への伝送のための信号に変換する。
【0011】
好ましい現在位置を定める信号は、例えばプログラミングされたコンピュータ等の環境シミュレータによって生成されてよく、あるいは伝送装置の対向する端部の対応する対話型出力端末によって生成されてもよい。
【0012】
好ましい位置を定める一連のパケットが受信される場合、各パケットは現在のロケーションへの伝送のために、あるロケーションでかけられる方向性の力を定め、制御手段はパケットデータから伝送のシーケンス及びデータを数値的に正しい系列に順序付けるシーケンスを決定するための手段を含み、過去に受信したパケットから以後受信されたパケットによって定められる予想される線形移動を推定し、任意の欠失データパケットに関して前記予想される線形移動に対応する出力方向性力信号を適用する。
【0013】
本発明によるハプティックス伝送システムは、ここで添付図面を参照して例証としてのみ説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明者らの同時係属欧州特許出願第01305947.2号の図1を参照すると、例えばオブジェクトモデルデータとして記憶されているシーンの、ハプティックス出力表現を提供する方法が開示されている。このケースでは、プロセッサ1は、オブジェクトモデルデータに基づいて反力を出力するために、ハプティック出力装置(例えば、米国のセンスエーブルテクノロジーズ社のファントム1.0、ハプティック出力装置)の位置に対応するプログラムを含む。データ記憶装置3に記憶されているオブジェクトモデルデータは、ハプティックス出力インタフェース2のユーザに知覚され得る、テクスチャ、固定オブジェクト又は可動オブジェクトの表面とロケーションを定義できるであろう。前記出願に開示された追加の発展では、プレーヤアイデンティティ6に基づいてデータ記憶装置4に保持される情報が、異なるプレーヤがハプティックス出力インタフェース2で出力のほぼ同じ知覚を有することを確実にするために適切な出力調整を提供するために、プレーヤの好み7とガンマ補正率8を使用できるようにする。
【0015】
開示されるように、プロセッサ1はハプティックス出力インタフェース2に密接に結合され、したがって装置のx軸、y軸、z軸に関するユーザの指のロケーションの実質的に連続した検出を提供し、このようにしてオブジェクトモデルデータ3によって定められる環境のリアルタイムシミュレーションを可能にする。
【0016】
これまで言及されたように、いったんネットワーク5がハプティックス出力インタフェース2とプロセッサ1の間に導入されると、仮想環境の連続的な通信と、プロセッサ1に対する入力/出力インタフェース6によってユーザの反応とロケーションを決定する反応シグナリングは、実質的に継続したレートでシグナリングを更新することを必要とする場合には実際的ではなくなる。さらに、ネットワークによりシグナリングに導入される待ち時間は、伝送されている情報に対するきわめてギクシャクした感覚をもたらす。
【0017】
ここで複数のハプティック出力装置21、22が、それぞれの入力/出力インタフェース25、26を介してそれぞれのプロセッサ23、24に通信している図2を参照すると、ネットワーク待ち時間及びシグナリングの制限の問題はより深刻になる。したがって、プロセッサ23がネットワークアダプタ27によってハプティック出力装置22の位置を示す信号を受信し、瞬時に相応してハプティック装置21をその位置に移動しようとすると、移動においてかなりのジャーク(jerk)が明らかになる。いずれにせよ、ハプティック出力装置21のユーザは、このような移動を抑制する可能性のある後方への力をかけ、したがってプロセッサ23がハプティック出力装置21の位置をハプティック出力装置22の位置に合わせるのを防ぐ。相応して、ハプティック出力装置21のロケーションを測定しているときにプロセッサ23は、ネットワークアダプタ28を介してプロセッサ24にネットワーク5を通して信号を送り返し、プロセッサ24はハプティック出力装置22の対応する移動を行おうとする。したがって、ハプティック装置21と22の間の通信はもはや連続モードではなくなり、周期的に位置情報を受信し、送信しているため、ユーザの経験は大幅に弱められる。加えて、信号がネットワークを横断するのに要する期間(ネットワーク待ち時間)が、さらにユーザの知覚を低下させるであろう。
【0018】
