説明

ハードバターの製造法

【課題】
近年のチョコレートのソフト化嗜好に適合し、かつ優れた耐ブルーム性、スナップ性、冷感のある口溶けを有するハードバターの製造法を提供することにある。
【解決手段】
特定の高ステアリン・高オレインひまわり油を主要原料として、油脂の1,3位に選択的に飽和脂肪酸を導入し、SUS(2−不飽和,1,3−ジ飽和トリグリセリド)に富み、かつ特定量のLUS(L:炭素数20〜24の飽和脂肪酸、U:炭素数16〜18の不飽和脂肪酸、S:炭素数16〜24の飽和脂肪酸)を含むハードバターを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハードバターの製造法に係り、特定のひまわり油を用いてハードバターを製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からハードバター(カカオバター代用脂)として、POS(1−パルミト、2−オレイル、3−ステアリルグリセリド)を主成分とするカカオバター近似の物理的性質を持つような、対称型トリグリセリドの1,3ジ飽和―2不飽和トリグリセリド(SUS、S:飽和脂肪酸,U:不飽和脂肪酸)を主成分とした油脂が使用されている。対称型トリグリセリドを構成する代表的な飽和脂肪酸(S)は、パルミチン酸(P),ステアリン酸(St),アラキジン酸(A)であり、不飽和脂肪酸(U)はオレイン酸(O)である。主にPOPはパーム油、チャイニーズタローの分別脂から得られ、POSはイリッペ脂、モーラー脂等、及びそれらの分別脂から得られる。また、StOStはシア脂、サル脂、コクム脂、マンゴ核油、モーラー脂、及びその分別脂から得られるほかに、最近では特許文献1にあるようなハイオレイックひまわり油の1,3位に酵素エステル交換によりステアリン酸を導入し、さらに分別してStOStに富む画分を得る製造法などによっても得られている。
【0003】
ハードバターをカカオバター代用脂として用いる目的は、カカオバターの一部または全部を置き換えることにより、天然物で比較的高価なカカオバターを代えることによる経済的利点のほかに、耐熱保型性や口溶け性、スナップ性の調整や改善、耐ブルーム性の改善などにあった。
【0004】
一方、ハードバターに要求される新たな品質としてチョコレートをソフト化する機能がある。これは、近年の食品に関する嗜好としてソフト化の傾向がチョコレート業界にも顕れているものである。チョコレートをソフト化する方法としては、カカオバターやハードバターとともに大豆油や菜種油のような液状油脂を併用する方法や、特許文献2のようにべヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、アラキン酸のような長鎖飽和脂肪酸を一定量含有するSUSを主成分とするハードバターを用いる方法などがある。しかし、液状油を用いる方法ではファットブルームが生じやすく、耐熱保形性も低下する問題がある。また、特許文献2の方法ではファットブルームに対する耐ブルーム性に優れ、食感も所望のソフト化が出来るが、チョコレートに本来要求される適度なスナップ性(20℃程度の常温でパキッと割れる性質)や冷感のある口溶け感にやや問題があった。
【0005】
また、長鎖飽和脂肪酸を含有するハードバターとして、特許文献3のように飽和脂肪酸中のアラキン酸含量が4〜15重量%のハードバターが記載されているが、かかるハードバターの原料であるサル脂はジヒドロキシステアリン酸やエポキシステアリン酸を含有するトリグリセリドが存在するため、高品質のハードバターを安定して得るのが難しい問題がある。
【0006】
特許文献4には炭素数20〜24の飽和脂肪酸残基及び炭素数16〜22の不飽和脂肪酸残基を少なくとも各1個以上有する混酸基トリグリセリドを40〜100重量%含有する油脂組成物からなるファットブルーム防止剤が記載されている。かかるブルーム防止剤をハードバターと併用する場合も、耐ブルーム性は改善されても適度なスナップ性や冷感のある口溶けが低下するという問題があるばかりでなく、ブルーム防止剤の調製そのものが極めて煩雑で経済性にも欠ける問題がある。
