説明

バイオセンサ収納容器

【課題】複数個のバイオセンサを収納可能であって、バイオセンサの取り出しが容易な容器を提供する。
【解決手段】バイオセンサ収納容器20は、細長なシート状のバイオセンサ11を収納するものであって、内部空間の底面26と対向する側が開口25であり、底面26から開口25へ延びる側壁27の延出方向が長尺方向102である筒形状の本体21と、本体21の開口25を開閉可能な蓋22と、を具備する。底面26は、本体21の長尺方向102に沿った位置が異なる第1領域31及び第2領域32を少なくとも有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオセンサを収納可能な容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、糖尿病の患者が各国において増加している。糖尿病の治療としては、例えば、インスリン療法がある。インスリンは血糖値をコントロールする薬物として知られており、糖尿病の治療薬として糖尿病患者に投与されている。インスリンを投与する必要性は、糖尿病患者の血糖値に基づいて判断される。このため、糖尿病患者にとって、血糖値の把握が重要である。血糖値とは、血液中のグルコース濃度である。糖尿病患者自らが自分の血糖値を簡易に測定できることを目的として、簡易な血糖測定装置が開発されている。
【0003】
前述された血糖測定装置として、バイオセンサが用いられるものが知られている(特許文献1〜4)。バイオセンサは、血糖と反応する酵素が固定された電極を有する。血糖値の測定に用いられる酵素として、グルコースオキシターゼ(以下、「GOD」と略されることがある。)やグルコースデヒドロゲナーゼ(以下、「GDH」と略されることがある。)が知られている。バイオセンサにおいて、酵素が固定された電極が作用極と称され、試料中に電子を供給する電極が対極と称される。
【0004】
試料である血液がバイオセンサに導入され、その血液中のグルコースに作用極のGODが反応すると、グルコースがグルコン酸及び過酸化水素に分解され、その過酸化水素が水及び電子に分解される。このようにして発生した電子が作用極に伝達される。一方、対極からは血液中に電子が供給される。このようにして、GODとグルコースとの反応によって、作用極と対極との間に電流が流れる。そして、流れた電流値に基づいて、血液中のグルコース濃度、つまり血糖値が算出される。また、作用極には、電子を伝達する物質が固定されることがある。この物質は、電子メディエータと称される。電子メディエータとして、例えば、フェリシアン化カリウム、ヘキサアンミンルテニウムやキノン誘導体類等の有機化合物、又は有機−金属錯体などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−97877号公報
【特許文献2】特開2005−43280号公報
【特許文献3】特開2005−37335号公報
【特許文献4】特開2002−107325号公報
【特許文献5】特開平9−159642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述されたバイオセンサは血糖値の測定毎に取り替えられる所謂ディポーザブルであり、糖尿病患者は、血糖測定装置と共に複数個のバイオセンサを携帯する。そのような携帯に際して、バイオセンサが湿気や水に曝されることを防止する目的や、複数個のバイオセンサを取り纏めて携帯性を向上させる目的として、複数個のバイオセンサが容器に収納されることがある。
【0007】
しかしながら、バイオセンサは細長なシート形状のものが多く、比較的小さいので、バイオセンサが収納された容器において、複数個のバイオセンサが一塊になっていると、その塊から1個のバイオセンサのみを取り出し難いという問題があった。
【0008】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数個のバイオセンサを収納可能であって、バイオセンサの取り出しが容易な容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明に係るバイオセンサ収納容器は、細長なシート状のバイオセンサを収納するものであって、内部空間の底面と対向する側が開口されており、当該底面から開口へ延びる側壁の延出方向が長尺方向である筒形状の本体と、上記本体の開口を開閉可能な蓋と、を具備する。上記底面は、上記本体の長尺方向に沿った位置が異なる第1領域及び第2領域を少なくとも有する。
