説明

バクテリオファージ製剤およびその用途

汚染、浸潤、感染および感染性疾患などの細菌によって引き起こされるコロニー形成を治療するためのバクテリオファージ製剤であって、製剤は、アルカリ緩衝溶液中で少なくとも1つの界面活性剤と相まって、少なくとも1つの細菌株に対して特異的な有効性を有する少なくとも1つのバクテリオファージを有する。バクテリオファージは、ブドウ球菌種、シュードモナス菌種、連鎖球菌種、腸球菌種、エンテロバクター属の種、クレブシエラ菌種、プロテウス属の種、リステリア菌種およびサルモネラ菌種からなる群から選択された少なくとも1つの細菌に対する溶菌活性を有してよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブル(preamble)に準じたバクテリオファージ製剤(bacteriophage preparation)およびにそれらの様々な用途に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第0414304号明細書は、少なくとも100粒子/ml(particles/mL)の1以上の種類の細菌を溶菌することができるバクテリオファージ、非イオン界面活性剤および中性塩からなる水溶性組成物に由来するバクテリオファージ製剤を開示する。バクテリオファージは、ある種の抗生物質耐性菌(antibiotic−resistant bacteria)を溶解する周知の作用を有する。界面活性物質(surface−active substance)としての界面活性剤(surfactant)は、処理されるべき表面のぬれ性を改善し、また、可溶化(solubilize)およびよごれを除去する目的で使用される。中性塩は、保存性(storage stability)を改善すると言われている。中性塩は、主として0.01から2.0重量%の塩化ナトリウムが用いられる。上記の組成物は、練り歯磨き、口内洗浄液、家庭にいる細菌(例えば、便器の内部に棲息する細菌)に対する家庭用洗浄剤、および、病原性皮膚細菌(pathogenic skin bacteria)に対するスキンケア製品として使用されている。ファージと相性のよい(phage−compatible)香料、香味料、溶剤、染料、保存料、殺菌剤、吸着剤、充填剤およびその他の特定の用途に通常用いられる添加剤は、利用可能な添加剤(possible additional additives)として用いられる。
【0003】
さらに、欧州特許第0700249号明細書および独国特許出願公開第10012026号明細書は、陽イオン界面活性剤としてのポリヘキサメチルビグアニド(polyhexamethyl biguanide)(ポリヘキサニド(polyhexanide))が、高い殺菌活性(antiseptically usable activity)と低い毒性とを同時に有することを開示する。これに基づき、この活性物質の複数の応用が開発され、市場に出ている。しかし、欧州特許第0700249号明細書は、さらに、ポリヘキサニドのある種の細菌(特に、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa))に対する活性が、例えば、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)と比較して、ほぼ10倍(by a factor of nearly 10)低いことを指摘している。
【0004】
欧州特許第0700249号明細書の詳細な使用例において、外傷にポリヘキサニドを使用している間、相当量の活性が喪失し得ること、および、当該活性の喪失は外傷に存在するアルブミンによって引き起こされることが、さらに開示されている。発明者らが行ったアルブミンの影響に関する微生物学的試験(microbiological tests)においても、約10倍の(by the factor of about 10)活性の喪失を確認している。ポリヘキサニドとは対象的に、最新の研究(Vautz D.et al.: Lytic effectiveness of MRSA−specific phages against the 41 defined national reference strains and 143 clinical MRSA isolates. ZfW (2007) 5:280−287を参照。)は、バクテリオファージについて言えば、アルブミン(ウシ血清アルブミン、BSA)の溶菌活性が、同程度のE/T比および初期細菌濃度において、1から3より大きい対数値(by >1 to >3 log steps)も増加したことを示している。
【0005】
グラム陰性シュードモナス種(gram−negative Pseudomonas species)、特に緑膿菌は、ヒトおよび動物への感染の原因である。グラム陽性菌であるブドウ球菌(Staphylococci)は、ヒトの皮膚の状態に応じて、健康な皮膚の場合で20%まで、例えば、アトピー性皮膚炎または特に外傷がある場合のように、前損傷のある皮膚(predamaged skin)の場合で100%の確率で、ヒトにコロニーを形成する。さらに、ブドウ球菌は、もっとも頻繁に院内感染の原因となる原因物質の1つである。
【0006】
院内感染(hospital−acquired infections)(nosocomial infections)は、院内で引き起こされる全ての合併症の大部分を占めており、それゆえ、患者に対する医療および介護の質に重要な影響を与える。集中治療室においてもっとも頻繁に発生する院内感染の種類は、人工呼吸器関連肺炎(ventilator−associated pneumonia)、外傷または外科的な治療介入による腹腔内感染(intra−abdominal infections)および血管内の異物(intravascular foreign bodies)によって引き起こされる菌血症(bacteremias)である。
