説明

ハロゲン含有樹脂用安定化剤及びハロゲン含有樹脂組成物

【課題】耐候性、耐熱性、熱安定性、加工性、透明性、ふきだし性の抑制等の性質に優れたハロゲン含有樹脂組成物を得ることができるハロゲン含有樹脂用安定化剤、及び、上記ハロゲン含有樹脂用安定化剤を含有してなるハロゲン含有樹脂組成物を提供する。
【解決手段】平均粒径0.01〜0.05μmの酸化亜鉛粒子からなるハロゲン含有樹脂用安定化剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲン含有樹脂用安定化剤及びハロゲン含有樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
塩化ビニル系樹脂等のハロゲン含有樹脂は、シート、フィルム、電気・電子部品、自動車部品、機械部品、建築部材、雑貨等の広い分野で使用されている。このようなハロゲン含有樹脂に対して、成形加工時の耐熱性、加工性、電気絶縁性、機械物性の向上、耐候性等の各種物性を向上させるために、各種添加剤を添加することが広く行われている。
【0003】
このような添加剤を使用することによってハロゲン含有樹脂の物性を向上させることが要求される用途としては、例えば、住宅用の異型建材、農業用フィルム、鋼板や合板の被覆用フィルム、帆布、養生ネット等を挙げることができる。これらの用途においては、目的に応じて、耐熱性、耐候性、透明性、熱安定性、加工性、ふきだし抑制性等の性質が要求されており、種々の添加剤が使用されている。
【0004】
例えば、住宅における窓枠等の異型建材用等に使用される硬質塩化ビニル系樹脂のようなハロゲン含有樹脂においては、特に、耐候性、耐熱性、熱安定性、加工性が要求されている。このような性質を付与するための安定化剤として、従来は、鉛系安定化剤が使用されてきた。しかし、近年、環境問題から非鉛系安定化剤が検討されており、ハイドロタルサイトとステアリン酸亜鉛等の有機酸亜鉛とからなる安定化剤が知られている。このような非鉛系安定化剤は、従来の鉛系安定化剤を使用したときに比べて、耐熱性、耐候性に劣る点が問題とされている。このため、鉛化合物を使用せずに、優れた耐熱性、耐候性を有するハロゲン含有樹脂用安定化剤を提供することが望まれている。
【0005】
更に、例えば、ハウス(温室)、トンネル栽培等に使用する農業用シート;鋼板や合板の被覆用フィルム;帆布;養生ネット等、透明性が要求される用途に使用される軟質塩化ビニル系樹脂のようなハロゲン含有樹脂においては、透明性を維持したままで耐熱性、耐候性等の各種性質を付与する必要がある。
【0006】
また、このような用途においては、通常、可塑剤等の種々の添加剤が使用されるが、それらの添加剤が、成形後短期間から数年が経過した後に樹脂中から表面に漏出するふきだし現象がみられることが多い。このようなふきだし現象が発生すると、例えば、農業用塩化ビニルフィルムを、ハウスやトンネル等の被覆に用いる場合、表面に埃が付き易くなり光線透過率の低下を招き、作物の生育に悪影響を与える等という問題が生じる。
【0007】
一方、酸化亜鉛をハロゲン含有樹脂への添加剤として使用することが知られており、通常、白色顔料、難燃助剤、紫外線吸収剤として使用されている(例えば、特許文献1)。しかし、ハロゲン含有樹脂への添加剤としては、平均粒径が0.1μm以上の酸化亜鉛を使用するものであり、微細な酸化亜鉛粒子をハロゲン含有樹脂への添加剤として使用することは知られていない。
【0008】
【特許文献1】特開2003−41147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記に鑑み、耐候性、耐熱性、熱安定性、加工性、透明性、ふきだし性の抑制等の性質に優れたハロゲン含有樹脂組成物を得ることができるハロゲン含有樹脂用安定化剤、及び、上記ハロゲン含有樹脂用安定化剤を含有してなるハロゲン含有樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、平均粒径0.01〜0.05μmの酸化亜鉛粒子からなることを特徴とするハロゲン含有樹脂用安定化剤である。
本発明は、0.01〜0.05μmの平均粒径の酸化亜鉛粒子及びハロゲン含有樹脂を含有することを特徴とするハロゲン含有樹脂組成物でもある。
【0011】
上記0.01〜0.05μmの平均粒径の酸化亜鉛粒子は、ハロゲン含有樹脂100質量部に対して0.01〜1.0質量部の割合であることが好ましい。
上記ハロゲン含有樹脂組成物は、更に、ハイドロタルサイト化合物、多価アルコール化合物、有機酸カルシウム塩、有機酸亜鉛塩、有機リン酸金属塩、β−ジケトン、β−ジケトンの金属塩からなる群から選択される少なくとも1の成分を含有することが好ましい。
【0012】
上記ハロゲン含有樹脂組成物は、更に、可塑剤、滑剤、上記0.01〜0.05μmの平均粒径の酸化亜鉛粒子以外の安定化剤、界面活性剤、防霧剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定化剤、充填剤、酸化防止剤、帯電防止剤及び着色剤からなる群から選択される少なくとも1の成分を含有することが好ましい。
【0013】
本発明は、上述したハロゲン含有樹脂組成物からなることを特徴とする住宅異型建材でもある。
