説明

ハンズフリー情報入力装置

【課題】気体圧力の変動を利用して、操作者の両手を塞がないようにハンズフリー状態で、被読取り媒体からの情報を読み取って入力させる操作が確実にできるハンズフリー情報入力装置を提供する。
【解決手段】ハンズフリー情報入力装置10は、被読み取り媒体からの情報100を読み取る読み取り部11と、読み取り部11により読み取られた情報100を識別する本体部20と、気体圧力の変動より情報100を本体部20に入力させるための情報入力用信号S2を形成する情報入力用信号形成手段50と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンズフリー情報入力装置に関し、特にハンズフリー状態で被読取り媒体からの情報を読み取って入力するハンズフリー情報入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手持ち式の情報入力装置としては、バーコード読み取り機能部やRFタグ(無線タグ)の読み取り機能部を有するものが商品化されている。この種の手持ち式の情報入力装置を使用する場合には、操作者が一方の手で装置を保持し、もう一方の手で操作スイッチを押し下げながら使用するのが一般的である。しかし、このような操作の場合には、両手がふさがってしまうために他の作業ができない等の不便さがある。
【0003】
そこで、操作者が他の作業を同時に行えるようにするために両手を塞がないような光学式の情報入力装置が提案されており、光学式の情報入力装置の情報の読取り部が操作者の一方の腕の指に装着され、本体は他方の腕に装着されている。情報の読取り部は、光ビームを読み取るべき情報に対して照射して、その反射光を一方の腕側の受信部で検出して、この反射光に基づく読み取るべき情報信号は、一方の腕側の受信部から他方の腕側の本体側にラジオ周波数送信により通信するようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平8−263581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような光学式の情報入力装置を用いる場合には、操作者の両手を塞がないようにして、操作者が光ビームを用いて読み取るべき情報を読み取る動作を確実に指示できることが求められる。
そこで、本発明は、読み取り開始を指示するに際し、操作者の両手が塞がっていてもハンズフリー状態で、被読取り媒体からの情報を読み取って入力させる操作が確実にできるハンズフリー情報入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のハンズフリー情報入力装置は、被読み取り媒体からの情報を読み取る読み取り部と、前記読み取り部により読み取られた前記情報を識別する本体部と、気体圧力の変動より前記情報を前記本体部に入力させるための情報入力用信号を形成する情報入力用信号形成手段と、を備えることを特徴とする。
本発明のハンズフリー情報入力装置では、好ましくは前記情報入力用信号形成手段は、前記操作者の呼吸圧の変動を発生させる呼吸圧変動発生部と、前記本体部に設けられて前記操作者の前記呼吸圧の変動を検出する呼吸検知部と、を有する。
【0006】
本発明のハンズフリー情報入力装置では、好ましくは前記読み取り部は、前記被読み取り媒体からの前記情報を光学的に読み取るカメラ部と、前記被読み取り媒体を照明する照明用光源とを有し、前記呼吸検知部は圧力センサを有しており、前記呼吸圧変動発生部は、前記操作者の呼気圧と吸気圧を前記呼吸検知部に付与するチューブ状部材である。
本発明のハンズフリー情報入力装置では、好ましくは前記呼吸圧変動発生部は、前記本体部に対して着脱可能に接続する接続具を有する。
【0007】
本発明のハンズフリー情報入力装置では、好ましくは前記呼吸検知部は、前記呼気の情報と、前記吸気の情報と、無呼吸状態の情報とを検知する。
本発明のハンズフリー情報入力装置では、好ましくは前記呼吸検知部が検出した前記呼気の情報と前記吸気の情報の少なくとも一方に基づいて、前記被読取り媒体からの前記情報を読み取る動作モードの選択と、前記動作モードの開始が指示される。
【0008】
本発明のハンズフリー情報入力装置では、好ましくは前記呼吸圧変動発生部は、カニューラである。
本発明のハンズフリー情報入力装置では、好ましくは前記情報入力用信号形成手段は、 押圧することで空気圧の変動を発生させる空気圧変動発生部と、前記空気圧の変動を検出する検知部と、を有する。
【0009】
本発明のハンズフリー情報入力装置では、好ましくは前記本体部は、前記読み取られた前記情報の識別結果を蓄積するデータ集積部と、動作の開始と動作モードの選択をするスイッチ部を有する。
