説明

バックライト装置、画像表示装置及びバックライト装置の制御方法

【課題】LEDパッケージ数を増やさずに、対応する光源を個別に制御可能な領域数を増加させることが可能なバックライト装置およびそれを用いた画像表示装置を得ること。
【解決手段】上記の目的を達成するため、本発明の一態様は、表示装置に用いられるバックライト装置であって、表示装置の表示範囲が複数に分割された分割エリア夫々に対応して設けられる複数のLEDパッケージと、照射された光を夫々のLEDパッケージが対応する分割エリアに拡散させる単一導光板103と、LEDパッケージを点灯制御するバックライト制御部601とを含み、LEDパッケージ102は、並列に接続された複数系統のLED及び発光させるLEDを切り替えるスイッチを含み、バックライト制御部601は、表示装置のフレーム周期を分割した分割期間毎に複数系統のLEDが点灯されるようにスイッチを制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックライト装置、画像表示装置及びバックライト装置の制御方法に関し、特に、画像表示領域を複数の領域に分割し、個々の領域に対応するバックライトの明るさを個別に制御可能な画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、表示デバイスとして液晶パネルを用いた液晶表示装置のような非発光型の表示装置では、液晶パネルに画像を形成するためにバックライトにより液晶パネル背面側から光を照射している。液晶表示装置におけるバックライト方式は、直下方式、エッジライト方式の2通りに大別される。直下方式は、液晶パネルの直下に光源となる蛍光管やLED(Light Emitting Diode)を配列する方式である。エッジライト方式は、アクリル板等で作成された板状の導光板の端部(エッジ部)に光源となる蛍光管やLEDを配置し、導光板内部での多重反射を利用して面光源とするようにしたものである。
【0003】
また最近の液晶表示装置では、コントラスト特性の改善とバックライト電源の省電力のため、表示装置の画像表示面を複数の領域(エリア)に分割し、夫々の分割領域毎に対応する画像信号の特徴量(輝度レベル)に応じて対応する領域のバックライトの明るさを制御する、いわゆるエリア制御(ローカルディミングとも呼ばれる)技術が取り入れられている。エリア制御ではコントラスト向上のため、領域毎の明るさを精度良く制御する必要がある。
【0004】
また、エリア制御によるコントラスト特性の改善とバックライト電源の省電力効果は、領域数が増えるほど増加する。このため、LEDパッケージ内の複数のLEDチップの内、必要とされる発光輝度に応じて、発光させるLEDチップの個数を変化させることにより、LEDパッケージからの光の拡がり方(配光特性)および輝度を制御可能な構造とする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)等の拡散度可変素子を用い、光源から発せられる光の同一面内での輝度を局所的に増減させることで、バックライトの配光特性を変化させる光源装置および光源制御方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献2】特開2008−250174号公報
【特許文献3】特開2009−199833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、エリア制御による省電力効果を高めるためには、画像表示面の分割数を増やすことが望まれる。ここで、画像表示面の分割に際しては、夫々の分割領域に対応する光源を個別に制御可能であることが前提となる。特許文献1に記載の技術では、表示輝度に応じて発光させるLEDチップを選択することで、配光特性および輝度を変えることが可能となり、斜め視聴時の輝度ムラを防止すると共に、コントラストを向上できる。しかしながら、LEDパッケージ内のLEDチップから出る光は、光軸を略中心として分布する配光特性を有している為、該LEDパッケージが担う領域数を増やすことが出来ない。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術では、光源の個数や駆動電流を変えることなく、バックライトの配光特性を変化させることで、光源から出た光を局所的に増加させ、ピーク輝度を得ることが可能である。また、拡散度可変素子を用いることで、擬似的に領域数を増加させることも可能である。しかし、一般的な液晶表示装置に搭載されていない新たな部材である、拡散度可変素子が必要なことから、製品コストが上がる懸念がある。また、疑似的に領域数を増加させるものであり、上述したように、夫々の分割領域に対応する光源を個別に制御可能なものではない。