説明

バケットリフタ

【課題】駆動機構から発生した異物の被搬送物への混入を防止することができるバケットリフタを提供すること。
【解決手段】内部空間をバケットが昇降する本体室2と、バケット1を昇降させる電動シリンダ3が配置される機械室5と、本体室2と機械室5とを隔てるバリア室6と、本体室2とバリア室6とを隔てる壁に開口して形成され両室を連通する第1スリット21と、本体室2内にガスを供給して本体室2内を正圧に設定する送風ファン18と、送風ファン18から供給され第1スリット21を通じてバリア室6内に流入したガスを吸い込みバリア室6内を負圧に設定する吸込ファン19とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バケットを昇降させて被搬送物を搬送するバケットリフタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のバケットリフタとして、特許文献1には、タワー状の本体の内外を区画する隔壁に形成された開口部に沿って本体内を昇降するバケットと、バケットに結合され開口部を塞ぐように配置した無端式平ベルトと、無端式平ベルトをタワー外で駆動する駆動手段と、バケットにタワー外から被搬送物を供給する供給手段と、バケット内の被搬送物を受取りタワー外に排出するシュートとを備えたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−97523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のバケットリフタでは、被搬送物を収容するバケットとバケットを昇降させる駆動手段とは本体の隔壁のみによって隔てられる。そのため、駆動手段の摺動部等から発生する塵埃等が隔壁に形成された開口部等を通じて本体内に侵入し、塵埃がバケット内の被搬送物に混入するおそれがある。特に、被搬送物が医薬品、食品である場合には、塵埃の混入は品質に大きな影響を与える。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、駆動機構から発生した異物の被搬送物への混入を防止することができるバケットリフタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、バケットを昇降させて被搬送物を搬送するバケットリフタであって、外部と隔てられた内部空間を前記バケットが昇降する本体室と、前記バケットを昇降させる駆動機構と、前記駆動機構が配置される機械室と、前記本体室の外部から供給される被搬送物を前記バケット内に受け入れるための受入装置と、前記バケットにて搬送された被搬送物を前記本体室の外部へと排出するための排出装置と、外部と隔てられた内部空間によって前記本体室と前記機械室とを隔てるバリア室と、前記本体室と前記バリア室とを隔てる壁に上下方向に開口して形成され、両室を連通する第1スリットと、前記第1スリットを挿通して前記駆動機構と前記バケットとを連結し、前記駆動機構の駆動に伴って前記第1スリットに沿って移動する連結部材と、前記本体室内にガスを供給して前記本体室内を正圧に設定するガス供給装置と、前記ガス供給装置から供給され前記第1スリットを通じて前記バリア室内に流入したガスを吸い込み前記バリア室内を負圧に設定するガス吸込装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バケットが昇降する本体室と駆動機構が配置された機械室とはバリア室によって隔てられ、かつ本体室は正圧に設定され、バリア室内は負圧に設定される。このため、駆動機構から異物が発生したとしても、その異物はバリア室から外部へ排出されるため、異物が本体室内に侵入する可能性は小さい。したがって、駆動機構から発生した異物の被搬送物への混入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係るバケットリフタの正面図であり、本体室のカバーを取り除いた状態の図である。
【図2】図1におけるA−A線に沿う断面図である。
【図3】電動シリンダの斜視図である。
【図4】集塵室の側面図であり、図2における矢印Cの方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、本発明の実施形態に係るバケットリフタ100について説明する。
【0010】
