バスバー
【課題】 装置全体小型化に寄与するバスバーを提供する。
【解決手段】 2本の導体10は、その長方形断面の長辺に相当する面が平行となるように隣接させて延在させた状態で、絶縁性樹脂からなる絶縁体20でモールドされて全体が一体的に成型されている。隣り合って配設された各導体10の間の空間にも絶縁体20が充填されて成型されている。導体10の両端には端子11が形成されており、その端子11は絶縁体20から突出して露出している。絶縁体20は、導体10を絶縁するための絶縁性能の他に、導体10から発生するジュール熱を外部に放出するための熱伝導性能に優れていることが必要とされるため、高熱伝導性を発現する樹脂を用いて成型される。これにより、バスバー1の周辺で絶縁のための空間を確保する必要がなくなるので、バスバー1が組み込まれる装置を小型化できる。
【解決手段】 2本の導体10は、その長方形断面の長辺に相当する面が平行となるように隣接させて延在させた状態で、絶縁性樹脂からなる絶縁体20でモールドされて全体が一体的に成型されている。隣り合って配設された各導体10の間の空間にも絶縁体20が充填されて成型されている。導体10の両端には端子11が形成されており、その端子11は絶縁体20から突出して露出している。絶縁体20は、導体10を絶縁するための絶縁性能の他に、導体10から発生するジュール熱を外部に放出するための熱伝導性能に優れていることが必要とされるため、高熱伝導性を発現する樹脂を用いて成型される。これにより、バスバー1の周辺で絶縁のための空間を確保する必要がなくなるので、バスバー1が組み込まれる装置を小型化できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極間の接続に用いられるバスバーの絶縁技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置などの大電流を取り扱う装置では、電極間の接続にバスバーが用いられる。複数のバスバーを近接させて配設する場合には、バスバー同士の間に絶縁物を介在させることで、絶縁性を確保させている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−294040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、近接するバスバー同士の間には絶縁物を配置するが、その他の部分には絶縁が施されず、導体が露出した状態で使用されるのが一般的である。そのため、バスバーとの空間距離を保つことで、バスバーが組み込まれる装置の筐体部分や他の部品との絶縁性を確保するとともに、周囲雰囲気の対流によってバスバーのジュール熱を放熱している。そのため、バスバーが組み込まれる装置の小型化が困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、導体の周囲を電気絶縁性の高い絶縁性樹脂で覆うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、導体の周囲を電気絶縁性の高い絶縁性樹脂で覆うように構成した。これにより、導体の周辺で絶縁のための空間を確保する必要がなくなるので、バスバーが組み込まれる装置を小型化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
−−−第1の実施の形態−−−
図1,2を参照して、本発明によるバスバーの第1の実施の形態を説明する。図1は、断面の様子が分かるように途中から切断したバスバーの斜視図である。バスバー1は、電気の良導体である銅などの金属からなる2本の導体10を備えている。導体10は、その延在方向に対して垂直な面が略長方形となる断面を有し、所定の電流を流すことができる棒状もしくは板状の部材である。
【0008】
この2本の導体10は、その長方形断面の長辺に相当する面が平行となるように隣接させて延在させた状態で、後述する絶縁性樹脂からなる絶縁体20でモールドされて全体が一体的に成型されている。隣り合って配設された各導体10の間の空間にも絶縁体20が充填されて成型されている。
【0009】
導体10の両端には端子11が形成されており、その端子11は絶縁体20から突出して露出している。端子11には取付穴12が設けられており、ボルトなどの締結部材によってバスバー1の取付先の電極(不図示)と締結されることで、バスバー1が電気的に接続されるとともに機械的に固定される。
【0010】
−−−絶縁体20の材質について−−−
絶縁体20は、導体10を絶縁するための絶縁性能の他に、導体10から発生するジュール熱を外部に放出するための熱伝導性能に優れていることが必要とされる。すなわち、絶縁体20には、熱伝導率の高い材料を使用することが好ましい。電気を絶縁し、かつ熱伝導率の高い材質として、近年、高熱伝導性を発現する樹脂が開発されている。絶縁体20に、このような高熱伝導性の樹脂を用いることで、絶縁性能を確保しつつ、導体10から発生するジュール熱を効率よく外部に発散することができる。
【0011】
−−−絶縁体20の成型について−−−
導体10の周囲を絶縁体20で覆うためには、絶縁体20の成型用の金型に導体10を入れた後、絶縁体20の材料である絶縁性樹脂をその金型の中に充填することで、絶縁体20を成型する。絶縁性樹脂が熱可塑性樹脂であれば、加熱した絶縁性樹脂を金型の中に射出した後、冷却することで絶縁体20を成型できる。絶縁性樹脂が熱硬化性樹脂であれば、絶縁性樹脂を金型の中に注入した後、樹脂自身の反応熱や外部からの加熱によって樹脂を硬化させることで絶縁体20を成型できる。
【0012】
本実施の形態のバスバー1では、2本の導体10が隣り合って延在しているため、導体10の断面の縦横の長さの比やそれぞれの導体10の間隔によっては、成型時にそれぞれの導体10の間の空間へ絶縁性樹脂が充填され難くなる場合がある。たとえば、導体10の長方形断面の短辺に対して長辺を長くしたり、双方の導体10を接近させて配設する場合には、それぞれの導体10の間の空間への絶縁性樹脂充填が不十分となる恐れがある。このようなときには、図2に示すように、一方の導体10について、長方形断面の1つの長辺を覆うようにあらかじめ第1の絶縁体21を成型する。そして、第1の絶縁体21が成型された一方の導体10と、他方の導体10とを第2の絶縁体22で一体成型する。これにより、それぞれの導体10の間の空間に絶縁性樹脂を確実に充填できる。
