説明

バイオ燃料電池

【課題】本発明は、水素ガスを地球環境にやさしく産生するとともに持ち運びが可能なように貯蔵し、貯蔵した水素ガスから容易に水素ガスを抽出可能で運搬性に優れたバイオ燃料電池を提供することを目的とする。
【解決手段】水素電極に供給する水素を発生させる水素発生部を備え、同水素発生部は、固形状または半固形状の培地からなり、同培地中に植菌して糖類を充填し培養した水素産生菌から発生する代謝ガスを内部に気泡状態で貯蔵する代謝ガス貯蔵手段と、該培地の粘度を低下させて、代謝ガス貯蔵手段に気泡状態で貯蔵した代謝ガスを放出させる代謝ガス放出手段と、代謝ガス貯蔵手段より放出された代謝ガスから水素ガスを抽出する水素ガス選別手段とを備えることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水素産生菌によって産生する水素ガスを活用したバイオ燃料電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、地球環境と資源の問題を解決するために二酸化炭素(CO)排出量の削減に向け、また世界的なクリーンエネルギー産出に向けて様々な研究が行われている。
【0003】
そのなかの一つとして、化石燃料を燃焼させて発電する方法に替えて、各種燃料電池の開発が進められている。燃料電池とは、水素(H)と酸素(O)とを化学反応させて水(HO)を生成する際の電気エネルギーを得る発電装置である。
【0004】
特に近年、燃料電池に供給する水素の供給源として、水素産生能を持つ菌体(例えば酪酸菌など)やそれらの水素産生酵素を活用することで、水素ガスを産出する技術が提案されている(例えば特許文献1)。
【0005】
この水素産生菌による方法によれば、水素産生菌の生育環境を良好に保つことにより、連続的に水素を得ることができ、発電を行うことができる。
【特許文献1】特開2005−270046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の水素産生菌により水素を生成する技術では、産生した水素を貯留しておく技術に関しては、未だ検討の余地が残されていた。
【0007】
すなわち、上記従来の技術では、微生物により恒に水素を産生できるにもかかわらず、発電を要しない時に、余剰の水素を貯留しておく手段に関して何等考慮されていない。
【0008】
勿論、水素産生菌により得られた水素をタンク等に圧搾して貯留することは可能であると思われるものの、圧搾した水素は、取扱いの上で安全性に問題がある。
【0009】
それゆえ、例えば、自動車やパーソナルコンピュータ、携帯電話などの電子機器の燃料電池として用いるのは困難であった。
【0010】
そこで、本発明は、水素ガスを微生物により産生するとともに、安全に持ち運びが可能なように貯蔵し、しかも、貯蔵した水素ガスを容易に抽出できるバイオ燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、供給された水素のイオン化に伴い負極となる水素電極と、供給された酸素のイオン化に伴い正極となる酸素電極とを備え、水素電極に水素を供給すると共に、酸素電極に酸素を供給することにより、両電極間に電圧勾配を生じさせる燃料電池において、水素電極に供給する水素を発生させる水素発生部を備え、同水素発生部は、固形状または半固形状の培地からなり、同培地中に植菌して糖類を充填し培養した水素産生菌から発生する代謝ガスを内部に気泡状態で貯蔵する代謝ガス貯蔵手段と、該培地の粘度を低下させて、代謝ガス貯蔵手段に気泡状態で貯蔵した代謝ガスを放出させる代謝ガス放出手段と、代謝ガス貯蔵手段より放出された代謝ガスから水素ガスを抽出する水素ガス選別手段とを備えることを特徴とするバイオ燃料電池である。
【0012】
また、請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、培地は、寒天培地としたものである。
【0013】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2記載の発明において、水素産生菌は、酪酸菌の純菌体としたことを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項4に記載の発明では、請求項2または請求項3記載の発明において、代謝ガス放出手段は、アルカリ性液体または酸性液体のいづれか一の液体を充填して、固体担体のペーハー(pH)値を4.0より小さくまたは12.0より大きくしたものである。
【0015】
また、請求項5に記載の発明では、請求項2または請求項3記載の発明において、代謝ガス放出手段は、培地を加温して粘度を低下させるものである。
【0016】
また、請求項6記載の発明では、請求項1〜5のいずれか1項記載のの発明において、酸素電極に供給する酸素を発生させる酸素発生部を備え、同酸素供給部は、藍藻類細菌を培養することにより酸素を発生させるものである。
【0017】
また、請求項7記載の発明では、請求項6記載の発明において、水素産生菌は、酪酸菌と紅色細菌とを混合して培養したものであり、糖類は、グルコースとしたものである。
【0018】
