説明

バイオガスを生成する方法

【課題】
【解決手段】バイオガスリアクタ内でバイオマスからバイオガスを生成する方法であって、効率的なバイオガス生成のために、少なくとも1つの基準値を、バイオガスリアクタ内の少なくとも1つの微量元素の濃度に設け、バイオガスリアクタ内でバイオマスからバイオガスを生成し、バイオガスリアクタ内でバイオマスの少なくとも1つの微量元素の濃度を測定し、微量元素の測定濃度が基準値を下回った場合に、不足の微量元素をバイオガスリアクタに添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオガスリアクタ(以下、発酵槽とも呼ぶ)内で有機物質からバイオガスを生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
植物の光合成によってバイオガス中の太陽エネルギを固定化することは、自己再生可能なエネルギ源の最も重要な源の1つである(非特許文献1参照)。光合成によるエネルギ生成に基づいて、高分子が代謝の結果として植物によって合成される。バイオガスプラント内の嫌気性分解では、これらの高分子をメタンおよび二酸化炭素に極めて高効率で変換することができそのため、植物に保存されるエネルギの最大82%がメタンに変換する。
【0003】
バイオガス生成のプロセスは4つの段階に細分されることができる。第1の段階、すなわち加水分解では、バイオマスの複合体構造がこれらのモノマー(糖、脂肪、たん白質)に分解される。続いて、モノマーが短鎖脂肪酸に分解される(酸生成:acidogenesis)。第3の段階(酢酸生成:acetogenesis)および第4の段階(メタン生成:methanogenesis)では、まず酢酸が生成され、これに続いてメタンが生成される。特に、バイオガスプロセスの副産物として、低濃度の二酸化炭素およびさらなるガスが発生する。最適な環境条件は、それぞれの段階で部分的に著しく異なる(非特許文献2参照)。
【0004】
最高水準の技術によると、有機物質の嫌気性分解は、通常30%未満の乾燥物質を含有する水性溶媒で行われる。
【0005】
バイオガスの生成は、そのプロセスに関係する微生物に応じて、20から57℃の範囲内の異なる最適温度で行われる。
【0006】
炭素:窒素:リン:硫黄の最適比はそれぞれ、加水分解および酸生成では500:15:5:3であり、酢酸生成およびメタン生成では600:15:5:3である。
【0007】
加水分解および酸生成に最適なpH値は、pH5.2から6.3の範囲内であり、酢酸生成およびメタン生成に最適なpH値は、pH6.7から7.5の範囲内である。
【0008】
固体基質および液体基質が、発酵基質として使用される。工業、商業、農業および家庭からの生物性廃棄物、ならびにメタンの生成のために目的を持って栽培されるエネルギ植物は両方ともに、バイオガスプラントで使用される。これらのエネルギ潜在力をさらに活用するために、動物性排泄物を頻繁に、農業用バイオガスプラントでのプロセスに追加的に供給される。しばしば、バイオガス生成のプロセスの始めには、バイオガスリアクタは収穫されたエネルギ植物と共に液体糞尿を備えており、その後、バイオガスリアクタには、収穫されたエネルギ植物が排他的に供給される。本発明は、バイオガス生成のあらゆるバリエーションに関連する。
【0009】
分解段階の最終段階、すなわちメタンの生成が、古細菌(始原細菌)に属するメタン生成微生物によって行われる。高度好塩菌およびある超好熱性発酵細菌と共に、これらはユリアーキオータ門を形成する(非特許文献3参照)。あらゆる生物の中で、メタン菌は特別な位置を占める。他の微生物でごくまれに役割を果たすに過ぎない補酵素を用いてのみ、これらの代謝プロセスの多くが進行可能である。現在知られている7つのうちの1つは補酵素F430であり、ニッケルの中心イオンを有している。さらなる一例は、モリブデン補因子を備えたホルミル−メタノフラン−デヒドロゲナーゼである(特許文献3参照)。これら固有の代謝プロセスにより、メタン菌には微量元素濃度に関して特別な必要要件がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Maurer, M. and Winkler, J.-P; Biogas. Theoretische Grundlagen, Bau und Betrieb von Anlagen; 1982; edited by Springer publishing house
【非特許文献2】SAHM: Biologie der Methanbildung, Chem.-Ing. Tech.53 (1981) Nr. 11, S. 854 - 863
【非特許文献3】Schlegel, H.-G.; Allgemeine Mikrobiologie; 8. ed., 2007, Georg Thieme publishing house
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
微量元素を含有する添加物をバイオガスプラントの発酵槽に供給することが、すでに知られている。欧州特許公開第1 577 269A1号は、メタンガス細菌にとって重要である微量元素の不足を補償するために、微量元素を充填したゼオライトを添加することを開示している。発酵基質は、たとえばブタの液体糞尿とトウモロコシのサイレージとの混合物である。微量元素を備えた、既知の添加物を添加すると、すべてのバイオガス生成において、単に一時的な改良やわずかな改良が部分的に得られるか、あるいは全く得られない。
【0012】