【0007】
それゆえ、一般的に使用される抗生物質に対する耐性菌(strains with resistance)の発生は、肺炎、敗血症、インプラント感染および外傷感染に関連して特に深刻な影響を与える。
【0008】
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、院内感染のもっとも重要な原因物質である。1963年に初めて発生してから、その出現率は世界的規模で増加してきた。その株(strains)は欧州で蔓延しており、いくつかの株は世界中に蔓延している。ドイツでは、1995年から2001年までに、黄色ブドウ球菌の全ての分離株のうちMRSAが占める割合が〜8%から〜20%に増加した。この点について、ドイツにおけるMRSAの出現率は、調査結果(EARSS; PEG; GENARS; SARI; KISS)によって左右され、特に、異なる病院におけるまたは一つの病院内におけるリスクエリアよって左右され、その出現率は0から35%まで様々である。個々のケースにおいては、60%にまで達したものもある。この点について、集中治療/外科病棟は、もっとも突出しており、MRSA感染による死亡率が高いことが立証されている[Melzer M et al., Clin Infect Dis 2003; 37:1453−1460]。さらに、病院の外部においても、いわゆる地域感染型MRSA(cMRSA)が発生している。cMRSAは、壊死性の皮膚/軟部組織感染症(necrotizing skin/soft tissue infections)および壊死性肺炎のような病原性特性(pathogenicity properties)に関連し、伝染性の院内のMRSA(epidemic nosocomial MRSA)とは、基本的に遺伝子型が異なる。マクロライド系抗生物質(macrolides)、リンコサマイジン系抗生物質(lincosamidines)、ゲンタマイシン(gentamicin)およびオキシテトラサイクリン(oxytetracycline)の一部に耐性のあるクローナルなMRSAライン(clonal MRSA lines)は、1980年代から次々と出現している。今日、病院の院内に広まっているMRSAの90%以上はフルオロキノロン系抗生物質に対して耐性なので、フルオロキノロン系抗生物質の治療上の使用は、非耐性の黄色ブドウ球菌を除去し、それゆえ、MRSAの広範囲に及ぶコロニー形成(extensive colonization)の危険因子となる。試験をした分離株のうち0.05%の分離株が、キヌプリスチン/ダルホプリスチンに耐性を示した。NRZ[National Reference Center for the Surveillance of Nosocomial Infections]によって実施されたドイツにおけるブドウ球菌の試験では、全てのMRSAは、リネゾリドに対して感性(susceptible)であった。その一方で、この活性物質に対しても、同様に、耐性の発達が考えられる。MRSAは、グリコペプチド系抗生物質(glycopeptides)の可能なコンビネーション・パートナー(リファンピシン 約2%、フシジン酸ナトリウム 約2.5%)に対して耐性があるけれども、グリコペプチド系抗生物質(GISA)に対して感性が減少したMRSAは、ドイツではまだ稀である。しかしながら、グリコペプチド系抗生物質による淘汰圧が続く状況下では、グリコペプチド系抗生物質に耐性を有するMRSA(GISA表現型(phenotype))も同様に、次第に蔓延していくであろう。
【0009】
院内感染にかかわる他の多剤耐性菌種は、バンコマイシン低度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)種、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)種、バンコマイシン/グリコペプチド耐性腸球菌(VRE、GRE)、ペニシリン耐性肺炎球菌、多剤耐性グラム陰性菌である。
【0010】
抗生物質によるそのような細菌による感染との闘いはさておき、この10年の間で、感染予防のためには、感染症を予防する目的で殺菌製剤(antiseptic preparations)を用いて、望ましくない細菌叢(bacterial flora)を除去することが、可能かつ実用的であることが明らかになった。健康保菌者に対するそのような消毒は、除染(decontamination)または除菌(decolonization)という用語に反映されている。実際には、この目的のために、ビグアニド系(biguanides)、ビスピリジン系(bispyridines)、クロルヘキシジン(chlorhexidine)、ベンザルコニウム(benzalkonium chloride)または第4級アンモニウム化合物(quaternary ammonium compounds)のような、様々な殺菌活性を有する物質(antiseptic active substance)が用いられる。
【0011】
バクテリオファージは、MRSAの抗生物質療法およびMRSA保菌の殺菌除染(antiseptic decontamination)の両方にとって、可能性のある代替手段として知られている。溶菌現象は、1915年にTwortによって、また、1917年にd'Herelleによって、それぞれ独立に報告された。バクテリオファージは、分子遺伝学の進歩によってウイルスであると確認されている。バクテリオファージは、いずれの場合にも、自身のDNAを細菌の細胞に注入することで、特定のただ一つの細菌種に感染する。次に、バクテリオファージは、細菌の代謝を、細胞内での200もの新しいファージのデノボ合成へとすっかりシフトさせる。そして、細菌細胞が分裂する間に、この次の世代をリリースする。約1000個に1個の細菌細胞において、ファージのDNAが細菌ゲノムの中にただ融合され、細菌分裂の間にファージのDNAが伝えられる。そして、特定の環境化においてのみ、ファージのDNAが再び発症(virulent)する。