また、請求項8記載の発明では、請求項1〜7記載のいずれか1項記載の発明において、バイオ燃料電池で生じる熱エネルギーを水素産生菌の培養熱として供給するものである。
【0019】
また、請求項9記載の発明では、水素産生菌を液体培養するステップと、固体担体の発育培地に加温状態で前記水素産生菌を植菌するステップと、基質を充填するステップと、前記埴菌した水素産生菌を培養し固化するステップと、を備えた水素貯蔵方法である。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、培養した水素産生菌を固体担体に埴菌して培養させて固体担体に代謝ガスを貯蔵させたことにより、燃料電池に必要な水素ガスを高圧縮化して持ち運ばなくてもよくなり、必要なときにまた必要な場所で固体担体を液化することで水素ガスを得ることができるので、運搬性に優れたバイオ燃料電池を提供できるようになる。
【0021】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1発明において、固体担体は、寒天培地としたことにより、寒天培地内に水素ガスを貯蔵することができるので、固体担体として持ち運びが可能な水素源とすることができるようになる。また、寒天培地は、ペーハーを変えると、また、加温することで容易に液化することができるので、貯蔵した水素ガスを必要に応じて抽出することができるようになる。
【0022】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1または請求項2記載の発明において、水素産生菌は酪酸菌の純菌体としたことにより、ガス改質をせずに直接水素源として利用できるようになるので、コンパクトな燃料電池などの水素源として利用できるようになる。
【0023】
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3のいずれか一記載の発明において、固体担体にアルカリ性液体または酸性液体のいづれか一の処理剤を充填してペーハー(pH)を4.0より小さくまたは12.0より大きくしたことにより、固体担体を液化することができるので、固体担体内に貯蔵した水素を水素ガスとして取り出すことができるようになる。
【0024】
また、請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜3のいずれか一記載の発明において、固体担体を加温することにより、固体担体を液化することができるので、固体担体内に貯蔵した水素を水素ガスとして取り出すことができるようになる。
【0025】
また、請求項6に記載の発明によれば、燃料電池の酸素電極に供給する酸素ガスは、藍藻類細菌で産生したことにより、嫌気条件で燃料電池での発電をすることができるようになり、宇宙ステーションなどでの発電源としても利用可能となる。
【0026】
また、請求項7に記載の発明によれば、水素産生菌は、酪酸菌と紅色細菌とを混合して培養したものであり、固定担体に充填する基質を、グルコースとしたことにより、酪酸菌で生じた酪酸を紅色細菌で水素ガスを発生し、効率的な水素ガスを産生することができる。また、藍色細菌で生じたグルコースを再度酪酸菌によって水素ガスを産生できるような循環型のバイオ燃料電池とすることができる。
【0027】
また、請求項8に記載の発明によれば、バイオ燃料電池で生じる熱エネルギーを水素産生菌の培養熱として供給することにより、熱エネルギーの有効活用が可能となり、省電力化を可能とするものである。
【0028】
また、請求項9に記載発明によれば、水素産生菌を液体培養するステップと、ゲル状担体の発育培地に加温状態で水素産生菌を埴菌するステップと、基質を充填するステップと、植菌した水素産生菌を培養し固化するステップと、を備えた水素貯蔵方法としたことにより、水素をゲル状担体に蓄留することができるので、持ち運びが容易な水素源とすることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本実施形態に係るバイオ燃料電池Aについて図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るバイオ燃料電池Aの全体構成を示した概念図である。なお、以下の説明において図面に示す構成は、本発明の概念の一実施形態としてプラント様に具体化したものであり、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0030】
すなわち、以下に示す構成を適宜縮小したり変形して、自動車やパーソナルコンピュータ、携帯電話などの電子機器の燃料電池として利用可能であるのは勿論である。
【0031】
図1に示すように、バイオ燃料電池Aは、燃料電池本体10と、同燃料電池本体10に水素ガスを供給する水素発生部11と、燃料電池本体10に空気を送気して酸素を供給する酸素供給部12とで構成している。
【0032】
燃料電池本体10は、水素発生部11から供給された水素を燃料とする一方、酸素供給部12から供給された空気中の酸素を酸化剤として電力を取り出す化学電池である。
【0033】
燃料電池本体10は、水素と酸素とにより発電を行うセル体18と、同セル体18の発電時に生じる熱を吸収する熱交換部19とを備えている。