【0010】
バイオセンサは、生体試料中の被検出物質を電気化学的に検出するためのものである。生体試料としては、血液や唾液、尿などの主として液体が挙げられる。例えば、生体試料が血液であれば、被検出物質として、血糖やコルチゾール、コレステロール、中性脂肪、ヘモグロビン、ビリルビン並びに銅、亜鉛及び鉄等の微量金属などが挙げられる。生体試料がバイオセンサの電極と接触されることにより、生体試料と酵素とが混合されて、被検出物質が酵素反応を起こす。その酵素反応の過程において生成される電荷が電極に流れることによって、被検出物質が電気的に検出可能となる。
【0011】
本発明に係るバイオセンサ収納容器は、内部空間の底面と対向する側が開口された本体を有する。この本体は、底面から開口へ延びる側壁の延出方向が長尺方向である筒形状である。筒の形状は、特に限定されるものではないが、主に円筒形状又は角筒形状が挙げられる。なお、一般的には、円筒形状のものが汎用性が高いと想定される。
【0012】
複数個のバイオセンサは、本体の内部空間に投入される。蓋により本体の開口が閉じられると、本体の内部空間にバイオセンサが収納される。この状態のバイオセンサ収納容器が糖尿病患者らによって携帯される。
【0013】
本体の底面は、本体の長尺方向に沿った位置が異なる第1領域及び第2領域を少なくとも有する。このような第1領域及び第2領域は、例えば、階段形状に段差を有して形成された相互に独立した面であってもよいし、曲面や平面のように連続した面の一部であってもよい。
【0014】
糖尿病患者らは、血糖などを測定する際に、バイオセンサ収納容器の蓋を開けて、長尺方向が水平方向となるように本体を傾ける。本体の内部空間に収容されている複数個のバイオセンサは、その細長な方向が鉛直方向から水平方向へ傾くときに、底面の第1領域又は第2領域に沿う。底面の第1領域と第2領域とは、本体の長尺方向の位置が異なるので、第1領域に沿って傾くバイオセンサと、第2領域に沿って傾くバイオセンサとは、本体の開口側の端の位置が異なる。これにより、複数個のバイオセンサが捌かれて、1個のバイオセンサのみを本体から取り出しやすくなる。
【0015】
(2) 上記底面は、上記本体の長尺方向に対して直交しないように傾斜された平面であってもよい。
【0016】
これにより、底面に沿って複数個のバイオセンサが細やかに捌かれて、各バイオセンサの端の位置が細かに異なるので、1個のバイオセンサを本体から一層取り出しやすくなる。
【0017】
(3) 上記蓋は、上記本体に対してヒンジを介して回動されるものであり、上記底面は、上記本体の長尺方向において、上記ヒンジと対向する側に近い上記第1領域が上記第2領域より上記開口から遠い位置に配置されたものであってもよい。
【0018】
このような蓋は、糖尿病患者らが本体を片手で持ちながら、その片手の親指を使って容易に開けることができるので取り扱いがよい。そして、糖尿病患者らが、本体を持ち替えることなく傾けると、開口においてヒンジによって本体と連結された側と反対側が下側となるように、本体が傾斜される。そのように傾斜された本体の底面において、ヒンジと対向する第1領域が開口から遠いので、下側となる第2領域に沿って傾くバイオセンサの端が開口に近くなる。これにより、本体の開口において、下側のバイオセンサの端が手前側に迫り出すように複数個のバイオセンサが捌かれる。
【0019】
(4) 上記底面に対して上記開口と反対側に形成された空間に吸湿剤が設けられ、上記底面に上記容器の内部空間と当該空間とが通気可能であって、かつバイオセンサが通過できない孔が形成されたものであってもよい。
【0020】
これにより、開口が閉じられた状態において、本体の内部空間に含まれる湿気が吸湿剤によって吸収されるので、本体の内部空間の湿度が低く保たれる。
【0021】
(5) 本発明に係るバイオセンサ収納容器は、細長なシート状のバイオセンサを収納するものであって、内部空間の底面と対向する側が開口されており、当該底面から開口へ延びる側壁の延出方向が長尺方向である筒形状の本体と、上記本体の開口を開閉可能な蓋と、を具備する。上記側壁の内面は、上記開口の縁へ向かう階段形状又は平滑なテーパ面を有する。
【0022】
