説明

バックライト装置、及び表示装置

【課題】表示パネルの背面側に配置される導光板の側端面から照明用の光を入射させる構成を備えたバックライト装置において、LEDの個数を増大させることなく、LEDから離間した奥部における反射光量を十分に大きく確保しつつ表示パネルを全面に亘って均一な輝度にて照光することができるバックライト装置、及び表示装置を提供する。
【解決手段】前面3に出射面を有すると共に後面4に反射面10を備え、且つ側端面5に入射面を備えた導光板2と、入射面から導光板内に光を入射させる光源15と、を備えたバックライト装置1であって、入射面は、光源からの光を出射面に向けて屈折させると共に該出射面にて全反射させて反射面側へ照射させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶ディスプレイ等の表示パネルを照明するバックライト装置の改良に関し、特に表示パネルの背面側に配置される導光板の側端面から照明用の光を入射させる構成を備えたバックライト装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ等の表示パネルを備えた各種電子機器にあっては、表示パネルを照明するためのバックライト装置が装備されている。
車載用のナビゲーション装置のように薄型化への要請が強い機器にあっては、バックライト装置に対しても薄型化が求められている。
【0003】
図3(a)(b)(c)及び(d)は従来のバックライト装置の構成を示す平面図、A−A断面図、要部拡大断面図、及び更なる要部拡大断面図である。
このバックライト装置100は、液晶ディスプレイ120の背面側に配置されて液晶ディスプレイ120を照明する手段であり、導光板101と、反射シート110と、LED115と、から構成されている。
導光板101は、アクリル等の透明な樹脂材料からから構成されており、液晶ディスプレイ120の背面と対向する前面(出射面)102と、出射面102と対向する後面103と、前面102と直交する側端面(入射面)104と、を備えている。この例では、導光板の後面103は側端面104から遠ざかる程、前面側に近づくように傾斜していると共に、ローレット加工された粗面化領域105が形成されている。更に、後面103の後方には反射シート110が配置されている。導光板101は、図3(b)に示すように左右対称な形状を有しており、左右両側の側端面104に対して夫々LED115が対向配置されている。
LED115は、出射光の光軸が側端面104と直交するように配置されており、側端面104から導光板101内に入射した光の一部は後面103に設けた粗面化領域105にて反射して前面102から液晶ディスプレイ120側へ出射され、光の他の部分は粗面化領域を透過してから反射シート110にて反射して前面102から出射される。
【0004】
従来のバックライト装置にあっては、LED115から出射され側端面104を経て導光板内に入射した光は図3(c)に示すように後面103に向けて直接照射されるように構成されている。後面103に直接照射された光の一部は(d)に示すように粗面化領域105を構成する個々の山形突起106の斜面で反射して前面102から液晶ディスプレイ120側へ出射される。しかし、光が照射された手前側の山形突起106aの直ぐ奥側に位置する山形突起106bは手前側の山形突起106aの陰に入るため、奥側の山形突起106bの斜面で光を反射させることはできず、その結果として導光板の長手方向に沿って輝度むらが発生していた。このような不具合を解消するために図3(c)に示すように出射方向奥側へ向かうほど後面103を前面102側へ傾斜させる構成が採用されている(例えば、特開2003−123525公報)。
【0005】
しかし、LED115から出射されて円錐状に広がる光束を、その光軸と直交する側端面104を介して粗面化領域105に直接照射させる従来の構成では、粗面化領域を前面102へ向けて傾斜させたとしても、奥側へ向かうほど光量が低下するという光量ばらつきを完全に解消することができなかった。
また、従来の構成では、出射光全体を後面103に照射させて前面へ向けて反射させることは困難であり、出射光の一部は前面102から出射されることがなかった。即ち、出射光のうちのごく僅かな部分しか液晶ディスプレイのバックライト用として利用することができなかった。
特開2000−221502公報には、導光板の側面のエッジからLEDからの光を入射させて液晶パネル側へ出射させるバックライトが開示されている。このバックライトにあっては、LEDを収納するハウジングの光源チャンバにエッジに沿う向きに光を反射させて拡散させる光拡散面を設けることにより一様な照明を実現している。しかし、導光板内に入射した光は底面の微小凹凸パターンに直接照射される構成であるため、微小凹凸パターンに起因した陰影の形成による輝度バラツキと、奥側へ向かうほど光量が低下するという問題が起きることが明かである。光量の低下を補うためにはLEDの個数を増大させる必要があり、コスト増、大型化を招く原因となっている。
【特許文献1】特開2003−123525公報