このことから、本発明は、微量元素を備えた微生物の供給を大幅に改善することを特徴とする、バイオガス生成の方法を提供する目的に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本目的は、請求項1の特徴を備えた方法によって解決される。この方法の有利な実施形態は、従属項に示されている。
【0014】
バイオガスリアクタ内でバイオマスからバイオガスを生成する本発明の方法は、以下のステップを含む。
効率的なバイオガス生成のために、少なくとも1つの基準値を、バイオガスリアクタ内の少なくとも1つの微量元素の濃度に設ける。
バイオガスリアクタ内でバイオマスからバイオガスを生成する。
バイオガスリアクタのバイオマスの少なくとも1つの微量元素の濃度を測定する。
微量元素の測定濃度が微量元素の基準値を下回った場合に、この微量元素をバイオガスリアクタに添加する。
【0015】
本発明は、バイオガス生成に関連する少なくとも1つの微量元素の濃度が基準値に適合する場合に、バイオガスリアクタ内のバイオガス生成が特に効率的になるという驚異的な知見から始まるものである。関連する微量元素およびバイオガスリアクタ内でのこれらの濃度に対する基準値は、実験室規模のプラントおよび実用的用途でのプラントを用いた検査によって決定されている。さらなる検査によってさらなる知見が得られるであろうことが想定され、このことによって、さらなる基準値やより正確な基準値を設けることができるようになる。本発明の方法では、バイオガスリアクタ内のバイオマス(「発酵槽内容物」や「発酵基質」とも呼ばれる)における少なくとも1つの微量元素の真の濃度を測定する。バイオマスは、特に、最初に述べた発酵基質であり、場合によって微生物がそれの中に含有されるかまたは添加される。濃度が基準値を下回ると、各微量元素をバイオガスリアクタに加える。そうすると、微量元素の添加を、基準値(たとえば所与の許容差に関する)から目下有意に不足している場合に限定することができる。微量元素の真の濃度が基準値よりも高くなる(任意選択で許容差を引く)と、微量元素の添加を省略する。すなわち、あまりにも高濃度の微量元素を回避しなければならない、というのは、これによってバイオガスリアクタでのバイオガス生成が損なわれる可能性があるからである。そのうえ、過量投与によって、発酵残留物が分散される地域が不必要に重金属によって負荷を与えられる結果となる。少なくとも1つの微量元素の基準値と適合することによって、より効率的にバイオガスを生成することができる。
【0016】
好ましくは、複数の微量元素に対して基準値の観察をモニタし、必要に応じて微量元素を添加することによって確認する。したがって、微量元素の添加が、有機物質からのメタンガス生成を安定化させ、かつ産出量を増加するのに役立つ。発酵基質の微量元素不足が補償されると、発酵槽に含有されている生体物質の個体群の濃度および性能が増加し、したがって、バイオガスプラント内の基質のターンオーバーを増加させることができる。
【0017】
研究が示しているのは、一定の微量元素の基準値の一致を制御することが、バイオガス生成の有効性に特に重要となることである。そこで、このことは微量元素のニッケル、コバルト、モリブデンおよび鉄と関係する。したがって、この方法の一実施形態によると、微量元素のニッケルおよび/またはコバルト、および/またはモリブデン、および/または鉄の濃度に基準値を設け、バイオガスリアクタのバイオマスにおける微量元素のニッケルおよび/またはコバルト、および/またはモリブデン、および/または鉄の濃度を測定する。その結果、上述の想定されるバイオガスリアクタの内の微量元素の不足を補償することができる。
【0018】
さらなる実施形態によると、ニッケルの基準値が4〜30mg/kgDMであり、かつ/またはコバルトが0.4〜10mg/kgDMであり、かつ/またはモリブデンが0.05〜16mg/kgDMであり、かつ/または鉄が750〜5000mg/kgDMである。
【0019】
さらなる実施形態によると、ニッケルの基準値が、少なくとも10mg/kgDMおよび/または多くても25mg/kgDMであり、かつ/またはコバルトが少なくとも1.0mg/kgDMおよび/または多くても5.0mg/kgDMであり、かつ/またはモリブデンが少なくとも1.0mg/kgDMおよび/または多くても10.0mg/kgDMであり、かつ/または鉄が少なくとも1500mg/kgDMおよび/または多くても3500mg/kgDMである。
【0020】
現在の研究段階によると、ニッケルの最適基準値が16mg/kgDMであり、かつ/またはコバルトが1.8mg/kgDMであり、かつ/またはモリブデンが4mg/kgDMであり、かつ/または鉄が2400mg/kgDMである。
【0021】
研究がさらに示しているのは、他の微量元素もまたバイオガス生成において重要となることである。その微量元素とは、マンガン、銅、セレン、タングステン、および亜鉛である。したがって、手順の一実施形態によれば、微量元素のマンガンおよび/または銅および/またはセレンおよび/またはタングステンおよび/または亜鉛の濃度に基準値を設け、バイオガスリアクタにおける微量元素のマンガンおよび/または銅、および/またはセレン、および/またはタングステン、および/または亜鉛の濃度を測定する。不足した場合、それぞれの微量元素をバイオガスリアクタに添加する。
【0022】
さらなる実施形態によると、マンガンの基準値が100〜1500mg/kgDMであり、かつ/または銅が10〜80mg/kgDMであり、かつ/またはセレンが0.05〜4mg/kgDMであり、かつ/またはタングステンが0.1〜30mg/kgDMであり、かつ/または亜鉛が30〜400mg/kgDMである。
【0023】