【0034】
セル体18は、水素発生部11より供給された水素のイオン化に伴い負極となる水素電極13と、酸素供給部12より供給された空気中の酸素のイオン化に伴い正極となる酸素電極14と、水素発生部11より供給された水素を水素電極13に効率よく接触させるための水素側電極接触流路部16と、酸素電極14にも酸素供給部12より供給された空気(酸素)を酸素電極14に効率よく接触させるための酸素側電極接触流路部17とが備えられている。
【0035】
そして、水素電極13と酸素電極14との間には、固体高分子膜状の電解質15をサンドイッチ状に介設している。
【0036】
また、水素側電極接触流路部16には、供給された代謝ガスのうち、反応に供されなかったガスを排気する排ガス管34が配設されており、また、酸素側電極接触流路部17には、セル体18での発電に伴って生成する水を排出するためのドレン管35が配設されている。
【0037】
熱交換部19は、セル体18の周囲に熱媒体流体(例えば、水)を流通させる流路管を配設して形成しており、同流路管に熱媒体流体を流通させることにより、セル体18での発電に伴って生じた熱を奪うと共に、その熱を水素発生部11へ運搬する役割を担っている。具体的には、熱交換部19を形成する流路管は、後述する水素発生部11の熱媒体循環ポンプ22へ接続されている。
【0038】
水素発生部11は、微生物によって代謝ガスを発生させる培養タンク20と、発生させた代謝ガスから夾雑ガスを除去して、代謝ガス中の水素の濃度を高めるガス改質機21と、前述の熱交換部19と培養タンク20との間で熱媒体流体を循環させるための熱媒体循環ポンプ22とを備えている。
【0039】
培養タンク20は、内部に収容した培地中で水素産生菌を培養して水素を含有する代謝ガスを発生させると共に、代謝ガスを貯留する部位である。この培養タンク20は、本発明の要部を成すものであり、後に詳述する。
【0040】
培養タンク20の上部からは、発生させた代謝ガスを送給する代謝ガス送給管23が延出しており、その先端はガス改質機21に接続されている。
【0041】
ガス改質機21は、培養タンク20にて発生させた代謝ガス中の水素濃度を高める装置である。この代謝ガス中の水素を高める方法については、公知の方法を適宜使用することができる。特に本実施形態では、代謝ガスを構成する成分を比重により分離して水素ガスの濃度を高めることとしている。
【0042】
このガス改質機21からは、改質したガス(以下、改質ガスという。)を燃料電池本体10へ送給する改質ガス送給管24が延出しており、その先端部は水素側電極接触流路部16に接続されている。
【0043】
熱媒体循環ポンプ22は、燃料電池本体10での反応時に生成する熱を、培養タンク20における水素産生菌の培養に要する熱として供給するための手段である。換言すれば、培養タンク20を水素産生菌の培養至適温度に保つために、燃料電池本体10にて生じた熱を熱媒体循環ポンプ22を介して供給するようにしている。
【0044】
すなわち、熱交換部19と熱媒体循環ポンプ22と、培養タンク20(後述するジャケット部33)とで、培養タンク20を水素産生菌の培養至適温度に保つための熱供給手段として機能させている。
【0045】
なお、本実施形態では、培養タンク20と燃料電池本体10との間で水を媒体として熱交換を行うことにより、燃料電池本体10にて生じた熱を培養タンク20に供給可能としているが、燃料電池本体10にて発生した熱を培養タンク20へ供給可能なシステムであれば特に限定されるものではない。
【0046】
酸素供給部12は、空気流を生起するための送風ファン25と、同送風ファン25にて生成した空気流を酸素側電極接触流路部17へ送気するための空気流送気管26とで構成しており、酸素側電極接触流路部17へ酸素を含有する空気を送気可能としている。
【0047】
上述してきた構成により、燃料電池本体10は、水素側電極接触流路部16に水素を供給させるとともに、酸素側電極接触流路部17に酸素(空気)を供給することにより水素電極13と酸素電極14との間に電圧勾配を生起することができるのである。
【0048】
続いて、燃料電池本体10にて電位勾配が生起する仕組みについて簡単に述べる。
【0049】
燃料電池本体10では、下記のような反応が行われているものと考えられる。すなわち、水素発生部11から水素側電極接触流路部16へ供給された水素(H)が、水素電極13で2個の電子(e)を離して水素イオン(H)になる。
→ 2H + 2e
【0050】
水素(H)から離れた電子(e)は、電力を要する任意の機器、例えば、外部接続回路29を通って反対側の酸素電極14に電流として流れる。ここで電位勾配が発生することになる。
【0051】
また、酸素電極14では、送風ファンによって供給された空気中から取り入れられた酸素分子(O)が、外部接続回路29から戻ってきた電子(e)を受け取り、酸素イオン(O)になる。酸素イオン(O)は、電解質15を伝って移動してきた水素イオン(2H)と結合して、水(HO)になる。
1/2O + 2H + 2e → H
【0052】
このようにして、バイオ燃料電池Aの水素側電極接触流路部16に改質ガスを供給し、また、酸素側電極接触流路部17に空気(酸素)を供給することで、バイオ燃料電池Aの水素電極13から延出させた負極端子27と、酸素電極14から延出させた正極端子28の間に電圧勾配を生じさせることができる。