本発明は、上述したハロゲン含有樹脂組成物からなることを特徴とする農業用シートでもある。
本発明は、上述したハロゲン含有樹脂組成物からなることを特徴とする被覆用フィルムでもある。
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明は、ハロゲン含有樹脂用安定化剤である。上記ハロゲン含有樹脂としては、特に限定されず、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を含有する樹脂に対して使用することができるが、特に塩素を含有する樹脂に対して好適に使用することができる。塩素を含有する樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル;エチレン−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−ハロゲン化オレフィン共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリオレフィン等の樹脂を挙げることができる。また、上記ハロゲン含有樹脂と相溶する他の樹脂との混合物に対しても適用することができる。上記他の樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等を挙げることができる。上記ハロゲン含有樹脂の平均重合度は、特に限定されず、例えば、600〜3000、好ましくは700〜2500の範囲の樹脂に対して適用することができる。上記ハロゲン含有樹脂は、懸濁重合法、塊状重合法、乳化重合法等の公知の方法によって製造することができる。
【0015】
本発明のハロゲン含有樹脂用安定化剤は、平均粒径0.01〜0.05μmの酸化亜鉛粒子(以下これを「微細酸化亜鉛粒子」と記す)からなるものである。酸化亜鉛は、粒径を微小なものとすることによって、性質が変化する。このため、上記微細酸化亜鉛粒子を使用すると、平均粒径が大きい酸化亜鉛粒子を使用した場合には得ることができない種々の優れた効果が得られるものである。
【0016】
上記平均粒径は、透過型電子顕微鏡写真の10万倍の視野での一定方向径(所謂FERET径)で定義される一次粒子径である。上記平均粒径が0.01μmより小さいものは、工業的に生産することが困難であり、0.05μmよりも大きいものは、ハロゲン含有樹脂に添加したとき耐熱性、耐候性、透明性等の性質が劣るものとなる。上記微細酸化亜鉛粒子は、ポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂への添加剤や化粧品用途において公知の粒子であり、例えば、特開2003−41147号公報に開示された金属石鹸の融点以上の温度で金属石鹸と酸化亜鉛粒子とを混合することによって、金属石鹸で被覆された微細酸化亜鉛粒子を製造する方法等によって製造することができる。上記微細酸化亜鉛粒子は市販のものを使用することもでき、市販のものとしては、特に限定されず、例えば、堺化学工業株式会社製「ナノファインW−1」(商品名)等を挙げることができる。
【0017】
上記微細酸化亜鉛粒子は、用途によって相違するが、上記ハロゲン含有樹脂100質量部に対して0.01〜1.0質量部の割合で添加することが好ましい。0.01質量部未満であると、耐熱性、耐候性が不充分となるおそれがあり、1.0質量部を超えると、耐熱性低下という問題を生じるおそれがある。上記下限は0.05質量部であることがより好ましい。上記上限は、0.5質量部であることがより好ましい。
【0018】
本発明は、上記微細酸化亜鉛粒子及びハロゲン含有樹脂を含有するハロゲン含有樹脂組成物でもある。本発明のハロゲン含有樹脂組成物において使用する微細酸化亜鉛粒子及びハロゲン含有樹脂は、それぞれ上述した通りのものであり、これらの混合比も上述した範囲のものであることが好ましい。
【0019】
本発明のハロゲン含有樹脂組成物は、上記微細酸化亜鉛粒子に加えて任意の添加剤を併用して含有するものであってもよい。上記任意の添加剤は、使用する目的に応じて好適なものを選択して使用することが好ましい。また、ハロゲン含有樹脂組成物が、塩化ビニル系樹脂を含有するものである場合は、硬質塩化ビニル系樹脂であっても、軟質塩化ビニル系樹脂であってもよい。
【0020】
例えば、住宅の異型建材等のように、鉛系の安定化剤を使用した場合と同程度の高い水準の耐熱性、耐候性、加工性が要求されるハロゲン含有樹脂組成物においては、更に、ハイドロタルサイト化合物、多価アルコール化合物、有機酸カルシウム塩、有機酸亜鉛塩、有機リン酸金属塩、β−ジケトン、β−ジケトンの金属塩からなる群から選択される少なくとも1の成分を併用することが好ましい。上記成分を併用することによって、より高水準の耐熱性、耐候性、加工性を有するハロゲン含有樹脂組成物とすることができる。
【0021】
上記ハイドロタルサイト化合物は、下記一般式(1);
2+1−x3+(OH)n−x/n・mHO (1)
(式中、M2+は、Mg2+,Zn2+,Fe2+,Mn2+,Co2+,Ni2+,Cu2+ を表わす。
式中、M3+は、Al3+,Fe3+,Cr3+,Co3+ を表わす。
式中、An−は、OH, CO2−,SO2−, NO, Cl を表わす。
