説明

バイオチップ及び免疫分析方法

【課題】 本発明は、洗浄工程を省略して分析を簡略化することができ、小型で安価であることに加えて、正確かつ迅速な分析を実現することができるバイオチップ及びこれを用いた免疫分析方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 被検物質と、標識化合物が抗体部分に結合した標識抗体とを混合するための混合槽と、抗イディオタイプ抗体を固定するための固定手段を含む反応槽と、前記被検物質を検出する検出部とを含むバイオチップであって、前記反応槽と検出部とが、前記固定手段を通過させないチャネル部によって分離されてなり、前記標識抗体は、前記標識化合物と1:1〜1:n(nは整数)で結合するF(ab)’フラグメントからなり、前記抗イディオタイプ抗体は、前記被検物質と標識抗体との反応生成物には結合できない、前記標識抗体に対する抗体であるバイオチップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオチップ及びこれを用いた免疫分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療、食品、創薬等の分野で、DNA、酵素、タンパク質、ウィルス、細胞などの生体物質が種々の方法で分析されており、これらの分析を簡便に行う一手段として、Lab on Chipと呼ばれる技術が近年注目されている。
この技術は、分析する対象の種類によって、臨床分析チップ、環境分析チップ、遺伝子分析チップ(DNAチップ)、たんぱく質分析チップ(プロテオームチップ)、糖鎖チップ、クロマトグラフチップ、細胞解析チップ、製薬スクリーニングチップなどと称される数センチの大きさの基板(バイオチップ)上で混合、反応、分離、測定及び検出等を行うものである。
【0003】
例えば、このマイクロチップ上で、各種の抗原−抗体反応による免疫分析を行う方法が提案されている(特許文献1)。この方法で用いるマイクロチップ8は、図9に示したように、反応固相として、固体微粒子5が、この粒子の径よりも大きい縦断面積を有する反応槽6に充填されており、その反応槽6には、固体微粒子5の径よりも小さい縦断面積を有する分離部7a、さらに廃液部7aが連結されている。また、反応槽6には、抗原、標識抗体、抗体、洗浄液等を反応槽6へ注入するための注入部1、2、3、4及び導入部1a、2a、3a、4aがそれぞれ連結されている。
【0004】
このようなマイクロチップ8では、反応槽6に、抗原注入部1、標識抗体注入部2から導入部1a、2aを通して抗原や標識抗体を順次導入し、反応させる。そして、洗浄液注入部4から洗浄液を導入して、未反応物を分離部7aを利用して分離することによって、最終的に、光熱変換分析により分析することができる。
【特許文献1】特開2001−4628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このマイクロチップ8では、上述したように、分析に付す前に少なくとも1回、洗浄液により反応槽6中の固体微粒子5を洗浄して、未反応物を固体微粒子の周りから除去することが必要となる。また、抗原、標識抗体、洗浄液等をそれぞれ含有する2以上の溶液を別個に、順次反応槽6に導入することが必要となり、その工程が煩雑となる。さらに、固体微粒子に抗体溶液を反応させて固定し、これに抗原等を含有する溶液を混合して、反応させるという不均一反応を2回以上行わなければならず、長時間を要するという問題がある。加えて、複数の溶液を反応槽で別個に反応させるために、上述したように、複数の注入部及び導入部を必要とし、チップの占有面積が大きくなり、小型で簡易なマイクロチップとすることができないという問題もある。
【0006】
そこで、本発明は、洗浄工程を省略して分析を簡略化することができ、小型で安価であることに加えて、正確かつ迅速な分析を実現することができるバイオチップ及びこれを用いた免疫分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のバイオチップは、被検物質とそれと反応する標識抗体とを混合するための混合槽と、抗イディオタイプ抗体を固定するための固定手段を含む反応槽と、前記被検物質を検出する検出部とを有するバイオチップであって、前記混合槽又はその上流部に標識抗体を含んでなり、標識抗体は、F(ab’)フラグメント又は還元IgGからなる抗体部分と標識化合物とが1:1〜1:n(nは整数)で結合して構成され、前記反応槽と検出部とが、前記固定手段を通過させないチャネル部によって分離されてなり、前記抗イディオタイプ抗体が、前記被検物質と標識抗体との反応生成物には結合できない、前記標識抗体を構成する抗体部分に対する抗体であることを特徴とする。
【0008】