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、LEDパッケージ数を増やさずに、対応する光源を個別に制御可能な領域数を増加させることが可能なバックライト装置およびそれを用いた画像表示装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様は、表示装置に用いられるバックライト装置であって、表示装置の表示範囲が複数に分割された分割エリア夫々に対応して設けられる複数のLEDパッケージと、LEDパッケージから照射された光を、夫々のLEDパッケージが対応する分割エリアの全体に拡散させる単一導光板103及び反射板300と、LEDパッケージを点灯制御するバックライト制御部601とを含み、LEDパッケージ102は、並列に接続された複数系統のLEDと、複数系統のLEDのうち、発光させるLEDを切り替えるスイッチとを含み、分割エリアは、LEDの系統の数と同一の数のサブエリアに更に分割され、LEDの系統のいずれかと対応しており、反射板300は、複数系統のLED夫々から照射された光を、夫々のLEDの系統が対応するサブエリアに導き、バックライト制御部601は、表示装置のフレーム周期を分割した分割期間毎に複数系統のLEDが点灯されるようにスイッチを制御することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の他の態様は、画像表示装置であって、上記バックライト装置を含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の更に他の態様は、表示装置の表示範囲が複数に分割された分割エリア夫々に対応して複数設けられ、並列に接続された複数系統のLED及び複数系統のLEDのうち、発光させるLEDを切り替えるスイッチを含む複数のLEDパッケージ102と、LEDパッケージから照射された光を、夫々のLEDパッケージが対応する分割エリアの全体に拡散させる単一導光板103及び反射板300とを含み、分割エリアが、LEDの系統の数と同一の数のサブエリアに更に分割され、LEDの系統のいずれかと対応しており、反射板300が、複数系統のLED夫々から照射された光を、夫々のLEDの系統が対応するサブエリアに導くバックライト装置の制御方法であって、表示装置のフレーム周期を分割した分割期間毎に複数系統のLEDが点灯されるようにスイッチを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、LEDパッケージ数を増やさずに、対応する光源を個別に制御可能な領域数を増加させることが可能なバックライト装置およびそれを用いた画像表示装置を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るバックライト装置を示す正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るLEDパッケージの示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る1つのエリアに対応するバックライト装置の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る単一導光板及び反射板による光の反射態様を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る単一導光板及び反射板による光の反射態様を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係るLEDパッケージの回路構成例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像表示装置の構成を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係るヒストグラムの例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る発光量情報の例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る発光制御のタイミングチャートである。
【図11】本発明の実施形態に係る黒帯領域を含む画面の例を示す図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る発光制御のタイミングチャートである。
【図13】本発明の他の実施形態に係るバックライト装置を示す正面図である。
【図14】本発明の実施形態に係る1つのエリアに対応するバックライト装置の構成を示す断面図である。
