バイオセンサ・ストリップ及びその形成方法
【課題】 試験に必要な液状試料の量を低減する低プロファイルを有するバイオセンサ・ストリップを提供する。
【解決手段】 1実施形態に関わるバイオセンサ・ストリップ110’は、電極支持部111と、電極支持部111上の電極構成と、カバー140と、試料流路112a、112b、112cと、非圧縮性要素150とを備え、この非圧縮性要素150はカバー140と電極支持部111との間に配置され、非圧縮性要素150により流路の少なくとも一方の側部あるいは遠位端に開口部を設けることで、流路に1つ以上の排気口を設ける。別の実施形態に関わるバイオセンサ・ストリップ210’は、電極支持部211と、電極支持部上の電極構成と、カバー240と、試料流路とを備え、このカバー240には、複数の開口部250が形成されて、開口部250の少なくとも1つが流路の位置に合わせされている。本発明の方法によれば、さらに、連続した方法でバイオセンサ・ストリップを形成する方法を含む。
【解決手段】 1実施形態に関わるバイオセンサ・ストリップ110’は、電極支持部111と、電極支持部111上の電極構成と、カバー140と、試料流路112a、112b、112cと、非圧縮性要素150とを備え、この非圧縮性要素150はカバー140と電極支持部111との間に配置され、非圧縮性要素150により流路の少なくとも一方の側部あるいは遠位端に開口部を設けることで、流路に1つ以上の排気口を設ける。別の実施形態に関わるバイオセンサ・ストリップ210’は、電極支持部211と、電極支持部上の電極構成と、カバー240と、試料流路とを備え、このカバー240には、複数の開口部250が形成されて、開口部250の少なくとも1つが流路の位置に合わせされている。本発明の方法によれば、さらに、連続した方法でバイオセンサ・ストリップを形成する方法を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバイオセンサ・ストリップ(Biosensor Strips)及びバイオセンサ・ストリップの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学セル(Electrochemical Cell)は、作用電極と対向電極で構成され、これらの極が互いに電気的に接続されたデバイスである。実用においては、これらの極で発生する電気化学反応により電子を極間で移動させることで電流を発生させる。電気化学セルは、発生させた電流を、例えば、バッテリのような形態で利用したり、電流や電圧の負荷によって誘引された電気化学反応を検出するように設定することができる。
【0003】
バイオセンサは電気化学セルの一種であり、電極構成は、作用電極、参照電極、対向電極(あるいは、参照電極と対向電極の代わりに、これらの電極として機能する電極)により構成される。酵素や伝達物質などの試薬は、測定する試料の検体に反応する電気化学反応についての測定可能な信号を発生させるために必要となるが、このような試薬を作用電極の表面の少なくとも一部分を覆うように作用電極に付着させる。
【0004】
この他の場合では、バイオセンサには、銀と塩化銀の混合物などからなる参照電極を含む。そして、この作用電極の少なくとも一部分を覆うように試薬を付着させる。試薬の付着にあたっては、作用電極での電気化学の測定に影響を及ぼさないようにする。例えば、キノンなどの伝達物質を含む試薬の場合には、銀/銀化合物の混合物に反応しない。このような伝達物質を用いたバイオセンサでは、作用電極に対する試薬の位置合わせが正確でなくても作用電極に試薬を塗布することが可能である。
【0005】
さらに他の場合では、バイオセンサの試薬は、伝達物質と参照電極の付着物質が混ざり合うことを防ぐ目的から、参照電極の付着物質から隔離する必要がある。この場合には、作用電極に塗布する試薬の位置合わせを正確におこなう必要がある。
【0006】
バイオセンサは多種多様であり、所望の化学反応によってそれぞれ異なる。当業者であれば、所望の化学反応を発生させるために所定のバイオセンサを容易に変更することが可能である。
【0007】
ここに記載内容を引用する米国特許第6863800号には、本発明の用途に適した電極構成を備えるバイオセンサ・ストリップ10が開示されている。米国特許第6863800号の図1を参照すると、電極支持部11、好ましくは、樹脂材料(塩化ポリビニール、ポリカーボネート、ポリエステルなど)の細長いストリップにより、好ましくは炭素からなる導電インクのトラック(track)12a、12b、12cが支持されている。トラック12a、12b、12cにより、電気接点14a、14b、14c、参照電極16、作用電極18および対向電極20のそれぞれの位置が決定される。電気接点14a、14b、14cは、所定の測定装置(図示せず)に挿入可能になっている。
【0008】
導電トラック12a、12b、12の上に、さらに、導電材料、好ましくは銀粒子と塩化銀粒子を混合した混合物からなるトラック22a、22b、22cを適宜配置することができる。参照電極16の上に広範囲に露出したトラック122bが配置される。さらに、トラック22a、22b、22cの上に疎水性の絶縁層24が配置される。なお、参照電極16、作用電極18、対向電極20および電気接点14a、14b、14cの各位置は、疎水性の絶縁層24で覆われていない。この疎水性の絶縁層24は、短絡を防止する機能を有する。疎水性の絶縁層24には開口部26が形成されている。この開口部26は、バイオセンサ・ストリップ10の反応領域の境界となるものである。絶縁層が疎水性であるため、試料は反応領域内にある電極部分に制限される。作用電極18は非反応導電材の層からなり、この上に酸化還元反応を発生させる作用インクを含んだ層28が配置される。そして、少なくとも1つのメッシュ層30を電極の上にかぶせる。このメッシュ層30は、プリントの構成要素を物理的な損傷から保護するためのものである。また、このメッシュ層30は、試料の表面張力を低減して電極との接触を助長する働きを有しており、試料が電極全体に均一に広がるようにする。カバー32は、電極支持部11に接触しない電極の表面を覆うものである。このカバー32は液体不浸透性膜である。カバー32は小さい孔34を有しており、塗布した試料が下のメッシュ層30に接触するようになっている。図1のバイオセンサ・ストリップはトップフィル型のバイオセンサ・ストリップであり、試料がメッシュ層を介して電極まで吸い上がるようになっている。米国特許第6863800号の図2には、メッシュ層を有さないエンドフィル型のバイオセンサ・ストリップが開示されている。この場合、試料は毛細管引力を介して電極に接触する。図2のバイオセンサ・ストリップ10’では、カバー層40と、電極支持部11とカバー層40との間に接着層などのスペース層42が設けられている。なお、接着材は感圧接着材であってもよい。カバー層40には孔がない。スペース層42には反応領域の境界となるスロット44が設けられている。液状試料が、バイオセンサ・ストリップ10’の一端のスロット44に形成される開口部46を介してバイオセンサ・ストリップ10’の中に流入する。液状試料は、毛細管力の作用によって開口部46から反応領域に到達してこの領域に広がる。
【0009】
絶縁層24をカバー32で覆う方法では、従来、残りの未処理の構成要素とカバーとの位置を合わせてから、平圧盤と型ブロックによって、残りの未処理の構成要素とカバーとをかしめ付けしていた。このとき、平圧盤は電極支持部11の下方に配置し、型ブロックはカバー32の上方に配置する。カバー32をバイオセンサ・ストリップの残りの未処理の構成要素にラミネートする工程の前に、型ブロックを加熱しておく。図1には、ラミネートの工程において、平圧盤「P」と加熱した型ブロック「B」との位置合わせの方法が示されている。型ブロック「B」を圧盤「P」に対して適切に配置できるようにすることは、このラミネートの工程をうまく行うためには必須である。適切に配置するには比較的高い技術力が必要となり、バイオセンサ・ストリップ「S」の製造に必要な接着を達成するには膨大な時間を要する。この方法は、優れた接着性が得られるものの、型ブロックがカバーと接する部分でテープに膨らみが生じる恐れがある。このような膨らみが形成されると、電気化学セルの容積を不必要に増大させることになる。図2A、2B、2Cには、バイオセンサ・ストリップの形成で従来用いられている、平圧盤「P」と加熱された型ブロック「B」により成形された個々のバイオセンサ・ストリップのドームの断面、半径および高さが、試料流路の幅に応じてどのように変化するかが示されている。
【0010】
さらに、バイオセンサ・ストリップの形成で用いられる方法は、従来、カバーを残りの層にラミネートする処理を連続して行わない、間欠的な処理である。したがって、従来のラミネートの方法では、未処理の構成要素の所定位置にインデックスを付してラミネートする必要があり、所定の段階で正確に構成要素の動作を止めて、一緒にかしめ付けた状態してから、型ブロックの熱が、カバーの裏張り側を介して、接着層に伝わるまで所定の時間だけ保持する必要がある。それから、かしめ付けの状態を開放して製品を工程から取り出す。さらに、テープ層を残りの層にかしめ付けている間に接着材が反応あるいは軟化して、残りの層に高温が伝わる。しかし、酵素は温度上昇により変性するため、高温での熱伝導は好ましくない。
【0011】
バイオセンサ・ストリップの残りの構成要素とカバーとを接着させるための平圧盤と型ブロックを用いた処理で発生した膨らみを取り除くことで、電気化学セルの容積を低減することができるのだが、これは、カバー形成用のテープに低プロファイルのテープを用いることで達成可能である。低プロファイルのテープは試料流路の容積を33%低減することができる。ここで、テストに必要な血液がより少量になれば、必要な血液量を採血する際の患者の苦痛が軽減されるという認識に立つと、試料流路の容積を低減する必要性が生まれる。感圧接着剤(PSA)を用いた低プロファイルのテープに関する過去のテストから、複数のバイオセンサがプリントされたカードの場合、バイオセンサ・ストリップを個別に分離する変換がうまくいかないことが知られている。PSAはパッケージ装置(Romaco Siebler社の登録商標名「SIEBLER」などから商業的に入手可能)などの変換機のカッター上に配置される。このように配置すると、接着剤の塊が落下してバイオセンサ・ストリップのパッケージに入り込んだり、変換機のカッターの刃と基台を広範囲に清掃する必要もある。
【0012】
さらに、バイオセンサ・ストリップ内の試料流路を液体が移動するためのエアを逃がす手段が必要になる。製品の多くは、このような手段として、バイオセンサ・ストリップの上下表面のいずれか一方に換気口が1つ設けられており(符号34参照)、これは、再生可能な信頼性の高いバイオセンサ・ストリップを得るには、1つの排気口を二方向のいずれか一方に適切に位置合わせを行う必要がある。つまり、排気口を、試料の流れる方向に直交する方向に誤って配置すると、液体が試料流路に流れ込まない。また、排気口が、試料の流れる方向に対して平行に試料流路と重なるように配置された場合であっても、試料は流路に流れ込むものの、試験を行うのに十分な試料が得られないこともある。また、排気口が、試料の流れる方向に対して平行であっても、試料流路と重ならないように配置された場合には、液体は試料流路に流れ込まない。
【0013】
前記の通り、平圧盤と型ブロックを用いた方法でカバーを適切な位置に着装することはできる。前記の通り、この方法では、試料流路の遠位端で外界に対して開口するようなドームを形成する。この開口により自然排気が可能となるが、流路を充填するために必要となる試料の容積を増大させることにもなる。また、低プロファイルのテープは、接着性が強すぎて、流路からエアを排出できないために試料が流路に流れ込まない。そこで、試料流路の遠位端に開口部を形成することでエアを流路から逃がし、試料が流路に流れ込むようにする。試料流路の遠位端に開口部を設けることで、毛細管引力(米国特許第6863800号の図2参照)や化学反応によるウィッキング法などで、試料をメッシュ層に吸い上がらせて流路の流れを助ける。
【0014】
試料流路の両側に排気口を設ける試みが数多くなされてきたが、いずれの場合も、液状試料が排気口に沿って吸い上がる際に見苦しい塊が形成された。穿孔技術による排気口の形成では、バイオセンサ・ストリップのカバーに開口部を1つ設ける構成である。したがって、液状試料がカバーの開口部を吸い上がることはない。しかし、前記の通り、カバーに排気口を設けることは、2方向での位置合わせを正確に行う必要がある。
【0015】
バイオセンサ・ストリップ間で試料の充填割合が変動する問題は、接着剤の流れと微細なメッシュを用いた場合に発生すると考えられており、これによって、カバーと絶縁層との間が塞がれることになる。微細なメッシュを用いた場合、検査に必要な血液などの液状試料の量を低減することができる。しかし、微細メッシュの使用によって、絶縁層の表面もより平滑になる。バイオセンサ・ストリップの形成で用いられる従来の方法、つまり、平圧盤と型ブロックを用いてラミネートする場合には、ラミネートの処理中に接着剤の流量が多すぎると、流路を塞いでしまう。流路を塞ぐ度合に応じて、液状試料を流路に充填する割合も直接影響を受けることになる。信頼性の高い再現可能な排気を行うには、この充填の割合の変動を最小限にする必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前記に鑑みて、検査に必要な液状試料の量を低減するような低プロファイルのバイオセンサ・ストリップを開発することが望まれる。さらに、低プロファイルのバイオセンサ・ストリップの排気を行う手段を開発することが望まれる。また、さらに、このようなバイオセンサ・ストリップを連続的に製造する方法を開発することが望まれる。また、さらに、液状試料の充填に関して信頼性の高い再現可能なバイオセンサ・ストリップが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の1実施形態によれば、生体液体の試料における検体の濃度を判定するためのバイオセンサ・ストリップは、
(a)電極支持部と、
(b)電極支持部上の電極構成と、
(c)カバーと、
(d)試料流路と、
(e)カバーと接触する非圧縮性要素を備え、
この非圧縮性要素は、試料流路の少なくとも一方の側部あるいは遠位端に開口部を設けて、試料流路に1つ以上の排気口を設ける構成である。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、生体液体の試料における検体の濃度を判定するためのバイオセンサ・ストリップは、
(a)電極支持部と、
(b)電極支持部上の電極構成と、
(c)カバーと、
(d)液状試料が取り込まれる箇所である近位端と、
液状試料が取り込まれたときに流れる方向にある遠位端と、近位端と遠位端とに延接する第1の側部と、近位端と遠位端とに延接する第2の側部とを有し、第1の側部と第2の側部は液状試料を保持する機能を有するような試料流路と、を備える構成である。
【0019】
カバーあるいは電極支持部に複数の開口部を形成しているので、バイオセンサ・ストリップの残りの構成要素にカバーを密閉させる工程中にカバーの接着材が過剰に流れ場合であっても、液状試料をバイオセンサ・ストリップに充填することができる。前記のバイオセンサ・ストリップは、カバーと試料流路の間に1つ以上のメッシュ層を有する。
【0020】
本発明の別の実施形態によれば、本発明は、一方の表面の大部分に接着材の層を有する裏張りを備えたカバーを、バイオセンサ・ストリップの残りの構成要素に連続的に着装する方法を提供する。この方法では、カバーは、一方の表面の大部分に接着層を有する裏張りを備えたテープのセグメントからカバーを形成する。カバーの装着は、複数の不完全なバイオセンサ・ストリップを含む列を提供し、一方の表面の大部分に接着層を有する裏張りを備えたテープを提供し、列をラミネータなどのテープを着装する装置に送り込み、さらに、テープをラミネータなどのテープを着装する装置に送り込んでラミネートすることで、列は複数の完成したバイオセンサ・ストリップを含み、完成したバイオセンサ・ストリップを含んだ列を複数の個別のバイオセンサ・ストリップに分離することで行われる。
【0021】
ホットメルトあるいは熱活性化タイプの接着材の場合、前記のカバーをバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素に接着させる方法として、静止型あるいは移動型の熱源に接触させるなどの方法により、裏張りと接着材を予熱する方法がある。熱源は、代表的には、熱を良く伝導するもので、カバーの裏張りに大きな損傷を与えない程度に接着材を溶融あるいは軟化させるのに十分な温度に制御可能であるものである。テープは、裏張り部や接着材あるいはバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素に悪影響を及ぼさない程度で、ラミネータなどのテープを着装する装置の加熱領域に静止させてもよいし、または、裏張り部や接着材あるいはバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素に悪影響を及ぼさないようにラミネータなどのテープを着装する装置の加熱領域でテープを移動させてもよい。
【0022】
テープの加熱後は、テープの温度が接着材の硬化点を下回わらないうちに、圧送ローラなどを用いてテープをバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素に着装する。このようにして着装したテープは、典型的に、in-situ再活性化の接着材を有するテープの場合よりも低いプロファイルを呈する。本発明の方法によるテープ着装は、in-situでのテープ着装よりも迅速な処理が可能性である。なお、バイオセンサ・ストリップの非圧縮性構成要素の表面に沿って試料が吸い上げられる量はごく僅かであり、非常にゆっくりとした速度で発生する。
【0023】
感圧接着材の場合、テープを着装する装置で用いる接着材は、熱により溶融あるいは軟化する接着材などは用いない。圧送ローラを備えたテープを着装する装置を用いて、感圧接着材の層を有する裏張りを備えたテープを、未完成のバイオセンサ・ストリップに接着することができる。なお、未完成のバイオセンサ・ストリップにテープを着装した後の工程は、未完成のバイオセンサ・ストリップにホットメルト接着材のテープを着装した後の工程と実質的に同じである。
【0024】
本発明は、バイオセンサ・ストリップの残りの構成要素にテープを接着させるのに用いる接着材の種類を問わずに、バイオセンサ・ストリップに排気口を設ける方法を複数提供する。まず、バイオセンサ・ストリップのカバーに複数の開口部を形成する方法では、開口部の位置を一方向に合わせるようにする必要がある。この方法は、カバーに開口部を設ける作業を簡便にするものである。この方法によれば、レーザあるいは機械装置などの手段により、カバーとなるテープに排気口として機能する複数の小さい開口部を設ける。開口部は線状に形成してもよく、所定の間隔、代表的には、等間隔を置いて形成する。バイオセンサ・ストリップの残りの構成要素にテープを着装した後には、1つ以上、代表的には、2つ以上の開口部が各流路の上方に位置するように間隔を選択してもよい。このようにして開口部を形成した場合、二方向のいずれか一方に位置を合わせる必要がなくなり、バイオセンサ・ストリップのカバーに1つ以上の排気口を高速かつ正確に形成することができる。代替の実施形態では、開口部を、バイオセンサ・ストリップのカバーではなく、電極支持部に形成することができる。連続した方法により、カバー形成用テープの位置合わせをより正確に行うことができる。これは、テープの張力が一定に保たれるため、テープの張力が絶えず増減する間欠的な方法(停止/開始による方法)のテープよりも、位置合わせが容易に制御できるためである。
【0025】
さらに、本発明は、1つ以上の開口部を、カバーや電極支持部ではなく、バイオセンサ・ストリップの試料流路の一方の側部あるいは遠位端に設ける方法を提供する。この方法は、試料流路に排気口を設ける作業を簡便にするものである。この方法によれば、排気口として機能する複数の小さい開口部を、実質的に、スレッドやリボンあるいはテープなどの非圧縮性要素を用いて設けることができる。1つ以上の排気口を、試料流路の少なくとも一方の側部あるいは遠位端に設ける方法では、複数の未完成のバイオセンサ・ストリップを含む列を提供し、一方の表面の大部分に接着材の層を有する裏張りを備えたテープを提供し、非圧縮性要素を形成するのに適した長さの材料を提供し、このテープと非圧縮性構成要素を形成する前記長さの材料とを組み合わせることで、このテープと非圧縮性構成要素を形成する前記長さの材料がアッセンブリを形成し、ラミネータなどのテープを着装する装置に列を送り込み、アッセンブリを列にラミネートなどの方法で接着させることで、列は複数の完成したバイオセンサ・ストリップを含み、完成したバイオセンサ・ストリップの列を、複数の個別のバイオセンサ・ストリップに分離する。接着材がホットメルト接着材である場合は、非圧縮性要素に接合する前にテープを着装する装置でテープを予熱し、テープと非圧縮性要素を接合したものをバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素に着装する。接着材が感圧接着材である場合は、非圧縮性要素に接合する前にテープ着装する装置でテープを予熱する必要はなく、このテープと非圧縮性要素を接合したものをバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素に着装する。このように形成した開口部を用いることで、安価で入手しやすい従来の材料にカバー形成用テープを接合する作業を、高精度かつ高生産率で行うことが可能になる。
【0026】
前記の方法では、作業手順を実施するために困難な設定が不要になる。本発明の方法は、従来のバイオセンサ・ストリップの製造工程において試料流路に形成されるドームをなくすことで流路の容積を低減する必要のあるバイオセンサ・ストリップの製造に適する。ここに記載される方法は、連続した工程で具現化され、これにより、より均一なバイオセンサ・ストリップの生産性を向上させることができる。ここに記載される方法では、カバー形成用のテープを加熱する際に、バイオセンサ・ストリップの残りの構成要素にテープを接合する前にテープを予熱することで、製品の製造で消費される熱を大幅に低減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下において、「試料流路」とは、液状物が流れる管状の経路のことを意味し、この管状の経路は、液状試料が試料流路に導入される部分である近位端と、流路に導入された試料が流れる方向にある遠位端と、流路の近位端と遠位端の間に延伸する第1の側部と、流路の近位端と遠位端の間に延伸する第2の側部とを有し、第1の側部と第2の側部は、試料流路中の液状試料を保持するためのものである。「カード」とは、複数の列を有する未変換のストック(unconverted stock)のシート材のことを意味し、各列は、複数の未完成のバイオセンサ・ストリップにより構成され、この未完成のバイオセンサ・ストリップはカバーで覆うことで完成したバイオセンサ・ストリップになる。「列」とは、一方の長手側で流路が、他方の長手側で電気接点が直線状に揃うように配置された、複数の未完成バイオセンサ・ストリップのことを意味する。「未完成のバイオセンサ・ストリップ」とは、カバーで覆われていないバイオセンサ・ストリップのことを意味する。この未完成バイオセンサ・ストリップは、列あるいはカードを構成する1つの構成要素である。「完成したバイオセンサ・ストリップ」とは、カバーを有するバイオセンサ・ストリップであり、個別のバイオセンサ・ストリップに分離されていないものを指す。「個別のバイオセンサ・ストリップ」とは、カバーを有する個別に分離されたバイオセンサ・ストリップのことを意味する。通常、「バイオセンサ・ストリップ」と単独で用いられている場合には、個別のバイオセンサ・ストリップのことを指す。「低プロファイル」とは、実質的にドームを有さないものを指す。「非圧縮性要素」とは、スレッド、リボン、フィラメント、層などを意味し、本発明においてカバーを設ける際の圧縮に抵抗するだけではなく、完成したバイオセンサ・ストリップの保管や用途における圧縮に抵抗するような要素である。非圧縮性要素は、これらの構成要素により形成される排気口が外界に開かれる度合いに応じた圧縮抵抗のみが必要となる。「フィラメント」とは、実質的に円形の断面を有する微細な細長いファイバーである。「リボン」とは、幅の狭いストリップもしくは帯状の材料であり、一般に自然材料もしくは合成材料からなる。「ドーム」とは、従来の位置合わせ/かしめ付け/加熱の方法によって、未完成のバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素にカバーを配置してバイオセンサ・ストリップを形成するときに、このバイオセンサ・ストリップのカバーによって想定される形状のことを指す。ドームは、バイオセンサ・ストリップの流路の上方で形成される膨れ上がった余剰空間である。「段」とは、バイオセンサ・ストリップのカバーの一部であり、バイオセンサ・ストリップのカバーの他の部分よりも高さが高いものを指す。「裏張り」とは、接着層を支持するテープ層のことを意味する。「ラミネータ」は、2つ以上の基板を一緒に位置決めして固化する装置のことである。具体的には、「ラミネータ」は、未完成のバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素をカバーで覆うような装置を含む。「排気口」とは、エアなどの気体や水蒸気を逃すための通路の開口部である。「基準端(datum edge)」とは、固定ガイドに対して位置決めされた端として用いられる列、カードあるいはテープの一端である。対照的に、列、カード、テープの他端は、供給許容を考慮して用いるスプリングローラなどの移動ガイドにより取り扱われる。「ウィンディミラー(Windy Miller)」とは、カードを列に変換する手動式の装置のことである。
「列切断装置」あるいは「列切断アッセンブリ」などは、バイオセンサ・ストリップの列を所望のバイオセンサ・ストリップに、例えば、幅40mmのストリップを幅34.5mmのストリップに幅狭の列に変換するような装置である。「個別の」とは、複数のバイオセンサ・ストリップを含む列から個々切断された個別のバイオセンサ・ストリップのことである。「列の変換」等の表現は、列切断装置によって行われる処理である。「スリップリング(Slip Ring)」とは、複数の電気的なチャンネルを、接続ケーブルの撚りを有さない回転構成要素に変換するような装置である。「斜板」とは、デュアルアクション・カムとして動作するように、軸からずれて回転する楕円形の回転構成要素である。「駆動ピンホルダー」とは、斜板によって駆動される装置であり、これによりピンホルダーが往復運動する。「弓なり」とは、カードや列に想定される湾曲形状である。「電極構成」とは、電極支持部上に所定の順序あるいは関係で配置された電極の集合をいう。本発明のバイオセンサ・ストリップの電極構成に適する電極は、当業者にとって既知のものである。一般に、これらの電極は、作用電極と対向電極とからなり、適宜、参照電極やトリガ電極、あるいは補助電極なども含む。以下で用いられるように、「接着側から孔をあける」、「接着側から開口部を形成する」などは、レーザ光がテープの裏張り側まで貫通する前に、テープの接着側を貫通することを意味する。また、「裏張り側から孔をあける」、「裏張り側から開口部を形成する」などは、レーザ光がテープの接着側まで貫通する前に、テープの裏張り側を貫通することを意味する。
【0028】
図3、4、5、6は、流路の両側部に排気口を有するバイオセンサ・ストリップ110あるいは110’を示している。図3、4、5、6においては、本発明に適したバイオセンサ・ストリップ110あるいは110’は、電極支持部111、好ましくは樹脂材(ポリ塩化ビニール、ポリカーボネート、ポリエステルなど)の細長いストリップにより構成され、この電極支持部111は、導電性インク、好ましくは、カーボンからなる3つのトラック112a、112b、112cを支持する。これらのトラック112a、112b、112cにより、電気接点114a、114b、114c、参照電極116、作用電極118および対向電極120の位置が決定される。電気接点114a、114b、114cは、所定の計測装置(図示せず)に挿入可能になっている。
【0029】
導電トラック112a、112b,112cのそれぞれの上に、適宜、好ましくは銀粒子と塩化銀粒子の混合物などの導電材のトラック122a、122b、122cを配置してもよい。参照電極116の上に広範囲に露出したトラック122bを配置する。さらに、トラック122a、122b、122cの上に疎水性の絶縁層124を配置する。参照電極116、作用電極118、対向電極120および電気接点114a、114b、114cの位置は、疎水性の絶縁層124により覆われていない。この疎水性の絶縁層124は短絡を防止するものである。疎水性の絶縁層124には、開口部126が形成されている。この開口部126は、バイオセンサ・ストリップ110の反応領域の境界となるものである。この絶縁層は疎水性であるため、試料は反応領域内にある電極部分に制限されるようになっている。作用電極118は非反応導電材の層からなり、この上に酸化還元反応を発生させる作用インクを含んだ層128が配置される。図5、図6では、液状試料は代表的な化学反応によるウィッキング法などの方法によって移動する。したがって、図5および図6のバイオセンサ・ストリップは、少なくとも1層のメッシュ130を含む。1つ以上のメッシュ層130を電極の上に配置する。このメッシュ層130は、プリントの構成要素を物理的な損傷から保護するためのものである。また、メッシュ層130は、試料の表面張力を低減して電極を湿らせやすくするためのものであり、試料が電極全体に均一に広がるようにする。カバー132は、電極支持部111に接触しない電極の表面を覆うものである。このカバー132は液体不浸透性膜である。図3、図4では、液状試料は毛細管引力によって移動する。したがって、ウィッキング法により、試料の移動を助長するようなメッシュ層は用いていない。図3および図4のバイオセンサ・ストリップ110’では、カバー層140と、電極支持部111とカバー層140の間に接着層などのスペース層142を設けている。接着材には感圧接着剤を用いてもよい。カバー層140には孔がない。スペース層142には、反応領域の境界となるスロット144が設けられている。液状試料は、バイオセンサ・ストリップ110’の一端にあるスロット144の一端に形成された開口部146を介してバイオセンサ・ストリップ110’に流入する。液状試料は、この開口部146から導入され、毛細管力の作用によって、反応領域に到達してこの領域に広がる。なお、流路の境界は、バイオセンサ・ストリップの近位端に設けられた試料適用領域(Sample Application Zone)と、バイオセンサ・ストリップの遠位端もしくはその近傍に形成された排気口と、ウィッキング作用により充填されるバイオセンサ・ストリップのメッシュ層の端部、もしくは毛細管引力により充填されるバイオセンサ・ストリップの接着層の端部とによって設定される。