本発明のハンズフリー情報入力装置では、好ましくは前記本体部には、前記読み取られた前記情報を識別して識別結果を生成する識別部が配置され、前記読み取り部は、前記本体部とは別体であり、前記読み取り部は第1被装着部位に対して装着するための第1装着具を有し、前記本体部は第2被装着部位に対して装着するための第2装着具を有する。
【0010】
本発明のハンズフリー情報入力装置では、好ましくは前記本体部には、前記読み取られた情報を識別して識別結果を生成する識別部が配置され、前記読み取り部と前記識別部は、前記本体部に設けられており、前記本体部は被装着部位に対して装着するための装着具を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、気体圧力の変動を利用して、操作者の両手を塞がないようにハンズフリー状態で、被読取り媒体からの情報を読み取って入力させる操作が確実にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のハンズフリー情報入力装置の好ましい第1実施形態の外観を示す斜視図である。
図1に示すハンズフリー情報入力装置10は、気体圧力の変動を利用して、操作者の両手を塞がないようにハンズフリー状態で、被読取り媒体からの情報、例えばバーコードなどを読み取って入力させる操作を確実にできる装置である。
【0013】
図1に示すハンズフリー情報入力装置10は、読み取り部11と、本体部20と、情報入力用信号形成手段50とを備える。読み取り部11は、被読み取り媒体からのバーコードなどの情報を光学的に読み取る。本体部20は、読み取り部11により読み取られた情報の識別やデータの集積などを行う。
図1に示す情報入力用信号形成手段50は、本体部20に設けられて操作者の呼吸動作による圧力変動を検出する呼吸検知部46と、呼吸動作の圧力変動を呼吸検知部46に伝える呼吸圧変動発生部51と、を有する。
【0014】
呼吸圧変動発生部51は、図1の例ではカニューラである。呼吸圧変動発生部51により得られる呼吸動作変動は、気体圧力の変動の一例として呼吸検知部46に供給される。呼吸検知部46は、被読取り媒体からの情報を本体部20に入力させるための情報入力用信号を形成する。
図1に示すハンズフリー情報入力装置10は、読み取り部11と本体部20とが分離された読み取り部分離型の情報入力装置であり、読み取り部11と、本体部20と、情報入力用信号形成手段50は、別部材である。
【0015】
図1に示す読み取り部11は、第1装着具12とケース13を有する。第1装着具12は、第1被装着部位に対してケース13を装着するため部材である。ケース13の背面部には第1装着具12が取り付けられている。この第1装着具12は、例えば穴あきベルト状の部材である。第1装着具12は第1被装着部位としての例えば操作者の指に対して、読み取り部11のケース13を着脱可能に装着する。
【0016】
図1に示す本体部20は、ケース21と第2装着具22を有する。第2装着具22は、第2被装着部位に対してケース21を装着するための部材である。ケース21は例えば直方体形状を有しており、ケース21の背面部30には、第2装着具22が取り付けられている。この第2装着具22は、例えば穴あきベルト状の部材である。第2装着具22は第2被装着部位としての例えば操作者の腕に対して、本体部20のケース21を着脱可能に装着する。
【0017】
このため、第2装着具22は操作者の腕に巻き付けることができる長さを有し、第1装着具12は操作者の指に巻き付けることができる長さを有している。
図1に示す本体部20は、開始スイッチ23,選択スイッチ24,表示部25,挿入接続部26,そして電気接続端子部27を有している。開始スイッチ23と選択スイッチ24と表示部25は、ケース21の正面部28に配置されている。表示部25は、例えば液晶表示装置(LCD)などを用いるが、特に限定されない。挿入接続部26と電気接続端子部27は、側面部29に配置されている。
【0018】
読み取り部11は、信号ケーブル30の一端部に接続され、本体部20の電気接続端子部27は、信号ケーブル30の他端部に接続されている。電気接続端子部27と信号ケーブル30の他端部とは、例えば着脱可能に接続されている。
図1に示す情報入力用信号形成手段50の呼吸圧変動発生部51は、既に述べたように操作者の呼吸時の圧力を本体部20側に伝達するためのカニューラである。操作者の呼吸時の呼気の圧力と吸気の圧力は、通常生活している際の呼吸の強さとは異なり、より強い呼気の圧力と吸気の圧力をカニューラに対して供給する。
【0019】