【図15】本発明の実施形態に係る比較拡散光学部材による光の拡散態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る画像表示装置に用いるバックライト装置を模式的に示す正面図である。図1においては、バックライト装置が搭載される画像表示装置の表示面から見たバックライト装置の状態を示している。本実施形態に係るバックライト装置100はエッジライト方式のバックライト装置であり、導光板101、LEDパッケージ102、単一導光板103を含む。図1に示すように、本実施形態に係るバックライト装置において、表示装置の表示面に対応する面、即ちバックライト光の照射面は、表示面を複数の領域に分割した分割領域に対応するエリアAに夫々分割されている。
【0016】
導光板101はアクリル材などにより構成されており、上述した夫々のエリアAに対応する単一導光板103がマトリクス状に複数配置されて構成されている。本実施形態における単一導光板103は、8列4行で32個配置されている。尚、本実施例において導光板101はエリア毎に分割された単一導光板103を組み合わせて構成する構造として説明するが、一体構造であっても良い。
【0017】
夫々の単一導光板103の端部にはLEDパッケージ102が配置されている。LEDパッケージ102の照射光は、LEDパッケージ102が配置されている単一導光板103の端部から単一導光板内部に向かって照射される。即ち、LEDパッケージ102は、分割エリアであるエリアA夫々に対応して複数設けられている。また、図1の場合では、光軸方向は図面下方から図面上方へ向かう方向である。以下、図面水平方向をX方向、図面垂直方向をY方向とする。
【0018】
夫々のエリアAは、図1に示すように、LEDパッケージ102が配置された端から遠い方のサブエリアAと、LEDパッケージ102が配置された端に近い方のサブエリアAとに更に分割される。換言すると、サブエリアA、Aは、各エリアを光軸方向に対し垂直となる直線で略二等分したエリアである。つまり、一つのエリアAは二つのサブエリアA、Aから構成される。
【0019】
図2(a)、(b)は、図1のLEDパッケージ102およびLED点灯時の配光特性の一例を示す模式図である。LEDパッケージ102内には、複数個のLEDチップが光源素子として実装されており、各LEDチップは系統毎に直列に接続されている。つまり、図2ではLEDチップ201a、201b、202a、202bの4つのLEDチップが実装されており、LED系統201ではLEDチップ201aと201bが直列に、LED系統202ではLEDチップ202aと202bが直列に接続されている。尚、図2(a)、(b)においては、LEDパッケージ102を光の照射方向、即ち光軸方向から見た状態を示している。また、図2(a)、(b)においては、LEDチップが発光している状態を斜線を付して示している。
【0020】
LEDパッケージ102は配光制御端子203を有している。図2(a)に示す様に、配光制御端子203をLowレベル(0電位)とした場合は、LED系統202が発光する。また、図2(b)に示す様に、配光制御端子203をHighレベル(0電位より大きい任意の電位)とした場合は、LED系統201が発光する。このように、本実施形態に係るLEDパッケージ102は、配光制御端子203への入力に応じてLED系統201およびLED系統202のいずれかが発光する。
【0021】
そして、図2(a)に示すように、配光制御端子203をLowレベルとし、LED系統202が発光する場合、エリア下端近傍、即ちLEDパッケージ102が配置された側のエリアAを中心とする配光特性となる。また、図2(b)に示すように、配光制御端子203をHighレベルとし、LED系統201が発光する場合、エリア上端、即ちLEDパッケージ102から遠い側のサブエリアAを中心とする配光特性となる。即ち、夫々のサブエリアA、Aは、LEDパッケージ102に含まれるLED系統のいずれかと対応している。
【0022】
つまり、LEDパッケージ102は、配光制御端子により配光特性が現れる位置を変化させることが可能である。言い換えると、1つのLEDパッケージ102で、エリア内をエリア上端側およびエリア下端側の2つのサブエリアA、Aに分割して制御することが可能となる。尚、このような配光特性は、単一導光板103とLEDパッケージ102の配置との関係により可能となる。即ち、単一導光板103は、LEDパッケージ102の夫々のLED系統から照射された光を、主に、夫々のLED系統が対応しているサブエリアに導く。
【0023】
次に、配光特性を変化させる方法について、図3〜図6を用いて説明する。図3は、本発明のバックライト装置における1つのエリアAを示す図であり、図2(a)、(b)の切断線BB´における断面図である。図3に示すように、1つのエリアAは、LEDパッケージ102および単一導光板104にて構成され、LEDパッケージ内のLED系統201および202は、図3における上下方向、即ち、バックライト装置によるバックライト光の照射方向に離れて配置されている。
