説明

バックライト

【課題】 簡単な構成で、中空領域の遠方まで十分な光量の光を到達させることができ、輝度の均斉度を向上することのできるバックライトを提供する。
【解決手段】 LED10と、コリメーションレンズ15と、扁平なレンズ部16bを配列したフライアイレンズ16とを具備して光源部20を構成する。LED10を光源として用いることにより、不要な拡散方向への光の出射を抑制し、光源からの出射光をコリメーションレンズ15で効率よく平行光に変換することができる。そして、効率よく平行光に変換された光をフライアイレンズ16の各レンズ部16bによって扁平な矩形の光束に変換することにより、光源部20からの出射光の多くを、反射シート30等で反射させることなく直接的に中空領域35の遠方まで到達させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空方式のバックライトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶テレビ等に用いるバックライト方式としては、光源からの光を中空領域に出射し、反射シートに反射させ、光拡散シートから出光する中空方式が知られている。ところで、この種のバックライトは、一般に、導光板を内蔵する方式のものに比べて、軽量化等を図れる反面、輝度ムラを発生し易い等の問題がある。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1には、光源である冷陰極管ランプ等の放電管から照射される光を長尺な凸レンズ体によって光源から離れた位置に集めるとともに、空気層(中空領域)に接する乱反射層(反射シート)を光源から遠ざかるにつれて上向きに傾斜させた技術が開示されている。
【特許文献1】特開平8−171806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、放電管等の光源は全周から放射線状に光を出射する円筒光源であるため、上述の特許文献1に開示された技術のように、たとえ光源と中空領域との間に凸レンズ体を設けたとしても当該凸レンズで集光できる光は限られている。従って、上述の技術では、中空領域の遠方まで十分な光量の光を到達させることが困難であり、たとえ反射シートを傾斜させたとしても十分な輝度の均斉度を得ることが困難である。
【0005】
これに対処し、放電管と凸レンズ体との間に、さらに複数のレンズ等を介装することも考えられるが、このように複数のレンズを用いた場合、バックライトの大型化や構造の複雑化等を招く虞がある。
【0006】
本発明は、簡単な構成で、中空領域の遠方まで十分な光量の光を到達させることができ、輝度の均斉度を向上することのできるバックライトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、発光ダイオードと、当該発光ダイオードからの出射光をそれぞれ扁平な矩形の光束に変換する複数のレンズ部をマトリクス状に配列したフライアイレンズとを有する光源部と、前記光源部に縁端部が連接する反射手段と、前記反射手段との間に中空領域を形成し、前記フライアイレンズの各レンズ部から前記中空領域に入射した光を出光する出光手段と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のバックライトによれば、簡単な構成で、中空領域の遠方まで十分な光量の光を到達させることができ、輝度の均斉度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1,2は本発明の第1の実施形態に係わり、図1はバックライトの分解斜視図、図2はバックライトの断面図、図3はフライアイレンズの各レンズ部が形成する光束を示す説明図である。
【0010】
図1,2において符号1は液晶テレビ等に好適なバックライトを示し、このバックライト1は、上面が開口した扁平な略箱形形状のケース2を有する。ケース2は、例えば射出成型による樹脂成型品で構成され、背面板2aの内側一側寄りには隔壁3が立設している。そして、この隔壁3は、ケース2の内部を、LED収容室5と、導光室6とを画成している。
【0011】
LED収容室5は、複数(例えば、3個)の表面実装型の発光ダイオード(以下、LEDと称す)10を光源として収容する。具体的には、LED収容室5の長手方向両端部には互いに対向する一対の基板保持溝5aが凹設しており、これら基板保持溝5aは、各LED10を等間隔毎に実装したLED基板11をLED収容室5内に保持する。
【0012】
