説明

バストランシーバの構成

トランシーバは、マイクロコントローラから信号を受信するように構成された送信ピンと、マイクロコントローラへ信号を送信するように構成された受信ピンと、ネットワークへ又はネットワークからシグナリングを送信及び受信するように構成された少なくとも1つのバスピンと、ウェイクアップ検出器と、肯定応答及び/又はウェイクアップ生成器と、トランシーバを第1の動作モードにするように動作可能な少なくとも1つのスイッチと、を含む。第1の動作モードにおいて、送信ピンはウェイクアップ検出器に接続され、ウェイクアップ検出器は、送信ピンで受信される構成情報に従って、ウェイクアップコードをアクティブにするように構成され、受信ピンは、肯定応答及び/又はウェイクアップ生成器に接続され、肯定応答及び/又はウェイクアップ生成器は、トランシーバに格納された実際の構成情報と送信ピンから受信された構成情報との比較に基づいて、肯定応答及び/又はウェイクアップ信号を受信ピンに供給するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロコントローラ又はデバイスをネットワーク、限定はされないが、特に、自動車のネットワークに結合するためのトランシーバの分野に関する。
特に、本発明はバストランシーバの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車産業は、自動車に車載の電子機器の電力低減によって、自動車のCO2排出量を削減する策を積極的に探索している。エネルギー消費を削減できることが可能な領域の1つに、バス通信があるというだけで、接続される全ての電子制御モジュールをアクティブに保つ自動車のバス通信がある。車両操作の特定の段階では必要とされないそれらの制御ユニットを非アクティブにすることにより、電力消費を低減することが望ましい。これは、いわゆる「部分ネットワーキング」というバストランシーバ用の新たな動作モードを必要とする。
【0003】
既知のアプローチは適切なバスメッセージを交信することを含み、これにより、部分ネットワークの一部であるステーションのようなバスノードは、異なる動作状態又は動作モードの間で、特に、エネルギーを節約するスリープモードとスリープモードよりもっとエネルギーを消費する通常モードとの間で、変更するように、互いに要求することができる。例えば、自動車が駐車している時でさえ、個々のステーションは、個々の機能を実行するために、一定の間隔でウェイクアップさせなければならない。スリープモードと通常モードとの間で変更することは可能であるが、この変更を選択的にすることができること、すなわち、個々のステーションを別々に作動させることができることも望ましい。
【0004】
自動車で用いられる典型的なバスメッセージベースのプロトコルは、例えば、CAN(コントローラエリア・ネットワーク)プロトコル又はLIN(ローカル相互接続ネットワーク)プロトコル又はFlexRayプロトコルである。
【0005】
CANプロトコルは、他のタイプの乗り物、工業オートメーション及び医療機器のような他の領域で用いることもできる自動車用途専用に設計されている。CANプロトコルはISO11898−1(2003)で標準化されている。
【0006】
従って、コントローラエリア・ネットワーク(CAN)又はCAN−バスは、マイクロコントローラが自動車内で互いに通信することを可能にする。CAN−バスにより接続される(バス)プロトコルコントローラは、典型的に、センサデータ、アクチュエータコマンド、サービスデータなどを交信するが、他のコンポーネントもネットワークに含めることができる。
【0007】
自動車のバストランシーバは、通常、ネットワーク内のマイクロコントローラのモード制御用に単純なインターフェースを提供する。典型的な標準トランシーバは、最大2つまでの専用のモード制御ピンを使用し、これは、通常、4つ以下の異なる動作状態があることを意味する。
【0008】
インターインテグレーテッド・サーキット(IC)又はシリアルパラレルインターフェース(SPI)のようなもっと複雑なインターフェースは、デバイス用の制御モードの数を増やすことが知られている。また、典型的な2つの制御ピンを上回る、追加の専用のモード制御ピンを加えることが知られている。しかしながら、これらの例はもっと高価なデバイスを提供するという事に加えて、デバイスは、また、以前のデバイスと互換性がなくなる可能性がある。これは、そのような新しいトランシーバは、既知のトランシーバの当座の代替として提供することができないことを意味する。
【0009】
特許文献1には、CANシステムにおけるウェイクアップバスメッセージを検出するための解決策が説明されている。その解決策では、ビットレート非依存方法で符号化されるバスメッセージの一部のビット値が、バスラインのビットストリーム信号の連続する支配的フェーズと劣性フェーズの長さにより表わされるという点において、バスシステムのデジタルバスメッセージは、ビットレート非依存方法で符号化される少なくとも一部を含む。それによって、関連時点で待機しているバスノードの一部が、正確なタイマーを有していない時でさえ、かつ、データがバスで送信されるビットレートの知識がない時でさえ、トランシーバは、バスで送信されるデータを独立に受信し解析することができ、所定のウェイクアップバスメッセージにより、個々にバスノードをウェイクアップさせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2006/003540A1号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
最初に、注意すべきは、本明細書で追加の背景技術の以下の議論は、引用文献又は背景技術は、従来技術の一部であり、又は、技術常識であることの認識として、必ずしも受け取るべきではないことである。
【0012】
マイクロコントローラから信号を受信するように構成された送信ピンと、マイクロコントローラへ信号を送信するように構成された受信ピンと、ネットワークへ又はネットワークからシグナリングを送信及び受信するように構成された1つのバスピン又は多数のバスピンと、ウェイクアップ検出器と、ウェイクアップ生成器と、トランシーバを第1の動作モードにするように動作可能な1つ以上のスイッチと、を含むトランシーバにおいて、第1の動作モードでは、送信ピンはウェイクアップ検出器に接続され、ウェイクアップ検出器は、送信ピンで受信される信号に従って、例えばウェイクアップコードのような構成情報をアクティブにする又は設定するように構成されている。
【0013】
このように、トランシーバ、特に、トランシーバのウェイクアップ検出器は、トランシーバのデバイス側の送信ピンで受信される信号に従って、構成することができる。さらに、トランシーバのネットワーク側とは対照的に、トランシーバのデバイス側で受信した信号に従って、トランシーバを構成することにより、構成の目的のために、よりノイズの少ない信号を活用することが可能である。これは、トランシーバの構成において、改良された精度を有するもっと強固なトランシーバに導くことができる。さらに、この機能は、選択的ウェイクアップ動作に特に有利であり、既存のトランシーバと同じピンレイアウトを有するトランシーバにより、異なる動作モードを達成することを可能にする。
【0014】
第1の動作モードでは、送信ピンはバスピンに接続することができない。これは、デバイスによりトランシーバへ供給される任意の構成信号がネットワークへ供給されないことを確実にすることができる。言い換えれば、送信ピンでの信号は、バスピンに送信することができない。