糖尿病患者らは、血糖などを測定する際に、バイオセンサ収納容器の蓋を開けて、長尺方向が水平方向となるように本体を傾ける。本体の内部空間に収容されている複数個のバイオセンサは、その細長な方向が鉛直方向から水平方向へ傾くときに、側壁の内面のテーパ面に沿う。これにより、本体の開口側においてバイオセンサの端の位置が異なるように、複数個のバイオセンサが捌かれて、1個のバイオセンサのみを本体から取り出しやすくなる。なお、この態様における本体も筒形状である。筒の形状は、特に限定されるものではないが、主に円筒形状又は角筒形状が挙げられるが、一般的には、円筒形状のものが汎用性が高いと想定される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、本体が傾けられることにより、本体に収納されている複数個のバイオセンサが、本体の底面又は側壁の内面に沿って捌かれるので、1個のバイオセンサのみを本体から取り出すことが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、血糖側的装置10の外観を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態に係るバイオセンサ収納容器20の外観を示す斜視図である。
【図3】図3は、バイオセンサ収納容器20の内部構造を示す断面図である。
【図4】図4は、バイオセンサ収納容器20の変形例を示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態に係るバイオセンサ収納容器40の内部構造を示す断面図である。
【図6】図6は、バイオセンサ収納容器40の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、適宜図面が参照されて、本発明の好ましい実施形態が説明される。なお、以下に説明される各実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態が適宜変更できることは言うまでもない。
【0026】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態が説明される。
【0027】
[血糖測定装置10]
図1に示されるように、血糖測定装置10は、バイオセンサ11と装置本体12とを有する。バイオセンサ11が装置本体12の接続部13に差し込まれることによって、バイオセンサ11と装置本体12とが電気的に接続される。バイオセンサ11は、1回の血糖測定毎に取り替えられるものである。このバイオセンサ11が、本発明におけるバイオセンサに相当する。
【0028】
[装置本体12]
図1に示されるように、装置本体12は、筐体14に電子部品が収容された電子装置である。筐体14の表には、液晶ディスプレイ15及び操作キー16が配置されている。各操作キー16は、ユーザの操作に基づいて対応するコマンドを発生させるためのものである。液晶ディスプレイ15は、装置本体12の状態や測定結果、エラー表示などを行う。
【0029】
[バイオセンサ11]
図1に示されるように、バイオセンサ11は、細長なシート形状である。バイオセンサ11の長手方向101の一端が、装置本体12の接続部13に差し込まれることによって、バイオセンサ11が装置本体12に装着される。また、バイオセンサ11が長手方向101に引き抜かれることによって、バイオセンサ11が装置本体10から取り外される。
【0030】
図1には現れていないが、バイオセンサ11は、血糖と反応する酵素が固定された電極を有する。血糖値の測定に用いられる酵素として、GODやGDHが挙げられる。バイオセンサにおいて、酵素が固定された電極が作用極と称され、試料中に電子を供給する電極が対極と称される。作用極には、電子メディエータが固定されてもよい。
【0031】
作用極と対極とは、バイオセンサ11の厚み方向に隔てられて対向されている。バイオセンサ11の試料導入口17が血液に曝されると、毛細管作用によって血液が作用極と対極との間に流れ込む。血液中のグルコースに作用極のGODが反応すると、グルコースがグルコン酸及び過酸化水素に分解され、その過酸化水素が水及び電子に分解される。このようにして発生した電子が作用極に伝達される。一方、対極からは血液中に電子が供給される。このようにして、GODとグルコースとの反応によって、作用極と対極との間に電流が流れる。そして、流れた電流値に基づいて、装置本体12が血液中のグルコース濃度、つまり血糖値を算出する。