呼吸圧変動発生部51は、操作者の2つの鼻の穴に挿入するための2つの挿入突起部31,31と、2つの挿入突起部31,31にそれぞれ接続されたフレキシブルな第1チューブ32,32と、第1チューブ32,32を本体部20の挿入接続部26に対して接続するフレキシブルな第2チューブ33を有している。第2チューブ33の端部は、本体部20の挿入接続部26に対して着脱可能に固定する接続具34を有する。
【0020】
これにより、読み取り部11は、信号ケーブル30を用いて本体部20に対して着脱可能に装着して電気的に接続でき、しかも情報入力用信号形成手段40は、本体部20に対して着脱可能に装着できる。従って、読み取り部11と電気接続端子部27は、使用しないときには必要に応じて本体部20から分離して収納することができる。
次に、図2を参照して、読み取り部11と本体部20の各回路構成例を説明する。
【0021】
読み取り部11は、CCD(電荷結合素子)カメラ部40と,読み取り制御部41と,照明用光源42を有する。CCDカメラ部40と照明用光源42は、読み取り制御部41に電気的に接続されており、読み取り制御部41は、CCDカメラ部40の動作と照明用光源42のオンオフ操作を制御する。
CCDカメラ部40は、被読み取り媒体のエリア内の情報を読み取るエリアセンサカメラである。照明用光源42は、被読み取り媒体のエリア内の情報に対して、情報を確実に光学的に読み取れるように照明光を照射する。照明用光源42は、例えばLED(発光ダイオード)や通常のフィラメントを用いたランプなどを採用できる。
【0022】
読み取り制御部41の指令により、CCDカメラ部40は被読み取り媒体から取得した情報を画像信号として取り込むことができ、取り込んだ情報は、CCDカメラ部40から読み取り制御部41に送られる。
図2に示す本体部20は、読み取り識別部43,データ集積部44,通信部45,呼吸検知部46,表示部25,スイッチ部48,そしてCPU(中央処理装置)部47を有する。
【0023】
スイッチ部48は、開始スイッチ23と選択スイッチ24を有する。読み取り識別部43,データ集積部44,通信部45,呼吸検知部46,表示部25,スイッチ部48は、CPU部47に対して電気的に接続されている。CPU部47は、読み取り識別部43,データ集積部44,通信部45,呼吸検知部46,表示部25の動作を制御する。
図2の本体部20の読み取り識別部43と、読み取り部11の読み取り制御部41とは、信号ケーブル30により接続されている。
【0024】
読み取り識別部43は、読み取り制御部41から信号ケーブル30を介して送られてくる被読み取り媒体からの情報の信号Sを識別して、読み取り識別結果S1をCPU部47に与える。CPU部47は、読み取り識別部43からの読み取り識別結果S1を、データ集積部44に集積させる。
スイッチ部48の開始スイッチ23は、被読み取り媒体からの情報の読み取り動作の開始を行うための動作開始用の押圧スイッチである。スイッチ部48の選択スイッチ24は、読み取り動作の動作モードを選択するための押圧スイッチである。
【0025】
図2に示す表示部25は、本体部20の動作状態と読み取り部11の読み取り動作状態を表示する。表示部25は、図1に例示するように、例えば、被読み取り媒体からの情報を読み取れたかどうかの読み取り結果や、本体部20の読み取り識別部43が識別した読み取り識別結果S1の内容、データ集積部44に集積されている複数の読み取り識別結果S1の内容、読み取り開始状態かどうか、などの各種通知情報を表示することができる。
【0026】
図2に示す呼吸検知部46は、操作者の呼吸動作により発生する正圧力と負圧力を電気信号に変換して、本体部20に入力させる情報入力用信号S2を形成してCPU部47に与える圧力センサを有している。図2に示す通信部45は、CPU部47と図示しない外部装置との間で情報の交換をする。
なお、開始スイッチ23による動作開始と、選択スイッチ24による動作モード選択は、開始スイッチ23と選択スイッチ24に代えて、図1に示す情報入力用信号形成手段50により行うことができる。すなわち、開始スイッチ23による動作開始と、選択スイッチ24による動作モード選択は、情報入力用信号形成手段50による指示とは別に、開始スイッチ23と選択スイッチ24を操作者の指で押すことで行えるようになっている。
【0027】
このように、情報入力用信号形成手段50に加えて、開始スイッチ23と選択スイッチ24が予備的に本体部20に配置されている。これにより、例えば情報入力用信号形成手段50の呼吸圧変動発生部51が不調であるなどの場合には、情報入力用信号形成手段50の呼吸圧変動発生部51に代わって、操作者は開始スイッチ23による動作開始と、選択スイッチ24による動作モード選択を手動で行うことができる。操作者は、呼吸動作による圧力変動を利用して動作開始や動作モードの変更などを行えるばかりか、操作者は手動スイッチを用いて手動でも動作開始や動作モードの変更を行うことができ、ハンズフリー情報入力装置10の利便性が向上する。
