説明

ハンドル

【課題】 作業工具に装着して使用されるハンドルにおいて、生産コストの低減に資する技術を提供する。
【解決手段】 作業工具101に装着可能な装着部123と、装着部123が挿入されるとともに、当該挿入された装着部123に対し、少なくとも作業工具101の振動方向と同方向に相対移動可能に連接された筒状の握り部125と、当該握り部125の筒内周面と装着部123の外周面との間に配置され、装着部123に対する握り部125の相対移動動作に弾発力を作用する弾性体131とを有するハンドル121において、握り部125は、当該握り部125の外表面を被覆する弾性部材133を有し、当該弾性部材133が弾性体131と一体に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業工具を操作するべく当該作業工具に装着して使用される着脱自在なハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2004−249430号公報(特許文献1)には、被加工材の研削作業に用いられる電動ディスクグラインダーを操作するために、当該電動ディスクグラインダーの本体部に装着して使用される操作補助具としての補助ハンドルの構成が開示されている。このような補助ハンドルを電動ディスクグラインダーに装着することで、使用者は電動ディスクグラインダーが有するメインハンドルと補助ハンドルとを使用して作業工具を安定的に操作することが可能とされる。特許文献1に開示された補助ハンドルは、電動ディスクグラインダーの本体に固定状に装着されるハンドル本体部(装着部)に対し、作業者が握るグリップ部が球面を介して全方位に回動可能に連接されている。そしてハンドル本体部とグリップ部間には、当該グリップ部の相対回動に対して弾発力を作用する防振用弾性体としての防振ゴムが介在されている。特許文献1に記載の補助ハンドルによれば、ハンドル本体部を経てグリップ部に入力する振動を防振ゴムによって低減できる。これにより使用者の疲労を軽減して使用性を向上できる。
【0003】
ところで、グリップ部の外表面は、滑り止め用のゴムカバーによって被覆される構成が一般的である。従来は、このゴムカバーと防振ゴムとを別々に形成している。ゴムカバーおよび防振ゴムは、それぞれ成形型を用いて成形されることになるが、それらゴムカバーと防振ゴムを別々に形成する構成では、それぞれにつき成形型を必要とし、生産コストが高くつくことになり、かかる点で、なお改良の余地がある。
【特許文献1】特開2004−249430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、作業工具に装着して使用されるハンドルにおいて、生産コストの低減に資する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、各請求項記載の発明が構成される。
請求項1に記載の発明によれば、作業工具に装着可能な装着部と、装着部が挿入されるとともに、当該挿入状態の装着部に対し、少なくとも作業工具の振動方向と同方向に相対移動可能に連接された中空状の握り部と、当該握り部の筒内周面と装着部の外周面との間に配置され、前記装着部に対する前記握り部の相対回動動作に弾発力を作用する弾性体とを有するハンドルが構成される。本発明における「ハンドル」は、ディスクを回転させて被加工材の研削作業や研磨作業を行うグラインダーやポリッシャ等の回転式作業工具に好適に適用されるほか、工具ビットに長軸方向の打撃動作あるいは打撃動作と回転動作とを行わせて被加工材に破砕作業や穴明け作業等を遂行する電動ハンマあるいはハンマドリル等の衝撃式作業工具、またはブレードに往復直線運動を行わせて被加工材の切断作業を行うレシプロソーやジグソー等の切断作業工具のように、先端工具の駆動に基づいて概ね直線状の振動を伴うような作業工具に適用することが可能である。
なお「振動方向と同方向」とは、完全な一致を指すものではなく、概ね同方向である態様を包含する。また「中空状」とは、典型的には、筒状がこれに該当するが、断面形状が円形のみならず、非円形でも差し支えない。また「相対移動可能に連接する」態様としては、握り部を作業工具の振動方向と平行な方向に直線状に移動し得るように設ける態様、あるいは振動方向と平行な方向に1つの回動軸線周りに回動させる態様、あるいは互いに交差する複数の回動軸線周りに回動させる態様、さらには球面周りに回動させる態様、のいずれをも好適に包含するものである。さらに入力方向の異なる複数の振動が作業工具に入力される場合であれば、少なくとも一方向の振動の入力方向と同方向であれば足りる。また「弾性体」としては、典型的にはゴムや弾性のある樹脂がこれに該当する。