【特許文献2】特開2000−221502公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のバックライト装置にあっては、LEDからの出射光を出射面とは反対側の反射面に直接照射し、反射面で反射した光を出射面から表示パネル側に出射させていたため、側面照射用LEDからの出射光の照射範囲(角度)のごく僅かな範囲の光のみしか表示パネルの照明用として利用できなかった。特に、手前側の反射面に比して奥側の反射面では反射光量が低下し、表示パネルの輝度が部分的に低下する原因となっていた。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、表示パネルの背面側に配置される導光板の側端面から照明用の光を入射させる構成を備えたバックライト装置において、LEDの個数を増大させることなく、LEDから離間した奥部における反射光量を十分に大きく確保しつつ表示パネルを全面に亘って均一な輝度にて照光することができるバックライト装置、及び表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明に係るバックライト装置は、前面に出射面を有すると共に後面側に反射面を備え、且つ側端面に入射面を備えた導光板と、前記入射面から前記導光板内に光を入射させる光源と、を備えたバックライト装置であって、前記入射面は、前記光源からの光を前記出射面に向けて屈折させると共に該出射面にて全反射させて前記反射面側へ照射させるように構成されていることを特徴とする。
従来のバックライト装置にあっては、導光板の側端面から入射されるLEDからの出射光を出射面とは反対側の反射面に直接照射し、反射面で反射した光を出射面から表示パネル側に出射させていたため、側面照射用LEDからの出射光の照射範囲(角度)のごく僅かな範囲の光のみしか表示パネルの照明用として利用できなかった。特に、手前側の反射面に比して奥側の反射面では反射光量が低下し、表示パネルの輝度が部分的に低下する原因となっていた。
本発明では、導光板の側端面から入射させた光を入射面での屈折によって前面に照射させ、且つ全反射させるように構成したので、光源からの光の大半を後面側に設けた反射面で反射させてバックライトとして有効利用することが可能となる。しかも、導光板の奥側まで均一且つ十分な光量で照明することが可能となる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1において、前記出射面と前記側端面とは鋭角状に交差していることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1、又は2において、前記導光板の後面には、粗面化領域が形成されていることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか一項において、前記反射面は、前記導光板の後面と、該後面に沿って配置された反射層と、から構成されていることを特徴とする。
請求項5の発明に係る表示装置は、表示パネルと、該表示パネルの後面に配置された請求項1乃至4の何れか一項に記載のバックライト装置と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明によれば、光源からの光を、表示パネルと対向配置された前面にて全反射させてから、前面と対向する反射面で反射させて液晶パネル側へ照射するようにしたので、光量のロスが低減され、光源であるLEDからの照射範囲全体に属する光成分の大半を表示パネルを照光するために有効利用することが可能となった。そのため、LEDからの出射光全体を均一に液晶パネル面に向けることができるようになり、照光面に輝度むらが発生しなくなった。また、LEDの個数を削減でき(省電力化)、部品点数の削減、コストダウンが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1(a)(b)(c)及び(d)は本発明に係る導光板の構成を示す平面図、B−B断面図、前面斜視図、及び後面斜視図であり、図2(a)及び(b)はこの導光板を用いたバックライト装置の要部構成説明図、及び入射光の反射経路を示す説明図である。
バックライト装置1は、液晶ディスプレイ20の背面側に配置されて液晶ディスプレイ(液晶パネル)20を照明する手段であり、導光板2と、反射シート10と、LED15と、から構成されている。
導光板2は、アクリル等の透明な樹脂材料、或いはガラス材料から構成されており、液晶ディスプレイ20の背面と対向する平坦な前面(出射面)3と、前面3と対向する後面4と、前面3と所定の鋭角な角度θにて交差する平坦な左右の側端面(入射面)5と、を備えている。この例では、導光板2の後面4は左右の側端面5から遠ざかる程、前面側に向けて傾斜、或いは湾曲していると共に、ローレット加工された粗面化領域6が形成されている。更に、後面4の後方には反射シート10が配置されている。後面4と反射シート10は反射面11を構成している。導光板2は、左右対称な形状を有しており、左右の側端面5に対して夫々LED15が対向配置されている。
【0011】
前面3と後面4との傾斜角度θ(鋭角、例えば30度)を任意に調整することにより前面3から出射して液晶ディスプレイ20を照光する範囲(特に、奥行き方向の範囲)を任意に調整することができる。
なお、後面4を前面3に向けて傾斜させる構造は必須ではなく、後面と前面を平行にしてもよい。また、反射シート10は必須ではなく、後面4の後方に配置される図示しないプリント基板の前面に反射塗料によって反射膜を形成してもよい。
本発明に係る導光板2の特徴的な構成は、各側端面5がLED15からの円錐状に拡開する出射光を前面3側に屈折させて前面3にて全反射させることにより、後面4(反射面)側へ漏れなく照射させるようにした点にある。
LED15は、LEDから円錐状に拡開して出射される光全体が側端面5で屈折して前面3に照射され、且つ前面3にて全反射して後面4に照射されるように配置される。後面4に照射された光は粗面化領域6を透過して後方に配置された反射シート10にて反射して前面3から液晶ディスプレイ20に照射される。図2(a)(b)に示すように、前面3の何れの部位にて全反射した光も、急角度で粗面化領域6に進入するため、粗面化領域を構成する凸部、或いは凹部の傾斜面にて反射することなく後面4を透過して反射シート10に達する。換言すれば、前面3にて全反射した光が粗面化領域6を透過し得るように側端面5の傾斜角度θを決定する。
【0012】
