説明

バックライト装置及びその制御方法

【課題】複数の光源ブロックに分割され光源ブロック毎に独立に発光を制御可能なバックライト装置において種々のバックライト制御をより効果的に行う。
【解決手段】複数の光源と、光源を駆動する複数の駆動手段と、を備え、各駆動手段には複数の光源が接続され、各駆動手段が、接続される複数の光源を同一の駆動信号で駆動することにより、同一の駆動手段に接続される複数の光源から構成される光源ブロック単位で発光が制御されるバックライト装置であって、駆動手段と光源との接続、駆動手段に接続される複数の光源同士の接続、光源と光源へ電力を供給する電源との接続を切り替えるための複数のスイッチと、各スイッチを切り替えることにより、複数の光源のうちの少なくとも一部の光源の接続される駆動手段を変化させ、各駆動手段に接続される光源から構成される光源ブロックの形状を変化させる制御手段と、を備えるバックライト装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバックライト装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では画像表示装置としては液晶を用いたものが主流になってきている。液晶パネルは自発光デバイスではないため、画像を表示するためには液晶を裏面から照射するための光源が必要になる。近年ではこの光源としてLED(light-emitting diode:発光ダイオード)を用いたものが増えてきている。光源としてLEDを用いることで、消費電力の低減を図ることが可能になると共に、光源の発光の細かい制御が可能になるため様々なメリットが得られる。次にバックライトに関するいくつかの基本的な制御方法について述べる。
【0003】
輝度調節:液晶表示装置では表示輝度を調節する方法としては、液晶によりバックライトの光の透過率の調整を行う方法と、バックライトの輝度を変化させる方法がある。画面内のコントラスト比を高めるためには、バックライトによって輝度を調整する方法を用いた方が良い。バックライトの輝度を調整する方法として多く用いられる方法としてPWM(パルス幅変調)が挙げられる。この方法はバックライトを一定周期で点灯と消灯(一定周期で点滅)させ、点灯期間と消灯期間の割合(デューティ比)を変化させることでバックライトの輝度を調整する方法である。PWM以外の主なバックライトの輝度の調節方法には、LEDに流す電流値を増減させる方法等がある。
【0004】
ムラ補正:LEDには個体差があり同じ量の電流を流し、同じデューティ比でPWM制御を行っても輝度に違いが出る事がある。また、温度条件や経年変化等によっても輝度には違いが出てくる。輝度に違いがあるままバックライトとして使用すると表示輝度や表示色度にムラとなって現れる。そこで、LEDの個体差や温度や経年変化等の諸条件を考慮して、LEDの制御単位毎に、電流値やPWMのデューティ比を変えることで、画面内の表示輝度や表示色度の均一化を図る技術がムラ補正である。
【0005】
ローカルディミング:液晶表示装置において、黒を表示するときには液晶シャッターを閉じることによりバックライトの光を遮光することで黒を表現する。しかし、液晶による遮光は十分ではなく、実際には液晶シャッターを閉じていてもわずかに光が漏れて十分な黒の表現が出来ない、いわゆる「黒浮き」が生じる。黒浮きにより画面内のコントラスト比は制限されてしまう。それを解消するための技術がローカルディミングと呼ばれる技術である。これは入力される画像の明暗に合わせて、画面内の領域毎にバックライトの輝度を変更する制御を行うことで黒浮きを抑制して、画面内のコントラスト比を高めることを可能にする技術であり、特許文献1等に開示されている。
【0006】
バックライトスキャン:液晶パネルは、ブラウン管ディスプレイやプラズマディスプレイ等の自発光ディスプレイに比べると、応答性で劣るため動画表示を行った際に動画ボケが目立つなどの課題があった。そのため今日ではこの課題を解消するための様々な技術が提案されており、その中の一つにバックライトスキャンと呼ばれる技術が存在する。このバックライトスキャンという技術は、液晶の走査(スキャン)に合わせてバックライトを消灯することで、液晶の切り替わりの瞬間を見えなくするようにして、動画ボケの低減を図る技術である。この制御を行う際には、バックライトの点滅周波数は液晶のスキャン周波数(フレーム周波数)と同じにする必要があり、またPWMの点灯と消灯のタイミングは画面内の領域毎に変わることになる。この技術については特許文献2等に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−142409号公報