【0028】
図3は、図2に示す呼吸検知部46の回路構成例を示している。
図3に示すように、呼吸検知部46は、上述した圧力センサ53,増幅部54,A/D(アナログ−デジタル)変換器55,そして呼気、吸気判定部56を有している。
この圧力センサ53は、例えば株式会社フジクラ製のセンサ素子/ゲージ圧(一例として型式:FGMC−307PGSR)を用いることができるが、特に限定されない。
【0029】
図3に示す第2チューブ33の端部は、本体部20の挿入接続部26に対して接続具34を用いて着脱可能に固定される。呼吸圧変動発生部51の2つの挿入突起部31,31は、操作者の2つの鼻の穴に挿入され、操作者の呼吸動作圧力が圧力センサ53に伝達される。
圧力センサ53は、操作者の呼吸動作による圧力変化を電気信号S3に変換して、この電気信号S3は増幅部54により増幅されて呼吸信号S4が生成される。この呼吸信号S4は、A/D変換器55によりアナログ−デジタル変換されて、デジタル信号S5として呼気、吸気判定部56に入力される。呼気、吸気判定部56は、デジタル信号S5に基づいて呼気なのか吸気なのかを判定して、CPU部47に対して情報入力用信号S2を与える。
【0030】
ここで、情報入力用信号S2の好ましい態様例を、図4と図5を参照して説明する。
図4は、本発明の好ましい実施形態における呼吸検知部46が検知した呼気と吸気による情報入力用信号S2の例を示している。図5は、呼気と吸気の少なくとも一方により構成された情報入力用信号S2の例を示している。図5(A)〜図5(D)に示す各情報入力用信号S2は、それぞれ異なる各種の動作指示内容を表している。
【0031】
図4を参照すると、図3に示す呼気、吸気判定部56から生成される情報入力用信号S2は、無呼吸信号S10と、吸気信号S11と、呼気信号S12を有する。呼気、吸気判定部56は、図3の圧力センサ53の電気信号S3のオフセット値を無呼吸信号S10とする。そして、呼気、吸気判定部56は、このオフセット値よりも大きい信号は、負圧信号としての吸気信号S11と判定し、オフセット値よりも小さい信号を正圧信号としての呼気信号S12と判定する。
【0032】
なお、呼気、吸気判定部56を用いずに、無呼吸信号S10と、吸気信号S11と、呼気信号S12は、圧力センサ53から常時入力するデジタル信号S5から、図2に示すCPU部47に記憶されたソフトウェアにより判定しても良い。
図5(A)では、操作者が吸気動作を1回行った時に発生するシングル吸気信号S11を表している。この1回の吸気信号S11を生成することで、図2に示す呼吸検知器46の情報入力用信号S2は、CPU部47に対して動作モードの更新指示を行う。
【0033】
図5(B)では、操作者が呼気動作を2回続けて行った時に発生するダブル呼気信号S12を表している。2回の呼気信号S12を生成することで、図2に示す呼吸検知器46の情報入力用信号S2は、CPU部47に対して選択された動作モードの確定指示を行う。
図5(C)では、操作者が呼気動作を1回行った時に発生するシングル呼気信号S12を表している。この1回の吸気信号S12を生成することで、図2に示す呼吸検知器46の情報入力用信号S2は、CPU部47に対して情報の読み取り開始指示を行う。
【0034】
図5(D)では、操作者が吸気動作を2回続けて行った時に発生するダブル吸気信号S11を表している。2回の吸気信号S11を生成することで、図2に示す呼吸検知器46の情報入力用信号S2は、CPU部47に対して動作モードの終了指示を行う。
このように、呼気信号S12と吸気信号S11の少なくとも一方により構成された情報入力用信号S2は、互いに異なる動作の指示を、CPU部47に対して行うことができる。
【0035】
次に、上述したハンズフリー情報入力装置10の使用方法例を説明する。
図6と図7は、本発明のハンズフリー情報入力装置10が、実際に操作者Mに対して装着されている様子を示している。
図6と図7に示す例では、被読み取り媒体は物品101であり、情報としてのバーコード100は物品101に形成されている。読み取り部11は、操作者Mの手200の例えば人差し指201に対して、第1装着具12を用いて着脱可能に固定される。
【0036】
本体部20は、操作者Mの腕202に対して、第2装着具22を用いて着脱可能に固定される。呼吸圧変動発生部51の2つの挿入突起部31は、操作者Mの2つの鼻210の穴に挿入するとともに、例えば図6に示すように、第1チューブ32,32は鼻210から耳211にかけて装着する。