【0032】
[バイオセンサ収納容器20]
図2に示されるバイオセンサ収納容器20は、複数個のバイオセンサ11を収納するものである。
【0033】
バイオセンサ収納容器20は、本体21と蓋22とを有する。本体21は、円筒形状の容器であり、その上側に開口25を有する(図3参照)。本体21の開口25は、蓋22によって開閉可能である。
【0034】
蓋22は、本体21の開口25を封止可能な円盤形状である。蓋22は、円盤形状の縁のうちの一箇所において、ヒンジ23を介して本体21と連結されている。蓋22は、ヒンジ23を中心として、本体21の開口25に対して上側へ回動され得る。蓋22が上側へ回動されることにより、本体21の開口25が開放される。なお、蓋22は、本体21の開口25周縁において、凹凸形状などの嵌合構造によって嵌合されて開口25を封止した状態に維持されるが、各図においては、本体21と蓋22との嵌合構造が省略されている。
【0035】
蓋22には、ヒンジ23が設けられた位置と反対側の縁に鍔24が設けられている。鍔24は、蓋22を開けるときに、糖尿患者らが指を掛けるためのものであり、鍔24が指で押し上げられることによって、蓋22が片手のみによって容易に開かれる。
【0036】
図2に示されるように、本体21は、上側に開口25が設けられており、その開口25と対向する下側が底面26である。また、底面26から開口25へ向かって側壁27が延びている。側壁27の延出方向は上下方向である。本体21は、底面26を下側にして起立されたときに、上下方向を軸方向とする円筒形状である。この本体21の軸方向が、本明細書において長尺方向102と称される。本体21は、底面26及び側壁27によって囲まれた内部空間を有する。図2に示されるように、この内部空間に、複数個のバイオセンサ11が、その長手方向101を長尺方向102とほぼ合致させて収容される。
【0037】
本体21の底面26は、長尺方向102に対して直交しないように傾斜された平面である。つまり、底面26は、長尺方向102に対して0°より大きく90°より小さな角度で交差する。底面26が長尺方向102に対してなす角度は、後述されるように、複数個のバイオセンサ11を捌くに適した角度が設定され、一例としては、5°から45°の範囲内に設定される。
【0038】
前述されたように底面26が長尺方向102に対して傾斜されることにより、底面26において、ヒンジ23と対向する側に近い第1領域31と、開口25に対して閉じられた状態の鍔24と対向する側に近い第2領域32とは、長尺方向102において、開口25からの距離が異なる。具体的には、第1領域31は相対的に開口25から遠く、第2領域32は相対的に開口25に近くなる。なお、第1領域31及び第2領域32は、いずれも底面26に含まれる一定の領域であるが、本実施形態においては、第1領域31及び第2領域32は相対的な位置関係を示すものにすぎず、その境界が明確でなくてもよい。
【0039】
前述された底面26は、円盤形状の平板材28の上面として構成されている。この平板材28は、側壁27と一体に形成されていても、別部材として構成されていてもよい。側壁27は、平板材28より外側へ延出されており、その延出端に、別の平板材29が設けられている。この2つの平板材28,29は長尺方向102に対して離間されており、側壁27及び平板材28,29によって空間が形成されている。この空間に、吸湿剤30が充填されている。吸湿剤30としては、シリカゲル、塩酸カルシウム、石灰などの公知のものが採用される。
【0040】
平板材28には、その厚み方向に貫通する複数の孔33が形成されている。この孔33によって、吸湿剤30が充填された空間と、本体21の内部空間とが連通されている。孔33は、これら空間を空気や水蒸気が相互に流通可能であり、かつバイオセンサ11が通過できない大きさである。
【0041】
[バイオセンサ収容容器20の使用方法]
図3(A)に示されるように、複数個のバイオセンサ11は、その長手方向101を本体21の長尺方向102にほぼ合致させるようにして、本体21の内部空間に投入される。図1に示されるように、蓋22により本体21の開口25が閉じられると、本体21の内部空間にバイオセンサ11が収納される。この状態のバイオセンサ収納容器20が糖尿病患者らによって携帯される。