【0053】
次に、本実施形態に特徴的な培養タンク20を備える水素発生部11について説明する。図2は、本実施形態に係るバイオ燃料電池Aに備えられた水素発生部11を示した説明図である。なお、図2中の一点鎖線は、電気的な接続を示している。
【0054】
図2に示すように、水素発生部11には、ガス改質機21と、熱媒体循環ポンプ22と、培養タンク20と、熱媒体循環ポンプ22及び前記培養タンク20の制御を行うための制御装置57とが備えられている。
【0055】
熱媒体循環ポンプ22は、制御装置57に電気的に接続されており、制御装置57からの電気信号に基づいて、稼働及び停止可能に構成されている。すなわち、制御装置57によって、熱媒体流体の循環や停止を制御可能に構成している。
【0056】
培養タンク20は、培地31を収容する容器部32と、同容器部32の周囲に水を流通可能に形成したジャケット部33とを備えている。
【0057】
このジャケット部33は、前述の熱媒体循環ポンプ22により培養タンク20と燃料電池本体10との間で循環される熱媒体流体としての水が流通する部位であり、容器部32内に収容した培地31を保温可能としている。
【0058】
また、ジャケット部33には、熱媒体流体の温度に応じた電気信号を送出する温度センサ58が挿入されいる。この温度センサ58は前述の制御装置57に接続されており、制御装置57によって熱媒体流体の温度を検出可能に構成している。
【0059】
容器部32は、培地31を収容すると共に、攪拌機52とpHセンサ56とが備えられており、また、内部空間には、前述の代謝ガス送給管23と、培地31にアルカリ液を添加するためのアルカリ液送給管60と、培地31に酸液を添加するための酸液送給管61とを臨ませている。
【0060】
攪拌機52は、攪拌モータ53の回転軸に攪拌軸54を連結し、その先端部に撹拌翼55を設けてなり、攪拌モータ53を駆動することにより、培養タンク20内の培地31を攪拌可能としている。
【0061】
また、攪拌モータ53は、制御装置57に電気的に接続されており、制御装置57からの電気信号に応じて稼働及び停止可能に構成している。
【0062】
pHセンサ56は、容器部32内に収容した培地31のpHに応じた電気信号を送出するセンサであり、制御装置57に電気的に接続されている。制御装置57はpHセンサ56から送出される電気信号に基づいて、培地31のpHを算出可能に構成している。
【0063】
代謝ガス送給管23は、発生した代謝ガスをガス改質機21へ供給するための管であり、容器部32内に収容した培地31の液面上の上部空間S1と、熱交換部19との間を連結しており、上部空間S1に溜まった酸素を熱交換部19へ送給可能としている。
【0064】
ここで、上部空間S1は、培地31から代謝ガスを放出させた際に、代謝ガスを構成する気体の比重によって成分を分離する水素ガス選別手段として機能する。また、前述のガス改質機21は、必要に応じて培養タンク20と水素側電極接触流路部16との間に介設することができるが、このガス改質機21についても水素ガス選別手段として機能することとなる。
【0065】
アルカリ液送給管60は、図示しないアルカリ液貯留タンクに接続されており、アルカリ液送給管60の中途部に設けたアルカリ弁62を操作することにより、容器部32内へアルカリ液を供給可能としている。
【0066】
アルカリ弁62は、電気的に開閉可能な電磁弁であり、また、制御装置57に電気的に接続されていて、制御装置57からの電気信号に基づいて開閉動作を行うように構成している。
【0067】
酸液送給管61は、図示しない酸液貯留タンクに接続されており、酸液送給管61の中途部に設けた酸弁63を操作することにより、容器部32内へ酸液を供給可能としている。
【0068】
酸弁63は、電気的に開閉可能な電磁弁であり、また、制御装置57に電気的に接続されていて、制御装置57からの電気信号に基づいて開閉動作を行うように構成している。
【0069】
培地31は、水素産生菌をの培養基としての役割を果たすとともに、培養中に発生した代謝ガス、すなわち、水素ガスを貯留する代謝ガス貯蔵手段として機能するものである。
【0070】
この培地31はは固形状または半固形状の培地としたり、また、ジェル状、ペースト状、のり状、ゼリー状などの培地とすることができる。
【0071】
培地にこのような性状を与える素材としては、例えば、化学繊維、炭素繊維、高分子ポリマー、キサンタンガム、寒天等とすることができる。特に本実施形態では、培地31中に、0.5%〜1%程度の寒天を含有させることで、培地31の性状を半固形状としている。
【0072】
そして、この培地31には、水素産生菌が植菌されている。従って、培地31の温度を水素産生菌の培養至適温度とすることにより、図3(a)に示すように、培地31中にコロニー64を形成することとなる。
【0073】
この状態で培養を継続すると、水素産生菌は次第に代謝ガスを産生し、図3(b)に示すように、コロニー64の周囲に代謝ガス気泡65を形成し、培地31中に気泡状に貯留されることとなる。すなわち、この培地31は、固形状または半固形状の培地からなり、同培地中に植菌して糖類を充填し培養した水素産生菌から発生する代謝ガスを内部に気泡状態で貯蔵する代謝ガス貯蔵手段として機能する。