【0030】
図3、4、5に記載されるバイオセンサ・ストリップの構成要素111−146の詳細については、米国特許第6863800号を参照のこと。なお、この文献に記載される内容のすべてをここに引用することとする。また、米国特許第6863800号に開示される構成要素の代用物は当業者には周知である。
【0031】
図3、4、5、6における実施形態では、バイオセンサ・ストリップのカバー132と、メッシュ層130と絶縁層124のマトリックス(メッシュ層を有さないバイオセンサ・ストリップの場合にはスペース層142)との間に、非圧縮性要素150を試料流路の少なくとも一方の側部あるいは流路の遠位端に挿入して、排気口を形成してもよい。非圧縮性要素150は、スレッド、リボン、フィラメント、あるいはテープなどの様々な形態で構成することができる。非圧縮要素150は、例えば、複数のスレット、複数のリボン、複数のフィラメント、複数のテープなどで構成してもよい。また、非圧縮性要素150は、好ましくは、試料の流れに抵抗するような実質的に疎水性の材料、代表的には水性キャリアなどで構成してもよい。非圧縮要素150の大きさは、所望の排気口の開口部の寸法と形状によって指定される。非圧縮性要素150の断面形状は、円形、楕円形、多角形、代表的には正多角形や不正多角形により構成してもよい。
【0032】
非圧縮性要素150の形成に適した材料は、縫合糸の製造に用いられる未処理の網状ポリエステル製スレッドなどのマルチフィラメント材などが含まれるが、これに限定するものではない。このような材料は、Pearsalls Limited社(英国)の品番35A103000などから商業的に入手可能である。この材料は、EP1やUSサイズ5/0として知られている。この材料の直径は0.100〜0.149mmである。この他で本発明に適した材料としては、釣り用ラインに用いられるモノフィラメント材などがあり、直径0.08mm、0.80kgの「WBCIarke Match Team」などで、英国のスポーツ用品店などで商業的に入手可能である。この他に適した材料としては、「DUPONT」や「MELINEX」の登録商標を有する、厚さ50μm、幅2mmに裁断されてボビンに巻き取られたリボンなどがある。
【0033】
非圧縮性要素150は、ここに記載されるバイオセンサ・ストリップの製造方法における変形に抵抗できなければならない。また、非圧縮性要素150は、通常の保管や用途の条件下における変形に対しても抵抗性を有する必要がある。「圧縮(押潰し:Crush)」パラメータを用いて、所望の変形抵抗性を数値化することができる。この「圧縮」パラメータとは、本発明のバイオセンサ・ストリップを形成するための特徴を考慮したものである。「圧縮」パラメータには、後述するホットホィール法(Hot Wheel Method)のホットホィール(Hot Wheel)と、ホットホィールの支持ロール(Support Roll)または床板(Bed Plate)との間にある隔離が含まれるか、あるいは、それに相当するものである。「押潰し」の結果として、ホットホィール上のシリコーンゴムが被る圧縮によって圧力が発生する。「圧縮」パラメータは、所望の生成物の0.6mmでのパラメータよりも若干低い初期値に設定することができ、0.3mmまで低く設定してもよい。バイオセンサ・ストリップを形成するカードの厚さは、代表的には500μmであり、メッシュ層の代表的な厚さは130μmであり、裏張りの代表的な厚さは50μmであり、接着材の代表的な厚さは25μmである。ローラの設定は、代表的には実験に基づいて、0.45mm±0.05mmに設定する。当業者であれば、前記した装置の構成間の隔離については、過度に実験結果に依存することなく、適宜設定可能である。
【0034】
メッシュ層130と絶縁層124のマトリックス(メッシュ層を有さないバイオセンサ・ストリップの場合にはスペース層142)の表面と、前記マトリックスに対向する非圧縮要素の表面との臨界面に形成された段152を、試料流路の遠位端の上手あるいは流路の遠位端に配置することができる。段152は、排気口として機能する開口部を形成することで、流路の一方の側部もしくは両側部から、あるいは流路の遠位端から空気を排気することができる。この種類の排気口は、バイオセンサ・ストリップの残りの構成要素をカバーで覆うときに大きな力が加わっても、十分に堅牢であることが立証されている。また、この排気口は容易に検証可能であり、信頼性が高い。
【0035】
非圧縮性要素150を用いて排気口を形成する場合、カバー形成用テープは、非圧縮性要素150を用いない場合のように平坦ではなく、カバーで覆うときに必要な力の大半は、試料流路の上方ではなく、段152を介して付与されるため、低プロファイルが必要となる。なお、複数の感圧接着(PSA)テープを用いて排気口を用いる場合は、流路の大半を覆うために第1の感圧接着テープを配置し、流路の近位端つまり試料を充填する側の端部と遠位端とを露出させた状態にして、第2の感圧接着テープをバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素の大部分で覆うため、前記のような問題は起こらない。非圧縮性要素、つまり、第1の感圧接着テープによって形成される段152では、試料流路の両側部にそれぞれ1つの排気口が形成される。しかしながら、複数のテープを用いる場合には、切断する感圧接着テープの量が増大するため、このような実施形態では費用がかさむことになる。したがって、スレッドやリボン、フィラメントあるいはこの他の非圧縮性要素を用いるほうが、簡便性や材料費の低減などの観点から好ましい場合がある。
【0036】
別の実施形態では、紫外線硬化(UV硬化)接着材を用いて非圧縮性要素を形成することもできる。このような実施形態では、カバーは、表面の大部分に紫外線硬化性感圧接着材を有する裏張りを備える。この接着材は、初期には通常の感圧接着材として作用し、紫外線に暴露すると架橋して硬化する。実用段階では、例えば、裏張りにUV硬化接着材を約2mmの細い幅で配置したものを、複数の未完成のバイオセンサ・ストリップを含む列にテープを着装する工程に先立って、紫外線に暴露させてもよい。UV硬化接着材を細い幅で配置する際には、試料流路の遠位端に揃うように配置する。このような方法では、細い幅で配置するため、バイオセンサ・ストリップの電極構成の電極に付着することがなく、さらに、硬化前の接着材がメッシュ層130と絶縁層124のマトリックス(メッシュ層を有さないバイオセンサ・ストリップの場合にはスペース層142)に流れ込まないため、確実に排気口を形成することができる。メッシュ層を用いる場合、あるいはメッシュ層を用いずにスペース層を用いる場合には、接着層で紫外線に暴露しない部分は、前記マトリックスを介して未完成のバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素に接着することになる。バイオセンサ・ストリップの残りの構成要素にテープを着装すると、テープを紫外線に露光させて硬化させることにより、切断装置への貼り付きを低減させることができる。あるいは、未硬化のままで通常の感圧接着材として機能させてもよい。幅細の紫外線硬化接着材は、メッシュ層130と絶縁層124のマトリックス(メッシュ層を有さないバイオセンサ・ストリップの場合にはスペース層142)に接着しないため、試料流路の両側部に排気口を設けることができる。
【0037】
排気口のエアギャップは、流路からカバーを隔離するメッシュ層130と絶縁層124のマトリックスの頂点部によって、あるいは、メッシュ層がない場合にはスペース層142とUV硬化の感圧接着材との臨界面の非密閉部によって決まる。このような方法で、実質的に外観が見えないように排気口を容易に製造できる。PSAテープを用いた紫外線硬化の工程は、後続の個別化およびパッケージングの工程と入れ替え可能である。
【0038】
これ以外の方法としては、カバーの下に、試料流路の遠位端から流路が延びるように絶縁層の形状を変更することもできる。このような変更は比較的簡便なものであり、追加的な材料費は発生しない。しかしながら、テープを設置する装置の変更が必要となる可能性がある。
【0039】
図7および8は、バイオセンサ・ストリップのカバーに排気口を有しているものを示す。図7および8は、本発明に適するバイオセンサ・ストリップ210および210’は、電極支持部211、好ましくは、(ポリ塩化ビニール、ポリカーボネート、ポリエステルなどの)樹脂材料からなる細長いストライプを含み、この電極支持部211は3つのトラック212a、212b、212cを支持する。これらのトラック212a、212bおよび212cにより、電気接点214a、214b、214c、参照電極216、作用電極218および対向電極220の位置が決定される。電気接点214a、214b、214cは、所定の測定装置(図示せず)に挿入可能になっている。
【0040】
導電トラック212a、212b、212cのそれぞれの上に、適宜、好ましくは銀粒子と塩化銀粒子の混合物などの導電材のトラック222a、222b、222cを配置してもよい。参照電極216の上に広範囲に露出したトラック222bを設ける。さらに、トラック222a、222bおよび222cの上に疎水性の絶縁材224の層を配置する。参照電極216、作用電極218、対向電極220および電気接点214a、214b、214cの位置は、疎水性の絶縁層224で覆われていない。この疎水性の絶縁層224は短絡を防止する役割を果たす。疎水性の絶縁層224には、開口部226が形成されている。この開口部226は、バイオセンサ・ストリップ210の反応領域の境界となるものである。この絶縁層は疎水性であるため、試料は、反応領域内にある電極に制限されるようになっている。作用電極218は非反応の絶縁層からなり、この上に酸化還元反応を発生させる作用インクを含んだ層228が配置される。図8は、ウィッキング法、液状試料は、代表的な化学反応によるウィッキング法などの方法によって移動する。したがって、図8のバイオセンサ・ストリップは、少なくとも1層のメッシュ層230を含む。少なくとも1つのメッシュ層230を電極の上に配置する。このメッシュ層230は、プリント構成要素を物理的な損傷から保護するためのものである。また、メッシュ層230は、試料の表面張力を低下させて電極を湿らせやすくするためのものであり、試料が電極全体に均一に広がるようにする。カバー232は、電極支持部211に接触しない電極の表面を覆うものである。このカバー232は液体不浸透性膜である。図7では、液状試料は毛細管作用によって移動する。したがって、ウィッキング法により、試料の移動を助長するようなメッシュ層は用いていない。図7のバイオセンサ・ストリップ210’では、カバー層240と、電極支持部211とカバー層240との間に接着層などのスペース層242を設けている。接着材としては感圧接着材を用いてもよい。カバー層240には孔がない。スペース層242には、反応領域の境界となるスロット244が設けられている。液状試料は、バイオセンサ・ストリップ210’の一端あるスロット244の一端に形成された開口部246を介してバイオセンサ・ストリップ210’に入り込む。液状試料は、この開口部246から導入され、毛細管力の作用により、反応領域に到達してこの領域に広がる。試料流路の境界は、バイオセンサ・ストリップの近位端に設けられた試料適用領域(Sample Application Zone)と、バイオセンサ・ストリップの遠位端もしくはその近傍に形成された排気口と、ウィッキング作用により充填されるバイオセンサ・ストリップのメッシュ層の端部、もしくは毛細管引力により充填されるバイオセンサ・ストリップの接着層の端部によって設定される。
【0041】
図7および図8に記載されるバイオセンサ・ストリップの構成要素211〜246の詳細については、米国特許第6863800号に記載される。なおこの文献に記載されるすべての内容をここに取り込むこととする。また、米国特許第6863800号に記載される構成要素の代用物は当業者には既知である。
【0042】
図7および図8の実施形態では、カバー232および240のそれぞれには、互いの間に所定間隔を置いた連続する開口部250をカバーの全幅に渡って設けている。なお、開口部250は、少なくとも1つの開口部が試料流路と重なる位置に設ける必要がある。開口部250同士の間隔を慎重に設定するならば、カバー232とカバー240に、流路と重なる開口部を2つ以上も受けることもできる。
【0043】
カバーに開口部250を設ける方法は、回転ツール、回転ピンあるいはレーザなど多数あるが、これのみに限定されない。回転ツールによる方法は、標準(非加熱)のニードルあるいは加熱ニードルなどを用いることで実施可能である。加熱ニードルの長所としては、カバー形成用の材料を実際に溶かすため、平滑なプロファイルを有する開口部が形成される点である。このような開口部は、他の機械的な方法で形成した開口部よりも閉塞する可能性が低い。標準のニードルツールは、加工によるクズ材料を取り除いたり再成形することなくカバーに貫通孔を設ける。このため、標準のニードルツールを用いた場合、バイオセンサ・ストリップの残りの構成要素にカバーを着装する際に必要な圧力を加えたとき、再び閉塞するような孔を形成する恐れがある。
【0044】
反復ピンツールは彫刻機(engraver)の変種である。この他の往復ピンツールとしては、斜板により駆動するピンホルダーがある。彫刻機の長所としては、ストロークを容易に変更できる点である。斜板を取り付けた場合の長所は、斜板により開口部の間隔が変更可能となる。なお、回転ツールと往復ピンツールのいずれも、クズ材料を除去したり再形成を行わない標準の回転ニードルツールを用いて形成した開口部と変わらない外観を呈する、良好な開口部をカバーに設けることができた。
【0045】
カバーに開口部を形成する効果的な方法としては、テープに開口部を形成して、このテープからセグメントを切断してカバーを形成し、さらに、テープの各開口部が完成したバイオセンサ・ストリップの流路と適切に重なるように配置する処理を行う方法がある。しかし、このような処理では生産速度が低下する。開口部を特定の間隔をもってテープに形成することにより、試料流路の幅がいかに狭くなろうとも、各流路の上方のカバーに少なくとも1つの開口部が存在するようにする。なお、開口部同士の間隔は0.5mmまで狭めることができる。このような間隔で開口部を設ければ、位置合わせに要する時間を省略できる。
【0046】
まずテープに開口部を設けて、テープのセグメントによりカバーを形成する方法は、機械的に行うことができるが、以下のような短所もある:
(1)往復ピンの場合、ピンの往復速度が速すぎて、ピン動作の信頼性を確保できない。
(2)往復ピンは消耗が激しい。
(3)往復ピンによってクズ材料がテープから除去されず、クズ材料が単に移動するだけであるため、開口部が再閉塞する恐れがある。
(4)回転ツールのスパイクローラは消耗が激しい。
(5)同じく、スパイクによってクズ材料がテープから除去されないため、開口部が再閉塞する恐れがある。
(6)スパイクは細いため消耗が激しい。
(7)開口部同士の間隔を(例えば、約0.5mmまで)狭めた開口部をスパイクにより成形するのは困難である。
【0047】
前記の短所を考慮すると、レーザを用いてテープに小さい開口部を形成し、この後にバイオセンサ・ストリップのカバーを形成する方法が好ましい場合が多い。開口部は、円形や破線などの様々な形状であってもよい。レーザを用いた場合には、外観と再現性の観点から良好な開口部が得られる。
【0048】
代表的なレーザとしては、Synrad 社(所在地:アメリカ合衆国、ワシントン州98275 Mukilteo)で商業的に入手可能な「SYNRAD」のレーザ(モデル48-2(S)、25ワットレーザ)、およびUniversal Laser Systems社(所在地:アメリカ合衆国、アリゾナ州スコッツデール)で商業的に入手可能な「UNIVERSAL LASER SYSTEMS」のレーザ(モデルM300、45ワットレーザ)を用いて、本発明に適したバイオセンサ・ストリップのカバーの製造に好適な各種テープに開口部を設けることができる。
【0049】
図9はプロトタイプのレーザ装置300を示したものであり、この装置は、レーザおよび関連の光学機器302、回転シャッターディスク304、ブレーキテープ・オフウィンド・リール(braked tape off-wind reel)306、第1のガイドボビン308、テープローラー310、第2のガイドボビン312、駆動ローラ・セット314および半クラッチを介して駆動されるウィンドリール上のテープから構成される。なお、テープは左側のリールから右側のリールに走行する。通常、テープの走行速度は、レーザと関連の光学機器の下を通過するため、一定になるように維持されている。レーザ光は、回転シャッターディスク304を介して照射されるが、この回転シャッター盤304には、所望の孔あけ動作が行えるように、規則的な間隔で光を遮断するスロットが設けられている。当業者であれば、許容範囲の孔あけを達成するために過度の実験をおこなうことなく、テープ速度、シャッター速度、レーザパワーを適宜調節することができる。
【0050】
なお、「SYNRAD」のレーザは、コンピュータDAQカードによってレーザ光をパルス化できるため、回転シャッター盤を必要としない。また、「UNIVERSAL LASER SYSTEMS」のレーザは、レーザ光がパルス化されないため、回転シャッター盤が必要になる。
【0051】
レーザを用いたテープの孔あけに関する代表的な設定は以下の通りである。
【0052】
【表I】
【0053】
下記仕様の開口部を設ける場合にも、前記の設定を用いてもよい。
【0054】
開口部の寸法(近似直径):0.15 mm
開口部同士の間隔:0.5 mm
【0055】
究極的に言って、開口部の寸法は、レーザ光がレンズを透過した後に集束する点、つまり焦点におけるレーザ光の寸法に左右される。テープが焦点から離れるにつれて、レーザ光は広くなって、最終的にはテープを焼き貫く能力を失う。テープを焦点から遠ざけると、より大きな開口部が得られるが、もはやテープを焼き貫くことができなくなるような点が存在する。開口部の寸法を大きくする別の方法として、材料を所定の形状に切り抜くためのレーザ光を導くミラーが配列されたガルボヘッドを用いてもよい。ガルボヘッドの欠点は、単一レーザパルスよりも動作が遅い点である。別の欠点としては、テープから固形クズを除去できない点がある。レーザパルスはクズ材を蒸発させ、抽出システムなどを用いて抽出する。ガルボヘッドは固形物を除去しないため、固形物がテープに残存したままになり、もしくは付着するため、この固形物が残存したままで後続の処理を行うことになる。
【0056】
レーザ光のスポット寸法を小さくすることで、より小さい開口部を得ることができる。焦点をレンズから離すことで、より正確な角度でアプローチができる。このように焦点を移動させることでより小さい開口部が得られる。「SYNRAD」のレーザによる開口部の代表的な寸法は、25ワットレーザを70%のパワーレベルで1.5インチ長のレンズを用いた場合では0.15mmである。テープや他の樹脂材に開口部を形成するためのレーザの好適な設定については、当業者であれば過度の実験を行うことなく決定することができる。
【0057】
(a)レーザに用いられるパワーのレベルと(b)レーザの負荷サイクルによって、様々な特徴が決定される。例えば、テープに形成した開口部の寸法は、レーザのパワーが低下するにつれて小さくなるが、この他についてはすべて一定に維持される。また、テープに形成した開口部の寸法は、負荷サイクルが低下するにつれて小さくなるが、この他についてはすべて一定に維持される。この他の特徴については、(a)レーザのパワーレベル、(b)テープに開口部を形成する処理でのテープ速度、あるいは(c)レーザの負荷サイクルの変化によって大きく影響を受けることはない。例えば、開口部同士の間隔は、パワーレベルが非常に低い場合を除いて、大きく影響を受けることはない。さらに、例えば、開口部同士の間隔は、テープに開口部を形成する処理でのテープ速度の変化によってもそれほど影響を受けない。
【0058】
バイオセンサ・ストリップのカバーとして用いられるセグメントであるテープに、所定の間隔を置いて連続した開口部を全長に渡って設けることもできる。開口部の代表的な直径は約0.15mmであり、開口部同士の代表的な間隔は約0.5mmである。テープの長手方向の縁部に対する各開口部の位置は重要であるが、テープの長さ方向での各開口部の位置は重要ではない。なお、テープに開口部を形成するときの処理方向は、テープの長さ方向である。そして、テープを複数の未完成バイオセンサ・ストリップからなる列に着装する場合は、液体の試料が流路を流れる方向に対して垂直の方向にテープの全長をラミネートする。完全なバイオセンサ・ストリップが個別に分離されると、開口部を設けたテープには少なくとも1つの排気口、好ましくは複数の排気口が各流路に設けられることになる。
【0059】
代替の実施形態では、流路の遠位端側の一部分を外界に開かれた状態にすることで、細幅のテープを用いたカバーに排気口を設けることもできる。つまり、テープのカバーの長さは流路よりも短くなることになる。このような実施形態で実際に問題となるのは、テープの着装を正確に行えなくなる点である。テープの遠位端の配置にあたっては、±0.2mmの精度で配置できるようにする必要がある。電極構成を変更することで、このようなテープの遠位端の配置に関する問題を緩和することができる。
【0060】
さらに、別の実施形態では、バイオセンサ・ストリップの支持部を形成する列側に孔をあけてもよいが、この場合、列の全長に渡って所定の間隔を置いて連続した開口部を設ける。テープの場合には、開口部の代表的な直径は0.15mmである。また、代表的な間隔は約0.5mmである。列の長手方向の縁部に対する各開口部の位置は重要であるが、列の長さ方向での各開口部の位置は重要ではない。なお、列に開口部を形成するときの処理方向は、列の長さ方向である。開口部は、列の電極支持部の流路と重なるように配置される。列を構成する未完成のバイオセンサ・ストリップの上にテープを配置するのだが、このテープのセグメントを用いて個々のバイオセンサ・ストリップのカバーを形成する。この場合には、テープに孔あけをする必要はない。電極支持部に開口部を形成した完全なバイオセンサ・ストリップを個別に分離すると、これらの開口部によって、各流路に少なくとも1つ、好ましくは複数の排気口を設けたことになる。前記の通りに、回転ツール、往復ピンあるいはレーザなどを用いてテープに開口部を設ける方法で、列に開口部を、あるいは列がカードの一部である場合にはカードに開口部を設けることができる。電極支持部に排気口を有する、個々のバイオセンサ・ストリップの他の構成要素、例えば、メッシュ層、絶縁層、電極配置などについては、カバーに排気口を有するバイオセンサ・ストリップの場合と同じである。
【0061】
低プロファイルで好適な流路を有するバイオセンサ・ストリップにカバーを設け、さらに、最小限の変更を加えて現行のパッケージ装置で生産できるようにするには、ホットメルト接着剤などの接着材を備えた裏張りを、少なくとも一方の表面の大部分に有したテープを用いることができる。また、ラミネータなどの様々なカバー着装装置を用いることができる。ここでは2種類の装置について説明する。
【0062】
図10を参照して、プロトタイプのホットウィング・ラミネータ(hot wing laminator)400を用いて、ドーム形成が最小化された低プロファイルのバイオセンサ・ストリップを製造することができる。ホットウィング・ラミネータ400は、温度調節装置(図示せず)、加熱形状ブロック(shaped heated block)402、テープを下方に送り出すテープリール404、列貯蔵室(row magazine)406、列貯蔵室406から列を送り出すフィードローラ408、列にテープをラミネートする作業台まで列を搬送するためのローラ・セット410、テープを列に接合させるためのラミネートローラ・セット412、ラミネートローラの位置決めスイッチ(図示せず)、圧力調節装置(図示せず)、テープ切断アッセンブリ414、ホットウィング・ラミネータ400から送出される完全なバイオセンサ・ストリップの列を送り出すための送出しローラ416、およびコントロールパネル(図示せず)から構成される。ホットウィング・ラミネータ400では、テープはラミネートされる前に加熱され、未完成のバイオセンサ・ストリップの列の上に着装される。なお、この処理は連続的に行うように設計されている。加熱形状ブロック402上で停止していたテープについては廃棄されるため、未完成のバイオセンサ・ストリップにはラミネートされない。テープが未完成のバイオセンサ・ストリップの列と接触したときに、その熱が放散して、未完成のバイオセンサ・ストリップと完成したバイオセンサ・ストリップの列に伝わる熱が最小限になってしまう。
【0063】
ホットウィング・ラミネータ400は、裏張りに接着層を有した孔あきテープを、列変換する前の未完成バイオセンサ・ストリップを含んだ列にラミネートすることができる。ホットウィング・ラミネータ400の列貯蔵室406および送出しローラ408は、ニップローラ・セット410よりも下手にある列のスタックから未完成のバイオセンサ・ストリップの列を送り出す。さらに、このニップローラ・セット410は、ホットウィング・ラミネータ400のラミネートローラ・セット412を介してこれらの列を送り出すため、ラミネート作業の始点となるものである。未完成のバイオセンサ・ストリップの列にテープをラミネートした後に、切断アッセンブリ414によって列を分離し、これを送出しローラ416で送り出す。カバー形成用のテープによって複数の列が接合された状態にあるため、切断アッセンブリ414により切断する必要がある。本発明に適した(つまり、テープを用いた用途と、非圧縮要素が結合したテープを用いた用途に適した)切断アッセンブリおよびこれを用いる方法は、当業者にとっては既知である。切断アッセンブリの1種類としては、プロトタイプとして用いられるものに、連続する列同士のギャップを所定センサにより感知し、空気圧で動作するブレードキャリアのカッター刃を用いてテープを切断するものがある。交換可能な犠牲ブロックを用いてカッターの刃の寿命を延ばすことで、良好な切断を確保できる。プロトタイプの装置の場合、列を切断する作業においては、後続の工程に入る前に列のトリミングが必要になる。この工程は、より精密な装置を用いることで省略することも可能である。このような装置は、2枚のカッター刃、上下のストリッパーからなる。連続する列同士のギャップをカッターの刃に揃える。カッターの刃と上ストリッパーを列の上まで(複数の列からなるカードを用いる場合には複数の列の上まで)降下させる。カッターの刃は列の末端より若干内側に向くようにする。カッター刃および上ストリッパーにより圧力を下向きに付加する。下ストリッパーは上方向に移動し、上ストリッパーに対してテープをかしめ付ける。下ストリッパーで加えた力は上ストリッパーの力よりも大きくなるように構成されているため、かしめ付けたテープが上方向に移動する。カッターの刃は静止した状態でテープを切断する。上ストリッパーを戻すと、カッターの刃の間からの吸引によってテープの切り屑を除去する。そして、カッターの刃と下ストリッパーを戻すと、2つの列が分離した状態になる。
【0064】
加熱形状ブロック402は、テープの裏張りのホットメルト接着材を活性化させるものである。テープを最小限の張力で加熱形状ブロック402上に伸ばし、加熱形状ブロック402は、テープの移動範囲内で、テープと加熱形状ブロック402との良好な接触を確保する。加熱形状ブロック402はその形状からウィングと呼ばれる。
【0065】
ホットウィング・ラミネータ400は、未完成のバイオセンサ・ストリップの列とテープを12m/分の速度で処理することができる。なお、この方法の他のパラメータを適切に調整するために、この速度は速くなっても遅くなってもよい。ホットウィング・ラミネータ400は、130度までテープを加熱するように設定可能である。あまり好ましくはないが、温度をさらに高温にしてもよい。以下は、この方法を効果的に実施するための典型的な設定である。
ウィングの温度:120℃から130 ℃
ラミネート速度:12 m/分
【0066】
前記の設定に加えて、ホットウィング・ラミネータ300は、6−8バーの給気および240ボルトのAC給電にて稼働させることができる。給気は、空気圧駆動の切断装置を稼動させるためのものである。なお、ホットホィール・ラミネータに作業台を搭載するようにしてもよい。
【0067】