バケットリフタ100は、化学品、医薬品、食品等の製造工程において製造される錠剤やカプセル等の薬剤である被搬送物を、バケット1を昇降させて搬送するものである。化学品、医薬品、食品等の製造工程において、薬剤製造装置から排出される薬剤は製品容器等に貯蔵される。その際、薬剤製造装置の排出高さよりも製品容器の高さが高い場合がある。このような場合には、薬剤製造装置から排出される製品を製品容器の高さまで搬送する必要があり、この搬送にバケットリフタ100が用いられる。
【0011】
図1及び図2に示すように、バケットリフタ100は、薬剤を収容する箱状のバケット1と、内部空間をバケット1が昇降する本体室2と、バケット1を昇降させる駆動機構としての電動シリンダ3と、電動シリンダ3が配置される機械室5と、本体室2の外部から供給される薬剤をバケット1内に受け入れるための受入装置8と、バケット1にて搬送された薬剤を本体室2の外部へと排出するための排出装置9とを備える。
【0012】
バケットリフタ100の外部には、薬剤製造装置にて製造され排出された薬剤が収容されるストックホッパ16と、薬剤を貯蔵する大容量の貯蔵容器17とが配置される。貯蔵容器17の受入口17aは、ストックホッパ16よりも高い位置にある。バケットリフタ100は、ストックホッパ16から供給された薬剤をバケット1にて搬送し、貯蔵容器17に向けて排出するものである。なお、図1では、便宜上、ストックホッパ16から供給された薬剤をバケット1内に受け入れている状態と、バケット1内の薬剤を貯蔵容器17に排出している状態とを同時に示した。
【0013】
本体室2は、断面コの字形状のカバー11によって外部と隔てられた上下方向に伸びる内部空間を有し、その内部空間をバケット1が昇降する。このように、本体室2は、薬剤を収容するバケット1が移動するところであるため、内部空間は高い清浄度に保たれることが要求される。なお、図1は、カバー11を取り除いた状態で、図2の矢印Bの方向からバケットリフタ100を見た図である。
【0014】
機械室5は、カバー12によって区画され、本体室2と独立に設けられる。
【0015】
本体室2と機械室5との間には、略L字形状のカバー13によって区画されたバリア室6が設けられる。バリア室6は、外部と隔てられた内部空間を有し、その内部空間によって本体室2と機械室5とを隔てるものである。
【0016】
図3に示すように、電動シリンダ3は、シリンダ本体31と、シリンダ本体31に締結される電動モータ32と、電動モータ32の出力軸が連結される駆動軸33と、駆動軸33の回転が伝達されて回転するボールねじ(図示せず)と備える。ボールねじには、シリンダ本体31に沿って移動可能なスライダ34が螺合して連結される。スライダ34は、ボールねじが回転することによって、シリンダ本体31の長手方向に形成された開口ガイド35に案内されて移動する。電動シリンダ3は、ボールねじが上下方向に延びるように直立して機械室5内に配置される。したがって、電動モータ32の駆動に伴ってスライダ34は上下方向に移動することになる。スライダ34は、電動モータ32の正転によって上昇し、電動モータ32の逆転によって下降する。
【0017】
図2に示すように、スライダ34は、軸受35を介してシャフト36を支持する。本体室2とバリア室6とを隔てる壁には、両室を連通する第1スリット21が上下方向に開口して形成される。シャフト36は第1スリット21を挿通し、シャフト36の先端にはバケット1が回動自在に連結される。このように、電動シリンダ3とバケット1はスライダ34及びシャフト36を介して連結され、電動シリンダ3が駆動することによって、シャフト36が第1スリット21に沿って移動してバケット1は本体室2内を移動する。スライダ34及びシャフト36は、請求項1の連結部材に該当する。
【0018】
電動シリンダ3は、駆動軸33の回転がボールねじに伝達される伝達部や、ボールねじとスライダ34とが螺合する螺合部等の駆動部を有する。駆動部は動力を伝達する部分であるため、そこから摩耗粉や塵埃等の異物が発生するおそれがある。そこで、電動シリンダ3は、本体室2とバリア室6によって隔てられた機械室5内に配置するようにしている。これに対して、電動シリンダ3とバケット1を連結するスライダ34及びシャフト36は、駆動部が存在しないため、バリア室6内に配置される。つまり、スライダ34及びシャフト36は、バリア室6内を移動する。
【0019】
バリア室6は第2スリット61を通じて集塵室7と連通する。第2スリット61は、バリア室6と集塵室7とを隔てる壁に上下方向に開口して形成される。集塵室7は、略L字形状のカバー14によって区画され、本体室2、機械室5、及びバリア室6と独立に設けられる。このように、バケットリフタ100の内部は、本体室2、機械室5、バリア室6、及び集塵室7の4つの空間に区画され、かつ4つ空間は縦方向に区切られている。なお、バリア室6と機械室5とを隔てる壁には、両室を連通する後述する開口部62が形成される。