このようなハンズフリー情報入力装置10の装着状態では、図6に示すように操作者Mは、本体部20の表示部25に表示された内容を直接目視で確認することができる。
【0037】
本体部20の表示部25に表示された内容が、初期画面状態にあるときには、操作者Mは図5(A)に示す1回の吸気を発生させてシングル吸気信号S11を生成して、動作モードを選択し、そして図5(B)に示す2回の呼気を発生させてダブル呼気信号S12を生成して、動作モードを確定する。
次に、図6と図7に示す読み取り部11の図2に示すCCDカメラ部40をバーコード100に接近させて、操作者Mは図5(C)に示す1回の呼気を発生させてシングル呼気信号S12を生成すると、図2のCCDカメラ部40はバーコード100を光学的に撮像して、読み取り制御部41がCCDカメラ部40を介してバーコード100を読み取る。
【0038】
読み取り部11によるバーコード100の読み取り動作を終了する場合には、操作者Mは図5(D)に示す2回の吸気を発生させてダブル吸気信号S11を生成すると、図2のCPU部47は読み取り動作を終了させる。
図6と図7に示すように、読み取り部11は、操作者Mの手200の例えば人差し指201に対して固定され、本体部20は、操作者Mの腕202に対して固定される。このため、図示しない左の手と図6に示す右の手200と両手の指は自由に使うことができ、左の手と右の手200は、バーコード100を読み取りながら他の作業をすることができる。
【0039】
そして、操作者Mは鼻の穴から呼吸圧変動発生部51の2つの挿入突起部31,31と、第1チューブ32,32と、第2チューブ33を用いて、圧力センサに対して図5に示すようにコード化した動作指示信号を送ることができる。従って、ハンズフリー情報入力装置10は、操作者の呼気の圧力と吸気の圧力を用いて、すなわち呼吸圧の変動を用いて、操作者の両手を塞がないようにして、ハンズフリー状態で被読取り媒体からのバーコード100を読み取って本体部20側に入力させる動作が可能である。
【0040】
図8は、図5に示す呼気と吸気の少なくとも一方により構成された情報入力用信号S2とは異なる情報入力用信号S2の例を示している。
図8(A)では、例えば2つの吸気信号S11が生成されているが、各吸気信号S11の波形高さが異なるようにしても良い。
また、図8(B)では、2つの吸気信号S11が生成されているが、それぞれの吸気信号S11の幅が異なる。
【0041】
図8(C)では、3つの吸気信号S11が生成されているが、この中で2つの各吸気信号S11の波形高さが同じであるが、残りの1つの吸気信号S11の波形高さが残りの吸気信号S11の波形高さとは異なる。
このように、高さや幅が異なる吸気信号や呼気信号を使用すれば、情報入力用信号S2は、各種の異なる動作指示をCPU部47に対して与えることができる。
【0042】
図8に示す例では、吸気信号S11について例をあげているが、これに限らず、吸気信号と呼気信号を組み合わせたり、呼気信号だけを使用しても良い。
なお、本発明の第1実施形態において、操作者の通常の呼吸動作による空気の圧力変動は、図4と図5に示すような吸気信号や呼気信号の信号レベルにはならずに、無呼吸信号のレベルで収まるので、通常の呼吸動作では吸気信号S11と呼気信号S12は形成されず、誤動作を起こすことはない。吸気信号S11と呼気信号S12は、操作者が意識して強く吸気動作を行ったり、呼気動作を行うことで生成される。
【0043】
次に、本発明のハンズフリー情報入力装置の別の実施形態を説明する。
以下に説明する本発明のハンズフリー情報入力装置の別の実施形態が、図1に示すハンズフリー情報入力装置の第1実施形態と同じ箇所には同じ符号を記してその説明を用いる。
図9は、本発明のハンズフリー情報入力装置の好ましい第2実施形態の外観を示す図である。
【0044】
図9に示す第2実施形態のハンズフリー情報入力装置10Aが、図1に示すハンズフリー情報入力装置10と異なるのは、情報入力用信号形成手段50Aである。情報入力用信号形成手段50Aは、蛇腹部151と、チューブ133と、接続具134を有しており、蛇腹部151はチューブ133と接続具134を介して、本体部20の挿入接続部26に対して着脱可能に接続されている。蛇腹部151とチューブ133は、P方向に押すことで、空気の圧力の変動を発生する空気圧変動発生部である。空気の圧力の変動は、空気圧変動検知部としての圧力センサ46に供給される。
【0045】
これにより、操作者は、蛇腹部151をP方向に押すだけで空気圧の変動を起こして、圧力センサ46に伝えるようになっている。
