説明

バックライト装置及び液晶表示装置

【課題】導光板両端面にLED光源を配置したエッジライト型バックライト装置において、LED光源の出力補正を正確に行うことができるバックライト装置及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】第1の側面と該第1の側面に対向する第2の側面とを有する導光板と、前記第1の側面に沿って配置される第1のLED光源と、前記第2の側面に沿って配置される第2のLED光源と、前記第1のLED光源の近傍に配置され、前記導光板を介して前記第1のLED光源の光量を検出する第1のセンサと、前記第2のLED光源の近傍に配置され、前記導光板を介して前記第2のLED光源に光量を検出する第2のセンサと、前記第1のセンサの出力と前記第2のセンサの出力とに基づき前記第1のLED光源と前記第2のLED光源との光量を制御する制御回路と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックライト装置及び液晶表示装置に関し、特に、導光板を用いたバックライト装置及び液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルなどの光変調素子をその背後から照光するバックライト装置として、LED(発光ダイオード)を用いたバックライト装置(LEDバックライト装置)が注目されている。LEDバックライト装置の光源には、例えばB(青)のような短波長LEDに蛍光体を組み合わせて白色を得る構成のものがある。
【0003】
また、LEDバックライト装置の構造には、液晶表示パネルの裏側に複数のLEDをマトリクス状に配置して液晶表示パネルを一様に照光する直下型と呼ばれる構造や、光を一様に拡散する性質を有する導光板を用い、導光板の側面に複数のLEDを配置し液晶表示パネルを一様に照光するエッジライト型と呼ばれる構造が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
導光板はLED光源から発光される光を導光板の端面から入射させ、導光板の面方向へ出射させて用いられている。この導光板には光の透過率が高いアクリル系樹脂からなる板が使用されている場合が多い。
【0005】
導光板を用いたバックライト装置では、面上の輝度を均一に保つとともにLED光源自身の劣化も考慮して、LED光源からの光量を調整する必要がある。そのために、光センサ等により導光板での光量を検出することが考えられる。光センサを用いたバックライト装置は、特許文献1、2に開示されている。
【0006】
特許文献1では、導光板の一方の側面に配置されたLED光源と、導光板の他方の側面に配置された光センサと、を備える構造と、導光板の一方の側面に配置されたLED光源と光センサとを備える構造と、導光板の側面に沿って配置されたLED光源と、LED光源と一対一になるように近接配置された光センサと、を備える構造が開示されている。
【0007】
特許文献2では、導光板の側面に沿って配置されたLED光源と、導光板に対向配置された光センサと光センサが配置される箇所に開孔を有する遮光板と、を備える構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−091526号公報
【特許文献2】特開2008−311078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1,2とも、ローカルディミングへの適用に関する検討が十分になされていなかった。ローカルディミングとは、LEDバックライト装置を用いた液晶表示装置に使用される技術で、表示面上を仮想的に複数の表示エリアに分割し、各エリアの画像明暗情報より、そのエリアに該当するLED光源を輝度制御するものである。
【0010】
エッジライト型のバックライト装置を用いてローカルディミングを行う場合、通常導光板の両方の側面にLED光源を配置し、各エリア別に光センサを設置することとなる。その場合、特許文献1,2の構成に従えば、光センサをLED光源の近傍に配置して、光センサの検出値に基づいて、近傍のLEDを制御することが考えられる。しかしこの様な構成の場合、本来出力補正すべきLED光源とは逆側に配置されたLED光源からの光の影響により、正確な出力補正ができないという問題がある。
【0011】