【0015】
第1の動作モードでは、送信ピンは受信ピンに接続することができる。これは、有利であり得て、いくつかの実施の態様では、デバイスの内側のバスプロトコルコントローラの正しい動作を可能にし、それにより、デバイスにより送信されるビットがリードバックされることを可能にする。
【0016】
1つ以上のスイッチは、トランシーバを第2の動作モードにするように、さらに、動作可能にすることができる。第2の動作モードでは、ウェイクアップ検出器は、バスピンに接続することができ、アクティブにされたウェイクアップコードを識別するために、バスピンで受信される信号をモニタするように構成することができる。第2の動作モードは、第1の動作モードでアクティブにされたウェイクアップコードについてネットワーク上の信号をモニタする、スキャニング又はモニタリング動作モードと見なすことができる。第2の動作モードでは、送信ピンはウェイクアップ検出器に接続することができない。
【0017】
ある実施態様では、ウェイクアップコードアがアクティブにされた後に、トランシーバは、第1の動作モードから第2の動作モードに変更するように構成することができる。他の例では、所定の期間の後に、トランシーバは、第1の動作モードから第2の動作モードに変更するように構成することができる。
【0018】
ウェイクアップ検出器は、アクティブにされたウェイクアップコードを識別すると、トランシーバに第3の動作モードに入らせるように、構成することができ、第3の動作モードでは、送信ピン及び受信ピンは、共に、バスピンに接続される。第3の動作モードは、デバイスがトランシーバによりネットワークと通信することができる、「通常」動作モードと見なすことができる。第3の動作モードへの遷移は、直接又は間接の遷移にすることができる。
【0019】
一実施態様では、トランシーバがアクティブにされたウェイクアップコードを受信後に、トランシーバは、「標準ウェイクアップ」を実行するために、受信ピン(RXD)をLOWレベルに設定することができる。トランシーバが抑止ピン(INH)を含む例では、この抑止ピンは、該当する場合、デバイスに接続されたマイクロコントローラの電源を選択的に作動させるように、スイッチオンにすることができる。
【0020】
トランシーバは、「スリープに入る」信号又は「待機」信号を受信すると、第3の動作モードから第1又は第2の動作モードに変更するように構成することができる。「スリープに入る」信号又は「待機」信号は、トランシーバの標準制御ピンから受信することができる。他の実施態様で必要でないと見なされるけれども、トランシーバは、ウェイクアップ検出器を再構成し、強固なトランシーバを提供するために、第1の動作モードに戻ることができる。
【0021】
ウェイクアップ検出器は、送信ピンで受信した信号により表わされるウェイクアップコードに対応するメモリ内のウェイクアップコードを識別することにより、ウェイクアップコードをアクティブにするように構成することができる。メモリは、複数の潜在的なウェイクアップコードを含むことができ、その複数の潜在的なウェイクアップコードは、互いに容易に区別することができ、及び/又は、異なるビットレートで容易に区別することができるように、選択することができる。
【0022】
本明細書で上記に説明したトランシーバは、互換性を失わずに、複雑なインターフェースを提供する。
【0023】
上記のバストランシーバにおいて、アプリケーションは、バストランシーバの実施した構成、すなわち、特定のウェイクアップコードをアクティブにすること又は選択すること、が成功したかどうか、まだ知らない。例えば、未構成の又は誤った構成のバストランシーバは、システムデッドロック又はトランシーバの永久的な間違いで望ましくないウェイクアップになり得る。
【0024】
従って、バストランシーバ及びバストランシーバの動作のそれぞれの方法を提供することが、本発明の1つの目的であり、その方法は改良したシステムの信頼性をサポートし、特に、その方法により、バストランシーバの実施した構成が成功したかどうかについて、チェックすることができる。
【0025】
バストランシーバ及びバストランシーバの動作のそれぞれの方法を提供することが、本発明のさらなる1つの目的であり、その方法は、アプリケーションが、バストランシーバの構成がなお有効かどうかを、特にソフトウエア制御下で、チェックすることを可能にする。
【0026】
前述の目的の少なくとも1つは、添付の請求項1によるトランシーバにより達成することができる。
【0027】
従って、本発明の第1の側面において、トランシーバ、特に、ネットワークインターフェースとしてのバストランシーバが提供される。そのトランシーバは、マイクロコントローラから信号を受信するように構成された送信ピンと、マイクロコントローラへ信号を送信するように構成された受信ピンと、信号をネットワークへ又はネットワークから送信及び受信するように構成された少なくとも1つのバスピンと、ウェイクアップ検出器と、肯定応答及び/又はウェイクアップ生成器と、トランシーバを第1の動作モードにするように動作可能な1つ以上のスイッチと、を備え、第1の動作モードにおいて、送信ピンはウェイクアップ検出器に接続され、ウェイクアップ検出器は、送信ピンで受信する構成情報に従って、ウェイクアップコードをアクティブにするように構成され、受信ピンは、肯定応答及び/又はウェイクアップ生成器に接続され、肯定応答及び/又はウェイクアップ生成器は、トランシーバに格納された実際の構成情報と送信ピンから受信した構成情報との比較に基づいて、肯定応答信号を受信ピンに供給するように構成されている。
【0028】
従って、トランシーバの上記の第1の動作モードにおいて、ウェイクアップ検出器が送信ピンから信号を受信する場合に、ウェイクアップ検出器は、受信した情報を格納し、この情報を外側へ供給するように構成することができ、その情報は、多くのビットを含むことができ、用いた検出器のプロトコルに依存する適切なnビットインターフェースにより供給される。
【0029】
肯定応答及び/又はウェイクアップ生成器は、用いたバスプロトコルに従って、信号をフィードバックとしてバスプロトコルコントローラへ供給するために、送信ピンからの信号を受信ピンへ同時に又は並行して送信することができる。
【0030】
一旦、完全な構成データが送信ピンから受信されると、nビットを並行して比較するのに適合するコンパレータを準備することができ、コンパレータは、受信した情報、例えば、検出器により見出したビットを、トランシーバの適切なメモリに格納することができる情報と比較するように構成されている。
【0031】
両方の情報が同一である、すなわち、受信した情報と格納した情報との全てのビットが一致する場合、肯定応答及び/又はウェイクアップブロックは、追加のパルスにすることができる所定の肯定応答信号を受信ピンへ生成するように構成することができる。肯定応答信号は、プロトコル肯定応答情報として用いることができる。
【0032】
ある実施態様では、肯定応答信号は追加の信号パルスである。追加のパルスのパルス長は、用いたプロトコルにより定義することができ、及び/又は、受信した情報、例えば、前に送信ピンで見出した又は検出した構成情報ビットストリームから導出することができる。従って、用いたボーレートの特殊な構成は必要ではない。
【0033】
従って、論じた肯定応答信号をフィードバックとして用いて、トランシーバに接続された(バス)プロトコルコントローラは、構成の成功についてのフィードバックを受信することができる。
