説明

バケットコンベア装置およびバケットコンベア装置の組立方法

【課題】ベルトの継ぎ目がプーリの外周面に乗り上げて、継ぎ目に負荷が掛かる。
【解決手段】下部に供給ホッパー3を上部に上部ケース5を夫々設けた上下方向に長いケース1の上下側に上側プーリ10と下側プーリー11を軸装し、該上側プーリ10と下側プーリー11とにバケット13を設けたベルト15を掛け回し、該ベルト15は、一方側端部16Aと他方側端部16Bの両端を切り離した一枚状の所定長さを有するベルト体16を、前記一方側端部16Aと他方側端部16Bとを固定部材17により連結して無端状に構成し、前記一方側端部16Aと他方側端部16Bとを固定部材17により連結して構成した継ぎ目部Tは、移動するベルト15の内面に対して外側に位置させる構成としたバケットコンベア装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バケットコンベア装置およびその組立方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上下のプーリに掛け回した上下方向に回転するベルトと、該ベルトに所定間隔を置いて複数設けたバケットとにより穀粒を上昇搬送させる構成は、公知である(特許文献1参照)。
また、バケットコンベア装置の分野ではベルトを無端状にする構成に関する文献は存在せず、勿論、前記特許文献1にベルトの具体的構成の記載は存在しない。
しかし、一般的なベルトを無端状にする方法として、樹脂等を成形して当初より継ぎ目のないベルトにする構成はよく知られているが、製造コストが高くなる。
従来、バケットコンベア装置の分野ではないが、一枚状の所定長さを有するように、一方側端部と他方側端部を有してベルト体を切断し、このベルト体の一方側端部と他方側端部とを連結して無端状にする構成は、公知である(特許文献2参照)。
その構成は、ベルト体の一方側端部および他方側端部の夫々の外面と内面とを別個の固定部材により挟んで固定し、一方側端部の固定部材と他方側端部の固定部材との一対の固定部材同士をボルトとナットとにより互いに連結する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭62−24324号公報
【特許文献1】特開2001−173727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例のうち特公昭62−24324号公報には、ベルトを無端状にする構成は開示されていない。
前記公知例のうち、特開2001−173727号公報に記載されたものは、ベルト体の一方側端部の外面と内面とを挟むようにして固定部材を固定し、同様に、他方側端部の外面と内面とを挟むようにして固定部材を固定し、この一対の固定部材同士をボルトとナットとにより連結する構成のため、構造が複雑であり、製造・組立コストが高くなるという課題がある。
また、固定部材は、ベルト体の一方側端部と他方側端部の夫々の外面と内面とを挟んでいるので、固定部材の一部が必ずベルトの内面側に位置し、そのため、ベルトが回転すると、ベルト体の一方側端部と他方側端部とを連結した継ぎ目部が上側プーリおよび下側プーリーの外周面に乗り上げるように接触して、継ぎ目部が上側プーリおよび下側プーリーの外周面に乗り上げる度に、継ぎ目部の部分には継ぎ目部以外の部分のベルト体に掛かる荷重よりも大なる荷重が掛かり、継ぎ目部部分のベルトの耐久性が低下し、また、振動・騒音の原因となる課題がある。
本発明は、ベルト体の一方側端部と他方側端部の連結構成を工夫し、ベルトの耐久性を向上させ、振動・騒音を軽減するようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下部に供給ホッパー3を上部に上部ケース5を夫々設けた上下方向に長いケース1の上下側に上側プーリ10と下側プーリー11を軸装し、該上側プーリ10と下側プーリー11とに、所定間隔を置いてバケット13を複数設けたベルト15を掛け回し、該ベルト15は、一方側端部16Aと他方側端部16Bの両端を切り離した一枚状の所定長さを有するベルト体16を、前記一方側端部16Aと他方側端部16Bとを固定部材17により連結して無端状に構成し、前記一方側端部16Aと他方側端部16Bとを固定部材17により連結して構成した継ぎ目部Tは、移動するベルト15の内面に対して外側に位置させる構成としたバケットコンベア装置としたものである。