白色LEDの光は、上記のように短波長LEDからの青色光と青色光で発光する蛍光体からの黄色光との合成光で白色が構成される。このような蛍光体を備えた白色LED光源を使用した場合、上記逆側のLED光源からの光としては、導光板の逆側面に配置されたLED光源から導光板内を伝搬してセンサに直接入光するものと、導光板内を通過して端面より出光した光が逆のLED上の蛍光体に当たって発光する光によるものの2種類がある。このように、特許文献1,2の構成に基づきローカルディミングを行う際には、2種類の光の影響により正確な補正ができないという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、導光板両端面にLED光源を配置したエッジライト型バックライト装置において、LED光源の出力補正を正確に行うことができるバックライト装置及び液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るバックライト装置及び液晶表示装置は、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
第1のバックライト装置(請求項1に対応)は、第1の側面と該第1の側面に対向する第2の側面とを有する導光板と、前記第1の側面に沿って配置される第1のLED光源と、前記第2の側面に沿って配置される第2のLED光源と、前記第1のLED光源の近傍に配置され、前記第1のLED光源の光量を検出する第1のセンサと、前記第2のLED光源の近傍に配置され、前記第2のLED光源に光量を検出する第2のセンサと、前記第1のセンサの出力と前記第2のセンサの出力とに基づき前記第1のLED光源と前記第2のLED光源との光量を制御する制御回路と、を備えるバックライト装置において、前記制御回路は、前記第1のセンサ出力における前記第2のLED光源による影響を除去した値に基づいて前記第1のLED光源を駆動する第1の指令値を出力し、且つ、前記第2のセンサ出力における前記第1のLED光源による影響を除去した値に基づいて前記第2のLED光源を駆動する第2の指令値を出力することを特徴とする。
第2のバックライト装置(請求項2に対応)は、上記の構成において、好ましくは、前記制御回路は、前記第1及び第2のセンサの出力に基づき前記第1及び第2のLED光源の発光強度を制御する演算部(マイクロプロセッサ)と、前記演算部の出力に応じて前記第1のLED光源を駆動する第1のLED駆動部と、前記演算部の出力に応じて前記第2のLED光源を駆動する第2のLED駆動部と、を備えることを特徴とする。
第3のバックライト装置(請求項3に対応)は、上記の構成において、好ましくは、前記制御回路は、前記第1及び第2のLED光源を同時に点灯及び消灯させ、前記第1の指令値は、前記第1のセンサ出力値から前記第2のセンサ出力値の所定割合を補正した値に基づいて構成されており、前記第2の指令値は、前記第2のセンサ出力値から前記第1のセンサ出力値の所定割合を補正した値に基づいて構成されていることを特徴とする。
第4のバックライト装置(請求項4に対応)は、上記の構成において、好ましくは、前記制御回路は、前記第1のLED光源と前記第2のLED光源とを交互に点灯及び消灯させ、前記第1のLED点灯時における前記第1のセンサの出力に基づいて前記第1のLED光源を駆動し、前記第2のLED点灯時における前記第2のセンサの出力に基づいて前記第2のLED光源を駆動することを特徴とする。
第1の液晶表示装置(請求項5に対応)は、映像信号に基づき映像を表示する液晶表示パネルと、第1の側面と該第1の側面に対向する第2の側面とを有し、前記液晶表示パネルと対向して配置される導光板と、前記第1の側面に沿って配置され、複数のエリアに分割配置される第1のLED光源と、前記第2の側面に沿って配置され、複数のエリアに分割配置される第2のLED光源と、前記複数のエリア毎に、第1のLED光源と第2のLED光源の光量を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記エリアに相当する映像エリアの明暗度に合わせて、前記LED光源の明暗を制御するように構成されている液晶表示装置において、前記第1のLED光源の近傍に、前記複数のエリア毎に配置され、前記第1のLED光源の光量を前記複数のエリア毎に検出する第1のセンサと、前記第2のLED光源の近傍に、前記複数のエリア毎に配置され、前記第2のLED光源に光量を前記複数のエリア毎に検出する第2のセンサと、を備え、前記制御回路は、前記映像信号と前記第1のセンサの出力と前記第2のセンサの出力とに基づき前記第1のLED光源と前記第2のLED光源との光量を前記複数のエリア毎に制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、導光板両端面にLED光源を配置したエッジライト型バックライト装置において、LED光源の出力補正を正確に行うことができるバックライト装置及び液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係るバックライト装置を備えた液晶表示装置の構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るバックライト装置の構成図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るバックライト装置で用いる光センサの配置を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るバックライト装置で用いる反射層を示す図である。