このように、混合槽を設けることにより、混合された(反応した)状態での被検物質及び標識抗体を、反応槽における固定手段と接触させることができる。ここで固定手段に固定された抗イディオタイプ抗体に捕捉されないもののみが反応槽を通過し、検出部に導入されることとなり、未反応の標識物質は、反応槽に留まる。従って、このバイオチップを用いることにより、被検物質と固定手段との反応及び被検物質と標識抗体との反応後の洗浄工程を省略することが可能になり、シンプルで簡便な分析方法を実現することができる。さらに、複数の溶液を別々に反応槽に導入する必要がないために、複数の溶液を別個に導入するための注入部、導入部、流路を配置する必要がなく、その結果、バイオチップ自体の占有面積を小型化することができる。しかも、固定手段に被検物質を結合させることを要しないため、測定対象となる物質のみを検出部に導入して分析することができ、バックグラウンドを低減することができる。これにより、より精度の高い分析を行うことが可能となる。
【0009】
このようなバイオチップでは、固定手段は抗イディオタイプ抗体を担持する微粒子とすることができる。これにより、反応槽に抗イディオタイプ抗体を簡便かつ確実に固定することができ、被検物質と結合されていないような測定対象でない標識抗体を、固定手段によって確実に捕捉することが可能となる。なお、ここでは、被検物質と結合した標識抗体は捕捉されない。
【0010】
また、混合槽、反応槽、チャネル部及び検出部がこの順で直列に連結されてなることが好ましい。このような構成により、測定対象のみを分離し、他の物質に干渉されることなく、より正確な分析を行うための反応を実現することが可能となる。
【0011】
また、チャネル部と検出部との間に、さらに、基質保持槽が連結されていてもよく、基質保持槽に、電子伝達メディエータ又は発色物質が保持されていることが好ましい。
これにより、標識抗体と結合した被検物質を、基質を利用して、より確実に定量することができ、精度よく被検物質の分析をすることが可能になる。特に、電子伝達メディエータ又は発色物質等を基質として用いる場合には、光学的又は電気化学的手法という通常の方法により、被検物質のより正確な分析を行うことができる。
【0012】
検出部には、さらに、一対の電極が形成されていてもよい。
このような構成により、従来の光学的検出装置のような大掛かりで、高価かつ大型の装置を用いることなく、電流又は電圧等の検出という簡便な方法によって、被検物質の分析を行うことができる。従って、分析にかかる費用を低減させることができるとともに、より小型のバイオチップ及びより小型で安価な分析装置の使用を実現することができる。
【0013】
さらに、本発明の免疫分析方法は、上述したバイオチップを用いる免疫分析方法であって、混合槽で被検物質と前記標識抗体とを混合して反応させ、前記被検物質と標識抗体との混合/反応生成物を反応槽に導入し、これらを抗イディオタイプ抗体が固定された固定手段と反応させて未反応の標識抗体を捕捉し、チャネル部を利用して前記被検物質と標識抗体の反応生成物を分離して検出部に導入し、該反応生成物を検出部にて分析することにより被検物質を検出することを特徴とする。
【0014】
ここで、混合/反応生成物とは、未反応の被検物質又は標識抗体及び被検物質と標識抗体との反応生成物である。
このように、上述したバイオチップを用いることにより、従来とは異なる免疫分析方法を容易に実現することが可能となり、より簡便かつ精度よく、免疫分析を行うことができる。
さらに、標識抗体を被検物質に対して過剰量添加して混合することが好ましい。
これによって、被検物質の測定範囲が広くなり、すなわち測定上限の範囲が広がることにより、低濃度から高濃度まで高精度かつ利便性に優れた分析を実現することができる。しかも、被検物質と反応しなかった残余の標識抗体は、固定手段によって確実に除去することができるため、より高精度な分析を実現することができる。
【0015】
また、被検物質の検出を電気化学的又は光学的に行うものが好ましい。
これにより、本発明のバイオチップに対して特別な設計や変更を行うことなく、従来から当該分野で用いられている装置をそのまま利用することができる。特に電気化学的に被検物質の検出を行う場合には、光学的に検出を行う場合に比較して、簡便、小型かつ安価な測定装置を利用することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、洗浄工程を省略して分析を簡略化することができ、正確かつ迅速な分析を実現することができるとともに、シンプルな構造とすることにより、チップの占有面積を低減し、より小型で安価なバイオチップを提供することができる。さらに、このバイオチップを用いることにより、簡便な工程によって、正確かつ迅速な分析を実現できる免疫分析方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のバイオチップは、少なくとも、混合槽と、反応槽と、チャネル部と、検出部とを含んで構成される。これらは、この順に、直列に連結されていることが好ましく、さらに、これらの各要素の間に流路が直列的に形成されていてもよいし、各構成要件に、流路を介して又は介さないで、別の槽又は部分が直列的に、付加的に又は並列的に接続されていてもよい。
【0018】