【特許文献2】特開平11−202286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、LEDを用いたバックライトには多数のLEDが配置されておりそれらの全てを制御することが必要である。LEDの制御には、PWM制御機能や電流調整機能を有するLEDドライバが用いられる。一つのLEDドライバは複数の制御用チャンネルを有するものが一般的であり、チャンネル毎にPWMのデューティ比を変えることが出来るLEDドライバが主流である。また、LEDドライバには複数の制御用チャンネルが備わるとは言え、バックライトに用いられるLEDの数は多いため、1チャンネル当たりに1個のLEDを接続して制御を行うと、多数のLEDドライバが必要になる。LEDドライバの数が多くなるとコスト増大、基板面積の増大、発熱量の増大といった課題が生じる。
【0009】
そこで、LEDドライバの一つのチャンネルに対して、複数個のLEDを接続することで、LEDドライバの数の削減を図る方法がある。LEDは同じ電圧をかけた場合でも流れる電流は個体差によりばらつくため一つのチャンネルに対してLEDを並列に接続することは望ましくない。従って、一つのチャンネルに対してLEDを複数個接続する場合には図7に示すようにLEDを直列に接続することが一般的である。このようにして、直接に接続された複数のLEDを制御単位として制御を行うことでLEDドライバの数を削減することが可能になる。
【0010】
図7ではLEDドライバ700の第1チャンネル710に直列に接続されたLED711、712、713、714は全て同時に点灯と消灯がなされ、流れる電流量も同じになる。そのため、第1チャンネル710に直列に接続されるLED毎に個別にPWMのデューティ比や電流量を変えて制御することは出来ない。他のチャンネルに直列接続された複数のLEDについても同様である。よって、直列に接続されたLEDは同じ点灯制御がなされることを考慮した上でLEDの物理的な配置を決める必要がある。
【0011】
図7のように、LEDドライバの一つのチャンネルに対して4個のLEDが直列に接続される場合の物理的なLEDの配置例として図8(a)、(b)の2種類を考える。ただし、図8では図面が煩雑になるのを避けるため第1チャンネル710と第2チャンネル720の2チャンネル分のみを示す。
【0012】
図8(a)のように4個のLEDが正方形(矩形)に並べられている場合、バックライトの発光を正方形のLEDブロック毎に制御できるため、ローカルディミングやムラ補正のためのLED制御が容易になる。一方で、この配置では、LED711、713はLED712、714と同時に点灯し、LED721、723はLED722、724と同時に点灯することになる。そのため、バックライトスキャンを行うと、LED712、714、722、724という上のラインと、LED711、713、721、723という下のラインのLEDの点灯と消灯との切り替わりのタイミングが同時になる。つまり、2ライン毎にバックライトのスキャンが進行する制御になる。
【0013】
バックライトスキャンにおいては、PWMのデューティ比(LEDの消灯期間)が同じであれば、液晶のスキャン(液晶の切り替わり始め)から、その液晶を照射するバックライトが点灯するまでの時間を、より長く確保出来るようにした方が好ましい。このようにバックライトの消灯と点灯のタイミングを調整することで動画ボケの改善効果を大きくす
ることが可能になる。そのため、バックライトのスキャンがLED2ライン毎に進むと、液晶パネル上の位置によっては液晶のスキャンからLEDの点灯の開始までに十分な時間を確保することが出来ないため動画ボケの改善効果を十分に得ることが出来ない。動画ボケの改善の原理については特許文献2等に詳しい。
【0014】
そこで図8(b)のように同一チャンネルに接続される複数のLEDが横一列に並ぶように配置することを考える。この配置であれば、LED721、722、723、724の点灯開始時間とLED711、712、713、714の点灯開始時間を違うタイミングに変更することが可能である。よって、バックライトスキャンにおいて、LEDの点灯開始時間を1ライン毎に変えることが出来る。そのため、液晶の切り替わり始めからバックライトが点灯するまでの時間をより長くすることが可能になり、動画ボケの改善効果をより大きくすることが可能である。一方で、このような配置にしたときには、正方形のLEDブロック毎のLED制御は行い難くなるため、ローカルディミングやムラ補正のためのLED制御には向かない配置であると言える。
【0015】
また、上記ではLEDドライバの同一チャンネルに接続された複数のLEDが図8(a)のような正方形(矩形)配置されている方が一般的にはローカルディミングに適していると述べたが、これも全ての場合に当てはまるわけではない。表示されている画像によっては、LEDドライバの同一チャンネルに接続された複数のLEDが例えば図8(b)のようなライン(長方形)形状に配置されている方が、より効果の大きいローカルディミングを行えるケースもあり得る。