【0012】
ファージ療法は、1921年、黄色ブドウ球菌に対して初めて用いられた[Bruynoghe R & Maisin J, La Presse Medicale 1921, 1195−1193]。それによって、感染した手術創部(infected surgical wounds)が48時間以内に治癒した。その後の世界大戦において、抗生物質の不足またはスルホンアミド耐性のために、バクテリオファージが術後創感染の治療に用いられた。ファージ療法中に自然に発生する菌耐性は、1943年に初めて報告された(Luria SE & Delbruck M, Genetics 1943, 28, 491−511)。ファージ療法については、特に東欧で出版された約30の出版物しかない。それらの出版物によれば、1966年と1996年の間の抗生物質療法の最盛期から、緊急的な耐性状況ならびに術後創感染の治療および予防において、ファージが用いられた。黄色ブドウ球菌に感染したマウスにおけるより最近の研究は、動物実験におけるファージ療法の有効性を繰り返し確認した(Matsuzaki et al., Journal of Infectious Diseases 2003, 187, 613−624)。
【0013】
バクテリオファージはマクロファージによって異物として短時間の間に除去されるので、ファージ療法を使用している間の問題点は、抗生物質と同様、主として、体内でのバクテリオファージの安定性の小ささに起因した。
【0014】
現在のところ、ファージ療法に対して、2つの異なるアプローチが進められている。一方においては、遺伝子組み換えによってより効果的な、できれば、最強に(omnipotently)効果的な種類のファージを作り出す努力がなされている(Merril CR et al., Nature Reviews Drug Discovery 2003, 2, 489−497; Krylov VN, Russian Journal of Genetics 2001, 37, 715−730; Broxmeyer L et al., Journal of Infectious Diseases 2002, 186, 1155−1160)。これとは対照的なアプローチが、いわゆるクラシカルトリートメントアプローチである。クラシカルトリートメントアプローチは、環境中から分離された、自然に発生するファージを用いる。自然に発生するファージは混合物なので、種々の細菌分離株または異なる細菌種に対して有効である(Barrow PA & Soothill JS, Trends in Mircobiology 1997, 5, 268−271; Soothill JS, Journal of Medical Microbiology 1992, 37, 258−261)。
【0015】
米国特許出願公開第2002/0001590号明細書において、ミオウイルス科(family Myoviridae)、具体的にはTwortの菌種から選択されたバクテリオファージが、MRSA菌株を効果的に抑制または殺菌することが記載されている。ファージは、水溶液もしくは緩衝液中またはポリマーマトリックス中で用いられる。
【0016】
他の研究[Vautz D. et al. : Lytic effectiveness of MRSA specific phages against the 41 defined national reference strains and 143 clinical MRSA isolates. ZfW (2007) 5:280−287]は、ヴェルニゲローデのロベルトコッホ研究所のドイツ国立資料センターにある41のMRSAの全てのグループに対してはっきりと活性を示すファージがあるのかという、質的な限界に関する疑問に基づく。ファージは、天然の、すなわち、遺伝子を変更されていないウイルスの単独の混合物(exclusively mixtures)であった。この点について、ファージ溶液(phage solutions)は、41のMRSA菌株に対して、はっきりと活性を示した。
【0017】
院内感染の問題は、病院職員にも同様に関連する。病院職員は、彼ら自身が病気でなくても、保菌者であり、それゆえ、細菌を撒き散らす。さらに、この問題は、医療機器、家具および備品にも関連する。これらには、多剤耐性菌を含むバクテリアが定着している可能性がある。このことは、病院の建物全体に影響する可能性もある。
【発明の概要】
【0018】
それゆえ、本発明の第1の目的は、少なくとも1つの菌株、好ましくは既知の多剤耐性菌株の全てに対して高い効果を有し、貯蔵寿命(shelf life)に優れ、手が届きにくい(poorly accessible)場所を含めて治療されるべき表面によく分散させることができるバクテリオファージ製剤を提供することにある。
【0019】
この目的は請求項1に関するバクテリオファージ製剤によって達成することができる。上記のバクテリオファージ製剤の有利な実施形態および改良は、従属項に記載される。
【0020】
本発明の他の目的は、鼻喉エリア、皮膚および粘膜エリア、泌尿生殖器エリアならびに目エリアにおいて、治療または予防の抗菌性用途のための薬物であって、特に、外傷および外傷エリアにおいて使用することができる薬物を創出するバクテリオファージ製剤を提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、抗菌性用途、例えば、内科医および病院職員の手の殺菌だけでなく、殺菌の対象となる物の殺菌に適した、殺菌剤(disinfectant)を提供することにある。
【0022】
これらの目的は、請求項12から請求項20に示された特徴によって達成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
