説明

バキューム車

【課題】ホースリールの操作レバーの切り替えに必要な操作力の増減を伴うことなく、ホースリールのホース巻取り部に加える制動力を調整する。
【解決手段】ホースリール50の、ホースの巻取り・繰出し機構は、操作レバー28を切り替えることにより、駆動輪30及び制動輪40を択一的に従動輪20に密着させるものである。又、従動輪20に対する制動輪40の当接圧力を増大させる態様でリンク42に引張りコイルばね44が組み込まれた構成を有するものであり、リンク42の引張りコイルばね44が、操作レバー28の切り替えに要する力を増大させる要因となり得る。しかしながら、従動輪20に制動輪40が当接した状態で、制動手段52により制動輪40自体に制動を掛けることで、引張りコイルばね44の弾性力を高めることなく、制動輪40から従動輪20に付与される制動力を増力させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バキューム車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7に示されるように、し尿や汚泥を吸引回収するバキューム車10には、吸引作業時に使用するホース14の巻取り、繰出しを行うホースリール12が搭載されている。ホースリール12は、一般にタンク16の中央上部に設けられており、ホース14の巻取り・繰出し作業を円滑に行うために、以下に説明する巻取り・繰出し機構を備えている。
【0003】
図7(a)から(c)に示されるように、ホースリール12は、タンク16とドラム状のホース巻取り部18との間に、ホース巻取り部18と一体に回転する従動輪20が配置され、この従動輪20がホース巻取り部18の回転軸と共通の回転軸22に固定されている。又、タンク16に固定されたステー26に、従動輪20の回転軸22と平行な第1の回転軸24を介して、操作レバー28が揺動自在に軸支されている。この、操作レバー28には、従動輪20に対し離間又は密着する駆動輪30が軸着されている。又、操作レバー28には、駆動輪30の動力源である電動モータ32が固定されており、電動モータ32の駆動軸が、減速機を介して駆動輪30に連結されている。なお、図示の例では、操作レバー28に固定された電動モータ32のハウジングとステー26とが、引張りコイルばね34によって連結され、引張りコイルばね34の弾性力によって、駆動輪30は従動輪20に密着する方向へと常時付勢されている。
【0004】
又、従動輪20の回転軸22と平行な第2の回転軸36によって、中間部分が揺動自在に軸支されたアーム38と、アーム38の一端部に軸着され従動輪20に対し離間又は密着する制動輪40と、操作レバー28及びアーム38を連動させるリンク42とが設けられている。リンク42には、引張りコイルばね44と、引張りコイルばね44の張力調整手段であるターンバックル46(図1参照)とが含まれており、操作レバー28の中間部とアーム38の制動輪40が軸着された端部とは反対側の端部とを連結するものである。なお、図7中符号48で示される部分は、ホースリールのカバーである。
【0005】
そして、図7の(b)に示されるように、操作レバー28が「接」位置にあるとき、アーム38はリンク42によって、制動輪40が従動輪20から離間する状態に位置決めされる。一方、操作レバー28を引張りコイルばね34の弾性力に抗して「断」位置へと切り替えると、図7の(c)に示されるように、駆動輪30は従動輪20から離間する。このとき、リンク42によってアーム38が第2の回転軸36を中心に図中反時計回りに回転し、制動輪40が従動輪20に密着する。このように、リンク42は、駆動輪30及び制動輪40を択一的に従動輪20に密着させるように、操作レバー28及びアーム38を連動させるものである。
【0006】
上記のような構成を有するホースリール12のホース14の巻取り・繰出し機構は、図7の(b)に示されるように、駆動輪30を従動輪20に密着させることで、電動モータ32により従動輪20を巻取り方向Aに回転させ、従動輪20と一体回転するホース巻取り部18に自動的にホース14を巻き取ることが可能である。又、ホース14の繰出し時には、図7の(c)に示されるように操作レバー28を切り替えて、制動輪40を従動輪20に密着させることで、従動輪20の繰出し方向Bへの回転に抵抗を与え、ホース巻取り部18に適宜制動を与えることにより、ホース14が必要以上に繰出されてしまう不具合を回避するものである(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−206078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、バキューム車10のホースリール12からホース14を繰出す際に、ホース巻取り部18の制動力を必要に応じて増減することが求められるが、従来のホースリール12のホース14の巻取り・繰出し機構は、リンク42のターンバックル46を伸縮させることによって引張りコイルばね44の弾性力を調整し、従動輪20に対する制動輪40の当接圧力を増減させることで、かかる制動力調整を行う構造となっている。