【0006】
本発明においては、握り部は、当該握り部の外表面を被覆する弾性部材を有し、当該弾性部材が弾性体と一体に形成された構成とされる。なお「外表面を被覆する」態様としては、外表面の一部を被覆する態様、全体を被覆する態様のいずれも好適に包含する。また「一体に形成する」態様としては、典型的には、弾性部材と弾性体とを成形型を用いて所定形状に一体成形する態様がこれに該当する。この場合、握り部の主体をなす筒状部材を予め成形型内にセットした後、当該成形型内に液状の弾性材料を充填固化することによって弾性部材と弾性体とを一体に形成する、いわゆるインサート成形による態様が好適であるが、弾性部材と弾性体とを、成形型を用いて一体に形成した後、握り部の主体をなす筒状部材に組付ける態様を包含する。
本発明によれば、握り部の外側に配置される弾性部材と、握り部の内側に配置される弾性体とを一体に形成する構成とし、これによって弾性部材と弾性体とを1部品にしている。その結果、成形型を用いてこれら部材を成形する場合、1つの成形型で製造することが可能となるため、弾性部材と弾性体とを別々に形成する構成に比べて、成形型が少なく、また製造工数も減少することになり、生産コストを低減できる。
なお、握り部を、例えば上述したインサート成形により形成する場合であれば、当該握り部を製造した時点で弾性部材と弾性体が握り部の主体をなす筒状部材に対して固定された状態とされる。このため、装着部と握り部とを組み立ててハンドルとするべく、所定の組立作業を行う場合において、弾性体を握り部に組付ける作業が不要となる分だけ組付け工数が減少することになり、ハンドルの組立性が向上する。
【0007】
(請求項2に記載の発明)
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載のハンドルにおいて、握り部には当該握り部の軸方向と交差する方向に延びる貫通孔が形成されている。そして弾性体と弾性部材とは、前記貫通孔に位置する連絡部によって互いにつながっている構成とされる。なお「軸方向と交差する方向に延びる」態様としては、貫通孔の軸線が握り部の軸線に直交する態様が好適であるが、貫通孔の軸線が握り部の軸線に傾斜する態様等を、広く包含する。また「貫通孔」は、円形、角形のみならず、握り部の軸方向あるいは周方向に長く延びるスリット状等、適宜形状に設定することが可能であり、さらに設定個数についても任意とされる。本発明では、握り部の外側に位置する弾性部材と内側に位置する弾性体が、当該握り部を貫通する連絡部によって互いにつながる構成のため、握り部に設定される連絡部の握り部長軸方向の位置を変更することによって弾性体の位置を、握り部の装着部に対する連接部位に近接した位置、あるいは離れた位置等、任意に設定できる。また連絡部は、弾性部材の握り部外表面からの剥れを抑制し、グリップ部の品質を維持できる。
【0008】
(請求項3に記載の発明)
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載のハンドルにおける弾性体は、装着部を握り部に組付けるべく当該握り部内に軸方向に挿入したとき、当該挿入動作によって装着部の挿入側端部外周面に嵌合するとともに、当該嵌合時に連絡部によって軸方向の移動が規制される構成としている。本発明によれば、装着部を握り部へ組み付けるべく当該握り部へ挿入するときの挿入動作を利用して、当該装着部と弾性体とを組み付ける構成のため、組付けが合理的であり、また装着部を弾性体に組付ける際、当該弾性体の動きが抑えられることで、組付け作業が容易になる。
【0009】
(請求項4に記載の発明)
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3のいずれかに記載のハンドルにおける握り部は、ハンドル本体部に対して全方位に相対回動可能に連接されるとともに、弾性体がグリップ部のハンドル本体部に対する全方位の相対回動動作に対して弾発力を作用するように構成されている。なお「全方位に相対回動可能に連接する」態様としては、典型的には、ハンドル本体部側に形成される球面部と、グリップ部側に形成される球面状の凹面とからなる球面軸受を介して連接する態様がこれに該当する。