本発明は、前記固定部材17はベルト体16の移動方向と交差する挾持部19を有する一対の挾持体18により構成し、前記一方側端部16Aと他方側端部16Bは、前記ベルト15の内面に対して外側に突出させ、かつ、前記ベルト体16の一方側端部16Aの内面と他方側端部16Bの内面とを対峙させて当接させた状態で、該一方側端部16Aと他方側端部16Bの夫々の外面側から前記一対の挾持体18の挾持部19により挟持し、前記一方側端部16Aおよび他方側端部16Bと一対の挾持部19を止め部材21により固定したバケットコンベア装置としたものである。
本発明は、前記止め部材21は、その軸心方向をベルト15の移動方向と略平行で、前記一方側端部16Aと他方側端部16Bと一対の挾持体18の挾持部19を貫通して、前記一方側端部16Aと他方側端部16Bと一対の挾持体18を固定したバケットコンベア装置としたものである。
本発明は、前記一方側端部16Aと他方側端部16Bと一対の挾持体18の挾持部19により構成した継ぎ目部Tは、前記ベルト15に設けたバケット13の移動軌跡より内側に位置させたバケットコンベア装置としたものである。
本発明は、前記固定部材17の各挾持体18の挾持部19はベルト体16の移動方向と平行方向に屈曲させて押さえ部25を設けたバケットコンベア装置としたものである。
本発明は、前記押さえ部25は、挾持部19の左右両側を夫々屈曲させて一体状に形成し、左右の押さえ部25の間に切り欠いた空間部26を形成したバケットコンベア装置。
としたものである。
本発明は、前記空間部26は、左右の押さえ部25の間の挾持部19の下面にも形成したバケットコンベア装置としたものである。
本発明は、前記左右の押さえ部25と空間部26との関係は、左右の押さえ部25の左右幅より空間部26の左右幅を大きく形成したバケットコンベア装置としたものである。
本発明は、前記押さえ部25は、挾持部19との間に側面視において直角より大きい角度を有して屈曲する構成としたバケットコンベア装置としたものである。
本発明は、取り付けようとするバケット13の左右幅より広い左右幅を有し、かつ、所定厚さをのベルト体16を、一枚状の所定長さに切断し、ベルト体16の両端に一方側端部16Aと他方側端部16Bを夫々形成し、該ベルト体16の一方側端部16Aと他方側端部16Bとをベルト体16の外面側に夫々屈曲させ、ベルト体16の一方側端部16Aの内面と他方側端部16Bの内面とを対峙させて重ね、一方側端部16Aの外面と他方側端部16Bの外面の夫々に固定部材17の挾持部19を当てがって、一方側端部16Aおよび他方側端部16Bを一対の固定部材17により挟持し、一対の固定部材17を一方側端部16Aおよび他方側端部16Bごと止め部材21により固定し、固定部材17と一方側端部16Aおよび他方側端部16Bにより構成される継ぎ目部Tがベルト15の内面に対して外側に位置して移動するようにしたバケットコンベア装置の組立方法としたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、ベルト15を無端状とする継ぎ目部Tが存在しても、継ぎ目部Tは移動するベルト15の内面に対して外側に位置するので、上側プーリ10および下側プーリー11に接触せず、そのため、継ぎ目部Tの部分に継ぎ目部T以外の部分のベルト体16に掛かる荷重よりも大なる荷重が掛かることを抑制し、継ぎ目部T部分のベルト15の耐久性を低下させず、また、振動・騒音の発生を抑制することができる。
