説明

バケツ

【課題】 水を汲んだ後ロープの捲回具が足下に転がった状態になったり、ロープやロープの捲回具がバケツ本体から垂れ下がりやすいこと。
【解決手段】 バケツ1は、汲んだ水を入れるバケツ本体2とこれを引き上げるためのロープ3とこのロープ3を捲回するためのロープの捲回具4を有している。
ロープの捲回具4は、その一側側に指掛け孔4bが形成され、他側側にロープ3の捲回部4dが形成され、握持部4aには、指掛け孔4bに通じるように設けた切り欠き4cが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バケツ本体に取り付けたロープの上端にロープの捲回具を取り付けたバケツに関する。
【背景技術】
【0002】
川や海などで水を汲むときはバケツ本体にロープを取り付けたバケツが用いられている。
これらのバケツは、ロープが邪魔にならないようにロープの上端にロープの捲回具が取り付けられており、不要な長さのロープを巻き取っておけるようになっている。
例えば、釣りにおいては、足場の高い釣り場で水を汲むときは、バケツ本体に取り付けたロープの上端にロープの捲回具を取り付けたバケツを用いており、捲回具から必要な長さのロープを引き出して水面にバケツを投入し、ロープを引き上げることで安全に水を汲み上げて、餌に加えたり、魚を入れる容器に入れたり、釣り場の清掃等に使用している。
しかし、このようなバケツは、上記作業等で汲んだ水を使用するときには、ロープやロープの捲回具が邪魔になるという問題がある。
【0003】
特許文献1の公報にはバケツ本体に取り付けたロープの上端にロープの捲回具を取り付けたバケツが記載されている。
ところが、水を汲んだ後ロープの捲回具が足下に転がして置いてあったり、バケツ本体を持って作業するときにロープやロープの捲回具はバケツ本体から垂れ下がった状態となり、場合によっては引きずりながら作業をしなければならなかった。
【特許文献1】特開2003−26182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、水を汲んだ後ロープの捲回具が足下に転がった状態になったり、ロープやロープの捲回具がバケツ本体から垂れ下がりやすいことである。
【0005】
本発明の目的は前記欠点に鑑み、バケツ本体に取り付けたロープの上端にロープの捲回具を取り付けたバケツを使用するときロープやロープの捲回具が邪魔にならないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、
請求項1に係わる本発明は、バケツ本体に取り付けたロープの上端にロープの捲回具を取り付けたバケツにおいて、前記ロープの捲回具は、指掛け孔と該指掛け孔に通じる切り欠きを有していることを要旨とするものである。
請求項2に係わる本発明は、切り欠きは、少なくともバケツ本体に取り付けたロープが挿通可能であることを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、バケツ本体に取り付けたロープの上端にロープの捲回具を取り付けたバケツに水を汲んで使用するときにロープやロープの捲回具が邪魔になることを防止する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明すると、図1から図4は本発明で、図1はロープをロープの捲回具に捲回したバケツの正面図、図2はロープをロープの捲回具から解いたバケツの正面図、図3はロープの捲回具をロープに係止したバケツの正面図、図4はロープの捲回具をハンドルに係止したバケツの正面図である。
【0009】
図1によると、バケツ1は、汲んだ水を入れるバケツ本体2とこれを引き上げるためのロープ3とこのロープ3を捲回するためのロープの捲回具4を有している。
バケツ本体2は、汲んだ水を入れる合成樹脂等の防水性材料で形成された容器体で、内部を収納部とし、上方に開口2eを有している。
そして、バケツ本体2には開口近傍の開口2eを挟んだ対抗位置にハンドル保持部2dが取り付けられ、このハンドル保持部2dを介してコ字状のハンドル2aが取り付けられている。
【0010】
ハンドル2aは合成樹脂を金型で成型したもので、その両端がそれぞれハンドル保持部2dに設けた孔に挿通され両端にこぶが形成されて抜け止めされて回動可能に保持されており、立ち上がった起立状体とバケツ本体2側に倒した倒伏状態にすることができる。
ハンドル2aは、ロープ3のように合成樹脂製の組紐で形成しても良く、また、ハンドル2aを介さずにロープ3をバケツ本体2に取り付けても良い。
【0011】
ロープ3は、合成樹脂製の組紐でその下端がバケツ本体2のハンドル2aに取り付けられ、上端がロープの捲回具4に取り付けられている。
ロープ3の下端はハンドル2aの水平状の握り部の中央に設けた挿通孔2bに挿通して棒状の抜け止め部材2cに取り付けられて挿通孔2bから脱落しないようになっており、ロープ3の上端は図2のようにロープの捲回具4の指掛け孔4bに挿通して折り返し再びロープ3に止着することでとり、ロープの捲回具4に取り付けられている。
【0012】
ロープの捲回具4は、合成樹脂や木材等で板状に形成され、その一側側に指掛け孔4bが形成され、他側側にロープ3の捲回部4dが形成されている。
指掛け孔4bは楕円形状に形成され、少なくとも人差し指から小指までを一度に挿通できる程度の大きさを有し、指掛け孔4bの外側に沿って握持部4aが形成され、指掛け孔4bに上記指を挿通し握持部4aに外側から親指をかけて握持部4aを握持することができる。
【0013】
握持部4aには、指掛け孔4bに通じるように設けた指掛け孔4bより幅狭の切り欠き4cが形成されている。
切り欠き4cは、少なくともロープ3が挿通できる幅を有し、ロープ3の挿通がしやすいように外側の開口は、外側に向けて徐々に幅が広がるように形成されている。
切り欠き4cは、ロープの捲回具4の上側にあたる握持部4aの中央を避け、握持部4aの握持の邪魔をしないように握持部4aの左右にずれた位置に設けられ、握持部4aを握持しながら切り欠き4cにロープ3を挿通できるようになっている。