さらなる実施形態によると、マンガンの基準値が、少なくとも250mg/kgDMおよび/または多くても350mg/kgDMであり、かつ/または銅が少なくとも30mg/kgDMおよび/または多くても50mg/kgDMであり、かつ/またはセレンが少なくとも0.3mg/kgDMおよび/または多くても0.7mg/kgDMであり、かつ/またはタングステンが少なくとも0.4mg/kgDMおよび/または多くても0.8mg/kgDMであり、かつ/または亜鉛が少なくとも150mg/kgDMおよび/または多くても250mg/kgDMである。
【0024】
現在の研究段階によると、最適濃度が、マンガンが300mg/kgDMであり、かつ/または銅が40mg/kgDMであり、かつ/またはセレンが0.5mg/kgDMであり、かつ/またはタングステンが0.6mg/kgDMであり、かつ/または亜鉛が200mg/kgDMである。
【0025】
生物学的利用能および実際の必要量を考慮して、微量元素の不足を補償しなければならない。この方法の一実施形態によると、すでに発酵基質に含有されている微量元素の利用能が、まず始めに増大する。これは、たとえば温度、圧力、乾燥物質比、含水率、混合強度など、方法の物理的パラメータを変化させることによって生じさせることができる。一実施形態によると、バイオガスリアクタが、微量元素の生物学的利用能を増大させる添加物を備えている。微量元素の生物学的利用能は、高硫化物(sulphide)濃度で減少する、すなわち、難溶解性で生物学的に利用できない金属硫化物は沈殿する。この方法の一実施形態によると、硫化物濃度を減少させる薬品を添加することによって、生物学的利用能が増大する。硫化物に対する鉄の良好な親和性のため、鉄の添加によって硫化物イオンを固定することができるので、ほんの少量の微量元素が小さな程度で硫化物によって固定されることになる。ここでは、高濃度でなくても鉄が発酵槽におけるバイオガス生成の妨害につながらないという、好都合な結果となる。したがって、微量元素の鉄をこの方法の一実施形態に従ってバイオガスリアクタに添加する。
【0026】
この方法のさらなる実施形態によると、すでに発酵基質に含有されている微量元素の利用能がまず始めに増大し、その後、微量元素の添加によって不足が補償される。このことによって、たとえば硫化物への固定によって、不足を補償するために添加される微量元素の生物学的利用能が直接的に減少することを回避する。
【0027】
この方法のさらなる実施形態によると、微量元素の生物学的利用能が増加した後で、生体物質の少なくとも1つの微量元素の濃度を測定し、この微量元素を添加することによって微量元素の不足を補償する。それによって、発酵基質に含有されている微量元素のより良好な使用、およびバイオマスにおける微量元素の最適濃度への接近を助ける。
【0028】
バイオガスリアクタにおける少なくとも1つの微量元素の濃度を、種々の方法で測定することができる。この方法の一実施形態によると、少なくとも1つの試料の分析法であるICP(誘導結合高周波プラズマ)によって、濃度をバイオガスリアクタから測定する。
【0029】
原則として、関連する基準値との一致を確認して、対応する微量元素を必要に応じて添加するために、少なくとも1つの微量元素の濃度を一度だけ測定しなければならない。発酵槽内の微量元素濃度は、それぞれの供給された基質に依存しており、したがって、発酵槽の供給により変化しうる。さらに、微量元素の生物学的利用能は、添加された基質および加工助剤によって影響される可能性があり、したがって、時が経つにつれて変化する可能性がある。この方法の一実施形態によると、バイオガスリアクタにおける微量元素の濃度変化を得るために、バイオガスリアクタにおける少なくとも1つの微量元素の濃度を時間的間隔をおいて繰り返し測定する。少なくとも1つの微量元素のそれぞれの有効濃度を、関連する基準値と比較して、実際に添加量を算出する基準とする。
【0030】
添加すべき微量元素量を、種々の方法で測定することができる。たとえば、微量元素が不足している場合、微量元素の所与量を、1度にあるいは間隔をおいて繰り返し添加することができる。微量元素の濃度を、バイオガスリアクタにおいて、ある時間的間隔で測定することができる。測定された濃度により、所与量を新たに添加するか、あるいは異なる量が必要であるかがわかる。基準値をまだ下回る場合、基準値対測定有効濃度の比に従って、所与の添加物を増加することができる。基準値を超える場合、基準値対測定有効濃度の比に従って、所与の添加物を減少することができる。このようにして、添加すべき量の最適化が可能となる。
【0031】
別の実施形態によると、所与量の微量元素が最初に添加されることはない。むしろ、基準値と測定濃度との差に応じて、添加すべき微量元素量を決定する。差が大きい場合には、対応する多量の微量元素を時間的間隔をおいて添加し、差が小さい場合には、対応する少量の微量元素を時間的間隔をおいて添加する。さらなる実施形態によると、微量元素の損失を補償するために、発酵残留物とともにバイオガスリアクタから取り出された微量元素を考慮して、添加すべき微量元素量を決定する。
【0032】
一実施形態によると、バイオガスリアクタがある量の微量元素を一旦備えており、微量元素の最終レベルにまで即時に増加するように寸法を決められている。間隔を置いて添加を繰り返すことができる。特に、滞留時間の一部分が経過した後、あるいは、たとえば滞留時間が終了した後に、バイオガスリアクタに改めて添加することができる。
【0033】
さらなる実施形態によると、必要量よりも少量の微量元素を、最初にバイオガスリアクタに添加する。後で必要量になるまで添加を調整する。それによって、バイオガスリアクタの微生物系そのものが、新規の条件に段階的に適合していくことができる。