請求項2の発明では、固定部材17はベルト体16の移動方向と交差する挾持部19を有する挾持体18により構成し、ベルト15の内面に対して外側に突出する一方側端部16Aと他方側端部16Bの夫々の外面側から一対の挾持体18の挾持部19により挟持しているので、継ぎ目部Tを移動するベルト15の内面に対して外側に位置させる構成を、簡単に実現できる。
請求項3の発明では、止め部材21の軸心方向をベルト15の移動方向と略平行にして、一方側端部16Aと他方側端部16Bと挾持部19を貫通させて取り付けているので、一層、止め部材21が上側プーリ10および下側プーリー11に接触することを防止でき、振動・騒音の発生を防することができ、継ぎ目部Tおよび上側プーリ10と下側プーリー11の破損を防止することができる。
請求項4の発明では、継ぎ目部Tは、ベルト15に設けたバケット13の移動軌跡より内側に位置させているので、継ぎ目部Tが本体ケース1内の他の部材と接触するのを防止することができる。
請求項5の発明では、固定部材17の各挾持体18の挾持部19には押さえ部25を設けているので、押さえ部25はベルト体16の一方側端部16Aおよび他方側端部16Bとが、ベルト15の外面に対して側方に突出させるように保持することができ、継ぎ目部Tを、移動するベルト15の内面に対して常時外側に位置させることができる。
請求項6の発明では、左右の押さえ部25の間に切り欠いた空間部26を形成しているので、固定部材17の押さえ部25と下側プーリー11との重なる部分の面積を一層小さくして、ベルト15と下側プーリー11との間への穀粒の侵入を防止し、また、ベルト15の振動発生を抑制することができる。
請求項7の発明では、前記空間部26は、左右の押さえ部25の間の挾持部19の下面にも形成しているので、固定部材17の挾持部19と下側プーリー11との重なる部分の面積を一層小さくして、ベルト15と下側プーリー11との間への穀粒の侵入を防止し、また、ベルト15の振動発生を抑制することができる。
請求項8の発明では、左右の押さえ部25の左右幅より空間部26の左右幅を大きく形成しているので、押さえ部25による継ぎ目部Tの側方突出状態の保持の確実性を確保した上で、ベルト15と下側プーリー11との間への穀粒の侵入を防止し、また、ベルト15の振動発生を抑制することができる。
請求項9の発明では、押さえ部25を挾持部19との間に側面視において直角より大きい角度を有して屈曲させているので、固定部材17部分のベルト15と下側プーリー11の外周面との間の隙間Sを小さくでき、穀粒がベルト15の内面と下側プーリー11の外面との間に入るのを防止できる。
請求項10の発明では、継ぎ目部Tが移動するベルト15の内面に対して外側に位置するようにさせる方法を簡単に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】バケットコンベア装置の側面図。
【図2】バケットコンベア装置の正面図。
【図3】バケットコンベア装置の縦断側面図。
【図4】下側プーリー付近の縦断側面図。
【図5】バケットコンベア装置の横断平面図。
【図6】継ぎ目部の組立順序説明図。
【図7】継ぎ目部の斜視図。
【図8】継ぎ目部の縦断側面図。
【図9】固定部材の正面図。
【図10】同平面図。
【図11】同縦断側面図。
【図12】継ぎ目部の横断平面図。
【図13】プーリの縦断正面図。
【図14】同側面図。
【図15】継ぎ目部のプーリ周面の移動状態断面図。
【図16】下側プーリーの他の実施例の斜視図。
【図17】同側面図。
【図18】同縦断正面図。
【図19】同底面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施例を図面により説明すると、1はバケットコンベアBの縦に長いケースであり、本体ケース1の下部ケース2には供給ホッパー3を設けている。下部ケース2の上方には上下に複数の中間ケース4を取付け、最上方位置の中間ケース4に上部ケース5を取付ける。上部ケース5には排出口(落ち口)6を設ける。7は中間ケース4に設けた点検用窓、8は駆動モータである。
ケース1内の上下位置には上下一対の上側プーリ10と下側プーリー11を軸装する。上側プーリ10と下側プーリー11にはバケット13を取付けた無端状のベルト15を掛け回す。