以下に、本発明のバイオセンサ・ストリップの製造で用いるホットウィング・ラミネータの操作手順を詳しく説明する。操作手順は、工学研究所などで設計される装置に関するものである。商業生産を目的に装置を大規模化することを想定している。大規模化の場合では、テープを列に着装するとともに、カードにも着装できるような装置が想定される。温度調節装置(図示せず)は、ウィングの温度が目標温度の1度以内にある場合のみ作業サイクルを実施するようになっている。ガードドア(図示せず)が開いているとき、あるいは非常停止(図示せず)が作動しているときには、ヒータ(図示せず)の電源が切れるため、ヒータの温度が下がり始める。非常停止(図示せず)を解除してガードドアを閉めて、リセットボタン(図示せず)をオンにした場合のみ電源が入る。ガードドア(図示せず)を開く時間が最小限になると、ホットウィング・ラミネータ400の稼動の準備が整う。コントロールパネル(図示せず)は、以下の説明において呼称されるようなボタンを備える。未完成のバイオセンサ・ストリップの列にカバーをラミネートする工程は以下の通りである。
【0068】
1.すべてのガード(図示せず)が閉じられていることを確認する。
2.装置の裏側にある分離スイッチ(isolation switch)(図示せず)で給気をオンにする。
3.壁(図示せず)にあるプラグのスイッチで給電をオンにする。
4.緊急停止(図示せず)が解除されていることを確認する。
5.青色のリセットボタン(図示せず)が点滅していること。
6.青色のリセットボタン(図示せず)を押す。
7.コントロールパネル(図示せず)の一番右にあるヒータのスイッチをオンにする。ヒータがオンになるとスイッチ(図示せず)が点灯する。
8.ホットウィング402が所定の温度に達するまで待機する。
9.ラミネートする列がすべて同じ方向に向いており、ウィンディミラー(図示せず)から列がはみ出していないことを確認する。
10.所望の列数をラミネートできるだけの十分なテープがあることを確認する。
11.ホットウィング402が所定の温度に達すると、ガード(図示せず)を開き、オフ−ウィンド・スプール(off-wind spool)404上にテープを搭載する。
12.スプールの中心に蝶ネジ(図示せず)を戻す。
13.摩擦板(図示せず)と空芯(図示せず)を戻す。
14.リール上に搭載するテープに孔があけられていることを確認する。
15.テープの接着側を上向きに、孔あきの後ろ側が装置に対向するようにテープリールを装填する。
16.蝶ネジ(図示せず)と摩擦板(図示せず)を設置して、ぐら付かない程度にリールに遊びがあることを確認する。
17.ローラ418の下とホットウィング402の第1のガイド(図示せず)の上にテープを装着する。このとき、ホットウィング402には接触しないようにする。
18.ホットウィング402の長さに沿ってテープを引き下ろし、装置の作業台(図示せず)のスロット(図示せず)を介して装着する。
19.装置の作業台(図示せず)の下方までテープをぶら下がった状態にして、ローラのレベルの下まで目視できることを確認する。
20.テープを装填すると、列貯蔵室406に、カバーをラミネートする未完成のバイオセンサ・ストリップを装填する。試料流路が上向きになり、後ろ側が装置に対向するように、列の向きを決める。
21.列貯蔵室406の重石(図示せず)を引き上げ、重石の下に列を送る。列が列貯蔵室406の送り出し口の先端部に押し当てられたことを確認して、重石(図示せず)を下げて列の上に載せる。
22.ラミネートローラの位置決めスィッチ(図示せず)が下がっていることを確認する。
23.ガード(図示せず)を閉めて、緊急停止(図示せず)が作動していないことを確認してから、リセットボタン(図示せず)を押す。
24.目標温度の1度以内に温度が達し、列が装填されて、給気がオンになると、列をラミネートする準備が整ったことを示す緑の開始ボタン(図示せず)が点灯する。
25.緑の開始ボタン(図示せず)を押す。モーター(図示せず)が、列の送り出しから送り込みの順序でスタートする。
26.第1の列が装置に供給されて、ラミネートローラ・セット412の手前にある装置の作業台のスロット(図示せず)を通過する際にテープが取り出される。テープがホットウィング402上に繰り出され、列に向かって降下する。
27.作業台(図示せず)の先端で、切断装置414によって列が個別に分離される。
28.列が、送りローラ416で装置の後側より送り出され、手作業で照合され、個別に分離する作業ができるように整えられる。作業の開始から最初の3列は、ホットウィング402上で停止していたテープから製造されるため、廃棄される。
29.列が尽きると、最後の列が作業台(図示せず)の端部で停止して、装置側からぶら下がった状態になる。そして、モータ(図示せず)が停止する。
30.コントロールパネル(図示せず)のボタン(図示せず)を押して、この列を取り出して装置から取り外す。
31.ガード(図示せず)を開いて、切断装置414に送られたテープを取り外す。テープの取り外しは、テープをウィング402から引きちぎるのが最良であり、これにより、作業台(図示せず)のテープを装置の動作とは反対方向に引っ張ることができる。この作業を行うことで、ホットメルト接着材が装置の作業台とローラに移る量を最小限にとどめることができる。
32.作業台(図示せず)とローラを清掃し、付着した接着材を除去する。
33.更に列を処理するには、工程9からの手順に従って装置を設定する必要がある。
【0069】
テープの複数のリールを操作して完全なバイオセンサ・ストリップを製造できるように装置を変更することで、個々の列の代わりに、複数の列を有するカードを処理できるように、前記の方法を大規模化することもできる。
【0070】
米国特許第6863800号に実質的に記載されるような構成要素を備えた未完成のバイオセンサ・ストリップの試料であれば、ホットウィング・ラミネータ400により処理可能である。前記の通り、ホットウィング・ラミネータ400は、列内のバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素にゴムローラを用いてテープをラミネートする工程に先立って、カバーを形成するセグメントになる孔開きテープを加熱する。テープからの熱が列に放散しないようにするために、テープを列にラミネートする開始点ではテープを加熱しない。
【0071】
ホットウィング・ラミネータを用いた場合には、以下のような長所と短所がある。ホットウィング・ラミネータは、各種の絶縁材、例えば、「SERICOL」の絶縁インク(英国Sericol社製)や「KROMEX」の絶縁インク(英国Kromex社製)とともに稼動させることができる。テープのホットスポットに対する露出は、ラミネータとの露出に一致する。したがって、ホットウィングは好適な熱伝導体である。なお、スリップリング(Slip Ring)は不要である。ラミネートを行う箇所では、ホットウィングから未完成のバイオセンサ・ストリップに熱は伝導しない。ホットウィング・ラミネータはテープ装填と清掃が簡便である。ホットウィング・ラミネートは、高速処理と見なされる12m/分の速度でテープ処理が可能である。しかし、この速度は、逆に、テープ切断と列の供給に悪影響を及ぼす。ホットウィング・ラミネータは、材料の供給許容に合わせた調整が容易ではない。テープをホットウィングに沿って移動させる必要があるため、ホットウィングの表面は摩耗しやすくなる。
【0072】
ここで述べるテープの製造に用いることができる、この他のラミネータとしては、ホットホィール・ラミネータがある。ホットホィール・ラミネータ500を用いて、バイオセンサ・ストリップのカバーを形成するセグメントとなるテープを、列の状態でプリントされた未完成のバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素にラミネートすることができる。図11および図12を参照しつつ、ホットホィール・ラミネータ500は、テープ送り出しロール502、ローラを備えるガイドシステム504、ホットホィール506、非圧縮要素用のディスペンサー508、ディスペンサー508からホット・ホィール506に送り出される非圧縮要素を導くためのガイド510から構成される。テープ送り出しロール502から送り出されたテープは、ホットホィール506の表面にテープを押し付けるためのガイドシステム504を通過する。テープは、このローラ504を通ってホットホィール506に巻き取られる。ホットホィール506は、代表的には、6m/分の速さで駆動し、カートリッジヒータと制御回路によって一定の温度に保たれる。ホットホィールの適温は180度である。この方法の他のパラメータを適切に調整するために、この速度は速くなっても遅くなってもよい。ホットホィール506はシリコーンゴム製の表面を有しており、これによりホットホィールを、ラミネートする位置で列に一致させることができる。ホットホィール506を定格24ボルトのDCモータで駆動してもよい。モータに供給される電圧は、所望の速度を達成できるように設定する。未完成のバイオセンサ・ストリップ512の列を、ラミネート作業の後に、別途手動で装置へ送り込んでもよい。ホットホィール506上で停止していたテープは廃棄して、完成したバイオセンサ・ストリップとして用いなくてもよい。図11および図12にはディスペンサー508が示されており、テープがホットホィール506上にあるときにテープの接着層の上に非圧縮要素を送り出すためのものである。テープがホットホィール506に巻き取られる際は、テープの接着側がホットホィール506に対して外側に向く。次に、図11および図12に示した、スレッドなどの非圧縮要素を軟化した接着層に配置する。さらに、ホットホィール506により、非圧縮要素を含んだテープを未完成のバイオセンサ・ストリップ512の列にラミネートする。プロトタイプの装置では、カバー形成用のテープに複数の列が接合されているため、切断アッセンブリ(図示せず)でこれらの列を個々に分離する。本発明の用途(つまり、テープを用いた用途と、非圧縮要素が結合したテープを用いた用途に適した)に適した切断アッセンブリと、これを用いる方法については、当業者であれば既知である。なお、この切断アッセンブリについては、ホットウィング・ラミネータの説明で記載した通りである。切断された完成のバイオセンサ・ストリップの列は、符号514によって図示される。
【0073】
ホットホィール・ラミネータへ送り込む列を準備するために、電極構成、試薬、この他の所定の構成要素が、ポリエステル製シートのウェブ上にプリントされている。このウェブは、代表的には、未完成のバイオセンサ・ストリップの6列のパターンがプリントされる。ウェブのプリント処理の最終工程では、このウェブをカード(幅255mm、長さ304mm)に切断し、各カードには、50個の未完成のバイオセンサ・ストリップを含んだ列が6列含まれる。次に、メッシュ層と絶縁層をカード上の未完成バイオセンサ・ストリップに配置する。なお、プロトタイプでの作業では、各カードを6列に切断する。各列の寸法は、長さ304mm×幅40mmである。各列には未完成バイオセンサ・ストリップが50個含まれる。商業生産では、未完成のバイオセンサ・ストリップにテープをラミネートする前に、カードを列の状態に切断する必要はない。プロトタイプの作業では列のほうが扱いやすいが、商業ベースでは、カードを列に変換する前に、バイオセンサ・ストリップのカバー形成用のテープをカードに着装する。商業生産でカードを用いる場合、テープに非圧縮要素を送り出すディスペンサーと切断アッセンブリを追加して、生産の規模を拡大することができる。ここで、プロトタイプの説明に戻ると、テープと非圧縮性要素を列に着装する場合は同時に連続した方法で行なう。次に、完成したバイオセンサ・ストリップを含んでいる列を、長さ304mm、幅34.5mmの寸法の列に変換する。試料流路の遠位端に隣接する縁から約5.5mm分だけ材料を取り除く。最後に、変換された列にカッター刃のセットをあてがって、バイオセンサ・ストリップを個別に分離する処理を行う。
【0074】
ホットホィール・ラミネータは、列の位置決めとテープ送りの精度を向上させることで、
テープの位置決めの精度を向上させる。列状のバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素にテープをラミネートする工程に先立って、基準端まで列を押し当てる。この作業は、列の表面の一部が固定ガイドに接触するようにして、列の幅の変動を補償するスプリングローラにより行われる。さらに、大規模生産においては、幅の許容が±0.2mmである列またはカードの場合、ガイドの固定は、幅が最も広い列に合わせて設定する必要がある。ここで、列(あるいはカード)の所定箇所に完全な正確性をもってラインを描くことができると想定して、下限寸法の列(あるいはカード)を装置に送り込んだときに、このラインの位置は、0.4mmの幅の帯域のどこかに位置することになる。列(あるいはカード)の一方の縁部を基準端として、対応する固定ガイドにあてがう。反対側の縁部に幅変動を補償するスプリングローラがある限り、このラインは常に同じ位置に描かれることになる。
【0075】
テープをこの基準端まで導いて、ホットホィール506上に送り出す。ホットホィール・ラミネート法は、処理中の材料の変動を補償することで処理の許容性を向上させる。ホットホィール506は、テープに熱を伝えて、テープの裏張りのホットメルト接着材を溶融する。ホットホィール506は、テープが未完成のバイオセンサ・ストリップの列にラミネートされるまで、テープと接触した状態が保たれる。ホットホィール・ラミネータ500を用いた方法は、ホットウィング・ラミネータ400を用いた方法とは異なって、ラミネートする位置に熱が加えられる。なお、ホットホィール方法は、ホットウィング方法と同様に、連続して行われる。
【0076】
ホットホィール・ラミネータには、多数の長所といくつかの短所がある。ホットホィール・ラミネータは、ホットウィング・ラミネータよりも低速で稼動させる。テープの切断が低速運転のほうが容易に行えるためである。ホットホィール・ラミネータは、「KROMEX」の絶縁層や「SERICOL」の青色絶縁層などの各種絶縁層とともに稼動させることができる。ホットホィール506はテープとともに回転し、これによりテープの擦り傷や汚れを防止できる。列を直接加熱すると、ラミネート処理が済んでもテープの温度が下がらないため、接着強度を向上させることができる。しかし、列やカードを直接加熱すると、酵素が若干変性する可能性がある。加えて、ホィールはシリコーンゴムなどのゴムでコーティングする必要があるが、ゴムは熱伝導に乏しい。ホットホィールの温度設定は、ホットウィング・ラミネータよりも50℃高い。ホィールのホットスポットは、加熱要素同士の間隔をおくことで発生するのだが、これにより、テープの特定箇所だけが高温にさらされることになる。反対に、ホットウィング・ラミネータの場合、ウィング上のホットスポットは、同じく加熱要素同士の間隔をおくことで発生するのだが、テープのすべてのセクションが高温にさらされることになる。なお、ホィールの場合はテープの装填が難しいかもしれない。さらに、ヒータと熱電対にはスプリットリングが必要になる。
【0077】
前記の方法は、裏張りにホットメルト接着層を有するテープをラミネートする方法に関するとともに、感圧接着材を有する裏張りのテープでバイオセンサ・ストリップのカバーを形成する場合も本発明の範囲である。この場合、ホットホィール・ラミネータおよびホットウィング・ラミネータは感圧接着層を有するテープには用いない。代わりに、圧送ローラを備えたラミネータを用いて感圧接着層の裏張りを有するテープを未完成のバイオセンサ・ストリップにラミネートすることができる。未完成のバイオセンサ・ストリップにテープをラミネートした後に続く工程は、実質的に、未完成のバイオセンサ・ストリップにホットメルト接着材を有するテープをラミネートした後に続く工程と同じである。
【0078】
以下の非限定的な事例は、本発明の各種特徴について示すものである。なお、以下の事例では、電極構成の特定の電極とその位置は、特定のものに限ったものではなく、これらの電極に塗布される試薬も特定のものではない。本発明の説明の便宜上、このような詳細は、特に関連するものではない。したがって、電極構成における所定の電極配置や試薬の選択については、当業者にとっては、過度の実験を行うことなく、既知のものである。
【0079】
[実施例1]
本実施例は、切断後のコロナ処理を必要とせずに良好な接着性を達成するための、カバー層をバイオセンサ・ストリップの残りの層にラミネートするホットウィング装置の設定を示すものである。
【0080】
電極支持部と、電極構成およびメッシュ層からなるカードを、プリントライン上に準備して、ウィンディミラーの列切断装置(windy miller row cutter)にて列に切断する。Sericol社製の2つの絶縁層についてテストを行った。一方はライラック色(「SERICOL」のライトブルー)で、他方は緑色(MediSenseの品番B03010)である。
【0081】
ホットウィング・ラミネータの温度を90℃、モータ速度を10ボルトに設定する。電圧を関数とする正相関が実質的に存在し、18ボルトはテープ速度で約21m/分に相当する。
【0082】
装置に送り込むために、次のような5列のスタックを準備する。ホットウィング上で停止していたテープを廃棄するための廃棄用の2列と、(a)ライラック色の絶縁層と(b)緑色の絶縁層を有する2列、および(a)と(b)の2列をホットウィング・ラミネータから送り出すためのスタック最下にある廃棄用列である。この2列は廃棄用の列とは区別され、バイオセンサ・ストリップのカバー形成用のテープが列の両側と揃うように列を整える。そして、この2列を切断装置で切断し、梱包する。梱包には識別用のマークが付けられる。
【0083】
装置の電圧を10ボルトから20ボルトの間に2ボルト刻みで設定し、ホットウィングの温度を90℃から130℃の間に10℃刻みで設定し、ライラック色の試料と緑色の試料を製造し、各設定において切断機で個別に分離した。なお、テストを次のような2部構成で行った。第1部では、切断後のテープのバイオセンサ・ストリップとの接着状況を目視で確認した。もしテープがバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素から剥がれていれば、カバーとメッシュ層のマトリックスと絶縁層との間に光斑が見える。テープが残りの構成要素に接着していれば、接着材の境界面が暗く湿ったように見える。第2部では手動によるテストを行い、バイオセンサ・ストリップの各端部を把持して、一方を右回りに、他方を左回りに、両者あわせて90°ねじって、接着材に応力を加えるテストをおこなった。さらに、バイオセンサ・ストリップの他方の端部を左回りに、一方の端部を右回りに、両者合わせて90°ねじって、接着材に応力をさらに加えた。
【0084】
温度が90℃のレベルでは、この90°/90°ねじりテストによってすべての試料に剥がれが生じた。100℃のレベルでは、緑色の試料のいずれも90°/90°ねじりテストに合格しなかった。そして、切断装置で個別に分離する際にストリップにストレスが加わって、カバーが残りの層から剥がれた。厳密ではないが、同様の効果が、ライラック色のストリップの90°/90°ねじりテストでもあった。110℃のレベルでは、どの緑色の試料も90°/90°ねじりテストに合格しなかった。ライラック色のストリップは、90°/90°ねじりテストにおいては、バイオセンサ・ストリップの残りの層との接着状況が緑色よりも良好な接着性を示したが、剥がれたものもいくつかあった。120℃のレベルでは、緑色の試料は90°/90°ねじりテストにおいて、いくぶん向上を示した。ライラック色のストリップは、90°/90°ねじりテストにおいて、低速から中速(例えば、14ボルト)では剥がれたものがいくつかあったが、高速(例えば、16−20ボルト)では剥がれたものはなかった。130℃のレベルでは、緑色のストリップは、90°/90°ねじりテストにおいてすべてが剥がれたが、高速では剥がれた数が少なかった。ライラック色のストリップは、すべての温度レベルで良好な接着性を示し、90°/90°ねじりテストにおいて剥がれを生じたものはなかった。この90°/90°ねじりテストの結果から、切断装置による分離工程後であっても接着性が維持され、さらにねじりを許容できることを示すものである。前記のテストに基づいて、ホットウィング・ラミネータの最適な設定は、温度が120℃から130℃、テープ速度がボルト換算で16−20ボルトであると判定した。
【0085】
[実施例2]
本実施例の目的は、ホットウィング・ラミネータを用いたラミネート処理において、ホットメルト接着材を界面活性剤が塗布されたメッシュ(FC170の界面活性剤、PE130のメッシュ)状の網目に変位させた場合の、平均最小値および平均最大値を確立することである。
【0086】
テープが良好に接着している列からこのテープを剥がすと、絶縁層に接着していた接着材が絶縁層に残った状態で裏張りから分離する。そして、試料流路上に付着した接着材の領域、つまり、絶縁層に接しないメッシュ領域が、取り剥がされた裏張りに残って、この裏張りに残った接着材がメッシュ跡として見ることができる。裏張りに残った接着材の跡は、接着材がメッシュ状に変位したことを示している。
【0087】
なお、試料はホットウィング・ラミネータで処理した。絶縁層は「KROMEX」の絶縁層を用いた。ラミネート処理前に、テープをホットウィング・ラミネータのホットウィング上でゴムローラを用いて加熱した。列に熱が素早く広がるように、ラミネートの箇所ではテープを加熱しなかった。装置の設定については、ウィング温度は130℃、テープ速度は12m/分であった。
【0088】
テープをバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素にラミネートして作成した試料は、1日そのままの状態にしておいた。そして、手でテープをバイオセンサ・ストリップから剥がし、その一部を切り取って、表面形状測定装置の「PROSCAN」で走査して、走査型電子顕微鏡(SEM)で検査を行った。
【0089】
透明の試料(つまり、本実施例で用いる接着材が透明の場合)を走査する場合、不透明や着色の表面では反射する光が反射しない。このような問題に対処するには、検査を行う前に、金などの色のある材料を、試料のホットメル接着材のメッシュ跡上に撒布する必要がある。色つきの表面のほうが透明接着材の表面よりも表面形状測定装置による読取が良好に行えるようになる。
【0090】
「PROSCAN」の表面形状測定装置に搭載される「PROSCAN」のソフトウェアを用いて、走査した画像を評価した。選択した表面の断面には、メッシュを縦方向に走査した所定のストランドから、メッシュ状のストランド痕が6つ確認された。ソフトウェアの区分化ツールには、網目の頂点と谷が記録されていた。谷で最も低い地点を、谷の左側にある頂点の高さから引いて、さらに、谷の右側にある頂点の高さから引いた。こうして得られた12の結果を平均して、溶融した接着材がメッシュへ落込んだ量を求めた。下表は、このようにして判定した結果を示したものである。なお、この表での単位はマイクロメートルである。
【0091】
【表II】
【0092】
溶融した接着材がメッシュに浸潤した平均量は、約41マイクロメートルであった。写真(図示せず)と表面形状測定装置(図示せず)から網目が鮮明に読み取れた。
【0093】
[実施例3]
本実施例の目的は、ホットウィング・ラミネータによって張力が増大する原因を特定するためのものである。カバー形成用のテープの張力が増大すると、バイオセンサ・ストリップを形成する列同士が弓なりになってしまう。また、張力が増大すると、列を駆動するシステムも良好に動作しなくなり、正確なテープの位置決めがぶれて、カバーを形成するテープが伸びてしまう。
【0094】
プロトタイプのレーザ装置により、テープに開口部を形成した。テープはレーザの下を通過するため、テープ速度を一定に保った。テープ処理を行う構成要素をUniversal Laser Systems社製のプロファイル切断レーザの下に配置して、所望の孔あけ処理が行えるように等間隔でレーザ光を遮るスロットを有した回転シャッター盤304を介してレーザ光を照射した。
【0095】
まず、不都合な影響を受けないように、準備した初期テープをホットウィング・ラミネータにて列にラミネートした。この方法の大規模化を想定して、幅20.5mm、長さ325mのテープを用いた。接着層がロール芯から外側に向くようにテープを装填した。なお、接着層はあらかじめロール芯に対して内側に向かっていた。
【0096】
バイオセンサ・ストリップのカバーとして製造された孔あきのテープの第1巻き目で作った列は過度な弓なり状態になった。列が弓なりになった場合は、ラミネート処理でのテープ張力が高いことを示している。弓なりになった列は、後続の処理や手作業には適さない。また、商業生産においても、カードが弓なりになると後続の処理や手作業には適さない。このように張力が高くなる原因を以下の通りに特定した。
【0097】
(1)抵プロファイルのバイオセンサ・ストリップの製造を大規模化する場合、テープのロール径が大きくなって、孔あきテープの1巻きあたりで収容できる列数が多くなる。そこで、テープのロール芯に圧力を加えて摩擦を発生させることで、張力を制御することができる。しかし、テープを送り出してロール径が小さくなるにつれて、ロールの中心回りの「てこ」の作用が小さくなるために張力が増大してしまう。ラミネート処理で最良の結果を得るには、テープにかかる張力を最小限にすることで達成できる。
(2)ウィングへのテープの装填を誤った場合、つまり、接着側がウィングの表面に接触した場合に、ウィングと裏張りの間の接着材が原因となって、ウィングの表面でテープがひきずられて張力が増大する。
(3)テープのホットウィングに接する側に接着材が付着すると、この接着材が軟化して、ウィングに接着材が接着した場合と同じように作業が拘束されてしまう。さらに、レーザによる孔あけ処理中に、接着材がテープの裏張り側に堆積する可能性がある。
【0098】
以下のテストを行って、テープの張力が増大する原因として考えられる可能性を判定した。ウィングはテスト毎に清掃した。
【0099】
<テスト1(ロール径)>
孔無しテープの2ロールをホットウィング・ラミネータで処理した。一方は大きいロール径で、他方は小さいロール径で行った。両製品それぞれの1回分の工程については、特に違いは見受けられなかった。したがって、ロール径を張力増大の原因から削除した。
【0100】
<テスト2>
一方を孔あきテープのロールに、他方を孔無しテープのロールにして、両者とも同じロール径でホットウィング・ラミネータで順次処理した。孔あきロールにより製造した列は、テープの張力が高くなる症状が見られた。孔無しテープにより製造した列では、弓なりの症状は見られなかった。これは、孔あきテープによる影響を示している。詳細に観察すると、孔あきテープのロールの場合、テープの接着側から孔が開けられていたことに留意した。テープの裏張り側から孔を開けたテープについて、あらかじめテストを行ったが、この場合にはこのような影響は見られなかった。孔をあける方向の違いがロール形状の違いに直接関係していた。接着層はあらかじめロール芯に向かって内向きであった。
【0101】
<テスト3(孔あけ方向)>
孔あきテープのロールを2つとも、レーザ装置を同じ設定にして準備した。一方のロールは、テープの裏張り側から孔をあけた。他方のロールは、テープの接着側から孔をあけた。両者とも同じロール径とした。
【0102】
両ロールとも、ホットウィング・ラミネータで、列の状態になった未完成のバイオセンサ・ストリップにカバーを形成する処理を行った。接着側から孔をあけたテープの場合、完全なバイオセンサ・ストリップの列が出来上がると、弓なりの症状が現れた。一方、裏張り側から孔をあけたテープの場合は、完全なバイオセンサ・ストリップの列が出来上がると、わずかに弓なりの症状が現れたが、接着側から孔をあけたテープで作ったバイオセンサ・ストリップの列よりもはるかに小さい症状であった。
【0103】
テープの接着側から孔を開けた場合、つまり、接着層がレーザとテープの裏張りの間にある場合に、テープがホットウィング・ラミネータに接着する理由は多数考えられる。
(1)Universal Laser System社製のユニット製品を利用したプロトタイプのレーザは、孔あけ領域に合うように設計されていないため、処理中のテープから発生した蒸発物がテープ自体に付着した。
(2)レーザのレンズはクリーンエアを付与する陽圧を備えている。クリーンエアは、テープに開口部を設ける処理中に空気中の不純物がレンズに付着しないようにするためのものである。この陽圧により、蒸発した接着材が開口部を介してテープの裏張り側に付着する可能性がある。したがって、テープの裏張り側から孔をあけた場合(つまり、裏張りがレーザと接着層の間にある場合)、陽圧によって接着材がテープの裏張り側に到達することを防ぐ。
(3)開口部を設ける処理で出たクズ材が開口部付近に堆積するため、リールを交換する度に、開口部を設ける箇所の真下にあるローラを清掃した。さらに、開口部を設ける処理中に発生したクズ材がニップロールに堆積して、テープ速度が一定に保てなくなる。テープの接着側から孔をあけた場合は、上のニップローラによって堆積物が回収される。テープの裏張り側から孔をあけた場合は、下のニップローラによって堆積物が回収されるが、回収率が非常に低い。
【0104】
テープの接着側から孔をあけると、テープがホットウィングに接着してしまう。ホットウィング・ラミネータに用いるテープは、好ましくは、裏張り側から孔をあけたものを用いると、許容範囲内で出来あがった列が得られる。
【0105】
<実施例4>
本実施例の目的は、ホットホィール・ラミネータの工程に関する設定を確立することである。
【0106】
電極支持部、電極配列およびメッシュ層で構成されるカード(ポリエステル)を、プリントライン上に製造して、ウィンディミラーの列切断装置で列に切断した。絶縁材は「SERICOL」のライトブルー(ライラック)(品番LDA 25)および「KROMEX」のブルー(品番MediSense Blue 56847)を用いた。
【0107】
「SERICOL」の絶縁層を有する4つの試料と、「KROMEX」の絶縁層を有する4つの試料について、ホットウィング・ラミネータの温度を10℃刻みで200℃から150℃の間に設定して処理を行ったものを、各温度レベルにおいて切断装置で個別に分離した。
【0108】
