説明

ハンマードリル用ビットアセンブリー

ハンマー回転ドリル用のビットアセンブリーであって、ドリル本体(1)が本質的に穴の中央部分を掘削するように配置され、ドリル本体(1)に取り付けられた1つ又はそれ以上のハンマービット(2),(3)は、穴の外円を掘削するように配置され、掘削用ビット(2),(3)の前記外円は、ドリル本体(1)の掘削面(L1)よりも掘削方向に遠く後に位置する掘削面を掘削するように配置され、前記ビット(2),(3)は、ドリル本体(1)に形成されたカウンターキャビティ(7)にさらに取り付けられ、キャビティの軸線方向(S)は、掘削方向と同じ方向を有するか、掘削方向から外方にそれた方向のいずれかを有し、カウンターキャビティ(7)に取り付けられたビット(2);(3)を、ドリルユニットの外径をより小さくするために、カウンターキャビティから出る途中の少なくとも一部で、カウンターキャビティの軸線方向(S)から外れた方向に移動させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンマー回転ドリル用のビットアセンブリーに関し、このビットアセンブリーでは、ドリル本体が本質的に穴の中央部分を掘削するように配置され、ドリル本体に取り付けられた1つ又はそれ以上のハンマービットは、穴の外円を掘削するように配置され、掘削用ビットの前記外円は、ドリル本体の掘削面よりも掘削方向に遠く後に位置する掘削面を掘削するように配置され、前記ビットは、ドリル本体に形成されたカウンターキャビティにさらに取り付けられ、キャビティの軸線方向は、掘削方向と同じ方向を有するか、掘削方向から外方にそれた方向のいずれかを有する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケーシング管を掘削と関連して穴の中へ引き入れることができるように、掘削用リングビットの外円が、外円を掘削する、掘削装置がフィンランド特許第95618号によって知られている。ケーシング管が穴の中に残るようにドリル装置が穴から引き出されるとき、リングビットも穴の底部に残らなければならない。
【0003】
また、大きな穴を掘削するための掘削装置がフィンランド特許85302号によって知られており、この装置では、中心に位置するビットが穴の中心部分を掘削し、ドリル装置の外円に配置された別個のビットが穴の外円を掘削する。この場合、外円掘削用ビットは自己の回転ハンマー装置を要する。ドリル装置は、それが最終的に地面から自由空間へ進入するとき、水平方向の穴の掘削に適用することができる。
【0004】
ケーシング管の中心軸線に関して偏心して取り付けられている回転ビットによって掘削が行われるケーシング管掘削用偏心ドリルが十二分に知られており、これによって、ケーシング管の直径よりも大きな穴を掘削することが可能である。掘削を中止するとき、ビットを穴から引き出すことができ、そして、ケーシング管が穴に残されるようにケーシング管の中心軸線に対するビットの偏心は変えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの既知の問題に関する欠点は、リングビットが穴に残されるこれら掘削装置では、穴ごとに比較的高価なビットが常にゆるんでいることである。
【0006】
偏心ビットを使用したとき、ビットは穴から持ち上げられるが、ビットの掘削面が穴の掘削面よりも著しく小さいので、ビットは非常に早く磨耗するため、磨耗したビットをしばしば交換しなければならない。掘削ビットを互いに向かって引っ張ることができ、したがって、ビットアセンブリーをケーシング管にかかわらず持ち上げることができるある掘削装置では、ビットを互いに向かって引っ張る機構は複雑にしなければならず、ビットを交換することは困難であり、かつビットは大変容易に損傷される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実際的な分野で、本発明によるビットアセンブリーによって、存在する問題を意外にも解決することができ、本発明によるビットアセンブリーに関する特徴は、カウンターキャビティに取り付けられたビットが、ドリルユニットの外径をより小さくするために、ビットの少なくとも一部分をカウンターキャビティの軸線方向から外れた方向に移動させることができることである。
【0008】
本発明によるビットアセンブリーの利点は、直径300〜1000mmの大きな穴の掘削がハンマー装置によって可能であり、ドリル本体内に取り付けられた多くの別々のビット及び掘削用ビットの外円のみのおかげで、全掘削表面積は、掘削された穴の前側表面領域よりも小さくなる。ビットアセンブリーは、ビットが掘削面全体を強打するドリルを有する装置よりも効果的で不便な大型のハンマー装置を必要としない。