上側プーリ10と駆動モータ8とはチエンまたはベルトにより回転伝達し、ベルト15を駆動回転させる。
14は上側プーリ10を上下させてベルト15の張り具合を調節する長孔であり(図3)、図示は省略するが、ベルト15の張り具合を調節するテンショ機構を設けている。
【0009】
ベルト15はバケット13の左右幅(理解を容易にするために方向を示して、以下説明するが、これによって構成は限定されない)と略同一幅を有したベルト体16の両端を固定部材17により固定して無端状に形成する。
固定部材17は、一対の挾持体18によりベルト体16の一方側端部16Aと他方側端部16Bとを上下(前後)に挟持する。
挾持体18は、ベルト体16の移動方向と交差する挾持部19を有して形成する。挾持部19の左右幅はベルト体16の左右幅より狭く形成する(図11)。挾持部19には複数の取付孔20を形成し(図6,図8)、一方側端部16Aと他方側端部他方側端部16Bとを挾持部19により挟んで止め部材21により固定する。
即ち、取付けようとする前記バケット13の左右幅より広い左右幅を有して所定厚さのベルト体16を、一枚状の所定長さに切断し、各ベルト体16の両端に一方側端部16Aと他方側端部他方側端部16Bを夫々形成する。
【0010】
次に、一方側端部16Aと他方側端部他方側端部16Bは、ベルト体16の移動方向に対して交差方向となる側方に折り曲げ、一方側端部16Aと他方側端部他方側端部16Bの中間の中間ベルト部16Cより側方に突出させて、ベルト体16の一方側端部16Aの内面と他方側端部16Bの内面とを対峙させて重ねる。
したがって、図8の状態で、ベルト体16の一方側端部16Aと他方側端部16Bは上下に重なって、ベルト15の外面側に突出している。
次に、一方側端部16Aの外面(上面)と他方側端部16Bの外面(下面)の夫々に一対の挾持体18の一方側挾持部19Aと他方側挾持部19Bを夫々当てがって、一方側端部16Aおよび他方側端部16Bを一対の挾持体18により挟持する(図8)。
この一方側端部16Aおよび他方側端部16Bと一対の挾持部19とに止め部材21を貫通させて固定する。
【0011】
この場合、前記止め部材21はボルト21Aとナット21Bにより構成し、ボルト21Aとナット21Bの軸心方向をベルト15の移動方向と略平行にして、前記一方側端部16Aと他方側端部16Bと一対の挾持体18の挾持部19を貫通させるので、止め部材21は必ずベルト15の移動方向の外面側に位置して、前記上側プーリ10および下側プーリー11とは直接接触しない。
このように、無端状のベルト15とする、固定部材17とベルト体16の一方側端部16Aおよび他方側端部16Bにより構成される継ぎ目部(連結部)Tは常時ベルト体16の外周面側に位置して、継ぎ目部Tと上側プーリ10および下側プーリー11の外周面とを接触させず、継ぎ目部Tと上側プーリ10および下側プーリー11の損傷あるいはベルト15の一部が千切れる等の破損を防止する。
【0012】
即ち、仮に、継ぎ目部Tがベルト15の内面側にあると、継ぎ目部Tは上側プーリ10および下側プーリー11の外周面に乗り上げるように接触して、継ぎ目部Tの部分には継ぎ目部T以外の部分のベルト体16に掛かる荷重よりも大なる荷重が掛かり、継ぎ目部T部分のベルト15の耐久性が低下するが、本願の継ぎ目部Tは、固定部材17のみならず、ベルト体16の一方側端部16Aおよび他方側端部16Bも上側プーリ10および下側プーリー11の外周面に乗り上げることはないから(図14)、継ぎ目部Tが上側プーリ10および下側プーリー11の外周を通過するときのベルト15に掛かる荷重を殆ど変化させず、ベルト15の耐久性を向上させる。
また、前記一方側端部16Aと他方側端部16Bと一対の挾持体18の挾持部19により構成した継ぎ目部Tは、前記ベルト15に設けたバケット13の移動軌跡より内側に位置させ、継ぎ目部Tが本体ケース1内の他の部材と接触するのを防止する。
22はベルト15の内面側に見える継ぎ目部Tの継ぎ目である。
【0013】