また、ある凸部の陰影内に隣接する他の凸部が入り込むことに起因して発生する輝度のバラツキも解消される。
LED15からの出射光の照射方向を任意に調整することにより反射面11にて反射して液晶ディスプレイ20を照光する範囲を任意に調整することができる。
なお、粗面化領域6は必須ではないが、ローレット加工により一定のピッチにて形成された凸部(或いは凹部)は、前面3で全反射してきた光の方向を整列させて反射シート10に導く効果を期待できる。反射シート10で反射した光は粗面化領域6を透過して前面3から出射されるので、液晶ディスプレイ20を均一な輝度にて照明することとなる。
粗面化領域6を複数の凸部から構成する場合には、凸部は図3にて示した如き山形(多角錐)であってもよいし、円弧状であってもよいし、或いは立方体状、直方体状であってもよい。粗面化領域6を複数の凹所から構成する場合には、凹所は多角錐状であっても良いし、円弧状であってもよいし、或いは立方体状、直方体状であってもよい。
従って、本発明によればLED15から出射された光の全光量を漏れなく液晶ディスプレイ20を照射するために使用することができ、使用するLEDの個数を最少数に抑えることができる。
前面3と側端面5とが交差する角度θは鋭角(例えば、30度)であると共に、LED15からの出射光全体を側端面5で屈折させて前面3に照射して全反射させる値に設定する。導光板2のサイズ、形状に応じて前面3と側端面5とが交差する角度θを種々調整することで、種々のサイズ、形状の導光板を用いてバックライト装置を構成する場合であってもLEDの使用個数を最小数に抑えながら均一な輝度にて照明することが可能となる。
【0013】
以上のように本発明のバックライト装置によれば、光源からの光を一旦前面にて全反射させてから、前面と対向する反射面で反射させて液晶パネル側へ照射するようにしたので、光量のロスが低減され、光源であるLEDからの照射範囲全体に属する光成分の大半を表示パネルを照光するために有効利用することが可能となった。そのため、LEDからの出射光全体を均一に液晶パネル面に向けることができるようになり、照光面に輝度むらが発生しなくなった。また、LEDの個数を削減して省電力化を達成し、部品点数の削減、コストダウンが可能になった。
前面3に対する側端面5の傾斜角度θは、LEDからの光量を可能な限り多く前面3で全反射させるように任意に調整することができる。
また、LEDからの光が導光板の奥部まで届くようにしたい場合、前面3に対する側端面5の傾斜角度θを調整することにより、遠くまで光が到達するように調整できる。部品レイアウト上の理由からLED15と側端面5との距離が離間している場合であっても、光を導光板の奥部まで届かせることができる。
後面4に均等に配置された複数の凸部、或いは/及び 凹部から成る粗面化領域6を形成した場合には、前面3にて全反射した光が粗面化領域を通過する際に整列され、光量バラツキを解消された状態で反射シート10に照射されるので、表示パネルに照射される光のバラツキも解消される。換言すれば、側端面5の傾斜角度θは、前面3で全反射した光が粗面化領域6に入射する角度が、粗面化領域を構成する個々の凸部、凹部にて反射せずに透過するように設定する。
なお、本発明のバックライト装置は、液晶ディスプレイに限らず、バックライトによる照明を必要とするあらゆる表示パネルを備えた表示装置(電子機器)に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)(b)(c)及び(d)は本発明に係る導光板の構成を示す平面図、B−B断面図、前面斜視図、及び後面斜視図である。
【図2】(a)及び(b)は本発明の導光板を用いたバックライト装置の要部構成説明図、及び入射光の反射経路を示す説明図である。
【図3】(a)(b)(c)及び(d)は従来のバックライト装置の構成を示す平面図、A−A断面図、要部拡大断面図、及び更なる拡大断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1 バックライト装置、 2 導光板、 3 前面(出射面)、4 後面、5 側端面(入射面)、6 粗面化領域、10 反射シート、11 反射面、15 LED、20 液晶ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に出射面を有すると共に後面側に反射面を備え、且つ側端面に入射面を備えた導光板と、前記入射面から前記導光板内に光を入射させる光源と、を備えたバックライト装置であって、
前記入射面は、前記光源からの光を前記出射面に向けて屈折させると共に該出射面にて全反射させて前記反射面側へ照射させるように構成されていることを特徴とするバックライト装置。
【請求項2】
前記出射面と前記側端面とは鋭角状に交差していることを特徴とする請求項1に記載のバックライト装置。
【請求項3】
前記導光板の後面には、粗面化領域が形成されていることを特徴とする請求項1、又は2に記載のバックライト装置。
【請求項4】
前記反射面は、前記導光板の後面と、該後面に沿って配置された反射層と、から構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のバックライト装置。
【請求項5】
表示パネルと、該表示パネルの後面に配置された請求項1乃至4の何れか一項に記載のバックライト装置と、を備えたことを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−181748(P2009−181748A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−18199(P2008−18199)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】