式中、xは、 0<x<0.33 である。)
で表される化合物である。上記ハイドロタルサイト化合物としては特に限定されず、例えば、 MgAl(OH)16CO・4HO Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HO Mg4.5Al(OH)13CO Mg3.5Zn1.0Al(OH)13CO・3.5HO等を挙げることができる。上記ハイドロタルサイト化合物としては市販品を使用することもできる。市販品としては特に限定されず、例えば、アルカマイザー1、アルカマイザー2、アルカマイザー3、アルカマイザー4、アルカマイザー5、DHT−4A(いずれも協和化学工業社製)、ハイドロタルサイトHT−1(堺化学工業社製)等を挙げることができる。上記ハイドロタルサイト化合物は、ハロゲン含有樹脂の安定化剤として公知であり、微細酸化亜鉛粒子と併用することによって、更に優れた熱安定性を得ることができるものである。
【0022】
上記ハイドロタルサイト化合物は、ハロゲン含有樹脂100質量部に対し、0.01〜10質量部含有することが好ましく、0.05〜3質量部含有することが更に好ましい。0.01質量部未満であると、熱安定性を向上させる効果が充分ではなく、10質量部を超えると、透明性低下及び加工時の着色という問題を生じるおそれがある。
【0023】
上記多価アルコール化合物は、一分子中に2以上の水酸基を有する化合物である。上記多価アルコールとしては特に限定されず、例えば、ジペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール部分エステル、ペンタエリスリトール、マンニトール、ソルビトール、ジトリメチロールプロパン等を挙げることができる。上記多価アルコールは、ハロゲン含有樹脂の安定剤として公知であるが、微細酸化亜鉛粒子と併用することによって、著しく耐熱性が向上する。
【0024】
上記多価アルコール化合物は、ハロゲン含有樹脂100質量部に対し、0.01〜10質量部含有することが好ましく、0.05〜3質量部含有することが更に好ましい。0.01質量部未満であると、耐熱性が不充分であり、10質量部を超えると、透明性低下及び加工時の着色という問題を生じるおそれがある。
【0025】
上記有機酸カルシウム塩としては特に限定されず、例えば、ステアリン酸カルシウム等の脂肪族カルシウム塩、パラ−t−ブチル安息香酸カルシウム等の芳香族カルボン酸のカルシウム塩等を挙げることができる。上記有機酸カルシウム塩は、ハロゲン含有樹脂100質量部に対し、0.05〜5質量部含有することが好ましく、0.1〜2質量部含有することが更に好ましい。0.05質量部未満であると、耐熱性が充分ではなく、5質量部を超えると、加工時の着色という問題を生じるおそれがある。
【0026】
上記有機酸亜鉛塩としては特に限定されないが、一般に金属セッケンと呼ばれる炭素数12〜20の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸の亜鉛塩が好ましい。上記有機酸亜鉛塩は、ハロゲン含有樹脂の安定剤として公知であるが、上記化合物を上記微細酸化亜鉛粒子と併用することによって、より優れた効果を有するハロゲン含有樹脂組成物とすることができる。上記有機酸亜鉛塩としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、ベヘニン酸亜鉛等を挙げることができる。
【0027】
上記有機酸亜鉛塩は、ハロゲン含有樹脂100質量部に対し、0.05〜5質量部含有することが好ましく、0.1〜2質量部含有することが更に好ましい。0.05質量部未満であると、耐熱性、耐候性が充分に改善されないことがあり、5質量部を超えると、滑性のため、加工性が悪化するおそれがある。特に、熱安定性、耐候性を向上させるために脂肪酸亜鉛を多量に配合した場合には、加工性が悪化するという問題を生じることが多かったが、本発明においては、微細酸化亜鉛粒子と併用して使用することにより、脂肪酸亜鉛の使用量を低減することができ、加工性の問題を生じることなく耐熱性、耐候性を改善することができる。
【0028】
上記有機リン酸金属塩としては特に限定されず、例えば、ステアリルリン酸亜鉛、ステアリルリン酸カルシウム等を挙げることができる。上記有機リン酸金属塩は、ハロゲン含有樹脂100質量部に対し、0.05〜5質量部含有することが好ましく、0.1〜2質量部含有することが更に好ましい。0.05質量部未満であると、耐熱性が充分ではなく、5質量部を超えると、滑性による加工性の悪化及び加工時の着色という問題を生じるおそれがある。
【0029】
上記β−ジケトン又はその金属塩としては、ハロゲン含有樹脂の安定化剤として使用することができる化合物であれば特に限定されず、例えば、ジベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン亜鉛、ステアロイルベンゾイルメタン亜鉛等を挙げることができる。
【0030】
上記β−ジケトン又はその金属塩は、ハロゲン含有樹脂100質量部に対し、0.005〜1.0質量部含有することが好ましく、0.01〜0.5質量部含有することが更に好ましい。0.005質量部未満であると、耐熱性、耐候性が充分に改善されないことがあり、1.0質量部を超えると、耐候性不良という問題を生じるおそれがある。