【0013】
上述した第1の実施の形態のバスバー1では、次の作用効果を奏する。
(1) バスバー1の導体10を絶縁体20で一体成型して、導体10の周囲を絶縁体20で覆った。これにより、バスバー1の周辺で絶縁のための空間を確保する必要がなくなるので、バスバー1が組み込まれる装置を小型化できる。
【0014】
(2) たとえば、2本の導体10を接近させて配設する場合には、一方の導体10に対して、長方形断面の1つの長辺を覆うようにあらかじめ第1の絶縁体21を成型し、第1の絶縁体21が成型された一方の導体10と、他方の導体10とを第2の絶縁体22で一体成型した。これにより、それぞれの導体10の間の空間に絶縁性樹脂を確実に充填させることができるので、それぞれの導体10の間で短絡することがなく、バスバー1の信頼性を向上できる。また、導体10の断面形状や導体10同士の間隔にかかわらず、それぞれの導体10の間の空間に絶縁性樹脂を確実に充填させることができるので、バスバー1の設計の自由度を広げることができ、特にバスバー1の小型化に寄与できる。
【0015】
(3) 絶縁体20の材料に高熱伝導性の樹脂を用いることで、導体10から発生するジュール熱を効率よく外部に発散することができる。これにより、発熱量を下げるために導体10の断面積を増やす必要がないので、バスバー1の大型化、および重量増を防止できる。
【0016】
−−−第2の実施の形態−−−
図3を参照して、本発明によるバスバーの第2の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。図3は、導体10の延在方向に対する垂直面におけるバスバーの断面構造を示す図である。バスバー2には、バスバー2を冷却器30に取り付けるため、取付穴23aが設けられた取付部23が絶縁体20に形成されている。
【0017】
双方の導体10に流れる電流値が略等しい場合、双方の導体10の断面積が等しければ、双方の導体10から発生するジュール熱は略等しい。導体10の電気抵抗値は導体10の温度に比例するため、双方の導体10に流れる電流値が略等しい場合、双方の導体10からの発熱を等しく放熱させることが望ましい。そこで、冷却器30が取り付けられる絶縁体20の表面は、双方の導体10からの距離が等しい面であることが望ましい。
【0018】
本実施の形態では、2本の導体10が、それぞれの長方形断面の長辺同士が平行に隣接するように配設されており、絶縁体20の外側(雰囲気側)の各表面20a,20b,20c,20dが導体10の長方形断面の各辺に平行となるように形成されている。したがって、双方の導体10からの距離が等しい絶縁体20の表面は、導体10の長方形断面の短辺に平行となる表面20bおよび表面20dである。そこで、本実施の形態では、表面20dが冷却器30の表面に接触して固定されるように、表面20dと同一平面を有する取付部23を絶縁体20に形成している。なお、絶縁体20の断面形状や取付部23の位置および形状は、取付先である冷却器30の形状にあわせて適宜変更してもよい。
【0019】
冷却器30に雌ねじが形成された取付部31を設けることで、取付穴23aを通した取付ボルト51でバスバー2を冷却器30の表面32に固定することができる。なお、バスバー2を冷却器30に固定する際、絶縁体20の表面20dと冷却器30の表面32との間に伝熱グリースを塗布することや伝熱シートを敷くことなどによって、表面20dと表面32との熱接合性を向上させて、絶縁体20から冷却器30への熱伝達率を向上させることが望ましい。
【0020】
第2の実施の形態のバスバー2では、第1の実施の形態の作用効果に加えて、次の作用効果を奏する。
(1) 絶縁体20に取付部23を一体的に形成したことにより、バスバー2を冷却器30に固定できる。これにより、導体10のジュール熱を積極的に抜熱できるので、導体10の温度上昇を抑制できる。したがって、導体10の断面積を小さくできるので、バスバー2の小型化、軽量化が実現でき、バスバー2が組み込まれる装置自体の小型化も図れる。
【0021】
−−−第3の実施の形態−−−
図4〜7を参照して、本発明によるバスバーの第3の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1および第2の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1および第2の実施の形態と同じである。図4は、導体10の延在方向に対する垂直面におけるバスバーの断面構造を示す図である。バスバー3は、2本の導体10の間に冷却プレート41を設けた点で、第2の実施の形態のバスバー2と相違する。
【0022】
冷却プレート41は、絶縁体20よりも高い熱伝導率を有する材質からなる板状部材であり、2本の導体10の間の空間に導体10とは離間しつつ導体10に沿った状態で、導体10とともに絶縁体20で一体的に成型されている。冷却プレート41と導体10との間の空間にも絶縁体20が形成されている。冷却プレート41の端部41aは、絶縁体20の表面20dから露出しており、バスバー3を冷却器30に取り付けたときに冷却器30の表面32と接触する。
【0023】
図4に示すように、導体10は、その長方形断面の一方の短辺側が冷却器30と近接し、他方の短辺が冷却器30と離れるように配設されている。冷却プレート41は、導体10の他方の短辺近傍から冷却器30の表面32まで延在しているので、冷却器30とは離れている導体10の他方の短辺近傍で発生するジュール熱を効率よく冷却器30に伝達できる。
【0024】