【図5】電源投入時の第1実施形態に係るバックライト装置の調整動作を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態に係るバックライト装置の構成図である。
【図7】電源投入時の第2実施形態に係るバックライト装置の調整動作を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の変形例に係るバックライト装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態に係るバックライト装置を備えた液晶表示装置の構成図である。また、図2は、本発明の第1実施形態に係るバックライト装置の構成図である。図3は、本発明の第1実施形態に係るバックライト装置で用いる光センサの配置を示す図である。液晶表示装置10は、液晶表示パネル11とバックライト装置12とを備えている。また、液晶表示装置10は、液晶駆動部13を備えている。
【0018】
液晶表示パネル11は、映像信号に基づき映像を表示するものであり、液晶駆動部13からの制御信号により液晶配向を制御して光の透過率を変化させるように構成されるものである。液晶表示パネル11は、透過型または半透過型の液晶表示パネルなら任意のものでよく、TN(ツイストネマティック)液晶、STN(スーパツイストネマティック)液晶、TFT(シンフィルムトランジスタ)液晶などを用いたものである。液晶表示パネル11自体の構造はよく知られているため詳細は図示しないが、一例として、バックライト装置12の導光板14に近い側から、偏光フィルタ、ガラスまたはプラスチックの基板、透明電極、配向膜、液晶材料、配向膜、透明電極、カラーフィルタ、ガラス基板、偏光板の順に配設され、配向膜間に液晶材料を封入して全体一体形成している。
【0019】
バックライト装置12は、図2に示すように、第1の側面(端面15)と第1の側面(端面15)に対向する第2の側面(端面16)とを有する導光板14と、第1の側面に沿って配置される第1のLED光源(複数のLED群光源17−1,17−2,17−3)と、第2の側面に沿って配置される第2のLED光源(複数のLED群光源17−4,17−5,17−6)と、第1のLED光源の近傍に配置され、導光板14を介して第1のLED光源の光量を検出する第1のセンサ(光センサ18−1,18−2,18−3)と、第2のLED光源の近傍に配置され、導光板14を介して第2のLED光源に光量を検出する第2のセンサ(光センサ18−4,18−5,18−6)と、第1のセンサの出力と第2のセンサの出力とに基づき第1のLED光源と第2のLED光源との光量を制御する制御回路(LED制御部19)と、を備えている。導光板14は、複数の導光エリア20−1,・・・20−6を有し、第1及び第2のLED光源17−1,・・・17−6は、複数の導光エリア毎に配置される。導光板14は、端面15,16から入射された光を光路変換して主面側から面状に出射する。なお、図2では、光センサ18−1からLED制御部19への信号線は図示しているが、光センサ18−2,・・・18−6からLED制御部19への信号線は省略している。
【0020】
バックライト装置12の複数のLED群光源17−1,・・・17−6のそれぞれは、少なくとも1つのLED光源からなり、複数の光センサ18−1,・・・18−6は、個々のLED群光源の近傍に少なくとも1つ設置されている。LED制御部19によって、光センサ18−1,・・・18−6によって検出された光量に基づいて、LED群光源毎に発光強度を制御し、LED群光源毎に照らす導光エリア20−1,・・・20−6の輝度を調整する。
【0021】
バックライト装置12は、液晶表示パネル11に遠い側から順に、側面から入射したLED群光源の光を液晶表示パネル11の裏面全体へ面状に導く導光板14と、導光板14の面上に設けられた光拡散板と、拡散光を透過するカラーフィルタとを有し、これらを一体形成している。カラーフィルタはPET(ポリエチレンテレフタレート樹脂)やPC(ポリカーボネート)で形成される。光拡散板は透明な樹脂板の表面を粗面化したもので、光損失が少なく、光拡散率が高いものを選ぶ。導光板14は、光透明度が比較的高いPCまたはアクリル樹脂などが用いられる。導光板14の裏には、図示しない筐体側に設けられた光を反射する機構がある。ただし、筐体側に反射機構がない場合、導光板14の裏に反射板21(図3参照)を貼付する。