【0031】
本発明のハロゲン含有樹脂組成物は、上記成分に加えて、更に、可塑剤、滑剤、上記微細酸化亜鉛粒子以外の安定化剤、界面活性剤、防霧剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定化剤、充填剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤等、ハロゲン含有樹脂において通常使用されるその他の添加剤を併用するものであってもよい。
【0032】
住宅の異型建材に使用するハロゲン含有樹脂組成物としては、塩化ビニル系樹脂、微細酸化亜鉛粒子、ハイドロタルサイト化合物及び/若しくは多価アルコール化合物並びに有機酸亜鉛塩を含有するハロゲン含有樹脂組成物(I)、又は、塩化ビニル系樹脂、微細酸化亜鉛粒子、ハイドロタルサイト化合物及び/若しくは多価アルコール化合物、有機酸亜鉛並びにβ−ジケトン及び/若しくはβ−ジケトンの金属塩を含有するハロゲン含有樹脂組成物(II)が、耐熱性、耐候性に優れる点で特に好ましい。特に、射出成形、押出し成形等の熱溶融成形時において、熱による樹脂物性の低下を鉛系安定剤と同等にまで抑制することができるため、鉛使用量を低減することができるものである。
【0033】
本発明は、上記ハロゲン含有樹脂組成物からなる住宅の異型建材でもある。上記異型建材は、鉛化合物を使用せずに、成形性良好で、熱安定性、耐候性にも優れた性質を有するものである。
【0034】
本発明のハロゲン含有樹脂組成物がハウス(温室)、トンネル栽培等に使用する農業用シート;鋼板や合板の被覆用フィルム;帆布;養生ネット等、透明性が要求される用途において使用される場合、透明性を維持したままで、耐熱性、耐候性等の各種性質を付与する必要がある。上記用途において、ハロゲン含有樹脂組成物は、軟質塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。更に、これらの用途においては、種々の添加剤を併用することが多いため、併用した添加剤が表面に漏出するふきだし現象によって物性の低下を招くことがあり、上記ふきだし現象の低減を図ることも求められている。
【0035】
上述したような透明性が要求される用途において使用するハロゲン含有樹脂組成物においては、例えば、可塑剤、滑剤、上記微細酸化亜鉛粒子以外の安定化剤、界面活性剤、防霧剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定化剤、充填剤、酸化防止剤、帯電防止剤及び着色剤からなる群から選択される少なくとも1の添加剤を併用するものであってもよい。上記微細酸化亜鉛粒子をこれらの添加剤と併用したとき、ふきだし効果が低減されるという効果を有するものである。
【0036】
上記可塑剤としては特に限定されず、例えば、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸誘導体;ジイソオクチルフタレート等のイソフタル酸誘導体;ジ−n−ブチルアジペート、ジオクチルアジペート等のアジピン酸誘導体;ジ−n−ブチルマレート等のマレイン酸誘導体;トリ−n−ブチルシトレート等のクエン酸誘導体;モノブチルイタコネート等のイタコン酸誘導体;ブチルオレエート等のオレイン酸誘導体;グリセリンモノリシノレート等のリシノール酸誘導体;エポキシ系可塑剤;トリイソプロピルフェニルホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート等の有機リン酸エステル系可塑剤等を挙げることができる。上記エポキシ系可塑剤としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等の植物油のエポキシ化されたもの、エポキシ樹脂等を挙げることができる。上記可塑剤の添加量は、ハロゲン含有樹脂100質量部に対し5〜100質量部であることが好ましく、5〜80質量部であることがより好ましい。
【0037】
上記滑剤としては特に限定されず、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘニン酸等の脂肪酸、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸ブチル、ステアリン酸オクチル等の脂肪酸エステルや、ポリエチレンワックス、流動パラフィン、天然パラフィン、合成パラフィン、固体状の高級アルコール、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。上記滑剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。上記滑剤は、ハロゲン含有樹脂100質量部に対して0.5〜7.0質量部の割合で含有することが好ましく、1.0〜5.0質量部の割合であることがより好ましい。
【0038】