冷却プレート41の材質に、銅やアルミなどの熱伝導率が高い導電性材料を用いると、良導体である導体10と冷却プレート41との間の絶縁体20が挟まれた状態となる。ここで、冷却器30を導電性材料で構成し、冷却器30を接地すると、冷却器30に取り付けられたバスバー3は、図5に示した等価回路のように、導体10と大地との間にキャパシターを挿入した状態と等しくなる。すなわち、バスバー3には、コモンモードノイズを除去するフィルタ機能が備わっている。
【0025】
なお、バスバー3に用いる冷却プレート41は、図4に示すような断面がI型の板形状に限らず、図6に示すようなL型断面を有する冷却プレート42であってもよく、図7に示すようなT型断面を有する冷却プレート43であってもよい。図6,7に示すように、冷却プレート42,43が冷却器30の表面32と接触する面42a,43aの表面積を増やすことで、導体10から冷却器30への伝熱面積が増加するので、導体10から発生するジュール熱を効率よく冷却器30へ伝達することができる。
【0026】
また、図6,7に示すように、冷却プレート42,43の面42a,43aを絶縁体20の取付部23まで延在させるとともに、取付ボルト51が貫通できるように穴42b,43bを設けることで、取付部23と冷却器30の表面32との間で冷却プレート42,43を挟持しながら取付ボルト51で固定できる。これにより、冷却プレート42,43と冷却器30とを機械的および電気的に確実に締結できるので、バスバー3の冷却効果およびノイズフィルタとしての効果を向上できる。
【0027】
第3の実施の形態のバスバー3では、第1および第2の実施の形態の作用効果に加えて、次の作用効果を奏する。
(1) 2本の導体10の間に冷却プレート41〜43を設けたので、導体10の冷却器30から離れた部分で発生するジュール熱を効率よく冷却器30に伝達できる。これにより、バスバー3の冷却効率を向上できるので、導体10の断面積をさらに小さくできる。したがって、バスバー3をさらに小型化、軽量化することができ、バスバー3が組み込まれる装置自体の小型化も図れる。
【0028】
(2) 冷却プレート41〜43を導電性材料で構成し、同じく導電性材料で構成した冷却器30を接地することで、バスバー3のコモンモードノイズを除去できる。これにより、バスバー3が組み込まれる装置に対するコモンモードノイズの影響を防止して、バスバー3が組み込まれる装置を安定的に稼働できる。
【0029】
−−−第4の実施の形態−−−
図8,9を参照して、本発明によるバスバーの第4の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1〜第3の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1〜第3の実施の形態と同じである。図8は、導体10の延在方向に対する垂直面におけるバスバーの断面構造を示す図である。バスバー4は、2本の導体10の外側を囲うように冷却プレート44を構成した点で、第3の実施の形態のバスバー3と相違する。
【0030】
冷却プレート44は、銅やアルミなどの熱伝導率が高い導電性材料からなる板状部材が折り曲げられて矩形断面の管状に加工された部材である。2本の導体10は、管状に加工された冷却プレート44の内部に延在している。導体10と冷却プレート44との間の空間は、絶縁性樹脂が充填されて内部絶縁体24が成型されている。
【0031】
管状に加工された冷却プレート44の外部には、矩形断面の外側の4面のうち、1面を除いた他の3面44a,44b,44cに、樹脂からなる外部成型体25が成型されている。第2および第3の実施の形態のバスバー2,3と同様に、外部成型体25には、冷却器30に取り付けるため、取付穴26aを有する取付部26が設けられている。管状に加工された冷却プレート44の外側の4面のうち、外部成型体25が成型されていない面44dは露出しており、外部成型体25の底面25aと同一平面を形成している。取付ボルト51によってバスバー4が冷却器30の表面32に取り付けられると、冷却プレート44の面44dと冷却器30の表面32とが密着する。
【0032】
このように、冷却プレート44で導体10の周囲を覆うことで、導体10で発生するジュール熱を効率的に冷却器30に伝達できるとともに、導体10を流れる電流に重畳する電磁波ノイズを遮蔽することができる。なお、外部成型体25は導体10と直接接触しないため、電気絶縁性は特に必要ではない。そのため、熱伝導性や取付部26の強度など、電気絶縁性以外の特性を重視して材質を選定してもよい。
【0033】
バスバー4の製造方法の一例を以下に説明する。最初に、導体10の周囲に内部絶縁体24を一体的に成型する。その後、内部絶縁体24の周囲に冷却プレート44を巻き付けるように装着する。そして、射出成型によって冷却プレート44の外部に外部成型体25を射出成型する。外部成型体25の成型時に、図8に示したゲート位置から金型の内部に樹脂を注入すれば、冷却プレート44の端部が重なった継ぎ目44eが開かないように注入される樹脂の流れや圧力によって冷却プレート44の端部を圧接させた状態で成型できる。
【0034】
なお、矩形形状に加工した冷却プレート44の代わりに、図9に示すように、矩形断面を有する冷却管45を用いてもよい。すなわち、内部絶縁体24の周囲を囲うように冷却管45を配設し、冷却管45の外側の4面のうち、1面45dを除いた他の3面45a,45b,45cに外部成型体25を成型することとしてもよい。
【0035】
第4の実施の形態のバスバー4では、第1〜第3の実施の形態の作用効果に加えて、次の作用効果を奏する。
(1) 冷却プレート44または冷却管45で導体10の周囲を覆い、その1面44d,45dが冷却器30の表面32に密着できるように構成した。これにより、導体10を効率的に冷却できるとともに、導体10を流れる電流に重畳する電磁波ノイズを遮蔽することができるので、導体10からのノイズ輻射を抑制できる小型のバスバー4を実現できる。
【0036】
−−−第5の実施の形態−−−