ホットホィール・ラミネータの温度を10分間200℃に設定した。この設定時間の後に、上部ローラ506と下部ローラ(図示せず)の間のギャップを隙間ゲージでチェックして、0.6mmになるように調節した。装置に送り込むために、以下の11列のスタックを準備した:
(a)ホットホィール・ラミネータ上で停止していたテープを廃棄するための廃棄用2列と、
(b)「SERICOL」で絶縁された不完全なバイオセンサ・ストリップ4列と、
(c)「KROMEX」で絶縁された不完全なバイオセンサ・ストリップ4列と、
(d)スタックの最下位にあり、試料の列をホットウィング・ラミネータから試料の列を押し出すための廃棄用1列。
試料用の2セットの列を廃棄用列から切り離し、テープが列の両側部に揃うように整えた。次に、試料に識別用のスプリット番号を付与し、手動ジグを用いてプリントライン上で列に変換した。次に、切断装置で試料を個別スプリットに分離した。後続のテストに備えて、試料を個別に梱包した。
【0109】
ホットホィール・ラミネータの温度を190℃に設定して自然に冷却した。ギャップをチェックして0.6mmに調節し、前記の方法で残りの8試料も製造した。前記方法により、180℃、170℃、160℃、および150℃の各温度でテスト用の8つの試料を製造した。
【0110】
3部構成でテストを行った。第1部では、切断後のテープのバイオセンサ・ストリップとの接着状況を目視で確認した。カバーがバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素から剥がれると光斑が見える。テープが残りの構成要素に接着している場合にはテープが暗く見える。
【0111】
第2部のテストでは手動の装置を用いて、ストリップの両端を把持し、互いに反対の方向にねじって、接着材に応力を加えた。ねじりを三回行ってから、ストリップをねじり装置から取り外した。いずれの剥がれも許容範囲ではなかった。剥がれの評価を簡便にするために、赤色の対照溶液(control solution)をバイオセンサ・ストリップに加えた。この対照溶液は、試料流路付近で剥がれた領域に吸い上がった。流路以外で溶液が確認されたことにより、このストリップが許容範囲にないことが分かった。
【0112】
第3部でのテストは、ねじりテストであまり芳しいとは言えない結果について行ったものである。
【0113】
いずれの試料も剥がれは確認されず、切断装置でのテストもすべて良好であった。しかし、試料を手で剥いだときに、接着温度が上昇するにつれ、接着力が増大しているようであった。長時間に渡って熱に晒すと、鋼製およびまたはアルミニウム製のホィールからゴムのコートが剥がれる可能性がある。
【0114】
<実施例5>
本実施例の目的は、ホットホィール・ラミネータを用いた試料の製造方法についての許容範囲を確立することである。なお、このラミネータはプロトタイプであった。
【0115】
本実施例で用いた列は、メッシュ層と絶縁層を配置する工程を含む段階まで仕上げたものである。これらの列を150℃のホットホィールで処理した。試料をラミネータへ送り込み、回収して評価を行った。
【0116】
「Mitutoyo Quick Vision PRO」の解析装置を用いて、試料の距離パラメータを測定した。各列の3地点において、基準端からのテープの位置を測定した。3地点は、バイオセンサ・ストリップ1、バイオセンサ・ストリップ25およびバイオセンサ・ストリップ50の3地点であった。図14は、所定の列内にあるこれらのバイオセンサ・ストリップを示している。なお、セルとは、未完成のバイオセンサ・ストリップに同義である。10列について評価をおこなった。結果を照合し、処理を行って位置の変動を求めた。各列について、最大測定値から最小測定値を引いてその列の位置変動を求めた。さらに、30測定を1セットとして、1セット全体での最大値から1セット全体での最小値を引いて、テープを着装する工程全体の位置変動を求めた。最大値と最小値との差の許容範囲は0.2mmである。ホットホィール・ラミネータは、テープのラミネートを0.15mmの変動範囲内で行うことができるため、0.1mmの許容が達成可能であるとの結論を得た。30測定の結果をまとめたものを表IIIに示す。
【0117】
【表III】
【0118】
<実施例6>
本実施例の目的は、バイオセンサ・ストリップのカバー形成用のテープのレーザ孔あけに関する効果を示すためのものである。すべての試料は以下の装置を用いて作成した:
「IDENT」のテープ切断装置
テープ巻戻し固定具
「SYNRAD」の25ワットレーザ
NI DAQカード搭載コンピュータ
【0119】
すべての測定を「Mitutoyo Quick Vision PRO」の解析装置を用いて行った。装置の設定にあたっては、以下の変数を考慮した:
レーザのパワー
テープ速度
作業信号の周波数
負荷サイクル
レーザ装置からのテープ距離
【0120】
2種類のテープをテストに用いた:
(1)現行のホットメルト接着材を有する緑色のポリエステルテープ
(2)青色の紫外線硬化PSAテープ(アイルランドのAdhesives Research社製)
【0121】
レーザでの孔あけが可能な推測最大厚さ130マイクロメートルを確保するために、青色のテープを用いた。「IDENT」の切断装置でテープを幅15mmに切断したものを巻き戻した。このテープを以下のテストに用いた。
【0122】
テスト1
<青色テープ:テープ速度6m/分でのレーザパワーに応じたUV開口部寸法>
このテストに基づいて、6m/分のテープ速度で開口部を形成するときの最適なレーザパワーを確立した。なお、このテープ速度は、目標のサイクル時間である3秒に相当するために取り上げたものである。テープ速度を6m/分に、レーザ照射を180Hzに設定した。この設定は、開口部同士の間隔が0.55mmになることを想定したものである。レーザのパワーは、スプリット毎に10%ずつ低下させて、95%から「Mitutoyo Quick Vision PRO」の解析装置で測定できなくなる時点まで低下させていった。
【0123】
テスト2
<青色テープ:テープ速度18.5m/分でのレーザパワーに応じたUV開口部寸法>
このテストに基づいて、18.5m/分のテープ速度で開口部を形成するときの最適なレーザパワーを確立した。なお、このテープ速度は、テスト装置の最大速度であるために取り上げたものである。テープ速度を6m/分に、レーザ周波数を624Hzに設定した。この設定は、開口部同士の間隔が0.494mmになることを想定したものである。レーザのパワーは、スプリット毎に10%ずつ低下させて、95%から「Mitutoyo Quick Vision PRO」の解析装置で測定できなくなる時点まで低下させていった。
【0124】
テスト3
<緑色テープ:テープ速度6m/分での負荷サイクルに応じた開口部寸法>
このテストに基づいて、開口部の寸法に及ぼす負荷サイクルの影響を特定した。テープ速度は6m/分に設定した。レーザパワーを95%にして、負荷サイクルを18%から始めて、開口部が測定できなくなる時点まで各ステージで減じていった。なお、負荷サイクルとは、レーザを実際に照射するサイクル時間の割合である。
【0125】
テスト4
<緑色:テープ速度18m/分での負荷サイクルに応じた開口部寸法>
設定はテスト3の場合と同じであるが、テープ速度を18m/分に、また、テストの各ステージで同じパルス幅が得られるように計算した所定の周波数と負荷サイクル(つまり、624Hzの31%である0.5msで開始)に設定した。なお、このテストの実施においては、負荷サイクルよりもパルス幅が重要になる。同じ負荷サイクルで周波数が高くなるにつれてパルス幅は短くなる。パルスの間隔が小さくなるほど、レーザで開口部をあける時間が短くなる。
【0126】
テスト5
<緑色テープ:パルス幅が0.5msの各種テープ速度での開口部の寸法と開口部同士の間隔>
レーザパワーを70%に設定した。パルス幅が0.5msになるように、各テープ測度とレーザ周波数について負荷サイクルを算出した。テープ速度は、1m/分刻みで18m/分から6m/分まで変化させた。
【0127】
テスト6
<緑色テープ:利用可能なレーザの焦点距離>
焦点距離のテストに基づいて、テープに開口部を設けるときのレーザ口からテープまでの距離の変動範囲を判定した。テープ巻き戻し固定具を「UNIVERSAL LASER SYSTEMS」の装置(品番M300 45ワットレーザ)のレーザ台に取り付け、調節可能なz軸を利用して、レーザノズルからテープ表面までの距離を正確に測定した。(このレーザは円錐状のノズルを備え、ここからレーザ光が照射されるとともに圧縮空気流が排出される。このような機能は、光学装置を溶融クズから保護するとともに、レーザ照射作業をアシストするためのものである。このテストで記載される寸法はノズルの先端部に関するものであり、従って、テープとレーザとの最適な位置を決定する際には、ノズルが開口部寸法に及ぼす影響を考慮する必要がある。)前記の装置のこの他の機能については用いなかった。テープをレーザ口に接触するように設定した。このような条件で、テープの最初のスプリットに開口部を設けた。装置の作業台の高さを0.3mm刻みで降下させ、1降下動作毎に1つのスプリットを作成した。このような測定を開口部が測定できなくなるまで連続して行った。パルス幅が0.5msになるように、テープ速度を6m/分、周波数を200Hz、負荷サイクルを10%に設定した。
【0128】
バッチ毎にスプリットを作成すると、「Mitutoyo Quick Vision PRO」の解析装置で作成した試料を測定した。各スプリットから50セルを測定して、開口部と開口部同士の間隔を測定した。このデータをエクセル(登録商標)の集計表にインポートして、各種結果のグラフを作成した。測定した50セルの平均を、当該スプリットのデータ点とし、グラフに表した(図示せず)。
【0129】
レーザのパワーが低下するにつれて、テープの開口部の寸法が小さくなったが、その他については一定であった。また、負荷サイクルが少なくなるほど、テープの開口部の寸法が小さくなった。この他のパラメータについては、次の変化による影響はあまり受けなかった:
(a)レーザのパワーレベル
(b)テープに開口部を設ける工程でのテープ速度
(c)レーザの負荷サイクル
例えば、開口部同士の間隔は、パワーレベルが非常に低い場合を除いて、大きな影響を受けなかった。さらに、開口部同士の間隔は、テープに開口部を設ける工程でのテープ速度の変動にも大きな影響を受けなかった。
【0130】
0mmではレーザ光は焦点がずれており、レーザ光の照射領域が大きいほど、焼かれる開口部が大きくなることになる。レーザ口からテープまでの距離が2mmの場合において最適なテープ位置が確保できて、0.15mmの開口部が得られた。また、レーザノズルからの距離が1.5〜2.5mmの範囲にある場合に、この寸法は常に一定であった。テープをレーザノズルから離すにつれて、レーザ光は広くなり、テープに孔があけられないくらいのエネルギーになった。
【0131】
<実施例7>
本実施例の目的は、テープに開口部を形成するレーザ装置の能力を判定するためのものである。さらに、本実施例では、テープ端部に対する開口部の位置が、どれくらい正確であるかを評価した。
【0132】
以下の設定を用いて、バイオセンサ・ストリップのカバー形成用のテープに排気用の開口部を設けた。
【0133】
【表IV】
【0134】
3つのテープリールを処理して、レーザの孔あき装置の設定の違いによる差を判定した。
テープ(MediSenseの品番R11003、幅15mm)を装置に装填して、表IVに記載される設定で動作させた。各テープを回収して、長さ方向にアトランダムな間隔で長さ300mmの試料に切断し、10個の試料を作成した。試料を「Mitutoyo Quick Vision PRO」の解析装置で解析して、レーザ装置の精度と再現性を測定した。
【0135】
この「Mitutoyo Quick Vision PRO」の解析装置は、最初のテープ端部を探査して、このテープの表面に沿って50mmの間隔で4つの測定点を測定するようにプログラムした。次に、これらの4点を結んで、基準線となる直線を設けた。この基準線に基づいて開口部の中心位置を測定した。この処理を3つのリールで繰り返し行った。「Mitutoyo Quick Vision PRO」の解析装置により、開口部同士の間隔、開口部の直径、開口部の中心点から最初のテープ端部までの距離を、長さ300mmの試料10個から100開口部を測定した。
【0136】
表V−VIIIは、リール1、2、3のそれぞれの結果データ、およびリール1、2、3のそれぞれの結果データをまとめたデータを示したものである。
表V−VIIは、開口部を10個設けた結果を示したものである。なお、表V−VIIIの測定値の単位は、%CV以外は、すべてミリメートルである。
【0137】
表Vはリール1の10試料のデータを示したものである。
【0138】
【表V】
【0139】
表VIはリール2の10試料のデータを示したものである。
【0140】
【表VI】
【0141】
表VIIはリール3の10試料のデータを示したものである。
【0142】
【表VII】
【0143】
表VIIIはリール1、2、3をまとめたデータを示したものである。
【0144】
【表VIII】
【0145】
リール間の間隔の変動は約0.03mmであった。この変動は非常に小さく、多くの場合がテープ速度やシャッター駆動システムの変動に起因するものである。リール間での、最初のテープ端部から開口部までの距離の平均は、約0.2mmで変動した。これは、テープの切断幅の変動に起因すると考えられ、装置に対してどのようにテープをガイドしているかに起因するものである。このような変動は、開口部の位置に直接影響する。開口部の直径の変動は非常に小さく、非常に良好な結果が得られた。得られた結果は、レーザ手段による開口部の形成に関する仕様が達成可能であることを示している。
開口部の直径:0.05 mmから0.3 mm ± 0.03 mm
開口部同士の間隔:0.3 mmから6 mm ± 0.03mm
テープ端部からの距離:0.5 mmから20 mm ± 0.05 mm
【0146】
レーザの焦点が変化すると、開口部の直径が大きくなったり小さくなったりする。回転シャッター装置の速度が変化すると、開口部の間隔が変動する。
【0147】
<実施例8>
本実施例の目的は、開口部の孔あけ方向に応じて、レーザで形成した開口部のバリの大きさへの響を判定するためのものである。レーザで開口部を形成するとき、除去する材料の多くは蒸発する。しかし、この材料がわずかに左右に移動するだけで、開口部回りで材料の厚さが増大する。このようなバリは往々にして外観を見苦しくする。
【0148】
プロトタイプのレーザ孔あけ装置を用いて、2つの試料を以下の通りに作成した。
【0149】
緑色のカバー用テープ(MediSenseの品番R11003)を試料として用いた。テープは樹脂製で、表面の大部分にホットメルト接着材を有するポリエステルの裏張りを備えたものである。
【0150】
試料の作成に先立って装置を清掃した。最初のロール(試料1)について、テープの裏張りから孔あけを行った。2番目のロール(試料2)について、テープの接着側から孔あけを行った。レーザ装置(「UNIVERSAL LASER SYSTEMS」のモデルM300)の設定は、以下の通りとし、両試料とも同じ設定にした:
レーザパワー:85 %
シャッター速度:3.2 ボルト
ニップロール速度:30.2 ボルト
巻き戻し速度:24 ボルト
【0151】
テスト用に各テープを約20mずつ作成した。2つのロールのそれぞれで、試料を1つ選択し、「PROSCAN」の表面形状測定装置で表面の大部分を走査した。各走査から、「PROSCAN」の区分ツールソフトを使って5つの開口部が測定された。各開口部を4地点で測定した:
1.開口部トップの陸部
2.開口部の一方側(トップ)にあるバリのピーク
3.開口部の他方側(トップ)にあるバリのピーク
4.開口部底の陸部
なお、図13にこれらの測定点を示す。
【0152】
表IXは、テープの裏張り側から孔をあけて開口部を設けたロール1について、テープの接着側を走査した結果をまとめたものである。表Xは、テープの裏張り側から孔をあけて開口部を設けたロール1について、テープの裏張り側を走査した結果をまとめたものである。表XIは、テープの接着側から孔をあけて開口部を設けたロール2について、テープの接着側を走査した結果をまとめたものである。表XIIは、テープの接着側から孔をあけて開口部を設けたロール2について、テープの裏張り側を走査した結果をまとめたものである。測定点2から3までの平均から測定点1から4までの平均を引いて、テストで得られた開口部のバリ寸法を求めた。試料毎に5つの開口部の平均を求めて、テープの当該試料の当該側におけるバリ寸法とした。テープ両側のバリ寸法を足して、テープの当該試料における全体のバリ寸法とした。なお、表IXからXIIの数値の単位はマイクロメートルである。
【0153】
表IXおよびXの結果は、テープの裏張り側から孔をあけたテープについてのデータである。表IXのデータは、テープの接着側を走査したものについてである。
【0154】
【表IX】
【0155】
表Xのデータはテープの裏張り側を走査したものについてである。
【0156】
【表X】
【0157】
表XIおよびXIIの結果は、テープの接着側から孔をあけたテープについてのデータである。表XIIのデータは、テープの接着側を走査したものについてである。
【0158】
【表XI】
【0159】
表XIIのデータは、テープの裏張り側を走査したものについてである。
【0160】
【表XII】
【0161】
バリは、テープに孔をあける方向には関係なく、レーザ源の方向に向いている。レーザ光に面するテープ側に、より大きなクレータやバリが形成されるのだが、これは、こちらの側が長時間熱に晒されるために、開口部を焼き抜く間に材料が溶融して、テープの反対側に変位されにくくなったためである。
【0162】
このような結果に基づくと、裏張り側から孔あけを行うことでテープ表面のバリを少なくすることができ、6.16マイクロメートルの差であってもバリが25%も低減することになる。また、孔をあける方向は、テープの両側におけるバリの分散のしかたにも影響する。裏張り側から接着側に向かって孔をあけるほうがより好ましいようである。
【0163】
本発明は、本発明の技術的範囲および精神から逸脱しない限りにおいて、各種の修正および変更が可能であることは当業者にとっては明らかであり、ここに記載される例示的な実施形態のみに限定されるものではないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】バイオセンサ・ストリップを製造するために従来用いられる平圧盤と加熱型ブロックの断面を示す概略図であり、平圧盤と加熱型ブロックを用いてカバーとバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素とを接合するときに形成されるバイオセンサ・ストリップのドームの断面も示している。
【図2】(a)、(b)、(c)は、バイオセンサ・ストリップの製造で従来用いられている平圧盤と加熱型ブロックで製造したバイオセンサ・ストリップのドームの断面面積、ドーム半径およびドーム高さに関するグラフである。(a)、(b)、(c)は、それぞれ、幅が狭い流路を有する記載の試料流路は1.5mm、幅が中程度の流路を有する記載の試料流路は2.8mm、幅が広い流路を有する記載の試料流路は4.1mmである。
【図3】本発明の1実施形態に係わるバイオセンサ・ストリップの分解図であり、バイオセンサ・ストリップにはメッシュ層がないものである。
【図4】図3の断面図であり、試料流路の側部に排気口を形成する非圧縮性要素を示す。
【図5】本発明の別の実施形態に係わるバイオセンサ・ストリップの分解図であり、バイオセンサ・ストリップにメッシュ層があるものである。
【図6】図4の断面図であり、試料流路の側部に排気口を形成する非圧縮性要素を示す。
【図7】本発明の別の実施形態に係わるバイオセンサ・ストリップの分解図であり、バイオセンサ・ストリップにメッシュ層がないものである。
【図8】本発明の別の実施形態に係わるバイオセンサ・ストリップの分解図であり、バイオセンサ・ストリップにメッシュ層があるものである。
【図9】バイオセンサ・ストリップのカバー形成用のテープに開口部をあけるためのプロトタイプのレーザ装置の概略図である。
【図10】本発明のバイオセンサ・ストリップの製造に用いられる装置の1種類の正面断面を示す概略図である。
【図11】本発明のバイオセンサ・ストリップの製造に用いられる別の種類の正面断面を示す概略図である。
【図12】図11の装置の頂面を示す概略図である。
【図13】レーザによってバイオセンサ・ストリップのテープに形成されたバリを解析するために用いるテストの設定を示したものである。
【図14】バイオセンサ・ストリップの列にテープをラミネートする装置の精度をテストする際に用いられる、個別に分離される前のバイオセンサ・ストリップの列を示したものである。
【技術分野】
【0001】
本発明はバイオセンサ・ストリップ(Biosensor Strips)及びバイオセンサ・ストリップの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学セル(Electrochemical Cell)は、作用電極と対向電極で構成され、これらの極が互いに電気的に接続されたデバイスである。実用においては、これらの極で発生する電気化学反応により電子を極間で移動させることで電流を発生させる。電気化学セルは、発生させた電流を、例えば、バッテリのような形態で利用したり、電流や電圧の負荷によって誘引された電気化学反応を検出するように設定することができる。
【0003】
バイオセンサは電気化学セルの一種であり、電極構成は、作用電極、参照電極、対向電極(あるいは、参照電極と対向電極の代わりに、これらの電極として機能する電極)により構成される。酵素や伝達物質などの試薬は、測定する試料の検体に反応する電気化学反応についての測定可能な信号を発生させるために必要となるが、このような試薬を作用電極の表面の少なくとも一部分を覆うように作用電極に付着させる。
【0004】
この他の場合では、バイオセンサには、銀と塩化銀の混合物などからなる参照電極を含む。そして、この作用電極の少なくとも一部分を覆うように試薬を付着させる。試薬の付着にあたっては、作用電極での電気化学の測定に影響を及ぼさないようにする。例えば、キノンなどの伝達物質を含む試薬の場合には、銀/銀化合物の混合物に反応しない。このような伝達物質を用いたバイオセンサでは、作用電極に対する試薬の位置合わせが正確でなくても作用電極に試薬を塗布することが可能である。
【0005】
さらに他の場合では、バイオセンサの試薬は、伝達物質と参照電極の付着物質が混ざり合うことを防ぐ目的から、参照電極の付着物質から隔離する必要がある。この場合には、作用電極に塗布する試薬の位置合わせを正確におこなう必要がある。
【0006】
バイオセンサは多種多様であり、所望の化学反応によってそれぞれ異なる。当業者であれば、所望の化学反応を発生させるために所定のバイオセンサを容易に変更することが可能である。
【0007】
ここに記載内容を引用する米国特許第6863800号には、本発明の用途に適した電極構成を備えるバイオセンサ・ストリップ10が開示されている。米国特許第6863800号の図1を参照すると、電極支持部11、好ましくは、樹脂材料(塩化ポリビニール、ポリカーボネート、ポリエステルなど)の細長いストリップにより、好ましくは炭素からなる導電インクのトラック(track)12a、12b、12cが支持されている。トラック12a、12b、12cにより、電気接点14a、14b、14c、参照電極16、作用電極18および対向電極20のそれぞれの位置が決定される。電気接点14a、14b、14cは、所定の測定装置(図示せず)に挿入可能になっている。
【0008】
導電トラック12a、12b、12の上に、さらに、導電材料、好ましくは銀粒子と塩化銀粒子を混合した混合物からなるトラック22a、22b、22cを適宜配置することができる。参照電極16の上に広範囲に露出したトラック122bが配置される。さらに、トラック22a、22b、22cの上に疎水性の絶縁層24が配置される。なお、参照電極16、作用電極18、対向電極20および電気接点14a、14b、14cの各位置は、疎水性の絶縁層24で覆われていない。この疎水性の絶縁層24は、短絡を防止する機能を有する。疎水性の絶縁層24には開口部26が形成されている。この開口部26は、バイオセンサ・ストリップ10の反応領域の境界となるものである。絶縁層が疎水性であるため、試料は反応領域内にある電極部分に制限される。作用電極18は非反応導電材の層からなり、この上に酸化還元反応を発生させる作用インクを含んだ層28が配置される。そして、少なくとも1つのメッシュ層30を電極の上にかぶせる。このメッシュ層30は、プリントの構成要素を物理的な損傷から保護するためのものである。また、このメッシュ層30は、試料の表面張力を低減して電極との接触を助長する働きを有しており、試料が電極全体に均一に広がるようにする。カバー32は、電極支持部11に接触しない電極の表面を覆うものである。このカバー32は液体不浸透性膜である。カバー32は小さい孔34を有しており、塗布した試料が下のメッシュ層30に接触するようになっている。図1のバイオセンサ・ストリップはトップフィル型のバイオセンサ・ストリップであり、試料がメッシュ層を介して電極まで吸い上がるようになっている。米国特許第6863800号の図2には、メッシュ層を有さないエンドフィル型のバイオセンサ・ストリップが開示されている。この場合、試料は毛細管引力を介して電極に接触する。図2のバイオセンサ・ストリップ10’では、カバー層40と、電極支持部11とカバー層40との間に接着層などのスペース層42が設けられている。なお、接着材は感圧接着材であってもよい。カバー層40には孔がない。スペース層42には反応領域の境界となるスロット44が設けられている。液状試料が、バイオセンサ・ストリップ10’の一端のスロット44に形成される開口部46を介してバイオセンサ・ストリップ10’の中に流入する。液状試料は、毛細管力の作用によって開口部46から反応領域に到達してこの領域に広がる。
【0009】
絶縁層24をカバー32で覆う方法では、従来、残りの未処理の構成要素とカバーとの位置を合わせてから、平圧盤と型ブロックによって、残りの未処理の構成要素とカバーとをかしめ付けしていた。このとき、平圧盤は電極支持部11の下方に配置し、型ブロックはカバー32の上方に配置する。カバー32をバイオセンサ・ストリップの残りの未処理の構成要素にラミネートする工程の前に、型ブロックを加熱しておく。図1には、ラミネートの工程において、平圧盤「P」と加熱した型ブロック「B」との位置合わせの方法が示されている。型ブロック「B」を圧盤「P」に対して適切に配置できるようにすることは、このラミネートの工程をうまく行うためには必須である。適切に配置するには比較的高い技術力が必要となり、バイオセンサ・ストリップ「S」の製造に必要な接着を達成するには膨大な時間を要する。この方法は、優れた接着性が得られるものの、型ブロックがカバーと接する部分でテープに膨らみが生じる恐れがある。このような膨らみが形成されると、電気化学セルの容積を不必要に増大させることになる。図2A、2B、2Cには、バイオセンサ・ストリップの形成で従来用いられている、平圧盤「P」と加熱された型ブロック「B」により成形された個々のバイオセンサ・ストリップのドームの断面、半径および高さが、試料流路の幅に応じてどのように変化するかが示されている。
【0010】
さらに、バイオセンサ・ストリップの形成で用いられる方法は、従来、カバーを残りの層にラミネートする処理を連続して行わない、間欠的な処理である。したがって、従来のラミネートの方法では、未処理の構成要素の所定位置にインデックスを付してラミネートする必要があり、所定の段階で正確に構成要素の動作を止めて、一緒にかしめ付けた状態してから、型ブロックの熱が、カバーの裏張り側を介して、接着層に伝わるまで所定の時間だけ保持する必要がある。それから、かしめ付けの状態を開放して製品を工程から取り出す。さらに、テープ層を残りの層にかしめ付けている間に接着材が反応あるいは軟化して、残りの層に高温が伝わる。しかし、酵素は温度上昇により変性するため、高温での熱伝導は好ましくない。
【0011】
バイオセンサ・ストリップの残りの構成要素とカバーとを接着させるための平圧盤と型ブロックを用いた処理で発生した膨らみを取り除くことで、電気化学セルの容積を低減することができるのだが、これは、カバー形成用のテープに低プロファイルのテープを用いることで達成可能である。低プロファイルのテープは試料流路の容積を33%低減することができる。ここで、テストに必要な血液がより少量になれば、必要な血液量を採血する際の患者の苦痛が軽減されるという認識に立つと、試料流路の容積を低減する必要性が生まれる。感圧接着剤(PSA)を用いた低プロファイルのテープに関する過去のテストから、複数のバイオセンサがプリントされたカードの場合、バイオセンサ・ストリップを個別に分離する変換がうまくいかないことが知られている。PSAはパッケージ装置(Romaco Siebler社の登録商標名「SIEBLER」などから商業的に入手可能)などの変換機のカッター上に配置される。このように配置すると、接着剤の塊が落下してバイオセンサ・ストリップのパッケージに入り込んだり、変換機のカッターの刃と基台を広範囲に清掃する必要もある。
【0012】
さらに、バイオセンサ・ストリップ内の試料流路を液体が移動するためのエアを逃がす手段が必要になる。製品の多くは、このような手段として、バイオセンサ・ストリップの上下表面のいずれか一方に換気口が1つ設けられており(符号34参照)、これは、再生可能な信頼性の高いバイオセンサ・ストリップを得るには、1つの排気口を二方向のいずれか一方に適切に位置合わせを行う必要がある。つまり、排気口を、試料の流れる方向に直交する方向に誤って配置すると、液体が試料流路に流れ込まない。また、排気口が、試料の流れる方向に対して平行に試料流路と重なるように配置された場合であっても、試料は流路に流れ込むものの、試験を行うのに十分な試料が得られないこともある。また、排気口が、試料の流れる方向に対して平行であっても、試料流路と重ならないように配置された場合には、液体は試料流路に流れ込まない。