混合槽は、被検物質と標識抗体とを混合するための空間であって、後述する反応槽及び検出部とは別個の空間として規定されている。その大きさは、特に限定されるものではなく、この目的を実現するために十分な大きさを有していることが必要であるが、これらの物質の種類、量などに応じて適宜設定することができる。例えば、10-2〜103mm3程度が挙げられる。また、混合槽の形状は混合目的に適切なものであれば特に限定されるものではなく、平面及び断面形状ともに、例えば、四角形、台形等の多角形及びこれらの角部分が丸みを帯びた形状、円形、だ円形、ドーム形状あるいは左右非対称の不均一形等どのような形状であってもよい。
【0019】
なお、混合槽又はその上流部には、外部から、被検物質及び/又は標識抗体を注入する注入口が形成されているか、流路を介して注入口に連結されていることが好ましい。ここでの流路の形状、大きさ等は特に限定されるものでなく、例えば、断面積が0.01μm2〜100mm2程度、長さが1μm〜100mm程度のものが挙げられる。
【0020】
また、混合槽又はその上流部には、混合槽へ被検物質又は標識抗体を導入するために、被検物質又は標識抗体を保持し得る保持槽が、上述した被検物質及び/又は標識抗体を注入する注入口の代わりに又は注入口に加えて形成されていてもよい。この保持槽は、例えば、混合槽等と同様の形状、大きさ等とすることができる。これにより、被検物質又は標識抗体(好ましくは、標識抗体)を、保持槽に予め又はその使用直前に保持させることができ、混合槽での被検物質と標識抗体との混合を確実に及び/又は簡便に行うことができる。
あるいは、混合槽自体に、予め(又はその使用直前に)、標識抗体を保持させてもよい。
【0021】
反応槽は、抗イディオタイプ抗体を固定(担持)するための固定手段をその内部に含んでいる。したがって、反応槽は、固定手段を保持するための十分な空間を有していることが必要であるが、固定手段の種類、量等に応じて適宜設定することができる。例えば、10-2〜103mm3程度が挙げられる。また、その形状は、混合槽と同様に、種々の形態に設定することができる。
【0022】
反応槽に含まれる固定手段は、抗イディオタイプ抗体、つまり、抗原抗体反応によって標識抗体と結合する物質を固定し得るものであり、抗イディオタイプ抗体等の活性に影響を与えないものであれば特に限定されるものではなく、その形状、材質、量等は、被検物質及び標識抗体の種類、用いる抗イディオタイプ抗体の種類等によって適宜調整することができる。固定の方法は、物理的吸着、共有結合、イオン結合、架橋、静電相互作用等公知の方法のいずれかを利用することができる。なお、固定の方法は、抗原及び抗体等の活性に影響を与えないものであることが好ましい。
【0023】
固定手段は、反応槽内に収納することができ、フィルター状、織物状、微粒子状、繊維状等の形状の、発泡体、多孔質体等、表面積を増大させ得る種々のもの、一般にバイオリアクター及びクロマトグラフィー等用の担体として使用されているもの等が挙げられる。例えば、微粒子状のものは、ガラスビーズ、ポリスチレン等のポリマービーズ、アガロース、デキストラン、キトサン、タンパク等の高分子化合物(ゲル)の微粒子、シリカ、金属等のビーズ、さらに市販されている微粒子状の固体担体等のいずれかを用いることができる。その直径は、1mm程度以下のもの、10μm〜1mm程度のもの、100〜800μm程度のもの、200〜600μm程度のもの、200μm〜1mm程度のもの等が挙げられる。
なお、固定手段とともに又は固定手段に代えて、反応槽自体が、必要な表面積を確保する(つまり表面積を増大する)ように形成されているものを利用することもできる。例えば、反応槽を構成する壁面表面が粗いもの、壁面自体に凹凸が形成されたものが挙げられる。
【0024】
混合槽と反応槽とは、流路を通して又は流路を介さないで直接、直列で連結されていることが好ましい。いずれの場合にも、反応槽に含まれる固定手段が、流路側及び/又は混合槽側に移行しないように、混合槽と反応槽との間に、後述するようなチャネル部と同様又は類似の構成を含むものが好ましい。
【0025】
チャネル部は、反応槽と後述する検出部との間に形成されており、反応槽内に存在する固定手段の径よりも小さい径を有する。ここで、「径」とは、固定手段及び/又はチャネル部の形状によって、幅、高さ、長さ等とすることができるが、固定手段の「径」においては固定手段1単位における最大の長さ(幅)、チャネル部の「径」においてはチャネル部の断面における最小の長さ(幅)であることが適当である。つまり、チャネル部は、反応槽に存在する固定手段を、反応槽内にのみ止めるために、反応槽の出口(好ましくは入口にも)に、固定手段を通過させない機能又は形状を与えている。
チャネル部が流路自体である場合は、例えば、固定手段の径よりも細い径の流路であってもよいし、流路の一部において、1以上の凸部を形成して、その径を狭める部分を含むものでもよい。
【0026】
検出部は、被検物質、標識化合物又は基質から生成される生成物を検出するための空間であって、混合槽及び反応槽とは別の空間として形成されている。検出部の大きさ及び形状は特に限定されず、例えば、検出方法(手法)、被検物質の種類及び量等に応じて適宜設定することができる。具体的には、1〜103mm3程度が挙げられる。また、その形状は、混合槽と同様に、種々の形状に設定することができる。