このようにして、図3も検討すると、ロケーションAでユーザがハプティック出力装置21の「位置」を決定し、ハプティック出力装置から力を受け取ると、「位置」から引き出されるローカル位置データがパーソナルコンピュータ(PC)23によって引き出され、ネットワークに送信されることが理解できる。同時に、ネットワークから受信されたリモート位置データは、PC23によってローカル力データに変換される。
【0019】
対応する位置と力の導関数データも、PC24によってロケーションBで使用される。
【0020】
実用的なネットワークでは、位置データと力出力はほぼ5ミリ秒間隔で各端部の間を送信される。したがって、新しい位置が受信されるたびに、出力装置を新しい位置に移動させようとして力が出力され、事実上モータがローカルユーザを押す。実際には、位置AとBにおける各端部でのユーザは共に結合され、双方向活動とデータ伝送が実質的に両方の出力装置21と22を対応する位置に移動させようとする。これが、2人のユーザを、該ユーザがばねや可撓ロッド等の何らかの種類の弾性装置によって共に接続されているかのように、接続することをシミュレーションする。各端部に反動的な力があるため、力の伝達が延期されたフィードバックループによって実質的には正のフィードバックが生じる可能性があるために、2台の装置の間には不安定性がある。
【0021】
特にネットワークの待ち時間の変動が発生している場合に、ネットワーク待ち時間は、ネットワークを介してパケットを受信する際の遅延のために、ユーザがエフェクタに応えてぎくしゃくした感じ(feel a jerkiness)を持つ傾向も生じさせる。これはユーザの経験の質を損なう可能性がある。
【0022】
したがって、前述されたように、再び図3を参照すると、それぞれが例えばインターネット5を通して同様にリンクされるパーソナルコンピュータ23、24に取り付けられている、2台のハプティック出力装置21、22を備えるシステムは、前記に概略されたネットワーク待ち時間の問題の影響を受けやすい。
【0023】
使用中、各コンピュータ23、24は、それに取り付けられているハプティック出力装置21、22のそれぞれの位置を読み取り、そのハプティックディスプレイのハンドピースの位置座標を定めるデータを、接続されているハプティックディスプレイのそれぞれのハンドピースを同じ座標に向けて強制するために必要とされる力を計算する、他のコンピュータに送信する。したがって、コンピュータは、ハプティックディスプレイに、ハンドピースを通してその力をユーザにかけるように命令する。対称的な通信は該2台のディスプレイを協調して移動できるようにし続け、単純な力、位置、形状テクスチャ及び運動の伝達をそれらの間で送信できるようにする。
【0024】
ここで図4を見ると、ロケーションAとBのそれぞれから、PC23、24の各ローカルクロック30が、ネットワーク待ち時間を計算するために使用される。こうしてロケーションAから、ローカルクロックからの時間は伝送パケットにまとめられ、ステップ31、ステップ32でネットワーク5を介して送信される。パケットはロケーションBで受信され、ステップ33、ステップ34でネットワーク5を介してただちに再送され、ステップ35においてロケーションAで再び受信され、受信時間がストリッピングされ(stripped out)(これは最初に伝送が発生した時間である)、受信時間はステップ37において再びローカルクロック30と比較され、ステップ38でネットワーク5の待ち時間の使用可能な基準を提供する。
【0025】
端部が同じ待ち時間を使用するようにネットワーク全体で待ち時間情報を送信できるが、ネットワーク変動の場合には、ステップ31から37のそれに対応するステップ41から47によって待ち時間基準を引き出すためにそれぞれのローカルクロック40を使用して示されるように、類似する待ち時間測定はロケーションBから実施されてよい。
【0026】
ただ1つのクロックだけが待ち時間測定値を決定する際に必要とされるため、2つの通信システム全体でのクロックの同期は必要とされないことに留意されたい。もちろん、パケット化は必ずしも特定のクロック時間である必要はないが、送信され、受信される単にシリアル番号であってよく、ルックアップテーブルは現在時間との比較のためにシリアル番号パケットの伝送の時間を決定するために使用されることが理解されるであろう。
【0027】