【0013】
前記の通り、平圧盤と型ブロックを用いた方法でカバーを適切な位置に着装することはできる。前記の通り、この方法では、試料流路の遠位端で外界に対して開口するようなドームを形成する。この開口により自然排気が可能となるが、流路を充填するために必要となる試料の容積を増大させることにもなる。また、低プロファイルのテープは、接着性が強すぎて、流路からエアを排出できないために試料が流路に流れ込まない。そこで、試料流路の遠位端に開口部を形成することでエアを流路から逃がし、試料が流路に流れ込むようにする。試料流路の遠位端に開口部を設けることで、毛細管引力(米国特許第6863800号の図2参照)や化学反応によるウィッキング法などで、試料をメッシュ層に吸い上がらせて流路の流れを助ける。
【0014】
試料流路の両側に排気口を設ける試みが数多くなされてきたが、いずれの場合も、液状試料が排気口に沿って吸い上がる際に見苦しい塊が形成された。穿孔技術による排気口の形成では、バイオセンサ・ストリップのカバーに開口部を1つ設ける構成である。したがって、液状試料がカバーの開口部を吸い上がることはない。しかし、前記の通り、カバーに排気口を設けることは、2方向での位置合わせを正確に行う必要がある。
【0015】
バイオセンサ・ストリップ間で試料の充填割合が変動する問題は、接着剤の流れと微細なメッシュを用いた場合に発生すると考えられており、これによって、カバーと絶縁層との間が塞がれることになる。微細なメッシュを用いた場合、検査に必要な血液などの液状試料の量を低減することができる。しかし、微細メッシュの使用によって、絶縁層の表面もより平滑になる。バイオセンサ・ストリップの形成で用いられる従来の方法、つまり、平圧盤と型ブロックを用いてラミネートする場合には、ラミネートの処理中に接着剤の流量が多すぎると、流路を塞いでしまう。流路を塞ぐ度合に応じて、液状試料を流路に充填する割合も直接影響を受けることになる。信頼性の高い再現可能な排気を行うには、この充填の割合の変動を最小限にする必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前記に鑑みて、検査に必要な液状試料の量を低減するような低プロファイルのバイオセンサ・ストリップを開発することが望まれる。さらに、低プロファイルのバイオセンサ・ストリップの排気を行う手段を開発することが望まれる。また、さらに、このようなバイオセンサ・ストリップを連続的に製造する方法を開発することが望まれる。また、さらに、液状試料の充填に関して信頼性の高い再現可能なバイオセンサ・ストリップが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の1実施形態によれば、生体液体の試料における検体の濃度を判定するためのバイオセンサ・ストリップは、
(a)電極支持部と、
(b)電極支持部上の電極構成と、
(c)カバーと、
(d)試料流路と、
(e)カバーと接触する非圧縮性要素を備え、
この非圧縮性要素は、試料流路の少なくとも一方の側部あるいは遠位端に開口部を設けて、試料流路に1つ以上の排気口を設ける構成である。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、生体液体の試料における検体の濃度を判定するためのバイオセンサ・ストリップは、
(a)電極支持部と、
(b)電極支持部上の電極構成と、
(c)カバーと、
(d)液状試料が取り込まれる箇所である近位端と、
液状試料が取り込まれたときに流れる方向にある遠位端と、近位端と遠位端とに延接する第1の側部と、近位端と遠位端とに延接する第2の側部とを有し、第1の側部と第2の側部は液状試料を保持する機能を有するような試料流路と、を備える構成である。
【0019】
カバーあるいは電極支持部に複数の開口部を形成しているので、バイオセンサ・ストリップの残りの構成要素にカバーを密閉させる工程中にカバーの接着材が過剰に流れ場合であっても、液状試料をバイオセンサ・ストリップに充填することができる。前記のバイオセンサ・ストリップは、カバーと試料流路の間に1つ以上のメッシュ層を有する。
【0020】
本発明の別の実施形態によれば、本発明は、一方の表面の大部分に接着材の層を有する裏張りを備えたカバーを、バイオセンサ・ストリップの残りの構成要素に連続的に着装する方法を提供する。この方法では、カバーは、一方の表面の大部分に接着層を有する裏張りを備えたテープのセグメントからカバーを形成する。カバーの装着は、複数の不完全なバイオセンサ・ストリップを含む列を提供し、一方の表面の大部分に接着層を有する裏張りを備えたテープを提供し、列をラミネータなどのテープを着装する装置に送り込み、さらに、テープをラミネータなどのテープを着装する装置に送り込んでラミネートすることで、列は複数の完成したバイオセンサ・ストリップを含み、完成したバイオセンサ・ストリップを含んだ列を複数の個別のバイオセンサ・ストリップに分離することで行われる。
【0021】
ホットメルトあるいは熱活性化タイプの接着材の場合、前記のカバーをバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素に接着させる方法として、静止型あるいは移動型の熱源に接触させるなどの方法により、裏張りと接着材を予熱する方法がある。熱源は、代表的には、熱を良く伝導するもので、カバーの裏張りに大きな損傷を与えない程度に接着材を溶融あるいは軟化させるのに十分な温度に制御可能であるものである。テープは、裏張り部や接着材あるいはバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素に悪影響を及ぼさない程度で、ラミネータなどのテープを着装する装置の加熱領域に静止させてもよいし、または、裏張り部や接着材あるいはバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素に悪影響を及ぼさないようにラミネータなどのテープを着装する装置の加熱領域でテープを移動させてもよい。
【0022】
テープの加熱後は、テープの温度が接着材の硬化点を下回わらないうちに、圧送ローラなどを用いてテープをバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素に着装する。このようにして着装したテープは、典型的に、in-situ再活性化の接着材を有するテープの場合よりも低いプロファイルを呈する。本発明の方法によるテープ着装は、in-situでのテープ着装よりも迅速な処理が可能性である。なお、バイオセンサ・ストリップの非圧縮性構成要素の表面に沿って試料が吸い上げられる量はごく僅かであり、非常にゆっくりとした速度で発生する。
【0023】
感圧接着材の場合、テープを着装する装置で用いる接着材は、熱により溶融あるいは軟化する接着材などは用いない。圧送ローラを備えたテープを着装する装置を用いて、感圧接着材の層を有する裏張りを備えたテープを、未完成のバイオセンサ・ストリップに接着することができる。なお、未完成のバイオセンサ・ストリップにテープを着装した後の工程は、未完成のバイオセンサ・ストリップにホットメルト接着材のテープを着装した後の工程と実質的に同じである。
【0024】
本発明は、バイオセンサ・ストリップの残りの構成要素にテープを接着させるのに用いる接着材の種類を問わずに、バイオセンサ・ストリップに排気口を設ける方法を複数提供する。まず、バイオセンサ・ストリップのカバーに複数の開口部を形成する方法では、開口部の位置を一方向に合わせるようにする必要がある。この方法は、カバーに開口部を設ける作業を簡便にするものである。この方法によれば、レーザあるいは機械装置などの手段により、カバーとなるテープに排気口として機能する複数の小さい開口部を設ける。開口部は線状に形成してもよく、所定の間隔、代表的には、等間隔を置いて形成する。バイオセンサ・ストリップの残りの構成要素にテープを着装した後には、1つ以上、代表的には、2つ以上の開口部が各流路の上方に位置するように間隔を選択してもよい。このようにして開口部を形成した場合、二方向のいずれか一方に位置を合わせる必要がなくなり、バイオセンサ・ストリップのカバーに1つ以上の排気口を高速かつ正確に形成することができる。代替の実施形態では、開口部を、バイオセンサ・ストリップのカバーではなく、電極支持部に形成することができる。連続した方法により、カバー形成用テープの位置合わせをより正確に行うことができる。これは、テープの張力が一定に保たれるため、テープの張力が絶えず増減する間欠的な方法(停止/開始による方法)のテープよりも、位置合わせが容易に制御できるためである。
【0025】
さらに、本発明は、1つ以上の開口部を、カバーや電極支持部ではなく、バイオセンサ・ストリップの試料流路の一方の側部あるいは遠位端に設ける方法を提供する。この方法は、試料流路に排気口を設ける作業を簡便にするものである。この方法によれば、排気口として機能する複数の小さい開口部を、実質的に、スレッドやリボンあるいはテープなどの非圧縮性要素を用いて設けることができる。1つ以上の排気口を、試料流路の少なくとも一方の側部あるいは遠位端に設ける方法では、複数の未完成のバイオセンサ・ストリップを含む列を提供し、一方の表面の大部分に接着材の層を有する裏張りを備えたテープを提供し、非圧縮性要素を形成するのに適した長さの材料を提供し、このテープと非圧縮性構成要素を形成する前記長さの材料とを組み合わせることで、このテープと非圧縮性構成要素を形成する前記長さの材料がアッセンブリを形成し、ラミネータなどのテープを着装する装置に列を送り込み、アッセンブリを列にラミネートなどの方法で接着させることで、列は複数の完成したバイオセンサ・ストリップを含み、完成したバイオセンサ・ストリップの列を、複数の個別のバイオセンサ・ストリップに分離する。接着材がホットメルト接着材である場合は、非圧縮性要素に接合する前にテープを着装する装置でテープを予熱し、テープと非圧縮性要素を接合したものをバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素に着装する。接着材が感圧接着材である場合は、非圧縮性要素に接合する前にテープ着装する装置でテープを予熱する必要はなく、このテープと非圧縮性要素を接合したものをバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素に着装する。このように形成した開口部を用いることで、安価で入手しやすい従来の材料にカバー形成用テープを接合する作業を、高精度かつ高生産率で行うことが可能になる。
【0026】
前記の方法では、作業手順を実施するために困難な設定が不要になる。本発明の方法は、従来のバイオセンサ・ストリップの製造工程において試料流路に形成されるドームをなくすことで流路の容積を低減する必要のあるバイオセンサ・ストリップの製造に適する。ここに記載される方法は、連続した工程で具現化され、これにより、より均一なバイオセンサ・ストリップの生産性を向上させることができる。ここに記載される方法では、カバー形成用のテープを加熱する際に、バイオセンサ・ストリップの残りの構成要素にテープを接合する前にテープを予熱することで、製品の製造で消費される熱を大幅に低減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下において、「試料流路」とは、液状物が流れる管状の経路のことを意味し、この管状の経路は、液状試料が試料流路に導入される部分である近位端と、流路に導入された試料が流れる方向にある遠位端と、流路の近位端と遠位端の間に延伸する第1の側部と、流路の近位端と遠位端の間に延伸する第2の側部とを有し、第1の側部と第2の側部は、試料流路中の液状試料を保持するためのものである。「カード」とは、複数の列を有する未変換のストック(unconverted stock)のシート材のことを意味し、各列は、複数の未完成のバイオセンサ・ストリップにより構成され、この未完成のバイオセンサ・ストリップはカバーで覆うことで完成したバイオセンサ・ストリップになる。「列」とは、一方の長手側で流路が、他方の長手側で電気接点が直線状に揃うように配置された、複数の未完成バイオセンサ・ストリップのことを意味する。「未完成のバイオセンサ・ストリップ」とは、カバーで覆われていないバイオセンサ・ストリップのことを意味する。この未完成バイオセンサ・ストリップは、列あるいはカードを構成する1つの構成要素である。「完成したバイオセンサ・ストリップ」とは、カバーを有するバイオセンサ・ストリップであり、個別のバイオセンサ・ストリップに分離されていないものを指す。「個別のバイオセンサ・ストリップ」とは、カバーを有する個別に分離されたバイオセンサ・ストリップのことを意味する。通常、「バイオセンサ・ストリップ」と単独で用いられている場合には、個別のバイオセンサ・ストリップのことを指す。「低プロファイル」とは、実質的にドームを有さないものを指す。「非圧縮性要素」とは、スレッド、リボン、フィラメント、層などを意味し、本発明においてカバーを設ける際の圧縮に抵抗するだけではなく、完成したバイオセンサ・ストリップの保管や用途における圧縮に抵抗するような要素である。非圧縮性要素は、これらの構成要素により形成される排気口が外界に開かれる度合いに応じた圧縮抵抗のみが必要となる。「フィラメント」とは、実質的に円形の断面を有する微細な細長いファイバーである。「リボン」とは、幅の狭いストリップもしくは帯状の材料であり、一般に自然材料もしくは合成材料からなる。「ドーム」とは、従来の位置合わせ/かしめ付け/加熱の方法によって、未完成のバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素にカバーを配置してバイオセンサ・ストリップを形成するときに、このバイオセンサ・ストリップのカバーによって想定される形状のことを指す。ドームは、バイオセンサ・ストリップの流路の上方で形成される膨れ上がった余剰空間である。「段」とは、バイオセンサ・ストリップのカバーの一部であり、バイオセンサ・ストリップのカバーの他の部分よりも高さが高いものを指す。「裏張り」とは、接着層を支持するテープ層のことを意味する。「ラミネータ」は、2つ以上の基板を一緒に位置決めして固化する装置のことである。具体的には、「ラミネータ」は、未完成のバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素をカバーで覆うような装置を含む。「排気口」とは、エアなどの気体や水蒸気を逃すための通路の開口部である。「基準端(datum edge)」とは、固定ガイドに対して位置決めされた端として用いられる列、カードあるいはテープの一端である。対照的に、列、カード、テープの他端は、供給許容を考慮して用いるスプリングローラなどの移動ガイドにより取り扱われる。「ウィンディミラー(Windy Miller)」とは、カードを列に変換する手動式の装置のことである。
「列切断装置」あるいは「列切断アッセンブリ」などは、バイオセンサ・ストリップの列を所望のバイオセンサ・ストリップに、例えば、幅40mmのストリップを幅34.5mmのストリップに幅狭の列に変換するような装置である。「個別の」とは、複数のバイオセンサ・ストリップを含む列から個々切断された個別のバイオセンサ・ストリップのことである。「列の変換」等の表現は、列切断装置によって行われる処理である。「スリップリング(Slip Ring)」とは、複数の電気的なチャンネルを、接続ケーブルの撚りを有さない回転構成要素に変換するような装置である。「斜板」とは、デュアルアクション・カムとして動作するように、軸からずれて回転する楕円形の回転構成要素である。「駆動ピンホルダー」とは、斜板によって駆動される装置であり、これによりピンホルダーが往復運動する。「弓なり」とは、カードや列に想定される湾曲形状である。「電極構成」とは、電極支持部上に所定の順序あるいは関係で配置された電極の集合をいう。本発明のバイオセンサ・ストリップの電極構成に適する電極は、当業者にとって既知のものである。一般に、これらの電極は、作用電極と対向電極とからなり、適宜、参照電極やトリガ電極、あるいは補助電極なども含む。以下で用いられるように、「接着側から孔をあける」、「接着側から開口部を形成する」などは、レーザ光がテープの裏張り側まで貫通する前に、テープの接着側を貫通することを意味する。また、「裏張り側から孔をあける」、「裏張り側から開口部を形成する」などは、レーザ光がテープの接着側まで貫通する前に、テープの裏張り側を貫通することを意味する。
【0028】
図3、4、5、6は、流路の両側部に排気口を有するバイオセンサ・ストリップ110あるいは110’を示している。図3、4、5、6においては、本発明に適したバイオセンサ・ストリップ110あるいは110’は、電極支持部111、好ましくは樹脂材(ポリ塩化ビニール、ポリカーボネート、ポリエステルなど)の細長いストリップにより構成され、この電極支持部111は、導電性インク、好ましくは、カーボンからなる3つのトラック112a、112b、112cを支持する。これらのトラック112a、112b、112cにより、電気接点114a、114b、114c、参照電極116、作用電極118および対向電極120の位置が決定される。電気接点114a、114b、114cは、所定の計測装置(図示せず)に挿入可能になっている。
【0029】
導電トラック112a、112b,112cのそれぞれの上に、適宜、好ましくは銀粒子と塩化銀粒子の混合物などの導電材のトラック122a、122b、122cを配置してもよい。参照電極116の上に広範囲に露出したトラック122bを配置する。さらに、トラック122a、122b、122cの上に疎水性の絶縁層124を配置する。参照電極116、作用電極118、対向電極120および電気接点114a、114b、114cの位置は、疎水性の絶縁層124により覆われていない。この疎水性の絶縁層124は短絡を防止するものである。疎水性の絶縁層124には、開口部126が形成されている。この開口部126は、バイオセンサ・ストリップ110の反応領域の境界となるものである。この絶縁層は疎水性であるため、試料は反応領域内にある電極部分に制限されるようになっている。作用電極118は非反応導電材の層からなり、この上に酸化還元反応を発生させる作用インクを含んだ層128が配置される。図5、図6では、液状試料は代表的な化学反応によるウィッキング法などの方法によって移動する。したがって、図5および図6のバイオセンサ・ストリップは、少なくとも1層のメッシュ130を含む。1つ以上のメッシュ層130を電極の上に配置する。このメッシュ層130は、プリントの構成要素を物理的な損傷から保護するためのものである。また、メッシュ層130は、試料の表面張力を低減して電極を湿らせやすくするためのものであり、試料が電極全体に均一に広がるようにする。カバー132は、電極支持部111に接触しない電極の表面を覆うものである。このカバー132は液体不浸透性膜である。図3、図4では、液状試料は毛細管引力によって移動する。したがって、ウィッキング法により、試料の移動を助長するようなメッシュ層は用いていない。図3および図4のバイオセンサ・ストリップ110’では、カバー層140と、電極支持部111とカバー層140の間に接着層などのスペース層142を設けている。接着材には感圧接着剤を用いてもよい。カバー層140には孔がない。スペース層142には、反応領域の境界となるスロット144が設けられている。液状試料は、バイオセンサ・ストリップ110’の一端にあるスロット144の一端に形成された開口部146を介してバイオセンサ・ストリップ110’に流入する。液状試料は、この開口部146から導入され、毛細管力の作用によって、反応領域に到達してこの領域に広がる。なお、流路の境界は、バイオセンサ・ストリップの近位端に設けられた試料適用領域(Sample Application Zone)と、バイオセンサ・ストリップの遠位端もしくはその近傍に形成された排気口と、ウィッキング作用により充填されるバイオセンサ・ストリップのメッシュ層の端部、もしくは毛細管引力により充填されるバイオセンサ・ストリップの接着層の端部とによって設定される。
【0030】
図3、4、5に記載されるバイオセンサ・ストリップの構成要素111−146の詳細については、米国特許第6863800号を参照のこと。なお、この文献に記載される内容のすべてをここに引用することとする。また、米国特許第6863800号に開示される構成要素の代用物は当業者には周知である。
【0031】
図3、4、5、6における実施形態では、バイオセンサ・ストリップのカバー132と、メッシュ層130と絶縁層124のマトリックス(メッシュ層を有さないバイオセンサ・ストリップの場合にはスペース層142)との間に、非圧縮性要素150を試料流路の少なくとも一方の側部あるいは流路の遠位端に挿入して、排気口を形成してもよい。非圧縮性要素150は、スレッド、リボン、フィラメント、あるいはテープなどの様々な形態で構成することができる。非圧縮要素150は、例えば、複数のスレット、複数のリボン、複数のフィラメント、複数のテープなどで構成してもよい。また、非圧縮性要素150は、好ましくは、試料の流れに抵抗するような実質的に疎水性の材料、代表的には水性キャリアなどで構成してもよい。非圧縮要素150の大きさは、所望の排気口の開口部の寸法と形状によって指定される。非圧縮性要素150の断面形状は、円形、楕円形、多角形、代表的には正多角形や不正多角形により構成してもよい。
【0032】
非圧縮性要素150の形成に適した材料は、縫合糸の製造に用いられる未処理の網状ポリエステル製スレッドなどのマルチフィラメント材などが含まれるが、これに限定するものではない。このような材料は、Pearsalls Limited社(英国)の品番35A103000などから商業的に入手可能である。この材料は、EP1やUSサイズ5/0として知られている。この材料の直径は0.100〜0.149mmである。この他で本発明に適した材料としては、釣り用ラインに用いられるモノフィラメント材などがあり、直径0.08mm、0.80kgの「WBCIarke Match Team」などで、英国のスポーツ用品店などで商業的に入手可能である。この他に適した材料としては、「DUPONT」や「MELINEX」の登録商標を有する、厚さ50μm、幅2mmに裁断されてボビンに巻き取られたリボンなどがある。
【0033】
非圧縮性要素150は、ここに記載されるバイオセンサ・ストリップの製造方法における変形に抵抗できなければならない。また、非圧縮性要素150は、通常の保管や用途の条件下における変形に対しても抵抗性を有する必要がある。「圧縮(押潰し:Crush)」パラメータを用いて、所望の変形抵抗性を数値化することができる。この「圧縮」パラメータとは、本発明のバイオセンサ・ストリップを形成するための特徴を考慮したものである。「圧縮」パラメータには、後述するホットホィール法(Hot Wheel Method)のホットホィール(Hot Wheel)と、ホットホィールの支持ロール(Support Roll)または床板(Bed Plate)との間にある隔離が含まれるか、あるいは、それに相当するものである。「押潰し」の結果として、ホットホィール上のシリコーンゴムが被る圧縮によって圧力が発生する。「圧縮」パラメータは、所望の生成物の0.6mmでのパラメータよりも若干低い初期値に設定することができ、0.3mmまで低く設定してもよい。バイオセンサ・ストリップを形成するカードの厚さは、代表的には500μmであり、メッシュ層の代表的な厚さは130μmであり、裏張りの代表的な厚さは50μmであり、接着材の代表的な厚さは25μmである。ローラの設定は、代表的には実験に基づいて、0.45mm±0.05mmに設定する。当業者であれば、前記した装置の構成間の隔離については、過度に実験結果に依存することなく、適宜設定可能である。
【0034】
メッシュ層130と絶縁層124のマトリックス(メッシュ層を有さないバイオセンサ・ストリップの場合にはスペース層142)の表面と、前記マトリックスに対向する非圧縮要素の表面との臨界面に形成された段152を、試料流路の遠位端の上手あるいは流路の遠位端に配置することができる。段152は、排気口として機能する開口部を形成することで、流路の一方の側部もしくは両側部から、あるいは流路の遠位端から空気を排気することができる。この種類の排気口は、バイオセンサ・ストリップの残りの構成要素をカバーで覆うときに大きな力が加わっても、十分に堅牢であることが立証されている。また、この排気口は容易に検証可能であり、信頼性が高い。
【0035】
非圧縮性要素150を用いて排気口を形成する場合、カバー形成用テープは、非圧縮性要素150を用いない場合のように平坦ではなく、カバーで覆うときに必要な力の大半は、試料流路の上方ではなく、段152を介して付与されるため、低プロファイルが必要となる。なお、複数の感圧接着(PSA)テープを用いて排気口を用いる場合は、流路の大半を覆うために第1の感圧接着テープを配置し、流路の近位端つまり試料を充填する側の端部と遠位端とを露出させた状態にして、第2の感圧接着テープをバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素の大部分で覆うため、前記のような問題は起こらない。非圧縮性要素、つまり、第1の感圧接着テープによって形成される段152では、試料流路の両側部にそれぞれ1つの排気口が形成される。しかしながら、複数のテープを用いる場合には、切断する感圧接着テープの量が増大するため、このような実施形態では費用がかさむことになる。したがって、スレッドやリボン、フィラメントあるいはこの他の非圧縮性要素を用いるほうが、簡便性や材料費の低減などの観点から好ましい場合がある。
【0036】
別の実施形態では、紫外線硬化(UV硬化)接着材を用いて非圧縮性要素を形成することもできる。このような実施形態では、カバーは、表面の大部分に紫外線硬化性感圧接着材を有する裏張りを備える。この接着材は、初期には通常の感圧接着材として作用し、紫外線に暴露すると架橋して硬化する。実用段階では、例えば、裏張りにUV硬化接着材を約2mmの細い幅で配置したものを、複数の未完成のバイオセンサ・ストリップを含む列にテープを着装する工程に先立って、紫外線に暴露させてもよい。UV硬化接着材を細い幅で配置する際には、試料流路の遠位端に揃うように配置する。このような方法では、細い幅で配置するため、バイオセンサ・ストリップの電極構成の電極に付着することがなく、さらに、硬化前の接着材がメッシュ層130と絶縁層124のマトリックス(メッシュ層を有さないバイオセンサ・ストリップの場合にはスペース層142)に流れ込まないため、確実に排気口を形成することができる。メッシュ層を用いる場合、あるいはメッシュ層を用いずにスペース層を用いる場合には、接着層で紫外線に暴露しない部分は、前記マトリックスを介して未完成のバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素に接着することになる。バイオセンサ・ストリップの残りの構成要素にテープを着装すると、テープを紫外線に露光させて硬化させることにより、切断装置への貼り付きを低減させることができる。あるいは、未硬化のままで通常の感圧接着材として機能させてもよい。幅細の紫外線硬化接着材は、メッシュ層130と絶縁層124のマトリックス(メッシュ層を有さないバイオセンサ・ストリップの場合にはスペース層142)に接着しないため、試料流路の両側部に排気口を設けることができる。
【0037】
排気口のエアギャップは、流路からカバーを隔離するメッシュ層130と絶縁層124のマトリックスの頂点部によって、あるいは、メッシュ層がない場合にはスペース層142とUV硬化の感圧接着材との臨界面の非密閉部によって決まる。このような方法で、実質的に外観が見えないように排気口を容易に製造できる。PSAテープを用いた紫外線硬化の工程は、後続の個別化およびパッケージングの工程と入れ替え可能である。
【0038】
これ以外の方法としては、カバーの下に、試料流路の遠位端から流路が延びるように絶縁層の形状を変更することもできる。このような変更は比較的簡便なものであり、追加的な材料費は発生しない。しかしながら、テープを設置する装置の変更が必要となる可能性がある。
【0039】
図7および8は、バイオセンサ・ストリップのカバーに排気口を有しているものを示す。図7および8は、本発明に適するバイオセンサ・ストリップ210および210’は、電極支持部211、好ましくは、(ポリ塩化ビニール、ポリカーボネート、ポリエステルなどの)樹脂材料からなる細長いストライプを含み、この電極支持部211は3つのトラック212a、212b、212cを支持する。これらのトラック212a、212bおよび212cにより、電気接点214a、214b、214c、参照電極216、作用電極218および対向電極220の位置が決定される。電気接点214a、214b、214cは、所定の測定装置(図示せず)に挿入可能になっている。
【0040】