【0020】
図1に示すように、本体室2の上部には、本体室2内に空気(ガス)を供給するガス供給装置としての送風ファン18が配置される。送風ファン18には不織布製のプレフィルタとHEPAフィルタが設けられ、これら2つのフィルタを通過した空気が本体室2の上部から本体室2内に供給される。本体室2の上部から空気を供給することによって、本体室2の底部に塵埃が存在する場合であっても、それらが本体室2内にて飛散することを防止できる。
【0021】
また、集塵室7の上部には、集塵室7の内部の空気を吸い込むガス吸込装置としての吸込ファン19が設けられる。このように、バケットリフタ100には送風ファン18と吸込ファン19が設けられるため、本体室2、機械室5、バリア室6、及び集塵室7の各室間にて空気の流れが生じる。具体的には、送風ファン18によって本体室2内に供給された空気は、第1スリット21を通じてバリア室6内に流入してバリア室6から第2スリット61を通じて集塵室7内に流入し、吸込ファン19によって外部へと排出される。そして、送風ファン18の送風流量及び吸込ファン19の吸込流量を調節することによって、本体室2内は正圧に設定され、バリア室6内は負圧に設定される。これにより、高い清浄度が要求される本体室2内に外部から異物が侵入することが防止され、また、仮に本体室2内に異物が侵入、存在する場合でも、その異物は第1スリット21を通じてバリア室6内に吸い込まれ、集塵室7を通じて外部へと排出されることになる。また、大気圧である機械室5内にて、電動シリンダ3の駆動部から異物が発生したとしても、その異物は開口部62を通じてバリア室6に吸い込まれ、集塵室7を通じて外部へと排出される。このように、本体室2と機械室5とは負圧に調節されたバリア室6によって隔てられているため、機械室5にて発生する異物が本体室2内に侵入する可能性は非常に小さい。なお、正圧とは、大気圧以上の圧力である。
【0022】
図4に示すように、第2スリット61には、その開口幅を変更可能な板部材63が設けられる。板部材63は、第2スリット61の開口幅が下方ほど大きくなるように配置される。つまり、第2スリット61の開口面積は、吸込ファン19の吸込口に近いほど小さく、吸込口から離れるほど大きく設定される。これにより、バリア室6から集塵室7に向けて第2スリット61を通過する空気流量は、第2スリット61の上下方向にて略均一となるため、バリア室6内の圧力を上下方向に均一な負圧とすることができる。ここで、仮に、板部材63が無く、第2スリット61の開口面積が上下方向に均一である場合には、第2スリット61を通過する空気流量は吸込ファン19の吸込口に近い上方ほど多くなるため、バリア室6内の上方側は負圧になるが、下方側は正圧になる可能性がある。また、下方側を負圧にできたとしても、下方側の圧力は上方側の圧力と比較して大きくなるため、バリア室6内の圧力が何らかの原因で変動した場合には、バリア室6の下方側の圧力が一時的に正圧に振れてしまう可能性がある。これは、集塵室7を設けずに、バリア室6の内部を吸込ファン19にて直接吸い込むように構成した場合も同じである。このような事態を回避するために、バリア室6と独立した集塵室7を設け、その集塵室7を通じてバリア室6の内部を吸い込むと共に、板部材63によって第2スリット61の開口面積が調節される。
【0023】
次に、ストックホッパ16から供給される薬剤をバケット1に受け入れるための受入装置8について説明する。
【0024】
図1及び図2に示すように、受入装置8は、本体室2の壁に開口して形成されストックホッパ16から供給される薬剤を受け入れてバケット1に導く受入口81と、受入口81を開閉するシャッタ82と、シャッタ82と一体に設けられ上下移動可能なアーム83と、アーム83の上下移動を案内するガイド84と、アーム83とガイド84との間に介装された第1付勢部材としてのスプリング85とを備える。
【0025】
シャッタ82には受入口81に対応する大きさの開口部82aが形成され、開口部82aが受入口81と連通すれば受入口81は開となり、開口部82aが受入口81からずれると受入口81は閉となる。
【0026】
アーム83は、本体室2内の内壁に沿って形成されたL字形状の第1アーム部83aと、一方が第1スリット21を挿通すると共に他方が開口部62を挿通するL字形状の第2アーム部83bとからなる。開口部62は、第2アーム部83bの自由端側を機械室5内に配置するための開口であり、アーム83が上下移動する範囲に形成される。アーム83のうち第2アーム部83bはスライダ34の下方に位置し、スライダ34は下方に移動することによって第2アーム部83bに当接するようになっている。つまり、スライダ34は、バケット1の下降過程で第2アーム部83bに当接する。スライダ34は、請求項5の第1当接体に該当する。