【0042】
糖尿病患者らは、血糖測定をする際に、図3(A)に示されるように、バイオセンサ収納容器20の蓋22を開ける。蓋22には鍔24が設けられているので、糖尿病患者らは、本体21を握り持った手の親指などで鍔24を上方へ押し上げることによって、蓋22を開けることができる。
【0043】
そして、本体21を握り持った手を動かして、図3(B)に示されるように、本体21の長尺方向102が水平方向となるように、本体21を傾ける。本体21の内部空間に収容されている複数個のバイオセンサ11は、本体21が傾けられるに伴って、長手方向101が鉛直方向から水平方向へ傾くときに、底面26に沿う。底面26の第1領域31と第2領域32とは、本体21の長尺方向102の位置が異なるので、第1領域31側の底面26に沿って傾くバイオセンサ11と、第2領域32側の底面26に沿って傾くバイオセンサ11とは、本体21の開口25側における端の位置が異なる。これにより、複数個のバイオセンサ11が捌かれて、1個のバイオセンサ11のみを本体21から取り出しやすくなる。
【0044】
[本実施形態の作用効果]
前述されたように、本体21が傾けられることにより、本体21に収納されている複数個のバイオセンサ11が、本体21の底面26に沿って捌かれるので、1個のバイオセンサ11のみを本体から取り出すことが容易である。
【0045】
また、底面26が、本体21の長尺方向102に対して直交しないように傾斜された平面なので、底面26の各位置に沿って複数個のバイオセンサ11が細やかに捌かれて、各バイオセンサ11の端の位置が細かに異なるので、1個のバイオセンサ11を本体21から一層取り出しやすくなる。
【0046】
また、蓋22が、本体21に対してヒンジ23を介して回動されるものなので、糖尿病患者らが本体21を片手で握り持ちながら、その片手の親指を使って容易に蓋22を開けることができるので取り扱いがよい。
【0047】
また、底面26は、本体21の長尺方向102において、ヒンジ23と対向する側に近い第1領域31が第2領域32より開口25から遠い位置に配置されているので、糖尿病患者らが、蓋22を開いた後に、本体21を持ち替えることなく傾けると、開口25においてヒンジ23によって本体21と連結された側と反対側が下側となるように、本体21が傾斜される。そのように傾斜された本体21の底面26において、ヒンジ23と対向する第1領域31が開口から遠いので、下側となる第2領域32に沿って傾くバイオセンサ11の端が開口35に近くなる。これにより、本体21の開口25において、下側のバイオセンサ11の端が手前側に迫り出すように複数個のバイオセンサ11が捌かれる。
【0048】
また、側壁27及び平板材28,29により形成された空間に吸湿剤30が設けられており、平板材28に厚み方向に貫通する孔33が形成されているので、蓋22によって本体21の開口25が閉じられた状態において、本体21の内部空間に含まれる湿気が吸湿剤30によって吸収される。これにより、本体21の内部空間の湿度が低く保たれる。
【0049】
[第1実施形態の変形例]
前述された実施形態では、本体21の底面26は、長尺方向102に対して一定の角度をなす平面であるが、底面26は、必ずしも1つの平面である必要はなく、例えば、図4(A)に示されるように、その中心が最も深く、縁が浅くなっている所謂すり鉢形状であってもよい。また、底面26が曲面であってもよい。
【0050】
また、図4(B)に示されるように、底面26が複数段の階段形状をなしており、その階段形状においてヒンジ23と対向する側の一段が第1領域31として把握され、鍔24と対向する側の一段が第2領域32として把握されてもよい。
【0051】
また、前述された実施形態では、蓋22がヒンジ23を介して本体21に対して回動されることにより、開口25を開閉するものであるが、例えば、蓋22は、ヒンジ23が設けられずに、本体21から完全に取り外されるものであってもよい。また、本体21と蓋22とは、ネジによって螺合されるものであってもよい。
【0052】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態が説明される。第2実施形態に係るバイオセンサ収納容器40は、第1実施形態に係るバイオセンサ収納容器20と本体21の内面の形状が異なるのみであり、その他の構成は同様である。詳細には、図5(A)に示されるように、バイオセンサ収納容器40は、本体41の開口45が蓋42によって開閉可能であり、蓋42がヒンジ43を介して本体41に回動可能に連結されている。これらの構成の詳細な説明は、ここでは省略される。