上記微細酸化亜鉛粒子以外の安定化剤としては特に限定されず、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム等の金属石ケン系安定剤;Ba−Zn系、Ca−Zn系、Ca−Zn−Ba系、Ba−Mg−Al系、Cd−Ba系、Cd−Ba−Zn系、Cd−Ba−Pb系の安定剤;ステアリルリン酸亜鉛、ステアリルリン酸カルシウム等の有機リン酸金属塩;有機亜リン酸エステル等のキレート剤;ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等のポリオール化合物等を挙げることができる。これらの安定剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。上記微細酸化亜鉛粒子以外の安定剤の添加量としては、ハロゲン含有樹脂100質量部に対して0.5〜7.0質量部であることが好ましく、1.0〜5.0質量部であることが寄り好ましい。
【0039】
上記界面活性剤としては特に限定されず、例えば、非イオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等を挙げることができる。
【0040】
上記非イオン系界面活性剤としては特に限定されず、例えば、多価アルコールと高級脂肪酸類からなる多価アルコール部分エステル系の化合物等を挙げることができる。上記多価アルコール部分エステル系の化合物としては特に限定されず、例えば、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノベヘネートソルビタンとグリセリンの縮合物と高級脂肪酸とのエステル、ソルビタンとアルキレングリコールの縮合物と高級脂肪酸とのエステル等のソルビタン系界面活性剤;グリセリンモノラウレート、グリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノパルミテート、トリグリセリンモノステアレート、トリジグリセリンモノステアレート等のグリセリン系界面活性剤;ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル等のポリエチレングリコール系界面活性剤;その他トリメチロールプロパンモノステアレート等のトリメチロールプロパン系界面活性剤;ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ジペンタエリスリトールモノステアレート等のペンタエリスリトール系界面活性剤;又はこれらの異性体等を挙げることができる。
【0041】
上記シリコーン系界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ポリエーテル変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル等が挙げられ、一般に、少なくとも0.01質量%、好ましくは少なくとも0.1質量%の水中溶解度を有し、25℃において水の表面張力を35dyn/cm以下、特に30dyn/cm以下に低下させる能力を有するものが好ましい。
【0042】
上記シリコーン系界面活性剤としては、市販のものを使用することもできる。市販のシリコーン系界面活性剤としては、例えばKF−354(信越化学社製)、SH−3746(東レ・ダウコーニング社製)、TSF−4445(東芝シリコーン社製)等を挙げることができる。
【0043】
上記界面活性剤は、上述した界面活性剤を単独で使用してもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。上記界面活性剤の添加量としては、ハロゲン含有樹脂100質量部に対して0.01〜2質量部であることが好ましく、0.02〜1.9質量部であることがより好ましい。
【0044】
上記防霧剤としては、特に限定されず、例えば、パーフロロアルキル基又はパーフロロアルケニル基を含有する高分子又は低分子のフッ素系界面活性剤等が挙げられ、一般に少なくとも0.001質量%、好ましくは少なくとも0.01質量%の水中溶解度を有し、25℃において水の表面張力を35dyn/cm以下、好ましくは30dyn/cm以下に低下させる能力を有するものが好ましい。上記パーフロロアルキル基は、その炭素鎖中に酸素原子が介在してもよい。本発明の樹脂組成物において使用することができる市販の防霧剤としては、例えば、ユニダインDS−401,ユニダインDS−403、ユニダインDS−451(以上、ダイキン工業社製)、メガファックF−142D、メガファックF−177(以上、大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC−170、フロラードFC−176、フロラードFC−430(以上、住友スリーエム社製)、サーフロンS−141、サーフロンS−145、サーフロンS−381、サーフロンS−382、サーフロンS−393(以上、旭硝子社製)等を挙げることができる。
【0045】
上記防霧剤を含有する場合、上記ハロゲン含有樹脂100質量部に対して、1質量部以下の割合で含有することが好ましく、0.01〜0.7質量部の割合であることがより好ましい。
【0046】
上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、ハロゲン含有樹脂に通常配合されるものを使用することができ、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、ハイドロキノン系、シアノアクリレート系等各種の紫外線吸収剤を挙げることができる。特に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤がより好ましい。
【0047】
上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−アミル−5’−イソブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−プロピルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。
【0048】
上記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
【0049】
上記サリチル酸系紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、フェニルサリチレート、パラオクチルフェニルサリチレート等を挙げることができる。
【0050】
上記紫外線吸収剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。その配合量は、ハロゲン含有樹脂100質量部に対して、3.0質量部以下の範囲であることが好ましく、0.1〜0.5質量部であることがより好ましい。
【0051】
上記ヒンダードアミン系光安定化剤としては特に限定されず、例えば、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス−(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン縮合物、ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]}、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−トリデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール、および3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10テトラスピロ[5,5]ウンデカンとブタンテトラカルボン酸のエステル等を挙げることができる。上記光安定剤は一種類、又は、二種類以上組み合わせて使用してもよい。上記ヒンダードアミン系光安定化剤は、ハロゲン含有樹脂100質量部に対して、0.01〜2.0質量部の割合で含有することが好ましく、0.03〜1.0質量部がより好ましい。
【0052】
上記充填剤としては特に限定されず、例えば、シリカ、タルク、珪藻土、フェライト類、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、カオリンクレー、マイカ、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミン酸ナトリウム、導電性酸化亜鉛、リン酸リチウム、ハイドロタルサイト類、ガラス又は炭素又は金属等の繊維及び粉末、ガラス球、グラファイト、リチウム−アルミニウム複合水酸化物塩、リチウム−マグネシウム−アルミニウム複合水酸化物塩等を挙げることができる。上記充填剤は、フィルムとした際のべたつきを抑制したり、保温性を維持したりするために使用される。上記充填剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記充填剤は、ハロゲン含有樹脂100質量部に対して0.05〜7.0質量部の割合で含有することが好ましく、0.1〜5.0質量部がより好ましい。なお、ハロゲン含有樹脂組成物をフィルム状に成形して使用する場合は、得られるフィルムの厚みに応じて、種類及び配合量を適宜選択することが好ましい。
【0053】
上記酸化防止剤としては特に限定されず、例えば、フェノール系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤を挙げることができる。上記フェノール系酸化防止剤としては特に限定されず、例えば、2,6−ジ−ブチル−4−メチルフェノール−2,2−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)等を挙げることができ、上記硫黄系酸化防止剤としては特に限定されず、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート等を挙げることができる。上記酸化防止剤は、単独又は、2種以上を組み合わせて使用するものであってもよい。
【0054】
上記帯電防止剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリグリコールエーテル、p−スチレンスルホン酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0055】
上記着色剤としては特に限定されず、例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、アリザリンレーキ、パーマネントレッド、キナクリドン等をあげることができる。これらの着色剤も、単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明のハロゲン含有樹脂組成物は、更に、上述した以外の添加剤を併用するものであってもよい。