図10,11を参照して、本発明によるバスバーの第5の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1〜第4の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1〜第4の実施の形態と同じである。第5の実施の形態のバスバーは、導体10の端子11の部分にまで絶縁体20を成型している点で、第1〜第4の実施の形態のバスバー1〜4と異なる。なお、以下に説明する第5の実施の形態の端子11の近傍の構成は、上述した第1〜第4の実施の形態のバスバー1〜4にも適用できる。
【0037】
図10は、導体10の端子11の近傍を拡大した断面図である。上述のように、バスバー5は、バスバー5の取付先の電極と締結される端子面11aを除き、導体10の全体が絶縁体20で覆われている。端子11の取付穴12にはボルト61が挿入された状態で絶縁体20が成型され、ボルト61の頭部61aが絶縁体20で固定された状態となっている。すなわち、導体10とボルト61とが絶縁体20によって一体的に成型されている。
【0038】
なお、図11に示すように、ボルト61の代わりにナット71を用いてもよい。この場合、バスバー5の取付先の電極と端子11とをボルトで締結するとナット71からボルトの先端が突出するので、ナット座面近傍の絶縁体20に空間27を設ける必要がある。
【0039】
第5の実施の形態のバスバー5では、第1〜第4の実施の形態の作用効果に加えて、次の作用効果を奏する。
(1) 端子面11aを除き、導体10の全体を絶縁体20で覆うように構成したので、端子面11aを除いてバスバー5の導体10が露出する部分がなくなり、絶縁性を確保できる。これにより、バスバー5の周辺の絶縁距離をさらに小さくできるため、バスバー5が組み込まれる装置をさらに小型化できる。
(2) ボルト61やナット71が絶縁体20で導体10に固定された状態となるので、バスバー5を取付先の電極に締結する際にボルト61やナット71を固定する必要がなく、組み立て作業が容易となり、作業性が向上する。
【0040】
−−−変形例−−−
(1) 上述の説明では、各バスバーの導体10は2本であったが、1本でもよく、3本以上であってもよい。
(2) 上述の説明では、導体10の断面形状は略長方形であったが、本発明はこれに限定されない。たとえば、導体10の断面形状は、長方形以外の多角形でもよく、円形もしくは楕円形であってもよい。
【0041】
(3) 上述の説明では、導体10の断面は中実であったが、本発明はこれに限定され
ず、導体の断面に空間を有する中空材を導体として用いることもできる。導体に中空材を用いて、その内部空間に冷却流体を流すこともできる。
(4) 上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
【0042】
以上の実施の形態およびその変形例において、たとえば、取付部材は取付部23に、伝熱部材は冷却プレート41〜44および冷却管45に、締結部材はボルト61およびナット71にそれぞれ対応する。さらに、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における機器構成に何ら限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】断面の様子が分かるように途中から切断した第1の実施の形態のバスバーの斜視図である。
【図2】導体10の延在方向に対する垂直面における第1の実施の形態のバスバーの断面構造を示す図である。
【図3】導体10の延在方向に対する垂直面における第2の実施の形態のバスバーの断面構造を示す図である。
【図4】導体10の延在方向に対する垂直面における第3の実施の形態のバスバーの断面構造を示す図である。
【図5】冷却器30に取り付けられたバスバー3の等価回路図である。
【図6】バスバー3にL型断面を有する冷却プレート42を用いた場合の断面構造を示す図である。
【図7】バスバー3にT型断面を有する冷却プレート43を用いた場合の断面構造を示す図である。
【図8】導体10の延在方向に対する垂直面における第4の実施の形態のバスバーの断面構造を示す図である。
【図9】バスバー4に冷却管45を用いた場合の断面構造を示す図である。
【図10】第5の実施の形態のバスバーの導体10の端子11の近傍を拡大した断面図である。
【図11】図10のボルト61の代わりにナット71を用いた場合について説明する図である。
【符号の説明】
【0044】
1〜5 バスバー 10 導体
11 端子 20 絶縁体
23 取付部 30 冷却器
41〜44 冷却プレート 45 冷却管
61 ボルト 71 ナット
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極間の接続に用いられるバスバーの絶縁技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置などの大電流を取り扱う装置では、電極間の接続にバスバーが用いられる。複数のバスバーを近接させて配設する場合には、バスバー同士の間に絶縁物を介在させることで、絶縁性を確保させている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−294040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、近接するバスバー同士の間には絶縁物を配置するが、その他の部分には絶縁が施されず、導体が露出した状態で使用されるのが一般的である。そのため、バスバーとの空間距離を保つことで、バスバーが組み込まれる装置の筐体部分や他の部品との絶縁性を確保するとともに、周囲雰囲気の対流によってバスバーのジュール熱を放熱している。そのため、バスバーが組み込まれる装置の小型化が困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、導体の周囲を電気絶縁性の高い絶縁性樹脂で覆うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、導体の周囲を電気絶縁性の高い絶縁性樹脂で覆うように構成した。これにより、導体の周辺で絶縁のための空間を確保する必要がなくなるので、バスバーが組み込まれる装置を小型化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