【特許文献1】特開昭62−155048号公報
【特許文献2】特開昭62−134043号公報
【特許文献3】特開昭53−115863号公報
【特許文献4】特公平1−21734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は近年のチョコレートのソフト化嗜好に適合し、かつ優れた耐ブルーム性、スナップ性、冷感のある口溶けを有するハードバターの製造法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
特定の高ステアリン・高オレインひまわり油を主要原料とする油脂の1,3位に飽和脂肪酸を導入し、さらに分別することにより、課題とするハードバター製造が可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明の第1は、構成脂肪酸組成中のステアリン酸が12重量%以上、オレイン酸が40重量%以上、炭素数20〜24の飽和脂肪酸が3重量%以上であるであり、かつ2位脂肪酸組成中の飽和脂肪酸が10重量%以下である高ステアリン・高オレインひまわり油を油脂の主要原料として、飽和脂肪酸または飽和脂肪酸の低級アルコールエステルと1,3特異性リパーゼによるエステル交換を行い、油脂の1,3位に選択的に飽和脂肪酸を導入し、これを分別してSUS(2−不飽和、1,3−ジ飽和型グリセリド、S:炭素数16〜24の飽和脂肪酸、U:炭素数16〜18の不飽和脂肪酸)の含有量が75重量%以上の画分を得ることを特徴とするハードバターの製造法である。第2は、LUS(L:炭素数20〜24の飽和脂肪酸、U:炭素数16〜18の不飽和脂肪酸、S:炭素数16〜24の飽和脂肪酸)の含有量が5〜10重量%である第1記載のハードバターの製造法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、近年のチョコレートのソフト化嗜好に適合し、かつ優れた耐ブルーム性、スナップ性、冷感のある口溶けを有するハードバターの製造が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、構成脂肪酸組成中のステアリン酸が12重量%以上、オレイン酸が40重量%以上、炭素数20〜24の飽和脂肪酸が3重量%以上であり、かつ2位脂肪酸組成中の飽和脂肪酸が10重量%以下である高ステアリン・高オレインひまわり油を油脂の主要原料として、飽和脂肪酸または飽和脂肪酸の低級アルコールエステルと1,3特異性リパーゼによるエステル交換を行い、油脂の1,3位に選択的に飽和脂肪酸を導入し、これを分別してSUS(2−不飽和、1,3−ジ飽和型グリセリド、S:炭素数16〜24の飽和脂肪酸、U:炭素数16〜18の不飽和脂肪酸)の含有量が75重量%以上の画分を得ることを特徴とするハードバターの製造法である。
【0012】
本発明に利用する高ステアリン・高オレインひまわり油は、構成脂肪酸組成中のステアリン酸が12重量%以上、好ましくは20重量%以上である。12重量%未満であると、飽和脂肪酸の導入量を上げるために、飽和脂肪酸導入時の基質中の油脂の割合を下げ、飽和脂肪酸または飽和脂肪酸の低級アルコールエステルの割合を上げる必要があり、飽和脂肪酸導入油脂の生産効率が低下するので好ましくない。
構成脂肪酸組成中のオレイン酸は40重量%、より好ましくは55重量%以上である。40重量%未満であると、必然的にリノール酸含有量が高くなり、飽和脂肪酸導入後にハードバターのテンパリング性や耐熱保型性を低下させるSLS(2−リノール、1,3ジ飽和型グリセリド)の含有量が高くなるため、ハードバターの品質低下やエステル交換後の分別収率の低下が起こり好ましくない。オレイン酸/リノール酸比率では、15以上、より好ましくは20以上である。
構成脂肪酸組成中の炭素数20〜24の飽和脂肪酸は3重量%以上である。3重量%未満であると、飽和脂肪酸導入し分別した後の油脂中のLUS含有量が低く、所望のソフト化に適合せず、また耐ブルーム性もやや低くなる傾向で好ましくない。