各挾持体18にはベルト体16の移動方向と平行方向に屈曲させた押さえ部25を設ける。押さえ部25はベルト15の一方側端部16Aおよび他方側端部16Bを、ベルト15の外面に対して側方に突出させるように作用する。
この場合、押さえ部25は、ベルト15の一方側端部16Aおよび他方側端部16Bとをベルト15の外面に対して側方に突出させればよいので、挾持部19の左右両側に夫々屈曲させて一体状に形成し、左右の押さえ部25の間に切り欠いた空間部(切欠部)26を形成する。
したがって、固定部材17の押さえ部25と下側プーリー11との重なる部分の面積が空間部26の存在する分だけ減少させることができ、ベルト15の内面と下側プーリー11の外面との間に穀粒が入る面積を空間部26により減少させ、穀粒の粉砕を抑制する。
そのため、空間部26は、左右の押さえ部25の間の挾持部19の下面にも形成している。
【0014】
また、押さえ部25を挾持部19の全幅にわたって形成すると、ベルト15の進行方向に対して押さえ部25の左右両側の位置が僅かにずれ、ずれた取付位置の部分に荷重が掛かり、そのため、荷重が掛かった側にベルト15が寄り、寄ったベルト15はその反力により元に戻るように作用し、その結果、ベルト15が左右の往復振動の振幅幅が大きくなるが、本願では、押さえ部25の左右中間部分を切り欠いて空間部26を形成しているので、固定部材17の左右の押さえ部25に夫々に荷重が分散し、押さえ部25の左右両端の取付位置のずれによるベルト15の左右振動を抑制する。
左右の押さえ部25と空間部26との関係は、左右の押さえ部25の左右幅より空間部26の左右幅を大きく形成する。
そのため、固定部材17の押さえ部25と下側プーリー11との重なる部分の面積を一層小さくして、ベルト15と下側プーリー11との間への穀粒の侵入を防止し、また、ベルト15の振動発生を抑制する。
【0015】
実施例では、左右の押さえ部25の左右幅と空間部26の左右幅の比率を、左右の押さえ部25の左右幅を約「4」とすると空間部26の左右幅を約「7」とし、約4:7に構成している。
また、押さえ部25は、挾持部19との間に側面視において直角より大きい角度を有して屈曲するように構成する(図10)。
そのため、下側プーリー11の下面側を固定部材17が通過するとき、固定部材17部分のベルト15と下側プーリー11の外周面との間に隙間が生じるのを抑制し、穀粒がベルト15の内面と下側プーリー11の外面との間に入るのを防止する。
即ち、各押さえ部25は、挾持部19との間に側面視において直角より大きい角度を有して夫々屈曲させているので、側面視上下(前後)の押さえ部25の内面は、下側プーリー11の外周面に接近し、固定部材17部分のベルト15と下側プーリー11の外周面との間の隙間Sを小さくし(図14)、穀粒がベルト15の内面と下側プーリー11の外面との間に入るのを防止する。
【0016】
図12と図13は、上下一対の上側プーリ10と下側プーリー11の実施例を示し、取付孔30を有するボス31に放射方向に伸びるアーム32の基部を固定し、アーム32の先端にドラム33の内周面を固定して構成する。
図15〜図18は、下側プーリー11の他の実施例を示し、取付孔30を有するボス31に円板35を固定し、円板35の外周にボス31の軸心方向と平行の軸部材36を所定間隔おいて複数設け、ドラム33を省略して構成する。
この実施例では、軸部材36は円板35の外周より放射方向の外側に位置させ、ベルト体16の内周面に軸部材36が当接するように構成することにより、下側プーリー11の外周とベルト体16の内周面との接触面積を減少させて穀粒の噛み込みを防止している。
この場合、継ぎ目部Tの特に固定部材17と止め部材21がベルト体16の外面側を移動して、下側プーリー11に直接接触しないので、軸部材36を、円板35の直径の約十分の一程度の細軸に形成して接触面積を減少させても、継ぎ目部Tが円板35に引っ掛かることはなく、ベルト15の移動の確実性を確保しつつ、下側プーリー11の外周とベルト体16の内周面との接触面積を減少させて穀粒の噛み込みを防止している。