本発明のハンドルは、グリップ部がハンドル本体部に対し全方位に相対回動して振動を吸収する構成のため、振動の入力方向が一定でない、例えばグラインダーやポリッシャ等のような作業工具に用いて有効とされる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業工具に装着して使用されるハンドルにおいて、生産コストの低減に資する技術が提供されることとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態につき、図1〜図4を参照しつつ詳細に説明する。本発明の実施の形態は、防振ハンドルを、回転式作業工具の一例としての電動ディスクグラインダーに当該電動ディスクグラインダーを操作する補助ハンドルとして適用した場合で説明する。図1には電動ディスクグラインダーに装着された補助ハンドルの全体が断面図として示され、図2には補助ハンドルのみが断面図で示され、図3および図4には図2の断面指示線に基づく補助ハンドルの一部が横断面図で示されている。
【0012】
まず図1を参照しつつ電動ディスクグラインダー101の概略を簡単に説明する。電動ディスクグラインダー101は、長軸方向を前後方向(図示左右方向)とするものであって、モータハウジング105およびギアハウジング107からなる本体部103によって外郭が構成されている。本体部103は、本発明における「作業工具本体」に対応する。モータハウジング105は、概ね円筒形状に形成され、当該モータハウジング105内には、駆動モータ111が収容されている。駆動モータ111は、その回転軸線方向が電動ディスクグラインダー101の長軸方向となるように配置されている。
【0013】
モータハウジング105の前端部に連接されるギアハウジング107内には、駆動モータ111の回転出力を先端工具としての砥石115に伝達する動力伝達機構113が収容されている。駆動モータ111の回転出力は、動力伝達機構113を介して砥石115に周方向の回転運動として伝達される。砥石115は、電動ディスクグラインダー101の長軸方向の前側(図示左側)に、その回転軸線が電動ディスクグラインダー101の長軸方向(駆動モータ111の回転軸線)に対して直交するように配置されている。またモータハウジング105の後端部(図示右側)には、メインハンドル109が連接され、ギアハウジング107の側面部には、補助ハンドル121が着脱自在に装着される構成とされる。メインハンドル109は、その長軸方向が電動ディスクグラインダー101の長軸方向となるように設けられ、これに対し補助ハンドル121は、その長軸方向がメインハンドル109の長軸方向と直交するように設定されている。作業者はこれら2つのハンドル109,121を手で握り、電動ディスクグラインダー101による被加工材の研削作業を行う。
【0014】
次に図2〜図4に基づいて補助ハンドル121を説明する。補助ハンドル121は、ギアハウジング107の側面に形成されたハンドル装着部107aに着脱可能な概ね円柱状のハンドル本体部123と、作業者が握る円筒状のグリップ部125とを主体に構成される。ハンドル本体部123は、本発明における「装着部」に対応し、グリップ部125は、本発明における「握り部」に対応する。なおハンドル装着部107aは、本体部103の長軸方向に直交する方向を軸方向とする取付ネジ孔によって形成されている。
【0015】
ハンドル本体部123は、その長軸方向の一端側(図2の上側)に取付ネジ部123aを、中間に球面部123bを、他端側に係合軸部123cを有する概ね円柱状の部材であり、それら取付ネジ部123a、球面部123b、係合軸部123cが軸方向に連続して互いに一体に形成されている。ハンドル本体部123は、円筒状に形成されたグリップ部125内に挿入されるとともに、球面部123bがグリップ部125の長軸方向の一端側(図2の上側)に形成された球面状の凹面125aおよびエンドプレート127に形成された球面状の凹面127aに嵌合されている。これにより、グリップ部125は、その長軸方向の一端側において、ハンドル本体部123に対し球面部123bの中心を回動中心として全方位に相対回動可能とされている。なおエンドプレート127は、凹面127aが形成された筒部127bの外周面にネジを有しており、この筒部127bをグリップ部125に形成されたネジ孔にねじ込むことによって当該グリップ部125に止着されている。
【0016】