【0009】
別個の外円掘削ビットは容易に交換することができる。さらに、本発明による外円掘削ビットは、ビットアセンブリーが穴から引き出されるとき、ビットがケーシング管の縁で内方に移動し、かくして、ビットアセンブリー全体の引き出しを可能にし、そしてケーシング管が穴に残るように、ドリル本体に取り付けることができる。結果として、穴にむだが残らず、掘削が有利になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、掘削面レベルL1によって本質的に穴の中心部分を掘削するハンマードリル用のドリル本体1を示す。穴の外円を掘削するための多くのより小さいビット2が、ドリル本体1に取り付けられている。嵌め合い面は、湾曲したカウンター面7であり、その湾曲は半径Rである。ビット2は、穴が仕上げられるようにするため、直径がケーシング管4が必要とするよりも少し大きい穴を掘削する。ビット2は、その軸線に関して回転ピースであるため、ビットがカウンターキャビティ7の中で回転することができる。回転が期待され、望ましくは、ビット2の掘削面レベルL2がドリル本体1の掘削面レベルL1よりも掘削方向に、遠く後方に位置決めされることと、及びビット2が円の外縁に位置するビット部分による以外の部分で掘削しないことにより、回転が確実にされる。図4には、ビット2が主としてそのビット部分で掘削する領域9が示されている。ドリルユニット全体の回転により、モーメントがビット2に差し向けられ、このモーメントはビットをそれ自身の軸線を中心に回転させる。
【0011】
ビット2は、ドリル本体1にあけられた穴の中に置かれた別個のブッシュ5を補助として用いることによってドリル本体1に取り付けられる。例えばドリル本体1内に、必要なカウンターキャビティ7をこの種のブッシュ5に機械加工することは容易である。図2では、段状に形成された変形例のカウンターキャビティアセンブリーが示されている。ビット2も段状設計を有する。カウンターキャビティへのビット2,2’の取り付けと、図に描いた軸線方向Sは、好ましくは掘削方向と共に角度αをなす。カウンターキャビティの方向Sは、掘削方向から有利には外方に外れている。角度αは有利には0°と30°の間である。カウンターキャビティの軸線方向は、図5aにあるように、掘削方向と同じである。それは、角度αが0°よりも大きければ、ドリルユニットの構造を少し容易にする。
【0012】
図3は、ドリルユニット全体が穴から引き出されるとき、本発明によるビットアセンブリーのビット2がどうしてケーシング管4の側方に動くかを示す。ビット2を固定するアーム6の材料は、それによりビット2を外に、そして必要とされる距離側方に移動させるように選択される。カウンター表面7の形態により、ビットが滑動し、内方に向きを変え、カウンターキャビティの軸線の方向Sに全く移動しない。ケーシング管4はビット2の移動を行う。ドリルユニット全体がケーシング管から取り出されるとき、ビット2はカウンターキャビティの中に戻る。固定用アーム6は、例えば、ばね状であり、したがって、伸縮性があり、少なくとも一点で曲がることが必要とされる。それは、全体的に引っ張り抵抗のある材料で製造されてもよいし或いは組み合わせてもよく、後者の場合には、固定用アームは、伸縮性のある部分と曲げ部分を別々に有する。ゴム、プラスチック、繊維材料、スチールばね等が該当することになる。固定用アームの曲げは、関節継手によっても解決することができる。掘削状況では、固定用アーム6はビット2,3にカウンターキャビティに向けて応力を与える。固定用アーム6と可能なホルダー部分8は、好ましくはビット2が回転するとき、一緒に回転する。
【0013】
図5では、ビット3は角張った形態を有し、これはカウンターキャビティ内で回転しない。しかしながら、ケーシング管4によって押し出されてキャビティの外にビット3を移動させることが、図2及び図3に示されるのとちょうど同じ方法で、すなわち、湾曲又は段状の側形態に基づいて、起こりうる。ビット3は、掘削段階で常に同じ部分を有し、ビット3はビット2よりもわずかに早く磨耗する。しかしながら、ドリル本体1が穴から取り外されたとき、ビット2,3の交換は、きわめて短い時間で済む。本発明によるビットアセンブリーはより安価になるほど、より大きな穴があけられる。中央のビットは、1個のフルサイズの中央ビットが穴全体をその1つのビットのみによってあけたときよりも、長い寿命と小さいひずみを有する。また、ハンマー装置は、総ビット表面積が全体の掘削の掘削面に一致しないとき、パワーがより小さい。穴の掘削は、必要とされる大型ハンマー装置を用いることによって1つのビットで掘削することと比べて、本発明による方法によって行われる時間が当然わずかにかかる。