【0024】
図3に示すように、1つのエリアAにおいては、LEDパッケージ102内の各LED系統201および202から照射された光が単一導光板103のエッジ部分に入射し、導光板内で多重反射されて、図中の単一導光板103上部、即ち、画像表示装置の表示面と平行な面に照射される。これにより、バックライト装置は、面状に光を取り出す面光源として用いられる。光の取り出し効率を上げる為、単一導光板103下面には反射板300が設けられている。尚、反射板300は、白色セラミックのような拡散性を有するものやミラーに代表される鏡面性を有するもので構成される。
【0025】
ここで、単一導光板103下面及び反射板300は、LEDパッケージ102内の各LED系統201、202夫々から、単一導光板103へ入射する光を異なる配光特性にする為に、湾曲した形状を有している。図4(a)、(b)を用いて、単一導光板103下面及び反射板300の湾曲した形状について説明する。図4(a)は、単一導光板103内での光の導光状態を示す模式図である。図3と同様に、横軸をY方向、縦軸をZ方向とし、単一導光板103のエッジ部分をY方向の0、LEDパッケージの下端部分をZ方向の0としている。
【0026】
単一導光板103下面、即ち、反射板300の形状をz=f(y)とし、単一導光板103上面の位置をz=Sとし、z=Mの位置から入射角θ1で入射した光について考える。入射した光は点A(y=q)において反射され、点Pに到達する。ここで、点Aにおける反射面は、f(y)を微分した値により求まり、Y軸方向に対して、図4(a)に示すθ2の角度を有する反射面となる。つまり以下の式(1)の関係が存在する。

【0027】
また、点PのY方向の位置を求めると以下の式(2)となる。

【0028】
ここで、LED系統202について考える。反射面が直線である場合、即ち、境界条件をf(0)=0、f(L)=Sとし、yの全範囲について傾きが一定である場合について、θ=0としてPの値を求めると、以下の式(3)のようになる。

【0029】
上記式(3)より、反射面が直線である場合、点Pは、Mがどのような値であっても、即ち、LEDの光源の位置がZ方向のどの位置にあっても、常にL/2より大きな値となり、エリア下端、即ち、LEDパッケージ102側のサブエリアAを中心とした配光特性を持たせることができない。そこで、単一導光板103下面及び反射板300の形状であるZ=f(y)を図3に示すように湾曲した形状とすることにより、LED系統202にエリアAにおけるLEDパッケージ102が配置された側の端部近傍であるサブエリアAを中心とする配光特性を得ることを可能としている。特に図3における領域D、即ち、Y方向におけるサブエリアAの中心部分においては、f(y)の微分した値が0から急峻に大きくなった後、徐々に小さくなるようにすることは、本実施形態に係る特徴の1つである。
【0030】
次に、LED系統201からの入射角について図4(b)を用いて説明する。図4(b)は、異なる2点から入射角の絶対値が等しい光が、同一反射面にて反射される模式図である。点Nからある入射角θで入射した光は、点Bにおける反射面にて反射され、点Pに到達する。一方、点NよりもZ方向において低い位置にある点Mから入射角θで入射した光は、同じ点Bにおける反射面にて反射され、点Pに到達する。ここで、点NはLED系統201の光源位置を示し、点MはLED系統202の光源位置を示す。点Nからの入射角及び点Mからの入射角であるθは絶対値を示している。この場合、点Pと点Pの間にはP1<P2の関係がある。
【0031】
上述したように、本実施形態においては、LED系統201はサブエリアAに対応させ、LED系統202はサブエリアAに対応させる。これに対して、図4(b)に示す状態では、LED系統201に対応する点Nからの照射光がLED系統202に対応する点Mからの照射光よりも、LEDパッケージ102側に到達しており、好ましくない。
【0032】
つまり、LEDパッケージ102から遠い側のサブエリアAを中心とする配光特性を得たいLED系統201(点Nからの入射角に相当)からの光と、LEDパッケージ102に近い側のサブエリアAを中心とする配光特性を得たいLED系統202(点Mからの入射角に相当)からの光とが、同一の反射面に達して反射されることがないように構成することが好ましい。これは、図4(b)における線分MNの二等分線上に反射面が存在しないように構成することを意味する。
【0033】