更に、2位脂肪酸組成中の飽和脂肪酸は10重量%以下、より好ましくは5重量%以下であることが好ましい。10重量%を超えると、飽和脂肪酸導入後にSSS(トリ飽和型グリセリド)やSSU(1,2−ジ飽和、3−不飽和型グリセリド)の生成が多くなり、やはりテンパリング性、耐熱保型性及び口溶け性の低下や分別収率の低下が起こり好ましくない。
【0013】
本発明は、油脂への飽和脂肪酸の導入を、油脂と遊離脂肪酸または脂肪酸の低級アルコールのエステルと混合しリパーゼを用いた1段のエステル交換反応で行い、さらにこれを分別するハードバター組成物の製造法である。飽和脂肪酸としては、炭素数16〜22の天然由来の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸の水素添加物が利用出来る。脂肪酸の低級アルコールエステルとしては、炭素数16〜22の天然由来の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸の水素添加物をメチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコールなどでエステル化したものを用いることが出来る。導入する飽和脂肪酸の中では、特にステアリン酸の場合が経済的効果大である。
【0014】
1,3位に選択的に飽和脂肪酸を導入する油脂としては、上記特定の高ステアリン・高オレインひまわり油を油脂の主要原料として、2位がオレイン酸に富む油脂、例えば、パーム油、サル脂、イリッペ脂、コクム脂、シア脂、マウア脂、オリーブ油、椿油、山茶花油、ハイオレイックひまわり油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイック菜種油などを上記の高ステアリン・高オレインひまわり油の等量以下好ましくは半量以下で併用することが出来る。
【0015】
本発明における油脂の1,3位に選択的に飽和脂肪酸を導入する方法としては、1,3位特異性リパーゼによる選択的エステル交換反応が利用出来る。1,3位特異性リパーゼによる選択的エステル交換反応とは、油脂の主成分であるトリグリセリドの1,3位をエステル交換するが2位をほとんどエステル交換しない性質をもつような選択性のある酵素を用いる反応である。このような選択性を示す酵素として膵臓リパーゼ、米ヌカリパーゼ等の動植物起源のもの、リゾープス・デレマー、リゾープス・ジャパニカス、リゾープス・ニベウス、アスペルギルス・ニガー、ムコール・ジャパニカス等の微生物起源のもの等が例示出来る。反応温度は概ね20〜75℃である。この選択的エステル交換反応では、反応の副生物としてジグリセリドやトリ飽和グリセリドの生成を極力抑えるために、基質水分が0.18%以下のような系で反応するのが好ましい。
【0016】
本発明におけるエステル交換の基質中の油脂の割合は25重量%以上、好ましくは40重量%以上が好適である。この方法は、高ステアリン・高オレインひまわり油を主要原料とする油脂と飽和脂肪酸または飽和脂肪酸エステルとを混合したもの(重量比率で25:75〜70:30)を基質として、リパーゼ反応を行いSUS含有量が30〜65重量%の反応油を作成し、その後の分別に供する。
【0017】
本発明においては、1,3位に選択的に飽和脂肪酸を導入した後に、分別を行う必要がある。選択的エステル交換反応だけでは、LUS含有量が不十分な油脂となり、所望のソフト化に適合せず、また耐ブルーム性もやや低くなる傾向で好ましくない。分別方法は溶剤分別、乾式分別、ディタージェント分別、蒸留分別、ゾーンメルティング等を採用することが出来るが、通常溶剤分別法または乾式分別法が好適に採用される。
【0018】
