説明

ハンドピース型熔着ブラシ及びその製造方法。

【課題】製造方法を現状の植え込みカシメ方式から熔着に変更することにより、一工程で数百個の商品の製造を可能とし、又、品質においても糸材の形状等による価格のバラツキも少なく抜け毛の少ない商品を提供する。
【解決手段】金型内に挿入された糸材群先端部を熔解成形し、棒状ブラシを適正寸法にカットし、完成した棒状ブラシ素子を先端部に筒状円孔を有する本体軸に挿入接着する。糸材成分が研磨砥粒入りであり、糸材成分が金属であることを特徴とし、糸材形状が波状であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動工具に取り付け使用する、ハンドピース型熔着ブラシ及び、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電動工具に取り付け、加工品表面を研磨するハンドピース型ブラシの製造方法は下記のようなものであった。
【0003】
市販される歯ブラシに代表されるように、本体に開けられた小孔の中にU字に曲げられた糸材群を挿入し中央部分に金属性止め板を打ち込むことにより仮止め状態とする。
【0004】
次に、本体挿入小孔の先端部分をカシメることにより抜け毛を防止し研磨ブラシとなる。
【0005】
最終工程として、ブラシ毛丈を適正寸法にカットし商品とする。
【0006】
上記製造方法は、全ての作業工程が自動化されている訳ではなく糸材群挿入、カシメ工程に関してはヨーロッパで考案された機械を永年使用しているのが現状である。
【発明の開示】