このような構成は、LED系統201から照射される光の照射角を、LED系統202から照射される光の照射角よりも狭くし、夫々から照射される光が、同一地点に達しないように反射板300の形状、即ちz=f(y)の形状を構成することにより可能である。ここで、LED系統201とLED系統202として照射角を異ならせるのは、照射角が狭い方が、両者から照射される光が同一地点に達しないようにする上で有利だからである。他方、LED系統202から照射された光をLEDパッケージ102に近い側のサブエリアAの全面に拡散させるためには、ある程度の照射角が必要なため、LED系統202の照射角を可能な限り広くする必要があるからである。
【0034】
図5(a)、(b)は、各LED系統が発光した際の模式図である。上述の通り、図5(a)は光の放射角度分布が小さいLED系統201から、図5(b)は光の放射角度分布が大きいLED系統202から出た光の模式図を示している。図5に示すように、光学部材である単一導光板103及び反射板300により、光源部であるLEDパッケージ102から照射された光が、エリアA全体に拡散される。また、このような夫々のサブエリアと夫々のLED系統とを対応させた配光特性は、図5(b)に示すように、サブエリアA2の中心を含む範囲において、反射板300の傾きが急峻となることによって実現される。
【0035】
次に、LEDパッケージ102内のLEDチップ201a、201b、202a、202bを点灯制御する回路構成について、図6を用いて説明する。図6に示すように、LEDパッケージ102は、LED系統201(LEDチップ201aおよび201b)、LED系統202(LEDチップ202aおよび202b)、スイッチS1、スイッチS2、反転回路602を備えている。LEDパッケージ102全体におけるアノード側には電源部600が接続され、カソード側はスイッチS3に接続され、配光制御端子203はバックライト制御部601に接続される。
【0036】
スイッチS1およびスイッチS2は、反転回路602により、配光制御端子203の入力に応じて、いずれかがONした場合、片方をOFFする構成である。つまり、スイッチS1がON状態の時、スイッチS2はOFF状態であり、スイッチS1がOFF状態の時は、スイッチS2はON状態である。バックライト制御部601は、配光制御端子203を制御することにより、発光させるLED系統を選択し、スイッチS3をPWM(Pulse Width Modulation)制御することで発光量を調整する機能を有する点灯制御部である。即ち、本実施形態においては、スイッチS1、スイッチS2及び反転回路602が、発光させる光源素子の系統を切り替える切り替え部として機能する。
【0037】
尚、スイッチをMOS−FETで記載したが、バイポーラトランジスタ等のスイッチング素子であればいずれでも良い。また、反転回路602も、CMOS回路等の入力に応じたインバータ動作をする構成であればいずれでも良い。また、図6では一つのLEDパッケージ102を点灯制御する回路構成を示したが、該構成に限定されるものではない。つまり、各エリア103に複数のLEDパッケージを直列に接続してもよい。また、複数のLEDパッケージを直列に接続する場合は、少なくともひとつのLEDパッケージに配光制御端子203を有すればよいことは、言うまでも無い。
【0038】
上記構成によれば、LEDパッケージ102は、配光制御端子により発光するLED系統が切り替えられることにより、配光特性が現れる位置をサブエリアA、サブエリアAで変化させることが可能である。これにより、同一LEDパッケージで、エリアA内をサブエリアA、サブエリアAの2つのサブエリアに分割して制御することが可能となる。
【0039】
次に、上記したバックライト装置100を備える画像表示装置について説明する。図7は、本実施例における画像表示装置のブロック構成図である。画像表示装置は、画像フレーム受信部700と、ヒストグラム検出部701と、バックライト発光量決定部702と、バックライト制御部601と、バックライト部703と、バックライト輝度分布算出部704と、画像信号補正部705と、液晶制御部706と、液晶パネル707とを有して構成されている。バックライト部703は、前記図1におけるバックライト装置100が対応し、複数の単一導光板103を配置して構成する導光板101と、LEDパッケージ102により構成される。
【0040】
次に、画像表示装置の全体動作を説明する。画像フレーム受信部700が受信した画像フレーム信号は、ヒストグラム検出部701ならびに画像信号を補正するための画像信号補正部705へ送出される。ヒストグラム検出部701は、入力された画像フレーム信号を画面内のサブエリア毎に分解し、図8に示すように、画素毎の輝度情報を基に各サブエリアにおける輝度分布(すなわち、複数の輝度範囲に分けてそれぞれに含まれる画素がどれだけ存在するか)を示すヒストグラムを検出し、バックライト発光量決定部702に送出する。図8に示すように、本実施形態に係るヒストグラム検出部701は、所定の範囲毎に分割された輝度範囲と、夫々の輝度範囲に含まれる輝度を有する画素の個数とが関連付けられた情報を生成する。