本発明で目指す所望のSUS含有量は75重量%以上である。SUS含有量が50重量%以上であれば、チョコレート用のハードバターとして使用可能であるが、特定量のLUS含有量を持ちながら、チョコレートに必要とされるスナップ性(20℃程度の常温でパキット割れる性質)や冷感を伴う口溶け感、30℃前後までの耐熱保形性を得るには、SUS含有量としては少なくとも75重量%が必要である。75重量%未満であると、スナップ性、耐熱保型性が低下するため好ましくない。
【0019】
本発明により製造されるハードバターは、LUS(L:炭素数20〜24の飽和脂肪酸、U:炭素数16〜18の不飽和脂肪酸、S:炭素数16〜24の飽和脂肪酸)の含有量が5〜10重量%である。5重量%未満では、所望のソフト化に適合せず、また耐ブルーム性もやや低くなる傾向で好ましくない。10重量%を超えると、スナップ性、耐熱保型性が低下するためやはり好ましくない。
【実施例】
【0020】
以下この発明を実施例で説明する。
アルゼンチン産のIV62.9の高ステアリン・高オレインひまわり油の脱酸油イ、IV83.1のハイオレイックひまわり油の脱酸油ロをそれぞれ調製し、それぞれの全脂肪酸組成、2位脂肪酸組成を測定した。その結果を表1に示す。
【0021】
表1 脂肪酸組成(%)

脱酸油イの高ステアリン・高オレインひまわり油は飽和脂肪酸の大部分が1,3位に配位し、2位はほとんどオレイン酸で占められている。また、炭素数20〜24の飽和脂肪酸も殆んど1,3位には存在し、その含有量も脱酸油ロの従来のハイオレイックひまわり油に比較して高くなっている。
【0022】
〔実施例1〕
市販のリゾープス・ニベウスのリパーゼ1重量部と珪藻土2重量部を混合し、更に冷水適当量を攪拌しながら散布して粒状とし、これを15℃で減圧乾燥して水分1.5重量%の珪藻土酵素を得た。別に脱酸油イ(高ステアリン・高オレインひまわり油)45重量部とステアリン酸エチル(93%純度)55重量部を減圧加熱乾燥して反応基質(水分0.01重量%)を作成し、これに前の珪藻土酵素3重量部を加え密閉下43℃で3日間攪拌して後、反応物を回収した。更に、蒸留でエチルエステルを除いて反応油aを得た。この反応油をノルマルヘキサンを用いて分別を実施してSUS含有量84.6重量%の中融点画分aを得た。この中融点画分の収率は64.2重量%であり、LUS含有量は7.4%であった。この中融点画分を脱色、脱臭してハードバターa を得た。
【0023】
〔比較例1〕
実施例1の脱酸油イを脱酸油ロ(ハイオレイックひまわり油)に代えて、また実施例1のエステル交換の反応基質を脱酸油ロ30重量部とステアリン酸エチル(純度93%)70重量部に代えて、実施例1同様にエステル交換、分別を実施してSUS含有量83.6%の中融点画分bを得た。この中融点画分の収率は59.5%であり、LUS含有量は4.3%とやや低いものであった。この中融点画分を脱色、脱臭してハードバターb を得た。
【0024】
〔比較例2〕
市販のリゾープス・ニベウスのリパーゼ1重量部と珪藻土2重量部を混合し、更に冷水適当量を攪拌しながら散布して粒状とし、これを15℃で減圧乾燥して水分1.5重量%の珪藻土酵素を得た。別に脱酸油イ(高ステアリン・高オレインひまわり油)10重量部とステアリン酸エチル(93%純度)90重量部を減圧加熱乾燥して反応基質(水分0.01重量%)を作成し、これに前の珪藻土酵素3重量部を加え密閉下43℃で3日間攪拌して後、基質油を回収した。更に、蒸留でエチルエステルを除いて反応油cを得た。この反応油のSUS含有量は82.8%であったが、LUS含有量は2.7%と低いものであった。この反応油を脱色、脱臭してハードバターc を得た。
【0025】
ハードバター組成物a〜c のトリグリセリド組成を表2に示す。
表2 トリグリセリド組成(%)

【0026】
〔実施例2〕
実施例1で得られたハードバターa 50重量部とパーム中融点部(IV34.5、POP含量68.0重量%)50重量部を混合してハードバターAを得た。ハードバターA 23.2重量部、カカオマス19.8重量部、全脂粉乳17.9重量部、砂糖39.1重量部、レシチン0.5重量部を混合し、ロールがけしてコンチング後、水浴容器中で攪拌して品温45〜50℃から品温26〜27℃に冷却し、次いで水浴温度を上昇させるテンパリング処理により品温28℃に到達した時点で型流しし5℃の雰囲気中30分間冷却した。その後、型離しして厚さ5mm、縦50mm、横20mmの板状のチョコレートを作成した。