一方、界面活性物質の機能は、皮膚の上、外傷もしくは同様に手が届きにくい(inaccessible)他の場所および体の空洞(cavities)(例えば、鼻喉または泌尿生殖器エリア)の中、ならびに、例えば荒れた表面もしくは狭い割れ目のような手が届きにくい表面上の細菌への、バクテリオファージの拡散もしくは浸透を可能または容易にすることである。これにより、先行技術と比較して、より効果的に、細菌を徹底的に減少させることができる。
【0024】
ポリヘキサミドのような陽イオン界面活性剤は、特に優れた界面活性剤であることがわかった。
【0025】
優れた貯蔵寿命および有効性の増加は、請求項1に示されたアルカリ性の緩衝溶液によって達成することができる。バクテリオファージは、中性または酸性のpHと比較してアルカリ性の環境においてより良好に貯蔵することができるだけでなく(即ち、活性の損失がより少ないだけでなく)、pHが7.5以上のアルカリ性の範囲において、例えばポリヘキサミドとの組合せにおいて、溶菌すべき細菌に対してより大きな有効性を示す。
【0026】
非常に低濃度のポリヘキサミドは、細菌に対して抑止的な効果しかなく、それらを殺菌することはない。一方、これらのポリヘキサミド濃度では、バクテリオファージの品質は低下せず、活性も低下しない。その結果、ポリヘキサミドによって抑制された細菌は、ポリヘキサミドによって阻害されないバクテリオファージによって、引き続き溶菌されうる。
【0027】
それゆえ、実用的な用途において、細菌は局地的に高濃度のポリヘキサミドによって素早く殺菌されるか、または、非常に低濃度のポリヘキサミドによって抑制された後、バクテリオファージによって溶菌される。
【0028】
バクテリオファージが良好な細菌学的な効果を得ることができるか否かは、細菌の表面に適切なレセプタ(receptor)を見付けることができるか否かに依存する。これに関連して、界面活性剤、酵素、アルコール、アルギン酸塩(alginates)のような洗浄物質(cleansing substances)および低周波の超音波と、バクテリオファージとの組合せに効果がある(positive)ことがわかった。これらのコンビネーション・パートナー(combination partners)は、抗菌性の抑制剤(antiseptic inhibitors)およびバクテリオファージの細菌への浸透しやすさ、または、低周波の超音波の場合には、機械的(mechanical)/機械‐音響(mechano−acoustic)作用によって、細菌の特定のレセプタへの到達しやすさを改善する。
【0029】
極めて低濃度の抗菌性物質(antimicrobial substances)は、細菌を破壊的するのではなく、抑制するので、バクテリオファージは、抑制された細菌細胞を複製(replication)に利用して、最後には、細菌細胞を溶菌することができる。
【0030】
さらに、バクテリオファージと、先行技術と比較してはるかに小さな濃度範囲(抑制効果を有する範囲)の抗菌作用を有する化学物質(antimicrobially acting chemical substances)とを組み合わせることで、バクテリオファージが、抗菌性化学物質(antimicrobial chemical substances)の有効性における既知のギャップを縮めることができる。
【0031】
さらに、バクテリオファージ製剤が低周波の超音波と共に用いられた場合には、殺菌中にバクテリオファージの作用が実質的に改善される可能性がある。低周波の超音波は、120kHzより低い周波数レンジ内にあり、0.05〜1.5W/cmの範囲に出力パワーを有することが好ましい。これにより、バクテリオファージ製剤が、殺菌されるべき表面上により分散し、汚れの粒子(dirt particles)がばらばらになる。その結果、バクテリオファージが、戦うべき細菌に到達しやすくなる。
【0032】
バクテリオファージ製剤を、使用前または使用中に、より高い温度に加熱することで、より一層効果を改善することができる。上記の温度範囲は、20度から45度の間であることが好ましい。
【0033】
それゆえ、本発明により、細菌の定着または感染、特に、例えばメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のような抗生物質耐性菌耐性菌による、皮膚、粘膜、体の開口および空洞、外傷またはその他同様に手が届きにくい身体の部位へのコロニー形成を、強烈に減少させることができる。
【0034】
界面活性物質として、陽イオン界面活性剤を用いることが好ましい。殺菌効果(antiseptic effect)のある他の物質、アルコール、および/または、酵素もまた用いられてよい。
【0035】
この点について、好ましくは、少なくとも1つの多価の(polyvalent)バクテリオファージ株とともに、少なくとも1つの種特異的(species−specific)バクテリオファージの個体群(population)を有する「バクテリオファージ・プール」が用いられてよい。バクテリオファージ・プールは、コロニーを形成している細菌(colonizing bacteria)に対して特異的に(specifically)作用する。
【0036】
特定の場合において異なる細菌種に有効なバクテリオファージの混合物が、異なる細菌株によるコロニー形成(colonization)に対するバクテリオファージ・プールとして用いられてよい。
【0037】
バクテリオファージの個体群は、遺伝子が変更されていないバクテリオファージ(genetically unmodified bacteriophages)からなることが好ましい。自然に発生するバクテリオファージであることが特に好ましい。一方、遺伝子が組み換えられたバクテリオファージ(genetically modified bacteriophages)も当然用いられてよい。
【0038】
バクテリオファージ・プールの中で、異なる細菌種に対して活性を有するバクテリオファージの個体群が組み合わせられてよい。