【0034】
さらなる進展において、代わりに、受信した情報、例えば、構成ビットは、新しい構成設定、すなわち、認識すべき新しいウェイクアップコードとして解釈されるように、トランシーバの適切なメモリにコピーすることができる。あるいは、特定のあらかじめ格納したウェイクアップコードは、受信した情報、すなわち、構成ビットに従って、複数のあらかじめ格納したウェイクアップコードから選択することができる。
【0035】
両方の情報が同一でない場合、すなわち、受信した情報のビットと格納した情報のビットとが、少なくとも1ビット異なる場合、一致は存在しない。次いで、肯定応答パルスは生成されない。肯定応答パルスが生成されない場合、トランシーバの送信ピンに接続されたマイクロコントローラユニット(MCU)の一部であり得る(バス)プロトコルコントローラは、トランシーバを再び構成することを試みるために、構成バスメッセージを繰返すことができる。
【0036】
例えば、CANプロトコルに従うシステムにおいて、バスメッセージの繰返しは通常プロトコルの動作である。
【0037】
第2の構成の試みが、メモリ内に格納されたものと同じウェイクアップ検出器内の構成ビットに導く場合、肯定応答及び/又はウェイクアップ生成器は、肯定応答パルスを生成するように構成することができ、それにより、ウェイクアップ検出器の再構成の成功は、肯定応答パルスの形で供給されるフィードバックにより、示される。
【0038】
上記の第2の動作モードにおいて、ウェイクアップ検出器はバスラインからバス信号を受信している。次いで、トランシーバは、送信ピンの入力をさらに解釈しない。代わりに、ウェイクアップ検出器は、上記で論じたように、受信ピンを介して、適切なパターンについて、バスラインをモニタする。
【0039】
従って、既知の構成情報、例えば、アクティブにしたウェイクアップコード、すなわち、検出したウェイクアップコードのパターンが、トランシーバ内に格納された対応するビットパターンに一致することを、ウェイクアップ検出器が見出し又は検出するや否や、肯定応答及び/又はウェイクアップ生成器は、肯定応答信号から区別することができる受信回線でのウェイクアップ信号として、所定の信号、例えば、永久的な信号を生成するように構成することができる。受信回線上の永久的な信号を用いて、マイクロコントローラは、肯定応答パルスをバスウェイクアップ事象から区別することができる。
【0040】
ある実施態様では、トランシーバは、2つのバスピン又は他の任意の数のバスピンを含むことができる。送信ピン、受信ピン及びバスピンは、標準ピンにすることができる。これは、トランシーバが、任意の外部接続又は基板レイアウトを再構成する必要がなく、ネットワーク内の既存のトランシーバを取り換えることができることを意味する。当然のことながら、バスピンの数は、使用されるネットワークのタイプに依存することができる。
【0041】
例えば、CAN及びFlexRayネットワークは、二重線バスシステムであり、一方、LIN又は単線CANは、単一バス線を有する。FlexRayは、CANより速くもっと信頼性のあるように意図された標準自動車ネットワークの通信プロトコルである。
【0042】
本明細書に開示された任意のトランシーバを備える集積回路を提供することができる。
【0043】
ネットワークであって、1つ以上のデバイスと、1つ以上のデバイスの各々に接続されたそれぞれのトランシーバと、1つ以上のトランシーバを接続するデータバスと、を備え、トランシーバは本発明のトランシーバであり、トランシーバの送信ピン及び受信ピンは、デバイスの1つに接続され、バスピンはデータバスに接続される、ネットワークをさらに提供することができる。ネットワークは、例えば、CANネットワーク、LINネットワーク又はFlexRayネットワークにすることができる。
【0044】
本明細書に開示された任意のトランシーバ又はネットワークを備える自動車を提供することができる。
【0045】
本発明のさらなる側面によれば、トランシーバを動作する方法であって、トランシーバは、マイクロコントローラから信号を受信するように構成された送信ピンと、マイクロコントローラへ信号を送信するように構成された受信ピンと、ネットワークへ/ネットワークからシグナリングを送信及び受信するように構成されたバスピンと、ウェイクアップ検出器と、肯定応答及び/又はウェイクアップ生成器と、トランシーバを第1の動作モードにするように動作可能な1つ以上のスイッチと、を備え、方法は、送信ピンをウェイクアップ検出器に接続して、送信ピンで受信される信号に従って、ウェイクアップコードをアクティブにする、ステップと、受信ピンを、肯定応答及び/又はウェイクアップ生成器に接続するステップであって、肯定応答及び/又はウェイクアップ生成器は、トランシーバに格納された実際の構成情報と送信ピンから受信した構成情報との比較に基づいて、肯定応答信号を受信ピンに供給する、ステップと、を有する、トランシーバを動作する方法が提供される。
【0046】
本方法は、1つ以上の以下のステップをさらに有することができる。
【0047】
送信ピンから信号を受信する場合に、受信した情報を格納し、外部へ供給することができる。例えば、受信した情報は、バスプロトコルをバスプロトコルコントローラへフィードバックするために、送信ピンから受信ピンへ、特に同時に送信することができる。
【0048】
一旦、構成データになり得る完全な受信情報が送信ピンから受信されると、受信情報で見出したビットを、格納情報、例えば、トランシーバの適切なメモリに格納されたビットと比較することができる。
【0049】
受信情報が格納情報に一致する場合、追加のパルスのような肯定応答信号を受信ピンへ生成することができる。肯定応答信号は、プロトコル肯定応答情報として用いることができる。追加のパルスのパルス長は、用いたプロトコルにより適合させることができ、及び/又は、受信した情報、例えば、前に送信ピンで見出した構成ビットストリームから導出することができる。
【0050】
従って、論じた方法を用いて、肯定応答信号を、構成の成功についてのフィードバックとして、バスプロトコルエンジン又はバスコントローラへ、送信することができる。
【0051】
一致が存在しない場合、本方法は、単に、肯定応答信号を生成しないステップを有する。しかしながら、受信した情報は、新しい構成設定として解釈することができ、従って、トランシーバのメモリにコピーすることができる。あるいは、トランシーバにあらかじめ格納した特定のウェイクアップコードは、受信した情報、例えば、構成ビットに従って、選択することができる。
【0052】
さらに、肯定応答信号が生成されない場合、トランシーバを再び構成するために、構成バスメッセージを繰返すことができる。上記で論じたように、CANプロトコルに従うシステムにおいて、バスメッセージの繰返しは通常プロトコルの動作である。
【0053】
第2の構成の試みが、同じ構成ビットに導く場合、ウェイクアップ検出器の構成が成功していることを示すように、肯定応答信号を生成することができる。
【0054】
バス信号をバスラインから受信すると、受信ピン入力は、もはやモニタされない。代わりに、上記で論じたように、バスラインは、バスピンを介して、適切なパターンについてモニタされる。既知の所定のパターンの他に、メモリ内の対応するビットに一致するパターンの数もまた、見出されるや否や、永久的なウェイクアップ信号を受信回線に生成することができる。受信ピン上の永久的な信号を用いて、マイクロコントローラは、肯定応答パルスをバスウェイクアップ事象から区別することができる。