【0074】
なお、水素産生菌は特に限定されるものではないが、酪酸菌(Clostridium butyricum)の純菌体は、水素を効率よく産生するので、ガス改質機21などの設備をなくすことができることとなり、コンパクトなバイオ燃料電池Aとすることができるため、好適である。
【0075】
このようにして、固形状または半固形状の培地31に気泡状態で代謝ガスを貯蔵したことにより、固形状、半固形状の状態で貯蔵可能であり、常温でも保存することができると共に運搬性に優れた代謝ガス貯蔵方法とすることができるので、必要な場所で代謝ガスから水素を得ることができるようになる。
【0076】
気泡状態で貯蔵した代謝ガスは、固形状または半固形状の培地31の粘度を低下させることによって、培地31の内部に貯蔵した代謝ガスを放出して水素ガスを取り出すことができるようになる。
【0077】
すなわち、この培地31の粘度を低下させる手段が代謝ガス放出手段として機能する。
【0078】
特に、本実施形態では、代謝ガス放出手段として、熱により培地31の粘度を低下させる手段と、培地31のpHを調整することにより培地31の粘度を低下させる手段の2つの手段を備えている。
【0079】
前者の熱により培地の粘度を低下させる手段は、前述した熱供給手段によって行われるものであり、寒天によって半固形化した培地31の温度を80℃〜90℃程度に昇温することで培地31の粘度を低下させるようにしている。
【0080】
換言すれば、燃料電池本体10にて発生する熱や、熱媒体循環ポンプ22や、ジャケット部33、熱交換媒体として機能する水などを協働させることにより代謝ガス放出手段として機能させるようにしている。
【0081】
具体的には、制御装置57は、培地31内に設けた温度センサ58のセンサー出力を基に培地31の温度を温度検出制御部で検出して、ジャケット部33に循環させる水の温度を上昇させ、培地31が液化する温度、例えば80℃〜90℃にして粘度を低下させる。このようにして寒天を含む培地31の粘度を低下させたことにより、培地31中に貯蔵した代謝ガスを放出させることができる。
【0082】
従って、図3(c)に示すように、粘度が低下した培地31からは代謝ガス気泡65が液面上へ向けて上昇して上部空間S1に達し、代謝ガス送給管23から導出されることとなる。
【0083】
このようにして、培地31の粘度を低下させることで固形状または半固形状の培地31内部に貯蔵した代謝ガスを放出させて、放出された代謝ガスからガス改質機21で改質して水素としてバイオ燃料電池Aに供給する。
【0084】
また、燃料電池の使用を中断するときには、ジャケット部33に循環させる水の温度を下げて培地31を再び固化させ、同培地31の温度を水素産生菌の培養に好適な温度、例えば40℃程度に保つことで、代謝ガスを培地31中に貯蔵するようにすることができる。
【0085】
また、後者の培地31のpHを調整することにより培地31の粘度を低下させる手段として、pHセンサ56と、攪拌機52と、前述のアルカリ液送給管60及び酸液送給管61から酸液及びアルカリ液を培地31へ投入する機構と、これらの投入を制御する制御装置57とがある。
【0086】
すなわち、寒天は、pH値が4.0より小さくなると液化し、またpHが12.0より大きくなると粘度を低下するので、固形状または半固形状の培地31に、アルカリ液または酸液を添加することで、培地31内部に貯留した代謝ガスを放出させることができるのである。
【0087】
具体的には、固化している寒天の培地31のpH値の調製は、酸液を酸液送給管61を通して供給するか、またはアルカリ液をアルカリ液送給管60を通して供給することで行う。本実施形態では、図3(b)に示すように、酸液送給管61より酸液を供給する。
【0088】
なお、制御装置57は、寒天を含有する培地31内に設けたpHセンサ56のセンサー出力をもとにpH検出を行い、pH検出結果をもとに酸液またはアルカリ液を酸弁63やアルカリ弁62を制御して、所定のpHにして液化するようにコントロールする。
【0089】
このようにすることで、培地31内に酸液またはアルカリ液を添加してpHを4.0より小さくまたは12.0より大きくし、寒天を含有する培地31の粘度を低下することができるので、培地31内に貯蔵した代謝ガスを代謝ガス送給管23より取り出すことができるようになる。
【0090】
また、燃料電池の使用を中断するときには、代謝ガスを取り出すのを中断して、寒天の培地31の水素産生菌を培養することができ、培地31のpHを4.0〜12.0とすることにより固化するとともに、培地31の温度を水素産生菌の培養に好適な温度、例えば40℃程度に保ち、代謝ガスを培地31内に再度貯蔵することができる。
【0091】
このようにして産生した代謝ガスは、バイオ燃料電池Aの水素源として使用できる。
【0092】
なお、本発明の実施形態では、送風ファン25で空気を酸素側電極接触流路部17に供給することにより、空気をバイオ燃料電池Aの酸素源としたが、酸素側電極接触流路部17に酸素そのものを供給してもよいのは勿論である。酸素側電極接触流路部17に酸素を供給することで燃料電池の発電効率を更に高めることができる。