例えば、検出方法が光学的方法である場合には、検出部において、被検物質、標識化合物又は基質から生成される生成物に光を照射し、その光を検出し得るように、所定長さの光路を確保することができる形状及び大きさであることが必要である。また、電気化学的方法である場合には、検出部において、被検物質を含む溶液の電荷を検出し得るように、導電性材料による一対の電極がこの溶液に接触するように形成されていることが必要である。
【0027】
ここで、一対の電極は、通常、電極として機能することができる材料、大きさ及び形状であれば特に限定されることはなく、どのようなものでも用いることができる。例えば、グラファイト、カーボン、カーボンファブリック等;金、白金、銀、銅、アルミニウム等の金属又は合金、SnO2、In23、WO3、TiO2等導電性酸化物等の単層又は2以上の積層構造が挙げられる。この電極は、導電材料片をバイオチップに貼り付けるか、一部を埋設するなどして形成してもよいし、導電剤ペーストを用いたスクリーン印刷法等の印刷法を用いて形成してもよい。
なお、検出部は、反応槽と、流路を通して又は流路を介さないで直接、直列で連結されていることが好ましい。いずれの場合にも、反応槽に含まれる固定手段が流路及び/又は検出部側に移行しないように、検出部と反応槽との間に、チャネル部が形成されており、両者が分離されていることが適当である。
【0028】
また、チャネル部と検出部との間に、基質等を保持するための保持槽が、直列に又は付加的に、流路を介して又は介さないで、連結されていてもよい。この保持槽は、例えば、混合槽等と同様の形状、大きさ等とすることができる。これにより、基質等を、保持槽に予め又はその使用直前に、保持させることができ、検出部での被検物質の検出をより確実に及び/又は簡便に行うことができる。
【0029】
ここで、基質等とは、標識物質を検出するための試薬類であって、通常使用されているものが適用できる。例えば、色素、染料、蛍光物質等、有機酸又は無機酸、電極と被検物質との間で電子を授受し得る電子移動媒体として機能し得る電子伝導メディエータ等の1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
色素、染料、蛍光物質としては、OPD(オルトフェニレンジアミン)、TMBZ(3,3',5,5',-テトラメチルビンジジン)、チラミン(Tyramin)、ルミノール、ルシフェリン等が挙げられる。
【0030】
有機酸又は無機酸としては、過酸化水素、蟻酸、酢酸等が挙げられる。
電子伝達メディエータとしては、例えば、フェロセン、フェリシアン化アルカリ金属(フェリシアン化カリウム、フェリシアン化リチウム、フェリシアン化ナトリウム等)又はこれらのアルキル置換体(メチル、エチル、プロピル置換体等)、メチレンブルー、フェナジンメトサルフェート、p−ベンゾキノン、2,6−ジクロロフェノールインドフェノール、β−ナフトキノン−4−スルホン酸カリウム、フェナジンエトサルフェート、ビオローゲン、ビタミンK等の酸化還元性の化合物の1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。なかでも、フェロセン、フェリシアン化カリウム等が好ましい。
なお、これらの基質を保持させる方法としては、基質自体をそのまま、基質の機能を阻害しない溶媒等に溶解又は懸濁等させ、塗布、乾燥する方法、基質を適当な担体(例えば上述した固定手段)等に混合又は分散させて固定する方法等、当該分野で公知の方法のいずれかを利用することができる。
【0031】
上述したバイオチップは、上述した種々の名称で呼ばれている従来のチップと同様の材料で形成することができる。例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PC(ポリカーボネイト)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、ポリエチレン、ポリシロキサン、アリルエステル樹脂、シクロオレフィンポリマーなどの有機化合物、あるいは、ゼオノア、シリコン、石英、ガラス、セラミック等の無機化合物等が挙げられる。
【0032】
このバイオチップは、例えば、主として、一方又は双方に凹部による種々の形状のパターンを有する第1基板と第2基板とが、例えば、溶着、接着剤、超音波処理等によって、貼り合わせによって簡便に製造することができる。具体的には、所望の反応槽等に対応する形状を有する金型を準備する。この金型は、機械的加工により形成することができる。次に、この金型に、樹脂をモールド等して反応槽等の形状が転写された基板を得る。最後に、この基板を、パターン同士が対向するように、2枚張り合わせる。なお、混合槽等に対応するパターンを有する基板を一方のみとし、他方を平板基板としてもよい。また、金型を用いたモールディングに代えて、射出成型法あるいはインプリント法等を利用してもよい。
さらに、平板基板の一方又は双方に、フォトリソグラフィー工程、機械的加工等を直接施して、混合槽等に対応するパターンが転写された基板を得てもよい。
【0033】