なお、蛇腹部151を押圧して空気圧の変動を生じさせる方法としては、口で銜えて蛇腹部151を噛んでも良いし、指と指の間、或いは指と掌の間で挟んで空気圧を発生させるようにしてもよい。
【0046】
上述の蛇腹部151を使用すると大きな容量が確保でき大きな空気圧変化を生じさせることが出来るが、単にチューブを折り曲げるだけでも圧力変化を発生させることができるので、感度の良いセンサーを適宜選択すれば、図9における蛇腹部151を省略することが出来る。空気圧の変動を生じさせる方法としては、上記と同様に、チューブ133を噛んでも良いし、指で挟んでもよい。
【0047】
図10は、本発明のハンズフリー情報入力装置の好ましい第3実施形態の外観を示す図である。
図10に示す第3実施形態のハンズフリー情報入力装置10Bが、図1に示すハンズフリー情報入力装置10と異なるのは、情報入力用信号形成手段50Bである。情報入力用信号形成手段50Bは、チューブ233と、接続具234を有しており、チューブ233は、接続具134を介して、本体部20の挿入接続部26に対して着脱可能に接続されている。チューブ233は、操作者がチューブ233の一端部を口でくわえて呼気動作による圧力と吸気動作による圧力を与えることで、空気の圧力の変動を圧力センサ46に付与するための空気圧変動発生部である。
【0048】
これにより、操作者は、チューブ233の一端部234を口でくわえて呼気と吸気を与えることで、空気圧の変動を起こして、空気圧変動検知部としての圧力センサ46に伝える。
図11は、本発明のハンズフリー情報入力装置の好ましい第4実施形態の外観を示す図である。
【0049】
図11に示す第3実施形態のハンズフリー情報入力装置10Cが、図1に示すハンズフリー情報入力装置10と異なるのは、情報入力用信号形成手段50Cである。情報入力用信号形成手段50Cは、チューブ333と、接続具334を有しており、チューブ333の一端部333Bは閉鎖されており、他端部333Cは接続具334を介して、本体部20の挿入接続部26に対して着脱可能に接続されている。
【0050】
押圧部材350は、スプリング351を介して、チューブ333に対して取り付けられている。例えば、操作者がこの押圧部材350を歯でくわえて、この押圧部材350をスプリング351の力に抗してK方向に押すことでチューブ333は弾性変形する。このチューブ333の弾性変形により、空気の圧力の変動は圧力センサ46に供給される。このチューブ333と押圧部材350とスプリング351は、空気変動発生部を構成している。
【0051】
これにより、操作者は、手や指ではなく歯で押圧部材350をK方向に押すことで、空気圧の変動を起こして、圧力センサ46に伝えることができる。
図12は、本発明のハンズフリー情報入力装置の好ましい第5実施形態の外観を示す図である。
上述したハンズフリー情報入力装置10,10A,10B,10Cは、読み取り部11と本体部20が分離された読み取り部分離型の情報入力装置である。これに対して、図12に示すハンズフリー情報入力装置10Dは、読み取り部11と本体部20が一体化された読み取り部一体型の情報入力装置である。これにより、ハンズフリー情報入力装置の部品点数を削減することができる。
【0052】
本体部20の上側の側面部29Bには、読み取り部11が組み込まれている。本体部20の下側の側面部29Cには挿入接続部26が配置されている。正面部28には、表示部25,開始スイッチ23,選択スイッチ24が配置されている。図12のハンズフリー情報入力装置10Dの動作と使用方法は、図1に示すハンズフリー情報入力装置10と同様で、読み取り部11を例えばバーコードに差し向け、情報入力用信号形成手段50からの読み取りタイミングで情報を読み取る。
【0053】
以上説明したように、本発明の実施形態のハンズフリー情報入力装置10は、被読み取り媒体からの情報を読み取る読み取り部11と、読み取り部11により読み取られた情報(例えばバーコード100)を識別する本体部20と、気体圧力の変動より情報を本体部20に入力させるための情報入力用信号S2を形成する情報入力用信号形成手段50と、を備える。
【0054】
これにより、気体圧力の変動を利用して、操作者の両手を塞がないようにハンズフリー状態で、被読取り媒体からの情報を読み取って入力させる操作が確実にできる。
また、情報入力用信号形成手段50は、操作者の呼吸圧の変動を発生させる呼吸圧変動発生部51と、本体部20に設けられて操作者の呼吸圧の変動を検出する呼吸検知部46と、を有する。これにより、操作者が呼吸圧の変動を利用して、操作者の両手を塞がないようにハンズフリー状態で、被読取り媒体からの情報を読み取って入力させる操作が確実にできる。