【0039】
バクテリオファージ・プールに適したバクテリオファージとして、溶菌的に活性な(lytically active)バクテリオファージ、後に溶菌化サイクル(lytic cycle)に入る溶原性の(lysogenic)バクテリオファージおよび細菌に対して有害な物質を生成する非細胞溶解性(non−lytic)のバクテリオファージを例示することができる。溶菌的に活性な(lytically active)バクテリオファージが特に好ましい。
【0040】
バクテリオファージは、当業者にとって既知の方法で、病院排水から回収され、滴下試験(drop test)または有効性のためのプラーク形成単位[PFU]試験を用いて、少なくとも1つの標準菌株(bacterial reference strain)、好ましくは、5から20の標準菌株のそれぞれに対する活性が検査される。
【0041】
1つの菌種の異なる分離株に対して有効な多価のバクテリオファージであることが好ましい。
【0042】
溶菌的に活性なバクテリオファージは、適切な細菌中で培養された培養菌であることが好ましい。上記の細菌は、ブドウ球菌種およびシュードモナス菌種であることが好ましい。得られた溶解物(lysates)は、既知の方法でさらに処理され、そこからバクテリオファージ・プールが生産される。上記のプールは、もはや、生きた組織(living organisms)、毒素(toxins)または細菌細胞壁の破片を含まないはずである。例えば、溶解物は、これらの条件に合うように、限外ろ過法および/または超遠心分離法のような既知の方法によって、精製することができる。
【0043】
バクテリオファージまたはその他の本発明の投薬形態は、アンプルまたはその他の容器に詰められてよい。容器中のバクテリオファージの適切なタイター(titers)は、試験株の一定の細菌数を溶菌するのに適した事前希釈(predilution)を決定することで、決定してよい。本発明の一実施形態において、バクテリオファージ・プールは、特異的に活性なバクテリオファージを少なくとも103PFU、好ましくは106から1010PFU、さらに好ましくは107から109PFU含むように調整される。
【0044】
バクテリオファージ・プールの種特異性を決定する目的で、様々な菌種の適切な標準菌株を用いて、バクテリオファージの溶菌試験が実施される。
【0045】
バクテリオファージ・プールは、アルカリ性のpH範囲における緩衝塩との組み合わせにより、安定化される。pHの値は、7.5と9.5の間であればよく、好ましくは8から9.5であり、さらに好ましくは8.2から9である。
【0046】
バクテリオファージ・プールは、少なくとも1つの界面活性物質と併用して用いられる。適切な界面活性物質には、とりわけ、界面活性剤、アルコール、殺菌および消毒作用のある物質、洗浄作用のある物質、酵素、防腐剤(preservatives)、低周波の超音波の利用、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0047】
適切な界面活性剤は、好ましくは、ベタイン(betaines)またはサルタイン(sultaines)のような両性界面活性剤(amphoteric surfactants)である。この点について、炭素数が5から21、好ましくは10から15、さらに好ましくは11から13であるアルキル鎖を有するベタインを用いることが好ましい。ウンデシレン酸アミドプロピルベタイン(undecylenic acid amidopropyl betaine)およびココアミドプロピルベタイン(cocamidopropyl betaine)が特に好ましい。この点について、界面活性剤は、0.001から10.0重量%、好ましくは0.003から5.0重量%、さらに好ましくは0.005から2.0重量%、さらに好ましくは0.005から0.1重量%の濃度で、バクテリオファージと組み合わせて用いられる。
【0048】
適切なアルコールは、水溶性のアルコールであり、C1からC4のアルコールが好ましい。エタノール、イソプロパノールおよびn−プロパノールが特に好ましい。この点について、バクテリオファージと組み合わせるために、アルコールは、0.1から25.0重量%、特に好ましくは1.0から10重量%の濃度で添加される。
【0049】
適切な殺菌・消毒用試薬(antiseptic, disinfection agents)および防腐剤は、組織適合性物質(tissue−compatible substances)が特に好ましく、特に、ビグアニド(biguanides)、ビスピリジン(bispyridines)、フェノキシエタノール(phenoxyethanol)、第4級アンモニウム化合物(quaternary ammonium compounds)、トシルクロルアミドナトリウム(tosylchloramide sodium)およびこれらの組み合わせが好ましい。特に好ましいビグアニドは、ポリヘキサメチルビグアニド(polyhexamethyl biguanide)(ポリヘキサニド(polyhexanide))およびクロルヘキシジン(chlorhexidine)である。特に好ましいビスピリジンは、オクタニジン二塩酸塩(octenidine dihydrochloride)である。特に好ましい第4級アンモニウム化合物は、塩化ベンザルコニウム(benzalkonium chloride)である。
【0050】
抗菌・殺菌剤(antiseptic disinfectants)および防腐剤は、ファージの調合中に、0.000001から1.0重量%の濃度で添加される。この点について、ビグアニドが、好ましくは0.000001から1.0重量%、より好ましくは0.000001から0.3重量%の濃度で用いられる。ビスピリジンは、好ましくは0.01から5.0重量%、さらに好ましくは0.5から2.0重量%の濃度で用いられる。フェノキシエタノールは、好ましくは0.05から5.0重量%、さらに好ましくは0.5から2.0重量%の濃度で用いられる。第4級アンモニウム化合物は、好ましくは0.01から10重量%、さらに好ましくは0.05から1.0重量%の濃度で用いられる。トシルクロルアミドナトリウム(ヨーロッパ薬局方 4版、クロラミンT(Chloramine T))は、0.001から1重量%、好ましくは0.01から0.5重量%の濃度で、特に好ましく用いられる。