【発明者が解決しようとする課題】
【0007】
現状の製造方法では製造量に問題があった。具体的にいえば時間当り数十個の製造が限界と考えられる。又、ブラシに関する知識や経験が製造者に必要でありマニュアル化することが難しいと考えられていた。
【0008】
現状の製造方法で全自動化も考えられるが、歯ブラシ等と比較し、需要が少ない事から飛躍的に生産個数が伸びない限り、メーカーとしても設備に対し大きな費用を投資することができないのが事実である。しかし、ハンドピース型ブラシは歯科界、貴金属業界など生活、医療分野等で使用されるため技術向上による価格ダウンは必要不可欠である。
【0009】
また、現状の製造方法ではブラシに使用される糸材において、糸径の太い製品(例えば糸径0.5m/m以上)においては製造が難しく高価格となり、需要が伸びないのも事実である。
【0010】
糸材の形状に関係なく、小さな設備費用で各種のハンドピース型ブラシの大量生産方法を考えた。
【0011】
現状の製造方法である植え込み方法から、熔着方法に変更することにより製造量を飛躍的に伸ばすことが可能となった。
【0012】
又、熔着方法にすることで、カシメ工程もなくなり、設備としても簡単なものとなった。
【発明の効果】
【0013】
熔解成形により製造されるハンドピース型ブラシは、市販品と違い糸材径が太い商品(例えば糸径0.5m/m以上)で現状の製造方法ではコスト高となっている商品に対しても、安価で製造できる。
【0014】
生産量に対しても、工程に対し1個の製造では現状品と大差はないが、熔解等の工程時に数百個単位の製造ができることから飛躍的な製造量となり低価格が実現できた。
【0015】
ちなみに、現状の半自動機を使用しての時間当りの製造量を数十個程度と考えた場合、熔着方法において一工程400個の場合、時間当りの製造量は4,000個以上が可能であり、大きなコストダウンとなった。
【0016】
ブラシ作りは人件費の安価な国で製造と考えられたが、国内でも十分価格パフォーマンスに対応できると考えられる。又、できあがった製品に関しても下記の長所がある。現状市販品に見られるカシメ作業によるブラシ毛の開きがなくなること、抜け毛の減少は明らかである。
【0017】
永年続いてきた製造方法を変えることで、品質の向上と生産量のアップが実現した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1で示すように、金型2の中に糸材群1を挿入する、これは予め棒状にまとめた糸材を使用する。この糸材の長さは市販されるハンク状(紙で巻かれた棒状のもの)から手作業により分けられる。
【0019】
金型2から突出した糸材群1の先端部をそろえ、熔解ヒーター3により端部を熔解する。熔解は2秒程度で終了し熔解ヒーター3は上昇する。図2
【0020】
熔解ヒーター3はバナー等炎によるもの、非接触熱板、エアーヒーター等が考えられる。バナーの場合は熔解工程を金型内で進め、後工程の糸材群1の引き込みが必要なくなる利点はあるが広範囲に一定温度を保つことが難しいため、一工程で数百個の製造には問題がある。
【0021】
次に、糸材群1を金型2中に引き込み金型に開けられた小孔の中で成形される。樹脂冷却時間(1秒)後に糸材群1を適正量金型2より突出させ(ブラシ丈プラス本体軸に挿入する寸法)カット機4によりカットする。
【0022】
上記、カット機に取り付けられるカット刃は、糸材群1が左右に逃げない構造にする必要がある。その構造は糸材群1を囲むようにカット刃に半円形状の凹部を構けると、正確に短時間でカットを終了することが可能である。又、金型2端面に沿ってカット刃が下降する形状が最適であることも実験で実証することができた。図3、図4
【0023】
図1〜図4の解説では一個ずつの製造方法を示したが、実際には金型2に数百個程度の小孔をあけ上記工程を実践することで生産量を大きくアップさせることが可能である。
【0024】
金型2にあける小孔つまり本体軸に挿入する寸法は、本体挿入径が4m/mとした場合、樹脂収縮率等を考え3.8m/m〜3.9m/mが理想的と言える。
【0025】
又、金属材のブラシ素子を製造する場合においても上記方法は可能である。上記、製造方法以外にも溶接(点溶接)等で一方端を固定する方法や耐熱性溶着剤を使用することも考えられる。
【0026】
現状のハンドピース型ブラシの製造方法を図7〜図9で示し、各部分を止め板8、ハンドブラシカシメ面9、現状ハンドブラシ完成品10で示した。
【0027】
本発明で製造されるハンドピース型ブラシを図5、図6で示し、熔解成形面5、本体6、ハンドブラシ完成品7で各部分を示した。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】 糸材群を金型に挿入した工程を示す斜指図。
【図2】 金型に挿入された糸材群を熔解ヒーターにて熔解する工程を示す斜指図。
【図3】 糸材群先端を熔解後金型内に引き込み成形する工程を示す斜指図。
【図4】 成形後カットする為、金型から出し適正寸法にカットする工程を示す斜指図。
【図5】 完成した熔解ブラシ部と本体を結合する工程を示す斜指図。
【図6】 ハンドピースブラシ完成品斜指図。
【図7】 現状の製造方法で作られるハンドピースブラシの部品斜指図。
【図8】 現状の製造方法で作られるハンドピースブラシのカシメ工程を示す斜指図。
【図9】 現状の製造方法で作られるハンドピースブラシの完成品斜指図。
【符号の説明】
【0029】
1. 糸材群
2. 金型
3. 熔解ヒーター
4. カット機
5. 熔解成形面
6. 本体
7. ハンドブラシ完成品
8. 止め板
9. ハンドブラシカシメ面
10. 現状ハンドブラシ完成品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型内に挿入された糸材群先端部を熔解成形した棒状ブラシを適正寸法にカットし、完成した棒状ブラシ素子を先端部に筒状円孔を有する本体軸に挿入接着したハンドピース型ブラシ。
【請求項2】
請求項1のブラシであって、糸材成分が研磨砥粒入りのハンドピースブラシ。
【請求項3】
請求項1のブラシであって、糸材成分が金属であることを特徴とするハンドピース型ブラシ。
【請求項4】
請求項1のブラシであって、糸材形状が波状であることを特徴とするハンドピース型ブラシ。
【請求項5】
糸材群を金型より適正量突出させる工程と、その先端部分を熔解する工程と、金型内に引き込み成形する工程と、カットのため再度適正量突出させる工程と、カットする工程を有するハンドピース型ブラシの製造方法。
【請求項6】
糸材群を金型より適正量突出させる工程と、その先端部分を熔解する工程と、金型内に引き込み成形する工程と、カットのため再度適正量突出させる工程と、カットする工程を有するハンドピース型ブラシの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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