【0034】
いずれの場合も、添加する期間に従った必要量を基準とするべきである。必要量よりも少量の微量元素を添加する期間は、バイオガスリアクタ内の発酵基質の滞留時間よりも少ないことが好ましく、たとえば1〜3ヵ月である。一実施形態によると、添加すべき微量元素量のほんの一部分を、最初に1〜2週間以内に添加する。
【0035】
さらなる実施形態によると、微量元素を易可溶性の形態でバイオガスリアクタに入れる。さらなる実施形態によると、これらがバイオガスリアクタに一様に分配される。それによって、バイオガスリアクタの個々の領域において過不足の状態を回避することができる。
【0036】
一実施形態によると、微量元素を連続的に、または一度、あるいは繰り返し添加する(たとえば、等しいか異なる時間間隔で、かつ/または等しいか異なる量を)。たとえば、長期間にわたり微量元素を放出する持続性薬剤を1度または繰り返し添加することによって、微量元素を添加する。たとえば短期でバイオガスリアクタにおけるバイオガス生成を増やすために、微量元素を1度添加してもよい。長時間の基準では、バイオマスを変化させて供給することによって、バイオガス生成を高レベルに維持することができる。たとえば供給されたバイオマスの微量元素の不足を長時間の基準で補償しなければならない場合、微量元素を連続して、あるいは繰り返して添加することができる。
【0037】
微量元素を異なる時間的間隔で添加してもよい。この方法の一実施形態によると、毎日、または数日の間隔で添加する。別の実施形態によると、バイオガスリアクタにおけるバイオマスの滞留時間(たとえば1〜3ヵ月)にほぼ一致する間隔で、添加する。これらの間隔は、添加間の最大の間隔であることが好ましい。というのは、添加された微量元素が滞留時間内に実質的に消費され、かつ/または発酵槽から取り出されることが想定され得るからである。間隔が変化する添加もまた、可能である。
【0038】
バイオガスプロセスの個々のプロセスステップが、空間的に分離された複数の容器または複数のバイオガスリアクタでそれぞれ生じる場合、個々のバイオガスリアクタに存在する細菌のタイプの異なる必要量を、それぞれに添加することによって考慮に入れることができる。
【0039】
一実施形態によると、異なる微量元素を含有する添加物を、バイオガスリアクタに添加する。この添加物は、たとえば液体または固体の形態の異種微量元素の混合物であり、ここでは、固体の添加物を粉末の態様か粒質物の態様で添加してもよく、あるいは、それぞれ、急速にまたは段階的に発酵基質の部分に分かれ、あるいは発酵基質で溶解され、あるいは微量元素を放出する少なくとも1つの他の固体を有していてもよい。
【0040】
一実施形態によると、添加物は、基準値および測定濃度に応じて特別に作られている。したがって、特別に必要量に適合した添加物を、実際にバイオガスリアクタに、具体的には、連続的に、一度、または繰り返して添加する。
【0041】
別の実施形態によると、いくつかの微量元素を微量元素の異なる量の比で含む添加物が作られ、これらの添加物から1つをバイオガスリアクタに供給し、その組成は、基準値と測定濃度とを用いて決定されたバイオガスリアクタに添加するべき添加物の組成に最も近い。この方法のこの変形例の場合、種々の標準的な添加物を手元に保持し、その中で必要時に、バイオガスリアクタ内の微量元素の不足を補償するのに最適である1つを選択する。この選択された添加物を、バイオガスリアクタに連続的に、一度に、または繰り返して添加する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】微量元素を添加した前後のFos/Tac値およびエネルギ収量を示す図である。
【図2】バイオガスプラントの大まかな概略図である。
【実施例】
【0043】
ICP−分析法による微量元素の分析方法を、以下により詳細に説明する。
【0044】
<サンプリング>
試料の組成物が発酵槽の内容物の全体的な組成物と同一となるように、均質な試料が検査される発酵槽から取り出される。試料量を総量約2kgとする。
【0045】
試料の各処理ステップで十分に混合(均質化)する。
【0046】
<試料処理>
約600gの試料をベイキングペーパーで覆われたアルミニウム皿に計量し、ついで、これらを循環空気乾燥器で少なくとも48時間、65°Cで乾燥する。保存し処理することの可能な材料を得るために、発酵槽からの試料を、まず65°Cで乾燥する。乾燥の前後で試料容器の重量ならびに試料の正味の重量を量ることによって、目減りが生じる。
【0047】
65°Cの乾燥物質(要するにDM)の%計算:
%DM(65°C)=乾燥後の試料重量/乾燥前の試料重量×100%
【0048】
乾燥試料物質のすべてを粉砕機で粉砕する(粒度は1mmのふるい通過)。
【0049】
65°Cで乾燥した材料はなお、一定の残存水量を含有する。65°Cで乾燥後、粉砕した材料から、105°Cで4時間乾燥した後の重量の減り分りを測定することによって、105°Cの乾燥物質を測定する。
【0050】
105°CのDMの%計算:
%DM(105°C)=乾燥後の試料重量/乾燥前の試料重量×100%
【0051】
残存含水率は、%DM(105°C)と100%との差である。
【0052】
発酵槽における全乾燥物質の計算:
%DM発酵槽=%DM(105°C)×%DM(65°C)/100%
【0053】
<試料温浸>
正確に3gの均質な試料材料を計量して、小型の石英管に入れ、熱板上で十分に強く加熱すると、有機物質が炭化し始める。試料が煙を出さなくなるとすぐに、小型の石英管がマッフル炉に入り、そこで少なくとも550°Cで32時間燃焼して灰となる。
【0054】