【0016】
つまり、従来は、LEDドライバの同一のチャンネルに接続される複数のLEDの物理的な配置が固定であったため、ローカルディミング、表示ムラ補正、バックライトスキャン等のバックライト制御による効果が十分に得られない場合があった。
【0017】
本発明は、使用するLEDドライバの数の増大を抑えながら、ローカルディミング、表示ムラ補正、バックライトスキャン等のバックライト制御をより効果的に行うことができるバックライト装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、複数の光源と、
前記光源を駆動する複数の駆動手段と、
を備え、
各駆動手段には複数の光源が接続され、各駆動手段が、接続される複数の光源を同一の駆動信号で駆動することにより、同一の駆動手段に接続される複数の光源から構成される光源ブロック単位で発光が制御されるバックライト装置であって、
駆動手段と光源との接続、駆動手段に接続される複数の光源同士の接続、光源と光源へ電力を供給する電源との接続を切り替えるための複数のスイッチと、
前記各スイッチを切り替えることにより、前記複数の光源のうちの少なくとも一部の光源の接続される駆動手段を変化させ、各駆動手段に接続される光源から構成される光源ブロックの形状を変化させる制御手段と、
を備えるバックライト装置である。
【0019】
本発明は、複数の光源と、
前記光源を駆動する複数の駆動手段と、
を備え、
各駆動手段には複数の光源が接続され、
駆動手段と光源との接続、駆動手段に接続される複数の光源同士の接続、光源と光源へ電力を供給する電源との接続を切り替えるため複数のスイッチを備えるバックライト装置
の制御方法であって、
各駆動手段が、接続される複数の光源を同一の駆動信号で駆動することにより、同一の駆動手段に接続される複数の光源から構成される光源ブロック単位で発光を制御する工程と、
前記各スイッチを切り替えることにより、前記複数の光源のうちの少なくとも一部の光源の接続される駆動手段を変化させ、各駆動手段に接続される光源から構成される光源ブロックの形状を変化させる工程と、
を有するバックライト装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、使用するLEDドライバの数の増大を抑えながら、ローカルディミング、表示ムラ補正、バックライトスキャン等のバックライト制御をより効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1に係る画像表示装置の概略構成を示すブロック図
【図2】実施例1のLEDとスイッチの構成を示す図
【図3】実施例1のスイッチの切り替え方とその時のLEDブロックを示す図
【図4】実施例1のスイッチの切り替え方とその時のLEDブロックを示す図
【図5】実施例2の表示画像とバックライトのLEDブロックを示す図
【図6】実施例2のバックライトのLEDブロックと点灯例を示す図
【図7】従来技術におけるLEDドライバとLEDの接続例を示す図
【図8】従来技術におけるLEDの配置例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施例1)
本発明の第一の実施形態を説明する。図1は実施例1に係る画像表示装置の概略構成を示すブロック図である。画像表示装置100において、画像入力部101より入力された画像データを基に、LCD制御部102が液晶パネルであるLCDパネル103を制御して液晶を配向させることにより、画像データに基づく画像がLCDパネル103に表示される。また画像解析部104は入力された画像データを解析し、解析結果を基に、バックライト制御部105はバックライト110の制御方法を決定する。バックライト制御部105は、LEDドライバ106、107、108、109にデューティ比や電流量などのバックライト110の制御に必要な情報を設定する。LEDドライバ106、107、108、109はバックライト制御部105より受け取った情報を基にバックライト110の光源であるLEDを駆動する。すなわち、LEDドライバ106、107、108、109はバックライト制御部105より受け取った情報を基に、設定されたデューティ比と電流量でもって、一定の周波数の駆動信号でLED(発光素子)を点滅させる。またバックライト制御部105は必要に応じてバックライト110が有するスイッチの切り替えを行う。バックライト110のLEDとスイッチについては図2に詳細を示す。画像解析部104、バックライト制御部105、LEDドライバ106〜109、およびバックライト110は、バックライト装置(バックライトモジュール)を構成する。ただし、バックライト装置は、画像解析部104を含まない構成であってもよい。また、バックライト装置は、画像入力部101を含む構成であってもよい。