【0055】
本方法は、1つ以上の以下のステップをさらに有することができる。バスピンをウェイクアップ検出器に接続するステップと、アクティブにされたウェイクアップコードを識別するために、受信ピンに受信ウェイクアップの信号を送るステップとである。本方法は、受信ピンをバスピンに接続するステップを有するが、たぶん、送信ピンをバスピンに接続するステップを有しない。この状態では、トランシーバは低電力モードであり得る、すなわち、マイクロコントローラ又はデバイスは、アクティブにされず、それ故、信号は、トランシーバにより、送信ピンで受信されない。
【0056】
トランシーバは、次いで、バス通信をモニタすることができ、構成によりアクティブにされるウェイクアップバスメッセージの1つを受信すると、マイクロコントローラをウェイクアップさせることができる。
【0057】
本方法は、さらに、アクティブにされたウェイクアップコードを識別すると、送信ピンと受信ピンの両方ともバスピンに接続するステップを有することができる。これは、マイクロコントローラ又はデバイスをウェイクアップさせ、低電力モードから引き出すことと、見なすことができる。
【0058】
提案する解決手段の基本的アイデアは、トランシーバ内に肯定応答生成器を実装することである。肯定応答生成器は、トランシーバのメモリ又はレジスタ内に格納することができるバストランシーバの実際の構成と、送信ピンを介して受信した構成情報とを比較するように構成することができる。両方の情報が全てのビットの位置で一致する場合、トランシーバの受信ピンは、適用できる信号、例えば、CANバス受信機の場合に、CANプロトコル規則に従う主要な出力パルスを用いて、活性化させることができる。
【0059】
従って、新しいトランシーバは、肯定応答メッセージ又は信号を生成するように構成される。今まで知られたシステムでは、そのような肯定応答メッセージ又は信号は、トランシーバ又はMCUの外部のそれぞれの(バス)プロトコルコントローラにより、生成される。
【0060】
新しいトランシーバ内の新しい肯定応答生成器を用いて、バスコントローラは、トランシーバから、構成が正しかったか(OK)どうかのフィードバックを選択的に得る。肯定応答がなければ、構成は正しくなく、繰返すことができる。肯定応答があれば、構成は正しく(OK)、MCUは、構成されないトランシーバを有するというリスクなしで、望ましい低電力モードに入り、シャットダウンすることができる。
【0061】
さらに、システムデッドロック又は永久的な間違いで望ましくないトランシーバのウェイクアップを引き起こし得る、バストランシーバが、構成されていない、又は、誤って構成されている状況を、提供されるフィードバックにより、避けることが可能になる。
【0062】
また、トランシーバの構成は、さらに、システムに影響を与えることなく、いつでもチェックすることができる。従って、周期的にウェイクアップするMCUでさえ、構成の再送信により、構成がなお有効かどうかを、時々、チェックすることができる。これは、安全を最重視すべきアップリケーションにとって、非常に重要であり得る。
【0063】
本発明の望ましい実施態様及び更なる実施態様は、独立請求項の従属請求項に規定される。本発明の装置及び方法は、類似の及び/又は同一の実施態様及び効果を有すると理解すべきである。
【0064】
本発明のこれらの及び他の側面は、以下に記載される実施の形態の参照から明らかであり、解明される。以下の図面において、図は概略的であり、正しい縮尺ではなく、もしもあれば、異なる図の同一の参照数字は、対応する要素を示すことができる。本発明の代替的であるが、均等な実施の形態は、真の発明概念から逸脱することなく、可能であり、本発明の範囲は特許請求の範囲のみにより限定されることは、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明によるトランシーバを使用できる主要アプリケーションのセットアップを示す図である。
【図2】本発明を実施し得るトランシーバのブロック図である。
【図3】本発明による肯定応答ユニット付きパターン検出器を有するバストランシーバを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図1は、本発明によるトランシーバを使用できる主要アプリケーションのセットアップを示す。以下の例では、改良トランシーバをコントローラエリア・ネットワーク(CAN)での使用について説明するも、本発明はそのようなネットワークに限定されるものではない。
【0067】
従って、一般に、あるタイプの電子制御ユニット(ECU)であるマイクロコントローラユニット(MCU)10は、例えば、自動車内のCAN−バス20に接続される別のMCUとも通信するために、CAN−バス20を介して接続される。
【0068】
MCUとCAN−バス20との間のインターフェースは、それぞれのバストランシーバ30により確立される。MCU10とトランシーバ30との間の通信インターフェースは、MCU10とCANバス20との間の通信をトランシーバ30により処理する、適用構成の(バス)プロトコルコントローラ15がMCU10に組み込まれるようになっている。
【0069】
CAN−バスにより接続されるECUは、典型的に、センサー、アクチュエータ、制御デバイスなどとすることができる。さらなる例として、自動車では、そのようなECUは、ドア制御ユニット、ダッシュボードコントローラなどとすることができる。
【0070】
本明細書で説明する1つ以上の実施形態は、電子デバイス又はマイクロコントローラユニット(MCU)を自動車内のCANバスネットワークのようなネットワークに接続するためのトランシーバに関連する。トランシーバは、このトランシーバに接続されたデバイスを選択的にウェイクアップさせることができるように、トランシーバを構成する第1の動作モードを有することができる。「選択的にウェイクアップさせる」とは、デバイスを、ネットワーク上の他のデバイスとは無関係に、選択的にウェイクアップさせることができることを意味する。
【0071】
上記で論じたように、バストランシーバは、その通信インターフェースを経て、すなわち、バスを介して設定することができる。1つ以上の実施形態は、選択的ウェイクアップコードを構成するように、トランシーバを構成するために、トランシーバの標準シリアル通信ピン(TXD及びRXD)を用いることができる。
【0072】
これに関連して、標準シリアル通信ピンを用いることは、トランシーバが既存のデバイス及び/又はネットワークと互換性があることを意味する。さらに、本明細書で説明するトランシーバは、選択的ウェイクアップ検出器を構成するために、デバイス側のインターフェースで受信される構成データを利用することができる。
【0073】
図2はトランシーバ30を概略的に示している。トランシーバ30は、このトランシーバ30のネットワーク側のデータバス20によりネットワークに接続されると共に、トランシーバ30のデバイス側のマイクロコントローラユニット(MCU)10に接続される。トランシーバ30は、送信ピンTXD及び受信ピンRXDにより、MCU10に接続される。
【0074】
トランシーバ30内で、データバス20は2つのブランチに分かれる。第1のブランチ21は送信機コンポーネントTXに提供され、送信機コンポーネントは、次に、送信ピンTXDに接続される。第2のブランチ22は受信機コンポーネントRXに提供され、受信機コンポーネントは、次に、受信ピンRXDに接続される。