導電トラック212a、212b、212cのそれぞれの上に、適宜、好ましくは銀粒子と塩化銀粒子の混合物などの導電材のトラック222a、222b、222cを配置してもよい。参照電極216の上に広範囲に露出したトラック222bを設ける。さらに、トラック222a、222bおよび222cの上に疎水性の絶縁材224の層を配置する。参照電極216、作用電極218、対向電極220および電気接点214a、214b、214cの位置は、疎水性の絶縁層224で覆われていない。この疎水性の絶縁層224は短絡を防止する役割を果たす。疎水性の絶縁層224には、開口部226が形成されている。この開口部226は、バイオセンサ・ストリップ210の反応領域の境界となるものである。この絶縁層は疎水性であるため、試料は、反応領域内にある電極に制限されるようになっている。作用電極218は非反応の絶縁層からなり、この上に酸化還元反応を発生させる作用インクを含んだ層228が配置される。図8は、ウィッキング法、液状試料は、代表的な化学反応によるウィッキング法などの方法によって移動する。したがって、図8のバイオセンサ・ストリップは、少なくとも1層のメッシュ層230を含む。少なくとも1つのメッシュ層230を電極の上に配置する。このメッシュ層230は、プリント構成要素を物理的な損傷から保護するためのものである。また、メッシュ層230は、試料の表面張力を低下させて電極を湿らせやすくするためのものであり、試料が電極全体に均一に広がるようにする。カバー232は、電極支持部211に接触しない電極の表面を覆うものである。このカバー232は液体不浸透性膜である。図7では、液状試料は毛細管作用によって移動する。したがって、ウィッキング法により、試料の移動を助長するようなメッシュ層は用いていない。図7のバイオセンサ・ストリップ210’では、カバー層240と、電極支持部211とカバー層240との間に接着層などのスペース層242を設けている。接着材としては感圧接着材を用いてもよい。カバー層240には孔がない。スペース層242には、反応領域の境界となるスロット244が設けられている。液状試料は、バイオセンサ・ストリップ210’の一端あるスロット244の一端に形成された開口部246を介してバイオセンサ・ストリップ210’に入り込む。液状試料は、この開口部246から導入され、毛細管力の作用により、反応領域に到達してこの領域に広がる。試料流路の境界は、バイオセンサ・ストリップの近位端に設けられた試料適用領域(Sample Application Zone)と、バイオセンサ・ストリップの遠位端もしくはその近傍に形成された排気口と、ウィッキング作用により充填されるバイオセンサ・ストリップのメッシュ層の端部、もしくは毛細管引力により充填されるバイオセンサ・ストリップの接着層の端部によって設定される。
【0041】
図7および図8に記載されるバイオセンサ・ストリップの構成要素211〜246の詳細については、米国特許第6863800号に記載される。なおこの文献に記載されるすべての内容をここに取り込むこととする。また、米国特許第6863800号に記載される構成要素の代用物は当業者には既知である。
【0042】
図7および図8の実施形態では、カバー232および240のそれぞれには、互いの間に所定間隔を置いた連続する開口部250をカバーの全幅に渡って設けている。なお、開口部250は、少なくとも1つの開口部が試料流路と重なる位置に設ける必要がある。開口部250同士の間隔を慎重に設定するならば、カバー232とカバー240に、流路と重なる開口部を2つ以上も受けることもできる。
【0043】
カバーに開口部250を設ける方法は、回転ツール、回転ピンあるいはレーザなど多数あるが、これのみに限定されない。回転ツールによる方法は、標準(非加熱)のニードルあるいは加熱ニードルなどを用いることで実施可能である。加熱ニードルの長所としては、カバー形成用の材料を実際に溶かすため、平滑なプロファイルを有する開口部が形成される点である。このような開口部は、他の機械的な方法で形成した開口部よりも閉塞する可能性が低い。標準のニードルツールは、加工によるクズ材料を取り除いたり再成形することなくカバーに貫通孔を設ける。このため、標準のニードルツールを用いた場合、バイオセンサ・ストリップの残りの構成要素にカバーを着装する際に必要な圧力を加えたとき、再び閉塞するような孔を形成する恐れがある。
【0044】
反復ピンツールは彫刻機(engraver)の変種である。この他の往復ピンツールとしては、斜板により駆動するピンホルダーがある。彫刻機の長所としては、ストロークを容易に変更できる点である。斜板を取り付けた場合の長所は、斜板により開口部の間隔が変更可能となる。なお、回転ツールと往復ピンツールのいずれも、クズ材料を除去したり再形成を行わない標準の回転ニードルツールを用いて形成した開口部と変わらない外観を呈する、良好な開口部をカバーに設けることができた。
【0045】
カバーに開口部を形成する効果的な方法としては、テープに開口部を形成して、このテープからセグメントを切断してカバーを形成し、さらに、テープの各開口部が完成したバイオセンサ・ストリップの流路と適切に重なるように配置する処理を行う方法がある。しかし、このような処理では生産速度が低下する。開口部を特定の間隔をもってテープに形成することにより、試料流路の幅がいかに狭くなろうとも、各流路の上方のカバーに少なくとも1つの開口部が存在するようにする。なお、開口部同士の間隔は0.5mmまで狭めることができる。このような間隔で開口部を設ければ、位置合わせに要する時間を省略できる。
【0046】
まずテープに開口部を設けて、テープのセグメントによりカバーを形成する方法は、機械的に行うことができるが、以下のような短所もある:
(1)往復ピンの場合、ピンの往復速度が速すぎて、ピン動作の信頼性を確保できない。
(2)往復ピンは消耗が激しい。
(3)往復ピンによってクズ材料がテープから除去されず、クズ材料が単に移動するだけであるため、開口部が再閉塞する恐れがある。
(4)回転ツールのスパイクローラは消耗が激しい。
(5)同じく、スパイクによってクズ材料がテープから除去されないため、開口部が再閉塞する恐れがある。
(6)スパイクは細いため消耗が激しい。
(7)開口部同士の間隔を(例えば、約0.5mmまで)狭めた開口部をスパイクにより成形するのは困難である。
【0047】
前記の短所を考慮すると、レーザを用いてテープに小さい開口部を形成し、この後にバイオセンサ・ストリップのカバーを形成する方法が好ましい場合が多い。開口部は、円形や破線などの様々な形状であってもよい。レーザを用いた場合には、外観と再現性の観点から良好な開口部が得られる。
【0048】
代表的なレーザとしては、Synrad 社(所在地:アメリカ合衆国、ワシントン州98275 Mukilteo)で商業的に入手可能な「SYNRAD」のレーザ(モデル48-2(S)、25ワットレーザ)、およびUniversal Laser Systems社(所在地:アメリカ合衆国、アリゾナ州スコッツデール)で商業的に入手可能な「UNIVERSAL LASER SYSTEMS」のレーザ(モデルM300、45ワットレーザ)を用いて、本発明に適したバイオセンサ・ストリップのカバーの製造に好適な各種テープに開口部を設けることができる。
【0049】
図9はプロトタイプのレーザ装置300を示したものであり、この装置は、レーザおよび関連の光学機器302、回転シャッターディスク304、ブレーキテープ・オフウィンド・リール(braked tape off-wind reel)306、第1のガイドボビン308、テープローラー310、第2のガイドボビン312、駆動ローラ・セット314および半クラッチを介して駆動されるウィンドリール上のテープから構成される。なお、テープは左側のリールから右側のリールに走行する。通常、テープの走行速度は、レーザと関連の光学機器の下を通過するため、一定になるように維持されている。レーザ光は、回転シャッターディスク304を介して照射されるが、この回転シャッター盤304には、所望の孔あけ動作が行えるように、規則的な間隔で光を遮断するスロットが設けられている。当業者であれば、許容範囲の孔あけを達成するために過度の実験をおこなうことなく、テープ速度、シャッター速度、レーザパワーを適宜調節することができる。
【0050】
なお、「SYNRAD」のレーザは、コンピュータDAQカードによってレーザ光をパルス化できるため、回転シャッター盤を必要としない。また、「UNIVERSAL LASER SYSTEMS」のレーザは、レーザ光がパルス化されないため、回転シャッター盤が必要になる。
【0051】
レーザを用いたテープの孔あけに関する代表的な設定は以下の通りである。
【0052】
【表I】
【0053】
下記仕様の開口部を設ける場合にも、前記の設定を用いてもよい。
【0054】
開口部の寸法(近似直径):0.15 mm
開口部同士の間隔:0.5 mm
【0055】
究極的に言って、開口部の寸法は、レーザ光がレンズを透過した後に集束する点、つまり焦点におけるレーザ光の寸法に左右される。テープが焦点から離れるにつれて、レーザ光は広くなって、最終的にはテープを焼き貫く能力を失う。テープを焦点から遠ざけると、より大きな開口部が得られるが、もはやテープを焼き貫くことができなくなるような点が存在する。開口部の寸法を大きくする別の方法として、材料を所定の形状に切り抜くためのレーザ光を導くミラーが配列されたガルボヘッドを用いてもよい。ガルボヘッドの欠点は、単一レーザパルスよりも動作が遅い点である。別の欠点としては、テープから固形クズを除去できない点がある。レーザパルスはクズ材を蒸発させ、抽出システムなどを用いて抽出する。ガルボヘッドは固形物を除去しないため、固形物がテープに残存したままになり、もしくは付着するため、この固形物が残存したままで後続の処理を行うことになる。
【0056】
レーザ光のスポット寸法を小さくすることで、より小さい開口部を得ることができる。焦点をレンズから離すことで、より正確な角度でアプローチができる。このように焦点を移動させることでより小さい開口部が得られる。「SYNRAD」のレーザによる開口部の代表的な寸法は、25ワットレーザを70%のパワーレベルで1.5インチ長のレンズを用いた場合では0.15mmである。テープや他の樹脂材に開口部を形成するためのレーザの好適な設定については、当業者であれば過度の実験を行うことなく決定することができる。
【0057】
(a)レーザに用いられるパワーのレベルと(b)レーザの負荷サイクルによって、様々な特徴が決定される。例えば、テープに形成した開口部の寸法は、レーザのパワーが低下するにつれて小さくなるが、この他についてはすべて一定に維持される。また、テープに形成した開口部の寸法は、負荷サイクルが低下するにつれて小さくなるが、この他についてはすべて一定に維持される。この他の特徴については、(a)レーザのパワーレベル、(b)テープに開口部を形成する処理でのテープ速度、あるいは(c)レーザの負荷サイクルの変化によって大きく影響を受けることはない。例えば、開口部同士の間隔は、パワーレベルが非常に低い場合を除いて、大きく影響を受けることはない。さらに、例えば、開口部同士の間隔は、テープに開口部を形成する処理でのテープ速度の変化によってもそれほど影響を受けない。
【0058】
バイオセンサ・ストリップのカバーとして用いられるセグメントであるテープに、所定の間隔を置いて連続した開口部を全長に渡って設けることもできる。開口部の代表的な直径は約0.15mmであり、開口部同士の代表的な間隔は約0.5mmである。テープの長手方向の縁部に対する各開口部の位置は重要であるが、テープの長さ方向での各開口部の位置は重要ではない。なお、テープに開口部を形成するときの処理方向は、テープの長さ方向である。そして、テープを複数の未完成バイオセンサ・ストリップからなる列に着装する場合は、液体の試料が流路を流れる方向に対して垂直の方向にテープの全長をラミネートする。完全なバイオセンサ・ストリップが個別に分離されると、開口部を設けたテープには少なくとも1つの排気口、好ましくは複数の排気口が各流路に設けられることになる。
【0059】
代替の実施形態では、流路の遠位端側の一部分を外界に開かれた状態にすることで、細幅のテープを用いたカバーに排気口を設けることもできる。つまり、テープのカバーの長さは流路よりも短くなることになる。このような実施形態で実際に問題となるのは、テープの着装を正確に行えなくなる点である。テープの遠位端の配置にあたっては、±0.2mmの精度で配置できるようにする必要がある。電極構成を変更することで、このようなテープの遠位端の配置に関する問題を緩和することができる。
【0060】
さらに、別の実施形態では、バイオセンサ・ストリップの支持部を形成する列側に孔をあけてもよいが、この場合、列の全長に渡って所定の間隔を置いて連続した開口部を設ける。テープの場合には、開口部の代表的な直径は0.15mmである。また、代表的な間隔は約0.5mmである。列の長手方向の縁部に対する各開口部の位置は重要であるが、列の長さ方向での各開口部の位置は重要ではない。なお、列に開口部を形成するときの処理方向は、列の長さ方向である。開口部は、列の電極支持部の流路と重なるように配置される。列を構成する未完成のバイオセンサ・ストリップの上にテープを配置するのだが、このテープのセグメントを用いて個々のバイオセンサ・ストリップのカバーを形成する。この場合には、テープに孔あけをする必要はない。電極支持部に開口部を形成した完全なバイオセンサ・ストリップを個別に分離すると、これらの開口部によって、各流路に少なくとも1つ、好ましくは複数の排気口を設けたことになる。前記の通りに、回転ツール、往復ピンあるいはレーザなどを用いてテープに開口部を設ける方法で、列に開口部を、あるいは列がカードの一部である場合にはカードに開口部を設けることができる。電極支持部に排気口を有する、個々のバイオセンサ・ストリップの他の構成要素、例えば、メッシュ層、絶縁層、電極配置などについては、カバーに排気口を有するバイオセンサ・ストリップの場合と同じである。
【0061】
低プロファイルで好適な流路を有するバイオセンサ・ストリップにカバーを設け、さらに、最小限の変更を加えて現行のパッケージ装置で生産できるようにするには、ホットメルト接着剤などの接着材を備えた裏張りを、少なくとも一方の表面の大部分に有したテープを用いることができる。また、ラミネータなどの様々なカバー着装装置を用いることができる。ここでは2種類の装置について説明する。
【0062】
図10を参照して、プロトタイプのホットウィング・ラミネータ(hot wing laminator)400を用いて、ドーム形成が最小化された低プロファイルのバイオセンサ・ストリップを製造することができる。ホットウィング・ラミネータ400は、温度調節装置(図示せず)、加熱形状ブロック(shaped heated block)402、テープを下方に送り出すテープリール404、列貯蔵室(row magazine)406、列貯蔵室406から列を送り出すフィードローラ408、列にテープをラミネートする作業台まで列を搬送するためのローラ・セット410、テープを列に接合させるためのラミネートローラ・セット412、ラミネートローラの位置決めスイッチ(図示せず)、圧力調節装置(図示せず)、テープ切断アッセンブリ414、ホットウィング・ラミネータ400から送出される完全なバイオセンサ・ストリップの列を送り出すための送出しローラ416、およびコントロールパネル(図示せず)から構成される。ホットウィング・ラミネータ400では、テープはラミネートされる前に加熱され、未完成のバイオセンサ・ストリップの列の上に着装される。なお、この処理は連続的に行うように設計されている。加熱形状ブロック402上で停止していたテープについては廃棄されるため、未完成のバイオセンサ・ストリップにはラミネートされない。テープが未完成のバイオセンサ・ストリップの列と接触したときに、その熱が放散して、未完成のバイオセンサ・ストリップと完成したバイオセンサ・ストリップの列に伝わる熱が最小限になってしまう。
【0063】
ホットウィング・ラミネータ400は、裏張りに接着層を有した孔あきテープを、列変換する前の未完成バイオセンサ・ストリップを含んだ列にラミネートすることができる。ホットウィング・ラミネータ400の列貯蔵室406および送出しローラ408は、ニップローラ・セット410よりも下手にある列のスタックから未完成のバイオセンサ・ストリップの列を送り出す。さらに、このニップローラ・セット410は、ホットウィング・ラミネータ400のラミネートローラ・セット412を介してこれらの列を送り出すため、ラミネート作業の始点となるものである。未完成のバイオセンサ・ストリップの列にテープをラミネートした後に、切断アッセンブリ414によって列を分離し、これを送出しローラ416で送り出す。カバー形成用のテープによって複数の列が接合された状態にあるため、切断アッセンブリ414により切断する必要がある。本発明に適した(つまり、テープを用いた用途と、非圧縮要素が結合したテープを用いた用途に適した)切断アッセンブリおよびこれを用いる方法は、当業者にとっては既知である。切断アッセンブリの1種類としては、プロトタイプとして用いられるものに、連続する列同士のギャップを所定センサにより感知し、空気圧で動作するブレードキャリアのカッター刃を用いてテープを切断するものがある。交換可能な犠牲ブロックを用いてカッターの刃の寿命を延ばすことで、良好な切断を確保できる。プロトタイプの装置の場合、列を切断する作業においては、後続の工程に入る前に列のトリミングが必要になる。この工程は、より精密な装置を用いることで省略することも可能である。このような装置は、2枚のカッター刃、上下のストリッパーからなる。連続する列同士のギャップをカッターの刃に揃える。カッターの刃と上ストリッパーを列の上まで(複数の列からなるカードを用いる場合には複数の列の上まで)降下させる。カッターの刃は列の末端より若干内側に向くようにする。カッター刃および上ストリッパーにより圧力を下向きに付加する。下ストリッパーは上方向に移動し、上ストリッパーに対してテープをかしめ付ける。下ストリッパーで加えた力は上ストリッパーの力よりも大きくなるように構成されているため、かしめ付けたテープが上方向に移動する。カッターの刃は静止した状態でテープを切断する。上ストリッパーを戻すと、カッターの刃の間からの吸引によってテープの切り屑を除去する。そして、カッターの刃と下ストリッパーを戻すと、2つの列が分離した状態になる。
【0064】
加熱形状ブロック402は、テープの裏張りのホットメルト接着材を活性化させるものである。テープを最小限の張力で加熱形状ブロック402上に伸ばし、加熱形状ブロック402は、テープの移動範囲内で、テープと加熱形状ブロック402との良好な接触を確保する。加熱形状ブロック402はその形状からウィングと呼ばれる。
【0065】
ホットウィング・ラミネータ400は、未完成のバイオセンサ・ストリップの列とテープを12m/分の速度で処理することができる。なお、この方法の他のパラメータを適切に調整するために、この速度は速くなっても遅くなってもよい。ホットウィング・ラミネータ400は、130度までテープを加熱するように設定可能である。あまり好ましくはないが、温度をさらに高温にしてもよい。以下は、この方法を効果的に実施するための典型的な設定である。
ウィングの温度:120℃から130 ℃
ラミネート速度:12 m/分
【0066】
前記の設定に加えて、ホットウィング・ラミネータ300は、6−8バーの給気および240ボルトのAC給電にて稼働させることができる。給気は、空気圧駆動の切断装置を稼動させるためのものである。なお、ホットホィール・ラミネータに作業台を搭載するようにしてもよい。
【0067】
以下に、本発明のバイオセンサ・ストリップの製造で用いるホットウィング・ラミネータの操作手順を詳しく説明する。操作手順は、工学研究所などで設計される装置に関するものである。商業生産を目的に装置を大規模化することを想定している。大規模化の場合では、テープを列に着装するとともに、カードにも着装できるような装置が想定される。温度調節装置(図示せず)は、ウィングの温度が目標温度の1度以内にある場合のみ作業サイクルを実施するようになっている。ガードドア(図示せず)が開いているとき、あるいは非常停止(図示せず)が作動しているときには、ヒータ(図示せず)の電源が切れるため、ヒータの温度が下がり始める。非常停止(図示せず)を解除してガードドアを閉めて、リセットボタン(図示せず)をオンにした場合のみ電源が入る。ガードドア(図示せず)を開く時間が最小限になると、ホットウィング・ラミネータ400の稼動の準備が整う。コントロールパネル(図示せず)は、以下の説明において呼称されるようなボタンを備える。未完成のバイオセンサ・ストリップの列にカバーをラミネートする工程は以下の通りである。
【0068】
1.すべてのガード(図示せず)が閉じられていることを確認する。
2.装置の裏側にある分離スイッチ(isolation switch)(図示せず)で給気をオンにする。
3.壁(図示せず)にあるプラグのスイッチで給電をオンにする。
4.緊急停止(図示せず)が解除されていることを確認する。
5.青色のリセットボタン(図示せず)が点滅していること。
6.青色のリセットボタン(図示せず)を押す。
7.コントロールパネル(図示せず)の一番右にあるヒータのスイッチをオンにする。ヒータがオンになるとスイッチ(図示せず)が点灯する。
8.ホットウィング402が所定の温度に達するまで待機する。
9.ラミネートする列がすべて同じ方向に向いており、ウィンディミラー(図示せず)から列がはみ出していないことを確認する。
10.所望の列数をラミネートできるだけの十分なテープがあることを確認する。
11.ホットウィング402が所定の温度に達すると、ガード(図示せず)を開き、オフ−ウィンド・スプール(off-wind spool)404上にテープを搭載する。
12.スプールの中心に蝶ネジ(図示せず)を戻す。
13.摩擦板(図示せず)と空芯(図示せず)を戻す。
14.リール上に搭載するテープに孔があけられていることを確認する。
15.テープの接着側を上向きに、孔あきの後ろ側が装置に対向するようにテープリールを装填する。
16.蝶ネジ(図示せず)と摩擦板(図示せず)を設置して、ぐら付かない程度にリールに遊びがあることを確認する。
17.ローラ418の下とホットウィング402の第1のガイド(図示せず)の上にテープを装着する。このとき、ホットウィング402には接触しないようにする。
18.ホットウィング402の長さに沿ってテープを引き下ろし、装置の作業台(図示せず)のスロット(図示せず)を介して装着する。
19.装置の作業台(図示せず)の下方までテープをぶら下がった状態にして、ローラのレベルの下まで目視できることを確認する。
20.テープを装填すると、列貯蔵室406に、カバーをラミネートする未完成のバイオセンサ・ストリップを装填する。試料流路が上向きになり、後ろ側が装置に対向するように、列の向きを決める。
21.列貯蔵室406の重石(図示せず)を引き上げ、重石の下に列を送る。列が列貯蔵室406の送り出し口の先端部に押し当てられたことを確認して、重石(図示せず)を下げて列の上に載せる。
22.ラミネートローラの位置決めスィッチ(図示せず)が下がっていることを確認する。
23.ガード(図示せず)を閉めて、緊急停止(図示せず)が作動していないことを確認してから、リセットボタン(図示せず)を押す。
24.目標温度の1度以内に温度が達し、列が装填されて、給気がオンになると、列をラミネートする準備が整ったことを示す緑の開始ボタン(図示せず)が点灯する。
25.緑の開始ボタン(図示せず)を押す。モーター(図示せず)が、列の送り出しから送り込みの順序でスタートする。
26.第1の列が装置に供給されて、ラミネートローラ・セット412の手前にある装置の作業台のスロット(図示せず)を通過する際にテープが取り出される。テープがホットウィング402上に繰り出され、列に向かって降下する。
27.作業台(図示せず)の先端で、切断装置414によって列が個別に分離される。
28.列が、送りローラ416で装置の後側より送り出され、手作業で照合され、個別に分離する作業ができるように整えられる。作業の開始から最初の3列は、ホットウィング402上で停止していたテープから製造されるため、廃棄される。
29.列が尽きると、最後の列が作業台(図示せず)の端部で停止して、装置側からぶら下がった状態になる。そして、モータ(図示せず)が停止する。
30.コントロールパネル(図示せず)のボタン(図示せず)を押して、この列を取り出して装置から取り外す。
31.ガード(図示せず)を開いて、切断装置414に送られたテープを取り外す。テープの取り外しは、テープをウィング402から引きちぎるのが最良であり、これにより、作業台(図示せず)のテープを装置の動作とは反対方向に引っ張ることができる。この作業を行うことで、ホットメルト接着材が装置の作業台とローラに移る量を最小限にとどめることができる。
32.作業台(図示せず)とローラを清掃し、付着した接着材を除去する。
33.更に列を処理するには、工程9からの手順に従って装置を設定する必要がある。
【0069】
テープの複数のリールを操作して完全なバイオセンサ・ストリップを製造できるように装置を変更することで、個々の列の代わりに、複数の列を有するカードを処理できるように、前記の方法を大規模化することもできる。
【0070】
米国特許第6863800号に実質的に記載されるような構成要素を備えた未完成のバイオセンサ・ストリップの試料であれば、ホットウィング・ラミネータ400により処理可能である。前記の通り、ホットウィング・ラミネータ400は、列内のバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素にゴムローラを用いてテープをラミネートする工程に先立って、カバーを形成するセグメントになる孔開きテープを加熱する。テープからの熱が列に放散しないようにするために、テープを列にラミネートする開始点ではテープを加熱しない。
【0071】
ホットウィング・ラミネータを用いた場合には、以下のような長所と短所がある。ホットウィング・ラミネータは、各種の絶縁材、例えば、「SERICOL」の絶縁インク(英国Sericol社製)や「KROMEX」の絶縁インク(英国Kromex社製)とともに稼動させることができる。テープのホットスポットに対する露出は、ラミネータとの露出に一致する。したがって、ホットウィングは好適な熱伝導体である。なお、スリップリング(Slip Ring)は不要である。ラミネートを行う箇所では、ホットウィングから未完成のバイオセンサ・ストリップに熱は伝導しない。ホットウィング・ラミネータはテープ装填と清掃が簡便である。ホットウィング・ラミネートは、高速処理と見なされる12m/分の速度でテープ処理が可能である。しかし、この速度は、逆に、テープ切断と列の供給に悪影響を及ぼす。ホットウィング・ラミネータは、材料の供給許容に合わせた調整が容易ではない。テープをホットウィングに沿って移動させる必要があるため、ホットウィングの表面は摩耗しやすくなる。
【0072】
ここで述べるテープの製造に用いることができる、この他のラミネータとしては、ホットホィール・ラミネータがある。ホットホィール・ラミネータ500を用いて、バイオセンサ・ストリップのカバーを形成するセグメントとなるテープを、列の状態でプリントされた未完成のバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素にラミネートすることができる。図11および図12を参照しつつ、ホットホィール・ラミネータ500は、テープ送り出しロール502、ローラを備えるガイドシステム504、ホットホィール506、非圧縮要素用のディスペンサー508、ディスペンサー508からホット・ホィール506に送り出される非圧縮要素を導くためのガイド510から構成される。テープ送り出しロール502から送り出されたテープは、ホットホィール506の表面にテープを押し付けるためのガイドシステム504を通過する。テープは、このローラ504を通ってホットホィール506に巻き取られる。ホットホィール506は、代表的には、6m/分の速さで駆動し、カートリッジヒータと制御回路によって一定の温度に保たれる。ホットホィールの適温は180度である。この方法の他のパラメータを適切に調整するために、この速度は速くなっても遅くなってもよい。ホットホィール506はシリコーンゴム製の表面を有しており、これによりホットホィールを、ラミネートする位置で列に一致させることができる。ホットホィール506を定格24ボルトのDCモータで駆動してもよい。モータに供給される電圧は、所望の速度を達成できるように設定する。未完成のバイオセンサ・ストリップ512の列を、ラミネート作業の後に、別途手動で装置へ送り込んでもよい。ホットホィール506上で停止していたテープは廃棄して、完成したバイオセンサ・ストリップとして用いなくてもよい。図11および図12にはディスペンサー508が示されており、テープがホットホィール506上にあるときにテープの接着層の上に非圧縮要素を送り出すためのものである。テープがホットホィール506に巻き取られる際は、テープの接着側がホットホィール506に対して外側に向く。次に、図11および図12に示した、スレッドなどの非圧縮要素を軟化した接着層に配置する。さらに、ホットホィール506により、非圧縮要素を含んだテープを未完成のバイオセンサ・ストリップ512の列にラミネートする。プロトタイプの装置では、カバー形成用のテープに複数の列が接合されているため、切断アッセンブリ(図示せず)でこれらの列を個々に分離する。本発明の用途(つまり、テープを用いた用途と、非圧縮要素が結合したテープを用いた用途に適した)に適した切断アッセンブリと、これを用いる方法については、当業者であれば既知である。なお、この切断アッセンブリについては、ホットウィング・ラミネータの説明で記載した通りである。切断された完成のバイオセンサ・ストリップの列は、符号514によって図示される。
【0073】
ホットホィール・ラミネータへ送り込む列を準備するために、電極構成、試薬、この他の所定の構成要素が、ポリエステル製シートのウェブ上にプリントされている。このウェブは、代表的には、未完成のバイオセンサ・ストリップの6列のパターンがプリントされる。ウェブのプリント処理の最終工程では、このウェブをカード(幅255mm、長さ304mm)に切断し、各カードには、50個の未完成のバイオセンサ・ストリップを含んだ列が6列含まれる。次に、メッシュ層と絶縁層をカード上の未完成バイオセンサ・ストリップに配置する。なお、プロトタイプでの作業では、各カードを6列に切断する。各列の寸法は、長さ304mm×幅40mmである。各列には未完成バイオセンサ・ストリップが50個含まれる。商業生産では、未完成のバイオセンサ・ストリップにテープをラミネートする前に、カードを列の状態に切断する必要はない。プロトタイプの作業では列のほうが扱いやすいが、商業ベースでは、カードを列に変換する前に、バイオセンサ・ストリップのカバー形成用のテープをカードに着装する。商業生産でカードを用いる場合、テープに非圧縮要素を送り出すディスペンサーと切断アッセンブリを追加して、生産の規模を拡大することができる。ここで、プロトタイプの説明に戻ると、テープと非圧縮性要素を列に着装する場合は同時に連続した方法で行なう。次に、完成したバイオセンサ・ストリップを含んでいる列を、長さ304mm、幅34.5mmの寸法の列に変換する。試料流路の遠位端に隣接する縁から約5.5mm分だけ材料を取り除く。最後に、変換された列にカッター刃のセットをあてがって、バイオセンサ・ストリップを個別に分離する処理を行う。