−−−第1の実施の形態−−−
図1,2を参照して、本発明によるバスバーの第1の実施の形態を説明する。図1は、断面の様子が分かるように途中から切断したバスバーの斜視図である。バスバー1は、電気の良導体である銅などの金属からなる2本の導体10を備えている。導体10は、その延在方向に対して垂直な面が略長方形となる断面を有し、所定の電流を流すことができる棒状もしくは板状の部材である。
【0008】
この2本の導体10は、その長方形断面の長辺に相当する面が平行となるように隣接させて延在させた状態で、後述する絶縁性樹脂からなる絶縁体20でモールドされて全体が一体的に成型されている。隣り合って配設された各導体10の間の空間にも絶縁体20が充填されて成型されている。
【0009】
導体10の両端には端子11が形成されており、その端子11は絶縁体20から突出して露出している。端子11には取付穴12が設けられており、ボルトなどの締結部材によってバスバー1の取付先の電極(不図示)と締結されることで、バスバー1が電気的に接続されるとともに機械的に固定される。
【0010】
−−−絶縁体20の材質について−−−
絶縁体20は、導体10を絶縁するための絶縁性能の他に、導体10から発生するジュール熱を外部に放出するための熱伝導性能に優れていることが必要とされる。すなわち、絶縁体20には、熱伝導率の高い材料を使用することが好ましい。電気を絶縁し、かつ熱伝導率の高い材質として、近年、高熱伝導性を発現する樹脂が開発されている。絶縁体20に、このような高熱伝導性の樹脂を用いることで、絶縁性能を確保しつつ、導体10から発生するジュール熱を効率よく外部に発散することができる。
【0011】
−−−絶縁体20の成型について−−−
導体10の周囲を絶縁体20で覆うためには、絶縁体20の成型用の金型に導体10を入れた後、絶縁体20の材料である絶縁性樹脂をその金型の中に充填することで、絶縁体20を成型する。絶縁性樹脂が熱可塑性樹脂であれば、加熱した絶縁性樹脂を金型の中に射出した後、冷却することで絶縁体20を成型できる。絶縁性樹脂が熱硬化性樹脂であれば、絶縁性樹脂を金型の中に注入した後、樹脂自身の反応熱や外部からの加熱によって樹脂を硬化させることで絶縁体20を成型できる。
【0012】
本実施の形態のバスバー1では、2本の導体10が隣り合って延在しているため、導体10の断面の縦横の長さの比やそれぞれの導体10の間隔によっては、成型時にそれぞれの導体10の間の空間へ絶縁性樹脂が充填され難くなる場合がある。たとえば、導体10の長方形断面の短辺に対して長辺を長くしたり、双方の導体10を接近させて配設する場合には、それぞれの導体10の間の空間への絶縁性樹脂充填が不十分となる恐れがある。このようなときには、図2に示すように、一方の導体10について、長方形断面の1つの長辺を覆うようにあらかじめ第1の絶縁体21を成型する。そして、第1の絶縁体21が成型された一方の導体10と、他方の導体10とを第2の絶縁体22で一体成型する。これにより、それぞれの導体10の間の空間に絶縁性樹脂を確実に充填できる。
【0013】
上述した第1の実施の形態のバスバー1では、次の作用効果を奏する。
(1) バスバー1の導体10を絶縁体20で一体成型して、導体10の周囲を絶縁体20で覆った。これにより、バスバー1の周辺で絶縁のための空間を確保する必要がなくなるので、バスバー1が組み込まれる装置を小型化できる。
【0014】
(2) たとえば、2本の導体10を接近させて配設する場合には、一方の導体10に対して、長方形断面の1つの長辺を覆うようにあらかじめ第1の絶縁体21を成型し、第1の絶縁体21が成型された一方の導体10と、他方の導体10とを第2の絶縁体22で一体成型した。これにより、それぞれの導体10の間の空間に絶縁性樹脂を確実に充填させることができるので、それぞれの導体10の間で短絡することがなく、バスバー1の信頼性を向上できる。また、導体10の断面形状や導体10同士の間隔にかかわらず、それぞれの導体10の間の空間に絶縁性樹脂を確実に充填させることができるので、バスバー1の設計の自由度を広げることができ、特にバスバー1の小型化に寄与できる。
【0015】
(3) 絶縁体20の材料に高熱伝導性の樹脂を用いることで、導体10から発生するジュール熱を効率よく外部に発散することができる。これにより、発熱量を下げるために導体10の断面積を増やす必要がないので、バスバー1の大型化、および重量増を防止できる。
【0016】
−−−第2の実施の形態−−−
図3を参照して、本発明によるバスバーの第2の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。図3は、導体10の延在方向に対する垂直面におけるバスバーの断面構造を示す図である。バスバー2には、バスバー2を冷却器30に取り付けるため、取付穴23aが設けられた取付部23が絶縁体20に形成されている。
【0017】
双方の導体10に流れる電流値が略等しい場合、双方の導体10の断面積が等しければ、双方の導体10から発生するジュール熱は略等しい。導体10の電気抵抗値は導体10の温度に比例するため、双方の導体10に流れる電流値が略等しい場合、双方の導体10からの発熱を等しく放熱させることが望ましい。そこで、冷却器30が取り付けられる絶縁体20の表面は、双方の導体10からの距離が等しい面であることが望ましい。
【0018】
本実施の形態では、2本の導体10が、それぞれの長方形断面の長辺同士が平行に隣接するように配設されており、絶縁体20の外側(雰囲気側)の各表面20a,20b,20c,20dが導体10の長方形断面の各辺に平行となるように形成されている。したがって、双方の導体10からの距離が等しい絶縁体20の表面は、導体10の長方形断面の短辺に平行となる表面20bおよび表面20dである。そこで、本実施の形態では、表面20dが冷却器30の表面に接触して固定されるように、表面20dと同一平面を有する取付部23を絶縁体20に形成している。なお、絶縁体20の断面形状や取付部23の位置および形状は、取付先である冷却器30の形状にあわせて適宜変更してもよい。