【0023】
図2(a)は、バックライト110を構成するLEDとスイッチの一部を示す図である。LEDドライバ106には、第1制御用チャンネル201と第2制御用チャンネル202にスイッチ211〜214を介してLED203〜210が接続されている。各LEDは、電圧供給端子215〜217から供給される電圧により点灯する。実際にはLEDドライバ106はより多くの制御用チャンネルを有し、さらに多くのLEDを接続すること
が可能であるが、図2(a)では図面の煩雑を避けるため図示を省略してある。スイッチ211〜214は、LEDドライバの制御用チャンネルとLEDとの接続、LEDドライバの制御用チャンネルに接続される複数の光源同士であるLED同士の接続、およびLEDとLEDへ電力を供給する電源である電圧供給端子との接続を断続する。以下では、第1制御用チャンネル201と第2制御用チャンネル202の2チャンネル分についてのみの説明を行う。
【0024】
図2(b)にはLED203〜210を含むバックライト110全体のLEDの配置を示す。実際の画像表示装置では画面サイズ等によりバックライト110を構成するLEDの数はさらに多くなることが考えられるが、本実施例では簡単のためバックライト110は横12個×縦8個の全96個のLEDで構成されているとして説明を行う。また、実施例1の画像表示装置は、2つのバックライト制御モードを切り換えることができるものとする。すなわち、ローカルディミング制御やムラ補正制御を優先する「ローカルディミングモード」と、バックライトスキャン制御による動画ボケの低減のための制御を優先する「バックライトスキャンモード」である。
【0025】
バックライト制御部105は、ローカルディミング制御を行う場合、各LEDブロックの輝度が、各LEDブロックに対応する領域の画像データに応じた輝度になるようLEDドライバの制御用チャンネルから出力する駆動信号を制御する。
バックライト制御部105は、ムラ補正制御を行う場合、各LEDブロックの輝度が、各LEDブロックのLEDの発光特性に応じた輝度になるようLEDドライバの制御用チャンネルから出力する駆動信号を制御する。
バックライト制御部105は、バックライトスキャン制御を行う場合、各LEDブロックの点灯及び消灯が、バックライトにより照明される液晶パネルのスキャンに合わせて切り替えられるようLEDドライバの制御用チャンネルから出力する駆動信号を制御する。
【0026】
バックライト制御モードの選択は、不図示のユーザインターフェースを介してユーザが指定可能な構成であっても良いし、入力画像データに応じてバックライト制御部105が最適と判断する制御モードに切り替える構成であっても良い。例えば、静止画像データの場合ローカルディミングモードとし、動画像データの場合バックライトスキャンモードとする。バックライト制御部105は、各スイッチの動作を制御する。
【0027】
「ローカルディミングモード」が選択された場合には、バックライト制御部105は、図3(a)に示すように各スイッチを所定の位置に切り替える。すなわちバックライト制御部105は、スイッチ211が右側の端子Aに接続し、スイッチ212、213、214が左側の端子Bに接続するように、各スイッチを切り替える。このようにスイッチが切り替えられると、LED208、207、204、203がLEDドライバ106の第1制御用チャンネル201に直列に接続されるとともに、これらの4個のLEDは電圧供給端子215から電圧を供給される。また、LED210、209、206、205がLEDドライバ106の第2制御用チャンネル202に直列に接続されるとともに、これら4個のLEDは電圧供給端子217から電圧を供給される。
【0028】
このときには、図3(b)に示すように、図2(b)におけるLED203、204、207、208の4個のLEDからLEDブロック301が構成され、LED205、206、209、210の4個のLEDからLEDブロック302が構成される。LEDブロックは、複数の光源から構成される光源ブロックであり、バックライト110は、光源ブロック単位で発光が制御される。すなわち、LEDブロックは、LEDの発光の制御単位であり、LEDブロックを構成する複数のLEDは同一の制御用チャンネルに接続され、同一の発光制御が行われる。LEDドライバ107〜109に接続される不図示のスイッチについても同様に切り替える。これにより、図3(b)に示すように、バックライト