【0074】
ホットホィール・ラミネータは、列の位置決めとテープ送りの精度を向上させることで、
テープの位置決めの精度を向上させる。列状のバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素にテープをラミネートする工程に先立って、基準端まで列を押し当てる。この作業は、列の表面の一部が固定ガイドに接触するようにして、列の幅の変動を補償するスプリングローラにより行われる。さらに、大規模生産においては、幅の許容が±0.2mmである列またはカードの場合、ガイドの固定は、幅が最も広い列に合わせて設定する必要がある。ここで、列(あるいはカード)の所定箇所に完全な正確性をもってラインを描くことができると想定して、下限寸法の列(あるいはカード)を装置に送り込んだときに、このラインの位置は、0.4mmの幅の帯域のどこかに位置することになる。列(あるいはカード)の一方の縁部を基準端として、対応する固定ガイドにあてがう。反対側の縁部に幅変動を補償するスプリングローラがある限り、このラインは常に同じ位置に描かれることになる。
【0075】
テープをこの基準端まで導いて、ホットホィール506上に送り出す。ホットホィール・ラミネート法は、処理中の材料の変動を補償することで処理の許容性を向上させる。ホットホィール506は、テープに熱を伝えて、テープの裏張りのホットメルト接着材を溶融する。ホットホィール506は、テープが未完成のバイオセンサ・ストリップの列にラミネートされるまで、テープと接触した状態が保たれる。ホットホィール・ラミネータ500を用いた方法は、ホットウィング・ラミネータ400を用いた方法とは異なって、ラミネートする位置に熱が加えられる。なお、ホットホィール方法は、ホットウィング方法と同様に、連続して行われる。
【0076】
ホットホィール・ラミネータには、多数の長所といくつかの短所がある。ホットホィール・ラミネータは、ホットウィング・ラミネータよりも低速で稼動させる。テープの切断が低速運転のほうが容易に行えるためである。ホットホィール・ラミネータは、「KROMEX」の絶縁層や「SERICOL」の青色絶縁層などの各種絶縁層とともに稼動させることができる。ホットホィール506はテープとともに回転し、これによりテープの擦り傷や汚れを防止できる。列を直接加熱すると、ラミネート処理が済んでもテープの温度が下がらないため、接着強度を向上させることができる。しかし、列やカードを直接加熱すると、酵素が若干変性する可能性がある。加えて、ホィールはシリコーンゴムなどのゴムでコーティングする必要があるが、ゴムは熱伝導に乏しい。ホットホィールの温度設定は、ホットウィング・ラミネータよりも50℃高い。ホィールのホットスポットは、加熱要素同士の間隔をおくことで発生するのだが、これにより、テープの特定箇所だけが高温にさらされることになる。反対に、ホットウィング・ラミネータの場合、ウィング上のホットスポットは、同じく加熱要素同士の間隔をおくことで発生するのだが、テープのすべてのセクションが高温にさらされることになる。なお、ホィールの場合はテープの装填が難しいかもしれない。さらに、ヒータと熱電対にはスプリットリングが必要になる。
【0077】
前記の方法は、裏張りにホットメルト接着層を有するテープをラミネートする方法に関するとともに、感圧接着材を有する裏張りのテープでバイオセンサ・ストリップのカバーを形成する場合も本発明の範囲である。この場合、ホットホィール・ラミネータおよびホットウィング・ラミネータは感圧接着層を有するテープには用いない。代わりに、圧送ローラを備えたラミネータを用いて感圧接着層の裏張りを有するテープを未完成のバイオセンサ・ストリップにラミネートすることができる。未完成のバイオセンサ・ストリップにテープをラミネートした後に続く工程は、実質的に、未完成のバイオセンサ・ストリップにホットメルト接着材を有するテープをラミネートした後に続く工程と同じである。
【0078】
以下の非限定的な事例は、本発明の各種特徴について示すものである。なお、以下の事例では、電極構成の特定の電極とその位置は、特定のものに限ったものではなく、これらの電極に塗布される試薬も特定のものではない。本発明の説明の便宜上、このような詳細は、特に関連するものではない。したがって、電極構成における所定の電極配置や試薬の選択については、当業者にとっては、過度の実験を行うことなく、既知のものである。
【0079】
[実施例1]
本実施例は、切断後のコロナ処理を必要とせずに良好な接着性を達成するための、カバー層をバイオセンサ・ストリップの残りの層にラミネートするホットウィング装置の設定を示すものである。
【0080】
電極支持部と、電極構成およびメッシュ層からなるカードを、プリントライン上に準備して、ウィンディミラーの列切断装置(windy miller row cutter)にて列に切断する。Sericol社製の2つの絶縁層についてテストを行った。一方はライラック色(「SERICOL」のライトブルー)で、他方は緑色(MediSenseの品番B03010)である。
【0081】
ホットウィング・ラミネータの温度を90℃、モータ速度を10ボルトに設定する。電圧を関数とする正相関が実質的に存在し、18ボルトはテープ速度で約21m/分に相当する。
【0082】
装置に送り込むために、次のような5列のスタックを準備する。ホットウィング上で停止していたテープを廃棄するための廃棄用の2列と、(a)ライラック色の絶縁層と(b)緑色の絶縁層を有する2列、および(a)と(b)の2列をホットウィング・ラミネータから送り出すためのスタック最下にある廃棄用列である。この2列は廃棄用の列とは区別され、バイオセンサ・ストリップのカバー形成用のテープが列の両側と揃うように列を整える。そして、この2列を切断装置で切断し、梱包する。梱包には識別用のマークが付けられる。
【0083】
装置の電圧を10ボルトから20ボルトの間に2ボルト刻みで設定し、ホットウィングの温度を90℃から130℃の間に10℃刻みで設定し、ライラック色の試料と緑色の試料を製造し、各設定において切断機で個別に分離した。なお、テストを次のような2部構成で行った。第1部では、切断後のテープのバイオセンサ・ストリップとの接着状況を目視で確認した。もしテープがバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素から剥がれていれば、カバーとメッシュ層のマトリックスと絶縁層との間に光斑が見える。テープが残りの構成要素に接着していれば、接着材の境界面が暗く湿ったように見える。第2部では手動によるテストを行い、バイオセンサ・ストリップの各端部を把持して、一方を右回りに、他方を左回りに、両者あわせて90°ねじって、接着材に応力を加えるテストをおこなった。さらに、バイオセンサ・ストリップの他方の端部を左回りに、一方の端部を右回りに、両者合わせて90°ねじって、接着材に応力をさらに加えた。
【0084】
温度が90℃のレベルでは、この90°/90°ねじりテストによってすべての試料に剥がれが生じた。100℃のレベルでは、緑色の試料のいずれも90°/90°ねじりテストに合格しなかった。そして、切断装置で個別に分離する際にストリップにストレスが加わって、カバーが残りの層から剥がれた。厳密ではないが、同様の効果が、ライラック色のストリップの90°/90°ねじりテストでもあった。110℃のレベルでは、どの緑色の試料も90°/90°ねじりテストに合格しなかった。ライラック色のストリップは、90°/90°ねじりテストにおいては、バイオセンサ・ストリップの残りの層との接着状況が緑色よりも良好な接着性を示したが、剥がれたものもいくつかあった。120℃のレベルでは、緑色の試料は90°/90°ねじりテストにおいて、いくぶん向上を示した。ライラック色のストリップは、90°/90°ねじりテストにおいて、低速から中速(例えば、14ボルト)では剥がれたものがいくつかあったが、高速(例えば、16−20ボルト)では剥がれたものはなかった。130℃のレベルでは、緑色のストリップは、90°/90°ねじりテストにおいてすべてが剥がれたが、高速では剥がれた数が少なかった。ライラック色のストリップは、すべての温度レベルで良好な接着性を示し、90°/90°ねじりテストにおいて剥がれを生じたものはなかった。この90°/90°ねじりテストの結果から、切断装置による分離工程後であっても接着性が維持され、さらにねじりを許容できることを示すものである。前記のテストに基づいて、ホットウィング・ラミネータの最適な設定は、温度が120℃から130℃、テープ速度がボルト換算で16−20ボルトであると判定した。
【0085】
[実施例2]
本実施例の目的は、ホットウィング・ラミネータを用いたラミネート処理において、ホットメルト接着材を界面活性剤が塗布されたメッシュ(FC170の界面活性剤、PE130のメッシュ)状の網目に変位させた場合の、平均最小値および平均最大値を確立することである。
【0086】
テープが良好に接着している列からこのテープを剥がすと、絶縁層に接着していた接着材が絶縁層に残った状態で裏張りから分離する。そして、試料流路上に付着した接着材の領域、つまり、絶縁層に接しないメッシュ領域が、取り剥がされた裏張りに残って、この裏張りに残った接着材がメッシュ跡として見ることができる。裏張りに残った接着材の跡は、接着材がメッシュ状に変位したことを示している。
【0087】
なお、試料はホットウィング・ラミネータで処理した。絶縁層は「KROMEX」の絶縁層を用いた。ラミネート処理前に、テープをホットウィング・ラミネータのホットウィング上でゴムローラを用いて加熱した。列に熱が素早く広がるように、ラミネートの箇所ではテープを加熱しなかった。装置の設定については、ウィング温度は130℃、テープ速度は12m/分であった。
【0088】
テープをバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素にラミネートして作成した試料は、1日そのままの状態にしておいた。そして、手でテープをバイオセンサ・ストリップから剥がし、その一部を切り取って、表面形状測定装置の「PROSCAN」で走査して、走査型電子顕微鏡(SEM)で検査を行った。
【0089】
透明の試料(つまり、本実施例で用いる接着材が透明の場合)を走査する場合、不透明や着色の表面では反射する光が反射しない。このような問題に対処するには、検査を行う前に、金などの色のある材料を、試料のホットメル接着材のメッシュ跡上に撒布する必要がある。色つきの表面のほうが透明接着材の表面よりも表面形状測定装置による読取が良好に行えるようになる。
【0090】
「PROSCAN」の表面形状測定装置に搭載される「PROSCAN」のソフトウェアを用いて、走査した画像を評価した。選択した表面の断面には、メッシュを縦方向に走査した所定のストランドから、メッシュ状のストランド痕が6つ確認された。ソフトウェアの区分化ツールには、網目の頂点と谷が記録されていた。谷で最も低い地点を、谷の左側にある頂点の高さから引いて、さらに、谷の右側にある頂点の高さから引いた。こうして得られた12の結果を平均して、溶融した接着材がメッシュへ落込んだ量を求めた。下表は、このようにして判定した結果を示したものである。なお、この表での単位はマイクロメートルである。
【0091】
【表II】
【0092】
溶融した接着材がメッシュに浸潤した平均量は、約41マイクロメートルであった。写真(図示せず)と表面形状測定装置(図示せず)から網目が鮮明に読み取れた。
【0093】
[実施例3]
本実施例の目的は、ホットウィング・ラミネータによって張力が増大する原因を特定するためのものである。カバー形成用のテープの張力が増大すると、バイオセンサ・ストリップを形成する列同士が弓なりになってしまう。また、張力が増大すると、列を駆動するシステムも良好に動作しなくなり、正確なテープの位置決めがぶれて、カバーを形成するテープが伸びてしまう。
【0094】
プロトタイプのレーザ装置により、テープに開口部を形成した。テープはレーザの下を通過するため、テープ速度を一定に保った。テープ処理を行う構成要素をUniversal Laser Systems社製のプロファイル切断レーザの下に配置して、所望の孔あけ処理が行えるように等間隔でレーザ光を遮るスロットを有した回転シャッター盤304を介してレーザ光を照射した。
【0095】
まず、不都合な影響を受けないように、準備した初期テープをホットウィング・ラミネータにて列にラミネートした。この方法の大規模化を想定して、幅20.5mm、長さ325mのテープを用いた。接着層がロール芯から外側に向くようにテープを装填した。なお、接着層はあらかじめロール芯に対して内側に向かっていた。
【0096】
バイオセンサ・ストリップのカバーとして製造された孔あきのテープの第1巻き目で作った列は過度な弓なり状態になった。列が弓なりになった場合は、ラミネート処理でのテープ張力が高いことを示している。弓なりになった列は、後続の処理や手作業には適さない。また、商業生産においても、カードが弓なりになると後続の処理や手作業には適さない。このように張力が高くなる原因を以下の通りに特定した。
【0097】
(1)抵プロファイルのバイオセンサ・ストリップの製造を大規模化する場合、テープのロール径が大きくなって、孔あきテープの1巻きあたりで収容できる列数が多くなる。そこで、テープのロール芯に圧力を加えて摩擦を発生させることで、張力を制御することができる。しかし、テープを送り出してロール径が小さくなるにつれて、ロールの中心回りの「てこ」の作用が小さくなるために張力が増大してしまう。ラミネート処理で最良の結果を得るには、テープにかかる張力を最小限にすることで達成できる。
(2)ウィングへのテープの装填を誤った場合、つまり、接着側がウィングの表面に接触した場合に、ウィングと裏張りの間の接着材が原因となって、ウィングの表面でテープがひきずられて張力が増大する。
(3)テープのホットウィングに接する側に接着材が付着すると、この接着材が軟化して、ウィングに接着材が接着した場合と同じように作業が拘束されてしまう。さらに、レーザによる孔あけ処理中に、接着材がテープの裏張り側に堆積する可能性がある。
【0098】
以下のテストを行って、テープの張力が増大する原因として考えられる可能性を判定した。ウィングはテスト毎に清掃した。
【0099】
<テスト1(ロール径)>
孔無しテープの2ロールをホットウィング・ラミネータで処理した。一方は大きいロール径で、他方は小さいロール径で行った。両製品それぞれの1回分の工程については、特に違いは見受けられなかった。したがって、ロール径を張力増大の原因から削除した。
【0100】
<テスト2>
一方を孔あきテープのロールに、他方を孔無しテープのロールにして、両者とも同じロール径でホットウィング・ラミネータで順次処理した。孔あきロールにより製造した列は、テープの張力が高くなる症状が見られた。孔無しテープにより製造した列では、弓なりの症状は見られなかった。これは、孔あきテープによる影響を示している。詳細に観察すると、孔あきテープのロールの場合、テープの接着側から孔が開けられていたことに留意した。テープの裏張り側から孔を開けたテープについて、あらかじめテストを行ったが、この場合にはこのような影響は見られなかった。孔をあける方向の違いがロール形状の違いに直接関係していた。接着層はあらかじめロール芯に向かって内向きであった。
【0101】
<テスト3(孔あけ方向)>
孔あきテープのロールを2つとも、レーザ装置を同じ設定にして準備した。一方のロールは、テープの裏張り側から孔をあけた。他方のロールは、テープの接着側から孔をあけた。両者とも同じロール径とした。
【0102】
両ロールとも、ホットウィング・ラミネータで、列の状態になった未完成のバイオセンサ・ストリップにカバーを形成する処理を行った。接着側から孔をあけたテープの場合、完全なバイオセンサ・ストリップの列が出来上がると、弓なりの症状が現れた。一方、裏張り側から孔をあけたテープの場合は、完全なバイオセンサ・ストリップの列が出来上がると、わずかに弓なりの症状が現れたが、接着側から孔をあけたテープで作ったバイオセンサ・ストリップの列よりもはるかに小さい症状であった。
【0103】
テープの接着側から孔を開けた場合、つまり、接着層がレーザとテープの裏張りの間にある場合に、テープがホットウィング・ラミネータに接着する理由は多数考えられる。
(1)Universal Laser System社製のユニット製品を利用したプロトタイプのレーザは、孔あけ領域に合うように設計されていないため、処理中のテープから発生した蒸発物がテープ自体に付着した。
(2)レーザのレンズはクリーンエアを付与する陽圧を備えている。クリーンエアは、テープに開口部を設ける処理中に空気中の不純物がレンズに付着しないようにするためのものである。この陽圧により、蒸発した接着材が開口部を介してテープの裏張り側に付着する可能性がある。したがって、テープの裏張り側から孔をあけた場合(つまり、裏張りがレーザと接着層の間にある場合)、陽圧によって接着材がテープの裏張り側に到達することを防ぐ。
(3)開口部を設ける処理で出たクズ材が開口部付近に堆積するため、リールを交換する度に、開口部を設ける箇所の真下にあるローラを清掃した。さらに、開口部を設ける処理中に発生したクズ材がニップロールに堆積して、テープ速度が一定に保てなくなる。テープの接着側から孔をあけた場合は、上のニップローラによって堆積物が回収される。テープの裏張り側から孔をあけた場合は、下のニップローラによって堆積物が回収されるが、回収率が非常に低い。
【0104】
テープの接着側から孔をあけると、テープがホットウィングに接着してしまう。ホットウィング・ラミネータに用いるテープは、好ましくは、裏張り側から孔をあけたものを用いると、許容範囲内で出来あがった列が得られる。
【0105】
<実施例4>
本実施例の目的は、ホットホィール・ラミネータの工程に関する設定を確立することである。
【0106】
電極支持部、電極配列およびメッシュ層で構成されるカード(ポリエステル)を、プリントライン上に製造して、ウィンディミラーの列切断装置で列に切断した。絶縁材は「SERICOL」のライトブルー(ライラック)(品番LDA 25)および「KROMEX」のブルー(品番MediSense Blue 56847)を用いた。
【0107】
「SERICOL」の絶縁層を有する4つの試料と、「KROMEX」の絶縁層を有する4つの試料について、ホットウィング・ラミネータの温度を10℃刻みで200℃から150℃の間に設定して処理を行ったものを、各温度レベルにおいて切断装置で個別に分離した。
【0108】
ホットホィール・ラミネータの温度を10分間200℃に設定した。この設定時間の後に、上部ローラ506と下部ローラ(図示せず)の間のギャップを隙間ゲージでチェックして、0.6mmになるように調節した。装置に送り込むために、以下の11列のスタックを準備した:
(a)ホットホィール・ラミネータ上で停止していたテープを廃棄するための廃棄用2列と、
(b)「SERICOL」で絶縁された不完全なバイオセンサ・ストリップ4列と、
(c)「KROMEX」で絶縁された不完全なバイオセンサ・ストリップ4列と、
(d)スタックの最下位にあり、試料の列をホットウィング・ラミネータから試料の列を押し出すための廃棄用1列。
試料用の2セットの列を廃棄用列から切り離し、テープが列の両側部に揃うように整えた。次に、試料に識別用のスプリット番号を付与し、手動ジグを用いてプリントライン上で列に変換した。次に、切断装置で試料を個別スプリットに分離した。後続のテストに備えて、試料を個別に梱包した。
【0109】
ホットホィール・ラミネータの温度を190℃に設定して自然に冷却した。ギャップをチェックして0.6mmに調節し、前記の方法で残りの8試料も製造した。前記方法により、180℃、170℃、160℃、および150℃の各温度でテスト用の8つの試料を製造した。
【0110】
3部構成でテストを行った。第1部では、切断後のテープのバイオセンサ・ストリップとの接着状況を目視で確認した。カバーがバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素から剥がれると光斑が見える。テープが残りの構成要素に接着している場合にはテープが暗く見える。
【0111】
第2部のテストでは手動の装置を用いて、ストリップの両端を把持し、互いに反対の方向にねじって、接着材に応力を加えた。ねじりを三回行ってから、ストリップをねじり装置から取り外した。いずれの剥がれも許容範囲ではなかった。剥がれの評価を簡便にするために、赤色の対照溶液(control solution)をバイオセンサ・ストリップに加えた。この対照溶液は、試料流路付近で剥がれた領域に吸い上がった。流路以外で溶液が確認されたことにより、このストリップが許容範囲にないことが分かった。
【0112】
第3部でのテストは、ねじりテストであまり芳しいとは言えない結果について行ったものである。
【0113】
いずれの試料も剥がれは確認されず、切断装置でのテストもすべて良好であった。しかし、試料を手で剥いだときに、接着温度が上昇するにつれ、接着力が増大しているようであった。長時間に渡って熱に晒すと、鋼製およびまたはアルミニウム製のホィールからゴムのコートが剥がれる可能性がある。
【0114】
<実施例5>
本実施例の目的は、ホットホィール・ラミネータを用いた試料の製造方法についての許容範囲を確立することである。なお、このラミネータはプロトタイプであった。
【0115】
本実施例で用いた列は、メッシュ層と絶縁層を配置する工程を含む段階まで仕上げたものである。これらの列を150℃のホットホィールで処理した。試料をラミネータへ送り込み、回収して評価を行った。
【0116】
「Mitutoyo Quick Vision PRO」の解析装置を用いて、試料の距離パラメータを測定した。各列の3地点において、基準端からのテープの位置を測定した。3地点は、バイオセンサ・ストリップ1、バイオセンサ・ストリップ25およびバイオセンサ・ストリップ50の3地点であった。図14は、所定の列内にあるこれらのバイオセンサ・ストリップを示している。なお、セルとは、未完成のバイオセンサ・ストリップに同義である。10列について評価をおこなった。結果を照合し、処理を行って位置の変動を求めた。各列について、最大測定値から最小測定値を引いてその列の位置変動を求めた。さらに、30測定を1セットとして、1セット全体での最大値から1セット全体での最小値を引いて、テープを着装する工程全体の位置変動を求めた。最大値と最小値との差の許容範囲は0.2mmである。ホットホィール・ラミネータは、テープのラミネートを0.15mmの変動範囲内で行うことができるため、0.1mmの許容が達成可能であるとの結論を得た。30測定の結果をまとめたものを表IIIに示す。
【0117】
【表III】
【0118】
<実施例6>
本実施例の目的は、バイオセンサ・ストリップのカバー形成用のテープのレーザ孔あけに関する効果を示すためのものである。すべての試料は以下の装置を用いて作成した:
「IDENT」のテープ切断装置
テープ巻戻し固定具
「SYNRAD」の25ワットレーザ
NI DAQカード搭載コンピュータ
【0119】
すべての測定を「Mitutoyo Quick Vision PRO」の解析装置を用いて行った。装置の設定にあたっては、以下の変数を考慮した:
レーザのパワー
テープ速度
作業信号の周波数
負荷サイクル
レーザ装置からのテープ距離
【0120】
2種類のテープをテストに用いた:
(1)現行のホットメルト接着材を有する緑色のポリエステルテープ
(2)青色の紫外線硬化PSAテープ(アイルランドのAdhesives Research社製)
【0121】
レーザでの孔あけが可能な推測最大厚さ130マイクロメートルを確保するために、青色のテープを用いた。「IDENT」の切断装置でテープを幅15mmに切断したものを巻き戻した。このテープを以下のテストに用いた。
【0122】
テスト1
<青色テープ:テープ速度6m/分でのレーザパワーに応じたUV開口部寸法>
このテストに基づいて、6m/分のテープ速度で開口部を形成するときの最適なレーザパワーを確立した。なお、このテープ速度は、目標のサイクル時間である3秒に相当するために取り上げたものである。テープ速度を6m/分に、レーザ照射を180Hzに設定した。この設定は、開口部同士の間隔が0.55mmになることを想定したものである。レーザのパワーは、スプリット毎に10%ずつ低下させて、95%から「Mitutoyo Quick Vision PRO」の解析装置で測定できなくなる時点まで低下させていった。
【0123】
テスト2
<青色テープ:テープ速度18.5m/分でのレーザパワーに応じたUV開口部寸法>
このテストに基づいて、18.5m/分のテープ速度で開口部を形成するときの最適なレーザパワーを確立した。なお、このテープ速度は、テスト装置の最大速度であるために取り上げたものである。テープ速度を6m/分に、レーザ周波数を624Hzに設定した。この設定は、開口部同士の間隔が0.494mmになることを想定したものである。レーザのパワーは、スプリット毎に10%ずつ低下させて、95%から「Mitutoyo Quick Vision PRO」の解析装置で測定できなくなる時点まで低下させていった。
【0124】
テスト3
<緑色テープ:テープ速度6m/分での負荷サイクルに応じた開口部寸法>
このテストに基づいて、開口部の寸法に及ぼす負荷サイクルの影響を特定した。テープ速度は6m/分に設定した。レーザパワーを95%にして、負荷サイクルを18%から始めて、開口部が測定できなくなる時点まで各ステージで減じていった。なお、負荷サイクルとは、レーザを実際に照射するサイクル時間の割合である。
【0125】
テスト4
<緑色:テープ速度18m/分での負荷サイクルに応じた開口部寸法>
設定はテスト3の場合と同じであるが、テープ速度を18m/分に、また、テストの各ステージで同じパルス幅が得られるように計算した所定の周波数と負荷サイクル(つまり、624Hzの31%である0.5msで開始)に設定した。なお、このテストの実施においては、負荷サイクルよりもパルス幅が重要になる。同じ負荷サイクルで周波数が高くなるにつれてパルス幅は短くなる。パルスの間隔が小さくなるほど、レーザで開口部をあける時間が短くなる。
【0126】
テスト5
<緑色テープ:パルス幅が0.5msの各種テープ速度での開口部の寸法と開口部同士の間隔>
レーザパワーを70%に設定した。パルス幅が0.5msになるように、各テープ測度とレーザ周波数について負荷サイクルを算出した。テープ速度は、1m/分刻みで18m/分から6m/分まで変化させた。
【0127】
テスト6
<緑色テープ:利用可能なレーザの焦点距離>
焦点距離のテストに基づいて、テープに開口部を設けるときのレーザ口からテープまでの距離の変動範囲を判定した。テープ巻き戻し固定具を「UNIVERSAL LASER SYSTEMS」の装置(品番M300 45ワットレーザ)のレーザ台に取り付け、調節可能なz軸を利用して、レーザノズルからテープ表面までの距離を正確に測定した。(このレーザは円錐状のノズルを備え、ここからレーザ光が照射されるとともに圧縮空気流が排出される。このような機能は、光学装置を溶融クズから保護するとともに、レーザ照射作業をアシストするためのものである。このテストで記載される寸法はノズルの先端部に関するものであり、従って、テープとレーザとの最適な位置を決定する際には、ノズルが開口部寸法に及ぼす影響を考慮する必要がある。)前記の装置のこの他の機能については用いなかった。テープをレーザ口に接触するように設定した。このような条件で、テープの最初のスプリットに開口部を設けた。装置の作業台の高さを0.3mm刻みで降下させ、1降下動作毎に1つのスプリットを作成した。このような測定を開口部が測定できなくなるまで連続して行った。パルス幅が0.5msになるように、テープ速度を6m/分、周波数を200Hz、負荷サイクルを10%に設定した。
【0128】
バッチ毎にスプリットを作成すると、「Mitutoyo Quick Vision PRO」の解析装置で作成した試料を測定した。各スプリットから50セルを測定して、開口部と開口部同士の間隔を測定した。このデータをエクセル(登録商標)の集計表にインポートして、各種結果のグラフを作成した。測定した50セルの平均を、当該スプリットのデータ点とし、グラフに表した(図示せず)。
【0129】
レーザのパワーが低下するにつれて、テープの開口部の寸法が小さくなったが、その他については一定であった。また、負荷サイクルが少なくなるほど、テープの開口部の寸法が小さくなった。この他のパラメータについては、次の変化による影響はあまり受けなかった:
(a)レーザのパワーレベル
(b)テープに開口部を設ける工程でのテープ速度
(c)レーザの負荷サイクル
例えば、開口部同士の間隔は、パワーレベルが非常に低い場合を除いて、大きな影響を受けなかった。さらに、開口部同士の間隔は、テープに開口部を設ける工程でのテープ速度の変動にも大きな影響を受けなかった。
【0130】
0mmではレーザ光は焦点がずれており、レーザ光の照射領域が大きいほど、焼かれる開口部が大きくなることになる。レーザ口からテープまでの距離が2mmの場合において最適なテープ位置が確保できて、0.15mmの開口部が得られた。また、レーザノズルからの距離が1.5〜2.5mmの範囲にある場合に、この寸法は常に一定であった。テープをレーザノズルから離すにつれて、レーザ光は広くなり、テープに孔があけられないくらいのエネルギーになった。
【0131】
<実施例7>
本実施例の目的は、テープに開口部を形成するレーザ装置の能力を判定するためのものである。さらに、本実施例では、テープ端部に対する開口部の位置が、どれくらい正確であるかを評価した。
【0132】