【0075】
「通常の動作モード」では、スイッチS1が閉じられ、送信ピンTXDからの信号を送信機コンポーネントTXに送る。スイッチS2が閉じられ、受信機コンポーネントRXからのバス信号を受信ピンRXDに送るだけである。スイッチS3は開いている。
【0076】
トランシーバ30は、受信機コンポーネントRXの出力に結合されるウェイクアップ検出器コンポーネント40を含む。なお、ウェイクアップ検出器コンポーネント40から受信ピンRXDへの信号は、一方向であり、ウェイクアップ信号をシグナリングする。ウェイクアップ検出器40は、データバス20上のネットワークから受信される信号を監視し、ウェイクアップ信号がデータバス20上に検出された場合に、MCU10をウェイクアップさせるように構成される。
【0077】
トランシーバ30は、2つの既知の制御ピンSTBN(”Stand-By Not”)及びEN(”ENable”)(両方共、明示的に図示せず)を含むことができる制御インターフェースCTRLをさらに備える。制御ピンによって、トランシーバの動作モードを制御することができる。STBN及びENによる制御は一例として用いられ、シリアルパラレルインターフェース(SPI)のような他のインターフェースを、例えば、いわゆるシステム・ベース・チップでの高集積レベルのデバイス用に用いることができる。
【0078】
制御ピンSTBN及びENはいずれも、マイクロコントローラ10の2つの汎用ピンに直接、接続することができるデジタル制御ピンである。例えば、STBN及びENがいずれもHIGHレベルに設定される場合、トランシーバ30は、いわゆる「通常動作モード」に設定することができる。「通常動作モード」では、送信ピンTXDでMCU10から受信される信号は、直接、バス20へ送られる。次に、バス20で受信される信号は、MCU10とバス20との間の通常の通信をなし得るように、受信ピンRXDへ送られる。
【0079】
さらに、制御ピンSTBN及びENがいずれもLOWレベルに設定される場合、トランシーバ30は、いわゆる「待機動作モード」に入る。「待機動作モード」では、送信ピンTXDでMCU10から受信される信号が、バス20へ送られないように、トランシーバはディスエーブルにされる。また、バス20で受信される信号は、直接、受信ピンRXDへ送られず、ウェイクアップ検出器40へ送られる。この構成では、MCU10は、モジュールの電流消費を低減させるために、低電力モードにある。
【0080】
ウェイクアップ検出器40がウェイクアップ信号を認識するや否や、LOWレベル信号が受信ピンRXDへ供給され、これがMCU10をウェイクアップさせる。MCU10は、次に、制御ピンSTBN及びENをHIGHに設定することにより、「通常動作モード」をアクティブにすることができ、従って、MCU10とネットワークバス20との間の通信を開始する。
【0081】
制御ピンSTBNがLOWであり、制御ピンENがHIGHである場合、トランシーバ30は、いわゆる「スリープ動作モード」に入る。「スリープ動作モード」は、トランシーバ30が、「スリープ動作モード」で、例えば、いわゆる抑止ピンINH(図示せず)により、MCU10の電源もディスエーブルにするので、「待機動作モード」とは異なる。しかしながら、ウェイクアップのメカニズムは、「待機動作モード」用と同じである。
【0082】
最後に、制御ピンSTBNがHIGHであり、制御ピンENがLOWである場合、トランシーバから所定のフラグを読み出すことができる、「特定の動作モード」に入る。
【0083】
現在、入手できるトランシーバは、「通常動作モード」及び「待機動作モード」を提供するだけであり、使用可能であり、これは、構成用の1つのピンのみを必要としていることを意味する。
【0084】
上記で論じたように、本発明のトランシーバ30は、それぞれのスイッチにより、異なる動作モードに設定することができる。以下の説明から分るように、1つ以上のスイッチが、上記の制御ピンSTBN及びEN(図示せず)のような制御ピンで受信される信号に従って、異なる位置にあり、それにより、トランシーバ30の所定のコンポーネント又はピンをトランシーバ30の他のコンポーネント/ピンと動作可能に接続したり、切断したりすることに関連して、異なる動作モードについて論じる。
【0085】
当然のことながら、図に示すスイッチS1、S2及びS3並びにブロックは、実際の回路図ではなく、信号経路図として理解すべきである。スイッチS1、S2及びS3並びにブロックの態様で動作するハードウエア又はソフトウエアの構成は、本発明の範囲内にあると想定される。
【0086】
従って、送信ピンTXDは、第1のスイッチS1により、送信機コンポーネントTXに接続可能であり、送信機コンポーネントTXは、次に、送信ブランチ21に接続される。受信ブランチ22は受信機コンポーネントRXに接続され、受信機コンポーネントRXは、次に、第2のスイッチS2により、受信ピンRXDに接続可能である。受信機コンポーネントRXの出力は、選択的ウェイクアップ検出器40にも接続される。さらに、送信ピンTXDは、第3のスイッチS3により、選択的ウェイクアップ検出器40に接続可能である。
【0087】
スイッチS1、S2及びS3の動作並びにトランシーバ30を流れるデータを、それぞれ、トランシーバ30の第1、第2及び第3の動作モードについて、図2を参照して説明する。
【0088】
当然のことながら、他の実施形態では、スイッチを異なる位置に設置することができ、及び/又はトランシーバ30の動作モードに従って、トランシーバ30内のコンポーネント及びピンを動作可能に接続したり切断したりするのに必要な機能を提供する異なる数のスイッチを設けることができる。
【0089】
第1の動作モードは、「構成動作モード」と称することができる。第1の動作モードでは、選択的ウェイクアップ検出器40は、その後に、関連するデバイス、すなわち、MCU10から構成情報を受信し得るように構成される。
【0090】
第1の動作モードにおけるトランシーバ30を示す図2に示されるように、第1のスイッチS1は開き、第2のスイッチS2も開き、第3のスイッチS3だけが閉成される。それにより、送信ピンTXDからの信号は、スイッチS3を介して、ウェイクアップ検出器40へ進むことができ、ウェイクアップ検出器40は、本実施形態では、信号を受信ピンRXDに入らせるように構成される。
【0091】
例えば、制御ピンSTBN(図示せず)はHIGHレベルに設定し、制御ピンEN(図示せず)はLOWレベルに設定することができる。当然のことながら、STBN及びEN制御ピンに割り当てられる特定の値は、限定されず、異なる実施形態に対して異なり得る。
【0092】
いくつかの実施形態で、制御ピンSTBN及びENにより必要とされる信号は、既知のトランシーバに対するものと同じとするのが、有利であると見なすことができるので、本発明の実施形態によるトランシーバは、トランシーバに関連するコンポーネントを配線し直す必要がなく、既存のトランシーバに取って代わり、有利に用いることができる。
【0093】
第1の動作モードの間に、信号は、関連するMCU10から送信ピンTXDにて受信され、第3のスイッチS3を介して選択的ウェイクアップ検出器40に供給される。一例として、MCU10は、選択的ウェイクアップ検出器40に関連するメモリに格納された複数のウェイクアップコードのうちの1つを表わす構成信号を送信して、選択的ウェイクアップ検出器40が、特定のウェイクアップコードをアクティブにし得るようにすることができる。そのような実施形態では、選択的ウェイクアップ検出器40は、意図するウェイクアップコードを識別するために、送信ピンTXDで受信される信号をメモリに格納されている所定のパターン又はコードと比較することができる。