なお、本発明のバイオチップは、その取り扱い(例えば、試料等の導入、混合、撹拌、試料等の移行、検出など)が手動で行ってもよいし、自動で行ってもよいし、一部のみ自動で行ってもよい。例えば、撹拌及び混合、試料等の移行は、ポンプを利用する方法、振動又は遠心力を利用する方法を用いることができる。
また、本発明の免疫分析方法においては、まず、混合槽で被検物質と標識抗体とを混合して反応させる。
【0034】
混合槽で混合される被検物質としては、これに対する抗体が得られれば分子量等は特に問わない。例えば、細菌、ウィルス、寄生虫、タンパク質、ペプチド、DNA、薬物等が挙げられる。
標識抗体は、被検物質と結合(好ましくは、抗原抗体反応によって)する部位、つまり抗体部分に、被検物質を定量するための標識化合物が結合して構成されるものである。
抗体部分は、F(ab’)フラグメント又は還元IgGからなり、後述する標識化合物と1:1〜1:n(nは整数、例えば、2〜5の整数)で結合するものであることが好ましい。
標識化合物としては、酵素、色素、酸化還元物質、蛍光物質、放射性物質、金属粒子、磁性体等、当該分野で通常使用される標識化合物のいずれをも用いることができる。
標識化合物と、抗体部分は、予め当該分野で通常使用される方法(抗原抗体反応による結合)によって結合させておくことが適当である。
【0035】
混合槽で、被検物質と標識抗体とを混合して反応させる方法は、例えば、被検物質を含む試料を混合槽に導入し、予め、同時に又はその後、標識抗体を導入すればよい。この際、被検物質の量に対して、過剰量の標識抗体を反応させることが好ましい。これによって、被検物質の全てに標識することが可能となる。ここで、被検物質自体の量は、通常は不明であるため、過剰量の標識抗体を導入するために、例えば、予めバイオチップを用いて測定可能な被検物質濃度又はその範囲を設定しておき、その設定した濃度又は範囲上限の1〜100倍(モル比)を過剰量として導入することが適当である。
混合して反応させる場合の条件は、特に限定されるものではなく、測定しようとする被検物質、標識抗体の種類等により適宜設定することができるが、これらの物質の活性に影響を与えない条件、例えば、20〜40℃程度の温度で、30秒間〜10分間程度が挙げられる。
【0036】
次いで、被検物質と標識抗体との混合/反応生成物を反応槽に導入する。
ここで、上述したように、通常は、混合槽に過剰量の標識抗体を導入するために、反応槽には、残余の標識抗体及び被検物質と標識抗体との反応生成物(好ましくは、被検物質と標識抗体とが抗原抗体反応によって結合したもの)が導入されることになる。このように反応槽に導入された標識抗体及び反応生成物等は、固定手段に担持された抗原または抗体と接触することにより抗原抗体反応によって固定手段に固定された抗イディオタイプ抗体に結合するか、あるいは結合しないで反応槽を通過する。
固定手段に担持された抗イディオタイプ抗体は、被検物質及び標識抗体の種類によって、適宜選択することができる。
【0037】
本発明における抗イディオタイプ抗体は、標識抗体の抗体部分が有する抗原結合部位の固有の構造を認識するモノクローナル抗体のことで、一般的に抗イディオタイプ抗体と呼ばれるものである。抗イディオタイプ抗体は、抗原(被検物質)により目的とする抗体(標識抗体の抗体部分)への結合が阻害できるタイプと阻害できないタイプが存在することが知られているが、本発明に使用できる抗イディオタイプ抗体とは、抗原(被検物質)によりその結合が阻害できるもの、すなわち抗原(被検物質)と標識抗体の結合物には結合できないタイプのものを指す。
【0038】
この抗イディオタイプ抗体は、通常の方法に従って容易に作製することができる。例えば、マウス由来のモノクローナル抗体の抗イディオタイプ抗体を作る場合、抗原となるモノクローナル抗体をKLH複合体としてマウスに投与すれば、あとは通常のモノクローナル抗体の作製方法に従って製造することができる。従って、抗イディオタイプ抗体は、通常のモノクローナル抗体と同様に、容易かつ大量に作製することができる。
【0039】
従って、被検物質と標識抗体の反応液が反応槽を通過する際、未反応の標識抗体は固定手段に担持された抗イディオタイプ抗体に捕捉されて反応槽から槽外(検出部)へ移動することができず、一方、標識抗体と結合した被検物質は固定手段に捕捉されないためチャネル部を通り抜けて、検出部に移動することができる。このように、反応槽での処理により、不要な標識抗体を測定結果の精度に影響しない程度に抑え、試料中の被検物質のほぼ全てを、測定可能なように標識された状態で分離する(例えば、いわゆるB/F分離する)ことができる。
【0040】
続いて、反応生成物を検出部にて分析する。ここでの分析は、例えば、標識化合物の定量を、色素の発色強度を測定する光学的方法、電子の授受による電流値又は電圧値用を測定する電気化学的方法、電気的方法、放射性同位元素の強度を測定するラジオイムノアッセイ法、磁気による方法(例えば、標識に磁気ビーズを用いた場合)等の当該分野で公知の方法のいずれかによって行うことができる。
【0041】
実施例1
本発明のバイオチップ10は、図1(a)及び(b)に示したように、混合槽11と、反応槽12と、チャネル部15と、検出部14とが直列に配設されて構成されている。