【0093】
また、バイオ燃料電池Aの発電によって生ずる水は、滅菌処理を施すなどして、水素産生菌の培養に用いる培地31の培地循環用培地として使用することもできる。
【0094】
また、本実施形態における代謝ガス放出手段では、培地の加温やpHを変化させることにより低粘度化を図ることとしたが、これに限定されるものではなく、培地を固形状、半固形状、ジェル状、ペースト状、のり状、ゼリー状等とするために添加した素材に応じて、低粘度化する手段を適宜代謝ガス放出手段として使用することができる。
【0095】
次に、本発明の他の実施形態に係るバイオ燃料電池Bについて説明する。ここで説明するバイオ燃料電池Bは、水素発生部11での水素発生に、酪酸菌と紅色細菌との混合菌体を使用する点、酸素供給部12から供給する酸素は藍色細菌が産生するものである点、及び、藍色細菌が産生したグルコースを水素発生部11の混合菌体に栄養源として供給する点に特徴を有している。なお、以下の説明において、前述のバイオ燃料電池Aと同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0096】
バイオ燃料電池Bの水素発生部11の培養タンク20では、酪酸菌と紅色細菌との混合菌体を水素産生菌とし、代謝ガスをガス改質機21によって水素濃度を高めた改質ガスとして取り出して水素側電極接触流路部16に供給するようにしている。
【0097】
また、図4に示すように、ガス改質機21には、分離した二酸化炭素を酸素供給部12へ送給するための二酸化炭素送給管71の基端部が連結されており、その先端部は、後述する藍色細菌培養タンク70の培地72内に臨ませてある。
【0098】
さらに、培養タンク20には、水素産生菌培地循環流路74が接続されており、同水素産生菌培地循環流路74の中途部に介設されている培地循環ポンプ75を駆動させることにより、培養タンク20内に収容している培地31を後述するグルコース交換部73との間で循環可能としている。
【0099】
なお、このバイオ燃料電池Bにおいても、前述のバイオ燃料電池Aと同様に、培地31には寒天が添加されており、熱供給手段によって培地31の粘度を低下させたり、アルカリ液送給管60及び酸液送給管61から供給されるアルカリ液や酸液により培地31の粘度を低下させることにより、代謝ガス放出手段として機能させることができる。また、この際、培地31は代謝ガス貯蔵手段として機能する。但し、後述するグルコース交換を行う際は、培地の粘度を低下させた状態で行うのが好ましい。
【0100】
一方、酸素供給部12では、前述のバイオ燃料電池Aにおける送風ファン25に替えて、藍色細菌培養タンク70にて培養した藍色細菌が生成する酸素を酸素側電極接触流路部17へ供給すべく構成している。
【0101】
この藍色細菌は、光を照射することにより光合成を行う細菌であり、その代謝物として酸素とグルコースとを産生する。
【0102】
具体的には、バイオ燃料電池Bにおける酸素供給部12は、藍色細菌培養タンク70と熱媒体循環ポンプ22とを備えている。
【0103】
藍色細菌培養タンク70には、藍色細菌を培養するための培地72を収容する容器部32と、同容器部32の周囲に水を流通可能に形成したジャケット部33とを備えている。
【0104】
このジャケット部33は、培養タンク20と燃料電池本体10との間で循環される熱媒体流体としての水が流通する部位であり、酸素供給部12に配設した熱媒体循環ポンプ22により熱媒体流体を循環させて、容器部32内に収容した培地31を保温可能としている。
【0105】
また、藍色細菌培養タンク70内には、発生した酸素を酸素側電極接触流路部17へ供給するための酸素送気管76と、水素発生部11の熱媒体循環ポンプ22から延出する二酸化炭素送給管71の先端部とを臨ませている。
【0106】
酸素送気管76は、容器部32内に収容した培地72の液面上の上部空間S2と、熱交換部19との間を連結しており、上部空間S2に溜まった酸素を熱交換部19へ送給可能としている。
【0107】
二酸化炭素送給管71は、その先端部を藍色細菌培養タンク70内に収容した培地72内に配設しており、ガス改質機21にて分離した二酸化炭素を培地72内に供給可能としている。なお、二酸化炭素送給管71の先端部には、送給されてきた二酸化炭素を培地72中でばっ気しながら拡散させるガス拡散装置(図示せず)が配設されており、培地72中に二酸化炭素を効率よく溶解できるようにしている。
【0108】
なお、藍色細菌の培養に用いる培地72は、水素産生菌の培養に用いる培地31と同様に、寒天や増粘剤等を添加して固形状または半固形状とすることにより、代謝ガス貯蔵手段として機能させるようにしても良い。
【0109】
また、藍色細菌培養タンク70には、藍色細菌培地循環流路77が接続されており、同藍色細菌培地循環流路77の中途部に介設されている培地循環ポンプ75を駆動させることにより、藍色細菌培養タンク70内に収容している培地72を後述するグルコース交換部73との間で循環可能としている。
【0110】