【0017】
実施例では、円板35の直径を約260ミリメートルとし、軸部材36の直径を24ミリメートルとしている。
また、軸部材36の外面の一部は所謂面取りをして平坦面39を形成している。
40は、前記ケース1の下部ケース2の底板であり、前記下側プーリー11の軸心を中心とする円弧状に形成している。
また、各バケットバケット13には前記底板40と摺接する弾性部材により形成した摺接体42を設けている。
【0018】
(実施例の作用)
駆動モータ8を駆動してベルト15を回転駆動させて、バケット13を移動させた状態で、供給ホッパー3から穀粒を張り込むと、穀粒は回転移動するバケット13により掬われて上昇し、上部で放擲されて上部ケース5より排出される。
このバケット13は、ベルト15の外周面に所定間隔を置いて複数設けられており、ベルト15は上下一対の上側プーリ10と下側プーリー11に掛け回されているので、ベルト15は無端状に形成している。
ベルト15を無端状に構成するに際し、樹脂等を成形して当初より継ぎ目のないベルトに構成する場合と、一方側端部16Aと他方側端部16Bの両端を切り離した一枚状の所定長さを有するベルト体16を形成し、このベルト体16の一方側端部16Aと他方側端部16Bとを連結して無端状にすると、簡単に製造でき、製造コストを低くすることができる。
【0019】
しかし、単にベルト体16の一方側端部16Aと他方側端部16Bとを連結すると、ベルト体16の一方側端部16Aと他方側端部16Bとを連結した継ぎ目部Tが上側プーリ10および下側プーリー11外周面に乗り上げるように接触して、継ぎ目部Tが上側プーリ10および下側プーリー11外周面に乗り上げる度に、継ぎ目部Tの部分には継ぎ目部T以外の部分のベルト体16に掛かる荷重よりも大なる荷重が掛かり、継ぎ目部T部分のベルト15の耐久性が低下する
本願の継ぎ目部Tは、移動するベルト15の内面に対して継ぎ目部Tのベルト体16の一方側端部16Aおよび他方側端部16Bを外側に位置させているから、継ぎ目部Tのベルト体16の一方側端部16Aおよび他方側端部16Bが上側プーリ10および下側プーリー11の外周を通過するとき、一方側端部16Aおよび他方側端部16Bは上側プーリ10および下側プーリー11の外周面に接触せず、乗り上げることはないから、継ぎ目部Tが上側プーリ10および下側プーリー11の外周を通過するときのベルト15に掛かる荷重を殆ど変化させず、ベルト15の耐久性を向上させる。
【0020】
継ぎ目部Tは、ベルト体16の一方側端部16Aと他方側端部16Bとをベルト体16の外周側に屈曲させ、ベルト体16の一方側端部16Aと他方側端部16Bとを上下(前後)に重ね、一方側端部16Aと他方側端部16Bとを固定部材17により固定するから、一方側端部16Aおよび他方側端部16Bと固定部材17により構成される継ぎ目部Tは、移動するベルト15の内面に対して外側に位置させられる。
即ち、バケットコンベアは、元々バケット13がベルト15の外面側に位置しているので、継ぎ目部Tがベルト15の外面側に位置させるのに支障はなく、継ぎ目部Tが上側プーリ10および下側プーリー11の外周面に接触させないための合理的構成となる。
継ぎ目部Tの固定部材17は、一対の挾持体18により構成し、挾持体18はベルト体16の移動方向と交差する挾持部19を有して形成しているので、ベルト体16の一方側端部16Aと他方側端部16Bとを上下(前後)に重ね、この一方側端部16Aと他方側端部16Bの夫々とを挾持体18により挟持し、一方側端部16Aおよび他方側端部16Bと一対の挾持体18を止め部材21により固定するから、一方側端部16Aおよび他方側端部16Bと一対の挾持体18は強固に固定される。
【0021】
そして、一対の挾持体18の一方側挾持部19Aと他方側挾持部19Bは一方側端部16Aと他方側端部16Bの夫々を上下側から挟持するので、継ぎ目部Tの一部構成する固定部材17も、移動するベルト15の内面に対して外側に位置させられ、上側プーリ10および下側プーリー11の外周面に接触するのを防止でき、ベルト15と上側プーリ10および下側プーリー11の耐久性を向上させ、また、振動や異音(騒音)の発生を抑制する。