110は横6個×縦4個の全24個の正方形(矩形)形状のLEDブロックに分割され、LEDブロック毎に発光を独立に制御可能になる。このようなLEDブロックの配置は、ローカルディミングやムラ補正に適している。
【0029】
「バックライトスキャンモード」が選択された場合には、バックライト制御部105は、図4(a)に示すようにスイッチ211が左側の端子Bに接続し、スイッチ212、213、214が右側の端子Aに接続するように、各スイッチを切り替える。このようにスイッチが切り替えられると、LED206、205、204、203がLEDドライバ106の第1制御用チャンネル201に直列に接続されるとともに、これら4個のLEDは電圧供給端子216から電圧を供給される。また、LED210、209、208、207がLEDドライバ106の第2制御用チャンネル202に直列に接続されるとともに、これら4個のLEDは電圧供給端子217から電圧を供給される。
【0030】
このときには、図4(b)に示すように、図2(b)におけるLED207、208、209、210の4個のLEDからLEDブロック401が構成され、LED203、204、205、206の4個のLEDからLEDブロック402が構成される。LEDドライバ107〜109に接続される不図示のスイッチについても同様に切り替える。これにより、図4(b)に示すように、バックライト110は横3個×縦8個の全24個の長方形(ライン)形状のLEDブロックに分割され、LEDブロック毎に発光を独立に制御可能になる。このようなLEDブロックの配置では、バックライトスキャンを行ったときに、点灯開始並びに消灯のタイミングをLED1ライン毎に変更することが可能になるため、動画ボケの改善効果が高いバックライトスキャンを行うことができる。
【0031】
以上のように、本実施例の画像表示装置によればバックライトを分割するLEDブロックの形状がスイッチの切り替えにより正方形(矩形)形状又は長方形(ライン)形状に変化させることができる。よって、ローカルディミング、ムラ補正、バックライトスキャンなどのバックライト制御に応じて上記のスイッチ制御を行うことで最適なLEDブロックを用いて発光制御を行うことができる。従って、より効果的なバックライト制御を行うことが可能になる。また、各LEDドライバの制御用チャンネルには複数のLEDを直列に接続しているので、使用するLEDドライバの数の増大を抑制しながら、バックライト制御に応じた最適なLEDの発光制御を行うことが可能になる。
なお、ローカルディミング制御時やムラ補正時には、LEDブロックの形状を正方形形状にする場合を例示したが、正方形形状に限定されるものではなく、バックライトスキャン時の長方形形状よりも正方形に近い矩形形状であればよい。例えば、ローカルディミング制御時やムラ補正時のLEDブロックの形状を、横3個×縦2個のLEDで構成される矩形形状、横2個×縦3個のLEDで構成される矩形形状としてもよい。
【0032】
(実施例2)
第2の実施例では、実施例1で説明したLED及びスイッチの構成を備えた画像表示装置において、より緻密なローカルディミングを行う方法を説明する。
【0033】
図5(a)に示すように、高輝度画像501と低輝度画像502とを含む画像データが画像表示装置100に入力された場合を考える。通常のローカルディミングでは、各LEDブロックの輝度は、LCDパネル103の各LEDブロックに対応する表示エリアの画像データの輝度に応じて複数段階の輝度に細かく調節する。しかしここでは、説明の簡略化のために、各LEDブロックの輝度は対応する表示エリアの画像データの輝度に応じて、「高輝度点灯」と「低輝度点灯」の2段階の輝度に調節するものとする。図5(a)の例では、高輝度画像501に対応するLEDブロックは高輝度点灯とし、低輝度画像502に対応するLEDブロックは低輝度点灯とする。
【0034】
また、あるLEDブロックに対応するLCDパネル103の表示エリアの画像データに高輝度部分と低輝度部分とが混在する場合には、高輝度部分の画像データに合わせてそのLEDブロックの輝度を調節するものとする。図5(a)の例では、あるLEDブロックに対応するLCDパネル103の表示エリアに高輝度画像501と低輝度画像502の両方が存在する場合には、そのLEDブロックは高輝度点灯となる。
【0035】
図5(b)に示すバックライト110の各LEDのうちLED511、512、513、514、515、516、517、518は高輝度画像501と低輝度画像502の境目に当たるためこれらのLEDは高輝度点灯にする必要がある。一方でLED503、504、505、506、507、508、509、510は低輝度画像502に当たるため、これらのLEDは低輝度点灯にした方が良い。
【0036】