以下の設定を用いて、バイオセンサ・ストリップのカバー形成用のテープに排気用の開口部を設けた。
【0133】
【表IV】
【0134】
3つのテープリールを処理して、レーザの孔あき装置の設定の違いによる差を判定した。
テープ(MediSenseの品番R11003、幅15mm)を装置に装填して、表IVに記載される設定で動作させた。各テープを回収して、長さ方向にアトランダムな間隔で長さ300mmの試料に切断し、10個の試料を作成した。試料を「Mitutoyo Quick Vision PRO」の解析装置で解析して、レーザ装置の精度と再現性を測定した。
【0135】
この「Mitutoyo Quick Vision PRO」の解析装置は、最初のテープ端部を探査して、このテープの表面に沿って50mmの間隔で4つの測定点を測定するようにプログラムした。次に、これらの4点を結んで、基準線となる直線を設けた。この基準線に基づいて開口部の中心位置を測定した。この処理を3つのリールで繰り返し行った。「Mitutoyo Quick Vision PRO」の解析装置により、開口部同士の間隔、開口部の直径、開口部の中心点から最初のテープ端部までの距離を、長さ300mmの試料10個から100開口部を測定した。
【0136】
表V−VIIIは、リール1、2、3のそれぞれの結果データ、およびリール1、2、3のそれぞれの結果データをまとめたデータを示したものである。
表V−VIIは、開口部を10個設けた結果を示したものである。なお、表V−VIIIの測定値の単位は、%CV以外は、すべてミリメートルである。
【0137】
表Vはリール1の10試料のデータを示したものである。
【0138】
【表V】
【0139】
表VIはリール2の10試料のデータを示したものである。
【0140】
【表VI】
【0141】
表VIIはリール3の10試料のデータを示したものである。
【0142】
【表VII】
【0143】
表VIIIはリール1、2、3をまとめたデータを示したものである。
【0144】
【表VIII】
【0145】
リール間の間隔の変動は約0.03mmであった。この変動は非常に小さく、多くの場合がテープ速度やシャッター駆動システムの変動に起因するものである。リール間での、最初のテープ端部から開口部までの距離の平均は、約0.2mmで変動した。これは、テープの切断幅の変動に起因すると考えられ、装置に対してどのようにテープをガイドしているかに起因するものである。このような変動は、開口部の位置に直接影響する。開口部の直径の変動は非常に小さく、非常に良好な結果が得られた。得られた結果は、レーザ手段による開口部の形成に関する仕様が達成可能であることを示している。
開口部の直径:0.05 mmから0.3 mm ± 0.03 mm
開口部同士の間隔:0.3 mmから6 mm ± 0.03mm
テープ端部からの距離:0.5 mmから20 mm ± 0.05 mm
【0146】
レーザの焦点が変化すると、開口部の直径が大きくなったり小さくなったりする。回転シャッター装置の速度が変化すると、開口部の間隔が変動する。
【0147】
<実施例8>
本実施例の目的は、開口部の孔あけ方向に応じて、レーザで形成した開口部のバリの大きさへの響を判定するためのものである。レーザで開口部を形成するとき、除去する材料の多くは蒸発する。しかし、この材料がわずかに左右に移動するだけで、開口部回りで材料の厚さが増大する。このようなバリは往々にして外観を見苦しくする。
【0148】
プロトタイプのレーザ孔あけ装置を用いて、2つの試料を以下の通りに作成した。
【0149】
緑色のカバー用テープ(MediSenseの品番R11003)を試料として用いた。テープは樹脂製で、表面の大部分にホットメルト接着材を有するポリエステルの裏張りを備えたものである。
【0150】
試料の作成に先立って装置を清掃した。最初のロール(試料1)について、テープの裏張りから孔あけを行った。2番目のロール(試料2)について、テープの接着側から孔あけを行った。レーザ装置(「UNIVERSAL LASER SYSTEMS」のモデルM300)の設定は、以下の通りとし、両試料とも同じ設定にした:
レーザパワー:85 %
シャッター速度:3.2 ボルト
ニップロール速度:30.2 ボルト
巻き戻し速度:24 ボルト
【0151】
テスト用に各テープを約20mずつ作成した。2つのロールのそれぞれで、試料を1つ選択し、「PROSCAN」の表面形状測定装置で表面の大部分を走査した。各走査から、「PROSCAN」の区分ツールソフトを使って5つの開口部が測定された。各開口部を4地点で測定した:
1.開口部トップの陸部
2.開口部の一方側(トップ)にあるバリのピーク
3.開口部の他方側(トップ)にあるバリのピーク
4.開口部底の陸部
なお、図13にこれらの測定点を示す。
【0152】
表IXは、テープの裏張り側から孔をあけて開口部を設けたロール1について、テープの接着側を走査した結果をまとめたものである。表Xは、テープの裏張り側から孔をあけて開口部を設けたロール1について、テープの裏張り側を走査した結果をまとめたものである。表XIは、テープの接着側から孔をあけて開口部を設けたロール2について、テープの接着側を走査した結果をまとめたものである。表XIIは、テープの接着側から孔をあけて開口部を設けたロール2について、テープの裏張り側を走査した結果をまとめたものである。測定点2から3までの平均から測定点1から4までの平均を引いて、テストで得られた開口部のバリ寸法を求めた。試料毎に5つの開口部の平均を求めて、テープの当該試料の当該側におけるバリ寸法とした。テープ両側のバリ寸法を足して、テープの当該試料における全体のバリ寸法とした。なお、表IXからXIIの数値の単位はマイクロメートルである。
【0153】
表IXおよびXの結果は、テープの裏張り側から孔をあけたテープについてのデータである。表IXのデータは、テープの接着側を走査したものについてである。
【0154】
【表IX】
【0155】
表Xのデータはテープの裏張り側を走査したものについてである。
【0156】
【表X】
【0157】
表XIおよびXIIの結果は、テープの接着側から孔をあけたテープについてのデータである。表XIIのデータは、テープの接着側を走査したものについてである。
【0158】
【表XI】
【0159】
表XIIのデータは、テープの裏張り側を走査したものについてである。
【0160】
【表XII】
【0161】
バリは、テープに孔をあける方向には関係なく、レーザ源の方向に向いている。レーザ光に面するテープ側に、より大きなクレータやバリが形成されるのだが、これは、こちらの側が長時間熱に晒されるために、開口部を焼き抜く間に材料が溶融して、テープの反対側に変位されにくくなったためである。
【0162】
このような結果に基づくと、裏張り側から孔あけを行うことでテープ表面のバリを少なくすることができ、6.16マイクロメートルの差であってもバリが25%も低減することになる。また、孔をあける方向は、テープの両側におけるバリの分散のしかたにも影響する。裏張り側から接着側に向かって孔をあけるほうがより好ましいようである。
【0163】
本発明は、本発明の技術的範囲および精神から逸脱しない限りにおいて、各種の修正および変更が可能であることは当業者にとっては明らかであり、ここに記載される例示的な実施形態のみに限定されるものではないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】バイオセンサ・ストリップを製造するために従来用いられる平圧盤と加熱型ブロックの断面を示す概略図であり、平圧盤と加熱型ブロックを用いてカバーとバイオセンサ・ストリップの残りの構成要素とを接合するときに形成されるバイオセンサ・ストリップのドームの断面も示している。
【図2】(a)、(b)、(c)は、バイオセンサ・ストリップの製造で従来用いられている平圧盤と加熱型ブロックで製造したバイオセンサ・ストリップのドームの断面面積、ドーム半径およびドーム高さに関するグラフである。(a)、(b)、(c)は、それぞれ、幅が狭い流路を有する記載の試料流路は1.5mm、幅が中程度の流路を有する記載の試料流路は2.8mm、幅が広い流路を有する記載の試料流路は4.1mmである。
【図3】本発明の1実施形態に係わるバイオセンサ・ストリップの分解図であり、バイオセンサ・ストリップにはメッシュ層がないものである。
【図4】図3の断面図であり、試料流路の側部に排気口を形成する非圧縮性要素を示す。
【図5】本発明の別の実施形態に係わるバイオセンサ・ストリップの分解図であり、バイオセンサ・ストリップにメッシュ層があるものである。
【図6】図4の断面図であり、試料流路の側部に排気口を形成する非圧縮性要素を示す。
【図7】本発明の別の実施形態に係わるバイオセンサ・ストリップの分解図であり、バイオセンサ・ストリップにメッシュ層がないものである。
【図8】本発明の別の実施形態に係わるバイオセンサ・ストリップの分解図であり、バイオセンサ・ストリップにメッシュ層があるものである。
【図9】バイオセンサ・ストリップのカバー形成用のテープに開口部をあけるためのプロトタイプのレーザ装置の概略図である。
【図10】本発明のバイオセンサ・ストリップの製造に用いられる装置の1種類の正面断面を示す概略図である。
【図11】本発明のバイオセンサ・ストリップの製造に用いられる別の種類の正面断面を示す概略図である。
【図12】図11の装置の頂面を示す概略図である。
【図13】レーザによってバイオセンサ・ストリップのテープに形成されたバリを解析するために用いるテストの設定を示したものである。
【図14】バイオセンサ・ストリップの列にテープをラミネートする装置の精度をテストする際に用いられる、個別に分離される前のバイオセンサ・ストリップの列を示したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体液状試料中の検体の濃度を判定するためのバイオセンサ・ストリップであって、前記バイオセンサ・ストリップは、
(a)電極支持部と、
(b)前記電極支持部上の電極構成と、
(c)カバーと、
(d)液状試料が取り込まれる箇所である近位端と、前記液状試料が取り込まれたときに流れる方向の先にある遠位端と、前記近位端と前記遠位端とに延接する第1の側部と、前記近位端と前記遠位端とに延接する第2の側部とを有し、前記第1の側部と前記第2の側部は前記液状試料を保持する機能を有するような試料流路と、
(e)前記カバーと前記電極支持部との間に配置され、前記試料流路の前記第1の側部と前記第2の側部の少なくとも一方または前記試料流路の遠位端において開口部を形成し、前記試料流路に1つ以上の排気口を設けるような非圧縮性要素と
を備えることを特徴とするバイオセンサ・ストリップ。
【請求項2】
前記1つ以上の排気口は、前記試料流路の少なくとも一方の側部に設けられることを特徴とする請求項1に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項3】
前記1つ以上の排気口は、前記試料流路の遠位端に設けられることを特徴とする請求項1に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項4】
前記非圧縮性要素は、1つ以上のフィラメント、1つ以上のスレッド、1つ以上のリボンおよび1つ以上のテープにより構成されるグループから選択したものであることを特徴とする請求項1に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項5】
前記カバーと前記電極構成の間に、1つ以上のメッシュ層を配置することを特徴とする請求項1に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項6】
前記カバーは、一方の表面の大部分に接着材の層を有する裏張りを備えることを特徴とする請求項1に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項7】
前記接着材は感圧接着材であることを特徴とする請求項6に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項8】
前記接着材はホットメルト接着材であることを特徴とする請求項6に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項9】
前記非圧縮性要素は前記カバーに接触していることを特徴とする請求項1に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項10】
請求項1に記載のバイオセンサ・ストリップを形成する方法であって、
前記方法は、
(a)複数の不完全なバイオセンサ・ストリップを含む列を形成し、
(b)一方の表面の大部分に接着材の層を有する裏張りを備えるテープを準備し、
(c)適切な長さの材料で構成された非圧縮性要素を準備し、
(d)前記テープと前記長さの非圧縮性要素とを組み合わせることで、前記テープと前記長さの非圧縮性要素とによりアッセンブリを形成し、
(e)前記列をラミネータに送り込み、
(f)前記アッセンブリをラミネータに送り込み、
(g)前記アッセンブリを前記列上にラミネートし、これにより前記列が複数の完成したバイオセンサ・ストリップを含み、
(h)前記列の状態にある前記バイオセンサ・ストリップを分離して、複数の個別のバイオセンサ・ストリップを提供する
ことを特徴とするバイオセンサ・ストリップを形成する方法。
【請求項11】
前記接着材はホットメルト接着材であることを特徴とする請求項10に記載のバイオセンサ・ストリップを形成する方法。
【請求項12】
前記テープは、前記ホットメルト接着材を溶融するのに十分な温度に加熱されることを特徴とする請求項11に記載のバイオセンサ・ストリップを形成する方法。
【請求項13】
前記接着材は、感圧接着材であることを特徴とする請求項10に記載のバイオセンサ・ストリップを形成する方法。
【請求項14】
前記長さの非圧縮性要素のセグメントにより前記試料流路に排気口を形成することを特徴とする請求項10に記載のバイオセンサ・ストリップを形成する方法。
【請求項15】
生体液状試料中の検体の濃度を判定するためのバイオセンサ・ストリップであって、前記バイオセンサ・ストリップは、
(a)電極支持部と、
(b)前記電極支持部上の電極構成と、
(c)カバーと、
(d)液状試料が取り込まれる箇所である近位端と、前記液状試料が取り込まれたときに流れる方向にある遠位端と、前記近位端と前記遠位端とに延接する第1の側部と、前記近位端と前記遠位端とに延接する第2の側部とを有し、前記第1の側部と前記第2の側部は前記液状試料を保持する機能を有するような試料流路と
を備え、
(e)前記カバーには複数の開口部が形成され、前記複数の開口部の少なくとも1つが前記試料流路の位置に一致している
ことを特徴とするバイオセンサ・ストリップ。
【請求項16】
前記カバーと前記電極構成の間に、1つ以上のメッシュ層を配置することを特徴とする請求項15に記載されるバイオセンサ・ストリップ。
【請求項17】
前記カバーは、一方の表面の大部分に接着材の層を有する裏張りを備えることを特徴とする請求項15に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項18】
前記接着材は、感圧接着材であることを特徴とする請求項17に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項19】
前記接着材は、ホットメルト接着材であることを特徴とする請求項17に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項20】
前記開口部は、レーザにより形成されていることを特徴とする請求項15に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項21】
前記開口部は、機械装置により形成されていることを特徴とする請求項15に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項22】
請求項15に記載のバイオセンサ・ストリップを形成する方法であって、
前記方法は、
(a)複数の不完全なバイオセンサ・ストリップを含む列を形成し、
(b)表面の大部分に接着材の層を有する裏張りを備えるテープを準備し、前記テープに所定の間隔を置いて複数の開口部を形成し、
(c)前記列をラミネータに送り込み、
(d)前記テープを前記ラミネータに送り込み、
(e)前記テープを前記列にラミネートし、これにより前記列は複数の完成したバイオセンサ・ストリップを含み、
(f)前記列の状態にある前記バイオセンサ・ストリップを分離し、複数の個別のバイオセンサ・ストリップを提供する
ことを特徴とするバイオセンサ・ストリップを形成する方法。
【請求項23】
前記接着材は、感圧接着材であることを特徴とする請求項22に記載のバイオセンサ・ストリップを形成する方法。
【請求項24】
前記接着材は、ホットメルト接着材であることを特徴とする請求項22に記載のバイオセンサ・ストリップを形成する方法。
【請求項25】
前記テープは、前記ホットメルト接着材を溶融するのに十分な温度に加熱されることを特徴とする請求項24に記載のバイオセンサ・ストリップを形成する方法。
【請求項26】
前記開口部は、レーザにより形成されていることを特徴とする請求項22に記載のバイオセンサ・ストリップを形成する方法。
【請求項27】
生体液状試料中の検体の濃度を判定するためのバイオセンサ・ストリップであって、前記バイオセンサ・ストリップは、
(a)電極支持部と、
(b)前記電極支持部上の電極構成と、
(c)カバーと、
(d)液状試料が取り込まれる箇所である近位端と、前記液状試料が取り込まれたときに流れる方向にある遠位端と、前記近位端と前記遠位端とに延接する第1の側部と、前記近位端と前記遠位端とに延接する第2の側部とを有し、前記第1の側部と前記第2の側部は前記液状試料を保持する機能を有するような試料流路と
を備え、
(e)前記電極支持部には複数の開口部が形成され、前記複数の開口部の少なくとも1つは前記試料流路の位置に一致している
ことを特徴とするバイオセンサ・ストリップ。
【請求項28】
前記カバーと前記電極構成の間に、1つ以上のメッシュ層を配置することを特徴とする請求項27に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項29】
前記カバーは、一方の表面の大部分に接着材の層を有する裏張りを備えることを特徴とする請求項27に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項30】
前記接着材は感圧接着材であることを特徴とする請求項29に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項31】
前記接着材はホットメルト接着材であることを特徴とする請求項29に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項32】
前記開口部は、レーザにより形成されていることを特徴とする請求項27に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項33】
前記開口部は、機械装置により形成されていることを特徴とする請求項27に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項1】
生体液状試料中の検体の濃度を判定するためのバイオセンサ・ストリップであって、前記バイオセンサ・ストリップは、
(a)電極支持部と、
(b)前記電極支持部上の電極構成と、
(c)カバーと、
(d)液状試料が取り込まれる箇所である近位端と、前記液状試料が取り込まれたときに流れる方向の先にある遠位端と、前記近位端と前記遠位端とに延接する第1の側部と、前記近位端と前記遠位端とに延接する第2の側部とを有し、前記第1の側部と前記第2の側部は前記液状試料を保持する機能を有するような試料流路と、
(e)前記カバーと前記電極支持部との間に配置され、前記試料流路の前記第1の側部と前記第2の側部の少なくとも一方または前記試料流路の遠位端において開口部を形成し、前記試料流路に1つ以上の排気口を設けるような非圧縮性要素と
を備えることを特徴とするバイオセンサ・ストリップ。
【請求項2】
前記1つ以上の排気口は、前記試料流路の少なくとも一方の側部に設けられることを特徴とする請求項1に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項3】
前記1つ以上の排気口は、前記試料流路の遠位端に設けられることを特徴とする請求項1に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項4】
前記非圧縮性要素は、1つ以上のフィラメント、1つ以上のスレッド、1つ以上のリボンおよび1つ以上のテープにより構成されるグループから選択したものであることを特徴とする請求項1に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項5】
前記カバーと前記電極構成の間に、1つ以上のメッシュ層を配置することを特徴とする請求項1に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項6】
前記カバーは、一方の表面の大部分に接着材の層を有する裏張りを備えることを特徴とする請求項1に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項7】
前記接着材は感圧接着材であることを特徴とする請求項6に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項8】
前記接着材はホットメルト接着材であることを特徴とする請求項6に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項9】
前記非圧縮性要素は前記カバーに接触していることを特徴とする請求項1に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項10】
請求項1に記載のバイオセンサ・ストリップを形成する方法であって、
前記方法は、
(a)複数の不完全なバイオセンサ・ストリップを含む列を形成し、
(b)一方の表面の大部分に接着材の層を有する裏張りを備えるテープを準備し、
(c)適切な長さの材料で構成された非圧縮性要素を準備し、
(d)前記テープと前記長さの非圧縮性要素とを組み合わせることで、前記テープと前記長さの非圧縮性要素とによりアッセンブリを形成し、
(e)前記列をラミネータに送り込み、
(f)前記アッセンブリをラミネータに送り込み、
(g)前記アッセンブリを前記列上にラミネートし、これにより前記列が複数の完成したバイオセンサ・ストリップを含み、
(h)前記列の状態にある前記バイオセンサ・ストリップを分離して、複数の個別のバイオセンサ・ストリップを提供する
ことを特徴とするバイオセンサ・ストリップを形成する方法。
【請求項11】
前記接着材はホットメルト接着材であることを特徴とする請求項10に記載のバイオセンサ・ストリップを形成する方法。
【請求項12】
前記テープは、前記ホットメルト接着材を溶融するのに十分な温度に加熱されることを特徴とする請求項11に記載のバイオセンサ・ストリップを形成する方法。
【請求項13】
前記接着材は、感圧接着材であることを特徴とする請求項10に記載のバイオセンサ・ストリップを形成する方法。
【請求項14】
前記長さの非圧縮性要素のセグメントにより前記試料流路に排気口を形成することを特徴とする請求項10に記載のバイオセンサ・ストリップを形成する方法。
【請求項15】
生体液状試料中の検体の濃度を判定するためのバイオセンサ・ストリップであって、前記バイオセンサ・ストリップは、
(a)電極支持部と、
(b)前記電極支持部上の電極構成と、
(c)カバーと、
(d)液状試料が取り込まれる箇所である近位端と、前記液状試料が取り込まれたときに流れる方向にある遠位端と、前記近位端と前記遠位端とに延接する第1の側部と、前記近位端と前記遠位端とに延接する第2の側部とを有し、前記第1の側部と前記第2の側部は前記液状試料を保持する機能を有するような試料流路と
を備え、
(e)前記カバーには複数の開口部が形成され、前記複数の開口部の少なくとも1つが前記試料流路の位置に一致している
ことを特徴とするバイオセンサ・ストリップ。
【請求項16】
前記カバーと前記電極構成の間に、1つ以上のメッシュ層を配置することを特徴とする請求項15に記載されるバイオセンサ・ストリップ。
【請求項17】
前記カバーは、一方の表面の大部分に接着材の層を有する裏張りを備えることを特徴とする請求項15に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項18】
前記接着材は、感圧接着材であることを特徴とする請求項17に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項19】
前記接着材は、ホットメルト接着材であることを特徴とする請求項17に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項20】
前記開口部は、レーザにより形成されていることを特徴とする請求項15に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項21】
前記開口部は、機械装置により形成されていることを特徴とする請求項15に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項22】
請求項15に記載のバイオセンサ・ストリップを形成する方法であって、
前記方法は、
(a)複数の不完全なバイオセンサ・ストリップを含む列を形成し、
(b)表面の大部分に接着材の層を有する裏張りを備えるテープを準備し、前記テープに所定の間隔を置いて複数の開口部を形成し、
(c)前記列をラミネータに送り込み、
(d)前記テープを前記ラミネータに送り込み、
(e)前記テープを前記列にラミネートし、これにより前記列は複数の完成したバイオセンサ・ストリップを含み、
(f)前記列の状態にある前記バイオセンサ・ストリップを分離し、複数の個別のバイオセンサ・ストリップを提供する
ことを特徴とするバイオセンサ・ストリップを形成する方法。
【請求項23】
前記接着材は、感圧接着材であることを特徴とする請求項22に記載のバイオセンサ・ストリップを形成する方法。
【請求項24】
前記接着材は、ホットメルト接着材であることを特徴とする請求項22に記載のバイオセンサ・ストリップを形成する方法。
【請求項25】
前記テープは、前記ホットメルト接着材を溶融するのに十分な温度に加熱されることを特徴とする請求項24に記載のバイオセンサ・ストリップを形成する方法。
【請求項26】
前記開口部は、レーザにより形成されていることを特徴とする請求項22に記載のバイオセンサ・ストリップを形成する方法。
【請求項27】
生体液状試料中の検体の濃度を判定するためのバイオセンサ・ストリップであって、前記バイオセンサ・ストリップは、
(a)電極支持部と、
(b)前記電極支持部上の電極構成と、
(c)カバーと、
(d)液状試料が取り込まれる箇所である近位端と、前記液状試料が取り込まれたときに流れる方向にある遠位端と、前記近位端と前記遠位端とに延接する第1の側部と、前記近位端と前記遠位端とに延接する第2の側部とを有し、前記第1の側部と前記第2の側部は前記液状試料を保持する機能を有するような試料流路と
を備え、
(e)前記電極支持部には複数の開口部が形成され、前記複数の開口部の少なくとも1つは前記試料流路の位置に一致している
ことを特徴とするバイオセンサ・ストリップ。
【請求項28】
前記カバーと前記電極構成の間に、1つ以上のメッシュ層を配置することを特徴とする請求項27に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項29】
前記カバーは、一方の表面の大部分に接着材の層を有する裏張りを備えることを特徴とする請求項27に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項30】
前記接着材は感圧接着材であることを特徴とする請求項29に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項31】
前記接着材はホットメルト接着材であることを特徴とする請求項29に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項32】
前記開口部は、レーザにより形成されていることを特徴とする請求項27に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【請求項33】
前記開口部は、機械装置により形成されていることを特徴とする請求項27に記載のバイオセンサ・ストリップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2008−544221(P2008−544221A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515824(P2008−515824)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/021888
【国際公開番号】WO2006/133171
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(507140966)アボット ラボラトリーズ (3)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/021888
【国際公開番号】WO2006/133171
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(507140966)アボット ラボラトリーズ (3)
[ Back to top ]