【0053】
図5(A)に示されるように、本体41は、底面46から開口45へ向かって長尺方向102に沿って延びる側壁47を有する。底面46は、長尺方向103に対して直交している。側壁47の内面48は、底面46から開口45の縁へ向かって、内部空間の径が次第に拡がる平滑なテーパ面をなしている。
【0054】
第1実施形態と同様にして、糖尿病患者らは、血糖測定をする際に、バイオセンサ収納容器40の蓋42を開けて、図5(B)に示されるように、本体41の長尺方向103が水平方向となるように、本体41を傾ける。本体41の内部空間に収容されている複数個のバイオセンサ11は、本体41が傾けられるに伴って、長手方向101が鉛直方向から水平方向へ傾くときに、側壁47の内面48に沿って、開口45側の端が水平方向より下側となるように傾く。このときに、複数個のバイオセンサ11が、傾きに沿って相互に移動することによって、本体41の開口45側における端の位置が異なるように捌かれて、1個のバイオセンサ11のみを本体41から取り出しやすくなる。
【0055】
[第2実施形態の変形例]
なお、側壁47の内面48は、必ずしも底面46から開口45の縁へ向かって、内部空間の径が次第に拡がるテーパ面である必要はなく、少なくとも、開口45付近においてテーパ面をなしていればよい。従って、図6(A)に示されるように、側壁47の内面48が、長尺方向102の中央付近で最も内部空間が縮径されており、その中央付近から開口45及び底面46側へそれぞれ拡径するようなテーパ面であってもよい。また、側壁47の内面48は平滑な面に限定されず、図6(B)に示されるように、階段形状に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0056】
11・・・バイオセンサ
20,40・・・バイオセンサ収納容器
21,41・・・本体
22,42・・・蓋
23,43・・・ヒンジ
25,45・・・開口
26,46・・・底面
27,47・・・側壁
30・・・吸湿剤
31・・・第1領域
32・・・第2領域
33・・・孔
48・・・内面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長なシート状のバイオセンサを収納するものであって、
内部空間の底面と対向する側が開口されており、当該底面から開口へ延びる側壁の延出方向が長尺方向である筒形状の本体と、
上記本体の開口を開閉可能な蓋と、を具備し、
上記底面は、上記本体の長尺方向に沿った位置が異なる第1領域及び第2領域を少なくとも有するものであるバイオセンサ収納容器。
【請求項2】
上記底面は、上記本体の長尺方向に対して直交しないように傾斜された平面である請求項1に記載のバイオセンサ収納容器。
【請求項3】
上記蓋は、上記本体に対してヒンジを介して回動されるものであり、
上記底面は、上記本体の長尺方向において、上記ヒンジと対向する側に近い上記第1領域が上記第2領域より上記開口から遠い位置に配置されたものである請求項1又は2に記載のバイオセンサ収納容器。
【請求項4】
上記底面に対して上記開口と反対側に形成された空間に吸湿剤が設けられ、上記底面に上記容器の内部空間と当該空間とが通気可能であって、かつバイオセンサが通過できない孔が形成された請求項1から3のいずれかに記載のバイオセンサ収納容器。
【請求項5】
細長なシート状のバイオセンサを収納するものであって、
内部空間の底面と対向する側が開口されており、当該底面から開口へ延びる側壁の延出方向が長尺方向である筒形状の本体と、
上記本体の開口を開閉可能な蓋と、を具備し、
上記側壁の内面は、上記開口の縁へ向かう階段形状又は平滑なテーパ面を有するものであるバイオセンサ収納容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−117912(P2011−117912A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277999(P2009−277999)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)