【0022】
導光板14は、1つの液晶表示パネルに対し1つの例えばアクリル板で形成され、導光板14の端面(入光面)15,16に配置したLED群光源17−1,・・・17−6から入光する白色光が導光板14の内部を直進し、導光板14の一方の表面を照光するように構成される。このように構成される導光板14は、特にエッジライト型導光板と呼ばれる。
【0023】
LED群光源17−1,・・・17−6のそれぞれは、白色光を出力する複数のLED(n個のLED、nは任意の自然数)を備え、導光板14の左端面15及び右端面16に沿って配置される。これらのLEDはそれぞれ白色光を発するが、内部には、白色LEDや、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色のLEDの光を混色して白色光を得る構成のものや、B(青)のような短波長LEDに蛍光体を組み合わせて白色を得る構成のものが設けられている。
【0024】
光センサ18−1,・・・18−6は、図3の部分断面図に示すように、導光板14の一方の面に設けられた反射板21に開けた孔22からの光量を検出する。符号Aで示す矢印は、有効発光エリアを示す。検出信号はLED制御部19へ送られる。なお、光センサ18−1,・・・18−6は、フォトダイオードやSeなどの光伝導物質を用いても良いが、a−Si(アモルファスシリコン)のPN接合部やa−Siあるいはp−Si(ポリシリコン)そのものの光伝導効果を用いることにより、液晶表示パネルを駆動する回路と同一のプロセスを用いることができるのでより好ましい。なお、図4に示すように、導光板14に、反射板21に開けた孔22の反対側の面の一部に反射層23を設るようにしてもよい。この反射層23により、LED群光源17−6(17−1,・・・17−5)から入射された光の一部が反射され、孔22から光センサ18−6(18−1,・・・18−5)に入るようになるため、LED群光源17−6(17−1,・・・17−5)からの光が弱いときでも光センサ18−6(18−1,・・・18−5)の検出信号を得ることができる。なお、光センサ18−1,・・・18−6は、複数のLED群光源17−1,・・・17−6に隣接配置され、光量を直接検出できるように構成されても良い。
【0025】
制御回路(LED制御部)19は、第1及び第2のセンサ(光センサ18−1,・・・18−6)の出力に基づき第1及び第2のLED光源(LED群光源17−1,・・・17−6)の発光強度を制御する演算部(マイクロプロセッサ)25と、演算部25の出力に応じて第1のLED光源(LED群光源17−1,17−2,17−3)を駆動する第1のLED駆動部28−1と、演算部25の出力に応じて第2のLED光源(LED群光源17−4,17−5,17−6)を駆動する第2のLED駆動部28−2と、を備えている。
【0026】
LED制御部19は、第1及び第2のLED光源(LED群光源17−1,・・・17−6)を同時に点灯及び消灯させ、第1のセンサ(光センサ18−1,18−2,18−3)の出力と第2のLED光源(LED群光源17−4,17−5,17−6)の指令値とに基づいて第1のLED光源(LED群光源17−1,17−2,17−3)を駆動し、第2のセンサ(光センサ18−4,18−5,18−6)の出力と第1のLED光源(LED群光源17−1,17−2,17−3)の指令値とに基づいて第2のLED光源(LED群光源17−4,17−5,17−6)を駆動する。より詳細には、制御回路19は、第1のセンサ(光センサ18−1,18−2,18−3)の出力における第2のLED群光源(17−4,17−5,17−6)による影響を除去した値に基づいて第1のLED光源(17−1,17−2,17−3)を駆動する第1の指令値を出力する。また、制御回路19は、第2のセンサ(光センサ18−4,18−5,18−6)の出力における第1のLED群光源(17−1,17−2,17−3)による影響を除去した値に基づいて第2のLED光源を駆動する第2の指令値を出力する。
【0027】
LED制御部19は、A/Dコンバータ(ADC)24と、マイクロプロセッサ25と、メモリ26とユーザインタフェース(UI)27と、LED駆動部28−1,28−2とを有する。A/Dコンバータ24は、光センサ18−1,・・・18−6の計測結果である電圧信号を受け、これらをデジタル値(計測値)へ変換してマイクロプロセッサ25へ出力する。
【0028】