【0055】
さらに、読み取り部11は、被読み取り媒体からの情報を光学的に読み取るカメラ部40と、被読み取り媒体を照明する照明用光源42とを有している。そして、呼吸検知部46は圧力センサ53を有しており、呼吸圧変動発生部51は、操作者の呼気圧と吸気圧を呼吸検知部46に付与するチューブ状部材である。これにより、被読み取り媒体からの情報は、照明を当てながら光学的に確実に読み取りことができ、呼吸圧変動発生部51は呼吸検知部46に対して操作者の呼気圧と吸気圧を確実に送ることができる。
【0056】
呼吸圧変動発生部51は、本体部20に対して着脱可能に接続する接続具34を有する。これにより、呼吸圧変動発生部51を使用しないときには、呼吸圧変動発生部51は本体部20から外して収納することができる。
呼吸検知部46は、呼気の情報と、吸気の情報と、無呼吸状態の情報とを検知する。これにより、無呼吸状態に対して呼気と吸気を区別して検知でき、操作者は呼気と吸気の少なくとも一方を用いて各種の情報入力用信号を形成できる。
【0057】
呼吸検知部46が検出した呼気の情報と吸気の情報の少なくとも一方に基づいて、被読取り媒体からの情報を読み取る動作モードの選択と、動作モードの開始が指示される。これにより、操作者は動作モードの選択と動作モードの開始を指示でき、操作者は容易に情報入力ができる。
呼吸圧変動発生部51は、カニューラである。これにより、一般に使用されているカニューラを用いることができ、新たに設計する必要がないのでコストダウンが図れる。
【0058】
情報入力用信号形成手段50は、押圧することで空気圧の変動を発生させる空気圧変動発生部50Aと、空気圧の変動を検出する検知部46と、を有する。これにより、操作者は、押圧することで空気圧の変動を発生させるだけで、操作者の両手を塞がないようにハンズフリー状態で、被読取り媒体からの情報を読み取って入力させる操作が確実にできる。
【0059】
本体部20は、読み取られた情報の識別結果を蓄積するデータ集積部44と、動作の開始と動作モードの選択をするスイッチ部48を有する。これにより、読み取られた情報の識別結果はデータ蓄積部44により蓄積でき、スイッチ部48を押すだけで、動作の開始と動作モードの選択ができる。
本体部20には、読み取られた情報を識別して識別結果を生成する識別部43が配置され、読み取り部11は、本体部20とは別体である。読み取り部11は第1被装着部位に対して装着するための第1装着具12を有し、本体部20は第2被装着部位に対して装着するための第2装着具22を有する。これにより、読み取り部11と本体部20は、所望の部位に対してそれぞれ装着でき、使用勝手が向上する。
【0060】
本体部20には、読み取られた情報を識別して識別結果を生成する識別部43が配置され、読み取り部11と識別部43は、本体部20に設けられている。本体部20は被装着部位に対して装着するための装着具22を有する。これにより、読み取り部11と識別部43は本体部20に設けられているので、構成部品の点数を減らすことができ、本体部20は所望の部位に対して装着でき、取り扱いが容易である。
【0061】
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。
例えば、図示の本発明の実施形態のハンズフリー情報入力装置は、腕と指に対して着脱可能に装着して、被読取り媒体からの情報であるバーコードを読み取って入力する例であるが、本発明のハンズフリー情報入力装置はこれに限らず、他の種類の情報を読み取るための携帯端末として適用することができる。例えば他の情報としては、被読み取り媒体に配置されたRFIDタグなどである。
【0062】
第1装着具12と第2装着具22はベルト状のものに限らず、面ファスナーを用いても良い。この面ファスナーは、一方の面にはオス型突起が形成され、他方の面にはメス形突起が形成されており、オス型突起とメス形突起を着脱可能に係合できる。
図1に示すように、読み取り部11と本体部20は、信号ケーブル30により有線で接続されているが、読み取り部11と本体部20は、無線によって通信が行われる構成としても良い。
【0063】
図6と図7に示す使用例では、読み取り部11は、操作者Mの手200の例えば人差し指201に対して、第1装着具12を用いて着脱可能に固定されているが、これに限らず操作者Mの手200の例えば中指あるいはその他の指に固定しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明のハンズフリー情報入力装置の好ましい第1実施形態の外観を示す斜視図。
【図2】図1に示すハンズフリー情報入力装置の回路構成を示すブロック図。