冷却した小型の石英管に、65%の硝酸5ml,および30%の過酸化水素水0.5mlを添加し、続いて試料をマイクロ波で分解するために、小型の石英管をマイクロ波加圧槽に配置する。多量の微量元素が溶解するように、マイクロ波分解の条件を選択する(600ワットで約7.5分)。
【0055】
温浸された試料は脱イオン水とともに通常50mlのメスフラスコであるメスフラスコに移され、メスマークまで充填する。
【0056】
<ICP−分光器による元素の測定>
既存の未溶解成分がある場合はろ過をして、その後、溶液をICP−OES分光器によって測定する。ICP−OESは、発光分光分析に伴う誘導結合プラズマを意味する。これは、溶解した元素を測定するための通常の測定法であり、ここでは、試料溶液を約5000−8000ケルビン度の高温フレーム(誘導結合プラズマによって生成される)に注入する。ついで、試験溶液に含有されている元素が、あらゆる元素に典型的であり、光学的に処理され読出し可能なスペクトル線を放射する。この装置は、発酵槽の内容物のマトリックスと極めて類似している元素を備えた種々の標準溶液によって確立されているキャリブレーションを有する。このキャリブレーションを用いて、各元素の内容物を定量的に算出する。
【0057】
以下の元素を定量的に検査する:
ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、硫黄、リン、銅、ホウ素、マンガン、亜鉛、ニッケル、コバルト、モリブデン、セレン、鉄、タングステン。
【0058】
今後、さらなる元素の含有量を捕捉することもまた考え得る。但し、成分濃度と発酵槽の機能との関係が要求される。
【0059】
<DMの成分部の算出>
ICP分析法によって、検査された成分としてのmg/lの内容物を得て、量り減り、希釈、および残存している湿気の含量を考慮して、これを乾燥物質の内容物に変換する。したがって、乾燥物質に関するあらゆる検査済の微量元素(一般的なME)として発酵槽のスラッジ含量を得る。
mg/kgDM濃度(Me)発酵槽
【0060】
バイオガスプラントを最適に操作するための微量元素の添加量算出の説明
<概略>
測定された異なる微量元素の容量と、最適なバイオガスプロセスにどの容量が必要であるかの知識を用いて、それぞれの微量元素の容量が十分に利用可能であるか、または不足があるかどうかを、個々の元素に対して算出可能である。不足がある場合、易可溶性で高度に利用できる微量元素を塩類として添加することによって、この不足を補償しなければならない。微量元素の添加物の良好な均質分布が、発酵槽において保証されなければならない。
【0061】
Meは一般に、あらゆる微量元素を表す。あらゆる必要な微量元素に対して、以下の算出を個々に行わなければならない。
【0062】
<不足の算出>
濃度(Me)最適−濃度(Me)発酵槽=不足Me(mg/kgDM)
DM濃度(Me)最適(mg/kg)=微量元素Meの最適濃度
DM濃度(Me)発酵槽(mg/kg)=微量元素Meの測定濃度
【0063】
不足がマイナスの場合、すなわち濃度(Me)最適<濃度(Me)発酵槽の場合、添加は不要である。
【0064】
不足がプラスの場合、すなわち濃度(Me)最適>濃度(Me)発酵槽の場合、添加が必要となる。
【0065】
<不足−補償の算出>
微量元素に対してプラスの不足を測定した場合、この不足を添加によって補償しなければならない。実際の不足の半分に対して補償を算出し、7日間にわたり添加するので、微生物系そのものが新規の条件にゆっくりと適合することができる。この測定のために、便宜上、発酵槽の含量(m)が質量(to)に等しいと仮定してもよい。
【0066】
不足を50%補償するための7日間の微量元素の添加:
発酵槽含量(to)×%DM発酵槽(%)×不足Me(mg/kgDM)×0.5/100%=添加物所望のMe50%(g)
【0067】
微量元素が塩または塩の混合物の形で使用されるので、塩または塩の混合物における微量元素の含量(塩中のMe含有量(%))を考慮することによって、微量元素の添加を微量元素の塩の添加に換算しなければならない。
【0068】
不足を50%補償するための7日間の微量元素の塩の添加:
添加物所望のMe50%(g)/%Me‐塩含量×100%=添加物所望のMe−塩50%(g)
【0069】
<排出ロスの算出>
7日後に、発酵槽からの排出によって微量元素が日々損失し、基質の供給によって補償されない量の微量元素量が添加される。数日間にわたり変わらず基質を供給する場合、この日々の排出は、最初に述べられた微量元素の不足にまさにつながる。
【0070】
発酵槽の水理学的滞留時間(HRT)を介して算出を行う。これは添加された物質が発酵槽に平均してどれぐらいの間残存するかを示すものである。不足の50%のみを最初の7日で補償したが、ここで、不足すべてを比例的に排出すると仮定すると、微量元素濃度が最適な必要量にゆっくりと近づく。
【0071】
排出ロスを補償するための日々の微量元素の添加:
発酵槽含量(to)×DM発酵槽(%)×不足Me(mg/kgDM)/100%/HRT(d)=添加物1日のMe(g)
【0072】
微量元素が塩または塩の混合物の形で使用されるので、塩または塩の混合物の微量元素の含量(塩中のMe含有量(%))を考慮することによって、微量元素の添加を微量元素の塩の添加に換算しなければならない。
【0073】
排出ロスを補償するための日々の微量元素の塩の添加:
添加物1日のMe(g)/Me(%)‐塩含量×100%=添加物1日のMe−塩(g)
【0074】
<計算例>
具体的な手順を明らかにするために、微量元素ニッケルによって一例を算出する。
一例の仮定:
濃度(ニッケル)発酵槽=4.3DM(mg/kg)、発酵槽の分析法による