また、藍色細菌培養タンク70には、藍色細菌の光合成を促すための光源78が配設されており、同光源78から放射される光によって、藍色細菌は酸素の生成とグルコースの産生を行うことができるようにしている。
【0111】
水素産生菌培地循環流路74と藍色細菌培地循環流路77との中途部には、グルコース交換部73を配設している。
【0112】
このグルコース交換部73は、藍色細菌の光合成にともなって、培地72中に産生されるグルコースを、水素産生菌用の培地31中に浸透圧を利用して移行させるための装置であり、藍色細菌用の培地72と水素産生菌用の培地31とが半透膜79を介して循環されるように形成している。なお、この半透膜79は、藍色細菌用の培地72から水素産生菌用の培地31へ、グルコースを移行できる素材であれば特に限定されるものではなく、例えば、セルロース膜等を使用することができる。
【0113】
このグルコース交換を行う場合には、藍色細菌用の培地72と水素産生菌用の培地31との両者とも、粘度を低下させておくと良い。この際の粘度は特に限定されるものではなく、培地中から代謝ガスが放出される程度の粘度としても良く、また、代謝ガスは放出されないが、流動できる程度の粘度としても良い。後者とすることにより、代謝ガスを培地中に保持した状態でグルコース交換を行い、水素産生菌にグルコースを供給して培地中に水素の貯留を継続させることができる。
【0114】
そして、このような構成を備えるバイオ燃料電池Bでは、水素発生部11にて、水素産生菌として酪酸菌を培養して生じた水素ガスと、この培養のときに生じる酪酸(CCOOH)を分解する紅色細菌(Rhodobacter sphaeriodes)の光合成による水素ガスの二つの水素ガス産生をおこなうことで効率的に水素ガスを産生すると共に、副製した二酸化炭素を酸素供給部12の藍色細菌へ供給する一方、藍色細菌は、供給された二酸化炭素を基に光合成を行って酸素を産生すると共に、副製したグルコースを水素産生菌用の培地へ還元して効率的に発電できるようにしている。
【0115】
この反応について具体的に説明すると、酪酸菌(Clostridium butyricum)は、培地31中に含まれるグルコース(C12)を基質として、次のような代謝反応を行うことにより水素を産生する。

12 → CCOOH + 2H + 2CO ・・・(1)

【0116】
その結果、培地31中には、酪酸菌の代謝産物として酪酸(CCOOH)が含まれることとなる。
【0117】
一方、酪酸菌と共に植菌している紅色細菌(Rhodobacter sphaeriodes)は、酪酸菌の代謝により生じた酪酸(CCOOH)を分解し、水素ガスを産生する。

COOH + 2HO → 10H + 4CO ・・・(2)

【0118】
これにより、酪酸菌単独の発酵に比して、効率的に水素ガスを得ることができるのである。
【0119】
また、式(1)及び式(2)にて副製する二酸化炭素は、ガス改質機21にて分離され、酸素供給部12の藍色細菌用の培地72へ供給される。
【0120】
また、藍色細菌培養タンク70は、藍色細菌の光合成によって酸素を生成する。また、光合成を行って、供給された二酸化炭素から酸素とグルコースを産生する。

6CO +6HO +光 → C12 + 6O ・・・(3)

【0121】
このグルコースは、グルコース交換部73の半透膜79を通して培地31に返送されて、水素ガスの産生に寄与することができる。
【0122】
また、発電の際に燃料電池本体10で発生する熱エネルギーは、水素産生菌等の培養のエネルギーとして利用する。
【0123】
このように、上述の構成を備えるバイオ燃料電池Bは、効率的に発電を行うことができる。
【0124】
なお、バイオ燃料電池Bは、水素産生菌や藍色細菌等の生菌数を補うために、必要に応じて、培養タンク20や藍色細菌培養タンク70に別途形成した供給口(図示せず)から、水素産生菌や藍色細菌を投入するようにしても良い。
【0125】
上述してきたように、バイオ燃料電池Aやバイオ燃料電池Bは、人・動物に安全な菌体を利用することにより、環境への負荷を減らすことができるので、高い安全性を備えた循環型バイオ燃料電池とすることができる。
【0126】
なお、水素産生菌として、酪酸菌を利用することは、日本だけでなく、諸外国においても人・動物の医薬品・飼料原料として利用されている菌体であり、高い安全性を有した状態で利用できるので、環境への負荷を減らすことができるので、高い安全性を有した循環型バイオ燃料電池とすることができる。
【0127】
すなわち、本実施形態に係るバイオ燃料電池によれば、水素ガスを微生物により産生するとともに、安全に持ち運びが可能なように貯蔵し、しかも、貯蔵した水素ガスを容易に抽出できるバイオ燃料電池を提供することができ、例えば、自動車やパーソナルコンピュータ、携帯電話などの電子機器の燃料電池として用いることができる。
【0128】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【0129】
例えば、上述したバイオ燃料電池Aやバイオ燃料電池Bは、図面上においてプラントの如く記載したが、これに限定されるものではなく、適宜大きさや形状を調整して、バイオ燃料電池Aやバイオ燃料電池Bを、自動車のタイヤの内部等に収容して、燃料電池を搭載したに自動車としても良い。