【0014】
ロープの捲回具4に形成されたロープ3の捲回部4dは指掛け孔4bが形成された部分に比べて左右が窪んで形成されており、ロープ3を複数周に亘って捲回し、ここに収めることができる。
また、捲回したロ−プ3は切り欠いた溝状の係止部4eに差し込んで狭持することでロープ3が解れて脱落しないようにすることができる。
【0015】
ロープの捲回具4に形成された切り欠き4cからロープ3を差し込んで、ロープ3を指掛け孔4bに導き入れ、挿通することで、図3のように、ロープ3に指掛け孔4bが係止されロープの捲回具4が保持されるようになっている。
ロープ3が指掛け孔4bに挿通されると切り欠き4cがこれより幅狭であるためロープ3は切り欠き4cから脱落せず、指掛け孔4b内に保持される。
従来のロープの捲回具は切り欠いた溝状の係止部でロープを狭持することでロープの捲回具を保持していたため外れやすく、これが外れるとロープの捲回具はこの保持が解かれてしまったが、本願のバケツ1は指掛け孔4b内に保持されるためこのような脱落が防止され、バケツ本体2に確実に保持される。
【0016】
バケツ1を使用するときは、ロープの捲回具4に捲回したロ−プ3を溝状の係止部4eから取り外し、必要な分だけロープ3を捲回部4dから解いて引き出し、バケツ本体2を水面に投げ込む。
水面に投下されたバケツ本体2が倒れた状態となると開口2eから内部に水が入り、バケツ本体2が徐々に沈下する。
必要な量の水がバケツ本体2に入ったところでロ−プ3を手繰り寄せ、足場まで引き上げると水をくみ上げることができる。
【0017】
水の入ったバケツ本体2を足下に置いて、引き出された余分なロープ3をロープの捲回具4の捲回部4dに巻き戻して、再びロ−プ3を溝状の係止部4eに差し込んで狭持し、ロープの捲回具4から捲回したロープ3が解れて脱落しないようにする。
【0018】
次に、水の入ったバケツ本体2を足下に置いて使用するのであれば、そのままロープ3をロープの捲回具4の切り欠き4cに差し込んで指掛け孔4b内に挿通することでロープの捲回具4がバケツ本体2(ハンドル2aのロープ3の取り付け位置近傍)に係止される。
この状態で、ロープの捲回具4は、その自重でロープ3を張った状態でぶら下がり、僅かな長さのロープにより垂下した状態で保持され、ロープの捲回具4から手を離しても、係止部4eからロープ3が外れにくくなり、ロープの捲回具4からロープ3が解けたり、さらに、ロープの捲回具4がバケツ本体2から離れて脱落することが防止されている。
またこの後、ハンドル2aを倒伏させても良いし、さらにバケツ本体を持ち上げて、作業することもでき、この場合もロープの捲回具4がバケツ本体2から離れて脱落することが防止されている。
【0019】
さらに、ロープ3をロープの捲回具4の切り欠き4cに差し込んで指掛け孔4b内に挿通することでロープの捲回具4がバケツ本体2に係止されるようにしたが、図4のように、ロープ3より幅広のハンドル2aをロープの捲回具4の切り欠き4cに差し込んで指掛け孔4b内に挿通することでロープの捲回具4をバケツ本体2(ハンドル2a)に係止しても良いし、図示しないが、更に幅広のバケツ本体2の開口2eをロープの捲回具4の切り欠き4cから差し込んで指掛け孔4b内まで差し込むことでロープの捲回具4をバケツ本体2(ハンドル2a)に係止しても良い。
ロープの捲回具4の握持部4aは可撓性を有し、切り欠き4cにこれより幅が広いロープ3等を握持部4aの弾性に抗して差し込むときにその幅が広がるようになっている。
【0020】
このようなバケツ1によると従来と同様に足場の高いところから容易に水を汲むことができ、また、この時、不要なロープはロープの捲回具4に巻き取っておくことができる。
さらに、バケツ1に水を汲んで使用するときに、切り欠き4cによりロープ3が指掛け孔4b内に挿通できるようになっているため、ロープ3を巻き取った状態でロープの捲回具4がロープ3に係止されて足元に転がった状態にならずに済み、また、ロープの捲回具4やロープ3を踏んでしまったり、つまずいたりすることが防止されるためロープ3やロープの捲回具4が邪魔になることを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、ロープとロープの捲回具を取り付けたバケツに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1はロープをロープの捲回具に捲回したバケツの正面図である。
【図2】図2はロープをロープの捲回具から解いたバケツの正面図である。
【図3】図3はロープの捲回具をロープに係止したバケツの正面図である。
【図4】図4はロープの捲回具をハンドルに係止したバケツの正面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 バケツ
2 バケツ本体
3 ロープ
4 ロープの捲回具
4a 握持部
4b 指掛け孔
4c 切り欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バケツ本体に取り付けたロープの上端にロープの捲回具を取り付けたバケツにおいて、前記ロープの捲回具は、指掛け孔と該指掛け孔に通じる切り欠きを有していることを特徴とするバケツ。
【請求項2】
切り欠きは、少なくともバケツ本体に取り付けたロープが挿通可能であること特徴とする請求項1記載のバケツ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−36244(P2006−36244A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216172(P2004−216172)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000002495)ダイワ精工株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】