【図3】図2に示す呼吸検知部の構成例を示すブロック図。
【図4】本発明の好ましい実施形態における呼吸検知部が検知した呼気と吸気による情報入力用信号S2の例を示す線図。
【図5】呼気と吸気の少なくとも一方により構成された情報入力用信号S2の例を示す線図。
【図6】本発明のハンズフリー情報入力装置が、実際に操作者Mに対して装着されている様子を示す斜視図。
【図7】図6の一部を拡大して示す斜視図。
【図8】本発明の好ましい実施形態における呼吸検知部が検知した呼気と吸気による情報入力用信号S2の別の例を示す線図。
【図9】本発明のハンズフリー情報入力装置の好ましい第2実施形態の外観を示す概略構成図。
【図10】本発明のハンズフリー情報入力装置の好ましい第3実施形態の外観を示す概略構成図。
【図11】本発明のハンズフリー情報入力装置の好ましい第4実施形態の外観を示す概略構成図。
【図12】本発明のハンズフリー情報入力装置の好ましい第5実施形態の外観を示す概略構成図。
【符号の説明】
【0065】
10 ハンズフリー情報入力装置
11 読み取り部
12 第1装着具
20 本体部
22 第2装着具
30 信号ケーブル
50 情報入力用信号形成手段
51 呼吸圧変動発生部
S10 無呼吸信号
S11 吸気信号
S12 呼気信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被読み取り媒体からの情報を読み取る読み取り部と、
前記読み取り部により読み取られた前記情報を識別する本体部と、
気体圧力の変動より前記情報を前記本体部に入力させるための情報入力用信号を形成する情報入力用信号形成手段と、
を備えることを特徴とするハンズフリー情報入力装置。
【請求項2】
前記情報入力用信号形成手段は、
前記操作者の呼吸圧の変動を発生させる呼吸圧変動発生部と、
前記本体部に設けられて前記操作者の前記呼吸圧の変動を検出する呼吸検知部と、
を有する請求項1に記載のハンズフリー情報入力装置。
【請求項3】
前記読み取り部は、前記被読み取り媒体からの前記情報を光学的に読み取るカメラ部と、前記被読み取り媒体を照明する照明用光源とを有し、
前記呼吸検知部は圧力センサを有しており、前記呼吸圧変動発生部は、前記操作者の呼気圧と吸気圧を前記呼吸検知部に付与するチューブ状部材である請求項2に記載のハンズフリー情報入力装置。
【請求項4】
前記呼吸圧変動発生部は、前記本体部に対して着脱可能に接続する接続具を有する請求項3に記載のハンズフリー情報入力装置。
【請求項5】
前記呼吸検知部は、前記呼気の情報と、前記吸気の情報と、無呼吸状態の情報とを検知する請求項3または請求項4に記載のハンズフリー情報入力装置。
【請求項6】
前記呼吸検知部が検出した前記呼気の情報と前記吸気の情報の少なくとも一方に基づいて、前記被読取り媒体からの前記情報を読み取る動作モードの選択と、前記動作モードの開始が指示される請求項5に記載のハンズフリー情報入力装置。
【請求項7】
前記呼吸圧変動発生部は、カニューラである請求項6に記載のハンズフリー情報入力装置。
【請求項8】
前記情報入力用信号形成手段は、
押圧することで空気圧の変動を発生させる空気圧変動発生部と、
前記空気圧の変動を検出する検知部と、
を有する請求項1に記載のハンズフリー情報入力装置。
【請求項9】
前記本体部は、前記読み取られた前記情報の識別結果を蓄積するデータ集積部と、動作の開始と動作モードの選択をするスイッチ部を有する請求項1〜8のいずれか1つの項に記載のハンズフリー情報入力装置。
【請求項10】
前記本体部には、前記読み取られた前記情報を識別して識別結果を生成する識別部が配置され、前記読み取り部は、前記本体部とは別体であり、
前記読み取り部は第1被装着部位に対して装着するための第1装着具を有し、
前記本体部は第2被装着部位に対して装着するための第2装着具を有する請求項9に記載のハンズフリー情報入力装置。
【請求項11】
前記本体部には、前記読み取られた情報を識別して識別結果を生成する識別部が配置され、前記読み取り部と前記識別部は、前記本体部に設けられており、
前記本体部は被装着部位に対して装着するための装着具を有する請求項9記載のハンズフリー情報入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−26124(P2009−26124A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189495(P2007−189495)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(390035884)株式会社ウェルキャット (18)
【Fターム(参考)】