【0019】
冷却器30に雌ねじが形成された取付部31を設けることで、取付穴23aを通した取付ボルト51でバスバー2を冷却器30の表面32に固定することができる。なお、バスバー2を冷却器30に固定する際、絶縁体20の表面20dと冷却器30の表面32との間に伝熱グリースを塗布することや伝熱シートを敷くことなどによって、表面20dと表面32との熱接合性を向上させて、絶縁体20から冷却器30への熱伝達率を向上させることが望ましい。
【0020】
第2の実施の形態のバスバー2では、第1の実施の形態の作用効果に加えて、次の作用効果を奏する。
(1) 絶縁体20に取付部23を一体的に形成したことにより、バスバー2を冷却器30に固定できる。これにより、導体10のジュール熱を積極的に抜熱できるので、導体10の温度上昇を抑制できる。したがって、導体10の断面積を小さくできるので、バスバー2の小型化、軽量化が実現でき、バスバー2が組み込まれる装置自体の小型化も図れる。
【0021】
−−−第3の実施の形態−−−
図4〜7を参照して、本発明によるバスバーの第3の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1および第2の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1および第2の実施の形態と同じである。図4は、導体10の延在方向に対する垂直面におけるバスバーの断面構造を示す図である。バスバー3は、2本の導体10の間に冷却プレート41を設けた点で、第2の実施の形態のバスバー2と相違する。
【0022】
冷却プレート41は、絶縁体20よりも高い熱伝導率を有する材質からなる板状部材であり、2本の導体10の間の空間に導体10とは離間しつつ導体10に沿った状態で、導体10とともに絶縁体20で一体的に成型されている。冷却プレート41と導体10との間の空間にも絶縁体20が形成されている。冷却プレート41の端部41aは、絶縁体20の表面20dから露出しており、バスバー3を冷却器30に取り付けたときに冷却器30の表面32と接触する。
【0023】
図4に示すように、導体10は、その長方形断面の一方の短辺側が冷却器30と近接し、他方の短辺が冷却器30と離れるように配設されている。冷却プレート41は、導体10の他方の短辺近傍から冷却器30の表面32まで延在しているので、冷却器30とは離れている導体10の他方の短辺近傍で発生するジュール熱を効率よく冷却器30に伝達できる。
【0024】
冷却プレート41の材質に、銅やアルミなどの熱伝導率が高い導電性材料を用いると、良導体である導体10と冷却プレート41との間の絶縁体20が挟まれた状態となる。ここで、冷却器30を導電性材料で構成し、冷却器30を接地すると、冷却器30に取り付けられたバスバー3は、図5に示した等価回路のように、導体10と大地との間にキャパシターを挿入した状態と等しくなる。すなわち、バスバー3には、コモンモードノイズを除去するフィルタ機能が備わっている。
【0025】
なお、バスバー3に用いる冷却プレート41は、図4に示すような断面がI型の板形状に限らず、図6に示すようなL型断面を有する冷却プレート42であってもよく、図7に示すようなT型断面を有する冷却プレート43であってもよい。図6,7に示すように、冷却プレート42,43が冷却器30の表面32と接触する面42a,43aの表面積を増やすことで、導体10から冷却器30への伝熱面積が増加するので、導体10から発生するジュール熱を効率よく冷却器30へ伝達することができる。
【0026】
また、図6,7に示すように、冷却プレート42,43の面42a,43aを絶縁体20の取付部23まで延在させるとともに、取付ボルト51が貫通できるように穴42b,43bを設けることで、取付部23と冷却器30の表面32との間で冷却プレート42,43を挟持しながら取付ボルト51で固定できる。これにより、冷却プレート42,43と冷却器30とを機械的および電気的に確実に締結できるので、バスバー3の冷却効果およびノイズフィルタとしての効果を向上できる。
【0027】
第3の実施の形態のバスバー3では、第1および第2の実施の形態の作用効果に加えて、次の作用効果を奏する。
(1) 2本の導体10の間に冷却プレート41〜43を設けたので、導体10の冷却器30から離れた部分で発生するジュール熱を効率よく冷却器30に伝達できる。これにより、バスバー3の冷却効率を向上できるので、導体10の断面積をさらに小さくできる。したがって、バスバー3をさらに小型化、軽量化することができ、バスバー3が組み込まれる装置自体の小型化も図れる。
【0028】
(2) 冷却プレート41〜43を導電性材料で構成し、同じく導電性材料で構成した冷却器30を接地することで、バスバー3のコモンモードノイズを除去できる。これにより、バスバー3が組み込まれる装置に対するコモンモードノイズの影響を防止して、バスバー3が組み込まれる装置を安定的に稼働できる。
【0029】
−−−第4の実施の形態−−−
図8,9を参照して、本発明によるバスバーの第4の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1〜第3の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1〜第3の実施の形態と同じである。図8は、導体10の延在方向に対する垂直面におけるバスバーの断面構造を示す図である。バスバー4は、2本の導体10の外側を囲うように冷却プレート44を構成した点で、第3の実施の形態のバスバー3と相違する。
【0030】
冷却プレート44は、銅やアルミなどの熱伝導率が高い導電性材料からなる板状部材が折り曲げられて矩形断面の管状に加工された部材である。2本の導体10は、管状に加工された冷却プレート44の内部に延在している。導体10と冷却プレート44との間の空間は、絶縁性樹脂が充填されて内部絶縁体24が成型されている。