そして、図1,2に示すように、LED収容室5内に収容保持された各LED10は、当該LED10に対応して隔壁3に保持されるコリメーションレンズ15及びフライアイレンズ16(後述する)とともに、ケース2の一側に光源部20を構成する。
【0013】
具体的に説明すると、隔壁3は、各LED10に対応する各位置に、LED収容室5と導光室6とを連通する連通溝7をそれぞれ有する。さらに、各連通溝7は、互いに対向する壁面に、LED収容室5側から順に、コリメーションレンズ保持溝7aと、フライアイレンズ保持溝7bとを有する。
【0014】
コリメーションレンズ15は、コリメーションレンズ保持溝7aに挿入保持される平面略矩形形状のレンズ基板15aの出射側に、レンズ部15bが一体形成されたレンズ部材である。そして、コリメーションレンズ15は、LED10から入射する光を、略平行光に変換して出射する。
【0015】
フライアイレンズ16は、フライアイレンズ保持溝7bに挿入保持される平面略矩形形状のレンズ基板16a上に、平面矩形形状をなす複数のレンズ部16bがマトリクス状に一体形成されたレンズ部材である。ここで、図1,3に示すように、各レンズ部16bは、幅方向(背面板2aに沿う方向)の寸法が高さ方向(ケース2の厚さ方向)の寸法に比べて大きく設定された広角なレンズ部である。具体的には、各レンズ部16bは、その幅方向と高さ方向の寸法比が2:1以上であることが望ましく、本実施形態において、各レンズ部16bのセル寸法は、例えば1.8mm×0.6mmに設定されている。そして、このような形状により、各レンズ部16bは、コリメーションレンズ15で略平行光に変換されたLED10からの出射光を、幅方向に扁平な矩形の光束に変換して導光室6内に出射する。その際、図3に示すように、各レンズ部16bから出射する各光束は、そのほとんどが互いに重畳するようになっており、これにより、フライアイレンズ16は、全体として幅方向に扁平な均一照度の光束を導光室6内に出射する。
【0016】
導光室6は、反射手段としての反射シート30を収容する。具体的には、反射シート30は背面板2aに沿って配設される矩形のシートで構成され、その一側の縁端部に、光源部20が連接する。図1に示すように、この反射シート30は、光源部20に近い位置に、例えば高反射性フィルムの貼着によって形成された鏡面30aを有し、光源部20に遠い位置に、例えば拡散反射シートの貼着によって形成された拡散面30bを有する。ここで「鏡面」とは、完全な鏡面反射をする反射面でなくても、鏡面反射に近い反射面であればよいことを意味し、同様に「拡散面」も、少なくとも拡散反射に近い反射面であればよいことを意味している。本実施形態において、この鏡面30aと拡散面30bとの境界は直線状をなし、その面積比率は例えば3:4である。また、導光室6内において、ケース2の各側面板2b、及び隔壁3には、略拡散面30bに入射した場合と同じ反射をする白色塗装面31がそれぞれに施されている。
【0017】
また、導光室6の開口端部には、反射シート30と略平行に対向する拡散板33が配設されており、この拡散板33は、導光室6内において、反射シート30との間に中空領域35を形成する。この拡散板33は、光源部20から中空領域35に入射した光を、拡散を伴い出光する出光手段である。また、この拡散板33の出光面(すなわち、中空領域35とは反対側)には、拡散板33から出向した光を正面方向に集光し、正面輝度を高めるプリズムシート34が貼着される。
【0018】
なお、図中符号36は、ケース2に冠設するベゼルである。このベゼル36には、プリズムシート34の発光面に対応する開口部36aが開口しており、図2に示すように、ケース2に冠設することにより、LED収容室5の上面開口部を閉塞し、さらに、拡散板33及びプリズムシート34の縁辺部をケース2との間に挟持する。
【0019】
図2に示すように、このようなバックライト1において、光源部20から中空領域35に入射した光は、反射シート30の鏡面30aまたは拡散面30bに入射する。鏡面30aに入射した光は、入射角に対し、反射角が略同じ角度で反射するため、光が入射した位置よりもさらに遠方で拡散板33に入射される。また、拡散面30bに入射した光は、様々な方向に拡散するため、比較的光が入射した位置の近傍で拡散板33に入射される。従って、光源部20に近い位置では拡散板33からの光の出光量を減少させ、遠方での出光量を増加させることができ、均斉度が向上する。
【0020】
このような実施形態によれば、点光源であるLED10を光源として用いることにより、不要な方向への光の拡散を抑制することができ、光源からの出射光をコリメーションレンズ15で効率よく平行光に変換することができる。そして、この効率よく平行光に変換された光をフライアイレンズ16の各レンズ部16bによって扁平な矩形の光束に変換することにより、簡単な構成で、光源部20からの出射光の多くを、反射シート30等で反射させることなく直接的に中空領域35の遠方まで到達させることができる。