混合槽11は、被検物質と標識抗体とが混合される槽であって、ここで、例えば、被検物質としてC反応性タンパク(CRP)と、標識抗体としてホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)標識抗CRP抗体とが混合される。この混合槽11は、例えば、50mm2(平面積)×1mm(深さ)程度の空間を有する。なお、標識抗体は、例えば、一般的な架橋剤を用いて調製される。
【0042】
反応槽12は、例えば、50mm2(平面積)×1mm(深さ)程度の空間を有し、その中に、抗イディオタイプ抗体を固定するための固定手段13が含まれている。固定手段13としては、直径0.4mm程度の球状のキトパール(富士紡績製)を、例えば、反応槽12の70%程度の空間を占める程度導入されている。この固定手段13には、標識抗体と抗原抗体反応によって結合し得る物質として、抗CRP抗体に対する抗イディオタイプ抗体が固定されている。
チャネル部15は、幅が100μm程度で、深さが0.2mm程度に設定されており、反応槽12中の固定手段13であるキトパールの直径よりも小さい径を有し、キトパールが反応槽12から他の部位に移動しないように形成されている。
【0043】
検出部14は、例えば、光学的検出として吸光度を測定するために、長さ100mm程度で、断面積が1mm2程度の一定形状を有している。
混合槽11には、被検物質を含む試料を注入するための注入口17が連結されている。
また、混合槽11と反応槽12、反応槽12(チャネル部15)と検出部14との間には、流路19がそれぞれ連結されており、反応槽12の入口付近の流路19には、固定手段13の直径よりも小さい径を有するチャネル部16が形成されている。さらに、検出部14には、流路19を介して廃出口18が連結されている。
【0044】
このような構成のバイオチップ10においては、例えば、まず、図7のS1において、被検物質を含む試料3μlと、この被検物質に対して過剰量(予めバイオチップを用いて被検物質濃度を設定し、その設定濃度の1〜100倍程度のモル比)の標識抗体とを、試料の注入口17から導入する。
導入された試料は、S2において、混合槽11に移動して混合され、被検物質と標識抗体とが反応し、ここで、被検物質のほぼ全てが標識抗体と結合し、一部の標識抗体が被検物質と結合しないまま残存する。
【0045】
続いて、S3において、バイオチップ10を回転させて得られる遠心力または加圧等によって反応生成物等を反応槽12に移動させ、反応槽12内に充填された固定手段13の抗体に、標識抗体を結合させる。ここでの固定手段13の抗体は、被検物質であるCRPと競合的に標識抗体における抗CRP抗体と反応する。従って、標識抗体のうち、被検物質と結合していないもののみが固定手段13における抗体と結合する。なお、固定手段13への抗体固定化法は、供給元の推奨方法に従った。
【0046】
これによって、S4に示したように、チャネル部15によって、固定手段13と結合した標識抗体は反応槽12内に留まり、標識抗体と結合した被検物質のみが、固定手段13に結合することなく、検出部に移動することができ、いわゆるB/F分離が行われる。
その後、S5に示したように、検出部に導入された標識抗体と結合した被検物質について、予め検出部に導入しておいた発色物質(SAT−Blue((株)同仁化学研究所)を標識抗体におけるHRPの活性によって発色させる。そして、例えば、670nmにおける試料の吸光度の変化を測定することにより、試料中の被検物質を定量することができる。
なお、被検物質の反応及び測定は、すべて室温で行った。
【0047】
実施例2
この実施例のバイオチップは、図2(a)及び(b)に示したように、検出部24に一対のカーボンブラックによる電極25が形成され、さらに、チャネル部15と検出部24との間に流路19を介して基質保持槽21が形成されている以外、図1のバイオチップとほぼ同様の構成である。
電極25は、例えば、長さ10mm程度、厚さ15μm程度でカーボンペーストによって形成されている。これらの電極25は、バイオチップ20を構成する下部基板20bの検出部24に対応する位置に配置され、電極25の一部を被覆し、一部を露出するように、下部基板20b上に上部基板20aが貼り合わせられることにより、検出部24が密閉状態で、かつ検出部24内から外部に突出する電極を備えている。
また、基質保持槽21は、混合槽11とほぼ同様の形状及び大きさで形成されており、予め又は使用直前に、基質として、5mMの過酸化水素と、3mMのフェロセンとが保持されている。基質の保持は、例えば、所定量の過酸化水素及びフェロセン(Fc)とを水溶液の状態で基質保持槽に導入することにより行われている。
【0048】
このような構成を有するバイオチップ20においては、例えば、図8のS1において、実施例1と同様に、試料と標識抗体とを注入口17から導入し、S2において、混合、反応させる。続いて、S3において、実施例1と同様に、固定手段13の抗体に標識抗体を結合させ、S4においてB/F分離を行う。