メモリ26は、LED群光源17−1,・・・17−6を駆動するときの目標とする発光強度L(L1〜L6)から、個々のLEDの発光強度L/nから個々のLEDの指令電流値Iを決定するときの係数k(k1〜k6)を記憶する。この係数kにより発光強度をL/nにするためには、指令電流値IはL/(k×n)と決定することができる。また、メモリ26は、光センサに対向するLED群光源から入射される光量を求めるときのLED光源を駆動するための指令電流値I1〜I6にそれぞれ掛ける係数c1〜c6を記憶する。さらに、メモリ26には、ユーザインタフェイス27を介して、ユーザの指定する光量設定情報が書き込まれる。ユーザインタフェース27は、ユーザが自分の好みで画面の明るさを調整したいときに、操作に必要な環境を提供する。また、メモリ26には、図5で示すフローチャートに従ったプログラムを含む制御プログラムを記憶している。
【0029】
LED駆動部28−1,28−2は、マイクロプロセッサ25からの信号に基づいてLED群光源17−1,・・・17−6を駆動する。
【0030】
マイクロプロセッサ25は、A/Dコンバータ24から計測値を入力し、係数k1〜k6を演算し、その演算された係数k1〜k6をメモリ26に記憶させる。このとき、LED制御部19は、導光板の一方の端面に配置するLED光源からの発光強度(光量)を演算するときは、LED光源の近傍の光センサによって検出された光量から導光板のLED光源に対向する他方の端面に配置されたLED光源の指令値に予め実験等で求められた係数c1〜c6を掛けた値を減算して行う。これは、LED光源の近傍の光センサには、対向する他方の端面に配置されたLED光源からの光も一部入射されるからである。そして、その光センサに入射される光量が対向する他方の端面に配置されたLED光源を駆動するための指令電流値I1〜I6にそれぞれc1〜c6を掛けた値になると仮定する。すなわち、LED群光源17−4,17−5,17−6の各LED光源をそれぞれ指令電流値I4,I5,I6で発光させたときの光センサ18−1,18−2,18−3にLED群光源17−4,17−5,17−6から入る光量は、それぞれc4×I4,c5×I5,c6×I6となる。また、LED群光源17−1,17−2,17−3の各LED光源をそれぞれ指令電流値I1,I2,I3で発光させたときの光センサ18−4,18−5,18−6にLED群光源17−1,17−2,17−3から入る光量は、それぞれc1×I1,c2×I2,c3×I3となる。さらに、マイクロプロセッサ25は、LED群光源をメモリ26に記憶された係数k1〜k6を用いて、指令電流値を決定し、LED駆動部28−1,28−2を介して駆動する。
【0031】
次に、本実施形態に係る液晶表示装置10の動作について説明する。
【0032】
まず、電源投入時のバックライト装置の調整動作を図5に示すフローチャートを用いて説明する。ここでは、LED群光源17−1の調整について説明する。
ステップS11:LED制御部19は、左右のLED群光源17−1,17−4の各LEDをそれぞれ指令値I1,I4で駆動する。
ステップS12:左の光センサ18−1は、光量LL1を検出し、LED制御部19に送る。
ステップS13:マイクロプロセッサ25は、検出された光量LL1から右のLED群光源17−4が発する光による光の量c4×I4を減じることにより、LED群光源17−1の各LEDが発することによる光量(LL1−c4×I4)を演算する。
ステップS14:マイクロプロセッサ25は、係数k1を、k1=(LL1−c4×I4)/(n×I1)の式により演算する。
ステップS15:得られた係数k1の値をメモリ26に記憶する。
LED群光源17−2,・・・17−6に対してもステップS11〜S15と同様なステップを行い係数k2〜k6を求め、メモリ26に記憶させる。
その後のLEDの発光は、LED群光源17−1の発光強度の目標値をL1にしたいときには、I1=L1/(n×k1)の指令値で制御すれば良いことになる。
そして、LED制御部19は、導光エリア直上の液晶表示パネルの表示エリアに表示する画像の画像データに対応して導光エリア20−1,・・・20−6に対応するLED群光源17−1,・・・17−6の発光強度を調整して、導光エリア毎に輝度を調整する。
【0033】
次に、電源投入後の調整が終わった後の動作に入る。すなわち、液晶駆動部13は、図示しない映像処理部が出力するR,G,Bの映像信号を受信し、映像信号の明暗度(RGB値又はグレー値)に応じて液晶配向を制御することで、液晶表示装置10の表示を制御している。また、液晶駆動部13は、スキャニングしている表示領域に応じた同期信号をLED制御部19に出力する。LED制御部19は、映像信号と同期信号とに応じて導光板14の複数の導光エリア20−1,・・・20−6に対応して左右側面に沿って配置されたLED群光源17−1,・・・17−6を同期制御し、ローカルディミング制御を行う。
【0034】
以上のように、本実施形態によれば、導光板の劣化を補償するためのLEDの出力補正を正確に行うことができるバックライト装置及び液晶表示装置を提供することができる。