【0021】
従って、光源部20から遠方の位置での拡散板33からの光の出光量を増加させることができ、バックライト1の均斉度を向上することができる。
【0022】
さらに、反射シート30の光源部20に近い位置を鏡面30aとし、遠い位置を拡散面30bとすることにより、反射シート30で反射する光についても、多くの光を効率よく光源部20の遠方に導くことができる。
【0023】
次に、図4,5は本発明の第2の実施形態に係わり、図4はバックライトの断面図、図5は反射シートの光源部付近での反射を示す拡大断面図である。なお、本実施形態において、上述の第1の実施形態と同様の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0024】
図4に示すように、この第2の実施の形態が、第1の実施形態と異なる点は、高反射性フィルムからなる鏡面30aの上に、さらに拡散透過手段である拡散シート37を配設した点である。
【0025】
図5に示すように、光源部に近い位置で反射シート30に光が入射すると、当該入射光は、鏡面30aで鏡面反射後に拡散シート37で拡散透過する。この拡散透過は、拡散面30bに入射した場合のように反射光がさまざまな方向に拡散されるわけではなく、拡散シート37から出射するときの角度にほぼ依存する。すなわち、反射後の光の方向をある程度制御しながら拡散することができるため、第1の実施形態のように光を遠くに反射することができる。
【0026】
なお、上述の各実施形態においては、表面実装型のLED10を光源部20の光源として用いた一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、レンズ部を発光部に一体的に備えたいわゆる砲弾型のLEDを光源部の光源として用いてもよい。この場合、特に、LEDから出射する光の指向角を小さくすることができるので、コリメーションレンズを省略して光源部を構成することも可能である。
【0027】
また、光源部20に用いるLED10等の数は上述のものに限定されるものではなく、バックライトのサイズ等に応じて適宜変更してもよいことは勿論である。
【0028】
また、特に大型のバックライト1においては、均斉度をより向上するため、反射シート30の鏡面30a上に局所的に拡散面を設けたり、或いは拡散面30b上に局所的に鏡面を設ける等のチューニングを行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わり、バックライトの分解斜視図
【図2】同上、バックライトの断面図
【図3】フライアイレンズの各レンズ部が形成する光束を示す説明図
【図4】本発明の第2の実施形態に係わり、バックライトの断面図
【図5】同上、反射シートの光源部付近での反射を示す拡大断面図
【符号の説明】
【0030】
1…バックライト、10…発光ダイオード、16…フライアイレンズ、16b…レンズ部、20…光源部、30…反射シート(反射手段)、30a…鏡面、30b…拡散面、33…拡散板(出光手段)、35…中空領域、37…拡散シート(拡散透過手段)
代理人 弁理士 伊 藤 進

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードと、当該発光ダイオードからの出射光をそれぞれ扁平な矩形の光束に変換する複数のレンズ部をマトリクス状に配列したフライアイレンズとを有する光源部と、
前記光源部に縁端部が連接する反射手段と、
前記反射手段との間に中空領域を形成し、前記フライアイレンズの各レンズ部から前記中空領域に入射した光を出光する出光手段と、
を具備したことを特徴とするバックライト。
【請求項2】
前記反射手段は、前記光源部に近い位置を鏡面とし、遠い位置を拡散面としたことを特徴とする請求項1記載のバックライト。
【請求項3】
前記反射手段の鏡面上に、光を拡散透過させる拡散透過手段を施したことを特徴とする請求項2記載のバックライト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−156231(P2006−156231A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347208(P2004−347208)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】