その後、S5に示したように、基質として加えたフェロセンを、標識化合物である酵素によってフェリシニウムイオン(Fc+)に変換し、さらにこれを電極上で還元するという酸化還元反応を行わせることにより、その際に生じる電流値を測定する。この電流値は、被検物質の量、つまり、被検物質と標識抗体との反応生成物の濃度に比例した値となり、被検物質の測定を定量的に行うことができる。
なお、電極電位は0Vで、参照電極(例えば、Ag/AgCl)を用いてもよい。
【0049】
実施例3
この実施例のバイオチップ30は、図3に示したように、混合槽11に、流路19を介して標識抗体保持槽31が形成されている以外は、図1のバイオチップとほぼ同様の構成である。
標識抗体保持槽31には、標識抗体が予め又は使用直前に導入されており、試料の注入口17からの導入と同時に、混合槽11に導入され、混合槽11で試料(被検物質)と標識抗体とが混合、反応される。
このようなバイオチップ30は、実施例1において、被検物質として抗CRP抗体、標識抗体としてホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)標識CRP、固定手段に固定された抗体が抗CRP抗体とする場合においても、実施例1で説明したように、図7に示した工程により、免疫分析方法を行うことができる。
【0050】
実施例4
この実施例のバイオチップ40は、図4に示したように、チャネル部15と検出部14との間に基質保持槽44が直列的に形成されている以外は、図1のバイオチップとほぼ同様の構成である。
基質保持槽44には、予め又は使用直前に、例えば、色素が保持されており、反応槽12からの、いわゆるB/F分離された被検物質が、ここで色素と混合され、検出部14に導入されることになる。
このようなバイオチップ40は、実施例1で説明したように、図7に示した工程により、免疫分析方法を行うことができる。
【0051】
実施例5
この実施例のバイオチップ50は、図5に示したように、チャネル部15と検出部14との間に流路を介して、基質保持槽51が付加的に形成されている以外は、図4のバイオチップとほぼ同様の構成である。
基質保持槽51には、予め又は使用直前に、例えば、色素が保持されており、反応槽12からいわゆるB/F分離される際に、同時に色素が注入され、検出部14に導入されることになる。
このようなバイオチップ50は、実施例1で説明したように、図7に示した工程により、免疫分析方法を行うことができる。
【0052】
実施例6
この実施例のバイオチップ60は、図6に示したように、チャネル部15と検出部14との間に流路を介して、基質保持槽51が付加的に形成され、さらに、基質保持槽51への連結部と検出部14との間に、混合槽64が直列的に形成されている以外は、図4のバイオチップとほぼ同様の構成である。
基質保持槽61には、予め又は使用直前に、例えば、色素が保持されており、反応槽12からいわゆるB/F分離される際に、同時に色素が注入され、混合槽64で、標識抗体と結合した被検物質と色素とが混合され、検出部14に導入されることになる。
このようなバイオチップ60は、実施例1で説明したように、図7に示した工程により、免疫分析方法を行うことができる。
【0053】
実施例7
この実施例のバイオチップ70は、図9(a)に示したように、反応槽12の入口及び出口のチャネル部16、15近傍に、固定手段13の過度の移動を抑制等するための凸部75が形成されている以外、実質的に図1のバイオチップ10と同様の構成である。
このバイオチップ70では、例えば、図9(a)に示したように、予め、標識抗体71が混合槽に導入されており、また、この標識抗体71を構成する抗体部分に対する抗イディオタイプ抗体が担持された固定手段13が、緩衝液72に浸漬される状態で、反応槽12に保持されている。
まず、被検物質を含む試料を、試料の注入口17から導入し、次いで、図9(b)に示したように、バイオチップ70にgaで示す矢印方向に遠心力を負荷し、試料を混合槽11内部に導入し、標識物質71と試料との混合・反応性生物を含有する混合液73を得る。
【0054】
続いて、図9(c)及び(d)に示したように、順にgb及びgaの遠心力をかけて、混合液73を十分に混合する。その後、図9(e)に示したように、バイオチップ70にgcの遠心力をかけて、混合液73を反応槽12に導入し、混合液73と緩衝液との混合液74を得る。
次いで、図9(f)及び(g)に示したように、順にga及びgcの遠心力をかけて、混合液74を十分に混合するとともに、混合液74と固定手段13とを混合する。これによって、混合液74中に含まれる単独の標識抗体が、固定手段13の抗イディオタイプ抗体と反応し、固定手段に捕捉される。
【0055】
その後、図9(h)に示したように、バイオチップ70にgdの遠心力をかける。これにより、チャネル部15によって、固定手段13と結合した標識抗体は反応槽12内に留まり、標識抗体と結合した被検物質のみが、固定手段13に結合することなく、検出部14に移動することができ、いわゆるB/F分離が行われる。
なお、この際、混合液74を完全に検出部14に導入してもよいが、図9(h)に示すように、一部の混合液74を反応槽12内に留めておくことが好ましい。個々の固定手段13内部に含まれる緩衝液(例えば、ビーズ内部に含まれる深層内部液)を完全に除去して検出部に導入することによる測定誤差の発生等を防止するためである。