即ち、仮に、継ぎ目部Tがベルト15の内面側にあると、継ぎ目部Tは上側プーリ10および下側プーリー11の外周面に乗り上げるように接触して、継ぎ目部Tの部分には継ぎ目部T以外の部分のベルト体16に掛かる荷重よりも大なる荷重が掛かり、継ぎ目部T部分のベルト15の耐久性が低下するが、本願の継ぎ目部Tは、固定部材17のみならず、ベルト体16の一方側端部16Aおよび他方側端部16Bのみならず固定部材17も上側プーリ10および下側プーリー11の外周面に乗り上げることはないから(図14)、継ぎ目部Tが上側プーリ10および下側プーリー11の外周を通過するときのベルト15に掛かる荷重を殆ど変化させず、ベルト15の耐久性を向上させる。
【0022】
各挾持体18にはベルト体16の移動方向と平行方向に屈曲させた押さえ部25を設けているので、押さえ部25はベルト体16の一方側端部16Aおよび他方側端部16Bとが、ベルト15の外面に対して側方に突出させるように保持し、継ぎ目部Tを、移動するベルト15の内面に対して常時外側に位置させられる。
また、押さえ部25はベルト体16の一方側端部16Aおよび他方側端部16Bとベルト体16の中間部分中間ベルト部16Cとの境界部分が不必要に屈曲するのを抑制するので、ベルト15の耐久性を低下させない。
この場合、押さえ部25は、ベルト15の一方側端部16Aおよび他方側端部16Bとをベルト15の外面に対して側方に突出させればよいので、挾持部19の左右両側に夫々屈曲させて一体状に形成し、左右の押さえ部25の間に切り欠いた空間部26を形成しているから、固定部材17の押さえ部25と下側プーリー11との重なる部分の面積が空間部26の存在する分だけ減少させることができ、ベルト15の内面と下側プーリー11の外面との間に穀粒が入る面積を空間部26により減少させ、穀粒の粉砕を抑制する。
【0023】
また、空間部26は、左右の押さえ部25の間の挾持部19の下面にも形成しているから、挾持部19の下面と下側プーリー11の外面とが重なる面積を空間部26により減少させ、穀粒の粉砕を抑制する。
左右の押さえ部25と空間部26との関係は、左右の押さえ部25の左右幅より空間部26の左右幅を大きく形成しているから、固定部材17の押さえ部25と下側プーリー11との重なる部分の面積を一層小さくして、ベルト15と下側プーリー11との間への穀粒の侵入を防止し、また、ベルト15の振動発生を抑制する。
また、押さえ部25は、挾持部19との間に側面視において直角より大きい角度を有して屈曲するように構成しているので(図10)、下側プーリー11の下面側を押さえ部25が通過するとき、押さえ部25部分のベルト15と下側プーリー11の外周面との間の隙間Sを小さくし、穀粒がベルト15の内面と下側プーリー11の外面との間に入るのを防止する。
【0024】
しかして、図15〜図18の下側プーリー11の他の実施例では、取付孔30を有するボス31に円板35を固定し、円板35の外周にボス31の軸心方向と平行の軸部材36を所定間隔おいて複数設けて構成しているので、ベルト15の内周面には軸部材36が当接して、円板35の外周は接触しないから、下側プーリー11の外周とベルト15の内周面との接触面積を減少させて穀粒の噛み込みを防止している。
【符号の説明】
【0025】
1…本体ケース、2…下部ケース、3…供給ホッパー、4…中間ケース、5…上部ケース、6…排出口、8…駆動モータ、10…上側プーリ、11…下側プーリー、13…バケット、14…長孔、15…ベルト、16…ベルト体、17…固定部材、18…挾持体、19…挾持部、20…取付孔、21…止め部材、25…押さえ部、26…空間部、30…取付孔、31…ボス、32…アーム、33…ドラム、35…円板、36…軸部材、40…底板、42…摺接体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部に供給ホッパー3を上部に上部ケース5を夫々設けた上下方向に長いケース1の上下側に上側プーリ10と下側プーリー11を軸装し、該上側プーリ10と下側プーリー11とに、所定間隔を置いてバケット13を複数設けたベルト15を掛け回し、該ベルト15は、一方側端部16Aと他方側端部16Bの両端を切り離した一枚状の所定長さを有するベルト体16を、前記一方側端部16Aと他方側端部16Bとを固定部材17により連結して無端状に構成し、前記一方側端部16Aと他方側端部16Bとを固定部材17により連結して構成した継ぎ目部Tは、移動するベルト15の内面に対して外側に位置させる構成としたバケットコンベア装置。