順方向伝送経路と逆方向伝送経路の経路変動のためにネットワーク全体で経験される待ち時間に差異がある場合には、各端部がそれぞれの待ち時間測定を実行してよいことに留意されたい。
【0028】
いったん各方向の待ち時間が求められると、待ち時間の問題に対向する多様な方法が使用されてよい。このような方法のいくつかの例は、本発明者らの同時係属欧州特許出願EP02254458.9号及び同時に出願された英国特許出願(本発明者らの参照番号第A30267号)に開示されている。
【0029】
図5を検討すると、ネットワーク全体での典型的なハプティック結合では、ステップ51で示されるようにハプティック出力装置センサから引き出される局所的な位置、及びネットワークから受信されるリモート位置は、ステップ52、差を計算し、2台のハプティック出力装置のx座標、y座標及びz座標に関して差ベクトルを提供するために(ステップ53)使用される。2台の装置の間の結合強度又は結合の弾性は、xベクトル、yベクトル及びzベクトルがステップ56でモータに局所的な力を提供するために伝達されるように、ローカルハプティック装置をリモート装置の相対位置に強制するために(ステップ55)必要とされる力を計算するために、使用される(ステップ54)。
【0030】
本発明では、前記に提案された待ち時間補償方法の代わりに、あるいはその改良として使用されてよい、ネットワーク待ち時間を補償する代替の方法が提案されている。
【0031】
したがって、リモートハンドピースの受信位置だけを使用するのではなく、むしろ次の受信位置がどこであるのかの予測が使用される。現在位置と速度から動的補外法に基づいた予測を含む位置を予測し、ハンドピース上の力センサからの接触力を測定し、送信することによって補間を改善し、リモート環境と力フィールドモデリングのモデルを構築するために、多くの方法が提案されている。
【0032】
次に図6を見ると、前述された方法の最初の方法で、リモート位置がネットワークから受信される(ステップ60)と、それは、単にハンドピースの前回「x」位置のローリング(rolling)ログであってよい位置履歴レコード(61)に記憶される。次の位置は、(過去の運動から推定される)速度(62)及び変化が発生した時間間隔を決定するために、公知の過去の1つ又は複数の位置を使用して、受信された位置及び過去の位置に基づいて予測されてよい。例えば加速度(63)、加速度の変化率等を使用して、高次のターム(terms)が考慮に入れられてよい。この推定は、ユーザがハンドピースを自由空間内で動かしている、あるいは例えば表面がトレースされている円滑な動きではうまくいくが、ユーザが急いで固い表面に衝突した影響、あるいはハンドピースが、立方体、球体又は壁などの固体の境界を感知するために使用されている場合等、突然の動きは誤って予測されるであろう。
【0033】
過去の位置、速度及び加速度を決定したら、次の受信データパケットに対する位置の予想される変化は、前述された方法を使用して決定され、(パケット間に講じられる追加ステップの数に応じた)因数で適応されるように、待ち時間基準(64)の入力で計算でき(73)、位置の予測される変化は、次にネットワークから受信される現在位置に追加されてよい(66)。ローカルハンドピース内のセンサから決定されるローカル位置はここでは、リモートハンドピースの予測位置とローカルハンドピースの現在位置の間の差ベクトルを計算するために使用される(68)。
【0034】
2つのハンドピース(69)の間の結合強度設定等の他の入力は、ここで、ローカルハンドピースをリモートハンドピース(70)の同じ相対位置に強制するために必要とされる力を計算するために差ベクトルに関連して使用されてよく、x信号、y信号及びz信号はローカルハンドピースのモータに対するローカル力を提供するために出力される。
【0035】
ロケーション「A」と「B」の両方で同じアルゴリズムが実現されていることに留意されたい。各端部から送信される位置はハンドピースが現在ある実際の位置であり、モータへのローカル力の計算に使用される予測位置ではない。もちろん位置予測の誤りはリアルタイムで補正可能ではないが、初期の予測の不正確さの影響を補正し、ローカルハンドピースをリモートハンドピース位置に向かって移動するための、力の適応を行うことができる。
【0036】