従って、ホース巻取り部18に加える制動力を増加させるために、引張りコイルばね44の弾性力を増大させるようターンバックル46を調整すると、操作レバー28の切り替えに、より大きな力が必要となり、作業者の負担が増大するという問題があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ホースリールの操作レバーの切り替えに必要な操作力の増減を伴うことなく、ホースリールのホース巻取り部に加える制動力を調整することを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0010】
(1)ホースの巻取り・繰出しを行うためのホースリールを具備するバキュームカーにおいて、前記ホースリールは、ホース巻取り部と、該ホース巻取り部と一体に回転する従動輪と、該従動輪に対し離間接近可能な制動輪と、該制動輪を前記従動輪に対し離間接近させるための操作レバーと、前記制動輪の制動手段とを備えるバキューム車(請求項1)。
本項に記載のバキューム車は、従動輪に制動輪が当接した状態で、制動手段により制動輪自体に制動を掛けることにより、操作レバーの操作力の如何に関わらず、制動輪から従動輪に付与される制動力を増力させるものである。
【0011】
(2)上記(1)項において、前記操作レバーに連動して、前記制動輪を前記従動輪から強制的に離間させる補助伝達手段を備えるバキューム車(請求項2)。
本項に記載のバキューム車は、補助伝達手段によって、操作レバーに連動して、制動輪を前記従動輪から強制的に離間させることにより、駆動輪及び制動輪が同時に従動輪に密着する状態に陥ることを防ぐものである。
【0012】
(3)上記(1)、(2)項において、前記操作レバーは、前記従動輪の回転軸と平行な第1の回転軸に揺動自在に軸支され、かつ、前記操作レバーには、前記従動輪に対し離間又は密着する駆動輪が軸着されており、前記制動輪は、前記従動輪の回転軸と平行な第2の回転軸に揺動自在に軸支されたアームに軸着されており、前記駆動輪及び前記制動輪を択一的に前記従動輪に密着させるように、前記操作レバー及び前記アームを連動させるリンクを備えるバキューム車(請求項3)。
本項に記載のバキューム車は、操作レバーを切り替えることにより、駆動輪及び制動輪を択一的に従動輪に密着させる構成を有する。そして、従動輪に制動輪が当接した状態で、制動手段により制動輪自体に制動を掛けることにより、操作レバーの操作力の如何に関わらず、制動輪から従動輪に付与される制動力を増力させるものである。
【0013】
(4)上記(3)項において、前記リンクには、引張りコイルばねが、前記従動輪に対する前記制動輪の当接圧力を増大させる態様で組み込まれているバキューム車(請求項4)。
本項に記載のバキューム車は、従動輪に対する制動輪の当接圧力を増大させる態様でリンクに組み込まれている引張りコイルばねが、操作レバーの切り替えに要する力を増大させる構成を有するものであるが、リンクの引張りコイルばねの弾性力を高めることなく、制動手段により制動輪自体に制動を掛けることにより、制動輪から従動輪に付与される制動力を自在に増力させるものである。
【0014】
(5)上記(1)から(4)項において、前記制動手段は、前記制動輪に当接するブレーキシューと、該ブレーキシューの当接圧力の調整手段が設けられているバキューム車(請求項5)。
本項に記載のバキューム車は、制動輪に対するブレーキシューの当接圧力の調整手段により、ブレーキシューから制動輪に付与する制動力を調整し、制動輪から従動輪に付与される制動力を増力させるものである。
【0015】
(6)上記(5)項において、前記制動輪に対する前記ブレーキシューの当接圧力の調整手段は、前記ブレーキシューを前記制動輪に押圧するコイルばねと、該コイルばねの弾性力調整手段とを備えるバキューム車(請求項6)。
本項に記載のバキューム車は、コイルばね及びコイルばねの弾性力調整手段によって、ブレーキシューを制動輪に押圧する力を適宜調整するものである。
(7)上記(5)項において、前記制動輪に対する前記ブレーキシューの当接圧力の調整手段は、前記ブレーキシューを前記制動輪に押圧するばね付きヒンジと、該ばね付きヒンジのばねの弾性力調整手段とを備えるバキューム車(請求項7)。
本項に記載のバキューム車は、ばね付きヒンジ及びばね付きヒンジのばねの弾性力調整手段によって、ブレーキシューを制動輪に押圧する力を適宜調整するものである。