【0041】
バックライト発光量決定部702は、ヒストグラム検出結果とサブエリア105に対応するLED系統の発光量との関係を示す情報(以降、発光量情報とする)を参照し、上述したヒストグラム検出結果に基づいて各サブエリアに対応するLED系統の発光量を一次決定する。ここで、上記発光量情報は、図示しないROM(Read Only Memory)等に予め保存されている。
【0042】
このように一次決定された各サブエリア105の発光量は、二次元的なフィルタ処理が施され、バックライト制御部601にならびにバックライト輝度分布算出部704に送出される。ここで、二次元的なフィルタ処理とは、サブエリア105間の輝度差が任意の一定の比率以下にならないよう制御することである。
【0043】
ここで、画素毎の輝度情報とは、画像フレーム信号の各画素における最大階調値もしくは階調値から求める液晶パネル上の輝度値である。ヒストグラム検出結果とは、サブエリア内において輝度情報値の頻度を検出し、輝度情報値の頻度上位5%から最大値(最大輝度情報値)までの任意の値を指す。すなわち、各サブエリアにおいて実質的に最大階調(輝度)となる最大階調情報を検出する。
【0044】
また、ヒストグラム検出結果とこれに対応するLED系統の発光量との関係を表す発光量情報のテーブルでは、図9に示すように、最大階調(輝度)が小さいサブエリア105では対応するLED系統の発光量を小さく設定する。ここで、本実施形態においては、図9に示すように、発光期間のDuty比によって発光量を制御する。テーブルは予め数種類用意しておき、ユーザが設定する映像モード、入力される映像の映像ジャンル情報、周囲照度、周囲温度、人の有無、人の視聴位置等で切り替えて使用してもよい。
【0045】
バックライト制御部601は、バックライト発光量決定部702で決定された発光量を受け、バックライト部703内のLEDパッケージ102を点灯制御する。つまり、前述の通り、配光制御端子203とLED系統(201および202)を駆動するスイッチS3をPWM制御することで発光量を調整する機能を有する。
【0046】
バックライト制御部601によるタイミングチャートを図10に示す。図10における“Sig.1”は配光制御端子203に入力する信号(図6中のスイッチS1に入力する信号に相当)であり、“Sig.3”は図6中のスイッチS3を制御する信号である。尚、“LED201”、“LED202”は、図6中のLED系統201、LED系統202に夫々対応する。また、図10においては、画像表示装置のフレーム周波数をTとする。
【0047】
“Sig.1”は画像表示装置のフレーム周波数Tを二等分する矩形波であり、Highレベルの場合にLED系統201が選択状態(スイッチS1がON状態)となる。この時、スイッチS3をPWM制御することで、LED系統201が発光する。同様にして、“Sig.1”がLowレベルの場合に、スイッチS3をPWM制御することで、LED系統202が発光する。このように、本実施形態においては、1つのLEDパッケージ102内に並列に接続された2系統のLEDチップを択一的に制御するが、1フレームの周期を分割して制御することにより、画面の表示に影響を与えることなく省電力効果を高めることができる。
【0048】
上記では、“Sig.1”は画像表示装置のフレーム周波数Tを二等分する矩形波としたが、この限りではない。例えば、図11に示すような上下に黒帯が存在する入力画像を受信した場合、図中の破線で囲んだエリアDの画面下側のサブエリアは、入力信号が黒であるため発光する必要が無い。この場合は、図12に示す様に、Sig.1を常時Hレベルとしておき、発光が不要な明度のサブエリアに対応するLED系統が発光しないように制御することで、図6中のスイッチS1およびS2を切替える電力を削減することが可能となる。尚、図11においては、光源の発光が不要である黒帯の領域を斜線領域で示している。このような態様は、バックライト発光量決定部702が、ヒストグラム検出部701による検出結果に基づき、対象となるサブエリアが黒帯領域であることを判断して、バックライト制御部601に、図12に示すような“Sig.1”の信号を通知することにより可能となる。
【0049】