【0031】
管状に加工された冷却プレート44の外部には、矩形断面の外側の4面のうち、1面を除いた他の3面44a,44b,44cに、樹脂からなる外部成型体25が成型されている。第2および第3の実施の形態のバスバー2,3と同様に、外部成型体25には、冷却器30に取り付けるため、取付穴26aを有する取付部26が設けられている。管状に加工された冷却プレート44の外側の4面のうち、外部成型体25が成型されていない面44dは露出しており、外部成型体25の底面25aと同一平面を形成している。取付ボルト51によってバスバー4が冷却器30の表面32に取り付けられると、冷却プレート44の面44dと冷却器30の表面32とが密着する。
【0032】
このように、冷却プレート44で導体10の周囲を覆うことで、導体10で発生するジュール熱を効率的に冷却器30に伝達できるとともに、導体10を流れる電流に重畳する電磁波ノイズを遮蔽することができる。なお、外部成型体25は導体10と直接接触しないため、電気絶縁性は特に必要ではない。そのため、熱伝導性や取付部26の強度など、電気絶縁性以外の特性を重視して材質を選定してもよい。
【0033】
バスバー4の製造方法の一例を以下に説明する。最初に、導体10の周囲に内部絶縁体24を一体的に成型する。その後、内部絶縁体24の周囲に冷却プレート44を巻き付けるように装着する。そして、射出成型によって冷却プレート44の外部に外部成型体25を射出成型する。外部成型体25の成型時に、図8に示したゲート位置から金型の内部に樹脂を注入すれば、冷却プレート44の端部が重なった継ぎ目44eが開かないように注入される樹脂の流れや圧力によって冷却プレート44の端部を圧接させた状態で成型できる。
【0034】
なお、矩形形状に加工した冷却プレート44の代わりに、図9に示すように、矩形断面を有する冷却管45を用いてもよい。すなわち、内部絶縁体24の周囲を囲うように冷却管45を配設し、冷却管45の外側の4面のうち、1面45dを除いた他の3面45a,45b,45cに外部成型体25を成型することとしてもよい。
【0035】
第4の実施の形態のバスバー4では、第1〜第3の実施の形態の作用効果に加えて、次の作用効果を奏する。
(1) 冷却プレート44または冷却管45で導体10の周囲を覆い、その1面44d,45dが冷却器30の表面32に密着できるように構成した。これにより、導体10を効率的に冷却できるとともに、導体10を流れる電流に重畳する電磁波ノイズを遮蔽することができるので、導体10からのノイズ輻射を抑制できる小型のバスバー4を実現できる。
【0036】
−−−第5の実施の形態−−−
図10,11を参照して、本発明によるバスバーの第5の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1〜第4の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1〜第4の実施の形態と同じである。第5の実施の形態のバスバーは、導体10の端子11の部分にまで絶縁体20を成型している点で、第1〜第4の実施の形態のバスバー1〜4と異なる。なお、以下に説明する第5の実施の形態の端子11の近傍の構成は、上述した第1〜第4の実施の形態のバスバー1〜4にも適用できる。
【0037】
図10は、導体10の端子11の近傍を拡大した断面図である。上述のように、バスバー5は、バスバー5の取付先の電極と締結される端子面11aを除き、導体10の全体が絶縁体20で覆われている。端子11の取付穴12にはボルト61が挿入された状態で絶縁体20が成型され、ボルト61の頭部61aが絶縁体20で固定された状態となっている。すなわち、導体10とボルト61とが絶縁体20によって一体的に成型されている。
【0038】
なお、図11に示すように、ボルト61の代わりにナット71を用いてもよい。この場合、バスバー5の取付先の電極と端子11とをボルトで締結するとナット71からボルトの先端が突出するので、ナット座面近傍の絶縁体20に空間27を設ける必要がある。
【0039】
第5の実施の形態のバスバー5では、第1〜第4の実施の形態の作用効果に加えて、次の作用効果を奏する。
(1) 端子面11aを除き、導体10の全体を絶縁体20で覆うように構成したので、端子面11aを除いてバスバー5の導体10が露出する部分がなくなり、絶縁性を確保できる。これにより、バスバー5の周辺の絶縁距離をさらに小さくできるため、バスバー5が組み込まれる装置をさらに小型化できる。
(2) ボルト61やナット71が絶縁体20で導体10に固定された状態となるので、バスバー5を取付先の電極に締結する際にボルト61やナット71を固定する必要がなく、組み立て作業が容易となり、作業性が向上する。
【0040】
−−−変形例−−−
(1) 上述の説明では、各バスバーの導体10は2本であったが、1本でもよく、3本以上であってもよい。
(2) 上述の説明では、導体10の断面形状は略長方形であったが、本発明はこれに限定されない。たとえば、導体10の断面形状は、長方形以外の多角形でもよく、円形もしくは楕円形であってもよい。
【0041】
(3) 上述の説明では、導体10の断面は中実であったが、本発明はこれに限定され
ず、導体の断面に空間を有する中空材を導体として用いることもできる。導体に中空材を用いて、その内部空間に冷却流体を流すこともできる。
(4) 上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
【0042】
以上の実施の形態およびその変形例において、たとえば、取付部材は取付部23に、伝熱部材は冷却プレート41〜44および冷却管45に、締結部材はボルト61およびナット71にそれぞれ対応する。さらに、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における機器構成に何ら限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】断面の様子が分かるように途中から切断した第1の実施の形態のバスバーの斜視図である。