【0035】
次に、本発明の第2実施形態に係るバックライト装置を説明する。第2実施形態では、制御回路(LED制御部)30は、第1のLED光源(LED群光源17−1,17−2,17−3)と第2のLED光源(LED群光源17−4,17−5,17−6)とを交互に点灯及び消灯させ、第1のセンサ(光センサ18−1,18−2,18−3)の出力に基づいて第1のLED光源(LED群光源17−1,17−2,17−3)を駆動し、第2のセンサ(光センサ18−4,18−5,18−6)の出力に基づいて第2のLED光源(LED群光源17−4,17−5,17−6)を駆動する。すなわち、第2実施形態では、係数k1〜k6を求める方法が第1実施形態と異なり、図6に示すように、導光板14の一方の端面15に配置されたLED群光源17−1,17−2,17−3と、それらLED群光源17−1,17−2,17−3にそれぞれ対向する他方の端面16に配置されたLED光源17−4,17−5,17−6を交互にオンオフさせ、それぞれのLED群光源17−1,・・・17−6の近傍に配置された光センサ18−1,・・・18−6によって検出された光の強度に基づいて、係数k(k1〜k6)を求める。そのために、オンオフのためのタイミング信号を発生させるタイミング信号発生部31を設けている。その他は、図2で示した構成と同様であり、第1実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付し、説明を省略する。ここでは、第1の実施形態と異なる係数k1〜k6を求めるときの動作を説明する。
【0036】
係数k1〜k6を求めるときの動作は、電源投入時に行われ、図7は、そのときの動作のフローチャートである。ここでは、LED群光源17−1,17−4の調整について説明する。
ステップS21:LED制御部30は、タイミング信号発生部31からの信号により左のLED群光源17−1の各LEDを指令値I1で駆動する。このとき、右のLED群光源17−4はオフとなっている。
ステップS22:左の光センサ18−1は、光量LL1を検出し、LED制御部30に送る。このとき、光量LL1は、すべてがLED群光源17−1から発せられた光によるものである。
ステップS23:マイクロプロセッサ25は、係数k1を式k1=LL/(n×I1)に基づいて演算する。
ステップS24:マイクロプロセッサ25は、得られた係数k1をメモリ26に記憶させる。
ステップS25:LED制御部30は、タイミング信号発生部31からの信号により右のLED群光源17−4の各LEDを指令値I4で駆動する。このとき、左のLED群光源17−1はオフとなっている。
ステップS26:右の光センサ18−4は、光量LL4を検出し、LED制御部30に送る。このとき、光量LL4は、すべてがLED群光源17−4から発せられた光によるものである。
ステップS27:マイクロプロセッサ25は、係数k4を式k4=LL/(n×I4)に基づいて演算する。
ステップS28:マイクロプロセッサ25は、得られた係数k1をメモリ26に記憶させる。
LED群光源17−2,17−3,17−5,17−6に対してもステップS21〜S28と同様なステップを行い係数k2,k3,k5,k6を求め、メモリ26に記憶させる。
その後のLEDの発光は、LED群光源17−1の発光強度の目標値をL1にしたいときには、I1=L1/(n×k1)の指令値で制御すれば良いことになる。
そして、LED制御部30は、導光エリア直上の液晶表示パネルの表示エリアに表示する画像の画像データに対応して導光エリア20−1,・・・20−6に対応するLED群光源17−1,・・・17−6の発光強度を調整して、導光エリア毎に輝度を調整する。
【0037】
電源投入後の調整が終わった後の動作は、第1実施形態と同様である。
【0038】
以上のように、本実施形態によれば、導光板の劣化を補償するためのLEDの出力補正を正確に行うことができるバックライト装置及び液晶表示装置を提供することができる。
【0039】
なお、本実施形態では、導光板の側面に光源を設けていたが、図8のように、導光板14の上下にLED群光源17−10,・・・17−19を設けるようにしても良い。
【0040】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係るバックライト装置及び液晶表示装置は、導光板等の劣化にも対応して光量を安定にすることができるバックライト装置及び液晶表示装置として利用される。
【符号の説明】
【0042】
10 液晶表示装置
11 液晶表示パネル
12 バックライト装置
13 液晶駆動部
14 導光板
15 端面
16 端面
17−1〜17−6 LED群光源
17−10〜17−19 LED群光源
18−1〜18−6 光センサ