ところが、全てのLEDドライバの全ての制御用チャンネルに接続されたスイッチを図3(a)の状態に切り替え、図3(b)に示すようなLEDブロックになっていた場合には、LED503、504はLED511、512と同じLEDブロック519に属する。LEDブロック519に対応するLCDパネル103の表示エリアには、高輝度画像501と低輝度画像502の両方が存在するため、LEDブロック519は高輝度点灯となる。同様に、LEDブロック520、521、522はそれぞれ高輝度点灯がなされることになる。そうすると、LED503、504、505、506、507、508、509、510は高輝度点灯となるが、これらのLEDに対応するLCDパネル103の表示エリアに表示される画像は低輝度画像である。そのため、この表示エリアでは黒浮きが目立ってしまう可能性ある。
【0037】
そこで本実施例では、バックライト制御部105は、画像データに応じて、LED切り替えグループ毎にスイッチの切り替え方を変更する。これにより、バックライト制御部105は、正方形(矩形)形状のLEDブロックと長方形(ライン)形状のLEDブロックが混在し、最適なバックライトの点灯状態となるようにバックライト110を制御する。なお、LED切り替えグループとは、スイッチによりその接続状態が切り替えられる所定数(ここでは2個)の制御用チャンネル、この制御用チャンネルに接続される電圧供給端子及びLEDのグループである。図2(a)の例では、制御用チャンネル201,202,LED203〜210、スイッチ211〜214,電圧供給端子215〜217が1つのLED切り替えグループである。
【0038】
本実施例では、図2(b)において太枠線で示した、横4個×縦2個の全8個のLEDがそれぞれLED切り替えグループであるとする。1つのLED切り替えグループを構成する8個のLEDは、スイッチの切り替えにより、横2個×縦2個のLEDからなる正方形形状のLEDブロック2個に分割されるか、又は、横4個×縦1個のLEDからなる長方形形状のLEDブロック2個に分割される。1つのLED切り替えグループを構成する8個のLEDを正方形形状のLEDブロックに分割するか長方形形状のLEDブロックに分割するかは、LED切り替えグループ毎に独立に決定することができる。
【0039】
図5(b)の例では、LED503,505,506,507,511,512,513,514が同じLED切り替えグループ51に属する。また、LED507,508,509,510,515,516,517,518が同じLED切り替えグループ52に属する。
【0040】
図5(a)の画像データが入力される場合は、バックライト制御部105は、LED切り替えグループ51及び52を、長方形形状のLEDブロックに分割し、それ以外のLED切り替えグループを正方形形状のLEDブロックに分割する。すなわち、バックライト制御部105は、LED切り替えグループ51及び52は、図4(a)のようなスイッチ
の状態にし、残りのLED切り替えグループに関しては、図3(a)のようなスイッチ状態にする。
【0041】
すると、図6(a)のようにLED503、504、505、506がLEDブロック601を構成し、LED507、508、509、510がLEDブロック602を構成する。また、LED511、512、513、514がLEDブロック603を構成し、LED515、516、517、518がLEDブロック604を構成する。バックライト110をこのようなLEDブロックにより分割した場合、図5(a)の画像データに応じて各LEDブロックの輝度を決めると、図6(b)のようにLEDブロック601、602は低輝度点灯になり、LEDブロック603、604は高輝度点灯になる。このようにすると図5(c)の場合と異なり、LED503、504、505、506、507、508、509、510は低輝度点灯となるため、これらのLEDに対応するLCDパネル103の表示エリアでの黒浮きを抑えることが出来る。
【0042】
このように、画像データに応じてLED切り替えグループ毎にLEDブロックを設定することで緻密なローカルディミングの制御を行うことが可能になる。なお、以上の実施例ではスイッチの切り替えにより、LED切り替えグループに属する複数のLEDのLEDブロックによる分割方法を2通りに切り替える例を説明した。しかし、スイッチの切り替えにより切り替え可能なLEDブロックによる分割方法の種類数は、3通り以上でも良い。また、LEDブロックの形状として、正方形(矩形)形状と横長の長方形(ライン)形状を例示した。横長の長方形形状としたのは、バックライトスキャンにおけるスキャン方向と垂直の方向が長手方向になるようにしたためである。なお、縦長の長方形形状(バックライトスキャン方向が横方向の場合)等、他の形状のLEDブロックによるバックライトの分割も考えられる。
【符号の説明】