【0056】
上記各成分を混合する方法としては特に限定されず、例えば、上記ハロゲン含有樹脂に、上記必須成分、必要に応じて配合できる各種添加剤をそれぞれ必要量秤量し、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、スーパーミキサーその他公知の配合機、混合機に仕込み混練することにより行うことができる。
【0057】
本発明のハロゲン含有樹脂組成物は、フィルム形状に成形して使用することもできる。
本発明のハロゲン含有樹脂組成物からなる塩素含有樹脂フィルムを成形する方法としては特に限定されず、例えば、上記方法によって混合した樹脂組成物をカレンダー法、押出成形法等の公知の方法によってフィルム成形する方法等を挙げることができる。
【0058】
本発明は、上記ハロゲン含有樹脂組成物からなる農業用シートでもある。上記農業用シートは、ハウス、トンネル栽培のハウスやトンネル等に使用されるシートである。本発明は、被覆溶シートでもある。上記被覆用シートは、鋼板や合板の表面を被覆して、表面を保護するためのシートであり、上記鋼板や合板に接着されて積層体を構成するものであっても、物理的には一体化されずに鋼板や合板上に設置されるものであってもよい。上記ハロゲン含有樹脂組成物は、その他、帆布、養生ネット等に使用することができる。
【発明の効果】
【0059】
本発明のハロゲン含有樹脂用安定化剤は、上述したようなものであることから、これによって、耐候性、耐熱性、熱安定性、加工性、透明性、ふきだし性の抑制等の性質に優れたハロゲン含有樹脂組成物を得ることができる。本発明のハロゲン含有樹脂組成物は、耐候性、耐熱性、熱安定性、加工性、透明性、ふきだし性の抑制等に優れた性質を有する。
【実施例】
【0060】
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限り「質量部」を意味する。
【0061】
実施例1〜7、比較例1〜7
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度 1000)100質量部に対して、表1に示す各添加剤を表1に示す割合で配合し、160℃のロールにて5分間混練後、170℃のプレスにて厚さ1mmのシートを作成した。作成したシートに対して以下に示す評価基準での評価を行った。結果を表1(実施例)及び表2(比較例)に示す。なお、表1及び表2中の各成分は、以下に示すものを使用した。
*1:白石工業社製 Vigot 10
*2:堺化学社製 SC−P
*3:堺化学社製 SZ−P
*4:ローディア社製 ジベンゾイルメタン
*4:広栄化学社製 ジペンタリット300
*6:堺化学社製 酸化亜鉛二種(平均粒子径0.6μm)
*7:堺化学社製 ナノファインW−1 (平均粒子径0.02μm)
*8:味の素ファインテクノ社製 プレンライザーST−210
*9:堺化学社製 ハイドロタルサイト HT−1(商品名)
【0062】
参考例1
参考例として、鉛系安定剤を使用して実施例1と同様にシートを作成した。
【0063】
<評価方法>
(耐熱性)上記シートを180℃のプレスにて10分間プレスし、得られたシートの変色性を下記規準に基づいて評価した。
◎:シートの変色がみられない。
○:若干変色がみられる。
×:著しい変色がみられた。
【0064】
(耐候性)ダイプラウィンテス製、メタルウェザーメーターにて曝露し、表面の艶の変化を下記規準に基づいて評価した。なお、試験条件は、照射、加湿、休止のサイクルを(Light 8時間、63℃、湿度70%、光強度80mW/cm、Dew 8時間、55℃、湿度90%、Rest 8時間,30℃、湿度98%)とする。
◎:艶の変化がみられない。
○:艶が若干低下した。
×:艶がほとんどなくなった。
【0065】
(加工性)表1、表2の配合比率で混合したコンパウンドの68gを用いて東洋精機ラボプラストミルで170℃ 50rpmの条件下で評価し、下記規準に基づいて評価した。なお、ここでまとまり性とは、プラストミルで粉体混合物であるコンパウンドの加熱混練の際のゲル化し易さの程度を意味する。
◎:まとまり性が非常に早い。
○:まとまり性が早い。
×:まとまり性が遅い。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【0068】
上記表1の結果より、ハロゲン含有樹脂において、平均粒径が0.02μmの微細酸化亜鉛を配合した樹脂組成物は、従来の性能(加工性等)を損なうことなく、耐熱性、耐候性を著しく改善できることが明らかである。その物性は、鉛系安定剤を使用した場合とほぼ同等である。
【0069】
実施例8〜14、比較例8〜11
表3に示す配合からなる原料をスーパーミキサーで10分混合した後、175℃のテストロールで混練し、0.1mmの農業用塩化ビニル系樹脂フィルムに成形した。得られたフィルムを下記方法にてふきだし性、促進耐候性、フィルム透明性、プレートアウトについて評価した。結果を表3に示す。
【0070】
[試験方法]