【0094】
ウェイクアップコードを識別するステップは、トランシーバの第2の動作モード及び第3の動作モードでのその後の使用のためのウェイクアップコードをアクティブにするステップを含むことができる。
【0095】
ウェイクアップコードの所定のリストを選択的ウェイクアップ検出器40に関係付ければ、ウェイクアップコードを誤って認識する可能性を低減させることができ、ウェイクアップコードを互いに区別するのが容易で、受信信号のビットレートに関係なく容易に検出されるように、ウェイクアップコードを選択することができる。
【0096】
別の例では、選択的ウェイクアップ検出器40は、送信ピンTXDでトランシーバ30により受信される構成信号を用いて、この構成信号により表わされるウェイクアップコードを直接アクティブにすることができる。すなわち、構成信号は、ウェイクアップ検出器40に関連する一組の所定のコードのうちの1つを、必ずしも表わさなくてもよく、構成信号は、任意のウェイクアップコードを含む任意の系列の情報ビット又はデータを表わすことができる。
【0097】
トランシーバ30により提供される有利な点は、ウェイクアップコードをアクティブにするのに、トランシーバ30のネットワーク側のバス20で受信した構成信号を用いることとは異なり、送信ピンTXDで受信される構成信号を用いることにある。本発明の実施形態は、トランシーバ30のデバイス側で受信される信号は、トランシーバのネットワーク側で受信される信号より、ノイズが少なく、従って、もっと正確であるという認識を利用することができる。
【0098】
従って、第3のスイッチS3は、トランシーバ30内で、送信ピンTXDからウェイクアップ検出器40を介し、肯定応答ピンACKにより、受信ピンRXDまでのリンクを確立するために設けられる。このようにして、送信ピンTXDで受信される信号は、マイクロコントローラ内の(バス)プロトコルウェイクアップ検出器40コントローラを正しく動作させて、それにより、MCU10により送信されるビットをリードバックさせることを可能にするために、受信ピンRXDに戻すように供給することができる。
【0099】
従って、本明細書で説明するトランシーバ30は、よりインテリジェントなウェイクアップ検出器を有する「部分ネットワーキング」トランシーバと見なすことができる。トランシーバ30は、バス20で受信される通信を「理解する」ことはできないけれども、トランシーバ30は、(所定の)ウェイクアップバスメッセージの一組を、通常の通信から区別することができる。それ故、ウェイクアップ検出器は、「標準のウェイクアップ検出器」とは対照的に、「選択的ウェイクアップ検出器」又は「インテリジェントウェイクアップ検出器」と見なすことができる。
【0100】
図2の実施形態において、第1のスイッチS1は、図示の「構成動作モード」では、開いているため、送信ピンTXDで受信される信号は、バス20に送信されず、従って、ネットワークに送信されず、それにより、送信ピンTXDに供給される新しいタイプの構成信号が、ネットワーク、すなわち、トランシーバ30を除くネットワーク上のバストラフイックを妨害する機会を低減させる。他の実施形態では、MCU10は、送信ピンTXDにより、任意の新しい構成機能又は信号をトランシーバ30へ送信することができ、又は、特殊なウェイクアップバスメッセージ又は任意の他の構成データを、直接、選択的ウェイクアップ検出器40へ送信することができる。選択的ウェイクアップ検出器40は、次いで、バスメッセージに対応する情報をトランシーバ30の内部メモリ(図示せず)に格納し、又は、受信し復号したバスメッセージから専用の構成ビットを少なくとも導き出すのに、用いることができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、選択的ウェイクアップ検出器40は、送信ピンTXD及びバス20のいずれからも信号を受信することができる。一方、選択的ウェイクアップ検出器40は、送信ピンTXDからか、バス20から信号を聴くか、/モニタすることができるが、両方を同時に行うことはできない。他方、トランシーバ30は、第1の動作モードでの構成の間に、バス20で受信される信号が分らないようにすべきではない。従って、第1の動作モードでの構成モードの間に、バス20とウェイクアップ検出器40との間に図示の接続を有するのが有利である。
【0102】
「待機動作モード」又は「スキャニング動作モード」と称することのできる第2の動作モードでは、トランシーバ30は、バス20で受信される信号をスキャニングし、関連するMCU10をウェイクアップさせる命令を表わすウェイクアップ信号を待機する。上記で論じた「待機動作モード」と同様の方法で、トランシーバ30が第2の動作モードに入るべき時に、制御ピンSTBN及びENをMCU10によりLOWレベルに設定することができる。
【0103】
図2に示す動作モードとは対照的に、第2の動作モードでは、第1のスイッチS1は開いたままで、第2のスイッチS2も開き、第3のスイッチS3も開いている。このように、送信ピンTXDは選択的ウェイクアップ検出器40から切断されるが、バス20で受信される信号は選択的ウェイクアップ検出器40に供給されるように、受信機コンポーネントRXの出力は選択的ウェイクアップ検出器40に接続される。
【0104】
受信ブランチ22は完全でないので、MCU10がネットワークからのデータを受信できないように、第2のスイッチS2は開いている。当然のことながら、これは、デバイスがスリープモードにあることを示す。
【0105】
第2の動作モードの間に、選択的ウェイクアップ検出器40は、第1の動作モードの間にアクティブにされたウェイクアップコードを表わす信号を識別するために、バス20でネットワークから受信されるデータをモニタする。選択的ウェイクアップ検出器40が、アクティブにされたウェイクアップコードを識別すると、選択的ウェイクアップ検出器40は、トランシーバを第3の動作モードに入らせるように、構成される。
【0106】
最初に受信ピンRXDでの信号をLOWレベルに設定し、かつ、随意、必要に応じMCU10に電源を与えることにより、トランシーバ30を第3の動作モードに入らせることができる。これは、MCU10をウェイクアップさせるべき旨の指示をMCU10へを与える。上記で論じたのと同様に、トランシーバ30は、MCU10に制御ピンSTBN及びEN(図示せず)をHIGHレベルに設定させて、トランシーバ30を、いわゆる通常動作モードにすることができる。
【0107】
第3の動作モードについては、図2とは対照的に、第1のスイッチS1は閉じ、第2のスイッチS2も閉じるが、第3のスイッチS3は開くようにする。第3の動作モードは、MCU10が、「通常の」方法でネットワークと通信するため、「通常動作モード」と称することができる。
【0108】
第3のスイッチS3は、送信ピンTXDが選択的ウェイクアップ検出器40に接続されないように開く。第1のスイッチS1は、送信ピンTXDを通常の方法でバス20に接続するように閉じる。さらに、第2のスイッチS2は、受信ピンRXDも通常の方法でバス20に接続されるように閉じる。第3の動作モードの間、選択的ウェイクアップ検出器40はディスエーブルにされる。
【0109】