また図3の断面図に示すように、ハンドル本体部123の球面部123bには、当該ハンドル本体部123の長軸線を挟んで2つの平面部123dが平行に形成され、これに対応してグリップ部125の凹面125aにそれぞれ平面部125bが形成されている。そして両平面部123d、125b間にはゴム製の薄板状の弾性板129が介在され、この弾性板129によってハンドル本体部123とグリップ部125相互間に生ずる製造上の誤差に伴うガタツキが吸収される構成としている。
【0017】
ハンドル本体部123の他端部側に設けられた係合軸部123cは、図2および図4に示すように、断面円形状に形成されるとともに、グリップ部125の凹面125aの中心部を貫通して当該グリップ部125の筒孔125c内に延出されている。そしてグリップ部125の筒孔125c内において、当該筒孔125cの内周面と係合軸部123cの外周面との間には、概ねリング状の防振ゴム131が介在されている。防振ゴム131は、本発明における「弾性体」に対応する。防振ゴム131は、中央部に軸方向に延びる係合孔131aを有し、その係合孔131a内に係合軸部123cが密接状に挿入されている。防振ゴム131は、ハンドル本体部123からグリップ部125に入力する振動を吸収するべく設けられる。すなわち、防振ゴム131は、ハンドル本体部123に対しグリップ部125が球面部123bを回動支点にして回動する際、ハンドル本体部123との間で当該グリップ部125に主として径方向の弾発力を付与する。
【0018】
グリップ部125は、剛性のある樹脂材料等からなる円筒状の筒体126を主体として構成され、当該筒体126の外表面がほぼ全域にわたってゴム製の弾性カバー133によって被覆されている。弾性カバー133は本発明における「弾性部材」に対応する。弾性カバー133は、グリップ部125の筒孔125c(筒体126の筒孔)内に配置される防振ゴム131と当該筒体126を貫通する複数の連絡部135を介してつながっている。すなわち、弾性カバー133と防振ゴム131とは、連絡部135を介して一体とされている。なお貫通孔137は、図4に示すように、筒体126の周方向に適宜間隔で複数(図では2個の場合を示す)設定されるとともに、当該筒体126の軸方向と直交する径方向に貫通している。
【0019】
なお弾性カバー133と防振ゴム131とは、便宜上図示はしないが、成形型を用いて、インサート成形等によって成形される。すなわち、所定形状に形成された成形型内に筒体126をセットした後、当該成形型に液状のゴムを充填し、固化することによって成形されるが、その成形時において、筒体126の貫通孔137内に成形される連絡部135を介して弾性カバー133と防振ゴム131が接続する。かくして、グリップ部125は、筒体126に弾性カバー133および防振ゴム131が固定(接合)された1部品とされる。なお弾性カバー133は筒体126の軸方向他端側(図2の下側)に形成された外張り出し状のフランジ部126aを包み込むように設定され、これによって筒体126に対する剥離が防止されている。また筒体126の筒孔125cは、キャップ139によって塞がれている。
【0020】
本実施の形態に係る補助ハンドル121は、上記のように構成され、図1に示すように、電動ディスクグラインダー101に装着して使用される。補助ハンドル121は、ハンドル本体部123の取付ネジ部123aを、電動ディスクグラインダー101の本体部103に設けたハンドル装着部(取付ネジ孔)107aにねじ込むことで装着される。本実施の形態に係る補助ハンドル121によれば、電動ディスクグラインダー101による研削作業時に振動が発生すると、この振動は本体部側から補助ハンドル121のハンドル本体部123を経てグリップ部125へと入力される際、防振ゴム131の振動吸収作用によって吸収され、これによってグリップ部125の振動を低減することができる。本実施の形態では、グリップ部125がハンドル本体部123に対し球面を介して全方位に回動動作できる構成のため、入力方向が一定でない振動に対して的確に振動吸収作用を奏することができ、使い勝手の良好な補助ハンドル121を提供することができる。また本実施の形態によれば、グリップ部125が球面を介して全方位に回動動作する構成のため、本体部103に装着する際の取付方向性に制約を受けることがなく、このため、取付ネジ部123aをハンドル装着部107aにねじ込む方式の単純で低コストの構成を採用することができる。
【0021】