発酵槽の含量=それぞれ2,500mまたは2.500to
平均滞留時間(HRT)=63日
DM発酵槽=8.7%
22.35%ニッケル含有量を備えた硫酸ニッケル六水和物としての添加物
【0075】
<不足の算出>
ニッケルに対して、4−30DM(mg/kg)が最適であると測定した。
濃度(ニッケル)最適=16.0DM(mg/kg)=微量元素ニッケルの最適濃度
濃度(Me)最適−濃度(Me)発酵槽=不足Me(DM)(mg/kg)
16.0−4.3=11.7mg/DM(kg)=不足Ni
不足がプラス、すなわち濃度(ニッケル)最適>濃度(ニッケル)発酵槽であり、したがって添加が必要となる。
【0076】
<不足の補償の算出>
不足を50%補償するための7日間の微量元素の添加:
発酵槽含量(to)×%DM発酵槽(%)×不足Me(DM)(mg/kg)×0.5/100%=添加物所望のMe50%(g)
2,500to×8.7%×11.7DM(mg/kg)×0.5/100%=ニッケル1272.5g=添加物所望のMe50%(g)
【0077】
不足の50%を補償するための7日間の微量元素の塩の添加:
添加物所望のMe50%(g)/Me(%)‐塩含量×100%=添加物所望のMe−塩50%(g)
ニッケル1272.5g/塩中のニッケル22.35%×100%=硫酸ニッケル六水和物5693.4g=添加物所望のMe−塩50%(g)
【0078】
<排出ロスの算出>
排出ロスを補償するための1日の微量元素の添加:
発酵槽の含量(to)×DM発酵槽(%)×不足Me(DM)(mg/kg)/100%/HRT(d)=添加物1日のMe(g)
2.500to×8.7%×11.7DM(mg/kg)/100%/63d=ニッケル40.4g=添加物1日のMe
【0079】
排出ロスを補償するための1日の微量元素の塩の添加:
添加物1日のMe(g)/Me(%)−塩含量×100%=添加物1日のMe−塩(g)
40.4g/22.35%×100%=硫酸ニッケル六水和物108.8g=添加物1日のMe−塩
【0080】
<微量元素の混合物の算出>
不足しているあらゆる微量元素を添加しなければならないので、必要な微量元素を含有し添加量から算出された関係にある微量元素の混合物を、異なる微量元素の塩類から算出する。算出された添加量に達するように、添加物の推奨をバイオガスのオペレータの動作データによって算出する。微量元素の混合物の取り扱いをより良好に適切にするために、必要に応じて充填物を添加する。
【0081】
不足の50%を補償するための7日間の微量元素の混合物の添加:
あらゆる添加物の合計所望のMe−塩50%(g)+充填物(g)=7日間にわたる添加物Me混合物50%の合計−不足
【0082】
7日間にわたる一様分布のために、この量を7日に分割しなければならない:
【0083】
不足を50%補償するための7日間にわたる微量元素の混合物の1日の添加:
7日間にわたる添加物Me混合物50%の合計−不足/7日=1日の添加物Me混合物50%の合計−不足
【0084】
類似の態様が排出ロスを補償するための添加に適用される:
排出ロスを補償するための微量元素の混合物の1日の添加:
あらゆる添加物の合計1日のMe−塩(g)+充填物(g)=添加物1日のMe混合物の合計
【0085】
<実際の検査の結果>
例1:
液体糞尿なしで作動し、酸度およびFos/Tac値(緩衝能の基準としての揮発性の有機酸と無機炭素との比を言う)とが非常に増加した状態にあり、かつ、結果的にガスの発生が減少している状態で、すでに4ヵ月間プロセスが抑制されているバイオガスプラントにこのバイオガスプラントに特別に適合された微量元素の添加物を充満させた。供給物は、トウモロコシサイレージ、穀粒、およびグラスサイレージを含んでいた。微量元素を添加した後、前にプロセスが阻害されたことにより蓄積していた酸の分解によって、ガス品質と生成されたガス量との両方が24−72時間以内に増加した。続いて供給物を増やしたにもかかわらず、発酵基質の分析値は、プロセス条件が着実に改良されたことを示した。続いて、酸が以前のプロセスの阻害を示す臨界濃度から安定プロセスを表す極めて低い含量にまで減少した。全体として、最初の10日以内でバイオガスの電力が600kWから840kWに増大し、このことは性能が40%増加したことに相当する。
【0086】
微量元素を添加した前後のFos/Tac値およびエネルギ収量の変化を、添付の図表に示す。ここでは、主要な発酵槽(×)、2次発酵槽1(正方形)、および2次発酵槽2(菱形)におけるFos/Tac値の経過を、時間とともに示す。さらに、モータ(三角形)の全電力をも示す。それぞれの測定値を曲線で接続する。微量元素を添加した後10日以内で、バイオガスプラントの性能が約40%増大したことが容易に認識することができる。
【0087】
以下は、Fos/Tac値について述べる。
Fos/Tac値は、バイオガス発酵槽の分析法におけるデータ値であると立証されており、事実上あらゆる検査で行なわれている。
【0088】
一定の酸で滴定することによって、有機酸の合計(Fos)およびカーボネート緩衝液の合計(Tac)を測定することができる。
【0089】
これから生じるFos/Tac値は0.3を下回るべきであり、このことは緩衝液と酸との比の平衡がとれていることを意味する。
【0090】
この値が0.4を超えて増加すると、目下のカーボネート緩衝液のための酸があまりにも多くなる。これは、バイオガスプロセスが最適でないことの明確で周知の表れであり、酸が十分に速くなく、あるいは十分に分解されない中でしばしば起こる。
【0091】
遠心分離された発酵槽試料20mlを、約80mlの水で希釈し、攪拌中しながら0.1nの硫酸で滴定し、この間にpH値を測定する。