【0016】
(8)上記(3)から(7)項において、前記操作レバーに連動して、前記制動輪を前記従動輪から離間させる方向に前記アームを回転させる補助リンクを備えるバキューム車(請求項8)。
本項に記載のバキューム車は、補助リンクによって、操作レバーに連動して、前記制動輪を前記従動輪から離間させる方向に前記アームを回転させることにより、操作レバーに連動して、制動輪を従動輪から強制的に離間させるものである。そして、駆動輪及び制動輪が同時に従動輪に密着する状態に陥ることを防ぐものである。
【0017】
(9)上記(8)項において、前記補助リンクは、有底筒状のスリーブと該スリーブに摺動自在に係合するロッドとを含み、前記制動輪が前記従動輪に密着した状態から、前記駆動輪が前記従動輪に密着するよう前記操作レバーを切り替える過程で、前記スリーブの底に前記ロッドの先端が当接する位置関係となるように、前記スリーブ及び前記ロッドが、前記操作レバー及び前記アームに取付けられてなるバキューム車(請求項9)。
本項に記載のバキューム車は、スリーブとロッドとが、制動輪が従動輪に密着した状態から、駆動輪が従動輪に密着するよう操作レバーを切り替える過程で、補助リンクを構成する有底筒状のスリーブの底にロッドの先端が当接することにより、操作レバーの回転動作を、補助リンクを介してアームに伝達する。そして、アームを回転させて制動輪を従動輪から強制的に離間させるものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明はこのように構成したので、ホースリールの操作レバーの切り替え時に必要な操作力の増減を伴うことなく、ホースリールのホース巻取り部に加える制動力を調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るバキューム車のホースリールの、ホースの巻取り・繰出し機構を示すものであり、(a)は要部平面図、(b)は(a)矢視A−A図である。
【図2】図1に示されるバキューム車のホースリールの、ホースの巻取り・繰出し機構の、ブレーキシューの周辺部を示す拡大図であり、(a)は右側面図、(b)は平面図、(c)は裏面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るバキューム車のホースリールの、ホースの巻取り・繰出し機構の応用例を示す、要部平面図である。
【図4】図3に示されるバキューム車のホースリールの、ホースの巻取り・繰出し機構の、ブレーキシューの周辺部を示す拡大平面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るバキューム車のホースリールの、ホースの巻取り・繰出し機構を示す、要部平面図である。
【図6】図5に示される補助伝達手段の作動説明図であり、(a)は制動輪が従動輪に密着したときの状態を、(b)は駆動輪が従動輪に密着するよう操作レバーを切り替えたときの状態を示すものである。
【図7】従来のバキューム車のホースリールの、ホースの巻取り・繰出し機構の説明図であり、(a)は側面図、(b)はホースの巻取り操作時の平面図、(c)はホースの繰出し操作時の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
本発明の第1の実施の形態に係るバキューム車のホースリール50は、図1に示されるように、制動輪40の制動手段52として、制動輪40に当接するブレーキシュー54と、制動輪40に対するブレーキシュー54の当接圧力の調整手段56が設けられている。この制動手段52は、図2に示される構造を有している。
【0021】
具体的には、ブレーキシュー54は円筒状をなし、円盤状の当接部54aを備えている。又、アーム38に取付けられたブラケット58により、スタッドボルト60が制動輪40の回転軸40aと交差する方向に固定され、このスタッドボルト60に、適宜抜け止めが施される態様で、ブレーキシュー54が摺動自在に挿通されている。又、ブレーキシュー54は、スタッドボルト60に挿通されたコイルばね62の弾性力によって制動輪40側へと付勢されている。なお、コイルばね62の弾性力の調整は、スタッドボルト60に螺合するダブルナット64によって行うことが可能であり、スタッドボルト60、コイルばね62、ダブルナット64により、制動輪40に対するブレーキシュー54の当接圧力の調整手段56が構成されている。又、スタッドボルト60及びダブルナット64が、コイルばね62の弾性力調整手段である。
なお、図2中符号66で示される部分は、アーム38を軸支する第2の回転軸36をタンク16に固定するためのステーである。
【0022】