【0051】
酵素およびアルギン酸塩は、特に外傷の治療において、単独でまたはバクテリオファージ・プールと一緒に、洗浄剤として用いられる。
【0052】
好ましい酵素は、ストレプトキナーゼ(streptase)、ウロキナーゼ(urokinase)およびリポオキシゲナーゼ(lipoxidase)のほかに、トリプシン(trypsin)、コラゲナーゼNB1およびNB4(collagenases NB1 and NB4)ならびにパンクレアチン(pancreatin)である。酵素は、以下の濃度でバクテリオファージ・プールに添加される。−リポオキシゲナーゼは、0・01から1.0mg/ml、好ましくは1.0mg/mlである。−トリプシンは、0.2から4mg/ml、好ましくは2mg/mlである。−ストレプトキナーゼは、5,000から100,000IU/ml、好ましくは10,000IU/mlである。−ウロキナーゼは、5,000IU/mlである。−NB1コラゲナーゼは、1から10PZ−U/ml、好ましくは6PZ−U/mlである。−NB4コラゲナーゼは、1から10PZ−U/ml、好ましくは6PZ−U/mlである。−パンクレアチンは、0.5から5mg/ml、好ましくは2.5mg/mlである。
【0053】
次のアルギン酸塩が、バクテリオファージ・プールに添加されてよい。−アルギン酸ナトリウム(sodium alginates)。−アルギン酸カルシウムナトリウム(sodium−calcium alginates)。−アルギン酸カルシウム(calcium alginates)。
【0054】
上述の製剤(formulations)は、既知の製剤調整方法によって調剤され、医薬品として、表面、特に皮膚および外傷に用いられてよい。
【0055】
120kHzより小さく、好ましくは30から100kHzの周波数レンジ内にあり、0.05〜1.5W/cmの出力パワーを有する低周波の超音波は、皮膚、粘膜および外傷に使用している間の、バクテリオファージおよび/またはポリヘキサミドとの組み合わせにおいて、相加作用およびある程度の相乗効果を示した。
【0056】
サブアクアルユース(subaqual use)における0.8から3MHzの超音波治療を適用して、外傷治癒を促進することは、何度も文献に掲載されている[Radandt, R. R.: Low−frequency ultrasound in wound healing. Phys Med Rehab Kuror. Thieme Verlag Stuttgart / New York, ISSN 0940−6689 (2001) 11:41−50]。このことからわかるように、超音波は例えば、3段階の外傷治癒プロセス、すなわち、組織表面への機械的な作用、そこに定着している微生物への機械−音響的な作用、および、組織層の深部における温熱効果もしくは非温熱効果(non−thermal effects)に影響を与える。
【0057】
特に、70kHzから10MHzの間の超音波と、抗生物質(ゲンタマイシン)との組み合わせによる生物膜(biofilms)中の緑膿菌(P. aeruginosa)の殺菌効果が、インビトロ(in vitro)で研究されている[Qian Z, Sagers RD, Pitt WG. The effect of ultrasonic frequency upon enhanced killing of P. aeruginosa biofilms. Ann Biomed Eng 1997; 25,1:69−76]。この点に関して、結果として、超音波治療単独では、微生物の著しい減少を引き起こさなかった。しかしながら、超音波および抗生物質の組み合わせを用いたところ、全ての周波数において、対照群(抗生物質単独)と比較して活性が著しく増加することが明らかになった。超音波の周波数に対する明瞭な相関関係があり、70kHzより低い領域で、250%を超える効果の増加が見られた(生体音響学的効果(bioacoustic effect))。
【0058】
以下に示す低周波の超音波が、バクテリオファージ・プールと組み合わせて用いられてよい。−出力周波数レンジが120kHzより小さく、出力が0.05から1.5W/cmの超音波。−出力周波数レンジが100kHzより小さく、出力が0.05から1.5W/cmの超音波。−出力周波数レンジが70kHzより小さく、出力が0.05から1.0W/cmの超音波。
【0059】
この点に関して、界面活性物質または低周波の超音波と併用されるバクテリオファージ・プールの適切な適用形態(application forms)は、ゲルの他に、溶液(solutions)、洗浄液(irrigation solutions)、織物材料もしくは合成繊維でできた(創傷)被覆材(dressings)、または、これらの組み合わせである。無菌の適用形態(sterile application forms)が好ましい。この場合、当業者にとって既知である従来型の方法によって、滅菌(sterilization)してよい。
【0060】
適切な溶液は、好ましくは水溶液であり、他の有効成分(active substances)、特に、洗浄活性物質(wash−active)および殺菌物質(antiseptic substances)を含んでよい。これらの溶液は、特に、(例えば病院の手術室または集中治療室内の)表面の殺菌・消毒に予防的に用いられてよい。
【0061】