【0027】
ガイド84は集塵室7のカバー14の外壁に上下方向に延在して設けられ、第2アーム部83bの自由端がガイド84に係合する。このように、ガイド84は機械室5内に配置され、アーム83とガイド84の摺動は機械室5内にて行われる。
【0028】
アーム83がガイド84に沿って移動することによって、アーム83と一体のシャッタ82も移動して受入口81が開閉される。ストックホッパ16から薬剤を受け入れない通常状態では、アーム83とガイド84との間に介装されたスプリング85の付勢力によってアーム83が持ち上げられ、シャッタ82は受入口81を閉じた状態となる。このように、スプリング85は受入口81を閉じた状態にシャッタ82を保持する。一方、バケット1の下降過程でスライダ34が第2アーム部83bに当接してスプリング85の付勢力に抗してアーム83を押し下げることによって、シャッタ82が下降して開口部82aが受入口81と連通して受入口81が開となる。受入口81が開となれば、ストックホッパ16内の薬剤が自重でバケット1内に投下される(図1に示す状態)。薬剤の投下完了後は、バケット1が上昇することによってアーム83がスプリング85の付勢力によって持ち上げられ、シャッタ82は受入口81を閉じる。このように、シャッタ82は、バケット1が下降する過程で連動して下降して受入口81を開とし、バケット1が上昇する過程で連動して上昇して受入口81を閉とする。
【0029】
図1に示すように、本体室2内には、バケット1の下降時のバケット1の到達を検出する下部バケット減速センサ87と下部バケット停止センサ88が設けられる。下部バケット減速センサ87は下部バケット停止センサ88よりも上方に設けられる。バケット1の下降時に、下部バケット減速センサ87がバケット1の到達を検出すると、電動シリンダ3は電動モータ32の回転速度を低下させる。これにより、バケット1の下降速度が低下する。そして、下部バケット停止センサ88がバケット1の到達を検出すると、電動シリンダ3は電動モータ32を停止させる。これにより、バケット1は停止する。このバケット1の停止位置にて、シャッタ82の開口部82aが受入口81と連通するようになっている(図1に示す状態)。
【0030】
受入装置8では、アーム83とスライダ34の当接はバリア室6にて行われ、アーム83とガイド84の摺動は機械室5内にて行われる。つまり、受入装置8を駆動させる駆動部は本体室2内に一切配置されていない。このため、アーム83とスライダ34の当接及びアーム83とガイド84の摺動に伴って異物が発生した場合でも、その異物が本体室2内に侵入する可能性は非常に小さい。
【0031】
次に、バケット1にて搬送された薬剤を貯蔵容器17へと排出するための排出装置9について説明する。
【0032】
図1及び図2に示すように、排出装置9は、バリア室6の内壁に固定されたストッパ90と、バケット1と一体に昇降しバケット1の上昇過程でストッパ90に当接する第2当接体としてのレバー91と、レバー91とスライダ34との間に介装された第2付勢部材としてのスプリング92とを備える。
【0033】
レバー91は、バケット1の側面に結合され第1スリット21を挿通する第1レバー部91aと、バリア室6内に配置された第2レバー部91bとからなるT字形状の部材である。第2レバー部91bの一端側はバケット1の上昇過程でストッパ90に当接し、第2レバー部91bの他端側とスライダ34との間にはスプリング92が介装される。
【0034】
バケット1にて薬剤を搬送する通常状態では、バケット1は、スプリング92の付勢力によって、開口部が上方を向く搬送位置に保持される。このように、スプリング92は、バケット1の姿勢を搬送位置に保持する。一方、バケット1の上昇過程で第2レバー部91bがストッパ90に当接することによって、バケット1はスプリング92の付勢力に抗してシャフト36を中心に回動する。バケット1が回動することによって、バケット1内の薬剤はシュート15を通じて貯蔵容器17へと排出される(図1に示す状態)。薬剤の排出完了後は、バケット1が下降することによって、バケット1はスプリング92の付勢力によって搬送位置に復帰する。
【0035】