又、制動輪40の制動手段52として図3、図4に示される構造を採用することも可能である。この例は、板状のブレーキシュー68と、ブレーキシュー68を制動輪40に押圧するばね付きヒンジ70で構成され、ばね付きヒンジ70がアーム38に取付けられたブラケット72に対し、二つのねじ孔70a、70bをねじ止めすることにより固定されている。しかも、ブラケット72の二つのねじ孔72a、72bのうち、一方のねじ孔72bは円弧状の長孔となっており、ブラケット72に対するばね付きヒンジ70の取付角度を適宜調整することで、ブレーキシュー68に作用するばね付きヒンジ70のばねの弾性力を調整することができる。よって、図3、図4の例では、ばね付きヒンジ70が制動輪40に対するブレーキシュー54の当接圧力の調整手段56を構成しており、ばね付きヒンジ70の二つのねじ孔70a、70bと、ブラケット72のねじ孔72a、72bと、これらに螺合するねじ(図示省略)とで、ばね付きヒンジ70のばねの弾性力調整手段を構成している。
【0023】
さて、上記構成をなす本発明の第1の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。まず、従動輪20に制動輪40が当接した状態で、制動手段52により制動輪40自体に制動を掛けることにより、操作レバー28の操作力の如何に関わらず、制動輪40から従動輪20に付与される制動力を増力させることができる。
すなわち、本発明の第1の実施の形態に係るバキューム車のホースリール50の、ホースの巻取り・繰出し機構は、従来(図7)と同様に操作レバー28を切り替えることにより、駆動輪30及び制動輪40を択一的に従動輪20に密着させるものであり、なおかつ、従動輪20に対する制動輪40の当接圧力を増大させる態様でリンク42に引張りコイルばね44が組み込まれた構成を有するものであり、リンク42の引張りコイルばね44が、操作レバー28の切り替えに要する力を増大させる要因となり得るが、従動輪20に制動輪40が当接した状態で、制動手段52により制動輪40自体に制動を掛けることで、引張りコイルばね44の弾性力を高めることなく、制動輪40から従動輪20に付与される制動力を増力させることが可能となるものである。
【0024】
又、制動輪40に対するブレーキシュー54、68の当接圧力の調整手段56により、ブレーキシュー54、68から制動輪40に付与する制動力を調整し、制動輪40から従動輪20に付与される制動力を自在に増力させることができる。なお、図1、図2の例では、コイルばね62の弾性力調整手段(スタッドボルト60、ダブルナット64)によって、ブレーキシュー54を制動輪40に押圧する力を適宜調整するものである。一方、図3、図4の例では、ばね付きヒンジ70のばねの弾性力調整手段(ばね付きヒンジ70の二つのねじ孔70a、70bと、ブラケット72のねじ孔72a、72bと、これらに螺合するねじ)によって、ブレーキシュー68を制動輪40に押圧する力を適宜調整するものである。
【0025】
続いて、図5及び図6を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係るバキュームカーについて説明する。なお、本発明の第1の実施の形態と同一部分、若しくは相当する部分については、同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
さて、図5の例は、本発明の第1の実施の形態に係る図1の構造を基にするものであり、両者の相違点として、補助伝達手段74を備えるものである。補助伝達手段74は、リンク42と平行に、操作レバー28及びアーム38を連結する補助リンクを構成するものであり、操作レバー28に連動して、制動輪40を従動輪20から強制的に離間させることができる。
【0026】
具体的には、この補助リンク74は図6に示されるように、有底筒状のスリーブ76と、スリーブ76に摺動自在に係合するロッド78とを含み、図示の例では、有底筒状のスリーブ76がアーム38に、ロッド78の基端部が操作レバー28に、夫々、ターンバックル46及び操作レバー28と同様の態様で軸着されている(これらは逆の位置関係で取り付けられていても良い。)。そして、制動輪40が従動輪20に密着した状態では、図6(a)に示されるように、スリーブ76の底76aに対し、ロッド78の先端78aが離間した状態となっている。かかる状態から、駆動輪30が従動輪20に密着するよう操作レバー28を切り替える過程で、図6(b)に示されるように、スリーブ76の底76aにロッド78の先端78aが当接する。
【0027】
従って、本発明の第2の実施の形態によれば、操作レバー28の回転動作を、補助リンク(補助伝達手段)74を介してアーム38に伝達し、アーム38を強制的に回転させて、制動輪40を従動輪20から強制的に離間させることができ、駆動輪30及び制動輪40が、同時に従動輪20に密着する状態に陥ることを防ぐことができる。