【0130】
また、水素産生菌用の培地31や藍色細菌用の培地72の成分中には、例えば、さらなる栄養源として、人・動物の排泄物を添加しても良い。
【0131】
これによれば、人畜の排泄物を有効に利用しながら発電を行うことができ、発電における環境負荷の低減に大きく寄与することができる。
【0132】
また、本実施形態では、水素産生菌の培養や藍色細菌の培養の際の保温熱源、及び、培地の粘度を低下させる代謝ガス放出手段の一つとして、発電に伴って発生するセル体18の熱を利用することとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、ジャケット部33にスチームなどを熱源として導入することにより、培地31や培地72を直接加熱しても良い。
【0133】
また、この熱源は、太陽熱や温泉や温泉排水など地熱を利用しても良く、さらに、堆肥や発酵飼料等を製造する際に生じる発酵熱を利用しても良い。
【0134】
太陽熱や地熱、発酵熱などを利用することにより、自然界の余剰エネルギーや未利用エネルギーを有効利用することができ、しかも、本発明に係るバイオ燃料電池を自然エネルギー装置や自立エネルギー装置としてさらに確立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本実施形態に係るバイオ燃料電池の全体構成を示した概念図である。
【図2】本実施形態に係るバイオ燃料電池の水素発生部示した説明図である。
【図3】本実施形態に係るバイオ燃料電池のでの培養を経時的に示した説明図である。
【図4】他の実施形態に係るバイオ燃料電池の全体構成を示した概念図である。
【符号の説明】
【0136】
10 燃料電池本体
11 水素発生部
12 酸素供給部
13 水素電極
14 酸素電極
18 セル体
19 熱交換部
20 培養タンク
21 ガス改質機
22 熱媒体循環ポンプ
26 空気流送気管
31 培地
56 pHセンサ
57 制御装置
58 温度センサ
60 アルカリ液送給管
61 酸液送給管
65 代謝ガス気泡
70 藍色細菌培養タンク
72 培地
A バイオ燃料電池
B バイオ燃料電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された水素のイオン化に伴い負極となる水素電極と、供給された酸素のイオン化に伴い正極となる酸素電極とを備え、前記水素電極に水素を供給すると共に、前記酸素電極に酸素を供給することにより、両電極間に電圧勾配を生じさせる燃料電池において、
前記水素電極に供給する水素を発生させる水素発生部を備え、
同水素発生部は、
固形状または半固形状の培地からなり、同培地中に植菌して糖類を充填し培養した水素産生菌から発生する代謝ガスを内部に気泡状態で貯蔵する代謝ガス貯蔵手段と、
前記培地の粘度を低下させて、前記代謝ガス貯蔵手段に気泡状態で貯蔵した前記代謝ガスを放出させる代謝ガス放出手段と、
前記代謝ガス貯蔵手段より放出された代謝ガスから水素ガスを抽出する水素ガス選別手段と、を備えることを特徴とするバイオ燃料電池。
【請求項2】
前記培地は、寒天培地としたことを特徴とする請求項1記載のバイオ燃料電池。
【請求項3】
前記水素産生菌は、酪酸菌の純菌体としたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のバイオ燃料電池。
【請求項4】
前記代謝ガス放出手段は、アルカリ性液体または酸性液体のいづれか一の液体を充填して、固体担体のペーハー(pH)値を4.0より小さくまたは12.0より大きくしたことを特徴とする請求項2または請求項3記載のバイオ燃料電池。
【請求項5】
前記代謝ガス放出手段は、前記培地を加温して粘度を低下させることを特徴とする請求項2または請求項3記載のバイオ燃料電池。
【請求項6】
前記酸素電極に供給する酸素を発生させる酸素発生部を備え、同酸素供給部は、藍藻類細菌を培養することにより酸素を発生させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のバイオ燃料電池。
【請求項7】
前記水素産生菌は、酪酸菌と紅色細菌とを混合して培養したものであり、
前記糖類は、グルコースとしたことを特徴とする請求項6記載のバイオ燃料電池。
【請求項8】
バイオ燃料電池で生じる熱エネルギーを前記水素産生菌の培養熱として供給することを特徴とする請求項1〜7記載のいずれか1項記載のバイオ燃料電池。
【請求項9】
水素産生菌を液体培養するステップと、
固体担体の発育培地に加温状態で前記水素産生菌を植菌するステップと、
基質を充填するステップと、
前記埴菌した水素産生菌を培養し固化するステップと、を備えた水素貯蔵方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−113831(P2010−113831A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283187(P2008−283187)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(599126110)エースバイオプロダクト株式会社 (7)
【Fターム(参考)】