バックライト輝度分布算出部704では、バックライト発光量決定部702で決定された発光量を受け、液晶パネル707の直下における輝度分布を算出し、適切なゲイン量を画像信号補正部705に送出する。画像信号補正部705では、得られたゲイン量に基づき画像補正を行う。例えば、光源の発光量を最大輝度の1/2に低下させるものであれば画像信号の振幅を2倍にし、発光輝度を低下させることによる画像の輝度低下を相殺するように画像補正を行う。この補正された画像信号を液晶制御部706へ送出し、液晶パネル707を駆動する。液晶パネル707では、その画素毎にバックライト部703から出射された光を変調し、画像を形成表示する。
【0050】
以上のように本実施例によれば、LEDパッケージ数を増やさずに、対応する光源を個別に制御可能な領域数を増加させることが可能なバックライト装置およびそれを用いた画像表示装置を得ることが可能となる。
【0051】
尚、本実施例におけるバックライト装置100におけるLEDパッケージの光軸は、図1中、画面下部から画面上部へ向かう方向として説明したが、画面右部から画面左部へ向かう方向およびその逆方向であってもよい。
【0052】
また、上記実施形態においては、1つのLEDパッケージ内において2系統のLEDチップが並列に接続されて択一的に点灯制御される場合を例として説明した。しかしながらこれは一例であり、3系統以上のLEDチップが並列に接続されて択一的に点灯制御される場合も同様に適用可能である。この場合であっても、1フレーム周期を分割して全系統のLEDチップが1フレーム内で点灯されるように制御することにより、上記と同様の効果を得ることが可能である。このような場合、LEDチップの系統の増加に応じて、配光接続端子203の信号線の数、即ち、図10に示す“Sig.1”の信号線の数を増やすことにより対応可能である。
【0053】
実施の形態2.
前実施形態においては、エッジライト方式のバックライト装置を例として説明した。しかしながら、本願発明の趣旨は、1つのLEDパッケージ102内において並列に接続されて択一的な点灯制御が可能な複数形等のLEDチップが設けられ、全系統のLEDチップが1フレーム内において点灯されるように1フレーム周期を分割して各系統のLEDチップを点灯制御することにある。従って、エッジライト方式のバックライト装置に限らず、直下型のバックライト装置であっても適用可能である。本実施形態においては、直下型の場合の例について説明する。尚、実施の形態1と同一の符号を付す構成については、同一若しくは相当部を示すものとし、詳細な説明を省略する。
【0054】
図13は、本実施形態に係る直下型のバックライト装置を模式的に示す正面図であり、実施の形態1の図1に相当する図である。図13に示すように、本実施形態においても、エリアAがサブエリアA及びサブAに分割されている。そして、本実施形態においては、サブエリアAとサブエリアAとの境界地点にLEDパッケージ102が設置されている。1つのエリアAに対応して単一導光板103が設けられ、複数の単一導光板103によって導光版101が構成されることは、実施の形態1と同様である。
【0055】
図14は、本実施形態に係るバックライト装置における1つのエリアAを示す図であり、図13の切断線CC´における断面図である。図14に示すように、1つのエリアAは、単一導光板103及びLEDパッケージ102に加えて、光拡散光学部材301を含む。光拡散光学部材301は、図15に示すように、エリアAにおいてサブエリアA、サブエリアAの境界部分に配置されたLEDパッケージ102のLED系統201、202の照射光を、夫々サブエリアA、Aの全体に拡散させるための光学部材であり、実施の形態1における反射板300に対応する機能を担う。
【0056】
尚、光拡散光学部材301は、単一導光板103とは別個の部品として設ける場合の他、アクリル板等で構成される単一導光板の屈折率を局部的に変化させることによって、サブエリアA、Aの境界部分に配置されたLEDパッケージ102から照射された光を、夫々サブエリアA、Aの前面に拡散させるような光拡散機能を持たせることも可能である。
【0057】
また、図14及び図15では、単一導光板103及び光拡散光学部材301を用いた例を説明したが、この構成以外であっても本願発明の趣旨に合うものであれば良いことは、言うまでもない。例えば、直下型の場合においては単一導光板103を除き、空気層を光が伝播した後、光拡散光学部材301に入射する構成でも良い。
【0058】
このような構成において、実施の形態1と同様の制御を行うことにより、直下型のバックライト装置においても実施の形態1と同様の効果を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0059】
101 導光板
102 LEDパッケージ
103 単一導光板
201、202 LED系統
201a、201b、202a、202b LEDチップ
300 反射板
301 光拡散光学部材
600 電源部
601 バックライト制御部