【0027】
〔比較例3〕
比較例1で得られたハードバターb 50重量部とパーム中融点部(IV34.5、POP含量68.0重量%)50重量部を混合してハードバターBを得た。実施例2のハードバターAをハードバターBに代えて、同様に板状のチョコレートを作成した。
【0028】
〔比較例4〕
比較例2で得られたハードバターc 50重量部とパーム中融点部(IV34.5、POP含量68.0重量%)50重量部を混合してハードバターCを得た。実施例2のハードバターAをハードバターCに代えて、同様に板状のチョコレートを作成した。
【0029】
〔比較例5〕
実施例2のハードバターAをカカオバター(アイボリー産)に代えて同様に板状のチョコレートを作成した。表3にチョコレートの評価結果を示す。
【0030】
表3


【0031】
耐熱性:板状のチョコレートを20℃、7日間エージング後、各測定温度で2時間保持した後、不動工業(株)製レオメーターにて硬さを測定した。
スナップ性:20℃で板状チョコレートを割ったときの状態
◎:非常に良好 ○:良好 △:やや不良 ×:不良
口溶け:板状チョコレートの口溶けの官能評価
◎:冷感あり口溶け非常に良好 ○:冷感あり口溶け良好
△:口溶け良いが冷感不足 ×:冷感、口溶けとも不良
食感評価:15人のパネラーにより噛み心地のソフトさを判定し、良いと判断した人数
耐ブルーム性:板状のチョコレートを20℃、7日間エージング後、18℃と32℃を交互に12時間保持するサイクルテストを行い、ブルームが発現するに至るサイクル回数を求めた。
【0032】
実施例2は、耐熱性、スナップ性、口溶けに優れるばかりでなく、ソフトな噛み心地の良好な食感と耐ブルーム性にも優れた高品質のハードバターであった。
一方、比較例3及び4は、耐熱性、スナップ性、口溶けは良好であったが、食感がやや硬く耐ブルーム性も実施例2よりやや低いものであった。
また、比較例5のカカオバターは、同様に耐熱性、スナップ性、口溶けは優れたものであったが、食感が硬すぎるとともに耐ブルーム性がかなり弱いものであった。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、チョコレートに用いられるハードバター製造法に関し、更にチョコレートのソフト化、適度な耐熱保形性、スナップ性、口溶け性を有しながら優れた耐ブルーム性を併せ持つハードバターの製造法に関するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成脂肪酸組成中のステアリン酸が12重量%以上、オレイン酸が40重量%以上、炭素数20〜24の飽和脂肪酸が3重量%以上であり、かつ2位脂肪酸組成中の飽和脂肪酸が10重量%以下である高ステアリン・高オレインひまわり油を油脂の主要原料として、飽和脂肪酸または飽和脂肪酸の低級アルコールエステルと1,3特異性リパーゼによるエステル交換を行い、油脂の1,3位に選択的に飽和脂肪酸を導入し、これを分別してSUS(2−不飽和、1,3−ジ飽和型グリセリド、S:炭素数16〜24の飽和脂肪酸、U:炭素数16〜18の不飽和脂肪酸)の含有量が75重量%以上の画分を得ることを特徴とするハードバターの製造法。
【請求項2】
LUS(L:炭素数20〜24の飽和脂肪酸、U:炭素数16〜18の不飽和脂肪酸、S:炭素数16〜24の飽和脂肪酸)の含有量が5〜10重量%である請求項1記載の製造法。

【公開番号】特開2010−81835(P2010−81835A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252950(P2008−252950)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000236768)不二製油株式会社 (386)
【Fターム(参考)】