MCU10をスリープさせるべき旨の指示を表わす信号がMCU10へ与えられると、MCUは制御ピンSTBN及びEN(図示せず)に適切な値を設定するため、トランシーバ30は、第1の動作モードかそれとも第2の動作モードに入る。
【0110】
「スリープに入る」という命令の受信時に、トランシーバ30が第1の動作モードに入る例は、デバイスが別の構成信号をトランシーバ30の送信ピンTXDへ送信する時に、当面のデバイス用の特定のウェイクアップコードをデバイスによって再確認することができる。これは、トランシーバ30のデバイス側で期待されるウェイクアップコードとトランシーバ30のネットワーク側で期待されるウェイクアップコードとが矛盾するという可能性を低減させることができる。
【0111】
他の例では、第3の動作モードの後に、第1の動作モードに再び入れる必要はないと考えることができ、トランシーバ30は、その後のウェイクアップ信号をモニタする第2の動作モードまたはスキャニング動作モードに単に再び入れることができる。このように、第1の動作モードには、例えば、起動の間、又は、トランシーバ30が第1の動作モードであった最後の機会から一定期間の満了後に周期的に、のみ、より低い頻度で入れることができる。
【0112】
本発明によれば、トランシーバは、さらに、指示を与えるようにも適合されており、その指示により、アプリケーションは、実行されたトランシーバの構成、例えば、特定のウェイクアップコードをアクティブにすること又は選択することが成功したかどうかを知る。それにより、バストランシーバが正しく構成されていることを保証することができる。それにより、システムデッドロック又はトランシーバの永久的な間違いで望ましくないウェイクアップを回避することができる。
【0113】
図3を参照するに、バストランシーバ及びバストランシーバのそれぞれの動作方法が提供され、これは、特に、実行されたバストランシーバの構成が成功したかどうかを、アプリケーションにチェックさせることを可能にすることにより、改良システムの信頼性をサポートする。
【0114】
制御ピンCTRLによって、2つの主要な動作モードAとBとを区別することも可能である。ビヘイビア(A)として示す「通常動作モード」を、図3につき説明するが、これは、図2に関連して論じた第2の動作モードに対応し、ビヘイビア(B)として示す「設定動作モード」は、図2に関連して論じた第1の動作モードに対応する。
【0115】
通常のビヘイビア(A)では、送信ピンTXDの信号は、送信機コンポーネントTXを介してバス20のラインに送信され、一方、バス20上の信号は、受信機コンポーネントRXで検出され、受信ピンRXDに供給される出力へ転送される。これは、トランシーバ30の標準動作である。
【0116】
設定ビヘイビア(B)では、デマルチプレクサーMUX1及びマルチプレクサーMUX2は、それぞれの受信ピンRXDでの信号及び送信ピンTXDでの信号を、バス20のラインから切断している。それぞれのビヘイビア(A)又は(B)でアクティブにされる、それぞれ入力ピン又は出力ピンを、図3では、それぞれ文字「A」又は「B」で示していることに留意すべき価値がある。
【0117】
ビヘイビア(B)、すなわち、図2に関連して論じた第1の動作モードに対応する「設定動作モード」では、送信ピンTXDの入力信号は、ウェイクアップ検出器及び構成(configurator)ブロック40のパターン検出器41へ経路指定される。受信ピンRXDでの信号は、パターン検出器41により、肯定応答及びウェイクアップ生成ブロック44へ送信される。
【0118】
ウェイクアップ検出器及び構成ブロック40が送信ピンTXDから信号を受信している場合、さらに、このブロック40は、受信した情報をメモリ42に格納し、使用される検出器のプロトコルに依存する多くのビットを有するこの情報を、外部へ供給するようにも構成される。
【0119】
並行して、肯定応答及びウェイクアップ生成ブロック44は、送信ピンTXDの信号を受信ピンRXDへ転送し、それにより、その情報をMCU10に組み込んだバスプロトコルエンジン又はバスプロトコルコントローラへフィードバックする。
【0120】
一旦、完全な設定データが送信ピンTXDから受信されると、nビットコンパレータ46は、パターン検出器41により見出したビットを、メモリ42にメモリ内容として格納されているパターンと比較する。全てのnビットが一致する場合、肯定応答及びウェイクアップ生成ブロック44は、追加のパルスを受信ピンRXDへ生成するように設定される。その追加パルスは、プロトコル肯定応答情報として用いることができる。
【0121】
さらに、パルス長を、用いたプロトコルにより規定して、前に送信ピンTXDで見出した構成ビットストリームから導出する場合には、使用ボーレートを特別に設定する必要はない。肯定応答パルスを用いて、MCU10のバスプロトコルエンジンは、成功した構成について肯定的なフィードバックを受信する。
【0122】
一致しない場合には、肯定応答及びウェイクアップ生成ブロック44は、パルスが生成されないように、構成することができる。代わりに、受信される構成ビットは、新たな構成設定として解釈されるために、メモリ42にコピーする。
【0123】
さらに、肯定応答パルスが生成されないため、送信ピンTXDに接続されたMCU10のバスプロトコルエンジンは、構成バスメッセージを繰り返すことができ、従って、トランシーバ30を、再び、再構成することを試みる。そのようなバスメッセージの繰り返しは、通常のCANプロトコルのビヘイビアである。
【0124】
この第2の構成の試みが、メモリ42内に格納されたものと同じパターン検出器ブロック41内の構成ビットをもたらす場合、肯定応答及びウェイクアップ生成ブロック44は、肯定応答パルスを生成する。従って、構成は首尾よく終了する。
【0125】
パターン検出器ブロック41がバスピンからバス信号を受信している場合、送信ピンTXD上の信号をさらに解釈しないように構成することができる。代わりに、パターン検出器ブロック41は、すなわち、上記の第2の動作モードで、受信コンパレータRXを介して、適切なパターンに対して、バス20のライン上の信号をモニタするように構成することができる。
【0126】
ウェイクアップ検出器及び構成ブロック40が、既知の所定パターンを見出し、そのパターンの数がメモリ42内の対応するビットに一致する場合、肯定応答及びウェイクアップ生成ブロック44は、受信ピンRXDに永久的なウェイクアップ信号を生成するように構成することができる。受信ピンRXD上のそのような永久的な信号を用いて、MCU10は、バスウェイクアップ事象から肯定応答パルスを識別することができる。
【0127】
最後に、ブロック48は、RXバス入力の他にTXD構成入力もまたサンプリングするパターン検出器41をサポートするために用いる内部クロック源である。
【0128】
要約すれば、マイクロコントローラから信号を受信するように構成された送信ピンと、マイクロコントローラへ信号を送信するように構成された受信ピンと、信号をネットワークへ又はネットワークから送信及び受信するように構成された少なくとも1つのバスピンと、ウェイクアップ検出器と、肯定応答及び/又はウェイクアップ生成器と、トランシーバを第1の動作モードにするように動作可能な少なくとも1つのスイッチとを含むトランシーバが開示される。第1の動作モードでは、送信ピンはウェイクアップ検出器に接続され、ウェイクアップ検出器は、送信ピンで受信される構成情報に従って、ウェイクアップコードをアクティブにするように構成され、受信ピンは、肯定応答及び/又はウェイクアップ生成器に接続され、肯定応答及び/又はウェイクアップ生成器は、トランシーバに格納された実際の構成情報と送信ピンから受信した構成情報との比較に基づいて、肯定応答及び/又はウェイクアップ信号を受信ピンに供給するように構成されている。