【0092】
pH値が5.0になるまで硫酸(0.1n硫酸(ml))の消費量をリストアップし(=α)、pH値が4.4になるまで滴定を続ける。pH5.0からpH4.4まで硫酸(0.1n硫酸(ml))の消費量をリストアップする(=β)。
Tac=α×250
Fos=(β×1.66−0.15)×500
Fos/Tac=Fos:Tac
【0093】
例2:
ウシの液体糞尿、スーダングラスおよびコムギ粒が共に発酵して作動するバイオガスプラントでは、消化槽は、発酵槽の容積立方メートルあたりわずか2kgの有機物質の投入が実現可能であった。供給物が増加すると、通常は、さらなるステップでメタンおよび二酸化炭素に分解される短鎖脂肪酸が蓄積し、バイオガス生成が間もなく停止する状態で、分解が阻害された。バイオガスプラントには2つの同一の発酵槽があり、これらは等しく充填された。これらの発酵槽のうちの1つを微量元素で処理し、第2のものをすでに述べたとおりコントロールとして作動させた。微量元素を処理した後、バイオガスの量および品質が急速に増大するのに対して、無処置の発酵槽は変化を示さなかった。増大したガス量は、有機酸の分解から生じたものであり、もはや抑制されない生物活性によって、次に最終生産物のメタンおよび二酸化炭素に分解されることができる(表1)。有機物質の供給が次に増加して、結果としてガス生成が増加したが、さらなる阻害の徴候はなかった。微量元素を添加せずにコントロールとして作動し続けた発酵槽は、きわめて少ない投入量にもかかわらずほんのわずかに分析値が改良されただけであった。
【0094】
表1:
制御の変形例と比較した、微量元素を添加した後のバイオガスプラントの揮発性脂肪酸の変化(安定したバイオガスプロセスの目標値:酢酸対プロピオン酸比>2:1,プロピオン酸の酸性<1000mg/kgFM)
【0095】
【表1】

【0096】
プラント2の微量元素の供給。
【0097】
【表2】

【0098】
本発明に従って設けられた微量元素濃度の基準値ならびにこれらの最適範囲、および農業地域の堆積の限界値を、以下の概要で要約する:
最適な微量元素濃度の基準値
【0099】
【表3】

【0100】
*1)農業地域に堆積するドイツ政令限界値(バイオ廃棄物令(BioAbfV))、括弧内:環境汚染物質に関する規制(Stoffverordnung StoV)、スイス政府に代わる2003年3月26日変更
【0101】
基準値は、このような値が存在するとしても、常に限界値よりも大幅に下回る。
【0102】
図面では、バイオガスプラントは、大まかで概略的な方法で示されており、微量元素の不足を補償するために、本発明に従ってこれに微量元素を供給することができる。
【0103】
バイオガスプラントは、主要発酵槽1を備えており、この中で投与装置2を介して固形基質を測定することができる。2次発酵槽3が主要発酵槽の後ろに接続されており、そして、さらなる2次発酵槽4が2次発酵槽3の後ろに順に接続されている。発酵残留物が、さらなる2次発酵槽4から発酵残留物貯蔵室5に達する。
【0104】
主要発酵槽1,2次発酵槽3,およびさらなる2次発酵槽4から、バイオガスをブロック形の火力発電所6に供給し、ここで電流と部屋を暖めるための熱とが生成される。
【0105】
主要発酵槽1において、加水分解からメタン生成までの一部分のバイオガス生成物が発生する。また、大部分のバイオガスがここで抽出される。残りのメタン生成が、さらなるバイオマスの分解に付随して、2次発酵槽3および4において生じる。微細な基質のための投与装置2を介してバイオガスプラントに微量元素を供給することによって、微量元素の不足を補償する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオガスリアクタ内でバイオマスからバイオガスを生成する方法であって、
効率的なバイオガス生成のために、少なくとも1つの基準値を、バイオガスリアクタ内の少なくとも1つの微量元素の濃度に設け、
前記バイオガスリアクタ内でバイオマスからバイオガスを生成し、
前記バイオガスリアクタ内で前記バイオマスの少なくとも1つの微量元素の濃度を測定し、
微量元素の測定濃度が基準値を下回った場合に、不足の微量元素を前記バイオガスリアクタに添加する、方法。
【請求項2】
微量元素のニッケルおよび/またはコバルト、および/またはモリブデン、および/または鉄の濃度に基準値を設け、かつ前記バイオガスリアクタ内で前記微量元素のニッケルおよび/またはコバルト、および/またはモリブデン、および/または鉄の濃度を測定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ニッケルの基準値が4〜30mg/kgDMであり、かつ/またはコバルトが0.4〜10mg/kgDMであり、かつ/またはモリブデンが0.05〜16mg/kgDMであり、かつ/または鉄が750〜5000mg/kgDMである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ニッケルの基準値が、少なくとも10mg/kgDMおよび/または多くても25mg/kgDMであり、かつ/またはコバルトが少なくとも1.0mg/kgDMおよび/または多くても5.0mg/kgDMであり、かつ/またはモリブデンが少なくとも1.0mg/kgDMおよび/または多くても10.0mg/kgDMであり、かつ/または鉄が少なくとも1500mg/kgDMおよび/または多くても3500mg/kgDMである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