(1)ふきだし性
得られたフィルムを40℃の水に24時間浸漬した後、23℃で2時間放置したときのフィルム表面のふきだしを目視にて評価。
◎・・・ふきだしが認められない
○・・・ふきだしがわずかに認められる
△・・・ふきだしが認められる
×・・・ふきだしが多く認められる
××・・・ふきだしが著しく多く認められる
【0071】
(2)促進耐候性
得られたフィルムを促進耐侯性試験機(ダイプラウィンテス社製、商品名「ダイプラ・メタルウエザー」に供し、100時間後のフィルム外観の劣化変化を目視にて評価した。なお、試験条件は、照射、加湿、休止のサイクルを(Light 8時間、63℃、湿度70%、光強度80mW/cm、Dew 8時間、55℃、湿度90%、Rest 8時間,30℃、湿度98%)とする。
◎・・・褐変が認められない
○・・・褐変がわずかに認められる
△・・・褐変が認められる
×・・・褐変が多く認められる
××・・・全面に褐変が認められる
【0072】
(3)フィルム透明性
得られたフィルムを濁度計(日本電色工業(株)製、商品名「NDH−300A」)にて濁度を測定し透明性を評価した。
◎・・・濁度0〜5%未満
○・・・濁度5〜10%未満
△・・・濁度10〜15%未満
×・・・濁度15〜20%未満
××・・・濁度20%以上
【0073】
(4)プレートアウト
得られたフィルム80gを185℃のテストロールで混練し、プレートアウトの発生量をみた。
◎・・・認められない
○・・・わずかに認められる
△・・・認められる
×・・・多く認められる
××・・・著しく多く認められる
【0074】
【表3】

【0075】
表3の結果から、実施例のフィルムは、フィルムの透明性を維持したままで、ふきだし抑制性、耐候性、加工性において優れた性質を有するものであることが明らかである。このような性質を有することから、これらは農業用シートへの使用に適したものであることが明らかである。
【0076】
実施例15〜20、比較例12〜14
表4に示す配合からなる塩化ビニル系樹脂組成物をスーパーミキサーで10分混合した後、175℃のテストロールで混練後、0.15mmの半硬質塩化ビニル系樹脂フィルムに成形し、上記実施例8〜14及び比較例8〜11と同様の方法にて促進耐侯性、フィルム透明性、プレートアウトについて評価した。結果を表4に示す。
【0077】
【表4】

【0078】
表4の結果から、実施例のフィルムは、フィルムの透明性を維持したままで、耐候性、加工性において優れた性質を有するものであることが明らかである。このような性質を有することから、これらは被覆用フィルムへの使用に適したものであることが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明のハロゲン含有樹脂組成物は、特に用途を限定するものではなく、種々の用途に使用することができる。主な用途としては、例えば、住宅用の異型建材、ハウス(温室)、トンネル栽培等に使用する農業用シート;鋼板や合板の被覆用フィルム;帆布;養生ネット等を挙げることができる。また、用途に応じて、フィルム、繊維、成形体等の各種形態に成形して使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径0.01〜0.05μmの酸化亜鉛粒子からなることを特徴とするハロゲン含有樹脂用安定化剤。
【請求項2】
平均粒径0.01〜0.05μmの酸化亜鉛粒子及びハロゲン含有樹脂を含有することを特徴とするハロゲン含有樹脂組成物。
【請求項3】
0.01〜0.05μmの平均粒径の酸化亜鉛粒子は、ハロゲン含有樹脂100質量部に対して0.01〜1.0質量部の割合である請求項2記載のハロゲン含有樹脂組成物。
【請求項4】
更に、ハイドロタルサイト化合物、多価アルコール化合物、有機酸カルシウム塩、有機酸亜鉛塩、有機リン酸金属塩、β−ジケトン、β−ジケトンの金属塩からなる群から選択される少なくとも1の成分を含有する請求項2又は3記載のハロゲン含有樹脂組成物。
【請求項5】
更に、可塑剤、滑剤、0.01〜0.05μmの平均粒径の酸化亜鉛粒子以外の安定化剤、界面活性剤、防霧剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定化剤、充填剤、酸化防止剤、帯電防止剤及び着色剤からなる群から選択される少なくとも1の成分を含有する請求項2、3又は4記載のハロゲン含有樹脂組成物。
【請求項6】
請求項2、3又は4記載のハロゲン含有樹脂組成物からなることを特徴とする住宅異型建材。
【請求項7】
請求項2、3又は5記載のハロゲン含有樹脂組成物からなることを特徴とする農業用シート。
【請求項8】
請求項2、3又は5記載のハロゲン含有樹脂組成物からなることを特徴とする被覆用フィルム。

【公開番号】特開2006−124502(P2006−124502A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−314288(P2004−314288)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000174541)堺化学工業株式会社 (96)
【出願人】(000162157)共同薬品株式会社 (7)
【Fターム(参考)】