ところで、本実施の形態に係る補助ハンドル121の組立作業は、ハンドル本体部123を、その係合軸部123c側を先にして、グリップ部125の一端部から当該グリップ部125内に挿入後、エンドプレート127をグリップ部125の端部に被せるようにして、当該エンドプレート127の筒部127bをグリップ部125のネジ孔にねじ込むといった手順で行う。このとき、ハンドル本体部123の係合軸部123cが防振ゴム131の係合孔131a内に密接状に挿入され、これによって防振ゴム131は、係合軸部123cの外周面とグリップ部125の筒孔内周面との間に介在された状態とされる。
【0022】
この場合、本実施の形態によれば、グリップ部125を製造した段階で、防振ゴム131と当該グリップ部125の外表面を被覆するべく設けられる弾性カバー133とを一体としている。すなわち、グリップ部125は、筒体126に弾性カバー133および防振ゴム131が固定された1部品とされているため、防振ゴム131をグリップ部125に組付けるための作業が不要となる。この結果、補助ハンドルの組立作業の一環として防振ゴムの組付けが必要な構成に比べると、補助ハンドル121の組立作業の工数が少なくなり、組立性が向上する。
また成形型を用いてグリップ部125を成形する場合、本実施の形態では、被覆カバー133と防振ゴム131とを一体に成形するため、1つの型で済む。このため、例えば防振ゴムとグリップ部とを別々に成形し、後で組付ける構成に比べて、成形型の型数が少なくなり、製造工数も減少する結果、生産コストの低減に有効となる。
【0023】
また本実施の形態は、グリップ部125の外側部材である弾性カバー133と、内側部材である防振ゴム131とを筒体126を貫通する連絡部135によってつなげる構成のため、連絡部135の設定位置を変えることによって、防振ゴム131の位置をグリップ部125の軸方向に任意に変更することができる。図示された実施形態では、防振ゴム131は、グリップ部125の回動中心に近い位置に設けられている。この態様では、防振ゴム131がグリップ部125の回動中心に近いことによって、ハンドル本体部123の係合軸部123cの軸長さが短くて済み、当該ハンドル本体部123が軽量化する。またこのことに伴い筒体126について、薄肉によって形成される領域の軸方向長さも長くなり、当該筒体126も軽量化する。一方、防振ゴム131をグリップ部125の回動中心から離れた位置、すなわちキャップ139に近い位置(図2の下部側)へ変更することが可能である。この位置は、振動によって生じる振幅が最大となる位置であるため、このような配置としたときは、振動を効率的に吸収することができる。
【0024】
また本実施の形態によれば、ハンドル本体部123をグリップ部125に組付けるべく当該グリップ部125内に挿入したとき、その挿入動作を利用して係合軸部123cが防振ゴム131の係合孔131a内に挿入される構成であり、合理的な組み付けがなされることになる。
また係合軸部123cが防振ゴム131の係合孔131aに挿入されるとき、すなわち係合軸部123cと防振ゴム131が互いに密接状に嵌合するとき、防振ゴム131には、当該防振ゴム131に長軸方向に押動させようとする力が作用する。本実施の形態では、防振ゴム131は、連絡部135を介して弾性カバー133とつながっており、この連絡部135が筒体126を径方向に横切る状態で延びているため、当該連絡部135が防振ゴム131の軸方向の移動を規制するべく作用する。これによって防振ゴム131を設定位置に保持し、当該防振ゴム131と係合軸部123cとの嵌め合いを支障なく遂行できる。また連絡部135は、グリップ部125の弾性カバー133が筒体126から剥離しようとしたとき、当該剥離を抑えるように作用する。すなわち、弾性カバー133の筒体126外表面からの浮き上がりを防止して、グリップ部125の品質を維持できる。
【0025】
なお本実施の形態では、作業者が握るグリップ部125をハンマ本体部123に対し球面部123bを介して全方位に回動自在に連接する構成としたが、この構成に変えてグリップ部125をハンマ本体部123に対して互いに交差する複数の回動軸線周りに回動させる態様、あるいは1つの回動軸回りに回動させる態様に変更してもよい。
また本実施の形態では、補助ハンドル121の適用例として、電動ディスクグラインダー101の場合で説明したが、電動ディスクグラインダー101に限るものではない。すなわち、先端工具が回転運動を行う形態で被加工材の加工作業を遂行する、例えばポリッシャ、丸鋸、振動ドリル等の回転式作業工具、または先端工具としてのビットに長軸方向の打撃動作あるいは打撃動作と回転動作とを行わせて被加工材に破砕作業や穴明け作業等を遂行する電動ハンマあるいはハンマドリル等の衝撃式作業工具、更にはブレードに往復直線運動を行わせて被加工材の切断作業を行うレシプロソーやジグソー等の切断作業工具のように、先端工具の駆動に基づいて概ね直線状の振動を伴うような作業工具に適用可能である。