微量元素のマンガンおよび/または銅、および/またはセレン、および/またはタングステン、および/または亜鉛の濃度に基準値を設け、前記バイオガスリアクタにおける微量元素のマンガンおよび/または銅、および/またはセレン、および/またはタングステン、および/または亜鉛の濃度を測定する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
マンガンの基準値が100〜1500mg/kgDMであり、かつ/または銅が10〜80mg/kgDMであり、かつ/またはセレンが0.05〜4mg/kgDMであり、かつ/またはタングステンが0.1〜30mg/kgDMであり、かつ/または亜鉛が30〜400mg/kgDMである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
マンガンの基準値が、少なくとも250mg/kgDMおよび/または多くても350mg/kgDMであり、かつ/または銅が少なくとも30mg/kgDMおよび/または多くても50mg/kgDMであり、かつ/またはセレンが少なくとも0.3mg/kgDMおよび/または多くても0.7mg/kgDMであり、かつ/またはタングステンが少なくとも0.4mg/kgDMおよび/または多くても0.8mg/kgDMであり、かつ/または亜鉛が少なくとも150mg/kgDMおよび/または多くても250mg/kgDMである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記バイオガスリアクタ内の生体材料に含有される前記微量元素の生物学的利用能が増大する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記微量元素の生物学的利用能を増大させる添加物を、前記バイオガスリアクタに添加する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記添加物が鉄を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記微量元素の生物学的利用能が増大した後で、少なくとも1つの微量元素を添加する、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記微量元素の生物学的利用能が増大した後で、生体物質の少なくとも1つの微量元素の濃度を測定し、かつ前記微量元素を添加することによって前記微量元素の不足を補償する、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記バイオガスリアクタからの少なくとも1つの試料における少なくとも1つの微量元素の濃度を、ICP分析法によって測定する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記バイオガスリアクタ内の少なくとも1つの微量元素の濃度を、時間的間隔をおいて繰り返し測定する、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記基準値と前記測定濃度との差に応じて、添加すべき微量元素量を決定する、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
発酵残留物とともに前記バイオガスリアクタから取り出された微量元素を考慮して、添加すべき微量元素量を決定する請求項15に記載の方法。
【請求項17】
添加すべき微量元素量のほんの一部分を最初に添加し、添加すべき微量元素の必要量に対応する量を後で添加する、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
添加すべき微量元素量の一部分を、最初に1〜2週間以内に添加する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
長期間にわたり微量元素を放出する持続性薬剤を1度または繰り返し添加することによって、微量元素を連続的に、あるいは1度、または繰り返して添加する、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
異なる微量元素を含む添加物を前記バイオガスリアクタに添加する、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記添加物が、前記基準値および前記測定濃度に応じて特別に作られている、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
複数の異なる微量元素を微量元素の異なる量の比で含む添加物が作られ、これらの添加物から1つを前記バイオガスリアクタに供給し、その組成は、前記基準値と前記測定濃度とを用いて決定された前記バイオガスリアクタに添加するべき添加物の組成に最も近い、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−528596(P2010−528596A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509732(P2010−509732)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004266
【国際公開番号】WO2008/145362
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(509328146)イーエス・フォルシュングスゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンタク・ハフツング (1)
【Fターム(参考)】