図1に示すように、本体室2内には、バケット1の上昇時のバケット1の到達を検出する上部バケット減速センサ97と上部バケット停止センサ98が設けられる。上部バケット減速センサ97は上部バケット停止センサ98よりも下方に設けられる。バケット1の上昇時に、上部バケット減速センサ97がバケット1の到達を検出すると、電動シリンダ3は電動モータ32の回転速度を低下させる。これにより、バケット1の上昇速度が低下する。そして、上部バケット停止センサ98がバケット1の到達を検出すると、電動シリンダ3は電動モータ32を停止させる。これにより、バケット1は停止する。このバケット1の停止位置にて、バケット1の回動角度が最大となり、バケット1の内部とシュート15とが連通する(図1に示す状態)。
【0036】
排出装置9では、ストッパ90とレバー91の当接はバリア室6にて行われる。つまり、排出装置9を駆動させる駆動部は本体室2内に一切配置されていない。このため、ストッパ90とレバー91の当接に伴って異物が発生した場合でも、その異物が本体室2内に侵入する可能性は非常に小さい。
【0037】
次に、バケットリフタ100の動作について説明する。
【0038】
バケットリフタ100内の本体室2、機械室5、バリア室6、及び集塵室7の各室は、送風ファン18及び吸込ファン19によって気流管理される。具体的には、本体室2内は正圧に設定され、バリア室6内及び集塵室7内は負圧に設定される。機械室5は略大気圧である。送風ファン18によって本体室2内に供給された空気は、第1スリット21を通じてバリア室6内に流入してバリア室6から第2スリット61を通じて集塵室7内に流入し、吸込ファン19によって外部へと排出される。これに加え、バリア室6は負圧であるため、機械室5の空気が開口部62を通じてバリア室6に流入してバリア室6から第2スリット61を通じて集塵室7内に流入し、吸込ファン19によって外部へと排出されるという流れもある。
【0039】
このように気流管理された状態で、電動シリンダ3を駆動源としてバケット1による薬剤の搬送が行われる。具体的に説明すると、空のバケット1が本体室2内を下降する過程で、下部バケット減速センサ87がバケット1の到達を検出すると、バケット1は減速運転に切り換わる。その後、バケット1の下降に連動してシャッタ82が受入口81を開き、ストックホッパ16内の薬剤のバケット1内への投下が開始される。その後、下部バケット停止センサ88がバケット1の到達を検出すると、バケット1は下降を停止し、この状態でストックホッパ16内の全ての薬剤がバケット1内へ投下される。
【0040】
薬剤の投下完了後、薬剤を収容したバケット1は上昇を開始する。上昇の過程で、上部バケット減速センサ97がバケット1の到達を検出すると、バケット1は減速運転に切り換わる。その後、バケット1の上昇に伴ってバケット1が回動して、バケット1から貯蔵容器17への薬剤の排出が開始される。その後、上部バケット停止センサ98がバケット1の到達を検出すると、バケット1は上昇を停止し、この状態でバケット1内の全ての薬剤が貯蔵容器17へ排出される。
【0041】
薬剤の排出完了後、空のバケット1は下降を開始する。以上の動作が繰り返されて、薬剤の搬送が行われる。
【0042】
以上に示す本実施の形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0043】
高い清浄度が要求される本体室2と異物が発生し易い機械室5とは、負圧に設定されたバリア室6によって隔てられている。このため、機械室5にて発生した異物はバリア室6から集塵室7を通じて外部に排出されるため、異物が本体室2内に侵入する可能性は非常に小さい。また、本体室2は正圧に設定されるため、外部から本体室2内に異物が侵入する可能性も小さい。したがって、バケット1にて搬送される薬剤への異物の混入を防止することができる。
【0044】
また、バリア室6と独立した集塵室7を設け、その集塵室7を通じてバリア室6の内部を吸い込むと共に、板部材63によって第2スリット61の開口面積が調節されるため、バリア室6内の圧力を上下方向に均一な負圧とすることができる。これにより、バリア室6内の圧力が変動したとしても、バリア室6内の圧力が正圧に振れることを防止できる。つまり、バリア室6内の圧力を常に負圧に保つことができる。
【0045】
また、受入装置8において、アーム83とスライダ34の当接はバリア室6にて行われ、アーム83とガイド84の摺動は機械室5内にて行われる。このように、受入装置8を駆動させる駆動部は本体室2内に一切配置されていない。また、排出装置9においても、ストッパ90とレバー91の当接はバリア室6にて行われ、排出装置9を駆動させる駆動部は本体室2内に一切配置されていない。したがって、受入装置8及び排出装置9の駆動に伴って異物が発生した場合でも、その異物が本体室2内に侵入する可能性は非常に小さい。