その後、図7のS5に示したのと同様に、試料中の被検物質を定量する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明のバイオチップの一実施形態を示す平面図及び断面図である。
【図2】本発明のバイオチップの別の実施形態を示す平面図及び断面図である。
【図3】本発明のバイオチップのさらに別の実施形態を示す平面図である。
【図4】本発明のバイオチップのさらに別の実施形態を示す平面図である。
【図5】本発明のバイオチップのさらに別の実施形態を示す平面図である。
【図6】本発明のバイオチップのさらに別の実施形態を示す平面図である。
【図7】本発明のバイオチップを用いた免疫分析方法を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の別のバイオチップを用いた別の免疫分析方法を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明のバイオチップを用いた免疫分析方法を説明するためのバイオチップの平面工程図である。
【図10】従来のマイクロチップの実施形態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0057】
10、20、30、40、50、60、70 バイオチップ
11 混合槽
12 反応槽
13 固定手段
14、24 検出部
15、16 チャネル部
17 導入口
18 排出口
19 流路
20a 上部基板
20b 下部基板
21、61 基質保持槽
25 電極
31 標識抗体保持槽
44、51 色素保持槽
64 混合槽
71 標識抗体
72 緩衝液
73、74 混合液
75 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検物質とそれと反応する標識抗体とを混合するための混合槽と、
抗イディオタイプ抗体を固定するための固定手段を含む反応槽と、
前記被検物質を検出する検出部とを有するバイオチップであって、
前記混合槽又はその上流部に標識抗体を含んでなり、標識抗体は、F(ab’)フラグメント又は還元IgGからなる抗体部分と標識化合物とが1:1〜1:n(nは整数)で結合して構成され、
前記反応槽と検出部とが、前記固定手段を通過させないチャネル部によって分離されてなり、
前記抗イディオタイプ抗体が、前記被検物質と標識抗体との反応生成物には結合できない、前記標識抗体を構成する抗体部分に対する抗体であることを特徴とするバイオチップ。
【請求項2】
固定手段が、抗イディオタイプ抗体を担持する微粒子である、請求項1に記載のバイオチップ。
【請求項3】
混合槽、反応槽、チャネル部及び検出部がこの順で直列に連結されてなる、請求項1又は2に記載のバイオチップ。
【請求項4】
チャネル部と検出部との間に、さらに、基質保持槽が連結されてなる、請求項1〜3のいずれか1つに記載のバイオチップ。
【請求項5】
基質保持槽に電子伝達メディエータ又は発色物質が保持されてなる、請求項4に記載のバイオチップ。
【請求項6】
検出部に、一対の電極が形成されてなる、請求項1〜5のいずれか1つに記載のバイオチップ。
【請求項7】
被検物質とそれと反応する標識抗体とを混合するための混合槽と、抗イディオタイプ抗体を固定するための固定手段を含む反応槽と、前記被検物質を検出する検出部とを有し、前記反応槽と検出部とが、前記固定手段を通過させないチャネル部によって分離され、前記抗イディオタイプ抗体が、前記被検物質と標識抗体との反応生成物には結合できない、前記標識抗体を構成する抗体部分に対する抗体であるバイオチップを用いる免疫分析方法であって、
F(ab’)フラグメント又は還元IgGからなる抗体部分と標識化合物とが1:1〜1:n(nは整数)で結合してなる標識抗体を使用して、混合槽で被検物質と前記標識抗体とを混合して反応させ、
前記被検物質と標識抗体との混合/反応生成物を反応槽に導入し、これらを抗イディオタイプ抗体が固定された固定手段と反応させて未反応の標識抗体を捕捉し、
チャネル部を利用して前記被検物質と標識抗体の反応生成物を分離して検出部に導入し、
該反応生成物を検出部にて分析することにより被検物質を検出することを特徴とする免疫分析方法。
【請求項8】
標識抗体を被検物質に対して過剰量添加して混合することを特徴とする、請求項7に記載の免疫分析方法。
【請求項9】
被検物質の検出を電気化学的又は光学的に行う、請求項7又は8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−64827(P2007−64827A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−252105(P2005−252105)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【出願人】(000144577)株式会社三和化学研究所 (29)
【Fターム(参考)】