【図2】導体10の延在方向に対する垂直面における第1の実施の形態のバスバーの断面構造を示す図である。
【図3】導体10の延在方向に対する垂直面における第2の実施の形態のバスバーの断面構造を示す図である。
【図4】導体10の延在方向に対する垂直面における第3の実施の形態のバスバーの断面構造を示す図である。
【図5】冷却器30に取り付けられたバスバー3の等価回路図である。
【図6】バスバー3にL型断面を有する冷却プレート42を用いた場合の断面構造を示す図である。
【図7】バスバー3にT型断面を有する冷却プレート43を用いた場合の断面構造を示す図である。
【図8】導体10の延在方向に対する垂直面における第4の実施の形態のバスバーの断面構造を示す図である。
【図9】バスバー4に冷却管45を用いた場合の断面構造を示す図である。
【図10】第5の実施の形態のバスバーの導体10の端子11の近傍を拡大した断面図である。
【図11】図10のボルト61の代わりにナット71を用いた場合について説明する図である。
【符号の説明】
【0044】
1〜5 バスバー 10 導体
11 端子 20 絶縁体
23 取付部 30 冷却器
41〜44 冷却プレート 45 冷却管
61 ボルト 71 ナット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流が入出力する端子と、前記端子間で電流を流すことができる導体とを備えるバスバーにおいて、
前記導体の周囲は電気絶縁性の高い絶縁性樹脂で覆われていることを特徴とするバスバー。
【請求項2】
請求項1に記載のバスバーにおいて、
前記導体の周囲を覆う絶縁性樹脂を介して前記導体が発する熱を奪う冷却器に固定するための取付部材をさらに備えることを特徴とするバスバー。
【請求項3】
請求項2に記載のバスバーにおいて、
前記絶縁性樹脂は、熱伝導率が高い樹脂であることを特徴とするバスバー。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のバスバーにおいて、
前記絶縁性樹脂の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有し、前記導体とともに前記絶縁性樹脂で覆われて、前記導体が発する熱を前記冷却器に伝達する伝熱部材をさらに備えることを特徴とするバスバー。
【請求項5】
請求項4に記載のバスバーにおいて、
前記伝熱部材は、前記導体に沿って延在するように配設された金属板であり、前記冷却器と電気的および熱的に接続されることを特徴とするバスバー。
【請求項6】
請求項5に記載のバスバーにおいて、
前記金属板は、延在する前記導体の外周を囲うとともに前記導体に沿って延在することを特徴とするバスバー。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかの項に記載のバスバーにおいて、
前記端子には、前記端子を相手の電極と接続して固定するための締結部材が前記絶縁性樹脂によって固定され、
前記絶縁性樹脂は、前記端子が前記電極に接続される部分、および前記締結部材が前記電極と締結される部分を除き、前記導体全体を被覆していることを特徴とするバスバー。
【請求項8】
電流を入出力する端子間で電流を流すことができ、互いに絶縁されている少なくとも2本の導体の周囲を電気絶縁性の高い絶縁性樹脂で覆ったことを特徴とするバスバー。
【請求項1】
電流が入出力する端子と、前記端子間で電流を流すことができる導体とを備えるバスバーにおいて、
前記導体の周囲は電気絶縁性の高い絶縁性樹脂で覆われていることを特徴とするバスバー。
【請求項2】
請求項1に記載のバスバーにおいて、
前記導体の周囲を覆う絶縁性樹脂を介して前記導体が発する熱を奪う冷却器に固定するための取付部材をさらに備えることを特徴とするバスバー。
【請求項3】
請求項2に記載のバスバーにおいて、
前記絶縁性樹脂は、熱伝導率が高い樹脂であることを特徴とするバスバー。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のバスバーにおいて、
前記絶縁性樹脂の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有し、前記導体とともに前記絶縁性樹脂で覆われて、前記導体が発する熱を前記冷却器に伝達する伝熱部材をさらに備えることを特徴とするバスバー。
【請求項5】
請求項4に記載のバスバーにおいて、
前記伝熱部材は、前記導体に沿って延在するように配設された金属板であり、前記冷却器と電気的および熱的に接続されることを特徴とするバスバー。
【請求項6】
請求項5に記載のバスバーにおいて、
前記金属板は、延在する前記導体の外周を囲うとともに前記導体に沿って延在することを特徴とするバスバー。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかの項に記載のバスバーにおいて、
前記端子には、前記端子を相手の電極と接続して固定するための締結部材が前記絶縁性樹脂によって固定され、
前記絶縁性樹脂は、前記端子が前記電極に接続される部分、および前記締結部材が前記電極と締結される部分を除き、前記導体全体を被覆していることを特徴とするバスバー。
【請求項8】
電流を入出力する端子間で電流を流すことができ、互いに絶縁されている少なくとも2本の導体の周囲を電気絶縁性の高い絶縁性樹脂で覆ったことを特徴とするバスバー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−31959(P2006−31959A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204707(P2004−204707)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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