18−10〜18−19 光センサ
19 LED制御部
20−1〜20−6 導光エリア
21 反射板
22 孔
23 反射層
24 A/Dコンバータ(ADC)
25 マイクロプロセッサ
26 メモリ
27 ユーザインタフェース(UI)
28−1,28−2 LED駆動部
28−3,28−4 LED駆動部
30 LED制御部
31 タイミング信号発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側面と該第1の側面に対向する第2の側面とを有する導光板と、
前記第1の側面に沿って配置される第1のLED光源と、
前記第2の側面に沿って配置される第2のLED光源と、
前記第1のLED光源の近傍に配置され、前記第1のLED光源の光量を検出する第1のセンサと、
前記第2のLED光源の近傍に配置され、前記第2のLED光源に光量を検出する第2のセンサと、
前記第1のセンサの出力と前記第2のセンサの出力とに基づき前記第1のLED光源と前記第2のLED光源との光量を制御する制御回路と、を備えるバックライト装置において、
前記制御回路は、前記第1のセンサの出力における前記第2のLED光源による影響を除去した値に基づいて前記第1のLED光源を駆動する第1の指令値を出力し、且つ、前記第2のセンサの出力における前記第1のLED光源による影響を除去した値に基づいて前記第2のLED光源を駆動する第2の指令値を出力することを特徴とするバックライト装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記第1及び第2のセンサの出力に基づき前記第1及び第2のLED光源の発光強度を制御する演算部(マイクロプロセッサ)と、
前記演算部の出力に応じて前記第1のLED光源を駆動する第1のLED駆動部と、
前記演算部の出力に応じて前記第2のLED光源を駆動する第2のLED駆動部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のバックライト装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記第1及び第2のLED光源を同時に点灯及び消灯させ、前記第1の指令値は、前記第1のセンサの出力値から前記第2のセンサの出力値の所定割合を補正した値に基づいて構成されており、
前記第2の指令値は、前記第2のセンサの出力値から前記第1のセンサの力値の所定割合を補正した値に基づいて構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のバックライト装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記第1のLED光源と前記第2のLED光源とを交互に点灯及び消灯させ、前記第1のLED光源の点灯時における前記第1のセンサの出力に基づいて前記第1のLED光源を駆動し、前記第2のLED光源の点灯時における前記第2のセンサの出力に基づいて前記第2のLED光源を駆動することを特徴とする請求項1又は2に記載のバックライト装置。
【請求項5】
映像信号に基づき映像を表示する液晶表示パネルと、
第1の側面と該第1の側面に対向する第2の側面とを有し、前記液晶表示パネルと対向して配置される導光板と、
前記第1の側面に沿って配置され、複数のエリアに分割配置される第1のLED光源と、
前記第2の側面に沿って配置され、複数のエリアに分割配置される第2のLED光源と、
前記複数のエリア毎に、第1のLED光源と第2のLED光源の光量を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記複数のエリアに相当する映像エリアの明暗度に合わせて、前記第1及び第2のLED光源の明暗を制御するように構成されている液晶表示装置において、
前記第1のLED光源の近傍に、前記複数のエリア毎に配置され、前記第1のLED光源の光量を前記複数のエリア毎に検出する第1のセンサと、
前記第2のLED光源の近傍に、前記複数のエリア毎に配置され、前記第2のLED光源に光量を前記複数のエリア毎に検出する第2のセンサと、を備え、
前記制御装置は、前記映像信号と前記第1のセンサの出力と前記第2のセンサの出力とに基づき前記第1のLED光源と前記第2のLED光源との光量を前記複数のエリア毎に制御することを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−199041(P2012−199041A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61882(P2011−61882)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】