【請求項2】
請求項1において、前記固定部材17はベルト体16の移動方向と交差する挾持部19を有する一対の挾持体18により構成し、前記一方側端部16Aと他方側端部16Bは、前記ベルト15の内面に対して外側に突出させ、かつ、前記ベルト体16の一方側端部16Aの内面と他方側端部16Bの内面とを対峙させて当接させた状態で、該一方側端部16Aと他方側端部16Bの夫々の外面側から前記一対の挾持体18の挾持部19により挟持し、前記一方側端部16Aおよび他方側端部16Bと一対の挾持部19を止め部材21により固定したバケットコンベア装置。
【請求項3】
請求項2において、前記止め部材21は、その軸心方向をベルト15の移動方向と略平行で、前記一方側端部16Aと他方側端部16Bと一対の挾持体18の挾持部19を貫通して、前記一方側端部16Aと他方側端部16Bと一対の挾持体18を固定したバケットコンベア装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3において、前記一方側端部16Aと他方側端部16Bと一対の挾持体18の挾持部19により構成した継ぎ目部Tは、前記ベルト15に設けたバケット13の移動軌跡より内側に位置させたバケットコンベア装置。
【請求項5】
請求項2または請求項3または請求項4において、前記固定部材17の各挾持体18の挾持部19はベルト体16の移動方向と平行方向に屈曲させて押さえ部25を設けたバケットコンベア装置。
【請求項6】
請求項5において、前記押さえ部25は、挾持部19の左右両側を夫々屈曲させて一体状に形成し、左右の押さえ部25の間に切り欠いた空間部26を形成したバケットコンベア装置。
【請求項7】
請求項6において、前記空間部26は、左右の押さえ部25の間の挾持部19の下面にも形成したバケットコンベア装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7において、前記左右の押さえ部25と空間部26との関係は、左右の押さえ部25の左右幅より空間部26の左右幅を大きく形成したバケットコンベア装置。
【請求項9】
請求項5または請求項6または請求項7または請求項8において、前記押さえ部25は、挾持部19との間に側面視において直角より大きい角度を有して屈曲する構成としたバケットコンベア装置。
【請求項10】
取り付けようとするバケット13の左右幅より広い左右幅を有し、かつ、所定厚さをのベルト体16を、一枚状の所定長さに切断し、ベルト体16の両端に一方側端部16Aと他方側端部16Bを夫々形成し、該ベルト体16の一方側端部16Aと他方側端部16Bとをベルト体16の外面側に夫々屈曲させ、ベルト体16の一方側端部16Aの内面と他方側端部16Bの内面とを対峙させて重ね、一方側端部16Aの外面と他方側端部16Bの外面の夫々に固定部材17の挾持部19を当てがって、一方側端部16Aおよび他方側端部16Bを一対の固定部材17により挟持し、一対の固定部材17を一方側端部16Aおよび他方側端部16Bごと止め部材21により固定し、固定部材17と一方側端部16Aおよび他方側端部16Bにより構成される継ぎ目部Tがベルト15の内面に対して外側に位置して移動するようにしたバケットコンベア装置の組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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