力センサがハンドピースに備えられている場合は、加速度は位置データから計算を実行するのではなく、直接に計算できる。したがって、位置と力データがリモート環境とローカル環境の間で送信される場合には、加速度データを早期に入手することができる。
【0037】
このようにして図7を参照すると、計算の対応するステップは図6を参照して説明されているので、ここでさらに詳述しない。しかしながら、ここでは力フィールドモデルに関する要素を導入することによってハプティック出力装置のモータに対する出力を修正するための追加の処置が講じられる。したがって、いったんステップ63で加速度が計算されると、それは、力フィールドモデルを引き出すために実際の出力と共に使用される。このようにして、ステップ74では、加速度の慣性成分が力から差し引かれ、記憶されている力フィールドモデルを予測位置での力で更新するために使用される(75)。位置の変化が決定されると、新しい位置での力が、力フィールドモデルで調べられ、出力装置のxモータ、yモータ及びzモータに対して出力される力の精度がその力を考慮に入れて調整されるように、リモートハンドピースの計算された位置に向けてローカルハンドピースを強制するために必要とされる計算された力に、ステップ77で追加される。
【0038】
現在のケースでのさらなる発展では、ローカルPCのそれぞれが、エフェクタ(effectors)が移動中であり、モータに出力されるローカル力に影響を与えるためにモデルを使用する、空間のモデルを作成する。空間モデルデータは、経時的に、2つのハプティック出力装置の間で送信される位置データ及び/又は力データの決定から引き出されてよいか、あるいはサンプリングによって引き出されてよい。特にサンプリングが使用される場合に、制限されたデータモデルが構築されてよい。例えば、空間モデル内のあらゆる点ではなく、むしろ10の移動可能な点ごとにインピーダンス又は力の存在を定めるデータを記憶する、あるいは位置の間でモデル内で公知の値を用いて補間する等である。リモート環境の完全なコンピュータモデルが使用可能である場合には、リモートユーザの影響以外の環境とのリモート相互作用が計算できる。例えばハンドピースの予測位置は、リモート環境が公知の機械的な特性の固体を有することが公知である位置を妨害する場合、反力が予測され、ローカルハンドピースを介してローカルユーザに適用される力に追加できる。
【0039】
したがって、図8を見ると、ここでは再び図6と図7を参照して説明されたステップに対応するステップは相応して番号を付けられてさらには説明されないが、ステップ74からの慣性力が、その位置でのオブジェクトの存在又は不在を決定する閾値と比較され(78)、この決定が動作空間のモデルを更新するために使用される(79)。いったん位置の変化が計算されると、予測位置はオブジェクトの存在についてチェックするために使用され(80)、存在する場合には、オブジェクトからの反力が計算され(81)、前述されたようにステップ77で追加される。
【0040】
もちろん、力のモデリングと空間のモデリングの組み合わせは、ステップ71でモータに対する最終的な出力に影響を及ぼすために使用されてよい。もちろん、リモート空間の完全なコンピュータモデルが使用できる場合には、それが好ましい。
【0041】
しかしながら、リモート環境が完全な精度でモデル化できる可能性は低く、リモート環境内のオブジェクトが、ユーザと環境の間の相互作用の結果として移動されなかったことを保証することもできない。例えば、過去の位置データが特定の領域内の特定の位置でハンドピースの前の移動がハンドピースが跳ね返る結果を生じたことを示す場合に、モデルは位置データと力データから経時的に更新でき、その結果この位置でのオブジェクトの仮のレコードをモデルに追加できる。したがってハンドピースが次にそのロケーションに移動すると、モデル内でのオブジェクトとの衝突がシミュレーションされ、衝突を報告する実際のデータが依然としてネットワークを介して送信中である間でさえ、反力がユーザへの出力に追加される。
【0042】