既に説明したように、本発明では、制動手段52により制動輪40自体に制動を掛けることで、制動輪40から従動輪20に付与される制動力が増力する。その結果、駆動輪30を従動輪20に密着させ、電動モータ32により従動輪20を回転させる際に、制動輪40が従動輪20に接触していると、電動モータ32の負荷が増大してしまう。この点、本発明の第2の実施の形態によれば、補助リンク74によって制動輪40を従動輪20から強制的に離間させることで、掛かる不具合を確実に回避することが可能となる。
【0028】
なお、本発明の第2の実施の形態に係る補助リンク(補助伝達手段)74は、図3、図4の構造にもそのまま適用することが可能である。その他、本発明の第1の実施の形態と同様の作用効果については、詳しい説明を省略する。
【符号の説明】
【0029】
10:バキューム車、14:ホース、16:タンク、18:ホース巻取り部、20:従動輪、22:従動輪の回転軸、24:第1の回転軸、28:操作レバー、30:駆動輪、34、44:引張りコイルばね、36:第2の回転軸、38:アーム、40:制動輪、42:リンク、50:ホースリール、52:制動手段、 54、68:ブレーキシュー、56:調整手段、 58、72:ブラケット、60:スタッドボルト、62:コイルばね、64:ダブルナット、70:ばね付きヒンジ、74:補助伝達手段、76:スリーブ、76a:底、78:ロッド、78a:先端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホースの巻取り・繰出しを行うためのホースリールを具備するバキュームカーにおいて、前記ホースリールは、ホース巻取り部と、該ホース巻取り部と一体に回転する従動輪と、該従動輪に対し離間接近可能な制動輪と、該制動輪を前記従動輪に対し離間接近させるための操作レバーと、前記制動輪の制動手段とを備えることを特徴とするバキューム車。
【請求項2】
前記操作レバーに連動して、前記制動輪を前記従動輪から強制的に離間させる補助伝達手段を備えることを特徴とする請求項1記載のバキューム車。
【請求項3】
前記操作レバーは、前記従動輪の回転軸と平行な第1の回転軸に揺動自在に軸支され、かつ、前記操作レバーには、前記従動輪に対し離間又は密着する駆動輪が軸着されており、
前記制動輪は、前記従動輪の回転軸と平行な第2の回転軸に揺動自在に軸支されたアームに軸着されており、
前記駆動輪及び前記制動輪を択一的に前記従動輪に密着させるように、前記操作レバー及び前記アームを連動させるリンクを備えることを特徴とする請求項1又は2記載のバキューム車。
【請求項4】
前記リンクには、引張りコイルばねが、前記従動輪に対する前記制動輪の当接圧力を増大させる態様で組み込まれていることを特徴とする請求項3記載のバキューム車。
【請求項5】
前記制動手段は、前記制動輪に当接するブレーキシューと、該ブレーキシューの当接圧力の調整手段が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のバキューム車。
【請求項6】
前記制動輪に対する前記ブレーキシューの当接圧力の調整手段は、前記ブレーキシューを前記制動輪に押圧するコイルばねと、該コイルばねの弾性力調整手段とを備えることを特徴とする請求項5記載のバキューム車。
【請求項7】
前記制動輪に対する前記ブレーキシューの当接圧力の調整手段は、前記ブレーキシューを前記制動輪に押圧するばね付きヒンジと、該ばね付きヒンジのばねの弾性力調整手段とを備えることを特徴とする請求項5記載のバキューム車。
【請求項8】
前記操作レバーに連動して、前記制動輪を前記従動輪から離間させる方向に前記アームを回転させる補助リンクを備えることを特徴とする請求項3から7のいずれか1項記載のバキューム車。
【請求項9】
前記補助リンクは、有底筒状のスリーブと該スリーブに摺動自在に係合するロッドとを含み、前記制動輪が前記従動輪に密着した状態から、前記駆動輪が前記従動輪に密着するよう前記操作レバーを切り替える過程で、前記スリーブの底に前記ロッドの先端が当接する位置関係となるように、前記スリーブ及び前記ロッドが、前記操作レバー及び前記アームに取付けられてなることを特徴とする請求項8記載のバキューム車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−215331(P2010−215331A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62708(P2009−62708)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000003377)東急車輛製造株式会社 (332)
【Fターム(参考)】