602 反転回路
700 画像フレーム受信部
701 ヒストグラム検出部
702 バックライト発光量決定部
703 バックライト部
704 バックライト輝度分布算出部
705 画像信号補正部
706 液晶制御部
707 液晶パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置に用いられるバックライト装置であって、
前記表示装置の表示範囲が複数に分割された分割エリア夫々に対応して設けられる複数の光源部と、
前記光源部から照射された光を、夫々の光源部が対応する前記分割エリアの全体に拡散させる光学部材と、
前記光源を点灯制御する点灯制御部とを含み、
前記光源部は、
並列に接続された複数系統の光源素子と、
前記複数系統の光源素子のうち、発光させる光源素子を切り替える切り替え部とを含み、
前記分割エリアは、前記光源素子の系統の数と同一の数のサブエリアに更に分割され、前記光源素子の系統のいずれかと対応しており、
前記光学部材は、前記複数系統の光源素子夫々から照射された光を、夫々の光源素子の系統が対応するサブエリアに導き、
前記点灯制御部は、前記表示装置のフレーム周期を分割した分割期間毎に前記複数系統の光源素子が点灯されるように前記切り替え部を制御することを特徴とするバックライト装置。
【請求項2】
前記バックライト装置はエッジライト型のバックライト装置であり、
前記光源部は、前記表示装置の表示面と平行な方向における前記分割エリアの端部に配置され、
前記複数系統の光学素子は、前記表示装置の表示面と垂直な方向に並べて配置され、
前記光学部材は、前記複数系統の光学素子のうち、前記表示装置の表示面に近い側の系統の前記光学素子の照射光を、前記分割エリアにおいて前記光源部の配置位置から遠い側の前記サブエリアに導き、前記表示装置の表示面から遠い側の系統の前記光学素子の照射光を、前記分割エリアにおいて前記光源部の配置位置に近い側の前記サブエリアに導くことを特徴とする請求項1に記載のバックライト装置。
【請求項3】
前記光学部材は、前記光源部から照射された光を反射して前記分割エリアに導く反射部を含み、
前記反射部は、前記表示装置の表示面と平行な方向であって、且つ前記光源部による光の照射面と平行な方向から見た場合に、前記分割エリアの範囲にわたって傾いて配置され、前記光源部の配置位置に近い側の前記サブエリアの中心を含む範囲において急峻な傾きを有し、前記急峻な傾きの部分によって前記表示装置の表示面から遠い側の系統の前記光学素子の照射光を主に反射することを特徴とする請求項2に記載のバックライト装置。
【請求項4】
前記表示装置の表示面に近い側の系統の前記光学素子が、前記表示装置の表示面から遠い側の系統の前記光学素子よりも指向性の強い光を照射することを特徴とする請求項2または3に記載のバックライト装置。
【請求項5】
前記点灯制御部は、前記複数のサブエリアのうち前記光源部の発光が不要な明度のサブエリアがある場合、前記光源部の発光が不要な明度のサブエリアに対応する前記光源素子が発光しないように前記切り替え部を制御することを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載のバックライト装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか1項に記載のバックライト装置を含むことを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
表示装置の表示範囲が複数に分割された分割エリア夫々に対応して複数設けられ、並列に接続された複数系統の光源素子及び前記複数系統の光源素子のうち、発光させる光源素子を切り替える切り替え部を含む複数の光源部と、
前記光源部から照射された光を、夫々の光源部が対応する前記分割エリアの全体に拡散させる光学部材とを含み、
前記分割エリアが、前記光源素子の系統の数と同一の数のサブエリアに更に分割され、前記光源素子の系統のいずれかと対応しており、
前記光学部材が、前記複数系統の光源素子夫々から照射された光を、夫々の光源素子の系統が対応するサブエリアに導くバックライト装置の制御方法であって、
前記表示装置のフレーム周期を分割した分割期間毎に前記複数系統の光源素子が点灯されるように前記切り替え部を制御することを特徴とするバックライト装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−92732(P2013−92732A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236143(P2011−236143)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】