追加の検討では、モデルは現在のデータモデルシミュレーションを完全に置き換えることによってではなく、経時的に変化を平均することによって更新できる。したがって、現在位置でのモデルは旧いモデルに交じり合い、ある位置で過ごす時間が長ければ長いほど、新しいバージョンはリモート環境により調和し、旧いバージョンはより平均的で特徴がなくなる。これは、例えばオブジェクトが、ハンドピース及びモデルの中の他のオブジェクトとの相互作用のためにその移動で予測できないことによって、モデルが現実の変化に更新する速度を減速できるが、それは雑音、過渡現象、及びコネクションレス伝送の他のスプリアスの影響に対するモデルの抵抗を強める。線形の力フィールド及び他の直線的に結合可能な影響の場合、減衰係数δを適用し、各時間ステップでその位置でのモデルの既存の値をδ−1で乗算し、これを新しいバージョンのδ倍に追加することができる。
【0043】
リモート環境の完全なモデルを決定できる可能性は低く、ハンドピースが機能している全空間をサンプリングすることは現在のシステムでは非現実的であるため、不自然な状況においてを除き、結果は環境のまれにしか存在しないモデルである可能性が高い。部分的なモデルは、環境の中をハンドピースが移動するにつれて構築できる。したがって、モデルの公知の値の間の補間が必要である。一例では、これは最も近い公知の値点を見つけることによって実行されてよい。代わりに、ハプティック動作空間内に存在する点より少ない点を有する有限要素モデルを使用できる。この場合、モデルはハプティック入出力装置の最小位置区分よりはるかに大きいセルを有するが、ユーザによって感じられる力に対する画素化された感覚を回避するために位置間の融合の技法が使用されてもよい。さらに精密な装置では、システムは、公知の値を有する点の部分集合の値に一致する、動作空間内の固体のもっとも可能性の高い装置を決定するように構成されてよい。
【0044】
他のデータ削減機能はモデリングに組み込まれ、例えばテクスチャがシミュレーションされる場合、それらは相対的にほとんどパラメータを有さない周期関数又は確率関数として表現されてよく、例えばリッジは、期間、振幅、及びリッジ、傾斜、トラフ幅の割合によって指定できる。したがって、例えば、その小さな尺度は細かい凹凸のある表面の多数の隆起をネットワーク待ち時間遅延の間に移動できることを意味するので、補間により予測するのが困難ではあるが、例えばリモート表面全体でトレースするときの表面テクスチャからの振動は、データモデル内に保持されるバルクテクスチャパラメータからシミュレーションされてよい。
【0045】
UDPの代わりに、ネットワーキング待ち時間測定の他の方法(例えばISDN、TCPオーバIP、又はPSTN上モデム対モデムリンク上RS232シリアル)が使用できるであろう。ネットワーク待ち時間測定の他の方法(例えば、「ピング」時間、ネットワーク上の他のコンピュータからのネットワーク性能基準、又は同期クロックによる単一方向測定)が使用できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】ネットワークが環境シミュレーションをハプティックス入力/出力装置に相互接続する、第1のハプティックス通信システムのブロック概略図である。
【図2】複数の相互接続されたハプティックス入力/出力装置を有する、ハプティックス通信システムのブロック概略図である。
【図3】図2のシステム内でのデータ交換の概略図である。
【図4】図2のシステムの調整を実施するために2つのロケーションの間の待ち時間を測定する方法の概略フローチャートである。
【図5】局所的にかけられる力を計算する方法の概略フローチャートである。
【図6】本発明を実用化する方法を示す概略フローチャートである。
【図7】本発明を実用化する方法を示す概略フローチャートである。
【図8】本発明を実用化する方法を示す概略フローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各パケットが現在のロケーションへの伝送のためにあるロケーションで測定された位置を定める、多数のデータパケットを定める一連の信号を受信することと、パケットデータから、ハプティック出力装置が移動すると予想される位置を定める情報を決定することと、前記ハプティック出力装置が移動した多数の位置のそれぞれを定める履歴位置データを記憶することと、方向性の力が前記1つのロケーションで適用されている空間のモデルを引き出して前記モデルを定めるデータを記憶することと、履歴位置データと前記モデルを定める前記データから予想位置を引き出すことと、前記ハプティック出力装置を前記予想位置に移動するために力と方向を定める出力信号を発生させることと、以後の位置データを受信すると、前記予想位置と前記送信位置の間の差異を補正することとを備える、方向性の力を定める信号に反応する種類のハプティック出力装置をアクティブ化する方法。