【0043】
105 バックライト制御部
106,107,108,109 LEDドライバ
110 バックライト
201,202 LED制御用チャンネル
203,204,205,206,207,208,209,210 LED
211,212,213,214 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源と、
前記光源を駆動する複数の駆動手段と、
を備え、
各駆動手段には複数の光源が接続され、各駆動手段が、接続される複数の光源を同一の駆動信号で駆動することにより、同一の駆動手段に接続される複数の光源から構成される光源ブロック単位で発光が制御されるバックライト装置であって、
駆動手段と光源との接続、駆動手段に接続される複数の光源同士の接続、光源と光源へ電力を供給する電源との接続を切り替えるための複数のスイッチと、
前記各スイッチを切り替えることにより、前記複数の光源のうちの少なくとも一部の光源の接続される駆動手段を変化させ、各駆動手段に接続される光源から構成される光源ブロックの形状を変化させる制御手段と、
を備えるバックライト装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記光源ブロックの形状を、正方形形状から長方形形状へ、または長方形形状から正方形形状へ変化させる請求項1に記載のバックライト装置。
【請求項3】
前記制御手段は、各光源ブロックの輝度が、各光源ブロックに対応する領域の画像データに応じた輝度になるよう前記駆動手段を制御するローカルディミング制御を行う場合、光源ブロックの形状が正方形形状になるように前記スイッチを切り替える請求項2に記載のバックライト装置。
【請求項4】
前記制御手段は、各光源ブロックの輝度が、各光源ブロックの光源の発光特性に応じた輝度になるよう前記駆動手段を制御して複数の光源ブロックの間の輝度のばらつきを低減するムラ補正制御を行う場合、光源ブロックの形状が正方形形状になるように前記スイッチを切り替える請求項3に記載のバックライト装置。
【請求項5】
前記制御手段は、各光源ブロックの点灯及び消灯が、前記バックライト装置により照明される液晶パネルのスキャンに合わせて切り替えられるよう前記駆動手段を制御するバックライトスキャン制御を行う場合、光源ブロックの形状がスキャン方向に垂直の方向が長手方向となる長方形形状になるように前記スイッチを切り替える請求項3に記載のバックライト装置。
【請求項6】
前記スイッチは、所定数の駆動手段及び当該駆動手段に接続される複数の光源からなるグループ毎に設けられ、各グループに属するスイッチが所定の位置に切り替えられることにより、各グループに属する複数の光源のうちの少なくとも一部の光源の接続される駆動手段が、各グループに属する駆動手段のうちの異なる駆動手段に切り替えられる請求項1〜5のいずれか1項に記載のバックライト装置。
【請求項7】
前記スイッチの切り替えは、グループ毎に独立に行われる請求項6に記載のバックライト装置。
【請求項8】
前記制御手段は、各光源ブロックの輝度が、各光源ブロックに対応する領域の画像データに応じた輝度になるよう前記駆動手段を制御するローカルディミング制御を行う場合、画像データに応じてグループ毎に前記スイッチの切り替えを行う請求項7に記載のバックライト装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のバックライト装置と、
前記バックライト装置により照明される液晶パネルと、
を備える画像表示装置。
【請求項10】
複数の光源と、
前記光源を駆動する複数の駆動手段と、
を備え、
各駆動手段には複数の光源が接続され、
駆動手段と光源との接続、駆動手段に接続される複数の光源同士の接続、光源と光源へ電力を供給する電源との接続を切り替えるための複数のスイッチを備えるバックライト装置の制御方法であって、
各駆動手段が、接続される複数の光源を同一の駆動信号で駆動することにより、同一の駆動手段に接続される複数の光源から構成される光源ブロック単位で発光を制御する工程と、
前記各スイッチを切り替えることにより、前記複数の光源のうちの少なくとも一部の光源の接続される駆動手段を変化させ、各駆動手段に接続される光源から構成される光源ブロックの形状を変化させる工程と、
を有するバックライト装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−54195(P2013−54195A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191939(P2011−191939)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】