【0129】
本発明は、図面及び前述の明細書で、詳細に例示し説明したが、そのような例示及び説明は、例示的であり限定的ではないと考えるべきであり、本発明は、開示した実施の形態に限定されない。開示した実施の形態に対する他の変形は、図面、明細書及び添付の特許請求の範囲から、請求項に係る発明を実行するのに、当業者により、理解され、達成することができる。特許請求の範囲において、単語「備える又は含む」は、他の構成要素又はステップを除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外するものではない。単一の手段又は他のユニットは、特許請求の範囲に記載したいくつかの事項の機能を実行することができる。ある手段が互いに異なる従属請求項で記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に用いることができないということを示すものではない。請求項において記載の参照符号は、特許請求の範囲を限定するものと解釈すべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランシーバ、特に、ネットワークに対するインターフェースとしてのバストランシーバであって、
マイクロコントローラから信号を受信するように構成された送信ピンと、
マイクロコントローラへ信号を送信するように構成された受信ピンと、
ネットワークへ又はネットワークからシグナリングを送信及び受信するように構成された少なくとも1つのバスピンと、
ウェイクアップ検出器と、
肯定応答及び/又はウェイクアップ生成器と、
前記トランシーバを第1の動作モードにするように動作可能な少なくとも1つのスイッチと、を備え、前記第1の動作モードにおいて、
前記送信ピンは前記ウェイクアップ検出器に接続され、前記ウェイクアップ検出器は、前記送信ピンで受信される構成情報に従って、ウェイクアップコードをアクティブにするように構成され、
前記受信ピンは、肯定応答及び/又はウェイクアップ生成器に接続され、該肯定応答及び/又はウェイクアップ生成器は、前記トランシーバに格納された実際の構成情報と前記送信ピンから受信された構成情報との比較に基づいて、肯定応答及び/又はウェイクアップ信号を前記受信ピンに供給するように構成されている、トランシーバ。
【請求項2】
前記肯定応答及び/又はウェイクアップ信号はパルス信号からなり、前記パルス信号の長さは前記受信された構成情報に対応する、請求項1に記載のトランシーバ。
【請求項3】
前記肯定応答及び前記ウェイクアップ信号は、パルス信号の長さに基づいて、区別できる、請求項1または請求項2に記載のトランシーバ。
【請求項4】
前記肯定応答及び/又はウェイクアップ生成器は、前記トランシーバに格納された前記実際の構成情報が、前記受信した構成情報、例えばアクティブにされたウェイクアップコードに等しい場合に、前記受信ピンに、肯定応答パルス信号を生成するように構成される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のトランシーバ。
【請求項5】
前記肯定応答及び/又はウェイクアップ生成器は、使用されるバスプロトコルに従って、受信した構成信号をフィードバックとしてバスプロトコルコントローラへ供給するために、前記送信ピンから受信した構成信号を前記受信ピンへ送信するように構成される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のトランシーバ。
【請求項6】
前記肯定応答及び/又はウェイクアップ生成器は、前記トランシーバに格納された前記実際の構成情報が、前記受信した構成情報と異なる場合に、肯定応答又はウェイクアップ信号を生成しないように構成される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のトランシーバ。
【請求項7】
前記送信ピン、前記受信ピン及び前記少なくとも1つのバスピンは、標準ピンである、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のトランシーバ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のトランシーバを備える集積回路。
【請求項9】
ネットワークであって、
1つ以上のデバイスと、
該1つ以上のデバイスにそれぞれ接続された1つ以上のトランシーバと、
該1つ以上のトランシーバを接続するデータバスと、を備え、
前記トランシーバは、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のトランシーバであり、各トランシーバの前記送信ピン及び前記受信ピンは、前記デバイスの1つに接続され、前記少なくとも1つのバスピンは、前記データバスに接続される、ネットワーク。
【請求項10】
トランシーバを動作させる方法であって、
前記トランシーバは、
マイクロコントローラから信号を受信するように構成された送信ピンと、
マイクロコントローラへ信号を送信するように構成された受信ピンと、
ネットワークへ又はネットワークからシグナリングを送信及び受信するように構成された少なくとも1つのバスピンと、
ウェイクアップ検出器と、
肯定応答及び/又はウェイクアップ生成器と、
前記トランシーバを第1の動作モードにするように動作可能な少なくとも1つのスイッチと、を備え、前記第1の動作モードにおいて、
前記方法は、
前記送信ピンを前記ウェイクアップ検出器に接続して、前記送信ピンで受信される構成情報に従って、ウェイクアップコードをアクティブにする、ステップと、
前記受信ピンを、肯定応答及び/又はウェイクアップ生成器に接続するステップであって、肯定応答及び/又はウェイクアップ生成器は、前記トランシーバに格納された実際の構成情報と前記送信ピンから受信される構成情報との比較に基づいて、肯定応答及び/又はウェイクアップ信号を前記受信ピンに供給するように構成されている、ステップと、を含む、トランシーバを動作させる方法。
【請求項11】
CANバスシステムにおいての、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のトランシーバ、請求項8に記載の集積回路、請求項9に記載のネットワークの使用、又は、請求項10に記載の方法の実行。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−516136(P2013−516136A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546533(P2012−546533)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055981
【国際公開番号】WO2011/080665
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(507219491)エヌエックスピー ビー ヴィ (657)
【氏名又は名称原語表記】NXP B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 60, NL−5656 AG Eindhoven, Netherlands
【Fターム(参考)】