【請求項2】
各方向でのシグナリングをさらに含み、該シグナリングにより現在の定義されている位置に向かってかけられる力に反応して1の装置でかけられるハプティック力が、一連の戻りデータパケットでの現在の位置信号の形態で対応する装置に反映される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記空間の前記データモデルから、妨害するオブジェクトの存在を決定することを含み、該決定により前記予想位置と力の修正の少なくとも1つが発生してよい、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ネットワークの待ち時間は、前記ネットワークに時間決定要因アイデンティティを含むデータパケットを送信し、前記ネットワークを介して前記データパケットを反映し、前記減衰率が決定される待ち時間パラメータを提供するために受信時間を送信時間と比較することにより決定される、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
位置データを搬送する少なくともいくつかの送信済みパケットは時間決定要因データも含み、前記時間決定要因データのいくらかは前記待ち時間パラメータの更新を可能にするために返される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記力信号と方向信号に修正率を適用することをさらに含み、前記修正率は予め決められたユーザの好みのデータから引き出される、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
双方向伝送装置と組み合わされる対話型ハプティック出力端末であって、該端末は少なくとも1のハプティック出力装置と制御手段を備え、前記制御手段は、前記装置の現在位置を決定し、また前記伝送装置から受信される信号から、前記ハプティック出力装置にとって好ましい現在位置を決定するために、前記ハプティック出力装置から信号を受信し、前記制御手段は、前記ハプティック出力装置を前記現在位置から前記好ましい位置に移動するために必要とされる出力と方向を決定し、前記ハプティック出力装置が移動した多数の位置のそれぞれを定める履歴位置データを記憶し、方向性の力が適用されている空間のモデルを引き出して前記モデルを定めるデータを記憶し、前記履歴位置データ及び前記モデルを定める前記データから予想位置を引き出し、前記予想位置に向けて前記ハプティック出力装置を移動するための力と方向を定める出力信号を発生させて以後の位置データの受信時に前記予想位置と前記送信位置の間の差異を補正する、対話型ハプティック出力端末。
【請求項8】
前記制御手段は、前記ハプティック出力装置から、特定のときの前記装置の位置を定めるデータを含む信号を受信し、前記制御手段は、予め決められた間隔で前記双方向伝送装置への伝送のための信号に前記データを変換する、請求項7に記載の端末。
【請求項9】
好ましい現在位置を定める前記信号は、プログラミングされたコンピュータ等の環境シミュレータによって生成される、請求項7又は8に記載の端末。
【請求項10】
好ましい現在位置を定める前記信号は、前記伝送装置の対向する端部にある対応する対話型出力端末により生成される、請求項7又は8に記載の端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−514986(P2007−514986A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530554(P2006−530554)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004025
【国際公開番号】WO2005/041009
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(390028587)ブリティッシュ・テレコミュニケーションズ・パブリック・リミテッド・カンパニー (104)
【氏名又は名称原語表記】BRITISH TELECOMMUNICATIONS PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】