【0026】
また本実施の形態では、防振ゴム131をグリップ部125の回動中心に近い位置に設定するとともに、筒体126を貫通する連絡部135によって防振ゴム131と弾性カバー133とを互いにつなぐ構成としたが、グリップ部125の先端部(自由端側)に防振ゴム131を設けてグリップ部125の筒孔125cを塞ぐキャップ139を兼用する構成としてもよい。その場合には、防振ゴム131と弾性カバー133とをつなぐ連絡路135を、筒体126を貫通するように設ける構成のほか、筒体126の軸方向端面に回り込む(被さる)ように配置する構成とすることも可能である。
また本実施の形態では、被覆カバー133と防振ゴム131とを、筒体126を含んで一体に成形する場合で説明したが、被覆カバー133と防振ゴム131とを一体に形成した後、それを筒体126に被せる構成であってもよい。
また本実施の形態では、グリップ部125の筒体126に設ける貫通孔137を複数としたが、単数であっても差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る補助ハンドルを備えた電動ディスクグラインダーの全体構成を示す半断平面図である。
【図2】補助ハンドルを示す断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図2のIV−IV線断面図である。
【符号の説明】
【0028】
101 電動ディスクグラインダー(作業工具)
103 本体部(作業工具本体)
105 モータハウジング
107 ギアハウジング
107a ハンドル装着部
109 メインハンドル
111 駆動モータ
113 動力伝達機構
115 砥石(先端工具)
121 補助ハンドル(ハンドル)
123 ハンドル本体部(装着部)
123a 取付ネジ部
123b 球面部
123c 係合軸部
123d 平面部
125 グリップ部(握り部)
125a 凹面
125b 平面部
125c 筒孔
126 筒体
127 エンドプレート
127a 凹面
127b 筒部
129 弾性板
131 防振ゴム(弾性体)
131a 係合孔
133 弾性カバー(弾性部材)
135 連絡部
137 貫通孔
139 キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業工具に装着可能な装着部と、前記装着部が挿入されるとともに、当該挿入された装着部に対し、少なくとも前記作業工具の振動方向と同方向に相対移動可能に連接された中空状の握り部と、当該握り部の筒内周面と前記装着部の外周面との間に配置され、前記装着部に対する前記握り部の相対移動動作に弾発力を作用する弾性体とを有するハンドルであって、
前記握り部は、当該握り部の外表面を被覆する弾性部材を有し、当該弾性部材が前記弾性体と一体に形成されていることを特徴とするハンドル。
【請求項2】
請求項1に記載のハンドルであって、
前記握り部には当該握り部の軸方向と交差する方向に延びる貫通孔が形成され、前記弾性体と前記弾性部材とは、前記貫通孔に位置する連絡部によって互いにつながっていることを特徴とするハンドル。
【請求項3】
請求項2に記載のハンドルであって、
前記弾性体は、前記装着部を前記握り部に組付けるべく当該握り部内に軸方向に挿入したとき、当該挿入動作によって前記装着部の挿入側端部外周面に嵌合するとともに、当該嵌合時に前記連絡部によって前記軸方向の移動が規制されることを特徴とするハンドル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のハンドルであって、
前記握り部は、前記ハンドル本体部に対して全方位に相対回動可能に連接されるとともに、前記弾性体が前記グリップ部の前記ハンドル本体部に対する全方位の相対回動動作に対して弾発力を作用するように構成したことを特徴とする防振ハンドル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−289562(P2006−289562A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−114833(P2005−114833)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)