【0014】
図5aは、ビット3がそのカウンターキャビティ内に位置する場合の非回転ビット3の断面図である。カウンターキャビティの軸線方向Sは掘削方向と同じである。ドリルユニットを穴から引き出し始めるとき、ケーシング管4の前縁はビット3を押すので、ビット3はドリル本体1の中心軸線に向きを変え始める。アーム6は伸びて曲がり、ビット3はケーシング管を通過することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ドリル本体に取り付けられた掘削ビットの外円の断面図を示す。
【図2】変形例のビットの取付けを示す。
【図3】ケーシング管で内方に移動するビットを示す。
【図4】前から見た図1のビットアセンブリーを示す。
【図5】前から見た変形例のビットアセンブリーを示す。
【図5a】ドリル本体に取り付けたビットの断面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンマー回転ドリル用のビットアセンブリーであって、
ドリル本体(1)が本質的に穴の中央部分を掘削するように配置され、ドリル本体(1)に取り付けられた1つ又はそれ以上のハンマービット(2),(3)は、穴の外円を掘削するように配置され、掘削用ビット(2),(3)の前記外円は、ドリル本体(1)の掘削面(L1)よりも掘削方向に遠く後に位置する掘削面を掘削するように配置され、前記ビット(2),(3)は、ドリル本体(1)に形成されたカウンターキャビティ(7)にさらに取り付けられ、キャビティの軸線方向(S)は、掘削方向と同じ方向を有するか、掘削方向から外方にそれた方向のいずれかを有し、
カウンターキャビティ(7)に取り付けられたビット(2);(3)を、ドリルユニットの外径をより小さくするために、カウンターキャビティから出る途中の少なくとも一部で、カウンターキャビティの軸線方向(S)から外れた方向に移動させることができることを特徴とするビットアセンブリー。
【請求項2】
ビット(2)のカウンターキャビティ(7)への取付け可能な部分は、ビット(2)が掘削状況においてカウンターキャビティ(7)内で回転するようになっている回転ピースである、請求項1記載のビットアセンブリー。
【請求項3】
ビット(3)は回転ピースから外れ、カウンターキャビティ内では回転できないようになっている、請求項1記載のビットアセンブリー。
【請求項4】
穴の外円を掘削するビット(2)は、ドリル表面の一部分(9)のみによって掘削するように配置され、掘削中のビットアセンブリー全体の回転は、前記ビット(2)をそれ自身の軸線を中心に回転させる、請求項1又は2に記載のビットアセンブリー。
【請求項5】
ビット(2);(3)は、ビットアセンブリーに追従するケーシング管(4)の内側に全体的に移動するようにカウンターキャビティ(7)から外に移動され、ビットアセンブリーを穴から取り出し、ケーシング管を穴に残したままにすることが可能である、請求項1記載のビットアセンブリー。
【請求項6】
カウンターキャビティ(7)の側面形態は湾曲し、キャビティに取り付けられたビット(2)は、ビット(2)をキャビティから取り出すとき、ドリル本体(1)の中心軸線に向きを変える、請求項1記載のビットアセンブリー。
【請求項7】
カウンターキャビティの側面形態は段状である、請求項1記載のビットアセンブリー。
【請求項8】
ビット(2);(3)のカウンターキャビティへの固定は、ビット(2);(3)をカウンターキャビティから外側に所望の方向に必要な距離移動させる固定用アーム(6)を使用することによって準備される、請求項1記載のビットアセンブリー。
【請求項9】
カウンターキャビティは、ドリル本体(1)にあけられた穴に固定された別個のブッシュ(5)によってドリル本体(1)の中に配置される、請求項1記載のビットアセンブリー。
【請求項10】
穴の外円を掘削するビット(2);(3)は、固定用アーム装置(6);(8)を取り外すことによって交換することができる、請求項1記載のビットアセンブリー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−506565(P2006−506565A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552757(P2004−552757)
【出願日】平成15年11月18日(2003.11.18)
【国際出願番号】PCT/FI2003/000876
【国際公開番号】WO2004/046496
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(505183060)
【出願人】(505183071)
【Fターム(参考)】