適切な洗浄液は、好ましくは水溶液であり、好ましくは殺菌に適して、皮膚への忍容性に優れる(well tolerated by the skin)付加的な有効成分を含んでよい。さらに、洗浄液は、適切なpHおよび生理食塩(physiological salt content)を含む緩衝化した等浸透圧溶液(iso−osmotic solutions)を含んでよい。
【0062】
適切な(創傷)被覆材は、例えば、従来型のコットンガーゼ、合成繊維材料または他の充填剤(bulk agents)のような織物材料で構成されてよい。
【0063】
適切なゲルは、好ましくは、グリセロール、ポリマーまたはこれらの組み合わせを含む。ポリマーは、好ましくは酢酸セルロース誘導体であり、さらに好ましくは、アクリル酸のポリマーの他に、ヒドロキシアルキルセルロースアセテート(hydroxyalkylcellulose acetate)、特に、ヒドロキシエチルセルロースアセテート(hydroxyethylcellulose acetate)およびヒドロキシプロピルセルロースアセテート(hydroxypropylcellulose acetat)である。さらに好ましくは、ポリマーは、アクリル酸のホモポリマー(homopolymers)であってよく、上記ポリマーは、ペンタエリスリトールアリルエーテル(pentaerythritol allyl ether)、スクロースアリルエーテル(sucrose allyl ether)、プロピレンアリルエーテル(propylene allyl ether)(カルボマー(carbomer))で架橋されてよい。
【0064】
適切なゲルは、1.0から10.0重量%、好ましくは5.0から8.0重量%の濃度でグリセロールを含み、および/または、0.1から10.0重量%、好ましくは2.0から6.0重量%の濃度でポリマーを含む。
【0065】
本発明のバクテリオファージ製剤は、界面活性物質との併用で、皮膚および粘膜、好ましくは鼻喉エリアおよび泌尿生殖器エリア、外傷エリアおよび目エリアにおける、治療または予防の抗菌性用途のための医薬の創出に用いられる。
【0066】
本発明の製剤(formulations)および用途は、例えば、ブドウ球菌(Staphylococcus)、連鎖球菌(Streptococcus)、腸球菌(Enterococcus)、シュードモナス菌(Pseudomonas)、エンテロバクター属(Enterobacter)、大腸菌群(coliform bacteria)、クレブシエラ菌(Klebsiella)、プロテウス属(Proteus)、リステリア菌(Listeria)またはサルモネラ菌(Salmonella)の菌株のような細菌を除去するのに適している。 製剤および方法は、抗生物質耐性細菌の菌株、好ましくはブドウ球菌およびシュードモナス菌、特に好ましくは黄色ブドウ球菌および緑膿菌を除去するのに適している。 製剤および方法は、特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の除去に極めて適している。 本発明の好ましい実施形態において、製剤および方法は、皮膚、好ましくは鼻喉エリアや外傷の中のような手が届きにくい場所のMRSAのコロニー形成を取り除くのに用いられる。
【0067】
以上に記載された本発明の実施形態は、次の実施例においてより詳細に記載される。しかしながら、本発明は、そのような実施例に限定されない。
【0068】
バクテリオファージ(ここでは、黄色ブドウ球菌に対して有効)および界面活性物質(ここでは、1つ)からなる製剤の生産に関する実施例。
【0069】
1.バクテリオファージの分離(isolation)および複製(replication)。
収集株(strain collection)の中から、必要な標準バクテリオファージ(reference bacteriophages)および標準菌株(reference bacterial strains)が調達される。
【0070】
病院廃水からの液体試料を塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムと組み合わせ、ろ過した後、細菌ろ過(sterile−filtered)することで、新たなバクテリオファージを回収してよい。液体試料のPFU試験が実施され、バクテリオファージが、黄色ブドウ球菌に対して特異的な溶菌活性を有するか否かが検査される。このために、いずれの場合にも、栄養素を含む液体培地(liquid nutrient medium)で希釈され、対数増殖期まで培養されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(log−phase culture of methicillin−resistant Staphylococcus aureus)に、細菌ろ過された試料が添加される。
【0071】
黄色ブドウ球菌に特異的なファージを複製(replication)するために、振盪されているエルレンマイヤーフラスコの中のバクテリオファージに、対数増殖期にある特定の標準菌株の新鮮な細菌培養物(fresh bacterial culture)が添加される。次に、耐性が形成されることを防止する目的で、浄化された懸濁液(clarified suspension)が遠心分離され、上澄みが細菌ろ過される。PFU試験における濃度が1010ファージ/mlになるまで、複製段階が繰り返される。
【0072】
全ての関連のあるバクテリオファージ(バクテリオファージ・プール)が、混合物中に、PFU試験において1010/mlの濃度で検出できるようになるまで、全ての黄色ブドウ球菌株およびそれらの特異的なファージについて、この手順が繰り返される。
【0073】
2.作用の特異性(action specificity)の決定。
種特異性を決定する目的で、得られたファージ懸濁液(phage suspensions)が、E. coli ATCC 11229およびP. aeruginosa ATCC 15442の細菌株に対するPFU試験に用いられる。この点に関して、試験に用いられたファージ懸濁液の対照菌株(control strains)に対する溶菌活性は、検出されなくてよい。