【0046】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係るバケットリフタは、化学品、医薬品、食品等の製造工程において製造される錠剤やカプセル等の製品を搬送する装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
100 バケットリフタ
1 バケット
2 本体室
3 電動シリンダ
5 機械室
6 バリア室
7 集塵室
8 受入装置
9 排出装置
16 ストックホッパ
17 貯蔵容器
18 送風ファン
19 吸込ファン
21 第1スリット
34 スライダ
36 シャフト
61 第2スリット
82 シャッタ
83 アーム
90 ストッパ
91 レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バケットを昇降させて被搬送物を搬送するバケットリフタであって、
外部と隔てられた内部空間を前記バケットが昇降する本体室と、
前記バケットを昇降させる駆動機構と、
前記駆動機構が配置される機械室と、
前記本体室の外部から供給される被搬送物を前記バケット内に受け入れるための受入装置と、
前記バケットにて搬送された被搬送物を前記本体室の外部へと排出するための排出装置と、
外部と隔てられた内部空間によって前記本体室と前記機械室とを隔てるバリア室と、
前記本体室と前記バリア室とを隔てる壁に上下方向に開口して形成され、両室を連通する第1スリットと、
前記第1スリットを挿通して前記駆動機構と前記バケットとを連結し、前記駆動機構の駆動に伴って前記第1スリットに沿って移動する連結部材と、
前記本体室内にガスを供給して前記本体室内を正圧に設定するガス供給装置と、
前記ガス供給装置から供給され前記第1スリットを通じて前記バリア室内に流入したガスを吸い込み前記バリア室内を負圧に設定するガス吸込装置と、
を備えることを特徴とするバケットリフタ。
【請求項2】
前記バリア室と連通し、前記ガス吸込装置によって内部のガスが吸い込まれる集塵室をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のバケットリフタ。
【請求項3】
前記ガス吸込装置は、前記集塵室の上部から内部のガスを吸い込むように配置され、
前記バリア室と前記集塵室とを隔てる壁には両室を連通する第2スリットが上下方向に開口して形成され、
前記第2スリットには、その開口幅を変更可能な板部材が設けられ、
前記板部材は、前記第2スリットの開口幅が下方ほど大きくなるように配置されることを特徴とする請求項2に記載のバケットリフタ。
【請求項4】
前記受入装置は、
前記本体室の壁に開口して形成され、外部から供給される被搬送物を受け入れて前記バケットに導く受入口と、
前記受入口を開閉するシャッタと、
前記シャッタと一体に設けられたアームと、
前記受入口を閉じた状態に前記シャッタを保持する第1付勢部材と、
前記バケットと一体に昇降し、前記バケットの下降過程で前記アームに当接する第1当接体と、を備え、
前記シャッタは、前記バケットの下降過程で前記第1当接体が前記第1付勢部材の付勢力に抗して前記アームを押し下げることによって前記受入口を開き、
前記第1当接体と前記アームの当接は、前記バリア室内にて行われることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のバケットリフタ。
【請求項5】
前記バケットは、前記連結部材に回動自在に連結され、
前記排出装置は、
前記バケットの姿勢を搬送位置に保持する第2付勢部材と、
前記バケットと一体に昇降し、前記バケットの上昇過程でストッパに当接する第2当接体と、を備え、
前記バケットは、上昇過程で前記第2当接体が前記ストッパに当接することによって前記第2付勢部材の付勢力に抗して回動し、内部の被搬送物を前記本体室の外部へと排出し、
前記第2当接体と前記ストッパの当接は、前記バリア室内にて行われることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のバケットリフタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−12124(P2012−12124A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147566(P2010−147566)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(390002565)林薬品機械株式会社 (2)
【Fターム(参考)】