【0074】
3.製剤(ファージ製剤)の生産。
バクテリオファージ・プールおよび界面活性物質からファージ製剤を生産する目的で、プールされた(pooled)ファージ懸濁液からの、限界濃度(end concentration)107バクテリオファージ/mlであり、0.1重量%のウンデシレン酸アミドプロピルベタインを含む溶液が、アルカリ緩衝液を用いて安定化され、培養され、細菌ろ過される。
【0075】
4.バクテリオファージの製剤中での濃縮。
ファージ製剤は、PFU試験において、関連する全ての黄色ブドウ球菌の標準菌株に対する活性を検査される。この点に関して、プールされたファージ懸濁液の関連する全ての標準菌株に対する十分な有効性が確認されうる。
【0076】
5.副作用試験(adverse reaction tests)。
生産されたバッチ(batch)には、エンテロトキシン(enterotoxins)(a型−g型、h型およびi型)、a型およびb型のエクスフォリエイティブトキシン(exfoliative toxins)、毒素性ショック症候群に関する毒素(toxin)ならびにエンドトキシン(endotoxins)に対する試験のほかに、毒性(toxic)および刺激効果(irritant effects)に対する試験が実施される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染、浸潤、感染および感染性疾患などの細菌によって引き起こされるコロニー形成を治療するためのバクテリオファージ製剤であって、
前記バクテリオファージ製剤は、アルカリ緩衝溶液中で少なくとも1つの界面活性剤と相まって、少なくとも1つの細菌株に対して特異的な有効性を示す、少なくとも1つのバクテリオファージを有する、
バクテリオファージ製剤。
【請求項2】
前記バクテリオファージは、ブドウ球菌種、シュードモナス菌種、連鎖球菌種、腸球菌種、エンテロバクター属の種、クレブシエラ菌種、プロテウス属の種、リステリア菌種およびサルモネラ菌種からなる群から選択された少なくとも1つの細菌に対する溶菌活性を有する、
請求項1に記載のバクテリオファージ製剤。
【請求項3】
前記界面活性剤は、陰イオンまたは陽イオン界面活性剤、アルコール、酵素、アルギン酸塩、消毒剤、殺菌剤、防腐剤およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、
請求項1または請求項2に記載のバクテリオファージ製剤。
【請求項4】
前記界面活性剤は、ポリヘキサメチルビグアニド(ポリヘキサニド)である、
請求項3に記載のバクテリオファージ製剤。
【請求項5】
前記バクテリオファージ製剤のpHは、少なくとも1つの緩衝塩によって、pH7.5からpH9.0までのアルカリ範囲に安定化される、
請求項4に記載のバクテリオファージ製剤。
【請求項6】
前記少なくとも1つの界面活性剤は、前記バクテリオファージ製剤の全体に対して、0.000001から20.0重量%の濃度で存在する、
請求項1から請求項5までの何れか一項に記載のバクテリオファージ製剤。
【請求項7】
前記バクテリオファージ製剤は、溶液または懸濁液として存在する、
請求項1に記載のバクテリオファージ製剤。
【請求項8】
前記バクテリオファージ製剤は、ゲルの形態で存在する、
請求項1に記載のバクテリオファージ製剤。
【請求項9】
前記バクテリオファージ製剤は、グリセロール、または、酢酸セルロースの誘導体およびアクリル酸のポリマーからなる群から選択されるポリマーを有する、
請求項8に記載のバクテリオファージ製剤。
【請求項10】
前記グリセロールは、バクテリオファージ・プールの全体に対して、1.0から10.0重量%の濃度で存在する、
請求項9に記載のバクテリオファージ製剤。
【請求項11】
前記ポリマーは、前記バクテリオファージ・プールの全体に対して、0.1から10.0重量%の濃度で存在する、
請求項10に記載のバクテリオファージ製剤。
【請求項12】
前記バクテリオファージ製剤は、織物繊維もしくは合成繊維の中に存在する、または、バルク材として存在する、
請求項1に記載のバクテリオファージ製剤。
【請求項13】
治療または予防のための抗菌的使用を目的とする医薬品を調合するための、請求項1から請求項12までの何れか一項に記載のバクテリオファージ製剤の使用法。
【請求項14】
外傷および外傷エリアに適用される、
請求項13に記載の使用法。
【請求項15】
鼻喉エリアに適用される、
請求項13に記載の使用法。
【請求項16】
皮膚および粘膜エリアに適用される、
請求項13に記載の使用法。
【請求項17】
泌尿生殖器エリアに適用される、
請求項13に記載の使用法。
【請求項18】
目エリアに適用される、
請求項13に記載の使用法。
【請求項19】
抗菌の用途に用いられる殺菌剤の調合のための、請求項1から請求項18までの何れか一項に記載のバクテリオファージ製剤の使用法。
【請求項20】
請求項1から請求項11までの何れか一項に記載のバクテリオファージ製剤を、周波数レンジが120kHzより小さく、出力が0.05から1.5W/cmである低周波の超音波と併用する、
殺菌方法。
【請求項21】
前記バクテリオファージ製剤が、適用前に22℃から45℃の間の温度に加熱される、
請求項20に記載の殺菌方法。

【公表番号】特表2011−509964(P2011−509964A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542583(P2010−542583)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/000249
【国際公開番号】WO2009/090082
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(510198480)
【Fターム(参考)】